JP2002023107A - 画像表示素子及び画像表示装置 - Google Patents

画像表示素子及び画像表示装置

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JP2002023107A
JP2002023107A JP2000204328A JP2000204328A JP2002023107A JP 2002023107 A JP2002023107 A JP 2002023107A JP 2000204328 A JP2000204328 A JP 2000204328A JP 2000204328 A JP2000204328 A JP 2000204328A JP 2002023107 A JP2002023107 A JP 2002023107A
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  • Projection Apparatus (AREA)
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  • Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 照明光の光利用効率を高くし、装置の小型
化、低コスト化を可能とし、また、表示画像の均一性、
高コントラスト性を実現する。 【解決手段】 屈折率の入射偏光方位依存性が互いに異
なる2つの領域を順次積層した構造を有し照明光を回折
させる偏光選択性ホログラム光学素子3と、偏光選択性
ホログラム光学素子3により回折された照明光の偏光状
態を変調する反射型空間光変調素子10とを備える。さ
らに、光源、照明光学系及び投射光学系を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、反射型空間光変調
素子を用いた画像表示素子及び画像表示装置に関し、特
に、装置の軽量化、製造の低コスト化、表示画像の高コ
ントラス化を図ることに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、以下に述べるように、種々の画像
表示素子及びこれら画像表示素子を用いて構成された画
像表示装置が提案されている。
【0003】〔1〕空間光変調素子 空間光変調素子(Spatial Light Modulator:SLM)
は、映像信号が入力され、その信号に応じた画像データ
に基づいて、各画素毎に入射光を変調するように構成さ
れたデバイスである。空間光変調素子を透過する光を変
調する透過型と、空間光変調素子において反射される光
を変調する反射型とがある。
【0004】反射型空間光変調素子は、液晶、デジタル
マイクロミラー等を使用して構成されている。特に、液
晶を使用して構成したものは、液晶型空間光変調素子と
称される。
【0005】液晶には、旋光(偏光導波)モード型、複
屈折モード型、光散乱モード型、光吸収モード型等があ
る。一般的に使用される液晶としては、旋光(偏光導
波)モード型のツイステッドネマティック(TN)動作
モードを使用するTN液晶、複屈折動作モード型のスー
パーツイステッドネマティック(STN)動作モードを
使用するSTN液晶、及び、強誘電性液晶(FLC)動
作モードを使用するFLC型の液晶等がある。
【0006】これら偏光状態を変調する反射型空間光変
調素子には、強誘電性液晶空間光変調素子の他、TN液
晶を用いた垂直配向液晶空間光変調素子、反強誘電性液
晶空間光変調素子、TN液晶を用いた複屈折モードの空
間光変調素子などがある。
【0007】〔2〕反射型FLC空間光変調子 偏光状態を変調する反射型空間光変調素子のうち、反射
型FLC空間光変調子について構造と動作原理を説明す
る。
【0008】反射型FLC空間光変調素子は、図23に
示すように、一対の電極部とその間に挿入された液晶材
料105とを有して構成されている。図中上側の電極部
は、ガラス基板101Aと、その内側(下側)の透明電
極102Aと、その内側(下側)の配向膜103Aとを
有している。図中下側の電極部は、シリコン基板101
Bと、その内側(上側)のアルミ電極102Bと、その
内側(上側)の配向膜103Bとを有している。アルミ
電極102Bは、反射膜としても機能する。上側の電極
部のガラス基板101Aの外側(上側)には、偏光子1
04が配置されている。
【0009】図23中の(A)は、透明電極102A及
びアルミ電極102Bに第1の方向の電圧が印加された
第1の電圧方向状態を示し、図23中の(B)は、透明
電極102A及びアルミ電極102Bに第1の方向とは
反対方向の第2の方向の電圧が印加された第2の電圧方
向状態を示している。
【0010】また、液晶材料105は、図23中の
(C)に示すように、第1の電圧方向状態では、入射偏
光に対して複屈折効果を示さないが、第2の電圧方向状
態では、入射偏光に対して複屈折効果を示す。
【0011】偏光子104を介して入射した偏光107
Aは、図23中の(A)に示す第1の電圧方向状態で
は、液晶材料105が複屈折効果を示さないことから、
この液晶材料105を透過し、偏波状態を変えることな
く、アルミ電極(反射膜)102Bに到達する。そし
て、アルミ電極(反射膜)102Bにおいて反射された
偏光107Bは、再び液晶材料105を透過し、偏波状
態を変えることなく、偏光子104に到達する。すなわ
ち、入射光の偏波状態と同一の偏波状態の光が偏光子1
04に戻ってくることとなる。したがって、アルミ電極
(反射膜)102Bにおいて反射された反射光が、偏光
子104を介して、出射光として得られることとなる。
【0012】一方、図23(B)に示す第2の電圧方向
状態では、偏光子104を介して入射した偏光107A
は、液晶材料105を透過することによって複屈折効果
を受け、直線偏光だったものが円偏光に変化する。円偏
光107Bは、アルミ電極(反射膜)102Bにおいて
反射され、この反射によって偏光の回転方向を反対方向
となされる。回転方向が反対となった円偏光107B
は、再び液晶材料105を透過することによって複屈折
効果を受け、直線偏光となる。このときの直線偏光は、
偏光子104の偏光方向と直交しており、したがって、
偏光子104を通過しない。
【0013】すなわち、この反射型FLC空間光変調素
子においては、第1の電圧方向状態の部分において「白
表示」となり、第2の電圧方向状態の部分において「黒
表示」となる。
【0014】〔3〕反射型空間光変調素子を用いた投射
型画像表示装置 一般的な反射型空間光変調素子、例えば、反射型TN液
晶パネルを有して構成された投射型の画像表示装置にお
いては、図24に示すように、ランプ光源201より射
出した照明光は、光束断面形状の補正、強度の均一化、
発散角制御などの機能を有する照明光学系202に入射
する。この照明光学系202には、図示しないP−S偏
光変換器を設けてもよい。このP−S偏光変換器は、無
偏光状態の照明光を、P偏光、または、S偏光のどちら
か一方の偏光に、50%以上の効率で揃える機能を有す
る光学ブロックである。
【0015】ここに示した例では、照明光学系202を
通過した照明光は、紙面に垂直な方向に電気ベクトルが
振動する偏光状態、つまり、赤色光を反射するダイクロ
イックミラー203の反射面に対してS偏光となってい
る。すなわち、照明光学系202から射出された照明光
は、赤色光を反射するダイクロイックミラー203によ
り、赤色成分のみが進行方向を90°偏向され、続いて
この赤色光は、ミラー204で反射されて、赤色光用の
偏光ビームスブリッター(以下、「PBS」という。)
210に入射する。
【0016】PBS210に入射した赤色光は、このP
BS210の誘電体膜210aにてS偏向成分のみが反
射され、入射偏光として、赤色光用の反射型TN液晶パ
ネル213に入射する。この赤色光用の反射型TN液晶
パネル213にて、偏光状態を変調されて反射された照
明光は、再びPBS210の誘電体膜210aに入射
し、ここでP偏光のみが透過するよう検波されて、偏光
変調が輝度変調に変換される。輝度変調に変換された照
明光は、クロスダイクロイックブリズム209に入射す
る。
【0017】一方、赤色光を反射するダイクロイックミ
ラー203を透過した照明光は、続いて配置された緑色
光を反射するダイクロイックミラー205に入射する。
このダイクロイックミラー205では、緑色光のみが反
射され、残りの青色光成分は、透過する。分離された緑
色光及び青色光は、それぞれ前述の赤色光の場合と同様
に、PBS211、212により、S偏光のみが反射さ
れて、緑色光用の反射型TN液晶パネル214、青色光
用の反射型TN液晶パネル215にそれぞれ入射する。
【0018】緑色光用の反射型TN液晶パネル214、
青色光用の反射型TN液晶パネル215にて偏光状態を
変調されて反射された照明光は、再びPBS211、2
12の誘電体膜211a、212aに入射し、ここでP
偏光のみが透過するよう検波されて、偏光変調が輝度変
調に変換される。輝度変調に変換された射出光束は、ク
ロスダイクロイックプリズム9に入射する。
【0019】この画像表示装置においては、表示画像に
応じて、各色光用の反射型TN液晶パネル213,21
4,215においてそれぞれ変調された赤色光、緑色光
及び青色光は、クロスダイクロイックプリズム209に
おいて合成されて、投射光学系208に入射し、スクリ
ーン216上に結像される。
【0020】〔4〕反射型空間光変調素子用照明装置 反射型空間光変調素子用の照明装置として、図25及び
図26に示すように、特開平9−189809号公報に
記載された照明装置がある。この照明装置においては、
図示しない照明光源より放射された読み出し光が、図2
5に示すように、カップリングプリズム305、ガラス
基板304を経て、ホログラムカラーフィルター303
r,303g,303bに入射する。
【0021】ここで、303r,303g,303b
は、それぞれ赤色用、緑色用、青色用の体積ホログラム
レンズであり、予めレーザー露光により干渉縞が焼き付
けられた略々1画素大の面積を有する各色光用微小レン
ズが積層された構造となっている。1画素大とは、R
(赤色)、G(緑色)、B(青色)の各1画素の計3画
素が組になったものである。これらホログラムカラーフ
ィルター303r,303g,303bは、読み出し光
のスペクトルの赤色光、緑色光、青色光を、反射型液晶
パネルのカバーガラス302、共通電極318、配向膜
317、液晶層316,配向膜315及び誘電体ミラー
膜314を通して、画素電極層313上のそれぞれ対応
する色画素電極313r,313g,313bに集光さ
せる。
【0022】そして、このホログラムカラーフィルタ3
03r,303g,303bは、入射光の偏光特性に関
する依存性を有している。すなわち、ホログラムカラー
フィルタ303r,303g,303bヘの入射光のう
ち、S偏光が主に回折され、P偏光の回折効率はS偏光
よりも低くなっている。これは、「coupled-wavetheor
y」の厳密解により、例えば、反射型の厚いホログラム
の場合には、ホログラムの厚さtとホログラム内の干渉
縞のピッチΛとにより決まる値(t/Λ)が1乃至5の
場合、図26に示すように、TE(S偏光)、TM(P
偏光)の回折効率には差異が生じ、S偏光はP偏光に比
べて最大45%程度大きくなるためである(参考論文:
M.G.Moharam and T.K.Gayload: Rigourous coupled
-wave analysis of planar grationgdiffraction,J.0
pt.Soc.Am.71,811-818(1977)、M.G.Moharam an
d T.K.Gayload: Rigourous coupled-wave analysis o
f grationg diffractlon E-mode polarization and los
sws,J.0pt.Soc.Am.73,451-455(1983))。
【0023】ホログラムカラーフィルター303r,3
03g,303bに対して斜めに入射した読み出し光の
うちのS偏光成分の光が主に回折されて液晶層316に
垂直に入射し、この照明光のうち偏光方向が90°変調
されて反射された光(P偏光成分)は、上述した現象に
より、回折効果が低いためにほとんど回折作用を受けず
に、ホログラムカラーフィルター303r,303g,
303bから垂直に射出する。
【0024】そして、誘電体ミラー膜314により反射
された照明光は、図示しない投射レンズに入射され、こ
の投射レンズによって、スクリーン上に画像を結像す
る。
【0025】〔5〕偏光選択性ホログラム光学素子 偏光選択性ホログラム光学素子を実現する手法はいくつ
かある。例えば、USP5,161,039において公
開されているように、光硬化性樹脂、または、熱硬化性
樹脂と液晶材料とを混合した混合材料を、ガラスプレー
トの間に挟み込んで封止して構成したホログラム光学素
子がある。
【0026】これは、次のような手順により作製され
る。まず、上述の混合材料を封入したパネル上におい
て、レーザー光を干渉させる。これによって発生する干
渉縞は、明部にはフォトンが多く存在し、暗部にはフォ
トンが少ないことによって形成されている。フォトンの
エネルギーが高いところ、すなわち干渉縞の明部におい
ては、光エネルギー、または、熱エネルギーにより、樹
脂が硬化し凝集する。この結果として、干渉縞の暗部に
は液晶材料が残存した状態で、樹脂層と液晶層との2つ
の領域が形成される。
【0027】このようにして構成された偏光選択性ホロ
グラム光学素子の動作原理について、以下に説明する。
上述のようにして形成した2つの領域のうち、樹脂層は
光学的に等方であるが、液晶層は、異方性、すなわち複
屈折性を有している。また、樹脂層の屈折率n1と液晶
層の常光線屈折率noは、おおよそ等しくなっている。
このため、このホログラム光学素子に入射する光のなか
で、偏光方向が液晶層の常光線にあたる光線にとって
は、樹脂層と液晶層との間の屈折率差が極わずかとな
り、回折現象はほとんど現れない。一方、偏光方向が液
晶層の常光線に直交する方向の偏光成分については、樹
脂層の屈折率n1と液晶層の異常光線屈折率neとが異
なるため、周期的な屈折率変調が与えられ、回折効果が
生ずる。
【0028】また、近年は、光重合を起こすモノマーと
液晶分子とを混合し、ホログラフィックな手法によって
干渉縞を形成するホログラフィック高分子分散液晶(ho
lographically-formed polymer dispersed liquid crys
tals、以下「「H−PDLC」という。)の研究も盛ん
である。
【0029】これは、1980年半ばに発見された光誘
起相分離「PDLC」から派生した技術である(参考論
文:Crawford G.P.and Zumer S.,in Liquid Crystals i
n Complex Geometries, Ulor and Francis, London(1
996))。この「「H−PDLC」について、作製手
法と動作原理について以下に説明する。
【0030】まず、液晶分子、モノマー(プレポリマ
ー)、増感色素、反応開始剤などを混合した材料を、ガ
ラスプレートの間に挟み込んで封止する。これを、レー
ザー光により形成した干渉縞にさらす。すると、干渉縞
の明部においては、モノマーが光重合を開始してポリマ
ー化する。このため、干渉縞の明部と暗部とにおいて、
モノマーの濃度分布が発生し、暗部から明部へのモノマ
ーの移動が起こる。結果的に、ポリマー濃度に富んだ明
部と、液晶分子が豊富な暗部という相分離による周期構
造ができる。次の段階としては、液晶分子がポリマー相
に直交するように配列する。この現象のメカニズムは現
在のところ解明されていないが、様々な関連の研究がお
こなわれている(例えば、「C.C.Bowley,A.K.Font
ecchio,and G.P.Crawford,Proc.SID XXX, 958(19
99)」)。
【0031】この後、紫外線照射を行わい、定着プロセ
スを行う。以上のようにして作成されたホログラム光学
素子は、前述のUSP5,161,039にて開示され
ているホログラム光学素子と同様に、ポリマー層の屈折
率と液晶層の常光線屈折率とがほぼ等しく、ポリマー層
の屈折率と液晶層の異常光線屈折率とが異なるため、偏
光選択性ホログラム光学素子として機能する。
【0032】〔6〕ホログラム光学素子の応用技術 次に、ホログラム光学素子の従来の応用例について述べ
る。応用例としては、光スイッチ、画像表示装置用反射
板、投射型画像表示装置用偏光変換器などがある。以
下、これらについて説明する。
【0033】〔6−1〕光スイッチ 光スイッチとしてのホログラム光学素子の応用例を、図
27を参照して説明する。このホログラム光学素子は、
例えば、特開平5−173196号公報に記載されてい
るように、図27中の(a)に示すように、高分子材料
425からなる領域と正のネマティック液晶材料(屈折
率楕円体の長軸が液晶分子の長軸と一致しているネマテ
ィック液晶材料)424からなる領域とが交互に積層さ
れた状態の周期構造を持つホログラム層を、透明電極4
22,423を有するガラスプレートによって挟み込ん
だ構造となっている。
【0034】このホログラム光学素子は、図27中の
(a)に示すように、透明電極に電圧をかけない場合に
は、ネマティック液晶材料(液晶分子)424は、高分
子材料425に対して垂直となるよう配向しているた
め、前述のように、ネマティック液晶材料424に対し
て異常光線となるような偏光方位の入射光については、
周期的な屈折率変動により回折効果が得られる。
【0035】一方、図27中の(b)に示すように、透
明電極422,423間に電圧を印可し、ネマティック
液晶材料(液晶分子)424の長軸を高分子材料425
に対して平行とさせた場合には、上述の図27中の
(a)においてネマティック液晶材料424に対して異
常光線となっていた偏光方位の入射光は、該ネマティッ
ク液晶材料424に対して常光線となり、高分子材料4
25との間に屈折率差は生じないので、回折現象は発生
しない。
【0036】このホログラム光学素子は、このような原
理により、印可電圧を制御することにより、光スイッチ
として機能させることができる。
【0037】〔6−2〕画像表示装置用反射板 また、ホログラム光学素子の画像表示装置用反射板とし
ての応用例としては、例えば、特開平9−138396
号公報に記載されているように、図28に示すように、
外界から直視用反射型液晶パネル502に入射する光線
504を、ホログラム反射板503により正反射方向と
は異なる方位506に反射させることにより、観察者の
瞳507に直視用反射型液晶パネル502の表面反射光
505を入射させることを防止して、コントラストの良
好な画像表示を行おうとするものである。なお、この場
合のホログラムは、偏光性ホログラムである必要はな
い。
【0038】〔6−3〕投射型画像表示装置用偏光変換
器 ホログラム光学素子の投射型画像表示装置用偏光変換器
への応用例においては、例えば、特開平8−23414
3号公報に記載されているように、図29に示すよう
に、光源610から放射される照明光は、アルミ蒸着な
どが施された反射板612により一方向に略平行光束と
して射出される。そして、照明光は、デイフューザ61
5を通過して拡散された後、レンチキュラーアレイ61
6に入射される。これは、LCD(液晶ディスプレイ)
614に照射される照明光の輝度むらを低減し、かつ、
レンチキュラーアレイ616の矩形変換機能などによ
り、照明効率をあげるためである。
【0039】そして、照明光は、透過型偏光選択性ホロ
グラム光学素子618に入射する。ここで、上述のよう
な偏光選択性ホログラム光学素子618の機能により、
P偏光、S偏光の各成分を射出角度により分離する。次
に、照明光は、パターン化された1/2波長板アレイ6
20に入射する。照明光は、この1/2波長板アレイ6
20において、P偏光成分、S偏光成分のうち、LCD
614の入射偏光方位に対して直交している偏光方位成
分が、この1/2波長板アレイ620のパターン化され
た1/2波長板部分を通過し、偏光方位を90°変換さ
れる。
【0040】このホログラム光学素子は、このようにし
て、光源610より放射される照明光の利用効率を向上
させようとするものである。
【0041】
【発明が解決しようとする課題】上述したような画像表
示素子及び画像表示装置について、本発明が解決しよう
とする課題を以下に示す。
【0042】(1)まず、図24に示した反射型空間光
変調素子を用いた投射型の画像表示装置のように、反射
型空間光変調素子を照明するために偏光ビームスブリツ
タ(以下「PBS」という。)を用いた場合には、この
PBSは、少なくとも反射型空間光変調素子の画像表示
部の長辺よりも大きな長さの辺を有する立方体形状とな
るため、反射型空間光変調素子と投射光学系との距離、
すなわち、投射光学系のバックフォーカスを短くするこ
とができない。投射光学系は、バックフォーカスが長く
なると、Fナンバーを小さくすること、すなわち、明る
いレンズとすることが困難となる。したがって、この画
像表示装置においては、光源から発せられる照明光の利
用効率が低い。
【0043】また、この画像表示装置においては、PB
Sを使用していることにより、装置構成の小型化が困難
であり、また、このPBSがガラス製であるために、装
置の軽量化が困難である。さらに、このPBSは、複屈
折及び熱歪みの少ない良質なガラス材により作製しなけ
ればならず、また、P偏光とS偏光との分離のために誘
電体多層膜を用いているため、高価な部品であり、画像
表示装置全体の製造コストの低廉化を困難としている。
また、このPBSは、偏光分離特性の入射波長依存性及
び入射角度依存性が大きいため、このPBSを用いて構
成された画像表示装置においては、高コントラスト、高
均一性、高色再現性を有する画像の表示を行うことが困
難である。
【0044】(2)上述した課題を解決する一つの手段
としては、図25に示したような、PBSを使用しない
反射型空間光変調素子用照明装置が提案されている。し
かしながら、この図25に示す画像表示装置において
は、以下に示すような問題がある。すなわち、反射型空
間光変調素子のウィンドウ面(入射出射面)側に設けら
れたホログラム光学素子303が、偏光選択性ホログラ
ム光学素子ではなく、偏光依存性ホログラム素子である
ため、光利用効率が低い。
【0045】これは、このホログラム光学素子が、屈折
率変動の周期構造を構成する層に複屈折性を有する層を
有していないために、P偏光、S偏光のうちどちらかの
回折効率を0とすることが不可能であることによる。
【0046】また、この画像表示装置においては、画像
表示のための照明光として使われるべきP偏光の回折効
率をなるべく低く抑え、回折によって再び照明光源の方
向に戻らないようにするために、ホログラム光学素子に
より回折されるS偏光照明光を反射型空間光変調素子に
対して垂直方向から傾きをもって入射させ、P偏光に変
換された反射光のホログラム光学素子への再入射角度を
1回目の入射角度と異なる入射角度とすることにより、
回折条件に合致しない状態とする手法が提案されてい
る。
【0047】ところが、この場合、反射型空間光変調素
子からの反射光が垂直方向に対して傾いて射出されてテ
レセントリック性が崩れるため、通常の共軸投射光学系
においては、効率の低下を防止するため、光学系のイメ
ージサークルを大きくする必要が生じる。投射光学系の
イメージサークルを大きくすることは、装置の大型化、
高コスト化を招来することとなる。また、通常の反射型
空間光変調素子においては、光線入射角度が垂直方向か
らずれると、コントラストが劣化する場合が多いので、
この画像表示装置においては、高コントラストの画像表
示が行えないこととなる。
【0048】そして、これらの問題以前に、この画像表
示装置においては、P偏光成分を回折条件に合致しない
状態とすることは非常に困難であるという問題がある。
すなわち、この画像表示装置においては、ホログラムカ
ラーフィルターのホログラムレンズ中心と、反射型空間
光変調素子の画素電極の中心とを、ホログラムレンズの
大きさの0.5程度ずらすようになっている。この場
合、各ホログラムレンズの主光線の反射型空間光変調素
子の画素電極への入射角θinは、 θin=ArcTan〔r/Lp〕 (∵r:ホログラムレンズの半径) (∵Lp:ホログラムレンズと反射型空間光変調素子の
アルミ画素電極との間の厚さ方向の距離) であり、いまLp=0.7mm(カバーガラス厚を0.
7mmと仮定)、r=10μm(R、G、Bを合わせた
1画素のサイズを20μmと仮定)とすると、θinは、 θin=ArcTan〔r/Lp〕=0.82° となる。これは、ホログラムカラーフィルタに入射する
照明光の広がり角(±10°程度)に比較してわずかで
あり、P偏光とS偏光の角度差が、1.64°(=0.
82×2)と小さい場合、これらを入射角度により分離
することは非常に困難である。
【0049】仮に、ホログラムカラーフィルターの回折
許容角度の範囲が1°乃至2°であるとすると、偏光分
離特性は向上するが、照明光の広がり角±10°のうち
実際に回折され有効に使用できる光量は、非常に少なく
なってしまい、現実的ではない。
【0050】また、ホログラム光学素子の偏光依存性を
利用するためには、S偏光が入射光(すなわち、回折
光)となるように設定する必要があるため、照明光の利
用効率の低下及び表示画像のコントラストの低下を招
く。そして、これら照明光の利用効率の低下や表示画像
のコントラストの低下を抑制するためには、そのための
追加の部材や光学素子が必要となり、装置全体の製造コ
スト増加、重量増加を招く。
【0051】これは、以下の理由による。すなわち、図
30に示すように、ホログラムの厚さを0から次第に厚
くしていく過程において十分な偏光依存性が得られる最
初の状態においは、S偏光に対する回折効率が大とな
り、P偏光に対する回折効率は小となっている。この
後、ホログラムの厚さdを大きくしていくことにより、
逆に、P偏光に対する回折効率が大とし、S偏光に対す
る回折効率をは小とすることも可能である。
【0052】しかしながら、透過型ホログラムの回折効
率の波長依存性、入射角度依存性は、ホログラムの厚さ
が増すとともに高くなる。つまり、ホログラム露光時の
レーザーの所定の波長、所定の入射角からのずれの許容
量(回折効率が確保できる範囲)が小さくなってしま
い、光利用効率が低下してしまうという問題がある。
【0053】図31及び図32は、物体光入射角0°、
参照光入射角60°、ホログラムの平均屈折率1.5
2、ホログラム層の屈折率変調度0.05、ホログラム
層の厚さ5μm、露光波長532nmの条件で作製され
たホログラム光学素子を、再生波長532nmで読み出
した場合の回折効率の入射角度依存性を示したものであ
る。厚さ6μmのもの(図31)と、厚さ18μmのも
の(図32)とについて計算した結果である。なお、こ
こでは、入射偏光は、S偏光を仮定している。以上よ
り、実質上、入射偏光はS偏光とする必要があることが
わかる。
【0054】ところで、屈折率が小さい媒体から屈折率
が大きな媒体に光が進行する場合、その表面反射率に
は、図33に示すように、偏光依存性がある。このよう
な偏光依存性により、空気中で屈折率が1.5であるガ
ラスに、P偏光及びS偏光が入射した場合の表面反射率
は、常に、S偏光の方が大きい。また、入射角が、tan
θ=n(=1.5)を満たす角度、すなわち、ブリュー
スター角(この場合は56.3°)のときには、P偏光
の反射率は0となる。このとき、S偏光の反射率は、1
5%程度となる。
【0055】これは、ホログラム光学素子のガラス基板
に、斜め方向から光線を入射(off-axis入射)させる場
合、P偏光を入射させる方が、光の利用効率がよいこと
を意味する。上述のホログラム光学素子では、S偏光を
入射させなければならないので、図25に示すように、
カップリングプリズム305を用いることで効率の低下
を回避している。しかし、このようなカップリングプリ
ズムを用いることは、部品点数の増加、装置の重量増
加、高コスト化を招来する。また、カップリングプリズ
ムを用いても、表面反射率を0とすることはできない。
したがって、迷光の発生や、表示画像のコントラストの
劣化を確実に防止することはできない。
【0056】さらに、カップリングプリズムを用いる
と、照明手段からホログラム層への光線の入射画角は、
照明手段から射出される光線画角そのものとなる。照明
手段から射出される光線画角は、典型的なプロジェクタ
ー光学系の場合には、±10°程度となっており、この
範囲内でホログラム光学素子の回折効率を高い値で均一
に維持することは容易ではない。
【0057】また、次式に示すラグランジュ−ヘルムホ
ルツの不変量にて示されるように、ランプ光源からの照
明光をある面積の画像表示素子に照射しようとして集光
すると、その入射角度(u′)は、画像表示素子の大き
さ(y′)に反比例して小さくなる。
【0058】ynu=y′n′u′(ラグランジュ−ヘ
ルムホルツの不変量) (∵y:光軸からの像高) (∵n:媒質の屈折率) (∵u:光線の傾角) 上式は、積(ynu)なる値が、光学系のどの面におい
ても、不変であることを示している。つまり、左辺の積
ynuが有限の値をとる限り、画像表示素子を小型化す
ると、画像表示素子への入射角はさらに大きくなってし
まう。これは、高効率のホログラム光学素子を実現する
うえで一層不利な要因となる。図31に示したように、
回折効率は、そのピーク値を与える入射角度から+10
°ずれると25%に、−10°ずれるとほぼ0%に低下
してしまうことがわかる。
【0059】また、上述の画像表示装置においては、ホ
ログラム光学素子を常にカラーフィルタとして用いてい
る。そのため、この画像表示装置においては、ホログラ
ム光学素子に略々画素の面積に等しい大きさの微小レン
ズを作成し、これら微小レンズを液晶表示素子の各画素
に対して正確に位置合わせをする工程が必要であり、製
造の困難性及びコスト増が招来されることとなってい
る。
【0060】さらに、上述の画像表示装置においては、
いわゆる「フィールドシーケンシャルカラー手法」及び
色光別に反射型画像表示素子を複数用いる装置構成に対
応することができない。
【0061】また、上述のホログラムカラーフィルター
を用いた画像表示装置においては、入射光について各色
光ごとに分光及び集光をしなくてはならないため、表示
画像の色再現性や高精細化と、照明光の利用効率とは、
トレードオフの関係になる。
【0062】この関係について以下に説明する。図34
に示すように、ホログラムカラーフィルター700と反
射型空間光変調素子701の画素電極702との間の距
離をLp、1色画素電極のサイズを2rとし、該1つの
色画素上に照明光が収束するためのホログラムレンズか
らの主光線の射出角許容値Δθiを求めてみる。
【0063】Δθi=ArcTan〔r/Lp〕 Lp=0.7mm,r=±5μmとすると、Δθi=±
0.4°となる。
【0064】ここで、ホログラムの干渉縞による入射角
θcと回折射出角θiは、次に示す等式により関係づけ
られる。 (Sin{θs}−Sin{θr})/λ=(Sin{θi}−Si
n{θc})/λc (∵θs:ホログラム製造時の物体光入射角) (∵θr:ホログラム製造時の参照光入射角) (∵λ :ホログラム製造波長) (∵λc:再生波長) これより、いまθs=0°、θr=60°、λ=550
nm、λc=550nm、θi=±0.4°とすると、
θc=60±0.8°となり、照明光束のホログラムカ
ラーフィルターヘの入射角度許容範囲は非常に狭いこと
がわかる。また、θs=0°、θr=60°、λ=55
0nm、θc=60°、θi=±0.4°とすると、△
λc=550±4.5nmとなり、照明光のホログラム
カラーフィルターヘの入射波長許容範囲は非常に狭いこ
とがわかる。
【0065】以上のことから、ホログラムカラーフィル
ターに入射される照明光は、高い平行度と狭い波長帯域
が要求されることになり、通常のランプ光源を使用する
場合には、発光部が有限(1mm程度)の大きさを有す
ること及び発光波長帯域がブロードであることの2点よ
り、光利用効率が著しく低下することとなる。逆に、光
利用効率を向上させようとすると、画素サイズを大きく
するか、隣接する色画素への漏れ光を許容するといった
手段しかなく、前者においては表示画像の精細度、後者
については色純度、色再現性が、それぞれ低下すること
になる。
【0066】そして、上述の画像表示装置においては、
ホログラム光学素子を反射型として使うことができな
い。これは、図26に示すように、ホログラム光学素子
を反射型で用いて、P偏光とS偏光とで回折効率の差
が、例えば、30%以上となるようにするには、d/Λ
(d:ホログラムの厚さ、Λ:干渉縞のピッチ)が1.
