JP2002005238A

JP2002005238A - 動力伝達ベルト

Info

Publication number: JP2002005238A
Application number: JP2001136239A
Authority: JP
Inventors: Matthew Thomas Morris; マシュー・トーマス・モーリス; Jeffrey Dwight Lofgren; ジェフリー・ドゥワイト・ロフグレン; Dennis Dean Kottwitz; デニス・ディーン・コットウィッツ; Wesley James Billups; ウェスリー・ジェームズ・ビラップス
Original assignee: Goodyear Tire and Rubber Co
Current assignee: Goodyear Tire and Rubber Co
Priority date: 2000-05-12
Filing date: 2001-05-07
Publication date: 2002-01-09
Also published as: BR0101660A; EP1154171A1; DE60114506T2; DE60114506D1; EP1154171B1; US6409621B1

Abstract

(57)【要約】（修正有）【課題】動力伝達ベルトの駆動表面をポリふっ化ビニリ
デンの織物コーティングを施し、ベルト駆動面の摩擦係
数を下げ、摩耗の最小化をはかること。【解決手段】張力部２１と、クッション部２２と、前記
張力部と前記クッション部との間に配置されている負荷
部２３と、ポリふっ化ビニリデンのコーティング層を設
ける改良を施したベルトの外側表面に織物層２５が接着
されている少なくとも１つの駆動面２９とを備えたエン
ドレスの動力伝達ベルト２０を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】（発明の属する技術分野）本発明は、摩擦
係数を下げ、摩耗を最小化する、駆動面上のポリふっ化
ビニリデンの織物コーティングを特徴とする動力伝達ベ
ルトに関する。

【０００２】（発明の背景）自動車産業における近年の
開発の結果、コンパクトなエンジンルーム内に、高出力
のエンジンが搭載されるようになってきた。その結果、
このようなエンジンの動力伝達ベルトは、ベルト幅を細
くする一方で、高負荷、高張力、高温の下で作動するこ
とが求められている。このような環境は、これらの厳し
い状況に耐え得る高品質なベルトを求めている。そのよ
うなベルトの特性を改良する１つの方法は、ベルトを作
る材料を改良することである。例えば、従来のポリクロ
ロプレンゴムは、水素化ニトリルゴム及びクロロスルホ
ン化ポリエチレンに取って替えられた。更に、固体潤滑
剤をゴム組成物に加えて、摩擦係数を下げることにより
ベルトの耐摩擦特性を改良してきた。

【０００３】（発明の概要）（ａ）張力部と、（ｂ）ク
ッション部と、（ｃ）前記張力部と前記クッション部と
の間に配置されている負荷部と、（ｄ）ポリふっ化ビニ
リデンのコーティング層を設ける改良を施した、ベルト
の外側表面に織物層が接着されている少なくとも１つの
駆動面とを備えたエンドレスの動力伝達ベルトが開示さ
れている。

【０００４】（好適な実施例の詳細な説明）図１に、エ
ンドレス動力伝達ベルト構造、即ち全体を参照番号２０
で表す本発明のベルトを示す。ベルト２０は、特に、当
該技術分野ではよく知られている技術に従って、関連シ
ーブ内で用いられるようになっている。このベルトは、
特に自動車で用いるのに適している。ベルト２０は、ベ
ルト上に変動するベルト張力のショック荷重が掛かるよ
うな使い方、ベルトが変動するスピード下で作動するよ
うな使い方、ベルトに、その張力を制御するためにスプ
リング負荷が掛けられているような使い方など、いわゆ
るトルク感知駆動で用いられるようになっている。

【０００５】ベルト２０は、張力部即ちバッキング２１
と、クッション部２２と、前記張力部２１とクッション
部２２との間に配置されている負荷部２３とを備えてい
る。更に、ベルト２０は、駆動面２９に接着されている
織物層２５を有している。ベルトには、クッション部２
２のゴムが織物層２５を通って駆動面２９へ浸透するの
を防ぐか又はその浸透する量を低減するために、クッシ
ョン部２２と織物層２５との間にバリアー層２７を設け
ることもある。

【０００６】本発明のベルトには、外側表面に織物層２
５が接着されている少なくとも１つの駆動面２９があ
る。図１に示されている実施例では、織物層２５を有す
る１つの駆動面２９がある。別の実施例では、ベルト２
０は、２つ又はそれ以上の複数の駆動面を有している。
織物層は又、駆動面ではないベルトの外側表面上にあっ
てもよい。

【０００７】織物層２５は、織布、不織布又はメリヤス
生地から作ることができる。本発明に用いられる織物
は、ナイロン（例えば、ナイロン４，６、ナイロン６，
６及びナイロン６）や、綿、ポリエステル、綿／ポリエ
ステル、ナイロン／ポリエステル、綿／ナイロン、ライ
クラ（：商標名、セグメント化ポリウレタン）或いは、
アラミド、レーヨンなどを含む従来の材料で作られてい
る。この織物は、ナイロン６，６で作るのが望ましい。

