JP2002012916A - 高硬度鋼の応力腐食割れ防止法 - Google Patents
高硬度鋼の応力腐食割れ防止法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 高硬度鋼は、ある硬さ以上で応力腐食割れ感
受性を有するようになる。このため構造物としての強度
を維持したまま、応力腐食割れを防止することが求めら
れている。 【解決手段】 高硬度炭素鋼、高硬度低合金鋼、高硬度
オーステナイト系ステンレス鋼、高硬度マルテンサイト
系ステンレス鋼および高硬度析出硬化型ステンレス鋼か
ら選ばれる高硬度鋼の表面部を500℃〜1200℃で
熱処理することにより、表面部の硬さを内部の硬さより
も低くする。
受性を有するようになる。このため構造物としての強度
を維持したまま、応力腐食割れを防止することが求めら
れている。 【解決手段】 高硬度炭素鋼、高硬度低合金鋼、高硬度
オーステナイト系ステンレス鋼、高硬度マルテンサイト
系ステンレス鋼および高硬度析出硬化型ステンレス鋼か
ら選ばれる高硬度鋼の表面部を500℃〜1200℃で
熱処理することにより、表面部の硬さを内部の硬さより
も低くする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、応力腐食割れ感受
性の高い高硬度鋼の応力腐食割れ防止法に関するもので
ある。
性の高い高硬度鋼の応力腐食割れ防止法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、高強度が要求される部材には、高
硬度鋼が使用されている。このような高硬度鋼がある硬
さ以上で応力腐食割れ感受性を示すことは文献「CHARAC
TERIZATION OF LONG TERM AGED MARTENSITIC STAINLESS
STEELS」(Environmental Degradation of Materials i
n Nuclear Power Systems,August,1987)及び「Stress C
orrosion Cracking of Cold Worked Stainless Steels
in high temperature Water」(CORROSION 94,No.237)に
記載されている。
硬度鋼が使用されている。このような高硬度鋼がある硬
さ以上で応力腐食割れ感受性を示すことは文献「CHARAC
TERIZATION OF LONG TERM AGED MARTENSITIC STAINLESS
STEELS」(Environmental Degradation of Materials i
n Nuclear Power Systems,August,1987)及び「Stress C
orrosion Cracking of Cold Worked Stainless Steels
in high temperature Water」(CORROSION 94,No.237)に
記載されている。
【0003】高硬度鋼の応力腐食割れの発生因子として
は、材料、応力、環境等の因子が挙げられる。材料因子
としては、熱処理、加工により転位等の欠陥が形成さ
れ、これらの欠陥が水素の捕獲位置となることによる水
素脆化、応力因子としては溶接や加工によって材料内部
に残留する引張残留応力と使用中に発生する負荷応力、
環境因子としては高温水中の水素量、溶存酸素量等が挙
げられる。
は、材料、応力、環境等の因子が挙げられる。材料因子
としては、熱処理、加工により転位等の欠陥が形成さ
れ、これらの欠陥が水素の捕獲位置となることによる水
素脆化、応力因子としては溶接や加工によって材料内部
に残留する引張残留応力と使用中に発生する負荷応力、
環境因子としては高温水中の水素量、溶存酸素量等が挙
げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】熱処理あるいは加工等
により形成された転位等の欠陥は水素の捕獲位置となる
ため、いわゆる水素脆化に伴う応力腐食割れが起きる。
熱処理あるいは加工により硬くなった高硬度鋼は、上記
文献のように鋼種によって異なるが、ある硬さ以上にお
いて応力腐食割れ感受性を示す。
により形成された転位等の欠陥は水素の捕獲位置となる
ため、いわゆる水素脆化に伴う応力腐食割れが起きる。
熱処理あるいは加工により硬くなった高硬度鋼は、上記
文献のように鋼種によって異なるが、ある硬さ以上にお
いて応力腐食割れ感受性を示す。
【0005】しかしながら、応力腐食割れを防止するた
