JP2001524810A - 新規な前立腺関連カリクレイン - Google Patents

新規な前立腺関連カリクレイン

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ヒト前立腺関連カリクレイン(HPAK)及びHPAKを同定しコードするポリヌクレオチドを提供する。また本発明は、HPAKをコードする核酸配列を含む遺伝子組換え発現ベクター及び宿主細胞と、HPAKの製造方法とを提供する。また本発明は、HPAKに特異的に結合する抗体又はアンタゴニストを提供し、またHPAKの発現が関係する疾病の予防及び治療におけるそれらの使用方法を提供する。更に本発明は、HPAKの発現が関係する疾病の治療のための、HPAKをコードするポリヌクレオチドに対するアンチセンス分子の使用方法を提供する。また本発明は、該ポリヌクレオチド又はその断片又は相補配列、及びHPAKに特異的に結合する抗体を利用する診断検査方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 新規な前立腺関連カリクレイン技術分野 本発明は、新規な前立腺関連カリクレインの核酸及びアミノ酸配列、及び前立 腺癌や前立腺の疾患の診断、予防、及び治療におけるこれらの配列の使用に関す るものである。背景技術 前立腺特異抗原(PSA)は前立腺の上皮細胞において合成される33kDの 糖タンパク質である。このタンパク質はカリクレインファミリーの分泌セリンプ ロテアーゼである。PSAは、精嚢タンパク質、セメノゲリン、副甲状腺ホルモ ン関連タンパク質、及びインスリン様成長因子結合タンパク質−3を消化するこ とが分かっている(Henttu P.等(1994)Ann.Med.26:157-164;Cramer S.D.等(1996 )J.Urol.156:526-531)。 3つのヒトカリクレイン、即ち組織カリクレイン(KLK1)、腺性カリクレ イン(KLK2)、及びPSAをコードする遺伝子は、遺伝子地図上の位置19q1 3.2-q13.4に集団となって存在している(Riegmen P.H.(1992)Genomics 14:6-11 )。PSAは、KLK1とよりKLK2とより大きい相同性を共有している。P SAとKLK2は共に精巣上皮細胞で産生され、それらの発現はアンドロゲンに より調節される。PSAにおける3つのアミノ酸残基、即ち残基H(65番)、D (120番)、及びS(213番)は、セリンプロテアーゼ活性に関して重要であるこ とが分かった((Bridon D.P.等(1995)Urology 45:801-806)。キモトリプシノー ゲン様(KLK2の場合)又はトリプシン様(PSAの場合)と報告されている 基質特異性は、PSAのS(207番)及びKLK2のD(209番)により決定され ていると考えられる(Bridon等、前出)。K LK1はキモトリプシノーゲン様で、膵臓、泌尿器系、及び舌下腺において発現 される。KLK1は、他のカリクレインと同様にプレプロタンパク質として生成 され、24個のアミノ酸末端シグナル配列の切断により238個のアミノ酸から なる活性形態にプロセシングされる(Fukushima D.等(1985)Biochemistry 24:80 37-8043)。 前立腺癌は、50歳以上の男性の悪性腫瘍の内かなりの割合を占める。合衆国 において毎年122,000以上の新しい症例が発生する。前立腺特異抗原(P SA)は、癌の進行や治療に対する応答をモニタリングするために役立つ最も感 受性の高いマーカーである。血清PSAのレベルは、前立腺癌の患者の最大92 %において、その腫瘍体積に応じて上昇する。PSAは良性前立腺肥大症の患者 においても穏やかに上昇することから、この2つの疾病を区別するために別の技 術が必要である。 PASに近縁なタンパク質、及びそれをコードするポリヌクレオチドの発見は 、前立腺の癌や前立腺の疾病の診断、予防、及び治療において役立つ新たな物質 を提供することにより、この分野における必要性を満たすものである。発明の開示 本発明は、ヒト膵臓カリクレイン及び他のカリクレインと化学的及び構造的類 似性を有することを特徴とする、新規な前立腺関連カリクレイン(以下HPAK と表記する)を提供する。 従って本発明は、配列番号:1に示すアミノ酸配列を有する実質的に精製され たHPAKを提供する。 本発明の或る態様によれば、HPAKをコードする単離され実質的に精製され たポリヌクレオチドが提供される。特定の態様では、このポリヌクレオチドは配 列番号:2のヌクレオチド配列である。 また本発明は、配列番号:2やその変異体の相補配列を含むポリヌク レオチド配列に関連する。更に本発明は、配列番号:2の配列と厳密な条件の下 でハイブリダイズするポリヌクレオチド配列を提供する。 更に本発明は、ポリペプチドをコードする核酸配列、オリゴヌクレオチド、ペ プチド核酸(PNA)、その断片、一部分又はアンチセンス分子、及びHPAKを コードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターや宿主細胞を提供する。また本 発明は、HPAKに特異的に結合する抗体及び実質的に精製されたHPAKを含 む医薬品組成物を提供する。また本発明は、HPAKのアゴニスト及びアンタゴ ニストの使用方法を提供する。また本発明は宿主細胞を用いたHPAKの製造方 法と、HPAKに対するアンタゴニストを投与することによる前立腺肥大及び癌 の治療方法とを提供する。図面の簡単な説明 第1A図、第1B図、及び第1C図は、HPAKのアミノ酸配列(配列番号: 1)及び核酸配列(配列番号:2)を示す図である。配列のアライメントは、Ma cDNASIS PROTMソフトウェア(Hitachi Software Engineering Co.,Ltd.,San Bru no,CA)を用いて作成した。 第2A図及び第2B図は、HPAK(配列番号:1)、ヒト膵臓カリクレイン (GI 186653;配列番号:3)、及びアフリカラット腎臓カリクレイン(GI 5552 7;配列番号:4)の間のアミノ酸配列アライメントを示す図である。この配列 アライメントは、DNASTARTMソフトウェア(DNASTAR Inc.Madison WI)のマルチ シーケンスアライメントプログラムを用いて作成した。 第3図は、HPAK(配列番号:1)の疎水性プロット(MacDNASIS PROソフ トウエアを用いて作成)を示す図であり、X軸は正の方向にアミノ酸の位置を表 し、Y軸は負の方向に疎水性のレベルを表す。 第4図は、ヒト膵臓カリクレイン(配列番号:3)の疎水性プロット を示す図である。 第5図は、配列番号:2のノーザン解析の結果を示す図である。このノーザン 解析の結果は、LIFESEQTMデータベース(Incyte Pharmaceuticals,Inc.,Palo Al to,CA)を用いて電子的に作成した。発明の実施の形態 本発明のタンパク質、核酸配列、及び方法について説明する前に、本発明は、 ここに開示した特定の方法論、プロトコル、細胞系、ベクター、及び試薬に限定 されず、当然のことながらこれらを変えて実施することができるものと理解され たい。また、ここで用いられる用語法は、特定の実施例のみを説明する目的で用 いられたものであり、請求の範囲のみによって限定される本発明の範囲を限定す ることを意図したものではないということも理解されたい。 本明細書及び請求の範囲において、単数を表す「1つの」及び「その」と形容 されたものは、前後関係でそうでないことが明らかである場合以外は、複数の意 味も含んでいることに注意しなければならない。従って、例えば「宿主細胞」な る表記が表すものには、複数のそのような宿主細胞が含まれ、「抗体」なる表記 は、1またはそれ以上の抗体及び当業者に周知のその等価物等も表している。 本明細書における全ての科学技術専門用語は、別の意味で定義されていない場 合には、本発明の属する技術分野の専門家に一般に理解されるのと同じ意味を有 する。ここに説明したものと類似のまたは等価な方法や材料を本発明の実施や試 験において用いることができるが、好適な方法、装置、及び材料はここに説明さ れている。本明細書に記載された全ての文献は、本発明の関連において用いられ 得る文献で報告された細胞系、ベクター、及び方法論を説明し開示する目的で引 用されたものであり、この引用により本明細書と一体にされる。 定義 本明細書において「核酸配列」は、一本鎖か二本鎖の、センス鎖又はアンチセ ンス鎖である、ゲノム起源又は合成起源のDNA、RNAや、オリゴヌクレオチ ド、ヌクレオチド、又はポリヌクレオチド、及びその断片又は一部分である。同 様に、本明細書において「アミノ酸配列」は、自然発生の分子または合成分子の 、オリゴペプチド、ペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質配列及びその断 片又は一部分である。 ここでは「アミノ酸配列」は、自然発生タンパク質分子のアミノ酸配列を指す ものとして説明されているが、「アミノ酸配列」や類似の用語、例えば「ポリペ プチド」又は「タンパク質」は、アミノ酸配列を、説明されるタンパク質分子に 関連する完全で元のままのアミノ酸配列に限定する意味で用いられてるのではな い。 本明細書において「ペプチド核酸」は、リジンのようなアミノ酸残基及びアミ ノ基が加えられたオリゴマーを含む分子である。これらの小分子は抗遺伝子剤と も称され、それに対して相補的な核酸の鎖に結合することにより転写物の伸長を 停止させる(Nielsen,P.E.等(1993)Anticancer Drug Des 8:53-63)。 本明細書において、HPAKは、任意の種、特にウシ、ヒツジ、ブタ、マウス 、ウマ、及び好ましくはヒトを含む哺乳類から得られる、天然の、合成の、半合 成の、又は組換え体を起源とする実質的に精製されたHPAKのアミノ酸配列で ある。 本明細書において「コンセンサス」は、再度シークエンシングされて不要な塩 基が分離された核酸配列か、XL-PCRTM(Perkin Elmer,Norwalk,CT)を用いて5 ’方向及び/または3’方向に延長されて、再度シークエンシングされた核酸配 列か、GELVIEWTMFragment Assembly system(GCG,Madison WI)を用いて2以上のインサイト社クローンの 重複した配列を元に組み合わせて構成された核酸配列か、若しくは延長と組み合 わせの双方によって形成された核酸配列の何れかである。 本明細書においてHPAKの「変異体」は、1又は2箇所以上のアミノ酸が変 異したアミノ酸配列である。この変異体は「保存的」変化を含むものであり得、 この保存的変化においては、例えばロイシンをイソロイシンで置き換える場合の ように置換されるアミノ酸が類似な構造的及び化学的特性を有する。稀に、変異 体が「非保存的」に変化する場合もあり、この非保存的変化では例えばグリシン がトリプトファンで置換される。類似した小変化には、アミノ酸の欠失か挿入、 若しくはその両方も含まれる。例えばDNASTARソフトウエアのような良く知られ たコンピュータプログラムを用いて、生物学的或いは免疫学的活性を損なわずに 置換、挿入、又は除去できるアミノ酸が何れかということ、及びそのようなアミ ノ酸がいくつかということを決定することができる。 本明細書において「欠失」は、1または2以上のヌクレオチド若しくはアミノ 酸残基が欠ける、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列における変化である。 本明細書において「挿入」或いは「付加」は、自然発生の分子と比較して、そ れぞれ1または2以上のヌクレオチド、アミノ酸残基が加わるような、ヌクレオ チド配列或いはアミノ酸配列の変化を指す。 本明細書において「置換」は、それぞれ1または2以上のヌクレオチド或いは アミノ酸を、異なるヌクレオチド或いはアミノ酸に置換することによって生ずる 変化である。 本明細書において、用語「生物学的に活性」は、自然発生の分子の構造的機能 、調節機能、又は生化学的機能を有するタンパク質である。同 様に「免疫学的に活性」は、天然の、組換え体の、又は合成のHPAK、若しく はその任意のオリゴペプチドが適当な動物や細胞における特定の免疫応答を誘発 し、特定の抗体に結合する能力である。 本明細書において、用語「アゴニスト」は、HPAKに結合したとき、HPA Kの活性を変調するようなHPAKの変化を生じさせる分子である。アゴニスト には、HPAKに結合するタンパク質、核酸、糖質や、任意の他の分子が含まれ 得る。 本明細書において、用語「アンタゴニスト」または「インヒビター」は、HP AKに結合したとき、HPAKの活性を阻害する分子である。アンタゴニスト及 びインヒビターには、HPAKに結合するタンパク質、核酸、糖質や、任意の他 の分子が含まれ得る。 本明細書において、用語「変調」は、HPAKの生物学的活性の変化又は変質 である。変調は、タンパク質活性の上昇や低下、結合特性の変化、又はHPAK の生物学的、機能的、免疫学的特性の他の変化であり得る。 本明細書において、用語「擬似物」は、HPAKまたはその一部分の構造の知 識からその構造を知ることができ、そのようなものとして、カリクレイン様分子 の作用の一部または全てに影響を与え得る分子である。 本明細書において、用語「誘導体」は、HPAKをコードする核酸又はコード されたHPAKを化学的に修飾したものを意味する。このような修飾の例には、 水素からアルキル基、アシル基、又はアミノ基への置換がある。核酸誘導体は、 未修飾HPAKの必須の生物学的特性を保持しているポリペプチドをコードする 。 本明細書において、用語「実質的に精製」は、天然の環境から取り除かれ、天 然にはそれが結合して存在する他の構成要素から単離又は分離されて、その構成 要素が60%以上、好ましくは75%以上、最も好ま しくは90%以上除去された核酸配列又はアミノ酸配列である。 本明細書において「増幅」は、核酸配列の更なる複製物を生成することであり 、通常は当業者に周知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を用いて行われる(D ieffenbach,C.W.及びG.S.Dveksler(1995)PCR Primer.a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Plainview,NY)。 本明細書において、用語「ハイブリダイゼーション(ハイブリッド形成)」は 、核酸の鎖が塩基対合を介して相補鎖と結合する過程である。 本明細書において、用語「ハイブリダイゼーション複合体」は、相補的なG塩 基とC塩基の間及び相補的なA塩基とT塩基の間での水素結合の形成によって、 2つの核酸配列で形成された複合体である。これらの水素結合は、塩基スタッキ ング相互作用(base stacking interaction)により更に安定化され得る。この 2つの相補的核酸配列は水素結合して、逆平行構造をなす。