JP3938954B2 - 新規なグラフト共重合体、それを用いた薬剤、及びそれを用いて薬物を特定細胞に取り込ませる方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なグラフト共重合体、それを用いた薬剤、及びそれを用いて薬物を特定細胞に取り込ませる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
遺伝子工学の急速な発展により、様々な分子生物学的手法の開発が行われ、遺伝子情報の解析および遺伝子の機能解明がなされている。さらに、このようにして得られた成果を治療方法等に応用する試みが数多く行われている。
【0003】
その中でも、最も進歩の著しい分野の1つとして遺伝子治療分野があげられる。種々の遺伝性疾患における原因遺伝子の発見、解読が行われ、遺伝子治療は基礎的実験の段階から、実際の臨床応用の段階までに発展しつつある。例えば、米国においては、1995年6月までに81の遺伝子治療プロトコールがNIHの組換えDNA委員会(RAC)で承認され、先天性免疫不全症、家族性高コレステロール血症、嚢胞性線維症等の遺伝性疾患および各種の癌を対象とし、既に200人以上の患者に対して臨床試験が行われている(実験医学Vol.12,No.3,303−307(1994))。
【0004】
遺伝子治療は病気を細胞レベルの根本から治療できる方法ではあるが、臨床応用における大きな技術的課題の1つとして、外来遺伝子を効率良く安全に標的細胞へ導入する方法についていくつかの問題が指摘されている。即ち、遺伝子治療は、異常(病原)遺伝子をそのままにして、新しい(正常)遺伝子を付け加える付加遺伝子療法(Augmentation Gene Therapy)と、異常遺伝子を正常遺伝子で置き換える置換遺伝子療法(ReplacementGene Therapy)に大別されるが、いずれの療法の場合にも、正常遺伝子を効率良く安全に標的細胞へ導入する方法が必要とされる。
【0005】
例えば、1980年代初期にはマイクロインジェクションなど物理的手法の応用が試みられたが、遺伝子の導入効率が低く、安定に導入することができず、さらには大量細胞培養技術の限界等の問題点があった。
【0006】
また、外来遺伝子を効率良く標的細胞に導入するためのキャリアーとなる組換えウイルス(ウイルスベクター)が開発され、初めて遺伝子治療の臨床応用が可能となった。現在、遺伝子治療への使用が検討されているウイルスベクターには、以下に示すようにいくつかの種類が知られているが、これらは一般的に生産方法が非常に複雑であると同時に、それぞれの安全性を保証する方法が確立されていないという問題点がある。例えば、遺伝子治療に使用可能なウイルスベクターとして、現在最も注目されているウイルスベクターは、マウス白血病ウイルス(MoMLV:Moloney Murine Leukemia Virus)由来のレトロウイルスベクターであり、本ウイルスの増殖様式の利点を利用したものである。レトロウイルスは、エンベロープをもつRNAウイルスであり、そのエンベロープ蛋白と宿主細胞側のレセプターが結合することにより細胞内に侵入する。侵入後、単一鎖ウイルスRNAが逆転写酵素により二重鎖DNAに変換され、感染細胞ゲノムDNAに組み込まれる。しかしながら、このような組み込みが起こるためには、細胞が分裂増殖していなければならない。従って、実用的に一番問題となるのは、非分裂細胞に遺伝子導入できない点である。そのため、多くの先天性代謝異常症で問題となる神経細胞の遺伝子修復が行えない。神経細胞以外にも、遺伝子治療の対象細胞となっている造血幹細胞、肝細胞、筋細胞なども、通常はほとんど静止期にあるため、遺伝子導入効率は低い。体外に取り出した細胞については、遺伝子導入効率を高めるために分裂を促進するような処理を行うことが可能であるが、生体内でこれらの細胞に遺伝子導入を行うことは難しい。
【0007】
また、アデノウイルスベクターは非分裂細胞へも遺伝子が導入できるものとして最近注目されている。しかし、アデノウイルスベクターでは外来遺伝子が標的細胞ゲノムDNA内に組み込まれないため、数週問から長くても数カ月で遺伝子導入の効果はなくなってしまう。そのため遺伝子導入を頻繁に繰り返す必要があり、患者への肉体的、身体的な負担の増加、抗アデノウイルス抗体が産生されることによる遺伝子導入効率の低下などが問題となっている。現在、嚢胞性線維症の治療のためにアデノウイルスベクターを経気管支鏡的に肺に投与する臨床試験が開始されているが、アデノウイルス粒子の免疫原性および細胞毒性に起因するとみられる炎症反応が発生する可能性が指摘されている。
【0008】
