JP2002020318A - 温度応答性の薬物キャリヤー - Google Patents

温度応答性の薬物キャリヤー

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JP2002020318A
JP2002020318A JP2000206614A JP2000206614A JP2002020318A JP 2002020318 A JP2002020318 A JP 2002020318A JP 2000206614 A JP2000206614 A JP 2000206614A JP 2000206614 A JP2000206614 A JP 2000206614A JP 2002020318 A JP2002020318 A JP 2002020318A
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temperature
complex
copolymer
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JP2000206614A
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Masayuki Yokoyama
昌幸 横山
Mitsuo Okano
光夫 岡野
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  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 周囲条件下で薬物とキャリヤーの結合状態を
変化させることのできるキャリヤーの提供。 【解決手段】 コンプレックスを形成できる単位と疎水
性単位と温度応答性単位とからなるコポリマーのキャリ
ヤーであって、該キャリヤーが送達された部位で一定の
温度変化処理が施されることを前提とするキャリヤー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薬物を生物学的な
特定部位に送達するための合成ポリマーからなるキャリ
ヤーおよび薬物とポリマーとのコンプレックスに関す
る。
【0002】
【従来の技術】遺伝子治療は、疾患を治療もしくは緩解
するタンパク質を産生しうる遺伝子を患者の宿主細胞内
へ導入する療法と定義されるであろう。かような遺伝子
の送達を達成するには、選択的かつ高いトランスフェク
ション効率をもつ安全なベクターまたはキャリヤーが必
要である。しかし、現在、利用できるベクターは導入効
率、選択性、安全性において必ずしも満足できるもので
ない。
【0003】一般的に、トランスフェクション効率が高
いことから、ウイルスベクターが最も広範に使用されて
いる。しかし、ウイルスベクターの使用にはそれらの病
原性や免疫原性に伴う短所がある。別の手段として、カ
チオン性リポソームやカチオン性ポリマー等の非ウイル
スベクターの開発研究がなされてきた(例えば、Felgne
r et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.84(1987)
7413−7417;Boussifet al.,同誌、92(1995)7297−7
301;Wetering et al.,J.Control.Release53(199
8)145−153)。
【0004】非ウイルスベクターは、安全性等において
ウイルスベクターを凌駕する利点をもつが、トランスフ
ェクション効率においては、今まだ、ウイルスベクター
より劣った水準にある。一般的に、リポソーム/DNA
コンプレックスおよびポリマー/DNAコンプレックス
はポリカチオン単位とDNAのリン酸アニオンとの間の
イオン相互作用により形成されている。そして、これら
のコンプレックスはエンドサイトーシスにより細胞に取
込まれるものと推測されている。なお、カチオン性ポリ
マーの遺伝子キャリヤーは、リポソームに比べて次のよ
うな利点を有しうるものと解されている。
【0005】(i)相対的に小さなサイズと狭い分布の
コンプレックスが提供できる。
【0006】(ii)ヌクレアーゼに対する高い安定性
を有する。
【0007】(iii)共重合により親水性を多面的に
調整できる。
【0008】さらに、このようなカチオン性ポリマーと
DNAとのコンプレックスは、イオン相互作用により形
成されており、リソソーム酵素によるDNAの分解を防
ぐ。しかし、一般的にカチオン性ポリマーの遺伝子ベク
ターは、カチオン性リポソームよりも低いトランスフェ
クション効率を示す。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
マーベクターの長所を生かしつつ、細胞へのトランスフ
ェクション効率の高い薬物送達手段を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリマー
を用いる遺伝子キャリヤーのトランスフェクション効率
を高める(すなわち、キャリヤーの細胞への効率的な取
り込みと、一旦、取り込まれた後は遺伝子を発現容易な
状態にする)には、効率のよい取り込みに要求される遺
伝子とキャリヤーの安定なコンプレックスを提供できる
一方、細胞内ではコンプレックスから遺伝子を遊離もし
くは解離し易いような、相反する機能を併せもつ系を設
計する必要があるものと、考えた。
【0011】かような系として、一定の温度では核酸と
の安定なコンプレックスを形成できるが、別の温度では
コンプレックスを解離して核酸を遊離せしめるポリマー
の使用により、上記目的が達成できることを見出した。
また、このような系はポリマーの構成単位を選ぶことに
