JP2014082396A - 窒化物半導体発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】大電流駆動時において動作電圧の上昇を防止して発光効率を向上する。
【解決手段】n型窒化物半導体層と、n型窒化物半導体層上に設けられた発光層8と、発光層8上に設けられたp型窒化物半導体層とを備える。発光層8は、窒化物半導体量子井戸層8Bと窒化物半導体障壁層とが交互に複数積層された多重量子井戸構造を有する。複数の窒化物半導体障壁層のうちの少なくとも1つは、p型不純物を含むp型ドープ層802、および、このp型ドープ層802よりp型窒化物半導体層側に位置してn型不純物を含むn型ドープ層804を含む。
【選択図】図2

Description

本発明は、窒化物半導体発光素子に関し、特に、大電流で駆動される窒化物半導体発光素子に関する。
窒素を含むIII−V族化合物半導体(以下「窒化物半導体」と称する)は、赤外領域から紫外領域の波長を有する光のエネルギーに相当するバンドギャップを有している。そのため、窒化物半導体は、赤外領域から紫外領域の波長を有する光を発光する発光素子またはその領域の波長を有する光を受光する受光素子の材料として有用である。
また、窒化物半導体は、窒化物半導体を構成する原子間の結合が強く、絶縁破壊電圧が高く、飽和電子速度が大きいという特性を有している。これらの特性から、窒化物半導体は、高温に耐性を有する高出力の高周波トランジスタなどの電子デバイスの材料としても有用である。さらに、窒化物半導体は、環境への影響が小さく、取り扱いやすい材料として注目されている。
このような窒化物半導体を用いた窒化物半導体発光素子では、発光層として量子井戸構造を採用することが一般的である。窒化物半導体発光素子に電圧が印加されると、発光層中の井戸層において電子とホールとが再結合することにより光が発生する。発光層は、単一量子井戸構造からなってもよいし、井戸層と障壁層とが交互に積層された多重量子井戸構造からなってもよい。
窒化物半導体発光素子の構成を開示した先行文献として、特開2005−109425号公報(特許文献1)、特開2005−057308号公報(特許文献2)、特開2007−150312号公報(特許文献3)、特開2007−067418号公報(特許文献4)および特開2010−028072号公報(特許文献5)がある。
特許文献1に記載された窒化物半導体素子においては、活性層は、アンドープGaN障壁層と、n型不純物がドープされたInGaN量子井戸層とが順次積層されることにより形成されている。また、アンドープGaN障壁層は、InGaN量子井戸層と接する界面に拡散防止膜を具備している。この拡散防止膜は、InGaN量子井戸層より低濃度のn型不純物を含んでいる。
特許文献2に記載された窒化物半導体素子においては、活性層がn型不純物を含んでおり、活性層におけるn型不純物濃度は、n層側の方がp層側より高い。これにより、n層側から活性層へのドナーの供給を補うことができ、窒化物半導体素子の発光出力が高められている。
特許文献3に記載された半導体発光デバイスにおいては、活性層における量子井戸層の厚さに対して障壁層の厚さを13倍以上とすることにより、光出力パワーを増大させている。
近年、窒化物半導体発光素子の用途として、液晶のバックライトおよび照明用の電球などが検討されており、窒化物半導体発光素子を大電流で駆動する場合が増加している。
特許文献4には、以下の記載がある。InGaN発光層を有する市販のIII族窒化物デバイスは、50Åより薄く、典型的には約1×1018cm-3より少なくドープされている複数の量子井戸発光層を有することが多い。その理由は、これらの量子井戸設計が、特に低駆動電流において、低品質エピタキシャル材料の性能を改善できるからである。照明のために望ましい高駆動電流においては、こうしたデバイスは、電流密度が増加するにつれて効率が低下してしまう。
特許文献4に記載されたIII族窒化物発光デバイスにおいては、発光層は、50Åと250Åの間の厚さを有する。従来に比べて厚い単一井戸層を発光層とすることにより、大電流駆動時における特性を向上させている。
特許文献5に記載された窒化物半導体発光素子は、基板上に少なくともバッファ層、n型窒化物半導体層、活性層及びp型窒化物半導体層が順に積層された窒化物半導体発光素子である。この窒化物半導体発光素子においては、活性層は、複数の障壁層と複数の井戸層が交互に配列された多重量子井戸構造である。複数の障壁層のうち少なくとも1つの層は、p型ドーパントがドーピングされたp型ドープ障壁層とアンドープ障壁層とを有する第1障壁層である。これにより、ドループ現象を抑制している。
特開2005−109425号公報 特開2005−057308号公報 特開2007−150312号公報 特開2007−067418号公報 特開2010−028072号公報
特許文献1から5に記載の技術にしたがって窒化物半導体発光素子を製造し、製造された窒化物半導体発光素子を大電流で駆動すると、動作電圧が上がって消費電力が大きくなることがある。その結果、窒化物半導体発光素子の単位電力当たりの発光効率(電力効率)の低下を招くことがある。
一般に、窒化物半導体発光素子は、印加される電流密度が所定範囲より小さい場合および所定範囲より大きい場合の両方において発光効率が低下する。
電流密度が所定範囲より小さい場合に発光効率が低下する理由は、非発光再結合を引き起こす準位(結晶欠陥など)が発光層に多数存在するからであると考えられている。そのため、従来における窒化物半導体発光素子の発光効率の向上対策は、主として、発光層における結晶欠陥の低減であった。
しかし、窒化物半導体発光素子に印加される電流密度が所定範囲より大きくなると、発光層における結晶欠陥以外の要因による発光効率の低減が生じる。この原因として、オージェ再結合説、ピエゾ電界説およびオーバーフロー説などが唱えられている。
