JP2002003564A - ポリカルボジイミド化合物及びその製造方法 - Google Patents
ポリカルボジイミド化合物及びその製造方法Info
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Abstract
橋剤として、又は熱硬化性樹脂として使用した場合、強
度、接着性及び密着性等が著しく改善された架橋樹脂等
や熱硬化性樹脂が得られるたカルボジイミド化合物を提
供すること。 【解決手段】 下記の一般式(1)等で表され、数平均
分子量が300〜100,000であるポリカルボジイ
ミド化合物。 (式中の、m=1〜20、n=2〜30、Rはジイソシ
アネートの残基、Xはウレタン結合及び/または尿素結
合、Yはジオール及び/又はジアミンの残基、A、Bは
末端基である。)
Description
硬化性樹脂として有用なポリカルボジイミド化合物及び
その製造方法に関するものである。
ミド化合物は、モノ或いはジイソシアネートをカルボジ
イミド化触媒である3−メチル−1−フェニル−2−ホ
スホレン−1−オキシド等のホスホレン類を使用してカ
ルボジイミド化する方法、ジイソシアネートを触媒でカ
ルボジイミド化し、その両末端をモノアルコール又はモ
ノアミンで封鎖する方法、過剰のジイソシアネートを使
用し、モノアルコール又はモノアミンで片末端イソシア
ネートを生成させ、カルボジイミド化触媒を添加してカ
ルボジイミド化する方法、又はカルボジイミド化後、ジ
オール等を用いて鎖延長する方法等が用いられている。
例えば、生成物は、 等で示される(式中のRはジイソシアネートの残基、
R′はジオールの残基、Xはウレタン結合である)。
尚、これらのポリカルボジイミド化合物の一方の末端
は、例えば、Y′−X−、他端はY′−X−R−(Y′
はモノアルコール又はモノアミンの残基)等である。
の方法によって得られるポリカルボジイミド化合物は、
上記のようにカルボジイミド基(−N=C−N−R−)
同士が多数結合して1本の分子鎖を形成したものであ
り、これをカルボキシル基等の官能基を有する樹脂等の
架橋剤として、又はそれ自体を熱硬化性樹脂として使用
した場合、カルボジイミド基由来の架橋を形成して上記
樹脂等は架橋し、又、自己硬化した熱硬化性樹脂が得ら
れるが、樹脂等とポリカルボジイミド類のみの性質しか
発現せず、又、樹脂の種類によっては密着性、接着性、
伸度及び強度等の特性が不十分となる場合があった。
又、架橋を形成するカルボジイミド単位が相互に近接し
すぎており、架橋形成に与らないカルボジイミド単位が
多く残存し、架橋効率が上がらない場合もあった。
た新規なポリカルボジイミド化合物を開発すべく鋭意検
討した結果、カルボジイミド基を連続して結合させず
に、該基をウレタン結合及び/又は尿素結合を含む有機
鎖を介して結合させることにより、カルボジイミド基相
互の距離が広がり、即ち、架橋形成部分間の間隔を広げ
ることによって架橋効率が向上し、又、カルボジイミド
基が上記有機鎖を介して連結されることにより、ポリカ
ルボジイミド化合物には有機鎖由来の可撓性や伸縮性が
付与され、又、従来のポリカルボジイミド化合物よりも
多くのウレタン結合及び/又は尿素結合が該化合物中に
導入されることにより、ポリカルボジイミド化合物を、
樹脂等の架橋剤、又は熱硬化性樹脂として使用した場
合、強度、接着性及び密着性等が著しく改善された架橋
樹脂等や熱硬化性樹脂が得られることを見出し、本発明
を完成するに至った。
明によって達せられる。即ち、本発明は、ジイソシアネ
ート類とジオール及び/又はジアミンとを反応させて得
られる両末端イソシアネートプレポリマーをカルボジイ
ミド化してなる下記の一般式(1)で表され、数平均分
子量が300〜100,000であることを特徴とする
ポリカルボジイミド化合物及びその製造方法である。 (式中の、m=1〜20、n=2〜30、Rはジイソシ
アネートの残基、Xはウレタン結合及び/または尿素結
合、Yはジオール及び/又はジアミンの残基、A、Bは
末端基である。)
ル及び/又はジアミンとを反応させて得られる両末端イ
ソシアネートプレポリマーをカルボジイミド化し、これ
をジオール及び/又はジアミンで鎖伸長させてなる下記
の一般式(2)で表され、数平均分子量が300〜10
0,000であることを特徴とするポリカルボジイミド
化合物及びその製造方法である。 (式中の、mは1〜20の整数、nは2〜30の整数、
pは1〜10の整数、Rはジイソシアネートの残基、X
はウレタン結合及び/または尿素結合、Yはジオール及
び/又はジアミンの残基、Zは鎖伸長剤の残基、A、B
は末端基である。)
発明を更に詳細に説明する。本発明のポリカルボジイミ
ド化合物は、上記の一般式(1)で示される場合には、
分子鎖に少なくとも2個のカルボジイミド基(−N=C
=N−R−)を有し、又、上記の一般式(2)で示され
る場合には、分子鎖に少なくとも4個のカルボジイミド