ハイブリダイゼーシ ョン複合体は、溶液中で形成されるか(例えばC0t又はR0t解析)、或いは核 酸は溶液中に存在する一方の核酸と、固定支持体(例えばin situハイブリダイ ゼーションのために細胞が固定されるメンブラン、フィルタ、ピン、またはスラ イドガラス)に固定化された他方の核酸との間で形成され得る。 本明細書において、用語「相補的」または「相補性」は、許容的な塩及び温度 の条件の下での塩基対によるポリヌクレオチド同士の自然の結合である。例えば 、配列「A−G−T」は相補的配列「T−C−A」に結合する。2つの二本鎖分 子間の相補性は、核酸の幾つかのみが結合している「部分的」なものであるか、 若しくは一本鎖分子間に完全な相補性が存在する場合は完全に相補的であり得る 。核酸鎖同士の相補性の程度は、核酸鎖同士のハイブリダイゼーションの効率及 び強度に有意な影響を与える。このことは、核酸鎖同士の結合によって左右され る増幅反 応において特に重要である。 本明細書において、用語「相同性」は、相補性の程度である。部分的な相同性 と、完全な相同性(即ち同一性)の場合があり得る。部分的に相補的な配列は、 同一の配列が標的の核酸とハイブリダイズするのを少なくとも部分的に阻害する ものであり、これを機能的な用語「実質的に相同な」を用いて表す。完全に相補 的な配列と標的配列とのハイブリダイゼーションの阻害は、低い厳密性の条件の 下で、ハイブリダイゼーションアッセイ(サザンブロット法またはノーザンブロ ット法、溶液ハイブリダイゼーション等)を用いて検定することができる。実質 的に相同な配列またはプローブは、低い厳密性の条件の下で標的の配列と、完全 に相同な配列またはプローブとの結合(即ちハイブリッド形成)について競合し 、それを阻害する。これは、低い厳密性の条件が、非特異的な結合を許容するよ うなものであると言っているのではない。低い厳密性の条件では、2つの配列の 相互の結合が特異的(即ち選択的)相互作用であることが必要である。非特異的 結合が存在しないことは、部分的な程度の相補性(即ち約30%未満の同一性) を有していない第2の標的配列を用いることにより試験できる。非特異的結合が 存在しない場合、プローブは第2の非相補的標的配列とハイブリダイズしない。 周知のように、多数の等価な条件を用いて、低い厳密性条件か高い厳密性条件 の何れかを含むようにすることができる。例えば配列の長さ及び性質(DNA、 RNA、塩基構成)、標的の性質(DNA、RNA、塩基構成、溶液中に存在す るか或いは固定化されているか等)、及び塩や他の成分の濃度(例えばホルムア ミド、デキストラン硫酸、及び/またはポリエチレングリコールの有無)のよう な要素を考慮してハイブリダイゼーション溶液を変え、上に列挙した条件とは異 なるが等価である低い厳密性または高い厳密性の何れかの条件を作り出すことが できる。 本明細書において、用語「厳密な条件」は、約(Tm−5)℃(プローブの融 解温度(Tm)より5℃下)からTmの約20〜25℃下まで範囲で生ずる「厳 密性」である。当業者には理解されるように、ハイブリダイゼーションの厳密性 は、同一のポリヌクレオチド配列の同定や検出のためであるか、或いは近縁なポ リヌクレオチド配列の同定や検出のためであるかによって変えることができる。 本明細書において用語「アンチセンス」は、特定のDNAまたはRNA配列に 対して相補的なヌクレオチド配列である。「アンチセンス鎖」は、「センス」鎖 に対して相補的な核酸鎖の意味で用いられる。アンチセンス分子は、相補的鎖の 合成が可能なウイルスプロモータに、目的の遺伝子を逆方向に結合することによ る合成を含む任意の方法で作り出すことができる。この転写された鎖は、一度細 胞内に導入されると、細胞によって作られた天然の配列と結合して二重鎖を形成 する。次にこれらの二重鎖は更なる転写や翻訳を阻害する。このようにして、変 異体の表現型を作り出すことができる。「ネガティブ」なる表現はアンチセンス 鎖の意味で時折用いられ、「ポジティブ」はセンス鎖の意味で用いられることが ある。 本明細書において、(「指定のタンパク質の一部分」と用いられるような)タ ンパク質に関連する用語「一部分」は、そのタンパク質の断片である。この断片 のサイズは4つのアミノ酸残基から、(全アミノ酸配列−1)個のアミノ酸の範 囲に亘る。従って、「配列番号:1のアミノ酸配列の少なくとも一部分を含む」 タンパク質は、完全長ヒトHPAKとその断片を含む。 本明細書の定義では、「形質転換」は、外来DNAが入り込みレシピエント細 胞を変化させるプロセスを意味する。このプロセスは、よく知られた種々の方法 を用いた天然または人工の条件の下で生じ得る。形質 転換は、外来核酸配列を原核細胞または真核細胞の宿主細胞に導入するための任 意の既知の方法に基づいている。この方法は形質転換される宿主細胞によって選 択され、以下のものに限定されないが、ウイルス感染、電気穿孔法、リポフェク ション、及び微粒子銃を用いる方法が含まれ得る。このように「形質転換された 」細胞は、その中で挿入されたDNAが自律的に複製するプラスミドとして、或 いは宿主の染色体の一部として複製が可能な安定的に形質転換された細胞を含む 。またこのような細胞は、限られた時間だけ導入されたDNAの一過性の発現を する細胞も含む。 本明細書において、用語「抗原決定基」は、特定の抗体と接触する分子の一部 分(即ちエピトープ)である。タンパク質またはタンパク質の断片を用いてホス トの動物を免疫すると、このタンパク質の種々の領域が、該タンパク質上の所定 の領域または三次元構造に特異的に結合する抗体の産生を誘発し得る。これらの 領域または構造を抗原決定基と称する。抗原決定基は、抗体への結合について、 そのままの抗原(即ち免疫応答を引き出すために用いられる免疫原)と競合し得 る。 本明細書において、用語「特異的結合」または「特異的に結合する」は、抗体 及びタンパク質またはペプチドの相互作用が、タンパク質上の特定の構造(即ち 抗原決定基またはエピトープ)の存在に左右されることを意味している。つまり 、この抗体はタンパク質全体ではなく、特定のタンパク質構造を認識して結合す る。例えば、抗体がエピトープ「A」に対して特異的である場合、標識した「A 」及びその抗体を含む反応において、エピトープA(つまり結合していない、無 標識のA)を含むタンパク質が存在すると、抗体に結合した標識Aの量が低下す る。 本明細書において、用語「サンプル」は、その最も広い意味で用いられる。H PAKをコードする核酸またはその断片を含む疑いのある生物 学的サンプルは、細胞、細胞から単離された染色体(例えば中期染色体の展開物 )、(溶液中の、または例えばサザンブロット解析用に固体支持体に結合した) ゲノムのDNA、(溶液中の、または例えばノーザンブロット解析用に固体支持 体に結合した)RNA、(溶液中の、または固体支持体に結合した)cDNA、 細胞や組織からの抽出物、その他を含み得る。 本明細書において、「ポリヌクレオチドの発現と相関性を有する」なる表現は 、ノーザン解析ハイブリダイゼーションアッセイにより、配列番号:2に類似な リボ核酸の存在が検出されることが、サンプル内のHPAKをコードするmRN Aの存在を表しており、従って該タンパク質をコードする遺伝子からの転写物の 発現と相関性を有しているということを表している。 本明細書において、配列番号:2のポリヌクレオチドにおける「変異」は、ハ イブリダイゼーションアッセイを用いて検出され得る欠失、挿入、及び点変異を 含む、HPAKをコードするポリヌクレオチドの配列における変化を含む。この 定義に含まれる変異は、(例えば、配列番号:2とハイブリダイズし得る制限断 片長の多形性のパターンの変化による)HPAKをコードするゲノムのDNA配 列に対する変異の検出、(例えばアレル特異的オリゴヌクレオチドプローブを用 いる)ゲノムDNAのサンプルと配列番号:2の選択された断片とがハイブリダ イズ不可能であること、及び(例えば中期染色体展開物との蛍光in situハイブ リダイゼーション(FISH)を用いた)HPAKをコードするポリヌクレオチド配 列に対する正常な遺伝子座以外の遺伝子座とのハイブリッド形成のような、不適 当な或いは予期していないハイブリダイゼーションによって検出される。 本明細書において、用語「抗体」は、そのままの抗体分子及び、例え ば抗原決定基と結合し得るFa、F(ab')2、及びFvのようなその断片である。HP AKポリペプチドに結合する抗体は、そのままのポリペプチド、或いは免疫化す る抗原としての目的の小型のペプチドを含む断片を用いて調製することができる 。動物を免疫するのに用いられるポリペプチドまたはペプチドは、翻訳されたc DNAまたは化学的合成物を起源とするものであり得、必要ならば担体タンパク 質と結合することができる。ペプチドに化学的に結合する通常用いられる担体に は、ウシ血清アルブミン及びサイログロブリンが含まれる。次にこの結合したペ プチドを用いて動物(例えばマウス、ラット、またはウサギ)を免疫する。 本明細書において、用語「ヒト化抗体」は、元の結合能力をそのまま保持しつ つ、ヒトの抗体により近づけるために非抗体結合領域においてアミノ酸を置換し た抗体分子である。 発明 本発明は、新規なヒトカリクレイン(HPAK)の発見、HPAKをコードす るポリヌクレオチド、及び癌及び前立腺の疾患の診断、予防、又は治療のための これらの物質の使用に基づくものである。 本発明のヒトHPAKをコードする核酸は、乳房組織cDNAライブラリー( BRSTNOT20)からのインサイト社クローンNo.964204において、アミノ酸配列 アライメントのコンピュータ検索により初めに同定された。コンセンサス配列の 配列番号:2は、以下の重複及び/又は延長された核酸配列、即ちインサイト社 クローンNo.964204(BRSTNOT20を起源)、875949(LUNGAST01を起源)、1325 870(LPARNOT02を起源)、1685649(PROSTNOT05を起源)、及び1725220(PROSNO T14を起源)に由来するものである。 或る実施例では、本発明は、第1A図及び第1B図に示す配列番号: 1のアミノ酸配列を含むポリペプチドを包含する。HPAKは253個のアミノ酸 からなる長さを有し、アスパラギン残基102番、163番、184番、及び213番にNグ リコシル化可能部位を有する。HPAKはヒト膵臓カリクレイン(GI 186653; 配列番号:3)と化学的及び構造的相同性を有する。詳述すると、HPAKとヒ ト膵臓カリタレインは54%の同一性を共有している。HPAKのアミノ末端の24 個のアミノ酸は疎水性であり、カリクレイン分泌に重要なシグナル配列に極めて 類似している(第2A図、第2B図、第3図、及び第4図)。HPAK配列は、 セリンプロテアーゼ活性に重要な保存的残基H(65番)、D(113番)、及びS (206番)を含む(第2A図及び第2B図参照)。アミノ酸残基D(200番)は、 HPAKキモトリプシノーゲン様活性を与えていると思われる。HPAKアミノ 酸配列は、10個の保存的システイン残基(残基31番、50番、66番、145番、166番 、177番、191番、202番、212番、及び227番;第2A図及び第2B図)を有して いる。上述の全てのカリクレインにおいて、3つのシステインが構造的に重要で あり、5箇所のジスルフィド結合を形成する。第3図及び第4図に示すように、 HPAK及びヒト膵臓カリクレインは、かなり類似した疎水性プロットを示す。 ノーザン解析の結果、種々のライブラリーにおけるこの配列の発現パターンが分 かる(第5図参照)。HPAKが発現される15種の組織のなかの6種が前立腺 由来であり、7種が癌患者のものである。 本発明はHPAK変異体をその範囲に含む。好適なHPAK変異体は、HPA Kアミノ酸配列(配列番号:1)と80%以上、より好適には90%以上のアミ ノ酸配列類似性を有するものである。最も好適なHPAK変異体は、配列番号: 1と95%以上のアミノ酸配列類似性を有するものである。 また本発明は、HPAKをコードするポリヌクレオチドをその範囲に 含む。従ってHPAKのアミノ酸配列をコードする任意の核酸配列を用いて、H PAKを発現する組換え分子をつくり出すことができる。特定の実施例では、本 発明は、第1A図、第1B図、及び第1C図に示す配列番号:2の核酸配列を含 むポリヌクレオチドをその範囲に含む。 当業者には理解されるように、遺伝暗号の縮重の結果、任意の既知の自然発生 遺伝子のヌクレオチド配列と最小限の相同性しか有していないものも含めて、多 種のHPAKコーディングヌタレオチド配列が作り出され得る。本発明は、可能 なコドン選択に基づく組み合わせを選択することにより作り出され得る、全ての 可能な核酸配列の変異をその範囲に含んでいる。それらの組み合わせは、自然発 生のHPAKのヌクレオチド配列に適用されるような標準的なトリプレット遺伝 暗号に基づいて作り出されるものであり、このような全ての変異は、ここに具体 的に示されたものと考えられたい。 HPAK及びその変異体をコードするヌタレオチド配列は、適切に選択された 厳密性の条件の下で自然発生配列のヌクレオチド配列とハイブリッド形成可能な ものであるのが好ましいが、実質的に異なるコドンの使用頻度を有するHPAK 又はその変異体をコードするヌクレオチド配列を作り出すことは有益であり得る 。コドン選択は、特定のコドンが宿主によって使用される頻度に従って、特定の 原核細胞又は真核細胞の発現宿主におけるペプチド発現の発生率を高めるように 選択することができる。HPAK及びその誘導体をコードするヌタレオチド配列 を、コードされるアミノ酸配列を変えないように実質的に変更する理由は、例え ば自然発生配列から作り出される転写物より長い半減期のような、より望ましい 特性を有するRNA転写物を作り出すためである。 本発明の範囲には、HPAK又はその誘導体をコードするDNA配列又はその 一部の、完全な合成ケミストリによる作製も含まれる。作製し たこの合成遺伝子を、この出願時点において周知の試薬を用いて任意の入手可能 なDNAベクター及び細胞系に挿入することができる。更に、合成ケミストリを 用いてHPAKをコードする配列又はその任意の一部分に突然変異を誘発させる ことができる。 また本発明の範囲に含まれるものとして、種々の厳密性の条件の下で請求項に 記載のヌクレオチド配列、特に配列番号:2のヌクレオチド配列とハイブリダイ ズし得るポリヌクレオチド配列がある。ハイブリダイゼーション条件は、Wahl,G .M.及びS.L.Berger(1987;Methods Enzymol.152:399-407)及びKimmel,A.R.(1987 ;Methods in Enzymol.152:507-511)に記載されているように、核酸結合複合体ま たはプローブの融解温度(Tm)に基づいており、規定の厳密性において用いら れ得る。 本発明の範囲に含まれるHPAKをコードする変異核酸配列は、異なるヌクレ オチド残基の欠失、挿入並びに置換を含み、結果的に同一の、または機能的に等 価のHPAKポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとなるものである。コ ードされたタンパク質も、サイレント変化を生ずるアミノ酸残基の欠失、挿入並 びに置換を含み、結果的に機能的に等価なHPAKとなる。