JP2013006377A - 複合フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 最外層に実質的にポリパラフェニレンサルファイドからなる層(層A)を有する二軸配向フィルム(フィルムA)と、一方の最外層に実質的にポリパラフェニレンサルファイドからなる層(層A’)を有し、その反対の最外層に層Aを構成する実質的なポリパラフェニレンサルファイドよりも融点が20℃以上低いポリフェニレンサルファイドで構成された層(層B)を有する二軸配向フィルム(フィルムB)とがフィルムAの層AとフィルムBの層B間で接着剤を用いずに接合された構成を含む、厚みが120μm以上500μm以下、破断伸度が60%以上の複合フィルムであって、前記層Aと層B間の接着強度が70g/15mm以上であり、かつ、該複合フィルムの表面において長径100μm以上、深さが0.5μm以上の表面凹みが1個/100cm2以下であることを特徴とする複合フィルム。
【選択図】なし
Description
(1)最外層に実質的にポリパラフェニレンサルファイドからなる層(便宜的に層Aと称する)を有する二軸配向フィルム(便宜的にフィルムAと称する)と、一方の最外層に実質的にポリパラフェニレンサルファイドからなる層(便宜的に層A’と称する)を有し、その反対の最外層に層Aを構成する実質的なポリパラフェニレンサルファイドよりも融点が20℃以上低いポリアリーレンサルファイドで構成された層(便宜的に層Bと称する)を有する二軸配向フィルム(便宜的にフィルムBと称する)とがフィルムAの層AとフィルムBの層B間で接着剤を用いずに接合された構成を含む、厚みが120μm以上500μm以下、破断伸度が60%以上の複合フィルムであって、前記層Aと層B間の接着強度が70g/15mm以上であり、かつ、該複合フィルムの表面において長径100μm以上、深さが0.5μm以上の表面凹みが1個/100cm2以下であることを特徴とする複合フィルム。
(2)前記層Bの厚みが10μm以上30μm以下であり、前記層Bを構成する共重合ポリフェニレンサルファイドの融点が230〜265℃であることを特徴とする請求項1に記載の複合フィルム。
(3)最外層に実質的にポリパラフェニレンサルファイドからなる層(便宜的に層Aとも称する)を有する二軸配向フィルム(便宜的にフィルムAとも称する)と、一方の最外層に実質的にポリパラフェニレンサルファイドからなる層(便宜的に層A’とも称する)を有し、その反対の最外層に層Aを構成する実質的なポリパラフェニレンサルファイドよりも融点が20℃以上低いポリアリーレンサルファイドで構成された層(便宜的に層Bとも称する)を有する二軸配向フィルム(便宜的にフィルムBとも称する)のフィルムAの層AとフィルムBの層Bとを加熱圧着する熱融着工程と、熱融着後のフィルムを冷却する工程と、冷却されたフィルムを少なくとも1本以上の搬送ロールを経由して巻き取る工程とを有し、かつ前記熱融着工程と冷却工程が下記(1)〜(2)を満たすことを特徴とする複合フィルムの製造方法。
(a)熱融着工程の前記層Aと層Bを加熱圧着せしめる加熱ロールと圧着ロールにおいて、加熱ロールの表面温度が、(Tmb−10)(℃)以上(Tma−20)(℃)以下であり、かつ、圧着された点から90°以上270°以下の角度の範囲で加熱ロールの外周に沿わせて後に該熱融着体を該加熱ロールから剥離すること。ここで、
Tma:層Aを構成する樹脂の融点(℃)
Tmb:層Bを構成する樹脂の融点(℃)
(b)熱融着後のフィルムを冷却する工程において、加熱ロールから最初の搬送ロール間、熱融着された複合フィルムを気体雰囲気中で15℃/s以上30℃/s以下の速度で実質的にポリパラフェニレンサルファイドからなる層(層A)のガラス転移温度以下にまで冷却すること。
他の例としては、フィルムAとして、(実質的にポリパラフェニレンサルファイドからなる層(A層に相当))/(別なポリフェニレンサルファイドからなる層)の二層フィルムや、実質的にポリパラフェニレンサルファイドからなる層(A層に相当))/(1層または2層以上の別なポリフェニレンサルファイドからなる層)/(実質的にポリパラフェニレンサルファイドからなる層(A層に相当))の三層以上のフィルムが挙げられ、フィルムBとしても同様に二層あるいは三層以上のフィルムとすることができる。また、フィルムA/フィルムBの貼り合わせとするほか、この複合フィルムのフィルムB側若しくはフィルムA側にフィルムBを更に熱融着することもできる(被着材である複合フィルムの最外層は層Aであるか層A’であるからである)。
(1)融点
示差走査熱量計として、ティーエーインスツルメント社製DSC(Q−100)を用いて、試料10mgをアルミニウム製受皿上で室温から昇温速度20℃/分で昇温した。そのとき、観測される融解の吸熱ピークのピーク温度を融点とした。また、複合フィルムを層を分離せずに融点測定した場合については、観察される2つの吸熱ピークのうち、温度が高い方の吸熱ピークを層Aの融点(Tma)、温度が低い方の吸熱ピークの層Bの融点(Tmb)とした。
JIS−C−2151に規定された次の方法に従って、インストロンタイプの引張試験機(オリエンテック社製AMF/RTA-1210)を用いて、幅10mm、長さ250mmのサンプルフィルムをチャック間長さ100mmとなるようにセットし、23℃の温度で、65%RHの雰囲気条件下で引張速度200mm/分で引張試験を行う。
インストロンタイプの引張試験機(オリエンテック社製AMF/RTA-1210)を用いて、幅15mmのサンプルの層Aと層Bとの界面をカッターなどで部分的に剥離して掴み代を作製し、この掴み代を引張試験機のチャックで掴み、速度200mm/分で前記層Aと層Bとがなす角度が180°になるように引っ張って剥離させた際の強度を測定した。
10cm四方のサンプルを照度500lxの蛍光灯の直下2mの位置で、サンプル表面と地面とのなす角度が30°になるようにサンプルを配置する。配置したサンプルを30cmの距離から目視し、凹みが確認できる部分をマーキングする。マーキングした部分を、ZYGO社製表面構造解析装置(NewView100)を用いて、走査型白色干渉法にて凹みの長径と深さを測定し、長径が100μm以上、深さが0.5μm以上の大きさの凹みの数をカウントする。
部分放電試験機(菊水電子製KPD2050)を用いて、35℃の温度で、24%RHの雰囲気条件下で周波数50Hz、電圧2.0kVの交流電圧を印加し、開始電圧電荷しきい値を10pCとして測定した。
