JP2014003121A - 窒化物半導体発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】発光効率及び電力効率が良好な窒化物半導体発光素子を提供する。
【解決手段】n型窒化物半導体層9と、下部発光層13と、中間部発光層14と、上部発光層15と、p型窒化物半導体層16とをこの順に備える窒化物半導体発光素子であって、下部発光層13は、複数の下部井戸層と下部井戸層よりバンドギャップの大きい複数の下部バリア層とが交互に積層され、中間部発光層14は、少なくとも一つ以上の中間部井戸層と中間部井戸層よりバンドギャップの大きい少なくとも一つ以上の中間部バリア層とが交互に積層され、上部発光層15は、複数の上部井戸層と上部井戸層よりバンドギャップの大きい複数の上部バリア層とが交互に積層されたものであり、中間部バリア層の厚さは、下部バリア層及び上部バリア層の厚さよりも薄く、中間部井戸層の厚さは、上部井戸層の厚さよりも薄い。
【選択図】図1

Description

本発明は、窒化物半導体発光素子に関し、大電流で駆動しても動作電圧の上昇を防止するとともに、発光効率も向上させられる窒化物半導体発光素子に関するものである。
窒素を含むIII−V族化合物半導体(以下「窒化物半導体」と呼ぶ)は、赤外領域から紫外領域の波長を有する光のエネルギーに相当するバンドギャップを有しているため、赤外領域から紫外領域の波長を有する光を発光する発光素子やその領域の波長を有する光を受光する受光素子の材料として有用である。
また、窒化物半導体は、窒化物半導体を構成する原子間の結合が強く、絶縁破壊電圧が高く、飽和電子速度が大きいことから、耐高温・高出力・高周波トランジスタなどの電子デバイスの材料としても有用である。さらに、窒化物半導体は、環境を害することがほとんどなく、取り扱いやすい材料としても注目されている。
このような窒化物半導体を用いた窒化物半導体発光素子では、発光層として量子井戸構造を採用することが一般的である。電圧が印加されると、発光層中の井戸層において電子とホールとが再結合され、これにより、光が発生する。発光層は、単一量子井戸構造からなっても良いし、井戸層とバリア層とが交互に積層された多重量子井戸構造からなっても良い。
前記多重量子井戸構造に係る技術として、特許文献1には、活性層が、アンドープGaNバリア層とn型不純物がドープされたInGaN量子井戸層とが順次積層されてなることが記載されている。また、このアンドープGaNバリア層は、上記InGaN量子井戸層と接する界面に拡散防止膜を具備していることが記載されており、この拡散防止膜はInGaN量子井戸層よりも低濃度のn型不純物を含んでいることが記載されている。
また、特許文献2には、活性層がn型不純物を含んでいること、および活性層におけるn型不純物濃度はn層側の方がp層側よりも高いことが記載されており、また、活性層ではn型不純物濃度はn層側の方がp層側よりも高いので、n層側から活性層へのドナーの供給を補うことができ、発光出力の高い窒化物半導体素子が得られることも記載されている。
また、特許文献3には、量子井戸活性層における井戸層の厚さに対しバリア層の厚さを13倍以上とすることにより、良好な光出力パワーが得られることが記載されている。
ところで、近年、窒化物半導体発光素子の用途として液晶のバックライトや照明用の電球が検討されており、窒化物半導体発光素子を大電流で駆動する場合が増加している。
一般に、窒化物半導体発光素子に印加される電流密度が比較的小さい場合及び大きい場合に発光効率が低下する。
電流密度が比較的小さい場合に発光効率が低下する主な理由は、結晶欠陥などによって生じる準位が発光層に多数存在することにより、発光に寄与せずに熱などに変換される非発光再結合を引き起こすためと考えられている。そのため、従来における窒化物半導体発光素子の発光効率の向上対策は、主として、発光層における結晶欠陥の低減であった。
また、電流密度が大きい場合に発光効率が低下する主な理由としては、発光層における結晶欠陥以外の要因によって発光効率の低減が生じるものであり、後述するようなオージェ再結合説、ピエゾ電界説、オーバーフロー説などが唱えられている。
オージェ再結合とは、励起した電子同士又は正孔同士が相互作用して、片方がエネルギーを渡して輻射せず、もう片方がより高い状態に遷移する過程のことを言い、これにより生成したキャリアが失なわれ発光効率が低下する。活性層の注入キャリア密度が高くなることに伴い、この現象が支配的(注入キャリア密度の3乗に比例して再結合確率が増大する)になる。
また、ピエゾ電界説は、以下のようなものである。井戸層の組成がInxGa1−xNでありバリア層の組成がGaNである場合、両者の格子定数が異なるため、本来ならば六方晶である格子が長方形状に伸ばされる、あるいは圧縮される。それに伴い、結晶中、特に井戸層中にピエゾ電界が生じ、その影響により半導体のエネルギーバンド(バレンスバンド、コンダクションバンド)の傾きが生じ、発光層に注入されるホールと電子の密度分布の最大となる位置が、井戸層の両側に空間的に分離する。そのため、電子とホールとの発光再結合が妨げられるというものである。
そして、オーバーフロー説は、電子の発光層への注入を多くすると、電子が発光層からあふれでてp側の層に達し、そのp側の層で発光せずに消滅するというものである。
特許文献4には、高電流密度において効率を向上させるために、発光層を50Åと250Åの間の厚さとして、従来の発光層よりも厚くし、発光層を6×1018cm−3と5×1019cm−3の間のドーパント濃度にドープすることが記載されている。