さらに、へルペスウイルスベクターは神経細胞への外来遺伝子導入が可能なベクターとして期待されているが、細胞毒性が強く、さらにウイルス自体のゲノムサイズが150kbと非常に大きいために開発は進んでいない。さらに、HIVベクターはウイルス自体の宿主特性により、CD4陽性Tリンパ球に対して特異的遺伝子導入を可能とするベクターとして開発された(Shimada T.,et al.,J.Clin.Invest.,88,1043(1991))。しかしながら、HIVベクターには最大の欠点として野生株混入の可能性という問題がある。また、AAV(Adeno‐Associated Virus)ベクターに関しては、野生型のAAVは第19染色体の特定の位置に組み込まれることが見出され、遺伝子組み込み位置をターゲティングできるベクターとして注目された。しかし最近の研究によると、組換えAAVベクターはこの特性を失っており、外来遺伝子は染色体の非特異的位置に組み込まれると指摘されている。さらにAAVベクターは導入できる外来遺伝子のサイズに限界があり、5kb以下の遺伝子しかベクター内にパッケージングできないという欠点もある。
【0009】
一方、ウイルスベクター以外にも、各種の人工的な遺伝子導入システムを用いて遺伝子治療を行おうとする試みが多くなされている。例えば、正電荷を有する脂質による遺伝子−脂質複合体が遺伝子治療用非ウイルスキャリアーとして開発されている。しかしながら、これらのキャリアーは、大量に用いた場合に細胞毒性が高い等の問題点が指摘されている(Bioconjugate Chem.,Vol.3,323‐327(1992)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.89,7934‐7938(1992)、J.Biol.Chem.,Vol.269,12918‐12924(1994)、特表平6‐505980、特表平6‐507158)。
【0010】
また、核酸およびその誘導体が負電荷を有することを利用し、正電荷を有する合成高分子誘導体との間で静電的複合体を形成させることにより、標的となる細胞もしくは細胞内へ遺伝子を送達させることを試みた研究報告もなされている(Bioconjugate Chem.,Vol.3,323‐327(1992)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.89,7934‐7938(1992)、J.Biol.Chem.,Vol.269,12918‐12924(1994)、特表平6‐505980、特表平6‐507158)。しかしながら、従来の正電荷を有する合成高分子誘導体は、単独で用いた場合には細胞毒性が高いことが指摘されている(BioconjugateChem.,Vol.1,149‐153(1990))。それと同時に、これら従来の合成高分子誘導体が生体内へ投与された場合は、異物として認識されることにより、アナフィラキシーショック等の免疫系への影響も問題点とされている。
【0011】
さらには、異物として認識されにくいという理由から、生体由来の核タンパク質を用いた試みも検討されている。核タンパク質は、核酸およびその誘導体と特異的に結合する性質を有していることから、静電的複合体を形成することにより、遺伝子導入用ベクターとなり得る可能性がある。核タンパク質であるヒストンタンパク質を用い、それらをプラスミドDNA用のキャリアーとして研究をおこなっている例がある(Yasufumi Kaneda,et al.,Science,Vol.243,375‐378(1889)、Mirjam Breeuwer and David S.Goldfarb,Cell,Vol.60,999‐1008(1990)、Jian Chen,et al.,Human Gene Therapy,Vol.5,429‐435(1994))。しかし、これらの例においても、遺伝子を細胞に取り込ませる方法についてのみ検討されており、必ずしも多くの細胞種において遺伝子の発現効率を向上させることを目的としているわけではなく、多くの細胞種において遺伝子を効率よく細胞質内に導入するためのベクターとしては必ずしも充分ではないという問題がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来は、
(1)DNA等と充分に安定な複合体を形成する点、
(2)DNA等を特定の細胞または組織へ選択性よく送達させる点、及び
(3)DNA等を細胞質内へ充分に取り込ませる点
の全ての要件を充分に満たすキャリアーは未だ存在しなかった。
【0013】
そこで、本発明の目的は、DNA、RNA及び陰イオン性化合物からなる群から選択される薬物と安定な複合体を形成し、該薬物を特定の細胞または組織へ送達することを可能とし、さらには該薬物の細胞質内への移行性を向上させることが可能な化合物を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、DNA、RNA及び陰イオン性化合物からなる群から選択される薬物を特定の細胞または組織へ送達しかつ細胞質内へ充分に取り込ませることが可能な薬物を提供することにある。
