JP2014160806A - Led素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】活性層に隣接するn型半導体層の格子不整合に起因した課題を生じさせることなく、活性層内の水平方向の電流広がりを確保して、発光効率を向上させたLED素子を実現する。
【解決手段】 LED素子1は、支持基板11上に窒化物半導体層をc軸成長させてなる素子であり、n型窒化物半導体で構成される第1半導体層15と、電流拡散層3と、窒化物半導体で構成される活性層17と、p型窒化物半導体で構成される第2半導体層19を有する。電流拡散層3は、InGa1−xN(0<x≦0.05)からなる第3半導体層と、n−Aly1Gay2Iny3N(0<y1<1,0<y2<1,0≦y3≦0.05,y1+y2+y3=1)からなる第4半導体層のヘテロ接合を有し、第3半導体層の膜厚が10nm以上25nm以下である。
【選択図】 図1

Description

本発明はLED素子に関し、特に窒化物半導体で構成されたLED素子に関する。
従来、窒化物半導体を用いたLED素子としては、青色発光ダイオードで代表されるように、サファイア基板上にエピタキシャル成長によって半導体層構造体(積層半導体基板)を形成している。このような技術は、例えば下記特許文献1や特許文献2に開示されている。
特許文献1には、サファイア基板の上に、n型窒化物半導体として窒化ガリウム(GaN)よりなるn型コンタクト層と、n−AlGaNよりなるn型クラッド層と、n−InGaNよりなる活性層と、p−AlGaNよりなるp型クラッド層と、p−GaNよりなるp型コンタクト層とが順に積層された構造を有したLEDが開示されている。活性層は、単一量子井戸構造又は多重量子井戸構造で実現されている。
そして、サファイア基板とn型コンタクト層との間には、GaN、AlGaN又はAlNよりなるバッファ層が形成されている。活性層を形成するn−InGaNには、SiやGeなどのドナー不純物及び/又はZnやMgなどのアクセプター不純物がドープされている。
特許文献2には、LEDを形成する積層半導体基板において、c軸方向に面方位が揃ったAlN上に、それよりも格子定数が大きく、且つc軸方向に面方位が揃ったGaN層を成長形成させ、その上にそれよりも格子定数が小さいn−AlGaN層、多重量子井戸構造を有する活性層、p−AlGaN層を順次形成する内容が開示されている。
特開平10−93138号公報 特開2005−209925号公報
GaNやAlGaNなどの窒化物半導体は、ウルツ鉱型結晶構造(六方晶構造)を有している。ウルツ鉱型結晶構造の面は、4指数表記(六方晶指数)にて、a1、a2、a3及びcで示される基本ベクトルを用いて結晶面や方位が表される。基本ベクトルcは、[0001]方向に延びており、この方向は「c軸」と呼ばれる。c軸に垂直な面は「c面」又は「(0001)面」と呼ばれる。
従来、窒化物半導体を用いて半導体素子を作製する場合、窒化物半導体結晶を成長させる基板として、c面基板を主面に有する基板が使用される。実際にはこの基板上にアンドープのGaN層を成長させ、更にその上層にn型の窒化物半導体層を成長させる。
図10は、従来のLED素子90の構造を示す概略断面図である。なお、以下の図面において、実際の寸法比と図面上の寸法比は必ずしも一致しない。
LED素子90は、サファイアなどの支持基板11の上層に、例えばアンドープのGaN層を3μmの膜厚で形成したアンドープ層13と、その上層に、例えばn−AlGaN層を1.5μmの膜厚で形成したn型クラッド層15を有する。更に、LED素子90は、n型クラッド層15の上層に、例えば井戸層を構成する膜厚2nmのInGaNと障壁層を構成する膜厚5nmのAlGaNを交互に積層することでMQW(Multi-quantum Well:多重量子井戸)を形成した、活性層17を有する。更に、LED素子90は、活性層17の上層に、例えばp−AlGaN層で形成されたp型クラッド層19を有し、その上層にp−GaN層で形成されたp型コンタクト層21を有する。なお、LED素子90は、必要に応じて活性層17とp型クラッド層19の間に、AlGaNで形成されたラストバリア層を有する。
ここで、n型クラッド層15を構成するAlGaNは、その下層のアンドープ層13を構成するGaNよりも格子定数が小さい。このため、n型クラッド層15内に格子不整合に起因した引張応力81が生じる。なお、引張応力81が示す矢印は、応力の向きを表している。この引張応力81は、n型クラッド層15の膜厚の増大と共に増大し、ある閾値を超えると表面荒れやクラック、結晶欠陥に伴うミスフィット転位が生じて発光効率の低下を招く。
一方、n型クラッド層15の膜厚を薄くし過ぎた場合、p型コンタクト層21の上面に形成される給電端子(不図示)とn型クラッド層15の間に電圧を印加すると、給電端子から、その直下近傍に位置するp型コンタクト層21、p型クラッド層19、活性層17を介してn型クラッド層15に電流が流れる。このため、活性層17内の一部の領域のみに電流が流れてしまい、発光領域が少なくなって結果的に発光効率の低下を招く。更に、活性層17の一部を電流が流れるために、局部的に電流集中が起こり、活性層17内でのキャリアの不均一性が生じて高い発光強度を得ることができない。
