JP4962720B2 - 重合体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
これらの共重合体は例えば異種材料の相溶化剤として用いられ、異種の材料とこれら共重合体とを含有する組成物の性能向上の検討などがなされている。
しかし、多糖類に代表される糖鎖を有する化合物は、成形性や機械的強度に限界がある。そのため、生体特性や環境親和性に優れる糖鎖を有する化合物と、成形性や機械的強度に優れる他の重合体とを複合したいとの要望が出されつつあるが、従来、そのような材料は知られていない。
下記式(I)
で表される化合物と、
片末端または両末端に重合性不飽和結合を有する共役ジエン(共)重合体と
をラジカル重合開始剤の存在下に重合する、重合体の製造方法によって達成される。本発明は、上記のうちの、式(I)が下記式(I−2)
である場合に関する。
本発明の上記課題は第二に、上記の重合体の製造方法により製造された重合体により達成される。
本発明の重合体の製造方法に用いられる上記式(I)で表される化合物(以下、「化合物(I)」ということがある。)は、上記式(I−2)で表される化合物である。
化合物(I)の合成は、例えば上記の如くして選択された原料糖をラクトン化し、次いでこのラクトン化物をp−ビニルベンジルアミンと反応させることにより、容易に行うことができる。
原料糖のラクトン化は、二級アルコールの酸化反応に準じて公知の方法により行うことができる。原料糖は、例えばヨウ素による酸化反応、酵素酸化反応などによって容易にラクトンとすることができる。
ラクトン化した原料糖を、次いでp−ビニルベンジルアミンと反応させる。かかる反応は公知の方法に準じて行うことができる。
片末端または両末端に重合性不飽和結合を有する共役ジエン(共)重合体としては、例えば片末端もしくは両末端にアミノ基を有する共役ジエン(共)重合体と下記式(II−1)
片末端もしくは両末端にカルボキシル基を有する共役ジエン(共)重合体と下記式(II−2)
以下、反応生成物A−1および反応生成物A−2につき、順次に説明する。
<反応生成物A−1>
反応生成物A−1は、片末端または両末端にアミノ基を有する共役ジエン(共)重合体と上記式(II−1)で表される化合物とを反応させて得られる生成物である。
−片末端または両末端にアミノ基を有する共役ジエン(共)重合体−
本発明の重合体の製造方法に用いることのできる反応生成物A−1を合成するための片末端または両末端にアミノ基を有する共役ジエン(共)重合体は、一種類の共役ジエンの重合体、二種類以上の共役ジエンの共重合体または一種類もしくは二種類以上の共役ジエンと一種類もしくは二種類以上の他のモノマーとの共重合体、またはこれらの水素添加物であって、その片末端または両末端にアミノ基を有するものである。
かかる共役ジエン(共)重合体の合成に使用される共役ジエンとしては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、クロロプレンなどを挙げることができる。共役ジエン(共)重合体の合成に使用することのできる他のモノマーとしては、例えばスチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレンなどを挙げることができ、特にスチレンまたはα−メチルスチレンが好ましい。
上記共役ジエン(共)重合体が、共役ジエンと他のモノマーとの共重合体である場合、他のモノマーの使用割合は、共役ジエンとの合計量に対する割合として好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下である。この範囲の使用量とすることにより、共重合体のガラス転移温度を高くすることができ、その結果、本発明の方法により得られる重合体の力学的性質や改質効果をより向上することができる。
上記共役ジエン(共)重合体は、水素添加されたものであってもよい。
共役ジエン(共)重合体の分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量として好ましくは500〜500,000であり、より好ましくは1,000〜100,000である。
−片末端にアミノ基を有する共役ジエン(共)重合体の合成方法−
片末端にアミノ基を有する共役ジエン(共)重合体は、例えば所望の共役ジエンおよび任意的にその他のモノマーの混合物を、重合開始剤として有機アルカリ金属または有機アルカリ土類金属を用いたアニオンリビング重合により(共)重合して得られた(共)重合体の活性末端にアミノ化剤を反応させる方法などにより、容易に合成することができる。