0乃至3.0程度の値となる必要がある(参考論文 M.
G.Moharam andT. K. Gayload: Rigourous coupled-wave
analysis of planar grationg diffraction, J.0Dt. S
oc. Am. 71, 811-818(1977)からの引用)。
【0067】ここで、 Λ=λ/|2Sin〔(θs−θr)/2〕| (∵θs:物体光の入射角) (∵θr:参照光の入射角) であるから、P偏光、S偏光のどちらかが垂直入射の場
合、反射型ホログラムとなるためには、(θs−θr)
の最小値は90°となる。このとき、 |2Sin〔(θs−θr)/2〕| は、最小値1.41をとる。λ=0.5μmとすると、
このときΛは、最大値0.35μmとなり、d/Λ=
1.0乃至3.0を満たすホログラムの厚さdは、最大
でも1μmとなる。これほど薄いホログラム層を作製す
ることは、非常に困難である。
【0068】上述したような従来より提案されている種
々のホログラム光学素子の応用技術において、照明光を
斜めに入射することにより反射型空間光変調素子を高効
率で照明できる応用技術はなかった。
【0069】次に、反射型空間光変調素子を用いた虚像
表示光学系には、USP5,596,451において公
開されているように、図35に示すように、立方体状の
偏光ビームスプリツタ848の構成面付近に反射型空間
光変調素子836、照明光源834、反射鏡842を配
置した構成がある。
【0070】ところが、この光学系においては、図35
において明らかなように、照明光の一部860が偏光ビ
ームスプリッタ848によって、反射型空間光変調素子
836に到達せずに、直接観察者の観察領域846に達
してしまい、この照明光がノイズとして観察者の瞳82
4に入射することにより、反射型空間光変調素子836
が表示する画像情報のコントラストが低下してしまうと
いう本質的な問題がある。
【0071】また、この光学系では、光学系全体が立方
体状の形状となるため、厚さが大きくなる。また、偏光
ビームスプリッタの誘電体膜864の性能を上げれば製
造コストが高くなってしまうし、逆に、該誘電体謨の性
能が低いと、誘電体膜の偏光反射率や透過率の入射角度
依存性、波長依存性により、特に、瞳の移動に伴って画
像の均一性が低下するという問題がある。
【0072】これを改善するために、特開平11−12
5791号公報に記載されている画像表示装置において
は、図36に示すように、反射型空間光変調素子908
及び自由曲面プリズム910を用いて虚像表示光学系を
構成している。
【0073】この画像表示装置においては、図36に示
すように、反射型空間光変調素子908に対して、光源
912からの照明光を直接入射させ、この反射光を自由
曲面プリズム910に第3面905より入射させ、第1
面903での反射、第2面904での反射、第1面90
3の透過を経て、瞳901に到達させて、虚像表示を行
っている。この光学系の問題点としては、反射型空間光
変調素子908に入射する照明光の入射角が大きくなっ
てしまい、反射型空間光変調素子908自体の変調度が
低下し、表示画像のコントラストが劣化するということ
がある。
【0074】また、図37に示すように、自由曲面プリ
ズム910内を通して光源912より放射される照明光
を反射型空間光変調素子908に入射させ、この反射光
を自由曲面プリズム910に第3面905より入射さ
せ、第1面903での反射、第2面904での反射、第
1面903の透過を経て、瞳901に到達させて、虚像
表示を行う光学系の場合には、主に2つの問題がある。
【0075】第1の問題は、反射型空間光変調素子90
8が偏光変調型(位相変調型)の空間光変調素子である
場合、反射型空間光変調素子908に入射される照明光
は、特定の偏光方位を有する直線偏光でなくてはならな
い。ところが、自由曲面プリズム910は、プラスティ
ツク材料にて射出成形で製造されるため、内部に複屈折
を有する。このため、直線偏光光を自由曲面プリズム9
10に入射させても偏光状態が保存されず、表示画像の
コントラストが劣化するという問題が生ずる。これは、
偏光板を反射型空間光変調素子908と自由曲面プリズ
ム910の第3の面(屈折面)905との間に配置する
ことにより、見かけ上回避できるが、このとき、表示モ
ードが「ノーマリーホワイト」となり、やはり表示画像
のコントラストが劣化する要因となる。
【0076】第2の問題は、照明光が接眼光学系である
自由曲面プリズム910に入射されることに伴うもの
で、該照明光が、自由曲面プリズム910内部で、各光
学面903,904,905で内部反射を起こし、迷光
を発生させるということである。この迷光の一部は、観
察者の瞳901に到達するため、やはり表示画像のコン
トラストの劣化の要因となる。
【0077】このように、従来から提案されている種々
の画像表示装置においては、ハーフミラーを用いた照明
光学系においては、装置の小型化が困難であり、また、
照明光の利用効率が低く、偏光ビームスプリッタを用い
た照明光学系においては、装置の小型化が困難であり、
また、表示画像の均一性が低く、製造コストが高く、空
間光変調素子を直接照明する照明光学系及びプラスティ
ック製光学部材を通して照明する照明光学系において
は、表示画像のコントラストの低下という問題がある。
【0078】そこで、本発明は、上述の実情に鑑みて提
案されるものであって、照明光の光利用効率が高く、装
置の小型化、低コスト化が可能であり、また、表示画像
の均一性、高コントラスト性が実現された画像表示素子
及び画像表示装置を提供しようとするものである。
【0079】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
め、本発明に係る画像表示素子は、屈折率の入射偏光方
位依存性が互いに異なる2つの領域を順次積層した構造
を有し照明光を回折させる偏光選択性ホログラム光学素
子と、偏光選択性ホログラム光学素子により回折された
照明光の偏光状態を変調する反射型空間光変調素子とを
備えている。
【0080】そして、この画像表示素子においては、偏
光選択性ホログラム光学素子が、照明光受光面の法線に
対して30°以上90°未満の入射角で照明光を入射さ
れ、照明光のP偏光成分もしくはS偏光成分を回折させ
て反射型空間光変調素子に向けて出射するとともに、こ
の反射型空間光変調素子により位相変調されて再入射す
る照明光のうち、1回目の入射において回折される偏光
成分の偏光方向に直交する偏光方向である偏光成分に対
する回折効率が10%以下であることにより、この偏光
成分を70%以上透過させることを特徴とするものであ
る。
【0081】そして、本発明に係る画像表示装置は、上
述の本発明に係る画像表示素子と、照明光を放射する光
源と、この光源より放射された照明光を画像表示素子の
偏光選択性ホログラム光学素子に入射させる照明光学系
と、画像表示素子の反射型空間光変調素子及び偏光選択
性ホログラム光学素子を経た照明光をスクリーン上に投
射する投射光学系とを備えている。
【0082】この画像表示装置においては、偏光選択性
ホログラム光学素子は、照明光学系により、照明光受光
面の法線に対して30°以上90°未満の入射角で照明
光を入射され、照明光のP偏光成分もしくはS偏光成分
を回折させて反射型空間光変調素子に向けて出射すると
ともに、この反射型空間光変調素子により位相変調され
て再入射する照明光のうち、1回目の入射において回折
される偏光成分の偏光方向に直交する偏光方向である偏
光成分に対する回折効率が10%以下であることによ
り、この偏光成分を70%以上透過させ、投射光学系
は、偏光選択性ホログラム光学素子の透過光をスクリー
ン上に投射することを特徴とするものである。
【0083】また、本発明に係る画像表示装置は、上述
の画像表示装置において、照明光を互いに異なる複数の
波長帯域成分に分離する色分離手段を設け、照明光学系
を、互いに異なる複数の波長帯域成分に分離された照明
光を偏光選択性ホログラム光学素子に入射させるものと
し、反射型空間光変調素子を複数として、偏光選択性ホ
ログラム光学素子により回折された照明光のうちの互い
に異なる複数の波長帯域成分の偏光状態をそれぞれ変調
するものとし、複数の反射型空間光変調素子によりそれ
ぞれ変調された互いに異なる波長帯域の照明光を合成す
る色合成手段を設け、投射光学系を、色合成手段を経た
照明光をスクリーン上に投射するものとしたものであ
る。そして、この画像表示装置は、投射光学系が、偏光
選択性ホログラム光学素子を透過して色合成手段を経た
照明光をスクリーン上に投射することを特徴とするもの
である。
【0084】さらに、本発明に係る画像表示装置は、上
述の画像表示装置において、照明光の互いに異なる第1
及び第2の波長帯域成分の偏光状態を互いに直交する直
線偏光成分として分離させる波長帯域別偏光分離手段を
設け、照明光学系を、第1及び第2の波長帯域成分に分
離された照明光を偏光選択性ホログラム光学素子に入射
させるものとし、第1及び第2の反射型空間光変調素子
を設けてこれらを偏光選択性ホログラム光学素子により
回折された照明光の第1及び第2の波長帯域成分の偏光
状態を対応して変調するものとし、投射光学系を、各反
射型空間光変調素子を経た照明光をスクリーン上に投射
するものとしたものである。そして、この画像表示装置
は、投射光学系が、第1の反射型空間光変調素子及び偏
光選択性ホログラム光学素子を経た第1の波長帯域成分
の照明光と、第2の反射型空間光変調素子及び偏光選択
性ホログラム光学素子を経た第2の波長帯域成分の照明
光とを、スクリーン上に投射することを特徴とするもの
である。
【0085】そして、本発明に係る画像表示装置は、上
述の画像表示装置において、投射光学系に代えて、反射
型空間光変調素子を経た照明光を観察者の瞳に導く虚像
観察光学系を設け、この虚像観察光学系は、偏光選択性
ホログラム光学素子の透過光を観察者の瞳に導くもとし
たことを特徴とするものである。
【0086】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。
【0087】〔1〕偏光選択性ホログラム光学素子を用
いた反射型画像表示素子 本発明に係る画像表示素子として、高分子分散液晶(以
下、「PDLC」という。)を材料とした液晶パネルを
偏光選択性ホログラム光学素子として有している実施の
形態について説明する。
【0088】初めに、図1に示すように、「PDLC」
を使った偏光選択性ホログラム光学素子について、構造
及び製造プロセスについて説明する。なお、製造プロセ
ス中は、素子の温度を60°C程度に保っておくことが
重要である。
【0089】まず、光重合を起こす前の高分子(以下、
プレポリマーという。)、TN液晶、開始剤、色素など
が混合された「PDLC」をガラス基板1、2間に挟み
込む。このとき、TN液晶の重量割合は、全体の30%
程度とする。また、この「PDLC」の層厚(以下、セ
ルギャップという。)は、2μm乃至15μmの範囲
で、偏光選択性ホログラム光学素子の仕様にあわせて最
適値を選ぶ。
【0090】次に、「PDLC」パネル3に干渉縞を記
録するために、図示しないレーザー光源からの物体光4
及び参照光5を「PDLC」パネル3に照射し、干渉に
よる光の強弱Bを発生させる。このとき、干渉縞の明る
いところ、すなわち、光子のエネルギーが大きい場所で
は、そのエネルギーにより、「PDLC」中のプレポリ
マーが光重合を起こしポリマー化する。このため、プレ
ポリマーが周辺部から次々に供給され、結果的にポリマ
ー化したプレポリマーが密な領域と疎な領域とに分かれ
る。プレポリマーが疎な領域では、TN液晶の濃度が高
くなり、こうして、高分子領域6と液晶領域7の2つの
領域が形成される。
【0091】本実施の形態の場合、物体光4と参照光5
とが「PDLC」パネル3に対して同じ面側から照射さ
れているため、これによって製造される偏光選択性ホロ
グラム光学素子は透過型となるが、物体光4と参照光5
とを「PDLC」パネル3に対して互いに異なる面側か
ら照射すれば、反射型の偏光選択性ホログラム光学素子
を製造することができる。
【0092】ところで、前述のようにして製造された
「PDLC」パネル3の高分子領域6は、屈折率に関し
て等方的で(屈折率等方性を有し)、その値は、例え
ば、1.5となされている。一方、「PDLC」パネル
3の液晶領域7においては、TN液晶分子が、長軸を高
分子領域6との境界面に対して略々垂直にして並んでい
る。このため、液晶領域7は、屈折率異方性を有し、屈
折率が入射光方位依存性を有しており、この場合、常光
線となるのは、「PDLC」パネル3の光線入射面8に
入射する再生光5を考えた場合、S偏光成分である。
【0093】そして、この液晶領域7の常光線屈折率n
loを高分子領域6の屈折率npに略々等しく(例えば、
屈折率差が0.01未満と)すれば、入射S偏光成分に
対する屈折率の変調は極めて小さく、回折現象はほとん
ど生じない。一般に、TN液晶の常光線屈折率nloと異
常光線屈折率nleとの差Δnは、0.1乃至0.2程度
であるため、入射方向が等しい再生光5の場合でも、そ
のP偏光成分については、高分子領域6と液晶領域7と
の間に屈折率差が生じていることとなり、この「PDL
C」パネル3は、位相変調型ホログラムとして機能し回
折効果を示す。
【0094】これが、「PDLC」パネルを用いた偏光
選択性ホログラム光学素子(以下、「H−PDLC」パ
ネルという)の動作原理である。
【0095】本実施の形態におけるホログラム光学素子
は、「coupled-wavetheory」により導かれる偏光依存性
を利用したものであり、本質的に偏光選択性ホログラム
光学素子ではない。そのため、実効的には、S偏光回折
効率とP偏光回折効率との差は30%乃至50%程度と
考えられる。例えば、S偏光回折効率が70%、P偏光
回折効率が30%と仮定すると、光利用効率は、表面反
射や吸収による損失を無視した場合でも、49%(=7
0%×70%)となる。参考に、入射角42°、干渉縞
傾角120°の透過型ホログラムの場合の回折効率の偏
光依存性を示したものを図30に示す(参考論文:
「M.G,Moharam and T.K.Gayload: Rigourous coupled
-wave analysis of planar grationg diffraction,J.0
pt.Soc.Am.71,811-818(1977)」)。これより、+
1次のS偏光回折効率とP偏光回折効率との差(図30
中のH(P偏光に相当)とE(S偏光に相当)との差)
は、d/Λ(d:ホログラムの厚さ、Λ:干渉縞のピッ
チ)が5.0のときで、約20%となっている。
【0096】〔2〕画像表示素子の実施の形態(第1乃
至第3の実施の形態) 次に、前述の「H−PDLC」パネルを用いた本発明に
係る反射型画像表示素子の第1の実施の形態について、
図2を参照して説明する。この画像表示装置において
は、図1で説明した「H−PDLC」パネル3に、反射
型空間光変調素子となる反射型FLC液晶パネル10
が、界面11において光学的に密着されて配設されてい
る。
【0097】本発明に係る画像表示素子において、空間
光変調素子は、この空間光変調素子において反射される
光を変調する反射型空間光変調素子であって、入射光の
偏光状態を変調する偏光変調型空間光変調素子であり、
例えば、入射直線偏光の偏光方向を回転して反射するも
のである。
【0098】反射型FLC液晶パネル10の構造、動作
原理は、図23において上述した内容と同一である。本
実施の形態の「H−PDLC」パネル3は、図2に示す
ように、入射角0°の物体光4と、入射角θin-airの参
照光5によって製造されている。このときの干渉縞の傾
き角θintを求める。
【0099】いま、仮定としてガラス基板1の屈折率を
ngla、「PDLC」の平均屈折率も簡単のために同じ
くn glaとすると、下式が成立する。
【0100】 n gla Sin(θin-med)=Sin(θin-air) (∵θin-med :媒質中での入射角) この式において、n gla=1.5、θin-air=60°と
すると、θin-med=35.3°となる。これより、干渉
縞の傾き角θintは、 θint=θin-med/2=17.7° となる。
【0101】次に、この画像表示装置の動作原理を説明
する。まず、P偏光成分とS偏光成分両方を含む再生光
5が入射角θin-airで「H−PDLC」パネル3のガラ
ス基板1より入射する。ガラス基板1で屈折された入射
光は、続いてホログラム層9に、入射角θin-medにて入
射する。
【0102】このとき、この構成のホログラム層9にお
いては、前述したように、P偏光成分は、回折されて、
反射型FLC液晶パネル10に対して略々垂直に入射光
51として入射する。そして、このP偏光成分は、アル
ミ反射面14で反射され、FLC層13を往復すること
により変調され、ホログラム層9に再入射する。このと
き、P偏光成分は、ホログラム層9において再び回折さ
れて射出光53として再生光5の逆方向に戻り、S偏光
成分は、ホログラム層9にて回折されることなく、射出
光52として「H−PDLC」パネル3から垂直に射出
する。
【0103】一方、再生光5のS偏光成分は、「H−P
DLC」パネル3のホログラム層9にて回折されること
なく、そのままθin-medの入射角にて反射型FLC液晶
パネル10に入射する。このとき、S偏光成分は、反射
型FLC液晶パネル10のFLC層13を通過すること
により偏光状態の変調を受けるが、アルミ反射面14で
反射された反射光54は、ホログラム層9が厚いホログ
ラムであるため回折条件に合致せず、S偏光成分はもち
ろんP偏光成分もほとんど回折されることなく「H−P
DLC」パネル3を透過していく。たとえFLC層13
での変調により生じたP偏光成分の一部がホログラム層
9で回折されたとしても、反射光54の射出方向を射出
光52との射出方向に対して十分に異なった方向として
おくか、または、射出光52の光路中に射出光52が主
に有する偏光成分を選択的に透過させる偏光板を設置す
ることにより、これら反射光54と射出光52とを分離
することができる。
【0104】すなわち、本発明に係る画像表示装置にお
いては、偏光選択性ホログラム光学素子は、照明光学系
により、照明光受光面の法線に対して30°以上90°
未満の入射角で照明光が入射され、照明光のP偏光成分
もしくはS偏光成分を回折させて反射型空間光変調素子
に向けて出射するとともに、この反射型空間光変調素子
により位相変調されて再入射する照明光のうち、1回目
の入射において回折される偏光成分の偏光方向に直交す
る偏光方向である偏光成分に対する回折効率が10%以
下であることにより、この偏光成分を70%以上透過さ
せるものである。
【0105】ここで、「厚いホログラム」について説明
する。「厚いホログラム」の定義は、次に示すQ値が1
0以上であることとする(参考図書:辻内順平著「ホロ
グラフィー」(裳華房))。Q値は、以下の式により定
義される。
【0106】Q=2πλt/(nΛ2) (∵λ:再生波長) (∵t:ホログラム層の厚さ) (∵n:ホログラム層の平均屈折率) (∵Λ:干渉縞のピッチ) そして、干渉縞のピッチΛは、以下のようにして決ま
る。
【0107】 Λ=λc/|2Sin{(θs−θr)/2}| (∵λc:製造波長) (∵θs:物体光の入射角) (∵θr:参照光の入射角) 仮に、λc=0.55μm、θs=60°、θr=0
°、λ=0.55μm、t=5μm、n=1.5とする
と、干渉縞のピッチΛ=0.55μm、Q=38.1と
なり、厚いホログラムの定義にあてはまる。
【0108】厚いホログラムは、回折効率が高いが、製
造のときの使用波長、物体光、参照光の入射角などの構
成から、再生光の条件がはずれると回折効率が急激に低
下するという特徴をもつ。つまり、ある再生波長におい
て、回折効率のピークを与える入射角から再生光の入射
角が大きくはずれると、回折効果を現さないということ
になる。そのため、前述のように反射光54は、たとえ
P偏光成分であっても、ホログラム層9にて回折されに
くくなる。
【0109】本発明における偏光選択性ホログラム光学
素子は、高い回折効率を目的として干渉縞のピッチΛを
小さくするために、ベンド角|θs−θr|を30°以
上に設定することを特徴としている。ただし、ベンド角
が大きすぎる(例えば、80°以上である)と、回折効
果を発生する波長帯域及び入射角度範囲が小さくなり、
光利用効率が低下してしまう。
【0110】実際の画像表示においては、図23にて上
述したように、画素ごとに反射型FLC液晶パネル10
のFLC層13が制御され反射光の偏光状態が変調され
るため、主にS偏光成分を有する射出光52により画像
表示が可能となる。
【0111】ここで、「H−PDLC」パネル3への再
生光入射角θin-airとホログラム層9への入射角θin-m
edについて考える。両者の関係は、上述したように、 ngla・Sin(θin-med)=Sin(θin-air) となっている。ここで、両者の変化率を見てみると、例
えば、ngla=1.5として、θin-airが55°から6
5°まで10°変化するとき、θin-medは、33.1°
から37.2°と4.1°の変化にとどまる。θin-air
が65°から75°まで10°変わる場合には、θin-m
edは、37.2°から40.1°と2.9°の変化とな
る。これは、Sin関数の変化率の大きいところを、ある
倍率(この場合、nglaの逆数)をかけることにより変
化率の小さいところに移動することに他ならない。そし
て、このことは、前述のように、「H−PDLC」パネ
ル3の回折効率の再生光入射角依存性による均一性の劣
化及び回折効率の低下を低減することができることを意
味している。
【0112】また、このθin-medのθin-airに対する変
化率は、nglaが大きい程小さくできる。例えば、ngla
=1.73の場合、θin-airが55°から65°まで変
化するとき、θin-medは、28.3°から31.6°と
3.3°の変化にとどまる。ただし、「H−PDLC」
パネル3への再生光入射角θin-airが、あまりに大きく
(例えば、75°以上と)なると、上述の図33のよう
に、S偏光光のみならず、P偏光光の表面反射率も大き
くなっていき、これを反射防止膜などで小さく抑えるこ
とが難しくなってくる。
【0113】そこで、「H−PDLC」パネル3への再
生光入射角θin-airが75°を越えるような場合には、
図3(第2の実施の形態)に示すように、カッブリング
プリズム20を用いることが有効となる。ただし、この
場合には、「H−PDLC」パネル3への再生光入射角
θin-airと、ホログラム層9への再生光入射角θin-med
とが等しくなり、ホログラム層9自体が比較的広い許容
入射角度範囲を持たない場合には、光利用効率が低下し
てしまう。
【0114】本発明に係る反射型画像表示素子は、この
カップリングプリズム20を用いると仮定した場合に、
回折光を略々垂直に反射型空間光変調素子に入射させる
ときに、ベンド角が30°以上となる偏光選択性ホログ
ラム光学素子への入射角、すなわち、30°を最低入射
角として規定している。
【0115】高帯域の再生光に対して高い回折効率を維
持するためには、図4(第3の実施の形態)に示すよう
に、複数の偏光選択性ホログラム光学素子3R、3G、
3Bを積層し、反射型空間光変調素子10を照明する照
明光の波長帯域を複数に分け、それぞれの帯域を1つの
偏光選択性ホログラム光学素子で回折させるようにす
る。
【0116】本実施の形態の場合には、3層構造となっ
ているが、これ以上でも、または、2層構成でもよい。
また、入射角度範囲の大きい再生光に対して高い回折効
率を維持するためには、入射角度の受容範囲の異なる複
数の偏光選択性ホログラム光学素子を積層し、それぞれ
の入射角度範囲を1つの偏光選択性ホログラム光学素予
により主に回折させるようにすればよい。
【0117】〔3〕投射型画像表示装置に関する実施の
形態(第4の実施の形態) 上述したような偏光選択性ホログラム光学素子及び反射
型空間光変調素子を備えた投射型画像表示装置について
の実施の形態について説明する。
【0118】本発明の第4の実施の形態として、図5に
示すように、反射型空間光変調素子として反射型FLC
パネルを用いて、カラー投射型画像表示装置を構成する
ことができる。この画像表示装置においては、照明光源
20より放射される照明光は、光束断面形状の補正、強
度の均一化、発散角制御などの機能を有する照明光学系
21に入射する。照明光学系21は、図示しない偏光変
換手段を有しており、本実施の形態の場合、偏光選択性
ホログラム光学素子3への入射光がP偏光光となるよう
に、照明光のS偏光成分の偏光方位を90°回転させる
ことによりP偏光光に変換して、光利用効率を向上させ
ている。照明光学系21を通過した照明光は、カラーホ
イール22を通過し、補正用偏光選択性ホログラム光学
素子23へ入射する。カラーホイール22は、照明光源
20より放射される白色光を、赤色光、緑色光、青色光
のスペクトル成分に時分割するもので、これにより、単
板の反射型FLCパネル10を用いて、いわゆる「フィ
ールドシーケンシャルカラー手法」により、カラー表示
が可能となる。
【0119】補正用偏光選択性ホログラム光学素子23
へ入射した照明光は、ここで、P偏光成分のみが回折さ
れて射出角約60°で射出される。S偏光成分は、回折
されることなく、補正用偏光選択性ホログラム光学素子
23を直進して透過する。補正用偏光選択性ホログラム
光学素子23において回折されるP偏光成分を主とする
照明光は、続いて、偏光選択性ホログラム光学素子3に
入射する。
【0120】ここで、補正用偏光選択性ホログラム光学
素子23と偏光選択性ホログラム光学素子3とは、同一
の構成のものを用いており、しかも互いに平行に配置さ
れている。そのため、偏光選択性ホログラム光学素子3
への照明光の入射角は、補正用偏光選択性ホログラム光
学素子23からの照明光の射出角に等しい。
【0121】これは、以下のような2つの主要なメリッ
トをもたらす。第1に、波長による回折角のばらつきを
相殺できるという点であり、第2に、波長による回折効
率の入射角度依存性の差異を補正するという点である。
【0122】第1のメリットについて説明する。ホログ
ラムの干渉縞における入射角θcと回折角θiとは、次
に示す等式により関係づけられる。
【0123】(Sin{θs}−Sin{θr})/λ=(Sin
{θi}−Sin{θc})/λc (∵θs:ホログラム製造時の物体光入射角) (∵θr:ホログラム製造時の参照光入射角) (∵λ :ホログラム製造波長) (∵λc:再生波長) すなわち、ある特定の干渉縞を有するホログラムの回折
角は、入射光線の波長に依存することになる。そして、
干渉縞ピッチΛが小さいほどその変化率は大きい。な
お、干渉縞ピッチΛは、下記の式に示す関係を有する。
【0124】Λ=λ/|Sin{θs}−Sin{θr}| 例えば、θs=0°、θr=60°、λ=550nm、
θc=60°とすると、λcが450nmから650n
mまで変化すると、回折角θiは、9°から−9°まで
変化する。これは、波長により反射型空間光変調素子へ
の照明光入射角が異なることを意味する。
【0125】投射型画像表示装置のような実像結像系の
場合、このような照明光入射角の変化による主要な問題
の1つに、光利用効率の低下があげられる。つまり、反
射型空間光変調素子への照明光が拡散してしまい、投射
光学系の集光率が低下してしまうという現象が起こる。
また、虚像表示装置の場合には、観察者の瞳移動に伴い
表示画像の色味が変化してしまうという問題につなが
る。これらの問題は、偏光選択性ホログラム光学素子3
の回折許容スペクトル幅を小さくして、波長帯域別に複
数の偏光選択性ホログラム光学素子3を用意することで
抑制することが可能である。
【0126】ただし、照明光を波長帯域別に限りなく小
さく分割することは現実的ではなく、したがって、完全
に回折角の波長依存性をなくすことは難しい。そこで、
2つの同等の性能を有する偏光選択性ホログラム光学素
子3,23を用いてこれを補正することとしたものであ
る。
【0127】偏光選択性ホログラム光学素子3により回
折されて反射型空間光変調素子10に入射したS偏光の
照明光は、この反射型空間光変調素子10により位相が
変調され、再び偏光選択性ホログラム光学素子3を透過
し、S偏光光のみを選択的に透過する偏光板24を通し
て、投射光学系25に入射する。この投射光学系25に
より、反射型FLCパネル10上に表示される光学像が
スクリーン26上に拡大投影される。
【0128】一方、P偏光成分のうち偏光選択性ホログ
ラム光学素子3にて回折されない残りの往路の照明光
は、そのまま偏光選択性ホログラム光学素子3を透過
し、反射型空間光変調素子10のアルミ反射面14にて
正反射され、再び図5中のCの方向に射出される。この
照明光は、迷光となり、表示画像のコントラスト劣化を
招く恐れがあるため、光吸収手段27にてそのエネルギ
ーが吸収される。
【0129】補正用偏光選択性ホログラム光学素子23
による入射角の補正について、図6を参照して説明す
る。上述の式より、補正用偏光選択性ホログラム光学素
子23における回折光の射出角θi-1は、下記の式で表
される。
【0130】 Sin(θi-1)=λc/λ(Sin{θs}−Sin{θr})+Sin(θc) ここで、θs=θc=0°とすると、 Sin(θi-1)=−λc/λSin(θr) ・・・・式(1) すなわち、再生波長λcが長いほど、θi-1は大きくな
る。いま、再生波長L(例えば赤色),M(例えば緑
色),S(例えば青色)が、L>M>Sの関係を満たす
とき、それぞれの回折射出角θi-1L,θi-1M,θi-1S
は、以下の関係を満たす。 θi-1L>θi-1M>θi-1S 次に、これを補正用偏光選択性ホログラム光学素子23
と平行に配置された偏光選択性ホログラム光学素子3に
適応すると、入射角は、θi-1となるためその射出角θi
-2は、下記の式を満たす。 (Sin{θs}−Sin{θr})/λ =(Sin{θi-2}−Sin{θi-1})/λc ・・・・式(2) 式(1)、式(2)より、θi-2=θs=0°となり、
再生波長にかかわらず、反射型空間光変調素子10への
照明光入射角を、常に0°とすることが可能となる。
【0131】次に、上述した第2のメリツトについて説
明する。図7、図8及び図9に、製造波長532nm、
物体光入射角0°、参照光入射角60°、平均屈折率
1.52、ホログラム厚5μmの、偏光選択性ホログラ
ム光学素子の回折効率の入射角度依存性を示す。図7
は、再生波長が450nm、図8は、再生波長が550
nm、図9は、再生波長が650nmの場合である。
【0132】これらの回折効率の入射角度依存性と再生
波長との関係より、回折効率のピークを与える入射角が
波長によって異なり、長波長側は入射角度が大きい方が
回折効率が高く、短波長側は入射角度が小さい方が回折
効率が高くなっていることがわかる。そして、図6から
もわかるように、補正用偏光選択性ホログラム光学素子
23を用いることにより、長波長側の照明光の偏光選択
性ホログラム3ヘの入射角は大きく、短波長側は小さく
なっている。このことから、補正用偏光選択性ホログラ
ム光学素子23を用いることにより、広い波長帯域にお
いて高い回折効率が得られ、高い光利用効率を維持する
ことが可能となる。
【0133】以上のように、偏光選択性ホログラム光学
素子3と補正用偏光選択性ホログラム光学素子23とを
組み合わせることにより、広い波長帯域の照明光におい
ても、高い効率で反射型空間光変調素子10を同一入射
角にて照明することが可能となる。
【0134】ただし、本実施の形態においては、反射型
空間光変調素子10に対する主光線の入射角を0°では
なくθob1に設定している。これは前述のように、厚い
透過型ホログラムの回折効率は、ベント角がある程度大
きくないと高い屈折率が確保できないため、そのベンド
角を大きく設定するためである。そのため、このθob1
は、入射面内で偏光選択性ホログラム素子3のベント角
を大きくする方向に設定される。このとき、このθob1