特開2005−109425号公報 特開2005−057308号公報 特開2007−150312号公報 特開2007−067418号公報
特許文献1〜4に記載の技術に基づき製造した窒化物半導体発光素子を大電流で駆動しても、発光効率の低下を招き、また動作電圧が上がって消費電力が大きくなることがある。特許文献4では、発光層を従来よりも厚くし、6×1018cm−3と5×1019cm−3の間のドーパント濃度にドープすることによって、発光効率を向上させているが、これにより結晶品質の低下を招ことになり問題を有している。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、発光層の結晶品質を低下させず、大電流で駆動しても動作電圧の上昇を防止でき、発光効率を向上させられる窒化物半導体発光素子を提供することである。
本発明に係る窒化物半導体発光素子は、n型窒化物半導体層と、下部発光層と、中間部発光層と、上部発光層と、p型窒化物半導体層とをこの順に備える。下部発光層は、複数の下部井戸層と、下部井戸層に挟まれ下部井戸層よりバンドギャップの大きい下部バリア層とが交互に積層されたものである。中間部発光層は、少なくとも一つ以上の中間部井戸層が下部バリア層と中間部バリア層に挟まれ中間部井戸層よりバンドギャップの大きい中間部バリア層とが交互に積層されたものである。上部発光層は、複数の上部井戸層と、上部井戸層に挟まれ上部井戸層よりバンドギャップの大きい上部バリア層とが交互に積層されたものである。中間部発光層における中間部バリア層の厚さは、上部発光層及び下部発光層のバリア層の厚さよりも薄く、中間部発光層における中間部井戸層の厚さは、上部発光層における上部井戸層の厚さよりも薄い。
この構成は、下部発光層のバリア層厚が厚い部分を結晶回復層として機能させ、中間部発光層の井戸層厚およびバリア層厚が薄い部分において電子濃度を高くすることでホールを発光層の中心部にため、発光層内部におけるキャリアの分配を均一にさせ、上部発光層の井戸層厚およびバリア層厚が厚い部分を主たる発光層として機能させるという考えから導かれた。
窒化物半導体発光素子の発光層は、一般にInzGa1−zN(z>0)から成る井戸層を含むため、発光層の成長温度は、GaNやAlGaNなどInを含まない窒化物半導体層の成長温度に比べて低い。また、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法で結晶成長させる場合は、キャリアガスの大部分として窒素を使っており、水素は全く使わないか、使ったとしてもごく微量である。このような成長条件から、発光層では、結晶欠陥が発生しやすい。
窒化物半導体発光素子に印加される電流密度が大きくなると、発光層における結晶欠陥以外の要因による発光効率の低減が生じる。大電流駆動時における発光効率低下を抑制するために、注入キャリア密度を低くする方法として、多重量子井戸構造における井戸層の層数を増やす手法が考えられる。しかし、井戸層の層数を増やすだけではキャリアが均等に分配されず、複数の発光層を多く活用することができない。そのために、発光層におけるキャリア分配効率を上げるためにキャリアが発光層の中心部から分配される必要がある。特に、電子に比べて移動度の小さいホールが発光層の中心部より分配される必要がある。本発明では、キャリアを発光層の中心部から分配させるために、発光層の中心部に井戸層厚およびバリア層厚の薄い発光層を作るという着想に至った。
中間部発光層における井戸層及びバリア層を薄くすると、以下の効果もあると推定している。下部発光層と、中間部発光層と、上部発光層の井戸層及びバリア層が同程度厚い場合の発光層においては、p層側から注入されるホールの発光層全体への拡散が十分でないため、p層に近い井戸層のホール密度が大きく、p層から離れるについてホール密度が小さくなる。
ホールをより下側の井戸層まで拡散させるためには、中間部発光層における井戸層及びバリア層の厚さを薄くすることで、ホールが発光層全体へ拡散しやすくなる。
これにより、発光効率の向上が図られ、中間部発光層における井戸層及びバリア層の厚さを薄くすることにより、大電流で駆動しても動作電圧の上昇を防止することができる。
また、大電流駆動時におけるキャリア密度の過剰増加の防止を井戸層を厚くすることや井戸層の総数を増やすことによって行っていないため、結晶欠陥を生じさせず、結晶品質を劣化させることがない。
また、発光層としての働きが少ない下部発光層には、バリア層を薄くしてもホールが届きにくいので、その部分は結晶回復層としての働きを重視してバリア層を厚くする。また、上部発光層の井戸層厚及びバリア層厚が厚い部分については、主たる発光層として機能させる。
中間部バリア層の厚さは、下部バリア層の厚さおよび上部バリア層の厚さより0.5nm以上薄いことが好ましい。
下部バリア層または上部バリア層のうち、少なくともいずれか一方の厚さは、p型窒化物半導体層側に近づくにつれて薄くなることが好ましい。
下部井戸層のn型ドーピング濃度は、3×1017cm−3以上3×1018cm−3以下であることが好ましい。
上部バリア層のn型ドーピング濃度は、8×1017cm−3以下であることが好ましい。
下部発光層の平均n型ドーピング濃度は、前記上部発光層の平均n型ドーピング濃度より高いことが好ましい。
下部発光層は、上部発光層に対するn型キャリア注入層としても働くため、下部発光層の平均n型ドーピング濃度を上部発光層および中間部発光層の平均n型ドーピング濃度よりも高くすることで、電子の移動が容易になり、その部分の電気抵抗が低減し、駆動電圧を低減できる。
