JP2002034238A - 電力変換装置 - Google Patents

電力変換装置

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JP2002034238A
JP2002034238A JP2000213168A JP2000213168A JP2002034238A JP 2002034238 A JP2002034238 A JP 2002034238A JP 2000213168 A JP2000213168 A JP 2000213168A JP 2000213168 A JP2000213168 A JP 2000213168A JP 2002034238 A JP2002034238 A JP 2002034238A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 無負荷状態又は低負荷状態における出力電圧
の異常な上昇を抑制すること。 【解決手段】 電圧制御器10は、位相シフト器7を介
したスイッチング信号の制御によっては所望の出力電圧
Eoを得られない場合に、パルス幅変調器11に対して
パルス幅制御指令を出力し、スイッチングモードをソフ
トスイッチングからハードスイッチングに切り換えるよ
うにする。パルス幅変調器11は、これに基づきスイッ
チング信号生成器8に対して指示するスイッチング素子
S1,S4及びスイッチング素子S2,S3のパルス幅を縮
小する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、交流電力を出力す
る1次側ユニットと、この1次側ユニットからの交流電
力を高周波トランスを介して入力し、これを直流電力に
変換する2次側ユニットとを備えた電力変換装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】図10は、例えば、電気車の補助機器
(エアコン、ファン、蛍光灯など)に対して電力を供給
する電力変換装置についての構成図である。この電力変
換装置は所謂「共振型電力変換装置」であり、効率的な
ソフトスイッチングが可能なものである。ここで、ソフ
トスイッチングとは、ZCS(Zero Current Switchin
g)あるいはZVS(Zero Voltage Switching)とも呼
ばれるものであり、電圧又は電流がゼロの状態でスイッ
チング素子に行うスイッチングのことをいう。これに対
し、ハードスイッチングとは、電圧又は電流がゼロであ
ると否とにかかわらず強制的に行うスイッチングのこと
をいう。
【0003】1次側ユニット1は、直流電源4からの直
流電力を交流電力に変換し、これを高周波トランス3の
1次側に出力するようになっており、2次側ユニット2
は、高周波トランス3の2次側からの交流電力を直流電
力に変換し、これを負荷側(図示せず)に接続された出
力端子T1,T2に出力するようになっている。そして、
制御ユニット5は、2次側ユニット2の出力側からフィ
ードバックされる出力電流I0及び出力電圧Eoに基づ
いて1次側ユニット1及び2次側ユニット2のスイッチ
ングを制御するようになっている。
【0004】1次側ユニット1は、複数のスイッチング
素子S1〜S4により形成されるブリッジ回路を有してお
り、これらのスイッチング素子S1〜S4にはそれぞれ逆
電圧防止ダイオードD1〜D4及び共振コンデンサC1〜
C4が接続されている。そして、スイッチング素子S1,
S2の共通接続点が高周波トランス3の1次側の一端に
接続されており、スイッチング素子S3,S4の共通接続
点が高周波トランス3の1次側の他端に接続されてい
る。
【0005】2次側ユニット2は、複数の整流ダイオー
ドD5〜D8及びスイッチング素子S5,S6により形成さ
れる整流回路を有しており、これらのスイッチング素子
S5,S6には逆電圧防止ダイオードD9,D10が接続さ
れている。整流ダイオードD5,D7のカソード側共通接
続点はリアクトルL1の一端側に接続され、リアクトル
L1の他端側は平滑コンデンサC5の一端側に接続されて
いる。そして、平滑コンデンサC5の他端側は整流ダイ
オードD6,D8のアノード側に接続されている。また、
整流ダイオードD5,D6の共通接続点が高周波トランス