より単に核酸に適用できるだけでなく、薬物とポリマー
との間のイオン相互作用、疎水結合形成能等を介するコ
ンプレックスを形成できる限り、広範な薬物の送達系が
提供できることが理解できるであろう。 なお、DNA
の送達のために温度応答性ポリマーの使用を提案する例
が、W.L.J.Hinrichs et al.,“Thermosensitive pol
ymers as carriers for DNA delivery"、J.Control.R
elease 60(1999)249−259に記載されているが、ここ
では温度応答性ポリマーの使用がコンプレックスのサイ
ズの調整に主として向けられているだけである。
【0012】したがって、特定の生物学的環境下で薬物
とポリマーとの間のコンプレックスの形成または形成さ
れたコンプレックスの解離を調整する系は、ここに、本
発明者によって初めて提供されるのである。より具体的
には、本発明によれば、生物学的環境下で薬物とのコン
プレックスを形成できるかまたは形成したコンプレック
スを維持できるポリマーを含んでなる薬物の送達用キャ
リヤーであって、該ポリマーが温度応答性のコポリマー
であり、そして該キャリヤーが、送達された生物学的環
境下の特定温度もしくは特定温度域を分岐点として、薬
物とポリマーから形成されたコンプレックスを解離する
か、あるいは薬物とポリマーとの間でコンプレックスを
形成するために使用される、ことを特徴とするキャリヤ
ーが提供される。
【0013】また、本発明によれば、特定のカチオン性
ポリマーとオリゴもしくはポリヌクレオチドとのコンプ
レックスも提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明により提供される薬物のた
めのキャリヤーは、生物学的環境下で薬物とのコンプレ
ックスを形成できるかまたは形成したコンプレックスを
維持できるポリマーを含んでなる。本明細書にいう「生
物学的環境」とは、単もしくは多細胞、器官および組織
それら自体、ならびにそれらを包含する水性環境を意味
し、生体内および生体外のいずれをも包含する概念で使
用している。生体内は、ヒトを含む動物の体内のいずれ
の領域もしくは場所であってもよく、そして生体外は組
織や細胞培養物ならびに例えば、生理食塩水等に細胞や
組織が分散または保存されたもの等が包含される。
【0015】「薬物とのコンプレックス」にいう薬物と
しては、オリゴもしくはポリヌクレオチド(DNA、R
NAを包含する)、それらの誘導体(例えば、フォスフ
ォロチオエート、フォスフォラミド、メチルフォスフォ
エート等)、ならびにオリゴもしくはポリペプチドおよ
びシュウドペプチド、リン脂質、さらにはペプチド−
(オリゴもしくはポリ)ヌクレオチド等を挙げることが
できる。これらの薬物を機能に基いて分類すると、各種
疾患の原因となる遺伝子(例えば、田辺功、山内豊明
「遺伝子の地図帳」西村書店(1998)に記載されて
いるような遺伝子や、その他ヒトゲノムプロジョクト等
を通じて解明されているかもしくは解明されつつある特
定の機能を有する遺伝子断片)やアンチセンスDNA、
さらには、それらに対応するRNA、リボザイムを挙げ
ることができる。これらの薬物(例えばDNA)は、本
発明の目的に沿うものである限り、その分子量に制限は
ないが通常6〜200,000Mer、好ましくは9〜
50,000Merのものを意図している。他方、ペプ
チド類としては抗生物質、ホルモン、サイトカイン、酵
素等を挙げることができる。
【0016】このような薬物と本発明で用いるポリマー
との間で形成されるコンプレックスは、本発明の目的に
沿うものであれば、如何なる相互作用(例えば、疎水結
合、イオン結合、それらの両者)を介して形成されたも
のであってもよいが、好ましくは、主としてイオン相互
作用を介して形成されるものである。
【0017】他方、かような薬物とコンプレックスを形
成できるポリマーは、薬物との間で上記コンプレックス
を形成するための部位すなわちイオン形成基(または荷
電しうる基、第一級、第二級もしくは第三級アミンの残
基、第四級アンモニウム塩またはカルボキシル基)およ
び/または疎水性基を有する部位または領域をポリマー
分子内に有し、かつ、温度応答性であることが必要であ
る。本明細書でいう「温度応答性」とは、当該ポリマー
を含有する溶液またはポリマーの可溶化された溶液もし
くは均質な分散液に温度を上げるか下げるかによって、
ある一定温度もしくは温度域において、可逆的に相転移
(すなわち、1相⇔2相)をもたらすようなポリマーを
意味する。上記の「温度域」は相転移が起こる温度が数
℃の幅をもっていてもよいことを意味する。本発明に従
えば、このようなポリマーは生物学的環境下で使用する
ことを意図しているので、約10℃〜45℃の範囲にあ
ることが好ましいが、これに限定されない。薬物がDN
Aの場合における相転移の概念図を図1に示す。相転移
は、限定されるものでないが、例えば水中でDNAとポ
リマーが可溶化された状態(緩いコンプレックスの形
成)と相分離を起こす状態(強固なコンプレックスの形
成)との間を転移する現象である。
【0018】このような性質を有するポリマーは、少な
くとも1種の、所謂、温度応答性モノマーに由来する反
復単位を含むコポリマーであることが必要である。温度
応答性のモノマーは、例えば次式(A)で表わすことが
できる。
【0019】
【化13】
【0020】上式中、Raは水素原子またはメチル基で
あり、Tは、式 −NHCOCH(CH3)2、−OCH3
および
【0021】
【化14】
【0022】からなる群より選ばれる基であり、ここ
で、Ra1およびRa2は独立して、水素原子、C1-6アル
キル基を表すか、あるいはRa 1及びRa2は、それらが結