下部バリア層または上部バリア層のうち、少なくともいずれか一方のn型ドーピング濃度は、p型窒化物半導体層側に近づくにつれて低くなることが好ましい。
本発明に係る窒化物半導体発光素子によれば、発光層の結晶品質を低下させず、大電流で駆動しても動作電圧の上昇を防止でき、発光効率を向上させられる。
本発明の一実施形態に係る窒化物半導体発光素子の概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る窒化物半導体発光素子の概略平面図である。 本発明の一実施形態に係る窒化物半導体発光素子を構成する窒化物半導体層におけるバンドギャップEgの大きさを模式的に示すエネルギー図である。 実施例の結果を示すグラフである。 実施例の結果を示すグラフである。
以下では、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
なお、以下では、「バリア層」は、井戸層に挟まれた層を指し、井戸層に挟まれていない層は、「最初のバリア層」または「最後のバリア層」という形で井戸層に挟まれた層とは表記を変えている。本発明においては、井戸層と井戸層との間に形成されたバリア層におけるホールあるいは電子の移動が特に重要だからである。
また、以下の実施の形態では、「下部発光層」および「中間部発光層」および「上部発光層」という表記を用いているが、「下部発光層」とはn側窒化物半導体層に近い側の層を指すための便宜上の表現であり、「中間部発光層」とは「下部発光層」と「上部発光層」に挟まれた層を指すための便宜上の表現であり、「上部発光層」とはp側窒化物半導体層に近い側の層を指すための便宜上の表現である。例えば図1の上下を反転させても、「下部発光層」および「上部発光層」の表記は変わらない。「上部発光層」の上に基板を設けても良いし、また基板を剥離して基板のない窒化物半導体発光素子としてもよい。
また、以下では「キャリア濃度」という言葉と「ドーピング濃度」という言葉とを用いているが、その関係については後述する。
また、本発明は以下に示す実施形態に限定されない。さらに、本発明の図面において、長さ、幅、および厚さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
(実施形態)
図1および図2は、それぞれ、本発明の実施形態に係る窒化物半導体発光素子1の概略断面図および概略平面図である。図2に示すI−I線における断面図が図1に相当する。また、図3は、図1に示された窒化物半導体発光素子1における超格子層11からp型窒化物半導体層16までにおけるバンドギャップEgの大きさを模式的に示すエネルギー図である。図3の縦軸方向は図1に示す層の上下方向であり、図3の横軸のEgは各組成におけるバンドギャップの大きさを模式的に表している。また、図3では、n型ドーピングを行なう層には斜線を塗っている。
<窒化物半導体発光素子>
本実施形態に係る窒化物半導体発光素子1は、基板3の上面上に、バッファ層5と、下地層7と、n型窒化物半導体層9,10と、超格子層11と、下部発光層13と、中間部発光層14と、上部発光層15と、p型窒化物半導体層16,17,18とがこの順に積層されてメサ部30(図2参照)が構成されている。メサ部30の外側においては、n型窒化物半導体層10の上面の一部分が超格子層11に覆われずに露出しており、その露出部分の上には、n側電極21が設けられている。p型窒化物半導体層18の上には、透明電極23を介してp側電極25が設けられている。窒化物半導体発光素子1のほぼ上面全体には、p側電極25およびn側電極21が露出するように、透明保護膜27が設けられている。
<基板>
基板3は、たとえば、サファイアのような絶縁性基板であっても良いし、GaN、SiC、またはZnOなどのような導電性基板であっても良い。基板3の厚さは120μmとしたが、特に限定されず、例えば50μm以上500μm以下であれば良い。基板3の上面は、平坦であっても良いし、図1に示すように凸部3Aおよび凹部3Bからなる凹凸形状を有していても良い。
<バッファ層>
バッファ層5は、たとえばAls0GatoN(0≦s0≦1、0≦t0≦1、s0+t0≠0)層であれば良く、好ましくはAlN層である。ただし、Nのごく一部(0.5〜2%)を酸素に置き換えても良い。これにより、基板3の成長面の法線方向に伸長するようにバッファ層5が形成されるので、結晶粒の揃った柱状結晶の集合体からなるバッファ層5が得られる。
バッファ層5の厚さは、特に限定されないが、3nm以上100nm以下であれば良く、好ましくは5nm以上50nm以下である。
<下地層>
下地層7は、たとえばAls1Gat1Inu1N(0≦s1≦1、0≦t1≦1、0≦u1≦1、s1+t1+u1≠0)層であれば良く、好ましくはAls1Gat1N(0≦s1≦1、0≦t1≦1、s1+t1≠0)層であり、より好ましくはGaN層である。これにより、バッファ層5中に存在する結晶欠陥(たとえば転位など)がバッファ層5と下地層7との界面付近でループされ易くなり、よって、その結晶欠陥がバッファ層5から下地層7へ引き継がれることを防止できる。
下地層7は、n型不純物を含んでいても良いが、下地層7がn型不純物を含んでいないほうが下地層7の結晶性を良好に維持することができる。よって、下地層7はn型不純物を含んでいないことが好ましい。
下地層7の厚みを厚くすることにより下地層7中の欠陥は減少するが、下地層7の厚みをある程度以上厚くしても欠陥減少は飽和する。このことより、下地層7の厚さは、例えば1μm以上8μm以下することが考えられる。
<n型窒化物半導体層>
