JP3994441B2 - 電界効果トランジスタ - Google Patents

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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電界効果トランジスタに関し、特に有機半導体材料をチャネル層に用いた電界効果トランジスタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、有機半導体をチャネル部分に用いた電界効果トランジスタ(FET)は、容易に大面積を得られディスプレイなどの駆動用として期待されている。
【0003】
この有機半導体には、以下に示すものが代表的に報告されている。
例えば、ポリチオフェン(アプライド・フィジックス・レターズ誌:A.Tsumura et al.,Appl.Phys.Lett.,49巻,1210頁(1986年)に記載)、ポリピロール、ポリチエニレンビニレン(渕上他「第53回応用物理学術講演会18pZ12(1992年)に記載)、ポリフェニレンビニレンなどの導電性高分子を十分に脱ドープした材料、可溶性のためにアルキル基またはメトキシ基などの修飾基が導入された導電性高分子、オリゴチオフェン(特開平4−133351号公報に記載)などのπ共役系の広がったオリゴマー材料、フタロシアニン類(特開平1−155658号公報に記載)、ニッケル・フタロシアニン(ケミカル・フィジックス・レターズ誌:G.Guillaud,J.Simon,Chem.Phys.Lett.219巻,123頁(1994年)に記載)、シリコンフタロシアニンの置換体(シン・ソリッド・フィルムズ誌:Y.L.Hua et al.,Thin Solid Films,192巻,383頁(1990年)に記載)、ルテシウム ジフタロシアニンについてはケミカル・フィジックス・レターズ誌、M.Madru, et al.,Chem.Phys.Lett.,142巻,103頁,(1987年)に記載)、テトラセン・ペンタセンなどの縮合π共役化合物(藁谷他、「第52回応用物理学会学術講演会」、9pR9(1991年)に記載)、その電荷移動型錯体がしばし超伝導を示すドナー性分子であるBEDT−TTF(藁谷他、「第52回応用物理学会学術講演会」、9pR9(1991年)に記載)などであり、多岐にわたっている。
【0004】
また、電界効果トランジスタ特性を向上させるためにいくつもの試みがなされている。
【0005】
例えば、十分にπ共役系の広がった有機半導体材料を用いること、有機半導体材料の薄膜の結晶性を向上させること、有機半導体材料にメチル基を導入することでドナー性を向上させてp型の半導体としての性質を向上させること、重合度のばらつきのある有機半導体ではなく単一の重合度のオリゴマーの有機半導体材料を用いることなどにより、電界効果トランジスタの性能を決める重要なパラメータであるキャリアの移動度の向上がはかられている。
【0006】
分子量分布のないジメチルオリゴチオフェンを用いた電界効果トランジスタ(特開平4−133351号公報に記載)は、そのような試みのひとつである。
【0007】
または、ポリチエニレンビニレンの前駆体からの変換効率を上げて重合度を向上させて移動度の向上を得る試みもなされ、0.2cm2/Vsの移動度が得られている(渕上他「第53回応用物理学術講演会」18pZ12(1992年)に記載)。
【0008】
また、有機半導体として、両末端をメチル基またはエチル基で置換した重合度3,4,5のオリゴチオフェンを、電界効果トランジスタに利用することも開示されている(特開平4−133351号公報に記載)。
【0009】
また、ドナー性の高い有機半導体、すなわちイオン化ポテンシャルの小さい有機半導体をチャネル層に利用すると、高い電界移動度を得られることが、秋道斉『1991年度 創造科学推進事業 研究報告会要旨集』新技術事業団(1991年)に報告されており、π共役系を伸ばすこと、メチル基などのドナー性のある基を導入することが移動度の向上につながることを示している。
【0010】
また、いくつかのホール輸送材料についても電界効果トランジスタが作製されて、その移動度が求められている。
【0011】
ちなみにホール輸送材料は、イオン化ポテンシャルが小さい、すなわちHOMO(最高被占分子軌道)の準位が浅い有機半導体材料、すなわち電子供与性のある材料であり、トリアリールアミン類、芳香族ヒドラゾン類、芳香族置換ピラゾリン類、スチルベン類などが知られている。
【0012】
そのため、電界効果トランジスタ構造でゲート電圧を印加することによってもホールを生じやすいことになる。
【0013】
具体例をあげると、以下の化学式(化12)で示される1,1−bis(p−diethyl aminophenyl)−4,4−diphenyl−1,3−butadiene、(CAS登録番号109995−82−6、分子式C28253)で1.8×10-8cm2/Vsの移動度が得られている。
【0014】
【化12】
Figure 0003994441
【0015】
また、以下の化学式(化13)で示される1−phenyl−1,2,3,4−tetrahydroquinolin−6−carboxaldehyde−1’,1’−diphenylhydrazone、(CAS登録番号100070−43−7、分子式C36402)で、2.7×10-6cm2/Vsの移動度が得られている。
【0016】
【化13】
Figure 0003994441
【0017】
また、以下の化学式(化14)で示されるN,N’−dipheynyl−N,N’−bis(3−methylphenyl)−1,1’−biphenyl−4,4’−diamine、(TPDともいう、CAS登録番号65181−78−4)でも電界効果トランジスタが作られ、移動度が測定されている。