を大きくとりすぎると、反射型空間光変調素子10のコ
ントラストの劣化、投射光学系25の大型化、表示画像
の収差の増大などの問題が発生するため、通常は30°
以内にするのが望ましい。
【0135】ただし、投射光学系25を偏心光学系と
し、反射型空間光変調素子10からの斜め射出光を有効
に利用することにより、表示画像中心を投射光学系25
の光軸からずらしながらも、投射光学系25の有効系を
小さくすることも可能である。
【0136】また、反対に、偏光選択性ホログラム光学
素子の屈折率変調度が十分大きい場合(例えば、0.0
5以上)には、ベンド角50°程度でも十分な回折効率
が確保できるため、許容波長帯域、許容入射角度を広げ
るため、θob1をベンド角を小さくする方向に設定する
方が有利となる。この場合も、上述した理由から、θob
1の絶対値はあまり大きくすることはできず、10°程
度が望ましい。
【0137】ベンド角大(θob1=10°)の場合と、
ベンド角小(θob1=−10°)の場合について、回折
効率の再生波長及び入射角依存性を、図10及び図11
に示す。これら図10及び図11より、ベンド角小(θ
obl=−10°)の場合、再生波長及び入射角度による
回折効率劣化が低減されていることがわかる。
【0138】〔4〕画像表示装置の第5の実施の形態 本発明の第5の実施の形態として、反射型空間光変調素
子として反射型TN液晶パネルを用いたカラー投射型画
像表示装置について、図12を参照して説明する。
【0139】この画像表示装置においては、照明光源2
0より放射される照明光は、光束断面形状の補正、強度
の均一化、発散角制御などの機能を有する照明光学系2
1に入射する。本照明光学系21は、図示しない偏光変
換手段を有しており、本実施の形態の場合、偏光選択性
ホログラム光学素子3への入射光がP偏光光となるよう
に、S偏光成分の照明光の偏光方位を90°回転させる
ことによりP偏光光に変換し、光利用効率を向上させて
いる。
【0140】照明光学系21を通過した照明光は、P偏
光光を選択的に透過させる偏光板28を通過し、青色
用、緑色用、赤色用ダイクロイツクミラー29,30,
31へ入射する。これらダイクロイツクミラー29,3
0,31は、それらの反射面と照明光の進行方向とのな
す角θb,θg,θrが、θb<θg<θrという関係
を有して配置されている。これにより、これらダイクロ
イツクミラー29,30,31は、前述の第4の実施の
形態において図5により示した補正用偏光選択性ホログ
ラム光学素子23と同様の役割を果たす。
【0141】つまり、偏光選択性ホログラム光学素子3
への赤色光の入射角度が最も大きく、以下、緑色光、青
色光の順となる。偏光選択性ホログラム光学素子3に入
射した各色光は、それぞれ各色光用に設けられた3層の
ホログラム層9r、9g、9bにより、反射型空間光変
調素子の対応する色のアルミ画素電極14r、14g、
14bに集光される。TN液晶層13を往復した照明光
は、位相変調され、そのS偏光成分は偏光選択性ホログ
ラム光学素子3にて回折されることなく透過し、S偏光
成分を選択的に透過させる偏光板24を経て、投射光学
系25に入射する。投射光学系25に入射した画像光束
は、スクリーン26上に投射される。
【0142】〔5〕画像表示装置の第6の実施の形態 本発明の第6の実施の形態として、図13に示すよう
に、反射型空間光変調素子として3つの反射型反強誘電
性液晶パネル10r,10g,10bを用いたカラー投
射型画像表示装置について説明する。
【0143】この画像表示装置においては、照明光源2
0より放射される照明光は、光束断面形状の補正、強度
の均一化、発散角制御などの機能を有する照明光学系2
1に入射する。本照明光学系21は、図示しない偏光変
換手段を有しており、本実施の形態の場合、偏光選択性
ホログラム光学素子3への入射光がP偏光光となるよう
に、照明光のS偏光成分の偏光方位を90°回転するこ
とによりP偏光光に変換し光利用効率を向上させる。
【0144】照明光学系21を通過した照明光は、補正
用偏光選択性ホログラム光学素子23へ入射し、ここ
で、P偏光成分のみが回折され射出角約60°で射出さ
れる。S偏光光は、回折されることなく補正用偏光選択
性ホログラム光学素子23を直進して透過する。
【0145】補正用偏光選択性ホログラム光学素子23
にて回折されたP偏光成分である照明光は、このP偏光
成分を選択的に透過させる偏光板28を透過し、偏光選
択性ホログラム光学素子3に入射する。このとき、補正
用偏光選択性ホログラム光学素子23と偏光選択性ホロ
グラム光学素子3とは、同一の構造のものを用いてお
り、しかも互いに平行に配置されているため、この偏光
選択性ホログラム光学素子3への照明光の入射角は、補
正用偏光選択性ホログラム光学素子23からの照明光の
射出角に等しくなっている。
【0146】偏光選択性ホログラム光学素子3に入射す
る主にP偏光成分からなる照明光は、偏光選択性ホログ
ラム光学素子3より略々垂直に射出する方向に回折さ
れ、クロスダイクロイックプリズム32に入射し、この
クロスダイクロイックプリズム32により、赤色光、緑
色光、青色光にそれぞれ分光される。
【0147】分光された各色光は、対応する反射型空間
光変調素子10r、10g、10bに入射し、ここで各
色光ごとに、また、画素ごとに変調されて反射される。
変調された各色光は、再びクロスダイクロイックプリズ
ム32に入射し、再合成された後、再び偏光選択性ホロ
グラム光学素子3へ入射する。このとき、S偏光成分
は、偏光選択性ホログラム光学素子3において回折され
ずに透過し、さらに、S偏光成分を選択的に透過させる
偏光板24を透過して、投射光学系25に入射する。そ
して、この投射光学系25により、スクリーン26上に
表示画像が結像される。
【0148】〔6〕画像表示装置の第7の実施の形態 本発明の第7の実施の形態として、図14に示すよう
に、反射型空間光変調素子として2つの反射型FLCパ
ネルを用いたカラー投射型画像表示装置について説明す
る。
【0149】この画像表示装置においては、照明光源2
0より放射される照明光は、光束断面形状の補正、強度
の均一化、発散角制御などの機能を有する照明光学系2
1に入射する。本照明光学系21は、図示しない偏光変
換手段を有しており、本実施の形態の場合、偏光選択性
ホログラム光学素子3への入射光がP偏光光となるよう
に、照明光のS偏光成分の偏光方位を90°回転するこ
とによりP偏光光に変換し光利用効率を向上させる。
【0150】照明光学系21を通過した照明光は、この
P偏光成分を選択的に透過する偏光板28を透過した
後、カラーシャッタ22に入射する。このカラーシャッ
タ22は、照明光源20より放射され直線偏光となされ
た白色光のうちの特定の波長帯域の偏光方位を90°回
転させる機能を有している。したがって、カラーシャッ
タ22を透過した照明光を偏光検波することにより、部
分スペクトル成分に時分割することができる。このよう
な時分割により、単板の反射型FLCパネル10によっ
て「フィールドシーケンシャルカラー手法」によりカラ
ー表示が可能となる(参考論文:「Gray D.Sharp and
Kristina M.Johnson,High Brightness Saturated Col
or Shutter Technology,SID Symposium,Vo1.27,p41
1(1996)」)。
【0151】本実施の形態においては、このカラーシャ
ッタ22を、赤色光及び青色光(マゼンタ)、赤色光及
び緑色光(黄色)の2つのスペクトルを時分割で透過さ
せるように制御する。すなわち、照明光源20より入射
する緑色光と青色光の偏光方向を交互に90°回転させ
る。カラーシャッタ22を透過した照明光は、補正用偏
光選択性ホログラム光学素子23へ入射し、ここで、P
偏光成分のみが回折されて射出角約60°で射出され
る。このとき、先程のカラーシャッタ22にてS偏光光
となされた緑色光、または、青色光は、回折されること
なく交互に補正用偏光選択性ホログラム光学素子23を
直進して透過する。
【0152】補正用偏光選択性ホログラム光学素子23
において回折された主にP偏光成分からなる照明光は、
偏光選択性ホログラム光学素子3に入射する。このと
き、補正用偏光選択性ホログラム光学素子23と偏光選
択性ホログラム光学素子3とは、同一の構成を有してお
り、しかも互いに平行に配置されているため、偏光選択
性ホログラム光学素子3への照明光の入射角は、補正用
偏光選択性ホログラム光学素子23からの照明光の射出
角に等しくなっている。
【0153】偏光選択性ホログラム光学素子3に入射す
る照明光のP偏光成分は、偏光選択性ホログラム光学素
子3より略々垂直に射出するように回折されて、ダイク
ロイックプリズム34に入射する。ダイクロイックプリ
ズム34に入射した照明光は、赤色光のみが進行方向を
90°偏向され、残りの、主に緑色光、青色光の波長帯
域の照明光は透過する。分光された2つの色光は、対応
する反射型空間光変調素子10r,10gbに入射し、
これら反射型空間光変調素子10r,10gbにおい
て、各色光ごとに、また、画素ごとに変調されて反射さ
れる。
【0154】ただし、緑色光、青色光については、「フ
ィールドシーケンシャルカラー手法」により、時分割で
表示される。緑色光、青色光について時分割表示とし、
赤色光について時分割表示としないのは、通常のランプ
光源を用いた場合には、眼の視感度を考慮して白バラン
スをとると、赤色光が最も出力が不足するためである。
【0155】変調された各色光は、再びダイクロイック
プリズム34に入射して再合成され、再度偏光選択性ホ
ログラム光学素子3へ入射する。このとき、S偏光成分
は回折されずに透過し、さらに、S偏光成分を選択的に
透過させる偏光板24を経て投射光学系25に入射す
る。そして、この投射光学系25により、スクリーン2
6上に表示画像が結像される。
【0156】また、図15に示すように、補正用偏光選
択性ホログラム光学素子23と偏光選択性ホログラム光
学素子3との間を硝子プレート20によって充填し、補
正用偏光選択性ホログラム光学素子23及び偏光選択性
ホログラム光学素子3のホログラム層の実効的ベンド角
を大きくすることにより、回折効率を向上させることが
できる。
【0157】ただし、このとき、補正用偏光選択性ホロ
グラム光学素子23及び偏光選択性ホログラム光学素子
3において回折効果が生ずる波長帯域、入射角度範囲は
減少する。なお、補正用偏光選択性ホログラム光学素子
23と硝子プレート20との間、及び、偏光選択性ホロ
グラム光学素子3と硝子プレート20との間は、それぞ
れ光学的に密着させる必要がある。
【0158】〔7〕画像表示装置の第8の実施の形態 本発明の第8の実施の形態として、図16に示すよう
に、反射型空間光変調素子として3つの反射型TN垂直
配向液晶パネル10r,10g,10bを用いたカラー
投射型画像表示装置について説明する。
【0159】この画像表示装置においては、照明光源2
0より放射される照明光は、光束断面形状の補正、強度
の均一化、発散角制御などの機能を有する照明光学系2
1に入射する。本照明光学系21は、図示しない偏光変
換手段を有しており、本実施の形態の場合、偏光選択性
ホログラム光学素子3への入射光がP偏光光となるよう
に、照明光のS偏光成分の偏光方位を90°回転するこ
とによりP偏光光に変換し光利用効率を向上させる。
【0160】照明光学系21を通過した照明光は、補正
用偏光選択性ホログラム光学素子23へ入射し、ここ
で、P偏光成分のみが回折及び反射され、偏光選択性ホ
ログラム光学素子3に入射する。照明光のS偏光成分
は、補正用偏光選択性ホログラム光学素子23において
回折されることなく、直進してこの補正用偏光選択性ホ
ログラム光学素子23を透過する。
【0161】ここで、補正用偏光選択性ホログラム光学
素子23は、反射型偏光選択性ホログラム光学素子とな
っている。反射型の場合、透過型に比べて回折波長帯域
の許容値が小さいため、照明光源20にはなるべくスペ
クトルに急峻なピーク値をもつものを用いるか、また
は、ホログラムを複数の波長帯域ごとに作成し、これを
積層して補正用偏光選択性ホログラム光学素子23とす
ることが効果的である。
【0162】偏光選択性ホログラム光学素子3に入射す
る主にP偏光成分からなる照明光は、偏光選択性ホログ
ラム光学素子3より略々垂直に射出するよう回折され、
ダイクロイックプリズムブロック35に入射する。この
ダイクロイックプリズムブロック35は、3つのダイク
ロイックプリズムからなり、2つの境界面35b,35
gを有している。ダイクロイックプリズムブロック35
に入射した照明光は、まず、一方の境界面35bに入射
し、青色光のみを反射され、この境界面35bを透過し
た青色を除く光が、他方の境界面35gに入射する。そ
して、他方の境界面35gにおいて緑色光のみが反射さ
れることにより、照明光は、R(赤色)、G(緑色)、
B(青色)の各色に分光される。
【0163】このように分光された各色光は、対応する
反射型空間光変調素子10r、10g、10bに入射
し、これら反射型空間光変調素子10r、10g、10
bにより、各色光ごとに、また、画素ごとに変調されて
反射される。変調された各色光は、再びクロスダイクロ
イックプリズムブロック35に入射し再合成され、再度
偏光選択性ホログラム光学素子3へ入射する。このと
き、S偏光成分は回折されずに透過し、さらに、S偏光
成分を選択的に透過する偏光板24を経て投射光学系2
5に入射する。そして、この投射光学系25により、ス
クリーン26上に表示画像が結像される。
【0164】〔8〕画像表示装置の第9の実施の形態 本発明の第9の実施の形態として、図17に示すよう
に、反射型空間光変調素子として2つの反射型FLCパ
ネルを用いたカラー投射型画像表示装置について説明す
る。
【0165】この画像表示装置においては、照明光源2
0より放射される照明光は、光束断面形状の補正、強度
の均一化、発散角制御などの機能を有する照明光学系2
1に入射する。本照明光学系21は、図示しない偏光変
換手段を有しており、本実施の形態の場合、偏光選択性
ホログラム光学素子3への入射光がS偏光光となるよう
に、照明光のP偏光成分の偏光方位を90°回転するこ
とによりS偏光光に変換し光利用効率を向上させる。
【0166】照明光学系21を通過した照明光は、S偏
光成分を選択的に透過させる偏光板28を透過し、カラ
ーシャッタ22に入射する。カラーシャッタ22は、照
明光源20より放射される白色光を、その部分スペクト
ル成分に時分割するもので、これにより単板の反射型F
LCパネル10で「フイールドシーケンシャルカラー手
法」によりカラー表示が可能となる(参考論文:「Gray
D.Sharp and Kristina M.Johnson,High Brightness
Saturated Color Shutter Technology,SID Symposiu
m,Vo1.27,p411(1996)」)。
【0167】本実施の形態においては、このカラーシャ
ッタ22を、赤色光及び青色光(マゼンタ)と、赤色光
及び緑色光(黄色)との2つのスペクトルを時分割で透
過させるよう制御する。つまり、入射する緑色光成分と
青色光成分の偏光方向を交互に90°回転させてP偏光
光とする。カラーシャッタ22を射出した照明光は、補
正用偏光選択性ホログラム光学素子23へ入射し、ここ
で、S偏光成分のみが回折され射出角約70°で射出さ
れる。このとき、先程のカラーシャッタ22にてP偏光
光となされた緑色光、または、青色光は、補正用偏光選
択性ホログラム光学素子23において回折されることな
く直進し、交互に補正用偏光選択性ホログラム光学素子
23を透過する。
【0168】補正用偏光選択性ホログラム光学素子23
にて回折された主にS偏光成分からなる照明光は、この
補正用偏光選択性ホログラム光学素子23に光学的に密
着接合された第1のカップリングプリズム37に入射す
る。補正用偏光選択性ホログラム光学素子23から射出
した照明光は、第1のカップリングプリズム37と補正
用偏光選択性ホログラム光学素子23のガラス基板36
とが略々等しい屈折率を有するガラス材にて作製されて
いるため、これらの接合界面で屈折を生じず、角度を変
えることなく第1のカップリングプリズム37に入射す
る。
【0169】第1のカップリングプリズム37に入射し
た照明光は、この第1のカップリングプリズム37の光
学面38より略々垂直に射出する。そして、この照明光
は、カラーセレクト33に入射する。このカラーセレク
ト33は、入射直線偏光方位をその波長帯域に応じて9
0°回転させるものである(参考論文:「Gray D.Shar
p andJ.R.Birge,Retarder Stack Technology for Co
lor Manipulation,SID Symposium,Vo1.30,p1072(19
99)」)。
【0170】本実施の形態においては、赤色光は、入射
偏光方位(S偏光光)が保存され、青色光及び緑色光の
偏光方位は、90°回転されてP偏光光となされる。カ
ラーセレクト33を射出した照明光は、偏光選択性ホロ
グラム光学素子3に光学的に密着接合された第2のカッ
プリングプリズム20に光学面39より入射する。この
光学面39は、第1のカップリングプリズム37の光学
面38と略平行になされている。したがって、入射照明
光は、第2のカップリングプリズム20の光学面39に
おいてほとんど屈折することなく直進し、そのまま偏光
選択性ホログラム光学素子3に入射する。
【0171】この偏光選択性ホログラム光学素子3にお
いて、S偏光光である赤色光は、回折されることなく第
3のカップリングプリズム40を透過し、赤色光用反射
型空間光変調素子10rに入射する。一方、P偏光光で
ある青色光及び緑色光は、回折されて約70°進行方向
を偏向されて第3のカッブリングプリズム40を通して
青緑色光用反射型空間光変調素子10gbに入射する。
【0172】このとき、青色光及び緑色光は、カラーシ
ャッタ22により時分割で交互に送られてくるため、青
緑色光用反射型空間光変調素子10gbはこれに同期し
て制御される。緑色光、青色光について時分割表示と
し、赤色光について時分割表示としないのは、通常のラ
ンプ光源を用いた場合には、眼の視感度を考慮して白バ
ランスをとると、赤色光が最も出力が不足するためであ
る。
【0173】それぞれの反射型空間光変調素子10b、
10gbにて変調された照明光は、偏光選択性ホログラ
ム光学素子3に再入射する。このとき、青緑色光用反射
型空間光変調素子10gbからの反射光のうちのS偏光
成分は、回折されることなく偏光選択性ホログラム光学
素子3より略垂直に射出する。また、赤色光用反射型空
間光変調素子10rからの反射光のうちのP偏光成分
は、回折されて偏光選択性ホログラム光学素子3より同
じく略垂直に射出する。
【0174】これら2つの反射光は、第2のカッブリン
グプリズム20を透過し、この第2のカップリングプリ
ズム20の光学面に接合されたカラーセレクト33bに
入射する。このカラーセレクト33bにおいて、青緑色
光は、入射偏光方位(S偏光光)が保存され、赤色光の
偏光方位は、90°回転されS偏光光となされる。
【0175】これらの照明光は、S偏光光を選択的に透
過させる偏光板24を経て、投射光学系25に入射す
る。そして、投射光学系25により、スクリーン26上
に表示画像が結像される。
【0176】一方、青緑色光用反射型空間光変調素子1
0gbからの反射光のうちのP偏光成分は、偏光選択性
ホログラム光学素子3において回折されて透過し、往路
の照明光路を逆行する。また、赤色光用反射型空間光変
調素子10rからの反射光のうちのS偏光成分は、偏光
選択性ホログラム光学素子3にて回折されることなく同
じく往路の照明光路を逆行する。
【0177】また、本実施の形態は、図18に示すよう
に、補正用偏光選択性ホログラム光学素子23、第1の
カップリングプリズム37、カラーセレクト33、第2
のカップリングプリズム20、偏光選択性ホログラム光
学素子3、第3のカップリングプリズム40及びカラー
セレクト33bを光学的に接合させて構成してもよい。
【0178】
〔9〕画像表示装置の第10の実施の形態 本発明の第10の実施の形態として、図19に示すよう
に、反射型空間光変調素子として反射型FLCパネルを
用いたカラー投射型画像表示装置について説明する。
【0179】この画像表示装置においては、照明光源2
0より放射される照明光は、光束断面形状の補正、強度
の均一化、発散角制御などの機能を有する照明光学系2
1に入射する。本照明光学系21は、図示しない偏光変
換手段を有しており、本実施の形態の場合、偏光選択性
ホログラム光学素子3への入射光がP偏光光となるよう
に、照明光のS偏光成分の偏光方位を90°回転するこ
とによりP偏光光に変換し光利用効率を向上させる。
【0180】照明光学系21を通過した照明光は、カラ
ーホイール22を通過し、補正用偏光選択性ホログラム
光学素子23へ入射する。カラーホイール22は、照明
光源20より放射される白色光を、赤色光、緑色光、青
色光のスペクトル成分に時分割するもので、この時分割
により、単板の反射型FLCパネル10で「フィールド
シーケンシャルカラー手法」によりカラー表示が可能と
なる。
【0181】補正用偏光選択性ホログラム光学素子23
へ入射角60°で入射した照明光は、ここで、P偏光成
分のみが回折され、射出角約0°で射出される。S偏光
成分は、補正用偏光選択性ホログラム光学素子23で回
折されることなく、直進して補正用偏光選択性ホログラ
ム光学素子23を透過する。
【0182】補正用偏光選択性ホログラム光学素子23
で回折された主にP偏光成分からなる照明光は、偏光選
択性ホログラム光学素子3に入射する。補正用偏光選択
性ホログラム光学素子23と偏光選択性ホログラム光学
素子3とは、同一の構成のものであり、かつ、これら補
正用偏光選択性ホログラム光学素子23及び偏光選択性
ホログラム光学素子3に対する照明光の入射角が略々同
一になるように配置されている。ただし、照明光(入射
側)からみた場合、両者の回折方向(ベンド角)は逆方
向となっている。このような配置により、前述のよう
に、波長による回折角のばらつきを相殺できること、波
長による回折効率の入射角度依存性の差異を補正できる
ことという2つのメリツトが得られる。
【0183】なお、この補正用偏光選択性ホログラム光
学素子23と偏光選択性ホログラム光学素子3との間
は、図19において波線で示すように、カップリングプ
リズム20にて充填してもよい。ただし、この場合に
は、ベンド角が異なるため、補正用偏光選択性ホログラ
ム光学素子23と偏光選択性ホログラム光学素子3と
は、同一のホログラム素子であってはならない。
【0184】ここで、補正用偏光選択性ホログラム光学
素子23への入射角を偏光選択性ホログラム光学素子3
への入射角と同様に約60°とするのは、第1の実施の
形態において説明したように、補正用偏光選択性ホログ
ラム光学素子23の回折効率の入射角度依存性を低減さ
せるためである。
【0185】偏光選択性ホログラム光学素子3により回
折されたP偏光光は、この偏光選択性ホログラム光学素
子3より射出角0°で射出し、反射型空間光変調素子1
0に入射する。反射型空間光変調素子10は、図19中
矢印aで示す長手方向が照明光入射角方向と一致するよ
うに配置される。これは、補正用偏光選択性ホログラム
光学素子23への回折方向の入射照明光の有効幅を小さ
くする必要があるためで、この有効幅の減少量をできる
だけ少なくして光利用効率を高くするためである。
【0186】また、同様の理由から、照明光源20の発
光部20aの長手方向は、図19において紙面に垂直な
方向となされている。これは、前述のラグランジュ−ヘ
ルムホルツの不変量より、発光部が小さい方が光束径を
絞ったときに拡散角が大きくなりにくいためで、本発明
に係る画像表示装置のように、照明光を空間光変調素子
に対して斜めに入射させる場合には、その入射方向に一
致する方向に発光部の長さを短くすることが光利用効率
を上げるために有効となるためである。
【0187】反射型空間光変調素子10により位相が変
調されて反射されたS偏光光は、偏光選択性ホログラム
光学素子3を透過し、S偏光光のみを選択的に透過する
偏光板24を透過して投射光学系25に入射する。この
投射光学系25により、反射型FLCパネル10上に表
示される光学像がスクリーン26上に表示画像として拡
大投影される。
【0188】一方、P偏光成分のうち偏光選択性ホログ
ラム光学素子3にて回折されない往路の残りの照明光
は、そのまま偏光選択性ホログラム光学素子3を透過
し、反射型空間光変調素子10のアルミ反射面14にて
正反射され、再び図19中のCの方向に射出される。こ
の照明光は、迷光となり、表示画像のコントラスト劣化
を招く恐れがあるため、光吸収手段27によりそのエネ
ルギーを吸収される。
【0189】〔10〕画像表示装置の第11の実施の形
態 本発明の第11の実施の形態として、図20に示すよう
に、反射型空間光変調素子として反射型FLCパネルを
用いたカラー投射型画像表示装置について説明する。
【0190】この画像表示装置においては、照明光源2
0より放射される照明光は、光束断面形状の補正、強度
の均一化、発散角制御などの機能を有する照明光学系2
1に入射する。本照明光学系21は、図示しない偏光変
換手段を有しており、本実施の形態の場合、偏光選択性
ホログラム光学素子3への入射光がP偏光光となるよう
に、照明光のS偏光成分の偏光方位を90°回転するこ
とによりP偏光光に変換し光利用効率を向上させる。
【0191】照明光学系21を通過した照明光は、カラ
ーホイール22を通過し、補正用偏光選択性ホログラム
光学素子23へ入射する。カラーホイール22は、照明
光源20より放射される白色光を、赤色光、緑色光、青
色光のスペクトル成分に時分割するもので、この時分割
により、単板の反射型FLCパネル10による「フィー
ルドシーケンシャルカラー手法」によりカラー表示が可
能となる。
【0192】補正用偏光選択性ホログラム光学素子23
に対し入射角θin23で入射した照明光は、ここで、P偏
光成分のみが回折され、射出角θout23で射出される。
S偏光成分は、補正用偏光選択性ホログラム光学素子2
3によって回折されることなく、この補正用偏光選択性
ホログラム光学素子23を透過して直進する。
【0193】補正用偏光選択性ホログラム光学素子23
にて回折される主にP偏光成分からなる照明光は、偏光
選択性ホログラム光学素子3に、入射角θin3にて入射
する。このとき、補正用偏光選択性ホログラム光学素子
23と偏光選択性ホログラム光学素子3とは、同一の構
造を有し、しかも、補正用偏光選択性ホログラム光学素
子23への入射角θin23、射出角θout23は、偏光選択
性ホログラム光学素子3への入射角θin3、射出角θout
3とそれぞれ等しくなされている。ただし、照明光から
みた場合、両者の回折方向(ベンド角)は逆方向となっ
ている。これより、前述のように、波長による回折角の
ばらつきを相殺できること、波長による回折効率の入射
角度依存性の差異を補正できることという2つのメリツ
トが得られる。
【0194】また、本実施の形態の場合、偏光選択性ホ
ログラム光学素子3と反射型空間光変調素子10とは図
20に示すように、θholoの開き角を有して配置され
る。すなわち、偏光選択性ホログラム光学素子3、補正
用偏光選択性ホログラム光学素子23の回折効率の波長
及び入射角依存性を低減させるためには、ベンド角を少
なくすることが有効であるが、このとき、 (i)入射角を小さくする。 (ii)射出角をベンド角が小さくなる方向に大きくと
る。 という2つの方法が考えられる。(i)の「入射角を小
さくする」という手法の場合、前述のように、ホログラ
ム層への入射角度のばらつきが大きくなり好ましくな
い。そこで、(ii)の「射出角をベンド角が小さくなる
方向に大きくとる」という手法をもちいることが有効と
なる。
【0195】本実施の形態の場合、偏光選択性ホログラ
ム光学素子3、補正用偏光選択性ホログラム光学素子2
3からの射出角θout3、θout23を5°乃至20°程度
とし、ベンド角を低減させている。このように、入射照
明光、偏光選択性ホログラム光学素子3及び補正用偏光
選択性ホログラム光学素子23の相対関係を規定した場
合において、偏光選択性ホログラム光学素子3からの射
出回折光を反射型空間光変調素子10に対して垂直に入
射させようとすると、図20に示すように、偏光選択性
ホログラム光学素子3と反射型空間光変調素子10と
は、θholo(=θout3)の開き角をとって配置される必
要がある。
【0196】このようにして、偏光選択性ホログラム光
学素子3により回折されたP偏光光は、反射型空間光変
調素子10に対して略々垂直に入射する。反射型空間光
変調素子10は、図20中矢印aで示す長手方向が、照
明光入射角方向と一致するように配置されている。これ
は、補正用偏光選択性ホログラム光学素子23への回折
方向の入射照明光の有効幅を小さくする必要があるため
で、この有効幅の減少量をできるだけ少なくして光利用
効率を高くするためである。
【0197】また、同様の理由から、照明光源20の発
光部20aの長手方向は、図19において紙面に垂直な
方向となされている。これは、前述のラグランジュ−ヘ
ルムホルツの不変量より、発光部が小さい方が光束径を
絞ったときに拡散角が大きくなりにくいためで、本発明
に係る画像表示装置のように、照明光を空間光変調素子
に対して斜めに入射させる場合には、その入射方向に一
致する方向に発光部の長さを短くすることが光利用効率
を上げるために有効となるためである。
【0198】反射型空間光変調素子10により位相が変
調されて反射されたS偏光光は、偏光選択性ホログラム
光学素子3を透過し、S偏光光のみを選択的に透過する
偏光板24を透過して投射光学系25に入射する。ここ
で、偏光板24は、偏光選択性ホログラム光学素子3を
透過したことにより発生する非点収差を補正するため
に、偏光選択性ホログラム光学素子3の反射型空間光変
調素子10に対する傾き角θholoと反対方向に同じ絶対
値の傾き角θpolをもって配置される。この偏光板24
の傾きにより、変調された照明光における非点収差をキ
ャンセルすることができる。そして、投射光学系25に
入射した照明光により、反射型空間光変調素子10上に
表示される光学像がスクリーン26上に表示画像として
拡大投影される。
【0199】〔11〕虚像表示装置に関する実施の形態
(第12の実施の形態) 本発明の第12の実施の形態として、図21に示すよう
に、反射型空間光変調素子として反射型FLCパネルを
用い虚像結像光学系を用いた画像表示装置について説明
する。
【0200】この画像表示装置においては、赤色光、緑
色光、青色光の3色を順次独立に発光するレンズ付き発
光ダイオード光源41より放射される照明光は、P偏光
成分を選択的に透過させる偏光板42を透過して、偏光
選択性ホログラム光学素子3に入射する。この入射光
は、偏光選択性ホログラム光学素子3において回折さ
れ、略々垂直に反射型FLCパネル10に入射する。
【0201】反射型FLCパネル10にて位相を変調さ
れた照明光は、反射型FLCパネル10のアルミ反射面
14において反射され、再び偏光選択性ホログラム光学
素子3に入射する。このとき、P偏光成分は、再び偏光
選択性ホログラム光学素子3によって回折されて発光ダ
イオード光源41の方向に向かうが、S偏光成分は、偏
光選択性ホログラム光学素子3によって回折されること
なく、そのまま透過する。偏光選択性ホログラム光学素
子3を透過したS偏光光は、S偏光成分を選択的に透過
させる偏光板43にて検波されたのち、虚像観察光学系
を構成する自由曲面プリズム44に、自由曲面屈折面4
5より入射する。
【0202】自由曲面プリズム44内に入射した光は、
第1の光学面46において全反射され、次いで、第2の
自由曲面反射面47にて反射されたのち、第1の光学面
46を透過して、観察者の観察領域48に導かれる。こ
のとき、観察領域48を大きくするには、発光ダイオー
ド光源41と偏光板42との間に拡散板を配置するか、
または、偏光選択性ホログラム光学素子3において、こ
の偏光選択性ホログラム光学素子3に入射するP偏光成