モータースロット加工機(小田原エンジニアリング社製)を用い、試料を幅24mm、長さ39mmのスロットに加工速度2ヶ/秒で加工し、目視でフィルム割れもしくはデラミネーションの発生したものを不良品とし、不良品発生率を次の基準で評価した。なお、加工個数は各試料100個ずつとする。
○:不良率が5%以下
△:不良率が6%を超え20%以下
×:不良率が20%を超える。
エスペック製熱風ギアオーブン(GPHH−200)を用いて、幅10mm、長さ250mmのサンプルフィルムについて、260度の雰囲気下で1時間処理し、処理後のサンプルフィルムの破断伸度を(1)に記載の方法で測定する。処理後の破断伸度を処理前の破断伸度で割った数値を破断伸度保持率としたときに、破断伸度保持率を次の基準で評価した。
○:破断伸度保持率が80%以上
△:破断伸度保持率が50%以上80%未満
×:破断伸度保持率が50%未満
オートクレーブに100モル部の硫化ナトリウム9水塩、45モル部の酢酸ナトリウムおよび259モル部のN−メチル−2−ピロリドンを仕込み、撹拌しながら徐々に220℃の温度まで昇温して、含有されている水分を蒸留により除去した。脱水の終了した系内に、主成分モノマとして101モル部のp−ジクロロベンゼン、副成分として0.2モル部の1,2,4−トリクロロベンゼンを52モル部のNMPとともに添加し、170℃の温度で窒素を3kg/cm2で加圧封入後、昇温し、260℃の温度にて4時間重合した。重合終了後冷却し、蒸留水中にポリマーを沈殿させ、150メッシュ目開きを有する金網によって、小塊状ポリマーを採取した。このようにして得られた小塊状ポリマーを90℃の蒸留水により5回洗浄した後、減圧下120℃の温度にて乾燥して、融点が280℃、ガラス転移温度が91℃の樹脂を得た。次いで、該樹脂に平均粒径1.0μmの炭酸カルシウム粉末0.7重量%を添加し均一に分散配合して、320℃の温度にて30mmφ2軸押出機によりガット状に押出し、ポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1を得た。
〔共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1〕
主成分モノマとして91モル部のp−ジクロロベンゼン、副成分モノマとして10モル部のm−ジクロロベンゼン、および0.2モル部の1,2,4−トリクロロベンゼンを用いたこと以外は全て上記(1)のポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1の製造と同様に実施して、共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1を製造した。なお、樹脂組成物の融点は250℃、ガラス転移温度が86℃であった。
〔共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物2〕
主成分モノマとして95モル部のp−ジクロロベンゼン、副成分モノマとして6モル部のm−ジクロロベンゼン、および0.2部モルの1,2,4−トリクロロベンゼンを用いたこと以外は全て上記(1)のポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1の製造と同様に実施して、共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物2を製造した。なお、樹脂組成物の融点は260℃、ガラス転移温度が88℃であった。
〔共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物3〕
主成分モノマとして87モル部のp−ジクロロベンゼン、副成分モノマとして15モル部のm−ジクロロベンゼン、および0.2モル部の1,2,4−トリクロロベンゼンを用いたこと以外は全て上記(1)のポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1の製造と同様に実施して、共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物3を製造した。なお、樹脂組成物の融点は225℃、ガラス転移温度が85℃であった。
〔共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物4〕
主成分モノマとして85モル部のp−ジクロロベンゼン、副成分モノマとして17モル部のm−ジクロロベンゼン、および0.2モル部の1,2,4−トリクロロベンゼンを用いたこと以外は全て上記(1)のポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1の製造と同様に実施して、共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物4を製造した。なお、樹脂組成物の融点は220℃、ガラス転移温度が84℃であった。
〔共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物5〕
主成分モノマとして97モル部のp−ジクロロベンゼン、副成分モノマとして4モル部のm−ジクロロベンゼン、および0.2モル部の1,2,4−トリクロロベンゼンを用いたこと以外は全て上記(1)のポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1の製造と同様に実施して、共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物5を製造した。なお、樹脂組成物の融点は265℃、ガラス転移温度が89℃であった。
〔二軸配向ポリパラフェニレンサルファイドフィルム1〕
前記(1)で得られたポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1を、回転式真空乾燥機を用いて3mmHgの減圧下にて180℃の温度で4時間乾燥させた。乾燥した樹脂組成物を単軸押出機に供給し、310℃で溶融させた。溶融させた樹脂組成物を平均目開き14μmのステンレス繊維焼結フィルターにて濾過した後、940mm幅でリップ間隙3mmのTダイ型口金から吐出させ、シート状に押し出した。次いで、このシートを静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃のキャスティングドラムに巻き付けて冷却固化し、厚み約1250μmの未延伸フィルムを作製した。
〔二軸配向ポリパラフェニレンサルファイドフィルム2〕