本発明は、上記の課題に鑑み、活性層に隣接するn型半導体層の格子不整合に起因した課題を生じさせることなく、活性層内の水平方向の電流広がりを確保して、発光効率を向上させたLED素子を実現することを目的とする。
本発明のLED素子は、支持基板上に窒化物半導体層をc軸成長させてなるLED素子であって、n型窒化物半導体で構成される第1半導体層と、前記第1半導体層の上層に形成された電流拡散層と、前記電流拡散層の上層に形成された、窒化物半導体で構成される活性層と、前記活性層の上層に形成された、p型窒化物半導体で構成される第2半導体層を有し、
前記電流拡散層は、InGa1−xN(0<x≦0.05)からなる第3半導体層と、n−Aly1Gay2Iny3N(0<y1<1,0<y2<1,0≦y3≦0.05,y1+y2+y3=1)からなる第4半導体層のヘテロ接合を有し、前記第3半導体層の膜厚が10nm以上25nm以下であることを特徴とする。
InGa1−xNからなる第3半導体層とn−Aly1Gay2Iny3N(0<y1<1,0<y2<1,0≦y3≦0.05,y1+y2+y3=1)からなる第4半導体層のヘテロ接合により、両材料のバンドギャップの相違により、両層の界面にバンドベンディング領域が形成される。このバンドベンディング領域に、水平方向に移動度の高い二次元電子ガス層が形成される。
ここで、InGa1−xNのIn比率を10%よりも高くすると、ピエゾ電界に起因したエネルギーバンドの歪みが生じ、量子シュタルク効果によって発光効率が低下する。これは、活性層をInGa1−aN(0<a≦1)からなる井戸層とAlGa1−bN(0<b≦1)からなる障壁層が繰り返されてなる多重量子井戸構造で実現する場合においても同様である。ここで、In組成の比率は、放射光の波長を決定する要因となる。つまり、電流拡散層を構成するInGa1−xNや、活性層を構成するInGa1−aN(0<a≦1)のIn比率を10%以下とした場合に取り出し得る光、すなわち波長が例えば365nm程度の近紫外光を生成するLED素子として本発明は特に有用である。
また、InGa1−xNからなる第3半導体層の膜厚を、一般的な多重量子井戸構造の井戸層を構成するために形成されるInGa1−xNの膜厚(例えば2nm程度)よりも、十分に厚い10nm以上25nm以下としている。一般的な多重量子井戸構造では、量子シュタルク効果による発光割合の低下を防ぐために、InGa1−xNの膜厚を2nm程度、厚くても高々3nm以下とすることが行われている。
しかし、本発明のLED素子では、電流拡散層を構成するInGa1−xNの膜厚を、10nm以上25nm以下としている。このように、膜厚を大きくすることで、InGa1−xNによって形成されるほぼ平坦なバンド領域を広くし、電子を確保する容量を増加することができる。この領域に電子が十分に蓄積されるまでの間、第4半導体層(n−Aly1Gay2Iny3N)によって形成される障壁を電子が超えられない。この間、二次元電子ガスが界面に平行な方向に移動するため、電子が水平方向に拡散する。つまり、電子が十分に水平方向に拡散し、バンドベンディング領域及びほぼ平坦なバンド領域内に十分な量の電子が蓄積された段階で、電子がn−Aly1Gay2Iny3Nの障壁を超えてp層側に移動する。つまり、電流がp層側からn層側に流れるまでに、いったん水平方向に電子の広がりが実現される。これにより、活性層内を流れる電流が水平方向に広がるので、活性層全体で発光させることができ、発光効率を高めることができる。
他方、本発明者らの鋭意研究により、InGa1−xNの膜厚を25nmよりも厚く、例えば30nmにした場合、結晶欠陥などの問題が顕在化して、光出力が低下することが分かった。つまり、InGa1−xNの膜厚は、結晶欠陥が生じない臨界膜厚以下とするのが好ましい。
よって、上記のように、InGa1−xNの膜厚を10nm以上25nm以下とすることで、従来のLED素子よりも、光出力を向上させる効果が得られる。なお、後述するように、InGa1−xNの膜厚を上記範囲内とすることで、素子のESD(Electro Static Discharge:静電気放電)に対する耐圧を向上させる効果も得られる。
なお、n−Aly1Gay2Iny3Nとした第4半導体層に含まれるIn組成は0であっても構わない。ただし、第4半導体層にInを5%以内の範囲で含ませることで、光出力を更に向上させる効果が得られる。
また、本発明のLED素子は、前記第3半導体層のバンドギャップエネルギーが、前記第1半導体層及び前記第4半導体層の各々のバンドギャップエネルギーよりも小さいことを別の特徴とする。かかる構成とすることで、第3半導体層と第4半導体層の界面に二次元電子ガス層を形成することができる。
更に、本発明者らの鋭意研究により、第4半導体層であるn−Aly1Gay2Iny3NのSiドープ濃度を、1×1018/cm以上、5×1018/cm以下とすることで、このような光出力の向上効果を担保できることが分かった。例えば、Siドープ濃度を5×1017/cmといった、1×1018/cmよりも少ない値とした場合には、絶対的なキャリア不足に伴う活性層内におけるキャリアの不均一が生じ、他方、9×1018/cmといった、5×1018/cmよりも高い値とした場合にはドループ現象が生じ、いずれも高い光出力が得られないことが分かった。
