JP2002016284A - 窒化ガリウム系半導体発光素子の製造方法 - Google Patents
窒化ガリウム系半導体発光素子の製造方法Info
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Abstract
ウム系半導体発光素子の製造方法であって、発光効率の
高い素子が得られる製造方法を提供することを目的とす
る。 【解決手段】 本発明は成長速度に特徴のある製造方法
である。すなわち、有機金属気相成長法により、一般式
InxGa1-xN(0<X<1)/InyGa1-y N(0≦Y<X)で表される多重
量子井戸構造の活性層を有する窒化ガリウム系半導体発
光素子を成長させる場合、前期活性層を0.4[μm/h]〜2.
0[μm/h]、望ましくは0.6[μm/h]〜1.5[μm/h]、さらに
望ましくは0.8[μm/h]〜1.2[μm/h]の成長速度で成長さ
せる。InxGa1-xN(0<X<1)well層の膜厚は1.5〜4.5[nm]、
barrier層の膜厚は、InxGa1-xN(0<X<1) well層の膜厚
の1.5〜5.0倍が良い。
Description
ード、レーザーダイオード等に使用される、窒化ガリウ
ム系半導体発光素子の製造方法に関する。
として多様化される状況にあり、屋外ディスプレイや信
号機の光源として実用化されており、蛍光灯に変わる照
明光源としても期待されている。そこで、発光出力の高
い窒化ガリウム系半導体発光素子を提供することが必要
となっている。
有機金属気相成長法を用いて、1994年に発光ダイオード
が実用化された。初期の発光ダイオードでは厚膜InGaN
(Si,Zn)が活性層に用いられていたが、発光出力が十分
ではなく、単色性も悪かった。しかし近時、多重量子井
戸構造の薄膜InGaNを活性層に用いることにより、従来
よりも発光出力および単色性を向上させることが可能と
なった。だが照明光源等に利用するにはさらに発光出力
を向上させることが必要であった。
光素子の活性層にはInGaNが用いられており、発光出力
の向上にはこのInGaNの成長条件が重要と考えられる。
しかし多重量子井戸構造の素子における薄膜InGaNの成
長条件については、十分な研究が行われていなかった。
として、活性層のInGaNの成長速度を遅くする方法があ
るとされていた。例えば特開平6-209122公報によれば、
成長温度750[℃]の場合、InGaNの成長速度を0.162[μm/
h]未満とすることが必要とされ、これ以上の成長速度で
成長を行っても発光出力の高い素子を得ることは不可能
とされていた。従来の技術常識では、多重量子井戸構造
の素子の場合でも、高い発光出力を得るためには、InGa
Nの成長速度を遅くする方法が適していると考えられて
いた。しかし我々の実験によれば、従来データは活性層
の膜厚などの素子の構造を考慮しておらず、本発明が対
象とする多重量子井戸構造の素子の成長には適していな
いことが分かってきた。
法)により多重量子井戸構造の薄膜InGaNを活性層に用い
た素子を成長させるにあたり、実験を繰り返した結果、
従来の技術常識に反し、早い成長速度で活性層を成長さ
せても、それを用いた発光素子で高い発光出力が得られ
ることを発見した。本発明はこのことに着目してなされ
たものである。つまり、この方法は、従来の技術常識と
は異なった我々独自の実験結果によって得られたもので
あり、我々の独自の知得に基づくものである。
般式InxGa1-xN(0<X<1)/InyGa1-y N(0≦Y<X)で表される
多重量子井戸構造の活性層を有する窒化ガリウム系半導
体発光素子を成長させる方法であって、前期活性層の成
長速度を0.4[μm/h]〜2.0[μm/h]とすることを特徴とす
る。成長速度は望ましくは0.6[μm/h]〜1.5[μm/h]、さ
らに望ましくは0.8[μm/h]〜1.2[μm/h]が良い。
厚が1.5[nm]〜4.5[nm]になるまで成長させると良い。た
だし、この膜厚の最適値は、In組成Xの値によって異な
る。すなわち、膜厚の最適値は、Xの値が大きい場合は
薄く、Xの値が小さい場合は厚くなる傾向がある。例え
ば、X=0.25程度の青色発光LEDの場合、素子の発光出力
が最大になる膜厚は約2.5[nm]であるのに対し、X=0.03
程度の紫外発光LEDの場合、素子の発光出力が最大にな
る膜厚は約3.5[nm]である。そしてXの値を大きくする
と、膜厚の最適値は1.5[nm]に近づき、Xの値を小さく
すると、膜厚の最適値は4.5[nm]に近づく傾向がある。
ることにより適宜変更できる。例えばInを多くしようと
思えば700[℃]程度の低温で成長させれば良いし、Gaを
多くしようと思えば900[℃]程度の高温で成長させれば