意図的な(delibera te)アミノ酸置換は、HPAKの生物学的活性が保持される限りにおいて、残基 の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性並びにまた両親媒性についての類似性に 基づいてなされ得る。例えば負に荷電したアミノ酸にはアスパラギン酸及びグル タミン酸が含まれ、正に荷電したアミノ酸にはリジン及びアルギニンが含まれ、 近い親水性値を持つ荷電していない極性頭基を有するアミノ酸には、ロイシン、 イソロイシン、バリン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリ ン、スレオニン、フェニルアラニン並びにチロシンが含まれる。 更に本発明の範囲に含まれるものとして、HPAKのアレルがある。ここで用 いる「アレル」或いは「アレル配列」とは、HPAKの対立形である。アレルは 変異、すなわち核酸配列の変化によって生じ、一般に変異したmRNA或いはポ リペプチドを生成するが、そのmRNA或いはポリペプチドの構造或いは機能は 、変わる場合もあれば変わらない場合もある。遺伝子によっては、アレル形が存 在しないもの、1つ存在するもの、或いは多数存在するものがある。一般にアレ ルを生じる変異はアミノ酸の自然な欠失、付加並びに置換に起因する。このタイ プの変化はそれぞれ単独で、或いは他の変化と同時に、与えられた配列内で1又 は2回以上生じ得る。 当業者が一般に利用可能な周知のDNA配列決定のための方法が、本発明の実 施において用いられ得る。この方法では酵素、例えばDNAポCleveland OH)、Taqポリメラーゼ(Perkin Elmer)、熱安定性T7ポリメラーゼ (Amersham,Chicago IL)、或いはGibcoBRL(Gaithersburg MD)Methods社から市 販されているELONGASE増幅システムのような校正エキソヌクレアーゼと組換え体 ポリメラーゼとの組み合わせのような酵素を使用する。この処理は、Hamilton M icro Lab2200(Hamilton,Reno,NV)、Peltier Thermal Cycler(PTC200;MJ Res erch,Watertown MA)並びにABI377DNAシーケンサ(Perkin Elmer)のような装置 を用いて自動化するのが好ましい。 HPAKをコードするポリヌクレオチド配列は、部分的なヌクレオチド配列と 、プロモーター及び調節エレメントのような上流配列を検出するための当業者に は周知の様々な方法とを用いて伸長させることができる。例えば、「制限部位」 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を用いることができる或る方法では、汎用プ ライマーを用いて既知の座位に隣接 する未知の配列を得る(Sarkar,G.(1993)PCR Methods Applic 2:318-322)。詳 述すると、まずゲノムDNAを、既知の領域に対して特異的なプライマー及びリ ンカー配列に対するプライマーの存在下で増幅する。増幅された配列を、その同 じリンカープライマー及び最初のプライマーの内部に含まれる別の特異的プライ マーを用いてPCRの2巡目にかける。PCRの各回の生成物を、適切なRNA ポリメラーゼを用いて転写させ、逆転写酵素を用いて配列決定する。 逆PCR法を用いて、既知領域に基づく多様なプライマーを利用した配列の増 幅、または伸長を行うことができる(Triglia,T.等(1988) Biosciences社,Plymouth MN)や別の適切なプログラムを用いて、長さが22〜 30ヌクレオチドで、50%以上のGC含量を有し、かつ約68〜72℃の温度 で標的配列にアニールするように設計される。この方法ではいくつかの制限酵素 を用いて遺伝子の既知領域の適当な断片を作り出す。次にこの断片を分子内ライ ゲーションにより環状にし、PCR用の鋳型として使用する。 使用できる別の方法はキャプチャPCR法であり、この方法ではヒト及び酵母 菌人工染色体DNA内の既知の配列に隣接するDNA断片をPCR増幅する(Lag erstrom,M.等(1991)PCR Methods Applic 1:111-19)。この方法では、PCR処理 の前に、DNA分子の未知の部分に、複数の制限酵素による消化及びライゲーシ ョンによって組換え二本鎖配列を配置しておいてもよい。 未知の配列を得るために用いることができる別の方法は、Parker,J.D.等の方 法(1991;Nucleic Acids Res 19:3055-3060)である。更に、PCR、ネスト化 プライマー、PromoterFinderTMライブラリーを用いて、ゲノムDNA内歩行を行 うことができる(Clontech,Palo Alto CA)。こ のプロセスは、ライブラリーをスクリーニングする必要がなく、イントロン/エ クソン接合部を探し出すのに有用である。 完全長cDNAをスクリーニングするときに好適なライブラリーは、サイズ選 択された、より大きなcDNAを含むライブラリーである。またランダムプライ ミングした(rondom primed)ライブラリーは、遺伝子の5’及び上流領域を含 む配列をより多く含むという点で好適である。ランダムプライミングしたライブ ラリーは、オリゴd(T)ライブラリーで完全長cDNAが得られない場合に特 に有用である。またゲノムライブラリーは、5’及び3’非翻訳領域への配列の 伸長のために役立ち得る。 配列決定やPCRの産物のヌクレオチド配列をサイズ分析したり確認するため には、市販のキャピラリー電気泳動システムを用いることができる。詳述すると 、キャピラリーシークエンシングでは、電気泳動による分離のための流動性ポリ マー、レーザーで活性化される4つの異なる蛍光色素(各ヌクレオチドに対して 1つ)を使用し、CCDカメラにより放射線の波長の検出を行う。出力/光強度 は適切なソフトウエア(例えばPerkin elmer製のGenotyperTM及びSequence Navi gatorTM)を用いて電気信号に変換され、サンプルの負荷からコンピュータ解析 及び電子データ表示までの全過程がコンピュータ制御される。キャピラリー電気 泳動法は、特定のサンプル内に限られた量だけ存在するDNA小片の配列決定に 特に適している。 本発明の別の実施例では、HPAK、融合タンパク質或いはその機能的等価物 をコードするポリヌクレオチド配列を、適切な宿主細胞内でのHPAKの発現を 誘導する組換えDNA分子において用いることができる。遺伝暗号固有の縮重の ために、同一か機能的に等価なアミノ酸配列を実質的にコードする他のDNA配 列も、HPAKのクローニングや発 現のために用いることができる。 当業者には理解できるように、非自然発生コドンを有するHPAKコードディ ングヌクレオチド配列を作り出すことは有益であり得る。特定の原核細胞或いは 真核細胞の宿主において選好されるコドンを選択して、例えば、HPAK発現率 を増大させたり、或いは自然発生配列から生成された転写物より長い半減期のよ うな望ましい特性を有する組換えRNA転写物を生成することができる。 本発明のヌクレオチド配列は、様々な目的、例えば、以下のものに限定はしな いが遺伝子産物のクローニング、プロセシング及び/又は発現を変えるようにH PAKをコードする配列を改変するために既知の方法を用いて組換えることがで きる。無作為断片によるDNA再編成や遺伝子断片のPCR再会合及び合成オリ ゴヌクレオチドを用いて、ヌクレオチド配列を組換えることができる。例えば、 特定部位突然変異誘発のような当業者には周知の技術を用いて突然変異を誘発さ せることによって、新しい制限部位の挿入、グリコシル化パターンの変更、コド ン選好の変化、スプライスバリアントの生成等をもたらすことができる。 本発明の別の実施例では、未改変HPAKコーディング配列、変異HPAKコ ーディング配列、又は組換えHPAKコーディング配列を異種の配列に結合して 、融合タンパク質をコードする配列にする。例えば、HPAK活性のインヒビタ ーをペプチドライブラリーからスクリーニングする場合、市販の抗体により認識 される異なるペプチドを発現するキメラHPAKタンパク質をコードすることが 役立つ。融合タンパク質はHPAK配列と異種のタンパク質配列との間の位置に 切断部位を有するように設計することもでき、これによってHPAKを切断して 、ヘテロの部分から分けて精製することが可能となる。 本発明の別の実施例では、当業者によく知られた化学的方法 (Caruthers.M.H.等(1980)Nuc Acids Res Symp Ser 7:215-223;Horn,T.等(1980 )Nucl.Acids Res Symp.Ser.225-232参照)を用いて、HPAKコーディング配 列の全体、或いはその一部を合成することができる。別法では、化学的方法を用 いてタンパク質自体を作り出して、HPAKアミノ酸配列の全体或いはその一部 を合成することができる。例えば、種々の固相技術(Roberge,J.Y.等(1995)Scie nce 269:202-204)でペプチド合成を行うことができ、合成の自動化は、例えばA BI431Aペプチドシンセサイザ(Perkin Elmer)を用いることにより達成すること ができる。 この新たに合成されたペプチドは、分離用高速液体クロマトグラフィにより実 質的に精製することができる(例えばCreighton T.(1983)Proteins Structure And Molecular Princioles ,WH Freeman and Co.,NY参照)。合成されたペプチ ドの構成は、アミノ酸解析或いはシークエンシングにより確認することができる (例えばエドマン分解法;Creighton,上述)。さらにHPAKのアミノ酸配列 或いはその任意の部分を、その直接の合成の際の改変することにより、及び/又 は化学的方法を用いた他のタンパク質或いはその任意の部分に由来する配列との 結合することによって変異体ポリペプチドを作ることができる。 生物学的に活性なHPAKを発現させるために、HPAKコーディングヌクレ オチド配列或いはその機能的等価物を、適切な発現ベクター、すなわち挿入され たコーディング配列の転写及び翻訳に必要な要素を含むベクターに挿入する。 HPAKコーディング配列及び適切な転写や翻訳の調節領域を含む発現ベクタ ーを作製するために当業者に周知の方法が用いられる。これらの方法には、in v itro組換えDNA技術、合成技術、並びにin vivo組換え技術、又は遺伝子組換 え技術が含まれる。このような技術は、 Sambrook,J.等(1989)Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Ha rbor Press,Planview NY及びAusubel,F.M.等Current Protocol in Molecular Bi ology ,John Wilky &Sons,New York NYに記載されている。 種々の発現ベクター/宿主系を、HPAKコーディング配列を保持し、かつ発 現するために利用することができる。このようなものには、以下のものに限定は されないが、組換えバクテリオファージ、プラスミド或いはコスミドDNA発現 ベクターで形質転換した細菌のような微生物や、酵母菌発現ベクターで形質転換 した酵母菌や、ウイルス発現ベクター(例えばバキュロウイルス)を感染させた昆 虫細胞系や、ウイルス発現ベクター(例えばカリフラワーモザイクウイルスCaMV 、タバコモザイクウイルスTMV)をトランスフェクトした、或いは細菌の発現ベ クター(例えばTi、或いはpBR322プラスミド)で形質転換した植物細胞系や、或 いは動物細胞系が含まれる。 これらの系の「調節領域」或いは「制御配列」は、転写及び翻訳を実行するた めに宿主細胞のタンパク質と相互作用するベクターの非翻訳領域、即ちエンハン サー、プロモーター及び3’非翻訳領域である。このようなエレメントの、強さ 及び特異性は様々であり得る。利用されるベクター及び宿主に応じて、構成的及 び誘導的プロモーターを含む任意の数の適切な転写及び翻訳エレメントを用いる ことができる。例えば、細 (Stratagene,LaJolla CA)のハイブリッドlacZプロモーター及びptrp-lacハイ ブリッド等のような誘導的プロモーターを用いることができる。バキュロウイル スポリヘドリンプロモーターは昆虫細胞において用いることができる。植物細胞 のゲノムに由来するプロモーター或いはエンハンサ(例えば熱ショック遺伝子,R UBISCO及び貯蔵タンパク質 遺伝子)、若しくは植物ウイルスに由来するプロモーター或いはエンハンサ(例 えばウイルス性プロモータ或いはリーダー配列)を、ベクターにクローン化して もよい。哺乳動物細胞では、哺乳類遺伝子或いは哺乳類ウイルス由来のプロモー ターが最適である。HPAKをコードする配列の多数の複製を含む株細胞を作る 必要がある場合には、SV40或いはEBVに基づくベクターを適切な選択マーカーと 共に用いる。 細菌系では、HPAKの用途に応じて多数の発現ベクターを選択することがで きる。例えば抗体誘発のために大量のHPAKが必要とされる場合は、容易に精 製される融合タンパク質を高レベルで発現できるベクターが望ましい。そのよう なベクターには、以下のものに限定はしない (Stratagene)(このベクターでは、HPAKをコードする配列を、アミノ末端 メチオニン及び後続のβ−ガラクトシダーゼの7残基の配列を備えたフレーム内 においてベクターに結合してハイブリッドタンパク質を生成できる)や、pINベ クター(Van Heeke,G.及びS.M.Schuster(1989)J.Biol.Chem.264:5503-5509) 等が含まれる。またpGEXベクター(Promage、Madison WI)も、グルタチオンS −トランスファーゼ(GST)を有する融合タンパク質として異種ポリペプチドを 発現するため用いることができる。一般に、そのような融合タンパク質は可溶性 であり、グルタチオンアガロースビーズへ吸着させた後、遊離グルタチオンの存 在下で溶出させることにより溶解した細胞から容易に精製できる。その系におい て生成されたタンパク質は、ヘパリン、トロンビン或いはXA因子プロテアーゼ 切断部位を含めて、目的のクローン化ポリペプチドをGST部分から随意に放出さ せることができるように設計される。 酵母菌、サッカロミセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)で は、α因子、アルコールオキシダーゼ及びPGHのような構成的或いは誘導的プロ モーターを含む多数のベクターを用いることができる。その概要を知るには、Au subel等(前出)及びGrant等(1987)Methods Enzymol 153:516-544を参照され たい。 植物発現ベクターを用いる場合には、HPAKをコードする配列の発現は、多 数のプロモーターの何れかで促進される。例えばCaMVの35S及び19Sプロモーター のようなウイルスのプロモーターを、単独で、或いはTMV(Takamatsu,N.