ここで重合開始剤として使用できる有機アルカリ金属または有機アルカリ土類金属の具体例としては、例えばn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムなどのアルキルリチウム、1,4−ジリチオブタンなどのアルキレンジリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム、リチウムナフタレン、ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン、n−ブチルマグネシウム、n−ヘキシルマグネシウム、エトキシカルシウム、ステアリン酸カルシウム、t−ブトキシストロンチウム、エトキシバリウム、イソプロポキシバリウム、エチルメルカプトバリウム、t−ブトキシバリウム、フェノキシバリウム、ジエチルアミノバリウム、ステアリン酸バリウムなどを挙げることができる。
アミノ化剤としては、例えばN,N−ビストリメチルシリル−2−ブロモエチルアミン、N,N−ビストリフェニルシリル−3−ブロモプロピルアミン、N−トリフェニルシリル−N−トリメチルシリル−2−クロロエチルアミン、N−ブチリデンベンゼンスルフェンアミド、N−イソプロピリデンベンゼンスルフェンアミド、N−ベンジリデンベンゼンスルフェンアミド、N−ベンジリデントリメチルシリルアミン、N−ベンジリデントリフェニルシリルアミン、N−(1−フェニルベンジリデン)トリメチルシリルアミンなどが挙げられるほか、特許文献1(特開昭58−136604号公報)に開示されたアミノ化剤を挙げることができる。
これらの重合反応およびアミノ化剤によるアミノ化反応は、公知の方法に準じて行うことができる。
両末端にアミノ基を有する共役ジエン(共)重合体は、例えば所望の共役ジエンおよび任意的にその他のモノマーの混合物を重合開始剤としての二官能性の有機アルカリ金属の存在下にアニオンリビング重合して得られた(共)重合体の活性末端にアミノ化剤を反応させる方法などにより容易に製造することができる。
ここで使用できる二官能性の有機アルカリ金属重合開始剤としては、例えば芳香族ラジカルアニオン発生剤、芳香族ジビニル化合物とその2倍モルの有機アルカリ金属または有機アルカリ土類金属との反応物などを挙げることができる。
上記芳香族ラジカルアニオン発生剤としては、例えばリチウムナフタレン、ナトリウムナフタレンなどを挙げることができる。
上記芳香族ジビニル化合物の具体例としては、例えばm−ジビニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、1,3−ビス(1−フェニルエテニル)ベンゼンなどを挙げることができる。また、上記有機アルカリ金属または有機アルカリ土類金属およびアミノ化剤としては、上記「片末端にアミノ基を有する共役ジエン(共)重合体の合成方法」において例示したところと同様である。
これらの重合反応およびアミノ化剤によるアミノ化反応は、公知の方法に準じて行うことができる。
本発明で用いられる反応生成物A−1は、上記のようにして得られた片末端または両末端にアミノ基を有する共役ジエン(共)重合体と、上記式(II−1)で表される化合物(以下、「化合物(II−1)」という。)とを反応することにより得ることができる。
片末端または両末端にアミノ基を有する共役ジエン(共)重合体と化合物(II−1)との反応は、好ましくは適当な溶媒中で行われる。ここで使用することのできる溶媒としては、例えばハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル化合物などを挙げることができる。上記ハロゲン化炭化水素としては、例えばクロロホルムなど;
上記芳香族炭化水素としては、例えばトルエン、ベンゼンなど;
上記エーテル化合物としては、例えばテトラヒドロフランなどを、それぞれ挙げることができる。
片末端または両末端にアミノ基を有する共役ジエン(共)重合体との反応に際して使用される化合物(II−1)の量としては、共役ジエン(共)重合体の有するアミノ基1モルに対して好ましくは0.5〜3モルであり、より好ましくは1〜2モルである。反応温度は好ましくは20〜50℃であり、反応時間は好ましくは1〜4時間である。共役ジエン(共)重合体および化合物(II−1)は、それぞれ溶媒に溶解された溶液の状態で混合されて反応させることが好ましい。このときの溶液の濃度としては、共役ジエン(共)重合体につき25〜130g/Lであることが好ましく、化合物(II−1)につき1〜130g/Lであることが好ましい。