基を有し、カルボジイミド基同士が連続して結合するの
ではなく、個々のカルボジイミド基がジオール及び/又
はジアミン(Yはこれらの残基)とウレタン結合及び/
又は尿素結合(X)等を介して有機鎖(−X−Y−X−
R−)によって連結された構造を有することが特徴であ
る。本発明のポリカルボジイミド化合物は、例えば、ジ
イソシアネートとジオール及び/又はジアミンを反応さ
せて両末端イソシアネートウレタン及び/又は尿素プレ
ポリマーを合成し、これを従来公知のイソシアネート化
合物のカルボジイミド化触媒を使用してカルボジイミド
化し、又はカルボジイミド化後に鎖伸長することによっ
て得ることができる。
ール及び/又はジアミン残基を含む有機鎖で連結される
ためには、ジオール及び/又はジアミンの両末端にジイ
ソシアネートが反応した両末端イソシアネートプレポリ
マーを調製し、これをカルボジイミド化することが重要
である。そのためにはジイソシアネートがジオール及び
/又はジアミンの両末端と反応するモル率でこれらを反
応させてプレポリマーを調製することが必要であり、ジ
イソシアネート対ジオール及び/又はジアミンのモル比
(以下では、〔NCO/OH及び/又はNH2〕で表わ
す。)は、1<〔NCO/OH及び/又はNH2〕≦2
である。
て結合しないようにするためには、ジイソシアネートが
反応系に残存しないようにジイソシアネートとジオール
及び/又はジアミンと反応させて、確実に両末端イソシ
アネートのジオール及び/又はジアミンのプレポリマー
を調整することが重要である。従って、ジイソシアネー
トとジオール及び/又はジアミンのモル比は、1.05
<〔NCO/OH及び/又はNH2〕<2が好ましく、
より好ましくは1.25<〔NCO/OH及び/又はN
H2〕<2であり、更に好ましくは1.5<〔NCO/
OH及び/又はNH2〕<2である。このとき、〔NC
O/OH及び/又はNH2〕>2となる過剰のジイソシ
アネートを使用し、ジオール及び/又はジアミンと反応
させると、系中には過剰分のジイソシアネートが存在
し、かかる状態でカルボジイミド化した場合、分子鎖に
連続したカルボジイミド分子鎖ができてしまう。又、ジ
イソシアネートとジオール及び/又はジアミンとを反応
させず、先ずジイソシアネートをカルボジイミド化して
からジオール及び/又はジアミンと反応させた場合に
も、連続したカルボジイミド分子鎖が生成する。
の両末端にジイソシアネートが反応した両末端イソシア
ネートプレポリマーを調製し、これをカルボジイミド化
する際、従来公知のウレタン樹脂の合成における分子量
調整方法を使用することができる。例えば、モノアルコ
ールとジイソソアネーとの反応生成物であるモノ(単官
能)イソシアネートの使用や、反応停止のためにモノア
ルコール及び/又はモノアミンを使用することができ
る。モノイソシアネートは、ポリカルボジイミド化合物
の末端イソシアネートをカルボジイミド化することによ
って分子量を調整する。この方法によって前記の一般式
(1)で表わされるポリカルボジイミド化合物が製造さ
れる。
ミド基がジオール及び/又はジアミンで連結されるため
には、前記のモル比でジイソシアネートとジオール及び
/又はジアミンを反応させて両末端がイソシアネートの
プレポリマーを調製する。必要に応じてプレポリマー合
成の反応系中で、分子量を調整するためにモノアルコー
ル及び/又はモノアミンをジイソシアネートの片末端と
反応させてモノイソシアネートを生成させ、両末端イソ
シアネートプレポリマーとともにカルボジイミド化して
ポリカルボジイミド化合物を得る。この場合、ジイソシ
アネートの全イソシアネート基対ジオール及び/又はジ
アミン、更に必要に応じて使用するモノアルコール及び
/又はモノアミンの全水酸基及び/又は全アミノ基のモ
ル比は、2/1とすることが好ましい。尚、上記のプレ
ポリマー及びモノイソシアネートをカルボジイミド化す
る際には、個々のカルボジイミド基が連続しないように
するために、反応系に単量体のジイソシアネートが残存
しないようにすることが必要である。
整のために、上記プレポリマー合成の反応系中でモノイ
ソシアネートを形成する代わりに既成のモノイソシアネ
ートを使用することもできる。この場合、前記のモル比
となるようにモノイソシアネートを使用すること以外は
上記の場合と同じである。又、モノイソシアネートの存
在下に生成するポリカルボジイミド化合物の末端は、ウ
レタン結合及び/又は尿素結合を含むものではなく、末
端カルボジイミドである。この場合の前記の一般式
(1)における末端基A及びBは、AがR″−N=C=
N−R−で、BがR″−N=C=N−である(R″はモ
ノイソシアネトの残基)。尚、反応終了後に若干のモノ
イソシアネートが残存している場合、残存モノイソシア
ネート量に見合った量のモノアルコール及び/又はモノ
アミンを加えて失活させることもできる。モノイソシア
ネートを存在させずに両末イソシアネートプレポリマー