分に対して回折時に拡散作用を起こす干渉縞を予め記録
しておいてもよい。
【0203】次に、本発明の第13の実施の形態とし
て、図22に示すように、反射型空間光変調素子として
2つの反射型FLCパネルを用い虚像結像光学系を用い
た画像表示装置について説明する。
【0204】この画像表示装置においては、赤色光、緑
色光、青色光の3色を順次独立に発光するレンズ付き発
光ダイオード光源41より放射された照明光は、P偏光
光となる偏光成分を選択的に透過する偏光板42を経
て、偏光選択性ホログラム光学素子3へ入射する。本実
施の形態においては、偏光選択性ホログラム光学素子3
は反射型となっている。この偏光選択性ホログラム光学
素子3に入射された照明光は、偏光選択性ホログラム光
学素子3において回折され反射されて略々垂直に反射型
FLCパネル10に入射する。
【0205】反射型FLCパネル10において位相を変
調された照明光は、反射型FLCパネル10のアルミ反
射面14において反射され、再び偏光選択性ホログラム
光学素子3に入射する。このとき、照明光のP偏光成分
は、偏光選択性ホログラム光学素子3において再び回折
され反射されて発光ダイオード光源42の方向に向か
う。S偏光成分は、偏光選択性ホログラム光学素子3に
より回折されることなく、そのまま偏光選択性ホログラ
ム光学素子3を透過する。
【0206】このように偏光選択性ホログラム光学素子
3を透過したS偏光光は、S偏光成分を選択的に透過さ
せる偏光板43にて検波されたのち、虚像観察光学系を
構成する自由曲面プリズム44に、自由曲面屈折面45
より入射する。
【0207】自由曲面プリズム44内に入射した光は、
第1の光学面46において全反射され、次いで、第2の
自由曲面反射面47にて反射されたのち、第1の光学面
46を透過して、観察者の観察領域48に導かれる。こ
のとき、観察領域48を大きくするには、発光ダイオー
ド光源41と偏光板42との間に拡散板を配置するか、
または、偏光選択性ホログラム光学素子3において、こ
の偏光選択性ホログラム光学素子3に入射するP偏光成
分に対して回折時に拡散作用を起こす干渉縞を予め記録
しておいてもよい。
【0208】
【発明の効果】上述のように、本発明に係る画像表示素
子を用いた画像表示装置においては、反射型空間光変調
素子の照明手段として、必ずしも偏光ビームスプリッタ
を使用する必要がないため、装置重量の軽量化、装置サ
イズの小型化、表示画像のコントラストの改善及び製造
コストの低廉化が可能となる。
【0209】また、この画像表示素子においては、従来
のホログラムカラーフィルターと異なり、屈折率の入射
偏光方位依存性が互いに異なる2つの領域を順次積層し
た構造を有する偏光選択性ホログラム光学素子を用いる
ことにより、P偏光光とS偏光光の回折効率の差を充分
に大きくすることができ、光利用効率及び表示画像のコ
ントラストの改善が可能である。
【0210】さらに、従来のホログラムカラーフィルタ
ーと異なり、屈折率の入射偏光方位依存性が互いに異な
る2つの領域を順次積層した構造を有する偏光選択性ホ
ログラム光学素子を用いることにより、P偏光光の回折
効率をS偏光光のそれに比べて高くすることができ、ホ
ログラム光学素子に対してP偏光光を入射させることが
できる。これにより、カップリングプリズムを用いなく
とも、ホログラム光学素子のガラス基板における表面反
射を抑えることができ、光利用効率及び表示画像のコン
トラストの改善が可能である。
【0211】そして、この画像表示装置においては、2
つの偏光選択性ホログラム光学素子を、反射型空間光変
調素子の照明のために用いることにより、偏光選択性ホ
ログラム光学素子における回折角の波長依存性を互いに
相殺して均一照明が得られる他、各波長帯域ごとに、入
射角による回折効率減少を補正して光利用効率を改善す
ることができる。
【0212】さらに、この画像表示装置においては、偏
光選択性ホログラム光学素子を反射型として使用するこ
とが可能となること、各色光ごとに用意される複数の反
射型空間光変調素子を用いた画像表示装置に適応するこ
とができること、「フィールドシーケンシャルカラー方
式」の画像表示装置として構成することができることな
どの効果が得られる。
【0213】そして、この画像表示装置においては、反
射型空間光変調素子と偏光選択性ホログラム光学素子と
の画素単位のアライメントが不要なために製造コストの
低廉化が可能であり、また、高い光利用効率が維持され
ながら、表示画像のコントラスが高く、しかも、薄型
化、軽量化、虚像観察光学系を用いて構成することが可
能である。
【0214】すなわち、本発明は、照明光の光利用効率
が高く、装置の小型化、低コスト化が可能であり、ま
た、表示画像の均一性、高コントラスト性が実現された
画像表示素子及び画像表示装置を提供することができる
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像表示素子の構成を示す縦断面
図である。
【図2】本発明に係る画像表示装置の第1の実施の形態
の構成を示す縦断面図である。
【図3】本発明に係る画像表示装置の第2の実施の形態
の構成を示す縦断面図である。
【図4】本発明に係る画像表示装置の第3の実施の形態
の構成を示す縦断面図である。
【図5】本発明に係る画像表示装置の第4の実施の形態
の構成を示す側面図である。
【図6】上記画像表示装置における補正用偏光選択性ホ
ログラム光学素子による入射角の補正の原理を示す側面
図である。
【図7】上記画像表示装置における再生波長450nm
における回折効率の入射角度依存性を示すグラフであ
る。
【図8】上記画像表示装置における再生波長550nm
における回折効率の入射角度依存性を示すグラフであ
る。
【図9】上記画像表示装置における再生波長650nm
における回折効率の入射角度依存性を示すグラフであ
る。
【図10】ベンド角大(θob1=10°)の場合の回折
効率の再生波長及び入射角依存性を示すグラフである。
【図11】ベンド角小(θob1=−10°)の場合の回
折効率の再生波長及び入射角依存性を示すグラフであ
る。
【図12】本発明に係る画像表示装置の第5の実施の形
態の構成を示す側面図である。
【図13】本発明に係る画像表示装置の第6の実施の形
態の構成を示す側面図である。
【図14】本発明に係る画像表示装置の第7の実施の形
態の構成を示す側面図である。
【図15】本発明に係る画像表示装置の第7の実施の形
態の構成を示す側面図である。
【図16】本発明に係る画像表示装置の第8の実施の形
態の構成を示す側面図である。
【図17】本発明に係る画像表示装置の第9の実施の形
態の構成を示す側面図である。
【図18】本発明に係る画像表示装置の第9の実施の形
態の構成を示す側面図である。
【図19】本発明に係る画像表示装置の第10の実施の
形態の構成を示す側面図である。
【図20】本発明に係る画像表示装置の第11の実施の
形態の構成を示す側面図である。
【図21】本発明に係る画像表示装置の第12の実施の
形態の構成を示す側面図である。
【図22】本発明に係る画像表示装置の第13の実施の
形態の構成を示す側面図である。
【図23】従来の画像表示素子(FLC)の構成を示す
断面図である。
【図24】反射型空間光変調素子に対応した偏光ビーム
スプリッタを用いた従来の画像表示装置の構成を示す側
面図である。
【図25】ホログラムレンズを用いた従来の画像表示装
置の構成を示す断面図である。
【図26】反射型ホログラムの回折効率を示すグラフで
ある。
【図27】光スイッチとしてのホログラム光学素子の応
用例を示す断面図である。
【図28】ホログラム光学素子の画像表示装置用反射板
としての応用例を示す断面図である。
【図29】ホログラム光学素子の投射型画像表示装置用
偏光変換器への応用例を示す断面図である。
【図30】ホログラムの厚さと回折効率との関係を示す
グラフである。
【図31】厚さ6μmのホログラムにおける回折効率の
入射角度依存性を示すグラフである。
【図32】厚さ18μmのホログラムにおける回折効率
の入射角度依存性を示すグラフである。
【図33】ガラスの表面反射率と入射角度との関係を示
すグラフである。
【図34】従来のホログラムカラーフィルターにおける
ホログラムレンズからの主光線の射出角許容値を示す断
面図である。
【図35】偏光ビームスプリッタを用いた従来の画像表
示装置の構成を示す側面図である。
【図36】虚像観察光学系を用いた従来の画像表示装置
の構成を示す側面図である。
【図37】虚像観察光学系を用いた従来の画像表示装置
の構成の他の例を示す側面図である。
【符号の説明】
3 「H−PDLC」パネル(偏光選択性ホログラム光
学素子)、10 反射型FLC液晶パネル、20 照明
光源、25 投射光学系、44 自由曲面プリズム
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年7月6日(2001.7.6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 画像表示素子及び画像表示装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、反射型空間光変調
素子を用いた画像表示素子及び画像表示装置に関し、特
に、装置の軽量化、製造の低コスト化、表示画像の高コ
ントラスト化を図ることに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、以下に述べるように、種々の画像
表示素子及びこれら画像表示素子を用いて構成された画
像表示装置が提案されている。
【0003】〔1〕空間光変調素子 空間光変調素子(Spatial Light Modulator:SLM)
は、映像信号が入力され、その信号に応じた画像データ
に基づいて、各画素毎に入射光を変調するように構成さ
れたデバイスである。空間光変調素子を透過する光を変
調する透過型と、空間光変調素子において反射される光
を変調する反射型とがある。
【0004】反射型空間光変調素子は、液晶、デジタル
マイクロミラー等を使用して構成されている。特に、液
晶を使用して構成したものは、液晶型空間光変調素子と
称される。
【0005】液晶には、旋光(偏光導波)モード型、複
屈折モード型、光散乱モード型、光吸収モード型等があ
る。一般的に使用される液晶としては、旋光(偏光導
波)モード型のツイステッドネマティック(TN)動作
モードを使用するTN液晶、複屈折動作モード型のスー
パーツイステッドネマティック(STN)動作モードを
使用するSTN液晶、及び、強誘電性液晶(FLC)動
作モードを使用するFLC型の液晶等がある。
【0006】これら偏光状態を変調する反射型空間光変
調素子には、強誘電性液晶空間光変調素子の他、TN液
晶を用いた垂直配向液晶空間光変調素子、反強誘電性液
晶空間光変調素子、TN液晶を用いた複屈折モードの空
間光変調素子などがある。
【0007】〔2〕反射型FLC空間光変調素子 偏光状態を変調する反射型空間光変調素子のうち、反射
型FLC空間光変調素子について構造と動作原理を説明
する。
【0008】反射型FLC空間光変調素子は、図23に
示すように、一対の電極部とその間に挿入された液晶材
料105とを有して構成されている。図中上側の電極部
は、ガラス基板101Aと、その内側(下側)の透明電
極102Aと、その内側(下側)の配向膜103Aとを
有している。図中下側の電極部は、シリコン基板101
Bと、その内側(上側)のアルミ電極102Bと、その
内側(上側)の配向膜103Bとを有している。アルミ
電極102Bは、反射膜としても機能する。上側の電極
部のガラス基板101Aの外側(上側)には、偏光子1
04が配置されている。
【0009】図23中の(A)は、透明電極102A及
びアルミ電極102Bに第1の方向の電圧が印加された
第1の電圧方向状態を示し、図23中の(B)は、透明
電極102A及びアルミ電極102Bに第1の方向とは
反対方向の第2の方向の電圧が印加された第2の電圧方
向状態を示している。
【0010】また、液晶材料105は、図23中の
(C)に示すように、第1の電圧方向状態では、入射偏
光に対して複屈折効果を示さないが、第2の電圧方向状
態では、入射偏光に対して複屈折効果を示す。
【0011】偏光子104を介して入射した偏光107
Aは、図23中の(A)に示す第1の電圧方向状態で
は、液晶材料105が複屈折効果を示さないことから、
この液晶材料105を透過し、偏波状態を変えることな
く、アルミ電極(反射膜)102Bに到達する。そし
て、アルミ電極(反射膜)102Bにおいて反射された
偏光107Bは、再び液晶材料105を透過し、偏波状
態を変えることなく、偏光子104に到達する。すなわ
ち、入射光の偏波状態と同一の偏波状態の光が偏光子1
04に戻ってくることとなる。したがって、アルミ電極
(反射膜)102Bにおいて反射された反射光が、偏光
子104を介して、出射光として得られることとなる。
【0012】一方、図23(B)に示す第2の電圧方向
状態では、偏光子104を介して入射した偏光107A
は、液晶材料105を透過することによって複屈折効果
を受け、直線偏光だったものが円偏光に変化する。円偏
光107Bは、アルミ電極(反射膜)102Bにおいて
反射され、この反射によって偏光の回転方向を反対方向
となされる。回転方向が反対となった円偏光107B
は、再び液晶材料105を透過することによって複屈折
効果を受け、直線偏光となる。このときの直線偏光は、
偏光子104の偏光方向と直交しており、したがって、
偏光子104を通過しない。
【0013】すなわち、この反射型FLC空間光変調素
子においては、第1の電圧方向状態の部分において「白
表示」となり、第2の電圧方向状態の部分において「黒
表示」となる。
【0014】〔3〕反射型空間光変調素子を用いた投射
型画像表示装置 一般的な反射型空間光変調素子、例えば、反射型TN液
晶パネルを有して構成された投射型の画像表示装置にお
いては、図24に示すように、ランプ光源201より射
出した照明光は、光束断面形状の補正、強度の均一化、
発散角制御などの機能を有する照明光学系202に入射
する。この照明光学系202には、図示しないP−S偏
光変換器を設けてもよい。このP−S偏光変換器は、無
偏光状態の照明光を、P偏光、または、S偏光のどちら
か一方の偏光に、50%以上の効率で揃える機能を有す
る光学ブロックである。
【0015】ここに示した例では、照明光学系202を
通過した照明光は、紙面に垂直な方向に電気ベクトルが
振動する偏光状態、つまり、赤色光を反射するダイクロ
イックミラー203の反射面に対してS偏光となってい
る。すなわち、照明光学系202から射出された照明光
は、赤色光を反射するダイクロイックミラー203によ
り、赤色成分のみが進行方向を90°偏向され、続いて
この赤色光は、ミラー204で反射されて、赤色光用の
偏光ビームスプリッタ(以下、「PBS」という。)2
10に入射する。
【0016】PBS210に入射した赤色光は、このP
BS210の誘電体膜210aにてS偏向成分のみが反
射され、入射偏光として、赤色光用の反射型TN液晶パ
ネル213に入射する。この赤色光用の反射型TN液晶
パネル213にて、偏光状態を変調されて反射された照
明光は、再びPBS210の誘電体膜210aに入射
し、ここでP偏光のみが透過するよう検波されて、偏光
変調が輝度変調に変換される。輝度変調に変換された照
明光は、クロスダイクロイックプリズム209に入射す
る。
【0017】一方、赤色光を反射するダイクロイックミ
ラー203を透過した照明光は、続いて配置された緑色
光を反射するダイクロイックミラー205に入射する。
このダイクロイックミラー205では、緑色光のみが反
射され、残りの青色光成分は、透過する。分離された緑
色光及び青色光は、それぞれ前述の赤色光の場合と同様
に、PBS211、212により、S偏光のみが反射さ
れて、緑色光用の反射型TN液晶パネル214、青色光
用の反射型TN液晶パネル215にそれぞれ入射する。
【0018】緑色光用の反射型TN液晶パネル214、
青色光用の反射型TN液晶パネル215にて偏光状態を
変調されて反射された照明光は、再びPBS211、2
12の誘電体膜211a、212aに入射し、ここでP
偏光のみが透過するよう検波されて、偏光変調が輝度変
調に変換される。輝度変調に変換された射出光束は、ク
ロスダイクロイックプリズム209に入射する。
【0019】この画像表示装置においては、表示画像に
応じて、各色光用の反射型TN液晶パネル213,21
4,215においてそれぞれ変調された赤色光、緑色光
及び青色光は、クロスダイクロイックプリズム209に
おいて合成されて、投射光学系208に入射し、スクリ
ーン216上に結像される。
【0020】〔4〕反射型空間光変調素子用照明装置 反射型空間光変調素子用の照明装置として、図25及び
図26に示すように、特開平9−189809号公報に
記載された照明装置がある。この照明装置においては、
図示しない照明光源より放射された読み出し光が、図2
5に示すように、カップリングプリズム305、ガラス
基板304を経て、ホログラムカラーフィルタ303
r,303g,303bに入射する。
【0021】ここで、303r,303g,303b
は、それぞれ赤色用、緑色用、青色用の体積ホログラム
レンズであり、予めレーザ露光により干渉縞が焼き付け
られた略々1画素大の面積を有する各色光用微小レンズ
が積層された構造となっている。1画素大とは、R(赤
色)、G(緑色)、B(青色)の各1画素の計3画素が
組になったものである。これらホログラムカラーフィル
タ303r,303g,303bは、読み出し光のスペ
クトルの赤色光、緑色光、青色光を、反射型液晶パネル
のカバーガラス302、共通電極318、配向膜31
7、液晶層316,配向膜315及び誘電体ミラー膜3
14を通して、画素電極層313上のそれぞれ対応する
色画素電極313r,313g,313bに集光させ
る。
【0022】そして、このホログラムカラーフィルタ3
03r,303g,303bは、入射光の偏光特性に関
する依存性を有している。すなわち、ホログラムカラー
フィルタ303r,303g,303bヘの入射光のう
ち、S偏光が主に回折され、P偏光の回折効率はS偏光
よりも低くなっている。これは、「coupled-wavetheor
y」の厳密解により、例えば、反射型の厚いホログラム
の場合には、ホログラムの厚さtとホログラム内の干渉
縞のピッチΛとにより決まる値(t/Λ)が1乃至5の
場合、図26に示すように、TE(S偏光)、TM(P
偏光)の回折効率には差異が生じ、S偏光はP偏光に比
べて最大45%程度大きくなるためである(参考論文:
M.G.Moharam and T.K.Gayload: Rigourous coupled
-wave analysis of planar grating diffraction,J.0
pt.Soc.Am.71,811-818(1977)、M.G.Moharam an
d T.K.Gayload: Rigourous coupled-wave analysis o
f grating diffractlon E-mode polarization and loss
ws,J.0pt.Soc.Am.73,451-455(1983))。
【0023】ホログラムカラーフィルタ303r,30
3g,303bに対して斜めに入射した読み出し光のう
ちのS偏光成分の光が主に回折されて液晶層316に垂
直に入射し、この照明光のうち偏光方向が90°変調さ
れて反射された光(P偏光成分)は、上述した現象によ
り、回折効果が低いためにほとんど回折作用を受けず
に、ホログラムカラーフィルタ303r,303g,3
03bから垂直に射出する。
【0024】そして、誘電体ミラー膜314により反射
された照明光は、図示しない投射レンズに入射され、こ
の投射レンズによって、スクリーン上に画像を結像す
る。
【0025】〔5〕偏光選択性ホログラム光学素子 偏光選択性ホログラム光学素子を実現する手法はいくつ
かある。例えば、USP5,161,039において公
開されているように、光硬化性樹脂、または、熱硬化性
樹脂と液晶材料とを混合した混合材料を、ガラスプレー
トの間に挟み込んで封止して構成したホログラム光学素
子がある。
【0026】これは、次のような手順により作製され
る。まず、上述の混合材料を封入したパネル上におい
て、レーザ光を干渉させる。これによって発生する干渉
縞は、明部にはフォトンが多く存在し、暗部にはフォト
ンが少ないことによって形成されている。フォトンのエ
ネルギーが高いところ、すなわち干渉縞の明部において
は、光エネルギー、または、熱エネルギーにより、樹脂
が硬化し凝集する。この結果として、干渉縞の暗部には
液晶材料が残存した状態で、樹脂層と液晶層との2つの
領域が形成される。
【0027】このようにして構成された偏光選択性ホロ
グラム光学素子の動作原理について、以下に説明する。
上述のようにして形成した2つの領域のうち、樹脂層は
光学的に等方であるが、液晶層は、異方性、すなわち複
屈折性を有している。また、樹脂層の屈折率n1と液晶
層の常光線屈折率noは、おおよそ等しくなっている。
このため、このホログラム光学素子に入射する光のなか
で、偏光方向が液晶層の常光線にあたる光線にとって
は、樹脂層と液晶層との間の屈折率差が極わずかとな
り、回折現象はほとんど現れない。一方、偏光方向が液
晶層の常光線に直交する方向の偏光成分については、樹
脂層の屈折率n1と液晶層の異常光線屈折率neとが異
なるため、周期的な屈折率変調が与えられ、回折効果が
生ずる。
【0028】また、近年は、光重合を起こすモノマーと
液晶分子とを混合し、ホログラフィックな手法によって
干渉縞を形成するホログラフィック高分子分散液晶(ho
lographically-formed polymer dispersed liquid crys
tals、以下「「H−PDLC」という。)の研究も盛ん
である。
【0029】これは、1980年半ばに発見された光誘
起相分離「PDLC」から派生した技術である(参考論
文:Crawford G.P.and Zumer S.,in Liquid Crystals i
n Complex Geometries, Ulor and Francis, London(1
996))。この「「H−PDLC」について、作製手
法と動作原理について以下に説明する。
【0030】まず、液晶分子、モノマー(プレポリマ
ー)、増感色素、反応開始剤などを混合した材料を、ガ
ラスプレートの間に挟み込んで封止する。これを、レー
ザ光により形成した干渉縞にさらす。すると、干渉縞の
明部においては、モノマーが光重合を開始してポリマー
化する。このため、干渉縞の明部と暗部とにおいて、モ
ノマーの濃度分布が発生し、暗部から明部へのモノマー
の移動が起こる。結果的に、ポリマー濃度に富んだ明部
と、液晶分子が豊富な暗部という相分離による周期構造
ができる。次の段階としては、液晶分子がポリマー相に
直交するように配列する。この現象のメカニズムは現在
のところ解明されていないが、様々な関連の研究がおこ
なわれている(例えば、「C.C.Bowley,A.K.Fontec
chio,andG.P.Crawford,Proc.SID XXX, 958(199
9)」)。
【0031】この後、紫外線照射を行ない、定着プロセ
スを行う。以上のようにして作成されたホログラム光学
素子は、前述のUSP5,161,039にて開示され
ているホログラム光学素子と同様に、ポリマー層の屈折
率と液晶層の常光線屈折率とがほぼ等しく、ポリマー層
の屈折率と液晶層の異常光線屈折率とが異なるため、偏
光選択性ホログラム光学素子として機能する。
【0032】〔6〕ホログラム光学素子の応用技術 次に、ホログラム光学素子の従来の応用例について述べ
る。応用例としては、光スイッチ、画像表示装置用反射
板、投射型画像表示装置用偏光変換器などがある。以
下、これらについて説明する。
【0033】〔6−1〕光スイッチ 光スイッチとしてのホログラム光学素子の応用例を、図
27を参照して説明する。このホログラム光学素子は、
例えば、特開平5−173196号公報に記載されてい
るように、図27中の(a)に示すように、高分子材料
425からなる領域と正のネマティック液晶材料(屈折
率楕円体の長軸が液晶分子の長軸と一致しているネマテ
ィック液晶材料)424からなる領域とが交互に積層さ
れた状態の周期構造を持つホログラム層を、透明電極4
22,423を有するガラスプレートによって挟み込ん
だ構造となっている。
【0034】このホログラム光学素子は、図27中の
(a)に示すように、透明電極に電圧をかけない場合に
は、ネマティック液晶材料(液晶分子)424は、高分
子材料425に対して垂直となるよう配向しているた
め、前述のように、ネマティック液晶材料424に対し
て異常光線となるような偏光方位の入射光については、
周期的な屈折率変動により回折効果が得られる。
【0035】一方、図27中の(b)に示すように、透
明電極422,423間に電圧を印可し、ネマティック
液晶材料(液晶分子)424の長軸を高分子材料425
に対して平行とさせた場合には、上述の図27中の
(a)においてネマティック液晶材料424に対して異
常光線となっていた偏光方位の入射光は、該ネマティッ
ク液晶材料424に対して常光線となり、高分子材料4
25との間に屈折率差は生じないので、回折現象は発生
しない。
【0036】このホログラム光学素子は、このような原
理により、印可電圧を制御することにより、光スイッチ
として機能させることができる。
【0037】〔6−2〕画像表示装置用反射板 また、ホログラム光学素子の画像表示装置用反射板とし
ての応用例としては、例えば、特開平9−138396
号公報に記載されているように、図28に示すように、
外界から直視用反射型液晶パネル502に入射する光線
504を、ホログラム反射板503により正反射方向と
は異なる方位506に反射させることにより、観察者の
瞳507に直視用反射型液晶パネル502の表面反射光
505を入射させることを防止して、コントラストの良
好な画像表示を行おうとするものである。なお、この場
合のホログラムは、偏光性ホログラムである必要はな
い。
【0038】〔6−3〕投射型画像表示装置用偏光変換
器 ホログラム光学素子の投射型画像表示装置用偏光変換器
への応用例においては、例えば、特開平8−23414
3号公報に記載されているように、図29に示すよう
に、光源610から放射される照明光は、アルミ蒸着な
どが施された反射板612により一方向に略平行光束と
して射出される。そして、照明光は、デイフューザ61
5を通過して拡散された後、レンチキュラーアレイ61
6に入射される。これは、LCD(液晶ディスプレイ)
614に照射される照明光の輝度むらを低減し、かつ、
レンチキュラーアレイ616の矩形変換機能などによ
り、照明効率をあげるためである。
【0039】そして、照明光は、透過型偏光選択性ホロ
グラム光学素子618に入射する。ここで、上述のよう
な偏光選択性ホログラム光学素子618の機能により、
P偏光、S偏光の各成分を射出角度により分離する。次
に、照明光は、パターン化された1/2波長板アレイ6
20に入射する。照明光は、この1/2波長板アレイ6
20において、P偏光成分、S偏光成分のうち、LCD
614の入射偏光方位に対して直交している偏光方位成
分が、この1/2波長板アレイ620のパターン化され
た1/2波長板部分を通過し、偏光方位を90°変換さ
れる。
【0040】このホログラム光学素子は、このようにし
て、光源610より放射される照明光の利用効率を向上
させようとするものである。
【0041】
【発明が解決しようとする課題】上述したような画像表
示素子及び画像表示装置について、本発明が解決しよう
とする課題を以下に示す。
【0042】(1)まず、図24に示した反射型空間光
変調素子を用いた投射型の画像表示装置のように、反射
型空間光変調素子を照明するために偏光ビームスプリッ
タ(以下「PBS」という。)を用いた場合には、この
PBSは、少なくとも反射型空間光変調素子の画像表示
部の長辺よりも大きな長さの辺を有する立方体形状とな
るため、反射型空間光変調素子と投射光学系との距離、
すなわち、投射光学系のバックフォーカスを短くするこ
とができない。投射光学系は、バックフォーカスが長く
なると、Fナンバーを小さくすること、すなわち、明る
いレンズとすることが困難となる。したがって、この画
像表示装置においては、光源から発せられる照明光の利
用効率が低い。
【0043】また、この画像表示装置においては、PB
Sを使用していることにより、装置構成の小型化が困難
であり、また、このPBSがガラス製であるために、装
置の軽量化が困難である。さらに、このPBSは、複屈
折及び熱歪みの少ない良質なガラス材により作製しなけ
ればならず、また、P偏光とS偏光との分離のために誘
電体多層膜を用いているため、高価な部品であり、画像
表示装置全体の製造コストの低廉化を困難としている。
また、このPBSは、偏光分離特性の入射波長依存性及
び入射角度依存性が大きいため、このPBSを用いて構
成された画像表示装置においては、高コントラスト、高
均一性、高色再現性を有する画像の表示を行うことが困
難である。
【0044】(2)上述した課題を解決する一つの手段
としては、図25に示したような、PBSを使用しない
反射型空間光変調素子用照明装置が提案されている。し
かしながら、この図25に示す画像表示装置において
は、以下に示すような問題がある。すなわち、反射型空
間光変調素子のウィンドウ面(入射出射面)側に設けら
れたホログラム光学素子303が、偏光選択性ホログラ
ム光学素子ではなく、偏光依存性ホログラム素子である
ため、光利用効率が低い。
【0045】これは、このホログラム光学素子が、屈折
率変動の周期構造を構成する層に複屈折性を有する層を
有していないために、P偏光、S偏光のうちどちらかの
回折効率を0とすることが不可能であることによる。
【0046】また、この画像表示装置においては、画像
表示のための照明光として使われるべきP偏光の回折効
率をなるべく低く抑え、回折によって再び照明光源の方
向に戻らないようにするために、ホログラム光学素子に
より回折されるS偏光照明光を反射型空間光変調素子に
対して垂直方向から傾きをもって入射させ、P偏光に変
換された反射光のホログラム光学素子への再入射角度を
1回目の入射角度と異なる入射角度とすることにより、
回折条件に合致しない状態とする手法が提案されてい
る。
【0047】ところが、この場合、反射型空間光変調素
子からの反射光が垂直方向に対して傾いて射出されてテ
レセントリック性が崩れるため、通常の共軸投射光学系
においては、効率の低下を防止するため、光学系のイメ
ージサークルを大きくする必要が生じる。投射光学系の
イメージサークルを大きくすることは、装置の大型化、
高コスト化を招来することとなる。また、通常の反射型
空間光変調素子においては、光線入射角度が垂直方向か
らずれると、コントラストが劣化する場合が多いので、
この画像表示装置においては、高コントラストの画像表
示が行えないこととなる。
【0048】そして、これらの問題以前に、この画像表
示装置においては、P偏光成分を回折条件に合致しない
状態とすることは非常に困難であるという問題がある。
すなわち、この画像表示装置においては、ホログラムカ
ラーフィルタのホログラムレンズ中心と、反射型空間光
変調素子の画素電極の中心とを、ホログラムレンズの大
きさの0.5程度ずらすようになっている。この場合、
各ホログラムレンズの主光線の反射型空間光変調素子の
画素電極への入射角θinは、 θin=ArcTan〔r/Lp〕 (∵r:ホログラムレンズの半径) (∵Lp:ホログラムレンズと反射型空間光変調素子の
アルミ画素電極との間の厚さ方向の距離)であり、いま
Lp=0.7mm(カバーガラス厚を0.7mmと仮
定)、r=10μm(R、G、Bを合わせた1画素のサ
イズを20μmと仮定)とすると、θinは、 θin=ArcTan〔r/Lp〕=0.82° となる。これは、ホログラムカラーフィルタに入射する
照明光の広がり角(±10°程度)に比較してわずかで
あり、P偏光とS偏光の角度差が、1.64°(=0.