n型窒化物半導体層9及び10は、たとえばAls2Gat2Inu2N(0≦s2≦1、0≦t2≦1、0≦u2≦1、s2+t2+u2≒1)層にn型不純物がドーピングされた層であれば良く、好ましくはAlS2Ga1−s2N(0≦s2≦1、好ましくは0≦s2≦0.5、より好ましくは0≦s2≦0.1)層にn型不純物がドーピングされた層である。
n型ドーパントは、特に限定されないが、Si、P、AsまたはSbなどであれば良く、好ましくはSiである。このことは、後述の各層においても言える。
n型窒化物半導体層9及び10におけるn型ドーピング濃度は、特に限定されないが、1×1017cm−3以下であれば良い。
n型窒化物半導体層9及び10の厚みが厚い方が、その抵抗が減少する。そのため、n型窒化物半導体層9及び10の厚みは厚い方が好ましい。しかし、n型窒化物半導体層9及び10の厚みを厚くすると、コストアップになる。そのため、実用的には、n型窒化物半導体層9及び10の厚みは薄い方が好ましい。n型窒化物半導体層9及び10の厚さは、特に限定されないが、実用上1μm以上10μm以下であれば良い。
なお、n型窒化物半導体層9及び10は、後述する実施例においては同じn型GaN層を一旦中断して2つの成長工程によって形成したものであるが、n型窒化物半導体層9とn型窒化物半導体層10とを連続して単層としても良いし、3層以上の積層構造を有していても良い。
<超格子層>
本明細書における超格子層とは、非常に薄い結晶層を交互に積層することにより、その周期構造が基本単位格子よりも長い結晶格子からなる層を意味する。図3に示すように、超格子層11では、ワイドバンドギャップ層11Aとナローバンドギャップ層11Bとが交互に積層されて超格子構造を構成しており、その周期構造がワイドバンドギャップ層11Aを構成する半導体材料の基本単位格子およびナローバンドギャップ層11Bを構成する半導体材料の基本単位格子よりも長くなっている。なお、超格子層11は、ワイドバンドギャップ層11Aおよびナローバンドギャップ層11Bとは異なる1層以上の半導体層と、ワイドバンドギャップ層11Aと、ナローバンドギャップ層11Bとが順に積層されて超格子構造を構成していても良い。また、超格子層11の一周期の長さ(つまり、ワイドバンドギャップ層11Aの層厚とナローバンドギャップ層11Bの層厚との合計)は、後述の下部発光層13の一周期の長さよりも短く、具体的には1nm以上10nm以下である。
各ワイドバンドギャップ層11Aは、たとえばAlGaIn(1−a−b)N(0≦a<1、0<b≦1)であれば良く、好ましくはGaN層である。
各ナローバンドギャップ層11Bの組成は、たとえばワイドバンドギャップ層11Aよりもバンドギャップが小さく、且つ下記下部井戸層13Bおよび中間部井戸層14Bおよび上部井戸層15Bの各バンドギャップより大きいAlGaIn(1−a−b)N(0≦a<1、0<b≦1)であれば良く、好ましくはGaIn(1−b)N(0<b≦1)である。
各ワイドバンドギャップ層11A及び各ナローバンドギャップ層11Bの少なくとも一方は、n型ドーパントを含んでいることが好ましい。これは、ワイドバンドギャップ層11Aとナローバンドギャップ層11Bとの両方がアンドープであると、駆動電圧が上昇するためである。
なお、ワイドバンドギャップ層11Aおよびナローバンドギャップ層11Bの各層数は、図3では20としたが、例えば2から50であればよい。
超格子層11は、n型窒化物半導体層9及び10に存在する貫通転位(threading dislocation)などの結晶欠陥を低減し、下部発光層13及び中間部発光層14及び上部発光層15における結晶欠陥を減少させるために設けているが、結晶欠陥が少ない場合や下部発光層13に超格子層11の結晶欠陥低減機能を兼ねさせる場合には省略することができる。
<下部発光層>
下部発光層13は、図3に示すように、下部井戸層13Bと下部バリア層13Aとが交互に積層されることにより下部バリア層13Aが下部井戸層13Bに挟まれて構成されたものであり、最初の下部バリア層13A’を介して超格子層11の上に設けられている。下部バリア層13Aのバンドギャップは、下部井戸層13Bのバンドギャップより大きい。なお、下部発光層13は、超格子層11と同じく、下部バリア層13Aおよび下部井戸層13Bとは異なる1層以上の半導体層と、下部バリア層13Aと、下部井戸層13Bと、が順に積層されていても良い。また、下部発光層13の一周期の長さ(下部バリア層13Aと下部井戸層13Bの合計の厚さ)は、例えば3nm以上100nm以下である。
各下部井戸層13Bの組成は、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子に求められる発光波長に合わせて調整されるが、たとえばAlGaIn(1−a−b)N(0≦a<1、0<b≦1)であれば良く、好ましくはAlを含まないInGa(1−c)N(0<c≦1)層である。ただし例えば375nm以下の紫外発光を行なう場合には、一般にはバンドギャップを広くするため適宜Alを含ませることとなる。
各下部バリア層13Aおよび最初の下部バリア層13A’は、たとえばAlGaIn(1−a−b)N(0≦a<1、0<b≦1)層であれば良く、好ましくはGaN層である。ただし、下部バリア層13Aは下部井戸層13Bよりバンドギャップを大きくする必要があるため、適宜In、Alあるいはその両方を導入してバンドギャップを調整する。
