JP2001509018A - P53応答マウス遺伝子ei124に類似なdnaがコードするヒトアポトーシス関連タンパク質 - Google Patents

P53応答マウス遺伝子ei124に類似なdnaがコードするヒトアポトーシス関連タンパク質

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、新規なヒトアポトーシス関連タンパク質(NHAAP)及び、NHAAPを同定しコードするポリヌクレオチドを提供する。また本発明は、NHAAPをコードする核酸配列を含む遺伝子組換え発現ベクター及び宿主細胞、及びNHAAPの製造方法を提供する。また本発明は、NHAAPに特異的に結合するアゴニスト、抗体、又はアンタゴニスト、及びNHAAPの発現が関係する疾病の予防及び治療におけるそれらの使用方法を提供する。更に本発明は、NHAAPの発現が関係する疾病の治療のための、NHAAPをコードするポリヌクレオチドに対するアンチセンス分子の使用方法を提供する。また本発明は、該ポリヌクレオチド又はその断片若しくは相補配列、及びNHAAPに特異的に結合する抗体を利用する診断検査方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 P53応答マウス遺伝子EI124に類似なDNAが コードするヒトアポトーシス関連タンパク質技術分野 本発明は、新規なヒトアポトーシス関連タンパク質の核酸及びアミノ酸配列、 及びアポトーシスの増減が関係する疾病の診断、予防、及び治療におけるこれら の配列の使用に関するものである。背景技術 多細胞生物における正常な発達、成長、及びホメオスタシスには、生物体の体 全体の組織における細胞の生成と破壊の絶妙なバランスが必要である。細胞分割 は、多数のチェックポイント及び調節機構を備えた精密な協調プロセスである。 これらの機構は、DNA複製を調節し、不適切な又は過剰な増殖を防止するよう に設計されている。対照的にプログラムされた細胞死は、遺伝子によって調節さ れるプロセスであり、このプロセスによって、不要な又は損傷した細胞が、多く の場合急性の損傷や壊死と結びついている組織破壊や炎症反応を引き起こすこと なく除去され得る。 用語「アポトーシス」は、プログラムされた細胞死を受ける細胞を特徴づける 形態学的変化について説明するためにKerr,J.F.等により初めに用いられた用語 である(1972;Br.J.Cancer 26:239-257)。アポトーシス細胞は、膜脂質成分の変 化や核の高度な凝血を伴う収縮した外観を呈する。アポトーシス細胞は、隣接し た細胞又はマクロファージらよって速やかに貪食され、それらの損傷を与え得る 成分が周囲の組織に漏れ出したり、炎症反応を誘発することはない。 アポトーシスを調節するプロセス及び機構は、系統樹全体にわたって高いレベ ルで保存される。実際、アポトーシスについて現在知られてい ることの多くは、線虫Caenorhabditis elegans及びショウジョウバエDrosophila melanogasterの研究から得られたものである(例えばSteller,H.(1995)Science 267:1445-1449及びその中の引用文献を参照)。最近になって、アポトーシスの 調節不全は、ヒトの疾病の病原における有意な因子として認識されてきた。例え ば、細胞の生存度が不適切になることは、癌、自己免疫疾患、及び炎症性疾患の ような多くの疾病を引き起こす、つまりそれらの疾病の原因となり得る。逆にア ポトーシスが増加すると、例えばAIDS、神経変性疾患、脊髄形成異常症候群 のような免疫不全疾患を引き起こし得る(Thompson,C.B.(1995)Science 267:145 6-1462)。 種々のリガンド及びその細胞受容体、酵素、癌抑制因子、ウイルス遺伝子産物 、薬剤、及び無機イオンが、細胞のアポトーシスによる破壊の調節及び実現にお いて正又は負の重要な役割を有する。アポトーシス経路の幾つかの特定の構成要 素が同定され、特性化されてきたが、多くの関与するタンパク質間の相互作用は 未知であり、この経路の主要な部分は分かっていないままである(Steller,H., 前出;Thompson,C.B.,前出)。 p53タンパク質は、無調節増殖状態にある細胞におけるアポトーシスを開始さ せることにより癌抑制因子として機能することがわかった。p53は遺伝子や組織 に特異的な方式で特定の標的遺伝子の組の転写を剌激又は抑制することにより、 その効果を媒介するという考えが提示されてきた。例えば、ある細胞遺伝子は、 それらのプロモータ領域におけるp53応答性エレメントを介してp53により転写が 活性化される。逆に、p53応答性エレメントを欠いたいくつかの遺伝子はp53によ って抑制される。更に、p53が、特定の細胞タイプによって正又は負の何れかに その遺伝子の活性を調節することがわかってきたという事実は、p53媒介 転写調節における細胞特異因子又は同時制御因子の関与を示唆するものである( Debbas,M.等(1993)Genes Der 7:546-554;Zhao,J.等(1994)Mol Cell Biol 14:848 3-8492;Chin,K.等(1992)Science 255:459-462;Jackson,P.等(1994)Biochem Biop hys Res Commun 203:133-140)。 多くの化学療法薬の細胞毒性効果は、その化学療法薬のp53依存性経路を介し てのアポトーシスを引き起こす能力によって決まる。アポトーシス経路における 機能が立証されているp53調節遺伝子は、bcl-2とbaxの2つのみである。マウス 細胞のp53媒介アポトーシスの際に発現される他の遺伝子E124は、この経路の実 現に関与する遺伝子の別の候補であり得る。E124は、アポトーシスの際にその発 現が変化するRNAの種を同定するためにデザインされた異なる表示技術を用い て単離された。癌遺伝子(E1A及びT24-H-ras)で形質転換された細胞における機 能的なp53の発現は、E124のmRNAを誘導するに十分であることが認められた 。更にE124のmRNAは、例えばエトポシドで処理されたNIH3T3細胞及び放射線 を照射されたマウス胸腺細胞のような、p53媒介アポトーシスを受けている細胞 において速やかに誘導される。未処理の細胞や処理済みの細胞の中でp53を欠い ている細胞では、機能的E124は低濃度でしか存在していない。E124の配列は、進 化的に保存されているとみられる。その配列は、線虫CELF37アミノ酸配列と最も 近縁な領域で36%の同一性、全体として25%の相同性を有しているからであ る(Clarke,A.等(1993)Nature 362:849-852;Mishiyata,T.等(1994)Oncogene 9:1 799-1805;Lehar,S.M.(1996)Oncogene 12:1181-1187)。 マウスE124タンパク質に近縁なタンパク質の発見、及びそれらをコードするポ リヌクレオチドは、アポトーシスの増減が関係する疾病の診断及び治療において 役立つ新規な物質を提供することにより、当分野における必要性を満たすもので ある。発明の開示 本発明は、マウスE124(GI 1256606)に類似性を有することを特徴とする、新 規なヒトアポトーシス関連タンパク質(以下NHAAPと称する)を提供する。 従って本発明は、配列番号:1に示すアミノ酸配列を有する実質的に精製され たNHAAPを提供する。 本発明の或る態様は、NHAAPをコードする単離され実質的に精製されたポ リヌクレオチドを提供する。特定の態様では、このポリヌクレオチドは配列番号 :2のヌクレオチド配列である。 また本発明は、配列番号:2の相補配列又はその変異体を含むポリヌクレオチ ド配列を提供する。また本発明は、配列番号:2の配列と厳密な条件の下でハイ ブリダイズするポリヌクレオチド配列を提供する。 更に本発明は、該ポリペプチドをコードする核酸配列、オリゴヌクレオチド、 ペプチド核酸(PNA)、その断片、一部分、又はアンチセンス分子と、NHA APをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター及び宿主細胞を提供する 。また本発明は、NHAAPに特異的に結合する抗体と、実質的に精製されたN HAAPを含む医薬品組成物を提供する。また本発明は、NHAAPのアゴニス ト及びアンタゴニストの使用方法を提供する。また本発明は、アポトーシスの増 減の双方に関連する疾病の治療方法を提供する。図面の簡単な説明 第1A図、第1B図、第1C図、及び第1D図は、NHAAPのアミノ酸配列 (配列番号:1)及び核酸配列(配列番号:2)を示す。配列のアライメントは 、MacDNASIS PROTMソフトウエア(Hitachi Software Engineering Co.,Ltd.,San Bruno,CA)を用いて作成した。 第2A図及び第2B図は、NHAAP(配列番号:1)及びマウスE124 (GI 1256606;配列番号:3)の間のアミノ酸配列アライメントを示す。配列の アライメントは、DNASTARTMソフトウエアのマルチシーケンスアライメントプロ グラム(DNASTAR Inc,Madison WI)を用いて作成した。発明の実施の形態 本発明のタンパク質、核酸配列、及び方法について説明する前に、本発明は、 ここに開示した特定の方法論、プロトコル、細胞系、ベクター、及び試薬に限定 されず、実施形態を変更し得るものと理解されたい。また、ここで用いられる用 語法は、特定の実施例のみを説明する目的で用いられたものであり、請求の範囲 のみによって限定されるものである本発明の範囲を限定することを意図したもの ではないということも理解されたい。 本明細書及び請求の範囲において、単数を表す「1つの」及び「その」と形容 された表現(または数を表す表現を付していない場合)は、前後関係でそうでな いことが明らかである場合以外は、複数の意味も含んでいることに注意しなけれ ばならない。従って、例えば「宿主細胞」なる表記が表すものには、複数のその ような宿主細胞が含まれ、「抗体」なる表記は、1またはそれ以上の抗体及び当 業者に周知のその等価物等も表している。 本明細書における全ての科学技術専門用語は、別の意味で定義されていない場 合には、本発明の属する技術分野の専門家に一般に理解されるのと同じ意味を有 する。ここに説明したものと類似のまたは等価な方法や材料を本発明の実施や試 験において用いることができるが、好適な方法、装置、及び材料はここに説明さ れている。本明細書に記載された全ての文献は、本発明の関連において用いられ 得る文献で報告された細胞系、ベクター、及び方法論を説明し開示する目的で引 用されたものであ り、この引用により本明細書と一体にされる。 定義 本明細書において「核酸配列」は、一本鎖か二本鎖の、センス鎖又はアンチセ ンス鎖である、ゲノム起源又は合成起源のDNA、RNAや、オリゴヌクレオチ ド、ヌクレオチド、又はポリヌクレオチド、及びその断片又は一部分である。同 様に、本明細書において「アミノ酸配列」は、自然発生の分子または合成分子の 、オリゴペプチド、ペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質配列及びその断 片又は一部分である。 ここでは「アミノ酸配列」は、自然発生タンパク質分子のアミノ酸配列を指す ものとして説明されているが、「アミノ酸配列」や類似の用語、例えば「ポリペ プチド」又は「タンパク質」は、アミノ酸配列を、説明されるタンパク質分子に 関連する完全で元のままのアミノ酸配列に限定する意味で用いられてるのではな い。 本明細書において「ペプチド核酸」は、リジンのようなアミノ酸残基及びアミ ノ基が加えられたオリゴマーを含む分子である。これらの小分子は抗遺伝子剤と も称され、それに対して相補的な核酸の鎖に結合することにより転写物の伸長を 停止させる(Nielsen,P.E.等(1993)Anticancer Drug Des.8:53-63)。 本明細書において、NHAAPは、任意の種、特にウシ、ヒツジ、ブタ、マウ ス、ウマ、及び好ましくはヒトを含む哺乳類から得られる、天然の、合成の、半 合成の、又は組換え体の何れかを起源とする実質的に精製されたNHAAPのア ミノ酸配列である。 本明細書において「コンセンサス」は、再度シークエンシングされて不要な塩 基が分離された核酸配列か、XL-PCRTM(Perkin Elmer,Norwalk,CT)を用いて5 ’方向及び/または3’方向に延長されて、 再度シークエンシングされた核酸配列か、GELVIEWTM Fragment Assembly system (GCG,Madison WI)を用いて2以上のインサイト社クローンの重複した配列を元 に組み合わせて構成された核酸配列か、若しくは延長と組み合わせの双方によっ て形成された核酸配列の何れかである。 本明細書においてNHAAPの「変異体」は、1又は2箇所以上のアミノ酸が 変異したアミノ酸配列である。この変異体は「保存的」変化を含むものであり得 、この保存的変化においては、例えばロイシンをイソロイシンで置き換える場合 のように置換されるアミノ酸が類似な構造的及び化学的特性を有する。稀に、変 異体が「非保存的」に変化する場合もあり、この非保存的変化では例えばグリシ ンがトリプトファンで置換される。類似した小変化には、アミノ酸の欠失か挿入 、若しくはその両方も含まれる。例えばDNASTARソフトウエアのような良く知ら れたコンピュータプログラムを用いて、生物学的或いは免疫学的活性を損なわず に置換、挿入、又は除去できるアミノ酸が何れかということ、及びそのようなア ミノ酸がいくつかということを決定することができる。 本明細書において「欠失」は、1または2以上のヌクレオチド若しくはアミノ 酸残基が欠ける、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列における変化である。 本明細書において「挿入」或いは「付加」は、自然発生の分子と比較して、そ れぞれ1または2以上のヌクレオチド、アミノ酸残基が加わるような、ヌクレオ チド配列或いはアミノ酸配列の変化を指す。 本明細書において「置換」は、それぞれ1または2以上のヌクレオチド或いは アミノ酸を、異なるヌクレオチド或いはアミノ酸に置換することによって生ずる 変化である。 本明細書において、用語「生物学的に活性」は、自然発生の分子の構 造的機能、調節機能、又は生化学的機能を有するタンパク質である。同様に「免 疫学的に活性」は、天然の、組換え体の、又は合成のNHAAP、若しくはその 任意のオリゴペプチドが適当な動物や細胞における特定の免疫応答を誘発し、特 定の抗体に結合する能力である。 本明細書において、用語「アゴニスト」は、NHAAPに結合したとき、NH AAPの活性を変調するようなNHAAPの変化を生じさせる分子である。アゴ ニストには、NHAAPに結合するタンパク質、核酸、糖質や、任意の他の分子 が含まれ得る。 本明細書において、用語「アンタゴニスト」または「インヒビター」は、NH AAPに結合したとき、NHAAPの活性を阻害する分子である。アンタゴニス ト及びインヒビターには、NHAAPに結合するタンパク質、核酸、糖質や、任 意の他の分子が含まれ得る。 本明細書において、用語「変調」は、NHAAPの生物学的活性の変化又は変 質である。変調は、タンパク質活性の上昇や低下、結合特性の変化、又はNHA APの生物学的、機能的、免疫学的特性の他の変化であり得る。 本明細書において、用語「擬似物」は、NHAAPまたはその一部分の構造の 知識からその構造を知ることができ、そのようなものとして、アポトーシス関連 タンパク質様分子の作用の一部または全てに影響を与え得る分子である。 