めに材料全体の硬さを低下させると、構造物としての強
度が損なわれる危険性がある。
めに材料全体の硬さを低下させると、構造物としての強
度が損なわれる危険性がある。
【0006】本発明は上記した課題を解決するためにな
されたもので、高硬度鋼の応力腐食割れ防止法を提供す
ることを目的としている。
されたもので、高硬度鋼の応力腐食割れ防止法を提供す
ることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の高硬度鋼の応力
腐食割れ防止法は、高硬度鋼の表面部を熱処理し、表面
部の硬さを内部の硬さよりも低くすることを特徴とする
ものである。
腐食割れ防止法は、高硬度鋼の表面部を熱処理し、表面
部の硬さを内部の硬さよりも低くすることを特徴とする
ものである。
【0008】このような熱処理は、500℃〜1200
℃で行うことが好ましい。また、本発明に用いられる高
硬度鋼としては、例えば高硬度炭素鋼、高硬度低合金
鋼、高硬度オーステナイト系ステンレス鋼、高硬度マル
テンサイト系ステンレス鋼、高硬度析出硬化型ステンレ
ス鋼が挙げられる。
℃で行うことが好ましい。また、本発明に用いられる高
硬度鋼としては、例えば高硬度炭素鋼、高硬度低合金
鋼、高硬度オーステナイト系ステンレス鋼、高硬度マル
テンサイト系ステンレス鋼、高硬度析出硬化型ステンレ
ス鋼が挙げられる。
【0009】また、前記熱処理方法としては、例えば高
周波誘導加熱、ヒーターを接触あるいは近接させる、ま
たはレーザー光線を照射する方法が挙げられる。
周波誘導加熱、ヒーターを接触あるいは近接させる、ま
たはレーザー光線を照射する方法が挙げられる。
【0010】本発明の高硬度鋼の応力腐食割れ防止法
は、応力腐食割れ感受性の高い高硬度鋼の表面部を熱処
理し、表面部の硬さを内部の硬さよりも低くすること
で、応力腐食割れを抑制することが可能となる。
は、応力腐食割れ感受性の高い高硬度鋼の表面部を熱処
理し、表面部の硬さを内部の硬さよりも低くすること
で、応力腐食割れを抑制することが可能となる。
【0011】前記熱処理は500℃〜1200℃で行う
ことによって、効率的に表面部を熱処理することが可能
となる。
ことによって、効率的に表面部を熱処理することが可能
となる。
【0012】本発明では、特に高硬度炭素鋼、高硬度低
合金鋼、高硬度オーステナイト系ステンレス鋼、高硬度
マルテンサイト系ステンレス鋼または高硬度析出硬化型
ステンレス鋼において、有効に応力腐食割れを防止する
ことができる。
合金鋼、高硬度オーステナイト系ステンレス鋼、高硬度
マルテンサイト系ステンレス鋼または高硬度析出硬化型
ステンレス鋼において、有効に応力腐食割れを防止する
ことができる。
【0013】高硬度炭素鋼、高硬度低合金鋼および高硬
度オーステナイト系ステンレス鋼の場合、前記熱処理に
より表面の硬さを270(Hv)以下にすることで応力
腐食割れを抑制することが可能となる。高硬度マルテン
サイト系ステンレス鋼および高硬度析出硬化型ステンレ
ス鋼の場合、前記熱処理により表面の硬さを350(H
v)以下にすることで応力腐食割れを抑制することが可
能となる。
度オーステナイト系ステンレス鋼の場合、前記熱処理に
より表面の硬さを270(Hv)以下にすることで応力
腐食割れを抑制することが可能となる。高硬度マルテン
サイト系ステンレス鋼および高硬度析出硬化型ステンレ
ス鋼の場合、前記熱処理により表面の硬さを350(H
v)以下にすることで応力腐食割れを抑制することが可
能となる。
【0014】本発明の高硬度鋼の応力腐食割れ防止法に
おいては、例えば高周波誘導加熱、ヒーター、レーザー
光線を用いることで、高硬度鋼の表面のみを効率的に熱
処理することができる。
おいては、例えば高周波誘導加熱、ヒーター、レーザー
光線を用いることで、高硬度鋼の表面のみを効率的に熱
処理することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の高硬度鋼の応力腐
食割れ防止法ついて説明する。
食割れ防止法ついて説明する。
【0016】本発明の高硬度鋼の応力腐食割れ防止法
は、高硬度鋼の表面部を熱処理し、表面部の硬さを内部
の硬さよりも低くするものである。
は、高硬度鋼の表面部を熱処理し、表面部の硬さを内部
の硬さよりも低くするものである。
【0017】本発明では、高硬度鋼の表面部のみを熱処
理することによって、応力腐食割れの発生しやすい高硬
度鋼の表面部の硬さを下げ、応力腐食割れを抑制するこ
