JP2002009290A - 有機電子素子の製造方法、および、該製造方法により製造された有機電子素子 - Google Patents

有機電子素子の製造方法、および、該製造方法により製造された有機電子素子

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JP2002009290A
JP2002009290A JP2000185816A JP2000185816A JP2002009290A JP 2002009290 A JP2002009290 A JP 2002009290A JP 2000185816 A JP2000185816 A JP 2000185816A JP 2000185816 A JP2000185816 A JP 2000185816A JP 2002009290 A JP2002009290 A JP 2002009290A
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film
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Kazunaga Horiuchi
一永 堀内
Kosho Okada
興昌 岡田
Tatsuya Maruyama
達哉 丸山
Tomoko Miyahara
知子 宮原
Masaaki Shimizu
正昭 清水
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Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機化合物の配向性を良好にさせることで、
高性能な有機電子素子を得ることができ、さらには得ら
れる有機電子素子に、軽量で柔軟性に富む等の優れた特
性を付与させることも可能な有機電子素子の製造方法、
および、該製造方法により製造された有機電子素子を提
供すること。 【解決手段】 有機半導体膜前駆体としての有機分子が
選択的に良配向性を示す表面を有する基板1を選択し、
基板1表面にソース電極2およびドレイン電極3を形成
する電極形成工程と、これら両電極2,3に接触するよ
うに、基板1表面に前記有機分子の良配向性膜からなる
有機半導体膜4を形成する半導体膜形成工程と、有機半
導体膜4上に絶縁性膜5を形成する絶縁性膜形成工程
と、該絶縁性膜5上にゲート電極6を形成するゲート電
極形成工程と、を備えることを特徴とする有機電子素子
の製造方法、および、該製造方法により製造された有機
電子素子である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機化合物を用い
た、電界効果トランジスタとして利用可能な有機電子素
子の製造方法、および、該製造方法により製造された有
機電子素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】有機化合物の中には、半導体的性質を示
すものが多く知られている。そのような有機化合物とし
ては、例えば、フタロシアニンに代表される低分子化合
物、ポリチオフェンに代表されるようなπ−共役系高分
子、および該π−共役系高分子と骨格が同じであるが繰
り返し単位数の少ないチオフェンオリゴマーに代表され
るπ−共役系オリゴマー等が挙げられる。かかる有機化
合物は、無機半導体と同様に、価電子帯、伝導帯および
これらを隔てる禁制帯からなるバンド構造を形成してい
るものと考えられ、化学的方法、電気化学的方法および
物理的方法等により価電子帯から電子を引き去ったり
(酸化)、または伝導帯に電子を注入したり還元するこ
と(すなわち、「ドーピング」)によって、電荷を運ぶ
キャリアを生じるものと説明されている。このような半
導体的性質から、これら有機化合物を様々な素子に適用
することができ、これまでにいくつかの報告がなされて
いる。
【0003】具体的には、ポリアセチレンを用いたショ
ットキー接合素子(J.Appl.Phys.52巻、
869頁、1981年、および特開昭56−14748
6号公報等)、ポリピロール系高分子を用いたショット
キー接合素子(J.Appl.Phys.54巻、25
11頁、1983年、および特開昭59−63760号
公報等)が知られている。また、無機半導体であるn−
型CdSとp−型ポリアセチレンとを組み合わせたヘテ
ロ接合素子が報告されている(J.Appl.Phy
s.51巻、4252頁、1980年)。有機半導体同
士を組み合わせた接合素子としては、p−型およびn−
型ポリアセチレンを用いたpnホモ接合素子が知られて
いる(Appl.Phys.Lett.33巻、18
頁、1978年)。更に、ポリピロールとポリチオフェ
ンからなるヘテロ接合素子(Jpn.J.Appl.P
hys.24巻、L553頁、1985年)、ポリアセ
チレンとポリN−メチルからなるヘテロ接合素子ピロー
ル(J.Appl.Phys.58巻、1279頁、1
985年)も知られている。
【0004】また、最近では有機半導体を電界効果トラ
ンジスタの活性層に適用する試みがなされ、ポリアセチ
レンを用いたもの(J.Appl.Phys.54巻、
3255頁、1983年)、ポリ(N−メチルピロ−
ル)を用いたもの(Chem.Lett.863頁、1
986年、ポリチオフェンを用いたもの(Appl.P
hys.Lett.49巻、1210頁、1986
年)、金属フタロシアニン類を用いたもの(Chem.
