JP2002020516A - ガスバリア性フィルムの製造方法 - Google Patents
ガスバリア性フィルムの製造方法Info
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Abstract
性樹脂フィルムを提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面
に、ポリビニルアルコール(A)とオレフィン−マレイ
ン酸共重合体(B)をA/B=97/3〜20/80
(質量比)で含有する溶液を塗布し乾燥した後、150
℃以上の温度で熱処理し、さらに電子線を照射すること
を特徴とするガスバリア性フィルムの製造方法。
Description
ア性を付与する方法に関するものである。
樹脂フィルムは強度、透明性、成形性に優れていること
から、包装材料として幅広い用途に使用されている。し
かしながら、レトルト処理食品等の長期間の保存性が求
められる用途に用いる場合には、さらに高度なガスバリ
ア性が要求される。
熱可塑性樹脂フィルムの表面にポリ塩化ビニリデン(P
VDC)を積層したフィルムが食品包装等に幅広く使用
されてきたが、PVDCは焼却時に酸性ガス等の有機物
質を発生するため、近年環境への関心が高まるとともに
他材料への移行が強く望まれている。
アルコールがある。この材料は有毒ガスの発生もなく、
低湿度雰囲気下でのガスバリア性も高いが、湿度が高く
なるにつれて急激にガスバリア性が低下し、水分を含む
食品等の包装には用いることができない場合が多い。
ガスバリア性低下を改善したポリマーとして、ビニルア
ルコールとエチレンの共重合体(EVOH)が知られて
いるが、このポリマーの高湿度でのガスバリア性を実用
レベルに維持するためには、エチレンの含有量をある程
度高くする必要がある。そのようなポリマーは水に難溶
となるため、コーティング材料とする場合には有機溶媒
または水と有機溶媒の混合溶媒を用いる必要が生じ、環
境問題の観点からも望ましくなく、また有機溶媒の回収
工程などを必要とするため、コスト高になるという問題
がある。
トしたフィルムをレトルト食品包装用途に使用する場合
には、ボイル等の処理に耐えうるレベルまで耐水化され
ていなければならない。従来より、各種架橋剤により耐
水化する技術、例えばマレイン酸単位を含有するポリマ
ーをポリビニルアルコールの水酸基と反応させて耐水化
されることは知られている。例えば、特開平8−669
91号公報には、イソブチレン−無水マレイン酸共重合
体の25〜50%部分中和物とポリビニルアルコールか
らなる層が優れた耐水性を有することが開示されてい
る。また、特開昭49−1649号公報にはポリビニル
アルコールにアルキルビニルエーテル−無水マレイン酸
共重合体を混合することによりポリビニルアルコールの
フィルムを耐水化する方法が述べられている。
成物をフィルムにコートし、高湿度下でも高いガスバリ
ア性を発現させる方法として、ポリビニルアルコールと
ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸の部分中和物と
からなる水溶液をフィルムにコートして熱処理すること
により、両ポリマーをエステル結合により架橋する方法
が提案されている(特開10−237180号公報)。
この方法では、エステル結合による架橋構造によって、
高湿度下でのガスバリア性が達成されている。しかしこ
の系では、エステル化反応を十分に進行させるために、
高温で長時間の加熱が必要であるため、生産性に問題が
あった。さらに、フィルムが高温で長時間熱に曝される
ため、着色して外観を損ねるという問題があった。
を形成させる技術は一般に知られている。例えば、フィ
ルムにポリビニルアルコールを主成分とする溶液を塗布
し、電子線を照射することでガスバリア性を改良しよう
とする方法が、特開平7−102089号公報に開示さ
れている。しかしながら、後に示す本発明者らの実験に
よればこのような方法によってフィルムのガスバリア性
はほとんど改善されなかった。これはポリビニルアルコ
ールが非常に結晶性の高い高分子であるため、フィルム
に塗布された状態でも分子の大部分は結晶化し、その結
晶の存在によって非晶部分の分子も拘束を受けているた
め、電子線を照射しても十分な架橋密度が得られなかっ
たと考えられる。
ルアルコールをコートし、塗膜が膨潤状態にあるうちに
電子線を照射する手法が特開平6−143507号公報
に提案されている。しかし膨潤状態にあってもポリビニ
ルアルコールの結晶は存在しているため本質的な改良と
はなっておらず、本発明者らの実験においても効果は見
られなかった。
