JP2001514879A - カプサイシン受容体およびカプサイシン受容体関連ポリペプチドをコードする核酸配列ならびにその使用 - Google Patents

カプサイシン受容体およびカプサイシン受容体関連ポリペプチドをコードする核酸配列ならびにその使用

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、バニロイド受容体ポリペプチドおよびバニロイド受容体関連蛋白質、特にカプサイシン受容体サブタイプVR1およびVR2(VRRP-1)と共に、コードするポリヌクレオチド配列を特徴とする。関連する局面において、本発明は発現ベクターおよびそのようなポリヌクレオチドを含む宿主細胞を特徴とする。他の関連する局面において、本発明は、例えば外因性の野生型または改変されたカプサイシン受容体をコードするポリヌクレオチド配列が存在するために、カプサイシン受容体の発現が変化しているトランスジェニック動物を特徴とする。本発明はまた、カプサイシン受容体ポリペプチドに特異的に結合する抗体、およびこれらのポリペプチドを産生する方法にも関する。さらに、本発明は、候補物質が、カプサイシン受容体活性のアゴニストまたはアンタゴニストとしての活性を有するか否かをスクリーニングする方法と共に、試料中のカプサイシン受容体活性化物質の量を測定する解析法を含む、カプサイシン受容体を用いる方法を提供する。他の関連する局面において、本発明は、ヒト疾患および疼痛症候群の診断および治療にカプサイシン受容体を用いる方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の分野 本発明は、バニロイド化合物に対する受容体およびそのようなバニロイド化合
物受容体に関連するポリペプチドをコードする核酸およびアミノ酸配列、ならび
に疾患の診断、試験、および治療にこれらの配列を用いることに関する。
【0002】 発明の背景 疼痛は、侵害受容器と呼ばれる知覚神経の特定のグループの末梢終末が、侵害
的な化学、機械、または熱刺激によって活性化される場合に始まる。その細胞体
が様々な知覚神経節に存在するこれらの神経は、組織損傷に関する情報を脊髄お
よび脳の疼痛処理中枢に伝達する(疼痛の分野(マグローヒル、ニューヨーク、
1987))。侵害受容器は部分的に、多くの「ホット」でスパイシーな食物の活性
成分であるトウガラシ(capsicum peppers)の天然物であるカプサイシンに対す
る感受性を特徴とする。哺乳類では、侵害受容器終末がカプサイシンに暴露され
ると、最初に疼痛が認識されて、神経伝達物質を局所的に放出する。持続的な暴
露では、これらの終末はカプサイシンのみならず、他の侵害刺激(スゾルクサニ
(Szolcsanyi)、「疼痛研究におけるカプサイシン(Capsaicin in the Study o
f Pain )」、ウッド(Wood)編、255〜272頁、アカデミックプレス、ロンドン 、1993)に対しても不応性となる。侵害受容器の脱感作という後者のような現象
が起こることは、ウイルスおよび糖尿病性ニューロパシーからリウマチ性関節炎
に至る疼痛疾患の治療に、逆説的と思われるカプサイシンを鎮痛薬として使用す
ることの根拠となっている(キャンベル(Campbell)、「カプサイシンと疼痛研
究(Capsaicin and the Study of Pain )」、ウッド(Wood)編、255〜272頁、
アカデミックプレス、ロンドン、1993);スザラシ(Szallasi)ら、1996、Pain
68:195〜208)。侵害刺激に対するこのような感受性低下の一部は、炎症性メ ディエータの枯渇のような侵害受容器における可逆的変化の表れである可能性が
あるが、長期にわたる反応性の欠如は、カプサイシン暴露後の侵害受容器の死滅
またはその末梢神経終末の破壊によって説明することができる(ジャンクソ(Ja
ncso)ら、1977、Nature 270:741〜743;スゾルクサニ(Szolcsanyi)、上記)
【0003】 カプサイシンに対する反応性は、侵害刺激(化学、熱、および機械刺激)に反
応してシグナルを伝達する知覚神経求心性繊維を定義するために用いられている
;しかし、正確な作用機序はなお不明である。電気生理学的(ビーバン(Bevan )ら、1990 Trends Pharmacol. Sci. 11:330〜333;オウ(Oh)ら、1996、J. N
euroscience 16:1659〜1667)および生化学的(ウッド(Wood)ら、1988、J. N
euroscience 8:3208〜3220)研究から、カプサイシンが非選択的な陽イオンチ ャンネルの形成または活性化を通じて細胞質膜伝導性を増加させることによって
侵害受容器を興奮させることが明らかに示されている。カプサイシンは疎水的特
性を有するため、その作用が膜脂質に対する直接的な障害によって媒介される可
能性を除外することは難しいが(ファイジン(Feigin)ら、1995、Neuroreport
6:2134〜2136)、カプサイシン誘導体が構造活性相関を示し、用量依存的な反 応を誘発するという知見により(スゾルクサニ(Szolcsanyi)ら、1975 Drug Re
s. 25:1877〜1881;スゾルクサニ(Szolcsanyi)ら、1976 Drug Res. 26:33〜
37)、この化合物が知覚神経上または知覚神経内部の特異的受容体部位で作用す
ることは一般的に容認されている。競合的カプサイシンアンタゴニストであるカ
プサゼピンの開発(ビーバン(Bevan)ら、1992、Br. J. Pharmacol. 107:544 〜552)およびトウダイグサ科(Euphorbia)植物から得られたカプサイシンの細
胞作用を模倣する超強力なカプサイシン類似体であるレシニフェラトキシンの発
見(ドフリース(deVries)ら、1989、Life Sci. 44:711〜715;スザラシ(Sza
llasi)、1989 Neuroscience 30:515〜520)によって、カプサイシンが受容体 を通じてその作用を媒介することがさらに示唆されている。レシニフェラトキシ
ンはナノモルで有効性であることから、侵害受容器上の飽和可能なカプサイシン
およびカプサゼピン感受性結合部位を可視化するために、高親和性放射リガンド
として使用されている(スザラシ(Szallasi)、1994、Gen. Pharmac. 25:223 〜243)。バニロイド部分はカプサイシンおよびレシニフェラトキシンの必須構 造成分となるため、これらの化合物について提案される作用部位はより一般的に
バニロイド受容体と呼ばれている(スザラシ(Szallasi)、上記)。カプサイシ
ン、レシニフェラトキシン、およびアンタゴニストであるカプサゼピンの作用は
、神経の初代培養を用いて生理学的に十分に特徴付けがなされている(例えば、
スゾルクサニ(Szolcsanyi)、「知覚神経受容体に及ぼすカプサイシンの作用(
Actions of Capsaicin on Sensory Receptor)」、ビーバン(Bevan)ら、「カ プサイシンの細胞作用機序(Cellular Mechanism of the Action of Capsaicin )」、およびジェームス(James)ら、「カプサイシン受容体(The Capsaicin R
eceptor)」、これらは全て「疼痛研究におけるカプサイシン(Capsaicin in th
e Study of Pain)」、1993、アカデミックプレス(株)の中のそれぞれ1〜26、
27〜44および83〜104頁に含まれる;ビーバン(Bevan)ら、1990、上記、を参照
のこと)。
【0004】 カプサイシンおよびカプサイシン類の鎮痛的役割は、多様な疾患に関連した疼
痛および炎症の治療にそれらを用いる際に非常に重要である(例えば、フスコ(
Fusco)ら、1997、Drugs 53:909〜914;トウヒード(Towheed)ら、1997、Semi
n. Arthritis Rheum. 26:755〜770;アペンディーノ(Appendino)ら、1997、L
ife Sci. 60:681〜696(レシニフェラトキシンの活性および応用について記載 );「疼痛研究におけるカプサイシン(Capsaicin in the Study of Pain)」、
アカデミック・プレス、255〜272頁の中に含まれる、キャンベル(Campbell)ら
、「カプサイシンとその類似体の臨床応用」を参照のこと)。カプサイシンおよ
びカプサイシン関連化合物は疼痛知覚を誘発し、痛覚過敏を引き起こして自律神
経反射を活性化し(例えば、血圧の変化を誘発する)、神経終末からペプチドお
よび他の推定伝達物質の放出を引き起こす(例えば、気管支収縮および炎症を誘
発する)が、これらの化合物に知覚神経が持続的に暴露されると、正常な機械的
感受性または運動機能を損なうことなく、しかも明確な中枢神経系抑制を起こす
ことなく、多種類の知覚侵害刺激に対する神経の脱感作が起こる。カプサイシン
および関連化合物が非常に重要で治療的価値があるのはこの最終的な現象のため
である。
【0005】 カプサイシンおよび関連化合物ならびに知覚求心性繊維に及ぼすそれらの作用
に強い関心が持たれているにもかかわらず、これらの化合物がその作用を媒介す
る受容体はこれまで単離および分子の特徴付けが行われていなかった。このよう
に、新規カプサイシン受容体結合化合物のスクリーニングもしくは特徴付けを行
う、または疼痛および/または炎症に関する内因性の組織由来メディエータを同
定する優れた系の開発はかなり遅れている。今日まで、カプサイシン受容体アゴ
ニストまたはアンタゴニストとして化合物の活性を評価する唯一の手段は、培養
または無傷の動物の知覚神経に及ぼすその作用を調べることであった。本発明に
よりこの問題は解決される。
【0006】 概要 本発明はバニロイド受容体ポリペプチドおよびバニロイド受容体関連ポリペプ
チド、特にカプサイシン受容体およびカプサイシン受容体関連ポリペプチドと共
に、カプサイシン受容体およびカプサイシン受容体関連ポリペプチドをコードす
るヌクレオチド配列を特徴とする。関連する局面において、本発明は、カプサイ
シン受容体またはカプサイシン受容体関連蛋白質をコードするポリヌクレオチド
を含む発現ベクターおよび宿主細胞を特徴とする。他の関連する局面において、
本発明は、例えば外因性の野生型または改変したカプサイシン受容体コードポリ
ヌクレオチド配列が存在するために、カプサイシン受容体の発現が変化している
トランスジェニック動物を特徴とする。本発明はまた、カプサイシン受容体ポリ
ペプチドおよび/またはカプサイシン受容体関連ポリペプチドに特異的に結合す
る抗体、ならびにカプサイシン受容体およびカプサイシン受容体関連ポリペプチ
ドを産生する方法にも関する。
【0007】 一つの局面において、本発明はカプサイシン受容体ポリペプチドに結合する化
合物、好ましくはカプサイシン受容体ポリペプチドに結合してカプサイシン受容
体生物活性に関連した細胞反応(例えば、細胞内カルシウム流出入)に影響を及
ぼす化合物を同定する方法を特徴とする。
【0008】 もう一つの局面において、本発明は、カプサイシン受容体ポリペプチドを発現
する細胞(例えば、卵母細胞(例えば両生類の卵母細胞))にバニロイド化合物
を含むと思われる試料を接触させること、およびカプサイシン受容体発現宿主細
胞におけるカプサイシン受容体活性に関連した細胞反応の変化を検出することに
よって、バニロイド化合物がカプサイシン受容体ポリペプチドとの結合活性を有
する、試料中のバニロイド化合物を検出する方法を特徴とする。好ましくは、カ
プサイシン受容体活性に関連した細胞反応は、カプサイシン受容体発現宿主細胞
における細胞内カルシウム濃度の変化である。方法は、天然物(例えば、天然物
抽出物)に由来する試料中のバニロイド化合物を検出するために用いることがで
き、または鎮痛剤(例えば、バニロイド類似体、治療用抗体、アンチセンスオリ
ゴヌクレオチド、補充遺伝子療法のためのカプサイシン受容体コードヌクレオチ
ド)、芳香増強剤等として用いられる候補化合物をスクリーニングするために用
いることができる。
【0009】 本発明のさらにもう一つの局面は、ヒト疾患および疼痛を伴う症候群の診断お
よび治療に、カプサイシン受容体ポリペプチドおよびその特異的抗体を用いるこ
とに関する。
【0010】 もう一つの局面において、本発明は、カプサイシン受容体コードトランスジー
ンを発現しているヒト以外のトランスジェニック哺乳類、およびそのようなトラ
ンスジェニック哺乳類をカプサイシン受容体アゴニストおよびアンタゴニスト候
補体のスクリーニングに用いることを特徴とする。
【0011】 本発明の主な目的は、カプサイシン受容体およびカプサイシン受容体関連ポリ
ペプチドの発現(例えば、組換え宿主においてまたは有機化学療法の一部として
標的細胞において)に用いられる、および例えば、カプサイシン受容体結合化合
物(特に、カプサイシン受容体媒介活性に影響を及ぼす化合物)の同定に用いら
れる単離ポリペプチドを提供することである。
【0012】 本発明を以下にさらに詳細に説明する。
【0013】 発明の詳細な説明定義 本明細書において用いられる「ポリヌクレオチド」という用語は、オリゴヌク
レオチド、ヌクレオチド、およびその断片または一部と共に、ペプチド核酸(PN
A)、断片、その一部またはアンチセンス分子、ならびに一本鎖または二本鎖と なりうる、およびセンスまたはアンチセンス鎖を表すことができるゲノムまたは
合成起源のDNAまたはRNAを指す。「ポリヌクレオチド」を特異的ポリヌクレオチ
ド配列(例えば、カプサイシン受容体コードポリヌクレオチドまたはカプサイシ
ン受容体関連ポリペプチドコードポリヌクレオチド)を指すために用いる場合、
「ポリヌクレオチド」は列挙したポリペプチドと機能的に同等であるポリペプチ
ドをコードするポリヌクレオチド、例えば縮重変異体であるポリヌクレオチド、
または列挙したポリペプチドの生物活性変異体または断片をコードするポリヌク
レオチドを含むことを意味する。同様に、本明細書において用いられる「ポリペ
プチド」は、オリゴペプチド、ペプチド、または蛋白質を指す。本明細書におい
て「ポリペプチド」を天然に存在する蛋白質分子のアミノ酸配列を指すために列
挙する場合、「ポリペプチド」等の用語はアミノ酸配列を、列挙した蛋白質分子
に関連する完全な本来のアミノ酸配列であると制限することを意味するのではな
い。「アンチセンスポリヌクレオチド」とは、アンチセンスポリヌクレオチドが
、カプサイシン受容体ポリヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができる
、所定のポリヌクレオチド配列の転写または翻訳に関連したポリヌクレオチド配
列(例えば、カプサイシン受容体をコードするポリヌクレオチドのプロモーター
)を含む、所定のポリヌクレオチド配列(例えば、カプサイシン受容体をコード
するポリヌクレオチド配列)と相補的であるヌクレオチド配列を有するポリヌク
レオチドを意味する。特に重要なものは、カプサイシン受容体コードまたはカプ
サイシン受容体関連ポリペプチドコードポリヌクレオチドの転写および/または
翻訳をインビトロまたはインビボのいずれかで阻害することができるアンチセン
スポリヌクレオチドである。
【0014】 本明細書において用いられる「ペプチド核酸」という用語は、リジンのような
アミノ酸残基およびアミノ基が付加されているオリゴマーを含む分子を指す。こ
れらの小分子は抗遺伝子物質とも呼ばれ、核酸のその相補(鋳型)鎖に結合する
ことによって、転写伸長を停止させる(ニールセン(Nielsen)ら、1993、Antic
ancer Drug Des 8:53〜63)。
【0015】 本明細書において用いられるように、「カプサイシン受容体」または「カプサ
イシン受容体ポリペプチド」とは、i)本来のカプサイシン受容体ポリペプチド 、ii)カプサイシン受容体ポリペプチドの生物活性断片、iii)カプサイシン受 容体ポリペプチドの生物活性ポリペプチド類似体、またはiv)カプサイシン受容
体ポリペプチドの生物活性変異体、のアミノ酸配列を有する組換え型または非組
換え型ポリペプチドを意味する。本発明のカプサイシン受容体ポリペプチドは、
如何なる種、特にヒト、齧歯類(例えばマウスもしくはラット)、ウシ、ヒツジ
、ブタ、マウス、またはウマを含む哺乳類、好ましくはラットまたはヒトから得
てもよく、天然、合成、半合成、または組換えであれ如何なる起源から得てもよ
い。本明細書において用いられる「カプサイシン受容体」という用語には、本明
細書において詳細に説明するバニロイド受容体サブタイプ1(VR1)が含まれるが
、VR1に限定するつもりはなく、特に一般的に受容体サブタイプVR1およびVR2を 指すために用いてもよい。
【0016】 本明細書において用いるように、「カプサイシン受容体関連ポリペプチド」と
は、本明細書において「VRRP-1」または「VR2」と呼ぶ、i)本来のカプサイシン
受容体関連ポリペプチド、ii)カプサイシン受容体関連ポリペプチドの生物活性
断片、iii)カプサイシン受容体関連ポリペプチドの生物活性ポリペプチド類似 体、またはiv)カプサイシン受容体関連ポリペプチドの生物活性変異体、のアミ
ノ酸配列を有する組換え型または非組換え型ポリペプチドを意味する。本発明の
カプサイシン受容体ポリペプチドは、如何なる種、特にヒト、齧歯類(例えばマ
ウスもしくはラット)、ウシ、ヒツジ、ブタ、マウス、またはウマを含む哺乳類
、好ましくはラットまたはヒトから得てもよく、天然、合成、半合成、または組
換えであれ如何なる起源から得てもよい。本明細書において用いられる「カプサ
イシン受容体関連ポリペプチド」という用語はまた、同じ種(例えば、ラットま
たはヒトカプサイシン受容体ポリペプチド)のカプサイシン受容体ポリペプチド
のアミノ酸配列と少なくとも約40%、好ましくは少なくとも約45%、より好まし
くは少なくとも約49%同一性を有する如何なるポリペプチドも含む。「カプサイ
シン受容体関連ポリペプチドコード配列」という用語はまた、同じ種のカプサイ
シン受容体ポリペプチドのヌクレオチド配列と少なくとも約50%、好ましくは少
なくとも約55%、より好ましくは少なくとも約59%同一性を有するヌクレオチド
配列を含む。一つの態様において、カプサイシン受容体関連ポリペプチドはカプ
サイシン受容体と相互作用する。本明細書に用いられる「カプサイシン受容体関
連ポリペプチド」は、本明細書に詳細に説明するバニロイド受容体関連ポリペプ
チド1(VRRP-1)を含むが、VRRP-1に限定するつもりはない。
【0017】 本明細書において用いるように、「抗原性アミノ酸配列」とは、単独または担
体分子と関連して、哺乳類において抗体反応を誘発することができるアミノ酸配
列を意味する。
【0018】 カプサイシン受容体またはカプサイシン受容体関連ポリペプチドの「変異体」
は、一つ以上のアミノ酸が変化しているアミノ酸配列として定義される。変異体
は、置換されたアミノ酸が類似の構造的または化学的特性を有する、例えばロイ
シンをイソロイシンに置換するような「保存的」変化を有しうる。よりまれに、
変異体は「非保存的置換」、例えばグリシンのトリプトファンへの置換を有しう
る。類似の軽度の変化でも同様にアミノ酸の欠失もしくは挿入またはその双方を
含むことができる。生物学的または免疫学的活性を阻害することなく、いずれの
、およびどれほど多くのアミノ酸残基を置換、挿入、または欠失するかを決定す
る手引きは、当技術分野において周知のコンピュータープログラム、例えばDNA スター・ソフトウェアを用いて発見することができる。
【0019】 「欠失」はその中で1つ以上のアミノ酸またはヌクレオチド残基がそれぞれ、
天然に存在するカプサイシン受容体またはカプサイシン受容体関連ポリペプチド
のアミノ酸配列またはヌクレオチド配列と比較して存在しない、アミノ酸または
ヌクレオチド配列のいずれかの変化として定義される。
【0020】 「挿入」または「付加」は、天然に存在するカプサイシン受容体またはカプサ
イシン受容体関連ポリペプチドのアミノ酸配列またはヌクレオチド配列と比較し
て、それぞれアミノ酸またなヌクレオチド残基1つ以上が付加されたアミノ酸ま
たはヌクレオチド配列の変化である。
【0021】 「置換」とは、天然に存在するカプサイシン受容体またはカプサイシン受容体
関連ポリペプチドのアミノ酸配列またはヌクレオチド配列と比較して、アミノ酸
またはヌクレオチド1つ以上がそれぞれ異なるアミノ酸またはヌクレオチドに置
換された結果である。
【0022】 「生物学的に活性」とは、天然に存在するカプサイシン受容体ポリペプチドま
たはカプサイシン受容体関連ポリペプチドの構造的、調節的、または生化学的機
能をそれぞれ有するカプサイシン受容体ポリペプチドまたはカプサイシン受容体
関連蛋白質を指す。同様に、「免疫学的に活性」とは、天然、組換え型、または
合成カプサイシン受容体(またはカプサイシン受容体関連ポリペプチド)、また
はそのオリゴヌクレオチドの、適当な動物または細胞における特異的免疫反応誘
発能、および特異的抗体との結合能を定義する。
【0023】 本明細書において用いられる「誘導体」という用語は、カプサイシン受容体ま
たはカプサイシン受容体関連ポリペプチドをコードする核酸の化学的改変を指す
。そのような改変の例は、水素をアルキル、アシル、またはアミノ基に置換する
ことであろう。核酸誘導体は天然のカプサイシン受容体またはカプサイシン受容
体関連ポリペプチドの本質的な生物学的特徴を保持するポリペプチドをコードす
るであろう。
【0024】 本明細書において用いられるように「単離」という用語は、化合物が天然に存
在する環境とは異なる環境に存在する対象化合物(例えば、ポリヌクレオチドま
たはポリペプチド)を記述することを意味する。「単離」とは、対象化合物に実
質的に富む試料中に存在する化合物、および/または対象化合物が部分的または
