JP2002012425A - Pzt薄膜の製法およびそれにより得られたpzt構造体 - Google Patents

Pzt薄膜の製法およびそれにより得られたpzt構造体

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JP2002012425A
JP2002012425A JP2000186861A JP2000186861A JP2002012425A JP 2002012425 A JP2002012425 A JP 2002012425A JP 2000186861 A JP2000186861 A JP 2000186861A JP 2000186861 A JP2000186861 A JP 2000186861A JP 2002012425 A JP2002012425 A JP 2002012425A
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pzt thin
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Akio Sato
明生 佐藤
Norio Kanbara
紀雄 神原
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Sumitomo Riko Co Ltd
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Sumitomo Riko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】水熱合成を始める際の混合アルカリ水溶液中に
おけるTiのイオン化を充分に行なうことができるPZ
T薄膜の製法およびそれにより得られたPZT構造体を
提供する。 【解決手段】導電性を有する基板の基板面にゾルゲル法
によりPZT薄膜を形成する工程と、ゾルゲル法により
PZT薄膜が形成された基板を鉛化合物,ジルコニウム
化合物,およびチタン化合物を含有するアルカリ水溶液
中に保持して100〜250℃の温度で水熱合成するこ
とにより上記ゾルゲル法によるPZT薄膜を介してPZ
T薄膜を形成する工程と、上記ゾルゲル法によるPZT
薄膜形成工程または水熱合成工程に引き続く分極処理工
程とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水熱合成により基
板面にPZT薄膜を形成するPZT薄膜の製法およびそ
れにより得られたPZT構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、水熱合成により、基板表面に
PZT薄膜を形成することが行なわれている。このPZ
T薄膜の製法には、PZT結晶核生成とPZT結晶成長
との2段階に分けて行なう方法(特開平6−20678
7号公報,特開平9−217178号公報)と、PZT
結晶核生成とPZT結晶成長とを1段階で行なう方法
(特開平9−217178号公報,特開平9−2784
36号公報)とがある。
【0003】上記2段階に分けて行なう方法は、まず、
第1段階では、図7および図8に示すように、例えば、
硝酸鉛(Pb(NO3 2 ),オキシ塩化ジルコニウム
(ZrOCl),水酸化カリウム(KOH)を含む混合
アルカリ水溶液中にチタン(Ti)製基板51を保持し
て所定条件下で水熱合成することにより、基板51の表
面にPZT結晶核を生成させてそのPZT結晶核からな
る第1の膜52aを形成させる。そして、第2段階で
は、図9および図10に示すように、例えば、Pb(N
3 2 ,ZrOCl,TiCl4 ,KOHを含む混合
アルカリ水溶液中に上記第1の膜52aを形成させた基
板51を保持して所定条件下で水熱合成することによ
り、PZT結晶核の周辺(PZT結晶核の表面やPZT
結晶核間の隙間)にPZT結晶を成長させてそのPZT
結晶からなる第2の膜52bを形成させる。このように
して、基板51の表面に上記第1の膜52aと第2の膜
52bとからなるPZT結晶膜52を形成させる。
【0004】上記1段階で行なう方法は、例えば、Pb
(NO3 2 ,ZrOCl,TiCl4 ,KOHを含む
混合アルカリ水溶液中に基板51を保持して所定条件下
で水熱合成することにより、基板51の表面に上記第1
