JP2002027945A - 1,5−d−アンヒドロフルクトースの着色剤としての使用 - Google Patents

1,5−d−アンヒドロフルクトースの着色剤としての使用

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JP2002027945A JP2000339826A JP2000339826A JP2002027945A JP 2002027945 A JP2002027945 A JP 2002027945A JP 2000339826 A JP2000339826 A JP 2000339826A JP 2000339826 A JP2000339826 A JP 2000339826A JP 2002027945 A JP2002027945 A JP 2002027945A
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一浩 吉永
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秀人 石場
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 1,5−D−アンヒドロフルクトースを使用
することにより、従来法に比較して、より低温下で効率
良く色素化合物を生産すること、さらに、より低温下で
効率良く食品に着色を起こさせることを提供すること。 【解決手段】 1,5−D−アンヒドロフルクトースか
らなる着色剤、例えば食品を黄色〜褐色に着色するため
の着色剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は1,5−D−アンヒ
ドロフルクトースの着色剤としての用途、特に食品を黄
色系、例えば、黄色、橙色、茶色あるいは褐色に着色す
るための着色剤としての用途に関する。
【0002】
【従来の技術】糖類は、従来より、茶色から黄色系の着
色剤として利用されてきた。例えば、砂糖、ブドウ糖を
初めとする多くの糖は加熱することにより、分解および
重合を繰り返して茶色の化合物に変化することは良く知
られている。一方、ブドウ糖、果糖等分子内にカルボニ
ル基を持つ還元糖はアミノ基を持つ物質と反応して着色
物質を生成する。この反応は食品調理の際に起こり、食
品の嗜好性を高めるのに役立っている。例えば、さつま
揚げを油揚げすると魚肉蛋白のアミノ基と添加した水飴
等の還元糖が反応し茶色に着色する。
【0003】上記の着色反応には、通常、水飴、ブドウ
糖が利用され、対象物のpHによっても異なるが、一般
に、高い温度条件が必要である。しかしながら、高温条
件下では、酸化反応等他の反応も同時に進行し、食品に
おいては、栄養素の減少あるいは風味の低下など好まし
くない結果を生じることが多い。より低い温度条件で反
応を起こさせるのにはキシロース等の水飴、ブドウ糖よ
り還元力の高い糖が用いられてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、1,
5−D−アンヒドロフルクトースを使用することによ
り、従来法に比較して、より低温下で効率良く色素化合
物を生産すること、さらに、より低温下で効率良く食品
に着色を起こさせる方法を提供することにある。本発明
のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らか
になろう。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、1,5−
D−アンヒドロフルクトースが他の還元糖、例えば、ブ
ドウ糖、果糖、キシロースに比較して反応性に富み、比
較的穏やかな条件下で、それ自体またはアミノ化合物を
混合した反応系で着色反応を起こすことを見出し本発明
に到達した。すなわち、本発明は、第1に、1,5−D
−アンヒドロフルクトースからなる着色剤、好ましくは
食品の着色剤に関する。また、本発明は、第2に、1,
5−D−アンヒドロフルクトースの着色剤としての使
用、好ましくは食品の着色剤としての使用に関する。
【0006】1,5−D−アンヒドロフルクトース、キ
シロースあるいはブドウ糖を5重量%、グリシンを5重
量%となる濃度で、50mMリン酸緩衝液(pH7.