オージェ再結合説は、活性層への注入キャリア密度が高くなるにしたがって、オージェ再結合(注入キャリア密度の3乗に比例して再結合確率が増大する非発光再結合)が支配的になるというものである。
ピエゾ電界説は、以下のようなものである。井戸層の組成がInxGa1-xNであって障壁層の組成がGaNである場合、両者の格子定数が異なるため、本来ならば断面形状が正方形状である格子が長方形状に伸ばされる、または圧縮される。それに伴い、結晶中、特に井戸層中に「ピエゾ電界」が生じる。このピエゾ電界の影響により半導体のエネルギーバンド(バレンスバンド、コンダクションバンド)に傾きが生じて、ホールと電子との密度分布の最大となる位置が井戸層の両側に空間的に分離する。そのため、電子とホールとの発光再結合が妨げられる、すなわち発光再結合の寿命が長くなる。
オーバーフロー説は、電子の発光層への注入量を多くすると、電子が発光層からあふれでてp側の層に達し、そのp側の層で非発光再結合により消滅するというものである。
いずれの説であっても、大電流駆動時における発光効率の低下を抑制するためには、井戸層における注入キャリア密度を低くする、すなわち井戸層の体積を大きくすることが望ましい。
井戸層における注入キャリア密度を低くする方法として、チップサイズを大きくして発光面積を増大させて単位面積当たりの電流値を下げることにより、実際の単位体積あたりのキャリア濃度を下げるという手法がある。しかし、チップサイズを大きくすると、1枚のウエハから製造できるチップの個数が減少するため、窒化物半導体発光素子の価格の上昇を招き好ましくない。
井戸層における注入キャリア密度を低くする他の方法として、多重量子井戸構造における井戸層の層厚を厚くする、または井戸層の層数を増やすなどの手法がある。しかし、井戸層の層厚を厚くしすぎると、井戸層の結晶品質の低下を招き好ましくない。また、井戸層の層数を増やしすぎると、窒化物半導体発光素子の動作電圧の上昇を招き好ましくない。さらに、注入される電子とホールとの密度分布が異なる場合、見かけの井戸層の体積を増加させても、実効的な井戸層の体積を井戸層の層厚または層数に比例して増加させることができないため好ましくない。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、大電流駆動時において動作電圧の上昇を防止して発光効率を向上できる、窒化物半導体発光素子を提供することを目的とする。
本発明に基づく窒化物半導体発光素子は、n型窒化物半導体層と、n型窒化物半導体層上に設けられた発光層と、発光層上に設けられたp型窒化物半導体層とを備える。発光層は、窒化物半導体量子井戸層と窒化物半導体障壁層とが交互に複数積層された多重量子井戸構造を有する。複数の窒化物半導体障壁層のうちの少なくとも1つは、p型不純物を含むp型ドープ層、および、このp型ドープ層よりp型窒化物半導体層側に位置してn型不純物を含むn型ドープ層を含む。
本発明の一形態においては、上記少なくとも1つの窒化物半導体障壁層は、この窒化物半導体障壁層に隣接してn型窒化物半導体層側に位置する窒化物半導体量子井戸層とp型ドープ層との間に第1のアンドープ層を有する。
本発明の一形態においては、上記少なくとも1つの窒化物半導体障壁層は、p型ドープ層とn型ドープ層との間に第2のアンドープ層を有する。
本発明の一形態においては、上記少なくとも1つの窒化物半導体障壁層は、この窒化物半導体障壁層に隣接してp型窒化物半導体層側に位置する窒化物半導体量子井戸層とn型ドープ層との間に第3のアンドープ層を有する。
本発明の一形態においては、上記少なくとも1つの窒化物半導体障壁層はAlを含む。
本発明に基づく窒化物半導体発光素子の製造方法は、n型窒化物半導体層上に発光層を成長させる工程と、発光層上にp型窒化物半導体層を成長させる工程とを備える。上記発光層を成長させる工程において、窒化物半導体量子井戸層と窒化物半導体障壁層とを交互に複数積層する。複数の窒化物半導体障壁層のうちの少なくとも1つを積層する際に、p型不純物を含むp型ドープ層、および、このp型ドープ層よりp型窒化物半導体層側にn型不純物を含むn型ドープ層を成長させる。
本発明の一形態においては、上記少なくとも1つの窒化物半導体障壁層を積層する際に、窒化物半導体量子井戸層上に第1のアンドープ層を成長させ、この第1のアンドープ層上にp型ドープ層を成長させる。
本発明の一形態においては、上記少なくとも1つの窒化物半導体障壁層を積層する際に、p型ドープ層上に第2のアンドープ層を成長させ、この第2のアンドープ層上にn型ドープ層を成長させる。
本発明の一形態においては、上記少なくとも1つの窒化物半導体障壁層を積層する際に、n型ドープ層上に第3のアンドープ層を成長させる。
本発明の一形態においては、上記少なくとも1つの窒化物半導体障壁層を積層する際の成長温度を、複数の窒化物半導体量子井戸層を成長させるときの成長温度より高温にする。
本発明の一形態においては、上記少なくとも1つの窒化物半導体障壁層を積層する際に、水素を含むキャリアガスを導入する。
本発明の一形態においては、上記少なくとも1つの窒化物半導体障壁層を積層する際に、複数の窒化物半導体量子井戸層を成長させるときの成長温度と同一温度にて第1のアンドープ層を成長させ、その後、供給する原料ガスをIII族原料ガスからV族原料ガスに切り替えて昇温した状態でp型ドープ層の成長を開始する。
本発明によれば、窒化物半導体発光素子の大電流駆動時において動作電圧の上昇を防止して発光効率を向上できる。
本発明の一実施形態に係る窒化物半導体発光素子の構造を示す断面図である。 同実施形態に係る窒化物半導体素子のバンド構造を示す図である。 同実施形態に係るp型ドープ層およびn型ドープ層を含む窒化物半導体障壁層のバンド構造を示す図である。 本発明の実施例2に係る窒化物半導体素子のバンド構造を示す図である。 本発明の実施例3に係る窒化物半導体素子のバンド構造を示す図である。 本発明の実施例4に係るp型ドープ層およびn型ドープ層を含む窒化物半導体障壁層のバンド構造を示す図である。 実施例4の第1変形例に係るp型ドープ層およびn型ドープ層を含む窒化物半導体障壁層のバンド構造を示す図である。 実施例4の第2変形例に係るp型ドープ層およびn型ドープ層を含む窒化物半導体障壁層のバンド構造を示す図である。 本発明の実施例5に係るp型ドープ層およびn型ドープ層を含む窒化物半導体障壁層の成長過程における温度条件を示す図である。 実施例5の変形例に係るp型ドープ層およびn型ドープ層を含む窒化物半導体障壁層の成長過程における温度条件を示す図である。