【0018】
【化14】
Figure 0003994441
【0019】
その他、チオフェン環の硫黄原子をセレン置き換えたセレノフェン類も、オリゴチオフェン類と同様に、電界効果トランジスタの動作を示すことが知られている。
【0020】
また、ジメチルターチオフェンの中央のチオフェン環の硫黄原子を、セレンに置き換えた以下の化学式(化15)で示される分子構造でも電界効果トランジスタが動作している。
【0021】
【化15】
Figure 0003994441
【0022】
このことから、チオフェン環の硫黄原子をセレン、テルル原子に置き換えた分子でも、同様に電界効果トランジスタが動作することがわかる。
【0023】
さて、有機半導体をチャネル層に用いた電界効果トランジスタの利点としては、スピンコート・電解重合などにより簡便なプロセスで大面積を作ることができること、無機の半導体と異なり柔らかい構造で曲げても大丈夫なこと、多くの有機半導体がガスに対して感受性がありセンサーとして用いることができること、有機半導体は骨格が異なるものも多くそのうえ修飾基を変えることで多種・多様の材料の中から設計が可能であること、有機半導体材料は蛍光を示すものが多く発光ダイオード(LED)の材料にもなることから組合せの相性のよさを有すること、などがあげられる。
【0024】
例えば、ジメチルセクシチオフェンを発光層としたLEDも作製されている(内山潔、秋道斉、堀田収、野毛宏、榊裕之、第54回応用物理学会学術講演会(1993年),29p−ZC−1)。
【0025】
もちろん、これらの利点が発揮されるには、有機半導体の十分な移動度を確保できることが前提となる。
【0026】
また、Garnier他は、ゲート絶縁層・チャネル層ともに有機物である電界効果トランジスタを作製している( アドバンスト・マテリアルズ誌:F.Garnier,G.Horowitz,X.Peng,D.Fichou,Adv.Mater.,2巻,592頁(1990年))。
【0027】
ここで、電界効果トランジスタのドレイン電流を大きくとるためには、ゲート絶縁層の単位面積当りの電気容量が大きいのがよいために、高誘電率の絶縁性の高いポリマーをゲート絶縁層に用いている。
【0028】
また、電界効果トランジスタ構造で測定するチャネル層の有機半導体の移動度は、ゲート絶縁層の材質によって変化することが報告されている。
【0029】
例えば、Garnier他は、シアノエチルプルランをゲート絶縁層に使い、セクシチオフェンの蒸着膜の移動度が向上することを報告している(アドバンスト・マテリアルズ誌:F.Garnier,G.Horowitz,X.Peng,D.Fichou,Adv.Mater.,2巻、592頁(1990年))。なお、特表平5−508745号公報にも同様の記載がある。
【0030】
ここで用いているセクシチオフェンは、末端のチオフェン環のα位が水素原子である無置換の6量体のオリゴチオフェンであり、シアノエチルプルランの比誘電率がε=18.5(10kHzにて)と高いことが、界面近傍での有機半導体の移動度の向上を引き起こしていると推測している。
【0031】
なお、このような努力にもかかわらず、シアノエチルプルランは、アセトンなどの溶媒に容易に溶けるため、シアノエチルプルランを製膜したあとは有機洗浄やリソグラフィー(これらは有機半導体をチャネル層に用いた電界効果トランジスタを液晶表示デバイス駆動用の薄膜トランジスタとして用いる時に必要不可欠の条件である。)を、全く利用できないという短所があり、電界効果トランジスタを高密度で作ろうとするときに決定的な障害となっている。
【0032】
そして、いずれの従来例においても、有機半導体薄膜の移動度がアモルファスシリコンと同等かまたはそれ以上になることと、それに加え素子の耐環境性をあげることが重要な課題である。
【0033】
以下に、従来の有機半導体をチャネル層に用いた電界効果トランジスタについて説明する。
【0034】
図2は、有機半導体をチャネル層に用いた電界効果トランジスタの構成例を示す断面図である。
【0035】
図2において、21は基板となる絶縁体、22はゲート電極、23はゲート絶縁層、24はソース電極、25はドレイン電極、および26はチャネルとなる有機半導体層である。
【0036】
図3は、導電性の基板をゲート電極とした電界効果トランジスタの構成例を示す断面図である。
【0037】
図3において、33はゲート絶縁層、34はソース電極、35はドレイン電極、36はチャネルとなる有機半導体層、および37は基板兼ゲート電極であり、高濃度ドープしたシリコン基板をゲート電極として用いるのはこの場合にあたる。
【0038】
図4は、有機半導体がゲート電極よりも基板側にある素子構造を示す。
図4において、41は基板となる絶縁体、42はゲート電極、43はゲート絶縁層、44はソース電極、45はドレイン電極、および46はチャネルとなる有機半導体層であり、基板41の上にソース電極44とドレイン電極45があり、有機半導体層46があって、その上にゲート絶縁層43、ゲート電極42と積層した構成である。
【0039】
このような従来の素子構造では、ゲート絶縁層としてシリコン酸化膜、窒化シリコン膜、シアノエチルプルラン膜、ポリビニルアルコール膜、ポリ塩化ビニル膜、ポリメチルメタクリレート(PMMA)膜、ポリスチレン膜が用いられており、シアノエチルプルラン以下の例は、アプライド・フィジックス・レターズ誌(Peng et al.,Appl.Phys.Lett.,57巻,2013頁(1990年))、または特表平5−508745号公報において記載されている。
【0040】