下部発光層13の平均n型ドーピング濃度は、後述の上部発光層15の平均n型ドーピング濃度よりも高いことが好ましい。これにより、窒化物半導体発光素子1を大電流で駆動しても、その駆動電圧の上昇が抑えられるため、電力効率の低下を防止できる。ただし、他の手法により駆動電圧の上昇を抑えることができれば、下部発光層13の平均n型ドーピング濃度が上部発光層15の平均n型ドーピング濃度よりも低い方が発光効率の向上するため好ましいと考えられる。
駆動電圧の上昇を抑えるという観点からは、各下部井戸層13Bと各下部バリア層13Aおよび最初の下部バリア層13A’の少なくとも一方のバリア層とはn型ドーパントを含むことが好ましい。また、各下部バリア層13Aのn型ドーピング濃度が各下部井戸層13Bのn型ドーピング濃度より高いことがより好ましい。
各下部井戸層13B及び各下部バリア層13Aにおけるn型ドーピング濃度は、特に限定されないが、1×1017cm−3以上であれば良く、好ましくは3×1017cm−3以上3×1018cm−3以下である。下部発光層13の平均キャリア濃度(ドーパントがSiの場合ほぼn型ドーピング濃度に等しい)が1×1017cm−3未満であれば、窒化物半導体発光素子1の駆動電圧が上昇する傾向にある。
各下部井戸層13Bの厚さは、特に限定されないが、1.5nm以上6.5nm以下であることが好ましい。各下部井戸層13Bの厚さがこの範囲外であると、発光効率が低下する場合がある。
各下部バリア層13Aおよび最初の下部バリア層13A’の厚さは、特に限定されないが、2.5nm以上であることが好ましく、3nm以上20nm以下であればさらに好ましい。各下部バリア層13Aの厚さは一定である必要はなく、特に図3に示す最初の下部バリア層13A’の厚さは各下部バリア層13Aの厚さと異なっていてもよい。
一般に、窒化物半導体発光素子では、発光層を構成する井戸層とn型窒化物半導体層とで格子定数などが異なることに起因して歪みが発生するが、下部発光層13はこの歪みに起因する結晶の欠陥を低減する働きがある。
<中間部発光層>
中間部発光層14を構成する各中間部バリア層14Aの厚さが下部発光層を構成する各下部バリア層13Aの厚さより薄いことを特徴としている。各中間部バリア層14Aの厚さは各下部バリア層13Aの厚さより0.5nm以上薄いことが好ましく、1nm以上薄いことがより好ましく、1.5nm以上薄いことが更に好ましい。
これは、下部発光層については、発光層としての働きが少ないため、中間部発光層の中間部バリア層の厚さが下部発光層の下部バリア層よりも薄くなるように、下部バリア層については厚くしておき、結晶欠陥を修復する結晶回復層として用いるためである。
また、中間部発光層14の中間部井戸層14B及びバリア層14Aの厚さは、後述する上部発光層15における上部井戸層15B及びバリア層15Aの厚さよりも薄いことを特徴とする。
これにより、中間部発光層の中間部井戸層及びバリア層の厚さを上部発光層の上部井戸層及びバリア層よりも薄くすることにより、p層側から注入されるホールをより発光層全体へ拡散することができる。
<上部発光層>
上部発光層15は、図3に示すように、上部井戸層15Bと上部バリア層15Aとが交互に積層されることにより上部バリア層15Aが上部井戸層15Bに挟まれて構成されたものであり、上部井戸層15Bのうち最もp型窒化物半導体層16側に位置する上部井戸層15Bの上には、最後の上部バリア層15A’が設けられている。上部井戸層15Bのバンドギャップより、上部バリア層15Aおよび最後の上部バリア層15A’のバンドギャップの方が大きい。なお、上部発光層15は、上部バリア層15Aおよび上部井戸層15Bとは異なる1層以上の半導体層と、上部バリア層15Aと、上部井戸層15Bと、が順に積層されていても良い。また、上部発光層15の一周期(上部バリア層15Aの厚さと上部井戸層15Bの厚さの和)の長さは、例えば3nm以上100nm以下である。
最後の上部バリア層15A’の厚さは、1nm以上40nm以下が好ましい。各上部井戸層15Bの厚さは、限定されないが、各下部井戸層13Bの厚さと同じであることがさらに好ましい。
各上部井戸層15Bの厚さは、1nm以上7nm以下であることが好ましい。各上部井戸層15Bの厚さがこの範囲外であれば、発光効率が低下する傾向にある。
各上部バリア層15Aにおけるn型ドーピング濃度は、特に限定されないが、8×1017cm−3以下であれば良い。上部バリア層15Aにおけるn型ドーピング濃度が8×1017cm−3を超えると、発光素子に電圧を印加したときに、ホールが上部発光層15へ注入され難くなり、よって、発光効率の低下を招くことがある。各上部バリア層15Aおよび最後の上部バリア層15A’には、p型ドーパントが含まれることがある。
各上部井戸層15Bの組成は、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子に求められる発光波長に合わせて調整されるが、たとえばAlGaIn(1−a−b)N(0≦a<1、0<b≦1)であれば良く、好ましくはAlを含まないInGa(1−c)N(0<c≦1)層である。ただし例えば375nm以下の紫外発光を行なう場合には、一般にはバンドギャップを広くするため適宜Alを含ませることとなる。また、各下部井戸層13Bはドーパントを極力含まない(成長時にドーパント原料を導入しない)ことが好ましい。各上部井戸層15Bがn型ドーパントを含んでいなければ、各上部井戸層15Bにおける非発光再結合が起こりにくく、発光効率が良好となる。なお、各上部井戸層15Bは、n型ドーパントを含んでいても良く、それにより発光素子の駆動電圧が低下する傾向にある。
<p型窒化物半導体層>