かかる反応により得られる反応生成物A−1は、共役ジエン(共)重合体が片末端にアミノ基を有するものである場合には下記式(2−1−1)
で表される化合物であり、また共役ジエン(共)重合体が両末端にアミノ基を有するものである場合には下記式(2−2−1)
で表される化合物であると、それぞれ信じられる。上記式(2−1−1)および(2−2−1)におけるA1およびA2は構造は、共役ジエン(共)重合体を合成する際に使用した原料の種類および量によって定まるものであることは、当業者には自明であろう。
反応生成物A−2は、片末端または両末端にカルボキシル基を有する共役ジエン(共)重合体と上記式(II−2)で表される化合物とを反応させて得られる生成物である。
−片末端または両末端にカルボキシル基を有する共役ジエン(共)重合体−
本発明の重合体の製造方法に用いることのできる反応生成物A−2を合成するための片末端または両末端にカルボキシル基を有する共役ジエン(共)重合体は、一種類の共役ジエンの重合体、二種類以上の共役ジエンの共重合体または一種類もしくは二種類以上の共役ジエンと一種類もしくは二種類以上の他のモノマーとの共重合体、またはこれらの水素添加物であって、その片末端または両末端にカルボキシル基を有するものである。
かかる共役ジエン(共)重合体の合成に使用される共役ジエンは、片末端または両末端にアミノ基を有する共役ジエン(共)重合体について上記したところと同様である。
片末端にカルボキシル基を有する共役ジエン(共)重合体は、例えば所望の共役ジエンおよび任意的にその他のモノマーの混合物を、カルボキシル基を有する重合開始剤を用いてラジカル(共)重合するか、あるいは重合開始剤として有機アルカリ金属または有機アルカリ土類金属を用いたアニオンリビング重合により(共)重合して得られた(共)重合体の活性末端に二酸化炭素を反応させ、次いでこれを加水分解する方法などにより、容易に合成することができる。
前者の方法による場合に使用できるカルボキシル基を有する重合開始剤としては、例えば4、4’−アゾビス−(4−シアノ)吉草酸などを挙げることができる。
後者の方法による場合に重合開始剤として使用できる有機アルカリ金属または有機アルカリ土類金属は、片末端にアミノ基を有する共役ジエン(共)重合体について上記したところと同様である。
一方、両末端にカルボキシル基を有する共役ジエン(共)重合体は、例えば所望の共役ジエンおよび任意的にその他のモノマーの混合物を、二官能性の有機アルカリ金属を重合開始剤としてアニオンリビング重合して得られた(共)重合体の活性末端に二酸化炭素を反応させ、次いでこれを加水分解する方法などにより、容易に製造することができる。
ここで使用できる二官能性の有機アルカリ金属重合開始剤は、両末端にアミノ基を有する共役ジエン(共)重合体について上記したところと同様である。
本発明で用いられる反応生成物A−2は、上記のようにして得られた片末端または両末端にカルボキシル基を有する共役ジエン(共)重合体と、上記式(II−2)で表される化合物(以下、「化合物(II−2)」という。)とを反応することにより得ることができる。
かかる反応は、アミノ基を有する共役ジエン(共)重合体の代わりにカルボキシル基を有する共役ジエン(共)重合体を用い、化合物(II−1)の代わりに化合物(II−2)を用いるほかは、上記した反応生成物A−1の合成と同様にして実施することができる。
本発明の重合体の製造方法は、上記式(I)で表される化合物(化合物(I))と、上記のようにして得られる片末端または両末端に重合性不飽和結合を有する共役ジエン(共)重合体(以下、単に「共役ジエン(共)重合体」ということがある。)とを、好ましくは溶媒中、適当なラジカル重合開始剤の存在下に重合するものである。
化合物(I)および共役ジエン(共)重合体の使用割合は、共役ジエン(共)重合体が片末端に不飽和結合を有するものであるか、両末端に不飽和結合を有するものであるかにより異なり、それぞれ以下のとおりである。
共役ジエン(共)重合体が片末端に不飽和結合を有するものである場合、化合物(I)の使用割合は共役ジエン(共)重合体100重量部に対して0.2〜400重量部とすることが好ましく、1〜200重量部とすることがより好ましい。
一方、共役ジエン(共)重合体が両末端に不飽和結合を有するものである場合、化合物(I)の使用割合は共役ジエン(共)重合体100重量部に対して0.1〜200重量部とすることが好ましく、0.5〜100重量部とすることがより好ましい。
これらのラジカル重合開始剤のうち、酸素などによる副反応物が生起し難いとの観点から、アゾ化合物が好ましく、特に2,2’−アゾビスイソブチロニトリルまたは2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が好ましい。