長手方向の延伸倍率を4.3倍にした以外は二軸配向ポリパラフェニレンサルファイドフィルム1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの融点は285℃、ガラス転移温度は93℃、破断伸度は70%であった。
〔二軸配向ポリパラフェニレンサルファイドフィルム3〕
長手方向の延伸倍率を4.1倍にした以外は二軸配向ポリパラフェニレンサルファイドフィルム1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの融点は285℃、ガラス転移温度は92℃、破断伸度は90%であった。
〔二軸配向ポリパラフェニレンサルファイドフィルム4〕
厚みを75μmにした以外は二軸配向ポリパラフェニレンサルファイドフィルム1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの融点は285℃、ガラス転移温度は91℃、破断伸度は102%であった。
〔二軸配向ポリパラフェニレンサルファイドフィルム5〕
厚みを115μmにした以外は二軸配向ポリパラフェニレンサルファイドフィルム1と同様にしてフィルム5を得た。得られたフィルムの融点は285℃、ガラス転移温度は91℃、破断伸度は105%であった。
〔二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1〕
前記(1)および(2)で得られたポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1および共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1を、回転式真空乾燥機を用いてそれぞれ3mmHgの減圧下にて180℃の温度で4時間乾燥させた。乾燥したポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1を単軸押出機に供給し、310℃で溶融させた。また、乾燥した共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1を別のベント式二軸混練押出機に供給し、280℃で溶融させた。溶融させた2つの樹脂組成物をそれぞれ平均目開き8μmのステンレス繊維焼結フィルターにて濾過した後、矩形複合部を備えた二層合流ブロックにて複合し、940mm幅でリップ間隙3mmのTダイ型口金から、吐出量の比がポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1:共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1=85:15になるように吐出させ、シート状に押し出した。次いで、このシートを静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃のキャスティングドラムに巻き付けて冷却固化し、厚み約1250μmの未延伸二層積層フィルムを作製した。
〔二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム2〕
前記(1)および(2)で得られたポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1および共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物2を用いた以外は二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの破断伸度は100%、各層における、ポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1の融点は285℃、共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物2の融点は265℃であった。
〔二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム3〕
前記(1)および(2)で得られたポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1および共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1の吐出量の比をポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1:共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1=91:9とした以外は二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルムフィルム1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムのポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1による層の厚みは91μm、共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1による層の厚みは9μm、合計厚みは100μm、破断伸度は100%、各層における、ポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1の融点は285℃、共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1の融点は255℃であった。
〔二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム4〕
前記(1)および(2)で得られたポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1および共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1の吐出量の比をポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1:共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1=60:40とした以外は二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムのポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1による層の厚みは60μm、共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1による層の厚みは40μm、合計厚みは100μm、破断伸度は100%、各層において、ポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1の融点は285℃、共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1の融点は255℃であった。