よって、InGa1−xNの膜厚を10nm以上25nm以下とした上で、更にn−Aly1Gay2Iny3NのSiドープ濃度を、1×1018/cm以上、5×1018/cm以下とすることで、従来のLED素子よりも、更に光出力を向上させる効果が得られる。
なお、前記電流拡散層を、前記第3半導体層と前記第4半導体層が複数組積層されることで、前記ヘテロ接合を複数有する構成として実現しても構わない。
このような構成とした場合、ヘテロ接合の界面が複数形成されることから、二次元電子ガス層が形成される電子井戸が複数形成される。また、電子蓄積層として機能するInGa1−xNによる電子井戸も複数形成される。これにより、電流広がりの効果を更に高めることができる。
本発明によれば、n型クラッド層を結晶欠陥が招来しない範囲内の膜厚で形成しつつも、水平方向への電流広がりを実現することができるので、発光効率の高いLED素子を実現することができる。
本発明のLED素子の構造を示す概略断面図である。 InGa1−xNのIn組成を変化させたときの、活性層を流れる電流とLED素子から得られる光出力の関係を示すグラフである。 電流拡散層の理想的なエネルギーバンド図を模式的に示したものである。 電流拡散層のエネルギーバンド図をピエゾ電界の影響を反映して模式的に示したものである。 電流拡散層の伝導帯のエネルギーバンド図を、半導体材料の相互作用を反映させて模式的に示したものである。 InGa1−xNの膜厚を変化させたときの、活性層を流れる電流とLED素子から得られる光出力の関係を示すグラフである。 InGa1−xNの膜厚とLED素子の歩留まりの関係を示す表である。 AlGaNのSiドープ濃度を変化させたときの、活性層を流れる電流とLED素子から得られる光出力の関係を示すグラフである。 電流拡散層の伝導帯のエネルギーバンド図を、半導体材料の相互作用を反映させて模式的に示したものである。 本発明のLED素子の別の構造を示す概略断面図である。 図8Aの構成における電流拡散層の伝導帯のエネルギーバンド図を、半導体材料の相互作用を反映させて模式的に示したものである。 第4半導体層に含まれるIn組成を異ならせて作製したLED素子に対して供給した電流と光出力の関係を示すグラフである。 従来のLED素子の構造を示す概略断面図である。
[構造]
図1は、本発明のLED素子1の構造を示す概略断面図である。なお、図10に示すLED素子90と同一の構成要素については、同一の符号を付している。また、以下の各図面において、実際の寸法比と図面上の寸法比は必ずしも一致しない。
LED素子1は、LED素子90と比較して電流拡散層3を追加的に備える点が異なる。つまり、LED素子1は、サファイアなどの支持基板11の上層に、下から順にアンドープ層13、n型クラッド層15(「第1半導体層」に対応)、電流拡散層3、活性層17、p型クラッド層19(「第2半導体層」に対応)、及びp型コンタクト層21を備える構成である。また、LED素子90と同様に、必要に応じて活性層17とp型クラッド層19の間に、ラストバリア層を有する(不図示)。
(支持基板11)
支持基板11は、サファイア基板で構成される。なお、サファイアの他、Si,SiC,GaN,YAGなどで構成しても構わない。
(アンドープ層13)
アンドープ層13は、GaNにて形成される。より具体的には、GaNよりなる低温バッファ層と、その上層にGaNよりなる下地層によって形成される。
(n型クラッド層15)
n型クラッド層15は、n−AlGa1−nN(0<n<1)で構成される。なお、アンドープ層13に接触する領域にn−GaNで構成される層(保護層)を含む構成としても構わない。この場合、保護層に、Si,Ge,S,Se,Sn,Teなどのn型不純物がドープされており、特にSiがドープされているのが好ましい。
なお、本実施形態では、一例としてn型クラッド層15をn−Al0.1Ga0.9Nで形成している。
(活性層17)
活性層17は、例えばInGa1−aN(0<a≦1)からなる井戸層とAlGa1−bN(0<b≦1)からなる障壁層が繰り返されてなる多重量子井戸構造(MQW)を有する半導体層で形成される。これらの層はノンドープでもp型又はn型にドープされていても構わない。
本実施形態では、一例として、活性層17のうちの井戸層をIn0.04Ga0.96N、障壁層をAl0.06Ga0.94Nとし、この井戸層と障壁層が5周期繰り返されることで活性層17を形成している。LED素子1において、この繰り返し周期数は5に限られない。
(p型クラッド層19)
p型クラッド層19は、例えばp−AlGa1−cN(0<c≦1)で構成され、Mg,Be,Zn,Cなどのp型不純物がドープされている。本実施形態では、一例としてp型クラッド層19をp−Al0.3Ga0.7Nとp−Al0.07Ga0.93Nの積層構造で形成している。なお、p型コンタクト層21に接触する領域にGaNで構成される層(保護層)を含む構成としても構わない。この場合、保護層に、Mg,Be,Zn,Cなどのp型不純物がドープされている。
