JP2002026405A - 熱電材料の製造方法、熱電材料及び熱電材料製造装置 - Google Patents

熱電材料の製造方法、熱電材料及び熱電材料製造装置

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JP2002026405A
JP2002026405A JP2000201231A JP2000201231A JP2002026405A JP 2002026405 A JP2002026405 A JP 2002026405A JP 2000201231 A JP2000201231 A JP 2000201231A JP 2000201231 A JP2000201231 A JP 2000201231A JP 2002026405 A JP2002026405 A JP 2002026405A
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container
cooling
thermoelectric material
thermoelectric
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Yasuo Nakahara
康雄 中原
Kazuhiko Takahashi
和彦 高橋
Yukihiro Isoda
幸宏 磯田
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National Institute for Materials Science
Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
National Institute for Materials Science
Sanyo Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 性能指数の高い熱電材料を製造する熱電材料
の製造方法を提供する。 【解決手段】 原料を容器に封入し(工程S10)、封
入された原料を溶融しBiTe合金融液を形成し(工程
S12)、BiTe合金融液を回転させるとともに冷却
し(工程S14)、熱電材料を製造する。この熱電材料
の製造方法では、BiTe合金融液を揺動するとともに
冷却するので、融液は安定液面がない状態で凝固し結晶
成長が抑えられる。したがって、製造した熱電材料の平
均結晶粒径が小さくなる。その結果、フォノン熱伝導
率、ひいては熱伝導率κが小さくなる。また、結晶粒間
の間隙が小さくなるため電気伝導率σは大きく保たれ
る。この結果、性能指数の高い熱電材料を製造すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱電材料の製造方
法、熱電材料及び熱電材料製造装置であって、特に、容
器に封入された溶融状態の原料を冷却して熱電材料を製
造する熱電材料の製造方法、Bi、Sb、Ag、Pb、
Ge、Cu、Sn、As、Se、Te、Fe、Mn、C
o、Siから選択される少なくとも2種以上の元素を含
む原料から製造される熱電材料及び溶融状態の原料を冷
却して熱電材料を製造する熱電材料製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の熱電材料では、熱電材料
の性能を表す性能指数Zが次式のように定義されてい
る。
【0003】
【数1】Z=σ*α2/κ この式で、σは電気伝導率、αはゼーベック係数、κは
熱伝導率である。熱伝導率κは、物質を構成する原子核
自体の振動によるもの(フォノン熱伝導率)と、キャリ
ア(電子又はホール)の移動によるもの(キャリア熱伝
導率)との和で与えられる。
【0004】性能指数Zが大きい熱電材料を得るため
に、様々な製造方法が提案されている。特に、熱伝導率
κを小さくする方法として、溶融状態の原料を急冷し、
極微結晶またはアモルファス状態にする方法が提案され
ている(例えば、特開平8−111546号公報、特開
平5−335628号公報など)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、溶融状
態から急冷する方法では、急冷して得られた材料を機械
的に粉砕し、得られた粉末を焼結してバルク状にする必
要がある。この場合、平均結晶粒径が大きくなり、フォ
ノンの平均自由行程が大きくなり、フォノン熱伝導率が
増大し、結果として、熱伝導率κが高くなる。また、粉
砕する際に不純物が混入したりして高性能な熱電材料を
得ることが困難であった。また、製造工程数が増加する
という問題があった。
【0006】本発明の熱電材料の製造方法は、性能指数
の高い熱電材料を製造することを目的の一つとする。ま
た、本発明の熱電材料は、性能指数が高い材料であるこ
とを目的の一つとする。また、本発明の熱電材料製造装