本明細書において、用語「誘導体」は、NHAAPをコードする核酸又はコー ドされたNHAAPを化学的に修飾したものを意味する。このような修飾の例に は、水素からアルキル基、アシル基、又はアミノ基への置換がある。核酸誘導体 は、未修飾NHAAPの必須の生物学的特性を保持しているポリペプチドをコー ドする。 本明細書において、用語「実質的に精製」は、天然の環境から取り除 かれ、天然にはそれが結合して存在する他の構成要素から単離又は分離されて、 その構成要素が60%以上、好ましくは75%以上、最も好ましくは90%以上 除去された核酸配列又はアミノ酸配列である。 本明細書において「増幅」は、核酸配列の更なる複製物を生成することであり 、通常は当業者に周知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を用いて行われる(D ieffenbach,C.W.及びG.S.Dveksler(1995)PCR Primer.a Laboratpry Manual,Cold Spring Harbor Press,Plainview,NY)。 本明細書において、用語「ハイブリダイゼーション(ハイブリッド形成)」は 、核酸の鎖が塩基対合を介して相補鎖と結合する過程である。 本明細書において、用語「ハイブリダイゼーション複合体」は、相補的なG塩 基とC塩基の間及び相補的なA塩基とT塩基の間での水素結合の形成によって、 2つの核酸配列で形成された複合体である。これらの水素結合は、塩基スタッキ ング相互作用(base stacking interaction)により更に安定化され得る。この 2つの相補的核酸配列は水素結合して、逆平行構造をなす。ハイブリダイゼーシ ョン複合体は、溶液中で形成されるか(例えばC0t又はR0t解析)、或いは核 酸は溶液中に存在する一方の核酸と、固定支持体(例えばin situハイブリダイ ゼーションのために細胞が固定されるメンブラン、フィルタ、ピン、またはスラ イドガラス)に固定化された他方の核酸との間で形成され得る。 本明細書において、用語「相補的」または「相補性」は、許容的な塩及び温度 の条件の下での塩基対によるポリヌクレオチド同士の自然の結合である。例えば 、配列「A−G−T」は相補的配列「T−C−A」に結合する。2つの二本鎖分 子間の相補性は、核酸の幾つかのみが結合している「部分的」なものであるか、 若しくは一本鎖分子間に完全な相補性が存在する場合は完全に相補的であり得る 。核酸鎖同士の相補性の程 度は、核酸鎖同士のハイブリダイゼーションの効率及び強度に有意な影響を与え る。このことは、核酸鎖同士の結合によって左右される増幅反応において特に重 要である。 本明細書において、用語「相同性」は、相補性の程度である。部分的な相同性 と、完全な相同性(即ち同一性)の場合があり得る。部分的に相補的な配列は、 同一の配列が標的の核酸とハイブリダイズするのを少なくとも部分的に阻害する ものであり、これを機能的な用語「実質的に相同な」を用いて表す。完全に相補 的な配列と標的配列とのハイブリダイゼーションの阻害は、低い厳密性の条件の 下で、ハイブリダイゼーションアッセイ(サザンブロット法またはノーザンブロ ット法、溶液ハイブリダイゼーション等)を用いて検定することができる。実質 的に相同な配列またはプローブは、低い厳密性の条件の下で標的の配列と、完全 に相同な配列またはプローブとの結合(即ちハイブリッド形成)について競合し 、それを阻害する。これは、低い厳密性の条件が、非特異的な結合を許容するよ うなものであると言っているのではない。低い厳密性の条件では、2つの配列の 相互の結合が特異的(即ち選択的)相互作用であることが必要である。非特異的 結合が存在しないことは、部分的な程度の相補性(即ち約30%未満の同一性) を有していない第2の標的配列を用いることにより試験できる。非特異的結合が 存在しない場合、プローブは第2の非相補的標的配列とハイブリダイズしない。 周知のように、多数の等価な条件を用いて、低い厳密性条件か高い厳密性条件 の何れかを含むようにすることができる。例えば配列の長さ及び性質(DNA、 RNA、塩基構成)、標的の性質(DNA、RNA、塩基構成、溶液中に存在す るか或いは固定化されているか等)、及び塩や他の成分の濃度(例えばホルムア ミド、デキストラン硫酸、及び/またはポリエチレングリコールの有無)のよう な要素を考慮してハイブリ ダイゼーション溶液を変え、上に列挙した条件とは異なるが等価である低い厳密 性または高い厳密性の何れかの条件を作り出すことができる。 本明細書において、用語「厳密な条件」は、約(Tm−5)℃(プローブの融 解温度(Tm)より5℃下)からTmの約20〜25℃下まで範囲で生ずる「厳 密性」である。当業者には理解されるように、ハイブリダイゼーションの厳密性 は、同一のポリヌクレオチド配列の同定や検出のためであるか、或いは近縁なポ リヌクレオチド配列の同定や検出のためであるかによって変えることができる。 本明細書において用語「アンチセンス」は、特定のDNAまたはRNA配列に 対して相補的なヌクレオチド配列である。「アンチセンス鎖」は、「センス」鎖 に対して相補的な核酸鎖の意味で用いられる。アンチセンス分子は、相補的鎖の 合成が可能なウイルスプロモータに、目的の遺伝子を逆方向に結合することによ る合成を含む任意の方法で作り出すことができる。この転写された鎖は、一度細 胞内に導入されると、細胞によって作られた天然の配列と結合して二重鎖を形成 する。次にこれらの二重鎖は更なる転写や翻訳を阻害する。このようにして、変 異体の表現型を作り出すことができる。「ネガティブ」なる表現はアンチセンス 鎖の意味で時折用いられ、「ポジティブ」はセンス鎖の意味で用いられることが ある。 本明細書において、(「所与のタンパク質の一部分」と用いられるような)タ ンパク質に関連する用語「一部分」は、そのタンパク質の断片である。この断片 のサイズは4つのアミノ酸残基から、(全アミノ酸配列−1)個のアミノ酸の範 囲に亘る。従って、「配列番号:1のアミノ酸配列の少なくとも一部分を含む」 タンパク質は、完全長ヒトNHAAPとその断片を含む。 本明細書の定義では、「形質転換」は、外来DNAが入り込みレシピ エント細胞を変化させるプロセスを意味する。このプロセスは、よく知られた種 々の方法を用いた天然または人工の条件の下で生じ得る。形質転換は、外来核酸 配列を原核細胞または真核細胞の宿主細胞に導入するための任意の既知の方法に 基づいている。この方法は形質転換される宿主細胞によって選択され、以下のも のに限定されないが、ウイルス感染、電気穿孔法、リポフェクション、及び微粒 子銃を用いる方法が含まれ得る。このように「形質転換された」細胞は、その中 で挿入されたDNAが自律的に複製するプラスミドとして、或いは宿主の染色体 の一部として複製が可能な安定的に形質転換された細胞を含む。またこのような 細胞は、限られた時間だけ導入されたDNAの一過性の発現をする細胞も含む。 本明細書において、用語「抗原決定基」は、特定の抗体と接触する分子の一部 分(即ちエピトープ)である。タンパク質またはタンパク質の断片を用いてホス トの動物を免疫すると、このタンパク質の種々の領域が、該タンパク質上の所定 の領域または三次元構造に特異的に結合する抗体の産生を誘発し得る。これらの 領域または構造を抗原決定基と称する。抗原決定基は、抗体への結合について、 そのままの抗原(即ち免疫応答を引き出すために用いられる免疫原)と競合し得 る。 本明細書において、用語「特異的結合」または「特異的に結合する」は、抗体 及びタンパク質またはペプチドの相互作用が、タンパク質上の特定の構造(即ち 抗原決定基またはエピトープ)の存在に左右されることを意味している。つまり 、この抗体はタンパク質全体ではなく、特定のタンパク質構造を認識して結合す る。例えば、抗体がエピトープ「A」に対して特異的である場合、標識した「A」 及びその抗体を含む反応において、エピトープA(つまり結合していない、無標 識のA)を含むタンパク質が存在すると、抗体に結合した標識Aの量が低下する 。 本明細書において、用語「サンプル」は、その最も広い意味で用いられる。N HAAPをコードする核酸またはその断片を含む疑いのある生物学的サンプルは 、細胞、細胞から単離された染色体(例えば中期染色体の展開物)、(溶液中の 、または例えばサザンブロット解析用に固体支持体に結合した)ゲノムのDNA 、(溶液中の、または例えばノーザンブロット解析用に固体支持体に結合した) RNA、(溶液中の、または固体支持体に結合した)cDNA、細胞や組織から の抽出物、その他を含み得る。 本明細書において、「ポリヌクレオチドの発現と相関性を有する」なる表現は 、ノーザン解析ハイブリダイゼーションアッセイにより、配列番号:2に類似な リボ核酸の存在が検出されることが、サンプル内のNHAAPをコードするmR NAの存在を表しており、従って該タンパク質をコードする遺伝子からの転写物 の発現と相関性を有しているということを表している。 本明細書において、配列番号:2のポリヌクレオチドにおける「変異」は、ハ イブリダイゼーションアッセイを用いて検出され得る欠失、挿入、及び点変異を 含む、NHAAPをコードするポリヌクレオチドの配列における変化を含む。こ の定義に含まれる変異は、(例えば、配列番号:2とハイブリダイズし得る制限 断片長の多形性のパターンの変化による)NHAAPをコードするゲノムのDN A配列に対する変異の検出、(例えばアレル特異的オリゴヌクレオチドプローブ を用いる)ゲノムDNAのサンプルと配列番号:2の選択された断片とがハイブ リダイズ不可能であること、及び(例えば中期染色体展開物との蛍光in situハ イブリダイゼーション(FISH)を用いた)NHAAPをコードするポリヌクレオ チド配列に対する正常な遺伝子座以外の遺伝子座とのハイブリッド形成のような 、不適当な或いは予期していないハイブリダイゼーショ ンによって検出される。 本明細書において、用語「抗体」は、そのままの抗体分子及び、例えば抗原決 定基と結合し得るFa、F(ab')2、及びFvのようなその断片である。NHAAPポ リペプチドに結合する抗体は、そのままのポリペプチド、成いは免疫化する抗原 としての目的の小型のペプチドを含む断片を用いて調製することができる。動物 を免疫するのに用いられるポリペプチドまたはペプチドは、翻訳されたcDNA または化学的合成物を起源とするものであり得、必要ならば担体タンパク質と結 合することができる。ペプチドに化学的に結合する通常用いられる担体には、ウ シ血清アルブミン及びサイログロブリンが含まれる。次にこの結合したペプチド を用いて動物(例えばマウス、ラット、またはウサギ)を免疫する。 本明細書において、用語「ヒト化抗体」は、元の結合能力をそのまま保持しつ つ、ヒトの抗体により近づけるために非抗体結合領域においてアミノ酸を置換し た抗体分子である。 発明 本発明は、新規なヒトアポトーシス関連タンパク質(NHAAP)の発見、N HAAPをコードするポリヌクレオチド、及びアポトーシスの増減が関係する疾 病の診断、予防、又は治療のためのこれらの物質の使用に基づくものである。 本発明のヒトNHAAPをコードする核酸は、変形性関節炎の膝関節cDNA ライブラリー(SYNOOAT01)を起源とするインサイト社クローンNo.723748に おいて、アミノ酸配列アライメントのコンピュータ検索によって初めに同定され た。コンセンサス配列の配列番号:2は、以下の重複及び/又は延長された核酸 配列、即ちインサイト社クローンNo.156335(THP1PLB02を起源)、723748(S TNOOAT01を起源)、 1963874(BRSTNOT04を起源)、2186546(PROSNOT26を起源)、2226710(SEMVNOT 01を起源)、2363217(LUNGFET03を起源)、及び2445356(THP1NOT03を起源)か ら構成されたものである。 或る実施例では、本発明は、第1A図及び第1B図に示す配列番号:1のアミ ノ酸配列を含むポリペプチドを包含する。NHAAPは340個のアミノ酸から なる長さを有し、マウスE124(GI 1256606;配列番号:3)と化学的及び構造的 相同性を有する。詳述すると、NHAAPとマウスE124は74%の同一性を共有 する。ノーザン解析の結果から、種々のライブラリーにおけるこの配列の発現が わかったが、ライブラリーの内52%以上は不死化又は癌細胞に由来するもので あり、20%以上は胎仔を起源とするものである。 また本発明はNHAAP変異体を包含する。好適なNHAAP変異体は、NH AAPアミノ酸配列(配列番号:1)と80%以上、より好適には90%以上の アミノ酸配列同一性を有するものである。最も好適なNHAAP変異体は、配列 番号:1と95%以上のアミノ酸配列同一性を有するものである。 また本発明は、NHAAPをコードするポリヌクレオチドを包含する。従って 、NHAAPのアミノ酸配列をコードする任意の核酸配列を用いて、NHAAP を発現する組換え分子をつくり出すことができる。特定の実施例では、本発明は 、第1A図、第1B図、第1C図、及び第1D図に示す配列番号:2の核酸配列 を含むポリヌクレオチドを包含する。 当業者には理解されるように、遺伝暗号の縮重の結果、任意の既知の自然発生 遺伝子のヌクレオチド配列と最小限の相同性しか有していないものも含めて、多 種のNHAAPコーディングヌクレオチド配列が作り出され得る。本発明は、可 能なコドン選択に基づく組み合わせを選択することにより作り出され得る、全て の可能な核酸配列の変異をその範囲 に含んでいる。それらの組み合わせは、自然発生のNHAAPのヌクレオチド配 列に適用されるような標準的なトリプレット遺伝暗号に基づいて作り出されるも のであり、このような全ての変異は、ここに具体的に示されたものと考えられた い。 NHAAP及びその変異体をコードするヌクレオチド配列は、適切に選択され た厳密性の条件の下で自然発生配列のヌクレオチド配列とハイブリッド形成可能 なものであるのが好ましいが、実質的に異なるコドンの使用頻度を有するNHA AP又はその変異体をコードするヌクレオチド配列を作り出すことは有益であり 得る。コドン選択は、特定のコドンが宿主によって使用される頻度に従って、特 定の原核細胞又は真核細胞の発現宿主におけるペプチド発現の発生率を高めるよ うに選択することができる。NHAAP及びその誘導体をコードするヌクレオチ ド配列を、コードされるアミノ酸配列を変えないように実質的に変更する理由は 、例えば自然発生配列から作り出される転写物より長い半減期のような、より望 ましい特性を有するRNA転写物を作り出すためである。 本発明の範囲には、NHAAP又はその誘導体をコードするDNA配列又はそ の一部の、完全な合成ケミストリによる作製も含まれる。作製したこの合成遺伝 子を、この出願時点において周知の試薬を用いて任意の入手可能なDNAベクタ ー及び細胞系に挿入することができる。更に、合成ケミストリを用いてNHAA Pをコードする配列又はその任意の一部分に突然変異を誘発させることができる 。 また本発明の範囲に含まれるものとして、種々の厳密性の条件の下で請求項に 記載のヌクレオチド配列、特に配列番号:2のヌクレオチド配列とハイブリダイ ズし得るポリヌクレオチド配列がある。ハイブリダイゼーション条件は、Wahl,G .M.及びS.L.Berger(1987;Methods Enzymol.152:399-407)及びKimmel,A.R.(1987 ;Methods in Enzymol. 