以下、本発明の一実施形態に係る窒化物半導体発光素子およびその製造方法について図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。なお、図面において、長さ、幅および厚さなどの寸法関係は、図面の明瞭化および簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る窒化物半導体発光素子の構造を示す断面図である。図2は、本実施形態に係る窒化物半導体素子のバンド構造を示す図である。図2においては、不純物をドープした層にハッチングを入れている。
<窒化物半導体発光素子>
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る窒化物半導体発光素子1においては、基板2の上面上に、バッファ層3と、下地層4と、第1のn型窒化物半導体層5と、第2のn型窒化物半導体層6と、超格子層7と、発光層8と、第1のp型窒化物半導体層9と、第2のp型窒化物半導体層10と、第3のp型窒化物半導体層11とがこの順に積層されている。
第2のn型窒化物半導体層6の上面の一部分は、超格子層7などから露出しており、その露出部分の上には、n側電極14が設けられている。第3のp型窒化物半導体層11の上には、透明電極12を介してp側電極13が設けられている。窒化物半導体発光素子1の上部は、透明保護膜15で覆われている。
<基板>
基板2は、たとえば、サファイアのような絶縁性基板であってもよいし、GaN、SiC、またはZnOなどのような導電性基板であってもよい。基板2の厚さは、特に限定されず、たとえば、60μm以上300μm以下である。本実施形態においては、基板2の上面に湾曲面状の凸部2Aと平坦面状の凹部2Bとが交互に形成されているが、基板2の上面が平坦であってもよい。
<バッファ層>
バッファ層3は、たとえば、Als0Gat0N(0≦s0≦1、0≦t0≦1、s0+t0≠0)層であり、好ましくはAlN層である。バッファ層3をAlN層で形成することにより、基板2の成長面の法線方向に伸長するようにバッファ層3が形成されるので、結晶粒の揃った柱状結晶の集合体からなるバッファ層3を得られる。
バッファ層3の厚さは、特に限定されないが、たとえば、5nm以上100nm以下であり、好ましくは10nm以上50nm以下である。
<下地層>
下地層4は、たとえば、Als1Gat1Inu1N(0≦s1≦1、0≦t1≦1、0≦u1≦1、s1+t1+u1≠0)層であればよく、好ましくはAls1Gat1N(0≦s1≦1、0≦t1≦1、s1+t1≠0)層であり、より好ましくはGaN層である。下地層4をGaN層で形成することにより、バッファ層3中に存在する転移などの結晶欠陥がバッファ層3と下地層4との界面付近でループされ易くなる。よって、その結晶欠陥がバッファ層3から下地層4へ引き継がれることを防止できる。
下地層4はn型不純物を含んでいてもよいが、下地層4がn型不純物を含んでいなければ、下地層4の良好な結晶性を維持することができる。よって、下地層4においては、n型不純物を含んでいないことが好ましい。下地層4の厚さは、特に限定されないが、たとえば、3μm以上12μm以下である。
<n型窒化物半導体層>
本実施形態においては、n型窒化物半導体層は、第1のn型窒化物半導体層5と第2のn型窒化物半導体層6との積層構造を有している。ただし、n型窒化物半導体層は、単層で形成されていてもよい。第1のn型窒化物半導体層5および第2のn型窒化物半導体層6は、互いに同一の組成であってもよいし、互いに異なる組成であってもよい。また、第1のn型窒化物半導体層5および第2のn型窒化物半導体層6は、互いに同一の厚さであってもよいし、互いに異なる厚さであってもよい。
第1のn型窒化物半導体層5および第2のn型窒化物半導体層6は、たとえば、Als2Gat2Inu2N(0≦s2≦1、0≦t2≦1、0≦u2≦1、s2+t2+u2≠0)層にn型不純物がドーピングされた層であればよく、好ましくはAls2Ga1-s2N(0≦s2≦1、好ましくは0≦s2≦0.5、より好ましくは0≦s2≦0.1)層にn型不純物がドーピングされた層である。
n型不純物は、特に限定されないが、Si、P、AsまたはSbなどであればよく、好ましくはSiである。第1のn型窒化物半導体層5および第2のn型窒化物半導体層6の各々におけるn型不純物の濃度は、特に限定されないが、たとえば、1×1018cm-3以上2×1019cm-3以下である。第1のn型窒化物半導体層5および第2のn型窒化物半導体層6の各々の厚さは、特に限定されないが、たとえば、0.5μm以上10μm以下である。
<超格子層>
超格子層とは、複数の種類の結晶格子の重ね合わせにより、その周期構造が基本単位格子よりも長い結晶格子からなる層を意味する。超格子層7では、図2に示す第1半導体層7Aと第2半導体層7Bとが交互に積層されて超格子構造を構成しており、その周期構造が第1半導体層7Aを構成する半導体材料の基本単位格子および第2半導体層7Bを構成する半導体材料の基本単位格子よりも長くなっている。
なお、超格子層7においては、第1半導体層7Aと、第2半導体層7Bと、第1半導体層7Aおよび第2半導体層7Bとは異なる1層以上の半導体層とが順に積層されて超格子構造を構成していてもよい。超格子層7の1周期当たりの厚さは、特に限定されないが、たとえば、1nm以上7nm以下である。