合する窒素原子と一緒になってピロリドン環
【0023】
【化15】
【0024】を形成することができるが、但し、Ra1
よびRa2は同時に水素原子とはならない。
【0025】このような1種または2種以上の温度応答
性モノマー由来の反復単位を有する温度応答性ポリマー
は、本発明の目的に沿う限り、いかなる他の反復単位を
含んでいてもよいが、さらに、薬物とコンプレックスを
形成しうる部分もしくは領域を提供できる反復単位を含
むことが必要である。このような単位としては、水溶液
中で荷電しうる基、例えば、第一級アミン、第二級アミ
ンもしくは第三級アミンのアミン残基または第四級アン
モニウム基、また、逆に、カルボキシル基を有するか、
さらに場合によって疎水性基を有するものであることが
できる。限定されるものでないが、アミン残基を有する
単位を提供しうるモノマーとしては、次の式(B)で表
されるものを挙げることができる。
【0026】
【化16】
【0027】上式中、Rbは水素原子またはメチル基で
あり、Bは、式 −COORb1、−CONHRb1、−C
ON(Rb1)2、−CH2NH2および
【0028】
【化17】
【0029】からなる群より選ばれる基であり、ここで
各Rb1は式
【0030】
【化18】
【0031】を表し、ここでnは1〜4の整数であり、
そしてRb2およびRb3は独立して水素原子、C1-6アル
キル基である。
【0032】さらに本発明で使用するポリマーは、薬物
とのコンプレックスの形成に関与してもよい、疎水性側
鎖を有する単位を含むことが好ましい。このような単位
は、ポリマー組成物の相転移温度を調整することもでき
る。限定されるものでないが、このような単位を誘導し
うるモノマーとしては、次の式(D)で表される疎水性
モノマーを挙げることができる。
【0033】
【化19】
【0034】上式中、Rdは水素原子またはメチル基で
あり、Dは、式 −COORd1、−CONHRd1、−C
ON(Rd1)2 および
【0035】
【化20】
【0036】からなる群より選ばれる基であり、ここ
で、各Rd1はC1-20アルキル基である。
【0037】上記各モノマーを定義する際に用いたC
1-6アルキルおよびC1-20アルキルは、それぞれ、炭素
原子数が1〜6個および1〜20個の直鎖または分枝ア
ルキルを意味し、限定されるものでないが、メチル、エ
チル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、
sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペ
ンチル、チオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプ
チル、オクチル、ウンデシル、オクタデシルおよびイコ
シルを挙げることができる。
【0038】こうして定義される各モノマーの代表的な
ものとしては、式(A)の温度応答性モノマーとしてN
−イソプロピルアクリルアミド、N−エチルアクリルア
ミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−ビニルイ
ソブチルアミド、ビニルメチルエーテルおよびアクリロ
イルピロリドンを挙げることができ、式(B)で表され
る塩基性モノマーとして2−(ジメチルアミノ)エチル
メタクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリ
レート、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]メタク
リルアミド、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]ア
クリルアミド、N,N−ビス−[2−(ジメチルアミ
ノ)エチル]メタクリルアミド、2−(ジエチルアミ
ノ)エチルメタクリレート、アリルアミン、2−アミノ
スチレンおよび4−アミノスチレンを挙げることがで
き、そして式(D)で表される疎水性モノマーとしてブ
チルメタクリレート、ブチルアクリレート、iso−ブ
チルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチ
ルメタクリレート、N−ペンチルアクリルアミド、N−
ペンチルメタクリルアミドおよびN−オクチルメタクリ
ルアミドを挙げることができる。
【0039】本発明で使用する温度応答性ポリマーの典
型的なものとしては、上記式(A)、式(B)及び式
(D)で表されるモノマーのそれ自体既知の共重合法
(好ましくはランダン共重合法)によって製造できる。
こうして製造されるコポリマーは、次の一般式(E)で
表すことができる。
【0040】
【化21】
【0041】上式中、Ra、Rb、Rd、T、BおよびD
は、それぞれ式(A)、式(B)そよび式(D)につい
て定義したとおりであり、そして、xはxが付された反
復単位の当該コポリマーにおけるモル分率が60%以
上、例えば、60〜95%、好ましくは60〜85%と
なるような整数であり、yおよびzは、それらの各反復
単位の当該コポリマーにおけるモル分率が、それぞれ2
%以上、例えば、yは2〜20%、zは2〜20%とな
るような整数であり、そして分子量は3,000〜20
0,000である。
【0042】一般式(E)で表されるコポリマーは、一
般的に、2重量%水溶液としたときの下限臨界溶液温度
(LCST)が10〜45°に入るように各モノマー組
成が選ばれる。本明細書において、このLCSTは、当
該技術分野で普通に用いられている意味をもつものとし
て使用している。このようなコポリマーのLCSTは、
薬物(例えば、プラスミドDNA)とコポリマーとのコ