の膜52aのみのPZT結晶膜を形成させる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の水熱合成によるPZT結晶膜52の形成では、水熱
合成を始める際の混合アルカリ水溶液中において、基板
51の表面でのTiのイオン化が不充分であるため、P
ZT結晶核からなる第1の膜52aの厚みが厚く形成さ
れるにつれて、第1の膜52aの表面部分のTi成分が
著しく減少する。このため、基板51とその表面に形成
されたPZT結晶膜52とからなるPZT構造体の圧電
定数を充分に向上させることが困難であった。すなわ
ち、PZT構造体では、PZT結晶膜52のTi/Ti
+Zr(モル比)の組成が0.48である場合に、圧電
定数が最大になることが知られている。しかしながら、
上記従来の水熱合成では、第1の膜52aの表面部分の
上記Ti/Ti+Zr(モル比)の組成が0.48を大
きく下回るため、PZT結晶膜52全体の上記Ti/T
i+Zr(モル比)の組成が0.48を大きく下回り、
PZT構造体の圧電定数が充分な値にならない。
【0006】そこで、水熱合成に用いる混合アルカリ水
溶液中にTiイオンを充分に含有させることが考えられ
るが、この場合には、混合アルカリ水溶液中でPZT粉
末が形成され、上記基板51の表面では、第1の膜52
aの形成の際にTiイオンが取り込まれなくなる。
【0007】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、水熱合成により形成されるPZT薄膜のTi/
Ti+Zr(モル比)の組成を0.48に近づけること
ができるPZT薄膜の製法およびそれにより得られたP
ZT構造体の提供をその目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、基板として導電性を有する基板を準備す
る工程と、上記基板の基板面にゾルゲル法によりPZT
薄膜を形成する工程と、ゾルゲル法によりPZT薄膜が
形成された基板を下記(A)のアルカリ水溶液中に保持
して100〜250℃の温度で水熱合成することにより
上記ゾルゲル法によるPZT薄膜を介してPZT結晶膜
を形成する工程と、上記ゾルゲル法によるPZT薄膜形
成工程または水熱合成工程に引き続く分極処理工程とを
備えているPZT薄膜の製法を第1の要旨とし、それに
より得られたPZT構造体を第2の要旨とする。 (A)鉛化合物,ジルコニウム化合物,およびチタン化
合物を含有するアルカリ水溶液。
【0009】すなわち、本発明のPZT薄膜の製法は、
基板の基板面にゾルゲル法によりPZT薄膜を形成する
工程と、ゾルゲル法によりPZT薄膜が形成された基板
を上記(A)のアルカリ水溶液中に保持して100〜2
50℃の温度で水熱合成することにより上記ゾルゲル法
によるPZT薄膜を介してPZT結晶膜を形成する工程
とを備えている。そして、ゾルゲル法により形成された
PZT薄膜中のTi/Ti+Zr(モル比)の組成は、
0.48に近い値になっている。このため、ゾルゲル法
により形成されたPZT薄膜は、圧電定数が充分に大き
くなっている。さらに、従来のチタン製基板において
は、上記(A)のアルカリ水溶液のTi/Ti+Zr
(モル比)の組成が0.48付近では、水熱合成により
PZT結晶膜を形成できなかったが、ゾルゲル法により
PZT薄膜が形成された基板を水熱合成する場合には、
ゾルゲル法により形成されたPZT薄膜と水熱合成によ
り形成されるPZT結晶膜とが同一の物質であるために
なじみやすいことから、PZT結晶膜を形成できるよう
になる。また、上記水熱合成により、形成されるPZT
結晶膜のTi/Ti+Zr(モル比)の組成を0.48
に近い値にすることができ、そのPZT結晶膜の圧電定
数も大きくすることができる。また、上記水熱合成によ
り、PZT結晶膜を厚く形成することができる。
【0010】また、本発明のPZT薄膜の製法におい
て、水熱合成に先立って、ゾルゲル法により形成したP
ZT薄膜の表面にチタン成分を有する金属をスパッタリ
ングする工程を備えている場合には、スパッタリングさ
れた金属中のチタンがイオン化する。このため、水熱合
成を始める際には、水熱合成に用いるアルカリ水溶液中
におけるチタンのイオン化をより充分に行なうことがで
きる。したがって、水熱合成によるPZT結晶膜をより
厚く形成することができる。
【0011】また、本発明のPZT薄膜の製法におい