以上のように構成された電界効果トランジスタについて、その動作について説明をする。
【0041】
ゲート電極22等、ソース電極24等、ドレイン電極25等、チャネル部分26等にはさまれたゲート絶縁層23等は、コンデンサと同様に、印加した電圧によって両側に電荷を生じる。
【0042】
ゲート電圧によって有機半導体26等中に誘起されたキャリアは、ソース・ドレインの電圧によって、ドレイン電流となって流れる。
【0043】
ここで、有機半導体がp型であれば正孔(ホール)が励起され、n型であれば電子が励起される。
【0044】
なお、ゲート電圧VG=0におけるドレイン電流を減らすため等に、有機半導体薄膜は十分に不純物のおさえられた材料を蒸着したり、生成した薄膜の不純物を脱ドープすることがなされていることが一般的である。
【0045】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来の構成の有機半導体をチャネル層に用いた電界効果トランジスタでは、現在のところ有機半導体薄膜の移動度が、たかだか10-2cm2/Vsから10-1cm2/Vs程度であり、移動度の値がアモルファスシリコンに比べて低いことから、電界効果トランジスタのドレイン電流が小さくなったり、同じドレイン電流を得ようとすると、高いドレイン電圧・高いゲート電圧を必要とするという課題を有していた。
【0046】
よって、アモルファスシリコン並の高い移動度を実現する有機半導体、ゲート絶縁材料の組合せが非常に重要である。
【0047】
本発明は、上記従来の問題点を解決するもので、有機半導体をチャネル層に用いた電界効果トランジスタ構造で移動度をアモルファスシリコンと同等かまたはそれ以上の値とした電界効果トランジスタを提供することを目的とする。
【0048】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明は、ゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、有機半導体材料で構成されたチャネル部と、比誘電率が5未満でシアノ基を有する絶縁性ポリマーで構成されたゲート絶縁層とを有する電界効果トランジスタである。
【0049】
そして、この有機半導体材料は、π共役系が広がったといえる少なくとも7つのπ電子共役結合を含む多共役有機化合物を用いることが好適であり、以下の化学式(化16)から(化21)のいずれかで示される化合物を用いてもよい。
【0050】
【化16】
Figure 0003994441
【0051】
【化17】
Figure 0003994441
【0052】
【化18】
Figure 0003994441
【0053】
【化19】
Figure 0003994441
【0054】
【化20】
Figure 0003994441
【0055】
【化21】
Figure 0003994441
【0056】
更に、有機半導体材料は、以下の化学式(化22)で示されるπ電子共役系が広がった化合物であってもよい。
【0057】
【化22】
Figure 0003994441
【0058】
一方、シアノ基を有する絶縁性ポリマーは、以下の化学式(化23)から(化26)のいずれかで示される化合物を用いてもよい。
【0059】
【化23】
Figure 0003994441
【0060】
【化24】
Figure 0003994441
【0061】
【化25】
Figure 0003994441
【0062】
【化26】
Figure 0003994441
【0063】
そして、シアノ基を有する絶縁性ポリマーは、その中にあるシアノ基の密度が高いポリマーがよいが、とりわけポリアクリロニトリル(PAN、CAS登録番号=147237−94−3)が有効である。このポリアクリロニトリルは(CH2CHCN)の構造式を持つポリマーである。
【0064】
更に、以上の絶縁性ポリマーや有機半導体材料が適用可能な具体的素子構成は、ゲート絶縁層がシリコン酸化膜とシアノ基を有する絶縁性ポリマーからなる複合膜であり、シアノ基をもつ絶縁性ポリマーがチャネル部と接する構成のものであるが、これに限らず、ゲート絶縁層の上にチャネル部がある構成やチャネル部の上にゲート絶縁層、ゲート電極がある構成等であって適用は可能である。
【0065】
もちろんチャネル部に用いられる有機材料や絶縁層に用いられるシアノ基を有する絶縁性ポリマーは上記のものに限られず、同様の機能を有するものであれば他の材料でも使用可能である。
【0066】
例えば、有機材料は、オリゴチオフェン類、ポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリチエニレンビニレン類、ポリフェニレンビニレン類やフタロシアニン類、各種ホール輸送材料等があげられる。
【0067】
【作用】
シアノ基をもつポリマーをゲート絶縁層に用いることでチャネルの有機半導体の移動度が著しく向上し、ドレイン電流が増大する。
【0068】
例えば、ゲート絶縁層にポリアクリロニトリル、チャネル部に両末端をメチル基またはエチル基で置換したオリゴチオフェンの組合せを用いると最大で4cm2/Vsの高い移動度が得られ、この値は、有機半導体薄膜の移動度としては、もっとも高い部類に属する。
【0069】
更に、ゲート絶縁層としてポリアクリロニトリル/SiO2等の複合膜を用いた場合にも、SiO2上の場合に比べて移動度が向上する。
【0070】
又、チャネルのゲート絶縁体との界面の近傍からの寄与が大きいので、有機半導体がポリアクリロニトリルに接触していれば、ゲート絶縁層がポリアクリロニトリル単独であっても、ポリアクリロニトリル/SiO2の複合膜であっても、同程度移動度が向上する。
【0071】
