JP2008282908A - コンデンサ用二軸配向ポリフェニレンサルファイドフィルムおよびフィルムコンデンサ - Google Patents
コンデンサ用二軸配向ポリフェニレンサルファイドフィルムおよびフィルムコンデンサ Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】少なくとも片面のフィルム表面に山脈状の突起を形成させるとともに、高さが250nm以上であり、かつ高さ250nmでの断面における短径2μm以上の突起構造の内、アスペクト比が5以上30以下である突起構造の個数が10000μm2あたり10個以上50個以下であるコンデンサ用二軸配向ポリフェニレンサルファイドフィルム。
【選択図】なし
Description
さらに、特許文献3、特許文献4などには固体微粒子として特定形状の炭酸カルシウムを用いることが開示されている。炭酸カルシウムの使用によって、滑り性が良好で粗大突起や粒子脱落の少なく、ポリマーと粒子の親和性を上げることでボイドを小さくできることからフィルムの絶縁欠陥が少なくできたことが示されている。
本発明において、ポリフェニレンサルファイドとは、繰り返し単位80モル%以上(好ましくは90モル%以上)が次の化学式で示される構成単位からなる重合体をいう。
本発明においてポリフェニレンサルファイド樹脂組成物とは上記ポリフェニレンサルファイド(好ましくはポリ−p−フェニレンサルファイド)を90重量%以上含む樹脂組成物をいう。樹脂組成物中の残りの10重量%未満は、ポリフェニレンサルファイド以外のポリマーおよび/または充填剤、滑剤、着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤等の添加物であってもかまわない。また、本発明のポリフェニレンサルファイド樹脂組成物の溶融粘度は温度300℃、せん断速度200sec−1のもとで100〜50000ポイズ、さらには500〜12000ポイズの範囲が製膜性の面で好ましい。
ポリフェニレンサルファイドの重合方法としては、硫化アルカリとp−ジハロベンゼンを極性溶媒中で高温に反応させる方法を用いる。特に、硫化ナトリウムとジクロロベンゼン(好ましくはp−ジクロロベンゼン)をN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと称することがある)等のアミド系極性溶媒中で反応させるのが好ましい。この場合、重合度を調節するために、苛性アルカリ、カルボン酸アルカリ金属塩等のいわゆる重合助剤を添加して230〜280℃で反応させるのが最も好ましい。重合系内の圧力および重合時間は、使用する助剤の種類や量をおよび所望する重合度などによって適宜決定される。重合を終わったポリマーを例えばN−メチルピロリドンのようなポリフェニレンサルファイドと親和性のある溶媒で高温洗浄した後に水洗、乾燥することでポリフェニレンサルファイド粉末が得られる。
次いで、この未延伸フィルムを長手方向ならびに長手方向と直行方向に延伸する。この延伸条件が本発明の山脈構造を作る上で極めて重要であり、最適な延伸条件においてのみ本発明の効果を達成できる。まず、長手方向に延伸するために駆動ロール間に表面温度が90℃以上120℃未満の複数本のフリーロール群に巻き付け、延伸区間を50mm〜500mm、好ましくは200mm〜300mmとなるようにフリーロールの本数を調整し、長手方向に3〜5倍に延伸し一軸延伸フィルムとする。
コンデンサの内部電極としては、金属箔が用いられる場合は金属箔と本発明の積層フィルムを箔はみだし巻回法や巻回途中でタブを挿入する方法などによって交互に重ね合わせて巻き取るなどして誘電体と電極を交互に重ね合わせ、かつ外部に電極が引き出せるような構造となるように巻回してコンデンサ素子あるいはコンデンサ母素子を得る。
次にコンデンサ素子を製造する。積層型コンデンサの場合は、ドラムあるいは平板に巻回した母素子を熱処理する、あるいはリング等で締め付ける、あるいは平行平板等でプレスするなどフィルムの厚さ方向に圧力を加えて成形する。その際の温度範囲は常温からフィルムの融点以下である。この後、外部電極の取り付け工程(金属溶射、導電性樹脂等による)、個々の素子切り出し工程、必要なら樹脂または油含浸工程を経てコンデンサを得ることができる。
[物性の測定方法]
1.山脈状の突起構造の測定