本発明の製造方法におけるラジカル重合開始剤の使用量としては、化合物(I)および片末端または両末端に重合性不飽和結合を有する共役ジエン(共)重合体の合計100重量部に対して好ましくは1〜50重量部であり、より好ましくは5〜20重量部である。
本発明の製造方法において、ラジカル重合開始剤とともにチオカルボニルチオ化合物を併用する場合、その使用量としては、ラジカル重合開始剤の100重量部に対して好ましくは70重量部以下、より好ましくは10〜50重量部である。
本発明の製造方法において使用できる溶媒としては、例えば芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル化合物などを挙げることができる。上記芳香族炭化水素としては、例えばトルエン、ベンゼンなど;
上記ハロゲン化炭化水素としては、例えばクロロホルムなど;
上記エーテル化合物としては、例えばテトラヒドロフランなどを、それぞれ挙げることができる。
溶媒の使用量は、溶液中における化合物(I)および片末端または両末端に重合性不飽和結合を有する共役ジエン(共)重合体の合計量が5〜40重量%となる量とすることが好ましく、10〜30重量%となる量とすることがより好ましい。
本発明の製造方法においては、化合物(I)と共役ジエン(共)重合体とは、予め混合してから重合に供してもよく、あるいは重合系に逐次的に添加してもよい。
重合温度は好ましくは20〜90℃であり、重合時間としては1〜5時間であることが好ましい。
化合物(I)の水酸基はその全部がアシル化されているから、重合後にこれらの加水分解工程を行ってもよい。この加水分解工程は、公知の方法により行うことができるが、塩基性化合物によるケン化反応を好適に利用することができる。ここで使用することができる塩基性化合物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシドなどを挙げることができる。
で表される構造単位と下記式(2−1)
で表される構造単位とを有するものであると信じられる。
一方、共役ジエン(共)重合体が両末端にアミノ基を有する共役ジエン共重合体と上記式(II−1)で表される化合物との反応生成物である場合には、得られる重合体は上記式(1)で表される構造単位と下記式(2−2)
で表される構造単位とを有するものであると信じられる。
実施例1
(1)化合物(I)の合成
(1−1)p−ビニルベンジルフタルイミドの合成
ナスフラスコ中で、p−クロロメチルスチレン1gをジメチルホルムアミド(DMF)3.2mLに溶解し、フタルイミドカリウム1.2gを加えた。これを50℃で4時間加熱し、反応させた。反応終了後、エバポレーターを用いてDMFを留去した後、ベンゼン4.5mLを加えて残存物を溶解した。このベンゼン溶液を、0.2規定の水酸化ナトリウム水溶液で数回洗浄し、更に水で数回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、エバポレーターを用いて溶媒を留去した。残存物をメタノールから再結晶することにより、p−ビニルベンジルフタルイミド1.5gを得た。
(1−2)p−ビニルベンジルアミンの合成
セパラブルフラスコ中で、上記(3−1)で合成したp−ビニルベンジルフタルイミドの1gをエタノール2.7mLに溶解した。この混合物に窒素気流下で滴下ロートを用いて、0.36gのヒドラジンモノハイドレート(純度80%)を含有するエタノール溶液0.545mLを、約40分間かけて滴下した。滴下終了後、90分間還流し、反応させた。反応終了後、生成した固体を濾取し、これに1gの水酸化カリウムを含有する水溶液6.5mLを加えて溶解した後、エーテルにて抽出した。エーテル相を2重量%炭酸カリウム水溶液で洗浄し、更に水で数回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、エーテルを留去した。残存物を減圧蒸留することにより、p−ビニルベンジルアミン0.45gを得た。
(1−3)ラクトースのラクトン化物の合成
4−O−β−D−ガラクトピラノシル−D−グルコピラノース(以下、「ラクトース」ともいう。)12gをメタノール300mLに懸濁し、40℃に加熱した。これに18gのヨウ素を含有するメタノール溶液30mLを滴下し、その後40℃で60分間反応させた。反応終了後、反応混合物に4規定の水酸化カリウムのメタノール溶液を、ヨウ素の着色がなくなるまで添加した。沈殿を濾取し、冷メタノールで数回洗浄し、更にエーテルで洗浄した。得られた固体をごく少量の水に溶解し、プロトン型イオン交換樹脂アンバーライト120B(ローム・アンド・ハース社製)にアプライし、酸性分画を単離した。