というのは、ソース電極とドレイン電極とを結ぶチャネル部のうち、ゲート絶縁層との界面の部分を流れる電流が支配的であるため、チャネルに接しているゲート絶縁層の種類によって移動度が影響されるためである。
【0072】
なお、シアノ基もつポリマーを用いることによる有機半導体の移動度の向上は、π共役系の広がった有機半導体全般にわたって有効である。
【0073】
更に、目的とする素子構造、例えば発光ダイオードにおいてみられるように、エネルギー準位の関係から使える有機半導体の種類が限られる場合も多く、そのような場合においても確実に高い移動度が得られる。
【0074】
【実施例】
本発明の具体的な実施例の説明に入る前に、概略の説明を行う。
【0075】
まず、本発明に係るチャネル部に用いられる有機半導体材料とゲート絶縁層に用いられるシアノ基を有するポリマー材料との組合せが適用される代表的な電界効果トランジスタ構造は、図1に示す構造であるが、もちろん図2から図4に示す構造にも適用可能である。
【0076】
これらの構造は、いずれにおいても、シアノ基を有する絶縁性ポリマーをゲート絶縁層またはゲート絶縁層の一部として用い、チャネル部の有機半導体層と接しさせているものである。
【0077】
まず、図1の構成では、シアノ基を有する絶縁性のポリマーを含むゲート絶縁層13に接したチャネル部である有機半導体層16を介して、ソース電極14とドレイン電極15を設け、更にゲート絶縁層13とシリコン酸化膜19とを複合化し、シリコン基板又は金属基板18を基板兼ゲート電極として用いた電界効果トランジスタである。
【0078】
また、図2の構成では、基板21上にゲート電極22、その上にシアノ基を持つ絶縁性ポリマーを含むゲート絶縁層23、その上にソース電極24とドレイン電極25があって、ソース電極24とドレイン電極25を結ぶゲート絶縁層23に接して有機半導体層26がある素子構造である。ここで、ゲート電極22としては金属電極やITO電極、高ドープのため金属状態にある導電性ポリマーなどが用いられる。
【0079】
また、図3の構成では、図2の基板とゲート電極を、基板兼ゲート電極37で置き換えた構成をしている点で図2の構成と異なり、この基板兼ゲート電極37として用いられるのは高濃度にドープしたシリコン基板、金属が用いられる。
【0080】
また、図4の構成では、ゲート電極42が有機半導体層43よりも上部にある素子構成であり、有機半導体層43は、基板41とシアノ基をもつ絶縁性ポリマーからなるゲート絶縁層43にはさまれており、素子の特性が雰囲気ガスの影響を受けにくく、有機半導体がさらされないため安定な構造をしている。
【0081】
そして、図1から図3に示す構成では、ゲート絶縁層形成後、有機半導体層を蒸着等により形成すればよいが、図4のようにゲート絶縁層が有機半導体層の上部に形成されても同様に作製でき、移動度の向上を示すものである。
【0082】
この内、図1と図4の構成で、以下の各実施例において、各種有機半導体を用いて電界効果トランジスタを作製した例を示し、比較例のシリコン酸化膜をゲート絶縁層とした構造の電界効果トランジスタでの有機半導体の移動度よりも高い移動度を確認した。もちろん、他の素子構造でも同様に高い移動度を呈すると考えられる。
【0083】
また、シアノ基を持つ絶縁性ポリマーとしては、代表的にポリアクリロニトリルまたはシアノエチルプルランを用いた。
【0084】
また、用いた有機半導体は、ジメチルセクシチオフェン(DMSxT)、クォータチオフェン(QtT)、鉛フタロシアニン(PbPc:C32168Pb,CAS登録番号15187−16−3)であり、それらの分子構造は順に以下の(化27)から(化29)に示される。
【0085】
【化27】
Figure 0003994441
【0086】
【化28】
Figure 0003994441
【0087】
【化29】
Figure 0003994441
【0088】
用いたジメチルセクシチオフェンは、両末端のα位の水素がメチル基で置換されたチオフェンの6量体で、モノクロロベンゼンで再結晶したものである。
【0089】
このジメチルセクシチオフェンは、π共役系が長いことやメチル基に置換した効果により、クォータチオフェンに比較して5桁ほど高い移動度を有する。
【0090】
なお、ジメチルセクシチオフェンの合成は、アドバンスト・マテリアルズ誌(S.Hotta,K.Waragai,Adv.Mater.5巻,896頁(1993年))に記載の方法で行なった。
【0091】
また、クォータチオフェンは、チオフェンの4量体で、両末端のα位の水素が無置換のものである。
【0092】
これらのオリゴチオフェンは、グリニャール反応によって段階的に作られるため単一の重合度であり、不純物は少なく、単結晶が得られやすい。
【0093】
そのため、有機半導体をチャネル層に用いた電界効果トランジスタでしばし必要になる脱ドープの必要がない。
【0094】
しかも蒸着膜の膜質もよく、高次のX線解析ピークが認められる(ジャーナル・オブ・マテリアル・ケミストリー誌:S.Hotta,K.Waragai,J.Mater.Chem.,1巻(1991)835頁に記載)。
【0095】
よって、このような薄膜の膜質の良さが、となりあう分子間のキャリアの移動を起こり易いもとしている。
【0096】
また、鉛フタロシアニンは、市販品がフタルイミドなどの不純物を多く含むため市販品を2回の昇華精製をしてから用いた。
【0097】
ここでは、鉛フタロシアニンについて測定したが、一般にフタロシアニン錯体の物性は中心金属の種類が変わっても大きくは変わらないので、他の2価または1価の金属フタロシアニン、金属を含まないフタロシアニンについても同様に移動度が向上する。
【0098】
なお、シアノ基を有するポリマーをゲート絶縁層として用いるとチャネルの移動度が向上する理由について検討する。