て、ゾルゲル法によりPZT薄膜を形成する際に、その
PZT薄膜内に酸化チタン粒子を分散させる工程を備え
ている場合には、酸化チタン粒子中のチタンがイオン化
する。このため、水熱合成を始める際には、水熱合成に
用いるアルカリ水溶液中におけるチタンのイオン化をよ
り充分に行なうことができる。したがって、水熱合成に
よるPZT結晶膜をより厚く形成することができる。
【0012】そして、本発明のPZT薄膜の製法により
得られたPZT構造体は、水熱合成に用いたアルカリ水
溶液中にチタンイオンが充分に存在していたため、水熱
合成によるPZT結晶膜の表面部分でも、チタン成分が
充分に含有されている。したがって、上記PZT構造体
の圧電定数は充分に向上したものとなっている。
【0013】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態を図
面にもとづいて詳しく説明する。
【0014】図1〜図3は、本発明のPZT薄膜の製法
の第1の実施の形態を示している。この実施の形態で
は、図1に示すように、水熱合成処理に先立ってTi製
(導電性を有する)基板11の基板面(両面および側
面)にゾルゲル法によりPZT薄膜(以下、「ゾルゲル
PZT薄膜」という)12を形成し、水熱合成処理のの
ちに分極処理している。
【0015】すなわち、まず、アセトンを用いて洗浄し
た上記基板11の基板面にゾルゲルPZT液をコーティ
ングして仮焼成する。さらに、これらコーティングおよ
び仮焼成を所定回数繰り返したのちに本焼成する。この
ようにして、上記基板11の基板面にゾルゲルPZT薄
膜12を形成する。そして、アセトンを用いてゾルゲル
PZT薄膜12の表面を洗浄する。
【0016】つづいて、図2において、内面にポリテト
ラフルオロエチレンがコートされている圧力容器1に、
Pb(NO3 2 ,ZrOCl,TiCl4 ,およびK
OHを含む混合アルカリ水溶液を入れ、この混合アルカ
リ水溶液中に上記ゾルゲルPZT薄膜12を形成した基
板11(図1参照)を保持する。一方、上記圧力容器1
を載置するための可動ステージ2を備えたステンレス槽
(耐熱容器)3内にシリコーンオイル(熱媒体)4を入
れておき、上記圧力容器1を蓋体5で密閉したのち、握
持手段6により上記シリコーンオイル4内に潜在させ
る。そして、シリコーンオイル4を加熱手段(図示せ
ず)により所定の温度に設定し、圧力容器1を重力と平
行方向に3Hz以上で振動させるとともに、シリコーン
オイル4を攪拌手段7で攪拌しながら、水熱合成処理を
所定時間行なう。このようにして、図3に示すように、
上記ゾルゲルPZT薄膜12の表面に水熱合成処理によ
るPZT結晶膜(以下、「水熱合成PZT結晶膜」とい
う)13を形成し、基板11,ゾルゲルPZT薄膜12
および水熱合成PZT結晶膜13とからなる基材を得
る。
【0017】つづいて、上記基材の両面に、スパッタリ
ングにより白金(Pt)膜の電極を形成する。そして、
所定温度のシリコーンオイル(図示せず)の中で上記P
t膜に所定の直流電圧を印加することにより、分極処理
する。このようにして、基板11,分極処理されたゾル
ゲルPZT薄膜12および水熱合成PZT結晶膜13と
からなるPZT構造体10を得る。
【0018】上記第1の実施の形態によれば、水熱合成
処理に先立って、Ti製基板11の基板面にゾルゲルP
ZT薄膜12を形成している。このため、つぎの工程で
ある水熱合成処理の工程で、水熱合成処理に用いる混合
アルカリ水溶液のTi/Ti+Zr(モル比)の組成が
大きく(約0.48)ても、上記ゾルゲルPZT薄膜1
2と水熱合成PZT結晶膜13とが同一の物質であるた
めになじみやすいことから、上記ゾルゲルPZT薄膜1
2の表面に水熱合成PZT結晶膜13を形成することが
できる。また、混合アルカリ水溶液中では、Tiのイオ
ン化が充分に行なわれており、水熱合成PZT結晶膜1
3の厚みが厚く成長しても、成長した水熱合成PZT結
晶膜13の中のTi成分は著しく減少していない。すな
わち、水熱合成PZT結晶膜13の表面部分でも、Ti
成分が充分に含有されており、Ti/Ti+Zr(モル
比)の組成が0.48に近い値になっている。したがっ
て、上記第1の実施の形態によれば、得られるPZT構
造体10の圧電定数を充分に向上させることができる。
【0019】本発明のPZT薄膜の製法の第2の実施の