得られた水溶液150mLにメタノール200mLおよびエタノール300mLを加えてエバポレーションにより溶媒を留去した。完全に乾固した後、再びメタノール150mLおよびエタノール300mLを加えてエバポレーションにより溶媒を留去した。この操作を数回繰り返すことにより、ラクトースのラクトン化物12gを得た。
ナスフラスコ中で、上記(3−3)で合成したラクトースのラクトン化物1gを、メタノール5.4mLに70℃にて溶解した後、上記(3−2)で合成したp−ビニルベンジルアミンの0.4gを加え、70℃にて120分反応させた。反応終了後、21.7mLのアセトンを加えたところ、沈殿物が生じた。これを4℃で2時間静置した後、沈殿物を濾取し、メタノールから再結晶することにより、N−p−ビニルベンジル−O−β−D−ガラクトピラノシル−(1−4)−D−グルコアミド(上記式(II−1)で表される化合物、VLA)1.1gを得た。
(1−5)N−p−ビニルベンジル−O−β−D−ガラクトピラノシル−(1−4)−D−グルコアミドのアセチル化物の合成
上記(3−4)で合成したN−p−ビニルベンジル−O−β−D−ガラクトピラノシル−(1−4)−D−グルコアミドの1gを無水酢酸20mLに溶解し、2時間反応させた。反応終了後、反応溶液を冷水10mLに投入し、2時間加水分解した。その後、クロロホルム30mLを加えて抽出し、クロロホルム相を2重量%のクエン酸水溶液、5重量%の炭酸水素ナトリウム水溶液および水の順で洗浄した。最終のクロロホルム相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去して、残存物をエタノールから再結晶することにより、N−p−ビニルベンジル−O−β−D−ガラクトピラノシル−(1−4)−D−グルコアミドのアセチル化物(Ac−VLA)0.7gを得た。この生成物の赤外チャートを図1に示した。Ac−VLAに特異的な赤外吸収波長は、1,220cm−1および1,750cm−1であった。
なお、ここで得たAc−VLAは、上記式(I−2)で表される化合物である。
(2−1)両末端にアミノ基を有するポリイソプレンの合成
(2−1−1)二官能性の有機アルカリ金属の合成
窒素雰囲気下で、攪拌子を入れた300mL三口フラスコに、シクロヘキサン200mLおよび1,3−ビス(1−フェニルエテニル)ベンゼン6.0gを入れ、マグネチックスターラーで攪拌して溶解した。次いで10.5重量%のsec−ブチルリチウムを含有するヘキサン溶液27.2gを添加し、3時間攪拌することにより、二官能性の有機アルカリ金属重合開始剤の溶液を得た。この溶液中の二官能性の有機アルカリ金属開始剤の濃度は88.3mmol/Lであった。
(2−1−2)両末端にアミノ基を有するポリイソプレンの合成
窒素雰囲気下で、攪拌子を入れた50mL耐圧ビンに、シクロヘキサン20mLおよびテトラヒドロフラン0.81gを入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながら、上記で合成した二官能性の有機アルカリ金属重合開始剤の溶液13.6mL(1.2mmolの二官能性の有機アルカリ金属重合開始剤を含有する。)を添加し、王冠で密栓した。次いで、イソプレン3.6gを添加して、50℃の恒温水槽で振とうしながら30分間重合反応を行った後、N−ベンジリデントリメチルシリルアミン0.53gを添加した。引き続き70℃の恒温水槽で振とうしながら3時間反応を行った後、メタノール2mLを添加して反応を終了させた。
得られた反応混合物を大量のメタノールに投入してポリマーを沈殿させた後、沈殿物をメタノールと塩酸の混合液で洗浄処理し、次いで水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、メタノールで3回洗浄し、更にアセトンで3回洗浄し、60℃で18時間真空乾燥することにより、両末端にアミノ基を有するポリイソプレン(2N−PI)2.4gを得た。ここで得た2N−PIのポリスチレン換算重量平均分子量Mwは5,400、数平均分子量Mnは4,200であった。ここで得た2N−PIの赤外チャートを図2に示した。2N−PIに特異的な赤外吸収波長は、883cm−1、1,650cm−1および2,920cm−1であった。