【0099】
例えば、前述のGarnier他は、シアノエチルプルランのε=18.5(10KHzにて)という比誘電率値を理由にあげている(特表平5−508745号参照)。
【0100】
しかし、後述の比較例に示す比誘電率の高いタンタル酸化膜(ε=24〜25)を用いた電界効果トランジスタ構造では、SiO2上の場合と同等の移動度であり、その移動度の活性化エネルギーもSiO2上のものと同等である。
【0101】
また、本発明の実施例に示すポリアクリロニトリルの比誘電率は、ε=4.5(10KHz,22℃にて)である(Eugen Neagu,Mihai Leanca,Rodica Neagu,An.Stiint.Univ.”Al.I.Cuza”Iasi,Sect.1b,20(2),133−8頁 1974年に記載)であるに対して、特表平5−508745号公報記載では、少なくとも5の比誘電率が必要としているが、ポリアクリロニトリルの比誘電率はその値よりも小さく、しかも移動度の向上を引き起こしている。
【0102】
よって、必ずしもGarnier他が述べるような高い比誘電率の材料が、移動度の向上につながっていないことになる。
【0103】
現在のところ、シアノ基を有するポリマーをゲート絶縁層として用いるとチャネルの移動度が向上する理由については、シアノ基が有する局在した電気双極子の作用が支配的であることが判明している。
【0104】
(実施例1)
以下、本発明の第1の実施例について、図面を参照にしながら詳細に説明をする。
【0105】
本実施例では、ポリアクリロニトリルをゲート絶縁層材料として、有機半導体としてジメチルセクシチオフェンを用いた電界効果トランジスタを作製した。
【0106】
具体的には、図4の構成の電界効果トランジスタにおいて、基板41としてガラス基板、ゲート電極42としてITO膜、ゲート絶縁層43にシアノ基を有する絶縁性ポリマーとしてポリアクリロニトリル、ソース電極44およびドレイン電極45として各々金の蒸着膜、有機半導体層46としてジメチルセクシチオフェンを用いた構成を有する。
【0107】
ポリアクリロニトリルをゲート絶縁層に用いた電界効果トランジスタを次のようにして作製した。
【0108】
まず、洗浄したITO(Indium Tin Oxcide)膜付きガラス基板(50Ω/□)を用意し、この上に、ポリアクリロニトリル(分子量150,000、Polyscience社製)の0.1g/mlのジメチルスルホキシド溶液を、1500rpmでスピンコートし、ドライヤーを用いてこのスピンコート膜を乾燥し、ゲート絶縁層43とした。
【0109】
そして、その上に金を真空蒸着し、各々ソース電極44、ドレイン電極45を形成した。
【0110】
又、上述のITO膜をゲート電極42として用い、ソース電極44、ドレイン電極45、ゲート電極42の各電極に、0.1mmφの金線を銀ペーストで配線した。
【0111】
ここで、インピーダンスアナライザHewlett−Packard 4194Aを用いてゲート電流を測定し、ソース・ゲート間のゲート容量を電極面積で割り、単位面積当りのゲート容量とした。そして、その典型的な値は、1nF/cm2であった。
【0112】
その後、チャネル部分に蒸着されるように、不要部分をアルミホイル等で覆って、ジメチルセクシチオフェン10mgを、2〜4×10-6Torrの圧力下で、蒸着基板から5cm離した昇華金属用のタングステンボートから、抵抗加熱により真空蒸着し、有機半導体層46とした。
【0113】
この条件において、ジメチルセクシチオフェンの中心付近の膜厚は、500nmになった。
【0114】
そして、Hewlett−Packardの半導体パラメータアナライザー4145B、Keithley 236ソース・メジャーユニットとプログラマブル電圧源Keithley 617をパソコンによりコントロールした測定系を用いて、本実施例の電界効果トラジスタの各パラメータの測定を行なった。
【0115】
また、移動度は、電界効果トランジスタの線形領域のドレイン電流IDを与える下記の(数1)を、ゲート電圧にVGにより微分した下記の(数2)より求めることができる。
【0116】
【数1】
Figure 0003994441
【0117】
【数2】
Figure 0003994441
【0118】
ここでμは移動度、C0は単位面積当りのゲート容量、Wはチャネル幅、Lはチャネル長、VGはゲート電圧、VDはドレイン電圧、VTはしきい値電圧である。
【0119】
また、ジメチルセクシチオフェンに代え、クォータチオフェン、鉛フタロシアニンについても同様に電界効果トランジスタを作製し、同様の測定を行った。
【0120】
このとき、チャネル長L=2.4cmでチャネル幅W=0.01cmのもの、またはチャネル長L=0.6cmでチャネル幅W=0.02cmのものの2種類を作製した。
【0121】
これらの電界効果トランジスタの動作特性を、図5(a)〜(c)に示す。
図中に、各々のチャネル幅W、チャネル長L、単位面積あたりのゲート容量C0を示した。
【0122】
これらの図より、ジメチルセクシチオフェン、クォータチオフェン、鉛フタロシアニンとも、マイナスのゲート電圧を印加したときにドレイン電流が増大していることからp型の半導体特性を示していることがわかる。
【0123】
そして、図5(a)のジメチルセクシチオフェンの電界効果トランジスタの場合に、最も、ゲート電圧に対するドレイン電流の変化が大きく、しかもVG=0VとVG=−11Vにおけるドレイン電流の変化の比が大きい。
【0124】
結果として、ジメチルセクシチオフェンで2cm2/Vs(最大値で4cm2/Vs)、クォータチオフェンで1.4×10-5cm2/Vs、鉛フタロシアニンで1.3×10-4cm2/Vsの移動度が得られた。