(p型コンタクト層21)
p型コンタクト層21は、例えばp−GaNで構成される。特にMg,Be,Zn,Cなどのp型不純物が高濃度にドープされてp−GaN層で構成される。
(電流拡散層3)
電流拡散層3は、InGa1−xN(0<x≦0.05)からなる層(「第3半導体層」に対応)と、n−Aly1Gay2Iny3N(0<y1<1,0<y2<1,0≦y3≦0.05,y1+y2+y3=1)からなる層(「第4半導体層」に対応)のヘテロ接合によって形成される。このうち、第3半導体層を構成するInGa1−xNの膜厚は10nm以上25nm以下である。
[電流拡散層3の効果説明]
以下、上記構成の電流拡散層3を備えたことで、LED素子1が従来のLED素子90よりも発光効率が向上することにつき、実施例を参照して説明する。
(第3半導体のIn組成に関する考察)
図2は、電流拡散層3を構成するInGa1−xN(第3半導体層)のIn組成、すなわちx値を変化させたときの、活性層17を流れる電流とLED素子1から得られる光の出力の関係を示すグラフである。なお、比較のため、電流拡散層3を設けていない従来のLED素子90のデータも載せている。
In組成が2%、5%の場合は、いずれも従来のLED素子90よりも光出力が大きく得られていることが分かる。一方、In組成を10%とした場合、従来のLED素子90よりも光出力が低下していることが分かる。この結果は、以下のことを示唆するものと考えられる。
図3A及び図3Bは、電流拡散層3のエネルギーバンド図を模式的に示したものである。なお、以下では、各原子の組成に関して注目しない場合には、第3半導体層をInGaN、第4半導体層をAlGaNとそれぞれ表記するが、これは窒素以外の原子の比率が1:1であることを規定しているわけではない。なお、ここでは、第4半導体層に含まれるIn組成を0%であるものとして(n−AlGa1−yN)説明するが、Inを5%以内の範囲で含む第4半導体層であっても同様の議論が可能である。
InGaNに比べてAlGaNの方が、バンドギャップが大きい。このため、図3Aに示すように、後述する分極電界の影響を考慮しなければ、n型クラッド層15を構成するn−AlGaNと、電流拡散層3のAlGaNの間で、InGaNによるほぼ平坦なバンド領域が形成される。ここで、電流拡散層3を構成するInGaNの膜厚は、活性層17を構成するInGaNの膜厚(例えば2nm)よりもはるかに厚く、10nm以上25nm以下で構成されるため、ほぼ平坦なバンド領域が広く形成される。
LED素子1では、InGaN層4によって形成される平坦なバンド領域の面に垂直なc軸方向に圧電分極(ピエゾ分極)が発生する。
図3Bは、このピエゾ電界の影響を考慮して描かれた電流拡散層3のエネルギーバンドを模式的に示したものである。ピエゾ電界により、エネルギーバンドに歪みが生じる。
エネルギーバンドの歪みが増大すると、電子と正孔との波動関数の重なりが減少し、電子と正孔とが再結合することによって発光する割合が低下する、いわゆる量子シュタルク効果が生じる。この歪みは、InGaN中のIn組成比が大きくなるほど大きくなる。図2において、In組成を10%と増加させた場合に、電流拡散層3を設けていない従来のLED素子90よりも光出力が低下しているのは、この量子シュタルク効果が顕在化したものと考えられる。
一方、In組成が2%、5%の場合には、従来のLED素子90よりも光出力が増加している。この理由としては、以下の内容が考えられる。
図3Aに示したように、InGaNに比べてAlGaNは電子的なバンドギャップが大きい。図3Aには、伝導帯30、価電子帯31、並びにInGaNのフェルミ準位32及びAlGaNのフェルミ準位33が示されている。なお、図3Aでは、InGaNとAlGaNの間の相互作用は考慮されていない。
図3Cは2つの半導体材料の相互作用を反映させた伝導帯30の状態を模式的に示したものである。フェルミ準位32及び33は相互に等位になるが、AlGaNとInGaNのエネルギーバンドの不連続性により、p層に近いAlGaN層の伝導帯は下方へ引っ張られ、バンドベンディング領域41が生じる。このバンドベンディング領域41内において、水平方向に移動度の高い二次元電子ガス層が形成される。また、上述したように、InGaN層の膜厚を大きくしたことにより、ほぼ平坦なバンド領域42が拡がり、多くの電子を蓄積できるので、AlGaNとInGaNの界面に形成されるバンドベンディング領域41、及びInGaNのほぼ平坦なバンド領域42に電子が蓄積されるまで、AlGaNのポテンシャルを超えて電子がオーバーフローすることがない。つまり、水平方向への電子の移動が図られ、この結果、水平方向への電流広がりを実現することができる。つまり、AlGaNとInGaNにより電流拡散層3が実現される。
以上により、InGaNのIn比率を0%より高く5%以下とすることで、LED素子1の光出力を向上させる効果が得られることが分かる。
また、特に、InGaNの膜厚を大きくすることで、電流拡がり効果を高めることができ、光出力の向上に更に寄与している。この点につき、次に説明する。
(第3半導体の膜厚に関する考察)