152:507-511)に記載されているように、核酸結合複合体またはプローブの融解温 度(Tm)に基づいており、規定の厳密性において用いられ得る。 本発明の範囲に含まれるNHAAPをコードする変異核酸配列は、異なるヌク レオチド残基の欠失、挿入並びに置換を含み、結果的に同一の、または機能的に 等価のNHAAPポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとなるものである 。コードされたタンパク質も、サイレント変化を生ずるアミノ酸残基の欠失、挿 入並びに置換を含み、結果的に機能的に等価なNHAAPとなる。意図的な(de llberate)アミノ酸置換は、NHAAPの生物学的活性が保持される限りにおい て、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性並びにまた両親媒性についての 類似性に基づいてなされ得る。例えば負に荷電したアミノ酸にはアスパラギン酸 及びグルタミン酸が含まれ、正に荷電したアミノ酸にはリジン及びアルギニンが 含まれ、近い親水性値を持つ荷電していない極性頭基を有するアミノ酸には、ロ イシン、イソロイシン、バリン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミ ン、セリン、スレオニン、フェニルアラニン並びにチロシンが含まれる。 更に本発明の範囲に含まれるものとして、NHAAPのアレルがある。ここで 用いる「アレル」或いは「アレル配列」とは、NHAAPの対立形である。アレ ルは変異、すなわち核酸配列の変化によって生じ、一般に変異したmRNA或い はポリペプチドを生成するが、そのmRNA或いはポリペプチドの構造或いは機 能は、変わる場合もあれば変わらない場合もある。遺伝子によっては、アレル形 が存在しないもの、1つ存在するもの、或いは多数存在するものがある。一般に アレルを生じる変異はアミノ酸の自然な欠失、付加並びに置換に起因する。この タイプの変化はそれぞれ単独で、或いは他の変化と同時に、与えられた配列内で 1 又は2回以上生じ得る。 当業者が一般に利用可能な周知のDNA配列決定のための方法が、本発明の実 施において用いられ得る。この方法では酵素、例えばDNAポ Cleveland OH)、Taqポリメラーゼ(Perkin Elmer)、熱安定性T7ポリメラーゼ (Amersham,Chicago IL)、或いはGibco BRL(Gaithersburg MD)Methods社から市 販されているELONGASE増幅システムのような校正エキソヌクレアーゼと組換え体 ポリメラーゼとの組み合わせのような酵素を使用する。この処理は、HamiltonMi cro Lab2200(Hamilton,Reno,NV)、Peltier Thermal Cycler(PTC200;MJ Rese rch,Watertown MA)並びにABI377 DNAシーケンサ(Perkin Elmer)のような装置 を用いて自動化するのが好ましい。 NHAAPをコードする核酸配列は、部分的なヌクレオチド配列と、プロモー ター及び調節エレメントのような上流配列を検出するための当業者には周知の様 々な方法とを用いて伸長させることができる。例えば、用いることができる或る 方法、即ち「制限部位」PCR法では、汎用プライマーを用いて既知の座位に隣 接する未知の配列を得る(Sarkar,G.(1993)PCR Methods Applic 2:318-322)。 詳述すると、まずゲノムDNAを、既知の領域に対して特異的なプライマー及び リンカー配列に対するプライマーの存在下で増幅する。増幅された配列を、その 同じリンカープライマー及び最初のプライマーの内部に含まれる別の特異的プラ イマーを用いてPCRの2巡目にかける。PCRの各回の生成物を、適切なRN Aポリメラーゼを用いて転写させ、逆転写酵素を用いて配列決定する。 逆PCR法を用いて、既知領域に基づく多様なプライマーを利用した配列の増 幅、または伸長を行うことができる(Triglia,T.等(1988) Nucleic Acids Res 16:8186)。プライマーは、OLIGO 4.06(National Bioscien ces社,Plymouth MN)や別の適切なプログラムを用いて、長さが22〜30ヌク レオチドで、50%以上のGC含量を有し、かつ約68〜72℃の温度で標的配 列にアニールするように設計される。この方法ではいくつかの制限酵素を用いて 遺伝子の既知領域の適当な断片を作り出す。次にこの断片を分子内ライゲーショ ンにより環状にし、PCR用の鋳型として使用する。 使用できる別の方法はキャプチャPCR法であり、この方法ではヒト及び酵母 菌人工染色体DNA内の既知の配列に隣接するDNA断片をPCR増幅する(La gerstrom,M.等(1991)PCR Methods Applic 1:111-119)。この方法では、PC R処理の前に、DNA分子の未知の部分に、複数の制限酵素による消化及びライ ゲーションによって組換え二本鎖配列を配置しておいてもよい。 未知の配列を得るために用いることができる別の方法は、Parker,J.D.等の方 法(1991;Nucleic Acids Res 19:3055-3060)である。更に、PCR、ネスト化 プライマー、PromoterFinderTMライブラリーを用いて、ゲノムDNA内歩行を行 うことができる(Clontech,Palo Alto CA)。このプロセスは、ライブラリーを スクリーニングする必要がなく、イントロン/エクソン接合部を探し出すのに有 用である。 完全長cDNAをスクリーニングするときに好適なライブラリーは、サイズ選 択された、より大きなcDNAを含むライブラリーである。またランダムプライ ミングした(rondom primed)ライブラリーは、遺伝子の5’及び上流領域を含 む配列をより多く含むという点で好適である。ランダムプライミングしたライブ ラリーは、オリゴd(T)ライブラリーで完全長cDNAが得られない場合に特 に有用である。またゲノムライブラリーは、5’及び3’非翻訳領域への配列の 伸長のために役立ち 得る。 配列決定やPCRの産物のヌクレオチド配列をサイズ分析したり確認するため には、市販のキャピラリー電気泳動システムを用いることができる。詳述すると 、キャピラリーシークエンシングでは、電気泳動による分離のための流動性ポリ マー、レーザーで活性化される4つの異なる蛍光色素(各ヌクレオチドに対して 1つ)を使用し、CCDカメラにより放射線の波長の検出を行う。出力/光強度 は適切なソフトウエア(例えばPerkin elmer製のGenotyperTM及びSequence Navi gatorTM)を用いて電気信号に変換され、サンプルの負荷からコンピュータ解析 及び電子データ表示までの全過程がコンピュータ制御される。キャピラリー電気 泳動法は、特定のサンプル内に限られた量だけ存在するDNA小片の配列決定に 特に適している。 本発明の別の実施例では、NHAAP、融合タンパク質或いはその機能的等価 物をコードするポリヌクレオチド配列を、適切な宿主細胞内でのNHAAPの発 現を誘導する組換えDNA分子において用いることができる。遺伝暗号固有の縮 重のために、同一か機能的に等価なアミノ酸配列を実質的にコードする他のDN A配列も、NHAAPのクローニングや発現のために用いることができる。 当業者には理解できるように、非自然発生コドンを有するNHAAPコードデ ィングヌクレオチド配列を作り出すことは有益であり得る。特定の原核細胞或い は真核細胞の宿主において選好されるコドンを選択して、例えば、NHAAP発 現率を増大させたり、或いは自然発生配列から生成された転写物より長い半減期 のような望ましい特性を有する組換えRNA転写物を生成することができる。 本発明のヌクレオチド配列は、様々な目的、例えば、以下のものに限定はしな いが遺伝子産物のクローニング、プロセシング及び/又は発現 を変えるようにNHAAPをコードする配列を改変するために既知の方法を用い て組換えることができる。無作為断片によるDNA再編成や遺伝子断片のPCR 再会合及び合成オリゴヌクレオチドを用いて、ヌクレオチド配列を組換えること ができる。例えば、特定部位突然変異誘発のような当業者には周知の技術を用い て突然変異を誘発させることによって、新しい制限部位の挿入、グリコシル化パ ターンの変更、コドン選好の変化、スプライスバリアントの生成等をもたらすこ とができる。 本発明の別の実施例では、そのままのNHAAPコーディング配列、変異NH AAPコーディング配列、又は組換えNHAAPコーディング配列を異種の配列 に結合して、融合タンパク質をコードする配列にする。例えば、NHAAP活性 のインヒビターをペプチドライブラリーからスクリーニングする場合、市販の抗 体により認識される異なるペプチドを発現するキメラNHAAPタンパク質をコ ードすることが役立つ。融合タンパク質はNHAAP配列と異種のタンパク質配 列との間の位置に切断部位を有するように設計することもでき、これによってN HAAPを切断して、ヘテロの部分から分けて精製することが可能となる。 本発明の別の実施例では、当業者によく知られた化学的方法(Caruthers.M.H. 等(1980)Nuc Acids Res Symp Ser 7:215-223;Horn,T.等(1980)Nucl.Acids Re s Symp.Ser.225-232参照)を用いて、NHAAPコーディング配列の全体、或い はその一部を合成することができる。別法では、化学的方法を用いてタンパク質 自体を作り出して、NHAAPアミノ酸配列の全体或いはその一部を合成するこ とができる。例えば、種々の固相技術(Roberge,J.Y.等(1995)Science 269:202- 204)でペプチド合成を行うことができ、合成の自動化は、例えばABI 431Aペプ チドシンセサイザ(Perkin Elmer)を用いることにより達成することができる。 この新たに合成されたペプチドは、分離用高速液体クロマトグラフィにより実 質的に精製することができる(例えばCreighton T.(1983)Proteins Structure And Molecular Principles ,WH Freeman and Co.,NY参照)。合成されたペプチド の構成は、アミノ酸解析或いはシークエンシングにより確認することができる( 例えばエドマン分解法;Creighton,上述)。さらにNHAAPのアミノ酸配列 或いはその任意の部分を、その直接の合成の際の改変することにより、及び/又 は化学的方法を用いた他のタンパク質或いはその任意の部分に由来する配列との 結合することによって変異体ポリペプチドを作ることができる。 生物学的に活性なNHAAPを発現させるために、NHAAPコーディングヌ クレオチド配列或いはその機能的等価物を、適切な発現ベクター、すなわち挿入 されたコーディング配列の転写及び翻訳に必要な要素を含むベクターに挿入する 。 NHAAPコーディング配列及び適切な転写や翻訳の調節領域を含む発現ベク ターを作製するために当業者に周知の方法が用いられる。これらの方法には、in vitro組換えDNA技術、合成技術、並びにin vivo組換え技術、又は遺伝子組 換え技術が含まれる。このような技術は、Sambrook,J.等(1989)Molecular Cloni ng.A Laboratory Manual ,ColdSpring Harbor Press,Planview NY及びAusubel,F. M.等Current Protocol in Molecular Biology,John Wiley &Sons,New York NYに 記載されている。 種々の発現ベクター/宿主系を、NHAAPコーディング配列を保持し、かつ 発現するために利用することができる。このようなものには、以下のものに限定 はされないが、組換えバクテリオファージ、プラスミド或いはコスミドDNA発 現ベクターで形質転換した細菌のような微生物や、酵母菌発現ベクターで形質転 換した酵母菌や、ウイルス発現ベク ター(例えばバキュロウイルス)を感染させた昆虫細胞系や、ウイルス発現ベク ター(例えばカリフラワーモザイクウイルスCaMV、タバコモザイクウイルスTMV )をトランスフェクトした、或いは細菌の発現ベクター(例えばTi、或いはpBR3 22プラスミド)で形質転換した植物細胞系や、或いは動物細胞系が含まれる。 これらの系の「調節領域」或いは「制御配列」は、転写及び翻訳を実行するた めに宿主細胞のタンパク質と相互作用するベクターの非翻訳領域、即ちエンハン サー、プロモーター及び3’非翻訳領域である。このようなエレメントの、強さ 及び特異性は様々であり得る。利用されるベクター及び宿主に応じて、構成的及 び誘導的プロモーターを含む任意の数の適切な転写及び翻訳エレメントを用いる ことができる。例えば、細(Stratagene,LaJolla CA)のハイブリッドlacZプロモーター及びptrp-lacハイ ブリッド等のような誘導的プロモーターを用いることができる。バキュロウイル スポリヘドリンプロモーターは昆虫細胞において用いることができる。植物細胞 のゲノムに由来するプロモーター或いはエンハンサ(例えば熱ショック遺伝子,R UBISCO及び貯蔵タンパク質遺伝子)、若しくは植物ウイルスに由来するプロモー ター或いはエンハンサ(例えばウイルス性プロモータ或いはリーダー配列)を、 ベクターにクローン化してもよい。哺乳動物細胞では、哺乳類遺伝子或いは哺乳 類ウイルス由来のプロモーターが最適である。NHAAPをコードする配列の多 数の複製を含む株細胞を作る必要がある場合には、SV40或いはEBVに基づくベク ターを適切な選択マーカーと共に用いる。 細菌系では、NHAAPの用途に応じて多数の発現ベクターを選択することが できる。例えば抗体誘発のために大量のNHAAPが必要とされる場合は、容易 に精製される融合タンパク質を高レベルで発現できる ベクターが望ましい。そのようなベクターには、以下のものに限定はしないが、 多機能の大腸菌クローニング・発現ベクター、例えば する配列を、アミノ末端メチオニン及び後続のβ−ガラクトシダーゼの7残基の 配列を備えたフレーム内においてベクターに結合してハイブリッドタンパク質を 生成できる)や、pINベクター(Van Heeke,G.及びS.M.Schuster(1989)J.Biol. Chem.264:5503-5509)等が含まれる。またpGEXベクター(Promage、Madison WI )も、グルタチオンS−トランスファーゼ(GST)を有する融合タンパク質とし て異種ポリペプチドを発現するため用いることができる。一般に、そのような融 合タンパク質は可溶性であり、グルタチオンアガロースビーズへ吸着させた後、 遊離グルタチオンの存在下で溶出させることにより溶解した細胞から容易に精製 できる。その系において生成されたタンパク質は、ヘパリン、トロンビン或いは XA因子プロテアーゼ切断部位を含めて、目的のクローン化ポリペプチドをGST 部分から随意に放出させることができるように設計される。 酵母菌、サッカロミセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)では、α因 子、アルコールオキシダーゼ及びPGHのような構成的或いは誘導的プロモーター を含む多数のベクターを用いることができる。その概要を知るには、Ausubel等 (前出)及びGrant等(1987)Methods Enzymol 153:516-544を参照されたい。 植物発現ベクターを用いる場合には、NHAAPをコードする配列の発現は、 多数のプロモーターの何れかで促進される。