をカルボジイミド化した後、生成したポリカルボジイミ
ド化合物中のイソシアネート量に見合った量のモノアル
コール及び/又はモノアミンを加えて反応させ、反応を
終了させる。この場合の前記の一般式(1)における末
端基A及びBは、AがY′−X−R−で、BはY′−X
−である(Y′はモノアルコール又はモノアミンの残基
である)。
ては、例えば、2,4−又は2,6−トリレンジイソシ
アネート(TDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイ
ソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシ
アネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ト
リジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネ
ート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ジフェニ
ルスルホンジイソシアネート、テトラメチルキシリレン
ジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネート類;
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMD
I)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシ
アネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、メ
チレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネ
ート、
レンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等
の脂肪族系ジイソシアネート類;4,4′−ジシクロヘ
キシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシア
ネート(IPDI)、水添トリレンジイソシアネート、
メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリ
デンジシクロヘキシル−4,4′−ジイソシアネート、
メチルシクロヘキサン−2,4(又は2,6)−ジイソ
シアネート、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シ
クロヘキサン、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシ
ルイソシアネート)等の脂環式系ジイソシアネート類;
HMDIやIPDI等のビュレット体、TDI等のウレ
チジオン体等;シクロヘキサンフェニレンジイソシアネ
ート等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み
合わせて使用することできる。
つのイソシアネートの反応性が異なる2,4−トリレン
ジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネ
ート(IPDI)、メチルシクロヘキサン−2,4−ジ
イソシアネート等が特に好ましい。これはジイソシアネ
ートをジオール及び/又はジアミンと反応させたとき、
ジオール及び/又はジアミンの両末端にイソシアネート
の反応性がより高い方が先に反応して、確実に両末端ジ
イソシアネートプレポリマーが生成すると考えられるか
らである。しかし、これら以外のジイソシアネートを使
用した場合でも、反応条件の制御によって、又は1方の
イソシアネートが反応した場合、他方のイソシアネート
の反応性は大きく異なってくるから、本発明において
は、ジイソシアネートは、上記の反応性の異なるジイソ
シアネートに限定されるものではない。例えば、MD
I、HMDI及び水添MDIが好ましい。
又はジアミンとしては、炭素数が1〜30のジオール、
アルキレン鎖の炭素数が2〜6のポリアルキレングリコ
ール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオー
ル及び炭素数が1〜30のジアミンから選択される少な
くとも1種が好ましい。上記のジオールとしては、例え
ば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプ
ロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,
3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,
3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5