5)に溶解し、50℃で保温し着色物質の生成を420
nmの吸光度を測定することにより求めた。その結果、
図1に示す様に、この条件でブドウ糖は全く着色しない
のに対して、キシロース、1,5−D−アンヒドロフル
クトースは茶色に着色した。また1,5−D−アンヒド
ロフルクトースの着色はキシロースよりはるかに高かっ
た。
【0007】次に、1,5−D−アンヒドロフルクトー
ス、キシロースあるいはブドウ糖の糖単独での着色度を
比較した。10重量%濃度のキシロース、ブドウ糖、
1,5−D−アンヒドロフルクトースをスライドグラス
上に100μl滴下し、風乾後、あらかじめ所定温度に
加熱したオーブンで5分間加熱した。着色に要する最低
温度を測定した結果、表1に示すように1,5−D−ア
ンヒドロフルクトースは他の糖より着色しやすいことが
明かとなった。
【0008】
【表1】
【0009】本発明の剤は、1,5−D−アンヒドロフ
ルクトース以外に他の、不活性担体および補助剤を含有
することができる。不活性担体としては、例えば、澱
粉、マルトデキストリン、シクロデキストリン、焙焼デ
キストリン、ショ糖、ブドウ糖、麦芽糖、乳糖等の糖
類、カルボキシメチルセルロース、寒天、寒天分解物、
カラギーナン、グルコマンナン、ローカストビーンガ
ム、キサンタンガム等の増粘多糖類、また、液状あるい
はゲル状の場合には上記物質に加えて水、アルコールを
挙げることができる。
【0010】補助剤としては、例えば、アジピン酸、プ
ロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カ
ルシウム、乳酸、乳酸ナトリウム、乳酸カルシウム、ク
エン酸、クエン酸三ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン
酸カリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク
酸二ナトリウム、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、グ
ルコン酸、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カルシウ
ム、DL-酒石酸、L-酒石酸、DL-酒石酸ナトリウ
ム、DL-リンゴ酸、DL-リンゴ酸ナトリウム、安息香
酸、安息香酸ナトリウム、グルコノデルタラクトン、炭
酸塩類、二酸化炭素、亜硝酸塩、リン酸、リン酸塩類、
重合リン酸塩類(ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン
酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸塩等)、イタコン酸、
フィチン酸等の各種酸および塩類、アスコルビン酸、そ
のナトリウム、カリウム、カルシウム塩、脂肪酸エステ
ル、エリソルビン酸、そのナトリウム、カリウム、カル
シウム塩、脂肪酸エステル、α−トコフェロール、β−
トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロ
ール、β−カロチン、カロテノイド、カテキン類、タン
ニン、フラボノイド、アントシアニン、ポリフェノー
ル、BHT、2−BHA、3−BHA、尿酸、DHA、
IPA、EPA、EDTA、グアヤク脂、クエン酸イソ
プロピル、ノルジヒドログアヤレチック酸、没食子酸プ
ロピル等の酸化防止剤を挙げることができる。
【0011】また、本剤は、1,5−アンヒドロフルク
トース以外に他の抗菌物質含有することもできる。抗菌
物質としては、例えば、酢酸、酢酸ナトリウム、グリセ
リン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、
チアミンラウリル硫酸塩、デヒドロ酢酸ナトリウム、グ
リシン、プロタミン、ポリリジン、卵白リゾチーム、キ
トサン、エタノール、ワサビ抽出物、カラシ抽出物、グ
ローブ抽出物、シナモン抽出物、セージ抽出物、ピメン
タ抽出物、ペッパー抽出物、ローズマリー抽出物、オレ
ガノ抽出物、ニンニク抽出物、イチジク葉抽出物、柑橘
種子抽出物、桑抽出物、麹酸、シソ抽出物、ショウガ抽
出物、タデ抽出物、ホップ抽出物、生大豆抽出物、ブド
ウ果皮抽出物、ホッコシ抽出物、モウソウチク抽出物、
モミガラ抽出物、プロポリス抽出物、甘草油性抽出物、
オリーブ抽出物、ユッカフォーム抽出物、紅麹分解物、
ペクチン分解物、茶タンニン、ヒノキチオール、コーヒ
ー酸、ケイ皮酸、p-クマル酸、フェルラ酸、クロロゲ
ン酸等のケイ皮酸同族体を挙げることができる。
【0012】また、着色促進剤として、小麦粉、米粉、
コーンフラワー等の穀物粉、脱脂大豆、脱脂粉乳、トウ
モロコシ蛋白等の蛋白質、グリシン、グルタミン酸、ア
スパラギン酸、リジン等のアミノ酸類を挙げることがで
きる。本発明の剤は、種々の剤型例えば溶液、顆粒剤、
粉剤、錠剤、懸濁剤、ゲル剤等であることができる。