例えばCaMVの35S及び19Sプロモータ ーのようなウイルスのプロモーターを、単独で、或いはTMV(Takamatsu,N.等(1 987)EMBO J 6:307-311)由来のオメガリーダー配列と共に用いることができる 。別法として、RUBISCO の小サブユニット、或いは熱ショックプロモーターのような植物プロモーターが 用いてもよい(Coruzzi,G.等(1984)EMBO J 3:1671-1680);Broglie,R.等(198 4)Science 224:838-843;及びWinter,J.等(1991)Results Probl.Cell Differ. 17:85-105)。これらの構成は、直接のDNA形質転換或いは病原体によるトラ ンスフェクションにより植物細胞内に導入できる。このような技術の種々の一般 に入手可能な文献に記載されている(Hobbs,S.又はMurry,L.E.McGraw Hill Yearb ook of Scienceand Technology (1992)McGraw Hill NY,pp191-196を参照された い)。 NHAAPの発現のために用いることができる別の発現系は昆虫系である。そ のような系の一つでは、Spodoptera frugiperda細胞或いはTrichoplusiaの幼虫 において外来遺伝子を発現するためのベクターとして、Autographa californica 核多角体病ウイルス(AcNPV)が用いられる。NHAAPをコードする配列は、 ポリヘドリン遺伝子のようなウイルスの非必須領域にクローニングされ、ポリヘ ドリンプロモーターの制御下に置かれ得る。NHAAPコーディング配列の挿入 が成功すると、ポリヘドリン遺伝子が不活性になり、コートタンパク質膜が欠如 した変異体ウイルスが生成される。次に、この変異体ウイルスを用いて、S.frug iperda 細胞或いはTrichoplusiaの幼虫へ感染させ、その中でNHAAPが発現さ れる(Engelhard,E.K.等(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.91:3224-3227)。 哺乳類宿主細胞では、多数のウイルス性発現系を利用することができる。発現 ベクターとしてアデノウイルスが用いられる場合には、NHAAPをコードする 配列は、後期プロモータ及び三連リーダー配列からなるアデノウイルス転写物/ 翻訳物複合体内に結合され得る。ウイルスのゲノムの非必須E1又はE3領域へ挿入 することにより、感染した宿主細胞でNHAAPを発現できる生ウイルスになる (Logan,J.及びShenk,T. (1984)Proc.Natl.Acad.Sci.81:3655-3659)。さらに、哺乳類宿主細胞内の発 現を増加させるためにラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサのような転写エン ハンサを用いることができる。 また、NHAAP配列の効率的な翻訳のためには、特定の開始シグナルも必要 である。これらのシグナルには、ATG開始コドン及び隣接する配列が含まれる。 NHAAP及びその開始コドン及び上流配列が適切な発現ベクター内に挿入され る場合には、翻訳制御シグナルを加える必要はない。しかしながらコーディング 配列又はその一部のみが挿入される場合には、ATG開始コドンを含む外来の翻訳 制御シグナルを与えなければならない。さらに、全インサートの転写が確実に行 われるようにするために、開始コドンは正しい読み枠に存在しなければならない 。外来転写エレメント及び開始コドンは、自然及び合成両方の様々な起源に由来 するものであり得る。発現の効率は、その細胞系に適切なエンハンサーを含める ことにより高めることができる(Scharf,D.等(1994)Results Probl.Cell Diff er.20:125-162)。 さらに宿主細胞株は、挿入された配列の発現を調節したり、発現したタンパク 質を望ましい形にプロセシングする能力で選択される。このようなポリペプチド の修飾には、以下のものに限定はしないが、アセチル化、カルボキシル化、グリ コシル化、リン酸化、脂質化(lipidation)並びにアシル化が含まれる。またタ ンパク質の「プレプロ」部分を切り離す翻訳後プロセシングも、正しい挿入、折 り畳み、及び/又は機能の発揮のために重要である。CHO、HeLa,MDCK、293、WI 38等のような異なる宿主細胞は、そのような翻訳後の活動のための特定の細胞装 置及び特徴的な機構を有しており、導入される異種タンパク質の修飾やプロセシ ングが確実に行われるように選択され得る。 長期間にわたって変異体タンパク質の高収率の産生を確保するために は安定した発現が望ましい。例えば、ウイルスの複製起源や内在性発現エレメン ト及び選択マーカー遺伝子を含む発現ベクターを用いて、NHAAPを安定的に 発現する株細胞を形質転換し得る。ベクターの導入の後、細胞を、選択培地に切 り替える前に濃縮培地内で1〜2日間増殖させる。選択マーカーの目的は、選択 のための耐性を与え、その存在によって導入された配列をうまく発現する細胞を 増殖、回収できるようにすることである。安定的に形質転換された細胞の耐性凝 集塊は、その細胞型に適した組織培養技術を用いて増殖することができる。 形質転換された株細胞を回収するために任意の数の選択系を用いることができ る。選択系には、以下のものに限定はしないが、単純へルペスウイルスチミジン キナーゼ(tk)(Wigler,M.等(1977)Cell 11:223-32)及びアデニンホスホリ ボシルトランスフェラーゼ(aprt)(Lowy,I.等(1980)Cell 22:817-23)遺伝 子が含まれ、それぞれtk及びaprt細胞において用いられる。また代謝拮抗物質、 抗生物質或いは除草剤への耐性を選択の基礎として用いることができる。例えば dhfrはメトトレキセートに対する耐性を与え(Wigler,M.等(1980)Natl Acad Sci 77:3567)、nptはアミノ配糖体のネオマイシン及びG-418に対する耐性を与え(Co lberre-Garapin,F.等(1981)J Mol Biol 150:1)、als或いはpatはクロルスル フロン(chlorsulfuron)、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ(p hosphinotricin acetyltransferase)に対する耐性を与える(Murry,前出)。 さらに選択に利用できる遺伝子として、例えば細胞がトリプトファンの代わりに インドールを利用できるようにするtrpB、細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノ ール(histinol)を利用できるようにするhisDが文献に記載されている(Hartma n,S.C.及びR.C.Mulligan(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.85:8047.51)。最近にな って、形質転換体を特定するためばかりではなく、特定ベクター系によ る一過性の或いは安定的なタンパク質発現の量を定量するために広く用いられる 、例えばアントシアニン、β−グルクロニダーゼ及びその基質、GUS、及びルシ フェラーゼ及びその基質、ルシフェリンのような可視マーカーがよく利用される ようになった(Rhodes,C.A.等(1995)Methods Mol.Biol.55:121-131)。 マーカー遺伝子発現の存在/不存在によって目的の遺伝子の存在も示されるが 、その存在及び発現は確認すべきである。例えばNHAAPをコードする配列が マーカー遺伝子配列内に挿入された場合は、NHAAPをコードする配列を含む 組換え体細胞をマーカー遺伝子の機能の存在により確認できる。別法では、マー カー遺伝子をNHAAPをコードする配列と直列に配置して、両者が単一プロモ ータの制御下となるようにすることができる。誘導に応じてのマーカー遺伝子の 発現、つまり選択は、通常直列に配置された配列の発現をも同時に示すことにな る。 この他当業者には周知の様々な方法により、NHAAPのコーディング配列を 含みNHAAPを発現する宿主細胞を識別できる。このような方法には、以下の ものに限定はしないが、DNA-DNA或いはDNA-RNAハイブリダイゼーション及び、核 酸及びタンパク質を検出及び/又は定量するための膜ベース、溶液ベース或いは チップベースの技術を含むタンパク質バイオアッセイ或いはイムノアッセイが含 まれる。 NHAAPをコードする配列のプローブ、一部、或いは断片を用いるDNA-DNA 又はDNA-RNAハイブリダイゼーション若しくは増幅により、NHAAPポリヌク レオチド配列の存在を検出することができる。核酸増幅に基づくアッセイでは、 NHAAPをコードするDNA或いはRNAを含む形質転換体を検出するために、核酸 配列に基づくオリゴヌクレオチド或いはオリゴマーを用いる。本明細書において 「オリゴヌクレオチド」或いは「オリゴマー」とは、プローブ或いは、PCRで 増幅される セグメントであるアンプリマーとして用いることができる核酸配列であって、長 さが約10ヌクレオチド以上、最大60ヌクレオチド程度、好適には15〜30 ヌクレオチド、より好適には20〜25ヌクレオチドであるものを指す。 このタンパク質に特異的なポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体のいず れかを用いてNHAAPポリペプチドの発現を検出し、測定するための種々のプ ロトコルが当業者には周知である。このようなプロトコルの例には、酵素結合免 疫検定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)及び蛍光表示式細胞分取器法 (FACS)を含まれる。NHAAPポリペプチド上で2つの非干渉なエピトープに 対して反応するモノクローナル抗体を利用する二部位モノクローナルベースイム ノアッセイ(two-site,monoclonal-based immunoassay)が好適であるが、競合 的結合アッセイも用いられる。これらアッセイの並びに他のアッセイは、他の文 献、Hampton,R.等(1990;Serological Methods .a Laboratory Manual,APS Pres s,St.Paul MN)及びMaddox,D.E.等(1983,J.Exp.Med.158:1211-1216)に記載され ている。 さらに多くの標識及び結合技術が当業者には周知であり、種々の核酸及びアミ ノ酸のアッセイにおいて用いることができる。近縁な配列を検出するための、標 識されたハイブリダイゼーションプローブやPCRプローブを作成するための手 段には、オリゴ標識、ニックトランスレーション法、末端標識、或いは標識ヌク レオチドを用いるPCR増幅などが含まれる。別法としては、NHAAPコーデ ィング配列、或いはその任意の部分を、mRNAプローブの作成のためのベクタ ーにクローン化する。そのようなベクターは当分野では周知で、市販されており 、例えばT7、T3、或いはSP6のような適切なRNAポリメラーゼ及び標識された ヌクレオチドを加えることにより、in vitroでRNAプローブを合成 するために用いることができる。これらの方法は、種々の市販のキット(Pharma cia Upjohn(Kalamazoo,MI);Promega(Madison WI);及びU.S.Biochemical C orp.(Cleveland OH))を用いて実行することができる。適切なリポーター分子 、すなわち標識には、放射性核種、酵素、フルオレセント(蛍光剤)、化学発光 剤或いは色素剤や、基質、補助因子、インヒビター、磁気粒子等が含まれる。 NHAAPをコードするヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞を、コー ドされたタンパク質を細胞培地で発現させ、そこから回収するのに適した条件下 で培養することができる。組換え体細胞により生成されるタンパク質は、用いら れる配列及び/またはベクターに応じて、細胞内に分泌、つまり細胞内に含まれ るようにすることができる。当業者には理解されるように、NHAAPをコード するポリヌクレオチドを含む発現ベクターを、原核細胞か真核細胞の細胞膜を通 してのNHAAP分泌を誘導するシグナル配列を含むように設計することができ る。他の組換え体作製物では、NHAAPをコードする配列を、可溶性タンパク 質の精製を容易にするポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列に結 合することができる。そのような精製を容易にするドメインには、以下のものに 限定はしないが、固定化金属上での精製を可能にするヒスチジントリプトファン モジュールのような金属キレートペプチド、固定化免疫グロブリン上での精製を 可能にするプロテインAドメイン、並びにFLAGS伸長/アフィニティ精製システ ムにおいて用いられるドメイン(Immunex Corp.,Seattle WA)が含まれる。精製 ドメインとNHAAPの間にXA因子或いはエンテロキナーゼ(Invitrogen,San Diego CA)に対して特異的な配列のような切断可能なリンカー配列を含めるの は精製を促進するのに役立つ。NHAAPをコードする配列とともに、6個のヒ スチジン残基、それに続くチオレドキシン及びエンテロ キナーゼ切断部位をコードする核酸配列を含むこのような発現ベクターの1つは 、融合タンパク質を発現する。ヒスチジン残基がIMIAC(Porath,J等(1992;Prote in Exp.Purif.3:263-281)に記載のような固定化金属イオンアフィニティクロマ トグラフィー)精製を促進するとともに、エンテロキナーゼ切断部位が融合タン パク質からのNHAAPの精製のための手段となる。融合タンパク質を含むベク ターについての解説は、Kroll,D.J.等(1993;DNA Cell Biol.12:441-453)に記 載されている。 組換え体の産生に加えて、NHAAPの断片を、固層技術を用いた直接のペプ チド合成で形成することもできる(Merrifield J.(1963)J.Am.Chem.Soc.85:2149 -2154参照)。in Vitroタンパク質合成は手作業で行えるが、自動化することも できる。自動的な合成は、例えば、Applied Biosystem 431Aペプチドシンセサイ ザ(Perkin Elmer)を用いて行うことができる。NHAAPの種々の断片を個別 に化学的に合成し、化学的方法を用いて結合して完全長分子を作り出してもよい 。 治療 NHAAP(配列番号:1)及びE124(配列番号:3)の間の化学的及び構造 的相同性に基づき、NHAAPはアポトーシスの増減の双方と関連する疾病及び 疾患において一定の役割を果たすと考えられる。 従って、或る実施例では、アポトーシスの減少に関連する疾患の治療又は予防 のために、NHAAP又はその断片若しくは誘導体を患者に投与し得る。そのよ うな疾患には、以下に限定されないが、脳、舌、結腸、膀胱、肺、及び頭蓋の癌 や乳房、前立腺、子宮、精巣、及び卵巣の癌を含むホルモン依存性癌;リンパ腫 及び白血病や、全身性エリテマトーデス、強皮症、及び関節炎のような自己免疫 疾患、及びヘルペス感染症、HIV感染症、アデノウイルス感染症、及びHTL V−1関連悪性疾患 のようなウイルス感染症が含まれる。 