図1に示した構成では、p型窒化物半導体層をp型AlGaN層16、p型GaN層17、および高濃度p型GaN層18の3層構造としているが、この構成は一例であって、一般にp型窒化物半導体層16,17,18は、たとえばAls4Gat4Inu4N(0≦s4≦1、0≦t4≦1、0≦u4≦1、s4+t4+u4≠0)層にp型ドーパントがドーピングされた層であれば良く、好ましくはAlS4Ga(1−s4)N(0<s4≦0.4、好ましくは0.1≦s4≦0.3)層にp型ドーパントをドーピングした層である。
p型ドーパントは、特に限定されないが、たとえばマグネシウムである。
p型窒化物半導体層17,18におけるキャリア濃度は、1×1017cm−3以上であることが好ましい。ここで、p型ドーパントの活性率は0.01程度であることから、p型窒化物半導体層17,18におけるp型ドーピング濃度(キャリア濃度とは異なる)は1×1019cm−3以上であることが好ましい。ただし上部発光層15に近いp型窒化物半導体層16におけるp型ドーピング濃度はこれより低くてもよい。
p型窒化物半導体層16,17,18の合計の厚さは、特に限定されないが、50nm以上300nm以下であれば良い。
<n側電極、透明電極、p側電極>
n側電極21およびp側電極25は、窒化物半導体発光素子1に駆動電力を供給するための電極である。n側電極21およびp側電極25は平面図である図2ではパッド電極部分のみで構成されているが、電流拡散を目的とする細長い突出部(枝電極)が接続されていてもよい。また、p側電極25の下部において電流の注入を止めるための絶縁層を設けても良く、それによりp側電極25に遮蔽される発光の量が減少する。n側電極21は、たとえば、チタン層、アルミニウム層および金層がこの順序で積層されて構成されていれば良く、ワイヤボンドを行なう場合の強度を想定すると1μm程度の厚さを有していれば良い。p側電極25は、たとえばニッケル層、アルミニウム層、チタン層および金層がこの順序で積層されて構成されていれば良く、1μm程度の厚さを有していれば良い。n側電極21とp側電極25は同一の組成であってもよい。透明電極23は、たとえばITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)などの透明導電膜から形成されれば良く、20nm以上200nm以下の厚さを有していれば良い。
以上のように、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子1によれば、中間部発光層14における中間部バリア層14A及中間部井戸層14Bの厚さを上部発光層15の上部バリア層15A及び上部井戸層15Bの厚さよりも薄くし、また、中間部発光層14における中間部バリア層14Aの厚さを下部発光層の下部バリア層13Aよりも薄くしたことにより、上部発光層14の上部井戸層14Bにおけるピエゾ電界が低減させ、p側から注入されるホールの発光層全体への拡散させられる。また、注入ホール密度を低くすることができるので、オージェ再結合の発生を抑えることができ、発光効率を向上させられる。
尚、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子1において、下部発光層13の平均n型ドーピング濃度が上部発光層15の平均n型ドーピング濃度よりも高くすることが好ましい。そのため、下部発光層13における直列抵抗成分の低下を図ることができ、窒化物半導体発光素子1を大電流で駆動させても動作電圧の上昇を防止できる。
また、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子1では、下部バリア層13Aの厚さは、直下の層(着目している下部バリア層13Aに対して1層の下部井戸層13Bを挟んでn型窒化物半導体16側に位置する下部バリア層13A)の厚さと同じである、またはp型窒化物半導体層16側に近づくにつれて薄くなることが好ましい。これにより、上述したような、大電流駆動時における動作電圧の上昇および発光効率の低下を防止できることにより、大電流駆動時における電力効率の悪化を防止できるという効果がさらに顕著となる。同様の理由から、上部バリア層15Aの厚さは、直下の層(着目している上部バリア層15Aに対して1層の上部井戸層15Bを挟んでn型窒化物半導体16側に位置する上部バリア層15A)の厚さと同じである、または、p型窒化物半導体層16側に近づくにつれて薄くなることが好ましい。
これは、歪によるピエゾ電界の影響を抑えることができるためである。ピエゾ電界の影響は、ピエゾ電界によって発光層のバンドが曲がり、電子と正孔の波動関数の重なりが小さくなることと、電流値の増加に従い注入された電子と正孔によってピエゾ電界が遮蔽され、遷移エネルギーが大きくなることがあるが、これら2つの影響を抑制させることができる。
また、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子1では、下部バリア層13Aの平均n型ドーピング濃度は、直下の層の平均n型ドーピング濃度と同じである、またはp型窒化物半導体層16側に近づくにつれて低くなることが好ましい。これにより、下部発光層13における直列抵抗成分の低下を図ることができるという効果が顕著となる。同様の理由から、上部バリア層15Aの平均n型ドーピング濃度は、直下の層の平均n型ドーピング濃度と同じである、またはp型窒化物半導体層16側に近づくにつれて低くなることが好ましい。
