JP2017047021A - 医療用器具の製造方法および医療用器具 - Google Patents

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友紀 今村
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隼平 大竹
猛 日高
Takeshi Hidaka
猛 日高
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和明 内田
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Abstract

【課題】無理な力が加わった場合に破断するように意図した部位を所定の条件で確実に破断させることができる医療用器具の製造方法を提供する。【解決手段】この医療用器具の製造方法は、二種類以上の金属を含む合金を用いて形成された線材60を一つ以上有する医療用器具の製造方法であって、線材60のうち少なくとも一つの線材の対象部分61に対して103J/cm2以上の照射フルエンスでレーザ57を照射して、合金の固溶度線よりも低い所定温度になるように対象部分61を加熱する熱処理を、対象部分61に一回以上施す加熱工程を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、医療用器具の製造方法および医療用器具に関する。
従来、経内視鏡的に体腔内に挿入され、胆管などの体腔内に発生した結石などの異物(回収物)を把持する医療用器具として、医療用バスケットが知られている。医療用バスケットは、一般的に、長尺管状のシース内に進退自在に挿通された操作ワイヤと、操作ワイヤの先端に設けられたバスケット部と、を備える。バスケット部は、複数のワイヤから構成されている。複数のワイヤの前端は、チップがスエージング加工などで締結されることにより結束されている。複数のワイヤの後端は、接続部材により結束され、接続部材を介して操作ワイヤに接続されている。医療用バスケットにより異物を回収する際には、異物はバスケット部の複数のワイヤにより把持され、体外へ排出される。しかし、回収物が極度に大きい等の場合、バスケット部が異物を把持した状態でシース内に牽引されると異物が嵌頓して、異物を回収することができなくなる。さらに、バスケット部のワイヤからも異物が外れなくなる。このように異物が嵌頓した場合に開腹手術を行う必要が生じないようにするため、バスケット部のワイヤから異物を解放できる機構が提案されている。
例えば、特許文献1には、ハンドルと、ハンドルから遠位方向に延びて設けられ、遠位端から近位端に延びる管腔を有するシースと、シースの管腔内に軸方向に配置される牽引部材と、牽引部材の遠位端に接続されるバスケットと、を備える医療用器具が開示されている。この医療用器具のバスケットは、複数のワイヤと、バスケットの遠位端に配置されるチップジョイントを備え、複数のワイヤの各々の端部がチップジョイントに固定されている。このチップジョイントは、牽引部材またはバスケットの少なくとも一つのワイヤを破損させるために必要な力より小さい力で変形して、複数のワイヤの端部がチップジョイントから取り外されるように構成されている。これにより、この医療用器具において異物が嵌頓した場合には、チップジョイントが変形してワイヤから分離され、ワイヤの結束が解かれることにより、異物をバスケットから解放することができる。しかしながら、この場合、ワイヤの端部がチップジョイントから取り外された後、チップジョイントが患者の体内に残留するため、チップジョイントを回収するために別途処置を行う必要が生じる。
これに対して、特許文献2には、管状のシース内部に配置された操作用ワイヤと、操作用ワイヤの遠位端部に接続されたバスケット部と、バスケット部の遠位端部に具備され、バスケット部を構成する複数本のバスケットワイヤの各遠位端部が束ねられた先端チップと、を有する医療用バスケット型処置器具が開示されている。この先端チップは、先端チップの他の部分に比較して強度が弱い脆弱部を有しており、操作用ワイヤに所定以上の力が付与された場合に、操作ワイヤが切断されることなく、脆弱部で先端チップが分離されるように構成されている。これにより、バスケットワイヤが異物を把持し、嵌頓状態になった場合、操作用ワイヤを近位側に牽引することで操作用ワイヤおよびバスケットワイヤに所定以上の力が作用すると、操作用ワイヤやバスケットワイヤは切断されずに、脆弱部で先端チップが二片に分離して、異物をバスケットワイヤから解放することができる。そして、先端チップが二片に分離しても、分離した先端チップの各々はバスケットワイヤに接続されているため、先端チップが患者の体内に残留することを防止できる。