別の実施例では、上述のようなアポトーシスの低下に関連する疾患の治療のた めに、NHAAP又はその断片若しくは誘導体を発現し得るベクターを患者に投 与することもできる。 別の実施例では、アポトーシスの増加に関係する疾患の治療のために、NHA APをコードする核酸配列のアンチセンスを発現するベクターを患者に投与し得 る。このような疾患には、以下に限定されないが、アルツハイマー病、パーキン ソン病、及び筋萎縮性側索硬化症を含む神経変性疾患、再生不良性貧血のような 異形成脊髄疾患、卒中、外傷、及び心発症による虚血性障害、及び後天性免疫不 全症候群が含まれる。 別の実施例では、上述のようなアポトーシスの増加が関係する疾患の治療又は 予防のために、NHAAPのアンタゴニスト又はインヒビターを患者に投与し得 る。或る態様では、NHAAPに特異的な抗体を、アンタゴニストとして直接的 に用いたり、或いはNHAAPを発現する細胞又は組織へ薬物を送達するための ターゲティング又はデリバリー機構として間接的に用いることができる。 他の実施例では、上述のような治療用のタンパク質、アンタゴニスト、抗体、 アゴニスト、アンチセンス配列又はベクターのいずれかを、他の適切な薬物と組 み合わせて投与することができる。当業者であれば、併用療法において使用する ための適切な薬剤を、従来の薬学の原理に基づいて選択することができよう。治 療薬を組み合わせることにより、上述の種々の疾患の治療又は予防についての相 乗作用を与え得る。この方法を用いることにより、より低い投与量の各薬剤で同 じ治療効果を達成することができ、これにより副作用を低下させることができる 。 NHAAPのアンタゴニスト又はインヒビターは、周知の方法を用いて製造す ることができる。詳述すると、精製されたNHAAPを用いて、 抗体を製造したり、薬物のライブラリーからNHAAPに特異的に結合するもの を選別することができる。 抗体は当分野において周知の方法を用いて生成することができる。このような 抗体には、以下のものに限定されないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル 抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、Fabフラグメント、及びFab発現ライブラリーに より生成されたフラグメントが含まれる。中和抗体(即ち二量体形成を阻害する 抗体)は治療的使用には特に好適である。 抗体を産生するため、NHAAP或いは免疫学的特性を保持するその任意の一 部、断片或いはオリゴペプチドを注射することによって、ヤギ、ウサギ、ラット 、マウス等を含む種々の宿主を免疫することができる。宿主の種に応じて、種々 のアジュバントを免疫学的反応を増強するために用いることができる。そのよう なアジュバントには、以下のものに限定はしないが、フロイントのアジュバント 、水酸化アルミニウムのような無機質ゲルアジュバント、リゾレシチンのような 界面活性物質アジュバント、プルロニックポリオールアジュバント、ポリアニオ ンアジュバント、ペプチドアジュバント、油性乳剤アジュバント、キーホールリ ンペットヘモシニアンアジュバント並びにジニトロフェノールアジュバントが含 まれる。BCG(カルメット‐ゲラン杆菌)及びコリネバクテリウム−パルヴム (Corynebacterium parvum)は有用なヒトアジュバントである。 好ましくは、NHAAPに対する特異的抗体を誘発するために用いられるペプ チドは、5個以上のアミノ酸、より好ましくは10個以上のアミノ酸からなるア ミノ酸配列を有し得る。また好ましくは、これらの配列は、自然タンパク質のア ミノ酸配列の一部と同一であり、小形の自然発生の分子の全アミノ酸配列を含ん でいてもよい。NHAAPアミノ酸 の短いストレッチを、キーホールリンペットヘモシアニン及びキメラ分子に対し て産生された抗体のような他のタンパク質の配列に融合してもよい。 NHAAPのモノクローナル抗体は、培地内の連続株細胞によって抗体分子を 産生する任意の技術を用いて調製できる。このような技術には、以下のものに限 定はしないが、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術、及びEB V−ハイブリドーマ技術(Kohler,G.等(1975)Nature 256:495-497;Kozbor,D.等 (1983)Immunol Methods 81:31-42;Cote,R.J.等(1983)Proc.Natl.Acad.Sci.80:2 026-2030;Cole,S.P.等(1984)Mol.Cell Biol.62:109-120)が含まれる。 さらに、適切な抗原特異性並びに生物活性を有する分子を得るための「キメラ 抗体」の産生、即ちヒト抗体遺伝子へのマウス抗体遺伝子の結合のために開発さ れた技術が用いられる(Morrison,S.L.等(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.81:6851-68 55;Neuberger,M.S.等(1984)Nature 312:604-608;Takeda,S.等(1985)Natur e 314:452-454)。別法として、一本鎖抗体の生成のための周知技術を適用して 、NHAAP特異的一本鎖抗体を作り出すことができる。近縁な特異性を有する が、イディオタイプの構成が異なる抗体は、無作為の免疫グロブリン組み合わせ ライブラリーからの鎖再編成(chain shuffling)により生成することができる (Burton D.R.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.88:11120-3)。 また抗体は、リンパ球集団でのin vivo産生を誘導することにより、或いは文 献(Orlandi,R.等(1989),Proc.Natl.Acad.Sci.86:3833-3837;Winter,G.等1991, Nature 349:293-299)に開示されているような高度に特異的な結合試薬のパネル や組換え免疫グロブリンライブラリーをスクリーニングすることによっても生成 することができる。 NHAAPに対する特異結合部位を含む抗体フラグメントも生成する ことができる。このようなフラグメントには例えば、限定はしないが、抗体分子 のペプシンによる消化で生成することができるF(ab')2フラグメントや、F(ab')2 フラグメントのジスルフィド架橋を減らすことにより生成することができるFab フラグメントが含まれる。別法として、所望の特異性を有するモノクローナルFa bフラグメントを迅速かつ容易に同定できるように、Fab発現ライブラリーを作製 してもよい(Huse,W.D.等(1989)Science 256:1275-1281)。 所望の特異性を有する抗体を同定するための選別のために種々のイムノアッセ イを用いることができる。確立された特異性を有するモノクローナル抗体或いは ポリクローナル抗体のいずれかを用いる競合的結合アッセイ或いは免疫放射線測 定法の種々のプロトコルが当分野ではよく知られている。このようなイムノアッ セイでは、NHAAPとその特異的抗体との複合体の形成、並びに複合体形成の 測定が行われる。特定のNHAAPタンパク質上の2つの互いに非干渉なエピト ープに対して反応するモノクローナル抗体を用いる二部位モノクローナルベース イムノアッセイが好適であるが、競合的結合アッセイも用いられる(Maddox,前 出)。 本発明の別の実施例では、NHAAPをコードするポリヌクレオチド、または その任意の断片やアンチセンス配列を、治療目的で用いることができる。或る態 様では、このタンパク質の合成を阻害することが望ましいような状況において、 NHAAPをコードするポリヌクレオチドに対するアンチセンスを用いることが できる。詳述すると、NHAAPをコードするポリヌクレオチドに対するアンチ センス配列で細胞を形質転換することができる。従って、アンチセンス配列を用 いて、NHAAP関連の組織損傷を予防したり、遺伝子機能の調節を達成するこ とができる。このような技術は現在周知となっており、センス又はアンチセンス オリ ゴマー、若しくはより大きな断片を、NHAAPコーディング配列のコード領域 や調節領域の種々の位置から設計することができる。 レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペス或いはワクシニアウイルスに由来 する発現ベクター、或いは種々の細菌性プラスミドに由来する発現ベクターは、 標的の器官、組織、または細胞群へのヌクレオチド配列の送達のために用いられ る。当業者によく知られた方法を用いて、NHAAPをコードする配列のアンチ センスを発現する組換えベクターを作り出すことができる。これらの技術はSamb rook等(上記)及びAusubel等(上記)に記載されている。 所望のNHAAP断片を高レベルで発現する発現ベクターを細胞または組織に トランスフェクトすることにより、NHAAPをコードする遺伝子の機能を停止 させることができる。このような作製物は、翻訳不可能なセンス配列或いはアン チセンス配列で細胞に導入するために用いることができいる。このようなベクタ ーは、DNAへ組み込まれない場合ですら、全ての複製物が内在性ヌクレアーゼ により分解されるまで、RNA分子を転写し続ける。このような一過性の発現は 、非複製ベクターでも1ヶ月以上、適当な複製エレメントがベクター系の一部で ある場合には更に長い期間継続し得る。 上述のように、NHAAPをコードする配列の制御領域、即ちプロモータ、エ ンハンサ或いはイントロンに対するアンチセンス分子、DNA、RNAまたはP NAを設計することにより遺伝子発現を改変することができる。転写開始部位、 例えばリーダー配列の+10〜−10領域の間に由来するオリゴヌクレオチドが 好適である。また、転写産物がリボソームへの結合するのを防止することにより mRNAの翻訳を阻止するアンチセンス分子も設計される。同様に、「三重らせ ん」塩基対合法を用いて阻害を達成することができる。三重らせん対合は、二重 らせんが十 分にほどけないことでポリメラーゼ、転写因子、或いは調節分子が結合できない ようにする。三重らせんDNAを用いた最近の治療法は、文献(Gee,J.E.等(199 4)於Huber,B.E.及びB.I.Carr,Molecular and Immunologic Approaches,Futura P ublishing Co,MtKisco NY)に記載されている。 リボザイムはRNAの特異的切断を触媒することができる酵素性RNA分子で ある。リボザイムの作用機序では、相補的標的RNAへのリボザイム分子の配列 特異的ハイブリダイゼーションが行われ、その後エンドヌクレアーゼによる切断 (endonucleolytic cleavage)がなされる。発明の範囲内には、NHAAPのエ ンドヌクレアーゼによる切断を特異的かつ効果的に触媒し得る人工合成のハンマ ーヘッド型リボザイム分子も含まれている。 任意のRNA標的可能部分内の特異的なリボザイム切断部位を、初めに、配列 GUA、GUU並びにGUCが後続するリボザイム切断部位に対する標的分子を調べるこ とによって同定する。一度同定されると、切断部位を含む標的遺伝子の領域に対 応する15〜20個のリボヌクレオチドの間の短いRNA配列を、そのオリゴヌ クレオチドの機能を停止させる2次構造の特徴について評価することが可能とな る。候補の標的部分の適切性も、リボヌクレアーゼ保護アッセイを用いて相補的 なオリゴヌクレオチドとのハイブリッド形成に対する接触性をアッセイすること により評価することができる。 本発明のアンチセンス分子及びリボザイムは、RNA分子を合成するのための 当分野で周知の方法により調製することができる。これらの技術には、固相ホス ホラミダイト(phosphoramidite)化学合成のようなオリゴヌクレオチドの化学 的合成技術が含まれる。この他、RNA分子を、NHAAPをコードするDNA 配列のin vivo及びin vitro転写に より生成することができる。このようなDNA配列は、T7或いはSP6のよう な適切なRNAポリメラーゼプロモーターを有する多種のベクターに組み込むこ とができる。更に別の方法として、構成的に或いは誘導的にアンチセンスRNA を合成するアンチセンスcDNA作成物を、株細胞、細胞或いは組織内に導入す ることができる。 RNA分子は細胞内安定性を高め及び半減期を長くするために修飾することが できる。可能な修飾には、限定はしないが、その分子の5’末端か3’末端、或 いはその両方へのフランキング配列の付加や、分子のバックボーン内においてホ スホジエステラーゼ結合ではなくホスホロチオネート(phosphorothioate)或い は2’O−メチルを使用することが含まれる。このコンセプトは、PNA生成固 有のものであり、内在性エンドヌクレアーゼにより容易に認識されないアデニン 、グアニン、シチジン、チミン、及びウリジンの、アセチル−、メチル−、チオ −形態、及び類似の改変形態とともに、イノシン、キュエオシン(queosine)、 及びワイブトシン(Wybutosine)のような従来あまり用いられなかった塩基を含 めることによって、これら全ての分子に拡張することができる。 細胞或いは組織内にベクターを導入するための方法には、上述の方法が含まれ 、これらの方法は、in vivoin vitro、及びex vivoの使用に対しても同様に適 切なものである。ex vivo治療法の場合には、患者から採取された幹細胞にベク ターを導入し、自家移植用のクローンとして増殖して同じ患者に戻す方法がある 。またトランスフェクションによるデリバリー、リポソームによるデリバリーは 、当分野でよく知られている。 上述の治療法の任意のものは、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、サル 、及び最も好ましくはヒトのような哺乳類を含む、任意の適切な被験体に適用す ることができる。 本発明の更に別の実施例は、上述の治療効果のいずれかを発揮させる べく、薬学的に許容される担体とともに医薬品組成物を投与することに関連する 。このような医薬品組成物は、NHAAP、NHAAPに対する抗体、NHAA Pの擬似物、アゴニスト、アンタゴニスト、又はインヒビターからなるものであ り得る。この医薬品組成物は、単体で、或いは例えば安定剤のような1種以上の 他の薬剤と組み合わせて、任意の無菌の生体適合性製薬用担体に含めて投与され る。このような担体には、限定はしないが、生理食塩水、緩衝食塩水、ブドウ糖 或いは水が含まれる。これらの分子は、患者に対して、単体で、或いは他の薬品 やホルモンと結合して、賦形剤或いは製薬学的に許容される担体と混合される他 の医薬品組成物に含めて投与され得る。本発明の或る実施例では、製薬学的に許 容される担体とは、製薬学的に不活性なものである。 本発明で用いられる医薬品組成物の投与経路には、以下の経路に限定されない が、経口投与、静脈内投与、筋肉内投与、動脈内投与、髄内投与、くも膜下内投 与、心室内投与、経皮投与、皮下投与、腹腔内投与、鼻腔内投与、経腸投与、局 所投与、舌下投与、或いは直腸内投与が含まれ得る。 活性成分に加えて、これらの薬品組成物は、薬学的に用いられ得る調合物内へ の活性化合物の処理を容易にする賦形剤及び補助剤を含む適切な製薬学的に許容 される担体を含み得る。調合或いは投与に関する技術の詳細は、“Remington's Pharmaceutical Sciences”(Maack Publishing Co,Easton PA)の最新版において 見ることができる。 