実質的に精製されている試料中に存在する化合物を含むことを意味する。
【0025】 本明細書において用いられるように、「実質的に精製した」という用語は、そ
の天然の環境から切り離されて、天然に関連している他の成分を少なくとも60%
、好ましくは75%、および最も好ましくは90%含まない化合物(例えば、ポリヌ
クレオチドまたはポリペプチド)を指す。
【0026】 「ストリンジェンシー」とは、典型的に約Tm-5℃(プローブのTmより5℃下 )からTmの約20℃〜25℃下の範囲で起こる。当業者によって理解されるように、
ストリンジェンシー・ハイブリダイゼーションは、同一のポリヌクレオチド配列
を同定もしくは検出するために、または類似もしくは関連するポリヌクレオチド
配列を同定もしくは検出するために用いることができる。
【0027】 本明細書において用いられる「ハイブリダイゼーション」という用語は、「そ
れによって核酸鎖が塩基対形成を通じて相補鎖と結合するプロセス」を含むであ
ろう(クームス(Cooms)、1994、「バイオテクノロジー辞典(Dictionary of B
iotechnology)」、ストックトン・プレス、ニューヨーク、ニューヨーク州)。
ポリメラーゼ連鎖反応技術において行われるように増幅は、ディーフェンバッハ
(Dieffenbach)ら、1995、PCRプライマー、実験マニュアル、コールドスプリン
グハーバープレス、プレインビュー、ニューヨーク州に記載されている。
【0028】 「トランスジーン」という用語は、本明細書において哺乳類、特に生存してい
る動物の哺乳類細胞のゲノムに挿入されている、または人為的に挿入されようと
する遺伝子材料を記述するために用いられる。
【0029】 「トランスジェニック動物」とは、その細胞の一部に染色体外エレメントとし
て存在する、またはその生殖系列DNA(その細胞のほとんどまたは全てのゲノム 配列において)に安定に組み入れられた非内因性(例えば異種)核酸配列を有す
るヒト以外の動物、通常哺乳類を意味する。異種核酸は、そのようなトランスジ
ェニック動物の生殖系列に、例えば宿主動物の胚または胚幹細胞の遺伝子操作に
よって導入される。
【0030】 トランスジーンの「ノックアウト」とは、好ましくは標的遺伝子の発現が検出
不能または有意でなくなるように、標的遺伝子の機能の低下が起こる遺伝子配列
の変化を意味する。例えば、カプサイシン受容体遺伝子のノックアウトは、カプ
サイシン受容体発現が検出できないか、または有意でないレベルで存在するに過
ぎないように、カプサイシン受容体の機能が実質的に低下していることを意味す
る。本発明の「ノックアウト」トランスジェニック体は、カプサイシン受容体遺
伝子またはカプサイシン受容体関連ポリペプチドコード配列のヘテロ接合または
ホモ接合ノックアウトを有するトランスジェニック動物となりうる。「ノックア
ウト」にはまた、例えば標的遺伝子の変化を促進する物質に動物を暴露した場合
、標的遺伝子部位での組換えを促進する酵素(例えば、Cre-lox系におけるCre)
を導入した場合、または標的遺伝子の変化を生後に指向する他の方法を行う場合
に標的遺伝子の変化が起こりうる、条件的ノックアウトも含まれる。
【0031】 標的遺伝子の「ノックイン」とは、例えば、標的遺伝子のさらなるコピーを導
入することによって、または標的遺伝子の内因性コピーの発現を増強する調節配
列を機能的に導入することによって、標的遺伝子の発現が変化する(例えば、発
現の増加(異所を含む)または発現の減少)宿主細胞ゲノムにおける変化を意味
する。例えば、本発明の「ノックイン」トランスジェニック体は、カプサイシン
受容体遺伝子のヘテロ接合またはホモ接合ノックインを有するトランスジェニッ
ク動物となりうる。「ノックイン」はまた、条件付きノックインを含む。
【0032】 本明細書に提供する主な遺伝子配列は以下の通りである:
【0033】発明の概要 本発明は、カプサイシン受容体ポリペプチド(例えば、本明細書に記述のバニ
ロイド受容体サブタイプ1(VR1)ポリペプチド)およびカプサイシン受容体関連
ポリペプチド(例えば、本明細書に記述のバニロイド受容体関連ポリペプチド1
(VRRP-1;またはVR2))をコードするポリヌクレオチド配列の同定および単離 に基づいている。対応する遺伝子配列はセクリスト(Seqlist)において得られ 、上記の表に記載する。したがって、本発明はカプサイシン受容体および/また
はカプサイシン受容体関連ポリペプチドをコードするそのようなポリヌクレオチ
ドと共に、そのようなポリヌクレオチドによってコードされるカプサイシン受容
体およびカプサイシン受容体関連ポリペプチドを含む。
【0034】 カプサイシン受容体ポリペプチドコードポリヌクレオチドは、当初、カプサイ
シン受容体ポリペプチドコード配列が細胞解析において機能的カプサイシン受容
体の発現を促進することから単離された。簡単に説明すると、カプサイシン受容
体ポリペプチドコードポリヌクレオチドは、哺乳類または両生類宿主細胞に発現
させると、アゴニストであるカプサイシンに暴露した際に宿主細胞において細胞
内カルシウム濃度の増加を促進した。この研究によって、本明細書においてバニ
ロイド受容体サブタイプ1(VR1)と呼ばれるカプサイシン受容体をコードする ポリヌクレオチド配列が同定および単離された。次に、カプサイシン受容体コー
ドVR1配列を用いて、PCR増幅によって関連ポリペプチドをコードする配列を単離
し、その結果カプサイシン受容体関連ポリペプチドをコードする配列が単離およ
び同定され、VRRP-1(VR2)はその一例である。
【0035】 本発明はまた、カプサイシン受容体結合化合物、特にカプサイシン受容体アゴ
ニストまたはアンタゴニスト活性を有するカプサイシン受容体結合化合物の同定
に、カプサイシン受容体およびカプサイシン受容体関連ポリペプチド核酸および
アミノ酸配列を使用することを含む。本発明はさらに、本明細書のカプサイシン
受容体および/またはカプサイシン受容体関連ポリペプチドとの相同性を有する
ポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列の同定および単離を容易にするのみな
らず、カプサイシン受容体生物活性に関連した疾患および/または疼痛を伴う症
候群の診断、予防、および治療に、本明細書に開示のポリヌクレオチドを使用す
ることを含む。
【0036】 本発明のポリヌクレオチドはまた、哺乳類(ヒトを含む)におけるカプサイシ
ン受容体、受容体サブタイプ、およびカプサイシン受容体関連ポリペプチドの構
造、位置、および発現を明らかにするために、ならびに疾患状態または臨床疾患
(特に急性および慢性疼痛または炎症を含む疾患)と、受容体の構造、発現、ま
たは機能の欠損または変化との関連の可能性を調べるために、分子プローブとし
て用いることができる。
【0037】カプサイシン受容体およびカプサイシン受容体関連ポリペプチドコード配列 本発明に従って、カプサイシン受容体ポリペプチドまたはカプサイシン受容体
関連ポリペプチドのアミノ酸配列をコードする核酸配列を用いて、カプサイシン
受容体ポリペプチドまたはカプサイシン受容体関連ポリペプチドをそれぞれ発現
する組換え分子を産生することができる。本発明において用いられる核酸組成物
は、適当であれば本発明のカプサイシン受容体ポリペプチドまたはカプサイシン
受容体関連ポリペプチドの全てまたは一部をコードしてもよい。DNA配列の断片 は、従来の方法に従ってオリゴヌクレオチドを化学的に合成することによって、
制限酵素消化によって、PCR増幅等によって得てもよい。たいていの場合、DNA断
片は少なくとも約10連続ヌクレオチドであり、通常少なくとも約15ヌクレオチド
、より通常、少なくとも約18ヌクレオチド〜約20ヌクレオチド、より通常、少な
くとも約25〜約50ヌクレオチドであろう。そのような小さいDNA断片はPCR、ハイ
ブリダイゼーションスクリーニング等のプライマーとして有用である。より大き
いDNA断片、すなわち100 ヌクレオチド以上の断片はコードされたポリペプチド の産生に有用である。
【0038】 ラットカプサイシン受容体(サブタイプVR1)の核酸および推定アミノ酸配列 を配列番号:1および2に示す。ヒトカプサイシン受容体(サブタイプVR1)の 核酸および推定アミノ酸配列は、配列番号:8〜9および26〜27に示す。マウス
カプサイシン受容体サブタイプVR1をコードするヌクレオチド配列は配列番号:1
0および11の配列を含む。ニワトリカプサイシン受容体サブタイプVR1は配列番号
:24および25として示される。
【0039】 ラットカプサイシン受容体関連ポリペプチド1(VRRP-1;またはサブタイプVR
2)の核酸および推定アミノ酸配列はそれぞれ、配列番号:3および4に示され る。ヒトカプサイシン受容体関連ポリペプチド(ヒトVR2と呼ぶ)をコードする 配列は配列番号:5〜7、および20〜23のヌクレオチド配列を含む。
【0040】 本発明はまた、カプサイシン受容体およびカプサイシン受容体関連ポリペプチ
ドの変異体も含む。好ましい変異体は、カプサイシン受容体サブタイプVR1また はVR2のアミノ酸配列と少なくとも80%のアミノ酸配列類似性、より好ましくは 少なくとも90%のアミノ酸配列類似性、さらにより好ましくは少なくとも95%の
アミノ酸配列類似性を有する変異体である。
【0041】 遺伝コードの縮重の結果として、カプサイシン受容体およびカプサイシン受容
体関連ポリペプチドをコードし、そのいくつかは既知のおよび天然に存在する遺
伝子のヌクレオチド配列と最小の相同性を有する、ヌクレオチド配列の多数の縮
重変異体を産生することができることは当業者によって認識されると思われる。
本発明は、可能性があるコドンの選択に基づいて組合せを選択することによって
作製することができるヌクレオチド配列について考えられるありとあらゆる変異
体を含む。これらの組合せは、天然に存在するカプサイシン受容体またはカプサ
イシン受容体関連ポリペプチドのヌクレオチド配列に適用される標準的なトリプ
レット遺伝子コードに従って行うことができ、そのような変異体は全て本明細書
において特に開示されると考えられる。
【0042】 カプサイシン受容体ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列およびその変
異体は好ましくは、適当に選択されたストリンジェンシー条件下で天然に存在す
るポリペプチドのヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができるが、これ
は、実質的に異なるコドンを使用する受容体をコードするヌクレオチド配列また
はその誘導体を産生する場合に都合がよいであろう。コドンは、特定のコドンが
宿主によって利用される回数に応じて、特定の原核または真核発現宿主において
ポリペプチドの発現が起こる割合が増加するように選択することができる。コー
ドされるアミノ酸配列を変化させることなく、カプサイシン受容体、カプサイシ
ン受容体関連ポリペプチドおよびその誘導体をコードするヌクレオチド配列を実
質的に変化させる他の理由には、天然に存在する配列から生じた転写物より望ま
しい特性を有するRNA転写物を産生することが含まれる。
【0043】 カプサイシン受容体ポリペプチド、カプサイシン受容体関連ポリペプチドおよ
び/またはその誘導体をコードするヌクレオチド配列は、合成化学によって完全
に合成することができ、その後本出願の提出時に当技術分野で周知の試薬を用い
て、合成遺伝子を利用可能な多くのDNAベクターおよび発現系のいずれかに挿入 することができる。その上、合成化学を用いてカプサイシン受容体ポリペプチド
またはカプサイシン受容体関連ポリペプチドをコードする配列に変異を導入する
ことができる。
【0044】 カプサイシン受容体サブタイプVR1またはVR2の提供された核酸配列のいずれか
のヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができるポリヌクレオチド配列も
本発明の範囲に含まれる。特に重要なものは、カプサイシン受容体またはカプサ
イシン受容体関連ポリペプチドのコード配列(例えば配列番号:1のヌクレオチ
ド81〜2594位)、他のそのような配列(配列番号:2(例えば、配列番号:2の
アミノ酸残基636〜706位)に存在するアミノ酸残基の連続したストレッチをコー
ドする配列)との相同性を共有するカプサイシン受容体コード配列またはカプサ
イシン受容体関連ポリペプチドコード配列の領域、および他のカプサイシン受容
体コード配列および/またはカプサイシン受容体関連ポリペプチドコード配列と
相同性を有する領域を表す他の配列、と共に様々な種のカプサイシン受容体コー
ド配列またはカプサイシン受容体関連ポリペプチドコード配列を独自に同定する
配列と、様々なストリンジェンシー条件下でハイブリダイズすることができるポ
リヌクレオチド配列である。特に重要であるのは、ヒトカプサイシン受容体ポリ
ペプチドまたはヒトカプサイシン受容体関連ポリペプチドをコードするカプサイ
シン受容体VR1またはVR2ポリヌクレオチド配列である。ハイブリダイゼーション
条件は、本明細書に参照として組み入れられるベルガー(Berger)ら、1987、Gu
ide to Molecular Cloning Techniques, Methods in Enzymology、152巻、アカ デミックプレス、サンジエゴ、カリフォルニア州に記載のように、核酸結合複合
体またはプローブの融解温度(Tm)に基づき、規定されたストリンジェンシーで
用いることができる。
【0045】 本発明に従って用いることができる、カプサイシン受容体またはカプサイシン
受容体関連ポリペプチドをコードする変化したアミノ酸配列は、同じまたは機能
的に同等なカプサイシン受容体またはカプサイシン受容体関連ポリペプチドをコ
ードするポリペプチドが得られる異なるヌクレオチドの欠失、挿入または置換を
含む。蛋白質はまた、カプサイシン受容体またはカプサイシン受容体関連ポリペ
プチドと機能的に同等であるポリペプチドが得られるアミノ酸残基の欠失、挿入
、または置換を含むことができる。カプサイシン受容体の生物活性が保持される
限り、残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性、および/または両親媒性に
基づいて、故意のアミノ酸置換を行うことができる。例えば、陰性荷電アミノ酸
には、アスパラギン酸およびグルタミン酸が含まれる;陽性荷電アミノ酸にはリ
ジンおよびアルギニンが含まれる;ならびに類似の親水性値を有する非荷電極性
基を有するアミノ酸にはロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、アラニン
;アスパラギン、グルタミン;セリン、トレオニン、フェニルアラニン、および
チロシンが含まれる。
【0046】 カプサイシン受容体の対立遺伝子と共にカプサイシン受容体関連ポリペプチド
の対立遺伝子もまた、本発明に含まれる。本明細書において用いるように、「対
立遺伝子」または「対立遺伝子配列」という用語はカプサイシン受容体またはカ
プサイシン受容体関連ポリペプチドのもう一つの形である。対立遺伝子は変異に
起因し(すなわち核酸配列の変化)、一般に変化したmRNAおよび/またはポリペ
プチドを生じるが、これらは変化した構造を有する場合もあれば有しない場合も
あり、または天然に存在するカプサイシン受容体もしくはカプサイシン受容体関
連ポリペプチドと比較して機能的である場合もあれば機能的でない場合もある。
所定の遺伝子は対立遺伝子型を有しないか、1個、または多くの対立遺伝子型を
有する可能性がある。対立遺伝子を生じる共通の変異変化は、一般にアミノ酸の
天然の欠失、付加または置換が原因である。これらのタイプの変化のそれぞれは
、単独で、または他の変化と共に起こってもよく、所定の配列において1回また
は複数回起こってもよい。
【0047】他の種からのカプサイシン受容体コードポリヌクレオチドおよびカプサイシン受 容体関連ポリペプチドコードポリヌクレオチドの単離 カプサイシン受容体ポリペプチドコードポリヌクレオチド、カプサイシン受容
体関連ポリペプチドコードポリヌクレオチド、またはその一部をプローブとして
用いて、本明細書に開示のカプサイシン受容体およびカプサイシン受容体関連ポ
リペプチドの相同体を同定およびクローニングすることができる。特に重要なも
のは、相同体が互いに実質的な配列類似性を有する、すなわち少なくとも40%、
通常少なくとも60%、より通常少なくとも75%、通常少なくとも90%、より通常
少なくとも95%の配列類似性を有する、哺乳類の相同体(特に開示のラットカプ
サイシン受容体コードおよびカプサイシン受容体関連ポリペプチドコード配列の
ヒト相同体)である。カプサイシン受容体の哺乳類相同体は同様に、推定される
ポアループおよび第6の膜貫通ドメインの近傍で本明細書に開示のカプサイシン
受容体と高度の類似性を示す可能性がある。これらの領域において、カプサイシ
ン受容体相同体は高度の配列類似性、例えば少なくとも約40%のアミノ酸配列同
一性、通常少なくとも約60%〜75%のアミノ酸配列同一性で、少なくとも約40%
のヌクレオチド配列類似性、通常少なくとも約60%〜90%のヌクレオチド配列類
似性を示す可能性がある。
【0048】 配列類似性は、保存されたモチーフ、コード領域、隣接領域等のより大きい配
列のサブセットであってもよい基準配列に基づいて計算される。基準配列は通常
長さが少なくとも約18ヌクレオチド、より通常少なくとも約30ヌクレオチドであ
り、比較される完全な配列と同じ長さであってもよい。アルツシュル(Altshul )ら(1990)、J. Mol. Biol. 215:403〜10に記述のBLASTのような配列分析の アルゴリズムは当技術分野で周知である。プローブが非常に特異的な領域、例え
ば5'調節領域における10個の独自のヌクレオチドから作製される、またはより特
異性が低い、例えば3'領域におけるヌクレオチドから作製されるものであれ、プ
ローブが、カプサイシン受容体をコードする天然に存在する配列、対立遺伝子、
または関連する配列のみを同定するか否かは、プローブの特異性およびハイブリ
ダイゼーションまたは増幅のストリンジェンシー(最高、高、中、低)によって
左右されるであろう。
【0049】 本発明のプローブを関連配列の検出に用いる場合、プローブは、本明細書に記
載のカプサイシン受容体ポリペプチドコード配列またはカプサイシン受容体関連
ポリペプチドコードのいずれかからのヌクレオチドの、好ましくは少なくとも30
%、より好ましくは少なくとも50%を含む。本発明のハイブリダイゼーションプ
ローブは、提供されたVR1およびVR2ヌクレオチド配列、または天然に存在するカ
プサイシン受容体コード配列のプロモーター、エンハンサーエレメントおよびイ
ントロンを含むその対応するするゲノム配列に由来することができる。ハイブリ
ダイゼーションプローブは、放射線核種(例えば、PまたはS)、または酵素標識
(例えばアビジン/ビオチンカップリング系を通じてプローブとカップリングし
たアルカリフォスファターゼ)等を含む多様なリポーター分子によって検出され
るように標識することができる。
【0050】 特定のハイブリダイゼーションプローブは、mRNAプローブを産生するために、
提供された核酸配列をベクターにクローニングすることによっても産生すること
ができる。当技術分野で既知であって市販されているそのようなベクターを用い
て、適当なRNAポリメラーゼ(例えば、T7またはSP6 RNAポリメラーゼ)および適
当な放射活性標識ヌクレオチドを用いて、インビトロでRNAプローブを合成する ことができる。
【0051】 類似の配列を有する核酸は、低ストリンジェンシー条件、例えば50℃で10×SS
C(0.9 M生理食塩液/0.09 Mクエン酸ナトリウム)でのハイブリダイゼーション
および1×SSC中で55℃での洗浄を行っても結合し続けることによって検出され る。配列の同一性はストリンジェントな条件下、例えば50℃以上、0.1×SSC(9
mM生理食塩液/0.9 mMクエン酸ナトリウム)でのハイブリダイゼーションによ って決定してもよい。プローブ、特に標識したDNA配列のプローブを用いること によって、相同体または関連する遺伝子を単離することができる。相同な遺伝子
は、如何なる種、例えば霊長類、特にヒト;ラットおよびマウスのような齧歯類
、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ウマ、酵母、ショウジョウバエ(Drosophila)、
カエンホラブディティス(Caenhorabditis)等に由来してもよい。特に重要なの
は、ヒトカプサイシン受容体ポリペプチドコードポリヌクレオチドおよびヒトカ
プサイシン受容体関連ポリペプチドコードポリヌクレオチドの同定および単離で
ある。
【0052】 カプサイシン受容体およびカプサイシン受容体関連ポリペプチド核酸配列を用
いて、天然に存在するゲノム配列をマッピングするためのハイブリダイゼーショ
ンプローブを産生することができる。配列は周知の技法を用いて特定の染色体ま
たは染色体の特定の領域にマッピングすることができる。これらの中には、染色
体スプレッドとのインサイチューハイブリダイゼーション、フローソーティング
した染色体調製物、またはプライス(Price)1993;Blood Rev. 7:127〜34およ
びトラスク(Trask)1991;Trends Genet. 7:149〜54の論評に見られるように 、酵母の人工染色体、細菌の人工染色体、細菌のP1構築物または単染色体cDNAラ
イブラリのような人工染色体構築物が含まれる。染色体スプレッドの蛍光インサ
イチューハイブリダイゼーションは、例えば、ベルマ(Verma)ら、1988、「ヒ ト染色体:基本技術マニュアル(Human Chromosomes:A Manual of Basic Techn