【0125】
これらの値は、シリコン酸化膜上のジメチルセクシチオフェン、クォータチオフェン、鉛フタロシアニンの移動度が、各々10-2、2×10-7、10-5cm2/Vsであるのに対して、1桁以上大きく、移動度の格段の向上をもたらしていることがわかる。
【0126】
以上のように、本実施例によれば、有機半導体をチャネル層に用いた電界効果トランジスタにおいて、ゲート絶縁層にシアノ基をもつ絶縁性ポリマーであるポリアクリロニトリルを用いることにより、ゲート絶縁層にシリコン酸化膜を用いたものよりも高い移動度を有する電界効果トランジスタを得ることができ、このシアノ基をもつポリマーによる移動度の向上は、広範囲の有機半導体に有効であると考えられる。
【0127】
更に、ポリアクリロニトリルは、通常の有機溶媒に溶解せず、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の限られた溶媒に溶解するだけであるため、ポリアクリロニトリルを製膜後に有機洗浄やリソグラフィーが可能になる利点をも併せ持つ。
【0128】
なお、このように電界効果トランジスタ構造にして測定した移動度は、time of flight法により測定した移動度とは異なることがある。
【0129】
というのは、time of flight法では、光照射によりキャリアを発生させるので、分子のHOMO(最高被占分子軌道)やLUMO(最低空分子軌道)の絶対的な準位がどこであるかはキャリアの発生に無関係で、HOMOとLUMOのエネルギー差がキャリアの発生に関係している。
【0130】
一方、電界効果トランジスタ構造では、ゲート電極・ゲート絶縁層・チャネル部の有機半導体のMIS(絶縁ゲート半導体)構造での印加電圧によるものなので、ゲート電極・ゲート絶縁層・有機半導体のエネルギー準位の関係に影響されるからである。
【0131】
例えば、time of flight法では、通常は測定できるアントラセン単結晶を用いた場合でも、電界効果トランジスタ構造にすると移動度の測定ができない。
【0132】
これは、アントラセンは、可視領域に吸収を持たず透明であるように、HOMO−LUMOのエネルギー差が大きく、HOMOの準位がテトラセンのHOMOの準位よりも深い準位にあるため、電界効果トランジスタ構造でゲート印加電圧によってキャリアを誘起することができないことによる。
【0133】
このように電界効果トランジスタ測定により求めた移動度は、time offlight 法により求めた移動度とは異なることがあるが、本実施例で求めた移動度は、実際に素子として利用される電界効果トランジスタ構造におけるものであり、単結晶中で求めた移動度よりも、より実際的なものである。
【0134】
(実施例2)
以下、本発明の第2の実施例について、図面を参照にしながら説明をする。
【0135】
本実施例では、図1に示されるポリアクリロニトリル層とシリコン膜からなる複合絶縁層を有する電界効果トランジスタについて説明をする。
【0136】
具体的には、シアノ基を有するポリマー層13としてポリアクリロニトリル、有機半導体層16としてジメチルセクシチオフェンを用いた電界効果トランジスタを以下のように作製した。
【0137】
まず、1000Åの熱酸化膜(シリコン酸化膜)19のついたn型高濃度ドープのシリコン基板18を、スピンコートしやすい大きさに劈開する。
【0138】
なお、このとき、熱酸化膜を成長させた時にできる裏面の酸化膜は、簡便のため紙やすりにより除去し、ゲート電極をとりだすためのシリコン基板と銀ペーストとの導通を確保した。
【0139】
次に、ポリアクリロニトリル(分子量150,000、Polyscience社製)の0.1g/mlのジメチルスルホキシド溶液を、1000または2000rpmで、シリコン酸化膜上ににスピンコートした。
【0140】
スピンコート後ドライヤーを用いてスピンコート膜を乾燥し、シアノ基を有するポリマー層13とした。
【0141】
その上にソース電極14とドレイン電極15として用いる金電極を真空蒸着する(チャネル長L=2.4cm、チャネル幅W=0.01cm)。
【0142】
そして、金電極を蒸着した後に、シリコン基板18を劈開して不図示のプリント基板上に固定し、銀ペーストを用い金線の配線をし、金線に力がかかってはがれることのないようにプリント基板と金線(φ0.1mm)をエポキシ接着剤で固定した。
【0143】
なお、このとき、劈開に先だって、ポリアクリロニトリルの薄膜13はシリコン酸化膜19との密着性がよくなく容易にはがれやすいため、ポリアクリロニトリルのスピンコート膜13、シリコン基板18の端面にエポキシ接着剤を塗り固めた後、ポリアクリロニトリルのスピンコート膜13をカッターナイフであらかじめ切り放しておく。
【0144】
又、ここでHewlett Packard 4194A impedance/gain phase analyzerでパラメータを測定し、低周波での一致のよい並列の等価回路のコンデンサの容量を電極面積で割って、ゲート容量C0を算出し、その単位面積あたりのゲート容量C0は、測定結果のグラフ中に示した。
【0145】
その後、チャネル周辺部を残してアルミホイルでマスクして、ジメチルセクシチオフェン10mgを、タングステン昇華金属用ボートから5cmの距離で、2×10-6〜4×10-6Torrの圧力下で真空蒸着し、膜厚500nm程度の有機半導体層16であるオリゴチオフェン膜を形成した。
【0146】
そして、実施例1と同様にして電界効果トランジスタ特性を測定した結果は、図6に示す通りであり、1cm2/Vsの大きい移動度が得られた。
【0147】
なお、絶縁層をポリマー絶縁層とシリコン酸化膜との複合膜にした構造は、次のような利点を持つ。
【0148】