Phys.Lett.145巻、343頁、1988
年、チオフェンオリゴマーを用いたもの(Solid
State Comm.72巻、381頁、1989
年)等が知られている。
【0005】ここで、電界効果トランジスタについて、
まずポリチオフェンを用いたものを例に説明する。図1
1にポリチオフェンを活性層に用いた従来の電界効果ト
ランジスタの断面図を示す。ここで、91はポリチオフ
ェン膜からなる活性層、92は金膜からなるソース電
極、93は金膜ドレイン電極、94はゲート絶縁性膜と
なるシリコン酸化膜、95はゲート電極兼基板であるn
形のシリコンウエハ、96はシリコンウエハとオーミッ
ク接合を取るための電極である。このポリチオフェンを
活性層に用いた電界効果トランジスタは、以下のように
して製造される。
【0006】n形のシリコンウエハ95の表面に熱酸化
膜または自然酸化膜であるシリコン酸化膜を従来法によ
り形成し(このシリコン酸化膜は、シリコンウエハ95
の両面に形成され、一方が絶縁性膜としてのシリコン酸
化膜94となる)、この上に通常の光リソグラフィー法
あるいはエッチング法によりソース電極92およびドレ
イン電極93となる金膜のパターンを形成し、これら両
電極92,93上および両電極92,93間に、活性層
91となるポリチオフェン膜を電界重合法により形成す
る。シリコンウエハ95とオーミック接合を取るための
電極96は、シリコンウエハ95における、ソース電極
92、ドレイン電極93および活性層91を形成した側
と反対側の面に形成されたシリコン酸化膜を剥離し、G
a−In合金を塗布することにより形成する。従来の電
界効果トランジスタの有機半導体からなる活性層の形成
方法として、上記の電界重合法の他に、真空蒸着法、イ
オンクラスタービーム法(ICB法)、スピンコート
法、ラングミュア・ブロジェット法(LB法)などが報
告されている。
【0007】次に、電界効果トランジスタについて、オ
リゴチオフェンを用いたものを例に説明する。図12に
オリゴチオフェンを活性層に用いた電界効果トランジス
タの断面図を示す。ここで、101はオリゴチオフェン
膜からなる活性層、102は金膜からなるソース電極、
103は金膜からなるドレイン電極、104はゲート絶
縁性膜となるシリコン酸化膜、105はゲート電極兼基
板であるn形のシリコンウエハ、106はシリコンウエ
ハとオーミック接合を取るための電極である。このオリ
ゴチオフェンを活性層に用いた電界効果トランジスタ
は、以下のようにして製造される。
【0008】n形のシリコンウエハ105の表面に熱酸
化膜または自然酸化膜であるシリコン酸化膜104を従
来法により形成し(このシリコン酸化膜は、シリコンウ
エハ105の両面に形成され、一方が絶縁性膜としての
シリコン酸化膜104となる)、この上に活性層101
となるオリゴチオフェン膜を真空蒸着法で形成する。次
に、活性層101の上に通常の光リソグラフィー法ある
いはエッチング法によりソース電極102およびドレイ
ン電極103となる金膜のパターンを形成する。シリコ
ンウエハ105とオーミック接合を取るための電極10
6は、シリコンウエハ105における、ソース電極10
2、ドレイン電極103および活性層101を形成した
側と反対側の面に形成されたシリコン酸化膜を剥離し、
Ga−In合金を塗布することにより形成する。従来の
有機半導体を用いた電界効果トランジスタは、何れも上
記2つのうちのどちらかの方法によって製造されてい
る。
【0009】次に、ポリチオフェンを活性層に用いた電
界効果トランジスタを例に、その動作について、図11
を用いて説明する。ソース電極92とドレイン電極93
との間に電圧をかけると、活性層91を通してソース電
極92とドレイン電極93との間に電流が流れる。この
時、シリコン酸化膜(絶縁性膜)94により活性層91
と隔てられたゲート電極となるシリコンウエハ95に電
圧を印加すると、電界効果によって活性層91の電導度
を変えることができ、従って、ソース電極92・ドレイ
ン電極93の電流を制御することができる。これはシリ
コン酸化膜94に近接する活性層91内の蓄積層の幅が
シリコンウエハ95に印加する電圧によって変化し、実
効的な正のキャリアからなるチャネル断面積が変化する
ためであると考えられている。
【0010】有機分子を用いて活性層を形成する場合、
その配向性が問題となる。ここで基板に対する有機分子
の配向性に関して説明する。例えば文献(Thin S
olid Films, 151, L109 (19
87)、化学工業、11月号、31〜36ページ(19
89))に示されているように、銅フタロシアニン分子
は、石英ガラス基板表面では分子面が基板に対して垂直
になるように配向することが、X線回折測定によって明
らかにされている。また、KCl上には分子面が基板に
対して平行になるように配向する。
【0011】図4は、銅フタロシアニンを石英ガラス表
面に蒸着し、X線回折測定を行った結果である(図4
は、後述の実施例のデータであるが、本発明が当該性質
を利用したものであることに鑑み、かかる図面を流用し
て説明する。)。図4によれば、上記文献で示されてい
る内容を裏付けるように、石英ガラス表面では、6.8
度付近に鋭いピークが観測され、銅フタロシアニンは分
子面を石英ガラス表面に対して略垂直に配向しているこ
とが分かる。
【0012】また、図5は配向処理等を施していないP
MMA基板表面に銅フタロシアニン蒸着し、図4におけ
ると同様の測定条件でX線回折測定を行った結果である
(図5は、後述の比較例のデータであるが、本発明が既
述の如く配向性を利用したものであることから、配向性
の無いものの例として、かかる図面を流用して説明す
る。)。図5によれば、ピークは全く観測されず、分子
が配向していないことが分かる。
【0013】ポリテトラフルオロエチレンやポリイミド
の配向膜表面では、銅フタロシアニンは蒸着によって配
向膜を形成する。図13にポリテトラフルオロエチレン
の配向膜表面における銅フタロシアニンの分子の偏向吸