各第1半導体層7Aは、たとえば、AlGaInN層にn型不純物がドーピングされた層であればよく、好ましくはGaN層にn型不純物がドーピングされた層である。
各第1半導体層7Aにおけるn型不純物濃度におけるn型不純物濃度は、たとえば、1×1018cm-3以上5×1019cm-3以下であることが好ましい。
第1半導体層7Aのそれぞれの厚さは、特に限定されないが、たとえば、0.5nm以上5nm以下であり、好ましくは1nm以上4nm以下である。第1半導体層7Aのそれぞれの厚さが0.5nm未満であれば、第1半導体層7Aのそれぞれの厚さが1原子層の厚さを下回るため、厚さが均一な第1半導体層7Aを形成することが難しく、よって、後述の発光層8の結晶品質の低下を招くことがある。
また、n型窒化物半導体層よりも低い温度で高濃度のn型不純物を第1半導体層7Aにドープするため、第1半導体層7Aのそれぞれの厚さが5nmを超えると、第1半導体層7Aの平坦性の低下を招き、よって、後述の発光層8の結晶性が低下する。その結果、発光層8の結晶品質も低下して窒化物半導体発光素子1の発光効率が低下することがある。
各第2半導体層7Bは、たとえば、AlGaInN層であればよく、好ましくはInGaN層である。第2半導体層7Bがn型不純物を含んでいなければ、超格子層7の平坦性の低下を防止でき、よって、後述の発光層8の結晶性の低下を防止できる。なお、各第2半導体層7Bは、n型不純物を含んでいてもよい。
第2半導体層7Bのそれぞれの厚さは、特に限定されないが、たとえば、0.5nm以上5nm以下であり、好ましくは1nm以上4nm以下である。第2半導体層7Bのそれぞれの厚さが0.5nm未満であれば、第2半導体層7Bのそれぞれの厚さが1原子層の厚さを下回るため、厚さが均一な第2半導体層7Bを形成することが難しく、よって、後述の発光層8の結晶品質の低下を招くことがある。一方、第2半導体層7Bのそれぞれの厚さが5nmを超えると、第2半導体層7Bの成長時間が長くなりすぎて、窒化物半導体発光素子1の生産性が低下することがある。
なお、第1半導体層7Aおよび第2半導体層7Bの層数は、特に限定されず、たとえば、それぞれ20層である。
<発光層>
発光層8は、図2に示す窒化物半導体障壁層8Aと窒化物半導体量子井戸層8Bとが交互に複数積層された多重量子井戸構造を有している。具体的には、発光層8は、窒化物半導体障壁層8Aが窒化物半導体量子井戸層8Bを両側から挟むように、窒化物半導体障壁層8Aと窒化物半導体量子井戸層8Bとが積層されて構成されている。
各窒化物半導体障壁層8Aは、たとえばAlxGayIn(1-x-y)N(0≦x<1、0<y≦1)層からなる。各窒化物半導体障壁層8Aの厚さは、8nm以下であることが好ましく、1.5nm以上8nm以下であればさらに好ましい。
各窒化物半導体障壁層8Aの厚さが1.5nm未満であれば、窒化物半導体障壁層8Aの平坦性の低下によるその結晶品質の悪化を招き、よって、窒化物半導体発光素子1の発光効率が低下することがある。窒化物半導体障壁層8Aの厚さが8nmより厚ければ、注入キャリアが発光層8中で十分拡散されず、窒化物半導体発光素子1の駆動電圧の上昇およびその発光効率の低下を招くことがある。
本実施形態においては、複数の窒化物半導体障壁層8Aのうちの1つの窒化物半導体障壁層80Aが、p型不純物を含むp型ドープ層802、および、このp型ドープ層802よりp型窒化物半導体層側に位置してn型不純物を含むn型ドープ層804を含む。p型不純物は、特に限定されないが、たとえばMgである。n型不純物は、特に限定されないが、たとえばSiである。
図3は、本実施形態に係るp型ドープ層およびn型ドープ層を含む窒化物半導体障壁層のバンド構造を示す図である。図2,3に示すように、本実施形態においては、超格子層7側から数えて4周期目の窒化物半導体障壁層80Aが、p型ドープ層802およびn型ドープ層804を含んでいる。
さらに、図3に示すように、窒化物半導体障壁層80Aは、窒化物半導体障壁層80Aに隣接してn型窒化物半導体層側(図中左側)に位置する窒化物半導体量子井戸層8Bとp型ドープ層802との間に第1のアンドープ層801を有する。
また、窒化物半導体障壁層80Aは、p型ドープ層802とn型ドープ層804との間に第2のアンドープ層803を有する。
さらに、窒化物半導体障壁層80Aは、窒化物半導体障壁層80Aに隣接してp型窒化物半導体層側(図中右側)に位置する窒化物半導体量子井戸層8Bとn型ドープ層804との間に第3のアンドープ層805を有する。
各窒化物半導体量子井戸層8Bは、たとえば、アンドープInzGa(1-z)N(0<z≦1)層であればよく、好ましくはアンドープInzGa(1-z)N(0<z≦0.5)層である。各窒化物半導体量子井戸層8Bがn型不純物を含んでいないことにより、発光層8の平坦性の低下を防止でき、よって、後述のp型窒化物半導体層の結晶性の低下を防止できる。
各窒化物半導体量子井戸層8Bの厚さは、特に限定されないが、2.5nm以上7nm以下であることが好ましい。各窒化物半導体量子井戸層8Bの厚さがこの範囲外であれば、窒化物半導体発光素子1の発光効率低下およびその駆動電圧の上昇を招くことがある。
窒化物半導体量子井戸層8Bの層数は、特に限定されず、複数であればよい。窒化物半導体量子井戸層8Bを複数設けることにより、発光層8の電流密度を低下させることができる。よって、窒化物半導体発光素子1を大電流で駆動した場合においても、発光層8での発熱量の低下を図れる。そのため、発光層8からのキャリアのオーバーフローを防止できる。したがって、発光層8以外の層における非発光再結合の発生を防止できる。
<p型窒化物半導体層>
本実施形態においては、p型窒化物半導体層は、第1のp型窒化物半導体層9と第2のp型窒化物半導体層10と第3のp型窒化物半導体層11との積層構造を有している。ただし、p型窒化物半導体層は、単層で形成されていてもよい。第1のp型窒化物半導体層9、第2のp型窒化物半導体層10および第3のp型窒化物半導体層11は、互いに同一の組成であってもよいし、互いに異なる組成であってもよい。また、第1のp型窒化物半導体層9、第2のp型窒化物半導体層10および第3のp型窒化物半導体層11は、互いに同一の厚さであってもよいし、互いに異なる厚さであってもよい。