ここで、キャリア濃度は、電子または正孔の濃度を意味し、n型ドーパントの量またはp型ドーパントの量だけで決まらない。つまり、下部発光層13のキャリア濃度は下部発光層13にドープされたn型ドーパントの量だけで決まらず、上部発光層15のキャリア濃度は上部発光層15にドープされたn型ドーパントの量だけで決まらない。このようなキャリア濃度は、窒化物半導体発光素子1の電圧対容量特性の結果に基づいて算出されるものであり、電流が注入されていない状態のキャリア濃度のことを指しており、イオン化した不純物、ドナー化した結晶欠陥、またはアクセプター化した結晶欠陥から発生したキャリアの合計である。
しかしながら、n型キャリア濃度は、n型ドーパントであるSi等の活性化率が高いことから、n型ドーピング濃度とほぼ同じと考えることができる。また、n型ドーピング濃度は、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)にて深さ方向の濃度分布を測定することにより、容易に求まる。さらに、ドーピング濃度の相対関係(比率)は、キャリア濃度の相対関係(比率)とほぼ同じである。これらのことから、本発明の特許請求の範囲では、実際に測定の容易なドーピング濃度で定義している。そして、測定により得られたn型ドーピング濃度を平均すれば、平均n型ドーピング濃度を得ることができる。
以下では、本発明の具体的な実施例を示す。なお、本発明は以下に示す実施例に限定されない。
まず、凹凸加工が上面に施された100mm径のサファイア基板3からなるウエハを準備し、その上面上に、AlNからなるバッファ層5をスパッタ法により形成した。
次に、ウエハを第1のMOCVD装置に入れ、MOCVD法により、原料ガスとしてTMG(trimethyl gallium)とNHとを用いてアンドープGaNからなる下地層7を結晶成長させ、引き続きドーパント用ガスとしてSiHを加えてn型GaNからなるn型窒化物半導体層9を結晶成長させた。このとき、下地層7の厚さは4μm、n型窒化物半導体層9の厚さは3μmであり、n型窒化物半導体層9におけるn型ドーピング濃度は6×1018cm−3であった。
第1のMOCVD装置から取り出したウエハを、第2のMOCVD装置に入れ、ウエハの温度を1050℃に設定して、n型窒化物半導体層10を結晶成長させた。n型窒化物半導体層10はn型GaNからなり、厚さは1.5μmである。引き続きウエハの温度を880℃に設定して、超格子層11を結晶成長させた。具体的には、SiドープGaNからなるワイドバンドギャップ層11AとSiドープInGaNからなるナローバンドギャップ層11Bとを交互に20周期、結晶成長させた。
ここで、ワイドバンドギャップ層11A用の原料ガスとしてTMGとNHとSiHとを用いた。各ワイドバンドギャップ層11Aの厚さは1.75nmであり、各ワイドバンドギャップ層11Aにおけるn型ドーピング濃度は3×1018cm−3であった。
ナローバンドギャップ層11Bは、原料ガスとしてTMGとTMI(trimethyl indium)とNHとSiHとを用いて、結晶成長させた。各ナローバンドギャップ層11Bの厚さは1.75nmであった。また、井戸層がフォトルミネッセンスにより発する光の波長が375nmとなるようにTMIの流量を調整したため、各ナローバンドギャップ層の組成はInGa1−yN(y=0.10)であった。超格子層11の平均n型ドーピング濃度は約3×1018cm−3となった。
次に、ウエハの温度を855℃に下げて下部発光層13を結晶成長させた。具体的には、SiドープGaNからなる下部バリア層13AとアンドープInGaNからなる下部井戸層13Bとを交互に2周期、結晶成長させた。
下部バリア層13Aは、原料ガスとしてTMGとNHとSiHとを用いて結晶成長させた。各下部バリア層13Aの成長速度を100nm/hourとした。各下部バリア層13Aの厚さは6.5nmであり、各下部バリア層13Aにおけるn型ドーピング濃度は3.4×1017cm−3であった。
下部井戸層13Bは、原料ガスとしてTMIガスとNHガスとを用い、キャリアガスとして窒素ガスを用いて、アンドープInGa1−xN層(x=0.13)を結晶成長させた。各下部井戸層13Bの成長速度を30nm/hourとした。各下部井戸層13Bの厚さは3.25nmであった。また、Inの組成xは、下部井戸層13Bがフォトルミネッセンスにより発する光の波長が445nmとなるようにTMIの流量を調整して設定した。下部バリア層13Aと下部井戸層13Bとを含む下部発光層13の平均n型ドーピング濃度は約2.6×1017cm−3となった。
次に、中間部発光層14を結晶成長させた。アンドープInGaNとアンドープGaNからなる。具体的には、厚さが1.6nmの中間部井戸層14Bと厚さがほぼ1原子層である0.5nmの中間部バリア層14Aとを交互に1周期、結晶成長させた。
次に、上部発光層15を結晶成長させた。具体的には、アンドープGaNからなる上部バリア層15AとアンドープInGaNからなる上部井戸層15Bとを交互に3周期、結晶成長させた。
上部バリア層15Aは、原料ガスとしてTMGとNHとSiHとを用いて結晶成長させた。各上部バリア層15Aの成長速度を100nm/hourとした。各上部バリア層15Aの厚さを6.5nmとした。各上部バリア層15Aはアンドープとした。
上部井戸層15Bは、原料ガスとしてTMIガスとNHガスとを用い、キャリアガスとして窒素ガスを用いて、アンドープInGa1−xN層(x=0.13)を結晶成長させた。各上部井戸層15Bの成長速度を30nm/hourとした。各上部井戸層15Bの厚さを3.25nmとし、各下部井戸層13Bの厚さと設計上同じ厚さとした。また、Inの組成xは、上部井戸層15Bがフォトルミネッセンスにより発する光の波長が445nmとなるようにTMIの流量を調整して設定した。上部バリア層15Aと上部井戸層15Bを含む上部発光層15の平均n型ドーピング濃度は約7×1016cm−3となった。