収スペクトル測定の結果を示す。図11において、の
グラフは、分子面がラビング方向(配向膜の配向方向)
に対して垂直であるときの吸収スペクトルであり、の
グラフは、ラビング方向に対して平行であるときの吸収
スペクトルである。このグラフから、配向膜の配向方向
に対して銅フタロシアニンの分子面が垂直になるように
配向していることがわかる。
【0014】このように、蒸着する基板の材質によっ
て、有機分子の配向性が変化することことが分かる。以
上銅フタロシアニンを例に挙げて、有機分子の配向性に
ついて説明したが、上記のことは、他の有機分子につい
ても同様であり、選択する基板により、配向性が左右さ
れる。
【0015】しかし、前記従来の電界効果トランジスタ
では、ゲート電極兼基板であるシリコンウエハ表面に形
成したシリコン酸化膜を絶縁層として用いており、その
表面に有機分子を蒸着することにより活性層を形成して
いるため、蒸着する際に配向性を高めることは困難であ
る。
【0016】また、近年のリサイクル性向上、廃棄適性
向上の流れの中で、電界効果トランジスタの全体を有機
物で作製することが望まれており、シリコンウエハに代
えて有機材料からならなる基板を用いることが、要求さ
れている。しかし、単に有機材料を基板として用いる
と、その表面に設ける有機分子は、一般的に配向性が低
下する。
【0017】一方、前記従来の電界効果トランジスタで
は、既述のように基板が限定されてしまうとともに、ゲ
ート電極兼基板であるシリコンウエハ表面に形成したシ
リコン酸化膜を絶縁層として用いているため、一旦形成
した後は基板から剥離することはできず、その状態のま
まで素子として使用するほか使用法が無かった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の目
的は、有機化合物を用いた、電界効果トランジスタとし
て利用可能な有機電子素子であって、有機化合物の配向
性を良好にさせることで、高性能な有機電子素子を得る
ことができ、さらには得られる有機電子素子に、軽量で
柔軟性に富む等の優れた特性を付与させることも可能な
有機電子素子の製造方法、および、該製造方法により製
造された有機電子素子を提供することにある。また、本
発明の他の目的は、上記のような良配向性の有機電子素
子を種々の電子基板等に転用しうる有機電子素子の製造
方法、および、該製造方法により製造された有機電子素
子を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下の本発
明により達成される。すなわち第1の本発明は、有機半
導体膜ないし有機導電性膜前駆体としての有機分子が選
択的に良配向性を示す表面を有する基板を選択し、該基
板表面にソース電極およびドレイン電極を形成する電極
形成工程と、これら両電極に接触するように、前記基板
表面に前記有機分子の良配向性膜からなる有機半導体膜
を形成する半導体膜等形成工程と、該有機半導体膜ない
し有機導電性膜上に絶縁性膜を形成する絶縁性膜形成工
程と、該絶縁性膜ないし有機導電性膜上にゲート電極を
形成するゲート電極形成工程と、を備えることを特徴と
する有機電子素子の製造方法、および、該製造方法によ
り製造された有機電子素子である。
【0020】第1の本発明においては、ゲート電極や絶
縁性膜とは独立した基板を用い、さらに該基板として、
有機半導体膜ないし有機導電性膜を形成する際に、有機
半導体膜ないし有機導電性膜前駆体としての有機分子が
選択的に良配向性を示す表面を有するものを選択するこ
とにより、キャリア移動度(電解効果移動度)の高い高
性能な有機電子素子を得ることができる。また、基板材
料がシリコンに限定されず、有機材料(例えば、OHP
フィルム)を用いることが可能であることから、得られ
る有機電子素子に、軽量で柔軟性に富む等の優れた特性
を付与させることも可能である。
【0021】また、第2の本発明は、第1の本発明の有
機電子素子の製造方法、および、該製造方法により製造
された有機電子素子であって、さらに、前記基板の表面
に形成されたソース電極、ドレイン電極、有機半導体膜
ないし有機導電性膜、絶縁性膜、およびゲート電極から
なる有機電子素子を、前記基板から引き剥がす引き剥が
し工程を備えることを特徴とする。
【0022】第1の本発明において、ゲート電極や絶縁
性膜とは独立した基板を用いているため、得られる有機
電子素子は、基板から剥離しても有機電子素子として機
能することになる。したがって、第2の本発明において
は、形成された有機電子素子部分を基板から剥離するこ
とで、所望の電子基板に貼り付けることを可能として
る。すなわち、実際に使用する電子基板の表面性状に囚
われることなく、有機半導体膜ないし有機導電性膜形成
時に良好な配向性を発揮し得る基板を選択することがで
き、高性能な有機電子素子を容易に製造することができ
る。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明においては、半導体膜等形
成工程で形成される膜が、半導体膜であるか導電性膜
(本発明において、「導電性」というときは、絶縁性で
無い限り抵抗を有する場合を含む概念とする。)である
かにより、所望の特性の有機電子素子を得ることができ
る。すなわち、本発明により得られる有機電子素子は、
半導体膜等形成工程で形成される膜が、半導体膜である
場合には電界効果トランジスタとして、良導電性の膜で
ある場合には導電性の素子として、高抵抗の導電性膜で
である場合には抵抗体として、それぞれ機能するものと
なる。また、さらに改造を加えることにより、コンデン
サーやコイルといった素子として機能させることもでき
る。以下、半導体膜等形成工程で形成される膜が半導体
膜である、電界効果トランジスタの場合を例に挙げ、本
発明を詳細に説明する。
【0024】<製造方法の概略>図1は、本発明の一実
施形態である電界効果トランジスタの断面図であり、1
は基板、2はソース電極、3はドレイン電極、4は有機