ポリマー単独の絶縁層より、ポリマー層/酸化ケイ素膜の複合膜は、ゲートの絶縁性を確保しやすいため、ポリマー層の厚さを薄くすることができる。
【0149】
このため、この複合膜の方が、ポリマー単独の場合よりも単位面積当りのゲートの電気容量を確保しやすく、同じ移動度、チャネル長、チャネル幅の組合せでも大きなドレイン電流が得られる。
【0150】
(実施例3)
以下、本発明の第3の実施例について、図面を参照にしながら説明をする。
【0151】
本実施例では、シアノエチルプルランをゲート絶縁層に用い、鉛フタロシアニンを有機半導体として用いたもので、実施例1の作製工程と基本的には同様である。
【0152】
具体的には、図4の構成において、基板41としてガラス基板、ゲート電極42としてITO膜、シアノ基をもつ絶縁性ポリマー43としてとしてシアノエチルプルラン、ソース電極44、ドレイン電極45として金の蒸着膜、有機半導体層46として鉛フタロシアニンを用いたものである。
【0153】
ゲート電極42となるITO膜付きガラス基板(50Ω/□)を洗浄して用意し、この上にCYEPL(信越化学製、商品名シアノレジンCR−S)の0.2g/mlのアセトニトリルとジメチルホルムアミドとの等体積混合溶媒溶液を1000rpmでスピンコートした。
【0154】
スピンコート後ドライヤーを用いてスピンコート膜を乾燥し、ゲート絶縁層43とした。
【0155】
そして、その上にソース電極44、ドレイン電極45として用いる金電極を真空蒸着して形成した。
【0156】
ここで、ゲート容量を、インピーダンスアナライザHewlett−Packard 4194Aを用いて測定した。
【0157】
その後、不要部分をアルミホイル等で覆って、鉛フタロシアニンを2〜4×10-6Torr圧力下で、昇華金属用のタングステンボートから、抵抗加熱により真空蒸着した。
【0158】
ここで、チャネル長L=2.4cmまたは0.6cm、チャネル幅W=0.01cmまたは0.02cmとした。
【0159】
ついで、ジメチルセクシチオフェン、クォーターチオフェンについても鉛フタロシアニンの場合と同様に電界効果トランジスタを作製し、実施例1と同様に各パラメータを測定した。
【0160】
こられの測定結果は、図7(a)〜(c)に示すとおりであり、ジメチルセクシチオフェンで3cm2/Vs、クォータチオフェンで3×10-5cm2/Vs、鉛フタロシアニンで3.2×10-3cm2/Vsであった。
【0161】
よって、本実施例においても、シアノ基を有するシアノエチルプルランをゲート絶縁層に用いるとことにより有機半導体の移動度が向上した電界効果トランジスタを得ることができた。
【0162】
(実施例4)
以下、本発明の第4の実施例について、図面を参照にしながら説明をする。
【0163】
本実施例では、ゲート絶縁層としてシアノエチルプルランとシリコン酸化膜の積層膜を用いた。
【0164】
具体的には、図1において、シアノ基を有する絶縁性ポリマー層13としてシアノエチルプルラン、有機半導体層16としてジメチルセクシチオフェンを用いたものであり、実施例2の作製工程と基本的には同様である。
【0165】
ここで、ゲート絶縁層の十分な絶縁を確保するために、n型高濃度ドープのシリコン基板18上の熱酸化膜(シリコン酸化膜:厚さ104.6nm)上に、2g/10mlのジメチルホルムアミドとアセトニトリルとの等体積混合溶媒のCYEPL溶液を1000rpmでスピンコートし、ドライヤーでスピンコート膜を乾燥して絶縁層13とした。
【0166】
本実施例においては、CYEPLスピンコート膜である絶縁層13は、シリコン酸化膜との密着性が良好である。
【0167】
本実施例においても、電界効果トランジスタの各パラメータの測定を同様に行い、その結果は図8に示す。そして、求められた移動度は9×10-2cm2/Vsであり、高い値を有した。
【0168】
なお、以上の実施例の移動度の測定結果を以下の(表1)にまとめた。
【0169】
【表1】
Figure 0003994441
【0170】
(比較例1)
本比較例では、シリコン酸化膜をゲート絶縁層に用いた電界効果トランジスタを以下のように作製した。
n型シリコン基板(ρ=0.01Ωcm)上に、酸化膜(厚さ270nm)を形成し、その上にクロム(厚さ15nm)、金(厚さ150nm)を逐次蒸着し、ソースおよびドレイン電極を形成した。
【0171】
ここで、チャネル長L=4μm、チャネル幅W=1.5mmとし、ゲート容量C0=12nF/cm2であった。
【0172】
ついで、ウエハーを劈開後セラミックパッケージにマウントした後にボールボンダで配線し、その後ジメチルセクシチオフェンを2〜4×10-6Torr圧力下で、昇華金属用のタングステンボートから抵抗加熱により真空蒸着した。
【0173】
このとき、ボートと蒸着基板との距離を5cm程度とし、蒸着源10mgを飛ばしたときの中心付近の典型的な膜厚は500nmであった。
【0174】
ついで、有機半導体にクォータチオフェン、鉛フタロシアニンを用いた場合ついても同様に電界効果トランジスタを作製した。
【0175】
また、電界効果トランジスタの各パラメータの測定は、上記実施例と同様に行った。
【0176】
鉛フタロシアニンでの測定結果のみ図9に示すが、その結果は、(表1)に示すようにジメチルセクシチオフェンで10-2cm2/Vs、クォータチオフェンで2×10-7cm2/Vs、鉛フタロシアニンで10-5cm2/Vsと低い値であった。
【0177】
(比較例2)
さらに、本発明との比較するために、CYEPLよりも高い比誘電率(ε=24〜25)を有するタンタル酸化膜Ta25を用いて、Ta25/SiO2複合膜からなるゲート絶縁層の電界効果トランジスタを作製した。
【0178】