【０００８】後に述べるように、ポリふっ化ビニリデン
の層３１は、織物層２５の駆動面２９の側に塗布され
る。負荷部２３は、当該技術分野ではよく知られている
技術に従って、エラストマー負荷部２３内に適切に埋め
込まれている負荷コード３２又はフィラメントの形状を
した負荷手段を有している。コードは、ベルトの長手方
向に対して横断方向でも並行でもよい。コード３２即ち
フィラメントは、適切な材料であれば、当該技術でよく
知られ、用いられている何れの材料で作ってもよい。そ
のような材料の代表的例としては、アラミド、ガラス繊
維、ナイロン、ポリエステル、綿、スチール、炭素繊
維、ポリベンゾオキサゾールが挙げられる。

【０００９】図１のベルト２０の駆動面２９は、シンク
ロナス式である。別の実施例では、後に述べるように、
本発明のベルトは、ベルトの駆動面が、平滑、単一のＶ
溝付き、又は複数のＶ溝付きであるようなベルトも含ん
でいる。シンクロナス型の代表的な例には、台形又は曲
線から成る歯を有するベルトが含まれる。歯の設計に
は、米国特許番号第５，２０９，７０５号及び第５，４
２１，７８９号に示されているような、ヘリカルオフセ
ット歯設計がある。

【００１０】張力部２１、クッション部２２及び負荷部
２３に用いられるゴム合成物は、同じでも、異なってい
てもよい。これらの部の一方又は両方に用いられる従来
のエストラマーには、天然ゴム、ポリクロロプレン、ア
クリロニトリルブタジエンコポリマー（ＮＢＲ）や、ポ
リイソプレン、不飽和カルボン酸エステルグラフト化水
素化ニトリルブタジエンエラストマーの亜鉛塩、スチレ
ンブタジエンラバー、ポリブタジエン、ＥＰＤＭ、水素
化アクリロニトリルブタジエンコポリマー（ＨＮＢＲ）
及び、ポリウレタン、ヴィトンという商標で販売されて
いるエストラマー、ＶＡＭＡＣという名称で販売されて
いるエチレンアクリル系エストラマー、及びそれらの組
み合わせがある。

【００１１】張力部２１、クッション部２２、負荷部２
３に用いられるエストラマーは、硬化剤を含む様々な過
酸化物により架橋結合される。本発明の組成物に採用す
ることのできる硬化剤には、例えば、ジタートブチル・
ペルオキシド、ジクミル・ペルオキシド、ベンゾイル・
ペルオキシド、２，４ジクロロベンゾル・ペルオキシ
ド、ｔブチルクミル・ペルオキシド、ｔブチル・ペルベ
ンゾエイト、ｔブチル・ペルオキシド、ｔブチル・ペル
オキシ（２エチル・ヘキサノエイト）、２，５ジメチル
−２，５ジ（ベンゾイルペルオキシ）ヘキサン、ベンゾ
イルペルオキシド、２，５ジメチル−２，５（ｔブチル
・ペロキシ）ヘキサン、１，１ジタートブチル・ペロキ
シ−３，３，５トリメチル・シクロヘキサン、４，４ジ
タートブチルペロキシｎブチル・バレレート、ｎブチル
４，４ビス（ｔブチル・ペロキシ）バレレートがある。
本発明の組成物に採用することのできる硬化剤としては
更に、α、α’ビス（ｔブチル・ペルオキ）イソプロピ
ルベンゼン、２，５ジメチル−２，５ジ（ｔブチル・ペ
ロキシ）ヘキサン、ジｔブチル・ペロキシド、２，５ジ
メチル−２，５ジ（ｔブチル・ペロキシ）ヘキサン−
３，ラウロイル・ペルオキシド、ｔブチル・ヒドロペル
オキシド、ｔアミル・ヒドロぺルオキシド、クメンヒド
ロぺルオキシド、ｔブチル・ペルベンゾエイト、ｔブチ
ル・ペルオキシド、ｔブチルペルオキシ（２エチルヘキ
サノエイト）、２，５ジメチル−２，５ジ（ベンゾイル
ペルオキシ）ヘキサン、ベンゾイル・ペルオキシドがあ
る。上記の硬化剤は全て、市販されている。

【００１２】用いられる硬化剤の量は、様々である。一
般的には、そのレベルは（ペロキシドの活性部に基づい
て）０．１から１０ｐｈｒの範囲となるであろう。レベ
ルの範囲は、１．８から３．０ｐｈｒであるのが望まし
い。