等(198 7)EMBO J 6:307-311)由来のオメガリーダー配列と共に用いることができる。 別法として、RUBISCOの小サブユニット、或いは熱ショックプロモーターのよう な植物プロモーターが用いてもよい(Coruzzi,G.等(1984)EMBO J 3:1671-1680 );Broglie,R.等(1984)Science 224:838-843;及びWinter,J.等(1991)Result s Probl.Cell Differ.17:85-105)。これらの構成は、直接のDNA形質転換或 いは病原体によるトランスフェクションにより植物細胞内に導入できる。このよ うな技術の種々の一般に入手可能な文献に記載されている(Hobbs,S.又はMurry,L .E.McGraw Hill Yearbook of Science and Technology(1992)McGraw Hill NY, pp191-196を参照されたい)。 HPAKの発現のために用いることができる別の発現系は昆虫系である。その ような系の一つでは、Spodoptera frugiperda細胞或いはTrichoplusiaの幼虫に おいて外来遺伝子を発現するためのベクターとして、Autographa californica核 多角体病ウイルス(AcNPV)が用いられる。HPAKをコードする配列は、ポリ ヘドリン遺伝子のようなウイルスの非必須領域にクローニングされ、ポリヘドリ ンプロモーターの制御下に置かれ得る。HPAKコーディング配列の挿入が成功 すると、ポリヘドリン遺伝子が不活性になり、コートタンパク質膜が欠如した変 異体ウイルスが生成される。次に、この変異体ウイルスを用いて、 S.frugiperda細胞或いはTrichoplusiaの幼虫へ感染させ、その中でHPAKが発 現される(Engelhard,E.K.等(1994)Proc Nat Acad Sci 91:3224-3227)。 哺乳類宿主細胞では、多数のウイルス性発現系を利用することができる。発現 ベクターとしてアデノウイルスが用いられる場合には、HPAKをコードする配 列は、後期プロモータ及び三連リーダー配列からなるアデノウイルス転写物/翻 訳物複合体内に結合され得る。ウイルスのゲノムの非必須E1又はE3領域へ挿 入することにより、感染した宿主細胞でHPAKを発現できる生ウイルスになる (Logan,J.及びShenk,T.(1984)Proc Nat Acad Sci 81:3655-3659)。さらに、 哺乳類宿主細胞内の発現を増加させるためにラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハ ンサのような転写エンハンサを用いることができる。 また、HPAK配列の効率的な翻訳のためには、特定の開始シグナルも必要で ある。これらのシグナルには、ATG開始コドン及び隣接する配列が含まれる。H PAK及びその開始コドン及び上流配列が適切な発現ベクター内に挿入される場 合には、翻訳制御シグナルを加える必要はない。しかしながらコーディング配列 又はその一部のみが挿入される場合には、ATG開始コドンを含む外来の翻訳制御 シグナルを与えなければならない。さらに、全インサートの転写が確実に行われ るようにするために、開始コドンは正しい読み枠に存在しなければならない。外 来転写エレメント及び開始コドンは、自然及び合成両方の様々な起源に由来する ものであり得る。発現の効率は、その細胞系に適切なエンハンサーを含めること により高めることができる(Scharf,D.等(1994)Results Probl Cell Differ 20: 125-162)。 さらに宿主細胞株は、挿入された配列の発現を調節したり、発現したタンパク 質を望ましい形にプロセシングする能力で選択される。このよ うなポリペプチドの修飾には、以下のものに限定はしないが、アセチル化、カル ボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化(lipidation)並びにアシル化が 含まれる。またタンパク質の「プレプロ」部分を切り離す翻訳後プロセシングも 、正しい挿入、折り畳み、及び/又は機能の発揮のために重要である。CHO、HeL a、MDCK、293、WI38等のような異なる宿主細胞は、そのような翻訳後の活動のた めの特定の細胞装置及び特徴的な機構を有しており、導入される異種タンパク質 の修飾やプロセシングが確実に行われるように選択され得る。 長期間にわたって変異体タンパク質の高収率の産生を確保するためには安定し た発現が望ましい。例えば、ウイルスの複製起源や内在性発現エレメント及び選 択マーカー遺伝子を含む発現ベクターを用いて、HPAKを安定的に発現する株 細胞を形質転換し得る。ベクターの導入の後、細胞を、選択培地に切り替える前 に濃縮培地内で1〜2日間増殖させる。選択マーカーの目的は、選択のための耐 性を与え、その存在によって導入された配列をうまく発現する細胞を増殖、回収 できるようにすることである。安定的に形質転換された細胞の耐性凝集塊は、そ の細胞型に適した組織培養技術を用いて増殖することができる。 形質転換された株細胞を回収するために任意の数の選択系を用いることができ る。選択系には、以下のものに限定はしないが、単純ヘルペスウイルスチミジン キナーゼ(tk)(Wigler,M.等(1977)Cell 11:223-32)及びアデニンホスホリ ボシルトランスフェラーゼ(aprt)(Lowy,I.等(1980)Cell 22:817-23)遺伝子 が含まれ、それぞれtk及びaprt細胞において用いられる。また代謝拮抗物質、抗 生物質或いは除草剤への耐性を選択の基礎として用いることができる。例えばdh frはメトトレキセートに対する耐性を与え(Wigler,M.等(1980)Natl Acad Sci 77 :3567)、nptはアミノ配糖体のネオマイシン及びG-418に対する耐性を与え (Colberre-Garapin,F.等(1981)J Mol Biol 150:1)、als或いはpatはクロル スルフロン(chlorsulfuron)、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラー ゼ(phosphinotricin acetyltransferase)に対する耐性を与える(Murry,前出 )。さらに選択に利用できる遺伝子として、例えば細胞がトリプトファンの代わ りにインドールを利用できるようにするtrpB、細胞がヒスチジンの代わりにヒス チノール(histinol)を利用できるようにするhisDが文献に記載されている(Ha rtman,S.C.及びR.C.Mulligan(1988)Proc Nalt Acad Sci 85:8047-51)。最近 になって、形質転換体を特定するためばかりではなく、特定ベクター系による一 過性の或いは安定的なタンパク質発現の量を定量するために広く用いられる、例 えばアントシアニン、β−グルクロニダーゼ及びその基質、GUS、及びルシフェ ラーゼ及びその基質、ルシフェリンのような可視マーカーがよく利用されるよう になった(Rhodes,C.A.等(1995)Methods Mol.Biol.55:121-131)。 マーカー遺伝子発現の存在/不存在によって目的の遺伝子の存在も示されるが 、その存在及び発現は確認すべきである。例えばHPAKをコードする配列がマ ーカー遺伝子配列内に挿入された場合は、HPAKをコードする配列を含む組換 え体細胞をマーカー遺伝子の機能の存在により確認できる。別法では、マーカー 遺伝子をHPAKをコードする配列と直列に配置して、両者が単一プロモータの 制御下となるようにすることができる。誘導に応じてのマーカー遺伝子の発現、 つまり選択は、通常直列に配置された配列の発現をも同時に示すことになる。 この他当業者には周知の様々な方法により、HPAKのコーディング配列を含 みHPAKを発現する宿主細胞を識別できる。このような方法には、以下のもの に限定はしないが、DNA-DNA或いはDNA-RNAハイブリダイゼーション及び、核酸及 びタンパク質を検出及び/又は定量す るための膜ベース、溶液ベース或いはチップベースの技術を含むタンパク質バイ オアッセイ或いはイムノアッセイが含まれる。 HPAKをコードする配列のプローブ、一部、或いは断片を用いるDNA-DNA又 はDNA-RNAハイブリダイゼーション若しくは増幅により、HPAKポリヌクレオ チド配列の存在を検出することができる。核酸増幅に基づくアッセイでは、HP AKをコードするDNA或いはRNAを含む形質転換体を検出するために、核酸配列に 基づくオリゴヌクレオチド或いはオリゴマーを用いる。本明細書において「オリ ゴヌクレオチド」或いは「オリゴマー」とは、プローブ或いは、PCRで増幅さ れるセグメントであるアンプリマーとして用いることができる核酸配列であって 、長さが約10ヌクレオチド以上、最大60ヌクレオチド程度、好適には15〜 30ヌクレオチド、より好適には20〜25ヌクレオチドであるものを指す。 このタンパク質に特異的なポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体のいず れかを用いてHPAKポリペプチドの発現を検出し、測定するための種々のプロ トコルが当業者には周知である。このようなプロトコルの例には、酵素結合免疫 検定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)及び蛍光表示式細胞分取器法(FACS )を含まれる。HPAKポリペプチド上で2つの非干渉なエピトープに対して反 応するモノクローナル抗体を利用する二部位モノクローナルベースイムノアッセ イ(two-site,monoclonal-based immunoassay)が好適であるが、競合的結合ア ッセイも用いられる。これらアッセイの並びに他のアッセイは、他の文献、Hamp ton,R.等(1990;Serologivcal Methods,aLaboratory Manual,APS Press,St Paul MN)及びMaddox,D.E.等(1983,J.Exp.Med.158:1211-1216)に記載されている。 さらに多くの標識及び結合技術が当業者には周知であり、種々の核酸 及びアミノ酸のアッセイにおいて用いることができる。近縁な配列を検出するた めの、標識されたハイブリダイゼーションプローブやPCRプローブを作成する ための手段には、オリゴ標識、ニックトランスレーション法、末端標識、或いは 標識ヌクレオチドを用いるPCR増幅などが含まれる。別法としては、HPAK コーディング配列、或いはその任意の部分を、mRNAプローブの作成のための ベクターにクローン化する。そのようなベクターは当分野では周知で、市販され ており、例えばT7、T3、或いはSP6のような適切なRNAポリメラーゼ及び標識 されたヌクレオチドを加えることにより、in vitroでRNAプローブを合成する ために用いることができる。これらの方法は、種々の市販のキット(Pharmacia Upjohn(Kalamazoo,MI);Promega(Madison WI);US Biochemical Corp(Clev eland OH))を用いて実行することができる。適切なリポーター分子、すなわち 標識には、放射性核種、酵素、フルオレセント(蛍光剤)、化学発光剤或いは色 素剤や、基質、補助因子、インヒビター、磁気粒子等が含まれる。 HPAKをコードするヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞を、コード されたタンパク質を細胞培地で発現させ、そこから回収するのに適した条件下で 培養することができる。組換え体細胞により生成されるタンパク質は、用いられ る配列及び/またはベクターに応じて、細胞内に分泌、つまり細胞内に含まれる ようにすることができる。当業者には理解されるように、HPAKをコードする ポリヌクレオチドを含む発現ベクターを、原核細胞か真核細胞の細胞膜を通して のHPAK分泌を誘導するシグナル配列を含むように設計することができる。他 の組換え体作製物では、HPAKをコードする配列を、可溶性タンパク質の精製 を容易にするポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列に結合するこ とができる。そのような精製を容易にするドメインには、以下の ものに限定はしないが、固定化金属上での精製を可能にするヒスチジントリプト ファンモジュールのような金属キレートペプチド、固定化免疫グロブリン上での 精製を可能にするプロテインAドメイン、並びにFLAGS伸長/アフィニティ精製 システムにおいて用いられるドメイン(Immunex、Seattle WA)が含まれる。精 製ドメインとHPAKの間にXA因子或いはエンテロキナーゼ(Invitrogen,San Diego CA)に対して特異的な配列のような切断可能なリンカー配列を含めるの は精製を促進するのに役立つ。HPAKをコードする配列とともに、6個のヒス チジン残基、それに続くチオレドキシン及びエンテロキナーゼ切断部位をコード する核酸配列を含むこのような発現ベクターの1つは、融合タンパク質を発現す る。ヒスチジン残基がIMIAC(Porath,J等(1992;Protein Exp.Purif.3:263-281 )に記載のような固定化金属イオンアフィニティクロマトグラフィー)精製を促 進するとともに、エンテロキナーゼ切断部位が融合タンパク質からのHPAKの 精製のための手段となる。融合タンパク質を含むベクターについての解説は、Kr oll,D.J.等(1993;DNA Cell Biol 12:441-453)に記載されている。 組換え体の産生に加えて、HPAKの断片を、固層技術を用いた直接のペプチ ド合成で形成することもできる(Merrifield J.(1963)J.Am.Chem.Soc.85:2149-2 154参照)。in vitroタンパク質合成は手作業で行えるが、自動化することもで きる。自動的な合成は、例えば、Applied Biosystem 431Aペプチドシンセサイザ (Perkin Elmer)を用いて行うことができる。HPAKの種々の断片を個別に化 学的に合成し、化学的方法を用いて結合して完全長分子を作り出してもよい。 治療 HPAK、ヒト膵臓カリクレイン、及びアフリカラット腎臓カリクレ インの間に化学的及び構造的相同性が存在する。更に、ノーザン解析の結果(第 5図)から、HPAK転写物を含む6種のライブラリーが前立腺組織由来である ことがわかる。HPAKは、前立腺において機能すると考えられる。6種の前立 腺ライブラリーのなかで、5種が前立腺癌の患者のものであった。HPAKの発 現は、乳癌や耳下腺癌の患者の乳房組織及び耳下腺組織においても認められた。 従って、HPAKの発現は、前立腺との関連を有するとともに癌の発達にも関連 を有すると考えられる。 HPAKのアンタゴニスト又はインヒビターを用いて、過剰な細胞増殖を抑制 し得る。