ンプレックスにおいて若干上昇する傾向があることが理
解されている。
【0043】したがって、上記コポリマーと例えば、D
NAとのコンプレックスは、生物学的環境下または緩衝
化された生理食塩水(pH5.0〜8.0)もしくは脱イ
オン水において、10〜45℃のいずれかの温度または
温度域で緩いコンプレックスが形成された相状態(また
は可溶化状態)と強固なコンプレックスが形成された相
状態(または凝集状態)との間の変動を起こすことがで
きる。上記式(E)で表されるコポリマーは、一般に1
0〜45℃(薬物とのコンプレックスにあっては、約5
〜45℃)にLCSTをもつので、例えば、コンプレッ
クスを水との組成物を対応するLCSTより高い温度か
ら低い温度に温度を低下させると、強固なコンプレック
ス状態から緩いコンプレックス状態に変化せしめること
ができる(図1参照)。本発明では、かような変化をコ
ンプレックスからの薬物の遊離もしくは解離と称してい
る。
【0044】本発明に従えば、理論によって拘束される
ものでないが、例えば、強固なコンプレックス状態で薬
物を特定の生物学的環境下(例えば、標的細胞内)に送
達し、次いで、環境温度を変化させることにより、その
場で、緩いコンプレックス状態(コンプレックスからの
薬物の遊離または解離)をもたらすことができる。この
ような作用効果は、培養細胞のような生体外だけでなく
生体内の特定の器官、領域、細胞(もしくは細胞群)に
おいても達成できる。
【0045】現に、所定の遺伝子を特定部位(例えば、
腫瘍細胞内)で発現させるために、該遺伝子と式(E)
とのコンプレックス(相転移温度が体温を下廻る)を調
製し、それらを培養細胞系に導入するか、あるいは直接
またはその他の方法で被験体の特定部位またはその周辺
に注入し細胞内に取り込ませた後、相転移温度以下の温
度に注入部を冷却すると、遺伝子の発現効率を高めうる
ことが確認できた。
【0046】したがって、本発明に従えば、ヌクレオチ
ド(または核酸もしくは遺伝子)を生物学的な環境の特
定部位に送達するための薬物コンプレックスも提供され
る。
【0047】
【実施例】以下、本発明をより具体的に説明し、また、
説明の煩雑させ避けるため、式(A)の温度応答性モノ
マーとしてのN−イソプロピルアクリルアミド、式
(B)の塩基性モノマーとしての2−(ジメチルアミ
ノ)エチルメタクリレートおよび式(D)の疎水性モノ
マーとしてのブチルメタクリレートのランダム共重合に
よって得られるコポリマーの例を挙げるが、本発明がこ
れらに限定されることを意図するものではない。 材料:N−イソプロピルアクリルアミド(以下、IPA
Amと略記する)は市販の製品をヘキサンで再結晶する
ことによって精製し、次いで室温で減圧下に乾燥したも
のを使用した。2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリ
レート(以下、DMAEMAと略記する)およびブチル
メタクリルアミド(以下、BMAと略記する)は市販の
ものを減圧蒸留して精製したもの使用した。アゾビスイ
ソブチロニトリル(以下、AIBNと略記する)は市販
のものをメタノールから再結晶して精製したものを使用
した。テトラヒドロフラン(以下、THFと略記する)
は市販のものを蒸留して使用した。その他の試薬は、市
販の試薬等級のものを、さらなる精製することなく使用
した。 例1:ポリ(IPAAm−co−DMAEMA−co−
BMA)の製造 種々の組成をもつIPAAm、DMAEMAおよびBM
Aよりなるモノマーから誘導されるコポリマーを、ラジ
カル開始剤としてAIBNを用いるラジカル共重合によ
り該モノマーから製造した。モノマー類とAIBN
(0.2mM)をTHF35mlに溶解した。得られた
溶液を減圧下で凍結−融解を繰り返すことにより脱気
し、二方向活栓を用いて密封した。60℃で15時間重
合を行った。次いで、反応液を過剰量の石油エーテル中
に注ぎ込み、沈殿したポリマーを減圧下で乾燥した。乾
燥ポリマーを冷水に溶解し、透析膜(Spectra/
Por3−membrane、分画分子量(MWCO)
=3500)を使用し、24時間4℃で水に対して透析
して未反応のモノマー類を除去した。凍結乾燥して、白
色粉末としてポリマーを得た。コポリマーの分子量は、
40℃において、塩化リチウム含有ジメチルホルムアミ
ド(10mM)で溶離(速度1ml/分)するゲル浸透
クロマトグラフィー(GPC、TOSOH、SC−80
20、ポリスチレン標準)により決定した。 例2:コポリマーの物性 (2−1)コポリマー溶液の透過率の測定 各種温度におけるポリマー水溶液の光学透過率をUV−
VISスペクトルメーター(V−530、日本分光)を
用い500nmで測定した。試料セルはペルチェ効果セ
ルホルダー(EHC−477、日本分光)を用いて一定
温度調節した。加熱速度は、0.1℃/分であった。ポ
リマー溶液のLCSTは、光学透過率が1%の低下を示
す温度として決定した。 (2−2)pKa測定 コポリマーのpKa値は滴定によって決定した。コポリ
マーを0.9重量%の塩化ナトリウム溶液中に溶解さ
せ、0.1M HClで酸性にした後、0.05M N
aOHで滴定した。 例3:電気泳動分析 各種ポリマーとプラスミドDNA(2μg)のコンプレ
ックスを総容量200μlのリン酸生理緩衝液(PB
S)中で作成した。コンプレックスの生成は37℃、1
時間で行った。コンプレックス溶液30μlを0.6重
量%のアガロースゲル上で泳動させ(100V)、臭化
エチジウム染色でバンドを可視化した。 例4:pCMV−LacZの調製 pCMV−LacZは J.Lindsay Whitton 博士(the
Scripps Research Institute,La Jolla,CA,U.S.