第1のp型窒化物半導体層9、第2のp型窒化物半導体層10および第3のp型窒化物半導体層11は、たとえば、Als4Gat4Inu4N(0≦s4≦1、0≦t4≦1、0≦u4≦1、s4+t4+u4≠0)層にp型不純物がドーピングされた層であり、好ましくはAls4Ga1-s4N(0<s4≦0.4、好ましくは0.1≦s4≦0.3)層にp型不純物をドーピングした層である。
p型不純物は、特に限定されないが、たとえばマグネシウムである。第1のp型窒化物半導体層9、第2のp型窒化物半導体層10および第3のp型窒化物半導体層11の各々におけるp型不純物の濃度は、特に限定されないが、たとえば、1×1018cm-3以上2×1020cm-3以下である。第1のp型窒化物半導体層9、第2のp型窒化物半導体層10および第3のp型窒化物半導体層11の各々の厚さは、特に限定されないが、たとえば、10nm以上200nm以下である。
<n側電極、透明電極、p側電極、透明保護膜>
p側電極13およびn側電極14は、窒化物半導体発光素子1に駆動電力を供給するための電極である。p側電極13およびn側電極14の各々は、たとえば、ニッケル層、プラチナ層、および金層がこの順序で積層されて構成されている。p側電極13およびn側電極14の各々の厚さは、たとえば、300nm以上3000nm以下である。
透明電極12は、たとえば、ITO(Indium Tin Oxide)またはIZO(Indium Zinc Oxide)などから構成されている。透明電極12の厚さは、たとえば、50nm以上500nm以下である。なお、透明電極12のかわりに、アルミニウムまたは銀などからなる反射電極を設けてもよい。
透明保護膜15は、たとえば、SiO2からなる。透明保護膜15は、主として、透明電極12および第2のn型窒化物半導体層6の上面と、第2のn型窒化物半導体層6から透明電極12までの各層の側面を覆っている。
<発光層における作用および効果>
InzGa1-zN(0<z≦1)からなる窒化物半導体量子井戸層を含む発光層を成長させる際の成長温度は、GaNおよびAlGaNなどInを含まない窒化物半導体量子井戸層を含む発光層の成長温度に比べて低い。また、発光層をMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法により成長させる場合、水素をほとんど含まない窒素をキャリアガスとして使用する。これらの成長条件から、発光層には結晶欠陥が発生しやすい。
発光層に結晶欠陥が存在している場合に、その影響をできるだけ受けずに窒化物半導体発光素子の発光効率を上げるためには、結晶欠陥に注入キャリアが捕獲される前に発光再結合を起こさせる必要がある。
そのためには、各窒化物半導体量子井戸層の近傍における電子およびホールの存在確立を高めることが望ましい。しかし、従来のように発光層がアンドープ層またはn型不純物をドープした層からなる場合は、発光層が複数の窒化物半導体量子井戸層を有していても、p型窒化物半導体層側から遠い位置にある窒化物半導体量子井戸層に有効質量が大きいホールが届かず、発光層の全体にホールが行き渡らないという問題があった。
そこで、窒化物半導体障壁層にp型不純物をドープした場合、伝導帯に対する窒化物半導体量子井戸層の深さが深くなり、移動度が高い電子を窒化物半導体量子井戸層に拘束する効果を高めることができ、相対的にホールに対しては価電子帯の窒化物半導体量子井戸層の深さが浅くなり、窒化物半導体量子井戸層へのホールの注入効率を高めることができる。
しかし、発光層の成長後に形成されるp型窒化物半導体層の成長温度が高いために、p型不純物が窒化物半導体量子井戸層の内部に拡散することがあり、この場合、拡散したp型不純物が窒化物半導体量子井戸層の発光効率を低下させる。
本発明者は、鋭意研究の結果、p型窒化物半導体層側から遠い位置にある窒化物半導体量子井戸層8Bにホールを届かせるために窒化物半導体障壁層80Aにp型不純物をドープするとともに、その窒化物半導体障壁層80Aにn型不純物をドープすることにより、p型不純物の拡散を抑制しつつn型窒化物半導体層側から遠い位置にある窒化物半導体量子井戸層8Bに電子を届かせて、各窒化物半導体量子井戸層8Bにおける発光効率を向上できることを見出した。
すなわち、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子1においては、窒化物半導体障壁層80Aがp型ドープ層802を含んでいるため、p型窒化物半導体層側から遠い位置にある窒化物半導体量子井戸層8Bへホールを拡散させることができる。また、窒化物半導体障壁層80Aがn型ドープ層804を含んでいるため、n型窒化物半導体層側から遠い位置にある窒化物半導体量子井戸層8Bへ電子を拡散させることができる。
このように、複数の窒化物半導体量子井戸層8Bにホールおよび電子を拡散させることによって、大電流密度で窒化物半導体発光素子1を駆動した場合に、1つの窒化物半導体量子井戸層8B当たりのキャリア密度が高くならないようにすることができる。さらに、n型ドープ層804は、p型ドープ層802のp型不純物が窒化物半導体障壁層80Aより上方に位置する窒化物半導体量子井戸層8Bへ拡散することを抑制する機能を有している。その結果、大電流駆動時において動作電圧の上昇を防止して窒化物半導体発光素子1の発光効率を向上できる。
また、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子1においては、窒化物半導体障壁層80Aが、窒化物半導体障壁層80Aに隣接してn型窒化物半導体層側に位置する窒化物半導体量子井戸層8Bとp型ドープ層802との間に第1のアンドープ層801を有する。これにより、p型ドープ層802にドープされたp型不純物が第1のアンドープ層801に隣接した窒化物半導体量子井戸層8Bに拡散することを抑制できる。