ような問題に対して、高湿度下でも高いガスバリア性を
維持することができる熱可塑性樹脂フィルムを工業的に
安価に製造できる方法を提供しょうとするものである。
の結果、特定の樹脂組成物からなるコート液をフィルム
の表面に積層し、熱処理後電子線を照射することにより
上記の課題が解決できることを見出し本発明に到達し
た。すなわち本発明の要旨は、次のとおりである。熱可
塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、ポリビニルアル
コール(A)とオレフィン−マレイン酸共重合体(B)
をA/B=97/3〜20/80(質量比)で含有する
溶液を塗布し乾燥した後、150℃以上の温度で熱処理
し、さらに電子線を照射することを特徴とするガスバリ
ア性フィルムの製造方法。
する。
ィルムとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン
46等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタ
レート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル樹
脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィ
ン樹脂、またはそれらの混合物よりなるフィルム、また
はそれらのフィルムの積層体が挙げられ、未延伸フィル
ムでも延伸フィルムでもよい。
性樹脂を押出機で加熱、溶融してTダイより押し出し、
冷却ロールなどにより冷却固化させて未延伸フィルムを
得るか、もしくは円形ダイより押出して水冷あるいは空
冷により固化させて未延伸フィルムを得る。延伸フィル
ムを製造する場合は、未延伸フィルムを一旦巻き取った
後、または連続して同時2軸延伸法または逐次2軸延伸
法により延伸する方法が好ましい。フィルムの機械的特
性や厚み均一性などの性能面から、Tダイによるフラッ
ト式製膜法とテンター延伸法を組み合わせる方法が好ま
しい。
(A)とオレフィン−マレイン酸共重合体(B)の質量
比は97/3〜20/80、好ましくは、90/10〜
40/60の範囲であることが必要である。この範囲を
外れる場合には、特に高湿度雰囲気下でのフィルムのガ
スバリア性の発現のために有効な架橋密度を得ることが
できず、本発明の目的とするガスバリア性フィルムを得
ることができない。
コール(A){ポリマー(A)}は、ビニルエステルの
重合体を完全または部分ケン化するなどの公知の方法を
用いて得ることができる。ビニルエステルとしては、ぎ
酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン
酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられ、中でも
酢酸ビニルが工業的に最も好ましい。
ステルに対し他のビニル化合物を共重合することも可能
である。他のビニル系モノマーとしては、クロトン酸、
アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸お
よびそのエステル、塩、無水物、アミド、ニトリル類
や、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジ
カルボン酸およびその塩、炭素数2〜30のα−オレフ
ィン類、アルキルビニルエーテル類、ビニルピロリドン
類などが挙げられる。
ア性を付与するために積層されるポリマーは水溶性であ
ることが生産上好ましく、疎水性の共重合成分を多量に
含有させると水溶性が低下するので好ましくない。ポリ
マー(A)中のビニルアルコール単位が40モル%以上
含有されていることが好ましい。ポリマー(A)中のビ
ニルアルコール単位の比率が低すぎると、上記水溶性が
低下するほか、マレイン酸共重合体(B)とのエステル
結合反応率が低下し、本発明の目的とするガスバリアフ
ィルムを得ることができない。
ケン化法や酸ケン化法を用いることができ、中でもメタ
ノール中で水酸化アルカリを使用して加アルコール分解
する方法が好ましい。ケン化度は80%以上であること
が好ましい。ケン化度は100%に近いほどガスバリア
性が向上するが、水溶液の温度が低くなるとゲル化する
懸念があり、保存には温度管理が必要となる。ケン化度
を若干低下させて、例えば97%程度にすると溶液の安
定性は格段に増し、またバリア性能の低下もほとんどな
い。逆に、ケン化度が低すぎるとバリア性能が低下し、
ポリマーの水溶性が失なわれる。
ン−マレイン酸共重合体(B){ポリマー(B)}は、