A.:例えば、J.Virol.69(1995)2684−2688参照)
から贈与された。このプラスミドを大腸菌(Escherichi
a coli)DH5α株で増幅し、カラムクロマトグラフィ
ー[Qiagen(商標)Plasmid Mega Kit、 German
y]で精製した。プラスミドの純度はOD260/OD280
(ここで、ODは光学濃度である。)で測定した。この
比は1.85〜1.90であった。プラ スミド濃度は、等式 1 OD260=50μg/ml(プラスミドDNA) を用いて決定した。 例5:トランスフェクション用細胞株 COS−1細胞(アフリカミドリザル腎由来培養細胞株
CV−1を、市販のSV40突然変異株のウイルスゲノ
ムで形質転換した細胞)を、10%FBS、ペニシリン
100μ/mlおよびストレプトマイシン100μg/
mlを補足したDMEM培地で給湿された5%CO2
囲気のインキュベーター内で培養した。 例6:DNAの細胞のトランスフェクション COS−1細胞を4×105細胞/mlの濃度で96ウ
ェルの平底ミクロアッセイプレート(Falcon Co.,Bect
on Dickinson,Franklin Lakes,NJ,U.S.A.)にウェ
ル当り160μlずつ植種し、15時間後にトランスフ
ェクション実験に供した。pCMV−LacZ 4μg
は100μlのRPMI−1640で希釈した。所定量
のコポリマー原液(500〜2000μg/ml)を3
00μlのRPMI−1640で希釈した。プラスミド
溶液100μlとポリマー溶液300μlを混合してコ
ンプレックス溶液を調製し、37℃で1時間インキュベ
ーションを行った。コポリマーは、コポリマー/プラス
ミド重量比5〜100で使用した。コンプレックス溶液
100μlを96ウェルプレートに加え、37℃で1時
間インキュベーションを行った。コンプレックス溶液を
除去した後、10%FBSを含有する新鮮なDMEM媒
地をプレートに加え、次いで、給湿された5%CO2
囲気下、37℃で47時間培養した。トランスフェクシ
ョン効率を評価するために、トランスフェクトされた細
胞のX−gal組織化学的染色を行って、β−ガラクト
シダーゼを発現した細胞数を測定した[K.Lim et a
l.,Biotechniques 7(1987)576−579参照]。
【0048】96ウェルプレート中の細胞を5分間室温
にてPBS中0.25%グルタルアルデヒドで固定し、
PBSで2回洗浄した後、組織化学反応液(それぞれP
BS中、1mg/ml X−Gal、5mMフェロシア
ン化カリウム、1mM MgCl2)と共にインキュベ
ーションした。組織化学反応液での5時間インキュベー
ションした後、ウェル中の全てのブルーの細胞を顕微鏡
下で数えた。細胞をPBSで2回洗浄し、レポーター溶
解バッファー(Promega,U.S.A.)で採取した。トラン
スフェクトされた細胞のβ−ガラクトシダーゼ活性は、
o−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(O
NPG)を基質として使用して415nmで分光光度計
で測定した(N.Rosenthal,Methods Enzymol.152(19
87)704−720参照)。トランスフェクション効率は1μ
gタンパク質当りのβ−ガラクトシダーゼ活性と定め
た。細胞溶解と一連のタンパク質標準溶液はウシ血清ア
ルブミン(BSA)を用いて調製し、総タンパク質につ
いてアッセイした。ビシンコニン酸(bicinconnic aci
d)試薬を各試料に加え、37℃で30分インキュベー
ションした。自動マイクロタイタープレート分光光度計
により547nmにおける吸光度を読み取り、総タンパ
ク質量を得た。統計解析はFisher's protectedleast si
gnificance difference testにより行った。 結果および検討: (1)製造されたポリマーおよび特性 下記表Iに示す各種モノマー比でポリマー(PDMAE
M)コポリマー[P(IPAAm−co−DMAEM
A)およびP(IPAAm−co−DMAEMA−co
−BMA)]を得た。それらの分子量、収率、LCST
および一部のpKa値も表Iにまとめて記載する。ま
た、各ポリマーおよびコポリマーは、以後、特記しない
かぎり、ポリマー名の欄に命名した略称に従う。なお、
モノマー含量(またはモノマーの組成)は1H−NMR
の測定値から換算した。
【0049】
【表1】
【0050】なお、PIPAAmは32℃にLCSTを
示すことが公知であり(M. Heskins, J.Macromol.Sc
i.Chem.A2(1968)1441−1445)、熱応答性ヒドロゲ
ル(同前)、バイオコンジュゲート(M.Matukata et a
l.,Bioconjugate Chem.7(1996)96−101)やクロマ
トグラフィー系(H.Kanazawa et al.,Anal.Chem.68
(1996)100−105)で精力的に研究されている。
【0051】これらのLCST値は、アミンモノマー単
位(DMAEMA)および疎水性モノマー単位(BM
A)を組み入れることにより、それぞれ増大および低減
できることが、確認できた。
【0052】これらのコポリマーが示す温度応答性の典
型例として、リン酸生理緩衝液(PBS、pH7.4)
におけるP(IP−8DA−11BM)溶液の温度変化
に伴う透過率の変化を図2に示す(四角がDNA不存在
下であり丸がDNA存在下である。)。サケDNAの存
在下の透過率はサケDNAの不存在下におけるコポリマ
ー溶液の透過率より低い。しかし、P(IP−8DA−
11BM)溶液のLCSTはサケDNAの存在下におけ
るLCSTと殆ど同じである。
【0053】図3には37℃[(a)および(b)]な
らびに20℃[(c)および(d)]におけるポリマー
とプラスミドコンプレックスのアガロースゲル電気泳動
の結果を示す。PDMAEMホモポリマーが共存する場
合のプラスミドのバンドは、両温度で、ポリマー/プラ
スミドの重量比1〜4のすべてにおいてゲルの充填スロ
ットに完全に残存した。P(IP−9DA)は、コポリ