従って或る実施例では、以下に限定されないが、前立腺、耳下腺、及び 乳房の癌を含む癌の治療又は予防のために、HPAKのアンタゴニスト又はイン ヒビターを患者に投与することができる。 詳述すると、前立腺細胞の過剰増殖を抑制するために、HPAKのアンタゴニ スト又はインヒビターを用い得る。 別の態様では、HPAKに特異的な抗体を、アンタゴニストとして直接的に用 いたり、或いはHPAKを発現する細胞や組織に薬物を送達するためのターゲテ ィング又はデリバリー機構として間接的に用いることができる。 別の実施例では、癌の治療又は予防のために、HPAKをコードするポリヌク レオチドのアンチセンスを発現するベクターを患者に投与し得る。癌の例には、 以下に限定されないが、乳房及び耳下腺の癌が含まれる。 別の実施例では、前立腺の疾患の治療又は予防のために、HPAKをコードす るポリヌクレオチドのアンチセンスを発現するベクターを患者に投与し得る。そ のような前立腺疾患の例には、以下に限定されないが、前立腺癌や良性前立腺肥 大が含まれる。 他の実施例では、上述の治療用タンパク質、アンタゴニスト、抗体、アゴニス ト、アンチセンス配列又はベクターの何れかを他の適切な治療薬と組み合わせて 投与することができる。当業者であれば、併用療法において使用するための適切 な薬剤を、従来の薬学の原理に基づいて選択することができよう。治療薬を組み 合わせることにより、上述の種々の疾患の治療又は予防についての相乗作用を与 え得る。この方法を用いることにより、より低い投与量の各薬剤で同じ治療効果 を達成することができ、これにより副作用を低下させることができる。 HPAKのアンタゴニスト又はインヒビターは、周知の方法を用いて製造する ことができる。詳述すると、精製されたHPAKを用いて、抗体を製造したり、 或いは薬物のライブラリーからHPAKに特異的に結合するものを選別すること ができる。 抗体は当分野において周知の方法を用いて生成することができる。このような 抗体には、以下のものに限定されないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル 抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、Fabフラグメント、及びFab発現ライブラリーに より生成されたフラグメントが含まれる。中和抗体(即ち二量体形成を阻害する 抗体)は治療的使用には特に好適である。 抗体を産生するため、HPAK或いは免疫学的特性を保持するその任意の一部 、断片或いはオリゴペプチドを注射することによって、ヤギ、ウサギ、ラット、 マウス等を含む種々の宿主を免疫することができる。宿主の種に応じて、種々の アジュバントを免疫学的反応を増強するために用いることができる。そのような アジュバントには、以下のものに限定はしないが、フロイントのアジュバント、 水酸化アルミニウムのような無機質ゲルアジュバント、リゾレシチンのような界 面活性物質アジュバント、プルロニックポリオールアジュバント、ポリアニオン アジュバ ント、ペプチドアジュバント、油性乳剤アジュバント、キーホールリンペットヘ モシニアンアジュバント並びにジニトロフェノールアジュバントが含まれる。B CG(カルメット‐ゲラン杆菌)及びコリネバクテリウム−パルヴム(Coryneba cterium parvum)は有用なヒトアジュバントである。 好ましくは、HPAKに対する特異的抗体を誘発するために用いられるペプチ ドは、5個以上のアミノ酸、より好ましくは10個以上のアミノ酸からなるアミ ノ酸配列を有し得る。また好ましくは、これらの配列は、自然タンパク質のアミ ノ酸配列の一部と同一であり、小形の自然発生の分子の全アミノ酸配列を含んで いてもよい。HPAKアミノ酸の短いストレッチを、キーホールリンペットヘモ シアニン及びキメラ分子に対して産生された抗体のような他のタンパク質の配列 に融合してもよい。 HPAKのモノクローナル抗体は、培地内の連続株細胞によって抗体分子を産 生する任意の技術を用いて調製できる。このような技術には、以下のものに限定 はしないが、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術、及びEBV −ハイブリドーマ技術(Koehler,G.等(1975)Nature 256:495-497;Kozbor,D.等( 1983)Immunol Today 4:72;Cote,R.J.等(1983)Proc.Natl.Acad.Sci.80:2026-203 0;Cote,S.P.等(1985)Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R Liss Inc,pp77-96)が含まれる。 さらに、適切な抗原特異性並びに生物活性を有する分子を得るための「キメラ 抗体」の産生、即ちヒト抗体遺伝子へのマウス抗体遺伝子の結合のために開発さ れた技術が用いられる(Morrison,S.L.等(1984)Proc Natl Acad Sci 81:6851- 6855;Neuberger,M.S.等(1984)Nature 312:604-608;Takeda,S.等(1985)Nat ure 314:452-454)。別法として、一本鎖抗体の生成のための周知技術を適用し て、HPAK特異的一 本鎖抗体を作り出すことができる。近縁な特異性を有するが、イディオタイプの 構成が異なる抗体は、無作為の免疫グロブリン組み合わせライブラリーからの鎖 再編成(chain shuffing)により生成することができる(Burton D.R.(1991)Pro c.Natl.Acad.Sci.88:11120-3)。 また抗体は、リンパ球集団でのin vivo産生を誘導することにより、或いは文 献(Orlandi等(1989),Proc.Natl.Acad.Sci.86:3833-3837;Winter,G.等1991,Natu re 349:293-299)に開示されているような高度に特異的な結合試薬のパネルや組 換え免疫グロブリンライブラリーをスクリーニングすることによっても生成する ことができる。 HPAKに対する特異結合部位を含む抗体フラグメントも生成することができ る。このようなフラグメントには例えば、限定はしないが、抗体分子のペプシン による消化で生成することができるF(ab’)2フラグメントや、F(ab’)2フラグメ ントのジスルフィド架橋を減らすことにより生成することができるFabフラグメ ントが含まれる。別法として、所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグ メントを迅速かつ容易に同定できるように、Fab発現ライブラリーを作製しても よい(Huse,W.D.等(1989)Science 256:1275-1281)。 所望の特異性を有する抗体を同定するための選別のために種々のイムノアッセ イを用いることができる。確立された特異性を有するモノクローナル抗体或いは ポリクローナル抗体のいずれかを用いる競合的結合アッセイ或いは免疫放射線測 定法の種々のプロトコルが当分野ではよく知られている。このようなイムノアッ セイでは、HPAKとその特異的抗体との複合体の形成、並びに複合体形成の測 定が行われる。特定のHPAKタンパク質上の2つの互いに非干渉なエピトープ に対して反応するモノクローナル抗体を用いる二部位モノクローナルベースイム ノアッセイが好適であるが、競合的結合アッセイも用いられる(Maddox(1983), 前出)。 本発明の別の実施例では、HPAKをコードするポリヌクレオチド、またはそ の任意の断片やアンチセンス配列を、治療目的で用いることができる。或る態様 では、このタンパク質の合成を阻害することが望ましいような状況において、H PAKをコードするポリヌクレオチドに対するアンチセンスを用いることができ る。詳述すると、HPAKをコードするポリヌクレオチドに対するアンチセンス 配列で細胞を形質転換することができる。従って、アンチセンス配列を用いて、 HPAK関連の組織損傷を予防したり、遺伝子機能の調節を達成することができ る。このような技術は現在周知となっており、センス又はアンチセンスオリゴマ ー、若しくはより大きな断片を、HPAKコーディング配列のコード領域や調節 領域の種々の位置から設計することができる。 レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペス或いはワクシニアウイルスに由来 する発現ベクター、或いは種々の細菌性プラスミドに由来する発現ベクターは、 標的の器官、組織、または細胞群へのヌクレオチド配列の送達のために用いられ る。当業者によく知られた方法を用いて、HPAKをコードする配列のアンチセ ンスを発現する組換えベクターを作り出すことができる。これらの技術はSambro ok等(上記)及びAusubel等(上記)に記載されている。 所望のHPAK断片を高レベルで発現する発現ベクターを細胞または組織にト ランスフェクトすることにより、HPAKをコードする遺伝子の機能を停止させ ることができる。このような作製物は、翻訳不可能なセンス配列或いはアンチセ ンス配列で細胞に導入するために用いることができいる。このようなベクターは 、DNAへ組み込まれない場合ですら、全ての複製物が内在性ヌクレアーゼによ り分解されるまで、RNA分子を転写し続ける。このような一過性の発現は、非 複製ベクターでも 1ヶ月以上、適当な複製エレメントがベクター系の一部である場合には更に長い 期間継続し得る。 上述のように、HPAKをコードする配列の制御領域、即ちプロモータ、エン ハンサ或いはイントロンに対するアンチセンス分子、DNA、RNAまたはPN Aを設計することにより遺伝子発現を改変することができる。転写開始部位、例 えばリーダー配列の+10〜−10領域の間に由来するオリゴヌクレオチドが好 適である。また、転写産物がリボソームへの結合するのを防止することによりm RNAの翻訳を阻止するアンチセンス分子も設計される。同様に、「三重らせん 」塩基対合法を用いて阻害を達成することができる。三重らせん対合は、二重ら せんが十分にほどけないことでポリメラーゼ、転写因子、或いは調節分子が結合 できないようにする。三重らせんDNAを用いた最近の治療法は、文献(Gee,J. E.等(1994)於Huber,B.E.及びB.I.Carr,Molecular and Immunologic Approaches, Futura Publishing Co,MtKisco NY)に記載されている。 リボザイムはRNAの特異的切断を触媒することができる酵素性RNA分子で ある。リボザイムの作用機序では、相補的標的RNAへのリボザイム分子の配列 特異的ハイブリダイゼーションが行われ、その後エンドヌクレアーゼによる切断 (endonucleolytic cleavage)がなされる。発明の範囲内には、HPAKのエン ドヌクレアーゼによる切断を特異的かつ効果的に触媒し得る人工合成のハンマー ヘッド型リボザイム分子も含まれている。 任意のRNA標的可能部分内の特異的なリボザイム切断部位を、初めに、配列 GUA、GUU並びにGUCが後続するリボザイム切断部位に対する標的分子を調べるこ とによって同定する。一度同定されると、切断部位を含む標的遺伝子の領域に対 応する15〜20個のリボヌクレオチ ドの間の短いRNA配列を、そのオリゴヌクレオチドの機能を停止させる2次構 造の特徴について評価することが可能となる。候補の標的部分の適切性も、リボ ヌクレアーセ保護アッセイを用いて相補的なオリゴヌクレオチドとのハイブリッ ド形成に対する接触性をアッセイすることにより評価することができる。 本発明のアンチセンス分子及びリボザイムは、RNA分子を合成するのための 当分野で周知の方法により調製することができる。これらの技術には、固相ホス ホラミダイト(phosphoramidite)化学合成のようなオリゴヌクレオチドの化学 的合成技術が含まれる。この他、RNA分子を、HPAKをコードするDNA配 列のin vivo及びin vitro転写により生成することができる。このようなDNA 配列は、T7或いはSP6のような適切なRNAポリメラーゼプロモーターを有 する多種のベクターに組み込むことができる。更に別の方法として、構成的に或 いは誘導的にアンチセンスRNAを合成するアンチセンスcDNA作成物を、株 細胞、細胞或いは組織内に導入することができる。 RNA分子は細胞内安定性を高め及び半減期を長くするために修飾することが できる。可能な修飾には、限定はしないが、その分子の5’末端か3’末端、或 いはその両方へのフランキング配列の付加や、分子のバックボーン内においてホ スホジエステラーゼ結合ではなくホスホロチオネート(phosphorothioate)或い は2’O−メチルを使用することが含まれる。このコンセプトは、PNA生成固 有のものであり、内在性エンドヌクレアーゼにより容易に認識されないアデニン 、グアニン、シチジン、チミン、及びウリジンの、アセチル−、メチル−、チオ −形態、及び類似の改変形態とともに、イノシン、キュエオシン(queosine)、 及びワイブトシン(Wybutosine)のような従来あまり用いられなかった塩基を含 めることによって、これら全ての分子に拡張することができる。 細胞或いは組織内にベクターを導入するための方法には、上述の方法が含まれ 、これらの方法は、in vivoin vitro、及びex vivoの使用に対しても同様に適 切なものである。ex vivo治療法の場合には、患者から採取された幹細胞にベク ターを導入し、自家移植用のクローンとして増殖して同じ患者に戻す方法がある 。またトランスフェクションによるデリバリー、リポソームによるデリバリーは 、当分野でよく知られている。 上述の治療法の任意のものは、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、サル 、及び最も好ましくはヒトのような哺乳類を含む、任意の適切な被験体に適用す ることができる。 本発明の更に別の実施例は、上述の治療効果のいずれかを発揮させるべく、薬 学的に許容される担体とともに医薬品組成物を投与することに関連する。このよ うな医薬品組成物は、HPAK、HPAKに対する抗体、HPAKの擬似物、ア ゴニスト、アンタゴニスト、又はインヒビターからなるものであり得る。この医 薬品組成物は、単体で、或いは例えば安定剤のような1種以上の他の薬剤と組み 合わせて、任意の無菌の生体適合性製薬用担体に含めて投与される。このような 担体には、限定はしないが、生理食塩水、緩衝食塩水、ブドウ糖或いは水が含ま れる。これらの分子は、患者に対して、単体で、或いは他の薬品やホルモンと結 合して、賦形剤或いは製薬学的に許容される担体と混合される他の医薬品組成物 に含めて投与され得る。本発明の或る実施例では、製薬学的に許容される担体と は、製薬学的に不活性なものである。 本発明で用いられる医薬品組成物の投与経路には、以下の経路に限定されない が、経口投与、静脈内投与、筋肉内投与、動脈内投与、髄内投与、くも膜下内投 与、心室内投与、経皮投与、皮下投与、腹腔内投与、鼻腔内投与、経腸投与、局 所投与、舌下投与、或いは直腸内投与が含まれ得る。 