経口投与用の医薬品組成物は、当分野でよく知られる製薬学的に許容される担 体を用いて適切な剤形に製剤される。このような担体により、薬品組成物は、治 療を受ける患者による経口及び鼻腔摂取のための、錠剤、丸剤、カプセル剤、液 体剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁液或いは類似の製剤として処方さ れる。 経口投与するための製剤は、活性化合物と固形の賦形剤とを結合することによ って得ることができるが、所望に応じて、必要なら適切な補助剤を添加した後、 得られた混合物を粉砕し、顆粒の混合物を処理して、錠剤或いは糖衣剤核を得る ことができる。適切な賦形剤は、ラクトース、スクロース、マンニトール或いは ソルビトールを含む砂糖のような糖質或いはタンパク質充填剤、とうもろこし、 小麦、米、じやがいも等からのでんぷん、メチルセルロース、ヒドロキシプロピ ルメチルセルロース或いはカルボキシルメチルセルロースナトリウムのようなセ ルロース、アラビアゴム或いはトラガカントのようなゴム、並びにゼラチン或い はコラーゲンのようなタンパク質である。必要ならば、架橋結合したポリビニル ピロリドン、寒天、アルギン酸ナトリウムのようなアルギン酸或いはアルギン酸 ナトリウムや、その塩のような、崩壊剤或いは可溶化剤が加えられる。 糖衣剤核は、濃縮砂糖溶液のような適切な錠皮を与えられるが、溶液はアラビ アゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポルゲル剤、ポリエチレングリ コール並びにまた二酸化チタン、ラッカー溶液及び適切な有機溶剤或いは溶剤混 合物が含み得る。錠剤の識別のため、すなわち活性化合物の量、すなわち投与量 を特徴付けるために染料或いは色素が錠剤或いは糖衣錠皮に加えられてもよい。 経口投与可能な製剤は、ゼラチンからなるプッシュフィットカプセル及びゼラ チンからなる柔らかい、密封されたカプセル、並びにグリセロール或いはソルビ トールのような錠皮を含む。プッシュフィットカプセルは、ラクトース或いはで んぷんのような充填剤或いは結合剤、タルク或いはステアリン酸マグネシウムの ような潤滑剤、並びに付加的には安定剤と混合された活性処方組成物を含み得る 。柔らかいカプセルでは、活性化合物は、安定剤があるなしにかかわらず、脂肪 油、液体パラフィ ン、液体ポリエチレングリコールのような適切な液体に溶解或いは懸濁される。 非経口投与用の製剤は、水溶性の活性化合物の水溶液を含む。注射用として、 本発明の薬品組成物を水溶液、好適にはハンクの溶液、リンゲル溶液或いは生理 緩衝食塩水のような生理学的に適合性の緩衝液に入れて製剤することができる。 水性の注入懸濁剤は、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール 或いはデキストランのような懸濁剤の粘性を高める物質を含み得る。更に、活性 成分の懸濁液は、適切な油性注入懸濁剤として調製される。適切な親油性の溶媒 或いは媒介物は、胡麻油のような脂肪油や、オレイン酸エチル、トリグリセリド 或いはリポソームのような合成脂肪酸エステルを含む。また懸濁剤は、所望に応 じて、それにより溶解度を増加し、非常に濃縮された溶液の調製ができるように なる適切な安定剤或いは薬剤を含んでもよい。 局所的投与または経鼻粘膜投与用には、浸透される特定の障壁に対して適切な 浸透剤を用いて調合が行われる。このような浸透剤は、一般に周知である。 本発明の薬品組成物は周知の方法、例えば従来の混合処理、溶解処理、顆粒化 処理、糖衣形成処理、研和処理、乳化処理、封入処理(entrapping)処理或いは凍 結乾燥処理により製造される。 この医薬品組成物は塩類として提供されることもあり、限定はしないが、塩酸 、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸等を含む、多くの酸とともに 形成することができる。塩は、対応する遊離塩基形態である水性或いはプロトニ ック溶剤において、より可溶性が高くなる傾向がある。他の場合には、好適な製 剤は、1mM〜50mMのヒスチジン、0.1%〜2%のショ糖、使用前に緩衝 剤と結合させたpH範囲4.5〜5.5にある2%〜7%のマンニトールにおけ る凍結乾燥粉末であ る。 製薬学的に許容される担体内に製剤された本発明の化合物を含む組成物は、調 製された後、適切な容器内に入れて、さらに提示した疾病状態の治療のためにラ ベル付けすることができる。NHAAPの投与の場合、このようなラベルには、 投与の量、頻度、方法が表示される。 本発明において使用するために適切な医薬品組成物は、活性成分を所望の目的 を達成するための有効量含む組成物である。有効量の決定は、当業者の能力の範 囲内で十分行うことができる。 任意の化合物について、治療的有効量は、初めに、新生物細胞、或いは通常マ ウス、ウサギ、イヌ、ブタのような動物モデルの何れかの細胞培地のアッセイか ら推定される。次いで、このような情報を用いて、ヒトにおける有効量や投与経 路を決定することができる。 治療的有効量とは、症状や状態を改善するタンパク質、その抗体、アンタゴニ スト、またはインヒビターの量である。そのような化合物の毒性及び治療的有効 性は、例えばLD50(個体群の50%の致死投与量)及びED50(個体群の 50%における治療的有効量、50%有効量)を決定するための、細胞培地或い は実験動物における標準的な製薬学的方法により決定することができる。毒性と 治療有効性との間の投与量比は治療指数であり、LD50/ED50の比として 表すことができる。大きな治療指数を示す医薬品組成物が好ましい。これらの細 胞培地のアッセイ及び付加的な動物研究から得られるデータは、ヒトへの使用に 対する投与量の範囲を決める際に用いることができる。そのような化合物の投与 量は、毒性がほとんど或いは全くなく、ED50を達成する循環濃度の範囲内に あることが望ましい。投与量は、用いられる剤形、患者の感受性並びに投与経路 に応じてこの範囲内で変化する。 正確な投与量は治療されるべき患者を考慮して個々の医師により選択 される。投与量及び投薬量は、十分なレベルの活性成分を与え、かつ所定の効果 を維持するために調節される。考慮すべき付加的な要因は、疾患状態の重症度、 または患者の年齢、体重並びに性別、食事、投与の時間及び頻度、併用する薬剤 、反応感受性、並びに治療への耐性/反応を含む。長期的に作用する薬品組成物 は3〜4日毎に、1週間毎に、或いは半減期及び特定の処方のクリアランス速度 に応じて2週間に1度投与してもよい。 通常の投与量は0.1〜100,000μgの範囲にあって、全投与量は最大 約1gであり、投与経路に応じて変わってくる。特定の投与量或いは送達の方法 に関する手引きは、当分野の実施者が通常入手できる文献において見出すことが できる。当業者なれば、ヌクレオチドに対しては、タンパク質やインヒビター用 の剤形とは異なる剤形を採用するであろう。同様に、ポリヌクレオチドまたはポ リペプチドの送達方式は、特定の細胞、状態、位置等によって決まってくる。 診断 別の実施例において、NHAAPに特異的な抗体は、NHAAPの発現を特徴 とする状態や疾病の診断や、NHAAPで治療を受けている患者のモニタリング のためのアッセイにおいて役立つ。診断目的で有用な抗体は、上述の治療用のも のと同じように調製することができる。NHAAPの診断的測定法には、ヒトの 体液、細胞或いは組織の抽出物においてNHAAPを検出するために抗体或いは 標識を利用する方法が含まれる。本発明のポリペプチド及び抗体は、修飾したも のでも、修飾なしでも用いることができ、共有結合、或いは非共有結合かのいず れかでリポーター分子と結合することにより標識することができる。種々のリポ ーター分子が周知となっており、その幾つかについては上記した。 例えばELISA(酵素結合免疫測定法)、RIA(ラジオイムノアッセイ)並びにFA CS(蛍光表示式細胞分取器法)を含む、NHAAPを測定するための種々のプロ トコルが当分野では周知であり、これによってNHAAP発現の変化や異常を診 断するための基礎が得られる。NHAAPの発現の正常値、つまり標準値は、哺 乳類、好ましくはヒトの正常被験者から得られる体液或いは細胞抽出物とNHA APに対する抗体とを、複合体形成に適した条件の下で結合することによって得 ることができる。標準の複合体形成量は、種々の方法、好ましくは測光手段を用 いることにより定量することができる。被験者、対照標準、及び生検組織からの 患部組織サンプルにおいて発現されたNHAAPの量を、標準値と比較する。標 準値と被験者の値との偏差で、疾病診断のパラメータが確立される。 本発明の別の実施例では、NHAAPをコードするポリヌクレオチドを、診断 目的で用いることができる。使用できるポリヌクレオチドには、オリゴヌクレオ チド配列、アンチセンスRNA及びDNA分子、及びペプチド核酸(PNA)が 含まれる。このポリヌクレオチドは、NHAAPの発現が疾病と相関性を有する 生検組織における遺伝子発現を検出し、定量するために用いられる。診断的測定 は、NHAAPが存在、不存在、及び過剰発現の何れの状態にあるかを区別した り、治療的介入の際にNHAAPレベルの調節をモニタリングするのに役立つ。 或る態様では、NHAAPまたは近縁な分子をコードする、ゲノム配列を含む ポリヌクレオチド配列を検出できるハイブリダイゼーションプローブ或いはPC Rプローブを用いて、NHAAPをコードする核酸配列を同定することができる 。そして、そのプローブの特異性、即ち、そのプローブが非常に高度な保存領域 (例えば5’調節領域における10個の独特のヌクレオチド)と、保存的である 度合いの低い領域(例えば 特に3’領域におけるシステイン残基の間の領域)の何れに由来するのかという こと、及びハイブリダイゼーション或いは増幅の(高い、中程度の或いは低い) 厳密性によって、そのプローブが自然発生NHAAPのみを同定するものである か、或いはアレル配列や近縁な配列も同定するものであるかということが決まっ てくる。 プローブは、近縁なインヒビターをコードする配列を検出するためにも用いる ことができ、好ましくは、これらのNHAAPをコードする任意の配列から得ら れるヌクレオチドを少なくとも50%含むべきである。本発明のハイブリダイゼ ーションプローブは、配列番号:2のヌクレオチド配列か、自然発生NHAAP のイントロン、プロモータ、及びエンハンサーエレメントを含むゲノムの配列に 由来するものであり得る。 NHAAPをコードするDNAに対して特異的なハイブリダイゼーションプロ ーブの作製のための他の手段には、NHAAPやNHAAP誘導体をコードする 核酸配列を、mRNAプローブ生成のためのベクターにクローン化する方法があ る。このようなベクターは周知で市販されており、適切なRNAポリメラーゼや 適切な放射性標識ヌクレオチドを付加することにより、in vitroでのRNAプロ ーブを合成のために用いることができる。ハイブリダイゼーションプローブは種 々のリポータ分子により標識することができ、この標識には、32Pや35Sのよう な放射性核種、アビジン/ビオチン結合系によりプローブに結合するアルカリホ スファターゼのような酵素標識等が含まれる。 NHAAPをコードするポリヌクレオチドを、NHAAPの発現の増減の双方 に関係する疾病の診断のために用いることができる。NHAAPの発現の低下が 関係する疾患には、脳、舌、結腸、膀胱、肺、及び頭蓋の癌や、乳房、前立腺、 子宮、精巣、及び卵巣癌を含むホルモン依存性癌、リンパ腫及び白血病や、全身 性エリテマトーデス、強皮症、及び 関節炎のような自己免疫疾患、及びヘルペス感染症、HIV感染症、アデノウイ ルス感染症のようなウイルス感染症、及びHTLV−1関連悪性疾患が含まれる 。NHAAPの発現の低下が関係する疾患には、アルツハイマー病、パーキンソ ン病、及び筋萎縮性側索硬化症のような神経変性疾患、再生不良性貧血のような 異形成脊髄疾患、卒中、外傷、及び心発作による虚血性障害;及び後天性免疫不 全症候群が含まれる。 NHAAPをコードするポリヌクレオチド配列は、NHAAP発現の変化を検 出するための生検組織や体液を試験するための、サザンブロット法或いはノーザ ンブロット法、ドットブロット法或いは他の膜ベース技術、PCR技術、ディッ プスティック試験法(試験紙法)、ピン或いはチップ技術及びELISAアッセイに おいて用いることができる。このような定性的或いは定量的試験方法は当分野で はよく知られている。 特定の態様では、種々の癌、特に上述の癌の活性化または誘導を検出するアッ セイにおいてNHAAPをコードするヌクレオチド配列が役立ち得る。NHAA Pをコードするヌクレオチド配列を標準的な方法で標識し、ハイブリダイゼーシ ョン複合体の形成に適した条件の下で患者の体液や組織サンプルに加える。適切 なインキュベーション時間の経過後、このサンプルを洗浄しシグナルを定量して 、標準値を比較する。生検サンプルまたは抽出サンプルにおけるシグナルの量が 、比較できる対照サンプルのシグナル量と有意に異なっている場合、このヌクレ オチド配列はサンプルのヌクレオチド配列とハイブリダイズしており、サンプル におけるNHAAPをコードするヌクレオチド配列のレベルの変化が存在するこ とは、関連疾患の存在を示している。このようなアッセイは、動物実験、臨床試 験、または個々の患者の治療のモニタリングにおける特定の治療措置の効果を評 価するために用いることもできる。 NHAAPの発現が関係する疾病の診断の基礎を得るために、正常な、 或いは標準の発現プロフィールを確立する。この標準プロフィールは、動物或い はヒト何れかの正常な被験者から得られる体液或いは細胞抽出物を、ハイブリダ イゼーション或いは増幅に適切な条件下で、NHAAPをコードする配列又はそ の一部分と結合することにより確立される。標準のハイブリッド形成量は、既知 の量の実質的に精製されたNHAAPが用いられる同一の実験で得られる値と、 正常被験者に対して得られる値とを比較することにより定量することができる。 正常なサンプルから得られた標準値は、疾病の症状を示す患者からのサンプルか ら得られる値と比較することができる。標準値と被験者値との偏差を用いて疾病 の存在を確認する。 ひとたび疾患が確認され、治療プロトコルが開始されると、患者での発現レベ ルが正常な患者において観察されるレベルに近づき始めたか否かを評価するため に、このようなアッセイが定期的に繰り返される。継続的なアッセイから得られ る結果を用いて、数日間或いは数ヶ月の期間にわたる治療効果を知ることができ る。 癌については、患者の生検組織において転写物が比較的少ない量存在すること が疾病の発生の素因を示し、つまり実際の臨床的症状が現れる前に疾病を検出す る手段となり得る。この型のより確定的な診断により、医療従事者が予防的処置 を講じたり、より早期に積極的な治療を開始することが可能となり、疾病の発生 や更なる進行を予防することができるようになり得る。 NHAAPをコードするオリゴヌクレオチドの別の診断目的の使用では、PC Rを使用することがある。このようなオリゴマーは一般には化学的に合成するが 、酵素を用いて作製したり、或いは組換え体を起源として作り出すこともできる 。オリゴマーは、特定の遺伝子或いは状態を識別するために最適な条件下で用い られる2つのヌクレオチド配列、即 ちセンス方向(5’→3’)のヌクレオチド及びアンチセンス方向(3’←5’)の ヌクレオチドからなる。同一の2つのオリゴマー、入れ子オリゴマーの組、或い はオリゴマーの縮重プールでさえ、近縁なDNAまたはRNA配列の検出や定量 のためのより厳密性の低い条件の下であっても用いることができる。 