【００１３】図１のベルトには、外側表面に織物層２５
が接着されている１つの駆動面２９がある。織物層２５
上に、ポリふっ化ビニリデン３１の層がある。ポリふっ
化ビニリデン層は、ふっ化ビニリデンのホモポリマーで
も、ふっ化ビニリデンと他のモノマーのコポリマーでも
よい。テトラルフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロ
ピレン、モノクロロトリフルオロエチレン、ビニルフル
オリド、ペルフルオロビニルアルキルエーテル、ビニル
アセテート、エチレンで構成されるグループから選択さ
れる１つ又はそれ以上のモノマーを、コポリマー化する
ために、ふっ化ビニリデンと共に用いてもよい。

【００１４】ポリふっ化ビニリデン層は、フィルムの形
態で用いるのが望ましい。フィルムは概ね透明であり、
押し出し成型又はキャスティング技術によって製造され
る非延伸フィルムでもよいし、非延伸フィルムを伸ばし
て作られる延伸フィルムであってもよい。

【００１５】本発明のベルトを構成するのに、市販のポ
リふっ化ビニリデンのフィルムを用いることもできる。
そのようなフィルムとしては、ペンシルバニア州、レニ
ーのウエストレイク・プラスチック社から入手可能なフ
ィルムがある。

【００１６】ポリふっ化ビニリデン層の厚さは、様々で
ある。一般的に、厚さは、０．０１２５ｍｍ（０．５mi
l）から１．２５ｍｍ（５０mils）の範囲である。０．
０５ｍｍ（２mil）から０．２０ｍｍ（８mils）の範囲
の厚さであるのが望ましい。

【００１７】ポリふっ化ビニリデン層３１は、織物に塗
布した後、織物に接着させるために加熱される。これ
は、ベルト２０を構成する際の、織物をクッション部２
２に貼り付ける前に実施するのが望ましい。

【００１８】随意的にであるが、固体無機減摩剤が、ポ
リふっ化ビニリデンのコーティング組成物内に存在して
いてもよい。そのような減摩剤の代表的な例には、モリ
ブデン・ジスルフィド、モリブデン・ジセレニド、グラ
ファイト、アンチモニ・トリオキシド、タングステン・
ジスルフィド、タルク、マイカ、タングステン・ジセレ
ニド、及びそれらの混合物が含まれる。好適な減摩剤と
しては、グラファイトが挙げられる。そのような固体無
機減摩剤を用いる場合、一般的にその量は、重量で、ポ
リふっ化ビニリデン１００に対し、１から２５の範囲と
なるであろう。

【００１９】先に述べたように、ベルト２０には、随意
的に、クッション素材２２と織物２５との間にバリヤー
層２７を設けてもよい。駆動面の織物上のバリヤー層２
７として用いるのに好適な組成物には、不飽和カルボン
酸エステルグラフト化水素化ニトリルブタジエンエラス
トマーの亜鉛塩（ＺｎＨＮＢＲ）が含まれる。この不飽
和カルボン酸エステルグラフト化水素化ニトリルブタジ
エンエラストマーの亜鉛塩は、イリノイ州、ローリング
メドウのゼオン化学社により、製品番号ＺＳＣ１２９
５、ＺＳＣ２０９５、ＺＳＣ２１９５、ＺＳＣ２２９
５、ＺＳＣ２２９５Ｌ、ＺＳＣ２２９５Ｒ、ＺＳＣ２３
９５で販売されており、最適なのは、ムーニー粘度約８
８、不飽和度約１０パーセント、アクリロニトリル含有
率約３６パーセントのＺＳＣ２２９５と、ムーニー粘度
約７０、不飽和度約１０パーセント、アクリロニトリル
含有率約３６パーセントのＺＳＣ２２９５Ｌである。バ
リヤー層の厚さは、０．０２５ｍｍ（１．０mil）から
０．３８ｍｍ（１５mils）の範囲であればよい。バリヤ
ー層２７は種々の手法で設けることができる。例えば、
織物上にカレンダー加工する手法、転写媒体上にカレン
ダー加工し、その後織物に熱転写する手法、溶媒に溶か
し、織物又は転写媒体上に薄く塗るか又はスプレーする
手法等である。

【００２０】動力伝達ベルトは、ドラム装置上に構成さ
れる。ベルトは成型品として一度に成型してもよいし、
バッキングを最初に貼り付け、ベルトを逆の順序でアッ
センブリしてもよい。例えば、バッキングを最初にドラ
ムに貼り付ける。次に、張力部を、シートとして貼り付
け、続いてコード即ち張力部材（負荷部）をポリドラム
上に螺旋状に貼り付ける。その後、クッション部を、張
力部上に貼り付ける。これとは別に、ポリふっ化ビニリ
デンフィルムをフェーシング織物に熱接着し、その後、
クッション部に層状に重ねる。代わりに、ポリビニリデ
ンフィルムとフェーシング織物とを別々に張り合わせ、
硬化の間の熱で、２つの層を機械的に接着させる方法も
ある。次に、当業者にはよく知られている方法で、アッ
センブリされたラミネート又はスラブをモールド型内に
配置し、硬化し、ベルトに切断する。