上述したように、InGaNがほぼ平坦なバンド領域42を形成することから、電子を蓄積する能力を高める意味において、第3半導体(InGaN)の膜厚を大きくするのが好ましいといえる。しかし、GaNとInGaNの格子定数の差に起因して、InGaNの膜厚をあまりに大きくすると、格子緩和が生じ、バンドベンディング領域41及びほぼ平坦なバンド領域42に電子を十分に蓄積させることができなくなる。
図4は、InGaNの膜厚を変化させたときの、活性層を流れる電流とLED素子から得られる光出力の関係を示すグラフである。なお、In組成は2%とした。図4によれば、InGaNの膜厚10nmにおいて、電流拡散層3を備えない従来のLED素子90と同等の光出力が得られ、InGaNの膜厚を15nm、20nm、25nmとした場合には、従来よりも高い光出力が得られていることが分かる。なお、InGaNの膜厚を15nmとしたときに、印加電流値の広い範囲で最も高い光出力が得られている。
これに対し、InGaNの膜厚を30nmにした場合には、従来のLED素子90よりも光出力が低下している。これは、膜厚を30nmにした場合には、上述した格子緩和による結晶欠陥が生じ、面内の電流の均一性が低下した結果、光出力が低下したものと考えられる。
なお、図4に示すように、InGaNの膜厚を10nmより小さい5nmとした場合にも、従来のLED素子90よりも光出力が低下した。これは、図3Bを参照して上述したように、ピエゾ電界の影響を大きく受けたことでInGaNによって形成されるほぼ平坦なバンド領域42にも傾きが生じ、電子を蓄積する能力が低下したことが理由であると考えられる。
以上により、InGaNの膜厚を10nm以上25nm以下とすることで、LED素子1の光出力を向上させる効果が得られることが分かる。
更に、InGaNの膜厚を厚くすることで、LED素子自体の耐圧特性が向上し、歩留まりを向上させる効果が得られる。図5は、InGaNの膜厚とLED素子の歩留まりの関係を示す表である。
電流拡散層3を構成する第4半導体層(ここではAlGaN)の膜厚を20nmに固定し、第3半導体層(InGaN)の膜厚を3nm、5nm、10nm、20nmと異ならせたLED素子1を作製した。そして、各LED素子1に対し、500Vの順方向電圧及び逆方向電圧をそれぞれ印加した後、逆方向バイアスとして−5Vを印加したときに流れる逆方向電流を測定する。このとき、当該逆方向電流の絶対値が5μA以下(又は未満)であるものを良好な素子とし、逆方向電流の絶対値が5μAを超えるものを不良素子として、歩留まりを測定した。
図5によれば、InGaNの膜厚を最も厚くした20nmのときが最も歩留まりが高く、InGaNの膜厚を最も薄くした3nmのときが最も歩留まりが低い。なお、InGaNの膜厚を3nm、5nm、10nm、20nmと順に厚くするに連れて歩留まりが高くなっており、InGaNの膜厚が10nm以上になると、歩留まりの良化傾向は鈍化している。
このような現象が生じた理由は、電流拡散層3を構成する第3半導体層(InGaN)の膜厚が厚くなることで、第3半導体層(InGaN)と第4半導体層(AlGaN)の間に二次元電子ガス層が生じやすくなるためと考えられる。上述したように、二次元電子ガス層は水平方向に電流を拡げる効果を有するが、これに伴って狭い領域に電流が集中しにくくなり、電界が緩和される。この結果、瞬間的に高電圧が印加された場合であっても、電流拡散層3において電界が拡散される結果、電界が集中しにくくなり、素子の破壊が起こりにくくなっているものと考えられる。
(第4半導体のSiドープ濃度に関する考察)
図6は、電流拡散層3を構成する第4半導体(AlGaN)のSiドープ濃度を変化させたときの、活性層を流れる電流とLED素子から得られる光出力の関係を示すグラフである。なお、InGaNのIn組成を2%とし、膜厚を15nmとした。
図6によれば、Siドープ濃度が3×1018(/cm)のときが、最も高い光出力を示している。また、1×1018(/cm)、3×1018(/cm)、5×1018(/cm)の場合には、いずれも従来のLED素子90より高い光出力を示していることが分かる(図4参照)。これに対し、Siドープ濃度が1×1018(/cm)よりも低い5×1017(/cm)の場合と、5×1018(/cm)よりも高い9×1018(/cm)の場合には、従来のLED素子90より光出力が低下していることが分かる(図4参照)。
これは、AlGaNのSiドープ濃度が5×1017(/cm)の場合には、絶対的なSi濃度が低いために、活性層17内でSiの不均一が生じて光出力が低下しているものと考えられる。一方、AlGaNのSiドープ濃度が9×1018(/cm)の場合には、電子のオーバーフローによって発光再結合確率が低下し、内部発光効率が悪化する、いわゆるドループ現象が生じているために、光出力が低下しているものと考えられる。
以上により、電流拡散層3を構成するAlGaNのSi濃度を1×1018(/cm)以上5×1018(/cm)以下とすることで、LED素子1の光出力を更に向上させる効果が得られることが分かる。
伝導帯30のスクリーニング効果について、図7を参照して説明する。図7(a)は、電流拡散層3を構成するAlGaNへのSiドープをしなかった場合、図7(b)は、電流拡散層3を構成するAlGaNのSiドープ濃度を3×1018/cmとした場合の、電流拡散層3の伝導帯30を模式的に示したものである。