〔二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム5〕
前記(1)および(2)で得られたポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1および共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1の吐出量の比をポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1:共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1=45:55とした以外は二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1と同様にしてフィルム5を得た。得られたフィルムのポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1による層の厚みは45μm、共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1による層の厚みは55μm、合計厚みは100μm、破断伸度は100%、各層において、ポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1の融点は285℃、共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1の融点は255℃であった。
〔二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム6〕
前記(1)および(2)で得られたポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1および共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物3を用いた以外は二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの破断伸度は100%、各層において、ポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1の融点は285℃、共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物3の融点は230℃であった。
〔二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム7〕
前記(1)および(2)で得られたポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1および共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物4を用いた以外は二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの破断伸度は100%、各層において、ポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1の融点は285℃、共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物4の融点は225℃であった。
〔二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム8〕
前記(1)および(2)で得られたポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1および共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1の吐出量の比をポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1:共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1=80:20とし、ポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1による層の厚みを60μm、共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1による層の厚みを15μm、合計厚みを75μmとした以外は二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1と同様にしてフィルム8を得た。得られたフィルムの破断伸度は100%、各層において、ポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1の融点は285℃、共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1の融点は255℃であった。
〔二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム9〕
前記(1)および(2)で得られたポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1および共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1の吐出量の比をポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1:共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1=87:13とし、ポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1による層の厚みを100μm、共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1による層の厚みを15μm、合計厚みを115μmとした以外は二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1と同様にして二フィルムを得た。得られたフィルムの破断伸度は100%、各層において、ポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1の融点は285℃、共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1の融点は255℃であった。