−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−
メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタン
ジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリ
コール等の脂肪族グリコール類;ビスヒドロキシメチル
シクロヘキサン、シクロヘキサン−1,4−ジオール等
の脂環式系グリコール類;キシリレングリコール等の芳
香族グリコール類等が挙げられる。これらは1種又は2
種以上を組み合わせて使用することできる。これらの中
では脂肪族ジオールが好ましい。
は、例えば、ポリテトラメチレングリコールエーテル、
ポリエチレングリコールエーテル、ポリプロピレングリ
コールエーテル等のアルキレングリコール類の単独重合
体又は炭素数の異なるアルキレングリコール類を共重合
させたポリエーテルポリオール;エチレンジアミン、プ
ロピレンジアミン、トルエンジアミン、メタフェニレン
ジアミン、ジフェニルメタンジアミン、キシリレンジア
ミン等のような活性水素含有基を2個以上有する化合物
を開始剤として、エチレンオキサイド(以下EOと称す
る)、プロピレンオキサイド(以下POと称する)、ブ
チレンオキサイド、アミレンオキサイド等のアルキレン
オキサイド、メチルグリシジルエーテル等のアルキルグ
リシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等のア
リールグリシジルエーテル、テトラヒドロフラン等の環
状エーテル等のモノマーを単独で、又は2種以上を公知
の方法により付加重合させることで得られるもの等が挙
げられる。数平均分子量は、通常、100〜10,00
0程度である。これらは1種又は2種以上を組み合わせ
て使用することできる。
酸(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバ
シン酸、フマル酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフ
タル酸、ナフタレンジカルボン酸、酒石酸、シュウ酸、
マロン酸、ピメリン酸、スベリン酸、クルタコン酸、ア
ゼライン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、α
−ハイドロムコン酸、β−ハイドロムコン酸、α−ブチ
ル−α−エチルグルタル酸、α,β−ジエチルサクシン
酸等)、又はそれらの無水物とグリコール類(例えば、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピ
レングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−
プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−
ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペ
ンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチ
ル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオ
ール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコー
ル等の脂肪族系グリコール類;
クロヘキサン−1,4−ジオール等の脂環式系グリコー
ル類;キシリレングリコール等の芳香族系グリコール
類;炭素数が1〜18のアルキルジエタノールアミン等
のアルキルジアルカノールアミン類等)とを縮重合させ
て得られたもので、例えば、ポリエチレンアジペート、
ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペー
ト等の縮合系ポリエステルポリオール類;前記ジオール
類等を開始剤としてラクトンを開環重合させて得られる
ポリラクトンジオール、ポリカプロラクトンジオール、
ポリメチルバレロラクトンジオール等のラクトン系ポリ
エステルジオール類;エーテル基含有ジオールもしくは
他のグリコールとの混合物を前記二塩基酸又はそれらの
無水物と反応させるか、又はポリエステルグリコールに
アルキレンオキシドを反応させることによって得られる
もので、例えば、ポリ(テトラメチレンエーテル)アジ
ペート等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組
み合わせて使用することができる。ポリエステルポリオ
ールにカルボン酸基が多く残っていると、カルボジイミ
ド基が生成したとき、該基とカルボン酸とが反応し、増
粘、ゲル化等を起こすので、酸価は5以下が好ましく、
更に好ましくは3以下である。又、数平均分子量は、通