半導体膜、5は絶縁性膜、6はゲート電極である。図2
(a)〜(d)は、図1に示す電界効果トランジスタの
製造方法の工程図である。図2にしたがって、本発明の
一実施形態である電界効果トランジスタの製造方法につ
いて、その概略を説明する。
【0025】まず有機半導体膜前駆体としての有機分子
が選択的に良配向性を示す表面を有する基板1を選択
し、該基板1の表面にソース電極2およびドレイン電極
3を形成する{電極形成工程、図2(a)}。次に、こ
れら両電極2,3に接触するように、基板1の表面に前
記有機分子の良配向性膜からなる有機半導体膜4を形成
する{半導体膜形成工程、図2(b)}。
【0026】そして、有機半導体膜4の上に絶縁性膜5
を形成する{絶縁性膜形成工程、図2(c)}。次い
で、絶縁性膜5の上にゲート電極6を形成する{ゲート
電極形成工程、図2(d)}。以上の工程により、図1
に示す本発明の一実施形態である電界効果トランジスタ
が製造される。これら各工程の詳細については後述す
る。
【0027】また、さらに、基板1を、その表面に形成
されたソース電極2、ドレイン電極3、有機半導体膜
4、絶縁性膜5、およびゲート電極6からなる有機電子
素子から引き剥がす引き剥がし工程を経ることで、図2
(e)に示すような基板1の無い電界効果トランジスタ
を製造することもでき、種々の基板等に貼り付けて転用
することができる。
【0028】<製造方法の詳細>次に、本発明の一実施
形態である電界効果トランジスタの製造方法について、
その詳細を、各工程に分けて説明する。 (a)電極形成工程{図2(a)} 電極形成工程においては、まず有機半導体膜前駆体とし
ての有機分子が選択的に良配向性を示す表面を有する基
板1を選択する。本発明において、有機半導体膜前駆体
としての有機分子とは、有機半導体膜4を形成し得る有
機分子のことを言い、半導体的特性を有し活性層として
有効に働くものであれば如何なるものでもよい。
【0029】有機半導体膜前駆体としての有機分子とし
ては、フタロシアニン(Pc)(例えば、H2Pc、C
oPc、CuPc、NiPc、ZnPc、MgPc、F
ePc、SnPc、PtPc、AlClPc、AlOH
Pc、TiOPc、VOPc、SnCl2Pc、GaO
HPc、GaClPc、およびこれらの誘導体等)、チ
オフェン、ペンタセン、ペリレン、TCNQ(7,7,
8,8−テトラシアノキノジメタン)、アントラセン、
およびこれらの誘導体等が挙げられる。
【0030】基板1としては、絶縁性の材料であればい
ずれも使用可能であり、具体的には、ガラス、アルミナ
焼結体や、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィル
ム、ポリエチレンフィルム、ポリフェニレンスルフィド
膜、ポリパラキシレン膜などの各種絶縁性プラスチック
などが使用可能である。
【0031】本発明においては、基板1として、前記有
機半導体膜前駆体としての有機分子が良配向性を示す表
面を有するものを選択することが必須となる。配向性が
良好なものを基板1として選択し、後述の半導体膜形成
工程で有機半導体膜を形成した際に、有機分子のうち例
えば不飽和環等平面状の部分が、基板1面に対して垂直
に近く(略垂直に)並び(配向し)キャリアが移動しや
すくなるため、キャリア移動度が向上する。したがっ
て、前記有機半導体膜前駆体としての有機分子の種類に
応じて、配向性が良好となるような基板を選択すること
で、キャリア移動度(電解効果移動度)の高い高性能な
有機電子素子を得ることができる。
【0032】ここで、有機分子が「良配向性を示す」あ
るいは「配向性が良好」とは、有機半導体膜を形成した
際に、有機分子が最密充填される状態に配列されるこ
と、あるいは、有機分子が平面状である場合もしくは平
面状の部分を有する場合、当該平面が基板1面に対して
垂直に近く(略垂直に)並ぶことを意味する。特に、フ
タロシアニン、ペンタセン、TCNQ、チオフェン、ア
ントラセン等のように不飽和環を有する有機分子の場合
には、不飽和環の少なくとも1つが、基板面に対する為
す角が45°以上となるように並んでいることが、電極
方向に対してキャリアが移動しやすくなるため好まし
く、より好ましくは前記為す角が75°以上となるよう
に並んだ状態である。かかる配向状態は、X線回折分析
により確認することができる。
【0033】有機分子が良配向性を示すものとするため
には、基板自体、有機分子が良配向性を示すものを選択
することのほか、表面に高分子薄膜(特に高分子配向
膜)を形成した基板を選択することにより、有機半導体
膜の配向性を高めることも可能である。好ましい良配向
性を示す有機分子と基板との組み合わせとしては、例え
ば下記表1に示すものが挙げられるが、本発明はこれら
の例に限定されるものではない。
【0034】
【表1】
【0035】有機半導体膜前駆体としての有機分子が選
択的に良配向性を示す表面を有する基板1を選択した後
に、該基板1の表面にソース電極2およびドレイン電極
3を形成する。ソース電極2およびドレイン電極3の材
料としては、導電性のものであれば無機、有機の何れの
材料でも使用可能であり、金、白金、クロム、パラジウ
ム、アルミニウム、インジウム、モリブデン、低抵抗ポ
リシリコン、低抵抗アモルファスシリコン等の金属や錫
酸化物、酸化インジウム、インジウム・錫酸化物(IT
O)、ポリアセチレン、ポリピロール等を用いるのが一
般的であり、これらの材料を2種以上使用しても差し支
えない。勿論、本発明において、両電極2,3の材料と
して用いることが可能な材料は、これらに限られるもの
ではない。
【0036】両電極2,3としての、これら金属膜、金
属酸化膜、あるいは有機物膜を設ける方法としては蒸
着、スパッタリング、メッキ、各種CVD成長の方法が
挙げられ、本発明においては、いずれの方法を採用して
もよい。両電極2,3の厚みとしては、一般に1000
オングストローム以下が好ましく、50〜200オング