ここで、ゲート絶縁層の十分な絶縁を確保するために、n型シリコン基板上のシリコンの熱酸化膜(厚さ104.6nm)上に、タンタル酸化膜を201.0nmの厚さにスパッターにより製膜し、その上にソースおよびドレイン電極を作製した(チャネル長L=0.1mm、チャネル幅W=24mm)。
【0179】
また、Ta25/SiO2複合膜の単位面積当りの電気容量(16.7nF/cm2)は、タンタル酸化膜の電気容量とシリコン酸化膜の電気容量の直列の電気容量として計算された値とよく一致した。
【0180】
そして、チャネル層の有機半導体としては、ジメチルクインケチオフェン(両末端のα位の水素をメチル基で置換したチオフェンの5量体)を用い、タングステンボートから真空蒸着により製膜し、電界効果トランジスタの作製をした。
【0181】
電界効果トランジスタの各パラメータの測定は、上記実施例と同様である。
その結果を図10に示すが、Ta25/SiO2複合膜上の移動度は、1.8×10-3cm2/Vsであり、シリコン酸化膜上の場合と大差のない値となった。
【0182】
また、活性化エネルギーの測定値も、シリコン酸化膜上の場合と同様の0.17eVとなった。
【0183】
このように高誘電率のタンタル酸化膜を用いても、オリゴチオフェンの移動度が影響されないことから、移動度向上の要因は、ゲート絶縁層の比誘電率ではないことがわかる。
【0184】
この原因について発明者が検討したところ、この移動度の向上は、シアノ基が有する局在した電気双極子の作用が支配的であることが判明した。
【0185】
また、シアノ基を有する有機化合物を、他のポリマー中に分散させてもその中に含まれる電気双極子の働きにより同様の効果を示すことが期待できる。
【0186】
【発明の効果】
以上のように、本発明においては、有機半導体をチャネル部に用いた電界効果トランジスタにおいて、ゲート絶縁層にシアノ基を有する絶縁性ポリマーを用いることにより、有機半導体薄膜中の移動度を向上させ、その結果としてドレイン電流を増大させることができる。
【0187】
更に、ジメチルセクシチオフェンとポリアクリロニトリルの組合せで最大で4cm2/Vsもの高い移動度を実現することもできる。
【0188】
よって、有機半導体をチャネル層に用いた電界効果トランジスタ構造において、アモルファスシリコンと同等かまたはそれ以上のキャリアの移動度を実現できたといえ、種々の有機半導体を電界効果トランジスタに用い得る途を開き、その効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電界効果トランジスタの断面図
【図2】従来例と同様の構造で本発明の絶縁層を適用可能な電界効果トランジスタの断面図
【図3】従来例と同様の構造で本発明の絶縁層を適用可能な電界効果トランジスタの断面図
【図4】従来例と同様の構造で本発明の絶縁層を適用可能な電界効果トランジスタの断面図
【図5】本発明の第1の実施例における電界効果トランジスタの特性図
【図6】 同第2の実施例における電界効果トランジスタの特性図
【図7】 同第3の実施例における電界効果トランジスタの特性図
【図8】 同第4の実施例における電界効果トランジスタの特性図
【図9】 比較例1における電界効果トランジスタの特性図
【図10】 比較例2における電界効果トランジスタの特性図
【符号の説明】
13 絶縁層
14 ソース電極
15 ドレイン電極
16 有機半導体層
18 基板兼ゲート電極
19 シリコン酸化膜
21 基板
22 ゲート電極
23 絶縁性層
24 ソース電極
25 ドレイン電極
26 有機半導体層
33 絶縁層
34 ソース電極
35 ドレイン電極
36 有機半導体層
37 基板兼ゲート電極
41 基板
42 ゲート電極
43 絶縁性層
44 ソース電極
45 ドレイン電極
46 有機半導体層

Claims (6)

  1. ゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、有機半導体材料で構成されたチャネル部と、シアノ基を有する絶縁性ポリマーで構成されたゲート絶縁層とを有し、前記シアノ基を有する絶縁性ポリマーは、比誘電率が5未満で、且つ、以下の化学式(化1)から(化4)のいずれかで示される化合物を用いた電界効果トランジスタ。
    Figure 0003994441
    Figure 0003994441
    Figure 0003994441
    Figure 0003994441
  2. シアノ基を有する絶縁性ポリマーは、ポリアクリロニトリルである請求項1記載の電界効果トランジスタ。
  3. 有機半導体材料は、少なくとも7つのπ電子共役結合を含む多共役有機化合物を用いた請求項1又は2記載の電界効果トランジスタ。
  4. 有機半導体材料は、以下の化学式(化)から(化10)のいずれかで示される化合物を用いた請求項1から3のいずれか記載の電界効果トランジスタ。
    Figure 0003994441
    Figure 0003994441
    Figure 0003994441
    Figure 0003994441
    Figure 0003994441
    Figure 0003994441
  5. 有機半導体材料は、以下の化学式(化11)で示されるπ電子共役系が広がった化合物である請求項1からのいずれか記載の電界効果トランジスタ。
    Figure 0003994441
  6. ゲート絶縁層がシリコン酸化膜とシアノ基を有する絶縁性ポリマーからなる複合膜であり、シアノ基をもつ絶縁性ポリマーがチャネル部と接する請求項1から5のいずれか記載の電界効果トランジスタ。
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