【0015】
また、本発明の更に他の目的は、DNA、RNA及び陰イオン性化合物からなる群から選択される薬物を特定の細胞または組織へ送達しかつ細胞質内へ充分に取り込ませることが可能な方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、特定の構造を有するグラフト共重合体を用いることによって上記従来の問題点を解決することが可能なことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】
すなわち、本発明は、ポリカチオン性アミノ酸に生体膜親和性基を導入してなるポリカチオン性誘導体と、特定細胞に対して標的性を示す標的リガンドとを含むことを特徴とするグラフト共重合体にある。
【0018】
また、本発明は、ポリカチオン性アミノ酸に生体膜親和性基を導入してなるポリカチオン性誘導体と、特定細胞に対して標的性を示す標的リガンドとを含むことを特徴とするグラフト共重合体と、DNA、RNA及び陰イオン性化合物からなる群から選択される薬物とを含むことを特徴とする薬剤にある。
【0019】
さらに、本発明は、ポリカチオン性アミノ酸に生体膜親和性基を導入してなるポリカチオン性誘導体と、特定細胞に対して標的性を示す標的リガンドとを含むことを特徴とするグラフト共重合体を用いて、DNA、RNA及び陰イオン性化合物からなる群から選択される薬物を特定細胞に取り込ませることを特徴とする方法にある。
【0020】
上記本発明のグラフト共重合体にあっては、主としてポリカチオン性アミノ酸によってDNA、RNA又は陰イオン性化合物といった薬物との安定な複合体形成が達成され、主として生体膜親和性基によって前記薬物の細胞質内への移行性向上が達成され、更に主として標的リガンドによって特定の細胞または組織への送達性が達成される。従って、このようなグラフト共重合体を含有する本発明の薬剤並びにかかるグラフト共重合体を用いる本発明の方法によれば、DNA、RNA又は陰イオン性化合物といった薬物が安定な複合体の形で特定の細胞または組織へ送達され、そして細胞質内へ充分に取り込まれる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のグラフト共重合体、並びにそれを用いた本発明の薬剤及び方法をそれぞれの実施の形態に即してさらに詳しく説明する。
【0022】
先ず、本発明のグラフト共重合体について説明する。
【0023】
本発明のグラフト共重合体は、前述のように、ポリカチオン性アミノ酸に生体膜親和性基を導入してなるポリカチオン性誘導体と、特定細胞に対して標的性を示す標的リガンドとを含む。
【0024】
本発明にかかるポリカチオン性アミノ酸は、治療用、診断用等のDNA、RNA又は陰イオン性化合物とイオン性結合を形成するものであり、ポリリジン、ポリヒスチジン、ポリオルニチン、ポリアルギニン、並びにリジン、ヒスチジン、オルニチン及びアルギニンのうちの少なくとも一つを含むアミノ酸共重合体が好ましいものとして挙げられ、特にリジンオリゴマー(ポリリジン)が好ましい。ポリリジンを使用すると特にDNA等と強力な結合が形成されかつDNA等のリン酸基間のイオン反発が和らげられ、得られる複合体がより安定化する傾向にあるからである。
【0025】
また、前記ポリカチオン性アミノ酸は、数平均重合度(アミノ酸数)が8〜100のものであることが好ましく、10〜40のものであることがより好ましい。上記数平均重合度が8未満ではアミノ酸のカチオン量が少な過ぎるため、アニオン性であるDNA等との複合体形成が困難となる傾向にあり、他方、100を超えると複合体の立体障害が生じるため、薬物としての機能を果たさなくなる傾向にあるからである。
【0026】
本発明にかかる生体膜親和性基は、生体膜親和性を向上させて薬物の細胞への導入を向上させる官能基であり、炭素数が4〜18でありかつ不飽和数が0〜4である脂肪族炭化水素基、コレステロール誘導体、及びホスファチジルエタノールアミン誘導体が好ましいものとして挙げられ、特に炭素数が4〜18のアルキル基が好ましい。上記炭素数が4未満では疎水性が低下し、生体膜との親和性が低下する傾向にあり、他方、18を超えると逆に疎水性が過剰になり過ぎて生体膜との親和性が低下する傾向にあるからである。
【0027】
本発明にかかる標的リガンドは、特定の細胞又は組織に対する特異性を示すものであり、抗体、酵素、糖鎖、核酸、合成アミノ酸、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、生体由来多糖、及びそれらの修飾体(誘導体)が挙げられ、更に好ましいものとしては以下のものが挙げられる。すなわち、ガラクトース残基を有するポリスチレン誘導体(対肝細胞特異性)、ヒアルロン酸誘導体(対肝細胞特異性)、抗CD4抗体の誘導体(対リンパ球特異性)、細胞接着因子の誘導体(対内皮細胞特異性)、抗CEA抗体の誘導体(対ガン細胞特異性)、トランスフェリンの誘導体(対血液脳関門特異性)等が挙げられる。
