JP2002020508A - ポリフェニレンスルフィドフィルムおよびコンデンサー - Google Patents

ポリフェニレンスルフィドフィルムおよびコンデンサー

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JP2002020508A
JP2002020508A JP2000201866A JP2000201866A JP2002020508A JP 2002020508 A JP2002020508 A JP 2002020508A JP 2000201866 A JP2000201866 A JP 2000201866A JP 2000201866 A JP2000201866 A JP 2000201866A JP 2002020508 A JP2002020508 A JP 2002020508A
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polyphenylene sulfide
pps
capacitor
layer
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JP2000201866A
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Iwao Okazaki
巌 岡崎
Kenji Tsunashima
研二 綱島
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ポリフェニレンスルフィドの持つ耐熱性、周波
数特性、機械特性を保持しつつ、耐電圧性が改善された
ため、コンデンサ製造の歩留まりが向上し、信頼性の高
いコンデンサー用に好適なポリフェニレンスルフィドフ
ィルムを提供する。 【解決手段】フィルム厚み方向全部分が実質的にポリフ
ェニレンスルフィド樹脂で構成された、熱接着開始温度
が100℃以下であることを特徴とするポリフェニレン
スルフィドフィルムで、このポリフェニレンスルフィド
フィルムの表層部と内層部の結晶性が異なり、少なくと
も片面の表層部の方が非晶性である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリフェニレンス
ルフィドフィルムおよびそれを用いたコンデンサーに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンスルフィドフィルム(以
下、PPSフィルムと略称することがある)は、特開昭
54−142275号公報等で開示されている。また、
PPSフィルムをコンデンサーの誘電体に用い、耐熱
性、周波数特性および温度特性等に優れたコンデンサー
を提供することが、特開昭57−187327号公報等
で提案されている。しかしながら、上記のコンデンサー
は、その製造工程すなわち積層、巻回や裁断、成形等の
工程において製造条件範囲が狭く、これらの管理が不十
分な場合、低電圧破壊による不良品が増加するという欠
点がある。さらに、上記コンデンサーは、低電圧破壊が
生じたときに自己回復(セルフヒール)せずショートす
ることが多く、このことがさらに不良率を増加させた
り、使用時の信頼性が低い等の欠点があった。
【0003】このような問題を解決するために、特開平
4−219236号や特開平5−318665号公報
で、PPSフィルムの少なくとも片方の面に、ポリエス
テル樹脂やポリオレフィン樹脂を積層したPPS積層フ
ィルムをコンデンサーに用いることが提案されている。
しかしながら、これらのPPS積層フィルムは、次の問
題点を有していた。すなわち、従来のPPS積層フィル
ムは、ポリエステル、ポリオレフィン樹脂として結晶性
ポリマー(融点を有するポリマー)を使用し、PPSと
溶融共押出、共延伸法で製造している。溶融共押出した
積層体を二軸延伸して熱処理する方法は、PPSに比べ
てポリエステル、ポリオレフィン樹脂の融点が低いため