iques)」、パーガモン・プレス、ニューヨーク、ニューヨーク州に記載されて いる。
【0053】 カプサイシン受容体またはカプサイシン受容体関連ポリペプチドをコードする
配列の染色体マッピングから得られた情報は、さらなる遺伝子マップデータと相
関させることができる。カプサイシン受容体コード配列、またはカプサイシン受
容体関連ポリペプチドコード配列の物理的染色体マップ上での位置と、特定の疾
患(または特定の疾患に対する素因)との相関は、遺伝子疾患に関連したDNA領 域の範囲を定める際に有用となりうる。本発明のヌクレオチド配列を用いて、健
常、キャリア、または罹患した人における遺伝子配列の差(例えば、転座、逆位
等による染色体の位置の差、またはカプサイシン受容体もしくはカプサイシン受
容体関連ポリペプチドコード配列の挿入変異もしくは欠失によるカプサイシン受
容体コード領域におけるその他の差)を検出することができる。そのような情報
から利益が得られる可能性がある障害の例は、複合限局(complex regional)疼
痛症候群、反射交感神経ジストロフィー、帯状疱疹後神経痛、乾癬、気道過敏疾
患(例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患)、変形性関節炎、リウマチ性関節炎、糖
尿病性ニューロパシー、AIDS関連ニューロパシー、および遺伝性ニューロパシー
(例えばカプサイシン受容体機能障害に関連するもの)が含まれるが、必ずしも
これらに限定されない。
【0054】カプサイシン受容体コードポリヌクレオチド配列の伸長 カプサイシン受容体またはカプサイシン受容体関連ポリペプチドをコードする
ポリヌクレオチド配列は、プロモーターおよび調節エレメントのような上流の配
列を検出するために、部分的ヌクレオチド配列および当技術分野で既知の様々な
技法を利用して伸長させることができる。ゴビンダ(Gobinda)ら、1993;PCR M
ethods Applic. 2:318〜22は、既知の座に隣接する不明の配列を検索するため に万能プライマーを用いる直接法として、「制限部位」ポリメラーゼ連鎖反応(
PCR)を開示している。最初にゲノムDNAをリンカー配列に対するプライマーおよ
び既知の領域に特異的なプライマーの存在下で増幅する。同じリンカープライマ
ーおよび最初のプライマーより内側のもう一つの特異的プライマーを用いて、増
幅された配列に第二ラウンドのPCRを行う。各ラウンドのPCR産物を適当なRNAポ リメラーゼで転写して逆転写酵素を用いてシークエンシングする。
【0055】 逆PCRは、既知の領域に基づいた多様なプライマーを用いて配列を増幅または 伸長させるために用いることができる(トリグリア(Triglia)ら、1988、Nucle
ic Acids Res. 16:8186)。プライマーはOLIGO(登録商標)4.06プライマー分 析ソフトウェア(1992;ナショナル・バイオサイエンシズ・インク、プリマス、
ミネソタ州)、または他の適当なプログラムを用いて、長さが22〜30ヌクレオチ
ド、GC含有量が50%以上、および約68℃〜72の温度で標的配列とアニーリングす
るように、デザインすることができる。この方法は、遺伝子の既知の領域におい
て適した断片を作製するためにいくつかの制限酵素を用いている。次に断片を分
子内ライゲーションによって環状化して、PCR鋳型として用いる。
【0056】 捕獲PCR(ラガーストローム(Lagerstrom)1991、PCR Methods Applic.1:111
〜19)は、ヒトおよび酵母の人工染色体DNAにおける既知の配列に隣接するDNA断
片のPCR増幅法である。捕獲PCRはまた、PCRの前に、操作された二本鎖配列をDNA
分子の未知の部分に配置させるために、多数の制限酵素消化およびライゲーショ
ンを必要とする。
【0057】 未知配列を検索するために用いることができるもう一つの方法は、パーカー(
Parker)ら、1991:Nucleic Acids. Res. 19:3055〜60の方法である。さらに、
ゲノムDNAの「中に入る」ためにPCR、ネステッドプライマー、およびプロモータ
ー・ファインダーライブラリ(プロモーター・ファインダー(登録商標)クロン
テック(パロアルト、カリフォルニア州))を用いることができる。このプロセ
スはライブラリをスクリーニングする必要がなく、イントロン/エキソン連結部
の発見に有用である。好ましくは全長のcDNAを同定するために用いられるライブ
ラリはより大きいcDNAを含めるようにサイズを選択されている。より好ましくは
全長のcDNAを同定するために用いられるcDNAライブラリは、そのようなライブラ
リが対象配列の5'領域を含む配列をより多く含むという点において、ランダムプ
ライマーを用いて作製されるcDNAライブラリである。ランダムにプライミングし
たライブラリは、オリゴd(T)ライブラリによって全長のcDNAが得られない場合に
は特に有用となりうる。ゲノムライブラリは、対象配列の5'非翻訳調節領域の同
定および単離にとって好ましい。
【0058】 毛細管電気泳動は、PCR産物のヌクレオチド配列の大きさを分析するため、ヌ クレオチド配列を確認するため、またはシークエンシングするために用いること
ができる。迅速なシークエンシングの系はパーキン・エルマー、ベックマンイン
ストルメンツ(フュラートン、カリフォルニア州)および他の企業から利用でき
る。毛細管シークエンシングは、電気泳動分離用流動性ポリマー、異なる4つの
レーザー活性化蛍光色素(各ヌクレオチドについて1個)、および蛍光色素によ
って放出された波長を検出するための電荷カップリング装置カメラを用いること
ができる。アウトプット/光の強度を、適当なソフトウェア(例えば、パーキン
・エルマー社のゲノタイパー(登録商標)およびシークエンシングナビゲーター
(登録商標))を用いて電気信号に変換する。試料のローディングからコンピュ
ーター分析および電子データ表示までの全てのプロセスはコンピューターにより
制御される。毛細管電気泳動は、特定の試料中に限られた量しか存在しないDNA の小片のシークエンシングに特に適している。毛細管電気泳動はM13ファージDNA
の350 bpまでを30分で再現性よくシークエンシングする(ルイス・マルチネス(
Ruiz-Martinez)ら、1993、Anal. Chem. 65:2851〜2858)。
【0059】カプサイシン受容体またはカプサイシン受容体関連ポリペプチドをコードするポ リヌクレオチドの産生 本発明に従って、カプサイシン受容体ポリペプチドまたはカプサイシン受容体
関連ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列(カプサイシン受容体ポリ
ペプチドおよびカプサイシン受容体関連ポリペプチドは、天然に存在するポリペ
プチドの断片、融合蛋白質、およびその機能的同等物を含む)は、適当な宿主細
胞においてカプサイシン受容体またはカプサイシン受容体関連ポリペプチドの発
現を指向する組換えDNA分子において用いることができる。遺伝子コードの固有 の縮重性により、実質的に同じまたは機能的に同等なアミノ酸配列をコードする
他のDNA配列を用いて、カプサイシン受容体またはカプサイシン受容体関連ポリ ペプチドをクローニングおよび発現させることができる。当業者によって理解さ
れるように、天然に存在しないコドンを有するカプサイシン受容体コードヌクレ
オチド配列およびカプサイシン受容体関連ポリペプチドコードヌクレオチド配列
を産生することが有利であろう。例えば発現率を増加させるため、または望まし
い特徴を有する(例えば、天然に存在する配列から生じた転写物より長い半減期
)組換えRNA転写物を産生するために、特定の原核生物、または真核生物宿主に とって好ましいコドン(ミュレイ(Murray)ら、1989 Nuc. Acids. Res. 17:47
7〜508)を選択することができる。
【0060】 本発明のヌクレオチド配列を操作して、多様な理由から、遺伝子産物のクロー
ニング、プロセシング、および/または発現を促進する変化を含むが、これらに
限定しない、カプサイシン受容体コード配列またはカプサイシン受容体関連ポリ
ペプチドコード配列を変化させるために操作することができる。例えば、新しい
制限部位を挿入するため、グリコシル化パターンを変化させるため、コドン選択
性を変化させるため、スプライス変異体を産生する等のために、当技術分野で周
知の技術、例えば部位指向変異誘発を用いて変異を導入することができる。
【0061】 本発明のもう一つの態様において、カプサイシン受容体ポリペプチドまたはカ
プサイシン受容体関連ポリペプチドをコードする天然の、改変した、または組換
えポリペプチドを、融合蛋白質をコードする異種配列とライゲーションすること
ができる。そのような融合蛋白質はまた、異種ポリペプチド配列がカプサイシン
受容体ポリペプチドまたはカプサイシン受容体関連ポリペプチドから切断されて
精製することができるように、カプサイシン受容体ポリペプチドコード配列(ま
たはカプサイシン受容体関連ポリペプチドコード配列)と異種ポリペプチド配列
との間の切断部位を含むように操作することができる。
【0062】 本発明の別の態様において、カプサイシン受容体ポリペプチドまたはカプサイ
シン受容体関連ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、当技術分野で周
知の化学的方法を用いて、全合成または部分合成することができる(例えば、カ
ルタース(Caruthers)ら、1980、Nuc Acids. Res. Symp. Ser. 215〜23、ホル ン(Horn)ら、Nuc. Acids. Res. Symp. Ser. 225〜32)。または、カプサイシ ン受容体またはカプサイシン受容体関連ポリペプチドのアミノ酸配列を全合成ま
たは部分合成するために、ポリペプチドそのものを化学的方法によって産生する
ことができる。例えば、ペプチド合成は様々な固相技法(ロベルジ(Roberge) ら、1995、Science 269:202〜204)を用いて行うことができ、例えば、ABI 431
Aペプチドシンセサイザー(パーキン・エルマー社)を用いて、製造元の説明書 に従って自動合成を行うことができる。
【0063】 新たに合成されたポリペプチドは、分取高速液体クロマトグラフィー(例えば
、クレイトン(Creighton)1983、「蛋白質、構造と分子の基本(Proteins, Str
uctures and Molecular Principles)」、WH フリーマン&カンパニー、ニュー ヨーク、ニューヨーク州)によって実質的に精製することができる。合成ポリペ
プチドの組成はアミノ酸分析またはシークエンシングによって確認することがで
きる(例えば、エドマン分解法;クレイトン(Creighton)、上記)。さらに、 カプサイシン受容体またはカプサイシン受容体関連ポリペプチド、またはその一
部のアミノ酸配列は、変異ポリペプチドを作製するために、直接合成の際に変化
させることができ、および/または化学的方法を用いて他の蛋白質からの配列、
またはその一部と組み合わせることができる。
【0064】カプサイシン受容体またはカプサイシン受容体関連ポリペプチド発現系 本発明は、カプサイシン受容体ポリペプチドまたはカプサイシン受容体関連ポ
リペプチドの個々の、または組み合わせた発現(例えば共発現)を含む。生物学
的に活性なカプサイシン受容体ポリペプチドおよび/またはカプサイシン受容体
関連ポリペプチドを発現するために、カプサイシン受容体ポリペプチド、カプサ
イシン受容体関連ポリペプチド、および/またはその機能的同等物をコードする
ヌクレオチド配列を、適当な発現ベクター、すなわち挿入されたコード配列の転
写および翻訳に必要なエレメントを有するベクターに挿入する。当技術分野で周
知の方法を用いて、望ましいポリペプチドコード配列および適当な転写または翻
訳制御手段を含む発現ベクターを構築することができる。これらの方法には、イ
ンビトロ組換えDNA技法、合成技法およびインビボ組換えまたは遺伝子組換え技 法が含まれる。そのような技法はサムブルック(Sambrook)ら、1989、「分子の
クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」
、コールドスプリングハーバープレス、プレインビュー、ニューヨーク州、およ
びアウスユベール(Ausubel)ら、1989「分子生物学の現行プロトコール(Curre
nt Protocols in Molecular Biology)」、ジョン・ウィリー&サンズ、ニュー ヨーク、ニューヨーク州に記載されている。
【0065】 多様な発現ベクターおよび/または宿主細胞系を用いてカプサイシン受容体ポ
リペプチドまたはカプサイシン受容体関連ポリペプチドコード配列を発現するこ
とができる。これらには、両生類の卵母細胞(例えば、アフリカツメガエルの卵
母細胞);組換えバクテリオファージ、プラスミド、またはコスミドDNA発現ベ クターによって形質転換した細菌;酵母発現ベクターで形質転換した酵母;ウイ
ルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;ウイル
ス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイ
クウイルス、TMV)にトランスフェクトさせた、または細菌発現ベクター(例え ば、TiまたはpBR322プラスミド)によって形質転換した植物細胞系;または動物
(例えば、哺乳類)細胞系が含まれるが、これらに限定しない。好ましくは本発
明の配列、特にカプサイシン受容体コード配列は、哺乳類細胞系(例えばヒト胎
児腎細胞(例えばHEK細胞))、両生類の卵母細胞(例えば、アフリカツメガエ ルの卵母細胞に相補的カプサイシン受容体コードRNAを注射することによって) 、または培養において容易に増殖させることができ、カプサイシン受容体ポリペ
プチドおよび/またはカプサイシン受容体関連ポリペプチドコード配列を一過性
もしくは安定に発現、好ましくは安定に発現するように形質転換もしくはトラン
スフェクトすることができる他の宿主細胞、において発現する。
【0066】 宿主細胞は、カプサイシン受容体ポリペプチドおよび/またはカプサイシン受
容体関連ポリペプチドに関して、細胞が、挿入された配列の発現を調節する、ま
たは発現された蛋白質を望み通りに処理することができるか否かによって、選択
することができる。ポリペプチドのそのような改変には、アセチル化、カルボキ
シル化、グリコシル化、燐酸化、脂質付加、およびアシル化が含まれるがこれら
に限定しない。蛋白質の「プレプロ」型の切断を含む翻訳後のプロセシングも、
ポリペプチドの正確な折り畳み、膜への挿入、および/または機能のために重要
であるかも知れない。HEK 293、CHO、HeLa、MDCK、WI38、アフリカツメガエルの
卵母細胞、およびその他のような宿主細胞は、そのような翻訳後活性のための特
定の細胞機構および特徴的メカニズムを有しており、導入された異物ポリペプチ
ドの正確な改変およびプロセシングが確実に行われるように選択してもよい。
【0067】 カプサイシン受容体ポリペプチドおよび/またはカプサイシン受容体関連ポリ
ペプチドの発現に用いられるベクターは、その中にカプサイシン受容体ポリペプ
チドが発現される宿主細胞、カプサイシン受容体ポリペプチドまたはカプサイシ
ン受容体関連ポリペプチドが単一の構築物から共発現されるのか、または異なる
構築物から共発現されるのか、そして産生されるポリペプチドについて意図して
いる用途を含む多様な要因によって変化するであろう。例えば、大量のカプサイ
シン受容体ポリペプチドまたはカプサイシン受容体関連ポリペプチドを必要とす
る場合(例えば抗体産生のため)、容易に精製することができる融合蛋白質の高
レベル発現を指向するベクターが望ましいであろう。そのようなベクターには、
例えば、Bluescript(登録商標)(ストラタジーン社;ポリペプチドβ-ガラク トシダーゼハイブリッド蛋白質を産生する)のような多機能大腸菌クローニング
発現ベクター、およびpGEXベクター(プロメガ社、マディソン、ウィスコンシン
州;グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)融合蛋白質を産生する)を含む 細菌発現ベクターが含まれる。宿主細胞が酵母(例えば、サッカロミセス・セレ
ビジエ(Saccharomyces cerevisiae)である場合、α因子、アルコールオキシダ
ーゼおよびPGHのような構成的または誘導型プロモーターを含む多くのベクター を用いることができる。例えば、アウスユベール(Ausubel)ら(上記)、およ びグラント(Grant)ら、1987、Methods in Enzymology 153:516〜544を参照の
こと。
【0068】 宿主細胞が哺乳類細胞の場合、多くの発現系を用いることができる。例えば、
発現ベクターは、アデノウイルス、SV40、CMV、またはRSVヌクレオチド配列に由
来する発現系のようなウイルスに基づく発現系に由来することができる。発現効
率は、用いる細胞系にとって適当なエンハンサーを含めることによって増強する
ことができる(シャーフ(Scharf)ら、1994 Results Probl Cell Differ. 20:
125〜62;ビットナー(Bittner)ら、1987、Methods in Enzymol. 153:516〜54
4)(例えばRSVエンハンサーは哺乳類宿主細胞において発現を増加させるために
用いることができる)。
【0069】 これらの系における「制御エレメント」または「調節配列」とは、その強度お
よび特異性は異なるが、対象とするヌクレオチド配列の転写および翻訳を促進す
るために宿主細胞蛋白質と相互作用するベクター、エンハンサー、プロモーター
および3'非翻訳領域のような非翻訳領域である。利用するベクター系および宿主
に応じて、構成的および誘導型プロモーターを含む如何なる数の適した転写およ
び翻訳エレメントも用いることができる。そのような制御エレメントまたは調節
配列は、カプサイシン受容体コードポリヌクレオチドおよび/またはカプサイシ
ン受容体関連ポリペプチドコードヌクレオチドが発現される宿主細胞に応じて選
択される。例えば、哺乳類細胞系では、哺乳類遺伝子または哺乳類ウイルスから
のプロモーターが最も適当である。カプサイシン受容体ポリペプチドコード配列
および/またはカプサイシン受容体関連ポリペプチドコード配列の多数のコピー
を含む細胞株を産生することが望ましい場合、SV40またはEBVに由来するベクタ ーを他の選択的ベクターエレメント、例えば適当な選択マーカーと共に用いるこ
とができる。
【0070】 カプサイシン受容体ポリペプチドまたはカプサイシン受容体関連ポリペプチド
コード配列を効率よく翻訳するためには、特異的開始シグナル、例えばATG開始 コドンおよび細菌発現のための隣接領域も必要となる場合がある。その開始コド
ンおよび上流の配列を含む本来の配列を適当な発現ベクターに挿入する場合には
、さらなる転写制御シグナルは必要でない。コード配列のみ、またはその一部が
発現ベクターに挿入される場合、ATG開始コドンを含む外因性転写制御シグナル を提供しなければならない。さらに、全インサートの転写を確実にするために開
始コドンは正しいリーディング・フレームに存在しなければならない。外因性転
写エレメントおよび開始コドンは様々な起源に由来することができ、天然であっ
ても合成であってもよい。
【0071】 組換えポリペプチドを長期にわたって高収率で産生することが望ましい場合に
は、安定な発現が好ましい。例えば、カプサイシン受容体および/またはカプサ
イシン受容体関連ポリペプチドを安定に発現する細胞株を、ウイルス複製起点ま
たは内因性発現エレメントおよび選択マーカー遺伝子を含む発現ベクターを用い
て形質転換することができる。ベクターの導入後、細胞を栄養に富む培地で増殖
させてから選択培地に暴露することができる。選択培地に対する抵抗性を付与す
る選択マーカーは、導入された配列を首尾よく発現する細胞の増殖および回収を
可能にする。安定な抵抗性の形質転換細胞を、宿主細胞タイプにとって適当な細
胞培養技法を用いて増殖させることができる。
【0072】 如何なる数の選択系も形質転換した細胞株を回収するために用いることができ
る。これらの中には、それぞれtk-またはaprt-細胞において用いることができる
、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(ウィグラー(Wigler)ら、1977 Cel
l 11:223〜32)およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(ロウイ(L
owy)ら、1980、Cell 22:817〜23)遺伝子が含まれるがこれらに限定されない 。同様に、抗代謝物質または抗生物質抵抗性を選択の根拠として用いることがで
きる;例えばメソトレキサートに対する抵抗性を付与するdhfr(ウィグラー(Wi
gler)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. 77:3567〜70);およびアミノグリコシド であるネオマイシンおよびG-418に対する抵抗性を付与するnpt(コルベール・ガ
ラピン(Colbere-Garapin)ら、1981、J. Mol. Biol. 150:1〜14)。さらなる 選択遺伝子、例えばそれによって細胞がトリプトファンの代わりにインドールを
利用するtrpB、またはそれによって細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノールを
利用するhisDが記述されている(ハートマン(Hartman)ら、Proc. Natl. Acad.