82×2)と小さい場合、これらを入射角度により分離
することは非常に困難である。
【0049】仮に、ホログラムカラーフィルタの回折許
容角度の範囲が1°乃至2°であるとすると、偏光分離
特性は向上するが、照明光の広がり角±10°のうち実
際に回折され有効に使用できる光量は、非常に少なくな
ってしまい、現実的ではない。
【0050】また、ホログラム光学素子の偏光依存性を
利用するためには、S偏光が入射光(すなわち、回折
光)となるように設定する必要があるため、照明光の利
用効率の低下及び表示画像のコントラストの低下を招
く。そして、これら照明光の利用効率の低下や表示画像
のコントラストの低下を抑制するためには、そのための
追加の部材や光学素子が必要となり、装置全体の製造コ
スト増加、重量増加を招く。
【0051】これは、以下の理由による。すなわち、図
30に示すように、ホログラムの厚さを0から次第に厚
くしていく過程において十分な偏光依存性が得られる最
初の状態においては、S偏光に対する回折効率が大とな
り、P偏光に対する回折効率は小となっている。この
後、ホログラムの厚さdを大きくしていくことにより、
逆に、P偏光に対する回折効率が大とし、S偏光に対す
る回折効率をは小とすることも可能である。
【0052】しかしながら、透過型ホログラムの回折効
率の波長依存性、入射角度依存性は、ホログラムの厚さ
が増すとともに高くなる。つまり、ホログラム露光時の
レーザの所定の波長、所定の入射角からのずれの許容量
(回折効率が確保できる範囲)が小さくなってしまい、
光利用効率が低下してしまうという問題がある。
【0053】図31及び図32は、物体光入射角0°、
参照光入射角60°、ホログラムの平均屈折率1.5
2、ホログラム層の屈折率変調度0.05、ホログラム
層の厚さ5μm、露光波長532nmの条件で作製され
たホログラム光学素子を、再生波長532nmで読み出
した場合の回折効率の入射角度依存性を示したものであ
る。厚さ6μmのもの(図31)と、厚さ18μmのも
の(図32)とについて計算した結果である。なお、こ
こでは、入射偏光は、S偏光を仮定している。以上よ
り、実質上、入射偏光はS偏光とする必要があることが
わかる。
【0054】ところで、屈折率が小さい媒体から屈折率
が大きな媒体に光が進行する場合、その表面反射率に
は、図33に示すように、偏光依存性がある。このよう
な偏光依存性により、空気中で屈折率が1.5であるガ
ラスに、P偏光及びS偏光が入射した場合の表面反射率
は、常に、S偏光の方が大きい。また、入射角が、tan
θ=n(=1.5)を満たす角度、すなわち、ブリュー
スター角(この場合は56.3°)のときには、P偏光
の反射率は0となる。このとき、S偏光の反射率は、1
5%程度となる。
【0055】これは、ホログラム光学素子のガラス基板
に、斜め方向から光線を入射(off-axis入射)させる場
合、P偏光を入射させる方が、光の利用効率がよいこと
を意味する。上述のホログラム光学素子では、S偏光を
入射させなければならないので、図25に示すように、
カップリングプリズム305を用いることで効率の低下
を回避している。しかし、このようなカップリングプリ
ズムを用いることは、部品点数の増加、装置の重量増
加、高コスト化を招来する。また、カップリングプリズ
ムを用いても、表面反射率を0とすることはできない。
したがって、迷光の発生や、表示画像のコントラストの
劣化を確実に防止することはできない。
【0056】さらに、カップリングプリズムを用いる
と、照明手段からホログラム層への光線の入射画角は、
照明手段から射出される光線画角そのものとなる。照明
手段から射出される光線画角は、典型的なプロジェクタ
ー光学系の場合には、±10°程度となっており、この
範囲内でホログラム光学素子の回折効率を高い値で均一
に維持することは容易ではない。
【0057】また、次式に示すラグランジュ−ヘルムホ
ルツの不変量にて示されるように、ランプ光源からの照
明光をある面積の画像表示素子に照射しようとして集光
すると、その入射角度(u′)は、画像表示素子の大き
さ(y′)に反比例して小さくなる。
【0058】ynu=y′n′u′(ラグランジュ−ヘ
ルムホルツの不変量) (∵y:光軸からの像高) (∵n:媒質の屈折率) (∵u:光線の傾角) 上式は、積(ynu)なる値が、光学系のどの面におい
ても、不変であることを示している。つまり、左辺の積
ynuが有限の値をとる限り、画像表示素子を小型化す
ると、画像表示素子への入射角はさらに大きくなってし
まう。これは、高効率のホログラム光学素子を実現する
うえで一層不利な要因となる。図31に示したように、
回折効率は、そのピーク値を与える入射角度から+10
°ずれると25%に、−10°ずれるとほぼ0%に低下
してしまうことがわかる。
【0059】また、上述の画像表示装置においては、ホ
ログラム光学素子を常にカラーフィルタとして用いてい
る。そのため、この画像表示装置においては、ホログラ
ム光学素子に略々画素の面積に等しい大きさの微小レン
ズを作成し、これら微小レンズを液晶表示素子の各画素
に対して正確に位置合わせをする工程が必要であり、製
造の困難性及びコスト増が招来されることとなってい
る。
【0060】さらに、上述の画像表示装置においては、
いわゆる「フィールドシーケンシャルカラー手法」及び
色光別に反射型画像表示素子を複数用いる装置構成に対
応することができない。
【0061】また、上述のホログラムカラーフィルタを
用いた画像表示装置においては、入射光について各色光
ごとに分光及び集光をしなくてはならないため、表示画
像の色再現性や高精細化と、照明光の利用効率とは、ト
レードオフの関係になる。
【0062】この関係について以下に説明する。図34
に示すように、ホログラムカラーフィルタ700と反射
型空間光変調素子701の画素電極702との間の距離
をLp、1色画素電極のサイズを2rとし、該1つの色
画素上に照明光が収束するためのホログラムレンズから
の主光線の射出角許容値Δθiを求めてみる。
【0063】Δθi=ArcTan〔r/Lp〕 Lp=0.7mm,r=±5μmとすると、Δθi=±
0.4°となる。
【0064】ここで、ホログラムの干渉縞による入射角
θcと回折射出角θiは、次に示す等式により関係づけ
られる。 (Sin{θs}−Sin{θr})/λ=(Sin{θi}−Si
n{θc})/λc (∵θs:ホログラム製造時の物体光入射角) (∵θr:ホログラム製造時の参照光入射角) (∵λ :ホログラム製造波長) (∵λc:再生波長) これより、いまθs=0°、θr=60°、λ=550
nm、λc=550nm、θi=±0.4°とすると、
θc=60±0.8°となり、照明光束のホログラムカ
ラーフィルタヘの入射角度許容範囲は非常に狭いことが
わかる。また、θs=0°、θr=60°、λ=550
nm、θc=60°、θi=±0.4°とすると、△λ
c=550±4.5nmとなり、照明光のホログラムカ
ラーフィルタヘの入射波長許容範囲は非常に狭いことが
わかる。
【0065】以上のことから、ホログラムカラーフィル
タに入射される照明光は、高い平行度と狭い波長帯域が
要求されることになり、通常のランプ光源を使用する場
合には、発光部が有限(1mm程度)の大きさを有する
こと及び発光波長帯域がブロードであることの2点よ
り、光利用効率が著しく低下することとなる。逆に、光
利用効率を向上させようとすると、画素サイズを大きく
するか、隣接する色画素への漏れ光を許容するといった
手段しかなく、前者においては表示画像の精細度、後者
については色純度、色再現性が、それぞれ低下すること
になる。
【0066】そして、上述の画像表示装置においては、
ホログラム光学素子を反射型として使うことができな
い。これは、図26に示すように、ホログラム光学素子
を反射型で用いて、P偏光とS偏光とで回折効率の差
が、例えば、30%以上となるようにするには、d/Λ
(d:ホログラムの厚さ、Λ:干渉縞のピッチ)が1.
0乃至3.0程度の値となる必要がある(参考論文 M.
G.Moharam andT. K. Gayload: Rigourous coupled-wave
analysis of planar grating diffraction, J.0Dt. So
c. Am. 71, 811-818(1977)からの引用)。
【0067】ここで、 Λ=λ/|2Sin〔(θs−θr)/2〕| (∵θs:物体光の入射角) (∵θr:参照光の入射角) であるから、P偏光、S偏光のどちらかが垂直入射の場
合、反射型ホログラムとなるためには、(θs−θr)
の最小値は90°となる。このとき、 |2Sin〔(θs−θr)/2〕| は、最小値1.41をとる。λ=0.5μmとすると、
このときΛは、最大値0.35μmとなり、d/Λ=
1.0乃至3.0を満たすホログラムの厚さdは、最大
でも1μmとなる。これほど薄いホログラム層を作製す
ることは、非常に困難である。
【0068】上述したような従来より提案されている種
々のホログラム光学素子の応用技術において、照明光を
斜めに入射することにより反射型空間光変調素子を高効
率で照明できる応用技術はなかった。
【0069】次に、反射型空間光変調素子を用いた虚像
表示光学系には、USP5,596,451において公
開されているように、図35に示すように、立方体状の
偏光ビームスプリツタ848の構成面付近に反射型空間
光変調素子836、照明光源834、反射鏡842を配
置した構成がある。
【0070】ところが、この光学系においては、図35
において明らかなように、照明光の一部860が偏光ビ
ームスプリッタ848によって、反射型空間光変調素子
836に到達せずに、直接観察者の観察領域846に達
してしまい、この照明光がノイズとして観察者の瞳82
4に入射することにより、反射型空間光変調素子836
が表示する画像情報のコントラストが低下してしまうと
いう本質的な問題がある。
【0071】また、この光学系では、光学系全体が立方
体状の形状となるため、厚さが大きくなる。また、偏光
ビームスプリッタの誘電体膜864の性能を上げれば製
造コストが高くなってしまうし、逆に、該誘電体謨の性
能が低いと、誘電体膜の偏光反射率や透過率の入射角度
依存性、波長依存性により、特に、瞳の移動に伴って画
像の均一性が低下するという問題がある。
【0072】これを改善するために、特開平11−12
5791号公報に記載されている画像表示装置において
は、図36に示すように、反射型空間光変調素子908
及び自由曲面プリズム910を用いて虚像表示光学系を
構成している。
【0073】この画像表示装置においては、図36に示
すように、反射型空間光変調素子908に対して、光源
912からの照明光を直接入射させ、この反射光を自由
曲面プリズム910に第3面905より入射させ、第1
面903での反射、第2面904での反射、第1面90
3の透過を経て、瞳901に到達させて、虚像表示を行
っている。この光学系の問題点としては、反射型空間光
変調素子908に入射する照明光の入射角が大きくなっ
てしまい、反射型空間光変調素子908自体の変調度が
低下し、表示画像のコントラストが劣化するということ
がある。
【0074】また、図37に示すように、自由曲面プリ
ズム910内を通して光源912より放射される照明光
を反射型空間光変調素子908に入射させ、この反射光
を自由曲面プリズム910に第3面905より入射さ
せ、第1面903での反射、第2面904での反射、第
1面903の透過を経て、瞳901に到達させて、虚像
表示を行う光学系の場合には、主に2つの問題がある。
【0075】第1の問題は、反射型空間光変調素子90
8が偏光変調型(位相変調型)の空間光変調素子である
場合、反射型空間光変調素子908に入射される照明光
は、特定の偏光方位を有する直線偏光でなくてはならな
い。ところが、自由曲面プリズム910は、プラスティ
ック材料にて射出成形で製造されるため、内部に複屈折
を有する。このため、直線偏光光を自由曲面プリズム9
10に入射させても偏光状態が保存されず、表示画像の
コントラストが劣化するという問題が生ずる。これは、
偏光板を反射型空間光変調素子908と自由曲面プリズ
ム910の第3の面(屈折面)905との間に配置する
ことにより、見かけ上回避できるが、このとき、表示モ
ードが「ノーマリーホワイト」となり、やはり表示画像
のコントラストが劣化する要因となる。
【0076】第2の問題は、照明光が接眼光学系である
自由曲面プリズム910に入射されることに伴うもの
で、該照明光が、自由曲面プリズム910内部で、各光
学面903,904,905で内部反射を起こし、迷光
を発生させるということである。この迷光の一部は、観
察者の瞳901に到達するため、やはり表示画像のコン
トラストの劣化の要因となる。
【0077】このように、従来から提案されている種々
の画像表示装置においては、ハーフミラーを用いた照明
光学系においては、装置の小型化が困難であり、また、
照明光の利用効率が低く、偏光ビームスプリッタを用い
た照明光学系においては、装置の小型化が困難であり、
また、表示画像の均一性が低く、製造コストが高く、空
間光変調素子を直接照明する照明光学系及びプラスティ
ック製光学部材を通して照明する照明光学系において
は、表示画像のコントラストの低下という問題がある。
【0078】そこで、本発明は、上述の実情に鑑みて提
案されるものであって、照明光の光利用効率が高く、装
置の小型化、低コスト化が可能であり、また、表示画像
の均一性、高コントラスト性が実現された画像表示素子
及び画像表示装置を提供しようとするものである。
【0079】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
め、本発明に係る画像表示素子は、屈折率の入射偏光方
位依存性が互いに異なる2つの領域を順次積層した構造
を有し照明光を回折させる偏光選択性ホログラム光学素
子と、偏光選択性ホログラム光学素子により回折された
照明光の偏光状態を変調する反射型空間光変調素子とを
備えている。
【0080】そして、この画像表示素子においては、偏
光選択性ホログラム光学素子が、照明光受光面の法線に
対して30°以上90°未満の入射角で照明光を入射さ
れ、照明光のP偏光成分もしくはS偏光成分を回折させ
て反射型空間光変調素子に向けて出射するとともに、こ
の反射型空間光変調素子により位相変調されて再入射す
る照明光のうち、1回目の入射において回折される偏光
成分の偏光方向に直交する偏光方向である偏光成分に対
する回折効率が10%以下であることにより、この偏光
成分を70%以上透過させることを特徴とするものであ
る。
【0081】そして、本発明に係る画像表示装置は、上
述の本発明に係る画像表示素子と、照明光を放射する光
源と、この光源より放射された照明光を画像表示素子の
偏光選択性ホログラム光学素子に入射させる照明光学系
と、画像表示素子の反射型空間光変調素子及び偏光選択
性ホログラム光学素子を経た照明光をスクリーン上に投
射する投射光学系とを備えている。
【0082】この画像表示装置においては、偏光選択性
ホログラム光学素子は、照明光学系により、照明光受光
面の法線に対して30°以上90°未満の入射角で照明
光を入射され、照明光のP偏光成分もしくはS偏光成分
を回折させて反射型空間光変調素子に向けて出射すると
ともに、この反射型空間光変調素子により位相変調され
て再入射する照明光のうち、1回目の入射において回折
される偏光成分の偏光方向に直交する偏光方向である偏
光成分に対する回折効率が10%以下であることによ
り、この偏光成分を70%以上透過させ、投射光学系
は、偏光選択性ホログラム光学素子の透過光をスクリー
ン上に投射することを特徴とするものである。
【0083】また、本発明に係る画像表示装置は、上述
の画像表示装置において、照明光を互いに異なる複数の
波長帯域成分に分離する色分離手段を設け、照明光学系
を、互いに異なる複数の波長帯域成分に分離された照明
光を偏光選択性ホログラム光学素子に入射させるものと
し、反射型空間光変調素子を複数として、偏光選択性ホ
ログラム光学素子により回折された照明光のうちの互い
に異なる複数の波長帯域成分の偏光状態をそれぞれ変調
するものとし、複数の反射型空間光変調素子によりそれ
ぞれ変調された互いに異なる波長帯域の照明光を合成す
る色合成手段を設け、投射光学系を、色合成手段を経た
照明光をスクリーン上に投射するものとしたものであ
る。そして、この画像表示装置は、投射光学系が、偏光
選択性ホログラム光学素子を透過して色合成手段を経た
照明光をスクリーン上に投射することを特徴とするもの
である。
【0084】さらに、本発明に係る画像表示装置は、上
述の画像表示装置において、照明光の互いに異なる第1
及び第2の波長帯域成分の偏光状態を互いに直交する直
線偏光成分として分離させる波長帯域別偏光分離手段を
設け、照明光学系を、第1及び第2の波長帯域成分に分
離された照明光を偏光選択性ホログラム光学素子に入射
させるものとし、第1及び第2の反射型空間光変調素子
を設けてこれらを偏光選択性ホログラム光学素子により
回折された照明光の第1及び第2の波長帯域成分の偏光
状態を対応して変調するものとし、投射光学系を、各反
射型空間光変調素子を経た照明光をスクリーン上に投射
するものとしたものである。そして、この画像表示装置
は、投射光学系が、第1の反射型空間光変調素子及び偏
光選択性ホログラム光学素子を経た第1の波長帯域成分
の照明光と、第2の反射型空間光変調素子及び偏光選択
性ホログラム光学素子を経た第2の波長帯域成分の照明
光とを、スクリーン上に投射することを特徴とするもの
である。
【0085】そして、本発明に係る画像表示装置は、上
述の画像表示装置において、投射光学系に代えて、反射
型空間光変調素子を経た照明光を観察者の瞳に導く虚像
観察光学系を設け、この虚像観察光学系は、偏光選択性
ホログラム光学素子の透過光を観察者の瞳に導くものと
したことを特徴とするものである。
【0086】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。
【0087】〔1〕偏光選択性ホログラム光学素子を用
いた反射型画像表示素子 本発明に係る画像表示素子として、高分子分散液晶(以
下、「PDLC」という。)を材料とした液晶パネルを
偏光選択性ホログラム光学素子として有している実施の
形態について説明する。
【0088】初めに、図1に示すように、「PDLC」
を使った偏光選択性ホログラム光学素子について、構造
及び製造プロセスについて説明する。なお、製造プロセ
ス中は、素子の温度を60°C程度に保っておくことが
重要である。
【0089】まず、光重合を起こす前の高分子(以下、
プレポリマーという。)、TN液晶、開始剤、色素など
が混合された「PDLC」をガラス基板1、2間に挟み
込む。このとき、TN液晶の重量割合は、全体の30%
程度とする。また、この「PDLC」の層厚(以下、セ
ルギャップという。)は、2μm乃至15μmの範囲
で、偏光選択性ホログラム光学素子の仕様にあわせて最
適値を選ぶ。
【0090】次に、「PDLC」パネル3に干渉縞を記
録するために、図示しないレーザ光源からの物体光4及
び参照光5を「PDLC」パネル3に照射し、干渉によ
る光の強弱Bを発生させる。このとき、干渉縞の明るい
ところ、すなわち、光子のエネルギーが大きい場所で
は、そのエネルギーにより、「PDLC」中のプレポリ
マーが光重合を起こしポリマー化する。このため、プレ
ポリマーが周辺部から次々に供給され、結果的にポリマ
ー化したプレポリマーが密な領域と疎な領域とに分かれ
る。プレポリマーが疎な領域では、TN液晶の濃度が高
くなり、こうして、高分子領域6と液晶領域7の2つの
領域が形成される。
【0091】本実施の形態の場合、物体光4と参照光5
とが「PDLC」パネル3に対して同じ面側から照射さ
れているため、これによって製造される偏光選択性ホロ
グラム光学素子は透過型となるが、物体光4と参照光5
とを「PDLC」パネル3に対して互いに異なる面側か
ら照射すれば、反射型の偏光選択性ホログラム光学素子
を製造することができる。
【0092】ところで、前述のようにして製造された
「PDLC」パネル3の高分子領域6は、屈折率に関し
て等方的で(屈折率等方性を有し)、その値は、例え
ば、1.5となされている。一方、「PDLC」パネル
3の液晶領域7においては、TN液晶分子が、長軸を高
分子領域6との境界面に対して略々垂直にして並んでい
る。このため、液晶領域7は、屈折率異方性を有し、屈
折率が入射光方位依存性を有しており、この場合、常光
線となるのは、「PDLC」パネル3の光線入射面8に
入射する再生光5を考えた場合、S偏光成分である。
【0093】そして、この液晶領域7の常光線屈折率n
loを高分子領域6の屈折率npに略々等しく(例えば、
屈折率差が0.01未満と)すれば、入射S偏光成分に
対する屈折率の変調は極めて小さく、回折現象はほとん
ど生じない。一般に、TN液晶の常光線屈折率nloと異
常光線屈折率nleとの差Δnは、0.1乃至0.2程度
であるため、入射方向が等しい再生光5の場合でも、そ
のP偏光成分については、高分子領域6と液晶領域7と
の間に屈折率差が生じていることとなり、この「PDL
C」パネル3は、位相変調型ホログラムとして機能し回
折効果を示す。
【0094】これが、「PDLC」パネルを用いた偏光
選択性ホログラム光学素子(以下、「H−PDLC」パ
ネルという)の動作原理である。
【0095】本実施の形態におけるホログラム光学素子
は、「coupled-wavetheory」により導かれる偏光依存性
を利用したものであり、本質的に偏光選択性ホログラム
光学素子ではない。そのため、実効的には、S偏光回折
効率とP偏光回折効率との差は30%乃至50%程度と
考えられる。例えば、S偏光回折効率が70%、P偏光
回折効率が30%と仮定すると、光利用効率は、表面反
射や吸収による損失を無視した場合でも、49%(=7
0%×70%)となる。参考に、入射角42°、干渉縞
傾角120°の透過型ホログラムの場合の回折効率の偏
光依存性を示したものを図30に示す(参考論文:
「M.G,Moharam and T.K.Gayload: Rigourous coupled
-wave analysis of planar grating diffraction,J.0p
t.Soc.Am.71,811-818(1977)」)。これより、+1
次のS偏光回折効率とP偏光回折効率との差(図30中
のH(P偏光に相当)とE(S偏光に相当)との差)
は、d/Λ(d:ホログラムの厚さ、Λ:干渉縞のピッ
チ)が5.0のときで、約20%となっている。
【0096】〔2〕画像表示素子の実施の形態(第1乃
至第3の実施の形態) 次に、前述の「H−PDLC」パネルを用いた本発明に
係る反射型画像表示素子の第1の実施の形態について、
図2を参照して説明する。この画像表示装置において
は、図1で説明した「H−PDLC」パネル3に、反射
型空間光変調素子となる反射型FLC液晶パネル10
が、界面11において光学的に密着されて配設されてい
る。
【0097】本発明に係る画像表示素子において、空間
光変調素子は、この空間光変調素子において反射される
光を変調する反射型空間光変調素子であって、入射光の
偏光状態を変調する偏光変調型空間光変調素子であり、
例えば、入射直線偏光の偏光方向を回転して反射するも
のである。
【0098】反射型FLC液晶パネル10の構造、動作
原理は、図23において上述した内容と同一である。本
実施の形態の「H−PDLC」パネル3は、図2に示す
ように、入射角0°の物体光4と、入射角θin-airの参
照光5によって製造されている。このときの干渉縞の傾
き角θintを求める。
【0099】いま、仮定としてガラス基板1の屈折率を
ngla、「PDLC」の平均屈折率も簡単のために同じ
くn glaとすると、下式が成立する。
【0100】 n gla Sin(θin-med)=Sin(θin-air) (∵θin-med :媒質中での入射角) この式において、n gla=1.5、θin-air=60°と
すると、θin-med=35.3°となる。これより、干渉
縞の傾き角θintは、 θint=θin-med/2=17.7° となる。
【0101】次に、この画像表示装置の動作原理を説明
する。まず、P偏光成分とS偏光成分両方を含む再生光
5が入射角θin-airで「H−PDLC」パネル3のガラ
ス基板1より入射する。ガラス基板1で屈折された入射
光は、続いてホログラム層9に、入射角θin-medにて入
射する。
【0102】このとき、この構成のホログラム層9にお
いては、前述したように、P偏光成分は、回折されて、
反射型FLC液晶パネル10に対して略々垂直に入射光
51として入射する。そして、このP偏光成分は、アル
ミ反射面14で反射され、FLC層13を往復すること
により変調され、ホログラム層9に再入射する。このと
き、P偏光成分は、ホログラム層9において再び回折さ
れて射出光53として再生光5の逆方向に戻り、S偏光
成分は、ホログラム層9にて回折されることなく、射出
光52として「H−PDLC」パネル3から垂直に射出
する。
【0103】一方、再生光5のS偏光成分は、「H−P
DLC」パネル3のホログラム層9にて回折されること
なく、そのままθin-medの入射角にて反射型FLC液晶
パネル10に入射する。このとき、S偏光成分は、反射
型FLC液晶パネル10のFLC層13を通過すること
により偏光状態の変調を受けるが、アルミ反射面14で
反射された反射光54は、ホログラム層9が厚いホログ
ラムであるため回折条件に合致せず、S偏光成分はもち
ろんP偏光成分もほとんど回折されることなく「H−P
DLC」パネル3を透過していく。たとえFLC層13
での変調により生じたP偏光成分の一部がホログラム層
9で回折されたとしても、反射光54の射出方向を射出
光52との射出方向に対して十分に異なった方向として
おくか、または、射出光52の光路中に射出光52が主
に有する偏光成分を選択的に透過させる偏光板を設置す
ることにより、これら反射光54と射出光52とを分離
することができる。
【0104】すなわち、本発明に係る画像表示装置にお
いては、偏光選択性ホログラム光学素子は、照明光学系
により、照明光受光面の法線に対して30°以上90°
未満の入射角で照明光が入射され、照明光のP偏光成分
もしくはS偏光成分を回折させて反射型空間光変調素子
に向けて出射するとともに、この反射型空間光変調素子
により位相変調されて再入射する照明光のうち、1回目
の入射において回折される偏光成分の偏光方向に直交す
る偏光方向である偏光成分に対する回折効率が10%以
下であることにより、この偏光成分を70%以上透過さ
せるものである。
【0105】ここで、「厚いホログラム」について説明
する。「厚いホログラム」の定義は、次に示すQ値が1
0以上であることとする(参考図書:辻内順平著「ホロ
グラフィー」(裳華房))。Q値は、以下の式により定
義される。
【0106】Q=2πλt/(nΛ) (∵λ:再生波長) (∵t:ホログラム層の厚さ) (∵n:ホログラム層の平均屈折率) (∵Λ:干渉縞のピッチ) そして、干渉縞のピッチΛは、以下のようにして決ま
る。
【0107】 Λ=λc/|2Sin{(θs−θr)/2}| (∵λc:製造波長) (∵θs:物体光の入射角) (∵θr:参照光の入射角) 仮に、λc=0.55μm、θs=60°、θr=0
°、λ=0.55μm、t=5μm、n=1.5とする
と、干渉縞のピッチΛ=0.55μm、Q=38.1と
なり、厚いホログラムの定義にあてはまる。
【0108】厚いホログラムは、回折効率が高いが、製
造のときの使用波長、物体光、参照光の入射角などの構
成から、再生光の条件がはずれると回折効率が急激に低
下するという特徴をもつ。つまり、ある再生波長におい
て、回折効率のピークを与える入射角から再生光の入射
角が大きくはずれると、回折効果を現さないということ
になる。そのため、前述のように反射光54は、たとえ
P偏光成分であっても、ホログラム層9にて回折されに
くくなる。
【0109】本発明における偏光選択性ホログラム光学
素子は、高い回折効率を目的として干渉縞のピッチΛを
小さくするために、ベンド角|θs−θr|を30°以
上に設定することを特徴としている。ただし、ベンド角
が大きすぎる(例えば、80°以上である)と、回折効
果を発生する波長帯域及び入射角度範囲が小さくなり、
光利用効率が低下してしまう。
【0110】実際の画像表示においては、図23にて上