さらに、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子1においては、窒化物半導体障壁層80Aが、p型ドープ層802とn型ドープ層804との間に第2のアンドープ層803を有する。これにより、窒化物半導体障壁層80Aの結晶品質を保つことができ、非発光の原因となる結晶欠陥の発生を抑制できる。
また、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子1においては、窒化物半導体障壁層80Aが、窒化物半導体障壁層80Aに隣接してp型窒化物半導体層側に位置する窒化物半導体量子井戸層8Bとn型ドープ層804との間に第3のアンドープ層805を有する。これにより、n型ドープ層804にドープされたn型不純物が窒化物半導体障壁層80Aより上方に位置する窒化物半導体量子井戸層8Bに拡散することを抑制できる。
さらに、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子1においては、窒化物半導体障壁層80AがAlを含む。これにより、窒化物半導体障壁層80Aと窒化物半導体量子井戸層8Bとのバンドギャップの差が大きくなる。その結果、窒化物半導体発光素子1が高温で動作しているときにおいても、キャリアの窒化物半導体量子井戸層8Bからのオーバーフローを抑制して高い発光効率を得られる。
本実施形態においては、発光層8に、p型ドープ層802およびn型ドープ層804を含む窒化物半導体障壁層80Aを1つ設けたが、窒化物半導体障壁層80Aの数はこれに限られず、複数でもよい。
以下に、本発明の実施例について説明する。
<実施例1>
まず、基板2として、凹凸加工が上面に施されたサファイアからなる100mm径のウエハを準備し、その上面上にAlNからなるバッファ層3をスパッタ法により形成した。
次に、ウエハを第1のMOCVD装置に入れ、原料ガスとしてTMG(trimethyl gallium)ガスとNH3ガスとを用いて、アンドープGaNからなる下地層4をMOCVD法により成長させた。
次に、ドーパント用ガスとしてSiH4ガスを加えてn型GaNからなる第1のn型窒化物半導体層5を成長させた。下地層4の厚さは4μm、第1のn型窒化物半導体層5の厚さは3μmであり、第1のn型窒化物半導体層5におけるn型不純物濃度は1×1019cm-3であった。
次に、第1のMOCVD装置から取り出したウエハを、第2のMOCVD装置に入れて1050℃の温度に維持し、n型GaNからなる第2のn型窒化物半導体層6を成長させた。第2のn型窒化物半導体層6の厚さは、1.5μmであった。
次に、ウエハを880℃の温度に維持して超格子層7を成長させた。具体的には、SiドープGaN層からなる第1半導体層7Aと、SiドープInGaN層からなる第2半導体層7Bとを、交互に20周期分成長させた。
第1半導体層7Aの原料ガスとして、TMGガスとNH3ガスとSiH4ガスとを用いた。各第1半導体層7Aの厚さは1.75nmであり、各第1半導体層7AにおけるSiのn型不純物濃度は1×1019cm-3であった。
第2半導体層7Bの原料ガスとして、TMGガスとTMI(trimethyl indium)ガスとNH3ガスとSiH4ガスとを用いた。各第2半導体層7Bの厚さは、1.75nmであった。第2半導体層7Bを成長させる際、第2半導体層7Bがフォトルミネッセンスにより発する光の波長が375nmとなるように、TMIの流量および成長温度を調整した。そのため、各第2半導体層7Bの組成はInvGa1-vN(v=0.10)であった。キャリアが第1半導体層7Aと第2半導体層7Bとに拡散して平均化されたため、超格子層7の平均キャリア濃度は、約1×1019cm-3であった。
次に、ウエハの温度を850℃に下げた状態で、発光層8を成長させた。具体的には、アンドープGaNからなる窒化物半導体障壁層8AとアンドープInGaNからなる窒化物半導体量子井戸層8Bとを交互に6周期分成長させた。
窒化物半導体障壁層8Aの原料ガスとして、TMGガスとNH3ガスとを用いた。各窒化物半導体障壁層8Aの成長速度を60nm/hourとした。各窒化物半導体障壁層8Aの厚さは4nmであった。
窒化物半導体量子井戸層8Bの原料ガスとしてTMIガスとNH3ガスとを用い、キャリアガスとして窒素ガスを用いた。各窒化物半導体量子井戸層8Bの成長速度を60nm/hourとした。各窒化物半導体量子井戸層8Bの厚さは、4nmであった。窒化物半導体量子井戸層8Bがフォトルミネッセンスにより発する光の波長が445nmとなるように、TMIの流量を調整して設定した。そのため、窒化物半導体量子井戸層8Bの組成は、InzGa1-zN(z=0.13)であった。
窒化物半導体障壁層80Aにおいては、第1のアンドープ層801として、厚さが1nmのアンドープGaN層を成長させた。その上に、p型ドープ層802として、厚さが0.5nmで、p型不純物としてMgを含むGaN層を成長させた。その上に、第2のアンドープ層803として、厚さが1nmのアンドープGaN層を成長させた。その上に、n型ドープ層804として、厚さが0.5nmで、n型不純物としてSiを含むGaN層を成長させた。その上に、第3のアンドープ層805として、厚さが1nmのアンドープGaN層を成長させた。
p型不純物の原料ガスとして、Cp2Mgガスを用いた。n型不純物の原料ガスとして、SiH4ガスを用いた。キャリアガスとしては、N2ガスに3%のH2ガスを添加した混合ガスを用いた。
キャリアガスがH2ガスを含むことにより、窒化物半導体障壁層80Aの結晶品質を保つことができ、非発光の原因となる結晶欠陥の発生を抑制することができた。また、p型不純物が取り込みやすくなり、850℃の比較的低温においてもMgがGaN層に効率よく取り込まれた。
次に、最上層の窒化物半導体量子井戸層8Bの上に、最上層の窒化物半導体障壁層8Aとして、厚さが8nmのアンドープのGaN層を成長させた。