また、特許文献3には、先端側と後端側とにおいて一体的に束ねられてループを形成する複数の弾性ワイヤが操作ワイヤの先端に連結された内視鏡用ワイヤループ型処置具が開示されている。この処置具では、複数の弾性ワイヤの先端部分を、他の部材で結束することなく半田付け、ロー付け、または溶接などの接合手段によって互いを接合することによって一体的に束ねられている。この弾性ワイヤの先端の接合部の長さを、弾性ワイヤの後端側の接合部の長さおよび操作ワイヤの先端の接合部の長さより短くすることで、弾性ワイヤに無理な力が掛かったときには必ず弾性ワイヤの先端部分の接合が破損するように構成されている。これにより、弾性ワイヤが異物を把持し、嵌頓状態になった場合には、弾性ワイヤの先端部分の接合が破損して、異物を弾性ワイヤから解放することができる。また、この処置具では、複数の弾性ワイヤの先端部分は先端チップを用いずに結束されているため、患者の体内に先端チップが残留することはない。
特許第4226327号公報 特開2013−219号公報 特開平10−165406号公報
特許文献2に記載された医療用バスケット型処置器具では、先端チップが患者の体内に残留することはないが、先端チップの脆弱部はロー付けや半田付け、溶接などにより形成されているため、先端チップの破断にばらつきが生じる可能性がある。この場合、所定の力よりも小さい力で先端チップが破断してしまう、または所定の力より大きい力でも先端チップは破断せずに他の部分が破断してしまうという問題が生じる。特許文献3に記載された内視鏡用ワイヤループ型処置具でも、弾性ワイヤの先端部分は半田付け、ロー付け、または溶接などの接合手段によって互いに接合されているため、同様に上述した問題が生じる可能性がある。
本発明の目的は、無理な力が加わった場合に破断するように意図した部位を所定の条件で確実に破断させることができる医療用器具の製造方法および医療用器具を提供することである。
本発明の第一の態様によれば、医療用器具の製造方法は、二種類以上の金属を含む合金を用いて形成された線材を一つ以上有する医療用器具の製造方法であって、前記線材のうち少なくとも一つの線材の対象部分に対して10J/cm以上の照射フルエンスでレーザを照射して、前記合金の固溶度線よりも低い所定温度になるように前記対象部分を加熱する熱処理を、前記対象部分に一回以上施す加熱工程を備える。
上記の医療用器具の製造方法において、前記熱処理は、ガス雰囲気中で行われてもよい。
上記の医療用器具の製造方法において、前記合金は、55.8重量パーセント以上56.0重量パーセント以下のNiを含む形状記憶合金であってもよい。
上記の医療用器具の製造方法において、前記熱処理における前記所定温度は、550℃以上800℃以下であってもよい。
上記の医療用器具の製造方法において、前記合金は、16重量パーセント以上26重量パーセント以下のCrと、4重量パーセント以上26重量パーセント以下のNiと、を含むステンレス鋼であってもよい。
上記の医療用器具の製造方法において、前記熱処理における前記所定温度は、600℃以上1000℃以下であってもよい。
上記の医療用器具の製造方法は、前記対象部分を有する前記線材を用いて医療用バスケットを形成するバスケット形成工程をさらに備えてもよい。
上記の医療用器具の製造方法において、前記対象部分は、前記医療用バスケットのバスケット部において、前記バスケット部の基端よりも前記バスケット部の先端に近い位置に配置されていてもよい。
本発明の第二の態様によれば、医療用器具は、二種類以上の金属を含む合金を用いて形成された線材を一つ以上有する医療用器具であって、前記線材のうち少なくとも一つの線材に設けられ、他の部位よりも破断しやすく構成された脆弱部を備える。前記脆弱部は、前記少なくとも一つの線材の対象部分に対して10J/cm以上の照射フルエンスでレーザを照射して、前記合金の固溶度線よりも低い所定温度になるように前記対象部分を加熱することにより形成されている。
上記した医療用器具の製造方法によれば、無理な力が加わった場合に破断するように意図した部位である対象部分を所定の条件で確実に破断させることができる医療用器具を製造することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る医療用器具を示す図である。 前記実施形態に係る医療用器具の製造方法の加熱工程に用いられるレーザ熱処理装置を示す図である。 前記加熱工程における熱履歴の例を示す図である。 前記医療用器具の使用時の動作を説明する図である。 前記医療用器具の使用時の動作を説明する図である。 前記医療用器具の第一の変形例の使用時の動作を説明する図である。 前記医療用器具の第一の変形例の使用時の動作を説明する図である。 前記医療用器具の第二の変形例の使用時の動作を説明する図である。 前記医療用器具の第二の変形例の使用時の動作を説明する図である。 前記医療用器具の第二の変形例の使用時の動作を説明する図である。 前記医療用器具の第三の変形例の使用時の動作を説明する図である。 前記医療用器具の第三の変形例の使用時の動作を説明する図である。 前記加熱工程に用いられるレーザ熱処理装置の変形例を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について、図1から図13を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る医療用器具である医療用バスケット1を示す図である。医療用バスケット1は、可撓性を有するシース10と、シース10内に進退可能に挿通される操作ワイヤ20と、操作ワイヤ20の先端に設けられたバスケット部30と、シース10の基端に設けられ、操作ワイヤ20を進退操作可能な操作部40と、を備える。シース10は、軸方向に延びて形成され、内視鏡の処置具チャンネルに挿通可能である。操作ワイヤ20は、先端がバスケット部30に連結され、基端が操作部40に連結されている。