【0028】
なお、本発明のグラフト共重合体は、上記の生体膜親和性基を導入してなるポリカチオン性誘導体と上記の標的リガンドとを含むグラフト共重合体であればよく、これらは好ましくは脂肪族炭化水素基、特に好ましくはビニル基及び/又はメタクリロイル基、によって結合される。
【0029】
また、本発明のグラフト共重合体は、主鎖部分の数平均重合度が10〜200であり、かつ側鎖部分の数(分枝数)が1〜100であることが好ましい。主鎖部分の数平均重合度が10未満ではリガンドの不足によって細胞から認識されなくなる傾向にあり、他方、200を超えると分子量が大きくなり、細胞への取り込みが低下すること及び生体内での代謝が悪くなる傾向にあるからである。また、側鎖部分の数が100を超えると分子量が大きくなり、細胞への取り込みが低下すること及び生体内での代謝が悪くなる傾向にあるからである。
【0030】
なお、本発明のグラフト共重合体において上記標的リガンドの重合体とポリカチオン性誘導体のうちいずれが主鎖部分(幹重合体)となるかは特に制限されないが、好ましくは標的リガンドの重合体が主鎖部分(幹重合体)となり、ポリカチオン性誘導体が側鎖部分(枝重合体)となる。
【0031】
次に、本発明のグラフト共重合体として特に好ましいものについて説明する。すなわち、下記一般式(I):
【0032】
【化2】
【0033】
[式中、Rは炭素数が4〜18のアルキル基であり、X1及びX2はそれぞれ水素原子であり、aは10〜200、好ましくは50〜100、の整数であり、bは1〜100、好ましくは1〜20、の整数であり、pは8〜100、好ましくは10〜40、の整数である]
で表わされるグラフト共重合体が特に好ましい。上記一般式(I)で表わされるグラフト共重合体によれば、実施例の説明で詳述するように、特定のDNAが安定な複合体の形で肝細胞に選択的に送達され、そして同細胞質内に充分に取り込まれる傾向にあるからである。
【0034】
なお、上記一般式中のa及びbが上記範囲外では細胞や組織に対する特異性が低下すること及び細胞内への取り込みが低下する傾向にあり、またpが上記範囲外ではDNA等との複合体形成及び薬物としての機能を果たさなくなる傾向にある。
【0035】
次に、本発明のグラフト共重合体を製造するための方法について説明する。
【0036】
かかるグラフト共重合体の合成方法としては、
i)幹重合体上の重合開始点から単量体を重合して枝重合体を成長させる方法、ii)枝重合体の片末端に重合性の基が導入されたいわゆるマクロモノマーと、幹重合体を生成するための単量体との共重合による方法
のいずれも採用可能であるが、後者の方法が好ましい。
【0037】
そして、上記ii)の合成方法において、上記標的リガンドをチオール誘導体、マレイミド誘導体、カルボン酸誘導体又はビニル誘導体とし、他方上記ポリカチオン性誘導体をチオール誘導体、マレイミド誘導体、カルボン酸誘導体又はビニル誘導体とし(マクロモノマー:反応中間物質)、これらを共有結合により共重合せしめる方法が特に好ましい。この方法によれば、本発明のグラフト共重合体を効率良く製造することが可能な傾向にあるからである。
【0038】
なお、本発明にかかるポリカチオン性アミノ酸誘導体の合成方法は、望ましい重合度等に応じて適宜選択されるが、例えば以下に示す重合方法が挙げられる。すなわち、例えば、ε−カルボオベンゾキシ−リジン−N−カルボン酸無水物およびベンジル−セリン−N−カルボン酸無水物を、片末端アミノ基のポリエチレンオキシド(分子量200〜250,000)等の第1級アミンを開始剤として重合させる方法である。この場合、ポリエチレンオキシド−ポリアミノ酸ブロックコポリマーにおけるポリアミノ酸部分の分子量は、特には限定されないが500〜50,000であることが望ましい。
【0039】
また、本発明にかかるポリカチオン性アミノ酸に前記生体膜親和性基を導入する方法としては、次に示す有機合成法により実施することも可能である。すなわち、例えば、n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン等のアルキルアミンを開始剤としてZ−リジンのN−カルボン酸無水物(NCA)を重合させ、ついでN末端をアシル化し、さらにアミノ基を脱保護して疎水的な末端を持つポリリジンマクロモノマーを合成することが可能である。
【0040】
次に、本発明の薬剤、並びに薬物を細胞に取り込ませる本発明の方法について説明する。
【0041】