良い。ただし、InGaNの成長温度は600℃]〜950[℃]の範
囲に調整する必要がある。600[℃]未満だとInGaNの結晶
性が悪くなり、950[℃]より高いとInGaNがGaNになりや
すい傾向にあるからである。成長温度は700[℃]〜900
[℃]の範囲が最も好ましい。
膜厚がウェル層の膜厚の1.5〜5.0倍になるまで成長させ
ると良い。ただし、この膜厚の最適値は、前述のウェル
層のIn組成Xの値によって異なる。すなわち、膜厚の最
適値は、Xの値が大きい場合は薄く、Xの値が小さい場合
は厚くなる傾向がある。例えば、X=0.25程度の青色発光
LEDの場合、素子の発光出力が最大になるバリアの膜厚
はウェルの膜厚の2.5〜3.0倍であるのに対し、X=0.03程
度の紫外発光LEDの場合、素子の発光出力が最大になる
バリアの膜厚はウェルの膜厚の3.0〜4.0倍である。
いる原料ガスとして、例えばGa源にはトリメチルガリウ
ム(TMG)、In源としてトリメチルインジウム(TMI)等の有
機金属ガス、窒素源にはアンモニア(NH3)等のガスを好
ましく用いることができる。InGaNの成長速度はGa源の
ガス流量を制御することにより調整できる。また成長膜
厚は成長時間により制御できる。
長させるには、一定時間ごとにIn源の供給と遮断を繰り
返せばよく、Ga源のガス流量等は変える必要がない。In
GaNとGaNでGa源のガス流量を変えることも可能である
が、大きく変えると素子の発光出力が低下する。これは
流量を変化させると界面で結晶特性が悪化する為だと思
われる。またInGaNとGaNで成長温度を変えることも可能
であるが、この方法では素子の発光出力が低下してしま
う。これは温度変化により結晶が劣化する為だと思われ
る。
実施の形態について説明する。第1の実施の形態では青
色発光素子について、第2の実施の形態では紫外発光素
子について説明する。
ついて説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係
わる窒化ガリウム系半導体LEDの積層構造の断面図であ
る。この素子は、5周期多重量子井戸構造(ウェル厚2.5
[nm]、バリア厚6.3[nm])の活性層を用いた素子で、絶
縁性のサファイア基板を用いて基板片側から電極をとっ
ている。
バッファ層、13がn型GaN(Si)層、14が5層MQW型InGaN/Ga
N活性層、15がp型Al0.10Ga0.90N(Mg)層、16がGaN(Mg)コ
ンタクト層である。
に沿って概説する。また、説明の便宜上、各工程に対し
連番を付けた。
1100℃で10分間加熱し、基板表面の酸化物を除去する。
し、TMG、アンモニア及びキャリアガスを流して膜厚100
[nm]のGaN バッファ層12を成長させる。
TMG、SiH4、アンモニア及びキャリアガスを流して膜厚4
[μm]のn型GaN(Si)層13を成長させる。
し、TMG、TMI、アンモニア及びキャリアガスを流して成
長させるInGaN ウェル層と、TMG、アンモニア及びキャ
リアガスを流して成長させるGaN バリア層を交互に成長
させて、5層MQW(InGaN ウェル2.5[nm],GaN バリア 6.3
[nm])型活性層14を成長させる。ここでこの活性層の成
長速度は1.0[μm/h]であった。またウェルとバリアの切
り替えはTMIのみで行った。
し、TMG 、TMA、Cp2Mg、アンモニア、及びキャリアガス
を流して膜厚200[nm]のp型Al0.10Ga0.90N(Mg)クラッド
層15を成長させる。
まま、TMG、アンモニア、 Cp2Mg、及びキャリアガスを
流して膜厚200[nm]のp型GaN(Mg)層16を成長させる。
にその一部が表面からnコンタクト層13にまでエッチン
グされ、n側電極23が設けられている。そして、p型コン
タクト層16の上に透過性を有するp側電極25が設けられ
ている。さらにそれぞれの電極にはボンディングパット
24及び26が接続され、素子の表面は保護膜21及び22で覆
われている。このLED素子はIf=20[mA]でVf=3.2[V]、発
光ピーク波長450[nm]の青色発光を示し、発光出力は4.0
[mW]であった。
が、成長速度1.0[μm/h]、ウェル膜厚2.5[nm]、バリア
膜厚6.3[nm]の場合であるが、これ以外の方法でも成長
は可能である。以下、この幅について説明する。
せて成長を行った(図3)。成長速度を本実施例の1.0[μ
m/h]よりも遅くした場合、これを0.8[μm/h]まで遅くし
ても発光出力はほとんど変わらなかったが、0.4[μm/h]
まで遅くすると発光出力は3.0[mW]に低下し、素子によ
る発光出力のばらつきが大きくなった。そしてこれを0.