次に、ウエハの温度を上げて、最上層の窒化物半導体障壁層8Aの上面上に、第1のp型窒化物半導体層9としてp型Al0.3Ga0.7N層、その上に、第2のp型窒化物半導体層10としてp型GaN層、その上に、第3のp型窒化物半導体層11としてp型コンタクト層を成長させた。
そして、第2のn型窒化物半導体層6の一部分が露出するように、第3のp型窒化物半導体層11、第2のp型窒化物半導体層10、第1のp型窒化物半導体層9、発光層8、超格子層7、および、第2のn型窒化物半導体層6の各一部をエッチングした。
このエッチングにより露出した第2のn型窒化物半導体層6の上面上にAuから成るn側電極14を形成した。また、第3のp型窒化物半導体層11の上面上に、ITOからなる透明電極12とAuから成るp側電極13とを順に形成した。さらに、主として透明電極12および上記エッチングによって露出した各層の側面を覆うように、SiO2からなる透明保護膜15を形成した。
最後に、ウエハを430μm×480μmサイズのチップに分割して、実施例1に係る窒化物半導体発光素子1を作製した。
得られた窒化物半導体発光素子1をTO−18型ステムにマウントして樹脂封止を行なわずに光出力を測定したところ、駆動電流50mAおよび駆動電圧2.9Vにおいて、窒化物半導体発光素子1の光出力は77mW(ドミナント波長451nm)であった。これから、窒化物半導体発光素子1の外部量子効率は55%であった。
また、駆動電流120mAおよび駆動電圧3.0Vにおいて、窒化物半導体発光素子1の光出力は177mW(ドミナント波長451nm)であった。これから、窒化物半導体発光素子1の外部量子効率は52.7%であった。
窒化物半導体発光素子1においては、50mAの外部量子効率に対して120mAの外部量子効率が95.8%であって、外部量子効率の低下がほとんど認められず、ドループ現象を抑制できていることが確認できた。
<実施例2>
図4は、本発明の実施例2に係る窒化物半導体素子のバンド構造を示す図である。図4においては、不純物をドープした層にハッチングを入れている。
図4に示すように、実施例2においては、n型窒化物半導体層側から1層目および最上層の窒化物半導体障壁層8A間に、窒化物半導体障壁層80Aを5層設けていることのみ、実施例1の窒化物半導体発光素子1とは異なる。よって、他の構成については説明を繰り返さない。
実施例2の窒化物半導体発光素子においては、大電流密度においても発光効率がほとんど低下せず、電流密度が0.05A/cm-2以上200A/cm-2以下の広い範囲で、50%以上の外部量子効率を得られた。
<実施例3>
図5は、本発明の実施例3に係る窒化物半導体素子のバンド構造を示す図である。図5においては、不純物をドープした層にハッチングを入れている。
図5に示すように、実施例3においては、n型窒化物半導体層側から3層目および6層目に窒化物半導体障壁層80Aを設けていることのみ、実施例1の窒化物半導体発光素子1とは異なる。よって、他の構成については説明を繰り返さない。
実施例2の窒化物半導体発光素子においては、低電流密度における外部量子効率が向上し、50A/cm-2以下の電流密度で60%以上の外部量子効率を得られ、200A/cm-2以下の電流密度で、50%以上の外部量子効率を得られた。
<実施例4>
図6は、本発明の実施例4に係るp型ドープ層およびn型ドープ層を含む窒化物半導体障壁層のバンド構造を示す図である。図6に示すように、実施例4においては、窒化物半導体障壁層80Aを窒化物半導体障壁層81Aに置換したことのみ実施例1の窒化物半導体発光素子1と異なるため、他の構成については説明を繰り返さない。
図6に示すように、窒化物半導体障壁層81Aにおいては、第1のアンドープ層811としてアンドープAlGaN層を成長させた。アンドープAlGaN層の原料ガスとして、TMAガスとTMGガスとNH3ガスとを用い、キャリアガスとして、N2ガスにH2ガスを3%添加した混合ガスを用いた。キャリアガスがH2ガスを含むことにより、850℃の比較的低温においてもAlがGaNに取り込まれやすくなった。
実施例4の窒化物半導体発光素子においては、高温動作環境においても高い発光効率を得られた。具体的には、発光層温度(PNジャンクション温度)が150℃の高温動作においても、実施例1の窒化物半導体発光素子1と同じ外部量子効率を得られた。
これは、第1のアンドープ層811をAlGaN層とすることで、図6に示すように、第1のアンドープ層811と窒化物半導体量子井戸層8Bとのバンドギャップの差が大きくなり、各窒化物半導体量子井戸層8Bに注入されたキャリアが熱によってオーバーフローすることを抑制できたためであると考えられる。
図7は、実施例4の第1変形例に係るp型ドープ層およびn型ドープ層を含む窒化物半導体障壁層のバンド構造を示す図である。図8は、実施例4の第2変形例に係るp型ドープ層およびn型ドープ層を含む窒化物半導体障壁層のバンド構造を示す図である。
図7に示すように、実施例4の第1変形例に係る窒化物半導体発光素子の窒化物半導体障壁層82Aにおいては、第1のアンドープ層821としてアンドープAlGaN層を成長させた。第1のアンドープ層821上に、p型ドープ層822として、p型不純物としてMgを含むAlGaN層を成長させた。
図8に示すように、実施例4の第2変形例に係る窒化物半導体発光素子の窒化物半導体障壁層83Aにおいては、第1のアンドープ層831としてアンドープAlGaN層を成長させた。第1のアンドープ層831上に、p型ドープ層832として、Mgを含むAlGaN層を成長させた。p型ドープ層832上に、第2のアンドープ層833として、アンドープAlGaN層を成長させた。
実施例4の第1および第2変形例に係る窒化物半導体発光素子においては、実施例4の窒化物半導体発光素子よりもさらに高温環境に対する耐性が高く、高温動作環境において発光効率を高く維持することができた。
<実施例5>