前述したように、アンドープ層13を構成するGaN結晶のc面上に、n型クラッド層15を構成するAlGaNを結晶成長させた場合、格子定数差に基づくピエゾ電界が発生する。この電界に起因して、n型クラッド層15を構成するn−AlGaN、及び電流拡散層3を構成するAlGaN層とInGaN層によって形成される伝導帯30に傾きが生じる(領域51)。この傾きの存在は、p層側(図面上右側)への電子の移動を妨げてしまう。これに対し、AlGaN層にSiをドープすると、ピエゾ電界を打ち消す方向に電界が働くため、伝導帯30を押し下げる効果が働く。この結果、伝導帯30の傾きが緩和され(領域52)、n層側から電子をバンドベンディング領域41及びほぼ平坦なバンド領域42へと注入しやすくなる。
特に、100A/cm程度の高注入デバイスとしてLED素子1を設計する場合においては、より多くの電子を注入できる構成とするのが好ましい。この結果からも、AlGaN層3に対してドープするSi濃度は高くするのが好ましい。ただし、高くし過ぎると、前述したようにドループ現象が生じるため、1×1018/cm以上、1×1019/cm以下のSiドープ濃度とすることで、光出力を向上させることが可能となる。
[LED素子1の製造方法]
次に、本発明のLED素子1の製造方法につき説明する。なお、下記製造方法で説明する製造条件や膜厚などの寸法は、あくまで一例であって、これらの数値に限定されるものではない。
<ステップS1>
まず、支持基板11上に、アンドープ層13を形成する。例えば、以下の工程により行われる。
(支持基板11の準備)
支持基板11としてサファイア基板を用いる場合、c面サファイア基板のクリーニングを行う。このクリーニングは、より具体的には、例えばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属化学気相蒸着)装置の処理炉内にc面サファイア基板を配置し、処理炉内に流量が10slmの水素ガスを流しながら、炉内温度を例えば1150℃に昇温することにより行われる。
(アンドープ層13の形成)
次に、支持基板11(c面サファイア基板)の表面に、GaNよりなる低温バッファ層を形成し、更にその上層にGaNよりなる下地層を形成する。これら低温バッファ層及び下地層がアンドープ層13に対応する。
アンドープ層13のより具体的な形成方法は例えば以下の通りである。まず、МОCVD装置の炉内圧力を100kPa、炉内温度を480℃とする。そして、処理炉内にキャリアガスとして流量がそれぞれ5slmの窒素ガス及び水素ガスを流しながら、原料ガスとして、流量が50μmol/minのトリメチルガリウム(TMG)及び流量が250000μmol/minのアンモニアを処理炉内に68秒間供給する。これにより、支持基板11の表面に、厚みが20nmのGaNよりなる低温バッファ層を形成する。
次に、MOCVD装置の炉内温度を1150℃に昇温する。そして、処理炉内にキャリアガスとして流量が20slmの窒素ガス及び流量が15slmの水素ガスを流しながら、原料ガスとして、流量が100μmol/minのTMG及び流量が250000μmol/minのアンモニアを処理炉内に30分間供給する。これにより、第1バッファ層の表面に、厚みが1.7μmのGaNよりなる下地層を形成する。
<ステップS2>
次に、アンドープ層13の上層に、n−AlGa1−nN(0<n≦1)で構成されるn型クラッド層15を形成する。
n型クラッド層15のより具体的な形成方法は例えば以下の通りである。まず、MOCVD装置の炉内圧力を30kPaとする。そして、処理炉内にキャリアガスとして流量が20slmの窒素ガス及び流量が15slmの水素ガスを流しながら、原料ガスとして、流量が94μmol/minのTMG、流量が6μmol/minのトリメチルアルミニウム(TMA)、流量が250000μmol/minのアンモニア及び流量が0.025μmol/minのテトラエチルシランを処理炉内に30分間供給する。これにより、Al0.06Ga0.94Nの組成を有し、Si濃度が3×1019/cmで厚みが1.7μmの高濃度電子供給層をアンドープ層13の上層に形成する。つまり、この工程によって、少なくとも上面の領域に関してはSi濃度が3×1019/cmで厚みが1.7μmの高濃度電子供給層を有するn型クラッド層15が形成される。
なお、ここでは、n型クラッド層15に含まれるn型不純物としてシリコン(Si)を用いるものとして説明したが、ゲルマニウム(Ge)、硫黄(S)、セレン(Se)、錫(Sn)及びテルル(Te)などを用いることもできる。なお、これらの中では、特にシリコン(Si)が好ましい。
<ステップS3>
次に、n型クラッド層15の上層に、InGa1−xN(0<x≦0.05)からなる第3半導体層と、n−AlGa1−yN(0<y≦1)からなる第4半導体層を形成することで、電流拡散層3を形成する。