にPPS単独製膜の熱処理温度より低温で熱処理する必
要がある。このため、該積層フィルムは熱収縮率が大き
くなったり、積層樹脂が分子配向しているためPPSと
の界面で剥離し易くなる。また、熱処理温度を積層樹脂
の融点以上にするとポリエステルやポリオレフィン層が
溶融して結晶化し、該積層フィルムの機械特性の低下や
表面粗さの変化が生じ、コンデンサーの加工性が低下す
るという問題があった。また、積層樹脂がPPSフィル
ム以上の融点を有する樹脂としても、該積層樹脂が分子
配向するためPPSとの界面で剥離し易くなる。したが
って、従来のPPS積層フィルムで上記問題点を解消す
る製造条件範囲は極めて狭く、十分な品質のものが得ら
れなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、PP
Sフィルムの持つ優れた耐熱性、誘電特性および機械特
性等を損なうことなく、PPSフィルムコンデンサーの
問題点であった耐電圧性を向上させることができるポリ
フェニレンスルフィドフィルム、およびそれを用いたコ
ンデンサーを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、以下の構成としたものである。 (1)熱接着開始温度が100℃以下であることを特徴
とするポリフェニレンスルフィド積層フィルム。 (2)フィルム厚み方向全部分が実質的にポリフェニレ
ンスルフィド樹脂で構成され、フィルムの少なくとも片
面の表層部が内層部より非晶性である上記(1)に記載
のポリフェニレンスルフィドフィルム。 (3)結晶性ポリフェニレンスルフィドフィルム(A
層)の少なくとも片面に非晶性ポリフェニレンスルフィ
ドフィルム(B層)が積層されてなる上記の(1)また
は(2)に記載のポリフェニレンスルフィドフィルム。 (4)フィルム表面がフレーム(火焔)処理より非晶化
されたことを特徴とする上記(1)または(2)に記載
のポリフェニレンスルフィドフィルム。 (5)上記(1)〜(4)のいずれかのポリフェニレン
スルフィドフイルムの少なくとも片面に金属蒸着してな
る金属化ポリフェニレンスルフィドフィルムを、巻回ま
たは積層してなるコンデンサー。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明のPPSフィルムは、フィ
ルム厚み方向全部分が実質的にポリフェニレンスルフィ
ド樹脂(PPS樹脂)で構成される。PPSフィルムを
構成するポリフェニレンスルフィド樹脂としては、例え
ば、ポリ−p−フェニレンスルフィドが好ましく例示さ
れる。しかしながら、ポリ−p−フェニレンスルフィド
は結晶性ポリマであるため、延伸配向させ、熱処理によ
り熱結晶化させると、フィルム内層からフィルム表層ま
で、ほぼ等しく結晶化させられる。従って、本発明で
は、これを非晶化するため、例えば、二軸配向させたポ
リ−p−フェニレンスルフィドの表層をフレーム(火
焔)処理等の方法で、熱的に融解せしめる方法が例示さ
れる。これによって、熱接着開始温度が100℃以下、
好ましくは95℃以下となり、コンデンサー作成時、フ
ィルムを積層または巻回した場合に低圧力で接着し、剥
離せず、生産性が格段に向上する。間接接着温度を「1
00℃以下」にコクトロールする手段としては、表層の
結晶化度を低下させる(非晶化する)ことがよく、その
手段としては非晶層を積層する方法と、表層を融解させ
る方法がある。
【0007】また、本発明では、ポリ−p−フェニレン
スルフィドの少なくとも片面に非晶性ポリフェニレンス
ルフィドフィルム(B層)、例えば、ポリ−m(メタ)
−フェニレンスルフィドフィルムを積層する方法等が例
示される。これによっても、熱接着開始温度が100℃
以下、好ましくは90℃以下となり、コンデンサー作成
時、フィルムを積層または巻回した場合に低圧力で接着
し、剥離せず、生産性が格段に向上する。
【0008】本発明におけるPPS樹脂とは、PPSを