次に、最上層の上部井戸層15Bの上に、アンドープのGaN層からなる最後の上部バリア層15A’を12nm成長した。
次に、ウエハの温度を上げて、最上バリア層の上面上に、p型Al0.18Ga0.82N層16、p型GaN層17およびp型コンタクト層18を結晶成長させた。
そして、n型窒化物半導体層9の一部分が露出するように、p型コンタクト層18、p型GaN層17、p型AlGaN層16、上部発光層15、下部発光層13、超格子層11、n型窒化物半導体層10の一部をエッチングした。このエッチングにより露出したn型窒化物半導体層10の上面上にAuからなるn側電極21を形成した。また、p型コンタクト層18の上面上に、ITOからなる透明電極23とAuからなるp側電極25とを順に形成した。また、主として透明電極23及び上記エッチングによって露出した各層の側面を覆うように、SiOからなる透明保護膜27を形成した。
ウエハを318×795μmサイズのチップに分割して、実施例に係る窒化物半導体発光素子が得られた。
得られた窒化物半導体発光素子を、TO−18型ステムにマウントし、樹脂封止を行なわずに光出力を測定したところ、駆動電流30mA、駆動電圧3.0Vで光出力43.7mW(ドミナント波長447.5nm)が得られた。
このようにして高い発光効率が得られた窒化物半導体発光素子は、C−V測定による図4の測定結果から下記の効果が確認できた。
図4において、縦軸はキャリア濃度であり、横軸は測定深さについて示しており、紙面に向かって左からn側層、右側がp側層を示している。従来構造は、中間部井戸層をアンドープInGaN3.25nmとし、中間部バリア層をアンドープGaN6.5nmとした以外は、上述した本願構造と同じである。
本願構造の結果は従来の窒化物半導体発光素子に比べ、活性層中の下部発光層のn側から3つ目のバリア層が中間部発光層のバリア層と重なりキャリア濃度が高くなっており、活性層中をp型窒化物半導体層から活性層中をホールが移動する距離が少なくなっていることが確認できた。活性層中をホールが移動する距離が少なくなることでエネルギーロスが少なったと判断している。
図5の測定結果により下記の効果が確認できた。光出力が、従来構造の40.4mWに対し42.0mW(ドミナント波長452.0nm)、従来構造の42.1mWに対し43.7mW(ドミナント波長447.5nm)が得られた。
すなわち、ドミナント波長が452.0nmのときには、本願発明の光出力は、従来構造に比べておよそ4パーセント増加していて、ドミナント波長が447.5nmのときには、本願発明の光出力は、従来構造に比べておよそ3.8パーセント増加している。
1 窒化物半導体発光素子
3 基板
3A 凸部
3B 凹部
5 バッファ層
7 中間層
9 n型窒化物半導体層
11 超格子層
11A ワイドバンドギャップ層
11B ナローバンドギャップ層
13 下部発光層
13A 下部バリア層
13B 下部井戸層
14 中間部発光層
14A 中間部バリア層
14B 中間部井戸層
15 上部発光層
15A 上部バリア層
15B 上部井戸層
16 p型窒化物半導体層
17 p型窒化物半導体層
18 p型窒化物半導体層
21 n側電極
23 透明電極
25 p側電極
27 透明保護膜
30 メサ部

Claims (7)

  1. n型窒化物半導体層と、下部発光層と、中間部発光層と、上部発光層と、p型窒化物半導体層とをこの順に備える窒化物半導体発光素子であって、
    前記下部発光層は、複数の下部井戸層と該下部井戸層よりバンドギャップの大きい複数の下部バリア層とが交互に積層され、
    前記中間部発光層は、少なくとも一つ以上の中間部井戸層と該中間部井戸層よりバンドギャップの大きい少なくとも一つ以上の中間部バリア層とが交互に積層され、
    前記上部発光層は、複数の上部井戸層と該上部井戸層よりバンドギャップの大きい複数の上部バリア層とが交互に積層されたものであり、
    前記中間部バリア層の厚さは、前記下部バリア層及び前記上部バリア層の厚さよりも薄く、前記中間部井戸層の厚さは、前記上部井戸層の厚さよりも薄いことを特徴とする窒化物半導体発光素子。
  2. 前記中間部バリア層の厚さは、前記下部バリア層の厚さより0.5nm以上薄いことを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
  3. 前記下部バリア層または前記上部バリア層のうち、少なくともいずれか一方の厚さは、p型窒化物半導体層側に近づくにつれて薄くなることを特徴とする請求項1または2に記載の窒化物半導体発光素子。
  4. 前記下部井戸層のn型ドーピング濃度は、3×1017cm−3以上3×1018cm−3以下であることを特徴とする請求項1〜3に記載の窒化物半導体発光素子。
  5. 前記上部バリア層のn型ドーピング濃度は、8×1017cm−3以下であることを特徴とする請求項1〜4に記載の窒化物半導体発光素子。
  6. 前記下部発光層の平均n型ドーピング濃度は、前記上部発光層の平均n型ドーピング濃度より高いことを特徴とする請求項1〜5に記載の窒化物半導体発光素子。
  7. 前記下部バリア層または前記上部バリア層のうち、少なくともいずれか一方のn型ドーピング濃度は、p型窒化物半導体層側に近づくにつれて低くなることを特徴とする請求項1〜6に記載の窒化物半導体発光素子。
























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