バスケット部30は、弾性を有するバスケットワイヤ(線材)32から構成されている。本実施形態では、バスケット部30は、4本のバスケットワイヤ32a、32b、32c、32dから構成されている。なお、このバスケットワイヤの本数は一例であり、これに限られない。バスケット部30の先端には、先端チップ36が設けられている。バスケットワイヤ32a、32b、32c、32dの先端はそれぞれ先端チップ36に連結されており、先端チップ36によりバスケットワイヤ32a、32b、32c、32dの先端が結束されている。バスケット部30の基端には、結束部材38が設けられている。バスケットワイヤ32a、32b、32c、32dの基端はそれぞれ結束部材38の先端側に連結されており、結束部材38によりバスケットワイヤ32a、32b、32c、32dの基端が結束されている。また、結束部材38の基端側は、操作ワイヤ20の先端に連結されている。
バスケットワイヤ32a、32b、32c、32dは、バスケット部30全体としてバスケット状に拡開するように形状に癖が付けられている。また、バスケットワイヤ32には、後述する加熱工程によって、他の部位よりも破断しやすく構成された脆弱部34が形成されている。図1に示す例では、脆弱部34はバスケットワイヤ32aに形成され、バスケット部30の基端よりもバスケット部30の先端に近い位置に配置されている。バスケット部30が異物を把持した後嵌頓して無理な力が加わった場合には、この脆弱部34が破断することでバスケット部30から異物を解放する。なお、脆弱部34は複数設けられてもよく、この場合、バスケットワイヤ32aに加えて他のバスケットワイヤ(例えばバスケットワイヤ32b)に脆弱部34が形成されてもよい。
バスケットワイヤ32は、二種類以上の金属を含む合金を用いて形成されている。この合金として、例えばNiTiのような55.8重量パーセント以上56.0重量パーセント以下のNiを含む形状記憶合金や、16重量パーセント以上26重量パーセント以下のCrと4重量パーセント以上26重量パーセント以下のNiとを含むステンレス鋼などを用いることができる。
バスケット部30は、操作ワイヤ20の進退動作に伴って、シース10内に進入してシース10内を進退することが可能である。このため、先端チップ36は、シース10の内径よりも小さい外径を有する。同様に、結束部材38は、シース10の内径よりも小さい外径を有する。また、バスケット部30がシース10内に進入する際には、バスケットワイヤ32a、32b、32c、32dは、径方向に縮小するように弾性変形する。
操作部40は、シース10の基端に連結された操作部本体42と、操作部本体42に対して長手方向に進退可能なスライダ44と、を備える。操作部本体42には、長手方向に延びるスライダ受け部43が設けられている。スライダ受け部43の基端には、指掛け部46が設けられている。スライダ44は、スライダ受け部43上に長手方向に摺動可能に設けられている。また、スライダ44には、指掛け部45が設けられている。操作部本体42にはシース10の内腔に連通する挿通孔(不図示)が形成されており、操作ワイヤ20の基端がこの挿通孔を通過してスライダ44に連結されている。よって、スライダ44を長手方向に進退させることで、操作ワイヤ20をシース10内で軸方向に進退させることができ、これに伴いバスケット部30が進退する。
なお、シース10、操作ワイヤ20、および操作部40は上述した構成に限られず、公知の構成を適用することができる。
次に、本実施形態に係る医療用器具の製造方法について、医療用バスケット1を例として脆弱部34の製造方法を中心に説明する。
本実施形態に係る医療用器具の製造方法は、加熱工程を備える。加熱工程は、少なくとも一つの線材の対象部分に対して10J/cm以上の照射フルエンスでレーザを照射して、線材を形成する合金の固溶度線よりも低い所定温度になるように対象部分を加熱する熱処理を、対象部分に一回以上施す工程である。この加熱工程により対象部分の機械的強度(例えば引張強度)を適切に低下させることができるため、無理な力が加わった場合にこの対象部分を確実に破断させることができる。医療用バスケット1の脆弱部34はこの加熱工程により形成され、熱処理を施された対象部分が脆弱部34となる。