活性成分に加えて、これらの薬品組成物は、薬学的に用いられ得る調合物内へ の活性化合物の処理を容易にする賦形剤及び補助剤を含む適切な製薬学的に許容 される担体を含み得る。調合或いは投与に関する技術の詳細は、“Remington's Pharmaceutical Sciences”(Maack Publishing Co,Easton PA)の最新版において 見ることができる。 経口投与用の医薬品組成物は、当分野でよく知られる製薬学的に許容される担 体を用いて適切な剤形に製剤される。このような担体により、薬品組成物は、治 療を受ける患者による経口及び鼻腔摂取のための、錠剤、丸剤、カプセル剤、液 体剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁液或いは類似の製剤として処方さ れる。 経口投与するための製剤は、活性化合物と固形の賦形剤とを結合することによ って得ることができるが、所望に応じて、必要なら適切な補助剤を添加した後、 得られた混合物を粉砕し、顆粒の混合物を処理して、錠剤或いは糖衣剤核を得る ことができる。適切な賦形剤は、ラクトース、スクロース、マンニトール或いは ソルビトールを含む砂糖のような糖質或いはタンパク質充填剤、とうもろこし、 小麦、米、じゃがいも等からのでんぷん、メチルセルロース、ヒドロキシプロピ ルメチルセルロース或いはカルボキシルメチルセルロースナトリウムのようなセ ルロース、アラビアゴム或いはトラガカントのようなゴム、並びにゼラチン或い はコラーゲンのようなタンパク質である。必要ならば、架橋結合したポリビニル ピロリドン、寒天、アルギン酸ナトリウムのようなアルギン酸或いはアルギン酸 ナトリウムや、その塩のような、崩壊剤或いは可溶化剤が加えられる。 糖衣剤核は、濃縮砂糖溶液のような適切な錠皮を与えられるが、溶液はアラビ アゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポルゲル剤、ポリエチレングリ コール並びにまた二酸化チタン、ラッカー溶液及び適 切な有機溶剤或いは溶剤混合物が含み得る。錠剤の識別のため、すなわち活性化 合物の量、すなわち投与量を特徴付けるために染料或いは色素が錠剤或いは糖衣 錠皮に加えられてもよい。 経口投与可能な製剤は、ゼラチンからなるプッシュフィットカプセル及びゼラ チンからなる柔らかい、密封されたカプセル、並びにグリセロール或いはソルビ トールのような錠皮を含む。プッシュフィットカプセルは、ラクトース或いはで んぷんのような充填剤或いは結合剤、タルク或いはステアリン酸マグネシウムの ような潤滑剤、並びに付加的には安定剤と混合された活性処方組成物を含み得る 。柔らかいカプセルでは、活性化合物は、安定剤があるなしにかかわらず、脂肪 油、液体パラフィン、液体ポリエチレングリコールのような適切な液体に溶解或 いは懸濁される。 非経口投与用の製剤は、水溶性の活性化合物の水溶液を含む。注射用として、 本発明の薬品組成物を水溶液、好適にはハンクの溶液、リンゲル溶液或いは生理 緩衝食塩水のような生理学的に適合性の緩衝液に入れて製剤することができる。 水性の注入懸濁剤は、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール 或いはデキストランのような懸濁剤の粘性を高める物質を含み得る。更に、活性 成分の懸濁液は、適切な油性注入懸濁剤として調製される。適切な親油性の溶媒 或いは媒介物は、胡麻油のような脂肪油や、オレイン酸エチル、トリグリセリド 或いはリポソームのような合成脂肪酸エステルを含む。また懸濁剤は、所望に応 じて、それにより溶解度を増加し、非常に濃縮された溶液の調製ができるように なる適切な安定剤或いは薬剤を含んでもよい。 局所的投与または経鼻粘膜投与用には、浸透される特定の障壁に対して適切な 浸透剤を用いて調合が行われる。このような浸透剤は、一般に周知である。 本発明の薬品組成物は周知の方法、例えば従来の混合処理、溶解処理、顆粒化 処理、糖衣形成処理、研和処理、乳化処理、封入処理(entrapping)処理或いは凍 結乾燥処理により製造される。 この医薬品組成物は塩類として提供されることもあり、限定はしないが、塩酸 、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸等を含む、多くの酸とともに 形成することができる。塩は、対応する遊離塩基形態である水性或いはプロトニ ック溶剤において、より可溶性が高くなる傾向がある。他の場合には、好適な製 剤は、1mM〜50mMのヒスチジン、0.1%〜2%のショ糖、使用前に緩衝 剤と結合させたpH範囲4.5〜5.5にある2%〜7%のマンニトールにおけ る凍結乾燥粉末である。 製薬学的に許容される担体内に製剤された本発明の化合物を含む組成物は、調 製された後、適切な容器内に入れて、さらに提示した疾病状態の治療のためにラ ベル付けすることができる。HPAKの投与の場合、このようなラベルには、投 与の量、頻度、方法が表示される。 本発明において使用するために適切な医薬品組成物は、活性成分を所望の目的 を達成するための有効量含む組成物である。有効量の決定は、当業者の能力の範 囲内で十分行うことができる。 任意の化合物について、治療的有効量は、初めに、新生物細胞、或いは通常マ ウス、ウサギ、イヌ、ブタのような動物モデルの何れかの細胞培地のアッセイか ら推定される。次いで、このような情報を用いて、ヒトにおける有効量や投与経 路を決定することができる。 治療的有効量とは、症状や状態を改善するタンパク質、その抗体、アンタゴニ スト、またはインヒビターの量である。そのような化合物の毒性及び治療的有効 性は、例えばLD50(個体群の50%の致死投与量)及びED50(個体群の 50%における治療的有効量、50%有効量) を決定するための、細胞培地或いは実験動物における標準的な製薬学的方法によ り決定することができる。毒性と治療有効性との間の投与量比は治療指数であり 、LD50/ED50の比として表すことができる。大きな治療指数を示す医薬 品組成物が好ましい。これらの細胞培地のアッセイ及び付加的な動物研究から得 られるデータは、ヒトへの使用に対する投与量の範囲を決める際に用いることが できる。そのような化合物の投与量は、毒性がほとんど或いは全くなく、ED5 0を達成する循環濃度の範囲内にあることが望ましい。投与量は、用いられる剤 形、患者の感受性並びに投与経路に応じてこの範囲内で変化する。 正確な投与量は治療されるべき患者を考慮して個々の医師により選択される。 投与量及び投薬量は、十分なレベルの活性成分を与え、かつ所定の効果を維持す るために調節される。考慮すべき付加的な要因は、疾患状態の重症度、または患 者の年齢、体重並びに性別、食事、投与の時間及び頻度、併用する薬剤、反応感 受性、並びに治療への耐性/反応を含む。長期的に作用する薬品組成物は3〜4 日毎に、1週間毎に、或いは半減期及び特定の処方のクリアランス速度に応じて 2週間に1度投与してもよい。 通常の投与量は0.1〜100,000μgの範囲にあって、全投与量は最大 約1gであり、投与経路に応じて変わってくる。特定の投与量或いは送達の方法 に関する手引きは、当分野の実施者が通常入手できる文献において見出すことが できる。当業者なれば、ヌクレオチドに対しては、タンパク質やインヒビター用 の剤形とは異なる剤形を採用するであろう。同様に、ポリヌクレオチドまたはポ リペプチドの送達方式は、特定の細胞、状態、位置等によって決まってくる。 診断 別の実施例において、HPAKに特異的な抗体は、HPAKの発現を特徴とす る状態や疾病の診断や、HPAKで治療を受けている患者のモニタリングのため のアッセイにおいて役立つ。診断目的で有用な抗体は、上述の治療用のものと同 じように調製することができる。HPAKの診断的測定法には、ヒトの体液、細 胞或いは組織の抽出物においてHPAKを検出するために抗体或いは標識を利用 する方法が含まれる。本発明のポリペプチド及び抗体は、修飾したものでも、修 飾なしでも用いることができ、共有結合、或いは非共有結合かのいずれかでリポ ーター分子と結合することにより標識することができる。種々のリポーター分子 が周知となっており、その幾つかについては上記した。 例えばELISA(酵素結合免疫測定法)、RIA(ラジオイムノアッセイ)並びにFA CS(蛍光表示式細胞分取器法)を含む、HPAKを測定するための種々のプロト コルが当分野では周知であり、これによってHPAK発現の変化や異常を診断す るための基礎が得られる。HPAKの発現の正常値、つまり標準値は、哺乳類、 好ましくはヒトの正常被験者から得られる体液或いは細胞抽出物とHPAKに対 する抗体とを、複合体形成に適した条件の下で結合することによって得ることが できる。標準の複合体形成量は、種々の方法、好ましくは測光手段を用いること により定量することができる。被験者、対照標準、及び生検組織からの患部組織 サンプルにおいて発現されたHPAKの量を、標準値と比較する。標準値と被験 者の値との偏差で、疾病診断のパラメータが確立される。 本発明の別の実施例では、HPAKをコードするポリヌクレオチドを、診断目 的で用いることができる。使用できるポリヌクレオチドには、オリゴヌクレオチ ド配列、アンチセンスRNA及びDNA分子、及びペプチド核酸(PNA)が含 まれる。このポリヌクレオチドは、HPAKの発現が疾病と相関性を有する生検 組織における遺伝子発現を検出し、定 量するために用いられる。診断的測定は、HPAKが存在、不存在、及び過剰発 現の何れの状態にあるかを区別したり、治療的介入の際にHPAKレベルの調節 をモニタリングするのに役立つ。 或る態様では、HPAKまたは近縁な分子をコードする、ゲノム配列を含むポ リヌクレオチド配列を検出できるハイブリダイゼーションプローブ或いはPCR プローブを用いて、HPAKをコードする核酸配列を同定することができる。そ して、そのプローブの特異性、即ち、そのプローブが非常に高度な保存領域(例 えば5’調節領域における10個の独特のヌクレオチド)と、保存的である度合 いの低い領域(例えば特に3’領域におけるシステイン残基の間の領域)の何れ に由来するのかということ、及びハイブリダイゼーション或いは増幅の(高い、 中程度の或いは低い)厳密性によって、そのプローブが自然発生HPAKのみを 同定するものであるか、或いはアレル配列や近縁な配列も同定するものであるか ということが決まってくる。 プローブは、近縁なインヒビターをコードする配列を検出するためにも用いる ことができ、好ましくは、これらのHPAKをコードする任意の配列から得られ るヌクレオチドを少なくとも50%含むべきである。本発明のハイブリダイゼー ションプローブは、配列番号:2のヌクレオチド配列か、自然発生HPAKのイ ントロン、プロモータ、及びエンハンサーエレメントを含むゲノムの配列に由来 するものであり得る。 HPAKをコードするDNAに対して特異的なハイブリダイゼーションプロー ブの作製のための他の手段には、HPAKやHPAK誘導体をコードする核酸配 列を、mRNAプローブ生成のためのベクターにクローン化する方法がある。こ のようなベクターは周知で市販されており、適切なRNAポリメラーゼや適切な 放射性標識ヌクレオチドを付加することにより、in vitroでのRNAプローブを 合成のために用いることが できる。ハイブリダイゼーションプローブは種々のリポータ分子により標識する ことができ、この標識には、32Pや35Sのような放射性核種、アビジン/ビオチ ン結合系によりプローブに結合するアルカリホスファターゼのような酵素標識等 が含まれる。 HPAKをコードするポリヌクレオチド配列を、HPAKの発現が関係する状 態や疾病の診断のために用いることができる。このような状態又は疾病の例には 、以下のものに限定されないが、膵疾患、喘息、及び前立腺癌、耳下腺癌、及び 乳癌が含まれる。HPAKをコードするポリヌクレオチド配列は、HPAK発現 の変化を検出するための生検組織や体液を試験するための、サザンブロット法或 いはノーザンブロット法、ドットブロット法或いは他の膜ベース技術、PCR技 術、ディップスティック試験法(試験紙法)、ピン或いはチップ技術及びELISA アッセイにおいて用いることができる。このような定性的或いは定量的試験方法 は当分野ではよく知られている。 特定の態様では、種々の癌、特に上述の癌の活性化または誘導を検出するアッ セイにおいてHPAKをコードするヌクレオチド配列が役立ち得る。HPAKを コードするヌクレオチド配列を標準的な方法で標識し、ハイブリダイゼーション 複合体の形成に適した条件の下で患者の体液や組織サンプルに加える。適切なイ ンキュベーション時間の経過後、このサンプルを洗浄しシグナルを定量して、標 準値を比較する。生検サンプルまたは抽出サンプルにおけるシグナルの量が、比 較できる対照サンプルのシグナル量と有意に異なっている場合、このヌクレオチ ド配列はサンプルのヌクレオチド配列とハイブリダイズしており、サンプルにお けるHPAKをコードするヌクレオチド配列のレベルの変化が存在することは、 関連疾患の存在を示している。このようなアッセイは、動物実験、臨床試験、ま たは個々の患者の治療のモニタリングにおける特定の治療 措置の効果を評価するために用いることもできる。 HPAKの発現が関係する疾病の診断の基礎を得るために、正常な、或いは標 準の発現プロフィールを確立する。この標準プロフィールは、動物或いはヒト何 れかの正常な被験者から得られる体液或いは細胞抽出物を、ハイブリダイゼーシ ョン或いは増幅に適切な条件下で、HPAKをコードする配列又はその一部分と 結合することにより確立される。標準のハイブリッド形成量は、既知の量の実質 的に精製されたHPAKが用いられる同一の実験で得られる値と、正常被験者に 対して得られる値とを比較することにより定量することができる。正常なサンプ ルから得られた標準値は、疾病の症状を示す患者からのサンプルから得られる値 と比較することができる。標準値と被験者値との偏差を用いて疾病の存在を確認 する。 ひとたび疾患が確認され、治療プロトコルが開始されると、患者での発現レベ ルが正常な患者において観察されるレベルに近づき始めたか否かを評価するため に、このようなアッセイが定期的に繰り返される。継続的なアッセイから得られ る結果を用いて、数日間或いは数ヶ月の期間にわたる治療効果を知ることができ る。 癌については、患者の生検組織において転写物が比較的少ない量存在すること が疾病の発生の素因を示し、つまり実際の臨床的症状が現れる前に疾病を検出す る手段となり得る。この型の一層確定的な診断により、医療従事者が予防的処置 を講じたり、より早期に積極的な治療を開始することが可能となり、疾病の発生 や更なる進行を予防することができるようになり得る。 HPAKをコードするオリゴヌクレオチドの別の診断目的の使用では、PCR を使用することがある。このようなオリゴマーは一般には化学的に合成するが、 酵素を用いて作製したり、或いは組換え体を起源として 作り出すこともできる。