Sci. 85:8047〜51)。選択マーカーはまた、アントシアニン、β-グルクロニ ダーゼとその基質であるGUS、およびルシフェラーゼとその基質であるルシフェ リンのような肉眼で確認できるマーカーを含む。そのような肉眼で確認できるマ
ーカーは、形質転換体の同定および特定のベクター系に帰することができる一過
性または安定な蛋白質発現量の定量に有用である(ローズ(Rhodes)ら、1995 M
ethods Mol. Biol. 55:121〜131)。
【0073】 または、カプサイシン受容体ポリペプチドおよび/またはカプサイシン受容体
関連ポリペプチドに対するコード配列を含み、それらを発現する宿主細胞は、当
技術分野で既知の多様な技法によって同定することができる。これらの技法には
、核酸または蛋白質を検出および/または定量するためのDNA-DNAまたはDNA-RNA
ハイブリダイゼーション、および蛋白質バイオアッセイ技術またはイムノアッセ
イ技術が含まれるがこれらに限定しない。
【0074】 カプサイシン受容体ポリペプチドおよび/またはカプサイシン受容体関連ポリ
ペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の有無は、プローブ、カプサイシン
受容体および/またはカプサイシン受容体関連ポリペプチドをコードするポリヌ
クレオチドの一部または断片を用いたDNA-DNA、DNA-RNAハイブリダイゼーション
、またはPCR増幅によって検出することができる。核酸増幅に基づく解析法には 、望ましいDNAまたはRNAを含む形質転換体を検出するために、カプサイシン受容
体またはカプサイシン受容体関連ポリペプチドをコードする配列に基づいたオリ
ゴヌクレオチドまたはオリゴマーを使用することが含まれる。本明細書において
用いられるように、「オリゴヌクレオチド」または「オリゴマー」とは、少なく
とも約10ヌクレオチドおよび多くとも約60ヌクレオチド、好ましくは約15〜30ヌ
クレオチド、より好ましくはプローブまたはアンプリマーとして用いることがで
きる約20〜25ヌクレオチドの核酸配列を指す。
【0075】 蛋白質特異的ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のいずれかを用い
て、特定の蛋白質の発現を検出および測定するための多様なイムノアッセイ法は
当技術分野に既知である。例には酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA) 、ラジオイムノアッセイ(RIA)、および蛍光活性化細胞ソーティング(FACS) が含まれる。これらおよび他の解析法は、例えばハンプトン(Hampton)ら、199
0、「血清学的方法実験マニュアル(Serological Methods, A Laboratory Manua
l)」、APSプレス、セントポールMN&マドックス(St Paul MN and Maddox)ら 、1983、J. Exp. Med. 158:1211に記載されている。
【0076】 多様な検出可能な標識および結合技法は当技術分野で既知であり、様々な核酸
およびアミノ酸解析において用いることができる。カプサイシン受容体またはカ
プサイシン受容体関連ポリペプチドをコードする配列に関連した配列を検出する
ために、標識したハイブリダイゼーションまたはPCRプローブを産生する手段に は、オリゴ標識、ニックトランスレーション、末端標識または標識したヌクレオ
チドを用いるPCR増幅が含まれる。または、mRNAプローブを産生するために、カ プサイシン受容体ポリペプチドまたはカプサイシン受容体関連ポリペプチドをコ
ードするヌクレオチド配列をベクターにクローニングすることができる。mRNAプ
ローブを産生するためのベクターおよび方法は当技術分野で周知である。適した
リポーター分子または標識には、それぞれが本明細書に参照として組み入れられ
る、米国特許第3,817,837号、第3,850,752号、第3,939,350号、第3,996,345号、
第4,277,437号、第4,275,149号および第4,366,241号に記載のように、放射線核 種、酵素、蛍光、化学発光、または色素産生物質と共に、基質、共因子、阻害剤
、磁性粒子等が含まれる。
【0077】 好ましい態様において、カプサイシン受容体活性を調べる機能的解析法を用い
て、カプサイシン受容体を発現する宿主細胞をスクリーニングして選択する。例
えば、機能的なカプサイシン受容体を発現する宿主細胞は、カプサイシン受容体
結合化合物(例えばカプサイシンまたはレシニフェラトキシン)に暴露した際の
細胞内カルシウム濃度の変化に関してスクリーニングすることができる。カプサ
イシン受容体結合化合物がカプサイシン受容体アゴニストである場合、アゴニス
ト化合物とカプサイシン受容体との結合により、カプサイシン受容体コード核酸
を発現する宿主細胞において細胞内カルシウム濃度の増加が起こる。細胞内カル
シウム濃度をモニターする方法および組成物(例えば、fura-2)は当技術分野で
周知である。
【0078】カプサイシン受容体ポリペプチドおよびカプサイシン受容体関連ポリペプチドの 精製 そのコードポリヌクレオチドを同定した後のポリペプチドの製造法は、当技術
分野で周知である。カプサイシン受容体ポリペプチドおよび/またはカプサイシ
ン受容体関連ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列によって形質転換した
宿主細胞は、コードされるポリペプチドの細胞培養での発現および培養からの回
収に適した条件下で培養することができる。組換え細胞によって産生されたポリ
ペプチドは、配列および/または使用したベクターに応じて分泌されるか、また
は細胞内に保存されてもよい。当業者によって理解されるように、カプサイシン
受容体ポリペプチドまたはカプサイシン受容体関連ポリペプチドをコードするポ
リヌクレオチドを含む発現ベクターは、原核細胞または真核細胞膜を通じてコー
ドされたポリペプチドの分泌を指向するシグナル配列と共にデザインすることが
できる。
【0079】 カプサイシン受容体ポリペプチドおよびカプサイシン受容体関連ポリペプチド
の精製は、カプサイシン受容体またはカプサイシン受容体関連ポリペプチドをコ
ードする配列とインフレームで発現させる場合に精製促進ドメインを有する融合
蛋白質を提供する、1つ以上のポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド
配列を含む組換え構築物を用いることによって促進することができる(クロール
(Kroll)ら、1993 DNA Cell Biol. 12:441〜53)。さらに精製を促進するため
に、精製ドメインとカプサイシン受容体ポリペプチドまたはカプサイシン受容体
関連ポリペプチドコード配列との間に切断可能なリンカー配列を含むことができ
る。
【0080】 カプサイシン受容体ポリペプチドおよびカプサイシン受容体関連ポリペプチド
(そのポリペプチドのそれぞれが本来のアミノ酸配列の一部を有するポリペプチ
ドを含む)はまた、固相技術を用いて直接ペプチド合成によって産生することが
できる(例えば、スチュワート(Stewart)ら、1969、「固相ペプチド合成(Sol
id-Phase Peptide Synthesis )」、WHフリーマンカンパニー、サンフランシス コ;メリフィールド(Merrifield)、1963、J. Am. Chem. Soc. 85:2149〜2154
)。カプサイシン受容体ポリペプチドまたはカプサイシン受容体関連ポリペプチ
ドの様々な断片は、個別に化学合成して、全長の分子を産生するために化学的方
法を用いて組み合わせることができる。
【0081】 人工合成または組換え産生後に望ましいポリペプチドを精製する方法はルーチ
ンであり、当技術分野で周知である。
【0082】カプサイシン受容体ポリペプチド、カプサイシン受容体関連ポリペプチド、およ びカプサイシン受容体ポリペプチドまたはカプサイシン受容体関連ポリペプチド をコードする核酸の使用 上記の用途のほかに、本明細書に開示のヌクレオチドおよびポリペプチド配列
は、抗体産生、カプサイシン受容体機能に影響を及ぼすカプサイシン受容体結合
結合化合物およびカプサイシン受容体関連ポリペプチド結合化合物の同定(例え
ば、薬物スクリーニング解析において)、およびカプサイシン受容体ポリペプチ
ドおよびカプサイシン受容体関連ポリペプチドをコードするその他のポリヌクレ
オチド配列の同定を含む、多様な方面で用いることができる。さらに、カプサイ
シン受容体ポリペプチドおよびカプサイシン受容体関連ポリペプチドをコードす
る配列を診断解析(例えば、出生前または生後の診断)に用いることができる。
さらに、カプサイシン受容体コード配列およびそのコードされたポリペプチドは
また、試料中(例えば天然物から、例えばチリペッパー抽出物)のカプサイシン
含有量を評価する、または物質(例えば、食品に対する芳香増強添加剤として用
いられる候補物質)のカプサイシン促進作用を評価する解析法に用いることがで
きる。
【0083】 本発明の配列のこれらおよび他の適用は、下記により詳細に説明する。
【0084】カプサイシン受容体およびカプサイシン受容体関連ポリペプチド結合化合物のス クリーニング そのそれぞれが生物学的に活性な断片もしくは免疫原性断片を含むカプサイシ
ン受容体ポリペプチドおよびカプサイシン受容体関連ポリペプチドまたはそのオ
リゴペプチドは、例えば、カプサイシン受容体に特に結合してその機能に影響を
及ぼすことによって、またはカプサイシン受容体関連ポリペプチドに特異的に結
合してカプサイシン受容体とのその相互作用に影響を及ぼし、それによってカプ
サイシン受容体受容体活性に影響を及ぼすことによって、カプサイシン受容体活
性に影響を及ぼす化合物をスクリーニングするために用いることができる。その
ような化合物の同定は多様な薬物スクリーニング技術を用いて行うことができる
。特に重要なものは、カプサイシン受容体機能に影響を及ぼす活性を有する物質
の同定である。そのような物質は、少なくとも一部カプサイシン受容体活性に関
連した炎症疾患(例えば、乾癬、気道過敏疾患(例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾
患))、関節炎(例えば、変形性関節炎、リウマチ性関節炎)の治療開発の、お
よび鎮痛薬として用いるための候補物質である。ヒト細胞に対して毒性が低い物
質のスクリーニング解析は特に重要である。そのような試験において用いられる
ポリペプチドは溶液中で遊離である、固相支持体に結合している、細胞表面上に
存在する、または細胞内に存在することができる。本発明のスクリーニング解析
は、一般に物質のカプサイシン受容体ポリペプチドとの結合能またはカプサイシ
ン受容体関連ポリペプチドとの結合能、および/またはカプサイシン受容体関連
またはカプサイシン受容体関連ポリペプチド関連生物活性(すなわち、機能的解
析または放射リガンド結合解析を用いた解析法)の誘発または阻害能に基づいて
いる。
【0085】 本明細書において用いられる「物質」という用語は、カプサイシン受容体また
はカプサイシン受容体関連ポリペプチドの望ましい生理的機能を変化させる(す
なわち、誘発または阻害する)、または模倣することができる分子、例えば蛋白
質または製剤を記述する。一般的に、様々な濃度に対する異なる反応を得るため
に多数の解析混合物を物質の異なる濃度について平行して実施する。典型的に、
これらの濃度の一つは陰性対照、すなわちゼロ濃度または検出限界以下である。
【0086】 候補物質は多数の化学クラスを含むが、典型的にそれらは有機分子、好ましく
は分子量50以上で約2,500ダルトン以下の有機小分子である。候補物質は蛋白質 との構造的相互作用に必要な官能基、特に水素結合を含み、典型的に少なくとも
アミン、カルボニル、ヒドロキシル、またはカルボキシル基1個、好ましくは官
能化学基少なくとも2個を含む。候補物質はしばしば、上記官能基1個以上によ
って置換された環状炭素または複素環式構造および/または芳香環または多芳香
環構造を含む。候補物質はまた、ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン
、ピリミジン、誘導体、その構造的類似体またはその組合せを含むがこれらに限
定しない。
【0087】 候補物質は合成または天然化合物のライブラリを含む多様な起源から得られる
。例えば、ランダムオリゴヌクレオチドおよびオリゴペプチドの発現を含む、多
様な有機化合物および生体分子のランダムおよび指向合成のために多数の手段を
利用できる。または、細菌、真菌、植物および動物抽出物の形での天然化合物の
ライブラリ(カプサイシン受容体ポリペプチドまたはカプサイシン受容体関連ポ
リペプチドに影響を及ぼす内因性因子を同定するためにヒト組織からの抽出物を
含む)は利用可能であり、容易に産生される。さらに、天然または合成的に産生
されたライブラリおよび化合物は従来の化学、物理、および生化学手段によって
容易に改変され、組合せライブラリを作製するために用いてもよい。構造的類似
体を産生するために、既知の薬剤にアシル化、アルキル化、エステル化、アミド
化等のような指向またはランダム化学改変を行ってもよい。
【0088】 好ましくは、用いられる薬剤スクリーニング技法は、カプサイシン受容体、カ
プサイシン受容体関連ポリペプチドに対する適した結合親和性を有する、および
/または望ましいカプサイシン受容体関連またはカプサイシン受容体関連ポリペ
プチド関連反応を誘発する化合物の高処理能スクリーニングを提供する。例えば
、異なる小さいペプチド試験化合物を、プラスチックピン、または他の表面(例
えば、1984年9月13日に公開されたゲイセン(Geysen)、国際公開公報第84/035
64号を参照のこと)のような固相基質上で多数合成することができ、ペプチド試
験化合物をカプサイシン受容体ポリペプチド(またはカプサイシン受容体関連ポ
リペプチド)と接触させ、未反応物質を洗浄して、結合したカプサイシン受容体
(または結合したカプサイシン受容体関連ポリペプチド)を検出可能な標識によ
って検出する、またはカプサイシン受容体活性(またはカプサイシン受容体関連
ポリペプチド活性)に関連した生物活性の検出によって検出する。精製したカプ
サイシン受容体または精製したカプサイシン受容体関連ポリペプチドはまた、イ
ンビトロ薬物スクリーニング技法において用いるためにプレートに直接コーティ
ングすることができる。または、非中和抗体を用いてポリペプチドを捕獲して、
これを固相支持体に固定することができる。
【0089】 本発明はまた、カプサイシン受容体特異的中和抗体またはカプサイシン受容体
関連ポリペプチド特異的中和抗体が、カプサイシン受容体ポリペプチドまたはカ
プサイシン受容体関連ポリペプチドの結合に対して、試験化合物と競合する競合
的薬物スクリーニング解析を使用することを含む。このようにして、抗体は、カ
プサイシン受容体ポリペプチドまたはカプサイシン受容体関連ポリペプチドと1
つ以上の抗原性決定因子を共有するポリペプチドの存在を検出するために用いる
ことができる。
【0090】候補物質のスクリーニング カプサイシン受容体ポリペプチドおよび/またはカプサイシン受容体関連ポリ
ペプチド結合物質を同定するために、標識したインビトロ結合解析、蛋白質結合
を調べるイムノアッセイ法等の多様な解析法を用いてもよい。例えば、カプサイ
シン受容体ポリペプチドまたはカプサイシン受容体関連ポリペプチドを大量に産
生することによって、蛋白質に結合する、蛋白質の作用を調節または模倣するリ
ガンドまたは基質を同定することができる。精製した蛋白質はまた、3次元結晶
構造の決定に用いてもよく、これを分子間相互作用のモデリングに用いることが
できる。
【0091】 スクリーニング解析は、1つ以上の分子が標識に結合し、標識が直接または間
接的に検出可能なシグナルを提供する結合解析であってもよい。様々な標識には
、放射性同位元素、蛍光物質、化学発光物質、酵素、特異的結合分子、粒子、例
えば磁性粒子等が含まれる。特異的結合分子には、ビオチンとストレプトアビジ
ン、ジゴキシンと抗ジゴキシン等の対が含まれる。特異的結合メンバーに関して
は、既知の技法に従って、相補的メンバーを通常、検出を提供する分子で標識す
る。
【0092】 本明細書に記述のスクリーニング解析には多様なその他の試薬を含んでもよい
。解析法が結合解析である場合、これらの中には、最適な蛋白質・蛋白質結合、
蛋白質・DNA結合を促進するため、および/または非特異的またはバックグラウ ンド相互作用を減少させるために用いられる塩、中性蛋白質、例えばアルブミン
、界面活性剤等の試薬が含まれる。プロテアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、
抗菌剤等のような解析効率を改善する試薬を用いてもよい。必須の結合を提供す
る成分の混合物は如何なる順序で加えてもよい。インキュベーションは適した温
度、典型的に4〜40℃で行われる。インキュベーション期間は最適な活性が得ら
れるように選択されるが、迅速な高処理能のスクリーニングを促進するように最
適にしてもよい。典型的に0.1〜1時間で十分であろう。
【0093】機能的カプサイシン受容体またはカプサイシン受容体関連ポリペプチドスクリー ニング解析 好ましくは、カプサイシン受容体結合化合物は、カプサイシン受容体発現宿主
細胞における陽イオン(例えば、カルシウム、マグネシウム、グアニジニウム、
コバルト、カリウム、セシウム、ナトリウム、および塩素、好ましくはカルシウ
ム)の細胞内濃度に及ぼす作用、リガンド活性化伝導、細胞死(すなわち例えば
形態学的解析、化学解析または免疫学的解析法を用いてモニターすることができ
る受容体媒介細胞死)、カプサイシン受容体発現細胞の脱分極(例えば、電圧感
受性蛍光色素を用いて)、セカンドメッセンジャー産生(例えば、ラジオイムノ
アッセイ法またはELISAによって検出することができる環状GMPレベルの変化を検
出することによって(例えばウッド(Wood)ら、1989、J. Neurochem. 53:1203
〜1211を参照のこと))、カルシウム誘導リポーター遺伝子発現(例えば、ジン
ティ(Ginty)1997、Neuron 18:183〜186を参照のこと)、またはカプサイシン
受容体活性に関連した他の容易に解析可能な生物活性、またはカプサイシン受容
体活性の阻害のような、カプサイシン受容体機能に関連した生物活性をモニター
する機能的解析において、アゴニストまたはアンタゴニスト作用の有無をスクリ
ーニングする。好ましくは、機能的解析は、多数の試料を同時にスクリーニング