電流拡散層3のより具体的な形成方法は例えば以下の通りである。まず、MOCVD装置の炉内圧力を100kPa、炉内温度を830℃とする。そして、処理炉内にキャリアガスとして流量が15slmの窒素ガス及び流量が1slmの水素ガスを流しながら、原料ガスとして、流量が10μmol/minのTMG、流量が12μmol/minのトリメチルインジウム(TMI)及び流量が300000μmol/minのアンモニアを処理炉内に360秒間供給するステップを行う。その後、流量が10μmol/minのTMG、流量が1.6μmol/minのTMA、流量が0.009μmol/minのテトラエチルシラン及び流量が300000μmol/minのアンモニアを処理炉内に360秒間供給するステップを行う。これにより、厚みが15nmのInGaN及び厚みが20nmのn−AlGaNよりなる電流拡散層3が形成される。
<ステップS4>
次に、電流拡散層3の上層にInGa1−aN(0<a≦1)からなる井戸層とAlGa1−bN(0<b≦1)からなる障壁層が繰り返されてなる多重量子井戸構造を有する活性層17を形成する。
活性層17のより具体的な形成方法は例えば以下の通りである。まず、MOCVD装置の炉内圧力を100kPa、炉内温度を830℃とする。そして、処理炉内にキャリアガスとして流量が15slmの窒素ガス及び流量が1slmの水素ガスを流しながら、原料ガスとして、流量が10μmol/minのTMG、流量が12μmol/minのTMI及び流量が300000μmol/minのアンモニアを処理炉内に48秒間供給するステップを行う。その後、流量が10μmol/minのTMG、流量が1.6μmol/minのTMA、0.002μmol/minのテトラエチルシラン及び流量が300000μmol/minのアンモニアを処理炉内に120秒間供給するステップを行う。以下、これらの2つのステップを繰り返すことにより、厚みが2nmのInGaNよりなる井戸層及び厚みが7nmのn−AlGaNよりなる障壁層による5周期の多重量子井戸構造を有する活性層17が、電流拡散層3の上層に形成される。
<ステップS5>
次に、活性層17の上層に、p−AlGa1−cN(0<c≦1)で構成されるp型クラッド層19を形成し、更にその上層に高濃度のp型コンタクト層21を形成する。
p型クラッド層19及びp型コンタクト層21の、より具体的な形成方法は例えば以下の通りである。まず、MOCVD装置の炉内圧力を100kPaに維持し、処理炉内にキャリアガスとして流量が15slmの窒素ガス及び流量が25slmの水素ガスを流しながら、炉内温度を1050℃に昇温する。その後、原料ガスとして、流量が35μmol/minのTMG、流量が20μmol/minのTMA、流量が250000μmol/minのアンモニア及び流量が0.1μmol/minのビスシクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg)を処理炉内に60秒間供給する。これにより、活性層17の表面に、厚みが20nmのAl0.3Ga0.7Nの組成を有する正孔供給層を形成する。その後、TMAの流量を9μmol/minに変更して原料ガスを360秒間供給することにより、厚みが120nmのAl0.07Ga0.93Nの組成を有する正孔供給層を形成する。これらの正孔供給層によりp型クラッド層19が形成される。
更にその後、TMAの供給を停止すると共に、CpMgの流量を0.2μmol/minに変更して原料ガスを20秒間供給する。これにより、厚みが5nmのp−GaNよりなるp型コンタクト層21が形成される。
なお、ここでは、p型クラッド層19及びp型コンタクト層21に含まれるp型不純物としてマグネシウム(Mg)を用いるものとして説明したが、ベリリウム(Be)、亜鉛(Zn)、カーボン(C)などを用いることもできる。
<ステップS6>
次に、ステップS1〜S5を経て得られたウェハに対して活性化処理を行う。より具体的には、RTA(Rapid Thermal Anneal:急速加熱)装置を用いて、窒素雰囲気下中650℃で15分間の活性化処理を行う。
その後は、縦型のLED素子を実現する場合には、支持基板11を剥離した後、当該支持基板11が存在していた箇所に電極を形成してn側電極を形成する。また、横型のLED素子を実現する場合には、p側からn型半導体層が露出するまでエッチングを行なって、n側電極を形成する。なお、この場合、必要に応じて透明電極などの電極を形成するものとして構わない。その後、各電極に給電端子などを形成し、必要に応じて、露出されている素子側面や上面を透光性の高い絶縁層で覆い、ワイヤボンディングなどにより基板との接続を行う。
[別実施形態]
以下、別実施形態について説明する。
〈1〉 LED素子1において、InGa1−xN(0<x≦0.05)からなる層と、n−Aly1Gay2Iny3N(0<y1<1,0<y2<1,0≦y3≦0.05,y1+y2+y3=1)からなる層のヘテロ接合が複数繰り返し形成されて電流拡散層3を構成しても構わない(図8A参照)。また、図8Bは、図8Aの構成における電流拡散層3の伝導帯のエネルギーバンド図を、図3Cにならって模式的に示したものである。
図8Aのような構成とすることで、水平方向に電流を広げる役割を示すバンドベンディング領域41及び、電子を蓄積させる機能を示すほぼ平坦なバンド領域42を複数持たせることができるので、図1の構成よりも電流広がりの効果を更に向上させることができる。これにより、光出力を更に高めることができる。