2[μm/h]まで遅くすると発光出力は2.0[mW]に低下し、
さらに0.1[μm/h]まで遅くすると発光出力は1.0[mW]ま
で低下し、成長速度を下げるほど素子によるばらつきが
大きくなった。成長速度を本実施例の1.0[μm/h]よりも
速くした場合には、これを1.2[μm/h]まで速くしても発
光出力はほとんど変わらなかったが、さらに2.0[μm/h]
まで速くすると発光出力は3.0[mW]に低下し、2.5[μm/
h]まで速くすると発光出力は2.5[mW]に低下した。ただ
し素子によるばらつきは成長速度が速いほど少なくなっ
た。これらから活性層の成長速度には最適値があり、0.
4[μm/h]〜2.0[μm/h] 、望ましくは0.6[μm/h]〜1.5
[μm/h]、さらに望ましくは0.8[μm/h]〜1.2[μm/h]が
良いと考えられる。特に成長速度を下げたときは発光出
力の低下が顕著であったが、この原因については成長速
度が遅いと熱劣化が大きくなる為と思われる。一方で成
長速度が速すぎても発光出力が低下するが、この原因は
結晶の縦方向の成長速度が速すぎると横方向成長とのバ
ランスが崩れ、結晶性が悪化する為だと考えられる。
MG流量)を同じにした場合を説明したが、ウェルとバリ
アで成長速度(TMG流量)を変化させることも可能ではあ
る。しかし、これを変化させると、発光出力が低下して
しまい、本発明の効果が十分に得られなかった。すなわ
ち、バリアに比べてウェルの成長速度を遅くする(TMG流
量を減らす)と顕著に発光出力が低下し、またウェルの
成長速度に比べてバリアの成長速度を遅くする(TMG流量
を減らす)と徐々に発光出力が低下していき、ウェルと
バリアで成長速度を変化させない(TMG流量を変えない)
場合が最も発光出力が高かった。これは活性層成長中に
流量を変化させると界面で結晶特性が悪化する為だと思
われる。
化させて成長を行った(図4)。本実験ではウェルの厚さ
が約2.5[nm]のとき最も発光出力が強くなった。これよ
りもウェルの厚さを薄くしていくと発光出力が低下した
が、これはキャリアのオーバーフローの増加が原因と思
われる。またウェルの厚さを厚くしていっても発光出力
が低下したが、これは膜厚が臨界膜厚を越えて結晶特性
が著しく悪化したことによると思われる。このように、
ウェルを適当な範囲の膜厚に成長させることにより、発
光出力の高い素子を製造することができる。
厚を変化させて成長を行った(図5)。本実験ではバリア
の厚さをウェルの厚さの2.5〜3.0倍とした時が最も発光
出力が強かった。これよりもバリアの厚さを薄くいてい
くと発光出力が低下したが、これはキャリアの閉じ込め
効果が発揮できなくなったためと思われる。またバリア
の厚さを厚くしていっても発光出力が徐々に低下し、バ
リアの厚さを厚くするほど動作電圧が高くなった。この
ように、バリアも適当な範囲の膜厚に成長させることに
より、発光出力の高い素子を製造することができる。
りもIn組成の低いInGaNとしても同様の傾向が見られ
た。
ついて説明する。図2は本発明の第2の実施形態に係わ
る窒化ガリウム系半導体LEDの積層構造の断面図であ
る。この素子は、15周期多重量子井戸構造(ウェル厚3.5
[nm]、バリア厚10.5[nm])の活性層を用いた素子で、導
電性のGaN基板を用いて基板両側から電極をとってい
る。
層、33がn型GaN(Si)層、34がn型Al0 .05Ga0.95N(Si)層、
35が15層MQW型InGaN/GaN活性層、36がp型Al0.10Ga0.90N
(Mg)層、37がGaN(Mg)コンタクト層である。以下に、図
2のLEDの構成をその製造方法に沿って概説する。
G、アンモニア及びキャリアガスを流して膜厚100[nm]の
GaN バッファ層32を成長させる。
G、SiH4、アンモニア及びキャリアガスを流して膜厚4
[μm]のn型GaN(Si)層33を成長させる。
G、TMA、SiH4、アンモニア、及びキャリアガスを流して
膜厚30[nm]のn型Al0.05Ga0.95N(Si)層34を成長させる。
TMI、アンモニア及びキャリアガスを流して成長させるI
nGaN ウェル層と、TMG、アンモニア及びキャリアガスを
流して成長させるGaN バリア層を交互に成長させて、15
層MQW型(InGaN ウェル 3.5[nm],GaN バリア 10.5[nm])
活性層35を成長させる。なおここで活性層にドーピング