さらにNHAAPの発現を定量するための方法には、放射性標識(radiolabel ing)或いはビオチン標識ヌクレオチドの利用、コントロールの核酸の同時増幅 (coamplification)の利用、並びに実験結果を補完して引かれた標準的なグラ フ曲線の利用も含まれる(Melby,P.C.等1993 J.Immunol Methods,159:235-44;D uplaa,C.等(1993)Anal.Biochem.229-236)。多数のサンプルの定量は、ELISA形 式の連続アッセイを実行することにより一層迅速に行うことができる。このアッ セイでは目的のオリゴマーが様々な希釈溶液中に存在し、分光光度計を用いる分 析或いは比色分析反応により迅速に定量することができる。 本発明の別の実施例では、NHAAPをコードする核酸配列を用いて、自然発 生のゲノム配列マッピングのためのハイブリダイゼーションプローブを生成する ことができる。この配列を、よく知られた技術を用いて特定の染色体或いはその 染色体の特定領域に対してマッピングすることができる。このような技術には、 FISH、FACSや人工染色体作製物の使用、例えば酵母菌人工染色体、細菌性人工染 色体の細菌性P1作製物、Price,C.M.(1993)Blood Rev.7:127-34及びTrask,B.J. (1991)Trends Ganet 7:149-154に概要が示されている単染色体cDNAライブラ リーの使用が含まれる。 FISH(Verma等(1988)Human Chromosomes:A Manual of Basic Technioue,Per gamon Press,New York,NY”に記載)は、他の染色体マッピング技術及び遺伝子 地図データと関係を有し得る。遺伝子地図デ ータの例は、1994 Genome Issue of Science(265:1981f)に見ることができる。 物理的染色体地図上でのNHAAPをコードする配列の位置と、特定の疾病(ま たは特定の疾病の素因)との相関関係を助けとして、ある遺伝病が関係するDN Aの領域の限界決定ができる。本発明のヌクレオチド配列を用いて、正常者とキ ャリアまたは患者との遺伝子配列の違いを検出することができる。 染色体調製物のin situハイブリダイゼーション及び確定された染色体マーカ ーを用いる連鎖解析のような物理的地図作成技術は、遺伝子地図を延長するため に大変重要である。多くの場合、特定のヒト染色体の数或いは腕が未知であって も、マウスのような別の哺乳類種の染色体上の遺伝子配置から、関連するマーカ ーがわかる。新しい配列は、物理的マッピングにより染色体のアーム、或いはそ の一部へ割当てることができる。これは位置クローニング或いは他の遺伝子発見 技術を用いて疾患遺伝子を調査する研究者に貴重な情報を提供する。ひとたび毛 細血管拡張性運動失調(AT)のような疾患或いは症候群が、特定のゲノム領域へ 、例えばATならば11q22-23(Gatti,R.A.等(1988)Nature 336:577-580)へ、遺伝子 連鎖によって粗い局所化がなされれば、その領域にマッピングされる任意の配列 は、さらなる研究のための関連する遺伝子、或いは調節遺伝子ということになる 。本発明のヌクレオチド配列は、正常者とキャリアまたは患者との間の、転座、 逆位等による染色体位置の違いを検出するために用いることもできる。 本発明の別の実施例では、NHAAPや、その触媒作用性または免疫原性フラ グメント或いはオリゴペプチドを、種々の薬物スクリーニング技術において治療 用化合物のスクリーニングのために用いることができる。そのような試験におい て用いられるフラグメントは、溶液に遊離した形態か、固体支持体へ付着したも のか、細胞表面へ付着したものか、 或いは細胞内に存在するものであり得る。NHAAPと試験される薬剤との結合 複合体形成が測定され得る。 NHAAPポリペプチドへの適切な結合親和性を有する化合物の高スループッ トスクリーニングのために用いることができる別の薬物スクリーニング技術が、 公開されたPCT出願WO84/03564に詳細に記載されている。この方法をNHAAP に適用する場合には、多数の異なる小形ペプチドの試験用化合物を、プラスチッ クピン或いは他の表面のような固体基質上で合成する。ポリペプチド試験用化合 物をNHAAP又はその断片と反応させ、洗浄する。次いで結合NHAAPを当 分野で周知の方法により検出する。また、前述の薬物スクリーニング技術におい て使用するために、精製NHAAPをプレート上に直接コーティングすることも できる。この他、ペプチドを捕捉し固体支持体上にペプチドを固定するために非 中和抗体を用いることができる。 別の実施例では、NHAAPに結合し得る中和抗体が、NHAAPとの結合に ついて試験化合物と特異的に競合する競合的薬物スクリーニングアッセイを使用 することができる。このように、抗体を用いて、1または2以上のNHAAPと 共通のエピトープを有する任意のペプチドの存在を検出することができる。 更に別の実施例では、ここに開示するNHAAPをコードするヌクレオチド配 列は、その新技術が、以下に限らないが、例えばトリプレット遺伝暗号及び特異 的塩基対合相互作用のような特性を含む、現在周知のヌクレオチド配列の特性に 基づく技術であれば、まだ開発されていない分子生物学的技術においても用いる ことができる。 以下に示す本発明の実施例は、単なる例示であって、本発明をこの実施例に限 定しようとするものではない。実施例 1 SYNOOAT01 cDNAライブラリーの作製 cDNAライブラリー作製のために用いられた、年齢82歳の女性から採取さ れた変形性関節炎の膝関節は、the University of California Davisから得た。 冷凍組織を、Brinkmann Homogenizer Polytron PT-3000(Brinkmann Instrument s,Westbury,NJ)を用いて、グアニジウムイソチオシアネート溶液の中でホモジ ナイズし溶解した。この溶解産物を、Beckman L81-70M Ultracentrifugeにおい てBeckman SW28 rotor(Beckman Instruments)を用いて、5.7Mの塩化セシ ウムクッションを通して、外界温度で18時間、25,000rpmで遠心分離 した。Stratagene RNA Isolation Kit(Catalogue#200345;Stratagene)に含まれ た試薬及び抽出手順を用いて、RNAをpH4.0の酸性フェノールで2回抽出 した。更にRNAを0.3Mの酢酸ナトリウム及び2.5倍量のエタノールを用 いて沈殿させ、無RNアーゼ水に再懸濁し、37℃でDNアーゼ処理した。この RNAを、Qiagen Oligotex kit(QIAGEN,Inc.,Chatsworth,CA)を用いて単離し た。 このポリA+RNAは、Super Script Plasmid System for cDNA Synthesis an d Plasmid Cloning(Cat.# 18248-013,Gibco/BRL)の推奨プロトコルに従って取 り扱った。第1鎖のcDNA合成は、オリゴd(T)プライミングを用いて行い、第 2鎖の合成はDNAポリメラーゼI、大腸菌リガーゼ及びRNアーゼHの組み合 わせを用いて行った。cDNAをT4ポリメラーゼを平滑末端化し、この平滑末 端を有するcDNAに、SalIリンカーを付加した。SalIを付加した二本鎖のc DNAをNotIで消化し、Sepharose CL4Bカラム(Cat.#275105-01,Pharmacia) で分画化した。400bpを越えるcDNAをpSportIにリゲートし、このプラ スミドpSportIをDH5aTMコンピテント細胞(Cat.#18258-012, Gi bco/B RL)に入れて形質転換させた。 2 cDNAクローンの単離及び配列決定 プラスミドDNAは細胞から放出され、Miniprep Kit(Catalog No.77468,vai lable from Advanced Genetic Technologies Corporation,Gaithersburg MD)を 用いて精製した。このキットは96穴ブロックからなり、960回の精製のため の試薬を備えたものである。以下の変更点を除いてその推奨プロトコルを採用し た。(1)96個のウェルのそれぞれには、25mg/Lのカルベニンシン及び 0.4%のグリセロールと共に滅菌terrific brothの1mlのみを充填する。( 2)ウェルへの植菌の後、細菌を24時間培養し、60mlの溶解バッファと共 に溶解する。(3)Beckman GS-6Rを用いた2900rpmで5分間の遠心分離 過程を実行した後、ブロックの内容物を一次フィルタプレートに加える。(4) イソプロパノールをTRISバッファに加えるオプションのステップはルーチンで行 わなかった。プロトコルの最終ステップの後、サンプルを保管のためBeckman9 6穴ブロックに移送した。 このcDNAの配列決定は、4つのPeltier Thermal Cyclers(PTC200,MJ Res earch,Watertown,MA)及びApplied Biosystems 377 DNA Sequencing Systems(P erkin Elmer)と組み合わせてHamilton Micro Lab 2200(Hamilton,Reno,NV)を 用いてSanger F.及びCoulsonの方法(1975,J.Mol.Biol.94:441f)により行い、 読み枠を決定した。 3 cDNAクローン及びそれらの類推されるタンパク質の相同性検索 Applied Biosystems社で開発された検索アルゴリズムを、INHERIT670TM配列解 析システムに組み込んで用いて、各cDNAの配列をGenBankの配列と比較した 。このアルゴリズムでは、Pattern Specification Language(TRW社、LosAngele s CA)を用いて相同な領 域を決定した。配列の比較をどのように行うかを決定する3つのパラメータは、 ウィンドウサイズ、ウィンドウオフセット、及び誤差許容度であった。これら3 つのパラメータの組を用いて、対象の配列と相同な領域を含む配列をDNAデー タベースから検索し、適切な配列には、初期値とともにスコアが付けられた。次 に、これらの相同な領域をドットマトリクスホモロジーブロット法を用いて検定 し、相同な領域と偶然の一致とを区別した。相同性検索の結果は、Smith-Waterm an alignmentsを用いて表示した。 ペプチド及びタンパク質配列の相同性は、INHERIT 670配列解析システムをD NA配列の相同性検索で用いたのと同様に用いて確かめた。Pattern Specificat ion Language及びパラメータウィンドウを用いて、タンパク質データベースから 相同性領域を含む配列を検索し、その結果には初期値とともにスコアが付けられ た。ドットマトリクスホモロジーブロット法を用いて検定し、有意な相同性を有 する領域と偶然の一致とを区別した。 BLASTは、Basic Local Alignment Search Tool(Altschul SF(1993)J Mol Evol 36:290-300;Altschul,SF等(1990)J Mol Biol215:403-410)の略称であり、これを 用いて局部的な配列アライメントを検索した。BLASTはヌクレオチド及びアミノ 酸配列の両方のアライメントを作成して配列類似性を求める。そのアライメント の局所性のために、BLASTは厳密な一致、すなわちホモログを求める際に特に有 効である。BLASTは間隙を含まない一致を求めるのに役立つ。BLASTアルゴリズム 出力の基本的な単位は、High-scoring Segment Pair(HSP)である。 HSPは2つの配列フラグメントからなり、両フラグメントは任意ではあるが、 そのアライメントが局所的に最大となっている等しい長さものであり、そのアラ イメントスコアはユーザにより設定された閾値すなわ ちカットオフスコアを満足、即ち、カットオフスコアを超えている。BLASTアプ ローチは問い合わせ配列とデータベース配列との間のHSPを見つけ出すものであ り、見出された任意の一致の統計的有意性を評価し、そのユーザが設定した有意 性の閾値を満足する一致のみを報告するものである。パラメータEはデータベー ス配列一致を知らせるための統計的に有意な閾値を確定するパラメータである。 Eは全データベース検索の情況においてHSP(或いはHSPの組)生起の予測頻度の 上限として解釈される。その一致がEを満足する任意のデータベース配列がプロ グラム出力において報告される。 4 ノーザン法による解析 ノーザン解析は、標識されたヌクレオチド配列と特定の細胞型または組織に由 来するRNAが結合したメンブランとのハイブリッド形成を伴う、遺伝子の転写 物の存在を検出するために用いられる実験技術である(Sambrook等、上述)。 BLAST(Altschul,S.F.1993及び1990,上述)を用いる類似のコンピュータ技術 で、GenBankまたはLIFESEQTMデータベース(Incyte,Palo Alto CA)のようなデ ータベースにおける同一のまたは近縁な分子を検索した。この解析は、多くの膜 ベースのハイブリダイゼーションより非常に短時間で行うことができる。更に、 コンピュータ検索の感度を変更して、ある一致が正確な一致か、相同的であるか の分類を決定することができる。 検索の基準値は、積スコアであり、これは以下の式で定義されるものである。 (配列の一致(%)×最大BLASTスコア(%))/100 この積スコアでは、2つの配列間の類似性の程度、及び配列の長さの一致の双方 が考慮されている。例えば、積スコアが40の場合は、一致は 誤差が1〜2%の範囲で正確であり、スコアが70の場合は正確に一致している 。相同な分子は、通常積スコアとして15〜40を示すものを選択することによ り同定されるが、スコアの低いものは近緑関係にある分子として同定される。 検索の結果は、完全長配列、又はその部分が存在するライブラリー、配列の存 在量(abundance)、及びパーセント存在量(percent abundance)のリストとし て報告される。存在量は、特定の転写物の検出回数を直接反映し、パーセント存 在量は、存在量をライブラリー内で検出された配列の総数で除したものである。 5 NHAAPをコードする配列の完全長又は調節エレメントを回復するまでの 伸長 完全長NHAAPコード化核酸配列(配列番号:2)を用いて、部分的ヌクレ オチド配列を完全長まで伸長させるための、或いはゲノムライブラリーから5’ または3’配列を得るためのオリゴヌクレオチドプライマーを設計することがで きる。一方のプライマーはアンチセンス方向(XLR)の延長を開始するために 合成され、他方のプライマーはセンス方向(XLF)に配列を延長するために合 成される。これらのプライマーにより、周知のNHAAP配列を「外側に」延長 し、対象の制御領域の新しい未知のヌクレオチド配列を含むアンプリコンを生成 できるよ 社、Plymouth MN)、或いは他の適切なプログラムを用いて、長さが22〜30 ヌクレオチドで50%以上のGC含量を有し、かつ約68〜72℃の温度で標的 配列にアニールするように設計することができる。アピン構造及びプライマー− プライマー二量体化を生じるような任意のヌクレオチドのストレッチの延長は回 避される。 元の選択されたcDNAライブラリーか、ヒトゲノムライブラリーを 用いて配列を延長する。後者のライブラリーは、5’上流配列を得るために最も 役立つ。