述したように、画素ごとに反射型FLC液晶パネル10
のFLC層13が制御され反射光の偏光状態が変調され
るため、主にS偏光成分を有する射出光52により画像
表示が可能となる。
【0111】ここで、「H−PDLC」パネル3への再
生光入射角θin-airとホログラム層9への入射角θin-m
edについて考える。両者の関係は、上述したように、 ngla・Sin(θin-med)=Sin(θin-air) となっている。ここで、両者の変化率を見てみると、例
えば、ngla=1.5として、θin-airが55°から6
5°まで10°変化するとき、θin-medは、33.1°
から37.2°と4.1°の変化にとどまる。θin-air
が65°から75°まで10°変わる場合には、θin-m
edは、37.2°から40.1°と2.9°の変化とな
る。これは、Sin関数の変化率の大きいところを、ある
倍率(この場合、nglaの逆数)をかけることにより変
化率の小さいところに移動することに他ならない。そし
て、このことは、前述のように、「H−PDLC」パネ
ル3の回折効率の再生光入射角依存性による均一性の劣
化及び回折効率の低下を低減することができることを意
味している。
【0112】また、このθin-medのθin-airに対する変
化率は、nglaが大きい程小さくできる。例えば、ngla
=1.73の場合、θin-airが55°から65°まで変
化するとき、θin-medは、28.3°から31.6°と
3.3°の変化にとどまる。ただし、「H−PDLC」
パネル3への再生光入射角θin-airが、あまりに大きく
(例えば、75°以上と)なると、上述の図33のよう
に、S偏光光のみならず、P偏光光の表面反射率も大き
くなっていき、これを反射防止膜などで小さく抑えるこ
とが難しくなってくる。
【0113】そこで、「H−PDLC」パネル3への再
生光入射角θin-airが75°を越えるような場合には、
図3(第2の実施の形態)に示すように、カッブリング
プリズム20を用いることが有効となる。ただし、この
場合には、「H−PDLC」パネル3への再生光入射角
θin-airと、ホログラム層9への再生光入射角θin-med
とが等しくなり、ホログラム層9自体が比較的広い許容
入射角度範囲を持たない場合には、光利用効率が低下し
てしまう。
【0114】本発明に係る反射型画像表示素子は、この
カップリングプリズム20を用いると仮定した場合に、
回折光を略々垂直に反射型空間光変調素子に入射させる
ときに、ベンド角が30°以上となる偏光選択性ホログ
ラム光学素子への入射角、すなわち、30°を最低入射
角として規定している。
【0115】高帯域の再生光に対して高い回折効率を維
持するためには、図4(第3の実施の形態)に示すよう
に、複数の偏光選択性ホログラム光学素子3R、3G、
3Bを積層し、反射型空間光変調素子10を照明する照
明光の波長帯域を複数に分け、それぞれの帯域を1つの
偏光選択性ホログラム光学素子で回折させるようにす
る。
【0116】本実施の形態の場合には、3層構造となっ
ているが、これ以上でも、または、2層構成でもよい。
また、入射角度範囲の大きい再生光に対して高い回折効
率を維持するためには、入射角度の受容範囲の異なる複
数の偏光選択性ホログラム光学素子を積層し、それぞれ
の入射角度範囲を1つの偏光選択性ホログラム光学素予
により主に回折させるようにすればよい。
【0117】〔3〕投射型画像表示装置に関する実施の
形態(第4の実施の形態) 上述したような偏光選択性ホログラム光学素子及び反射
型空間光変調素子を備えた投射型画像表示装置について
の実施の形態について説明する。
【0118】本発明の第4の実施の形態として、図5に
示すように、反射型空間光変調素子として反射型FLC
パネルを用いて、カラー投射型画像表示装置を構成する
ことができる。この画像表示装置においては、照明光源
20より放射される照明光は、光束断面形状の補正、強
度の均一化、発散角制御などの機能を有する照明光学系
21に入射する。照明光学系21は、図示しない偏光変
換手段を有しており、本実施の形態の場合、偏光選択性
ホログラム光学素子3への入射光がP偏光光となるよう
に、照明光のS偏光成分の偏光方位を90°回転させる
ことによりP偏光光に変換して、光利用効率を向上させ
ている。照明光学系21を通過した照明光は、カラーホ
イール22を通過し、補正用偏光選択性ホログラム光学
素子23へ入射する。カラーホイール22は、照明光源
20より放射される白色光を、赤色光、緑色光、青色光
のスペクトル成分に時分割するもので、これにより、単
板の反射型FLCパネル10を用いて、いわゆる「フィ
ールドシーケンシャルカラー手法」により、カラー表示
が可能となる。
【0119】補正用偏光選択性ホログラム光学素子23
へ入射した照明光は、ここで、P偏光成分のみが回折さ
れて射出角約60°で射出される。S偏光成分は、回折
されることなく、補正用偏光選択性ホログラム光学素子
23を直進して透過する。補正用偏光選択性ホログラム
光学素子23において回折されるP偏光成分を主とする
照明光は、続いて、偏光選択性ホログラム光学素子3に
入射する。
【0120】ここで、補正用偏光選択性ホログラム光学
素子23と偏光選択性ホログラム光学素子3とは、同一
の構成のものを用いており、しかも互いに平行に配置さ
れている。そのため、偏光選択性ホログラム光学素子3
への照明光の入射角は、補正用偏光選択性ホログラム光
学素子23からの照明光の射出角に等しい。
【0121】これは、以下のような2つの主要なメリッ
トをもたらす。第1に、波長による回折角のばらつきを
相殺できるという点であり、第2に、波長による回折効
率の入射角度依存性の差異を補正するという点である。
【0122】第1のメリットについて説明する。ホログ
ラムの干渉縞における入射角θcと回折角θiとは、次
に示す等式により関係づけられる。
【0123】(Sin{θs}−Sin{θr})/λ=(Sin
{θi}−Sin{θc})/λc (∵θs:ホログラム製造時の物体光入射角) (∵θr:ホログラム製造時の参照光入射角) (∵λ :ホログラム製造波長) (∵λc:再生波長) すなわち、ある特定の干渉縞を有するホログラムの回折
角は、入射光線の波長に依存することになる。そして、
干渉縞ピッチΛが小さいほどその変化率は大きい。な
お、干渉縞ピッチΛは、下記の式に示す関係を有する。
【0124】Λ=λ/|Sin{θs}−Sin{θr}| 例えば、θs=0°、θr=60°、λ=550nm、
θc=60°とすると、λcが450nmから650n
mまで変化すると、回折角θiは、9°から−9°まで
変化する。これは、波長により反射型空間光変調素子へ
の照明光入射角が異なることを意味する。
【0125】投射型画像表示装置のような実像結像系の
場合、このような照明光入射角の変化による主要な問題
の1つに、光利用効率の低下があげられる。つまり、反
射型空間光変調素子への照明光が拡散してしまい、投射
光学系の集光率が低下してしまうという現象が起こる。
また、虚像表示装置の場合には、観察者の瞳移動に伴い
表示画像の色味が変化してしまうという問題につなが
る。これらの問題は、偏光選択性ホログラム光学素子3
の回折許容スペクトル幅を小さくして、波長帯域別に複
数の偏光選択性ホログラム光学素子3を用意することで
抑制することが可能である。
【0126】ただし、照明光を波長帯域別に限りなく小
さく分割することは現実的ではなく、したがって、完全
に回折角の波長依存性をなくすことは難しい。そこで、
2つの同等の性能を有する偏光選択性ホログラム光学素
子3,23を用いてこれを補正することとしたものであ
る。
【0127】偏光選択性ホログラム光学素子3により回
折されて反射型空間光変調素子10に入射したS偏光の
照明光は、この反射型空間光変調素子10により位相が
変調され、再び偏光選択性ホログラム光学素子3を透過
し、S偏光光のみを選択的に透過する偏光板24を通し
て、投射光学系25に入射する。この投射光学系25に
より、反射型FLCパネル10上に表示される光学像が
スクリーン26上に拡大投影される。
【0128】一方、P偏光成分のうち偏光選択性ホログ
ラム光学素子3にて回折されない残りの往路の照明光
は、そのまま偏光選択性ホログラム光学素子3を透過
し、反射型空間光変調素子10のアルミ反射面14にて
正反射され、再び図5中のCの方向に射出される。この
照明光は、迷光となり、表示画像のコントラスト劣化を
招く恐れがあるため、光吸収手段27にてそのエネルギ
ーが吸収される。
【0129】補正用偏光選択性ホログラム光学素子23
による入射角の補正について、図6を参照して説明す
る。上述の式より、補正用偏光選択性ホログラム光学素
子23における回折光の射出角θi-1は、下記の式で表
される。
【0130】Sin(θi-1)=λc/λ(Sin{θs}−S
in{θr})+Sin(θc) ここで、θs=θc=0°とすると、 Sin(θi-1)=−λc/λSin(θr) ・・・・式(1) すなわち、再生波長λcが長いほど、θi-1は大きくな
る。いま、再生波長L(例えば赤色),M(例えば緑
色),S(例えば青色)が、L>M>Sの関係を満たす
とき、それぞれの回折射出角θi-1L,θi-1M,θi-1S
は、以下の関係を満たす。 θi-1L>θi-1M>θi-1S 次に、これを補正用偏光選択性ホログラム光学素子23
と平行に配置された偏光選択性ホログラム光学素子3に
適応すると、入射角は、θi-1となるためその射出角θi
-2は、下記の式を満たす。 (Sin{θs}−Sin{θr})/λ =(Sin{θi-2}−Sin{θi-1})/λc ・・・・式(2) 式(1)、式(2)より、θi-2=θs=0°となり、
再生波長にかかわらず、反射型空間光変調素子10への
照明光入射角を、常に0°とすることが可能となる。
【0131】次に、上述した第2のメリットについて説
明する。図7、図8及び図9に、製造波長532nm、
物体光入射角0°、参照光入射角60°、平均屈折率
1.52、ホログラム厚5μmの、偏光選択性ホログラ
ム光学素子の回折効率の入射角度依存性を示す。図7
は、再生波長が450nm、図8は、再生波長が550
nm、図9は、再生波長が650nmの場合である。
【0132】これらの回折効率の入射角度依存性と再生
波長との関係より、回折効率のピークを与える入射角が
波長によって異なり、長波長側は入射角度が大きい方が
回折効率が高く、短波長側は入射角度が小さい方が回折
効率が高くなっていることがわかる。そして、図6から
もわかるように、補正用偏光選択性ホログラム光学素子
23を用いることにより、長波長側の照明光の偏光選択
性ホログラム3ヘの入射角は大きく、短波長側は小さく
なっている。このことから、補正用偏光選択性ホログラ
ム光学素子23を用いることにより、広い波長帯域にお
いて高い回折効率が得られ、高い光利用効率を維持する
ことが可能となる。
【0133】以上のように、偏光選択性ホログラム光学
素子3と補正用偏光選択性ホログラム光学素子23とを
組み合わせることにより、広い波長帯域の照明光におい
ても、高い効率で反射型空間光変調素子10を同一入射
角にて照明することが可能となる。
【0134】ただし、本実施の形態においては、反射型
空間光変調素子10に対する主光線の入射角を0°では
なくθob1に設定している。これは前述のように、厚い
透過型ホログラムの回折効率は、ベント角がある程度大
きくないと高い屈折率が確保できないため、そのベンド
角を大きく設定するためである。そのため、このθob1
は、入射面内で偏光選択性ホログラム素子3のベント角
を大きくする方向に設定される。このとき、このθob1
を大きくとりすぎると、反射型空間光変調素子10のコ
ントラストの劣化、投射光学系25の大型化、表示画像
の収差の増大などの問題が発生するため、通常は30°
以内にするのが望ましい。
【0135】ただし、投射光学系25を偏心光学系と
し、反射型空間光変調素子10からの斜め射出光を有効
に利用することにより、表示画像中心を投射光学系25
の光軸からずらしながらも、投射光学系25の有効系を
小さくすることも可能である。
【0136】また、反対に、偏光選択性ホログラム光学
素子の屈折率変調度が十分大きい場合(例えば、0.0
5以上)には、ベンド角50°程度でも十分な回折効率
が確保できるため、許容波長帯域、許容入射角度を広げ
るため、θob1をベンド角を小さくする方向に設定する
方が有利となる。この場合も、上述した理由から、θob
1の絶対値はあまり大きくすることはできず、10°程
度が望ましい。
【0137】ベンド角大(θob1=10°)の場合と、
ベンド角小(θob1=−10°)の場合について、回折
効率の再生波長及び入射角依存性を、図10及び図11
に示す。これら図10及び図11より、ベンド角小(θ
obl=−10°)の場合、再生波長及び入射角度による
回折効率劣化が低減されていることがわかる。
【0138】〔4〕画像表示装置の第5の実施の形態 本発明の第5の実施の形態として、反射型空間光変調素
子として反射型TN液晶パネルを用いたカラー投射型画
像表示装置について、図12を参照して説明する。
【0139】この画像表示装置においては、照明光源2
0より放射される照明光は、光束断面形状の補正、強度
の均一化、発散角制御などの機能を有する照明光学系2
1に入射する。本照明光学系21は、図示しない偏光変
換手段を有しており、本実施の形態の場合、偏光選択性
ホログラム光学素子3への入射光がP偏光光となるよう
に、S偏光成分の照明光の偏光方位を90°回転させる
ことによりP偏光光に変換し、光利用効率を向上させて
いる。
【0140】照明光学系21を通過した照明光は、P偏
光光を選択的に透過させる偏光板28を通過し、青色
用、緑色用、赤色用ダイクロイックミラー29,30,
31へ入射する。これらダイクロイックミラー29,3
0,31は、それらの反射面と照明光の進行方向とのな
す角θb,θg,θrが、θb<θg<θrという関係
を有して配置されている。これにより、これらダイクロ
イックミラー29,30,31は、前述の第4の実施の
形態において図5により示した補正用偏光選択性ホログ
ラム光学素子23と同様の役割を果たす。
【0141】つまり、偏光選択性ホログラム光学素子3
への赤色光の入射角度が最も大きく、以下、緑色光、青
色光の順となる。偏光選択性ホログラム光学素子3に入
射した各色光は、それぞれ各色光用に設けられた3層の
ホログラム層9r、9g、9bにより、反射型空間光変
調素子の対応する色のアルミ画素電極14r、14g、
14bに集光される。TN液晶層13を往復した照明光
は、位相変調され、そのS偏光成分は偏光選択性ホログ
ラム光学素子3にて回折されることなく透過し、S偏光
成分を選択的に透過させる偏光板24を経て、投射光学
系25に入射する。投射光学系25に入射した画像光束
は、スクリーン26上に投射される。
【0142】〔5〕画像表示装置の第6の実施の形態 本発明の第6の実施の形態として、図13に示すよう
に、反射型空間光変調素子として3つの反射型反強誘電
性液晶パネル10r,10g,10bを用いたカラー投
射型画像表示装置について説明する。
【0143】この画像表示装置においては、照明光源2
0より放射される照明光は、光束断面形状の補正、強度
の均一化、発散角制御などの機能を有する照明光学系2
1に入射する。本照明光学系21は、図示しない偏光変
換手段を有しており、本実施の形態の場合、偏光選択性
ホログラム光学素子3への入射光がP偏光光となるよう
に、照明光のS偏光成分の偏光方位を90°回転するこ
とによりP偏光光に変換し光利用効率を向上させる。
【0144】照明光学系21を通過した照明光は、補正
用偏光選択性ホログラム光学素子23へ入射し、ここ
で、P偏光成分のみが回折され射出角約60°で射出さ
れる。S偏光光は、回折されることなく補正用偏光選択
性ホログラム光学素子23を直進して透過する。
【0145】補正用偏光選択性ホログラム光学素子23
にて回折されたP偏光成分である照明光は、このP偏光
成分を選択的に透過させる偏光板28を透過し、偏光選
択性ホログラム光学素子3に入射する。このとき、補正
用偏光選択性ホログラム光学素子23と偏光選択性ホロ
グラム光学素子3とは、同一の構造のものを用いてお
り、しかも互いに平行に配置されているため、この偏光
選択性ホログラム光学素子3への照明光の入射角は、補
正用偏光選択性ホログラム光学素子23からの照明光の
射出角に等しくなっている。
【0146】偏光選択性ホログラム光学素子3に入射す
る主にP偏光成分からなる照明光は、偏光選択性ホログ
ラム光学素子3より略々垂直に射出する方向に回折さ
れ、クロスダイクロイックプリズム32に入射し、この
クロスダイクロイックプリズム32により、赤色光、緑
色光、青色光にそれぞれ分光される。
【0147】分光された各色光は、対応する反射型空間
光変調素子10r、10g、10bに入射し、ここで各
色光ごとに、また、画素ごとに変調されて反射される。
変調された各色光は、再びクロスダイクロイックプリズ
ム32に入射し、再合成された後、再び偏光選択性ホロ
グラム光学素子3へ入射する。このとき、S偏光成分
は、偏光選択性ホログラム光学素子3において回折され
ずに透過し、さらに、S偏光成分を選択的に透過させる
偏光板24を透過して、投射光学系25に入射する。そ
して、この投射光学系25により、スクリーン26上に
表示画像が結像される。
【0148】〔6〕画像表示装置の第7の実施の形態 本発明の第7の実施の形態として、図14に示すよう
に、反射型空間光変調素子として2つの反射型FLCパ
ネルを用いたカラー投射型画像表示装置について説明す
る。
【0149】この画像表示装置においては、照明光源2
0より放射される照明光は、光束断面形状の補正、強度
の均一化、発散角制御などの機能を有する照明光学系2
1に入射する。本照明光学系21は、図示しない偏光変
換手段を有しており、本実施の形態の場合、偏光選択性
ホログラム光学素子3への入射光がP偏光光となるよう
に、照明光のS偏光成分の偏光方位を90°回転するこ
とによりP偏光光に変換し光利用効率を向上させる。
【0150】照明光学系21を通過した照明光は、この
P偏光成分を選択的に透過する偏光板28を透過した
後、カラーシャッタ22に入射する。このカラーシャッ
タ22は、照明光源20より放射され直線偏光となされ
た白色光のうちの特定の波長帯域の偏光方位を90°回
転させる機能を有している。したがって、カラーシャッ
タ22を透過した照明光を偏光検波することにより、部
分スペクトル成分に時分割することができる。このよう
な時分割により、単板の反射型FLCパネル10によっ
て「フィールドシーケンシャルカラー手法」によりカラ
ー表示が可能となる(参考論文:「Gray D.Sharp and
Kristina M.Johnson,High Brightness Saturated Col
or Shutter Technology,SID Symposium,Vo1.27,p41
1(1996)」)。
【0151】本実施の形態においては、このカラーシャ
ッタ22を、赤色光及び青色光(マゼンタ)、赤色光及
び緑色光(黄色)の2つのスペクトルを時分割で透過さ
せるように制御する。すなわち、照明光源20より入射
する緑色光と青色光の偏光方向を交互に90°回転させ
る。カラーシャッタ22を透過した照明光は、補正用偏
光選択性ホログラム光学素子23へ入射し、ここで、P
偏光成分のみが回折されて射出角約60°で射出され
る。このとき、先程のカラーシャッタ22にてS偏光光
となされた緑色光、または、青色光は、回折されること
なく交互に補正用偏光選択性ホログラム光学素子23を
直進して透過する。
【0152】補正用偏光選択性ホログラム光学素子23
において回折された主にP偏光成分からなる照明光は、
偏光選択性ホログラム光学素子3に入射する。このと
き、補正用偏光選択性ホログラム光学素子23と偏光選
択性ホログラム光学素子3とは、同一の構成を有してお
り、しかも互いに平行に配置されているため、偏光選択
性ホログラム光学素子3への照明光の入射角は、補正用
偏光選択性ホログラム光学素子23からの照明光の射出
角に等しくなっている。
【0153】偏光選択性ホログラム光学素子3に入射す
る照明光のP偏光成分は、偏光選択性ホログラム光学素
子3より略々垂直に射出するように回折されて、ダイク
ロイックプリズム34に入射する。ダイクロイックプリ
ズム34に入射した照明光は、赤色光のみが進行方向を
90°偏向され、残りの、主に緑色光、青色光の波長帯
域の照明光は透過する。分光された2つの色光は、対応
する反射型空間光変調素子10r,10gbに入射し、
これら反射型空間光変調素子10r,10gbにおい
て、各色光ごとに、また、画素ごとに変調されて反射さ
れる。
【0154】ただし、緑色光、青色光については、「フ
ィールドシーケンシャルカラー手法」により、時分割で
表示される。緑色光、青色光について時分割表示とし、
赤色光について時分割表示としないのは、通常のランプ
光源を用いた場合には、眼の視感度を考慮して白バラン
スをとると、赤色光が最も出力が不足するためである。
【0155】変調された各色光は、再びダイクロイック
プリズム34に入射して再合成され、再度偏光選択性ホ
ログラム光学素子3へ入射する。このとき、S偏光成分
は回折されずに透過し、さらに、S偏光成分を選択的に
透過させる偏光板24を経て投射光学系25に入射す
る。そして、この投射光学系25により、スクリーン2
6上に表示画像が結像される。
【0156】また、図15に示すように、補正用偏光選
択性ホログラム光学素子23と偏光選択性ホログラム光
学素子3との間を硝子プレート20によって充填し、補
正用偏光選択性ホログラム光学素子23及び偏光選択性
ホログラム光学素子3のホログラム層の実効的ベンド角
を大きくすることにより、回折効率を向上させることが
できる。
【0157】ただし、このとき、補正用偏光選択性ホロ
グラム光学素子23及び偏光選択性ホログラム光学素子
3において回折効果が生ずる波長帯域、入射角度範囲は
減少する。なお、補正用偏光選択性ホログラム光学素子
23と硝子プレート20との間、及び、偏光選択性ホロ
グラム光学素子3と硝子プレート20との間は、それぞ
れ光学的に密着させる必要がある。
【0158】〔7〕画像表示装置の第8の実施の形態 本発明の第8の実施の形態として、図16に示すよう
に、反射型空間光変調素子として3つの反射型TN垂直
配向液晶パネル10r,10g,10bを用いたカラー
投射型画像表示装置について説明する。
【0159】この画像表示装置においては、照明光源2
0より放射される照明光は、光束断面形状の補正、強度
の均一化、発散角制御などの機能を有する照明光学系2
1に入射する。本照明光学系21は、図示しない偏光変
換手段を有しており、本実施の形態の場合、偏光選択性
ホログラム光学素子3への入射光がP偏光光となるよう
に、照明光のS偏光成分の偏光方位を90°回転するこ
とによりP偏光光に変換し光利用効率を向上させる。
【0160】照明光学系21を通過した照明光は、補正
用偏光選択性ホログラム光学素子23へ入射し、ここ
で、P偏光成分のみが回折及び反射され、偏光選択性ホ
ログラム光学素子3に入射する。照明光のS偏光成分
は、補正用偏光選択性ホログラム光学素子23において
回折されることなく、直進してこの補正用偏光選択性ホ
ログラム光学素子23を透過する。
【0161】ここで、補正用偏光選択性ホログラム光学
素子23は、反射型偏光選択性ホログラム光学素子とな
っている。反射型の場合、透過型に比べて回折波長帯域
の許容値が小さいため、照明光源20にはなるべくスペ
クトルに急峻なピーク値をもつものを用いるか、また
は、ホログラムを複数の波長帯域ごとに作成し、これを
積層して補正用偏光選択性ホログラム光学素子23とす
ることが効果的である。
【0162】偏光選択性ホログラム光学素子3に入射す
る主にP偏光成分からなる照明光は、偏光選択性ホログ
ラム光学素子3より略々垂直に射出するよう回折され、
ダイクロイックプリズムブロック35に入射する。この
ダイクロイックプリズムブロック35は、3つのダイク
ロイックプリズムからなり、2つの境界面35b,35
gを有している。ダイクロイックプリズムブロック35
に入射した照明光は、まず、一方の境界面35bに入射
し、青色光のみを反射され、この境界面35bを透過し
た青色を除く光が、他方の境界面35gに入射する。そ
して、他方の境界面35gにおいて緑色光のみが反射さ
れることにより、照明光は、R(赤色)、G(緑色)、
B(青色)の各色に分光される。
【0163】このように分光された各色光は、対応する
反射型空間光変調素子10r、10g、10bに入射
し、これら反射型空間光変調素子10r、10g、10
bにより、各色光ごとに、また、画素ごとに変調されて
反射される。変調された各色光は、再びクロスダイクロ
イックプリズムブロック35に入射し再合成され、再度
偏光選択性ホログラム光学素子3へ入射する。このと
き、S偏光成分は回折されずに透過し、さらに、S偏光
成分を選択的に透過する偏光板24を経て投射光学系2
5に入射する。そして、この投射光学系25により、ス
クリーン26上に表示画像が結像される。
【0164】〔8〕画像表示装置の第9の実施の形態 本発明の第9の実施の形態として、図17に示すよう
に、反射型空間光変調素子として2つの反射型FLCパ
ネルを用いたカラー投射型画像表示装置について説明す
る。
【0165】この画像表示装置においては、照明光源2
0より放射される照明光は、光束断面形状の補正、強度
の均一化、発散角制御などの機能を有する照明光学系2
1に入射する。本照明光学系21は、図示しない偏光変
換手段を有しており、本実施の形態の場合、偏光選択性
ホログラム光学素子3への入射光がS偏光光となるよう
に、照明光のP偏光成分の偏光方位を90°回転するこ
とによりS偏光光に変換し光利用効率を向上させる。
【0166】照明光学系21を通過した照明光は、S偏
光成分を選択的に透過させる偏光板28を透過し、カラ
ーシャッタ22に入射する。カラーシャッタ22は、照
明光源20より放射される白色光を、その部分スペクト
ル成分に時分割するもので、これにより単板の反射型F
LCパネル10で「フィールドシーケンシャルカラー手
法」によりカラー表示が可能となる(参考論文:「Gray
D.Sharp and Kristina M.Johnson,High Brightness
Saturated Color Shutter Technology,SID Symposiu
m,Vo1.27,p411(1996)」)。
【0167】本実施の形態においては、このカラーシャ
ッタ22を、赤色光及び青色光(マゼンタ)と、赤色光
及び緑色光(黄色)との2つのスペクトルを時分割で透
過させるよう制御する。つまり、入射する緑色光成分と
青色光成分の偏光方向を交互に90°回転させてP偏光
光とする。カラーシャッタ22を射出した照明光は、補
正用偏光選択性ホログラム光学素子23へ入射し、ここ
で、S偏光成分のみが回折され射出角約70°で射出さ
れる。このとき、先程のカラーシャッタ22にてP偏光
光となされた緑色光、または、青色光は、補正用偏光選
択性ホログラム光学素子23において回折されることな
く直進し、交互に補正用偏光選択性ホログラム光学素子
23を透過する。
【0168】補正用偏光選択性ホログラム光学素子23
にて回折された主にS偏光成分からなる照明光は、この
補正用偏光選択性ホログラム光学素子23に光学的に密
着接合された第1のカップリングプリズム37に入射す
る。補正用偏光選択性ホログラム光学素子23から射出
した照明光は、第1のカップリングプリズム37と補正
用偏光選択性ホログラム光学素子23のガラス基板36
とが略々等しい屈折率を有するガラス材にて作製されて
いるため、これらの接合界面で屈折を生じず、角度を変
えることなく第1のカップリングプリズム37に入射す
る。
【0169】第1のカップリングプリズム37に入射し
た照明光は、この第1のカップリングプリズム37の光
学面38より略々垂直に射出する。そして、この照明光
は、カラーセレクト33に入射する。このカラーセレク
ト33は、入射直線偏光方位をその波長帯域に応じて9
0°回転させるものである(参考論文:「Gray D.Shar
p andJ.R.Birge,Retarder Stack Technology for Co
lor Manipulation,SID Symposium,Vo1.30,p1072(19
99)」)。
【0170】本実施の形態においては、赤色光は、入射