3の2次側の一端に接続されており、スイッチング素子
S5,S6の共通接続点が高周波トランス3の2次側の他
端に接続されている。
【0006】図11は、図10における制御ユニット5
の詳細な構成を示すブロック図である。この図に示すよ
うに、制御ユニット5は、基準パルス発生器6、位相シ
フト器7、スイッチング信号生成器8,9、及び電圧制
御器10を有している。基準パルス発生器6はデューテ
ィ50%の基準パルス信号を位相シフト器7及びスイッ
チング信号生成器8に出力するようになっている。
【0007】スイッチング信号生成器8は、基準パルス
発生器6から直接入力した基準パルスに基づきスイッチ
ング信号を生成し、これを1次側ユニット1に出力して
スイッチング素子S1〜S4のオンオフ制御を行うように
なっている。一方、電圧制御器10は、出力電圧指令E
*とフィードバックされた出力電圧Eo及び出力電流I0
とに基づいて位相シフト量を演算し、これを位相シフト
器7に出力するようになっている。位相シフト器7は、
この位相シフト量だけ基準パルス発生器6からの基準パ
ルスの位相をシフトさせ、このシフトさせたパルスをス
イッチング信号生成器9に出力するようになっている。
そして、スイッチング信号生成器9は、このシフトされ
た基準パルスに基づきスイッチング信号を生成し、これ
を2次側ユニット2に出力してスイッチング素子S5,
S6のオンオフ制御を行うようになっている。出力電圧
Eoは、スイッチング素子S1,S4に対するスイッチン
グ信号とスイッチング素子S6に対するスイッチング信
号との間の位相シフト量の調整、及びスイッチング素子
S2,S3に対するスイッチング信号とスイッチング素子
S5に対するスイッチング信号との間の位相シフト量の
調整により制御されるようになっている。
【0008】図12は、スイッチング素子S1,S4に対
するスイッチング信号、スイッチング素子S5に対する
スイッチング信号、スイッチング素子S2,S3に対する
スイッチング信号、スイッチング素子S6に対するスイ
ッチング信号をそれぞれ示した波形図である。出力電圧
Eoは、スイッチング素子S1,S4のスイッチング信号
とスイッチング素子S5のスイッチング信号との間、及
びスイッチング素子S2,S3のスイッチング信号とスイ
ッチング素子S6のスイッチング信号との間の位相シフ
ト量tsを調整することにより行われる。つまり、位相
シフト量tsをゼロに近づけていくと同時オン期間to
は最大に近づいていくため、出力電圧Eoは上昇する。
一方、位相シフト量を180度に近づけていくと同時オ
ン期間はゼロに近づいていくため、出力電圧Eoは低下
する。なお、スイッチング素子S1,S4のスイッチング
信号とスイッチング素子S2,S3のスイッチング信号と
の間にはデッドタイムtdが設けられており、これらの
素子が短絡事故により損傷することが防止されている。
【0009】次に、図10の動作につき説明する。制御
ユニット5からのスイッチング信号により1次側ユニッ
ト1のスイッチング素子S1,S4がオンになると、直流
電源4のプラス側端子、スイッチング素子S1、高周波
トランス3の1次側コイル、スイッチング素子S4、直
流電源4のマイナス側端子、の経路を経由して電流が流
れる。そして、位相シフト量tsだけおくれたタイミン
グでスイッチング素子S5がオンとなり、出力端子T2、
整流ダイオードD6、高周波トランス3の2次側コイ
ル、スイッチング素子S5、整流ダイオードD7、リアク
トルL1、出力端子T1の経路を経由して負荷側電流が流
れる。
【0010】次いで、スイッチング素子S1,S4がオフ
になりデッドタイムtdが経過した後、スイッチング素
子S2,S3がオンになり、直流電源4のプラス側端子、
スイッチング素子S3、高周波トランス3の1次側コイ
ル、スイッチング素子S2、直流電源4のマイナス側端
子、の経路を経由して電流が流れる。そして、位相シフ
ト量tsだけおくれたタイミングでスイッチング素子S
6がオンとなり、出力端子T2、整流ダイオードD8、ス
イッチング素子S6、高周波トランス3の2次側コイ
ル、整流ダイオードD5、リアクトルL1、出力端子T1
の経路を経由して負荷側電流が流れる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、図10