マー重量比が5から100に高まるにつれてDNAバン
ドを遅延させることを示した。この遅延はコポリマーと
のコンプレックスの形成に伴う分子量の増大やコンプレ
ックスの形成によりプラスミドDNAにおけるリン酸イ
オンの減少に起因するものと考えられる。重量比が5以
上で、37℃において、P(IP−8DA−11BM)
と共存するプラスミドはゲルの充填スロット内に完全に
残存している(図3の(a)および(b)、レーン13
〜17)。これに対し、20℃では、重量比5、15、
20および30のP(IP−8DA−11BM)の共存
でも、対照プラスミドの位置に比較的明るいバンドが見
られる(図3の(c)および(d)、レーン12〜1
5)。これは、20℃において、コンプレックスからの
DNAの部分的解離が生じていることを示す。以上の結
果から、アミノ基(DMAEMA)および/または疎水
性基(BMA)含量を調節することにより、重量比5、
15、20および30においてコンプレックス形成/解
離の温度制御が達成できることが明らかになった。 (2)ポリマー・プラスミド コンプレックスの生体外
トランスフェクション 各種のポリマー・プラスミドDNAコンプレックスを、
一定量のプラスミドと種々の量のコポリマーとから形成
した。
【0054】図4〜6は、トランスフェクション効率を
ブルーに着色された細胞の数により示す。コンプレック
ス溶液をウェル中で1時間37℃でインキュベートした
後、コンプレックス溶液を除去し、次いで、10%FB
Sを含有する新鮮なDMEM培地を加え、(i)37
℃、47時間および(ii)37℃、20時間+20
℃、3時間+37℃、24時間の2種の温度および期間
の条件下でインキュベーションを行った。
【0055】PDMAEMAホモポリマーは効率のよい
遺伝子キャリヤーとして開発されてきており、このポリ
マーの低いpKa値(7.4)が遺伝子の高いトランス
フェクション効率に寄与するものと考えられている(P.
V.D.Wetering et al.,Bioconjugate Chem.10(199
9)589−597)。
【0056】上記条件(i)では、対照としてのPDM
AEMAのトランスフェクション効率は、重量比2で最
大値に達するまで、ポリマー/DNA重量比の増大に伴
って増大した(図4)。この挙動は既に報告されている
結果(W.L.J.Hinrichs et al.,J.Control.Release
60(1999)249−259)と整合している。他方、条件(i
i)におけるトランスフェクション効率は、すべての重
量比において条件(i)より低い(図4参照)。トラン
スフェクション効率は細胞分裂および/または細胞内タ
ンパク質合成プロセスに対して低いインキュベーション
温度(20℃)の阻害作用により低下した可能性があ
る。P(IP−9DA)は5〜100の重量比で両条件
下で極めて低いトランスフェクション効率を示した(図
5参照)。
【0057】図6は、P(IP−8DA−11BM)の
トランスフェクション効率を示す。このコポリマーを用
いると、相当な数のトランスフェクトされた細胞が観察
される。このことは、疎水性単位がトランスフェクショ
ンに本質的に寄与していることを示す。驚くべきこと
に、重量比30におけるトランスフェクション効率は、
温度を低下することによって増大したのである。一般的
に、37℃より低い温度はトランスフェクションにとっ
て不利である。現に、PDMAEMホモポリマーのトラ
ンスフェクション効率は低温インキュベーションにより
低下したのである。すなわち、P(IP−8DA−11
BM)により増大するトランスフェクション効率は、そ
のコポリマーのLCSTが21℃であるために、低温で
コンプレックスの解離が生じているものと予測される。
こうして、本発明者らは、コンプレックスが送達された
部位の周囲温度を変化させることにより遺伝子の発現を
促進できることを見出したのである。
【0058】図7にP(IP−8DA−11BM)を用
いた場合の条件(i)および(ii)におけるトランス
フェクションされた細胞の観察図に代わる顕微鏡写真を
示す。条件(ii)では、数多くのトランスフェクトさ
れた細胞(ブルー細胞)を認めることができる。 (3)細胞当りのβ−ガラクトシダーゼ活性の評価 各インキュベーション後のβ−ガラクトシダーゼ活性の
測定結果を図8および9に示す。トランスフェクション
を、次の (i)37℃での47時間、 (ii)37℃、20時間+20℃、3時間+37℃、
24時間 (iii)20℃、3時間+37℃、44時間 の温度およびインキュベーション時間からなる3種の条
件にて検討した。条件(i)におけるPDMAEMホモ
ポリマーのβ−ガラクトシダーゼ活性は他の条件(i
i)および(iii)よりも高い(図8)。すべての条
件で、細胞の単位タンパク質量当りの発現活性は、ポリ
マー/DNAの比に依存しているということはなかっ
た。したがって、トランスフェクション効率はポリマー
/DNA重量比1〜2の間のトランスフェクトされた細
胞数の増大により増大し、そしてトランスフェクション
効率は重量比2〜10では細胞毒性または細胞死に起因
して低下するものと考えられる。
【0059】他方、条件(ii)におけるP(IP−8
DA−11BM)のβ−ガラクトシダーゼ活性は、広範
な重量比(20〜100)において他の条件よりも高
い。条件(ii)におけるβ−ガラクトシダーゼ活性は
重量比に大きく依存していた。このことは、トランスフ
ェクション効率の変化は、主として細胞当り発現レベル
により達成されるものであり、必ずしもトランスフェク
トされた細胞数または細胞の生存率にはよらないことを
意味する。
【0060】さらに、条件(iii)における低いβ−
ガラクトシダーゼ活性に注目しなければならない。すな
わち、低温処理するタイミングがトランスフェクトされ
た細胞におけるβ−ガラクトシダーゼ活性の増大に重要
であろう。
【0061】さらに種々のインキュベーションパターン
によるP(IP−8DA−11BM)のトランスフェク
ション効率を重量比30で評価した結果を図10に示