図2は、本実施形態に係る医療用器具の製造方法の加熱工程に用いられるレーザ熱処理装置50を示す図である。加熱工程は、レーザ熱処理装置50を用いて実施される。レーザ熱処理装置50は、レーザ発生部51と、光学ヘッド52と、ガス噴射部53と、保持部54と、ステージ55と、を備える。レーザ発生部51は、所定の出力を有するレーザ57を発生させる。レーザ57の波長は、例えば800〜1100nmである。光学ヘッド52は、図示しない集光レンズを備え、線材60におけるレーザ57の照射位置や照射面の面積などを調整する。ガス噴射部53は、アルゴンガスや窒素ガスなどのガス58を線材60の対象部分61に向けて噴射する。保持部54は、加熱工程を実施する対象の線材60を保持する。ステージ55は、支持部56を上面に備え、保持部54により保持された線材60を支持部56により支持する。また、図3に示す、互いに直交するX方向、Y方向、およびZ方向のうちZ方向に沿ってレーザが照射される場合に、ステージ55は、線材60を保持する保持部54とともに光学ヘッド52に対してX方向、Y方向、およびZ方向にそれぞれ移動可能に構成されてもよい。さらに、保持部54に保持され支持部56に支持される線材60は、直線状に形成されたものに限られず、バスケットなどの複雑な形状を有するものであってもよい。この場合、保持部54および支持部56が複雑な形状を有する線材を保持可能に構成されていてもよい。
次に、線材60の対象部分61に熱処理を施す場合を例として、加熱工程の実施手順を説明する。なお、線材60は、医療用バスケット1のバスケットワイヤ32と同様に、二種類以上の金属を含む合金を用いて形成されている。まず、線材60を保持部54で保持しつつ、ステージ55上の支持部56に支持させて、線材60の位置を固定する。続いて、線材60の対象部分61にレーザ57が照射されるように光学ヘッド52を調整する。さらに、照射フルエンスが10J/cm以上の所定の値となるように、レーザ発生部51および光学ヘッド52を調整する。ここで、照射フルエンスは次式で求められる。
照射フルエンス[J/cm
=レーザ照射面の単位面積当たりの出力[W/cm]×照射時間[s]
=レーザ出力[W]/レーザ照射面の面積[cm]×照射時間[s] …(1)
レーザ照射面の面積[cm
=π×(レーザのスポット径[cm])/4 …(2)
すなわち、照射フルエンスは、レーザ出力、レーザ照射面の面積、および照射時間を適宜変更することで調整することができる。照射フルエンスを調整することで、対象部分61の引張強度の低下の度合いを調整することができる。上述の調整が完了した後、ガス噴射部53からガス58を対象部分61に向けて噴射しつつ、レーザ発生部51から対象部分61に対してレーザ57を照射する。これにより、対象部分61が加熱される。その後、所定の照射時間が経過した時点でレーザ57の照射を停止し、対象部分61に対する熱処理が終了する。この熱処理において、線材60を形成する合金の固溶度線を超える温度まで対象部分61が加熱されると、対象部分61が溶融する可能性がある。このため、この熱処理においては、対象部分61が合金の固溶度線よりも低い所定温度に加熱されるように、照射フルエンス(レーザ出力や照射時間など)を適宜調整する必要がある。この熱処理を対象部分61に一回以上施すことで加熱工程が実施される。
線材60の対象部分61の範囲が広い場合や複数の対象部分61に対して熱処理を施す場合には、ステージ55および保持部54をX方向、Y方向、およびZ方向に適宜移動させることで、所望の形状の対象部分61に対して熱処理を施すことができる。なお、光学ヘッド52がステージ55および保持部54に対して移動可能に構成されてもよい。
また、本実施形態に係る医療用器具の製造方法は、バスケット形成工程をさらに備える。バスケット形成工程は、対象部分61を有する線材60を用いて医療用バスケット1を形成する工程である。これにより、対象部分61を有する線材60をバスケットワイヤ32とし、熱処理を施された対象部分61を脆弱部34とする医療用バスケット1を形成することができる。
バスケット形成工程は、必ずしも加熱工程を実施した後に実施しなくてもよい。線材60を用いてバスケット部30を形成した後に、加熱工程を実施してもよい。バスケット部30のように複雑な構成を有する線材がステージ55上に配置される場合には、光学ヘッド52がこの線材と干渉しないように、光学ヘッド52をX方向、Y方向、およびZ方向に移動可能、かつX方向回り、Y方向回り、およびZ方向回りに回転可能に構成してもよい。これにより、光学ヘッド52の位置および向きを適切に調整することができ、この線材の対象部分に対して的確にレーザを照射することができる。
通常、線材において上述の加熱工程により熱処理を施された対象部分と熱処理を施されていない他の部分とは、それぞれの組織には違いはあるが外観には違いがないため、目視により区別することができない。したがって、加熱工程を実施した後の線材を用いてバスケット部を形成する場合、熱処理を施した対象部分、すなわち脆弱部を誤った位置に配置してしまう可能性がある。このため、線材を用いてバスケット部を形成した後に加熱工程を実施することが好ましい。また、上述した加熱工程ではレーザを用いて熱処理を行うため、バスケット部のように複雑な形状において、対象部分が他の加熱手段では局所的に加熱することができない箇所であっても、レーザの光路を適切に調整することで加熱することができる。よって、バスケット部を形成した後に加熱工程を実施したとしても、対象部分に対する熱処理を適切に実施することができる。