及び図11に示された従来装置は、1次側ユニット1及
び2次側ユニット2間の位相シフト量tsを負荷状態に
応じて調整することにより出力電圧Eoを制御するもの
である。したがって、位相シフト量tsを最大の180
度にして同時オン期間toをゼロにすれば、理論的には
出力電圧Eoはゼロとなるはずである。
【0012】しかし、1次側ユニット1内のスイッチン
グ素子S1〜S4、及び2次側ユニット2内のスイッチン
グ素子S5,S6は、常時オンオフの高速スイッチングを
繰り返しており、また、2次側ユニット2内のスイッチ
ング素子S5,S6、整流ダイオードD5,D8、及び配線
材等には浮遊容量が存在しているため、実際には漏れ電
流が発生している。そして、無負荷状態又は低負荷状態
においては、負荷インピダンスが非常に高くなるため、
僅かな漏れ電流によってもかなりの電圧降下を生じ、出
力電圧Eoが異常に上昇することになるが、上記の位相
シフト量tsの調整によってはこの出力電圧Eoの異常
な上昇を抑制することができなかった。
【0013】また、2次側ユニット2内のスイッチング
素子S5,S6に短絡事故が生じた場合、位相シフト量t
sに関係なく同時オン期間toが常に最大となってしま
うため、負荷状態に応じた出力電圧Eoの制御が不可能
となり、運転を継続することができなくなっていた。つ
まり、位相シフト量tsの調整のみにより出力電圧Eo
の制御を行っていた従来装置は、スイッチング素子S
5,S6に短絡事故が生じた場合には運転を停止せざるを
得ないものであった。
【0014】更に、従来装置は、デッドタイムtdに起
因する整流ダイオードD5,D6の電流リカバリ特性によ
りサージ電圧を発生してしまうという問題を有してい
た。すなわち、スイッチング素子S1,S4のオン期間と
スイッチング素子S2,S3のオン期間との間に設けられ
ているデッドタイムtdに入ると、高周波トランス3の
2次側に流れる電流は次第に低下しやがてゼロとなる。
この時2次側ユニット2の出力電流は、出力端子T2、
整流ダイオードD6,D5、リアクトルL1、出力端子T
1、及び負荷により形成されるループ経路を環流してい
る。この後、デッドタイムtdが終わり、スイッチング
素子S1,S4又はスイッチング素子S2,S3のいずれか
がオンとなる時点では、整流ダイオードD5,D6はオフ
となるが、このオフ時に上記の電流リカバリ特性が働き
サージ電圧が発生することになる。
【0015】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、第1の目的として、無負荷状態又は低負荷状態
における出力電圧の異常な上昇を抑制し、第2の目的と
して、2次側ユニット内のスイッチング素子に短絡事故
が生じた場合にも運転を継続できるようにし、第3の目
的として、デッドタイムに起因する2次側ユニット2内
の整流ダイオードのサージ電圧の発生を抑制しようとす
るものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段として、請求項1記載の発明は、複数のスイッチ
ング素子から成るブリッジ回路を有し、高周波トランス
の1次側に交流電力を出力する1次側ユニットと、複数
のスイッチング素子及び整流ダイオードから成る整流回
路を有し、前記高周波トランスの2次側からの交流電力
の入力に基づき直流電力を出力する2次側ユニットと、
前記1次側ユニットのスイッチング素子と前記2次側ユ
ニットのスイッチング素子との間の制御パルス信号の位
相差を制御することにより、前記2次側ユニットから出
力される直流電圧を制御する制御ユニットと、を備えた
電力変換装置において、前記制御ユニットは、前記1次
側ユニットのスイッチング素子に対する制御信号のパル
ス幅を変化させるパルス幅変調器を有しており、前記位
相差の制御によっては所望の2次側ユニット出力電圧を
得られない場合に、このパルス幅変調器によるパルス幅
変調を行うものである、ことを特徴とする。
【0017】この構成によれば、1次側の入力自体が強
制的に制限される状態となるので、上記位相差の制御に
よってはもはや所望の2次側出力電圧を得られない場合
でも得られることができるようになる。