形態は、上記分極処理を、ゾルゲルPZT薄膜12形成
ののち、水熱合成処理に先立って行なう製法である。
【0020】すなわち、まず、上記第1の実施の形態と
同様にして、Ti製基板11の基板面にゾルゲルPZT
薄膜12を形成したのち、このゾルゲルPZT薄膜12
の表面をアセトンを用いて洗浄する。
【0021】つづいて、上記ゾルゲルPZT薄膜12の
互いに反対側となる表面に、銀ペーストを塗布し、これ
ら銀ペーストに所定の直流電圧を印加することにより、
分極処理する。そののち、IPA(イソプロピルアルコ
ール)を用いて、上記銀ペーストを完全に除去する。
【0022】つづいて、上記第1の実施の形態と同様に
して、水熱合成処理を所定時間行ない、上記ゾルゲルP
ZT薄膜12の表面に水熱合成PZT結晶膜13を形成
する。このようにして、基板11,分極処理されたゾル
ゲルPZT薄膜12および水熱合成PZT結晶膜13と
からなるPZT構造体10が得られる。
【0023】上記第2の実施の形態によっても、上記第
1の実施の形態と同様の作用・効果を奏する。
【0024】本発明のPZT薄膜の製法の第3の実施の
形態は、上記第1または第2の実施の形態において、水
熱合成処理に先立って、ゾルゲルPZT薄膜12の表面
にチタン,酸化チタン,チタン金属等のTi成分を有す
る金属をスパッタリングする製法である。
【0025】上記第3の実施の形態によれば、スパッタ
リングされた金属中のTiはイオン化する。このため、
水熱合成処理を始める際には、水熱合成処理に用いる混
合アルカリ水溶液中におけるTiのイオン化をより充分
に行なうことができる。したがって、水熱合成PZT結
晶膜13の厚みをより厚く成長させることができる。し
かも、成長した水熱合成PZT結晶膜13の中のTi成
分は著しく減少せず、水熱合成PZT結晶膜13はより
厚く形成される。すなわち、より厚く形成された水熱合
成PZT結晶膜13の表面部分でも、Ti成分が充分に
含有されており、Ti/Ti+Zr(モル比)の組成が
0.48に近い値になっている。したがって、上記第3
の実施の形態によっても、得られるPZT構造体10の
圧電定数を充分に向上させることができる。
【0026】本発明のPZT薄膜の製法の第4の実施の
形態は、上記第1または第2の実施の形態において、ゾ
ルゲルPZT薄膜12内に酸化チタン(TiO2 )粒子
を分散させる製法である。上記TiO2 粒子の分散は、
例えば、Ti製基板11にコーティングするゾルゲルP
ZT液中に予めTiO2 粒子を混合させることにより可
能となる。
【0027】上記第4の実施の形態によれば、TiO2
粒子中のTiはイオン化する。このため、上記第3の実
施の形態と同様の作用・効果を奏する。
【0028】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0029】
【実施例1】実施例1は、上記第1の実施の形態と同様
の製法である。具体的には、Ti製基板11は、30m
m×40mm×50μm(厚み)のものを用いた。そし
て、ゾルゲルPZT液は、PZT薄膜形成剤A6(三菱
マテリアル社製)を用い、そのコーティングは、回転数
3000rpm,時間15秒の条件でのスピンコーティ
ングとし、仮焼成は、300℃で5分間行なった。そし
て、これらスピンコーティングおよび仮焼成をさらに9
回繰り返した。また、本焼成は、電気炉を用い、650
℃で10分間行なった。このようにして、基板11の基
板面にそれぞれ厚み0.22μmのゾルゲルPZT薄膜
12を形成した。
【0030】また、混合アルカリ水溶液は、Pb(NO
3 2 を10mmol、ZrOClを4.8mmol、
TiCl4 を4.8mmol、KOHを136.8mm
ol用いて30ml作成し、水熱合成処理は、シリコー
ンオイル4の設定温度を120℃にして24時間行なっ
た。そして、上記ゾルゲルPZT薄膜12の表面に水熱
合成PZT結晶膜13を形成し、基板11,ゾルゲルP
ZT薄膜12および水熱合成PZT結晶膜13とからな
る基材を得た。
【0031】さらに、上記水熱合成処理ののち、上記基
材を取り出して蒸留水にて超音波洗浄し、100℃で乾
燥した。ついで、その基材から30mm×10mmの基
材を切り出し、この切り出した基材の両面にスパッタリ
ングによりPt膜の電極(厚み1.0×10-7m,寸法
25mm×8mm)を形成した。そして、300℃のシ