置は、性能指数が高い材料を製造できる装置であること
を目的の一つとする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の熱電材料の製造
方法は、容器に封入された溶融状態の原料を冷却して熱
電材料を製造する熱電材料の製造方法であって、前記原
料を揺動するとともに該原料を冷却する揺動冷却工程を
備えることを特徴とする。
【0008】本発明の熱電材料の製造方法では、溶融状
態の原料を揺動するとともに冷却するので、製造される
熱電材料は安定液面がない状態で凝固し結晶成長が抑え
られる。そのため、焼結してバルク状にする方法と比較
して製造される熱電材料の平均結晶粒径が小さくなるた
め、フォノンの平均自由行程が小さくなり、フォノン熱
伝導率、ひいては熱伝導率κが小さくなる。また、結晶
粒間の間隙が小さくなるため電気伝導率σは大きく保た
れる。この結果、性能指数の高い熱電材料を製造するこ
とができる。
【0009】この本発明の熱電材料の製造方法では、前
記揺動冷却工程は、前記容器内の前記原料に温度勾配を
設けた状態で該原料を揺動するとともに該原料を冷却す
る工程であるものとすることもできる。温度勾配を設け
ることで、熱電材料の結晶化に方向性を与えることがで
き、雰囲気温度や容器及び原料融液の表面状態によらず
結晶化を均一に進めることができる。
【0010】この本発明の熱電材料の製造方法では、前
記容器内部に撹拌子が設けられており、前記揺動冷却工
程は、前記容器を揺動するとともに前記撹拌子で前記原
料を撹拌することにより前記原料を揺動するとともに該
原料を冷却する工程であるものとすることもできる。容
器内部の撹拌子により、溶融した原料の揺動量が大きく
なり、より安定液面が生じにくくなる。
【0011】この本発明の熱電材料の製造方法では、前
記揺動冷却工程は、前記容器を回転させることにより前
記原料を揺動するとともに該原料を冷却する工程とする
こともできる。この結果、原料を容器に封入した状態で
容易に揺動することができる。
【0012】この本発明の熱電材料の製造方法では、前
記揺動冷却工程は、前記容器を5〜3000回転/分の
回転数で回転させたり、前記容器の回転方向を変えた
り、前記容器の回転と停止とを繰り返したりして、前記
原料を揺動するとともに該原料を冷却することもでき
る。このように容器の回転状態を変えることで、熱電材
料の凝固時に安定液面がよりできにくくなり、より平均
結晶粒径が小さい熱電材料を製造することができる。
【0013】この本発明の熱電材料の製造方法では、前
記揺動冷却工程は、前記容器の回転軸を重力方向に対し
て傾斜させ前記容器を回転させることにより前記原料を
揺動するとともに該原料を冷却する工程とすることもで
きる。容器の回転軸を重力方向に対して傾斜させること
で、容器の回転軸を重力方向にした場合と比較して、容
器内の溶融した原料の揺動量が大きくなり安定液面が生
じにくくなる。
【0014】この本発明の熱電材料の製造方法では、前
記揺動冷却工程は、前記容器の回転軸を重力方向に対し
て垂直にして該容器を回転させることにより前記原料を
揺動するとともに該原料を冷却する工程とすることもで
きる。容器の回転軸を重力方向に対して垂直にすること
で、容器内の溶融した原料の揺動量がより大きくなり安
定液面が生じにくくなる。
【0015】本発明の熱電材料は、Bi、Sb、Ag、
Pb、Ge、Cu、Sn、As、Se、Te、Fe、M
n、Co、Siから選択される少なくとも2種以上の元
素を含む原料から製造される熱電材料であって、平均結
晶粒径が2μm〜20μmであり、充填率が95%〜1
00%の溶製材であることを特徴とする。
【0016】本発明の熱電材料では、平均結晶粒径は2
μmから20μm程度であって、焼結してバルク状にし
て製造した熱電材料と比較すると平均結晶粒径が小さ
い。そのため、フォノンの平均自由行程が小さくなりフ
ォノン熱伝導率、ひいては熱伝導率κが低下する。ま
た、充填率は95%〜100%であり、間隙がほぼ無い
状態となるので、電気伝導率σは大きく保たれる。この
結果、性能指数の高い熱電材料を提供することができ
る。
【0017】本発明の熱電材料製造装置は、溶融状態の
原料を冷却して熱電材料を製造する熱電材料製造装置で
あって、溶融状態の原料を封入する容器と、該容器内の
前記原料を揺動するとともに該原料を冷却する揺動冷却
手段と、を備えることを特徴とする。
【0018】本発明の熱電材料製造装置では、原料を揺
動するとともに冷却するので、製造される熱電材料は安
定液面がない状態で凝固し、結晶成長が抑えられる。こ
のため、製造した熱電材料は平均結晶粒径が小さいので
フォノンの平均自由行程が小さくなり、フォノン熱伝導
率、ひいては熱伝導率κが小さくなる。また、結晶粒間
の間隙が小さくなるため電気伝導率σは大きく保たれ
る。以上の結果、性能指数の高い熱電材料を製造するこ