【0018】請求項2記載のl発明は、請求項1記載の
発明において、前記1次側ユニットの各スイッチング素
子は、前記2次側ユニットのいずれかのスイッチング素
子の短絡故障時に前記パルス幅変調が行われる場合のサ
ージ電圧を抑制するサージ電圧抑制回路が接続されたも
のである、ことを特徴とする。
【0019】請求項1記載の発明によるパルス幅変調に
よれば2次側スイッチング素子の短絡故障時にも2次側
出力電圧を可変することができるが、このパルス幅変調
によるスイッチングはハードスイッチングであるため、
サージ電圧が発生してしまう。上記の構成によれば、サ
ージ電圧抑制回路が接続されているので、このサージ電
圧を抑制することができ、1次側スイッチング素子の損
傷を防止することができる。
【0020】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記
載の発明において、前記制御ユニットは、前記1次側ユ
ニットのスイッチング素子のデッドタイム期間内に、前
記2次側ユニットの複数のスイッチング素子が同時にオ
ン状態となる期間が形成されるように、この2次側ユニ
ットの複数のスイッチング素子に対する制御信号のパル
ス幅を拡張するパルス幅拡張手段を有しており、デッド
タイム期間内に前記整流ダイオードを流れる負荷側循環
電流の一部を、この同時にオン状態となった複数のスイ
ッチング素子により形成される経路に分岐させ、これに
よりデッドタイム期間終了時点での前記整流ダイオード
のサージ電圧を低減させるものである、ことを特徴とす
る。
【0021】この構成によれば、従来は整流ダイオード
のみに流れていた負荷側循環電流について、その一部を
2次側スイッチング素子に分岐させることができ、デッ
ドタイム期間に整流ダイオードに流れる電流レベルを減
少させることができる。したがって、デッドタイム期間
終了時点でのサージ電圧を低減させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図に基
づき説明する。但し、図10乃至図12において既述し
た構成要素と同様のものには同一符号を付して重複した
説明を省略する。図1は第1の発明の実施形態の要部で
ある制御ユニット5Aの構成を示すブロック図である。
図1の制御ユニット5Aが図7の制御ユニット5と異な
っている点は、パルス幅変調器11を有している点であ
る。
【0023】次に、図1の動作につき説明する。制御ユ
ニット5Aは、図7の制御ユニット5と同様に、通常は
フィードバックされた出力電圧Eo、出力電流I0、及
び出力電圧指令E*に基づいて位相シフト量を演算し、
これを位相シフト器7に出力する。そして、この位相シ
フト量の調整によって出力電圧Eoが制御される。しか
し、無負荷状態又は低負荷状態においては、既述した浮
遊容量のために出力電圧Eoが異常に上昇し、この位相
シフト量の調整のみによっては最早出力電圧Eoを元の
レベルにまで低下させることができなくなる。
【0024】このような場合に、電圧制御器10はパル
ス幅変調器11に対してパルス幅制御指令を出力し、ス
イッチングモードをソフトスイッチングからハードスイ
ッチングに切り換えるようにする。パルス幅変調器11
は、これに基づきスイッチング信号生成器8に対して指
示するスイッチング素子S1,S4及びスイッチング素子
S2,S3のパルス幅を小さなものとする。このパルス幅
の縮小によって、無負荷状態又は低負荷状態における出
力電圧Eoの異常な上昇を充分に抑制することができる
ようになる。
【0025】図2は、上記のようなパルス幅変調を行っ
た場合の、スイッチング素子S1,S4に対するスイッチ
ング信号、スイッチング素子S5に対するスイッチング
信号、スイッチング素子S2,S3に対するスイッチング
信号、スイッチング素子S6に対するスイッチング信号
をそれぞれ示した波形図である。この図に示したよう
に、スイッチング素子S1〜S4に対するスイッチング信
号のパルス幅twは、図12に示したものよりも小さく
なっているために、出力電圧Eoを充分に低下させるこ
とが可能になっている。
【0026】なお、図2においては、図示の都合上パル
ス幅twがある程度の幅を有するものとなっているが、
実際にはこのパルス幅twは非常に短くゼロに近いもの