好ましくは70重量%以上、より好ましくは85重量%
以上含む樹脂組成物をいい、残りの30重量%未満、好
ましくは15%重量未満であれば、有機または無機の添
加剤、不活性粒子あるいは帯電防止剤等を含むことは差
し支えない。また、PPSとは、好ましくは繰り返し単
位の70モル%以上、より好ましくは85モル%以上が
ポリフェニレンスルフィドからなる重合体をいう。かか
る成分が70モル%未満では、ポリマーの結晶性と軟化
点等が低下し、PPSの特長である耐熱性、寸法安定性
および機械特性等が損なわれる場合がある。繰り返し単
位の30モル%未満、好ましくは15モル%未満であれ
ばフェニレンスルフィドユニットと共重合可能な繰り返
し単位、例えば、エーテルユニット、スルホンユニッ
ト、ビフェニルユニット、ナフチルユニット、置換フェ
ニルスルフィドユニット、三官能フェニルスルフィドユ
ニットなどから構成することができる。また、共重合ユ
ニットの結合はブロック、ランダムのどちらでもよい。
また、本発明のPPS樹脂の溶融粘度は、温度300
℃、せん断速度200sec-1 の下で好ましくは10
0〜50,000ポイズ、より好ましくは500〜12,
000ポイズの範囲であることが製膜性の面で好まし
い。
【0009】本発明のPPSフィルムには、耐圧性の点
から、無機粒子および/または有機粒子が含有されてい
ることが好ましい。無機粒子および/または有機粒子の
平均粒径は特に限定されないが、好ましくは0.1〜
3.0μm、より好ましくは0.1〜2.0μmであ
る。また、その含有量は特に限定されないが0.005
〜3重量%、好ましくは0.01〜1.0重量%であ
る。
【0010】かかる粒子としては、例えば、炭酸カルシ
ウム、アルミナ、ヒドロキシアパタイト、凝集または単
分散型シリカ、酸化チタン、架橋剤としてポリスチレン
を用いた有機粒子、カーボンブラック等から選ばれる粒
子が好ましく例示される。これらの粒子を複数併用して
もよい。粒子粒度分布の相対標準偏差は特に限定されな
いが、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.5以
下の場合に特に耐圧性が向上する。
【0011】本発明において非晶性ポリフェニレンスル
フィド樹脂とは、特に限定されないが、結晶性が15%
以下、好ましくは10%以下のものが例示される。ここ
で結晶性は、示差走査型熱量計にて融点を示す吸熱ピー
ク面積で判断する。
【0012】ポリフェニレンスルフィド共重合体として
は、パラフェニレンスルフィドユニットと共重合でき
る、例えばメタフェニレンスルフィドユニット、エーテ
ルユニット、スルホンユニット、ビフェニルユニット、
ナフチルユニット、置換フェニルスルフィドユニット、
三官能フェニルスルフィドユニットなどから構成するこ
とができる。また、共重合ユニットの結合はブロック、
ランダムのどちらでもよい。該組成物は、ポリフェニレ
ンスルフィド共重合体を70重量%以上、好ましくは8
0重量%以上含むものをいい、残りの30重量%未満は
滑剤、着色剤、難燃剤、有機および/または無機粒子、
他の樹脂等が含まれていてもよい。
【0013】また、本発明において、フィルムの特性が
損なわれない範囲で架橋結合材を含有させることもでき
る。架橋結合材としては、例えば、メチロール化または
アルキロール化した尿素系、メラミン系、アクリルアミ
ド系、ポリアミド系の樹脂、およびエポキシ化合物、イ
ソシアネート化合物等が挙げられる。
【0014】本発明のPPSフィルムは、上記結晶性P
PSフィルム(A層)の少なくとも片面に非晶性PPS
樹脂層(B層)が積層された構成のものが好ましく例示
される。積層方法は、共押出共延伸法やラミネート法な
ど適用でき、また積層フィルムの厚みは、A層の厚みに
対してB層の厚みが1〜35%の範囲にあることが好ま
しい。B層の厚みがA層の1%未満では耐電圧性が改善
され難い。逆に、B層の厚みが35%を超えると結晶性
PPSフィルムの特長である耐熱性、誘電特性および機