〔二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム10〕
前記(1)および(2)で得られたポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1および共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物5を用いた以外は二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの破断伸度は100%、各層において、ポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1の融点は285℃、共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物5の融点は270℃であった。
〔二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム11〕
長手方向の延伸倍率を4.1倍にした以外は二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの破断伸度は85%、各層において、ポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1の融点は285℃、共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1の融点は255℃であった。
(実施例1)
上記(3)および(4)の製膜方法で得られた二軸配向ポリパラフェニレンサルファイドフィルム1および二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1を、共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1が接合面側にくるようにして熱融着した。熱融着速度は2.5m/分の条件で行った。加熱ロールとして表面温度が250℃の温度になるように加熱したハードクロムロールを用い、二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1が直接加熱ロールに接触するように配置し、圧着点までの抱き角が90度になるように加熱ロールの外周に沿わせて予熱する。また、圧着ロールとして表面温度が200℃の温度になるように加熱したフッ素ゴムロールを用い、二軸配向ポリパラフェニレンサルファイドフィルム1を圧着点までの抱き角が180度になるように圧着ロールの外周に沿わせて予熱した。上記の方法で予熱した二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1と二軸配向ポリパラフェニレンサルファイドフィルム1を加熱ロールと圧着ロールの間で230N/cmの圧力で圧着した。圧着した複合フィルムは圧着点からの角度が180度になるように加熱ロールの外周に沿わせて熱融着した後に、複合フィルムを加熱ロールから引き離す。直後に加熱ロールと最初の搬送ロールの間で複合フィルムに速度5m/秒で25℃の冷却エアーを吹き付け、23℃/秒の速度で冷却し、複合フィルムの温度を60℃まで冷却した。その後、搬送ロールを経由して巻き取り、複合フィルムを得た。
上記(3)および(4)の製膜方法で得られた二軸配向ポリパラフェニレンサルファイドフィルム1および二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1を、二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1/二軸配向ポリパラフェニレンサルファイドフィルム1/二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルムで重ね合わせ、但し共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1が接合面側にくるようにして熱融着した。熱融着速度は2.5m/分の条件で行った。加熱ロールとして表面温度が250℃の温度になるように加熱したハードクロムロールを用い、二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1を直接加熱ロールに接触するように配置し、圧着点までの抱き角が90度になるように加熱ロールの外周に沿わせて予熱する。また、圧着ロールとして表面温度が200℃の温度になるように加熱したフッ素ゴムロールを用い、もう1つの二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1を直接圧着ロールに接触するように配置し、圧着点までの抱き角が180度になるように圧着ロールの外周に沿わせて予熱した。上記の方法で予熱した加熱ロール側の二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1と圧着ロール側の二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1の間に二軸配向ポリパラフェニレンサルファイドフィルム1を配置し、加熱ロールと圧着ロールの間で230N/cmの圧力で圧着した。圧着した複合フィルムは圧着点からの角度が180度になるように加熱ロールの外周に沿わせて熱融着した後に、複合フィルムを加熱ロールから引き離す。直後に加熱ロールと最初の搬送ロールの間で複合フィルムに速度5m/秒で25℃の冷却エアーを吹き付け、23℃/秒の速度で、複合フィルムの温度を80℃まで冷却した。その後、搬送ロールを経由して巻き取り、複合フィルムを得た。
圧着点から複合フィルムを加熱ロールの外周に沿わせる角度を90°とした以外は実施例2と同様にして複合フィルムを得た。
圧着点から複合フィルムを加熱ロールの外周に沿わせる角度を270°とした以外は実施例2と同様にして複合フィルムを得た。