とができる。
【0019】この本発明の熱電材料製造装置では、前記
容器内の原料に温度勾配を設定する温度勾配設定手段を
有するものとすることもできる。原料に温度勾配を設定
することができるので、熱電材料の結晶化に方向性を与
えることができ、雰囲気温度や容器及び原料融液の表面
状態によらず結晶化を均一に進めることができる。
【0020】この本発明の熱電材料製造装置では、前記
容器の内部に前記原料を撹拌する撹拌子が設けられたも
のとすることもできる。容器内部の撹拌子により、溶融
した原料の揺動量を大きくすることができ、より安定液
面が生じにくくすることができる。
【0021】この本発明の熱電材料製造装置では、前記
揺動冷却手段は、前記容器を回転させ前記原料を揺動す
るとともに該原料を冷却する手段であるものとすること
もできる。容器を回転させることで、原料を容器に封入
した状態で容易に揺動することができる。
【0022】この本発明の熱電材料製造装置では、前記
揺動冷却手段は、前記容器の回転状態を制御する回転状
態制御手段を有するものとすることができる。容器の回
転状態を制御することで、容器は熱電材料の凝固時によ
り安定液面ができにくい回転状態となり、より平均結晶
粒径が小さい熱電材料を製造することができる。なお、
回転状態の制御とは、容器の回転数を変えたり、容器の
回転方向を変えたり、容器を回転させたり停止させるな
どの制御を含む。
【0023】この本発明の熱電材料製造装置では、前記
揺動冷却手段は、前記容器の回転軸を前記容器に重力方
向に対して傾斜させる回転軸傾斜手段を有するものとす
ることもできる。容器の回転軸を重力方向に対して傾斜
させることで、容器の回転軸を重力方向にした場合と比
較して、容器内の溶融した原料の揺動量が大きくなり安
定液面が生じにくくなる。
【0024】この本発明の熱電材料製造装置では、前記
揺動冷却手段は、前記容器を重力方向に垂直な回転軸で
回転させる手段であるものとすることもできる。容器の
回転軸を重力方向に対して垂直にすることで、容器内の
溶融した原料の揺動量がより大きくなり安定液面が生じ
にくくなる。
【0025】この本発明の熱電材料製造装置では、前記
揺動冷却手段は、マグネチックスターラであるものとす
ることもできる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態(以下
実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0027】図1は本実施形態の熱電材料製造装置10
0の構成を示した概略図である。熱電材料製造装置10
0は、BiTe合金10を封入するガラス製の容器12
を内部に納めた鉄製の試料管14と、試料管14を内部
に納めた炉管16と、試料管14を炉管16の中央部で
固定する棒状の試料管押さえ18と、炉管16内にAr
ガスなどの不活性ガスを導入するガス導入口20と、不
活性ガスを炉管16外に排気するガス排気口23と、炉
管16を同心円状に取り囲み炉管16の図面に向かい左
側を加熱する温度調整可能なヒータ24と、炉管16の
図面に向かい右側を加熱するヒータ26と、炉管16の
一部分とヒータ24及びヒータ26を封入する筐体28
と、炉管16に設けられた駆動ベルト32と、駆動ベル
ト32を駆動するモータ34と、筐体28とモータ34
とが固定される架台36と、架台36の一端を設置台3
7に固定するシャフト38と、架台36の他端を固定し
モータ(図示せず)で駆動されるプーリ42とを備え
る。
【0028】炉管16は、制御器21に制御される駆動
回路30に駆動される駆動ベルト32により内部の試料
管14及び試料管押さえ18とともに回転する。駆動ベ
ルト32は、炉管16の回転方向、回転数などを制御器
21からの制御信号に基づいて変更するとができる。こ
こで、回転方向の変更とは、回転方向の逆転や回転の停
止などを含む。
【0029】架台36は制御器21からの制御信号に基
づいて駆動回路31によって駆動されるプーリ42が回
転することで、シャフト38を支点として架台36を傾
斜させることができる。架台36の傾斜に伴い筐体2
8、試料管14、モータ34も傾斜する。架台36が傾
斜した状態でも、駆動ベルト32によって炉管16は回
転することができる。
【0030】ヒータ24及びヒータ26は、各ヒータと
炉管16との間に設けられたシース熱電対50及びシー
ス熱電対52によって測温され、測温データは制御器2
1に入力される。制御器21は、測温データに基づきヒ
ータ制御器22を制御し、ヒータ24及びヒータ26の
温度を調整することができ、炉管16の長手方向に温度
勾配を設定することができる。
【0031】図2は容器12の平面図であり、図3は図
2におけるAA線での断面図である。容器12は容器1
2の長手方向に延在する複数の突起物40が内壁に設け
られている。この突起物40は、容器12が回転すると