械特性等が損なわれるため、コンデンサー特性が低下す
る。
【0015】また、積層フィルムの表面粗さ(Ra)
は、金属蒸着およびコンデンサー加工適性の点で30〜
120nmの範囲が好ましく、コンデンサー作製後の金
属化フィルムにおいても該範囲が好ましい。
【0016】また、230℃の加熱収縮率は、長手方向
(MD)が0〜10%、長手直交方向(TD)が−2〜
5%の範囲がコンデンサー素子の成形性、コンデンサ特
性の点で好ましく、コンデンサー作製後の金属化フィル
ムにおいても該範囲が好ましい。
【0017】さらに、本発明のPPSフィルム全厚さ
は、特に限定されないが、0.3〜3μmの範囲が好ま
しく、0.5〜2μmの範囲がより好ましく、本発明の
目的を効果的に達成する点で0.7〜2μmの範囲がさ
らに好ましい。
【0018】本発明のコンデンサーは、上記PPSフィ
ルムの少なくとも片面に金属を蒸着して金属化フィルム
とし、該金属化フィルム同士または両面金属化フィルム
と金属化していないPPS積層フィルムを交互に巻回ま
たは積層して作製されるものである。蒸着金属は特に限
定されないが、蒸着加工性、コンデンサー特性の点でア
ルミニウムが好ましい。
【0019】また、本発明のコンデンサーは、コンデン
サーの形状、引き出し電極の形成法、外装の有無に限定
はなく、目的に応じて適宜選択できる。
【0020】また、金属蒸着層および/または金属蒸着
したPPSフィルム同士の接着性を高める目的で、コロ
ナ処理、プラズマ処理、プライマー処理などの表面処理
が、単独または複数の組み合わせで施されていてもよ
い。
【0021】次に、本発明のPPSフィルムおよびその
PPSフィルムを用いたコンデンサーの製法について説
明する。但し、本発明のPPSフィルムおよびそのPP
Sフィルムの製法は、ここに記載する方法に限定される
ものではない。
【0022】(1)PPSフィルムの製法 本発明に用いるPPSは、硫化アルカリとp−またはm
−ジハロベンゼンを極性溶媒中で高温高圧下に反応させ
る方法により得ることができる。特に、硫化ナトリウム
とp−またはm−ジクロロベンゼンをN−メチル−2−
ピロリドン(以下、NMPと称することがある)等のア
ミド系極性溶媒中で反応させることが好ましい。この場
合、重合度を調節するために、苛性アルカリ、カルボン
酸アルカリ金属塩等のいわゆる重合助剤を添加して23
0〜280℃で反応させることが最も好ましい。重合系
内の圧力および重合時間は、使用する助剤の種類や量お
よび所望する重合度などによって適宜決定される。得ら
れたPPSに、滑剤等の添加剤を添加してヘンシェルミ
キサー等でブレンドし、エクストルーダーに代表される
押出機、好ましくは一段以上のベント孔を有する押出機
に供給して290〜360℃の温度で溶融混練して任意
の口金から押出してPPS樹脂組成物を得る。 積層フ
ィルムとする方法は、複数の押出し機、複数のマニホ−
ルドまたは合流ブロックを用いて溶融状態のPPS樹脂
を積層する。
【0023】該PPS樹脂組成物を溶融押出装置に供給
し、該PPS樹脂組成物の融点以上、好ましくは290
〜360℃の温度で溶融してスリット状のダイから押出
し、回転する金属ドラム上でキャストするなどの方法で
急冷して、未延伸、無配向のフィルムを得る。
【0024】得られた未延伸フィルムを二軸延伸フィル
ムにするには、上記で得られた未延伸、無配向フィルム
を、周知の逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法などの方法
を用いることができる。延伸条件は、85〜105℃の
温度で両軸各1.5〜4.5倍の範囲の倍率で行なうこ
とが好ましい。
【0025】このようにして得られた二軸延伸フィルム
は、次に、好適には15%以下の制限下で熱処理され
る。熱処理温度は、好ましくは180℃〜融点、より好
ましくは200〜285℃の範囲であり、本発明では当
該温度で1〜60秒熱処理する方法が好適である。