である。つまり、本発明では、無負荷状態又は低負荷状
態において、位相シフト量の調整によっては最早浮遊容
量に起因する出力電圧Eoを低減できない場合には、1
次側ユニット1から2次側ユニット2への出力を実質的
に遮断することによって、強制的に出力電圧Eoを低減
させようとするものである。
【0027】次に、第2の発明の実施形態につき説明す
る。図3は、この実施形態の要部構成である1次側ユニ
ット1A内の構成を示すブロック図である。この1次側
ユニット1Aが図6の1次側ユニット1と異なっている
点は、スイッチング素子S1〜S4のそれぞれに対してサ
ージ電圧抑制回路としてのスナバ回路12が付加されて
いる点である。このようなスナバ回路12を付加するこ
とにより、2次側ユニット2内のスイッチング素子S
5,S6の双方又は一方が短絡故障した場合にも、直ちに
運転を停止することなく、1次側ユニット1側に対する
制御のみによって運転を継続することが可能になる。
【0028】例えば、スイッチング素子S5,S6の双方
が短絡故障した場合、図2(又は図12)に示したスイ
ッチング素子S5,S6のパルス波形は常時オン状態の波
形となってしまい、前述した位相シフト量の調整によっ
ては、負荷状態とは関係なく出力電圧Eoを制御するこ
とができなくなる。したがって、この場合もパルス幅変
調器11によりスイッチング素子S1〜S4のスイッチン
グ信号についてのパルス幅制御を行うことになるが、こ
のパルス幅変調器11によるパルス幅制御はハードスイ
ッチングとなるため、スイッチング素子S1〜S4のオフ
時にはサージ電圧が発生が発生しようとする。しかし、
図3の構成によれば、このサージ電圧をスナバ回路12
が抑制することができるので、1次側ユニット内のスイ
ッチング素子S1〜S4のパルス幅制御により、そのまま
運転を継続することが可能になる。
【0029】図4は第3の発明の実施形態の要部である
制御ユニット5Bの構成を示すブロック図である。図4
の制御ユニット5Bが図7の制御ユニット5と異なって
いる点は、パルス幅拡張手段としてのスイッチング信号
合成器13がスイッチング信号生成器9の出力側に設け
られている点である。なお、この図4の構成ではパルス
幅変調器11が図示されていないが、この第3の発明は
もちろんパルス幅変調器11を有する場合及び有しない
場合の双方に適用可能なものである。
【0030】スイッチング信号合成器13は、スイッチ
ング信号生成器8,9からのスイッチング信号を入力
し、これらのスイッチング信号のパルス幅を加えたもの
を2次側ユニット2のスイッチング素子S5,S6に対す
るスイッチング信号として出力するようになっている。
【0031】図5は、図4の構成におけるスイッチング
素子S1,S4に対するスイッチング信号、スイッチング
素子S5に対するスイッチング信号、スイッチング素子
S2,S3に対するスイッチング信号、スイッチング素子
S6に対するスイッチング信号をそれぞれ示した波形図
である。スイッチング素子S5(S6)に対するスイッチ
ング信号について図5と図12とを対比してみれば明ら
かなように、パルス立ち上がり位置は両者共に変わらな
いが、パルス立ち下がり位置は、スイッチング素子S
1,S4(S2,S3)に対するスイッチング信号のパルス
立ち上がり位置のほぼ直前となっている。つまり、図5
におけるスイッチング素子S5(S6)に対するスイッチ
ング信号のパルス幅は、スイッチング信号合成器13に
よって、図12におけるスイッチング素子S5(S6)に
対するスイッチング信号のパルス幅よりも拡張されたも
のとなっている。
【0032】次に、上記のように拡張されたパルス幅を
有するスイッチング素子S5,S6に対するスイッチング
信号の作用を、1次側及び2次側の電流経路を簡略的に
示した図6乃至図9の説明図を参照しつつ説明する。
【0033】図5に示した時刻t1は、1次側のS1,S
4のパルスと2次側のS5のパルスとが共にオン状態とな
っている時点であるが、この時刻t1における1次側ユ
ニット1及び2次側ユニット2の電流経路は図6の点線
で示すようになっている。すなわち、1次側ユニット1
では、直流電源4のプラス側端子からの電流はスイッチ
ング素子S1、高周波トランス3の1次側コイル、スイ
ッチング素子S4を通って直流電源4のマイナス側端子