【0013】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳述す
る。本発明はかかる実施例により、なんら制限されるも
のではない。
【0014】実施例1および比較例1,2 白身魚のすり身に対し、実施例1では1,5−D−アン
ヒドロフルクトースを、比較例1ではグルコースを、比
較例2ではキシロースをそれぞれ最終濃度1重量%にな
るように添加し、180℃、5分間のオーブン加熱また
は180℃、30分間の蒸し器による加熱を行った。そ
の結果、表2に示すとおり、グルコース、キシロースは
無添加の白身と比較し着色が起こっていないのに対して
1,5−D−アンヒドロフルクトースを添加したものは
オーブン加熱、蒸し器加熱のいずれでもオレンジ色に着
色した。
【0015】
【表2】
【0016】実施例2および比較例3 表3に記載された材料に、実施例2として1,5−D‐
アンヒドロフルクトース(純度60%、Bx.25の液
状品)を添加し、比較例3としてグルコースを添加した
後、ホモジナイザーで乳化させた試料2gを、40gの
冷凍パイシートに刷毛で塗布し、オーブンで170℃、
35分間加熱してパイを焼き上げた。
【0017】
【表3】
【0018】焼き上がったパイの焼き色の嗜好性を10
人のパネラーによる官能検査により評価した。その結
果、表4に示したとおり、1,5−D−アンヒドロフル
クトース添加の実施例の焼き色の方がより好まれたこと
がわかる。
【0019】
【表4】
【0020】実施例3および比較例4,5 強力粉100g、砂糖12g、食塩1.8g、卵25
g、ドライイースト1.5g、お湯3.5mlに加え、実
施例3には1,5−D‐アンヒドロフルクトース1g、
比較例4にはグルコース1g、比較例5には水飴1gを
添加してパンを作成し、焼き色を比較することにより、
1,5−D−アンヒドロフルクトースの着色剤としての
利用を判定した。結果を表5に示す。
【0021】
【表5】
【0022】実施例4および比較例6 表6に記載された中華麺の材料に、実施例4として1,
5−D−アンヒドロフルクトース(純度80%、Bx.
40)を添加し、比較例6としてデキストリン(Bx.
70)を添加して中華麺を作成し、着色剤としての判定
を行った。
【0023】
【表6】
【0024】1,5−D−アンヒドロフルクトースを添
加した麺は鮮明な黄色に着色していたのに対し、デキス
トリンを添加した麺は着色していなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】糖質5重量%およびグリシン5重量%の水溶液
系(pH7.5)を50℃で加熱したときの系の着色を
示す図。
【符号の説明】
A 1,5−D−アンヒドロフルクトース B キシロース C グルコース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉永 一浩 鹿児島県鹿児島市南栄3−20 日本澱粉工 業株式会社内 (72)発明者 石場 秀人 鹿児島県鹿児島市南栄3−20 日本澱粉工 業株式会社内 (72)発明者 藤末 真実 鹿児島県鹿児島市南栄3−20 日本澱粉工 業株式会社内 Fターム(参考) 4B018 LB01 LB05 LE03 MB03 MC01 MF04 MF14 4B032 DB01 DB13 DK12 DL05 DP54 4B034 LC03 LK13Z LP11 LP20

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1,5−D−アンヒドロフルクトースか
    らなる着色剤。
  2. 【請求項2】 1,5−D−アンヒドロフルクトースか
    らなる、食品の着色剤。
  3. 【請求項3】 1,5−D−アンヒドロフルクトースの
    着色剤としての使用。
  4. 【請求項4】 1,5−D−アンヒドロフルクトースを
    食品の着色剤としての使用。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002125621A (ja) * 2000-10-24 2002-05-08 Nihon Starch Co Ltd 食肉製品の製造法
JP2003327861A (ja) * 2002-05-14 2003-11-19 Asama Chemical Co Ltd 色素の安定化剤および色素の安定化方法
JP2007091644A (ja) * 2005-09-29 2007-04-12 Nihon Starch Co Ltd 免疫抑制剤および抗アレルギー剤
US7517981B2 (en) 2003-11-20 2009-04-14 Nihon Starch Co., Ltd. Efficient production method of ascopyrone P

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