きに内部の溶融したBiTe合金を撹拌することができ
る。
【0032】次に、熱電材料製造装置100を用いて熱
電材料を製造する方法を説明する。図4は、熱電材料の
製造工程を示した図である。最初に、BiとTeの粉末
の原料を混合し真空または不活性雰囲気中でガラス製の
容器12に封入する(工程S10)。ガラス製の容器1
2は、破損を防ぐために鉄製の試料管14に封入され
る。試料管14は炉管16内に挿入され、試料管押さえ
18で支持された後、炉管16内に封入される。
【0033】次に、制御器21の制御信号に基づいてヒ
ータ制御器22によりヒータ24及びヒータ26を動作
させ、試料管14を加熱し、原料を加熱溶融させBiT
e合金融液を形成する(工程S12)。このとき、制御
器21から制御信号を駆動回路30へ送出し、駆動回路
30によってモータ34を駆動し、駆動ベルト32を回
転させ、炉管16を回転させることもできる。炉管16
を回転させることで、BiTe合金融液の組成が均一と
なる。
【0034】次に、炉管16を回転させるとともにガス
導入口20からArガスを炉管16内に供給し、容器1
2を5〜3000回転/分で回転させBiTe合金融液
を揺動させながらArガスで冷却する(工程S14)。
BiTe合金融液は凝固し熱電材料となる。炉管16の
回転方向、回転数などは、制御器21から送出された制
御信号に基づいて駆動回路30でモータ34を駆動する
ことで変更することができる。このとき、BiTe合金
融液を冷却する際にBiTe合金融液に安定液面が生じ
ないような回転方向を選択することができる。また、B
iTe合金融液の回転数は、その粘性や容器12との摩
擦にもよるが、炉管16に設定した回転数に一致しない
場合が多いので、炉管16の回転数を高く設定しBiT
e合金融液を強く撹拌することもできる。また、容器1
2内には突起物40があるため、BiTe合金融液を強
く撹拌することができる。このように、工程S14で
は、BiTe合金融液に安定液面ができないように冷却
することで、BiTe合金融液の結晶化を均一に進める
ことができる。また、工程S14では、BiTe合金融
液は固体と液体が混じった状態で結晶化されるため、結
晶粒間の間隙が小さくなり、充填率は95%〜100%
となり、結晶粒間の間隙がほぼ無い状態にすることがで
きる。
【0035】製造したBiTe系の熱電材料は、焼結し
てバルク状にして製造した熱電材料の平均結晶粒径と比
較すると平均結晶粒径が小さく、2μmから20μm程
度であると考えられる。したがって、フォノンの平均自
由行程が小さくなり、フォノン熱伝導率ひいては熱伝導
率κが低下する。また、結晶粒間の間隙が小さく、充填
率が95%〜100%で結晶粒間の間隙がほぼ無い状態
となるので、電気伝導率σは大きく保たれる。この結
果、製造したBiTe系の熱電材料は性能指数の高い熱
電材料となる。
【0036】このように、溶融したBiTe合金を安定
液面ができないように揺動させながら冷却するので、熱
伝導率が低く性能指数が高い熱電材料を製造することが
できる。
【0037】本実施形態の熱電材料の製造方法では、炉
管16の回転軸、即ち容器12の回転軸は、架台36に
水平な方向、即ち炉管16に加わる重力の方向に垂直に
なるようしたが、プーリ42を制御して架台36を傾斜
させ、容器12の回転軸を容器12に加わる重力の方向
に垂直な方向から傾けて炉管16を回転させることもで
きる。容器12の回転軸を重力方向に対して傾斜させる
ことで、容器12の回転軸を重力方向にした場合と比較
して容器12内の溶融したBiTe合金の揺動量が大き
くなり安定液面が生じにくくなる。その結果、結晶化が
均一に進むので、熱伝導率が低く性能指数が高い熱電材
料を提供することができる。
【0038】本実施形態の熱電材料の製造方法では、工
程S14における冷却時にヒータ24とヒータ26とを
各々制御しBiTe合金に温度勾配を設けて冷却するこ
ともできる。例えば、図1では、容器12の左側の温度
を高くし、右側の温度を低くすることもできる。このよ
うに、BiTe合金融液に温度勾配を適宜設定すること
により、結晶化に方向性を与えることができ、雰囲気温
度や容器12及びBiTe合金融液の表面状態によらず
結晶化を均一に進めることができる。
【0039】本実施形態の熱電材料製造装置100で
は、容器12はBiTe合金を撹拌する突起物40を内
壁に設けたが、図5に示すように、容器12の中央部に
撹拌翼50を設けてもよい。撹拌翼50は容器12の長
手方向に延在されている。また、図6に示すように、容
器12内にBiTe合金融液より比重が大きくBiTe
合金融液の組成に影響を与えないような材料からなる撹
拌ボール52を入れてもよい。撹拌ボール52は容器1
2の回転に伴いBiTe合金融液とは異なる運動をする
ので、BiTe合金融液をより大きく撹拌することがで
き、安定液面ができにくくなる。なお、撹拌ボール52