本発明の薬剤は、前述のように、前記本発明のグラフト共重合体と、DNA、RNA及び陰イオン性化合物からなる群から選択される薬物とを含むものである。また、本発明の方法は、前記本発明のグラフト共重合体を用いて、DNA、RNA及び陰イオン性化合物からなる群から選択される薬物を前記特定細胞に取り込ませる方法である。
【0042】
本発明のグラフト共重合体によって細胞内に導入可能な核酸(DNA及びRNA)の大きさ、種類等は特に限定されないが、例えば、線状二本鎖DNA、環状二本鎖DNA、オリゴヌクレオチド、RNAが採用可能である。また、本発明のグラフト共重合体によって細胞内に導入可能な陰イオン性化合物としては、プラバスタチン、ジゴキシン、フェニルブタゾン、ワルファリン、クロルチアシド、インシュリン、カルシトニン等が挙げられる。
【0043】
また、本発明のグラフト共重合体を使用することにより、細胞に有用なタンパク質をコードする構造遺伝子を導入して、該遺伝子を発現させることが可能になる。例えばアンチセンスを導入して特定の遺伝子の制御を行うことが可能となる。さらに、本発明のグラフト共重合体はリボザイム、トリプレックス、アプタマー等のキャリアーとしても利用可能である。なお、オリゴヌクレオチドとしては、ホスホジエステル体、ホスホロチオエート体、またはその他の誘導体を好ましく使用可能である。
【0044】
本発明のグラフト共重合体の使用量については特に限定されることなく、使用目的に応じて最適化される。例えば、核酸1μmolに対して約0.1〜1000μmolのグラフト共重合体を使用することが好ましい。
【0045】
本発明のグラフト共重合体は、さらに、患者から標的細胞を体外に取り出し、目的とする遺伝子を導入した後に再びその細胞を患者の体内に戻すという自家移植による遺伝子治療(ex vivo 遺伝子治療)にも、遺伝子を直接患者に投与する遺伝子治療(in vivo 遺伝子治療)にも好ましく使用できるものである。また、遺伝子治療方法として、異常(原因)遺伝子をそのままにして、新しい(正常)遺伝子を付け加える方法(Augmentation Gene Therapy)と、異常遺伝子を正常遺伝子で置き換える方法(Replacement Gene Therapy)があるが、どちらにも好ましく使用できる。
【0046】
本発明のグラフト共重合体を用いた薬剤(調製剤)の投与方法は特に限定されず、経口的並びに非経口的に投与することが可能であり、注射、経皮、経粘膜、経鼻又は経口投与が好ましい。この場合、本発明のグラフト共重合体の使用量は、その使用方法、使用目的等により異なるが、例えば、核酸を含むキャリアーとして注射投与して用いる場合には、例えば、1日量約0.1μg/kg−100mg/kgを投与するのが好ましく、より好ましくは、1日量約1μg/kg−50mg/kgである。
【0047】
なお、本発明の薬剤の剤形は特に制限されず、用途等に応じて注射剤、貼付剤、経口投与剤等の剤形が適宜採用される。また、本発明の薬剤の剤形等に応じて、薬理学的に許容される範囲の添加剤、例えば賦形剤、安定化剤、溶剤、溶解助剤、分散剤、が前記グラフト共重合体及び前記薬物に適宜加えられる。
【0048】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0049】
実施例1[一方の末端にメタクリロイル基、他方の末端にアルキルアミン基を有するリジンオリゴマーの合成]
1−1:(アルキルアミン基をC末端に有するZ−保護リジンオリゴマーの合成)
先ず、e−Z(カルボベンゾキシ)−リジン N−カルボン酸無水物(NCA:図1中の化合物(2))を既知の手法により合成し、再結晶法により精製した。次に、5.3g(17.3mmol)のNCAを脱水ジメチルホルムアミド(DMF)(20ml)に溶かし、所定量(NCAの1/10、1/20あるいは1/40当量)のn−ドデシルアミン(図1中の化合物(1))を重合開始剤(I)として加え、室温で2日間反応させた。その後、大過剰(約1リットル)のエチルエーテルに反応後のDMF溶液を滴下し、リジンオリゴマーを沈殿物として得た。そして、得られたリジンオリゴマーをDMF/エチルエーテル系で再結晶させて精製し、減圧下乾燥させて、ドデシルアミン基をC末端に有するリジンオリゴマーを得た。
【0050】
なお、上記の反応過程におけるNCA/開始剤比([M]/[I]比)を表1に示すように変えることにより、得られるリジンオリゴマーの数平均重合度及び数平均分子量を制御した。
【0051】
また、n−ドデシルアミンのかわりにn−ブチルアミン、n−ヘキシルアミンを使用した以外は上記方法と同様にして、それぞれブチルアミン基あるいはヘキシルアミン基をC末端に有するリジンオリゴマー(図1中の化合物(3))を得た。
【0052】
得られたリジンオリゴマーの数平均重合度及び数平均分子量を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