する高処理能スクリーニングを用いて、例えば、カプサイシン受容体活性の変化
に関連する蛍光の変化の検出に基づく機能的解析法を用いて解析することができ
る、カプサイシン受容体の生物活性の検出に基づく。そのような機能的解析法は
カプサイシン受容体アゴニストまたはアンタゴニストのいずれかとしての活性の
有無について候補化合物をスクリーニングするために用いることができる。
【0094】 好ましい態様において、カプサイシン受容体発現細胞(好ましくは組換えカプ
サイシン受容体発現細胞)は、蛍光標識カルシウム(例えばfura-2)で予めロー
ディングする。カプサイシン受容体発現細胞を候補となるカプサイシン受容体結
合化合物に暴露して、その化合物に対する暴露の影響をモニターする。カプサイ
シン受容体アゴニスト活性を有する候補化合物は、カプサイシン受容体発現細胞
と接触させると、対照細胞(例えば、候補化合物の非存在下でのカプサイシン受
容体発現細胞、カプサイシン受容体コード核酸を含まない宿主細胞、既知のカプ
サイシン受容体アゴニストに暴露されたカプサイシン受容体発現細胞)と比較し
て細胞内カルシウムのカプサイシン受容体による増加を誘発する。同様に、機能
的カプサイシン受容体解析を用いて、既知のカプサイシン受容体アゴニストの活
性を遮断する(例えば、カプサイシンまたはレシニフェラトキシンの活性を遮断
する、または競合する)、既知のカプサイシン受容体アンタゴニストの活性を遮
断する(例えば、カプサゼピンの活性を遮断する、または競合する)、および/
またはカプサイシン受容体アンタゴニストとしての活性を有する候補化合物を同
定することができる。
【0095】 もう一つの態様において、本発明は、カプサイシン受容体関連ポリペプチドに
結合し、それによって例えば宿主細胞における陽イオンの細胞内濃度によって検
出されるカプサイシン受容体関連機能に対してアゴニストまたはアンタゴニスト
作用を誘発する化合物を同定する方法を含む。このため、機能的解析はカプサイ
シン受容体(例えば、VR1)のみを発現する宿主細胞、ならびにカプサイシン受 容体およびカプサイシン受容体関連ポリペプチドを共発現する(例えばVR1およ びVRRP-1)細胞を接触させることを含む。カプサイシン受容体関連ポリペプチド
の機能に影響を及ぼすことによってカプサイシン受容体活性に影響を及ぼす化合
物は、カプサイシン受容体およびカプサイシン受容体関連ポリペプチドを共発現
する細胞におけるカプサイシン受容体関連活性に影響を及ぼすが、カプサイシン
受容体のみを発現する宿主細胞におけるカプサイシン受容体関連活性には有意な
影響を及ぼさない化合物である。例えば、カプサイシン受容体およびカプサイシ
ン受容体関連ポリペプチドを共発現する細胞において細胞内カルシウムのカプサ
イシン受容体媒介増加を誘発するが、カプサイシン受容体のみを発現する細胞で
は誘発しない化合物は、カプサイシン受容体関連ポリペプチドとの相互作用を通
じてカプサイシン受容体アゴニスト活性を誘発する化合物であると同定される。
【0096】本発明のスクリーニング解析によって同定されたカプサイシン受容体活性に影響 を及ぼす物質を含む薬学的組成物および他の組成物 カプサイシン受容体結合化合物およびカプサイシン受容体関連ポリペプチド結
合化合物は、カプサイシン受容体媒介生理学的反応を誘発または阻害するために
有用であり、慢性疼痛、炎症、およびカプサイシン受容体媒介活性に関連した他
の生理的反応に関連した症状を緩和するための薬学的組成物において特に有用と
なりうる。
【0097】 望ましい薬理活性を有する化合物は、カプサイシン受容体活性が原因で起こる
疾患の治療のために、宿主に対して生理学的に許容される担体と共に投与しても
よい。または、同定された化合物は、カプサイシン受容体機能を増強、調節、ま
たはそうでなければ操作するために用いてもよい。治療物質は、局所、皮下、腹
腔内、血管内、経口、クモ膜下、表皮、小胞内(例えば、神経因性膀胱症候群を
治療するための膀胱洗浄の場合のように)、非経口的等のような多様な方法で投
与してもよい。喘息のような疾患に関連したカプサイシン受容体関連炎症の治療
にとって、吸入治療は特に重要である。
【0098】 投与様式に応じて化合物は多様な方法で製剤化してもよい。治療的に活性な化
合物の製剤中の濃度は約0.1〜100重量%まで変化してもよい。薬学的組成物は、
顆粒、錠剤、丸剤、カプセル剤、懸濁剤、軟膏、ローション剤等のような様々な
剤形に調製することができる。選択された投与経路に適した製薬等級の有機また
は無機担体および/または希釈剤を用いて、治療的に活性な化合物を含む組成物
を作製することができる。当技術分野で既知の希釈剤には、水性基剤、植物およ
び動物油ならびに脂肪が含まれる。安定化剤、湿潤剤および乳化剤、浸透圧を変
化させるための塩、または適当なpH値を維持するための緩衝剤、および皮膚透過
促進剤を補助物質として用いることができる。
【0099】 さらに、カプサイシン受容体活性に影響を及ぼす物質を含む組成物(例えば、
カプサイシン受容体に結合することによって、またはカプサイシン受容体関連ポ
リペプチドに結合することによって)は、防御スプレー(例えば、「コショウス
プレー」)での使用、またはそのようなスプレーの解毒剤としての使用を含む、
他の応用において有用である。本発明のスクリーニング法は、例えば、カプサイ
シン様活性を有するが、カプサイシンに関連した望ましからぬ副作用の1つ以上
を欠損する、または副作用が実質的に減少している薬剤の同定を含む、この目的
のために多様な方面において用いることができる。例えば、カプサイシンがスプ
レー抑止剤として有効である場合、カプサイシンに対する暴露は致命的となりう
る。本発明のスクリーニング法は、このように、望ましい抑止作用を有するが、
防御スプレーにおいて通常用いられる量の暴露によって死に至る可能性がない化
合物を同定するために用いることができる。その上、本発明のスクリーニング法
を用いて、哺乳類の種が異なればカプサイシン受容体に異なる影響を及ぼす化合
物を同定することができ、このように属または種特異性を有するカプサイシン受
容体に実質的に影響を及ぼすカプサイシン受容体アゴニストおよびアンタゴニス
トの同定およびデザインが可能である。このように、例えば、本発明の方法によ
って、ヒトのカプサイシン受容体を実質的に刺激しない、イヌまたはクマのカプ
サイシン受容体に対するカプサイシン受容体アゴニストが同定できる。これはイ
ヌカプサイシン受容体を発現する宿主細胞においてカプサイシン受容体関連生物
活性を誘発するが、ヒトカプサイシン受容体を発現する宿主細胞では比較的弱い
、またはほとんど生物活性を示さない化合物のスクリーニングによって得られる
【0100】治療的有効用量 有効用量の決定は当業者の技術範囲内である。いずれの化合物についても、治
療的有効用量はまず細胞培養解析、例えば組換え型カプサイシン受容体を発現す
る宿主細胞を用いて、または通常、ラット、マウス、ウサギ、イヌ、またはブタ
を用いる動物モデルのいずれかにおいて推定することができる。動物モデルはま
た、望ましい濃度範囲および投与経路を得るためにも用いることができる。次に
、そのような情報を用いて、ヒトでの投与の用量および経路を決定することがで
きる。治療的有効用量は、望ましい生理作用を提供する(例えば、カプサイシン
受容体媒介炎症もしくは疼痛に関連した症状を緩和する、または温度感覚の喪失
を提供する)物質(例えば、カプサイシン受容体アゴニストもしくはアンタゴニ
ストとしての活性を有する化合物)、ポリペプチド、または抗ポリペプチド抗体
の量を指す。
【0101】 そのような化合物の治療的効果および毒性は、細胞培養または実験動物におけ
る標準的な薬学的技法、例えばED(集団の50%において治療的に有効な用量)お
よびLD(集団の50%にとって致命的である用量)によって決定することができる
。治療作用と毒性作用との用量比が治療指数であり、比LD/EDとして表記する。 治療指数が大きい薬学的組成物が好ましい。細胞培養解析および動物試験から得
られたデータは、ヒトで用いる場合の用量範囲を決定するために用いられる。そ
のような化合物の用量は好ましくは、ほとんどまたは全く毒性を示さないED50を
含む循環中の濃度範囲内に存在する。実際の用量は、例えば用いる投与剤形、患
者の感受性、および投与経路に応じて、この範囲内で変化させることができる。
【0102】 正確な用量は治療すべき患者を考慮して個々の医師が選択する。用量および投
与は活性部分の十分なレベルが提供されるように、または望ましい作用が維持さ
れるように調節される。考慮に入れてもよいさらなる要因は、疾患状態の重症度
、治療部位の位置;患者の年齢、体重および性別;食事、投与時間および投与回
数;薬剤の併用;反応過敏症;および治療に対する忍容性/反応が含まれる。長
時間作用型の薬学的組成物は、特定の製剤の半減期およびクリアランス速度に応
じて、3〜4日毎、毎週、2週間に1回に投与することができる。
【0103】 正常な用量は投与経路に応じて変化してもよい。特定の用量および投与方法に
対するガイダンスが文献に示されており、一般に当技術分野の医師に利用できる
。カプサイシンおよびカプサイシン類似体を臨床応用で用いることおよびその投
与方法は当技術分野で周知である(例えば、全文が参照として本明細書に組み入
れられる、キャンベル(Campbell)ら、1993、「カプサイシンとその類似体の臨
床応用(Clinical Applications of Capsaicin and Its Analogues)」、「疼痛
研究におけるカプサイシン(Capsaicin in the Study of Pain)」、255〜272頁
;米国特許第5,5690,910号(カプサイシンを含む局所抗炎症組成物);米国特許
第5,296,225号(口顔疼痛の治療に対するカプサイシンを含む局所組成物);米 国特許第5,290,816号(神経原性炎症の脱感作のためのレシニフェラトキシンを 含む局所クリーム);米国特許第4,997,853号(表層部疼痛を治療するためのカ プサイシンを含む局所組成物);米国特許第5,403,868号(鎮痛薬および抗炎症 薬として有用なカプサイシン誘導体);米国特許第4,939,149号(知覚神経求心 性C繊維および熱調節脱感作を引き起こすレシニフェラトキシンの投与);米国 特許第4,536,404号(カプサイシンの適用による帯状疱疹後神経痛の局所治療) を参照のこと)。カプサイシン受容体アゴニストおよびアンタゴニストの投与に
関するさらなる全般的ガイダンスは、例えば、米国薬局方(USP)第17版、710〜
711頁;および医師の卓上参考書(Physician's Desk Reference)、1996、メデ ィカル・エコノミクス・コーン、モンベール、ニュージャージー州(特に、それ
ぞれカプサイシンを含む、1054のドロラック(登録商標)、1056のゾストリック
ス(登録商標)、および1056のゾストリックス-HP(登録商標)局所鎮痛クリー ムを参照のこと);および「レミントンの製薬科学(Remingtons' Pharmaceutic
al Sciences)」最新版、マック・パブリッシングカンパニー、イートン、ペン シルバニア州に見ることができる。
【0104】試料中のカプサイシン含有量を定量する、または候補となる食品添加物のカプサ イシン活性を決定する解析におけるカプサイシン受容体コードポリヌクレオチド の使用 カプサイシン受容体ポリペプチドコードポリヌクレオチドおよびカプサイシン
受容体ポリペプチドは、試料が食品に由来する、または着香剤として用いられる
候補物質を含む(例えば食物または食品におけるスパイスとしての使用)、試料
中にカプサイシンまたはカプサイシン活性を有する物質を検出するために定性的
、または定量的に決定する解析において用いることができる。この解析法は、求
心性神経に及ぼすその鎮痛作用と共に、カプサイシンが食物を「スパイシーホッ
ト」にする原因であるバニロイドファミリー化合物のメンバーであるという事実
を利用している。例えば、カプサイシンはコショウに存在する(例えば、タイの
グリーンポブラノベルデ(green poblano verde)、ハベネロ(habenero)、およ びグエロ(guero)コショウを参照のこと)。コショウの抽出物におけるカプサ イシンの量を決定する従来の解析法には、コショウ試料からの化合物の冗長な抽
出および高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)による定量が含まれる(例えば、
ウッドバリー(Woodbury)、1980、J. Assoc. Off. Anal. Chem. 63:566〜558 を参照のこと)。次にカプサイシンの量を、「辛さ」の尺度であるスコビル(Sc
oville)熱単位の数と相関させる。
【0105】 本発明の解析法は、試料中のカプサイシンの量を検出するために単離カプサイ
シン受容体ポリペプチドを利用し、このように、条件解析において化学抽出法を
用いる必要がない。用いられるカプサイシン受容体ポリペプチドは、溶液中に存
在する固相支持体に結合するか、または組換え宿主細胞の表面上に存在してもよ
い。カプサイシンのカプサイシン受容体ポリペプチドへの結合は、上記のスクリ
ーニング解析において記述のように検出される。
【0106】 好ましくは、試料中のカプサイシンまたはカプサイシン活性を有する化合物の
解析は上記の機能的解析法を用いて行う。より好ましくは、機能的解析法は、カ
ルシウム感受性蛍光色素(例えば、fura-2、indo-1、fluo-3)を予めローディン
グしたカプサイシン受容体発現組換え真核細胞(好ましくは哺乳類細胞または両
生類の卵母細胞)を用いる。次に、試料中のカプサイシンまたはカプサイシン様
化合物の有無および/または量は、カプサイシン受容体媒介細胞作用、例えば電
圧活性化細胞膜伝導の変化、または検出できるように標識した陽イオンの細胞内
レベルの変化を測定することによって決定される。例えば、検出できるように標
識した陽イオンが蛍光標識カルシウムである場合、予めローディングした宿主細
胞をカプサイシン含有試料に暴露すると、カプサイシンのカプサイシン受容体ポ
リペプチドへの結合が起こり、カプサイシン受容体による細胞内カルシウムの増
加が起こり、これは容易に検出および定量することができる。例えば、試験試料
による細胞内カルシウム流入レベルを対照試料(例えば、カプサイシンの量がわ
かっている試料)に関連した細胞内カルシウム流入と比較する。次に、電流、細
胞内カルシウム濃度、または他のカプサイシン受容体媒介現象の変化の程度は、
カプサイシンの濃度と相関し、これを今度はスコビル熱単位に割付することがで
きる。
【0107】 同様に、食物または食品を「ホット」にするために食品添加物として用いられ
る候補物質は、カプサイシン受容体媒介細胞反応(例えば、電圧活性化伝導また
は細胞内陽イオン濃度の変化)の誘発能に関してスクリーニングすることができ
る。本解析法は、例えばカプサイシン受容体への暴露によって誘発された反応に
基づいて、辛さの測定を客観的に決定することができるという長所を有する。
【0108】カプサイシン受容体コード配列を検出するためのカプサイシン受容体またはカプ サイシン受容体関連ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの診断的使用 カプサイシン受容体ポリペプチドまたはカプサイシン受容体関連ポリペプチド
をコードするポリヌクレオチド配列は、例えばカプサイシン受容体発現、特定の
カプサイシン受容体多形または変異、および/またはカプサイシン受容体関連ポ
リペプチド発現に関連した状態または疾患の診断(例えば、出生前または生後の
診断)に用いることができる。例えば、カプサイシン受容体またはカプサイシン
受容体関連ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、カプサイシン受
容体またはカプサイシン受容体関連ポリペプチドをそれぞれ検出するために、生
検から得られた液体または組織のインサイチューハイブリダイゼーションまたは
PCR解析において用いることができる。適した定性的または定量的方法には、サ ザンもしくはノザン分析、ドットブロット、またはその他の膜に基づく技術;PC
R技術;ディップスティック、pIN、チップおよびELISA技術が含まれる。これら の技術は全て当技術分野において周知であり、市販の多くの診断キットの基礎と
なっている。疾患が確定すれば、カプサイシン受容体関連疾患に対して必要に応
じて、治療物質を投与するか、またはその他の介入もしくは予防措置を開始する
【0109】 カプサイシン受容体またはカプサイシン受容体関連ポリペプチド配列に基づく
オリゴヌクレオチドは、カプサイシン受容体ポリペプチド発現、疾患に関連した
カプサイシン受容体多形の検出、および/またはカプサイシン受容体関連ポリペ
プチド発現を評価するPCRに基づく技法において用いることができる。PCR増幅法
は、米国特許第4,683,195号および第4,965,188号に記載されている。そのような
オリゴマーは一般的に化学合成され、または酵素的もしくは組換え的に産生され
る。オリゴマーは一般的に2つのヌクレオチド配列を含み、1つはセンス方向(
5'から3'へ)、およびもう一つはアンチセンス(3'から5'へ)であり、特定の遺
伝子または疾患を同定するために最適な条件下で用いられる。近縁のDNAまたはR
NA配列を検出および/または定量する場合には、同じ2つのオリゴマー、より内
側の(nested)オリゴマーセット、またはオリゴマーの縮重プールであっても、
低ストリンジェント条件下で用いることができる。
【0110】 本発明の特定の分子の発現を定量するためのさらなる方法には、放射標識(メ
ルビー(Melby)ら、1993、J. Immunol. Methods 159:235〜44)、またはビオ チン結合(デュプラー(Duplaa C)、1993、Anal Biochem. 229〜36)ヌクレオ チド、対照核酸の共増幅、および標準曲線による実験結果の補間が含まれる。対
象オリゴマーが様々な希釈で存在し、分光測光的または比色定量的検出によって
迅速な定量が得られるELISA形式で解析を行うことによって、多数の試料をより 時間的効率よく定量することができる。
【0111】カプサイシン受容体ポリペプチドおよびカプサイシン受容体関連ポリペプチドコ ード核酸の治療的使用 カプサイシン受容体ポリペプチドおよびカプサイシン受容体関連ポリペプチド
をコードするヌクレオチド配列と共にそのポリペプチドは、カプサイシン受容体
機能障害(例えば、罹患していない患者におけるカプサイシン受容体活性と比較