に流れる。一方、2次側ユニット2では、負荷電流が、
出力端子T2、整流ダイオードD6、高周波トランス3の
2次側コイル、スイッチング素子S5、整流ダイオード
D7、リアクトルL1、出力端子T1で示す経路に流れ
る。このとき、この負荷電流によって平滑コンデンサC
5が充電されている。
【0034】次いで、デッドタイムtdの期間に入り、
時刻t2に至ると、電流経路は図7に示すようになる。
すなわち、スイッチング素子S1〜S4の全てがオフとな
るため1次側では電流が流れず、2次側においてのみリ
アクトルL1の作用により出力電流が環流する。この場
合の環流経路は、従来と同様の経路すなわち出力端子T
2、整流ダイオードD6,D5、リアクトルL1、出力端子
T1により形成される経路を含んでおり、更に、整流ダ
イオードD8、スイッチング素子S6,S5、整流ダイオ
ードD7により形成される新たな経路をも含んでいる。
つまり、スイッチング信号合成器13によりS5,S6の
パルス幅が拡張されこれらS5,S6が共にオンとなるた
めに、従来は整流ダイオードD6,D5のみを流れていた
負荷側循環電流の一部がスイッチング素子S6,S5の経
路に分岐されるようになる。そのため、整流ダイオード
D6,D5を流れる負荷側循環電流は従来に比べて大きく
低減されることになる。そして、この時点では平滑コン
デンサC5の充電は終了し、放電が開始されようとして
いる。
【0035】図8は、時刻t2と同じくデッドタイムt
dの期間内であり、t2よりもやや遅れた時刻t3での電
流経路を示すものである。この時点では、図7の場合と
同様の経路に負荷側循環電流が流れているが、平滑コン
デンサC5の放電が行われているので、ダイオードD6,
D5及びスイッチング素子S6,S5を流れる負荷側循環
電流はこの放電により収束方向へ向かい、最終的にはゼ
ロとなる。
【0036】図9は、デッドタイムtdの期間を通過し
た直後の時刻t4での電流経路を示すものである。この
時点では、1次側のS3,S2のパルスがオンになってい
るが、2次側のS6のパルスは未だオンになっていな
い。したがって、1次側ユニット1では、直流電源4の
プラス側端子からの電流はスイッチング素子S3、高周
波トランス3の1次側コイル、スイッチング素子S2を
通って直流電源4のマイナス側端子に流れる。一方、2
次側ユニット2では、平滑コンデンサC5の放電電流が
出力端子T1,T2を介して負荷側に流れている。
【0037】整流ダイオードD5,D6のサージ電圧は、
時刻t3と時刻t4との間、つまり図8の状態から図9の
状態に切り換わる時点に発生するが、既述したように、
負荷側循環電流は整流ダイオードD6,D5の経路とスイ
ッチング素子S6,S5の経路とに分岐されている。した
がって、整流ダイオードD6,D5を流れる電流は従来に
比べて大きく低減しており、そのサージ電圧も大きく低
減されることになる。
【0038】
【発明の効果】以上のように、第1の発明によれば、1
次側スイッチング素子と2次側スイッチング素子との間
の制御パルス信号の位相差制御によっては所望の出力電
圧を得られない場合にパルス幅変調を行う構成としてい
るので、無負荷状態又は低負荷状態における出力電圧の
異常な上昇を抑制することができる。
【0039】また、第2の発明によれば、1次側の各ス
イッチング素子にサージ電圧抑制回路を接続した構成と
したので、2次側スイッチング素子に短絡事故が生じた
場合にもそのまま運転を継続することが可能になる。
【0040】そして、第3の発明によれば、2次側スイ
ッチング素子に対する制御信号のパルス幅を拡張するこ
とにより、デッドタイム期間内に2次側整流ダイオード
に流れる負荷側循環電流の一部を2次側スイッチング素
子に分岐させる構成としているので、デッドタイム期間
終了時に発生する整流ダイオードのサージ電圧のレベル
を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明の実施形態の要部である制御ユニッ
ト5Aの構成を示すブロック図。
【図2】第1の発明の実施形態におけるスイッチング素
子S1〜S6に対するスイッチング信号をそれぞれ示す波
形図。
【図3】第2の発明の実施形態の要部構成である1次側
ユニット1A内の構成を示すブロック図。