1−2:(Z−保護リジンオリゴマーのN末端へのメタクリロイル基の導入)
1−1で得られたリジンオリゴマー200mgを脱水DMF5mlに溶解した。この溶液に、メタクリロイルクロライド75mgおよびトリエチルアミン148mgを加え室温で3時間反応させた。その後、反応後のDMF溶液を大過剰のエチルエーテル(約100ml)に加え、沈殿したオリゴマーを回収した。さらに、得られたオリゴマーをDMF/エチルエーテル系で再結晶させて精製した。
【0055】
得られたオリゴマーを1H−NMR(DMSO−d6中)により測定したところ、表2に示すNMRシグナルが検出された。従って、得られたオリゴマーは、C末端にアルキルアミン基、N末端にメタクリロイル基が導入されたZ−保護リジンオリゴマー(図1中の化合物(4))であることが確認された。
【0056】
【表2】
【0057】
1−3:(アルキルアミン基をC末端に、メタクリロイル基をN末端に有するZ−保護リジンオリゴマーからのZ−基の脱保護)
1−2で得られたオリゴマー100mgを、1mlのトリフロロ酢酸と0.25mlのチオアニソールとの混合物に溶解し、室温で3時間反応させた。その後、反応溶液を大過剰のエチルエーテル(約50ml)に加え、沈殿したオリゴマーを回収した。さらに、得られたオリゴマーをDMF/エチルエーテル系で再結晶させて精製した。
【0058】
得られたオリゴマーを1H−NMR(D2O中)により測定したところ、表3に示すNMRシグナルが検出された。従って、得られたオリゴマーは、1−2で得られたZ−保護リジンオリゴマー(図1中の化合物(4))からZ基が脱保護されたリジンオリゴマー(図1中の化合物(5))であることが確認された。また、NMRシグナルからは、脱保護過程における副反応は検出されなかった。
【0059】
【表3】
【0060】
実施例2(機能性オリゴマーと肝特異性合成高分子(PVLA)との共重合体の合成)
ガラクトース残基を有するスチレン誘導体であるN−P−ビニルベンジル−D−ラクトンアミド(VLA:図1中の化合物(6))のポリマー(PVLA)を標的リガンドとして用いた。そして、PVLAと実施例1で得られたリジンオリゴマー(図1中の化合物(5))との共重合体{PVLA−リジンオリゴマー誘導体(PVLA/PLLグラフト共重合体)}を、実施例1で得られたメタクリロイル基を末端に有するリジンオリゴマーのラジカル重合性を利用し、合成標的リガンドPVLAのモノマーであるVLAとの共重合反応により以下のようにして合成した。
【0061】
先ず、重合管中にVLA 1gと実施例1で得られたリジンオリゴマー0.1〜0.3gとをジメチルスルフォキシド5mlに溶解した。これにN、N’−アゾビス(イソブチロニトリル)を最終濃度20mMになるように加え、脱気後封管し、60℃で2日間反応させた。その後、重合管を開管し、反応溶液を透析チューブに移して2週間水に対して透析し、内容物を凍結乾燥して重合体を得た。
得られた重合体を1H−NMR(DMSO−d6中)により測定したところ、表4に示すNMRシグナルが検出された。このようにリジンオリゴマーおよびPVLA双方に由来するシグナルが観察され、PVLA/PLLグラフト共重合体(図1中の化合物(7))が合成されていることが確認された。
【0062】
また、1H−NMRにより各PVLA/PLLグラフト共重合体中のリジン含量を測定した結果を表5に示す。
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
実施例3(PVLA/PLLグラフト共重合体のプラスミドDNAとの結合性評価試験)
実施例2で得られたPVLA/PLLグラフト共重合体{B102(ブチル末端、PLL10量体、ポリリジン含量14wt%)、B202(ブチル末端、PLL20量体、ポリリジン含量14wt%)、H102(ヘキシル末端、PLL10量体、ポリリジン含量14wt%)}とプラスミドDNAとの複合体形成能を、以下のようにしてゲル電気泳動により観察した。
【0065】
すなわち、6.8kbpのプラスミドDNA(pSV:pSVβ−ガラクトシダーゼコントロールプラスミド、プロメガ社製)とPVLA/PLLグラフト共重合体とをさまざまな比(図2に示すチャージ比)で混合した後、アガロースゲル電気泳動で解析した。得られた電気泳動図(ゲルのバンドのトレース図)を図2(a)〜図2(c)に示す。
【0066】
複合体のバンドは、コントロール(プラスミドDNAのみ)のバンドよりも泳動距離が短いことより、複合体が形成されていることが確認された。また、図2(a)〜図2(c)から明らかなように、いずれのPVLA/PLLグラフト共重合体においてもチャージ比1以上で複合体のバンドが現れていることから、チャージ比1以上でプラスミドDNAと完全に複合体を形成していることが確認された。