ストロームの範囲であることがより好ましい。
【0037】(b)半導体膜形成工程{図2(b)} 半導体膜形成工程においては、ソース電極2およびドレ
イン電極3に接触するように、基板1の表面に前記有機
分子の良配向性膜からなる有機半導体膜4を形成する。
有機分子としては、基板1と良配向性な既述の通りのも
のが用いられるが、当該有機分子としては、有機単結晶
であることが好ましい。有機単結晶、とりわけ純度の高
い有機単結晶を用いることで、得られる電界効果トラン
ジスタの高性能化を図ることができる。さらに、より大
きく成長させた有機単結晶を用いることで、得られる電
界効果トランジスタを飛躍的に高性能化することができ
る。純度の高い有機単結晶を得る方法については、例え
ば特願平10−354099号に、純度が高くより大き
く成長させた有機単結晶を得る方法については、例えば
特願2000−178011号に、それぞれ記載されて
いる。
【0038】有機半導体膜4の形成方法としては、真空
蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタ
ービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレ
ーティング法、CVD法、および、スパッタリング法等
が挙げられ、材料に応じて選択することができる。有機
半導体膜4の膜厚としては、特に制限はない。最終的に
得られる電界効果トランジスタの特性は、有機半導体膜
4の膜厚に大きく左右される場合が多く、好ましい膜厚
としては、有機半導体膜の種類により異なるが、一般に
3000オングストローム以下が好ましく、10〜50
0オングストロームの範囲であることがより好ましい。
【0039】(c)絶縁性膜形成工程{図2(c)} 絶縁性膜形成工程においては、有機半導体膜4上に絶縁
性膜5を形成する。絶縁性膜5の材料としては、絶縁性
のものであれば無機、有機の何れの材料でも使用可能で
あり、一般的には酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ア
ルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、ポリエチ
レン、ポリエステル、ポリイミド、ポリフェニレンスル
フィド、ポリパラキシレン、ポリアクリロニトリルおよ
び各種絶縁性LB膜等が用いられ、これらの材料を2つ
以上併用してもよい。
【0040】絶縁性膜5の形成方法としては、特に制限
はなく、例えばCVD法、プラズマCVD法、プラズマ
重合法、蒸着法、スピンコーティング法、ディッピング
法、クラスタイオンビーム蒸着法およびLB法などが挙
げられ、本発明においては何れの方法も適用可能であ
る。絶縁性膜5の厚みとしては、材料の絶縁性にも依存
するが、一般的には5μm以下が好ましく、0.5〜3
μmの範囲であることがより好ましい。
【0041】(d)ゲート電極形成工程{図2(d)} ゲート電極形成工程においては、絶縁性膜上にゲート電
極6を形成する。ゲート電極6の材料としては、導電性
のものであれば無機、有機の何れの材料でも使用可能で
あり、前記ソース電極2およびドレイン電極3の材料と
して挙げられたものが、好適に使用される。また、ゲー
ト電極6の形成方法も前記ソース電極2およびドレイン
電極3と同様の方法を挙げることができる。以上の各工
程を経て、電界効果トランジスタが製造される。
【0042】(e)引き剥がし工程{図2(e)} 上記の各工程で、基板1に貼り付いた状態の電界効果ト
ランジスタが製造されるが、本発明においては、基板1
に電界効果トランジスタの素子としての機能を一切持た
せていないことから、当該基板1を除した状態でも電界
効果トランジスタとして機能する。したがって、上記の
各工程を経た後、必要に応じて引き剥がし工程を行う。
【0043】引き剥がし工程においては、基板1の表面
に形成されたソース電極2、ドレイン電極3、有機半導
体膜4、絶縁性膜5、およびゲート電極6からなる有機
電子素子を、基板1から引き剥がす。一般的に用いられ
ている図9や図10で示されるような電界効果トランジ
スタでは、Si基板(シリコンウエハ)をゲート電極と
し、Si基板表面を酸化させることにより絶縁層を形成
している。つまり、ゲート電極と絶縁層とが一体化して
いるため剥離することは不可能であった。しかし、本発
明では、積層構造を変え、基板とは独立した絶縁層が設
けられているため、電界効果トランジスタを剥離するこ
とが可能である。
【0044】なお、基板1において、表面に高分子薄膜
を形成する場合には、当該高分子薄膜として、剥離しや
すいポリテトラフルオロエチレン層などを設けると、容
易に電界効果トランジスタを基板1から剥離することが
可能となる。剥離した電界効果トランジスタは、他の電
子基板等に貼り付けて使用することができる。すなわ
ち、実際に使用する電子基板の表面性状に囚われること
なく、有機半導体膜形成時に良好な配向性を発揮し得る
基板を選択することができ、高性能な有機電子素子を容
易に製造することができる。
【0045】以上、電界効果トランジスタの場合を例に
挙げ、本発明を説明したが、他の素子を得る場合にも、
有機半導体の種類を適宜選択し、電界効果トランジスタ
製造における半導体膜形成工程(本発明における半導体
膜等形成工程)で形成される膜を有機導電性膜とするこ
とにより、上記同様の操作で製造することができる。
【0046】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明するが、勿論本発明は、これをもって限定される
ものではない。なお、以下の実施例は、図2を用いて電
界効果トランジスタの製造方法を説明する。
【0047】(実施例1) <電界効果トランジスタの製造> (a)電極形成工程 基板1として石英ガラス(7.5×2.5×1mm)を
用い、その表面に図2(a)に示すように、厚さ200
オングストロームの金膜を蒸着し、ソース電極2(0.