常、100〜10,000程度である。
えば、エチレンジアミン、ジアミノプロパン、ジアミノ
ブタン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメ
チレンジアミン、ジアミノプロピルアミン、ジエチレン
トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレン
ペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等の脂肪族系ジ
アミン類;N−アミノエチルピペラジン、ビス−アミノ
プロピルピペラジン等の複素環式系ジアミン類;ポリオ
キシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミ
ン、ポリオキシエチレンプロピレンジアミン、ポリオキ
シエチレントリアミン、ポリオキシプロピレントリアミ
ン等のポリオキシアルキレンジアミン類;イソホロンジ
アミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、
4,4−ジアミノシクロヘキシルメタン等の脂環式ジア
ミン類、ジアミノベンゼン、m−キシレンジアミン等の
芳香族系ジアミン類等が挙げられる。これらの中では脂
肪族系及び脂環式ジアミンが好ましい。
アミンとジイソシアネートと反応させて合成した両末端
イソシアネートプレポリマーをカルボジイミド化し、完
全にイソシアネートがカルボジイミド化する前に、ジオ
ール及び/又はジアミンを用いて鎖延長させることもで
きる。この場合のポリカルボジイミド化合物の主鎖は、
前記の一般式(2)で示されるポリカルボジイミド化合
物で末端基A及びBのない構造を有している。カルボジ
イミド化までの反応条件及び鎖伸長後のモノイソシアネ
ート又は、モノアルコール及び/又はモノアミンとの反
応の条件は一般式(1)で表わされるポリカルボジイミ
ド化合物の場合と同じである。カルボジイミド化終了
後、前記のジオール及び/又はジアミンを鎖伸長剤とし
て、前記一般式のpが1〜10、好ましくは1〜5、更
に好ましくは1〜3となるような量用いて鎖伸長させ
る。その後、モノイソシアネート又は、モノアルコール
及び/又はモノアミンと反応させると、前記と同様の末
端基A及びBを有する前記の一般式(2)で表わされる
ポリカルボジイミド化合物が得られる。
リカルボジイミド化合物の製造に際しては、分子量制御
のため、或いは反応終了後残っているイソシアネート基
をモノアルコールやモノアミンのような単官能性の化合
物ばかりでなく、イソシアネートに対して異なる反応性
を有する2種の官能基を有するような化合物と反応させ
ることもできる。例えば、メチルアルコール、エチルア
ルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアル
コール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコー
ル、tert−ブチルアルコール等の脂肪族系アルコー
ル類;炭素数3〜4のポリアルキレングリコール類の炭
素数1〜18の脂肪族系、脂環式系及び芳香族系炭化水
素基のモノエーテルモノアルコール類;炭素数3〜4の
ポリアルキレングリコール類のの炭素数1〜18の脂肪
族、脂環式及び芳香族モノカルボン酸のモノエステルモ
ノアルコール類;モノエチルアミン、n−プロピルアミ
ン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n
−ブチルアミン等の炭素数1〜18の脂肪族、脂環式及
び芳香族モノアミン類などのモノアミン;モノエタノー
ルアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン
等が挙げられる。
ド化合物の分子量を制御するために、ジイソシアネート
とジオール及び/又はジアミンを反応させて両末端イソ
シアネートプレポリマーを調製する際、前記したような
モノアルコール類とジイソシアネートの片方のイソシア
ネートとを反応させてモノイソシアネートを形成させて
使用することもできる。又、既成のモノイソシアネート
を上記反応系に加えることもできる。既成のモノイソシ
アネートとしては、例えば、フェニルイソシアネート、
トリルイソシアネート、エチルフェニルイソシアネー
ト、ジプロピルフェニル等のアルキル置換型芳香族系イ
ソシアネート類;メチルイソシアネート、エチルイソシ
アネート、イソプロピルイソシアネート、オクタデシル
イソシアネート等の脂肪族系モノイソシアネート類;ベ
ンジルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート
などの芳香族系及び脂環式モノイソシアネート類等が挙
げられ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用
することできる。