【0067】
実施例4(PVLA/PLLグラフト共重合体のオリゴヌクレオチド(DNA)との結合性評価試験)
実施例2で得られたPVLA/PLLグラフト共重合体{B102(ブチル末端、PLL10量体、ポリリジン含量14wt%)、B202(ブチル末端、PLL20量体、ポリリジン含量14wt%)、H102(ヘキシル末端、PLL10量体、ポリリジン含量14wt%)}とオリゴヌクレオチドとの複合体形成能を、以下のようにしてゲル電気泳動により観察した。
【0068】
すなわち、オリゴヌクレオチド(40mer)とPVLA/PLLグラフト共重合体とをさまざまな比(図3に示すチャージ比)で混合した後、ポリアクリルアミド電気泳動でフリーのオリゴヌクレオチド量を解析した。得られた電気泳動図(ゲルのバンドのトレース図)を図3(a)〜図3(c)に示す。
【0069】
図3(a)〜図3(c)から明らかなように、B102においてはチャージ比20のレーンでフリーのオリゴヌクレオチド(複合体を形成していないもの)が全く観察されなくなり、B202においてはチャージ比10のレーンでフリーのオリゴヌクレオチドが全く観察されなくなり、H102においてはチャージ比5のレーンでフリーのオリゴヌクレオチドが全く観察されなくなった。従って、いずれのPVLA/PLLグラフト共重合体においてもオリゴヌクレオチドと完全に複合体を形成しており、しかもヘキシル基を有するグラフト共重合体はブチル基を有するものより更に結合性が高いことが確認された。
【0070】
実施例5(PVLA/PLLグラフト共重合体とオリゴヌクレオチド(DNA)との複合体の安定性評価試験)
オリゴヌクレオチドおよびPVLA/PLLグラフト共重合体/オリゴヌクレオチド複合体をそれぞれ血清(FCS(牛胎児血清)50%)で処理した。オートラジオグラフィのパターンから血清中の安定性を確認したところ、オリゴヌクレオチド単独では30分でほとんど分解されるのに対し、上記複合体ではかなり安定であることが確認された。
【0071】
また、PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動)後のゲルを切り出し、液体シンチレーションで上記複合体から解離されたオリゴヌクレオチドを直接測定し、これを定量した。
【0072】
なお、上記複合体から解離されたオリゴヌクレオチドを定量する際、複合体に関与していないフリーのオリゴヌクレオチドをバックグラウンドとして除く必要があるため、PAA(ポリアクリル酸)を添加した場合のフリーのオリゴヌクレオチドの定量値からPAAを添加しない場合の値を差し引いた値をインタクトのオリゴヌクレオチド量とした。
【0073】
そして、血清(FCS50%)処理時間0の時において上記複合体に結合しているオリゴヌクレオチド量を100%として、血清処理時間経過に伴うその量の減少を観察し、得られた結果を図4に示す。
【0074】
図4から明らかなように、複合体形成時間(複合体を形成させるための反応時間)が3時間の場合、B10−20(ブチル末端、PLL10量体、ポリリジン含量20wt%)を用いた複合体の安定性がやや低かったものの、H10−20(ヘキシル末端、PLL10量体、ポリリジン含量20wt%)を用いた複合体及びB20−20(ブチル末端、PLL20量体、ポリリジン含量20wt%)を用いた複合体にあっては少なくとも5時間程度まではオリゴヌクレオチドが多量に分解されてしまうことはないことが確認された。
【0075】
また、複合体形成時間を24時間にしてB20−20/オリゴヌクレオチド複合体を得てみたところ、得られた複合体は、形成時間が3時間の場合の複合体と殆ど同様の安定性であった。
【0076】
実施例6(PVLA/PLLグラフト共重合体とオリゴヌクレオチド(DNA)との複合体の、肝ガン由来細胞に対する相互作用評価試験)
テキサスレッドで蛍光標識を付したオリゴヌクレオチドとPVLA/PLLグラフト共重合体とを混合した後、アシアロ糖タンパク質レセプター(ASGPR)を持つ肝ガン由来細胞(Hep G2)培養系に加え、37℃で2時間培養させた。その後、上記の細胞培養系を洗浄、固定した後、共焦点レーザー走査顕微鏡によりテキサスレッドの発色による蛍光像を観察した。得られた蛍光像及び透過光像の写真を図5(a)〜(f)に示す。
【0077】
なお、図5(a)及び図5(b)はそれぞれオリゴヌクレオチドのみを用いた場合の蛍光像及び透過光像であり、図5(c)及び図5(d)はそれぞれH10−14(ヘキシル末端、PLL10量体、ポリリジン含量14wt%)とオリゴヌクレオチドとの複合体を用いた場合の蛍光像及び透過光像であり、図5(e)及び図5(f)はそれぞれH40−14(ヘキシル末端、PLL40量体、ポリリジン含量14wt%)とオリゴヌクレオチドとの複合体を用いた場合の蛍光像及び透過光像である。