の粒径は大きい方が撹拌効果が高くなるが、BiTe合
金融液の凝固の際に撹拌ボール52が内部に残るので、
容器12の直径より十分小さい直径であり、望ましくは
容器12の直径の1/4以下であるものとすることが好
適である。
【0040】本実施形態の熱電材料製造装置100で
は、炉管16は駆動ベルト32で回転させることでBi
Te合金溶液を揺動したが、炉管内に外界からの磁場で
回転する磁石を備えるマグネチックスターラを用いるこ
ともできる。図7は、マグネチックスターラを用いた熱
電材料製造装置200の構成の概略を示す図である。熱
電材料製造装置200は、BiTe合金10を封入する
容器12と、容器12内に設けられ磁石をBiTe合金
と反応しない材料でコーティングした撹拌子70と、容
器12を内部に納めた炉室17と、炉室17を同心円状
に取り囲み炉室17の図面に上側を加熱する温度調整可
能なヒータ72と、炉室17の図面に向かい下側を加熱
するヒータ74と、炉室17のヒータ72及びヒータ7
4を封入する筐体28と、回転磁場を発生させる磁石
(図示せず)を内部に有する架台36と、容器12に埋
め込まれ容器12の温度を測温するシース熱電対50及
び52とを備える。熱電材料製造装置200では、架台
36の磁石より発生する回転磁場によって撹拌子70が
回転することで、BiTe合金融液10を揺動させるこ
とができる。マグネチックスターラの他に、BiTe合
金が封入された容器の周囲にコイルを設定し高周波を印
加し融液に誘導電流を生じさせる高周波誘導加熱炉を用
いることもできる。高周波誘導加熱炉では、誘導電流に
よってBiTe合金融液を加熱するとともに、誘導電流
が受けるローレンツ力によりBiTe合金融液を撹拌す
ることができる。
【0041】各実施形態の熱電材料は、BiとTeを原
料としたが、それ以外に、Sb、Ag、Pb、Ge、C
u、Sn、As、Se、Fe、Mn、Co、Siから選
択される元素を少なくとも2種以上を含むものとするこ
ともできる。特にBi、Sb、Ag、Pb、Ge、C
u、Sn、Asの少なくとも1種とSe又はTeとの組
み合わせのカルコゲナイト系原料や、Fe、Mn、C
o、Geのいずれか1種とSiとの組み合わせのシリサ
イド系原料や、BiSb系材料が好適である。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の熱電材料
の製造方法及び熱電材料の製造装置では、原料を揺動す
るとともに冷却するので、製造される熱電材料は安定液
面がない状態で凝固し結晶成長が抑えられる。そのた
め、焼結してバルク状にする方法と比較して製造される
熱電材料の平均結晶粒径が小さくなるためフォノンの平
均自由行程が小さくなり、フォノン熱伝導率、ひいては
熱伝導率κが小さくなる。また、結晶粒間の間隙が小さ
くなるため電気伝導率σは大きく保たれる。この結果、
性能指数の高い熱電材料を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態の熱電材料製造装置100の構成
を示した概略図である。
【図2】 容器12の平面図である。
【図3】 図2におけるAA線での断面図である。
【図4】 本実施形態の熱電材料の製造工程を示した図
である。
【図5】 撹拌翼50が設けられた容器12の断面図で
ある。
【図6】 撹拌ボール52が設けられた容器12の断面
図である。
【図7】 マグネチックスターラを用いた熱電材料製造
装置200の構成の概略を示した図である。
【符号の説明】
10 熱電材料、12 容器、14 試料管、16 炉
管、17 炉室、21制御器、22 ヒータ制御器、3
0,31 駆動回路、 24,26 ヒータ、32 駆
動ベルト、40 突起物、42 プーリ、100,20
0 熱電材料製造装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 和彦 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 磯田 幸宏 茨城県つくば市千現1−2−1 科学技術 庁 金属材料技術研究所内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 容器に封入された溶融状態の原料を冷却
    して熱電材料を製造する熱電材料の製造方法であって、 前記原料を揺動するとともに該原料を冷却する揺動冷却
    工程を備えることを特徴とする熱電材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記揺動冷却工程は、前記容器内の前記
    原料に温度勾配を設けた状態で該原料を揺動するととも
    に該原料を冷却する工程であることを特徴とする請求項
    1に記載の熱電材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の熱電材料の製造