5×20mm)およびドレイン電極3(0.5×20m
m)を形成した。
【0048】(b)半導体膜形成工程 1.33×10-3Pa(10-5トール)の真空下で図2
(a)に示すようにソース電極2およびドレイン電極3
が形成された基板1の表面に、下記構造式で表される市
販のコバルトフタロシアニンを厚さが0.1μmになる
ように蒸着し、図2(b)に示すように有機半導体膜4
を形成した。
【0049】
【化1】
【0050】この状態で有機半導体膜4の配向性を調べ
るため、X線回折分析を行った。結果(XRD)を図3
に示す。この結果から、2θが約6.8°付近に鋭いピ
ークが観測され、面間隔が13オングストローム程度で
あり、コバルトフタロシアニンの不飽和環と基板面とが
ほぼ垂直になっており、コバルトフタロシアニンの分子
が良好に配向していることがわかる。
【0051】(c)絶縁性膜形成工程 ポリプルラン CRS(商品名、信越化学社製、シアノ
樹脂)の15%(質量基準)アセトニトリル溶液を、図
2(b)に示す状態の有機半導体膜4上にスピンコート
し、図2(c)に示すように絶縁性膜5を形成した。こ
のときスピンコートは、回転数:4000rpm、回転
時間:60秒の条件で、大気中で行った。スピンコート
の後、100℃に保った炉の中で30分間放置し、十分
に乾燥させた。
【0052】(d)ゲート電極形成工程 図2(c)に示す状態の絶縁性膜5上に、図2(d)に
示すように、厚さ200オングストロームの金膜を蒸着
し、ゲート電極6(1×0.1mm)を形成した。
【0053】以上のようにして、図1に示される断面構
成の電界効果トランジスタを製造した。得られた電界効
果トランジスタは、チャネル幅(W)が1000μm、
チャネル長(L)が15μmである。
【0054】<電気特性の評価>得られた実施例1の電
界効果トランジスタの電気特性を図4に示す。当該電界
効果トランジスタのキャリア移動度(電解効果移動度)
は次の式(1)を用いて計算した。 IDS=(WC/2L)μ(VG−V02 ・・・・・式(1) 上記式(1)中、Wはチャネル幅、Lはチャネル長、お
よび、Cはゲート誘電体の単位面積あたりのキャパシタ
ンス(12nF/cm2)である。
【0055】上記式(1)を用いてキャリア移動度μを
計算するには、以下のようにして行う。まず、測定値か
らIDS=0まで外挿することによって、飽和領域におけ
るドレイン−ソース間電流(IDS)の平方根と、デバイ
スのゲート電圧(VG)との間の関係から、デバイスの
しきい値電圧(V0)を決定する。飽和領域におけるI
DSは、与えられたVGにおけるドレイン−ソース間電圧
(VDS)とIDSとの間の関係を観測することによって決
定される。飽和領域におけるIDSとは、VDSを増大させ
てもIDSが増大しなくなるところである。飽和領域にお
けるIDSはVGとともに変動する。なお、V0を決定する
この方法は当業者に周知である。以上のようにして求め
られたキャリア移動度μは、およそ1×10-1cm2
V・secであった。
【0056】(比較例1)実施例1において、基板1と
して、石英ガラスの代わりにポリメチルメタクリレート
を用いた他は、実施例1と同様にして「(a)電極形成
工程」および「(b)半導体膜形成工程」の操作を行っ
た。
【0057】この状態で有機半導体膜4の配向性を調べ
るため、X線回折分析を行った。結果(XRD)を図5
に示す。この結果から、明確なピークは見られず、分子
はほぼランダムに配置しており、コバルトフタロシアニ
ンの分子がほとんど配向していないことがわかる。
【0058】さらに、実施例1と同様にして「(c)絶
縁性膜形成工程」および「(d)ゲート電極形成工程の
操作を行い、図1に示される断面構成の電界効果トラン
ジスタを製造した。得られた比較例1の電界効果トラン
ジスタについて、実施例1と同様にしてその電気特性を
測定した。その結果、キャリア移動度μは、およそ1×
10-5cm 2/V・secであった。
【0059】(実施例2)実施例1において、基板1と
して、石英ガラスの代わりに、石英ガラス基板上にポリ
テトラフルオロエチレン膜をラビング法によって作製し
た配向膜を形成したものを用いた他は、実施例1と同様
にして「(a)電極形成工程」および「(b)半導体膜
形成工程」の操作を行った。
【0060】この状態で有機半導体膜4の配向性を調べ
るため、X線回折分析を行った。結果(XRD)を図6
に示す。この結果から、2θが約6.8°付近に鋭いピ
ークが観測され、面間隔が13オングストローム程度で
あり、コバルトフタロシアニンの不飽和環と基板面とが
ほぼ垂直になっており、コバルトフタロシアニンの分子
が良好に配向していることがわかる。
【0061】さらに、実施例1と同様にして「(c)絶
縁性膜形成工程」および「(d)ゲート電極形成工程の
操作を行い、図1に示される断面構成の電界効果トラン
ジスタを製造した。得られた実施例2の電界効果トラン
ジスタについて、実施例1と同様にしてその電気特性を
測定した。その結果、キャリア移動度μは、およそ2×
10-1cm 2/V・secであった。
【0062】(比較例2)実施例1において、基板1と
して、石英ガラスの代わりに、石英ガラス基板上に表面
の配向処理を施さないポリテトラフルオロエチレン膜を
形成したものを用いた他は、実施例1と同様にして
「(a)電極形成工程」および「(b)半導体膜形成工
程」の操作を行った。