す。温度を低下することによるトランスフェクションの
増大はパターン3で確認される。図10において、ま
ず、注目すべきことは、本発明によれば遺伝子の発現が
インキュベーションパターンによって厳密に制御できる
ことである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に従う薬物キャリヤーのDNAコ
ンプレックスの形成と解離の概念図である。
【図2】図2はPBS(pH7.4)中でのP(IP−
8DA−11BM)の透過率の温度依存性を示すグラフ
である。(○)はサケDNAの不存在下、(□)はサケ
DNAの存在下。
【図3】図3はポリマーとプラスミドのコンプレックス
を0.6%アガロースゲル電気泳動したときの泳動図に
代わる写真である。(a)および(b)は37℃におけ
る泳動図であり、その中で(b)はコントラストを増強
した図である。(c)および(d)は20℃における泳
動図であり、その中で(d)はコントラストを増強した
図である。レーン1はプラスミドDNA(2μg)の
み、レーン2〜5はプラスミドDNA(2μg)と、そ
れぞれ2μg、4μg、6μgおよび8μgのPDMA
EMとの混合物、レーン6〜11はプラスミドDNA
(2μg)と10μg、30μg、40μg、60μ
g、120μgおよび200μgのP(IP−9DA)
との混合物、ならびにレーン12〜17はプラスミドD
NA(2μg)と10μg、30μg、40μg、60
μg、120μgおよび200μgのP(IP−8DA
−11BM)との混合物について泳動したものである。
プラスミドDNAは臭化エチジウムにより可視化してい
る。
【図4】図4はPDMAEMAとプラスミドのコンプレ
ックスのトランスフェクション効率を表すグラフである
(n=3、IS.D.)。グラフ中、(○)37℃47
時間のインキュベーションを行ったものであり、(□)
は37℃2時間+20℃3時間+37℃24時間のイン
キュベーションを行ったものである(なお、後述の図5
および6においても、試行数およびインキュベーション
条件は同様の意味を有する。)。
【図5】図5はP(IP−9DA)とプラスミドのコン
プレックスのトランスフェクション効率を表すグラフで
ある。
【図6】図6はP(IP−8DA−11BM)とプラス
ミドのコンプレックスのトランスフェクション効率を表
すグラフである。
【図7】図7はP(IP−8DA−11BM)(×10
0)のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子の発現を示す図に代
わる細胞の写真である。(a)は37℃47時間のイン
キュベーションを行った場合の細胞染色写真であり、
(b)は37℃20時間+20℃3時間+37℃24時
間のインキュベーションを行った場合の写真である。
【図8】図8はPDMAEMAとプラスミドのコンプレ
ックスのポリマー濃度変化によるβ−ガラクトシダーゼ
活性の変動を表すグラフである。(○):37℃47時
間インキュベーション、(□):20℃3時間+37℃
44時間のインキュベーション、(△):37℃20時
間+20℃3時間+37℃24時間のインユベーショ
ン。(n=3、IS.D.)
【図9】図9はP(IP−8DA−11BM)とプラス
ミドのコンプレックスのポリマー濃度変化によるβ−ガ
ラクトシダーゼ活性の変動を表すグラフである。
(○)、(□)および(△)の表す意味は図8に同じ。
(n=3、IS.D.)
【図10】図10はP(IP−8DA−11BM)のβ
−ガラクトシダーゼ活性についてのインキュベーション
時間および期間の影響を示すグラフである[p〈0.0
1(*)またはp〉0.001(**)]。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07H 21/04 C07H 21/04 B 4J100 C08F 212/06 C08F 212/06 212/14 212/14 216/18 216/18 220/12 220/12 220/34 220/34 220/56 220/56 220/60 220/60 226/02 226/02 C12N 15/09 C12N 15/00 A Fターム(参考) 4B024 AA20 GA30 HA17 4C057 BB02 CC01 MM06 MM09 4C076 AA95 CC42 EE13A EE25A FF02 FF31 FF68 4C084 AA13 NA13 NA14 ZB211 ZB212 ZB262 4C086 AA01 AA02 AA03 EA16 MA01 MA04 NA13 NA14 ZB21 ZB26 4J100 AB02R AB03R AB07Q AE03P AL03R AL04R AL08Q AM17P AM17R AM19P AM21Q AN03Q AN04P BA14P BA29Q BA31Q CA05 JA53

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生物学的環境下で薬物とのコンプレック
    スを形成できるかまたは形成したコンプレックスを維持
    できるポリマーを含んでなる薬物の送達用キャリヤーで
    あって、 該ポリマーが温度応答性のコポリマーであり、そして 該キャリヤーが、送達された生物学的環境下の特定温度
    もしくは特定温度域を分岐点として、薬物とポリマーか
    ら形成されたコンプレックスを解離するか、あるいは薬
    物とポリマーとの間でコンプレックスを形成するために
    使用される、ことを特徴とするキャリヤー。
  2. 【請求項2】 温度応答性のコポリマーが、式(A) 【化1】 (上式中、Raは水素原子またはメチル基であり、T
    は、式 −NHCOCH(CH3)2、−OCH3 および 【化2】 からなる群より選ばれる基であり、ここで、Ra1および
    a2は独立して、水素原子、C1-6アルキル基を表す
    か、あるいはRa 1及びRa2は、それらが結合する窒素原
    子と一緒になってピロリドン環を形成することができる