とが可能となる。本発明では、応力腐食割れが発生しに
くい内部には熱処理をしないため、高硬度鋼の内部の硬
さは維持することができる。従って、本発明の高硬度鋼
の応力腐食割れ防止法では、十分な強度を維持したま
ま、高硬度鋼の応力腐食割れを抑制することが可能とな
る。
理することによって、応力腐食割れの発生しやすい高硬
度鋼の表面部の硬さを下げ、応力腐食割れを抑制するこ
とが可能となる。本発明では、応力腐食割れが発生しに
くい内部には熱処理をしないため、高硬度鋼の内部の硬
さは維持することができる。従って、本発明の高硬度鋼
の応力腐食割れ防止法では、十分な強度を維持したま
ま、高硬度鋼の応力腐食割れを抑制することが可能とな
る。
【0018】このような本発明の高硬度鋼の応力腐食割
れ防止法は、特に高硬度炭素鋼、高硬度低合金鋼、高硬
度オーステナイト系ステンレス鋼、高硬度マルテンサイ
ト系ステンレス鋼または高硬度析出硬化型ステンレス鋼
等において有効に応力腐食割れを防止することが可能で
ある。
れ防止法は、特に高硬度炭素鋼、高硬度低合金鋼、高硬
度オーステナイト系ステンレス鋼、高硬度マルテンサイ
ト系ステンレス鋼または高硬度析出硬化型ステンレス鋼
等において有効に応力腐食割れを防止することが可能で
ある。
【0019】前記高硬度鋼が炭素鋼、低合金鋼およびオ
ーステナイト系ステンレス鋼の場合には、前記熱処理に
より表面部の硬さを270(Hv)以下とし、マルテン
サイト系ステンレス鋼および析出硬化型ステンレス鋼の
場合には、前記熱処理により表面部の硬さを350(H
v)以下とすることで、さらに応力腐食割れの発生を抑
制することが可能となる。
ーステナイト系ステンレス鋼の場合には、前記熱処理に
より表面部の硬さを270(Hv)以下とし、マルテン
サイト系ステンレス鋼および析出硬化型ステンレス鋼の
場合には、前記熱処理により表面部の硬さを350(H
v)以下とすることで、さらに応力腐食割れの発生を抑
制することが可能となる。
【0020】このような表面部の硬さを調整するための
熱処理は、500℃〜1200℃で行うことが好まし
い。1200℃を超える温度で熱処理を行うと、結晶粒
度が大きくなり、鋼の品質に悪影響を与える可能性があ
り、500℃未満では、表面部の硬さを変えることがで
きない惧れがある。
熱処理は、500℃〜1200℃で行うことが好まし
い。1200℃を超える温度で熱処理を行うと、結晶粒
度が大きくなり、鋼の品質に悪影響を与える可能性があ
り、500℃未満では、表面部の硬さを変えることがで
きない惧れがある。
【0021】また、本発明の高硬度鋼の応力腐食割れ防
止法における熱処理方法としては、例えば高周波誘導加
熱や、ヒーターを接触あるいは近接させたり、レーザー
光線を照射する方法が挙げられる。これらの方法を用い
ることによって、高硬度鋼の内部には熱処理を行わず、
表面部のみを熱処理することが可能となる。従って、高
硬度鋼の内部の強度を維持したまま、応力腐食割れを抑
制することが可能となる。
止法における熱処理方法としては、例えば高周波誘導加
熱や、ヒーターを接触あるいは近接させたり、レーザー
光線を照射する方法が挙げられる。これらの方法を用い
ることによって、高硬度鋼の内部には熱処理を行わず、
表面部のみを熱処理することが可能となる。従って、高
硬度鋼の内部の強度を維持したまま、応力腐食割れを抑
制することが可能となる。
【0022】以上、本発明の高硬度鋼の応力腐食割れ防
止法の一例について述べたが、本発明においては、上記
した材料、熱処理方法に限られず、上記効果を奏するも
のであれば、他の材料、熱処理方法を用いることも可能
である。
止法の一例について述べたが、本発明においては、上記
した材料、熱処理方法に限られず、上記効果を奏するも
のであれば、他の材料、熱処理方法を用いることも可能
である。
【0023】
【実施例】次に本発明の実施の形態について、実施例を
参照して説明する。
参照して説明する。
【0024】実施例1、比較例1 本発明の応力腐食割れに対する効果を調べるために、本
発明を利用した実施例1および本発明を利用しない比較
例1を作製し、応力腐食割れに対する効果を調べた。
発明を利用した実施例1および本発明を利用しない比較
例1を作製し、応力腐食割れに対する効果を調べた。
【0025】本発明の実施例1では、供試材として析出
硬化型ステンレス鋼(SUS630鋼)を1050℃で
1時間保持した後、油冷を施し、さらに580℃で4時
間の熱処理を行ったものを用いた。本発明の実施例1で
は、さらに供試材の表面部を高周波誘導加熱により約1