図9は、本発明の実施例5に係るp型ドープ層およびn型ドープ層を含む窒化物半導体障壁層の成長過程における温度条件を示す図である。図9においては、縦軸に温度、横軸に時間を示している。上記の実施例1〜4においては、窒化物半導体障壁層80A〜83Aおよび窒化物半導体量子井戸層8Bの成長温度を同一にした。
実施例5においては、図9に示すように、窒化物半導体量子井戸層8Bを成長させるときの成長温度と同一温度(850℃)にて第1のアンドープ層801を成長させ(1S)、その後、供給する原料ガスをIII族原料ガスからV族原料ガスに切り替えて920℃までウエハを昇温し(2S)、ウエハの温度が安定した後でIII族原料ガスを供給してp型ドープ層802の成長させた(3S)。
p型ドープ層802を成長させた後、供給する原料ガスをIII族原料ガスからV族原料ガスに切り替えてウエハを850℃まで降温した(4S)。ウエハの温度が安定した後、第2のアンドープ層803を成長させた(5S)。その後、同一温度(850℃)でn型ドープ層804を成長させた(6S)。さらに、同一温度(850℃)で第3のアンドープ層805を成長させた(7S)。
p型ドープ層802の成長温度を窒化物半導体量子井戸層8Bの成長温度より高くすることにより、p型ドープ層802の結晶品質を保つことができ、非発光の原因となる結晶欠陥の発生を抑制することができた。また、p型不純物であるMgを効率よく取り込むことができ、窒化物半導体発光素子における大電流駆動時での発光効率の向上および駆動電圧の低減を図れた。さらに、本実施例のように窒化物半導体障壁層80AがAlを含む場合、高い温度でp型ドープ層802を結晶成長させることでAlを取り込みやすくして、窒化物半導体発光素子の高温動作特性を向上することができた。
また、第1のアンドープ層801を成長させてから昇温することで、第1のアンドープ層801が保護層となって、第1のアンドープ層801に隣接する窒化物半導体量子井戸層8Bにp型不純物が拡散することを抑制して、高品質の窒化物半導体障壁層80Aを成長させることができた。
図10は、実施例5の変形例に係るp型ドープ層およびn型ドープ層を含む窒化物半導体障壁層の成長過程における温度条件を示す図である。図10においては、縦軸に温度、横軸に時間を示している。
図10に示すように、実施例5の変形例においては、窒化物半導体量子井戸層8Bを成長させるときの成長温度と同一温度(850℃)にて第1のアンドープ層801を成長させ(11S)、その後、供給する原料ガスをIII族原料ガスからV族原料ガスに切り替えて920℃までウエハを昇温し(12S)、ウエハの温度が安定した後でIII族原料ガスを供給してp型ドープ層802の成長させた(13S)。
p型ドープ層802を成長させた後、供給する原料ガスをIII族原料ガスからV族原料ガスに切り替えて、同一温度(920℃)で第2のアンドープ層803を成長させた(14S)。その後、ウエハを850℃まで降温した(15S)。ウエハの温度が安定した後、n型ドープ層804を成長させた(16S)。さらに、同一温度(850℃)で第3のアンドープ層805を成長させた(17S)。
実施例5の変形例においては、第2のアンドープ層803を成長させてから降温することで第2のアンドープ層803の結晶品質を保ち、それにより窒化物半導体発光素子の発光効率を向上できた。
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 窒化物半導体発光素子、2 基板、2A 凸部、2B 凹部、3 バッファ層、4 下地層、5 第1のn型窒化物半導体層、6 第2のn型窒化物半導体層、7 超格子層、7A 第1半導体層、7B 第2半導体層、8 発光層、8A,80A,81A,82A,83A 窒化物半導体障壁層、8B 窒化物半導体量子井戸層、9 第1のp型窒化物半導体層、10 第2のp型窒化物半導体層、11 第3のp型窒化物半導体層、12 透明電極、13 p側電極、14 n側電極、15 透明保護膜、801,811,821,831 第1のアンドープ層、802,822,832 p型ドープ層、803,833 第2のアンドープ層、804 n型ドープ層、805 第3のアンドープ層。

Claims (5)

  1. n型窒化物半導体層と、
    前記n型窒化物半導体層上に設けられた発光層と、
    前記発光層上に設けられたp型窒化物半導体層と
    を備え、
    前記発光層は、窒化物半導体量子井戸層と窒化物半導体障壁層とが交互に複数積層された多重量子井戸構造を有し、
    複数の前記窒化物半導体障壁層のうちの少なくとも1つは、p型不純物を含むp型ドープ層、および、該p型ドープ層より前記p型窒化物半導体層側に位置してn型不純物を含むn型ドープ層を含む、窒化物半導体発光素子。
  2. 前記少なくとも1つの窒化物半導体障壁層は、該窒化物半導体障壁層に隣接して前記n型窒化物半導体層側に位置する前記窒化物半導体量子井戸層と前記p型ドープ層との間に第1のアンドープ層を有する、請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
  3. 前記少なくとも1つの窒化物半導体障壁層は、前記p型ドープ層と前記n型ドープ層との間に第2のアンドープ層を有する、請求項1または2に記載の窒化物半導体発光素子。
  4. 前記少なくとも1つの窒化物半導体障壁層は、該窒化物半導体障壁層に隣接して前記p型窒化物半導体層側に位置する前記窒化物半導体量子井戸層と前記n型ドープ層との間に第3のアンドープ層を有する、請求項1から3のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
  5. 前記少なくとも1つの窒化物半導体障壁層はAlを含む、請求項1から4のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
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