してカプサイシン受容体の増加、または罹患していない患者におけるカプサイシ
ン受容体活性と比較してカプサイシン受容体の減少)に関連した疾患の治療に有
用となる可能性がある。さらに、ドミナント・ネガティブなカプサイシン受容体
コード配列の発現は、カプサイシン受容体活性レベルの上昇に関連した疾患にお
いて治療的に有用となる可能性がある。カプサイシン受容体とカプサイシン受容
体関連ポリペプチドとの相互作用が疾患に関連している場合、これらのポリペプ
チドの相互作用は、例えばカプサイシン受容体とカプサイシン受容体関連ポリペ
プチドの相互作用ドメインに対応するペプチドの導入によって破壊することがで
きる。その上、腫瘍細胞における野生型カプサイシン受容体配列の発現によって
、そのような腫瘍細胞はカプサイシン受容体媒介細胞死に対してより感受性とな
る可能性がある。
【0112】 レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペスもしくはワクシニアウイルスまた
は様々な細菌プラスミドに由来する発現ベクターは、標的とする臓器、組織、ま
たは細胞集団にヌクレオチド配列を輸送するために用いることができる。好まし
くは、カプサイシン受容体ポリペプチドコード配列を輸送して発現させる標的細
胞は神経細胞であり、より好ましくは神経細胞においてカプサイシン受容体活性
を増強するための求心性神経である。アンチセンスカプサイシン受容体ポリヌク
レオチドを発現する組換え型ベクターは、当技術分野で周知の方法に従って構築
することができる(例えば、サムブルック(Sambrook)ら、上記、およびアウス
ユベール(Ausubel)ら、上記を参照のこと)。
【0113】 または、望ましいカプサイシン受容体コード断片を高レベルで発現する発現ベ
クターを細胞または組織にトランスフェクトさせることによって、カプサイシン
受容体をコードする遺伝子の発現を減少させることができる。そのような構築物
は翻訳されないセンスまたはアンチセンス配列を細胞に満たすことができる。DN
Aへの組み込みが行われない場合でも、そのようなベクターは、全てのコピーが 内因性ヌクレアーゼによって機能しなくなるまでRNA分子を転写し続けることが できる。カプサイシン受容体の発現および活性を調節するそのようなアプローチ
は、疼痛症候群および/またはカプサイシン受容体活性に関連した炎症疾患の治
療において有用となりうる。
【0114】 遺伝子発現の改変は、カプサイシン受容体をコードする遺伝子の制御領域(す
なわちプロモーター、エンハンサーおよびイントロン)に対してアンチセンスで
ある分子、DNA、RNA、またはPNAをデザインすることによって得ることができる 。リーダー配列の転写開始部位、例えば−10〜+10位の領域に由来するオリゴヌ
クレオチドが好ましい。アンチセンス分子はまた、転写物のリボゾームへの結合
を防止することによってmRNAの翻訳を防止するようにデザインすることができる
。同様に、発現の阻害は「三重らせん」塩基対形成法を用いて得ることができる
。三重らせん対が形成されると、二重らせんはポリメラーゼ、転写因子、または
調節分子が結合するために十分に開くことができなくなる。三重らせんDNAを用 いた最近の治療的進歩については、ジー(Gee JE)ら、(ヒュバー(Huber)ら 、1994、「分子的免疫的アプローチ(Molecular and Immunologic Approaches)
」、フツラパブリッシング・カンパニー、マウントキスコ、ニューヨーク州)に
よって論評されている。本発明のアンチセンス分子は、化学的オリゴヌクレオチ
ド合成、例えば固相ホスホロアミダイト化学合成法に関する技法を含む、RNA分 子の合成に関して当技術分野で既知の方法によって調製することができる。その
ようなDNA配列は、適したRNAポリメラーゼプロモーター(例えばT7またはSP6) を有する多様なベクターに組み入れることができる。または、アンチセンスRNA の構成的または誘導的合成において有用なアンチセンスcDNA構築物を、細胞株、
細胞、または組織に導入することができる。
【0115】 特に、RNA分子をアンチセンス療法のために投与する場合、RNAは細胞内安定性
および半減期を増加するように改変することができる。考えられる改変には、分
子の5'および/または3'末端での隣接配列の付加、または分子の骨格内にホスホ
ジエステラーゼ結合ではなくてホスホロチオエートもしくは2'O-メチル結合を使
用することを含むが、これらに限定しない。この考え方は本来PNAを産生するた めのものであったが、イノシン、ケオシン、およびウィブトシンのような新しい
塩基と共に、内因性のエンドヌクレアーゼによって容易に認識されないアデニン
、シチジン、グアニン、チミンおよびウリジンのアセチル、メチル、チオ、およ
び類似の改変型を含めることによって、これらの分子の全てに拡大することがで
きる。
【0116】 ベクターを細胞または組織に導入する方法には下記に記載する方法が含まれ、
これらはインビボ療法にとって等しく適している。
【0117】 好ましい態様において、カプサイシン受容体ポリペプチドコードポリヌクレオ
チドは、臓器化学療法を行うことが望ましい標的腫瘍細胞にインビボで導入され
る。本発明のこの局面は、カプサイシン受容体のアゴニスト(例えば、カプサイ
シン、レシニフェラトキシン)および/または温度への暴露に対する反応の範囲
を利用している。例えば、カプサイシン受容体アゴニストの低濃度(例えば、ナ
ノモル範囲のカプサイシン受容体アゴニスト濃度、例えば約200 nM〜約800 nM)
は、カプサイシン受容体刺激および細胞内カルシウム流入に関連している。カプ
サイシン受容体が神経細胞に発現されている場合、低濃度のカプサイシン受容体
アゴニストによってカプサイシン受容体を刺激した後に神経の脱感作が起こる。
しかし、カプサイシン受容体アゴニストの高濃度(例えば、マイクロモル範囲の
カプサイシン受容体アゴニスト濃度、例えば、約1μM〜約10 μM)は神経変性 および細胞死を媒介する。アゴニスト濃度および/または熱刺激がカプサイシン
受容体発現標的腫瘍細胞における細胞死の媒介に十分であるが、正常なカプサイ
シン受容体発現細胞には実質的に影響を及ぼさないか、またはそのような正常細
胞への影響がかなり少ない場合、カプサイシン受容体ポリペプチドを腫瘍細胞に
発現させれば、カプサイシン受容体アゴニストの高濃度の局所投与、または熱刺
激もしくはその双方に対する局所的な暴露によって、腫瘍細胞死を実質的に選択
的に促進することができる。
【0118】 または、腫瘍細胞に導入されたカプサイシン受容体ポリペプチドは、臓器化学
療法に反応してより高い選択性が得られる(すなわち、内因性の野生型カプサイ
シン受容体の活性化を全くまたはほとんど示さない腫瘍細胞において発現される
カプサイシン受容体の活性化が得られる)ように操作することができる。例えば
、カプサイシン受容体は、野生型のカプサイシン受容体との結合能が実質的に減
少している特異的カプサイシン受容体アゴニスト類似体と結合するように改変す
ることができる。したがって、変化したカプサイシン受容体を発現する標的細胞
(例えば、腫瘍細胞)は、変化したカプサイシン受容体ポリペプチドに対する特
異性を有するアゴニストを投与することによって、野生型カプサイシン受容体を
発現する細胞に実質的な影響を及ぼすことなく選択的に刺激することができる。
または、腫瘍細胞は、改変されたカプサイシン受容体がアゴニストに対してより
反応性を示す場合(すなわち、アゴニストに対してより反応性が高い、野生型と
比較してアゴニストに対する親和性が増加しており、それによって、内因性カプ
サイシン受容体の活性化が全くない、またはほとんどない改変した受容体の活性
化を可能にする、および/または野生型カプサイシン受容体より熱刺激に対する
反応性がより高くなるように改変される)、改変したカプサイシン受容体をコー
ドする配列によってインビボで形質転換することができる。これらの態様によっ
てこのように、変化したカプサイシン受容体標的臓器化学療法の高濃度またはよ
り高濃度の投与が可能となり、それによって、より選択的な臓器化学療法が可能
となる。
【0119】抗カプサイシン受容体および抗カプサイシン受容体関連ポリペプチド抗体 カプサイシン受容体特異的抗体およびカプサイシン受容体関連ポリペプチド特
異的抗体は、天然に存在する、または組換え型カプサイシン受容体ポリペプチド
もしくはカプサイシン受容体関連ポリペプチドのそれぞれのいずれかを発現する
細胞を同定するためと共に、カプサイシン受容体および/またはカプサイシン受
容体関連ポリペプチドの発現および/または機能に関連した状態および疾患の診
断に有用である。例えば、抗カプサイシン受容体抗体および抗カプサイシン受容
体関連ポリペプチド抗体は、受容体蛋白質のレベルの増加もしくは減少、および
/または異常な蛋白質プロセシングもしくはオリゴマー形成を検出するために用
いることができる。
【0120】 本発明の抗カプサイシン受容体ポリペプチド抗体および抗カプサイシン受容体
関連ポリペプチド抗体には、ポリクローナル、モノクローナル抗体、キメラ、一
本鎖、Fab断片およびFab発現ライブラリによって産生される断片が含まれるが、
これらに限定しない。特に重要な抗体には、例えばカプサイシン受容体機能を刺
激するおよび/またはカプサイシン受容体結合化合物のカプサイシン受容体への
結合を遮断する抗体が含まれる。そのような抗体は例えば、疼痛症候群における
疼痛の調節、カプサイシン受容体結合物質のスクリーニング解析、および試料中
でのカプサイシン受容体活性化化合物の測定において有用となる可能性がある。
【0121】 抗体産生に適したカプサイシン受容体ポリペプチドおよびカプサイシン受容体
関連ポリペプチドは、生物活性である必要はない;むしろポリペプチドまたはオ
リゴヌクレオチドは抗原性でありさえすればよい。カプサイシン受容体特異的抗
体およびカプサイシン受容体関連ポリペプチド特異的抗体の産生に用いられるポ
リペプチドは、一般に、少なくともアミノ酸5個、好ましくは少なくともアミノ 酸10個を含むアミノ酸配列を有する。好ましくは、抗原性カプサイシン受容体ポ
リペプチドおよび抗原性カプサイシン受容体関連ポリペプチドは、本来のカプサ
イシン受容体またはカプサイシン受容体関連ポリペプチドのエピトープをそれぞ
れ模倣する。短いポリペプチドに対して特異的である抗体は、カプサイシン受容
体ポリペプチドもしくはカプサイシン受容体関連ポリペプチドを担体に結合させ
ることによって、またはカプサイシン受容体ポリペプチドもしくはカプサイシン
受容体関連ポリペプチドをもう一つの蛋白質(例えば、キーホール・リンペット
・ヘモシアニン)と融合させることによって、および担体と結合したキメラ分子
を抗原として用いることによって、産生することができる。一般に、抗カプサイ
シン受容体抗体およびカプサイシン受容体関連ポリペプチド抗体は当技術分野で
周知の方法によって産生することができる。組換え型免疫グロブリンは、参照と
して本明細書に組み入れられる、米国特許第4,816,567号に従って産生すること ができる。
【0122】 様々な宿主、一般に哺乳類または両生類宿主は、抗カプサイシン受容体抗体お
よび抗カプサイシン受容体関連ポリペプチド抗体(例えば、ヤギ、ウサギ、ラッ
ト、マウス)を産生するために用いることができる。一般に、抗体は免疫原性特
性を保持しているカプサイシン受容体ポリペプチドまたはカプサイシン受容体関
連ポリペプチド(本来のポリペプチド、断片またはオリゴペプチドの如何なる部
分も含む)によって宿主を免疫することによって(例えば、注射によって)産生
される。宿主の種に応じて、宿主の免疫応答を増強するために様々なアジュバン
トを用いることができる。そのようなアジュバントには、フロイントのアジュバ
ント、ミネラルゲル(水酸化アルミニウム)、リゾレシチンのような界面活性物
質、プルロニック・ポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油性乳剤、キーホー
ル・リンペット・ヘモシアニンおよびジニトロフェノールが含まれるが、これら
に限定しない。BCG(カルメット・ゲラン杆菌)およびコリネバクテリウム・パ ルヴム(Corynebacterium parvum)はおそらく有用なヒトアジュバントである。
【0123】 モノクローナル抗体は培養した不死化細胞株によって抗体分子が産生される如
何なる技法も用いて調製することができる。これらの技法には、コーラー&ミル
スタイン(Kohler and Milstein、1975、Nature 256:495〜497)によって初め て記述されたハイブリドーマ技法、ヒトB細胞ハイブリドーマ技法(コスバー(K
osbor)ら、(1983)、Immunol Today 4:72;コート(Cote)ら、(1983)Proc
Natl Acad. Sci 80:2026〜2030)およびEBVハイブリドーマ技法(コール(Col
e)ら、(1985)、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、アランRリス・
インク、ニューヨーク、ニューヨーク州、77〜96頁)が含まれるがこれらに限定
しない。
【0124】 さらに、適当な抗原特異性および生物活性を有する分子を得るために、「キメ
ラ抗体」を産生するために開発された技法である、ヒト抗体遺伝子に対するマウ
ス抗体遺伝子のスプライシングを用いることができる(モリソン(Morrison)ら
、1984 Proc Natl Acad. Sci.81:6851〜6855;ニューバーガー(Neuberger)ら
、1984、Nature 312:604〜608;タケダ(Takeda)ら、1985 Nature 314:452〜
454)。または、一本鎖抗体を産生するために記述された技法(米国特許第4,946
,778号)を、カプサイシン受容体特異的またはカプサイシン受容体関連ポリペプ
チド特異的である一本鎖抗体の産生に応用することができる。
【0125】 抗体はインビボで、またはオーランディ(Orlandi)ら(1989、Proc Natl Aca
d Sci 86:3833〜3837)およびウィンター(Winter)ら(1991、Nature 349:29
3〜299)に開示された組換え免疫グロブリンライブラリもしくは非常に特異的な
一連の結合試薬をスクリーニングすることによって、産生することができる。
【0126】 カプサイシン受容体ポリペプチドまたはカプサイシン受容体関連ポリペプチド
に対する特異的結合部位を有する抗体断片も産生することができる。例えば、そ
のような断片には、抗体分子のペプシン消化によって産生することができるF(ab
')2断片、およびF(ab')2断片のジスルフィド架橋を還元することによって作製す
ることができるFab断片が含まれるがこれらに限定しない。または、望ましい特 異性を有するモノクローナルFab断片を迅速かつ容易に同定するためにFab発現ラ
イブラリを構築することができる(ヒューズ(Huse)ら、1989 Science 256:12
75〜1281)。
【0127】 確立された抗体特異性を有するポリクローナルまたはモノクローナル抗体のい
ずれかを用いた競合的結合または免疫放射測定解析に関する多様なプロトコール
は当技術分野で周知である。そのようなイムノアッセイ法には、典型的に例えば
カプサイシン受容体ポリペプチドと特異的抗カプサイシン受容体抗体との複合体
形成、ならびにカプサイシン受容体抗体複合体形成の検出および定量が含まれる
。特異的カプサイシン受容体蛋白質上の2つの非干渉的エピトープに対して反応
性のモノクローナル抗体を用いた2部位のモノクローナル抗体に基づくイムノア
ッセイ法が好ましいが、競合的結合解析法もまた用いることができる。これらの
解析法はマドックス(Maddox)ら、1983、J Exp Med 158:1211に記載されてい る。
【0128】カプサイシン受容体特異的またはカプサイシン受容体関連ポリペプチド特異的抗 体を用いた診断解析 特定のカプサイシン受容体抗体およびカプサイシン受容体関連ポリペプチド抗
体は、カプサイシン受容体の異常な発現または機能を特徴とする状態または疾患
の診断(例えば、ニューロパシーを検出するために皮膚におけるカプサイシン受
容体発現の検出、またはカプサイシン受容体関連障害または疾患を有するおよび
/またはカプサイシン受容体アゴニスト、アンタゴニスト、または阻害剤によっ
て治療している患者をモニターする解析法において)に有用である。例えば、異
常なカープ(carp)機能は、カプサイシン受容体関連ポリペプチドの過剰産生ま
たは過小産生が原因である可能性がある;このように抗カプサイシン受容体関連
抗体は、これらの変化を定性的または定量的に検出するために用いることができ
る。カプサイシン受容体またはカプサイシン受容体関連ポリペプチドに関する診
断解析には、試料中(例えば、細胞または組織の抽出物)のカプサイシン受容体
を検出するために、検出できるように標識した抗カプサイシン受容体抗体または
抗カプサイシン受容体関連ポリペプチドを用いる方法が含まれる。本発明のポリ
ペプチドおよび抗体は、改変して、または改変せずに用いることができる。ポリ
ペプチドおよび抗体は、リポーター分子に対する共有結合または非共有結合によ
って標識することが多い。そのような多様な適したリポーター分子は当技術分野
で既知である。抗体結合を検出および定量する方法は当技術分野で周知である。
【0129】カプサイシン受容体ポリペプチド、カプサイシン受容体関連ポリペプチドおよび /またはそれに対する抗体を含む薬学的組成物 本発明はまた、カプサイシン受容体ポリペプチド、抗カプサイシン受容体ポリ
ペプチド抗体、カプサイシン受容体関連ポリペプチド、または抗カプサイシン受
容体関連ポリペプチドを、単独で、または滅菌した生体適合性の薬学的担体と共
に投与することができる安定化化合物のような少なくとも1つのもう一つの物質
と併用して含むことができる薬学的組成物を含む。本発明の薬学的組成物は、賦
形剤または薬学的に許容される担体と混合した薬学的組成物において、患者に単
独で、または他の物質、薬剤もしくはホルモンと併用して投与することができる
。本発明の一つの態様において、薬学的に許容される担体は薬学的に不活性であ
る。
【0130】 カプサイシン受容体ポリペプチドおよび/またはカプサイシン受容体関連ポリ
ペプチドは、例えばカプサイシン受容体アゴニストもしくはアンタゴニストとし
て作用する内因性因子の作用を緩和するために、または患者に投与されるカプサ
イシン受容体アゴニストまたはアンタゴニストの作用を遮断または調節するため
に、投与することができる。抗カプサイシン受容体ポリペプチド抗体および/ま