末端イソシアネートプレポリマーを、従来公知の方法に
従い、例えば、3−メチル−1−フェニル−3−ホスホ
レン−1−オキシド等の従来公知のカルボジイミド化触
媒の存在下に、2個のイソシアネート基を反応させてカ
ルボジイミド化することによって得ることができる。本
発明におけるカルボジイミド化合物の数平均分子量(G
PCで測定、標準ポリスチレン換算の)は300〜10
0, 000で、好ましくは500〜20, 000、さら
に好ましくは1, 000〜10, 000である。本発明
のポリカルボジイミド化合物を樹脂等の硬化剤として使
用する場合には、分子量があまりに大きいと、樹脂等へ
の分子拡散が遅く、局部的に架橋が生成し、諸特性に影
響がでる。又、ポリカルボジイミド化合物を熱硬化性樹
脂として使用する場合には、分子量が大きい方が物性は
良好である。
端イソシアネートプレポリマー合成の際は、通常、20
〜150℃、反応制御の観点から反応温度は20〜60
℃が好ましい。またカルボジイミド化温度は、通常60
〜240℃であり、好ましくは100〜180℃であ
る。
プレポリマーの合成及びカルボジイミド化反応は、無溶
剤下又は溶剤中で行われる。溶剤としては、活性水素の
ない非プロトン性溶剤が使用されるが、カルボジイミド
化温度以上の沸点を持つ溶剤が好ましい。具体的には、
トルエン、キシレン、スワゾール(コスモ石油株式会社
製の芳香族系炭化水素溶剤)、ソルベッソ(エクソン化
学株式会社製の芳香族系炭化水素溶剤)などの芳香族系
炭化水素溶剤;メチルイソブチルケトン、シクロヘキサ
ノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソ
ブチル等のエステル類;エチレングリコールエチルエー
テルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル
アセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテー
ト、エチル−3−エトキシプロピオネート等のグリコー
ルエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセト
アミド等のアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド、N−
メチルピロリドン等が挙げられる。これらは1種又は2
種以上を組み合わせて使用することができる。
体的に説明するが、本発明はこれらの例にに限定される
ものではない。尚、以下の文中における部及び%は重量
基準である。
1) 3リットルのセパラブルフラスコに冷却管、温度計、攪
拌装置をセットし、2,4−トルエンジイソシアネート
1044部、プロピレングリコールモノメチルエーテル
ジアセテート(PGMAc)1044部を仕込み、更
に、ブタノール148部、ブタンジオール180部、P
GMAc196部の混合物を1時間かけて室温で滴下し
た。反応は発熱反応であるので40℃に保たれるように
温度調節した。その後1時間その温度で反応させ、次い
で60℃で1時間反応させ、イソシアネート両末端プレ
ポリマー及び分子量調整用モノイソシアネート化合物を
調製した。反応溶液の一部をサンプリングして低分子量
測定GPCを使用し、ジイソシアネートが存在しないこ
とを確認した。以下の実施例についても同様の操作で確
認した。
触媒である3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン
オキシド1.04部(仕込みジイソシアネートの0.1
%)を添加し、130℃に加熱した。反応はIRにおい
てイソシアネートがカルボジイミドに転化することを確
認しながら行った。3時間の反応でイソシアネートの吸
収は全てカルボジイミドの吸収に転化した。この反応生
成物をポリカルボジイミド化合物−1とする。反応溶液
の固形分は50.1%であった。この化合物は計算値の
分子量が1240で、1分子中に3個のカルボジイミド
基を含有する。カルボジイミド当量としては413.3
である。又、GPCで測定した数平均分子量は1830
であった。
−2〜5) 表1に記載の種類及び量のジイソシアネート、ジオール
及びモノアルコールを使用する以外は実施例1と同様に
してポリカルボジイミド化合物−2〜5を得た。これら
の計算分子量、GPCで測定した数平均分子量、1分子
当りのカルボジイミド基の数、及びカルボジイミド当量
を表1に併記する。
6) 実施例1と同じ反応装置に、2,4−トルエンジイソシ
アネート(TDI)104.4部、PGMAc104.
4部を仕込んだ。次いで、ポリテトラメチレングリコー
ル(分子量1000)300部をPGMAc304.5
部に溶解させた溶液を1時間かけて室温で滴下した。次
いで、温度60℃に保って2時間反応させ、両末端イソ
シアネートプレポリマーを調製し、GPCによりTDI
が存在しないことを確認した。その後、上記反応溶液に