以上、本実施形態に係る医療用器具の製造方法により、加熱工程とバスケット形成工程とを実施することで、脆弱部34を有する医療用バスケット1を形成することができる。
なお、上述した加熱工程において、熱処理における所定温度は例えば下記に示す値となる。一例として、線材60を形成する合金が55.8重量パーセント以上56.0重量パーセント以下のNiを含む形状記憶合金である場合、熱処理における所定温度は550℃以上800℃以下であることが好ましい。照射フルエンスを調整して、この温度範囲内の温度に対象部分61が加熱されるように熱処理を施すことで、線材60の引張強度を良好に低下させることができる。
また、他の例として、線材60を形成する合金が16重量パーセント以上26重量パーセント以下のCrと4重量パーセント以上26重量パーセント以下のNiとを含むステンレス鋼である場合、熱処理における所定温度は600℃以上1000℃以下であることが好ましい。照射フルエンスを調整して、この温度範囲内の温度に対象部分61が加熱されるように熱処理を施すことで、線材60の引張強度を良好に低下させることができる。
また、上述した加熱工程において、対象部分61に施される熱処理は複数回実施されてもよい。熱処理の回数は、対象部分61が熱処理における所定温度を超える度に1回と数えることができる。図3は、本実施形態に係る医療用器具の製造方法の加熱工程における熱履歴の例を示す。図3に示すように、例えば、線材60を形成する合金が上述したNiを含む形状記憶合金である場合に所定温度を550℃とすると、対象部分61の温度は550℃を超えた後、一旦550℃を下回ってから再度550℃を超えている。よって、この場合には、熱処理が2回実施されている。また、線材60を形成する合金が上述したステンレス鋼である場合に所定温度を600℃とした場合も同様に、熱処理が2回実施されていることになる。
また、上述したバスケット形成工程は必須の構成ではなく、本実施形態に係る医療用器具の製造方法はバスケット形成工程を備えていなくてもよい。
次に、医療用バスケット1の使用時の動作について、脆弱部34の破断時の動作を中心に説明する。
図4および図5は、医療用バスケット1の使用時の動作を説明する図である。図4は、医療用バスケット1が異物70を嵌頓し、異物70が外れなくなった状態を示す。この状態で、操作ワイヤ20を基端側に牽引して所定の引張強度以上の力がバスケット部30に加わると、図5に示すように、バスケットワイヤ32aにおいて加熱工程の熱処理により他の部位よりも破断しやすく構成された脆弱部34が破断する。これにより、異物70がバスケット部30から解放される。この際、先端チップ36はバスケットワイヤ32b、32c、32dとそれぞれ連結されたままであるため、患者の体内に先端チップ36を留置することはない。また、脆弱部34が先端チップ36の近傍(バスケット部30の基端よりもバスケット部30の先端に近い位置)に設けられていることで、破断されたバスケットワイヤ32aの先端チップ36に連結された部分の長さが短くなるため、この部分の破断された端部で周辺組織を傷つけることを防止することができる。
本実施形態に係る医療用器具の第一の変形例として、医療用バスケット2を図6および図7に示す。医療用バスケット2は、脆弱部34に代えて、脆弱部82がバスケットワイヤ81において結束部材38の近傍(バスケット部80の先端よりもバスケット部80の基端に近い位置)に設けられている点で、医療用バスケット1と異なっている。なお、その他の構成については、医療用バスケット2は医療用バスケット1と同様の構成を有している。
図6および図7は、医療用バスケット2の使用時の動作を説明する図である。図6は、医療用バスケット2が異物70を嵌頓し、異物70が外れなくなった状態を示す。この状態で、操作ワイヤ20を基端側に牽引して所定の引張強度以上の力がバスケット部80に加わると、図7に示すように、バスケットワイヤ81において加熱工程の熱処理により他の部位よりも破断しやすく構成された脆弱部82が破断する。これにより、異物70がバスケット部80から解放される。また、この際、先端チップ36はバスケットワイヤ32b、32c、32dとそれぞれ連結されたままであるため、患者の体内に先端チップ36を留置することはない。
本実施形態に係る医療用器具の第二の変形例として、医療用バスケット3を図8から図10に示す。医療用バスケット3は、脆弱部34がバスケットワイヤ32aに設けられていることに加えて、脆弱部92がバスケットワイヤ91において先端チップ36の近傍(バスケット部90の基端よりもバスケット部90の先端に近い位置)に設けられている点で、医療用バスケット1と異なっている。脆弱部92は、脆弱部34に対する熱処理と比較して、低い照射フルエンスでレーザを照射する熱処理を施されている。このため、脆弱部92は、脆弱部34の範囲よりも小さい範囲で形成されている。よって、脆弱部92が設けられたバスケットワイヤ91の引張強度(第一の引張強度)は、脆弱部が設けられていないバスケットワイヤ32c、32dの引張強度より小さいものの、脆弱部34が設けられたバスケットワイヤ32aの引張強度(第二の引張強度)より大きい。なお、その他の構成については、医療用バスケット3は医療用バスケット1と同様の構成を有している。