フィルム表面の山脈状の突起構造は、原子間力顕微鏡(走査型プローブ顕微鏡)AFMを用いて測定した。具体的には、セイコーインスツルメント(株)製の卓上小型プローブ顕微鏡(“Nanopics”1000)を用い、ダンピングモードでフィルムの表面を10000μm2の範囲で原子間力顕微鏡計測走査を行い、得られたイメージデータから粒子解析を行う。粒子解析でのしきい値を250nmとし、図に示したように一つの山脈構造に対しフィルム長手方向、幅方向にそれぞれ平行な線を引き、山脈構造を挟む距離をそれぞれ測定し、長い方を長径、短い方を短径とする。短径が2μm以上の山脈構造の中で、長径を短径で割ったときの値をアスペクト比とし、各アスペクト比に対する山脈構造の個数を数える。
[測定条件]
測定モード :ダンピングモード
測定方向 :幅方向
測定領域 :100×100μm
スキャンスピード :380s/FRAME
スキャン回数 :512本
振幅モード :HH(100%)
2.コンデンサ表面のフィルムめくれ発生率
フィルムにアルミ蒸着し、下記条件で積層コンデンサを作製して、目視によりコンデンサ表面のめくれ発生個数を確認し、発生している割合を百分率(%)で表した。
◎:めくれ発生率 1%未満
○:めくれ発生率 1%以上5%未満
×:めくれ発生率 5%以上
[コンデンサ作製条件]
アルミニウム蒸着 :2Ω/□
フィルム幅 :9mm
マージン幅 :1mm
静電容量 :0.35μF
プレス条件
温度 :150℃
圧力 :25kg/cm2
時間 :0.5時間
3.コンデンサの耐電圧不良率
上記4と同様に積層コンデンサを作製して、直流耐圧試験機(春日電機製)で印可電圧昇圧速度100V/secで測定し、電流が10mA以上流れ、電圧上昇が止まったものを不良とした。コンデンサ100個を測定し、不良個数の百分率(%)で表した。
◎:不良率 2%未満
○:不良率 2%以上10%未満
×:不良率 10%以上
(実施例1)
50Lオートクレーブ(SUS316製)に水硫化ナトリウム(NaSH)56.25モル、水酸化ナトリウム54.8モル、酢酸ナトリウム16モル、およびN−メチルピロリドン(NMP)170モルを仕込む。次に、窒素ガス気流下に攪拌しながら内温を220℃まで昇温させ脱水を行った。脱水終了後、系を170℃まで冷却した後、55モルのp−ジクロロベンゼン(p−DCB)と0.055モルの1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)を2.5LのNMPとともに添加し、窒素気流下に系を2.0kg/cm2まで加圧封入した。235℃にて1時間、さらに270℃にて2〜5時間攪拌下にて加熱後、系を室温まで冷却、得られたポリマーのスラリーを水200モル中に投入し、70℃で30分間攪拌後、ポリマーを分離する。このポリマーをさらに約70℃のイオン交換水(ポリマー重量の9倍)で攪拌しながら5回洗浄後、約70℃の酢酸リチウムの5重量%水溶液にて窒素気流下にて約1時間攪拌した。さらに、約70℃のイオン交換水で3回洗浄後、分離し、120℃、0.8〜1torrの雰囲気下で20時間乾燥することによって白色のポリフェニレンサルファイド粉末が得られた。
また、ポリフェニレンサルファイド粉末のみを上記同様に溶融押出し、無粒子ペレットとした。
上記の粒子ペレットおよび無粒子ペレットを炭酸カルシウムが1.0重量%となるよう混合し、180℃、0.5kPaの減圧下で15時間乾燥した後、押出機に供給し溶融温度330℃で押し出し、口金から吐出させ、表面を25℃に保った金属ドラム上で静電印加させながら冷却・固化し、厚み約15μmの未延伸フィルムを得た。
このフィルム表面の山脈状の突起構造、積層コンデンサを作製した際のめくれ発生率、耐電圧不良率の結果を表1に示す。高さ250nm以上であり、かつ高さ250nmでの断面における短径2μm以上の突起構造の内、山脈状の突起構造のアスペクト比が5より小さい突起構造は10000μm2あたり18個、山脈状の突起構造のアスペクト比が5以上30以下の突起構造は10000μm2あたり30個、山脈状の突起構造のアスペクト比が30より大きい突起構造は10000μm2あたり2個であり、めくれ発生率は良好で、耐電圧不良率も良好な結果となった。
(実施例2)
実施例1と同様に長手方向まで延伸したフィルムを予熱温度92℃で加熱し、その後、延伸温度97℃でフィルムの長手方向と直行方向に3.5倍延伸を行い1.2μmの二軸延伸フィルムを得た。このときの山脈状の突起構造、めくれ発生率、耐電圧不良率の結果を表1に示す。高さ250nm以上であり、かつ高さ250nmでの断面における短径2μm以上の突起構造の内、山脈状の突起構造のアスペクト比が5より小さい突起構造は10000μm2あたり23個、山脈状の突起構造のアスペクト比が5以上30以下の突起構造が10000μm2あたり8個、山脈状の突起構造のアスペクト比が30より大きい突起構造は10000μm2あたり0個であり、一部めくれ発生があったが問題ないレベルであり、耐電圧不良率も良好な結果となった。