    方法であって、 前記容器内部に撹拌子が設けられており、 前記揺動冷却工程は、前記撹拌子で前記原料を撹拌する
    ことにより該原料を揺動するとともに該原料を冷却する
    工程であることを特徴とする熱電材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記揺動冷却工程は、前記容器を回転さ
    せることにより前記原料を揺動するとともに該原料を冷
    却する工程であることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れかに記載の熱電材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記揺動冷却工程は、前記容器を5〜3
    000回転/分の回転数で回転させることにより前記原
    料を揺動するとともに該原料を冷却する工程であること
    を特徴とする請求項4に記載の熱電材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記揺動冷却工程は、前記容器の回転方
    向を変えながら前記原料を揺動するとともに該原料を冷
    却する工程であることを特徴とする請求項4に記載の熱
    電材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記揺動冷却工程は、前記容器の回転と
    停止とを繰り返しながら前記原料を揺動するとともに該
    原料を冷却する工程であることを特徴とする請求項4に
    記載の熱電材料の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記揺動冷却工程は、前記容器の回転軸
    を重力方向に対して傾斜させ前記容器を回転させること
    により前記原料を揺動するとともに該原料を冷却する工
    程であることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記
    載の熱電材料の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記揺動冷却工程は、前記容器の回転軸
    を重力方向に対して垂直にして該容器を回転させること
    により前記原料を揺動するとともに該原料を冷却する工
    程であることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記
    載の熱電材料の製造方法。
  10. 【請求項10】 Bi、Sb、Ag、Pb、Ge、C
    u、Sn、As、Se、Te、Fe、Mn、Co、Si
    から選択される少なくとも2種以上の元素を含む原料か
    ら製造される熱電材料であって、 平均結晶粒径が2μm〜20μmであり、充填率が95
    %〜100%の溶製材であることを特徴とする熱電材
    料。
  11. 【請求項11】 溶融状態の原料を冷却して熱電材料を
    製造する熱電材料製造装置であって、 溶融状態の原料を封入する容器と、 該容器内の前記原料を揺動するとともに該原料を冷却す
    る揺動冷却手段と、を備えることを特徴とする熱電材料
    製造装置。
  12. 【請求項12】 前記容器内の原料に温度勾配を設定す
    る温度勾配設定手段を有することを特徴とする請求項1
    1に記載の熱電材料製造装置。
  13. 【請求項13】 前記容器の内部に前記原料を撹拌する
    撹拌子が設けられていることを特徴とする請求項11又
    は12に記載の熱電材料製造装置。
  14. 【請求項14】 前記揺動冷却手段は、前記容器を回転
    させ前記原料を揺動するとともに該原料を冷却する手段
    であることを特徴とする請求項11〜13のいずれかに
    記載の熱電材料製造装置。
  15. 【請求項15】 前記揺動冷却手段は、前記容器の回転
    方向を制御する回転方向制御手段を有することを特徴と
    する請求項14に記載の熱電材料製造装置。
  16. 【請求項16】 前記揺動冷却手段は、前記容器の回転
    軸を前記容器に重力方向に対して傾斜させる回転軸傾斜
    手段を有することを特徴とする請求項14又は15に記
    載の熱電材料製造装置。
  17. 【請求項17】 前記揺動冷却手段は、前記容器を重力
    方向に垂直な回転軸で回転させる手段であることを特徴
    とする請求項14又は15に記載の熱電材料製造装置。
  18. 【請求項18】 前記揺動冷却手段は、マグネチックス
    ターラであることを特徴とする請求項13に記載の熱電
    材料製造装置。
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