【0026】二軸配向させたポリ−p−フェニレンスル
フィドの表層部の結晶性を低下させ非晶性とするため
に、表層のみ熱的に融解せしめるフレーム処理(火焔処
理)が好ましく例示され、特に本発明の目的を達成する
ために有用である。フレーム処理方法としては、酸化炎
を好ましくは1〜10秒、より好ましくは2〜5秒照射
し、フィルム表層を部分的又は完全に融解させる方法が
好ましく例示される。
【0027】表層部の非晶性PPSフィルムは、特に限
定されないが、表層から1μm以下、好ましくは0.5
μm以下、さらに好ましくは0.1μm以下の範囲の場
合に特に耐電圧性が良好となる。
【0028】(2)コンデンサーの製法 本発明のコンデンサは、上記PPSフィルムを誘電体と
するコンデンサーであり、上記PPSフィルムの少なく
とも片面に電極となる金属膜を形成して金属化フィルム
とした後、巻回法や積層法などによって交互に重ね合わ
せて巻き取るなどして誘電体と電極を交互に重ね合わさ
れ、かつ外部に電極が引き出せるような構造にして作製
されるものである。
【0029】金属化の方法は、蒸着による方法が好まし
く、蒸着加工性とコンデンサ特性の点でアルミニウム蒸
着が特に好ましい。金属化する際、予め金属化する側の
フィルム表面にコロナ放電処理、プラズマ処理などによ
って金属薄膜とフィルムとの密着力を向上させることも
できる。また、金属化する際、あるいは金属化後に対向
電極が短絡しないようにテープマスク、オイルマージ
ン、あるいはレーザービーム等により非金属化部分(い
わゆるマージン)を設けるのが常法であるが、全面に蒸
着した後に放電、レーザー光線などを用いて非金属化帯
を設けることもできる。その後、一方の端にマージン部
分がくるように細幅のテープ状にスリットすることもあ
る。
【0030】次に、コンデンサー素子を製造する。巻回
型コンデンサーを得る場合は、金属化フィルムを一方の
端にマージン部分がくるように細幅のテープ状にスリッ
トした後、マージン位置が逆側になるよう2枚を重ね
て、あるいは両面金属化フィルムと非金属化フィルムを
重ねて個々の素子を個別に巻いていくのが常法である。
【0031】このようにして得られたコンデンサー素子
をプレス成形するのが一般的であり、100℃以上フィ
ルムの融点以下の温度に加熱することもできる。その
後、外部電極の取り付け工程(金属溶射、導電性樹脂等
による)、必要なら樹脂または油含浸工程、リード付き
タイプのコンデンサーとするときはリード線の取り付け
工程、外装工程を経てコンデンサーを得ることができ
る。
【0032】積層型コンデンサーの場合は、大径のドラ
ム、あるいは平板に巻回型同様に重ね合わせて巻回し、
この状態で熱処理する、あるいはリング等で締め付け
る、あるいは平行平板等でプレスするなどフィルムの厚
さ方向に圧力を加えて成形して母素子を得る。その際の
温度範囲は、常温からPPSの融点以下とするのが一般
的である。この後、上記の母素子に金属溶射、導電性樹
脂などによる外部電極の取り付け工程、個々の素子切り
出し工程、必要なら樹脂または油含浸工程を経てコンデ
ンサーを得ることができる。
【0033】[特性の評価方法]次に、本発明の記述に
用いた特性の評価方法について述べる。
【0034】(1)積層厚み 積層フィルムの断面を透過型電子顕微鏡像を写真撮影
し、写真倍率から逆算して求めた。
【0035】(2)熱収縮率 230℃の温度で、JIS C−2151に準じて測定
した。
【0036】(3)表面粗さRa JIS R−0601に準じて、カットオフ0.08m
mにて測定した。
【0037】(4)熱接着性、熱接着開始温度 試料フィルムを、設定した温度で、かつ15kg/cm
2で熱接着させ、試料フィルムの両面同位置にセロファ
ン粘着テープを貼り、両面のセロファンテープ端部を勢
い良く逆方向に引っ張り、剥離した面積を下記基準にて
表した。 ○:剥離面積の10%未満が剥離する。 △:剥離面積の10〜30%が剥離する。 ×:剥離面積の30%以上が剥離する。