図8から図10は、医療用バスケット3の使用時の動作を説明する図である。図8は、医療用バスケット3が異物70を嵌頓し、異物70が外れなくなった状態を示す。この状態で、操作ワイヤ20を基端側に牽引して第二の引張強度以上の力がバスケット部90に加わると、図9に示すように、まずバスケットワイヤ32aにおいて加熱工程の熱処理により他の部位よりも破断しやすく構成された脆弱部34が破断する。しかしながら、バスケットワイヤ32aが破断しても異物70がバスケット部90から解放されない場合がある。この場合、さらに操作ワイヤ20を基端側に牽引して第一の引張強度以上の力がバスケット部90に加わると、図10に示すように、バスケットワイヤ91において加熱工程の熱処理により他の部位よりも破断しやすく構成された脆弱部92が破断する。これにより、異物70がバスケット部90から解放される。また、この際、先端チップ36はバスケットワイヤ32c、32dとそれぞれ連結されたままであるため、患者の体内に先端チップ36を留置することはない。
本実施形態に係る医療用器具の第三の変形例として、医療用バスケット4を図11および図12に示す。医療用バスケット4は、脆弱部34に代えて、脆弱部102がバスケットワイヤ101においてバスケット部80の先端よりもバスケット部80の基端に近い位置に設けられている点で、医療用バスケット1と異なっている。また、脆弱部102は、脆弱部34よりも基端側に広い範囲を有してバスケットワイヤ101に設けられている。なお、その他の構成については、医療用バスケット2は医療用バスケット1と同様の構成を有している。
図11および図12は、医療用バスケット4の使用時の動作を説明する図である。図11は、医療用バスケット4が異物70を嵌頓し、異物70が外れなくなった状態を示す。この状態で、操作ワイヤ20を基端側に牽引して所定の引張強度以上の力がバスケット部100に加わると、図12に示すように、バスケットワイヤ101において加熱工程の熱処理により他の部位よりも破断しやすく構成された脆弱部102が破断する。これにより、異物70がバスケット部100から解放される。また、この際、先端チップ36はバスケットワイヤ32b、32c、32dとそれぞれ連結されたままであるため、患者の体内に先端チップ36を留置することはない。
本実施形態に係る医療用器具の製造方法の加熱工程は、図13に示すレーザ熱処理装置110を用いて実施されてもよい。レーザ熱処理装置110は、保持部54およびステージ55に代えて、保持部111およびステージ112を備えている点で、レーザ熱処理装置50と異なっている。保持部111は、加熱工程を実施する対象の線材120を、線材120の軸回りに回転可能に保持する。ステージ112は、上面に、保持部111により保持された線材120を線材120の軸回りに回転可能に支持する支持部113を備える。なお、その他の構成については、レーザ熱処理装置110はレーザ熱処理装置50と同様の構成を有している。
レーザ熱処理装置110を用いて実施される加熱工程は、線材120を線材120の軸回りに回転させながら対象部分121に対してレーザを照射する点が、レーザ熱処理装置50を用いて実施される加熱工程と異なる。このため、レーザ熱処理装置110を用いた場合、対象部分121は線材120の周方向の全周に渡って設けられることになり、これに対応して脆弱部が線材の周方向の全周に渡って形成される。また、レーザ熱処理装置110を用いた場合は、線材120を回転させている分、レーザ熱処理装置50を用いた場合に比べてレーザ加熱の影響が異なるため、レーザ熱処理装置50とは別に適宜照射フルエンスを調整することになる。このように、本実施形態に係る加熱工程は、線材120を回転させながら実施されてもよい。なお、これ以外の動作について、レーザ熱処理装置110を用いた場合の加熱工程はレーザ熱処理装置50を用いた場合の加熱工程と同様である。
なお、加熱工程において熱処理を施される対象部分の形状は上述したものに限られず、螺旋形状など任意の形状とすることができる。対象部分の形状は、医療用器具で回収する異物の大きさや形状、個数など、および処置を行う体内の部位に対応して、適宜設定することが可能である。
次に、本実施形態に係る医療用器具の製造方法における加熱工程の実施例について説明する。
(実施例1)
本実施例では、図2に示すレーザ熱処理装置50を用いて加熱工程を実施した。熱処理の対象となる線材として、NiTiを用いて形成された直径0.5mmのワイヤを用いた。このワイヤのレーザ熱処理前の引張強度は350Nであった。レーザ熱処理装置50において、レーザ57の波長帯は800〜1100nmとし、光学ヘッド52の集光レンズには焦点距離f=100mmのものを使用した。また、ガス58として、アルゴンガスを使用した。本実施例では、照射フルエンスを2.1×10J/cm、4.1×10J/cm、および5.1×10J/cmの3通りに変化させてそれぞれ加熱工程を実施し、加熱工程後のワイヤの引張強度を計測した。なお、いずれの場合もワイヤの対象部分は1箇所であり、熱処理の回数も1回である。計測結果を表1に示す。