リコーンオイルの中で上記Pt膜に10Vの直流電圧を
印加することにより、分極処理を施した。このようにし
て、基板11,分極処理されたゾルゲルPZT薄膜12
および水熱合成PZT結晶膜13とからなるPZT構造
体10を得た。そして、その分極処理されたゾルゲルP
ZT薄膜12と水熱合成PZT結晶膜13とからなる積
層PZT薄膜14の厚みは、1.20μmであった。
【0032】
【実施例2】実施例2は、上記実施例1において、ゾル
ゲルPZT薄膜12の厚みを0.05μmにしたもので
ある。これは、スピンコーティングおよび仮焼成を繰り
返すことなく1回だけ行なうことにより可能とした。ま
た、分極処理されたゾルゲルPZT薄膜12と水熱合成
PZT結晶膜13とからなる積層PZT薄膜14の厚み
は1.00μmであった。
【0033】
【実施例3】実施例3は、上記第2の実施の形態と同様
の製法である。具体的には、上記実施例1と同様にし
て、基板11の基板面にそれぞれ厚み0.22μmのゾ
ルゲルPZT薄膜12を形成した。そして、分極処理
は、5Vの直流電圧を印加することにより行なった。ま
た、分極処理されたゾルゲルPZT薄膜12と水熱合成
PZT結晶膜13とからなる積層PZT薄膜14の厚み
は1.22μmであった。そして、上記実施例1と同様
にして、水熱合成処理を行なったのち、切り出したPZ
T構造体10の両面にPt膜を形成した。
【0034】
【実施例4】実施例4は、上記第3の実施の形態と同様
の製法である。具体的には、基板11の基板面にそれぞ
れ厚み0.22μmのゾルゲルPZT薄膜12を形成し
た。さらに、水熱合成処理に先立って、上記ゾルゲルP
ZT薄膜12の表面にチタン薄膜(図示せず)を厚みが
0.20μmとなるようにスパッタリングした。また、
分極処理されたゾルゲルPZT薄膜12とスパッタリン
グしたチタン薄膜と水熱合成PZT結晶膜13とからな
る積層PZT薄膜14の厚みは1.81μmであった。
そして、上記実施例1と同様にして、水熱合成処理を行
なったのち、切り出したPZT構造体10の両面にPt
膜を形成した。
【0035】
【実施例5】実施例5は、上記第4の実施の形態と同様
の製法である。具体的には、基板11にコーティングす
るゾルゲルPZT液中に予めTiO2 粒子(粒子径:2
0nm)を混合させる。この混合比は、ゾルゲルPZT
液100質量部に対してTiO2 粒子を10重量部とし
た。そして、基板11の基板面にそれぞれ厚み0.22
μmのゾルゲルPZT薄膜(TiO2 粒子が分散された
もの)12を形成した。また、分極処理されたゾルゲル
PZT薄膜12と水熱合成PZT結晶膜13とからなる
積層PZT薄膜14の厚みは1.70μmであった。そ
して、上記実施例1と同様にして、水熱合成処理を行な
ったのち、切り出したPZT構造体10の両面にPt膜
を形成した。
【0036】
【比較例1】比較例1は、従来の2段階に分けて行なう
PZT薄膜の製法であり、上記実施例1〜5と異なり、
水熱合成処理に先立って基板11の基板面にゾルゲルP
ZT薄膜12を形成しない製法である。すなわち、ま
ず、上記実施例1(第1の実施の形態)と同様の圧力容
器1,ステンレス槽3,およびTi製基板11を準備し
た。ついで、上記圧力容器1に、Pb(NO3 2 を1
0mmol、ZrOClを4.8mmol、KOHを1
36.8mmol含む混合アルカリ水溶液(第1の合成
液)30mlを入れ、アセトンを用いて洗浄した基板1
1を上記第1の合成液中に保持した。つぎに、上記ステ
ンレス槽3内にシリコーンオイル4を入れ、上記圧力容
器1を蓋体5で密閉したのち、握持手段6により上記シ
リコーンオイル4内に潜在させた。そして、シリコーン
オイル4を加熱手段(図示せず)により180℃に設定
し、圧力容器1を重力と平行方向に3Hz以上で振動さ
せるとともに、シリコーンオイル4を攪拌手段7で攪拌
しながら、水熱合成処理(第1の水熱合成処理)を24
時間行なった。そして、この第1の水熱合成処理のの
ち、上記基板11を取り出して蒸留水にて超音波洗浄し
た。この第1の水熱合成処理を終えた状態では、基板1
1の基板面にPZT結晶核が生成されていた。
【0037】つづいて、上記第1の合成液を排出し、P
b(NO3 2 を10mmol、ZrOClを4.8m
mol、TiCl4 を4.8mmol、およびKOHを