【0038】サンプル数20で評価し、18以上が接着
したと判断される温度を熱接着開始温度とした。
【0039】(5)結晶性 結晶性の大小は、示差走査型熱量計(DSC)で測定
し、結晶融解における吸熱ピーク面積の大小により相対
的に判定する。100%結晶化の融解熱を8.65kJ/m
olとして、吸熱ピーク面積から求めた結晶化度が例えば
15%以下の場合を非晶性とした。
【0040】(6)コンデンサの特性 A.耐電圧性不良 直流耐電圧試験器(春日電機製)を用いて、電圧上昇速
度100V/secにてフィルム厚みに対して100V
/μm以下の電圧で電流が10mA以上流れ電圧上昇が
止まったものを不良とした。コンデンサ100個を測定
し不良個数の百分率(%)で表した。
【0041】
【実施例】次に、本発明を実施例を挙げて詳細に説明す
る。
【0042】(実施例1)結晶性PPSポリマーとし
て、ポリ−p−フェニレンスルフィドの粉末を使用し、
このPPSポリマー粉末に、平均粒径0.5μmの凝集
シリカを0.5重量%ブレンドしてベント付き二軸押出
装置でPPSペレットを得た。また、非晶性PPSポリ
マーとして、ポリ−m−フェニレンスルフィドペレット
を用意した。
【0043】それぞれのペレットを別々に回転式真空乾
燥機で、150℃、3mmHgの減圧下で3時間乾燥し
た。次いで、このペレットをそれぞれ別の2台の押出機
に供給し、合流ブロックを用いて内層に粒子含有ポリ−
p−フェニレンスルフィドポリマー、外層にポリ−m−
フェニレンスルフィドポリマーとなるようにA/B/A
の3層に積層した。溶融温度は共に330℃、瀘過精度
は内層、外層とも10μmのフィルターを通過させて、
リップ幅400mm、スリット間隙1.0mmのステン
レス製のTダイから吐出させ、表面を30℃に保った金
属ドラム上で冷却固化して、厚さ20μmの非晶シ−ト
とした。
【0044】次いで、この非晶シ−トを表面温度95℃
の回転ロール群に巻き付けて加熱し、引き続いて配置さ
れた表面温度97℃の周速の異なるロールとの間で3.
5倍にフイルムの長手方向(MD)に延伸した。次い
で、テンタ−で100℃の熱風が循環する室内でフイル
ムの長手と直交方向(TD)に3.5倍延伸し、引き続
いて270℃の熱風が循環する室内で10秒間定長熱処
理、次いで幅方向に5%のリラックスを加えて、全厚さ
1.2μm、積層部(A層)厚さは両外層とも0.1μ
mのPPSフイルムとした。また、A層の結晶化度は2
%、B層の結晶化度は43%であった。このPPSフィ
ルムの熱接着開始温度は96℃であった。熱収縮率は2
30℃10分で4.5%、表面粗さRaは23nmであ
った。
【0045】この積層フィルムを用いて、下記条件で巻
回型コンデンサを作製し評価した。このコンデンサは耐
電圧性不良率は4%であった。 [コンデンサー素子作成条件] 内部電極 : アルミニウム蒸着、2Ω/□ フィルム幅 : 13mm マージン幅 : 1mm プレス温度 : 150℃ プレス圧力 : 25kg/cm2 プレス時間 : 5分 静電容量 : 0.35μF 引出電極 : メタリコン(金属溶射) (実施例2)結晶性PPSポリマーとして、ポリ−p−
フェニレンスルフィドの粉末を使用し、このPPSポリ
マー粉末に、平均粒径0.5μmの凝集シリカを0.5
重量%ブレンドしてベント付き二軸押出装置でPPSペ
レットを得た。
【0046】このペレットを回転式真空乾燥機で、15
0℃、3mmHgの減圧下で3時間乾燥した。次いで、
押出機に供給し、溶融温度330℃、瀘過精度10μm
のフィルターを通過させて、リップ幅400mm、スリ
ット間隙1.0mmのステンレス製のTダイから吐出さ
せ、表面を30℃に保った金属ドラム上で冷却固化し
て、厚さ20μmの非晶シ−トとした。
【0047】次いで、この非晶シ−トを表面温度95℃
の回転ロール群に巻き付けて加熱し、引き続いて配置さ
れた表面温度90℃の周速の異なるロールとの間で3.