冷却速度を15℃/秒とした以外は実施例2と同様にして複合フィルムを得た。
冷却速度を30℃/秒にする以外は実施例2と同様にして複合フィルムを得た。
二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1に代えて、二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム2を用いた以外は実施例2と同様にして複合フィルムを得た。
二軸配向ポリパラフェニレンサルファイドフィルム1に代えて、二軸配向ポリパラフェニレンサルファイドフィルム2を用いた以外は実施例2と同様にして複合フィルムを得た。
二軸配向ポリパラフェニレンサルファイドフィルム1に代えて、二軸配向ポリパラフェニレンサルファイドフィルム3を用いた以外は実施例2と同様にして複合フィルムを得た。
二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1に代えて、二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム3を用い、加熱ロールの表面温度を260℃とした以外は実施例2と同様にして複合フィルムを得た。
二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1に代えて、二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム4を用いた以外は実施例2と同様にして複合フィルムを得た。
二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1に代えて、二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム5を用いた以外は実施例2と同様にして複合フィルムを得た。
二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1に代えて、二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム6を用いた以外は実施例2と同様にして複合フィルムを得た。
二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1に代えて、二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム7を用いた以外は実施例2と同様にして複合フィルムを得た。
二軸配向ポリパラフェニレンサルファイドフィルム1に代えて、二軸配向ポリパラフェニレンサルファイドフィルム4を、二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1に代えて、二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム8を用いた以外は実施例1と同様にして複合フィルムを得た。
二軸配向ポリパラフェニレンサルファイドフィルム1に代えて、二軸配向ポリパラフェニレンサルファイドフィルム5を、二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1に代えて、二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム9を用いた以外は実施例2と同様にして複合フィルムを得た。
加熱ロールから引き離した直後の複合フィルムを加熱ロールと最初の搬送ロールの間で85℃まで冷却した以外は実施例2と同様にして複合フィルムを得た。
加熱ロールの表面温度を270℃とした以外は実施例2と同様にして複合フィルムを得た。
加熱ロールの表面温度を240℃とした以外は実施例2と同様にして複合フィルムを得た。
圧着点から複合フィルムを加熱ロールの外周に沿わせる角度を85°にする以外は実施例2と同様にして複合フィルムを得た。
圧着点から複合フィルムを加熱ロールの外周に沿わせる角度を275°にする以外は実施例2と同様にして複合フィルムを得た。
冷却速度を35℃/秒にする以外は実施例2と同様にして複合フィルムを得た。
冷却速度を10℃/秒にする以外は実施例2と同様にして複合フィルムを得た。
二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1に代えて、二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム10を用いた以外は実施例2と同様にして複合フィルムを得た。
二軸配向ポリパラフェニレンサルファイドフィルム1に代えて、二軸配向ポリパラフェニレンサルファイドフィルム2を、二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1に代えて、二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム11を用いた以外は実施例2と同様にして複合フィルムを得た。
二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム1に代えて、二軸配向積層ポリフェニレンサルファイドフィルム3を用いた以外は実施例2と同様にして複合フィルムを得た。
加熱ロールから引き離した直後の複合フィルムを加熱ロールと最初の搬送ロールの間で100℃まで冷却した以外は実施例2と同様にして複合フィルムを得た。
加熱ロールから引き離した直後の複合フィルムを加熱ロールと最初の搬送ロールの間で表面温度が25℃の冷却ロールに沿わせて冷却した以外は実施例2と同様にして複合フィルムを得た。