を行ってもかまわない。
、TMA、Cp2Mg、アンモニア、及びキャリアガスを流し
て膜厚200[nm]のp型Al0.10Ga0.90N(Mg)クラッド層36を
成長させる。
MG、アンモニア、 Cp2Mg、及びキャリアガスを流して膜
厚200[nm]のp型GaN(Mg)層37を成長させる。
にp型コンタクト層37の上にp側電極45がp層の全面に設
けられている。そして、GaN基板31に接して透過性を有
するn側電極43が設けられている。さらにn電極にはボン
ディングパット44が接続され、素子の表面は保護膜41及
び42で覆われている。
ないが、GaN基板には導電性があるため本実施例のよう
に基板裏面から電極を取ることが可能である。本実施例
に示す例は主に基板の裏面から光を取り出す構造であ
る。
光ピーク波長385[nm]の紫外発光を示し、発光出力は6.0
[mW]であった。
速度1.0[μm/h]、ウェル膜厚3.5[nm]、バリア膜厚10.5
[nm]の場合であるが、これ以外の方法でも成長は可能で
ある。以下、この幅について説明する。
を行った。これについては、第1の実施形態の素子とは
ぼ同様の傾向が見られた(図3)。次に、ウェル膜厚を変
化させて成長を行った(図6)。本実験では素子の発光出
力が最大になるウェルの厚さは約3.5[nm]であり、第1
の実施形態よりも厚かった。この理由については以下の
ように考えられる。すなわち、第1の実施例で述べたよ
うに、ウェルの膜厚を厚くするほどキャリアのオーバー
フローは抑制できるが、逆に結晶は劣化しやすくなって
いく。しかし、本実施例の素子は第1の実施形態の素子
よりも、In組成が低く、発光波長が短いから、結晶の劣
化が起こりずらい。よって本実施例の素子では、膜厚を
厚くすることによるオーバーフロー抑制効果の方が大き
くなったと考えられる。
行った(図7)。本実験では素子の発光出力が最大になる
バリア層の厚さは、ウェル層の厚さの3.0〜4.0倍であ
り、第1の実施形態よりも厚かった(図7)。この理由
は、本実施例の素子は第1の実施形態の素子よりもウェ
ルのIn組成が低く、キャリアのオーバーフローが起こり
やすいため、バリアの膜厚をウェルに対して厚くしてキ
ャリアの閉じこめ効果を高くしなければならないためと
考えられる。
性層の素子において、活性層を0.4[μm/h]〜2.0[μm/h]
の成長速度で成長させる製造方法を用いたので、発光出
力が高い発光素子を得ることができる。
の活性層の素子において、ウェル層の膜厚が1.5[nm]〜
4.5[nm]になるまで成長させる製造方法を用いたので、
発光出力が高い発光素子を得ることができる。
の活性層の素子において、バリア層の膜厚がウェル層の
膜厚の1.5〜5.0倍になるまで成長させる製造方法を用い
たので、発光出力が高い発光素子を得ることができる。
の活性層の素子において、活性層を600[℃]〜950[℃]の
成長温度で成長させる製造方法を用いたので、発光出力
が高い発光素子を得ることができる。
図を示した図である。
図を示した図である。
す図である。
である。
である。
である。
である。
Claims (4)
- 【請求項1】一般式InxGa1-xN(0<X<1)/InyGa1-y N(0≦Y
<X)で表される多重量子井戸構造の活性層を有する窒化
ガリウム系半導体発光素子を成長させる方法であって、
前期活性層を0.4[μm/h]〜2.0[μm/h]の成長速度で成長
させることを特徴とする窒化ガリウム系半導体発光素子
の製造方法。 - 【請求項2】前期窒化ガリウム系半導体発光素子の製造
方法であって、InxGa1-xN(0<X<1)ウェル層の膜厚が1.5
〜4.5[nm]になるまで成長させることを特徴とする請求
項1記載の製造方法。 - 【請求項3】前期窒化ガリウム系半導体発光素子の製造
方法であって、InyGa1-y N(0≦Y<X)バリア層の膜厚が、
InxGa1-xN(0<X<1)ウェル層の膜厚の1.5〜5.0倍になるま
で成長させることを特徴とする請求項1または請求項2
記載の製造方法。 - 【請求項4】前期窒化ガリウム系半導体発光素子の製造
方法であって、活性層の成長温度が600[℃]〜950[℃]で
あることを特徴する請求項1乃至請求項3のいずれかに
記載の製造方法。
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