ここで、電流拡散層3は、n型クラッド層15に最も近い側からInGa1−xNとn−Aly1Gay2Iny3Nとが周期的に形成されることで構成されるものとしても構わない。また、これとは逆に、電流拡散層3は、n型クラッド層15に最も近い側からn−Aly1Gay2Iny3NとInGa1−xNとが周期的に形成されることで構成されるものとしても構わない。図8A及び図8Bに示すように、電流拡散層3が複数の半導体層が周期的に形成されてなる場合、n型クラッド層に最も近い位置に形成される層及びp型クラッド層に最も近い位置に形成される層は、InGa1−xNであってもn−Aly1Gay2Iny3Nであっても構わない。
〈2〉 上述した実施形態では、電流拡散層3を構成する第4半導体層をn−AlGaNとして説明したが、5%以下の範囲内の組成でInが添加されてなるn−Aly1Gay2Iny3N(0<y1<1,0<y2<1,0≦y3≦0.05,y1+y2+y3=1)で構成されていても構わない。図9は、第4半導体層に含まれるIn組成を異ならせて作製したLED素子に対して供給した電流と光出力の関係を示すグラフである。図9の縦軸が示す光出力の値は、Inを含まないn−AlGaNによって第4半導体層を形成したLED素子に対して0.1Aを供給したときの光出力に対する相対値で規定している。
なお、第4半導体層に対してInを含ませる方法としては、上述したステップS3のうち、TMG、TMA、テトラエチルシラン、及びアンモニアを供給するステップを実行する際、これらのガスと共にTMIを所定流量で供給することで実現できる。
図9によれば、第4半導体層にInを4%含ませた場合には、Inを含ませずに第4半導体層を構成した場合と光出力があまり変わらなかった、また、第4半導体層にInを1%含ませた場合及びInを2%含ませた場合には、Inを含ませずに第4半導体層を構成した場合よりも光出力が向上した。これは、AlGaNにInを含有することで、AlGa(In)NとInGaNの格子不整合から生じる歪みを緩和し、その表面状態が改善されたことに起因するものと考えられる。
ただし、第4半導体層にInをあまりに過剰に含ませると、InGaN層に対するエネルギー障壁が低くなるため電子のオーバーフローが顕著になるという問題や、ピエゾ電極が小さくなることによる二次元電子ガスの効果が低減するという問題が生じるおそれがある。図9では、第4半導体層に含ませるInを4%とした場合にはInを含有させない場合とほぼ同等の光出力であることが示されているが、5%程度とした場合においても、その差はあまり大きくないことが確認されている。しかし、Inの組成が5%を超えると、上記の理由により、Inを含まないAlGaNによって第4半導体層を構成した場合よりも光出力が有意に低下してしまうので、第4半導体層に含ませるInの組成は0%以上5%以下とするのが好適である。
1 : LED素子
3 : 電流拡散層
11 : 支持基板
13 : アンドープ層
15 : n型クラッド層
17 : 活性層
19 : p型クラッド層
21 : p型コンタクト層
30 : 伝導帯
31 : 価電子帯
32 : InGaNのフェルミ準位
33 : AlGaNのフェルミ準位
41 : AlGaNとInGaNの界面に形成されるバンドベンディング領域
42 : InGaNが形成するほぼ平坦なバンド領域
81 : 引張応力
90 : LED素子

Claims (4)

  1. 支持基板上に窒化物半導体層をc軸成長させてなるLED素子であって、
    n型窒化物半導体で構成される第1半導体層と、
    前記第1半導体層の上層に形成された電流拡散層と、
    前記電流拡散層の上層に形成された、窒化物半導体で構成される活性層と、
    前記活性層の上層に形成された、p型窒化物半導体で構成される第2半導体層を有し、
    前記電流拡散層は、InGa1−xN(0<x≦0.05)からなる第3半導体層と、n−Aly1Gay2Iny3N(0<y1<1,0<y2<1,0≦y3≦0.05,y1+y2+y3=1)からなる第4半導体層のヘテロ接合を有し、前記第3半導体層の膜厚が10nm以上25nm以下であることを特徴とするLED素子。
  2. 前記第3半導体層のバンドギャップエネルギーが、前記第1半導体層及び前記第4半導体層の各々のバンドギャップエネルギーよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のLED素子。
  3. 前記第4半導体層のSiドープ濃度が1×1018/cm以上、5×1018/cm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のLED素子。
  4. 前記電流拡散層は、前記第3半導体層と前記第4半導体層が複数組積層されることで、前記ヘテロ接合を複数有する構成であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のLED素子。
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