    が、但し、Ra1およびRa2は同時に水素原子とはならな
    い)で表わされる少なくとも1種の温度応答性モノマー
    に由来する少なくとも1種の反復単位を含むものであ
    り、0.2重量%のポリマー濃度の水溶性としたときの
    下限臨界溶液温度(LCST)が10℃〜45℃である
    請求項1記載のキャリヤー。
  3. 【請求項3】 温度応答性コポリマーが、式(B) 【化3】 (上式中、Rbは水素原子またはメチル基であり、B
    は、式 −COORb1、−CONHRb1、−CON(R
    b1)2、−CH2NH2および 【化4】 からなる群より選ばれる基であり、ここで各Rb1は式 【化5】 を表し、ここでnは1〜4の整数であり、そしてRb2
    よびRb3は独立して水素原子、C1-6アルキル基であ
    る)で表される少なくとも1種の塩基性モノマーに由来
    する反復単位、並びに式(D) 【化6】 (上式中、Rdは水素原子またはメチル基であり、D
    は、式 −COORd1、−CONHRd1、−CON(R
    d1)2 および 【化7】 からなる群より選ばれる基であり、ここで、各Rd1はC
    1-20アルキル基である)で表される少なくとも1種の疎
    水性モノマーに由来する反応単位を含んでなる請求項2
    記載のキャリヤー。
  4. 【請求項4】 温度応答性コポリマーが、モル分率で、
    式(A)で表される温度応答性モノマーに由来する反復
    単位を60%以上含み、そして式(B)および式(D)
    で表されるモノマーに由来する反復単位を、それぞれ2
    %以上含む請求項3記載のキャリヤー。
  5. 【請求項5】 式(A)で表される温度応答性モノマー
    がN−イソプロピルアクリルアミド、N−エチルアクリ
    ルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−ビニ
    ルイソブチルアミド、ビニルメチルエーテルおよびアク
    リロイルピロリドンからなる群より選ばれ;式(B)で
    表される塩基性モノマーが2−(ジメチルアミノ)エチ
    ルメタクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルアク
    リレート、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]メタ
    クリルアミド、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]
    アクリルアミド、N,N−ビス−[2−(ジメチルアミ
    ノ)エチル]メタクリルアミド、2−(ジエチルアミ
    ノ)エチルメタクリレート、アリルアミン、2−アミノ
    スチレンおよび4−アミノスチレンからなる群より選ば
    れ;そして式(D)で表される疎水性モノマーがブチル
    メタクリレート、ブチルアクリレート、iso−ブチル
    メタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメ
    タクリレート、N−ペンチルアクリルアミド、N−ペン
    チルメタクリルアミドおよびN−オクチルメタクリルア
    ミドからなる群より選ばれる請求項3または4記載のキ
    ャリヤー。
  6. 【請求項6】 式(A)で表される温度応答性モノマー
    がN−イソプロピルアクリルアミドであり、式(B)で
    表される塩基性モノマーが2−(ジメチルアミノ)エチ
    ルメタクリレートであり、そして式(D)で表される疎
    水性モノマーがブチルメタクリレートである請求項5記
    載のキャリヤー。
  7. 【請求項7】 薬物がオリゴもしくはポリヌチレオチド
    またはそれらの誘導体である請求項1〜6のいずれかに
    記載のキャリヤー。
  8. 【請求項8】 一般式(E) 【化8】 [上式中、Ra、RbおよびRdは独立して水素原子また
    はメチル基であり;Tは、式 −NHCOCH(C
    3)2、−OCH3 および 【化9】 からなる群より選ばれる基であり、ここで、Ra1および
    a2は独立して、水素原子、C1-6アルキル基を表す
    か、あるいはRa 1およびRa2は、それらが結合する窒素
    原子と一緒になってピロリドン環を形成することができ
    るが、Ra1およびRa2は同時に水素原子とはならない;
    Bは、式 −COORb1、−CONHRb1、−CON
    (Rb1)2、−CH2NH2および 【化10】 からなる群より選ばれる基であり、ここで、各Rb1は式 【化11】 を表し、ここでnは1〜4の整数であり、そしてRb2
    よびRb3は独立して水素原子、C1-6アルキル基であ
    る;そしてDは、式 −COORd1、−CONHRd1
    −CON(Rd1)2 および 【化12】 からなる群より選ばれる基であり、ここで、各Rd1はC
    1-20アルキル基であり;xは、xが付された反復単位の
    当該コポリマーにおけるモル分率が60%以上となるよ
    うな数であり、yおよびzは独立して、それらの各反復
    単位の当該コポリマーにおけるモル分率が2%以上とな
    るような数である]で表され、かつ、0.2重量%水溶
    液としたときの下限臨界溶液温度(LCST)が10℃
    〜45℃であるコポリマーとオリゴもしくはポリヌクレ
    オチドまたはその誘導体である薬物との間で形成され
    た、該ヌクレオチドを生物学的な環境の特定部位に送達
    するための薬物コンプレックス。
  9. 【請求項9】 該コポリマーと該ヌクレオチドとの間で
    形成されたコンプレックスを、該コンプレックスのLC
    STを下廻る温度にさらすことで該コンプレックスを解
    離することができる請求項7記載のコンプレックス。
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