p−ビニル安息香酸(和光純薬工業(株)製)1.5gおよびN−ヒドロキシスクシンイミド(東京化成工業(株)製)1.7gを塩化メチレン20mLに溶解し、室温(23℃)にて2時間反応させた。反応混合物を3回水洗した後、有機層を硫酸マグネシウムにより脱水し、エバポレータにより塩化メチレンを留去して粗生成物を得た。この粗生成物をメタノールで再結晶することにより、化合物(II−1)(p−ビニル安息香酸のスクシンイミドエステル)を2.05g得た。
(2−3)2N−PIと化合物(II−1)との反応
上記で得られた2N−PIの1.3gをクロロホルム50mLに溶解した。この溶液に、化合物(I)200mgをクロロホルム20mLに溶解した溶液を加えた。室温(23℃)にて4時間撹拌して反応を行った後、クロロホルムを減圧にて留去し、残存物をメタノールで数回洗浄した後、減圧にて十分乾燥することにより、2N−PIと化合物(I)との反応生成物(2NPIVBS)を得た。
(3−1)Ac−VLAおよび2NPIVBSを用いた重合体の製造
上記で合成したAc−VLA400mgおよび2NPIVBS250mgを65℃のトルエン2mLに溶解し、これに2,2’−アゾビスイソブチロニトリル60mgおよびテトラエチルチウラムジスルフィド24mgをトルエン0.5mLに溶解した溶液を加え、窒素ガスによるバブリングを10分間行った後、溶液温度を80℃に昇温して2.5時間重合反応を行った。重合終了後、反応混合物をメタノール100mL中に投入して沈殿物として300mgの生成物を得た。
この生成物をn−ヘキサン中に分散させると、沈殿物(Ap)と溶解物および微分散物(As)とに分かれた(Ap:As=3:1(重量比))。溶解物および微分散物は、未反応の2NPIVBSとAc−VLAであると推察された。
ここで得られた沈殿物(Ap)の赤外チャートを図3に示した。図3によるとこの沈殿物の特性吸収として、Ac−VLAに特異的な1,220cm−1および1,750cm−1ならびに2N−PIに特異的な883cm−1、1,650cm−1および2,920cm−1のすべての吸収が見られた。また、この沈殿物のGPCを測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは41,000、数平均分子量は28,000の重合体であった。
以上のことから、上記沈殿物(Ap)はAc−VLAおよび2N−PI双方の基本構造を有する重合体であることが確認され、Ac−VLAと2NPIVBSとの共重合体(Ac−VLA/2NPIVBS共重合体)であると考えられた。
上記で製造したAc−VLA/2NPIVBS重合体230mgをクロロホルム10mLに溶解し、これにナトリウムメトキシド40mgおよびメタノール0.4mLを加え40℃にて2時間反応を行った。反応後、上澄みが白濁しなくなるまでメタノールを加えた後、沈殿物をろ別して乾燥し、粉末200mgを得た。この粉末に水を加えて一晩撹拌した後、十分に分散洗浄して水可溶分を除去して沈殿物を回収したところ、180mgの沈殿物が得られた。この沈殿物の赤外チャートを図4に示した。
参考のため、AcVLAのアセチル化前の化合物である上記(1−4)で得られた上記式(II−1)で表される化合物(VLA)の赤外チャートを図5に示した。図5を見ると、図1(Ac−VLA)の特性吸収1,750cm−1および1,220cm−1(これらはいずれもアセチル基に帰属されるピークである。)は見られず、代わりに水酸基に帰属されると思われる大きな吸収が3,400cm−1付近に見られる。
したがって、Ac−VLA/2NPIVBS重合体のアセチル基の加水分解物の赤外チャートには1,750cm−1および1,220cm−1のピークは見られず、代わりに3,400cm−1付近に大きな吸収が見られるはずである。
ここで図4を見ると、2N−PIに由来する883cm−1、1,650cm−1および2,920cm−1のほか3,400cm−1に大きな吸収が見られ、Ac−VLA/2NPIVBS重合体の赤外チャート(図3)で見られた1,750cm−1および1,220cm−1のピークは消失していた。以上のことから上記沈殿物は、VLAおよび2NPI双方の基本構造を有する、VLAと2NPIVBSとの共重合体(VLA/2NPIVBS共重合体)であると考えられた。
(1)片末端に重合性不飽和結合を有するポリブタジエンの合成
(1−1)片末端にアミノ基を有するポリブタジエンの合成
窒素雰囲気下で、50mL耐圧ビンにシクロヘキサン34.4mL、テトラヒドロフラン0.81gを入れ、王冠をはめて密閉し、次いで1,3−ブタジエン3.6gを添加した。続いて15重量%のn−ブチルリチウムを含有するシクロヘキサン溶液0.139gを添加して重合を開始し、30分間室温にて静置した後、N−ベンジリデントリメチルシリルアミン0.07gを添加した。更に70℃の恒温水槽で振とうしながら3時間、アミノ化反応を行った後、メタノール2mLを添加して、反応を終了し、ポリマー溶液を得た。