m−メチルフェニルイソシアネートを26.6部添加
し、実施例1と同じカルボジミド化触媒を仕込みTDI
の0.1%を添加して、130℃に昇温させ、4.5時
間反応させ、IRにおいてイソシアネート基がカルボジ
イミドに転化したことを確認した。この反応生成物をカ
ルボジイミド化合物−6とする。反応溶液の固形分は4
9.8%であった。カルボジイミド化合物−6は、計算
分子量が4090で、1分子中のカルボジイミド基の数
は4個であった。カルボジイミド当量としては102
2.5である。又、GPCで測定した数平均分子量は6
130であった。
7) 実施例1と同じ装置に、2,4−トルエンジイソシアネ
ート(TDI)104.4部、PGMAc104.4部
仕込んだ。次いで、ポリブチレンアジペート(分子量1
000)300部をPGMAc300部に溶解させた溶
液を1時間かけて、室温で滴下した。その後温度を60
℃に保って2時間反応させ、両末端イソシアネートプレ
ポリマーを調製し、GPCによりTDIが存在しないこ
とを確認した。次に、上記の反応溶液に実施例1と同じ
カルボジイミド化触媒を仕込みTDIの0.1%を添加
し、130℃に昇温させて4時間反応させた。反応溶液
を室温まで冷却し、少量サンプリングし固形分を測定し
たところ49.3%であり、又、NCO%を測定したと
ころで1.05%あった。反応溶液に更にジブチルアミ
ン14.6部、PGMAc14.6部を1時間かけて滴
下し、残存イソシアネート基と反応させ、反応を終了さ
せた。得られた反応生成物をカルボジイミド化合物−7
とする。固形分は49.5%であった。カルボジイミド
化合物−7は、計算分子量が4102で、1分子中のカ
ルボジイミド基の数は2個であった。カルボジイミド当
量としては2051である。又、GPCで測定した数平
均分子量は6510であった。
8) 実施例1〜7のポリカルボジイミド化合物は前記の一般
式(1)で表わされる化合物の例であるが、本実施例で
は前記の一般式(2)で表わされる該化合物の製造例を
示す。実施例1と同じ装置に、イソホロンジイソシアネ
ート(IPDI)133.2部、プロピレングリコール
モノエチルエーテル(PGEAc)424.4部、ポリ
テトラメチレングリコール(分子量1000)300部
を仕込み、80℃に昇温した。この温度で5時間反応さ
せ、両末端イソシアネートプレポリマーを調製した。次
いで、実施例1と同じカルボジイミド化触媒を仕込みI
PDIの0.1%を添加し、160℃に昇温させ、12
時間反応させた。この反応溶液の一部をサンプリング
し、固形分を測定したところ49.9%であり、NCO
の含有量は0.99%であった。この反応溶液に更に、
イソホロンジアミン8.5部、ブチルアミン14.6
部、PGEAc23.1部添加して鎖延長させた。この
反応生成物をカルボジイミド化合物−8とする。反応溶
液中の固形分は49.8%であった。カルボジイミド化
合物は、計算分子量が8804で、1分子中のカルボジ
イミド基の数は4個であった。カルボジイミド当量とし
ては2201である。又、GPCで測定した数平均分子
量は約10,000であった。
リカルボジイミドを合成した。実施例1と同じ装置に、
2,4−トルエンジイソシアネート(TDI)696
部、PGMAc712部を仕込み、ブタノール148部
を1時間かけて滴下した。その後、その温度で1時間反
応させた後、実施例1のカルボジイミド化触媒を仕込み
TDIの0.1%を添加し、130℃に加熱した。IR
でイソシアネート基の吸収が全てカルボジイミド基の吸
収に転化することを確認した。この反応生成物をポリカ
ルボジイミド化合物−比1とする。ポリカルボジイミド
化合物−比1は、計算分子量が712で、1分子中に3
個のカルボジイミド基を含有し、カルボジイミド当量は
計算値で237.3である。又、GPCで測定した数平
均分子量は1300であった。
成及び得られたポリカルボジイミド化合物−1〜8及び
ポリカルボジイミド−1の計算分子量、GPCで測定し
た数平均分子量、1分子中のカルボジイミド基の個数及
びカルボジイミド当量を表1及び表2に示す。
合物を捺染用バインダーの架橋剤として使用した結果を
以下に示す。 〔捺染バインダーの調製〕カルボキシル基含有エチルア
クリレート−スチレン−アクリル酸(60:36:4重
量比)共重合体ラテックス(固形分40%)20部、ポ
リカルボジイミド化合物(架橋剤として)溶液(固形分
50%)を5部、水10部及びポリオキシエチレンアル
キルフェニルエーテル水溶液(固形分20%)5部を混
合、溶解し、ホモミキサーで攪拌しながらミネラルター
ペン55部を徐々に添加してO/Wエマルジョンを形成
し、そこに銅フタロシアニンブルー顔料の水性分散液
(顔料分20%)5部を配合して十分混合して青色顔料
樹脂捺染剤を調製した。スクリーン捺染機でポリエステ
ル布に上記の各青色顔料樹脂捺染剤をプリントし、常温