Figure 2017047021
表1に示すように、いずれの照射フルエンスの場合も、レーザ熱処理前の引張強度の350Nに比べて、引張強度が低下した。したがって、本加熱工程によりワイヤの対象部分の引張強度を適切に低下させることが確認された。
(実施例2)
本実施例では、図2に示すレーザ熱処理装置50を用いて加熱工程を実施した。熱処理の対象となる線材として、18重量パーセントのCrと8.43重量パーセントのNiとを含むステンレス鋼を用いて形成された直径0.5mmのワイヤを用いた。このワイヤのレーザ熱処理前の引張強度は380Nであった。レーザ熱処理装置50において、レーザ57の波長帯は800〜1100nmとし、光学ヘッド52の集光レンズには焦点距離f=100mmのものを使用した。また、ガス58として、アルゴンガスを使用した。本実施例では、照射フルエンスを2.1×10J/cm、4.1×10J/cm、および5.1×10J/cmの3通りに変化させてそれぞれ加熱工程を実施し、加熱工程後のワイヤの引張強度を計測した。なお、いずれの場合もワイヤの対象部分は1箇所であり、熱処理の回数も1回である。計測結果を表2に示す。
Figure 2017047021
表2に示すように、いずれの照射フルエンスの場合も、レーザ熱処理前の引張強度の380Nに比べて、引張強度が低下した。したがって、本加熱工程によりワイヤの対象部分の引張強度を適切に低下させることが確認された。
(実施例3)
本実施例では、図13に示すレーザ熱処理装置110を用いて加熱工程を実施した。熱処理の対象となる線材として、NiTiを用いて形成された直径0.5mmのワイヤを用いた。このワイヤのレーザ熱処理前の引張強度は350Nであった。レーザ熱処理装置110において、レーザ57の波長帯は800〜1100nmとし、光学ヘッド52の集光レンズには焦点距離f=100mmのものを使用した。また、ガス58として、アルゴンガスを使用した。さらに、保持部111を回転数475rpmで回転させた。本実施例では、照射フルエンスを1.0×10J/cm、2.1×10J/cm、3.1×10J/cm、4.1×10J/cm、および5.1×10J/cmの5通りに変化させてそれぞれ加熱工程を実施し、加熱工程後のワイヤの引張強度を計測した。なお、いずれの場合もワイヤの対象部分は1箇所であり、熱処理の回数も1回である。計測結果を表3に示す。
Figure 2017047021
表3に示すように、いずれの照射フルエンスの場合も、レーザ熱処理前の引張強度の350Nに比べて、引張強度が低下した。よって、本加熱工程によりワイヤの対象部分の引張強度を適切に低下させることが確認された。
以上の実施例1から3の結果より、加熱工程において照射フルエンスは少なくとも1.0×10J/cmであれば、線材の対象部分の機械的強度(引張強度)を適切に低下させることが可能であることが確認された。
本実施形態に係る医療用器具の製造方法によれば、加熱工程において、線材において破断しやすく構成させる対象部分に対してレーザを照射することで、対象部分を加熱する熱処理を行う。レーザを用いることにより、この対象部分のみを所定の照射フルエンスで的確に加熱することができるため、熱処理により対象部分の機械的強度を適切に低下させることができる。したがって、無理な力が加わった場合に破断するように意図した部位である対象部分を所定の条件で確実に破断させることができる医療用器具を製造することが可能となる。
また、加熱工程において、熱処理がガス雰囲気中で行われることにより、ガスを線材に対応して適切に選定することで例えば線材の酸化など不要な化学反応の進行を防止することができる。よって、熱処理により線材の対象部分の機械的強度を適切に低下させることができる。
線材を形成する合金が55.8重量パーセント以上56.0重量パーセント以下のNiを含む形状記憶合金であることにより、線材が生体適合性を有するため、患者に対する負担を低減することができる。
線材を形成する合金が上記の形状記憶合金である場合、熱処理における所定温度は550℃以上800℃以下であることが好ましい。この温度範囲内の温度に対象部分が加熱されるように熱処理を施すことで、線材の引張強度を良好に低下させることができる。
線材を形成する合金が16重量パーセント以上26重量パーセント以下のCrと4重量パーセント以上26重量パーセント以下のNiとを含むステンレス鋼であることにより、線材が生体適合性を有するため、患者に対する負担を低減することができる。
線材を形成する合金が上記のステンレス鋼である場合、熱処理における所定温度は600℃以上1000℃以下であることが好ましい。この温度範囲内の温度に対象部分が加熱されるように熱処理を施すことで、線材の引張強度を良好に低下させることができる。