000℃で、10分間加熱し熱処理を施すことにより、
表面部の硬さを調整した。なお、高周波誘導加熱とは、
高周波の磁場にかけて、材料内部の電子を移動させて材
料自身を加熱する方法である。
硬化型ステンレス鋼(SUS630鋼)を1050℃で
1時間保持した後、油冷を施し、さらに580℃で4時
間の熱処理を行ったものを用いた。本発明の実施例1で
は、さらに供試材の表面部を高周波誘導加熱により約1
000℃で、10分間加熱し熱処理を施すことにより、
表面部の硬さを調整した。なお、高周波誘導加熱とは、
高周波の磁場にかけて、材料内部の電子を移動させて材
料自身を加熱する方法である。
【0026】また、比較例1では、本発明と同様に供試
材として析出硬化型ステンレス鋼(SUS630鋼)を
1050℃で1時間保持した後、油冷を施し、さらに5
80℃で4時間の熱処理を行ったものを用いた。比較例
1では、特に熱処理等は行わなかった。本発明の実施例
1および比較例1で用いた供試材の化学成分を表1に示
す。
材として析出硬化型ステンレス鋼(SUS630鋼)を
1050℃で1時間保持した後、油冷を施し、さらに5
80℃で4時間の熱処理を行ったものを用いた。比較例
1では、特に熱処理等は行わなかった。本発明の実施例
1および比較例1で用いた供試材の化学成分を表1に示
す。
【0027】
【表1】 次に、本発明の実施例1および比較例1について、硬さ
測定を行った。本発明の実施例1および比較例1の硬さ
測定結果を図1に示す。
測定を行った。本発明の実施例1および比較例1の硬さ
測定結果を図1に示す。
【0028】図1に示すように、本発明の実施例1の表
面部の硬さは比較例1の硬さよりも低いものとなった。
面部の硬さは比較例1の硬さよりも低いものとなった。
【0029】さらに、本発明の実施例1および比較例1
について、次のように応力腐食割れ試験を行った。
について、次のように応力腐食割れ試験を行った。
【0030】各試料を研磨および脱脂した後、図2に示
すような治具に固定して1%の歪みを与え、温度290
℃、80気圧、溶存酸素8ppmの純水中に500時間
浸漬し、これらを取り出して、試料表面の割れの有無を
調べた。試験は、本発明の実施例1および比較例1につ
き、それぞれ5枚づつ行った。
すような治具に固定して1%の歪みを与え、温度290
℃、80気圧、溶存酸素8ppmの純水中に500時間
浸漬し、これらを取り出して、試料表面の割れの有無を
調べた。試験は、本発明の実施例1および比較例1につ
き、それぞれ5枚づつ行った。
【0031】なお、図2に示す治具1は円弧をなすホル
ダ2、3間にグラファイト4およびスペーサ5とともに
試料6を挟んでボルト7にて固定するものである。
ダ2、3間にグラファイト4およびスペーサ5とともに
試料6を挟んでボルト7にて固定するものである。
【0032】試験の結果、比較例1では、試験片5枚の
全てに割れが認められたが、本発明の実施例1では、5
枚の試験片のいずれにも割れは認められなかった。
全てに割れが認められたが、本発明の実施例1では、5
枚の試験片のいずれにも割れは認められなかった。
【0033】以上の結果より、本発明は応力腐食割れに
対して十分な効果があることが確認された。
対して十分な効果があることが確認された。
【0034】実施例2 次に、高硬度鋼の表面部を熱処理する際の加熱温度の影
響について検討を行った。
響について検討を行った。
【0035】図3は炭素鋼の冷間圧延材の熱処理による
硬さの変化を示したものである。図3に示したように5
00℃以上で大きく硬さが低下していることがわかる。
これは、再結晶により歪みが消滅したためである。従っ
て、再結晶が生じる500℃〜1200℃が適切な温度
となる。この温度範囲を越えると、結晶粒度が大きくな
り、鋼の品質に悪影響を与えるため、熱処理温度の上限
を1200℃とすることが好ましい。
硬さの変化を示したものである。図3に示したように5
00℃以上で大きく硬さが低下していることがわかる。
これは、再結晶により歪みが消滅したためである。従っ
て、再結晶が生じる500℃〜1200℃が適切な温度
となる。この温度範囲を越えると、結晶粒度が大きくな
り、鋼の品質に悪影響を与えるため、熱処理温度の上限
を1200℃とすることが好ましい。
【0036】なお、上記の実施例では、表面部の加熱方
法として、高周波誘導加熱を用いたが、ヒーターを近づ
けて加熱する方法やレーザーを用いて加熱する方法でも
同様の効果を得ることが可能である。
法として、高周波誘導加熱を用いたが、ヒーターを近づ