必要なら、既知領域をさらに延長するために追加のプライマーの組が設 計される。 XL-PCRキット(Perkin Elmer)の説明書の指示に従って、酵素と反応混合物と を完全に混合することにより、高い忠実度の増幅が得られる。40pmolの各プラ イマーと、推奨された濃度のキットの他の全ての成分とから増幅を開始する場合 、PCRはPeltier Thermal Cycler(PTC200;M.J.Reserch,Watertown MA)を用 いて、以下のパラメータで実行される。 ステップ1 94℃で1分間(初期変性) ステップ2 65℃で1分間 ステップ3 68℃で6分間 ステップ4 94℃で15秒間 ステップ5 65℃で1分間 ステップ6 68℃で7分間 ステップ7 ステップ4〜6をさらに15サイクル反復 ステップ8 94℃で15秒間 ステップ9 65℃で1分間 ステップ10 68℃で7分15秒間 ステップ11 ステップ8〜10を12サイクル反復 ステップ12 72℃で8分間 ステップ13 4℃(その温度を保持) 反応混合物の5〜10μlのアリコットを、低濃度(約0.6〜0.8%)ア ガロースミニゲル上での電気泳動で解析して、反応物が配列を延長することに成 功したか否かを決定する。最も大きな生成物或いはバンドを選択して、ゲルから 切り出した。さらなる精製には、QIAQuickTM (QIAGEN Inc.,Chatsworth,CA)のような市販のゲル抽出法を用いる。DNA回 収の後、クレノウ酵素を用いて一本鎖ヌクレオチドの延び出しを切り取り、再結 合及びクローニングを容易にする平滑末端を作った。 エタノール沈殿の後、生成物を13μlのリゲーション緩衝液内に再溶解し、 1μlのT4−DNAリガーゼ(15単位)及び1μlのT4ポリヌクレオチド キナーゼを加えて、その混合物を室温で2〜3時間、或いは16℃で一昼夜イン キュベートする。コンピテントな大腸菌細胞(40μlの適切な溶媒内にある) を、3μlのリゲーション混合物を用いて形質転換し、80μlのSOC培地( Sembrook等、上記)で培養する。37℃で1時間のインキュベーションの後、全 ての形質転換混合物を、2xCarbを含むLuria Bertani(LB)寒天(Sembrook等、 上記)上にのせる。後日、いくつかのコロニーを各プレートから無作為に選択し 、適切な市販の無菌の96穴マイクロタイタープレートの個々のウェル内に入れ られた150μlの液状LB/2xCarb培地で培養する。さらに後日、5μlの各一 昼夜の培養物を非無菌96穴プレート内に移し、水で1:10に希釈した後、そ れぞれ5μlのサンプルをPCRアレイに移す。 PCR増幅のため、4単位のrTthDNAポリメラーゼを含む18μlの濃 縮PCR反応混合物(3.3x)、ベクタープライマー、並びに延長反応に用い られる遺伝子特異的プライマーの一方或いは両方を各ウェルに加える。増幅は以 下の条件に従って行う。 ステップ1 94℃で60秒間 ステップ2 94℃で20秒間 ステップ3 55℃で30秒間 ステップ4 72℃で90秒間 ステップ5 ステップ2〜4をさらに29サイクル反復 ステップ6 72℃で180秒間 ステップ7 4℃(そのまま保持) PCR反応物のアリコットを、分子量マーカーと共にアガロースゲル上で移動 させる。PCR生成物のサイズを元の部分的なcDNAと比較して、適切なクロ ーンを選択し、プラスミドに結合して、配列決定を行う。 6 ハイブリダイゼーションプローブの標識及び使用 配列番号:2の配列に基づくハイブリダイゼーションプローブを用いて、cD NA、mRNA並びにゲノムDNAをスクリーニングする。約20の塩基対から なるオリゴヌクレオチドの標識について特に記すが、大きなcDNAフラグメン トの場合でも概ね同じ手順を用いる。オリゴヌクレオチドをOLIGO4.06(Nationa l Bioscience)のような最新式のソフトウェアを用いてデザインし、50pmo lの各オリゴマーと、250mCiの[γ-32P]アデノシン三リン酸(Amersham )及びT4ポ せて用いて標識する。標識されたオリゴヌクレオチドを、SephadexG-25超精細樹 脂カラム(Pharmacia)を用いて精製する。毎分107カウントのセンス及びアン チセンスオリゴヌクレオチドのそれぞれを含む部分を、エンドヌクレアーゼAseI ,Bgl II,EcoRI,PstI,Xba1或いは 的な膜ベースのハイブリダイゼーション解析において用いる。 各消化物からのDNAを、0.7%アガロースゲル上で分画化して、ナイロン 膜(Nytran Plus,Schleicher & Schuell,Durham NH)にトランスファーする。ハ イブリダイゼーションは40℃で16時間かけて行う。非特異的シグナルを取り 除くため、ブロットを、0.1xクエン酸ナトリウム食塩水及び0.5%ドデシ ル硫酸ナトリウムまで段階的に厳 密性が増す条件下で、室温にて順次洗浄する。XOMAT ARTMフィルム(Kodak,Roc hester,NY)を、Phosphoimager cassette(Molecular Dynamics,Sunnyvale,C A)においてブロットに数時間露光した後、ハイブリダイゼーションパターンを 視覚的に比較する。 7 アンチセンス分子 NHAAPをコードする配列或いはその任意の一部分は、自然発生の配列のin vivoまたはin vitro発現を阻害するために用られる。約20塩基対からなるア ンチセンスオリゴヌクレオチドの使用について特に記すが、より大きなcDNA フラグメントの場合でも概ね同じ方法を用いることができる。第1A図、第1B 図、第1C図、及び第1D図に示すようなNHAAPをコードする配列に基づく オリゴヌクレオチド用いて、自然発生NHAAPの発現を阻害することができる 。相補的なオリゴヌクレオチドを、第1A図、第1B図、第1C図、及び第1D 図に示す最も独特な5’配列から設計し、これを用いてプロモーターが結合する のを阻害することにより転写を抑制したり、リボソームが転写物に結合するのを 阻害してNHAAP転写物の翻訳を抑制することができる。配列番号:2の5’ 配列の適切な部分を用いることにより、効果的なアンチセンスオリゴヌクレオチ ドが、第1A図、第1B図、第1C図、及び第1D図に示すポリペプチドのシグ ナル配列または5’コーディング配列に翻訳される領域全体にわたる15〜20 個のヌクレオチドを含むようになる。 8 NHAAPの発現 NHAAPの発現は、cDNAを適切なベクター内にサブクローニングし、そ のベクターを宿主細胞にトランスフェクトすることによって行われる。この場合 、前にcDNAライブラリーの作製の際に用いたクローニング用のpSportベクタ ーを用いて、大腸菌においてNHAAPを 発現させる。クローニング部位の上流には、β−ガラクトシダーゼに対するプロ モータが存在し、その後ろにはアミノ基末端Met及びβ−ガラクトシダーゼの7 残基が存在する。後続のこれら8つの残基は、転写に役立つバクテリオファージ プロモーターであり、多くの独特の切断部位を含むリンカーである。 単離されたトランスフェクト菌株を、IPTGを用いて標準的な方法で誘導し、初 めのβガラクトシダーゼの7残基、約5〜15残基のリンカー、及び完全長NH AAPからなる融合タンパク質を作り出す。このシグナル配列は菌培地へのNH AAPの分泌を誘導し、この培地は後の活性のアッセイにおいて直接用いること ができる。 9 NHAAP活性の確認 NHAAPの誘導の評価は、正常な細胞とp53欠損細胞におけるp53レベルの比 較によって行う。ウエスタンブロット解析により内生p53タンパク質が検出され ず、またRT-PCR解析によってp53mRNAが検出されなかった例えばH358(ATCC )のようなヒトp53欠損細胞系と、野生型ヒト細胞とを、NHAAP(配列番号 :2)を含むベクターで形質転換する。この細胞を電離放射線又はエトポシドで 処理してp53を活性化させ、NHAAPの発現を解析する。両細胞タイプにおけ るNHAAPのmRNAのレベルは、RT PCR及びノーザンブロット解析により評 価できる。p53関連発現の確認は、NHAAP(配列番号:2)を含むベクター と、誘導性p53を含むベクターとをp53欠損細胞に同時トランスフェクトし、p53 誘導の後にNHAAPレベルを調べることによって行うことができる。 10 NHAAP特異的抗体の産生 標準的なプロトコルを用いたウサギの免疫化及び抗体の産生には、PAGE電 気泳動法(Sambrook前出)を用いて実質的に精製されたNH AAPを用いる。配列番号:2から類推されるアミノ酸配列をDNAStarソフトウ エア(DNASTAR社)を用いて解析して免疫抗原性の高い領域を決定し、対応する オリゴペプチドを当業者には周知の手段により合成して、当業者に周知の方法で 抗体を産生するために用いる。C末端付近の、或いは隣接する親水性領域内のエ ピトープのような、適切なエピトープを選択するための解析法は、Ausubel等( 上記)の論文他に記載されている。 通常、約15残基の長さを有するオリゴペプチドを、Applied Biosystemsのペ プチドシンセサイザModel 431Aを用いてfmoc法のケミストリにより合成し、 M−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS: Ausubel等、上記)を用いた反応によりキーホールリンペットヘモシニアン(K LH、Sigma,St.Louis,MO)に結合する。フロイントの完全アジュバントにおい てオリゴペプチド−KLH複合体を用いてウサギを免疫する。得られた抗血清の 抗ペプチド活性を検査するには、例えばペプチドをプラスチックに結合し、1% BSAを用いてブロックし、ウサギ抗血清と反応させて洗浄し、さらに放射性ヨウ 素標識されたヤギ抗ウサギIgGと反応させる。 11 特異的抗体を用いる自然発生NHAAPの精製 自然発生NHAAP或いは組換えNHAAPは、NHAAPに特異的な抗体を 用いるイムノアフィニティークロマトグラフィにより精製することができる。イ ムノアフィニティーカラムは、CnBr-activated Sepharose(Pharmacia Biotech 社)のような活性化クロマトグラフレジンとNHAAP抗体とを共有結合させる ことにより構築される。結合後、そのレジンを使用説明書の指示に従って、ブロ ックし洗浄する。 NHAAPを含む培地をイムノアフィニティーカラムに通し、そのカラムをN HAAPを優先的に吸着できる条件下で(例えば界面活性剤の 存在下において高イオン強度バッファで)洗浄する。このカラムを、抗体/NH AAP結合を切るような条件下(例えばpH2〜3のバッファ、或いは高濃度の 尿素またはチオシアン酸塩イオンのようなカオトロピックイオン)で溶出させ、 NHAAPを回収する。 12 NHAAPと相互作用する分子の同定 NHAAP又は生物学的に活性なその断片を、125Iボルトンハンター試薬(B olton,A.E.及びW.M.Hunter(1973)Biochem.J.133:529-38)で標識する。マルチウ ェルプレートに予め配列しておいた候補の分子を、標識したNHAAPとともに インキュベートし、洗浄して、標識NHAAP複合体を有する任意のウェルをア ッセイする。異なる濃度のNHAAPを用いて得られたデータを用いて、候補の 分子とNHAAPの会合、親和性、数の数値を計算する。 上記のすべての刊行物及び特許明細書は、本明細書と一体に参照されたい。本 発明の記載した方法及びシステムの種々の改変は、本発明の範囲及び精神から逸 脱しないことは当業者には明らかであろう。本発明は特に好適な実施例に関連し て記載されているが、本発明の請求の範囲は、そのような特定の実施例に不当に 制限されるべきではないことを理解されたい。実際には、本発明を実施するため に記載された方法の種々の改変は、分子生物学或いは関連する分野の専門家には 明らかなように、請求の範囲内に含まれるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 16/18 C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 C12P 21/02 C 5/10 C12Q 1/68 A C12P 21/02 C12N 5/00 A C12Q 1/68 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY ,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AT,AU ,BR,CA,CH,CN,DE,DK,ES,FI, GB,IL,JP,KR,MX,NO,NZ,RU,S E,SG,US

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.配列番号:1のアミノ酸配列又はその断片を含む実質的に精製されたヒトア ポトーシス関連タンパク質(NHAAP)。 2.請求項1のヒトアポトーシス関連タンパク質をコードする単離され精製され たポリヌクレオチド配列。 3.請求項2のポリヌクレオチド配列と厳密な条件の下でハイブリダイズするポ リヌクレオチド配列。 4.請求項2のポリヌクレオチド配列を含むハイブリダイゼーションプローブ。 5.配列番号:2の配列又はその変異体を含む単離され精製されたポリヌクレオ チド配列。 6.請求項2のポリヌクレオチド配列又はその変異体に相補的なポリヌクレオチ ド配列。 7.請求項6のポリヌクレオチド配列を含むハイブリダイゼーションプローブ。 8.請求項2のポリヌクレオチド配列を含む発現ベクター。 9.請求項8のベクターを含む宿主細胞。 10.配列番号:1のアミノ酸配列を含むポリペプチドの製造方法であって、 (a)該ポリペプチドの発現に適した条件の下で請求項9の宿主細胞を培養す る過程と、 (b)前記宿主細胞の培地から該ポリペプチドを回収する過程とを含むことを 特徴とする配列番号:1のアミノ酸配列を含むポリペプチドの製造方法。 11.配列番号:1のアミノ酸配列を有する実質的に精製されたヒトアポトーシ ス関連タンパク質を適切な製薬用担体と共に含む医薬品組成物。 12.請求項1のポリペプチドに特異的に結合する精製された抗体。 13.請求項1のポリペプチドに特異的に結合し、その活性を変調する精製され たアゴニスト。 14.請求項1のポリペプチドに特異的に結合し、その活性を変調する精製され たアンタゴニスト。 15.アポトーシスの減少に関係する疾病の治療方法であって、 そのような治療が必要な患者に、請求項11の医薬品組成物を有効量投与する 過程を含むアポトーシスの減少が関係する疾病の治療方法。 16.アポトーシスの増加に関係する疾病の治療方法であって、 そのような治療が必要な患者に、請求項14のアンタゴニストを有効量投与す る過程を含むアポトーシスの増加に関係する疾病の治療方法。 17.生物学的サンプルにおけるヒトアポトーシス関連タンパク質をコードする ポリヌクレオチドの検出方法であって、 (a)請求項6のポリヌクレオチドと、生物学的サンプルの核酸材料とをハイ ブリダイズさせ、ハイブリダイゼーション複合体を形成する過程と、 (b)前記ハイブリダイゼーション複合体を検出する過程とを含むことを特徴 とし、 前記複合体の存在が、前記生物学的サンプルにおけるヒトアポトーシス関連タ ンパク質をコードするポリヌクレオチドの存在と相関性を有することを特徴とす る生物学的サンプルにおけるヒトアポトーシス関連タンパク質をコードするポリ ヌクレオチドの検出方法。
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