オリゴマーは、特定の遺伝子或いは状態を識別するため に最適な条件下で用いられる2つのヌクレオチド配列、即ちセンス方向(5’→ 3’)のヌクレオチド及びアンチセンス方向(3’←5’)のヌクレオチドから なる。同一の2つのオリゴマー、入れ子オリゴマーの組、或いはオリゴマーの縮 重プールでさえ、近縁なDNAまたはRNA配列の検出や定量のためのより厳密 性の低い条件の下であっても用いることができる。 さらにHPAKの発現を定量するための方法には、放射性標識(radiolabelin g)或いはビオチン標識ヌクレオチドの利用、コントロールの核酸の同時増幅(c oamplification)の利用、並びに実験結果を補完して引かれた標準的なグラフ曲 線の利用も含まれる(Melby PC等1993 J Immunol Methods 159:235-44;Duplaa C 等1993 Anal Biochem 229-36)。多数のサンプルの定量は、ELISA形式の連続ア ッセイを実行することにより一層迅速に行うことができる。このアッセイでは目 的のオリゴマーが様々な希釈溶液中に存在し、分光光度計を用いる分析或いは比 色分析反応により迅速に定量することができる。 本発明の別の実施例では、HPAKをコードする核酸配列を用いて、自然発生 のゲノム配列マッピングのためのハイブリダイゼーションプローブを生成するこ とができる。この配列を、よく知られた技術を用いて特定の染色体或いはその染 色体の特定領域に対してマッピングすることができる。このような技術には、FI SH、FACSや人工染色体作製物の使用、例えば酵母菌人工染色体、細菌性人工染色 体の細菌性P1作製物、Price,C.M.(1993;Blood Rev 7:127-34)及びTrask,B.J.( 1991;Trends Ganet 7:149-54)に概要が示されている単染色体cDNAライブラ リーの使用が含まれる。 FISH(Verma等(1988)Human Chromosomes:A Manual of Basic Technique ,Pergamon Press,New York”に記載)は、他の染色体マッピング技術 及び遺伝子地図データと関係を有し得る。遺伝子地図データの例は、1994 Genom e Issue of Science(265:1981f)に見ることができる。物理的染色体地図上での HPAKをコードする配列の位置と、特定の疾病(または特定の疾病の素因)と の相関関係を助けとして、ある遺伝病が関係するDNAの領域の限界決定ができ る。本発明のヌクレオチド配列を用いて、正常者とキャリアまたは患者との遺伝 子配列の違いを検出することができる。 染色体調製物のin situハイブリダイゼーション及び確定された染色体マーカ ーを用いる連鎖解析のような物理的地図作成技術は、遺伝子地図を延長するため に大変重要である。多くの場合、特定のヒト染色体の数或いは腕が未知であって も、マウスのような別の哺乳類種の染色体上の遺伝子配置から、関連するマーカ ーがわかる。新しい配列は、物理的マッピングにより染色体のアーム、或いはそ の一部へ割当てることができる。これは位置クローニング或いは他の遺伝子発見 技術を用いて疾患遺伝子を調査する研究者に貴重な情報を提供する。ひとたび毛 細血管拡張性運動失調(AT)のような疾患或いは症候群が、特定のゲノム領域へ 、例えばATならば11q22-23(Gatti,R.A.等(1988)Nature 336:577-580)へ、遺伝子 連鎖によって粗い局所化がなされれば、その領域にマッピングされる任意の配列 は、さらなる研究のための関連する遺伝子、或いは調節遺伝子ということになる 。本発明のヌクレオチド配列は、正常者とキャリアまたは患者との間の、転座、 逆位等による染色体位置の違いを検出するために用いることもできる。 本発明の別の実施例では、HPAKや、その触媒作用性または免疫原性フラグ メント或いはオリゴペプチドを、種々の薬物スクリーニング技術において治療用 化合物のスクリーニングのために用いることができる。 そのような試験において用いられるフラグメントは、溶液に遊離した形態か、固 体支持体へ付着したものか、細胞表面へ付着したものか、或いは細胞内に存在す るものであり得る。HPAKと試験される薬剤との結合複合体形成が測定され得 る。 HPAKポリペプチドへの適切な結合親和性を有する化合物の高スループット スクリーニングのために用いることができる別の薬物スクリーニング技術が、公 開されたPCT出願WO84/03564に詳細に記載されている。この方法をHPAKに適 用する場合には、多数の異なる小形ペプチドの試験用化合物を、プラスチックピ ン或いは他の表面のような固体基質上で合成する。ポリペプチド試験用化合物を HPAK又はその断片と反応させ、洗浄する。次いで結合HPAKを当分野で周 知の方法により検出する。また、前述の薬物スクリーニング技術において使用す るために、精製HPAKをプレート上に直接コーティングすることもできる。こ の他、ペプチドを捕捉し固体支持体上にペプチドを固定するために非中和抗体を 用いることができる。 別の実施例では、HPAKに結合し得る中和抗体が、HPAKとの結合につい て試験化合物と特異的に競合する競合的薬物スクリーニングアッセイを使用する ことができる。このように、抗体を用いて、1または2以上のHPAKと共通の エピトープを有する任意のペプチドの存在を検出することができる。 更に別の実施例では、ここに開示するHPAKをコードするヌクレオチド配列 は、その新技術が、以下に限らないが、例えばトリプレット遺伝暗号及び特異的 塩基対合相互作用のような特性を含む、現在周知のヌクレオチド配列の特性に基 づく技術であれば、まだ開発されていない分子生物学的技術においても用いるこ とができる。 以下に示す本発明の実施例は、単なる例示であって、本発明をこの実 施例に限定しようとするものではない。実施例 1 BRSTNOT05 cDNAライブラリーの作製 乳房cDNAライブラリー(BRSTNOT05)は、年齢58歳の白人女性の乳房組 織から作製された。この患者は多中心性浸潤性クレード4小葉癌と診断されてい た。 冷凍組織を、Brinkmann Homogenizer Polytron PT-3000(Brinkmann Instrume nts,Westbury,NJ)を用いて、グアニジウムイソチオシアネート溶液の中でホモ ジナイズし溶解した。この溶解産物を、Beckman L81-70M Ultracentrifugeにお いてBeckman SW28 rotor(Beckman Instruments)を用いて、5.7Mの塩化セ シウムクッションを通して、周囲温度で18時間、25,000rpmで遠心分 離した。pH4.0の酸性フェノールを用いてRNAを抽出し、0.3Mの酢酸 ナトリウム及び2.5倍量のエタノールを用いて沈殿させ、無RNアーゼ水に再 懸濁し、37℃でDNアーゼ処理した。このRNAの抽出と沈殿を反復した。次 にmRNAを、Qiagen Oligotex kit(QIAGEN,Inc.,Chatsworth,CA)を用いて単 離し、cDNAライブラリの作製に用いた。 このmRNAは、SuperScript Plasmid System for cDNA Synthesis and Plas mid Cloning(Cat.# 18248-013,Gibco/BRL)の推奨プロトコルに従って取り扱っ た。cDNAはSepharose CL4Bカラム(Cat.#275105,Pharmacia)で分画化し、 400bpを越えるcDNAをpSport1にリゲートした。次にこのプラスミドpS portIをDH5aTMコンピテント細胞(Cat.#18258-012,Gibco/BRL)に入れて形質転 換させた。 2 cDNAクローンの単離及び配列決定 プラスミドDNAは細胞から放出され、REAL Prep 96 Plasmid Kit for Rapid Extraction Alkaline Lysis Plasmid Minipreps(Catalog#26173,QIAGEN,Inc. )を用いて精製した。このキットは、マルチチャネル試薬ディスペンサーを用い て96穴のブロックにおける96個のサンプルの同時精製が可能である。推奨プ ロトコルを用いたが、以下の点を変更した。(1)25mg/Lのカルベニシリン及 び0.4%のグリセロールと共に1mlの滅菌Terrific Broth(Catalog#22711,Li fe Technologies)において細菌を培養した。(2)植菌の後、培地を19時間 インキュベートし、インキュベーションの終わりに、細胞を0.3mlの溶解バッ ファに溶解した。(3)イソプロパノール沈殿の後、プラスミドDNAペレット を0.1mlの蒸留水に再懸濁した。プロトコルの最終ステップの後、サンプルを 96穴ブロックに移し4℃で保管した。 このcDNAの配列決定は、Peltier Thermal Cyclers(PTC200 from MJ Rese arch,Watertown,MA)及びApplied Biosystems 377 DNA Sequencing Systemsと組 み合わせてHamilton Micro Lab 2200(Hamilton,Reno,NV)を用いてSangerらの 方法(1975,J.Mol.Biol.94:441f)により行い、読み枠を決定した。 3 cDNAクローン及びそれらの類推されるタンパク質の相同性検索 配列表のヌクレオチド配列及び、それらから類推されるアミノ酸配列を問い合 わせ配列として用いて、例えばGenBank、SwissProt.BLOCKS、及びPima IIのよう なデータベースを検索した。これらのデータベースには既に同定された配列が注 釈付きで含められており、BLAST(Basic Local Alignment Toolを表す)を用い て相同性(類似性)を有する領域をこのデータベースのなかから検索した(Alts chul S.F.(1993)前出,Altschul.S.F.等(1993)前出)。 BLASTはヌクレオチド及びアミノ酸配列の両方のアライメントを生 成して配列類似性を決定する。そのアライメントの局所性のために、BLASTは厳 密な一致、すなわち原核生物(細菌)や真核生物(動物、菌類、又は植物)を起 源とするホモログを求める際に特に有効である。一次配列パターンや二次構造ギ ャップペナルティを処理する際には、本明細書に一体に引用されたSmith等(1992 ,Protein Engineering 5:35-51)に記載のもののような他のアルゴリズムを用い ることができる。本明細書に開示された配列の長さは少なくとも49ヌタレオチド であり、不必要な塩基は12%以下である(ここで、NはA、C、G、又はT以外 と記録されたものである)。 BLAST法は、本明細書に一体に引用されたKarlin等(前出)に詳細に記載され ているように、問い合わせ配列とデータベースの配列の一致を検索する。BLAST は発見したあらゆる配列の一致の統計的有意性を評価して、ユーザが選択した有 意性の閾値を満たす一致のみを報告する。本出願での閾値は、ヌクレオチドで1 0-25、ペプチドで10-14に設定した。 インサイト社のヌクレオチド配列を、霊長類(pri)、げっ歯類(rod)、及び 他の哺乳類配列(mam)のGenBankデータベースで検索した。次に同じクローンか ら類推されたアミノ酸配列を、GenBankの機能性タンパク質データベース、哺乳 類(mamp)、脊椎動物(vrtp)、及び真核生物(eukp)で、相同性について検索 した。これらのデータベースは特定の一致をGixxx±pという形式で報告した(こ こでxxxはpri;rod等であり、存在の場合はp=ペプチドである)。積スコアは次の ように計算される。即ちBLASTにおけるヌクレオチド又はアミノ酸の(問い合わ せ配列と参照配列との間の)一致度(%)に、(問い合わせ配列及び参照配列の 長さに基づく)最大可能BLASTスコア(%)を乗じて100で除す。インサイト 社のクローンが幾つかの配列と相同であった場合 には、最大5つの一致がそのスコアとともに提示される。研究室で利用されるハ イブリダイゼーション法に類似して、正確な一致に対する電子的厳密性は70に 設定し、正確な一致の下限は控えめに約40(不必要な塩基の存在のために1〜 2%の誤差が含まれる)に設定した。 4 ノーザン法による解析 ノーザン解析は、標識されたヌクレオチド配列と特定の細胞型または組織に由 来するRNAが結合したメンブランとのハイブリッド形成を伴う、遺伝子の転写 物の存在を検出するために用いられる実験技術である(Sambrook等、上述)。 BLAST(Altschul,S.F.1993及び1990,上述)を用いる類似のコンピュータ技術 で、GenBankまたはLIFESEQTMデータベース(Incyte,Palo Alto CA)のようなデ ータベースにおける同一のまたは近縁な分子を検索した。この解析は、多くの膜 ベースのハイブリダイゼーションより非常に短時間で行うことができる。更に、 コンピュータ検索の感度を変更して、ある一致が正確な一致か、相同的であるか の分類を決定することができる。 検索の基準値は、積スコアであり、これは以下の式で定義されるものである。 (配列の一致(%)×最大BLASTスコア(%))/100 この積スコアでは、2つの配列間の類似性の程度、及び配列の長さの一致の双方 が考慮されている。例えば、積スコアが40の場合は、一致は誤差が1〜2%の 範囲で正確であり、スコアが70の場合は正確に一致している。相同な分子は、 通常積スコアとして15〜40を示すものを選択することにより同定されるが、 スコアの低いものは近縁関係にある分子として同定される。 検索の結果は、完全長配列、又はその部分が存在するライブラリー、 配列の存在量(abundance)、及びパーセント存在量(percent abundance)のリ ストとして報告される。存在量は、特定の転写物の検出回数を直接反映し、パー セント存在量は、存在量をライブラリー内で検出された配列の総数で除したもの である。 5 HPAKをコードする配列の完全長又は調節エレメントを回復するまでの伸 長 完全長HPAKコード化核酸配列(配列番号:2)を用いて、部分的ヌクレオ チド配列を完全長まで伸長させるための、或いはゲノムライブラリーから5’ま たは3’配列を得るためのオリゴヌクレオチドプライマーを設計することができ る。一方のプライマーはアンチセンス方向(XLR)の延長を開始するために合成 され、他方のプライマーはセンス方向(XLF)に配列を延長するために合成さ れる。これらのプライマーにより、周知のHPAK配列を「外側に」延長し、対 象の制御領域の新しい未知のヌクレオチド配列を含むアンプリコンを生成できる ようにな Plymouth MN)、或いは他の適切なプログラムを用いて、長さが22〜30ヌク レオチドで50%以上のGC含量を有し、かつ約68〜72℃の温度で標的配列 にアニールするように設計することができる。アピン構造及びプライマー−プラ イマー二量体化を生じるような任意のヌクレオチドのストレッチの延長は回避さ れる。 