けて加熱する方法やレーザーを用いて加熱する方法でも
同様の効果を得ることが可能である。
【0037】以上の実施例の結果によれば、本発明を用
いることによって、高硬度鋼の表面部のみを加熱するこ
とにより、強度を維持したまま、応力腐食割れを抑制す
ることが可能となる。
いることによって、高硬度鋼の表面部のみを加熱するこ
とにより、強度を維持したまま、応力腐食割れを抑制す
ることが可能となる。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の高硬度鋼
の応力腐食割れ防止法では、構造物に要求される強度を
十分に確保しながら、応力腐食割れを抑制することがで
きる。
の応力腐食割れ防止法では、構造物に要求される強度を
十分に確保しながら、応力腐食割れを抑制することがで
きる。
【図1】硬さ測定の結果を示した図。
【図2】応力腐食割れ試験に用いた治具を示した断面
図。
図。
【図3】冷間圧延材の焼きなましによる硬さの変化を示
した図。
した図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C21D 1/34 C21D 1/34 H 1/42 1/42 B 6/00 6/00 Z
Claims (10)
- 【請求項1】 高硬度鋼の表面部を熱処理し、表面部の
硬さを内部の硬さよりも低くすることを特徴とする高硬
度鋼の応力腐食割れ防止法。 - 【請求項2】 前記熱処理は、500℃〜1200℃で
行うことを特徴とする請求項1記載の高硬度鋼の応力腐
食割れ防止法。 - 【請求項3】 前記高硬度鋼は、高硬度炭素鋼からなる
ことを特徴とする請求項1または2記載の高硬度鋼の応
力腐食割れ防止法。 - 【請求項4】 前記高硬度鋼は、高硬度低合金鋼からな
ることを特徴とする請求項1または2記載の高硬度鋼の
応力腐食割れ防止法。 - 【請求項5】 前記高硬度鋼は、高硬度オーステナイト
系ステンレス鋼からなることを特徴とする請求項1また
は2記載の高硬度鋼の応力腐食割れ防止法。 - 【請求項6】 前記高硬度鋼は、高硬度マルテンサイト
系ステンレス鋼からなることを特徴とする請求項1また
は2記載の高硬度鋼の応力腐食割れ防止法。 - 【請求項7】 前記高硬度鋼は、高硬度析出硬化型ステ
ンレス鋼からなることを特徴とする請求項1または2記
載の高硬度鋼の応力腐食割れ防止法。 - 【請求項8】 前記熱処理は、高周波誘導加熱により行
われることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項
記載の高硬度鋼の応力腐食割れ防止法。 - 【請求項9】 前記熱処理は、ヒーターを接触あるいは
近接させることにより行われることを特徴とする請求項
1乃至7のいずれか1項記載の高硬度鋼の応力腐食割れ
防止法。 - 【請求項10】 前記熱処理は、前記高硬度鋼の表面に
レーザー光線を照射することにより行われることを特徴
とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の高硬度鋼の
応力腐食割れ防止法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000200315A JP2002012916A (ja) | 2000-06-30 | 2000-06-30 | 高硬度鋼の応力腐食割れ防止法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000200315A JP2002012916A (ja) | 2000-06-30 | 2000-06-30 | 高硬度鋼の応力腐食割れ防止法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002012916A true JP2002012916A (ja) | 2002-01-15 |
Family
ID=18698204
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000200315A Pending JP2002012916A (ja) | 2000-06-30 | 2000-06-30 | 高硬度鋼の応力腐食割れ防止法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002012916A (ja) |
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