【００２１】（例）対照用ベルト及び本発明のベルトは
両方共、以下に述べること以外は、同じ方法で用意さ
れ、同じ構造及び材料で作られた。最初に、綿／ポリエ
ステル織物のバッキングがドラム装置に貼り付けられ、
その後ナイロン６，６の織物が貼り付けられた。張力部
を構成するこれらの両方の織物には、水素化ＮＢＲ処理
が施された。その後、接着剤に浸されたガラス繊維コー
ドが、ドラム上に螺旋状に巻かれた。水素化ＮＢＲのゴ
ムシートが、コードに貼り付けられ、クッション部が形
成された。これは別々であるが、対照用ベルトに用いら
れる織物は、レゾルシンホルムアルデヒドラテックスに
浸されたナイロン６，６ニット織物であり、０．１ｍｍ
の高密度ポリエチレンフィルムの層とされていた。本発
明のベルトは、織物がウエストレイクプラスチック社か
ら入手した０．１２５ｍｍのポリふっ化ビニリデンフィ
ルム層であることを除いて、同様に浸された織物を用い
た。どちらのフィルムも、摂氏１９１度で、平板プレス
内でフェーシング織物にラミネートされた。次に各織物
がドラムに貼り付けられ、各ラミネートは同じモールド
型内で硬化されて、８ｍｍピッチ、２５ｍｍ幅、１５０
個の歯を有するヘリカルオフセットのポジティブドライ
ブベルトが形成された。

【００２２】各構造のベルトが試験された。駆動面上に
ポリふっ化ビニリデン層を設けた構成のベルトの場合
は、高密度ポリエチレンを用いたベルトに比べ、高温ベ
ルト寿命が延び、ノイズの発生が減少した。動的寿命テ
ストの結果、ポリふっ化ビニリデン層を有するベルト
は、寿命が低下することなく摂氏１３５度まで耐えた
が、対照用ベルトは摂氏８８度で寿命が大幅に低下し
た。高密度ポリエチレン層を有するベルトのノイズレベ
ルは７０デシベルであったのに対して、本発明のベルト
のノイズレベルは８２デシベルであり、１２デシベルの
改良になっている。

【００２３】本発明を例証するために、特定の代表的な
実施例について詳細な説明を行ってきたが、当業者に
は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々
な変更及び修正がなされ得ることは明白であろう。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるエンドレス動力伝達ベルトの１実
施例の断面図である。

フロントページの続き (71)出願人 590002976 1144 ＥａｓｔＭａｒｋｅｔＳｔｒｅｅｔ，Ａｋｒｏｎ，Ｏｈｉｏ 44316− 0001，Ｕ．Ｓ．Ａ. (72)発明者マシュー・トーマス・モーリスアメリカ合衆国ネブラスカ州68521，リンカーン，ウエスト・ディリン・ストリート 400 (72)発明者ジェフリー・ドゥワイト・ロフグレンアメリカ合衆国ネブラスカ州68521，リンカーン，アイザック・ドライブ 1108 (72)発明者デニス・ディーン・コットウィッツアメリカ合衆国ネブラスカ州68510，リンカーン，サウス・フィフティファースト・ストリート 851 (72)発明者ウェスリー・ジェームズ・ビラップスアメリカ合衆国ネブラスカ州68507，リンカーン，ノース・セブンティフィフス・ストリート 3550

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】エンドレスの動力伝達ベルトにおいて、（ａ）張力部と、（ｂ）クッション部と、（ｃ）前記張力部と前記クッション部との間に配置され
ている負荷部と、（ｄ）厚さが０．０１２５ｍｍから１．２５ｍｍの範囲
にあるポリふっ化ビニリデンのコーティング層によって
特徴付けられた、ベルトの外側表面に織物層が接着され
ている少なくとも１つの駆動面とを備えていることを特
徴とするとするエンドレスの動力伝達ベルト。
【請求項２】前記ポリふっ化ビニリデンは、ふっ化ビ
ニリデンのホモポリマーと、ふっ化ビニリデンともう一
つの別のモノマーとのコポリマーとから成るグループか
ら選択され、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロ
プロピレン、モノクロロトリフルオロエチレン、ビニル
フルオリド、ペルフルオロビニルアルキルエーテル、ビ
ニルアセテート、エチレンから成るグループから選択さ
れることを特徴とする請求項１に記載のエンドレス動力
伝達ベルト。