【図4】第3の発明の実施形態の要部である制御ユニッ
ト5Bの構成を示すブロック図。
【図5】第3の発明の実施形態におけるスイッチング素
子S1〜S6に対するスイッチング信号をそれぞれ示す波
形図。
【図6】第3の発明の実施形態の動作についての説明
図。
【図7】第3の発明の実施形態の動作についての説明
図。
【図8】第3の発明の実施形態の動作についての説明
図。
【図9】第3の発明の実施形態の動作についての説明
図。
【図10】従来装置の構成図。
【図11】図10における制御ユニット5の詳細な構成
を示すブロック図。
【図12】図10におけるスイッチング素子S1〜S6に
対するスイッチング信号をそれぞれ示す波形図。
【符号の説明】
1 1次側ユニット 2 2次側ユニット 3 高周波トランス 4 直流電源 5,5A,5B 制御ユニット 6 基準パルス発生器 7 位相シフト器 8,9 スイッチング信号生成器 10 電圧制御器 11 パルス幅変調器 12 スナバ回路 13 スイッチング信号合成器 S1〜S4 1次側スイッチング素子 S5,S6 2次側スイッチング素子 D1〜D4 1次側逆電圧防止ダイオード D5〜D8 整流ダイオード D9,D10 2次側逆電圧防止ダイオード C1〜C4 共振コンデンサ C5 平滑コンデンサ L1 リアクトル T1,T2 出力端子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H006 AA03 CA07 CA12 CA13 CB02 CB08 CC02 DA04 DB02 DC02 DC05 FA01 5H730 AA20 AS01 BB27 BB57 DD01 DD32 DD41 EE04 EE08 EE16 EE39 EE59 FD01 FG05 FG25 XX12

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のスイッチング素子から成るブリッジ
    回路を有し、高周波トランスの1次側に交流電力を出力
    する1次側ユニットと、 複数のスイッチング素子及び整流ダイオードから成る整
    流回路を有し、前記高周波トランスの2次側からの交流
    電力の入力に基づき直流電力を出力する2次側ユニット
    と、 前記1次側ユニットのスイッチング素子と前記2次側ユ
    ニットのスイッチング素子との間の制御パルス信号の位
    相差を制御することにより、前記2次側ユニットから出
    力される直流電圧を制御する制御ユニットと、 を備えた電力変換装置において、 前記制御ユニットは、前記1次側ユニットのスイッチン
    グ素子に対する制御信号のパルス幅を変化させるパルス
    幅変調器を有しており、前記位相差の制御によっては所
    望の2次側ユニット出力電圧を得られない場合に、この
    パルス幅変調器によるパルス幅変調を行うものである、 ことを特徴とする電力変換装置。
  2. 【請求項2】前記1次側ユニットの各スイッチング素子
    は、前記2次側ユニットのいずれかのスイッチング素子
    の短絡故障時に前記パルス幅変調が行われる場合のサー
    ジ電圧を抑制するサージ電圧抑制回路が接続されたもの
    である、 ことを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
  3. 【請求項3】前記制御ユニットは、前記1次側ユニット
    のスイッチング素子のデッドタイム期間内に、前記2次
    側ユニットの複数のスイッチング素子が同時にオン状態
    となる期間が形成されるように、この2次側ユニットの
    複数のスイッチング素子に対する制御信号のパルス幅を
    拡張するパルス幅拡張手段を有しており、 デッドタイム期間内に前記整流ダイオードを流れる負荷
    側循環電流の一部を、この同時にオン状態となった複数
    のスイッチング素子により形成される経路に分岐させ、
    これによりデッドタイム期間終了時点での前記整流ダイ
    オードのサージ電圧を低減させるものである、 ことを特徴とする請求項1又は2記載の電力変換装置。
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