136.8mmol含む混合アルカリ水溶液(第2の合
成液)30mlを入れ、上記水熱合成処理した基板11
を上記第2の合成液中に保持した。そして、上記第1の
水熱合成処理と同様にして、再度、水熱合成処理(第2
の水熱合成処理)を、設定温度を120℃にして24時
間行ない、PZT結晶核の周辺にPZT結晶を成長させ
て水熱合成PZT結晶膜13(図4参照)を成長させ
た。このようにして、基板11の基板にそれぞれ厚み5
μmの水熱合成PZT結晶膜13が形成されたPZT構
造体50(図4参照)を得た。ついで、そのPZT構造
体50から30mm×10mmのPZT構造体50を切
り出し、この切り出したPZT構造体50の両面に銀ペ
ーストを用いて電極(25mm×8mm)を形成した。
【0038】そして、上記実施例1〜5および比較例1
の製法により得られたPZT構造体10,50につい
て、その圧電定数を算出した。すなわち、まず、図5に
示すように、30mm×10mmに切り出された電極付
きPZT構造体10,50の一端部を、他端部が10m
m突出するようにして、電極付き治具21で固定し、他
端部を自由端とした。そして、電極付きPZT構造体1
0,50に電極付き治具21を介して、1秒間隔で断続
的に1Vから20Vまで1Vずつ上げて直流電圧を印加
し(図6参照)、各電圧の印加開始から1秒後の自由端
先端Aの変位量をレーザー変位計により測定した。そし
て、各測定結果より、1〜20Vまでのそれぞれの変位
量(μm)/電圧(V)を算出し、それらの平均値をも
とめた。また、PZT構造体10,50の厚み(電極を
除く)を断面SEM写真から計測し、PZT構造体1
0,50の基板11の厚みをマイクロメーターにより測
定し、PZT構造体10,50の積層PZT薄膜14の
厚み(実施例1〜5),水熱合成PZT結晶膜13の厚
み(比較例1)は、それらの差を2で割り算出した。さ
らに、基板11のヤング率およびPZT構造体10のヤ
ング率は、JIS Z2241により測定した。これら
の値ならびに電極を形成したPZT構造体10,50の
電極付き治具21からの突出長さを下記式(1),
(2)に代入し、PZT結晶膜12のヤング率を算出
し、PZT構造体10,50の圧電定数を求めた。これ
らの結果を、後記の表1に併せて示した。
【0039】
【数1】
【0040】
【数2】
【0041】
【表1】
【0042】上記表1の結果から、実施例1〜5の製法
によるPZT構造体10は、比較例1の製法によるPZ
T構造体50と比較して、圧電定数が大きくなっている
ことがわかる。
【0043】なお、上記各実施の形態および各実施例で
は、混合アルカリ水溶液にTiCl 4 を含ませたが、こ
れに限定されるものではなく、チタン塩であれば、Ti
Cl 4 に代えて硫酸チタン,チタニル化合物等でもよ
い。
【0044】また、上記各実施の形態および各実施例で
は、水熱合成処理に用いる混合アルカリ水溶液は、KO
Hを含むアルカリ水溶液であるが、アルカリ水溶液であ
れば他でもよい。
【0045】また、上記各実施の形態および各実施例で
は、導電性を有する基板として、Ti製基板11を準備
して用いたが、これに限定されるものではなく、絶縁性
を有する基板の片面または両面に電極が形成された導電
性を有する基板を準備して用いてもよい。この場合に
は、上記電極の一部を介して上記ゾルゲルPZT薄膜1
2が形成される。
【0046】
【発明の効果】以上のように、本発明のPZT薄膜の製
法によれば、基板の基板面にゾルゲル法によりPZT薄
膜を形成する工程と、ゾルゲル法によりPZT薄膜が形
成された基板を下記(A)のアルカリ水溶液中に保持し
て100〜250℃の温度で水熱合成することにより上
記ゾルゲル法によるPZT薄膜を介してPZT結晶膜を
形成する工程とを備えている。そして、ゾルゲル法によ
り形成されたPZT薄膜中のTi/Ti+Zr(モル
比)の組成は、0.48に近い値になっている。このた
め、ゾルゲル法により形成されたPZT薄膜は、圧電定
数が充分に大きくなっている。さらに、ゾルゲル法によ
りPZT薄膜が形成された基板を水熱合成する場合に
は、ゾルゲル法により形成されたPZT薄膜と水熱合成
により形成されるPZT結晶膜とが同一の物質であるた
めになじみやすいことから、PZT結晶膜を形成できる
ようになる。また、上記水熱合成により、形成されるP
ZT結晶膜のTi/Ti+Zr(モル比)の組成を0.