たは抗カプサイシン受容体関連ポリペプチド抗体は、望ましいようにカプサイシ
ン受容体を刺激するように、または例えばカプサイシン受容体との競合的結合を
通じて、内因性もしくは外因性カプサイシン受容体結合アゴニストもしくはアン
タゴニストの作用を遮断するために投与することができる。カプサイシン受容体
ポリペプチド、カプサイシン受容体関連ポリペプチド、抗カプサイシン受容体抗
体および/または抗カプサイシン受容体関連ポリペプチド抗体を含む薬学的製剤
は当技術分野で既知の方法に従って製剤化することができる。
【0131】カプサイシン受容体および/またはカプサイシン受容体関連ポリペプチドをコー ドするポリヌクレオチドを発現するトランスジェニック動物 カプサイシン受容体またはカプサイシン受容体関連ポリペプチドをコードする
核酸を用いて、ヒト以外の遺伝子改変動物または細胞株における部位特異的遺伝
子改変体を作製することができる。「トランスジェニック」という用語は例えば
、カプサイシン受容体遺伝子活性(および/またはカプサイシン受容体関連ポリ
ペプチド活性)の欠失またはその他のノックアウト、宿主細胞に安定に伝播され
る外因性カプサイシン受容体遺伝子(またはカプサイシン受容体関連ポリペプチ
ド遺伝子)、変化したカプサイシン受容体(および/またはカプサイシン受容体
関連ポリペプチド)遺伝子発現を有する「ノックイン」、またはリポーター遺伝
子に機能的に結合した外因性カプサイシン受容体もしくはカプサイシン受容体関
連ポリペプチドプロモーター、を有する遺伝子改変動物を含むと解釈される。特
に重要なものは、カプサイシン受容体および/またはカプサイシン受容体関連ポ
リペプチド機能のホモ接合およびヘテロ接合ノックアウトおよびノックインであ
る。
【0132】 トランスジェニック動物は、内因性カプサイシン受容体座(および/またはカ
プサイシン受容体関連ポリペプチド座)が変化している相同組換えによって作製
してもよい。または、核酸構築物をランダムにゲノムに組み入れる。安定な組み
込みに適したベクターには、プラスミド、レトロウイルスおよびその他の動物ウ
イルス、YAC等が含まれる。重要なものはトランスジェニック哺乳類、好ましく はハツカネズミ属(Mus)(例えばマウス)、クマネズミ属(Rattus)(例えば 、ラット)、オリクトログス(Oryctologus)(例えばウサギ)およびメソクリ セツス(Mesocricetus)(例えばハムスター)からなる群より選択される属の哺
乳類である。
【0133】 「ノックアウト」動物は、内因性カプサイシン受容体機能(および/またはカ
プサイシン受容体関連ポリペプチド機能)が実質的に減少する、または消失する
ように遺伝子操作されている。異なるアプローチを用いて「ノックアウト」を得
てもよい。例えば、本来のカプサイシン受容体相同体(または本来のカプサイシ
ン受容体関連ポリペプチド相同体)の全てまたは一部の染色体欠失を誘導しても
よい。非コード領域、特にプロモーター領域、3'調節配列、エンハンサーの欠失
、またはカプサイシン受容体遺伝子および/またはカプサイシン受容体関連ポリ
ペプチド遺伝子の発現を活性化する遺伝子の欠失。機能的ノックアウトはまた、
本来の遺伝子の発現を遮断するアンチセンス構築物を導入することによって得て
もよい(例えば、リ&コーエン(Li and Cohen)(1996)、Cell 85:319〜329 )。
【0134】 カプサイシン受容体遺伝子機能(および/またはカプサイシン受容体関連ポリ
ペプチド遺伝子機能)の条件付きノックアウトもまた、本発明の範囲内に含まれ
る。条件付きノックアウトは、標的遺伝子の変化を促進する物質に動物を暴露し
た場合、標的遺伝子部位で組換えを促進する酵素(例えば、Cre-loxP系における
Cre)を導入した場合、または標的遺伝子変化を指向するその他の方法を行った 場合に、カプサイシン受容体遺伝子機能(および/またはカプサイシン受容体関
連ポリペプチド遺伝子機能)に欠損を示すトランスジェニック動物である。
【0135】 例えば、カプサイシン受容体遺伝子機能の条件付きノックアウトを有するトラ
ンスジェニック動物はCre-loxP組換え系を用いて産生することができる(例えば
、キルビー(Kilby)ら、1993 Trends Genet 9:413〜421)。CreはloxPと呼ば れる2つの認識配列間のDNAを切除する酵素である。この系はカプサイシン受容 体の条件付きノックアウトを作製する多様な方法において用いることができる。
例えば、異なるトランスジェニックマウス2匹を産生することができる;1匹は
loxP部位に隣接するカプサイシン受容体配列に対するトランスジェニックであり
、もう1匹はCreに対するトランスジェニックである。Creトランスジーンは、誘
導型または発生的に調節されるプロモーター(グ(Gu)ら、1993、Cell 73:115
5〜1164;グ(Gu)ら、1994 Science 265:103〜106)の制御下、または組織特 異的もしくは細胞タイプ特異的プロモーター(例えば、神経特異的プロモーター
)の調節下に置くことができる。カプサイシン受容体トランスジェニック動物を
Creトランスジェニックと交配させて、発生期にCreを発現する細胞に限ってカプ
サイシン受容体遺伝子を欠損する子孫を作製する。
【0136】 外因性カプサイシン受容体遺伝子および/または外因性カプサイシン受容体関
連ポリペプチド遺伝子を有するトランスジェニック動物を作製してもよい。外因
性遺伝子は通常、動物宿主とは異なる種に由来する、またはそうでなければその
コードまたは非コード配列が変化している。導入された遺伝子は野生型遺伝子、
天然に存在する多形、または遺伝子操作された配列、例えばコードもしくは非コ
ード領域における欠失、置換、または挿入に関してこれまでに記述された配列で
あってもよい。導入された配列はカプサイシン受容体ポリペプチドおよび/また
はカプサイシン受容体関連ポリペプチドをコードしてもよい。導入された遺伝子
がコード配列である場合、通常、構成的または誘導型であってもよいプロモータ
ー、および宿主動物において発現に必要なその他の調節配列に機能的に結合して
いる。
【0137】 重要な特異的構築物には、カプサイシン受容体またはカプサイシン受容体関連
ポリペプチドをコードするアンチセンスポリヌクレオチド、カプサイシン受容体
発現またはカプサイシン受容体関連ポリペプチド発現をそれぞれ遮断するカプサ
イシン受容体またはカプサイシン受容体関連ポリペプチド配列に基づくリボザイ
ムを含むがこれらに限定しない。そのようなアンチセンスポリヌクレオチドまた
はリボザイムはまた、ドミナントネガティブ変異の発現および対応する遺伝子の
過剰発現を遮断するであろう。構築物によってコードされるカプサイシン受容体
および/またはカプサイシン受容体関連ポリペプチドが、それが発現される宿主
の種とは異なる種に由来する場合(例えば、トランスジェニックマウスにおける
ヒトカプサイシン受容体の発現)、宿主におけるカプサイシン受容体またはカプ
サイシン受容体関連ポリペプチドをコードする構築物の発現もまた重要である。
対応する遺伝子の発現がアップレギュレーションされれば表現型の変化が容易に
検出される、lacZのような検出マーカーをカプサイシン受容体またはカプサイシ
ン受容体関連ポリペプチド座に導入してもよい。カプサイシン受容体またはカプ
サイシン受容体関連ポリペプチド遺伝子のプロモーター領域をリポーター遺伝子
と共に利用する構築物も重要である。切断されたまたは変化した(例えば変異)
カプサイシン受容体またはカプサイシン受容体関連ポリペプチドをコードする配
列を有する構築物も重要である。
【0138】 改変した細胞または動物は、カプサイシン受容体またはカプサイシン受容体関
連ポリペプチドの機能および調節の研究において有用である。そのような改変し
た細胞または動物はまた、例えばカプサイシン受容体またはカプサイシン受容体
関連ポリペプチドの機能を調べる研究と共に、侵害受容神経発生に関する研究に
おいても有用である。動物は、機能的研究、薬物スクリーニング等において、カ
プサイシン受容体機能、またはカプサイシン受容体機能に関連した疾患または状
態(例えば、カプサイシン受容体欠損またはその他の変化したカプサイシン受容
体活性)に関連した症状に及ぼす候補薬物の作用を調べるために用いてもよい。
そうでなければ正常では産生されない細胞において(例えば、異所性発現)カプ
サイシン受容体ポリペプチドおよび/またはカプサイシン受容体関連ポリペプチ
ドの発現を提供することによって、細胞挙動の変化を誘導することができる。
【0139】 相同組換えのためのDNA構築物は、望ましい遺伝子改変を有するカプサイシン 受容体遺伝子(またはカプサイシン受容体関連ポリペプチド遺伝子)の少なくと
も一部を含み、標的座との相同性領域を含む。ランダム組換えのための構築物は
、組換え媒介のための相同性領域を含む必要はない。陽性および陰性選択マーカ
ーを含めると都合がよい。相同組換えを通じて標的遺伝子改変を有する細胞を産
生する方法は、当技術分野で既知である。哺乳類細胞をトランスフェクトさせる
様々な技法に関しては、ケオウン(Keown)ら、1990 Methods in Enzymology 18
5:527〜537を参照のこと。
【0140】 胚性幹(ES)細胞に関しては、ES細胞株を用いてもよく、または胚細胞は宿主
、例えばマウス、ラット、モルモット等から新たに得てもよい。そのような細胞
は、白血病阻止因子(LIF)のような適当な増殖因子の存在下で適当な繊維芽細 胞フィーダー層上で増殖する。ESが形質転換されている場合、それらを用いてト
ランスジェニック動物を作製してもよい。形質転換後、細胞を適当な培地中でフ
ィーダー層上に播種する。構築物を含む細胞は選択的培地を用いることによって
検出する。コロニーが増殖するために十分な時間が経過した後、それらをとりだ
して、構築物の相同組換えまたは組み込みの発生率を分析する。陽性であるコロ
ニーを胚の操作および胚盤胞注射に用いてもよい。胚盤胞は4〜6週齢の過剰排
卵した雌から得る。ES細胞をトリプシン処理して改変した細胞を胚盤胞の卵割腔
に注射する。注射した後、胚盤胞を仮親の雌のそれぞれの子宮角に戻す。次に雌
を満期まで妊娠を継続させ、得られた仔を構築物を有する変異細胞の有無に関し
てスクリーニングする。異なる表現型の胚盤胞およびES細胞を提供することによ
って、キメラ子孫は容易に検出することができる。
【0141】 キメラ動物を改変遺伝子の有無に関してスクリーニングする。改変を有するキ
メラ動物(通常、キメラ雄性)を野生型動物と交配させて、ヘテロ接合体を形成
し、ヘテロ接合体を交配させてホモ接合体を産生する。遺伝子の変化によって発
生の何らかの時点で死亡を生じる場合、組織または臓器を同種異系またはコンジ
ェニック移植片または移植体として、またはインビトロ培養において維持する。
【0142】 遺伝子機能の研究は、哺乳類以外のモデル、特にC.エレガンス(C. elegans)
、D.メラノガスター(D. melanogaster)およびS.セレビジエ(S. cerevisiae)
のような生物学的および遺伝的によく特徴付けがなされた生体を用いてもよい。
例えば、カプサイシン受容体遺伝子またはカプサイシン受容体遺伝子のプロモー
ター領域の線虫相同体にトランスポゾン(Tc1)挿入を行ってもよい。神経細胞 の機能に関与する生理的および生化学経路を決定するために、カプサイシン受容
体遺伝子配列を用いて、定義された遺伝子病変をノックアウトまたは補ってもよ
い。ヒト遺伝子がより下位の真核生物モデルにおける変異を補うことができるこ
とは周知である。
【0143】カプサイシン受容体ポリペプチドを有するバイオセンサー膜 カプサイシン受容体ポリペプチドは熱に対して反応性を有するために、カプサ
イシン受容体ポリペプチドは、温度変化を検出するためのバイオセンサーとして
用いることができる。バイオセンサーは、その中にカプサイシン受容体ポリペプ
チドが組み入れられた脂質膜(またはその他の媒体)を通過するイオン電流の電
気化学的測定を利用している。カプサイシン受容体ポリペプチドを熱によって刺
激すると、カプサイシン受容体ポリペプチドは膜を通過するイオン(例えばカル
シウム)運動を促進し、これを脂質二重膜を通過する電流の変化として検出する
。温度および/または温度変化は、二重層を通過する電気伝導のカプサイシン受
容体ポリペプチド活性化による相対的増加と相関しうる。
【0144】 両親媒性分子を溶液中で凝集させると、単層、ミセル、黒膜、および小胞が単
一の成分を有する、または複数の成分を有する多ラメラ型である小胞またはリポ
ソームのような二次元または三次元配置を形成できることがよく知られている。
膜は脂質、長鎖(C12〜C24)有機化合物と共に、物理的に補強するためのプラス
チック材料等のポリマーの如何なる適した組合せを含んでもよい。対象蛋白質を
組み込む脂質二重層を製造するための方法および組成物は、バイオセンサーの電
気機械的成分を製造するための方法および組成物と共に、当技術分野において周
知である(例えば、それぞれが対象受容体(すなわち、カプサイシン受容体)を
組み入れるバイオセンサーの製造および使用に関する参照として本明細書に組み
入れられる、米国特許第5,328,847号(生化学スイッチを有する薄膜センサー) ;米国特許第5,443,955号(受容体膜およびイオノフォア開閉);米国特許第5,2
34,566号(イオンチャンネルバイオセンサー膜の感度および選択性);米国特許
第5,074,977号(デジタルバイオセンサーおよびこれを用いる方法);および米 国特許第5,156,810号(電気的、光学的、および機械的シグナルを用いたバイオ センサー)を参照のこと)。
【0145】 本発明のバイオセンサーは、膜が少なくとも一つのカプサイシン受容体ポリペ
プチドを含む、少なくとも1つの脂質膜を含む。カプサイシン受容体ポリペプチ
ドは、リガンド(例えば、カプサイシン)またはカプサイシン受容体活性を媒介
するその他のイフェクター(例えば、熱)と接触した場合に機能しうるため、膜
におけるカプサイシン受容体の方向性はバイオセンサーの機能にとって実質的に
重要ではない。
【0146】 従来のマイクロエレクトロニクス装置では、センサーに適切にパワーを供給し
、熱を検出する前に脂質二重層を通過する一定の直流電圧を提供し、および温度
変化によって誘発されるカプサイシン受容体活性化後のイオン電流の流れを測定
する。誘発された電流シグナルを伴う電気的ノイズに基づき、膜の整合性を測定
する設備を検出エレクトロニクスに組み入れれば、さらに望ましいであろう。
【0147】 一般に、カプサイシン受容体ポリペプチド含有二重層を通過する伝導の変化を
検出することによって、本発明のバイオセンサーを用いて熱を検出する。例えば
、カプサイシン受容体ポリペプチド脂質二重層は、脂質二重層の第一の界面(「
熱検出界面」)が、カプサイシン受容体によって輸送することができる選択的な
陽イオン(例えば、カルシウム、またはマグネシウムのような陽イオン、好まし
くはナトリウム)を含む中性pHの緩衝液と接触し、一方、カプサイシン受容体ポ
リペプチド脂質二重層の第二の界面が、二重層の熱検出界面が浸されている緩衝
液中での選択した陽イオン濃度より有意に低い選択した陽イオン濃度を有する中
性pH緩衝液と接触するように、提供される。二重層の熱検出界面を温度変化に暴
露すると、熱はカプサイシン受容体機能を促進して二重層を通じて選択した陽イ
オンを輸送し、その結果二重層の伝導の変化が起こる。伝導の変化は温度変化と
相関する。
【0148】 以下の実施例は本発明を説明するために提供されるのであって、本発明の範囲
を制限するために含めるのではない。
【0149】 実施例実施例1:ラット・カプサイシン受容体をコードするDNAの発現クローニング 様々な細胞表面受容体およびイオンチャンネルをコードするcDNAを得るために
、アフリカツメガエル卵母細胞における電気生理学的解析が用いられている(Br
akeら、1995 Nature 371:519〜523)が、この方法はカプサイシン受容体クロー ンの同定ではうまくいかないことが判明した。カルシウムイオンの知覚神経への
流入を誘発するカプサイシンの能力に基づく哺乳類細胞の発現クローニング戦略
を開発した。まず、本質的に文献(Brakeら、前記)記載のとおりに、齧歯類後 根神経節プラスミドcDNAライブラリをpcDNA3(Invitrogen)中に作成した。ラッ
ト新生仔(P1)およびマウス成体後根神経節由来のポリアデニル化RNA混合物を 用い、Not1制限酵素切断部位を含むオリゴ(dT)プライマーを用いて第一鎖cDNA
を生成した。第二鎖の合成およびBstX1アダプターの結合に続き、cDNAをNot1で 消化した。cDNAおよびBstX1/Not1−直鎖化pcDNA3をそれぞれ酢酸カリウム勾配で
精製し、これらをライゲートし、電気穿孔法によりDH5α菌に形質転換した。得 られた2.4×10の個々の細菌クローンを144のプールに分け、-80℃で保存した。
【0150】 SV40ラージT抗原を構成的に発現するHEK293(ヒト胎児腎臓)細胞を、培地A(
10%ウシ胎仔血清補足DMEM(Hyclone)、ペニシリン、ストレプトマイシン、およ
びL-グルタミン)中、37℃、5%COで維持した。別に示す場合を除き、35mmの組織
培養皿に3.2×10で播種したほぼコンフルエントな細胞を用いて一過性トランス フェクションを実施した。24時間後、培地を1mlの培地B(10%透析ウシ胎仔血清 補足DMEM、ペニシリン、ストレプトマイシン、およびL-グルタミン)で置き換え
た。37℃で2時間培養後、細胞を12μgのプラスミドDNAでリン酸カルシウム沈殿 キット(Specialty Media)を用いてトランスフェクトした。翌日、1mMのEDTAを
含むリン酸緩衝食塩水(PBS)で細胞を1回洗浄し、培養皿から洗い出して遠心沈
降(200×g、5分、22℃)により集め、培地Bに再度懸濁し、次いでポリオルニチ
ンでコートしたカバーグラス上に再度播種した。この条件下で、各細胞は約200 の異なるcDNAをコードするプラスミドを獲得した。
【0151】 6から24時間後、10μMのfura-2アセトキシメチルエステルおよび0.02%のプレ ウロン酸(Molecular Probes)を含むCIB緩衝液(130mM NaCl、2mM KCl、2.5mM
CaCl、0.6mM MgCl、1.2mM NaHCO、10mMグルコース、10mM Hepes、pH7.45)中で 細胞にfura2をのせ、次いでCIBで2回洗浄した。比測定カルシウム画像化法を様 々なフィルターホイール(Sutter Instrument)および増感CCDカメラ(Hamamats