偏光方位(S偏光光)が保存され、青色光及び緑色光の
偏光方位は、90°回転されてP偏光光となされる。カ
ラーセレクト33を射出した照明光は、偏光選択性ホロ
グラム光学素子3に光学的に密着接合された第2のカッ
プリングプリズム20に光学面39より入射する。この
光学面39は、第1のカップリングプリズム37の光学
面38と略平行になされている。したがって、入射照明
光は、第2のカップリングプリズム20の光学面39に
おいてほとんど屈折することなく直進し、そのまま偏光
選択性ホログラム光学素子3に入射する。
【0171】この偏光選択性ホログラム光学素子3にお
いて、S偏光光である赤色光は、回折されることなく第
3のカップリングプリズム40を透過し、赤色光用反射
型空間光変調素子10rに入射する。一方、P偏光光で
ある青色光及び緑色光は、回折されて約70°進行方向
を偏向されて第3のカッブリングプリズム40を通して
青緑色光用反射型空間光変調素子10gbに入射する。
【0172】このとき、青色光及び緑色光は、カラーシ
ャッタ22により時分割で交互に送られてくるため、青
緑色光用反射型空間光変調素子10gbはこれに同期し
て制御される。緑色光、青色光について時分割表示と
し、赤色光について時分割表示としないのは、通常のラ
ンプ光源を用いた場合には、眼の視感度を考慮して白バ
ランスをとると、赤色光が最も出力が不足するためであ
る。
【0173】それぞれの反射型空間光変調素子10b、
10gbにて変調された照明光は、偏光選択性ホログラ
ム光学素子3に再入射する。このとき、青緑色光用反射
型空間光変調素子10gbからの反射光のうちのS偏光
成分は、回折されることなく偏光選択性ホログラム光学
素子3より略垂直に射出する。また、赤色光用反射型空
間光変調素子10rからの反射光のうちのP偏光成分
は、回折されて偏光選択性ホログラム光学素子3より同
じく略垂直に射出する。
【0174】これら2つの反射光は、第2のカッブリン
グプリズム20を透過し、この第2のカップリングプリ
ズム20の光学面に接合されたカラーセレクト33bに
入射する。このカラーセレクト33bにおいて、青緑色
光は、入射偏光方位(S偏光光)が保存され、赤色光の
偏光方位は、90°回転されS偏光光となされる。
【0175】これらの照明光は、S偏光光を選択的に透
過させる偏光板24を経て、投射光学系25に入射す
る。そして、投射光学系25により、スクリーン26上
に表示画像が結像される。
【0176】一方、青緑色光用反射型空間光変調素子1
0gbからの反射光のうちのP偏光成分は、偏光選択性
ホログラム光学素子3において回折されて透過し、往路
の照明光路を逆行する。また、赤色光用反射型空間光変
調素子10rからの反射光のうちのS偏光成分は、偏光
選択性ホログラム光学素子3にて回折されることなく同
じく往路の照明光路を逆行する。
【0177】また、本実施の形態は、図18に示すよう
に、補正用偏光選択性ホログラム光学素子23、第1の
カップリングプリズム37、カラーセレクト33、第2
のカップリングプリズム20、偏光選択性ホログラム光
学素子3、第3のカップリングプリズム40及びカラー
セレクト33bを光学的に接合させて構成してもよい。
【0178】
〔9〕画像表示装置の第10の実施の形態 本発明の第10の実施の形態として、図19に示すよう
に、反射型空間光変調素子として反射型FLCパネルを
用いたカラー投射型画像表示装置について説明する。
【0179】この画像表示装置においては、照明光源2
0より放射される照明光は、光束断面形状の補正、強度
の均一化、発散角制御などの機能を有する照明光学系2
1に入射する。本照明光学系21は、図示しない偏光変
換手段を有しており、本実施の形態の場合、偏光選択性
ホログラム光学素子3への入射光がP偏光光となるよう
に、照明光のS偏光成分の偏光方位を90°回転するこ
とによりP偏光光に変換し光利用効率を向上させる。
【0180】照明光学系21を通過した照明光は、カラ
ーホイール22を通過し、補正用偏光選択性ホログラム
光学素子23へ入射する。カラーホイール22は、照明
光源20より放射される白色光を、赤色光、緑色光、青
色光のスペクトル成分に時分割するもので、この時分割
により、単板の反射型FLCパネル10で「フィールド
シーケンシャルカラー手法」によりカラー表示が可能と
なる。
【0181】補正用偏光選択性ホログラム光学素子23
へ入射角60°で入射した照明光は、ここで、P偏光成
分のみが回折され、射出角約0°で射出される。S偏光
成分は、補正用偏光選択性ホログラム光学素子23で回
折されることなく、直進して補正用偏光選択性ホログラ
ム光学素子23を透過する。
【0182】補正用偏光選択性ホログラム光学素子23
で回折された主にP偏光成分からなる照明光は、偏光選
択性ホログラム光学素子3に入射する。補正用偏光選択
性ホログラム光学素子23と偏光選択性ホログラム光学
素子3とは、同一の構成のものであり、かつ、これら補
正用偏光選択性ホログラム光学素子23及び偏光選択性
ホログラム光学素子3に対する照明光の入射角が略々同
一になるように配置されている。ただし、照明光(入射
側)からみた場合、両者の回折方向(ベンド角)は逆方
向となっている。このような配置により、前述のよう
に、波長による回折角のばらつきを相殺できること、波
長による回折効率の入射角度依存性の差異を補正できる
ことという2つのメリットが得られる。
【0183】なお、この補正用偏光選択性ホログラム光
学素子23と偏光選択性ホログラム光学素子3との間
は、図19において波線で示すように、カップリングプ
リズム20にて充填してもよい。ただし、この場合に
は、ベンド角が異なるため、補正用偏光選択性ホログラ
ム光学素子23と偏光選択性ホログラム光学素子3と
は、同一のホログラム素子であってはならない。
【0184】ここで、補正用偏光選択性ホログラム光学
素子23への入射角を偏光選択性ホログラム光学素子3
への入射角と同様に約60°とするのは、第1の実施の
形態において説明したように、補正用偏光選択性ホログ
ラム光学素子23の回折効率の入射角度依存性を低減さ
せるためである。
【0185】偏光選択性ホログラム光学素子3により回
折されたP偏光光は、この偏光選択性ホログラム光学素
子3より射出角0°で射出し、反射型空間光変調素子1
0に入射する。反射型空間光変調素子10は、図19中
矢印aで示す長手方向が照明光入射角方向と一致するよ
うに配置される。これは、補正用偏光選択性ホログラム
光学素子23への回折方向の入射照明光の有効幅を小さ
くする必要があるためで、この有効幅の減少量をできる
だけ少なくして光利用効率を高くするためである。
【0186】また、同様の理由から、照明光源20の発
光部20aの長手方向は、図19において紙面に垂直な
方向となされている。これは、前述のラグランジュ−ヘ
ルムホルツの不変量より、発光部が小さい方が光束径を
絞ったときに拡散角が大きくなりにくいためで、本発明
に係る画像表示装置のように、照明光を空間光変調素子
に対して斜めに入射させる場合には、その入射方向に一
致する方向に発光部の長さを短くすることが光利用効率
を上げるために有効となるためである。
【0187】反射型空間光変調素子10により位相が変
調されて反射されたS偏光光は、偏光選択性ホログラム
光学素子3を透過し、S偏光光のみを選択的に透過する
偏光板24を透過して投射光学系25に入射する。この
投射光学系25により、反射型FLCパネル10上に表
示される光学像がスクリーン26上に表示画像として拡
大投影される。
【0188】一方、P偏光成分のうち偏光選択性ホログ
ラム光学素子3にて回折されない往路の残りの照明光
は、そのまま偏光選択性ホログラム光学素子3を透過
し、反射型空間光変調素子10のアルミ反射面14にて
正反射され、再び図19中のCの方向に射出される。こ
の照明光は、迷光となり、表示画像のコントラスト劣化
を招く恐れがあるため、光吸収手段27によりそのエネ
ルギーを吸収される。
【0189】〔10〕画像表示装置の第11の実施の形
態 本発明の第11の実施の形態として、図20に示すよう
に、反射型空間光変調素子として反射型FLCパネルを
用いたカラー投射型画像表示装置について説明する。
【0190】この画像表示装置においては、照明光源2
0より放射される照明光は、光束断面形状の補正、強度
の均一化、発散角制御などの機能を有する照明光学系2
1に入射する。本照明光学系21は、図示しない偏光変
換手段を有しており、本実施の形態の場合、偏光選択性
ホログラム光学素子3への入射光がP偏光光となるよう
に、照明光のS偏光成分の偏光方位を90°回転するこ
とによりP偏光光に変換し光利用効率を向上させる。
【0191】照明光学系21を通過した照明光は、カラ
ーホイール22を通過し、補正用偏光選択性ホログラム
光学素子23へ入射する。カラーホイール22は、照明
光源20より放射される白色光を、赤色光、緑色光、青
色光のスペクトル成分に時分割するもので、この時分割
により、単板の反射型FLCパネル10による「フィー
ルドシーケンシャルカラー手法」によりカラー表示が可
能となる。
【0192】補正用偏光選択性ホログラム光学素子23
に対し入射角θin23で入射した照明光は、ここで、P偏
光成分のみが回折され、射出角θout23で射出される。
S偏光成分は、補正用偏光選択性ホログラム光学素子2
3によって回折されることなく、この補正用偏光選択性
ホログラム光学素子23を透過して直進する。
【0193】補正用偏光選択性ホログラム光学素子23
にて回折される主にP偏光成分からなる照明光は、偏光
選択性ホログラム光学素子3に、入射角θin3にて入射
する。このとき、補正用偏光選択性ホログラム光学素子
23と偏光選択性ホログラム光学素子3とは、同一の構
造を有し、しかも、補正用偏光選択性ホログラム光学素
子23への入射角θin23、射出角θout23は、偏光選択
性ホログラム光学素子3への入射角θin3、射出角θout
3とそれぞれ等しくなされている。ただし、照明光から
みた場合、両者の回折方向(ベンド角)は逆方向となっ
ている。これより、前述のように、波長による回折角の
ばらつきを相殺できること、波長による回折効率の入射
角度依存性の差異を補正できることという2つのメリツ
トが得られる。
【0194】また、本実施の形態の場合、偏光選択性ホ
ログラム光学素子3と反射型空間光変調素子10とは図
20に示すように、θholoの開き角を有して配置され
る。すなわち、偏光選択性ホログラム光学素子3、補正
用偏光選択性ホログラム光学素子23の回折効率の波長
及び入射角依存性を低減させるためには、ベンド角を少
なくすることが有効であるが、このとき、 (i)入射角を小さくする。 (ii)射出角をベンド角が小さくなる方向に大きくと
る。 という2つの方法が考えられる。(i)の「入射角を小
さくする」という手法の場合、前述のように、ホログラ
ム層への入射角度のばらつきが大きくなり好ましくな
い。そこで、(ii)の「射出角をベンド角が小さくなる
方向に大きくとる」という手法をもちいることが有効と
なる。
【0195】本実施の形態の場合、偏光選択性ホログラ
ム光学素子3、補正用偏光選択性ホログラム光学素子2
3からの射出角θout3、θout23を5°乃至20°程度
とし、ベンド角を低減させている。このように、入射照
明光、偏光選択性ホログラム光学素子3及び補正用偏光
選択性ホログラム光学素子23の相対関係を規定した場
合において、偏光選択性ホログラム光学素子3からの射
出回折光を反射型空間光変調素子10に対して垂直に入
射させようとすると、図20に示すように、偏光選択性
ホログラム光学素子3と反射型空間光変調素子10と
は、θholo(=θout3)の開き角をとって配置される必
要がある。
【0196】このようにして、偏光選択性ホログラム光
学素子3により回折されたP偏光光は、反射型空間光変
調素子10に対して略々垂直に入射する。反射型空間光
変調素子10は、図20中矢印aで示す長手方向が、照
明光入射角方向と一致するように配置されている。これ
は、補正用偏光選択性ホログラム光学素子23への回折
方向の入射照明光の有効幅を小さくする必要があるため
で、この有効幅の減少量をできるだけ少なくして光利用
効率を高くするためである。
【0197】また、同様の理由から、照明光源20の発
光部20aの長手方向は、図19において紙面に垂直な
方向となされている。これは、前述のラグランジュ−ヘ
ルムホルツの不変量より、発光部が小さい方が光束径を
絞ったときに拡散角が大きくなりにくいためで、本発明
に係る画像表示装置のように、照明光を空間光変調素子
に対して斜めに入射させる場合には、その入射方向に一
致する方向に発光部の長さを短くすることが光利用効率
を上げるために有効となるためである。
【0198】反射型空間光変調素子10により位相が変
調されて反射されたS偏光光は、偏光選択性ホログラム
光学素子3を透過し、S偏光光のみを選択的に透過する
偏光板24を透過して投射光学系25に入射する。ここ
で、偏光板24は、偏光選択性ホログラム光学素子3を
透過したことにより発生する非点収差を補正するため
に、偏光選択性ホログラム光学素子3の反射型空間光変
調素子10に対する傾き角θholoと反対方向に同じ絶対
値の傾き角θpolをもって配置される。この偏光板24
の傾きにより、変調された照明光における非点収差をキ
ャンセルすることができる。そして、投射光学系25に
入射した照明光により、反射型空間光変調素子10上に
表示される光学像がスクリーン26上に表示画像として
拡大投影される。
【0199】〔11〕虚像表示装置に関する実施の形態
(第12の実施の形態) 本発明の第12の実施の形態として、図21に示すよう
に、反射型空間光変調素子として反射型FLCパネルを
用い虚像結像光学系を用いた画像表示装置について説明
する。
【0200】この画像表示装置においては、赤色光、緑
色光、青色光の3色を順次独立に発光するレンズ付き発
光ダイオード光源41より放射される照明光は、P偏光
成分を選択的に透過させる偏光板42を透過して、偏光
選択性ホログラム光学素子3に入射する。この入射光
は、偏光選択性ホログラム光学素子3において回折さ
れ、略々垂直に反射型FLCパネル10に入射する。
【0201】反射型FLCパネル10にて位相を変調さ
れた照明光は、反射型FLCパネル10のアルミ反射面
14において反射され、再び偏光選択性ホログラム光学
素子3に入射する。このとき、P偏光成分は、再び偏光
選択性ホログラム光学素子3によって回折されて発光ダ
イオード光源41の方向に向かうが、S偏光成分は、偏
光選択性ホログラム光学素子3によって回折されること
なく、そのまま透過する。偏光選択性ホログラム光学素
子3を透過したS偏光光は、S偏光成分を選択的に透過
させる偏光板43にて検波されたのち、虚像観察光学系
を構成する自由曲面プリズム44に、自由曲面屈折面4
5より入射する。
【0202】自由曲面プリズム44内に入射した光は、
第1の光学面46において全反射され、次いで、第2の
自由曲面反射面47にて反射されたのち、第1の光学面
46を透過して、観察者の観察領域48に導かれる。こ
のとき、観察領域48を大きくするには、発光ダイオー
ド光源41と偏光板42との間に拡散板を配置するか、
または、偏光選択性ホログラム光学素子3において、こ
の偏光選択性ホログラム光学素子3に入射するP偏光成
分に対して回折時に拡散作用を起こす干渉縞を予め記録
しておいてもよい。
【0203】次に、本発明の第13の実施の形態とし
て、図22に示すように、反射型空間光変調素子として
2つの反射型FLCパネルを用い虚像結像光学系を用い
た画像表示装置について説明する。
【0204】この画像表示装置においては、赤色光、緑
色光、青色光の3色を順次独立に発光するレンズ付き発
光ダイオード光源41より放射された照明光は、P偏光
光となる偏光成分を選択的に透過する偏光板42を経
て、偏光選択性ホログラム光学素子3へ入射する。本実
施の形態においては、偏光選択性ホログラム光学素子3
は反射型となっている。この偏光選択性ホログラム光学
素子3に入射された照明光は、偏光選択性ホログラム光
学素子3において回折され反射されて略々垂直に反射型
FLCパネル10に入射する。
【0205】反射型FLCパネル10において位相を変
調された照明光は、反射型FLCパネル10のアルミ反
射面14において反射され、再び偏光選択性ホログラム
光学素子3に入射する。このとき、照明光のP偏光成分
は、偏光選択性ホログラム光学素子3において再び回折
され反射されて発光ダイオード光源42の方向に向か
う。S偏光成分は、偏光選択性ホログラム光学素子3に
より回折されることなく、そのまま偏光選択性ホログラ
ム光学素子3を透過する。
【0206】このように偏光選択性ホログラム光学素子
3を透過したS偏光光は、S偏光成分を選択的に透過さ
せる偏光板43にて検波されたのち、虚像観察光学系を
構成する自由曲面プリズム44に、自由曲面屈折面45
より入射する。
【0207】自由曲面プリズム44内に入射した光は、
第1の光学面46において全反射され、次いで、第2の
自由曲面反射面47にて反射されたのち、第1の光学面
46を透過して、観察者の観察領域48に導かれる。こ
のとき、観察領域48を大きくするには、発光ダイオー
ド光源41と偏光板42との間に拡散板を配置するか、
または、偏光選択性ホログラム光学素子3において、こ
の偏光選択性ホログラム光学素子3に入射するP偏光成
分に対して回折時に拡散作用を起こす干渉縞を予め記録
しておいてもよい。
【0208】
【発明の効果】上述のように、本発明に係る画像表示素
子を用いた画像表示装置においては、反射型空間光変調
素子の照明手段として、必ずしも偏光ビームスプリッタ
を使用する必要がないため、装置重量の軽量化、装置サ
イズの小型化、表示画像のコントラストの改善及び製造
コストの低廉化が可能となる。
【0209】また、この画像表示素子においては、従来
のホログラムカラーフィルタと異なり、屈折率の入射偏
光方位依存性が互いに異なる2つの領域を順次積層した
構造を有する偏光選択性ホログラム光学素子を用いるこ
とにより、P偏光光とS偏光光の回折効率の差を充分に
大きくすることができ、光利用効率及び表示画像のコン
トラストの改善が可能である。
【0210】さらに、従来のホログラムカラーフィルタ
と異なり、屈折率の入射偏光方位依存性が互いに異なる
2つの領域を順次積層した構造を有する偏光選択性ホロ
グラム光学素子を用いることにより、P偏光光の回折効
率をS偏光光のそれに比べて高くすることができ、ホロ
グラム光学素子に対してP偏光光を入射させることがで
きる。これにより、カップリングプリズムを用いなくと
も、ホログラム光学素子のガラス基板における表面反射
を抑えることができ、光利用効率及び表示画像のコント
ラストの改善が可能である。
【0211】そして、この画像表示装置においては、2
つの偏光選択性ホログラム光学素子を、反射型空間光変
調素子の照明のために用いることにより、偏光選択性ホ
ログラム光学素子における回折角の波長依存性を互いに
相殺して均一照明が得られる他、各波長帯域ごとに、入
射角による回折効率減少を補正して光利用効率を改善す
ることができる。
【0212】さらに、この画像表示装置においては、偏
光選択性ホログラム光学素子を反射型として使用するこ
とが可能となること、各色光ごとに用意される複数の反
射型空間光変調素子を用いた画像表示装置に適応するこ
とができること、「フィールドシーケンシャルカラー方
式」の画像表示装置として構成することができることな
どの効果が得られる。
【0213】そして、この画像表示装置においては、反
射型空間光変調素子と偏光選択性ホログラム光学素子と
の画素単位のアライメントが不要なために製造コストの
低廉化が可能であり、また、高い光利用効率が維持され
ながら、表示画像のコントラスが高く、しかも、薄型
化、軽量化、虚像観察光学系を用いて構成することが可
能である。
【0214】すなわち、本発明は、照明光の光利用効率
が高く、装置の小型化、低コスト化が可能であり、ま
た、表示画像の均一性、高コントラスト性が実現された
画像表示素子及び画像表示装置を提供することができる
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像表示素子の構成を示す縦断面
図である。
【図2】本発明に係る画像表示装置の第1の実施の形態
の構成を示す縦断面図である。
【図3】本発明に係る画像表示装置の第2の実施の形態
の構成を示す縦断面図である。
【図4】本発明に係る画像表示装置の第3の実施の形態
の構成を示す縦断面図である。
【図5】本発明に係る画像表示装置の第4の実施の形態
の構成を示す側面図である。
【図6】上記画像表示装置における補正用偏光選択性ホ
ログラム光学素子による入射角の補正の原理を示す側面
図である。
【図7】上記画像表示装置における再生波長450nm
における回折効率の入射角度依存性を示すグラフであ
る。
【図8】上記画像表示装置における再生波長550nm
における回折効率の入射角度依存性を示すグラフであ
る。
【図9】上記画像表示装置における再生波長650nm
における回折効率の入射角度依存性を示すグラフであ
る。
【図10】ベンド角大(θob1=10°)の場合の回折
効率の再生波長及び入射角依存性を示すグラフである。
【図11】ベンド角小(θob1=−10°)の場合の回
折効率の再生波長及び入射角依存性を示すグラフであ
る。
【図12】本発明に係る画像表示装置の第5の実施の形
態の構成を示す側面図である。
【図13】本発明に係る画像表示装置の第6の実施の形
態の構成を示す側面図である。
【図14】本発明に係る画像表示装置の第7の実施の形
態の構成を示す側面図である。
【図15】本発明に係る画像表示装置の第7の実施の形
態の構成を示す側面図である。
【図16】本発明に係る画像表示装置の第8の実施の形
態の構成を示す側面図である。
【図17】本発明に係る画像表示装置の第9の実施の形
態の構成を示す側面図である。
【図18】本発明に係る画像表示装置の第9の実施の形
態の構成を示す側面図である。
【図19】本発明に係る画像表示装置の第10の実施の
形態の構成を示す側面図である。
【図20】本発明に係る画像表示装置の第11の実施の
形態の構成を示す側面図である。
【図21】本発明に係る画像表示装置の第12の実施の
形態の構成を示す側面図である。
【図22】本発明に係る画像表示装置の第13の実施の
形態の構成を示す側面図である。
【図23】従来の画像表示素子(FLC)の構成を示す
断面図である。
【図24】反射型空間光変調素子に対応した偏光ビーム
スプリッタを用いた従来の画像表示装置の構成を示す側
面図である。
【図25】ホログラムレンズを用いた従来の画像表示装
置の構成を示す断面図である。
【図26】反射型ホログラムの回折効率を示すグラフで
ある。
【図27】光スイッチとしてのホログラム光学素子の応
用例を示す断面図である。
【図28】ホログラム光学素子の画像表示装置用反射板
としての応用例を示す断面図である。
【図29】ホログラム光学素子の投射型画像表示装置用
偏光変換器への応用例を示す断面図である。
【図30】ホログラムの厚さと回折効率との関係を示す
グラフである。
【図31】厚さ6μmのホログラムにおける回折効率の
入射角度依存性を示すグラフである。
【図32】厚さ18μmのホログラムにおける回折効率
の入射角度依存性を示すグラフである。
【図33】ガラスの表面反射率と入射角度との関係を示
すグラフである。
【図34】従来のホログラムカラーフィルタにおけるホ
ログラムレンズからの主光線の射出角許容値を示す断面
図である。
【図35】偏光ビームスプリッタを用いた従来の画像表
示装置の構成を示す側面図である。
【図36】虚像観察光学系を用いた従来の画像表示装置
の構成を示す側面図である。
【図37】虚像観察光学系を用いた従来の画像表示装置
の構成の他の例を示す側面図である。
【符号の説明】 3 「H−PDLC」パネル(偏光選択性ホログラム光
学素子)、10 反射型FLC液晶パネル、20 照明
光源、25 投射光学系、44 自由曲面プリズム
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図17
【補正方法】変更
【補正内容】
【図17】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図18
【補正方法】変更
【補正内容】
【図18】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図22
【補正方法】変更
【補正内容】
【図22】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02F 1/1335 G02F 1/1335 5C058 510 510 5G435 520 520 G03B 21/00 G03B 21/00 E 33/12 33/12 G09F 9/00 324 G09F 9/00 324 H04N 5/74 H04N 5/74 B Fターム(参考) 2H048 BA01 BA64 BB02 BB08 BB42 2H049 CA05 CA08 CA15 CA17 CA22 2H088 EA12 EA47 EA48 GA02 HA11 HA18 HA21 HA28 KA06 KA17 MA02 MA16 2H091 FA05Z FA07X FA14Y FA19X FB02 FD06 LA11 LA17 MA07 2H099 AA11 AA12 BA09 CA17 5C058 AA06 BA08 BA35 5G435 AA02 AA18 BB12 BB17 DD14 GG01 GG02 GG03 GG04 GG12 GG14 GG28 LL15

Claims (97)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 屈折率の入射偏光方位依存性が互いに異
    なる2つの領域を順次積層した構造を有し、照明光を回
    折させる偏光選択性ホログラム光学素子と、 上記偏光選択性ホログラム光学素子により回折された照
    明光の偏光状態を変調する反射型空間光変調素子とを備
    え、 上記偏光選択性ホログラム光学素子は、照明光受光面の
    法線に対して30°以上90°未満の入射角で照明光が
    入射され、該照明光のP偏光成分もしくはS偏光成分を
    回折させて上記反射型空間光変調素子に向けて出射する
    とともに、この反射型空間光変調素子により位相変調さ
    れて再入射する照明光のうち、1回目の入射において回
    折される偏光成分の偏光方向に直交する偏光方向である
    偏光成分に対する回折効率が10%以下であることによ
    り、この偏光成分を70%以上透過させることを特徴と
    する画像表示素子。
  2. 【請求項2】 偏光選択性ホログラム光学素子の2つの
    領域の一方は、屈折率異方性を有し、他方は屈折率等方
    性を有することを特徴とする請求項1記載の画像表示素
    子。
  3. 【請求項3】 回折効率が1%以下であることを特徴と
    する請求項1記載の画像表示素子。
  4. 【請求項4】 偏光選択性ホログラム光学素子は、P偏
    光光である照明光を入射されることを特徴とする請求項
    1記載の画像表示素子。
  5. 【請求項5】 偏光選択性ホログラム光学素子は、ホロ
    グラム面に対する光線の入射角と回折射出角の差である
    ベンド角が、30°以上となっていることを特徴とする
    請求項1記載の画像表示素子。
  6. 【請求項6】 偏光選択性ホログラム光学素子は、回折
    させた出射光を、入射面内において、照明光受光面の法
    線に対してベンド角が大きくなる方向に射出することを
    特徴とする請求項1記載の画像表示素子。
  7. 【請求項7】 偏光選択性ホログラム光学素子は、回折
    効率の波長依存性の互いに異なる複数のホログラム層に
    より構成されていることを特徴とする請求項1記載の画
    像表示素子。
  8. 【請求項8】 偏光選択性ホログラム光学素子は、回折
    効率の再生光入射角依存性の互いに異なる複数のホログ
    ラム層により構成されていることを特徴とする請求項1
    記載の画像表示素子。
  9. 【請求項9】 偏光選択性ホログラム光学素子は、回折
    効率の波長依存性の互いに異なる複数のホログラムが1
    つのホログラム層に多重されて構成されていることを特