本実施形態に係る医療用器具の製造方法が、加熱工程に加えて、対象部分を有する線材を用いて医療用バスケットを形成するバスケット形成工程をさらに備えることにより、熱処理を施されて機械的強度が低下した線材を含んだ医療用バスケットを形成することができる。したがって、この医療用バスケットが異物を嵌頓した場合にこの線材が破断することで、異物を解放することができる。
バスケット形成工程において、対象部分を医療用バスケットのバスケット部においてバスケット部の基端よりもバスケット部の先端に近い位置に配置することにより、使用時に対象部分が破断した場合に、バスケット部の基端側を向く破断された端部を有する線材の部分の長さを短くすることができる。したがって、破断後に医療用バスケットが基端側に牽引された場合に、このバスケット部の基端側を向く破断された端部で周辺組織を傷つけることを防止することができる。
また、本実施形態に係る医療用器具によれば、脆弱部は、線材の対象部分に対してレーザを照射することで、対象部分を加熱することにより形成されている。レーザを用いることにより、この対象部分のみを所定の照射フルエンスで的確に加熱することができるため、このレーザのよる加熱により対象部分の機械的強度を適切に低下させることができる。したがって、無理な力が加わった場合にレーザによる加熱を施された対象部分である脆弱部を所定の条件で確実に破断させることができる。
なお、本実施形態において上述したレーザ熱処理装置50およびレーザ熱処理装置110の構成は一例であり、これに限られない。例えば、ガス58の噴射方法としてノズルを用いることができるが、ノズル以外にチャンバーなどを用いてもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
1、2、3、4 医療用バスケット(医療用器具)
10 シース
20 操作ワイヤ
30、80、90、100 バスケット部
32、32a、32b、32c、32d、81、91、101 バスケットワイヤ(線材)
34、82、92、102 脆弱部
36 先端チップ
38 結束部材
40 操作部
50、110 レーザ熱処理装置
57 レーザ
58 ガス
60、120 線材
61、121 対象部分
70 異物

Claims (9)

  1. 二種類以上の金属を含む合金を用いて形成された線材を一つ以上有する医療用器具の製造方法であって、
    前記線材のうち少なくとも一つの線材の対象部分に対して10J/cm以上の照射フルエンスでレーザを照射して、前記合金の固溶度線よりも低い所定温度になるように前記対象部分を加熱する熱処理を、前記対象部分に一回以上施す加熱工程を備える
    医療用器具の製造方法。
  2. 請求項1に記載の医療用器具の製造方法であって、
    前記熱処理は、ガス雰囲気中で行われる
    医療用器具の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の医療用器具の製造方法であって、
    前記合金は、55.8重量パーセント以上56.0重量パーセント以下のNiを含む形状記憶合金である
    医療用器具の製造方法。
  4. 請求項3に記載の医療用器具の製造方法であって、
    前記熱処理における前記所定温度は、550℃以上800℃以下である
    医療用器具の製造方法。
  5. 請求項1または2に記載の医療用器具の製造方法であって、
    前記合金は、16重量パーセント以上26重量パーセント以下のCrと、4重量パーセント以上26重量パーセント以下のNiと、を含むステンレス鋼である
    医療用器具の製造方法。
  6. 請求項5に記載の医療用器具の製造方法であって、
    前記熱処理における前記所定温度は、600℃以上1000℃以下である
    医療用器具の製造方法。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の医療用器具の製造方法であって、
    前記対象部分を有する前記線材を用いて医療用バスケットを形成するバスケット形成工程をさらに備える
    医療用器具の製造方法。
  8. 請求項7に記載の医療用器具の製造方法であって、
    前記対象部分は、前記医療用バスケットのバスケット部において、前記バスケット部の基端よりも前記バスケット部の先端に近い位置に配置されている
    医療用器具の製造方法。
  9. 二種類以上の金属を含む合金を用いて形成された線材を一つ以上有する医療用器具であって、
    前記線材のうち少なくとも一つの線材に設けられ、他の部位よりも破断しやすく構成された脆弱部を備え、
    前記脆弱部は、前記少なくとも一つの線材の対象部分に対して10J/cm以上の照射フルエンスでレーザを照射して、前記合金の固溶度線よりも低い所定温度になるように前記対象部分を加熱することにより形成されている
    医療用器具。
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