にて乾燥し、捺染されたポリエステル布の乾、湿摩擦堅
牢性、洗濯堅牢性及び耐ドライクリーニング性の試験を
行った。試験方法は下記の通りである。
ランダオメーターを用い、炭酸水素ナトリウム0.2
%、石鹸0.5%からなる水溶液に鋼球10個と試験布
片を入れ、70℃で45分間回転させた後の色の落ち具
合を目視で評価した。 (2)家庭用洗濯試験 JISL−0217に従って試験を行った。家庭用洗濯
機を使用し、浴比=試験布片/水=1/30、石鹸2g
/リットルで5分洗濯後、脱水、2分すすぎ、脱水、2
分すすぎ、脱水の1サイクルを繰り返し、色の落ち具合
を目視で評価した。
牢度試験機を用い、荷重200g、振幅巾10cm、摩
擦速度30回/分の条件で100回振動させ、試験布片
の色の落ち具合、摩擦白布への汚染具合を目視で評価し
た。 (4)耐ドライクリーニング堅牢度試験 JIS L−0860に従って試験を行なった。ランダ
オメーターを用い、パークレン100ml、非イオン及
びアニオン界面活性剤各1ml、水0.1mlからなる
試験液に鉄球20個と試験布片を入れ、40℃で30分
回転させた後の色の落ち具合と白部の汚染具合を目視で
評価した。上記の各試験における評価結果は、5:ほと
んど色落ちなし、4:若干色落ちしている、3:色落ち
中程度、2:色落ちが大きい、1:色落ちが激しい、の
5段階で表示した。以上の評価結果を表3に示した。本
発明のポリカルボジイミド化合物は、捺染用バインダー
の架橋剤として有用であり、諸堅牢性に優れ、柔軟で且
つ発色の鮮明な青色のプリント布が得られた。又、ウレ
タン結合を分子中に多く導入した本発明のポリカルボジ
イミド化合物の使用によりにプリント布の耐摩擦性も向
上した。
を有する樹脂等の架橋剤として使用した場合に、架橋効
率が高く、強度、接着性及び密着性に優れた架橋樹脂等
の製造が可能なポリカルボジミド化合物が提供される。
又、それ自体を熱硬化性樹脂として使用した場合には、
可撓性のある優れた強度特性を有する熱硬化性樹脂が得
られる。本発明のポリカルボジミド化合物は、塗料、印
刷インキ、プラスチックコーティング剤、接着剤や捺染
剤等の架橋剤として有用である。
Claims (9)
- 【請求項1】 ジイソシアネートとジオール及び/又は
ジアミンとを反応させて得られる両末端イソシアネート
プレポリマーをカルボジイミド化してなる下記の一般式
(1)で表され、数平均分子量が300〜100,00
0であることを特徴とするポリカルボジイミド化合物。 (式中の、mは1〜20の整数、nは2〜30の整数、
Rはジイソシアネートの残基、Xはウレタン結合及び/
または尿素結合、Yはジオール及び/又はジアミンの残
基、A、Bは末端基である。) - 【請求項2】 ジイソシアネートとジオール及び/又は
ジアミンとを反応させて得られる両末端イソシアネート
プレポリマーをカルボジイミド化し、これを鎖伸長剤で
鎖伸長させてなる下記の一般式(2)で表され、数平均
分子量が300〜100,000であることを特徴とす
るポリカルボジイミド化合物。 (式中の、mは1〜20の整数、nは2〜30の整数、
pは1〜10の整数、Rはジイソシアネートの残基、X
はウレタン結合及び/または尿素結合、Yはジオール及
び/又はジアミンの残基、Zは鎖伸長剤の残基、A、B
は末端基である。) - 【請求項3】 ジイソシアネートとジオール及び/又は
ジアミンとを反応させて両末端イソシアネートプレポリ
マーを形成させた後、カルボジイミド化することを特徴
とするポリカルボジイミド化合物の製造方法。 - 【請求項4】 モノイソシアネートの存在下に前記プレ
ポリマーをカルボジイミド化する請求項3に記載のポリ
カルボジイミド化合物の製造方法。 - 【請求項5】 カルボジイミド化後、モノアルコール及
び/又はモノアミンを加えて反応を停止させる請求項3
に記載のポリカルボジイミド化合物の製造方法。 - 【請求項6】 カルボジイミド化後、ジオール及び/又
はジアミンと反応させて鎖伸長させ、モノイソシアネー
ト又は、モノアルコール及び/又はモノアミンを加えて
反応を停止させる請求項3に記載のポリカルボジイミド
化合物の製造方法。 - 【請求項7】 ジイソシアネートが、それが持つ2つの
イソシアネートの反応性が異なるものである請求項3〜
6のいずれか1項に記載のポリカルボジイミド化合物の
製造方法。 - 【請求項8】 ジオール及び/又はジアミンが、炭素数
が1〜30のジオール、炭素数が2〜6のアルキレン鎖
を有するポリアルキレングリコール、ポリエステルポリ
オール、ポリエーテルポリオール及び炭素数が1〜30
のジアミンから選択される少なくとも1種である請求項
3〜7のいずれか1項に記載のポリカルボジイミド化合
物の製造方法。 - 【請求項9】 請求項3〜8のいずれか1項に記載の方
法で得られるポリカルボジイミド化合物。
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