5倍にフイルムの長手方向(MD)に延伸した。次い
で、テンタ−で100℃の熱風が循環する室内でフイル
ムの長手と直行方向(TD)に3.5倍延伸し、引き続
いて270℃の熱風が循環する室内で10秒間定長熱処
理、次いで幅方向に5%のリラックスを加えて、全厚さ
1.2μmのPPSフイルムとした。このフィルムの表
面を酸化炎で3秒間フレーム(火焔)処理し表層のみを
融解させ結晶性を低下させた。このPPSフィルムの熱
接着温度は98℃であった。
【0048】また、A層表層0.1μm以内のの結晶化
度は0%、B層の結晶化度は43%であった。熱収縮率
は230℃10分で4.8%、表面粗さRaは21nm
であった。
【0049】この積層フィルムを用いて実施例1と同様
にしてコンデンサを作製し評価した。このコンデンサの
耐電圧性不良率は5%であった。
【0050】(比較例1)比較のために、実施例2の単
層PPSフィルムでかつ表面に何も処理を施さず、つま
り、表層と内層で結晶性に差のないPPSフィルムを用
いたこと以外は、実施例2と同様にしてPPSフィルム
とコンデンサを作製した。このPPSフィルムの熱接着
温度は255℃であった。また、作成したコンデンサの
耐電圧性不良率は38%であった。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、PPSフィルムの持つ
耐熱性、周波数特性、機械特性を保持しつつ、耐電圧性
が改善されたため、コンデンサ製造の歩留まりが向上
し、信頼性の高いコンデンサーに適したPPSフィルム
が得られる。特に、PPSフィルムの表層部を内層部よ
り非晶性とし、熱接着開始温度を100℃以下としたの
で、耐電圧性に優れたコンデンサを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C08L 81:02 C08L 81:02 Fターム(参考) 4F071 AA62 AH12 BB02 BB08 BC01 4F073 AA32 BA32 BB01 CA72 4F100 AA20 AA20B AB01D AB01E AK57A AK57B AK57C AK57K BA02 BA03 BA04 BA05 BA06 BA10A BA10C BA10D BA10E EH20 EH66D EH66E EJ37 EJ42 GB41 JA11B JA12A JA12C JG04 JL12 YY00 4K029 AA11 AA25 BA03 BD00 CA01 5E082 AB03 AB04 BC35 EE07 EE24 EE37 FF15 FG06 FG34 PP06 PP09

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱接着開始温度が100℃以下であるこ
    とを特徴とするポリフェニレンスルフィドフィルム。
  2. 【請求項2】 フィルム厚み方向全部分が実質的にポリ
    フェニレンスルフィド樹脂で構成され、該フィルムの少
    なくとも片面の表層部が内層部より非晶性である請求項
    1記載のポリフェニレンスルフィドフィルム。
  3. 【請求項3】 結晶性ポリフェニレンスルフィドフィル
    ム(A層)の少なくとも片面に非晶性ポリフェニレンス
    ルフィドフィルム(B層)が積層されてなる請求項1ま
    たは2記載のポリフェニレンスルフィドフィルム。
  4. 【請求項4】 フィルム表面がフレーム(火焔)処理に
    より非晶化されてなる請求項1または2記載のポリフェ
    ニレンスルフィドフィルム。
  5. 【請求項5】 全フィルム厚みが3μm以下であること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリフェ
    ニレンスルフィドフィルム。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載のポリフ
    ェニレンスルフィドフイルムの少なくとも片面に金属蒸
    着してなる金属化ポリフェニレンスルフィドフィルム
    を、巻回または積層してなるコンデンサー。
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