【0063】この状態で有機半導体膜4の配向性を調べ
るため、X線回折分析を行った。結果(XRD)を図7
に示す。この結果から、明確なピークは見られず、分子
はほぼランダムに配置しており、コバルトフタロシアニ
ンの分子がほとんど配向していないことがわかる。
【0064】さらに、実施例1と同様にして「(c)絶
縁性膜形成工程」および「(d)ゲート電極形成工程の
操作を行い、図1に示される断面構成の電界効果トラン
ジスタを製造した。得られた比較例2の電界効果トラン
ジスタについて、実施例1と同様にしてその電気特性を
測定した。その結果、キャリア移動度μは、およそ1×
10-4cm 2/V・secであった。
【0065】(実施例3)実施例1と同様にして
「(a)電極形成工程」の操作を行った。さらに、実施
例1において、市販のコバルトフタロシアニンの代わり
に、下記方法により製造した有機単結晶としたコバルト
フタロシアニンを用いた他は、実施例1と同様にして
「(b)半導体膜形成工程」の操作を行った。
【0066】(製造方法)市販のアントラセン(Ald
rich社製)2重量部に対し、コバルトフタロシアニ
ン(東京化学社製)0.005重量部をガラスアンプル
に封入し、下部高温端が220℃、上部低温端が210
℃になるように昇温した。その後、熱源の電流値を調整
し、ΔT=2℃/hで徐冷した。冷却後の単結晶の取り
込まれたアントラセン固体について、アセトンを用いて
ソックスレー抽出を24時間行った。その結果、約5×
0.1×0.1(mm)の単結晶(有機単結晶)が得ら
れた。得られた単結晶について、X線回折測定を行った
結果、β型であることがわかった。
【0067】この状態で有機半導体膜4の配向性を調べ
るため、X線回折分析を行った。結果(XRD)を図8
に示す。この結果から、2θが約6.8°付近に鋭いピ
ークが観測され、面間隔が13オングストローム程度で
あり、コバルトフタロシアニンの不飽和環と基板面とが
ほぼ垂直になっており、コバルトフタロシアニンの分子
が良好に配向していることがわかる。
【0068】さらに、実施例1と同様にして「(c)絶
縁性膜形成工程」および「(d)ゲート電極形成工程の
操作を行い、図1に示される断面構成の電界効果トラン
ジスタを製造した。得られた実施例3の電界効果トラン
ジスタについて、実施例1と同様にしてその電気特性を
測定した。その結果、キャリア移動度μは、およそ1c
2/V・secであった。
【0069】(実施例4)実施例2で製造した電界効果
トランジスタについて、ソース電極2、ドレイン電極3
および有機半導体膜4からなる面と、基板1表面に形成
されたポリテトラフルオロエチレン層の面と、を剥離し
た。基板1の剥離後の電界効果トランジスタを、PMM
A基板上にゲート電極6の面で張り付け、実施例1と同
様にしてその電気特性を測定した。その結果、キャリア
移動度μは、およそ2×10-1cm 2/V・secであ
った。
【0070】(実施例5)実施例1と同様にして
「(a)電極形成工程」の操作を行った。さらに、実施
例1において、市販のコバルトフタロシアニンの代わり
に、ペンタセンを用いた他は、実施例1と同様にして
「(b)半導体膜形成工程」の操作を行った。
【0071】この状態で有機半導体膜4の配向性を調べ
るため、X線回折分析を行った。結果(XRD)を図9
に示す。この結果から、2θが約5.9°付近に鋭いピ
ークが観測され、面間隔が15オングストローム程度で
あり、ペンタセンの不飽和環と基板面とがほぼ垂直にな
っており、ペンタセンの分子が良好に配向していること
がわかる。
【0072】さらに、実施例1と同様にして「(c)絶
縁性膜形成工程」および「(d)ゲート電極形成工程の
操作を行い、図1に示される断面構成の電界効果トラン
ジスタを製造した。得られた実施例5の電界効果トラン
ジスタについて、実施例1と同様にしてその電気特性を
測定した。その結果、キャリア移動度μは、およそ1×
10-1cm 2/V・secであった。
【0073】(比較例3)実施例5において、基板1と
して、石英ガラスの代わりにポリメチルメタクリレート
を用いた他は、実施例1と同様にして「(a)電極形成
工程」および「(b)半導体膜形成工程」の操作を行っ
た。
【0074】この状態で有機半導体膜4の配向性を調べ
るため、X線回折分析を行った。結果(XRD)を図1
0に示す。この結果から、明確なピークは見られず、分
子はほぼランダムに配置しており、ペンタセンの分子が
ほとんど配向していないことがわかる。
【0075】さらに、実施例1と同様にして「(c)絶
縁性膜形成工程」および「(d)ゲート電極形成工程の
操作を行い、図1に示される断面構成の電界効果トラン
ジスタを製造した。得られた比較例3の電界効果トラン
ジスタについて、実施例1と同様にしてその電気特性を
測定した。その結果、キャリア移動度μは、およそ1×
10-4cm 2/V・secであった。
【0076】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、有機化合
物を用いた、電界効果トランジスタとして利用可能な有
機電子素子であって、有機化合物の配向性を良好にさせ
ることで、高性能な有機電子素子を得ることができ、さ
らには得られる有機電子素子に、軽量で柔軟性に富む等
の優れた特性を付与させることも可能な有機電子素子の
製造方法、および、該製造方法により製造された有機電
子素子を提供することができる。また、他の本発明によ