【0078】
図5(a)〜(f)から明らかなように、PVLA/PLLグラフト共重合体の存在によりオリゴヌクレオチドは細胞内に取り込まれ、その取り込み量は10倍量のフリーオリゴヌクレオチドを細胞と相互作用させたときと同様、あるいはそれより多かった。すなわち、PVLA/PLLグラフト共重合体が、Hep G2細胞へのオリゴヌクレオチドの取り込みを促進することが確認された。
【0079】
また、H20−14(ヘキシル末端、PLL20量体、ポリリジン含量14wt%)とオリゴヌクレオチドとの複合体(共重合体/DNA=1/1)を用いた場合の平面蛍光像、断面蛍光像及び平面透過光像の写真をそれぞれ図6(a)〜(c)に示す。
【0080】
細胞の蛍光断面像を観察したところ(図6(b))、細胞内に明るい赤色の発色が見られ、オリゴヌクレオチドが細胞内部まで導入されていることが確認された。
【0081】
実施例7(PVLA/PLLグラフト共重合体とオリゴヌクレオチド(DNA)との複合体の、細胞選択性評価試験)
実施例6と同様に、テキサスレッドで蛍光標識を付したオリゴヌクレオチドとPVLA/PLLグラフト共重合体とを混合した後、ASGPRを持つHep G2細胞培養系及びASGPRを持たないPANC細胞培養系にそれぞれ加え、37℃で2時間培養させた。その後、上記の細胞培養系を洗浄、固定した後、共焦点レーザー走査顕微鏡によりテキサスレッドの発色による蛍光像を観察した。得られた蛍光像及び透過光像の写真を図7(a)〜(d)に示す。
【0082】
なお、図7(a)及び図7(b)はそれぞれHep G2細胞培養系に添加した場合の蛍光像及び透過光像であり、図7(c)及び図7(d)はそれぞれPANC細胞培養系に添加した場合の蛍光像及び透過光像である。また、共重合体としてはH40−12(ヘキシル末端、PLL40量体、ポリリジン含量12wt%)を用い、DNA/共重合体の比率は2/1である。
【0083】
図7(a)〜(d)から明らかなように、PANC細胞に比べてHep G2細胞においてより強い赤色の発色が観察されており、従ってPVLA/PLLグラフト共重合体によってオリゴヌクレオチドが細胞特異選択的にHep G2細胞に送達されていることが確認された。
【0084】
【発明の効果】
以上、詳しく説明した通り、本発明のグラフト共重合体によれば、DNA、RNA及び陰イオン性化合物からなる群から選択される薬物と安定な複合体が形成され、該薬物を特定の細胞または組織へ送達しかつ細胞質内への移行性を向上させることが可能となる。
【0085】
従って、このようなグラフト共重合体を含有する本発明の薬剤並びにかかるグラフト共重合体を用いる本発明の方法によれば、DNA、RNA又は陰イオン性化合物といった薬物を安定な複合体の形で特定の細胞または組織へ送達し、そして細胞質内へ充分に取り込ませることが可能となる。
【0086】
それゆえ、上記本発明のグラフト共重合体は、その性質に基づき、各種遺伝子疾患、あるいはエイズ等のウイルス病に対する遺伝子治療薬の生体内運搬体として有用となる。また、本発明のグラフト共重合体は、ウイルスをはじめとして、遺伝子工学技術による種々の有用動植物の創出にも大きく寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のグラフト共重合体の合成経路の一例を示す化学反応式図である。
【図2】(a)〜(c)はぞれぞれ、本発明のグラフト共重合体とプラスミドDNAとの結合性を解析した結果を示すアガロースゲル電気泳動図である。
【図3】(a)〜(c)はぞれぞれ、本発明のグラフト共重合体とオリゴヌクレオチド(DNA)との結合性を解析した結果を示すポリアクリルアミド電気泳動図である。
【図4】本発明のグラフト共重合体とオリゴヌクレオチド(DNA)との複合体の血清処理時安定性を示すグラフである。
【図5】(a)及び(b)はそれぞれオリゴヌクレオチドのみを肝ガン由来細胞(Hep G2)に取り込ませた状態を示す蛍光写真及び透過光写真であり、(c)〜(f)はそれぞれ本発明のグラフト共重合体を用いてオリゴヌクレオチドをHep G2細胞に取り込ませた状態を示す蛍光写真及び透過光写真である。
【図6】(a)〜(c)はそれぞれ本発明のグラフト共重合体を用いてオリゴヌクレオチドをHep G2細胞に取り込ませた状態を示す平面蛍光写真、断面蛍光写真及び平面透過光写真である。
【図7】(a)及び(b)はそれぞれ本発明のグラフト共重合体を用いてオリゴヌクレオチドをHep G2細胞に取り込ませた状態を示す蛍光写真及び透過光写真であり、(c)及び(d)はそれぞれ本発明のグラフト共重合体を用いてオリゴヌクレオチドをPANC細胞に取り込ませた状態を示す蛍光写真及び透過光写真である。
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