上記(1)および(2)で得られたポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1および共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1を、回転式真空乾燥機を用いてそれぞれ3mmHgの減圧下にて180℃の温度で4時間乾燥させた。乾燥したポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1を単軸押出機に供給し、310℃で溶融させた。また、乾燥した共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1を別のベント式二軸混練押出機に供給し、280℃で溶融させた。溶融させた2つの樹脂組成物をそれぞれ平均目開き8μmのステンレス繊維焼結フィルターにて高精度濾過した後、矩形複合部を備えた三層合流ブロックにて複合し、940mm幅でリップ間隙3mmのTダイ型口金から、吐出量の比がポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1:共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1:ポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1=44:12:44になるように吐出させ、シート状に押し出した。次いで、このシートを静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃のキャスティングドラムに巻き付けて冷却固化し、厚み約1570μmの未延伸三層積層フィルムを作製した。逐次二軸延伸を用い、得られた未延伸フィルムを表面温度97℃の複数の加熱ロールに接触走行させ、加熱ロールの次に設けられた周速の異なる25℃の冷却ロールとの間で長手方向に3.7倍延伸した。このようにして得られた一軸延伸シートを、テンターを用いて長手方向と直交方向に100℃の温度で3.4倍に延伸したが、膜が破れ、複合フィルムを得ることができなかった。
上記(1)および(2)で得られたポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1および共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1を、回転式真空乾燥機を用いてそれぞれ3mmHgの減圧下にて180℃の温度で4時間乾燥させた。乾燥したポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1を単軸押出機に供給し、310℃で溶融させた。また、乾燥した共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1を別のベント式二軸混練押出機に供給し、280℃で溶融させた。溶融させた2つの樹脂組成物をそれぞれ平均目開き8μmのステンレス繊維焼結フィルターにて高精度濾過した後、矩形複合部を備えた三層合流ブロックにて複合し、940mm幅でリップ間隙3mmのTダイ型口金から、吐出量の比がポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1:共重合ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物1:ポリパラフェニレンサルファイド樹脂組成物1=43:14:43になるように吐出させ、シート状に押し出した。次いで、このシートを静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃のキャスティングドラムに巻き付けて冷却固化し、厚み約1450μmの未延伸三層積層フィルムを作製した。逐次二軸延伸を用い、得られた未延伸フィルムを表面温度97℃の複数の加熱ロールに接触走行させ、加熱ロールの次に設けられた周速の異なる25℃の冷却ロールとの間で長手方向に3.7倍延伸した。このようにして得られた一軸延伸シートを、テンターを用いて長手方向と直交方向に100℃の温度で3.4倍に延伸し、続いて200℃の温度で10秒間、さらに265℃の温度で10秒間熱処理した後に、フィルム長手方向と直角方向に260℃の温度で10秒間に5.0%の制限収縮処理を行い、さらに115℃の温度で9秒間に1.5%の制限収縮処理を行った後に室温まで冷却して、層Aの厚みが各50μm、層Bの厚みが15μm、合計厚みが115μmの複合フィルムを得た。
Claims (3)
- 最外層に実質的にポリパラフェニレンサルファイドからなる層(便宜的に層Aと称する)を有する二軸配向フィルム(便宜的にフィルムAとも称する)と、一方の最外層に実質的にポリパラフェニレンサルファイドからなる層(便宜的に層A’とも称する)を有しその反対の最外層に層Aを構成する実質的なポリパラフェニレンサルファイドよりも融点が20℃以上低いポリフェニレンサルファイドで構成された層(便宜的に層Bとも称する)を有する二軸配向フィルム(便宜的にフィルムBとも称する)とがフィルムAの層AとフィルムBの層B間で接着剤を用いずに接合された構成を含む、厚みが120μm以上500μm以下、破断伸度が60%以上の複合フィルムであって、前記層Aと層B間の接着強度が70g/15mm以上であり、かつ、該複合フィルムの表面において長径100μm以上、深さが0.5μm以上の表面凹みが1個/100cm2以下であることを特徴とする複合フィルム。
- 前記層Bの厚みが10μm以上30μm以下であり、前記層Bを構成する共重合ポリフェニレンサルファイドの融点が230〜265℃であることを特徴とする請求項1に記載の複合フィルム。
- 最外層に実質的にポリパラフェニレンサルファイドからなる層(便宜的に層Aと称する)を有する二軸配向フィルム(便宜的にフィルムAとも称する)と、一方の最外層に実質的にポリパラフェニレンサルファイドからなる層(便宜的に層A’とも称する)を有し、その反対の最外層に層Aを構成する実質的なポリパラフェニレンサルファイドよりも融点が20℃以上低いポリフェニレンサルファイドで構成された層(便宜的に層Bとも称する)を有する二軸配向フィルム(便宜的にフィルムBとも称する)のフィルムAの層AとフィルムBの層Bとを加熱圧着する熱融着工程と、熱融着後のフィルムを冷却する工程と、冷却されたフィルムを少なくとも1本以上の搬送ロールを経由して巻き取る工程とを有し、かつ前記熱融着工程と冷却工程が下記(1)〜(2)を満たすことを特徴とする複合フィルムの製造方法。
(1)熱融着工程の前記層Aと層Bを加熱圧着せしめる加熱ロールと圧着ロールにおいて、加熱ロールの表面温度が、(Tmb−10)(℃)以上(Tma−20)(℃)以下であり、かつ、圧着された点から90°以上270°以下の角度の範囲で加熱ロールの外周に沿わせて後に該熱融着体を該加熱ロールから剥離すること。ここで、
Tma:層Aを構成する樹脂の融点(℃)
Tmb:層Bを構成する樹脂の融点(℃)
(2)熱融着後のフィルムを冷却する工程において、加熱ロールから最初の搬送ロール間、熱融着された複合フィルムを気体雰囲気中で15℃/s以上30℃/s以下の速度で実質的にポリパラフェニレンサルファイドからなる層(層A)のガラス転移温度以下にまで冷却すること。
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