(実施例3)
実施例1と同様に長手方向まで延伸したフィルムを予熱温度98℃で加熱し、その後、延伸温度104℃でフィルムの長手方向と直行方向に3.5倍延伸を行い1.2μmの二軸延伸フィルムを得た。このときの山脈状の突起構造、めくれ発生率、耐電圧不良率の結果を表1に示す。高さ250nm以上であり、かつ高さ250nmでの断面における短径2μm以上の突起構造の内、山脈状の突起構造のアスペクト比が5より小さい突起構造は10000μm2あたり3個、山脈状の突起構造のアスペクト比が5以上30以下の突起構造が10000μm2あたり42個、山脈状の突起構造のアスペクト比が30より大きい突起構造は10000μm2あたり2個であり、めくれ発生率が良好、耐電圧不良率も問題ない結果となった。
(比較例1)
実施例1と同様に長手方向まで延伸したフィルムを予熱温度85℃で加熱し、その後、延伸温度90℃でフィルムの長手方向と直行方向に3.5倍延伸を行い1.2μmの二軸延伸フィルムを得た。このときの山脈状の突起構造、めくれ発生率、耐電圧不良率の結果を表1に示す。高さ250nm以上であり、かつ高さ250nmでの断面における短径2μm以上の突起構造の内、山脈状の突起構造のアスペクト比が5より小さい突起構造は10000μm2あたり10個、山脈状の突起構造のアスペクト比が5以上30以下の突起構造が10000μm2あたり0個、山脈状の突起構造のアスペクト比が30より大きい突起構造は10000μm2あたり0個であり、めくれ発生率が高く、耐電圧不良率も高い結果となった。
(比較例2)
実施例1と同様に長手方向まで延伸したフィルムを予熱温度85℃で加熱し、その後、延伸温度100℃でフィルムの長手方向と直行方向に3.5倍延伸を行い1.2μmの二軸延伸フィルムを得た。このときの山脈状の突起構造、めくれ発生率、耐電圧不良率の結果を表1に示す。高さ250nm以上であり、かつ高さ250nmでの断面における短径2μm以上の突起構造の内、山脈状の突起構造のアスペクト比が5より小さい突起構造は10000μm2あたり15個、山脈状の突起構造のアスペクト比が5以上30以下の突起構造が10000μm2あたり0個、山脈状の突起構造のアスペクト比が30より大きい突起構造は10000μm2あたり0個であり、めくれ発生率が高く、耐電圧不良率も高い結果となった。
(比較例3)
実施例1と同様に長手方向まで延伸したフィルムを予熱温度85℃で加熱し、その後、延伸温度110℃でフィルムの長手方向と直行方向に3.5倍延伸を行ったが、フィルム破断が起こり、安定してフィルムを得ることが出来なかった。
(比較例4)
実施例1と同様に長手方向まで延伸したフィルムを予熱温度95℃で加熱し、その後、延伸温度110℃でフィルムの長手方向と直行方向に3.5倍延伸を行ったが、フィルム破断が起こり、安定してフィルムを得ることが出来なかった。
(比較例5)
実施例1と同様に長手方向まで延伸したフィルムを予熱温度105℃で加熱し、その後、延伸温度110℃でフィルムの長手方向と直行方向に3.5倍延伸を行ったが、フィルム破断が起こり、安定してフィルムを得ることが出来なかった。
(比較例6)
実施例1と同様に未延伸フィルムまで得た後、表面温度95℃の複数のフリーロールに巻きつけ、延伸区間が40mmとなるようにし、フィルムの長手方向に3.5倍に延伸した。以降、実施例1と同様に行ったが、フィルム破断が起こり、安定してフィルムを得ることが出来なかった。
Claims (3)
- 少なくとも片面のフィルム表面に山脈状の突起構造を有する二軸配向ポリフェニレンサルファイドフィルムであって、高さが250nm以上であり、かつ高さ250nmでの断面における短径2μm以上の突起構造の内、アスペクト比が5以上30以下である突起構造の個数が10000μm2あたり10個以上50個以下であることを特徴とするコンデンサ用二軸配向ポリフェニレンサルファイドフィルム。
- 請求項1記載のコンデンサ用二軸配向ポリフェニレンサルファイドフィルムの少なくとも片面に金属層を設けてなるコンデンサ用金属化ポリフェニレンサルファイドフィルム。
- 請求項2に記載のコンデンサ用金属化ポリフェニレンサルファイドフィルムを用いてなるフィルムコンデンサ。
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