れば、上記のような良配向性の有機電子素子を種々の電
子基板等に転用しうる有機電子素子の製造方法、およ
び、該製造方法により製造された有機電子素子を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態である電界効果トランジ
スタの断面図である。
【図2】 本発明の一実施形態である電界効果トランジ
スタの製造方法の工程図である。
【図3】 実施例における有機半導体膜の配向性を調べ
るためのX線回折分析結果(XRD)を示すグラフであ
る。
【図4】 実施例の電界効果トランジスタの電気特性を
示すグラフである。
【図5】 他の比較例における有機半導体膜の配向性を
調べるためのX線回折分析結果(XRD)を示すグラフ
である。
【図6】 他の実施例における有機半導体膜の配向性を
調べるためのX線回折分析結果(XRD)を示すグラフ
である。
【図7】 他の比較例における有機半導体膜の配向性を
調べるためのX線回折分析結果(XRD)を示すグラフ
である。
【図8】 さらに他の実施例における有機半導体膜の配
向性を調べるためのX線回折分析結果(XRD)を示す
グラフである。
【図9】 さらにまた他の実施例における有機半導体膜
の配向性を調べるためのX線回折分析結果(XRD)を
示すグラフである。
【図10】 さらに他の比較例における有機半導体膜の
配向性を調べるためのX線回折分析結果(XRD)を示
すグラフである。
【図11】 ポリチオフェンを活性層に用いた従来の電
界効果トランジスタの断面図である。
【図12】 オリゴチオフェンを活性層に用いた電界効
果トランジスタの断面
【図13】 ポリテトラフルオロエチレンの配向膜表面
における銅フタロシアニンの分子の偏向吸収スペクトル
測定である。
【符号の説明】
1 基板 2 ソース電極 3 ドレイン電極 4 有機半導体膜 5 絶縁性膜 6 ゲート電極 91,101 活性層 92,102 ソース電極 93,103 ドレイン電極 94,104 シリコン酸化膜 95,105 シリコンウエハ 96,106 電極
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 29/78 627D (72)発明者 丸山 達哉 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 宮原 知子 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 清水 正昭 神奈川県足柄上郡中井町境430グリーンテ クなかい 富士ゼロックス株式会社内 Fターム(参考) 5F045 AA03 AB40 AF07 BB16 DA61 5F103 AA01 AA02 AA04 AA06 AA08 DD25 GG01 LL07 RR05 5F110 AA30 CC05 DD01 DD02 DD03 DD06 DD12 EE01 EE02 EE03 EE04 EE07 EE08 EE09 EE42 EE43 EE44 EE45 FF01 FF02 FF03 FF27 FF29 FF30 GG05 GG12 GG24 GG25 GG28 GG29 GG42 GG43 GG44 HK01 HK02 HK03 HK04 HK07 HK09 HK14 HK16 HK32 HK33 HK34 QQ16

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機半導体膜ないし有機導電性膜前駆体
    としての有機分子が選択的に良配向性を示す表面を有す
    る基板を選択し、該基板表面にソース電極およびドレイ
    ン電極を形成する電極形成工程と、 これら両電極に接触するように、前記基板表面に前記有
    機分子の良配向性膜からなる有機半導体膜ないし有機導
    電性膜を形成する半導体膜等形成工程と、 該有機半導体膜ないし有機導電性膜上に絶縁性膜を形成
    する絶縁性膜形成工程と、 該絶縁性膜上にゲート電極を形成するゲート電極形成工
    程と、を備えることを特徴とする有機電子素子の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記基板として、表面に高分子薄膜を形
    成した基板を用いることを特徴とする請求項1に記載の
    有機電子素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記有機分子が、有機単結晶であること
    を特徴とする請求項1または2に記載の有機電子素子の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1に記載の有機
    電子素子の製造方法であって、 さらに、前記基板の表面に形成されたソース電極、ドレ
    イン電極、有機半導体膜ないし有機導電性膜、絶縁性
    膜、およびゲート電極からなる有機電子素子を、前記基
    板から引き剥がす引き剥がし工程を備えることを特徴と
    する有機電子素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1に記載の有機
    電子素子の製造方法により製造されたことを特徴とする
    有機電子素子。
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