元の選択されたcDNAライブラリーか、ヒトゲノムライブラリーを用いて配 列を延長する。後者のライブラリーは、5’上流配列を得るために最も役立つ。 必要なら、既知領域をさらに延長するために追加のプライマーの組が設計される 。 XL-PCRキット(Perkin Elmer)の説明書の指示に従って、酵素と反応混合物と を完全に混合することにより、高い忠実度の増幅が得られる。 40pmolの各プライマーと、推奨された濃度のキットの他の全ての成分とから増 幅を開始する場合、PCRはPeltier Thermal Cycler(PTC200;MJ Reserch,Wat ertown MA)を用いて、以下のパラメータで実行される。 ステップ1 94℃で1分間(初期変性) ステップ2 65℃で1分間 ステップ3 68℃で6分間 ステップ4 94℃で15秒間 ステップ5 65℃で1分間 ステップ6 68℃で7分間 ステップ7 ステップ4〜6をさらに15サイクル反復 ステップ8 94℃で15秒間 ステップ9 65℃で1分間 ステップ10 68℃で7分15秒間 ステップ11 ステップ8〜10を12サイクル反復 ステップ12 72℃で8分間 ステップ13 4℃(その温度を保持) 反応混合物の5〜10μlのアリコットを、低濃度(約0.6〜0.8%)ア ガロースミニゲル上での電気泳動で解析して、反応物が配列を延長することに成 功したか否かを決定する。最も大きな生成物或いはバンドを選択して、ゲルから 切り出した。さらなる精製には、QIAQuickTM(QIAGEN,Chatsworth CA)のような 市販のゲル抽出法を用いる。DNA回収の後、クレノウ酵素を用いて一本鎖ヌク レオチドの延び出しを切り取り、再結合及びクローニングを容易にする平滑末端 を作った。 エタノール沈殿の後、生成物を13μlのリゲーション緩衝液内に再溶解し、 1μlのT4−DNAリガーゼ(15単位)及び1μlのT4 ポリヌクレオチドキナーゼを加えて、その混合物を室温で2〜3時間、或いは1 6℃で一昼夜インキュベートする。コンピテントな大腸菌細胞(40μlの適切 な溶媒内にある)を、3μlのリゲーション混合物を用いて形質転換し、80μ lのSOC培地(Sembrook等、上記)で培養する。37℃で1時間のインキュベ ーションの後、全ての形質転換混合物を、2xCarbを含むLuria Bertani(LB)寒 天(Sembrook等、上記)上にのせる。後日、いくつかのコロニーを各プレートか ら無作為に選択し、適切な市販の無菌の96穴マイクロタイタープレートの個々 のウェル内に入れられた150μlの液状LB/2xCarb培地で培養する。さらに後 日、5μlの各一昼夜の培養物を非無菌96穴プレート内に移し、水で1:10 に希釈した後、それぞれ5μlのサンプルをPCRアレイに移す。 PCR増幅のため、4単位のrTthDNAポリメラーゼを含む18μlの濃 縮PCR反応混合物(3.3x)、ベクタープライマー、並びに延長反応に用い られる遺伝子特異的プライマーの一方或いは両方を各ウェルに加える。増幅は以 下の条件に従って行う。 ステップ1 94℃で60秒間 ステップ2 94℃で20秒間 ステップ3 55℃で30秒間 ステップ4 72℃で90秒間 ステップ5 ステップ2〜4をさらに29サイクル反復 ステップ6 72℃で180秒間 ステップ7 4℃(そのまま保持) PCR反応物のアリコットを、分子量マーカーと共にアガロースゲル上で移動 させる。PCR生成物のサイズを元の部分的なcDNAと比較して、適切なクロ ーンを選択し、プラスミドに結合して、配列決定を行 う。 6 ハイブリダイゼーションプローブの標識及び使用 配列番号:2の配列に基づくハイブリダイゼーションプローブを用いて、cD NA、mRNA並びにゲノムDNAをスクリーニングする。約20の塩基対から なるオリゴヌクレオチドの標識について特に記すが、大きなcDNAフラグメン トの場合でも概ね同じ手順を用いる。オリゴヌクレオチドを、50pmolの各 オリゴマーと、250mCiの[γ‐32P]アデノシン三リン酸(Amersham)及び T4ポリヌクレオチドキ る。標識されたオリゴヌクレオチドを、SephadexG-25超精細樹脂カラム(Pharma cia)を用いて精製する。毎分107カウントのセンス及びアンチセンスオリゴヌ クレオチドのそれぞれを含む部分を、エンドヌク の1つを用いて切断したヒトゲノムDNAの典型的な膜ベースのハイブリダイゼ ーション解析において用いる。 各消化物からのDNAを、0.7%アガロースゲル上で分画化して、ナイロン 膜(Nytran Plus,Schleicher & Schuell,Durham NH)にトランスファーする。ハ イブリダイゼーションは40℃で16時間かけて行う。非特異的シグナルを取り 除くため、ブロットを、0.1xクエン酸ナトリウム食塩水及び0.5%ドデシ ル硫酸ナトリウムまで段階的に厳密性が増す条件下で、室温にて順次洗浄する。 XOMAT ARTMフィルム(Kodak,Rochester NY)を、Phosphoimager cassette(Mol ecular Dynamics,Sunnyvale CA)においてブロツトに数時間露光した後、ハイブ リダイゼーションパターンを視覚的に比較する。 7 アンチセンス分子 HPAKをコードする配列或いはその任意の一部分は、自然発生の配 列のin vivoまたはin vitro発現を阻害するために用られる。約20塩基対から なるアンチセンスオリゴヌタレオチドの使用について特に記すが、より大きなc DNAフラグメントの場合でも概ね同じ方法を用いることができる。第1A図、 第1B図、及び第1C図に示すようなHPAKをコードする配列に基づくオリゴ ヌクレオチド用いて、自然発生HPAKの発現を阻害することができる。相補的 なオリゴヌタレオチドを、第1A図、第1B図、及び第1C図に示す最も独特な 5’配列から設計し、これを用いてプロモーターが結合するのを阻害することに より転写を抑制したり、リボソームが転写物に結合するのを阻害してHPAK転 写物の翻訳を抑制することができる。配列番号:2の5’配列の適切な部分を用 いることにより、効果的なアンチセンスオリゴヌクレオチドが、第1A図、第1 B図、及び第1C図に示すポリペプチドのシグナル配列または5’コーディング 配列に翻訳される領域全体にわたる15〜20個のヌクレオチドを含むようにな る。 8 HPAKの発現 HPAKの発現は、cDNAを適切なベクター内にサブクローニングし、その ベクターを宿主細胞にトランスフェクトすることによって行われる。この場合、 前にcDNAライブラリーの作製の際に用いたクローニング用のpSportベクター を用いて、大腸菌においてHPAKを発現させる。クローニング部位の上流には 、β−ガラクトシダーゼに対するプロモータが存在し、その後ろにはアミノ基末 端Met及びβ−ガラクトシダーゼの7残基が存在する。後続のこれら8つの残基 は、転写に役立つバクテリオファージプロモーターであり、多くの独特の切断部 位を含むリンカーである。 単離されたトランスフェクト菌株を、IPTGを用いて標準的な方法で誘導し、初 めのβガラクトシダーゼの7残基、約5〜15残基のリンカ ー、及び完全長HPAKからなる融合タンパク質を作り出す。このシグナル配列 は菌培地へのHPAKの分泌を誘導し、この培地は後の活性のアッセイにおいて 直接用いることができる。 9 HPAK活性の確認 HPAKのタンパク分解活性は、Christernsson A.等の方法(1990,Eur.J.Blo chem.194:755-763)により求めることができる。タンパク分解酵素による切断の 基質はヒトの精液において認められる。ヒトの精嚢を回収し凝固精液を洗浄して 可溶成分を取り除く。HPAKを、50mmol/lのTRIS-HCI(pH7.8)及び0.1m mol/lのNaClからなる緩衝液の中で凝固精液と共にインキュベートする。反応は 37℃で行う。異なるインキュベーション時間(0〜30分間)の経過後、サン プルをSDS/PAGEで解析する。得られたペプチド断片のパターンを、HPAKが添 加されなかった対照サンプルを用いて比較定量する。 10 HPAK特異的抗体の産生 標準的なプロトコルを用いたウサギの免疫化及び抗体の産生には、PAGE電 気泳動法(Sambrook前出)を用いて実質的に精製されたHPAKを用いる。配列 番号:2から類推されるアミノ酸配列をDNAStarソフトウエア(DNASTAR社)を用 いて解析して免疫抗原性の高い領域を決定し、対応するオリゴペプチドを当業者 には周知の手段により合成して、当業者に周知の方法で抗体を産生するために用 いる。C末端付近の、或いは隣接する親水性領域内のエピトープのような、適切 なエピトープを選択するための解析法は、Ausubel等(上記)の論文他に記載さ れている。 通常、約15残基の長さを有するオリゴペプチドを、Applied Biosystemsのペ プチド合成機Model 431Aを用いてfmoc法のケミストリにより合成し、M−マ レイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシ ンイミドエステル(MBS:Ausubel等、上記)を用いた反応によりキーホール リンペットヘモシニアン(KLH、Sigma)に結合する。フロイントの完全アジ ュバントにおいてオリゴペプチド−KLH複合体を用いてウサギを免疫する。得 られた抗血清の抗ペプチド活性を検査するには、例えばペプチドをプラスチック に結合し、1%BSAを用いてブロックし、ウサギ抗血清と反応させて洗浄し、さ らに放射性ヨウ素標識されたヤギ抗ウサギIgGと反応させる。 11 特異的抗体を用いる自然発生HPAKの精製 自然発生HPAK或いは組換えHPAKは、HPAKに特異的な抗体を用いる イムノアフィニティークロマトグラフィにより精製することができる。イムノア フィニティ一カラムは、CnBr-activated Sepharose(Pharmacia Biotech社)の ような活性化クロマトグラフレジンとHPAK抗体とを共有結合させることによ り構築される。結合後、そのレジンを使用説明書の指示に従って、ブロックし洗 浄する。 HPAKを含む培地をイムノアフィニティーカラムに通し、そのカラムをHP AKを優先的に吸着できる条件下で(例えば界面活性剤の存在下において高イオ ン強度バッファで)洗浄する。このカラムを、抗体/HPAK結合を切るような 条件下(例えばpH2〜3のバッファ、或いは高濃度の尿素またはチオシアン酸 塩イオンのようなカオトロピックイオン)で溶出させ、HPAKを回収する。 12 HPAKと相互作用する分子の同定 HPAK又は生物学的に活性なその断片を、125Iボルトンハンター試薬(Bol tonら(1973)Biochem.J.133:529)で標識する。マルチウェルプレートに予め配列 しておいた候補の分子を、標識したHPAKとともにインキュベートし、洗浄し て、標識HPAK複合体を有する任意のウェルをアッセイする。異なる濃度のH PAKを用いて得られたデータを 用いて、候補の分子とHPAKの会合、親和性、数の数値を計算する。 上記のすべての刊行物及び特許明細書は、本明細書と一体に参照されたい。本 発明の記載した方法及びシステムの種々の改変は、本発明の範囲及び精神から逸 脱しないことは当業者には明らかであろう。本発明は特に好適な実施例に関連し て記載されているが、本発明の請求の範囲は、そのような特定の実施例に不当に 制限されるべきではないことを理解されたい。実際には、本発明を実施するため に記載された方法の種々の改変は、分子生物学或いは関連する分野の専門家には 明らかなように、請求の範囲内に含まれるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/21 C12N 9/64 A 9/64 C12P 21/02 C C12P 21/02 C12Q 1/68 A C12Q 1/68 A61K 39/395 D // A61K 39/395 N C12N 15/00 ZNAA (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY ,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AT,AU ,BR,CA,CH,CN,DE,DK,ES,FI, GB,IL,JP,KR,MX,NO,NZ,RU,S E,SG,US

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.配列番号:1のアミノ酸配列又はその断片を含む実質的に精製された前立腺 関連カリクレイン。 2.請求項1の前立腺関連カリクレインをコードする単離され精製されたポリヌ クレオチド配列。 3.請求項2のポリヌクレオチド配列と厳密な条件の下でハイブリダイズするポ リヌクレオチド配列。 4.請求項2のポリヌクレオチド配列を含むハイブリダイゼーションプローブ。 5.配列番号:2の配列又はその変異体を含む単離され精製されたポリヌクレオ チド配列。 6.配列番号:2の配列又はその変異体に相補的なポリヌクレオチド配列。 7.請求項6のポリヌクレオチド配列を含むハイブリダイゼーションプローブ。 8.請求項2のポリヌクレオチド配列を含む発現ベクター。 9.請求項8のベクターを含む宿主細胞。 10.配列番号:1のアミノ酸配列を含むポリペプチドの製造方法であって、 (a)該ポリペプチドの発現に適した条件の下で請求項9の宿主細胞を培養す る過程と、 (b)前記宿主細胞の培地から該ポリペプチドを回収する過程とを含むことを 特徴とする配列番号:1のアミノ酸配列を含むポリペプチドの生成方法。 11.請求項1のポリペプチドに特異的に結合する精製された抗体。 12.請求項1のポリペプチドに特異的に結合し、その活性を変調する 精製されたアゴニスト。 13.請求項1のポリペプチドに特異的に結合し、その活性を変調する精製され たアンタゴニスト。 14.請求項13の実質的に精製されたアンタゴニストを、適切な製薬用担体と 共に含む医薬品組成物。 15.癌の治療方法であって、 そのような治療が必要な患者に請求項14の医薬品組成物を有効量投与する過 程を含むことを特徴とする癌の治療方法。 16.前立腺疾患の治療方法であって、 そのような治療が必要な患者に請求項14の医薬品組成物を有効量投与する過 程を含むことを特徴とする前立腺疾患の治療方法。 17.生物学的サンプルにおけるカリクレインをコードするポリヌクレオチドの 検出方法であって、 (a)請求項6のポリヌクレオチドと生物学的サンプルにおける核酸材料とを ハイブリダイズさせ、ハイブリダイゼーション複合体を形成する過程と、 (b)前記ハイブリダイゼーション複合体を検出する過程とを含むことを特徴 とし、 前記複合体の存在が、前記生物学的サンプルにおけるカリクレインをコードす るポリヌクレオチドの存在と相関性を有することを特徴とする生物学的サンプル におけるカリクレインをコードするポリヌクレオチドの検出方法。
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