このポリマー溶液につき、実施例1における2N−PIと同様の精製処理を行うことにより、片末端にアミノ基を有するポリブタジエン(N−PB)3.3gを得た。ここで得たN−PBのポリスチレン換算重量平均分子量Mwは4,400、数平均分子量Mnは3,800であった。ここで得たN−PBの赤外チャートを図6に示した。2N−PIに特異的な赤外吸収波長は、900cm−1、1,650cm−1および2,920cm−1であった。
(1−2)N−PBと化合物(II−1)との反応
上記で得られたN−PBの1.5gをクロロホルム50mLに溶解し、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液で3回洗浄した。硫酸マグネシウムにより脱水した後、この溶液に化合物(II−1)の300mgをクロロホルム20mLに溶解した溶液を加えた。室温(23℃)にて4時間撹拌して反応を行った後、クロロホルムを減圧にて除去し、残存物をメタノールで数回洗浄した後、減圧にて十分乾燥することにより、N−PBと化合物(II−1)との反応生成物(NPBVBS)を得た。
(2−1)Ac−VLAおよびNPBVBSを用いた重合体の製造
上記で合成したNPBVBS250mgおよび実施例1の「(1)化合物(I)の合成」で合成したAc−VLAのうちの200mgを65℃のトルエン2mLに溶解し、これに2,2’−アゾビスイソブチロニトリル40mgおよびテトラエチルチウラムジスルフィド13mgをトルエン0.5mLに溶解した溶液を加え、窒素ガスによるバブリングを10分間行った後、溶液温度を80℃に昇温して2.5時間重合反応を行った。重合終了後、反応混合物をメタノール50mL中に投入して沈殿物として285mgの生成物を得た。
この生成物の赤外チャートを図7に示した。図7によると、この生成物の特性吸収として、Ac−VLAに特異的な1,220cm−1および1,750cm−1ならびにN−PBに特異的な900cm−1、1,650cm−1および2,920cm−1のすべての吸収が見られた。また、この生成物のGPCを測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは24,000、数平均分子量は20,000の重合体であった。
以上のことから、上記生成物はAc−VLAおよびN−PB双方の基本構造を有する重合体であることが確認され、Ac−VLAとNPBVBSとの共重合体(Ac−VLA/NPBVBS共重合体)であると考えられた。
上記で製造したAc−VLA/NPBVBS重合体150mgをクロロホルム8mLに溶解し、これにナトリウムメトキシド15mgおよびメタノール0.3mLを加え40℃にて2時間反応を行った。反応後、上澄みが白濁しなくなるまでメタノールを加えた後、沈殿物をろ別して乾燥することにより123mgの粉末を得た。この粉末物の赤外チャートを図8に示した。
図8を見ると、N−PIに由来する900cm−1、1,650cm−1および2,920cm−1のほか3,400cm−1に大きな吸収が見られ、一方1,750cm−1および1,220cm−1のピークは消失していた。以上のことから上記生成物は、VLAおよびNPB双方の基本構造を有する、VLAとNPBVBSとの共重合体(VLA/NPBVBS共重合体)であると考えられた。
Claims (5)
- 下記式(I−2)
で表される化合物と、
片末端または両末端に重合性不飽和結合を有する共役ジエン(共)重合体と
をラジカル重合開始剤の存在下に重合することを特徴とする、重合体の製造方法。 - 片末端または両末端に重合性不飽和結合を有する共役ジエン(共)重合体が、片末端または両末端にアミノ基を有する共役ジエン(共)重合体と下記式(II−1)
- 片末端または両末端に重合性不飽和結合を有する共役ジエン(共)重合体が、片末端または両末端にカルボキシル基を有する共役ジエン(共)重合体と下記式(II−2)
- 重合後に、さらに重合体の加水分解工程を行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載の重合体の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法により製造されたことを特徴とする、重合体。
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