無水マレイン酸とオレフィンモノマーを溶液ラジカル重
合などの公知の方法で重合することにより得られる。共
重合可能なオレフィンモノマーとしては、メチルビニル
エーテル、エチルビニルエーテルなどの炭素数3〜30
までのアルキルビニルエーテル類、(メタ)アクリル酸
メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル
酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、ぎ酸ビニ
ル酢酸ビニルなどのビニルエステル類、スチレン、p−
スチレンスルホン酸、エチレン、プロピレン、イソブチ
レンなどの炭素数2〜30のオレフィンなどが挙げら
れ、これらの混合物を用いることもできる。このうち、
アルキルビニルエーテル類、低級オレフィン類などがガ
スバリア性の向上の点で最も好ましい。
ン酸単位は、10モル%以上含有することが好ましい。
マレイン酸単位が10モル%未満のときは、ポリマー
(A)中のビニルアルコール単位との反応による架橋構
造の形成が不十分となりガスバリア性が低下する。また
このマレイン酸は部分的にエステル化もしくはアミド化
されていてもよい。
中のマレイン酸単位は、乾燥状態では隣接カルボキシル
基が脱水環化した無水マレイン酸構造となりやすく、湿
潤時や水溶液中では開環してマレイン酸構造となる。
のカルボキシル基は加熱によってエステル結合による架
橋構造を形成し、高湿度におけるガスバリア性が向上す
るが、さらに(A)または(B)あるいはその両方と架
橋性を有する架橋剤(C)を(A)と(B)の合計量に
対して0.1〜20質量%の割合で含有させることで、
より短時間の熱処理によっても高いガスバリア性を発現
させることができる。架橋剤の量が0.1%未満では充
分な架橋効果を得ることができず、また、20%を超え
る場合には、架橋剤がガスバリア性の阻害因子となり、
いずれの場合もガスバリア性が低下してしまう。このよ
うな架橋剤としては、水酸基あるいはカルボキシル基と
反応する官能基を分子内に複数個含有する化合物または
多価の配位座を持つ金属錯体などが挙げられるが、この
うち好ましいものはイソシアネート化合物、メラミン化
合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、ジルコ
ニウム塩化合物等である。
スバリア層を形成させる方法としては、ポリマー(A)
とポリマー(B)および必要により架橋剤(C)からな
るコート液を調製し、フィルムにコーティング後乾燥
し、さらに150℃以上の温度で熱処理を行って架橋反
応を進行させ、さらに電子線を照射することで架橋密度
を上げ、ガスバリア性を向上させる。
えた溶解釜等を用いて公知の方法で行えばよい。たとえ
ば、ポリマー(A)とポリマー(B)を別々に水溶液も
しくは水分散液とし、使用前に混合して用いる方法が好
ましい。この時、溶解性を高める目的や乾燥工程の短
縮、溶液の安定性の改善などの目的により、水にアルコ
ールや有機溶媒を少量添加することもできる。また、架
橋反応の触媒となる化合物を添加することもできる。
ポリマー(B)の混合物中に、バーミキュライトやモン
モリロナイト、ヘクトライトなどの水膨潤性の層状無機
化合物を少量添加することによって、得られるフィルム
のガスバリア性をさらに向上させることができる。
(B)からなるコート層の厚みは、フィルムのガスバリ
ア性を十分高めるために、0.1μm以上とすることが
好ましい。
よび必要に応じて架橋剤(C)からなる混合液をフィル
ムにコートする際のポリマー濃度は、液の粘度や反応
性、用いる装置の仕様によって適宜変更されるものであ
るが、溶液全体の10〜50質量%の範囲にすることが
好ましい。あまりに希薄であるとガスバリア性を発現す
るのに充分な厚みの層をコートすることが困難となり、
また、その後の乾燥工程において長時間を要するという
問題を生じやすい。一方、液の濃度が高すぎると、混合
操作や保存性などに問題を生じることがある。
混合溶液をフィルムにコーティングする方法は特に限定
されないが、グラビアロールコーティング、リバースロ
ールコーティング、ワイヤーバーコーティング、ダイコ
ーティング等の通常の方法を用いることができる。また
コーティングは、フィルムの延伸前に行ってもよく、ま
た、延伸後のフィルムに行ってもよい。この際、塗工性
を改善させるために、コーティングに先立ってフィルム
の表面をコロナ放電処理したり、アクリル系樹脂、ウレ
タン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂などをプライ
マー層としてコーティングするなどの、通常公知の処理
を施しても良い。
まず未延伸フィルムにコーティングして乾燥した後、テ
ンター式延伸機に供給してフィルムを走行方向と幅方向
に同時に延伸(同時2軸延伸)、熱処理するか、あるい
は、多段熱ロール等を用いてフィルムの走行方向に延伸
を行った後にコーティングし、乾燥後、テンター式延伸
機によって幅方向に延伸(逐次2軸延伸)してもよい。
また、走行方向の延伸とテンターでの同時2軸延伸を組
み合わせることも可能である。また、延伸に先だってコ
ーティングし、その後に延伸、熱処理を行う方法は延
伸、熱処理時の高い温度を架橋反応に利用できるので好
ましい方法である。
は両面に形成された、ポリマー(A)とポリマー(B)
を架橋反応させるために、温度150℃以上、好ましく
は180℃以上の雰囲気で熱処理することが好ましい。
熱処理温度が低いと架橋反応を充分に進行させることが
できず、充分なガスバリア性を有するフィルムを得るこ
とが困難になる。こうして得られた塗工フィルムはこれ
だけでも優れたバリア性を示し、特に熱処理時間を増し
ていくにつれガスバリア性が向上するが、あまり長時間
の熱処理は生産性を低下させることになる。これに対
し、本発明の方法ではコート・乾燥・熱処理を施したフ
ィルムに電子線を照射することでガスバリア性を一段と
高めることができる。
の範囲が好ましく、さらに好ましくは1〜15Mrad
である。電子線の照射量が1Mrad未満であると、十
分な架橋を導入することができずガスバリア性の改善が
不十分である。また、逆に照射量が多すぎても、過度な
照射により分子鎖が切断されるためか、ガスバリア性が
低下する。
照射することでガスバリア性が向上する原因は明確では
ないが、本発明のコート層の主成分であるポリビニルア
ルコールとオレフィン−マレイン酸共重合体は非常に親
和性が高く、両者は完全に混合しているかそうでなくて
も各成分のドメインは非常に小さく、ポリビニルアルコ
ールはほとんど結晶化していないと考えられる。そのた
め分子鎖の拘束が少なく、電子線によって容易に架橋構
造が形成されるものと推定される。
る。
測定器により20℃、相対湿度85%の雰囲気における
酸素透過度を測定した。
ルアルコールUF040G(ケン化度99%、平均重合
度400)を純水に溶解し、10質量%の水溶液を得
た。ポリマー(B)としてInternational Specialty Pr
oducts社製メチルビニルエーテル−マレイン酸の等モル
共重合体GANTREZ AN119を、このポリマー
のカルボキシル基に対して5モル%の水酸化ナトリウム
を含む水溶液に溶解し10質量%溶液とした。次いでポ
リマー(A)とポリマー(B)の質量比が70/30と
なるように両水溶液を混合し、室温で攪拌してコート液
を調製した。このコート液を2軸延伸PETフィルム
(ユニチカ社製エンブレットPET12、厚み12μ
m)上に乾燥後の塗膜厚みが約2μmになるようにメイ
ヤーバーでコートし、100℃で2分間乾燥した後、2
00℃で10秒間熱処理した。その後フィルムを電子線
照射装置(日新ハイボルテージ製、キュアトロン)に導
入して5Mrad(加速電圧175kV)を照射した。
得られたフィルムの20℃、85%RHにおける酸素透
過度は81ml/m2・day・MPaであった。
透過度は150ml/m2・day・MPaであった。
を作成した。結果を表1に示した。
った。コート液として、実施例1で用いたポリビニルア
ルコールの10質量%水溶液を用いた以外は、実施例1
と同様にしてコートフィルムを作成した。結果を表1に
示した。
に、本発明のコート液をフィルムに塗布乾燥・熱処理し
た後にさらに電子線を照射することでフィルムのガスバ
リア性を格段に高めることができる。本発明の方法によ
れば高湿度下でも高いガスバリア性を有する熱可塑性樹
脂フィルムを工業的に生産性良く製造することができ
る。
Claims (1)
- 【請求項1】 熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面
に、ポリビニルアルコール(A)とオレフィン−マレイ
ン酸共重合体(B)を、A/B=97/3〜20/80
(質量比)で含有する溶液を塗布し乾燥した後、150
℃以上の温度で熱処理し、さらに電子線を照射すること
を特徴とするガスバリア性フィルムの製造方法。
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JP4651783B2 (ja) | 2011-03-16 |
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