48に近い値にすることができ、そのPZT結晶膜の圧
電定数も大きくすることができる。また、上記水熱合成
により、PZT結晶膜を厚く形成することができる。
(A)鉛化合物,ジルコニウム化合物,およびチタン化
合物を含有するアルカリ水溶液。
【0047】また、本発明のPZT薄膜の製法におい
て、水熱合成に先立って、ゾルゲル法により形成したP
ZT薄膜の表面にチタン成分を有する金属をスパッタリ
ングする工程を備えている場合には、スパッタリングさ
れた金属中のチタンがイオン化する。このため、水熱合
成を始める際には、水熱合成に用いるアルカリ水溶液中
におけるチタンのイオン化をより充分に行なうことがで
きる。したがって、水熱合成によるPZT結晶膜をより
厚く形成することができる。
【0048】また、本発明のPZT薄膜の製法におい
て、ゾルゲル法によりPZT薄膜を形成する際に、その
PZT薄膜内に酸化チタン粒子を分散させる工程を備え
ている場合には、酸化チタン粒子中のチタンがイオン化
する。このため、水熱合成を始める際には、水熱合成に
用いるアルカリ水溶液中におけるチタンのイオン化をよ
り充分に行なうことができる。したがって、水熱合成に
よるPZT結晶膜をより厚く形成することができる。
【0049】そして、本発明のPZT薄膜の製法により
得られたPZT構造体は、水熱合成に用いたアルカリ水
溶液中にチタンイオンが充分に存在していたため、水熱
合成によるPZT結晶膜の表面部分でも、チタン成分が
充分に含有されている。したがって、上記PZT構造体
の圧電定数は充分に向上したものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のPZT薄膜の製法の一実施の形態を示
す説明図である。
【図2】上記PZT薄膜の製法を示す説明図である。
【図3】上記製法により得られたPZT構造体を示す説
明図である。
【図4】比較例1の製法により得られたPZT構造体を
示す説明図である。
【図5】上記PZT構造体の圧電定数を算出する方法を
示す説明図である。
【図6】上記PZT構造体への直流電圧の印加方法を示
すグラフである。
【図7】基板にPZT結晶核が生成した状態を示すSE
M写真である。
【図8】基板に第1の膜が形成された状態を模式的に示
す説明図である。
【図9】基板にPZT結晶が成長した状態を示すSEM
写真である。
【図10】基板に第2の膜が形成された状態を模式的に
示す説明図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板として導電性を有する基板を準備す
    る工程と、上記基板の基板面にゾルゲル法によりPZT
    薄膜を形成する工程と、ゾルゲル法によりPZT薄膜が
    形成された基板を下記(A)のアルカリ水溶液中に保持
    して100〜250℃の温度で水熱合成することにより
    上記ゾルゲル法によるPZT薄膜を介してPZT結晶膜
    を形成する工程と、上記ゾルゲル法によるPZT薄膜形
    成工程または水熱合成工程に引き続く分極処理工程とを
    備えていることを特徴とするPZT薄膜の製法。 (A)鉛化合物,ジルコニウム化合物,およびチタン化
    合物を含有するアルカリ水溶液。
  2. 【請求項2】 水熱合成に先立って、ゾルゲル法により
    形成したPZT薄膜の表面にチタン成分を有する金属を
    スパッタリングする工程を備えている請求項1記載のP
    ZT薄膜の製法。
  3. 【請求項3】 ゾルゲル法によりPZT薄膜を形成する
    際に、そのPZT薄膜内に酸化チタン粒子を分散させる
    工程を備えている請求項1記載のPZT薄膜の製法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項に記載のP
    ZT薄膜の製法により得られたことを特徴とするPZT
    構造体。
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JP2021535699A (ja) * 2018-08-24 2021-12-16 ビーティービーエル カンパニー リミテッド 超音波センサーの製造方法

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