    徴とする請求項1記載の画像表示素子。
  10. 【請求項10】 偏光選択性ホログラム光学素子は、回
    折効率の再生光入射角依存性の互いに異なる複数のホロ
    グラムが1つのホログラム層に多重されて構成されてい
    ることを特徴とする請求項1記載の画像表示素子。
  11. 【請求項11】 偏光選択性ホログラム光学素子は、液
    晶材料を有して構成されていることを特徴とする請求項
    1記載の画像表示素子。
  12. 【請求項12】 偏光選択性ホログラム光学素子と反射
    型空間光変調素子とは、光学的に密着されて一体的に構
    成されていることを特徴とする請求項1記載の画像表示
    素子。
  13. 【請求項13】 反射型空間光変調素子は、複数の色画
    素を有し、 偏光選択性ホログラム光学素子は、入射照明光を各波長
    帯域ごとに分光し反射型空間光変調素子のそれぞれ対応
    する色画素に集光するレンズ作用を有することを特徴と
    する請求項1記載の画像表示素子。
  14. 【請求項14】 照明光を放射する光源と、 屈折率の入射偏光方位依存性が互いに異なる2つの領域
    を順次積層した構造を有し入射光を回折させる偏光選択
    性ホログラム光学素子と、 上記光源より放射された照明光を上記偏光選択性ホログ
    ラム光学素子に入射させる照明光学系と、 上記偏光選択性ホログラム光学素子により回折された照
    明光の偏光状態を変調する反射型空間光変調素子と、 上記反射型空間光変調素子及び上記偏光選択性ホログラ
    ム光学素子を経た照明光をスクリーン上に投射する投射
    光学系とを備え、 上記偏光選択性ホログラム光学素子は、上記照明光学系
    により、照明光受光面の法線に対して30°以上90°
    未満の入射角で照明光が入射され、該照明光のP偏光成
    分もしくはS偏光成分を回折させて上記反射型空間光変
    調素子に向けて出射するとともに、この反射型空間光変
    調素子により位相変調されて再入射する照明光のうち、
    1回目の入射において回折される偏光成分の偏光方向に
    直交する偏光方向である偏光成分に対する回折効率が1
    0%以下であることにより、この偏光成分を70%以上
    透過させ、 上記投射光学系は、上記偏光選択性ホログラム光学素子
    の透過光をスクリーン上に投射することを特徴とする画
    像表示装置。
  15. 【請求項15】 偏光選択性ホログラム光学素子の2つ
    の領域の一方は、屈折率異方性を有し、他方は屈折率等
    方性を有することを特徴とする請求項14記載の画像表
    示装置。
  16. 【請求項16】 回折効率が1%以下であることを特徴
    とする請求項14記載の画像表示装置。
  17. 【請求項17】 光源の発光部は、長方形形状をしてお
    り、短辺方向が、偏光選択性ホログラム光学素子への照
    明光の入射方向に一致していることを特徴とする請求項
    14記載の画像表示装置。
  18. 【請求項18】 照明光学系は、照明光のうち、偏光選
    択性ホログラム光学素子の回折効率が最大となる偏光方
    位と直交する偏光方位を有する成分について、偏光方位
    を90°回転させる偏光変換手段を備えていることを特
    徴とする請求項14記載の画像表示装置。
  19. 【請求項19】 照明光学系は、照明光のうち、偏光選
    択性ホログラム光学素子の回折効率が最大となる偏光方
    位を有する成分を選択的に透過させる偏光選択手段を備
    えていることを特徴とする請求項14記載の画像表示装
    置。
  20. 【請求項20】 光源、または、照明光学系は、照明光
    の全波長帯域のなかの複数の特定波長帯域のみを時間的
    に順次透過させる時間順次波長帯域切り替え手段を備え
    ていることを特徴とする請求項14記載の画像表示装
    置。
  21. 【請求項21】 照明光学系は、偏光選択性ホログラム
    光学素子と反対符号のベンド角を有する補正用偏光選択
    性ホログラム光学素子を備えていることを特徴とする請
    求項14記載の画像表示装置。
  22. 【請求項22】 補正用偏光選択性ホログラム光学素子
    は、偏光選択性ホログラム光学素子と同一素子であるこ
    とを特徴とする請求項21記載の画像表示装置。
  23. 【請求項23】 偏光選択性ホログラム光学素子に光学
    的に密着し、少なくとも照明光が略垂直に入射する第1
    の光学面と該反射型空間光変調素子による反射光が略垂
    直に射出する第2の光学面とを有するカップリングプリ
    ズムを備え、 上記偏光選択性ホログラム光学素子は、照明光を、照明
    光受光面の法線に対して60°以上90°未満の入射角
    で入射されることを特徴とする請求項14記載の画像表
    示装置。
  24. 【請求項24】 カップリングプリズムは、反射型空間
    光変調素子による照明光の正反射光が略垂直に入射する
    光吸収層が設けられた第3の光学面を有していることを
    特徴とする請求項23記載の画像表示装置。
  25. 【請求項25】 投射光学系は、反射型空間光変調素子
    による変調光のうちの偏光選択性ホログラム光学素子に
    おいて透過する偏光方位の成分を選択的に透過させる偏
    光選択手段を備えていることを特徴とする請求項14記
    載の画像表示装置。
  26. 【請求項26】 偏光選択性ホログラム光学素子は、P
    偏光光である照明光を入射されることを特徴とする請求
    項14記載の画像表示装置。
  27. 【請求項27】 偏光選択性ホログラム光学素子のベン
    ド角が30°以上となっていることを特徴とする請求項
    14記載の画像表示装置。
  28. 【請求項28】 偏光選択性ホログラム光学素子のホロ
    グラム面と反射型空間光変調素子の反射面とは、光学的
    に平行ではない位置関係となっていることを特徴とする
    請求項14記載の画像表示装置。
  29. 【請求項29】 偏光選択性ホログラム光学素子は、回
    折効率の波長依存性の互いに異なる複数のホログラム層
    により構成されていることを特徴とする請求項14記載
    の画像表示装置。
  30. 【請求項30】 偏光選択性ホログラム光学素子は、回
    折効率の再生光入射角依存性の互いに異なる複数のホロ
    グラム層により構成されていることを特徴とする請求項
    14記載の画像表示装置。
  31. 【請求項31】 偏光選択性ホログラム光学素子は、回
    折効率の波長依存性の互いに異なる複数のホログラムが
    1つのホログラム層に多重されて構成されていることを
    特徴とする請求項14記載の画像表示装置。
  32. 【請求項32】 偏光選択性ホログラム光学素子は、回
    折効率の再生光入射角依存性の互いに異なる複数のホロ
    グラムが1つのホログラム層に多重されて構成されてい
    ることを特徴とする請求項14記載の画像表示装置。
  33. 【請求項33】 偏光選択性ホログラム光学素子は、液
    晶材料を有することを特徴とする請求項14記載の画像
    表示装置。
  34. 【請求項34】 偏光選択性ホログラム光学素子と反射
    型空間光変調素子とは、光学的に密着されて一体的に構
    成されていることを特徴とする請求項14記載の画像表
    示装置。
  35. 【請求項35】 反射型空間光変調素子は、長方形形状
    をしており、長辺方向が、偏光選択性ホログラム光学素
    子への照明光の入射方向に一致していることを特徴とす
    る請求項14記載の画像表示装置。
  36. 【請求項36】 反射型空間光変調素子は、複数の色画
    素を有し、 偏光選択性ホログラム光学素子は、入射照明光を各波長
    帯域ごとに分光し反射型空間光変調素子のそれぞれ対応
    する色画素に集光するレンズ作用を有することを特徴と
    する請求項14記載の画像表示装置。
  37. 【請求項37】 照明光を放射する光源と、 屈折率の入射偏光方位依存性が互いに異なる2つの領域
    を順次積層した構造を有し入射光を回折させる偏光選択
    性ホログラム光学素子と、 上記照明光を互いに異なる複数の波長帯域成分に分離す
    る色分離手段と、 互いに異なる複数の波長帯域成分に分離された照明光を
    上記偏光選択性ホログラム光学素子に入射させる照明光
    学系と、 上記偏光選択性ホログラム光学素子により回折された照
    明光のうちの互いに異なる複数の波長帯域成分の偏光状
    態をそれぞれ変調する複数の反射型空間光変調素子と、 上記複数の反射型空間光変調素子によりそれぞれ変調さ
    れた互いに異なる波長帯域の照明光を合成する色合成手
    段と、 上記色合成手段を経た照明光をスクリーン上に投射する
    投射光学系とを備え、 上記偏光選択性ホログラム光学素子は、上記照明光学系
    により、照明光受光面の法線に対して30°以上90°
    未満の入射角で照明光が入射され、該照明光のP偏光成
    分もしくはS偏光成分を回折させて上記反射型空間光変
    調素子に向けて出射するとともに、この反射型空間光変
    調素子により位相変調されて再入射する照明光のうち、
    1回目の入射において回折される偏光成分の偏光方向に
    直交する偏光方向である偏光成分に対する回折効率が1
    0%以下であることにより、この偏光成分を70%以上
    透過させ、 上記投射光学系は、上記偏光選択性ホログラム光学素子
    を透過して上記色合成手段を経た照明光をスクリーン上
    に投射することを特徴とする画像表示装置。
  38. 【請求項38】 偏光選択性ホログラム光学素子の2つ
    の領域の一方は、屈折率異方性を有し、他方は屈折率等
    方性を有することを特徴とする請求項37記載の画像表
    示装置。
  39. 【請求項39】 回折効率が1%以下であることを特徴
    とする請求項37記載の画像表示装置。
  40. 【請求項40】 光源の発光部は、長方形形状をしてお
    り、短辺方向が、偏光選択性ホログラム光学素子への照
    明光の入射方向に一致していることを特徴とする請求項
    37記載の画像表示装置。
  41. 【請求項41】 色分離手段と色合成手段とは、1つの
    クロスダイクロイツクプリズムを共用することを特徴と
    する請求項37記載の画像表示装置。
  42. 【請求項42】 照明光学系は、照明光のうち、偏光選
    択性ホログラム光学素子の回折効率が最大となる偏光方
    位と直交する偏光方位を有する成分について、偏光方位
    を90°回転させる偏光変換手段を備えていることを特
    徴とする請求項37記載の画像表示装置。
  43. 【請求項43】 照明光学系は、照明光のうち、偏光選
    択性ホログラム光学素子の回折効率が最大となる偏光方
    位を有する成分を選択的に透過させる偏光選択手段を備
    えていることを特徴とする請求項37記載の画像表示装
    置。
  44. 【請求項44】 光源、または、照明光学系は、照明光
    の全波長帯域のなかの複数の特定波長帯域のみを時間的
    に順次透過させる時間順次波長帯域切り替え手段を備え
    ていることを特徴とする請求項37記載の画像表示装
    置。
  45. 【請求項45】 照明光学系は、偏光選択性ホログラム
    光学素子と反対符号のベンド角を有する補正用偏光選択
    性ホログラム光学素子を備えていることを特徴とする請
    求項37記載の画像表示装置。
  46. 【請求項46】 補正用偏光選択性ホログラム光学素子
    は、偏光選択性ホログラム光学素子と同一素子であるこ
    とを特徴とする請求項45記載の画像表示装置。
  47. 【請求項47】 偏光選択性ホログラム光学素子に光学
    的に密着し、少なくとも照明光が略垂直に入射する第1
    の光学面と該反射型空間光変調素子による反射光が略垂
    直に射出する第2の光学面とを有するカップリングプリ
    ズムを備え、 上記偏光選択性ホログラム光学素子は、照明光を、照明
    光受光面の法線に対して60°以上90°未満の入射角
    で入射されることを特徴とする請求項37記載の画像表
    示装置。
  48. 【請求項48】 カップリングプリズムは、反射型空間
    光変調素子による照明光の正反射光が略垂直に入射する
    光吸収層が設けられた第3の光学面を有していることを
    特徴とする請求項47記載の画像表示装置。
  49. 【請求項49】 投射光学系は、反射型空間光変調素子
    による変調光のうちの偏光選択性ホログラム光学素子に
    おいて透過する偏光方位の成分を選択的に透過させる偏
    光選択手段を備えていることを特徴とする請求項37記
    載の画像表示装置。
  50. 【請求項50】 偏光選択性ホログラム光学素子は、P
    偏光光である照明光を入射されることを特徴とする請求
    項37記載の画像表示装置。
  51. 【請求項51】 偏光選択性ホログラム光学素子のベン
    ド角が30°以上となっていることを特徴とする請求項
    37記載の画像表示装置。
  52. 【請求項52】 偏光選択性ホログラム光学素子のホロ
    グラム面と反射型空間光変調素子の反射面とは、光学的
    に平行ではない位置関係となっていることを特徴とする
    請求項37記載の画像表示装置。
  53. 【請求項53】 偏光選択性ホログラム光学素子は、回
    折効率の波長依存性の互いに異なる複数のホログラム層
    により構成されていることを特徴とする請求項37記載
    の画像表示装置。
  54. 【請求項54】 偏光選択性ホログラム光学素子は、回
    折効率の再生光入射角依存性の互いに異なる複数のホロ
    グラム層により構成されていることを特徴とする請求項
    37記載の画像表示装置。
  55. 【請求項55】 偏光選択性ホログラム光学素子は、回
    折効率の波長依存性の互いに異なる複数のホログラムが
    1つのホログラム層に多重されて構成されていることを
    特徴とする請求項37記載の画像表示装置。
  56. 【請求項56】 偏光選択性ホログラム光学素子は、回
    折効率の再生光入射角依存性の互いに異なる複数のホロ
    グラムが1つのホログラム層に多重されて構成されてい
    ることを特徴とする請求項37記載の画像表示装置。
  57. 【請求項57】 偏光選択性ホログラム光学素子は、液
    晶材料を有することを特徴とする請求項37記載の画像
    表示装置。
  58. 【請求項58】 反射型空間光変調素子は、長方形形状
    をしており、長辺方向が、偏光選択性ホログラム光学素
    子への照明光の入射方向に一致していることを特徴とす
    る請求項37記載の画像表示装置。
  59. 【請求項59】 照明光を放射する光源と、 屈折率の入射偏光方位依存性が互いに異なる2つの領域
    を順次積層した構造を有し入射光を回折させる偏光選択
    性ホログラム光学素子と、 上記照明光の互いに異なる第1及び第2の波長帯域成分
    の偏光状態を互いに直交する直線偏光成分として分離さ
    せる波長帯域別偏光分離手段と、 第1及び第2の波長帯域成分に分離された照明光を上記
    偏光選択性ホログラム光学素子に入射させる照明光学系
    と、 偏光選択性ホログラム光学素子により回折された照明光
    の第1の波長帯域成分の偏光状態を変調する第1の反射
    型空間光変調素子と、 偏光選択性ホログラム光学素子を透過した照明光の第2
    の波長帯域成分の偏光状態を変調する第2の反射型空間
    光変調素子と、 上記各反射型空間光変調素子を経た照明光をスクリーン
    上に投射する投射光学系とを備え、 上記偏光選択性ホログラム光学素子は、上記照明光学系
    により、照明光受光面の法線に対して30°以上90°
    未満の入射角で照明光が入射され、P偏光成分もしくは
    S偏光成分である上記第1の波長帯域成分を回折させて
    上記第1の反射型空間光変調素子に向けて出射するとと
    もに、該第1の反射型空間光変調素子により位相変調さ
    れて再入射する照明光のうち該第1の波長帯域成分の1
    回目の入射において回折される偏光成分の偏光方向に直
    交する偏光方向である偏光成分に対する回折効率が10
    %以下であることにより、この偏光成分の70%以上を
    透過させ、上記第2の波長帯域成分を70%以上透過さ
    せて上記第2の反射型空間光変調素子に向けて出射する
    とともに、該第2の反射型空間光変調素子により位相変
    調されて再入射する照明光のうち該第2の波長帯域成分
    の1回目の入射において透過する偏光成分の偏光方向に
    直交する偏光方向である偏光成分を回折させ、 上記投射光学系は、第1の反射型空間光変調素子及び上
    記偏光選択性ホログラム光学素子を経た第1の波長帯域
    成分の照明光と、第2の反射型空間光変調素子及び上記
    偏光選択性ホログラム光学素子を経た第2の波長帯域成
    分の照明光とを、スクリーン上に投射することを特徴と
    する画像表示装置。
  60. 【請求項60】 偏光選択性ホログラム光学素子の2つ
    の領域の一方は、屈折率異方性を有し、他方は屈折率等
    方性を有することを特徴とする請求項59記載の画像表
    示装置。
  61. 【請求項61】 回折効率が1%以下であることを特徴
    とする請求項59記載の画像表示装置。
  62. 【請求項62】 光源の発光部は、長方形形状をしてお
    り、短辺方向が、偏光選択性ホログラム光学素子への照
    明光の入射方向に一致していることを特徴とする請求項
    59記載の画像表示装置。
  63. 【請求項63】 照明光学系は、照明光のうちの互いに
    直交する偏光成分のいずれか一方について、偏光方位を
    90°回転させる偏光変換手段を備えていることを特徴
    とする請求項59記載の画像表示装置。
  64. 【請求項64】 光源、または、照明光学系は、照明光
    の全波長帯域のなかの複数の特定波長帯域のみを時間的
    に順次透過させる時間順次波長帯域切り替え手段を備え
    ていることを特徴とする請求項59記載の画像表示装
    置。
  65. 【請求項65】 照明光学系は、偏光選択性ホログラム
    光学素子と反対符号のベンド角を有する補正用偏光選択
    性ホログラム光学素子を備えていることを特徴とする請
    求項59記載の画像表示装置。
  66. 【請求項66】 補正用偏光選択性ホログラム光学素子
    は、偏光選択性ホログラム光学素子と同一素子であるこ
    とを特徴とする請求項65記載の画像表示装置。
  67. 【請求項67】 偏光選択性ホログラム光学素子に光学
    的に密着し、少なくとも照明光が略垂直に入射する第1
    の光学面と該反射型空間光変調素子による反射光が略垂
    直に射出する第2の光学面とを有するカップリングプリ
    ズムを備え、 上記偏光選択性ホログラム光学素子は、照明光を、照明
    光受光面の法線に対して60°以上90°未満の入射角
    で入射されることを特徴とする請求項59記載の画像表
    示装置。
  68. 【請求項68】 カップリングプリズムは、反射型空間
    光変調素子による照明光の正反射光が略垂直に入射する
    光吸収層が設けられた第3の光学面を有していることを
    特徴とする請求項67記載の画像表示装置。
  69. 【請求項69】 投射光学系は、反射型空間光変調素子
    による変調光のうちの偏光選択性ホログラム光学素子に
    おいて透過する偏光方位の成分を選択的に透過させる偏
    光選択手段を備えていることを特徴とする請求項59記
    載の画像表示装置。
  70. 【請求項70】 偏光選択性ホログラム光学素子は、ホ
    ログラム面に対する光線の入射角と回折射出角の差であ
    るベンド角が、30°以上となっていることを特徴とす
    る請求項59記載の画像表示装置。
  71. 【請求項71】 偏光選択性ホログラム光学素子のホロ
    グラム面と反射型空間光変調素子の反射面とは、光学的
    に平行ではない位置関係となっていることを特徴とする
    請求項59記載の画像表示装置。
  72. 【請求項72】 偏光選択性ホログラム光学素子は、回
    折効率の波長依存性の互いに異なる複数のホログラム層
    により構成されていることを特徴とする請求項59記載
    の画像表示装置。
  73. 【請求項73】 偏光選択性ホログラム光学素子は、回
    折効率の再生光入射角依存性の互いに異なる複数のホロ
    グラム層により構成されていることを特徴とする請求項
    59記載の画像表示装置。
  74. 【請求項74】 偏光選択性ホログラム光学素子は、回
    折効率の波長依存性の互いに異なる複数のホログラムが
    1つのホログラム層に多重されて構成されていることを
    特徴とする請求項59記載の画像表示装置。
  75. 【請求項75】 偏光選択性ホログラム光学素子は、回
    折効率の再生光入射角依存性の互いに異なる複数のホロ
    グラムが1つのホログラム層に多重されて構成されてい
    ることを特徴とする請求項59記載の画像表示装置。
  76. 【請求項76】 偏光選択性ホログラム光学素子は、液
    晶材料を有して構成されていることを特徴とする請求項
    59記載の画像表示装置。
  77. 【請求項77】 反射型空間光変調素子は、長方形形状
    をしており、長辺方向が、偏光選択性ホログラム光学素
    子への照明光の入射方向に一致していることを特徴とす
    る請求項59記載の画像表示装置。
  78. 【請求項78】 照明光を放射する光源と、 屈折率の入射偏光方位依存性が互いに異なる2つの領域
    を順次積層した構造を有し入射光を回折させる偏光選択
    性ホログラム光学素子と、 上記照明光を上記偏光選択性ホログラム光学素子に入射
    させる照明光学系と、 上記偏光選択性ホログラム光学素子により回折された照
    明光の偏光状態を変調する反射型空間光変調素子と、 上記反射型空間光変調素子を経た照明光を観察者の瞳に
    導く虚像観察光学系とを備え、 上記偏光選択性ホログラム光学素子は、上記照明光学系
    により、照明光受光面の法線に対して30°以上90°
    未満の入射角で照明光が入射され、該照明光のP偏光成
    分もしくはS偏光成分を回折させて上記反射型空間光変
    調素子に向けて出射するとともに、この反射型空間光変
    調素子により位相変調されて再入射する照明光のうち、
    1回目の入射において回折される偏光成分の偏光方向に
    直交する偏光方向である偏光成分に対する回折効率が1
    0%以下であることにより、この偏光成分を70%以上
    透過させ、 上記虚像観察光学系は、上記偏光選択性ホログラム光学
    素子の透過光を観察者の瞳に導くことを特徴とする画像
    表示装置。
  79. 【請求項79】 偏光選択性ホログラム光学素子の2つ
    の領域の一方は、屈折率異方性を有し、他方は屈折率等
    方性を有することを特徴とする請求項78記載の画像表
    示装置。
  80. 【請求項80】 回折効率が1%以下であることを特徴
    とする請求項78記載の画像表示装置。
  81. 【請求項81】 光源の発光部は、長方形形状をしてお
    り、短辺方向が、偏光選択性ホログラム光学素子への照
    明光の入射方向に一致していることを特徴とする請求項
    78記載の画像表示装置。
  82. 【請求項82】 照明光学系は、照明光のうち、偏光選
    択性ホログラム光学素子の回折効率が最大となる偏光方
    位の成分について、偏光方位を90°回転させる偏光変
    換手段を備えていることを特徴とする請求項78記載の
    画像表示装置。
  83. 【請求項83】 光源、または、照明光学系は、照明光
    の全波長帯域のなかの複数の特定波長帯域のみを時間的
    に順次透過させる時間順次波長帯域切り替え手段を備え
    ていることを特徴とする請求項78記載の画像表示装
    置。
  84. 【請求項84】 照明光学系は、偏光選択性ホログラム
    光学素子と反対符号のベンド角を有する補正用偏光選択
    性ホログラム光学素子を備えていることを特徴とする請
    求項78記載の画像表示装置。
  85. 【請求項85】 補正用偏光選択性ホログラム光学素子
    は、偏光選択性ホログラム光学素子と同一素子であるこ
    とを特徴とする請求項84記載の画像表示装置。
  86. 【請求項86】 偏光選択性ホログラム光学素子に光学
    的に密着し、少なくとも照明光が略垂直に入射する第1
    の光学面と該反射型空間光変調素子による反射光が略垂
    直に射出する第2の光学面とを有するカップリングプリ
    ズムを備え、 上記偏光選択性ホログラム光学素子は、照明光を、照明
    光受光面の法線に対して60°以上90°未満の入射角
    で入射されることを特徴とする請求項78記載の画像表
    示装置。
  87. 【請求項87】 カップリングプリズムは、反射型空間
    光変調素子による照明光の正反射光が略垂直に入射する
    光吸収層が設けられた第3の光学面を有していることを
    特徴とする請求項86記載の画像表示装置。
  88. 【請求項88】 虚像観察光学系は、反射型空間光変調
    素子による変調光のうちの偏光選択性ホログラム光学素
    子において透過する偏光方位の成分を選択的に透過させ
    る偏光選択手段を備えていることを特徴とする請求項7
    8記載の画像表示装置。
  89. 【請求項89】 偏光選択性ホログラム光学素子は、P
    偏光光である照明光を入射されることを特徴とする請求
    項78記載の画像表示装置。
  90. 【請求項90】 偏光選択性ホログラム光学素子は、ホ
    ログラム面に対する光線の入射角と回折射出角の差であ
    るベンド角が、30°以上となっていることを特徴とす
    る請求項78記載の画像表示装置。
  91. 【請求項91】 偏光選択性ホログラム光学素子のホロ
    グラム面と反射型空間光変調素子の反射面とは、光学的
    に平行ではない位置関係となっていることを特徴とする
    請求項78記載の画像表示装置。
  92. 【請求項92】 偏光選択性ホログラム光学素子は、回
    折効率の波長依存性の互いに異なる複数のホログラム層
    により構成されていることを特徴とする請求項78記載
    の画像表示装置。
  93. 【請求項93】 偏光選択性ホログラム光学素子は、回
    折効率の再生光入射角依存性の互いに異なる複数のホロ
    グラム層により構成されていることを特徴とする請求項
    78記載の画像表示装置。
  94. 【請求項94】 偏光選択性ホログラム光学素子は、回
    折効率の波長依存性の互いに異なる複数のホログラムが
    1つのホログラム層に多重されて構成されていることを
    特徴とする請求項78記載の画像表示装置。
  95. 【請求項95】 偏光選択性ホログラム光学素子は、回
    折効率の再生光入射角依存性の互いに異なる複数のホロ
    グラムが1つのホログラム層に多重されて構成されてい
    ることを特徴とする請求項78記載の画像表示装置。
  96. 【請求項96】 偏光選択性ホログラム光学素子は、液
    晶材料を有して構成されていることを特徴とする請求項
    78記載の画像表示装置。
  97. 【請求項97】 反射型空間光変調素子は、長方形形状
    をしており、長辺方向が、偏光選択性ホログラム光学素
    子への照明光の入射方向に一致していることを特徴とす
    る請求項78記載の画像表示装置。
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