u)を装備したNikon Diaphot蛍光顕微鏡を用いて実施した。二画像(340nmおよ び380nmで励起、510nmで発光)を収集し、疑似カラー比測定画像を実験中モニタ
ーした(Metafluor画像化ソフトウェア、Universal Imaging)。細胞を最初は20
0mlのCIB中で画像化し、その後望まれる2倍の濃度のカプサイシンを含むCIB 200
mlを加えた。刺激後、細胞を60〜120秒間観察した。ライブラリの各プールにつ いて、8個のウェルそれぞれで1つの顕微鏡視野(細胞300〜500個)を解析した。
【0152】 解析したほとんどのプールまたはpcDNA3単独でトランスフェクトした細胞はカ
プサイシンに対する反応性を示さなかったが、cDNAライブラリ・プールの1つで トランスフェクトした細胞の1%から5%はカプサイシン処理により細胞質カルシウ
ム濃度の著しい上昇を示した。このプール由来のcDNAをさらに小さいプールに細
分し、これらのサブプールをHEK293細胞に再度トランスフェクトした。これらの
サブプールのいくつかでトランスフェクトした細胞集団のうち、より大きい細胞
分画がカプサイシンに反応し、カプサイシン受容体をコードするcDNAがこの集団
内で濃縮されたことを示している。トランスフェクトした細胞の70%よりも多く にカプサイシン反応性を与える単一のプラスミドが単離されるまで、プールの細
分化と再解析の過程を続けた。カプサイシン反応性を与えるクローンには3kbのc
DNAインサートが含まれた。
【0153】実施例2:カプサイシン受容体をコードするcDNAの塩基配列決定と特徴付け 3kbのcDNAインサートの塩基配列を、自動シーケンサー(ABI)を用いて決定し
た。相同性検索をノンリダンダントなGenbankデータベースおよびESTデータベー
ス(dbest)に対してblastn、blastx、およびtblastx検索プログラムを用いて行
った。親水性をHopp-Woodsアルゴリズムおよびウィンドウサイズ10×47を用いて
計算した。ラットDRGライブラリから単離した個々のcDNAおよびマウスDRG cDNA 由来PCR産物の塩基配列決定により、インサートの起源はラットであることが判 明した。単離したラット・カプサイシン受容体コードポリヌクレオチドの配列(
配列番号:1)およびその対応するアミノ酸配列(配列番号:2)を図1に示す。 バニロイド部分はカプサイシンおよびレシニフェラトキシンの必須化学成分を構
成しているため、これらの化合物の提案される作用部位はより一般的にはバニロ
イド受容体と呼ばれている(Szallasi 1994 Gen. Pharmac. 25:223〜243)。し たがって、新しくクローニングしたcDNAはバニロイド受容体サブタイプ1からVR1
と命名した。本明細書において用いられる「カプサイシン受容体」という用語は
VR1を含むが、VR1に制限されることはない。
【0154】 VR1をコードするcDNAはアミノ酸838個の蛋白質をコードするヌクレオチド2514
個のオープンリーディングフレームを含み、推定分子量は95kDである(図1およ び2A)。親水性分析により、VR1は膜貫通領域5と6の間に別の短い疎水性部分( 灰色の領域)を有する、6つの膜貫通ドメインを含むポリトピックな蛋白質であ ることが示唆される(図1に「TM」および黒い枠で示し、ほとんどがβシートで あると推定される(図1B参照))。アミノ末端の親水性部分(432aa)は、比較 的プロリンの多い領域と、それに続く3つのアンキリンリピートドメイン(白い 枠)を含む。カルボキシル末端(154aa)は認識可能なモティーフを全く含まな い。
【0155】 蛋白質データベースの相同性検索により、VR1と、プロトタイプメンバーにシ ョウジョウバエ網膜蛋白質TRPおよびTRPL 32、33が含まれる推定ストアオペレー
テッドカルシウムチャンネル(SOC)の系統のメンバーとの間に著しい類似性が 認められた(図1C)。この系統のメンバーは、細胞内カルシウムストア34の枯渇
に反応して細胞外カルシウムが細胞内に入るのを仲介すると提唱されている。こ
れらの蛋白質はその推定される位相構成と、複数のアミノ末端アンキリンリピー
ト33の存在に関して、VR1と類似している。また、VR1と、イオン透過経路33に寄
与していると考えられる膜貫通ドメイン5および6の間の短い疎水性領域を含む、
6番目の膜貫通領域内およびその近接のSOCとの間にも著しいアミノ酸配列類似性
がある。これらの領域以外に、VR1はSOCと配列の類似性がほとんどなく、VR1は このチャンネル蛋白質系統の遠い類縁であることが示唆される。VR1のカルシウ ムイオン透過性が高いことから、我々はそれでもこれがSOCとして機能する可能 性を検討した。
【0156】 発現配列タグ(EST)データベース相同性検索により、ヌクレオチドおよび推 定アミノ酸の両方のレベルでVR1と高度の類似性を持ついくつかのヒトクローン が明らかとなった(図1C)。異なる起源から別々に単離されたこれら部分的cDNA
の3つは、推定されるVR1ポアループおよび6番目の膜貫通ドメインの近くの配列 をコードする。図2Cに示しているとおり、これらのクローンの1つ(hVR、Genban
kアクセッション番号T12251)とVR1の対応する領域との類似性は非常に高く(ア
ミノ酸同一性68%で、示した領域内の類似性84%)、ヒトVR1オルトローグまたは 密接に関連したサブタイプであろうと示唆される。VR1の他のドメインに対応す るヒトESTクローンは同等の類似性を示し(データは示していない)、同じヒト 転写物の断片に相当すると考えられる。
【0157】実施例3:VR1はストアオペレーテッドカルシウムチャンネル(SOC)として機能 しない VR1とSOCとの間のアミノ酸配列の類似性により、カプサイシン受容体がSOCと して機能することが示唆された。このことを調べるために、当技術分野において
周知の方法にしたがい、VR1を発現する細胞内カルシウム枯渇卵母細胞でカルシ ウム依存性内向き電流を調べた。
【0158】 簡単に言うと、cRNA転写物をNot1で直鎖化したVR1のcDNA鋳型からT7 RNAポリ メラーゼ17を用いて合成した。脱小胞アフリカツメガエル卵母細胞に0.5〜5ngの
VR1 cRNAを注入した。注入の4から7日後、2電極電位固定記録を、Geneclamp 500
増幅器(Axon Instruments)およびMacLab A/D変換器(Maclab)を用いて実施し
た(IC曲線および熱刺激実験ではE=-60mV、他のすべての実験では-40mV)。記 録チャンバーを、90mM NaCl、1.0mM KCl、2.4mM NaHCO、0.1mM BaCl、1.0mM MgC
l、および10mM HEPESを含むカエルリンガー液(pH7.6)を用いて流速2ml/min、 室温で灌流した。ストアオペレーテッド電流解析を実施する前に、卵母細胞を、
1mM EGTAおよび1μM Thapsigarginを含み、カルシウムおよびバリウムを含まな いカエルリンガー液中で1〜2時間インキュベートした。電位固定記録中、これら
の卵母細胞を2mM Ca2+を含みEGTAを含まないカエルリンガー液に間欠的に曝露し
て、カルシウム依存性電流(2分間隔で15秒のパルス)を検出した(Petersenら1
995 Biochem J. 311:41〜44)。
【0159】 水を注入した対照卵母細胞において、以前に記載されているとおり(Petersen
ら、前記)、明らかな枯渇誘発電流が認められた。VR1発現卵母細胞では、この 反応に定量的または定性的相違は観察されなかった(データは示していない)。
さらに、枯渇刺激カルシウム流入の阻害物質であるSKF96365(Merrittら1990Bio
chem J. 271:515〜522)を適用しても、VR1発現卵母細胞におけるカプサイシン
誘発電流にまったく影響がなかった。したがって、VR1はこれらの環境において 機能性SOCではないようである。
【0160】実施例4:カプサイシン受容体の知覚神経特異的発現 神経性および非神経性ラット組織におけるVR1転写物の分布を、ノーザン法お よびインサイチューハイブリダイゼーション分析の両方で評価した。成体Spragu
e-DawleyラットをCO中での窒息により安楽死させ、組織を新鮮摘出した。ポリA+
RNAをイソチオシアン酸グアニジニウム中で溶解後オリゴdTセルロース上で精製
するか、またはFastTrackキット(Invitrogen)を用いて精製した。各試料約2μ
gを0.8%アガロース−ホルムアルデヒドゲルで電気泳動し、ナイロンメンブレン (Hybond N、Amersham)に移し、全VR1 cDNAに相当するP標識プローブでハイブ リダイズした。ブロットを高ストリンジェンシーで洗浄し、オートラジオグラフ
ィにかけた。カプサイシン受容体cDNAをプローブとして調べた後、対照として放
射性同位体標識シクロフィリンcDNA断片をプローブに用いて同じフィルターを再
度調べた(例えば、試料間の相対RNA負荷で補正するため)。
【0161】 インサイチューハイブリダイゼーション組織化学評価のために、成体雌Spragu
e-Dawleyラットを麻酔し、PBS中4%パラホルムアルデヒドで灌流した。後根神経 節、三叉神経節および脊髄を摘出し、液体N中で凍結し、OCT封入剤中に包埋し、
クリオスタット上で切断した。切片(15ミクロン)を、Geniusキット(Boeringe
r Mannheim)を用いたVR1 cDNA(nt1513〜2483)の1kb断片のインビトロ転写に より生成したジゴキシゲニン標識cRNAを用いて55℃で終夜処理し、これをプロー
ブとして調べた。切片をアルカリ性ホスファターゼ結合抗ジゴキシゲニンFab断 片で、製造者の指示にしたがって展開した。
【0162】 ノーザンブロット解析およびインサイチューハイブリダイゼーション組織化学
評価の両方により、VR1転写物が後根および三叉神経節内で選択的に発現される ことが示された。約4kbのmRNA種が三叉神経節および後根知覚神経節で顕著に発 現されたが、これらの神経節はいずれもカプサイシン感受性ニューロンを含むこ
とが明らかにされている。この転写物は、脊髄および脳を含む試験した他の組織
のいずれにも存在しなかった。ずっと小さいRNA種(約1.5kb)が腎臓で検出され
たが、この転写物が機能性VR1蛋白質をコードしうるかどうかは不明である。
【0163】 知覚神経節内の細胞VR1発現パターンを評価するためのインサイチューハイブ リダイゼーションにより、VR1が後根および三叉神経節両方の直径が小さいニュ ーロンサブセット内に主として発現されることが示された。このことは、ほとん
どのカプサイシン感受性神経が比較的小サイズから中サイズの細胞体を有すると
いう知見と一致する(Holzer 1991 Pharmacol. Rev. 43:143〜201、Janscoら19
77 Nature 270:741〜743)。VR1転写物が後根神経節のニューロンにおいて主と
して発現されるのとは対照的に、近接する脊髄後角では目に見えるシグナルはま
ったく認められなかった。放射性同位体標識レシニフェラトキシンの結合部位が
後角で検出されているが、これらの部位は隣接する後根神経節内の一次侵害受容
器から突き出しているシナプス前終末上にあると考えられている(Holzer 1991 、前記)。ここで得た結果はこの解釈を支持するものである。
【0164】実施例5:アフリカツメガエル卵母細胞におけるVR1の薬理学評価 クローニングしたカプサイシン受容体の薬理学的性質を知覚神経節における本
来のバニロイド部位の性質と比較するために、VR1は発現卵母細胞であり、細胞 全体の電位固定分析に用いて、様々なバニロイドアゴニスト(カプサイシン、レ
シニフェラトキシン)およびアンタゴニスト(カプサゼピン)に対するその電気
生理学的反応を定量的に調べた。VR1をアフリカツメガエル卵母細胞中で、カプ サゼピン阻害曲線を作成する際にBaClの代わりにCaCl(2mM)を用いた他は前述 (実施例3)のとおりに発現させた。アゴニストであるカプサイシンおよびレシ ニフェラトキシンを順にVR1を発現する同じアフリカツメガエル卵母細胞に適用 した。膜電流を細胞全体の電位固定装置において記録した(V=-40mV)。
【0165】 カプサイシンおよびレシニフェラトキシンの試験の結果を図10A〜10Bに示す。
バーはアゴニストを適用した期間を指す。負の固定電位で、カプサイシンまたは
レシニフェラトキシンへの曝露によりVR1発現卵母細胞に用量依存性の内向き電 流反応が生じたが、水を注入した対照細胞では生じなかった。知覚神経で観察さ
れた(Winterら1990 Brain Res. 520:131〜140、Liuら1994 Proc. Natl. Acad.
Sci. USA 91:738〜741)とおり、カプサイシン誘発性の電流反応はアゴニスト
除去後速やかにベースラインに戻ったが、レシニフェラトキシンへの反応は、洗
浄期間を延長した後でも回復しないことが多かった。これらのアゴニストの50% 有効濃度は本来のバニロイド受容体で報告されている濃度(Ohら、前記、Bevan ら1992 Br. J. Pharmacol. 107:544〜552)と桁は同じで、レシニフェラトキシ
ンはカプサイシンに比べて約20倍強力であった(それぞれEC=39.1nMと711.9nM )。これらの分析から得たHill係数(それぞれ1.95と2.08)より、受容体の完全
活性化には2個以上のアゴニスト分子の結合を必要とすることが示唆され、やは り以前に記載されている本来のバニロイド受容体の性質と一致している(Ohら、
前記、Szallasi 1994 Gen. Pharmac. 25:223〜243)。
【0166】 図11Aおよび11Bに示しているとおり、VR1発現卵母細胞におけるカプサイシン 誘発反応は競合的バニロイド受容体アンタゴニストであるカプサゼピンにより本
来の受容体を阻害する濃度(IC=283.5nM)で阻止された(図10A〜10B)。電流 軌跡により、カプサゼピン(cpz;10μM)によるカプサイシン作用(cap;0.6μ
M)の阻止は可逆的であることが示されている。バニロイド受容体のもう一つの 薬理学的特性は、非競合的アンタゴニストであるルテニウムレッド(RR、10μM )に対する感受性であり、ルテニウムレッドもカプサイシン誘発反応(cap;0.6
μM)を可逆的に阻止した(図11A)。レシニフェラトキシン(50nM)に対する反
応も同様に、カプサゼピン(5μM)またはルテニウムレッド(10μM)により可 逆的に拮抗された(データは示していない)。
【0167】実施例6:HEK293胎児腎臓細胞で発現された組換えカプサイシン受容体のパッチ クランプ分析 実施例1でクローニングした組換えカプサイシン受容体を、カプサイシン受容 体を発現するHEK293細胞におけるパッチクランプ分析を用いた試験でさらに特徴
付けた。HEK293細胞を対照ベクター(カプサイシン受容体をコードする配列のな
いpcDNA)でトランスフェクトした。パッチクランプ記録を一過性にトランスフ ェクトしたHEK293細胞を用いて22℃で実施した。細胞全体について記録するため
の標準水浴溶液には、140mM NaCl、5mM KCl、2mM MgCl、2mM CaCl、10mM HEPES 、10mMグルコース、pH7.4(NaOHで調製)が含まれた。カルシウムを含まない水 浴溶液では、CaClを除き、5mM EGTAを追加した。
【0168】 1価カチオン置換実験では、細胞全体の形状を対照水浴溶液中で得た後、水浴 溶液を140mM NaCl(またはKClもしくはCsCl)、10mMグルコース、および10mM HE
PES(それぞれNaOH、KOHまたはCsOHでpH7.4に調整)に交換し、電圧ランプを用 いて逆転電位を測定した。2価カチオンの透過性実験では、水浴溶液を110mM MgC
l(またはCaCl)、2mM Mg(OH)(またはCa(OH))、10mMグルコース、10mM HEPES 、pH7.4(HClで調製)に交換した。
【0169】 アウトサイド・アウトパッチ記録の水浴溶液およびインサイド・アウトパッチ
記録のピペット溶液には、140mM NaCl、10mM HEPES、pH7.4(NaOHで調整)が含 まれた。インサイド・アウトパッチ記録の水浴溶液ならびにアウトサイド・アウ
トパッチ記録およびイオン置換実験のピペット溶液には、140mM NaCl、10mM HEP
ES、5mM EGTA、pH7.4(NaOHで調整)が含まれた。細胞全体の記録のピペット溶 液には、140mM CsCl(または130mMアスパラギン酸Csおよび10mM NaCl)、5mM EG
TA、10mM HEPES、pH7.4(CsOHで調整)が含まれた。液間電位差を別の実験で直 接測定した。液間電位差は用いた溶液では3mVを超えず、このオフセットに対し て補正は行わなかった。
【0170】 細胞全体の記録データを20kHzで収集し、分析のために5kHzでフィルターにか けた(Axopatch 200増幅器およびpCLAMPソフトウェア、Axon Instruments)。単
一のチャンネル記録データを10kHzで収集し、1kHzでフィルターにかけた。1価カ
チオンのナトリウムに対する透過性の比(P/P)を次式により計算した:P/P=ex
p(ΔVF/RT)、ただしVは逆転電位、Fはファラデー定数、Rは気体定数、およびTは
絶対温度である。2価カチオンの等価性測定ではP/Pを次式により計算した:P/P =[Na]exp(ΔVF/RT)(1+exp(ΔVF/RT))/4[Y]。イオン活性係数0.75(ナトリウム )および0.25(カルシウムまたはマグネシウム)を補正因子として用いた。
【0171】 図3は、-60mVでアスパラギン酸Cs充填ピペットを用いたカプサイシン受容体発
現HEK293細胞の細胞全体の電位固定分析の結果を示す図である。これらのデータ
は、カプサイシン処理中にのみ生じ(カプサイシンが存在する(1μM)期間をプ
ロットの上のバーで示している)、カプサイシンの水浴適用直後に短い潜時で現
れる、内向きのカチオン特異的電流を示している。このような電流は、模擬トラ
ンスフェクトした対照細胞では観察されなかった。図4は、拡大した時間スケー ル上の、-100mVから+40mVまでの電圧増加(400ms)を示している。カプサイシン
不在下の電流(a)をカプサイシン存在下で得た電流(b)から差し引いた。この
データ分析によって、電流が時間には依存せず、受容体依存性であることが判明
した。カルシウムを含まない媒質中でも、カプサイシン誘発電流は-60mVの固定 電位(図3)と-100から+40mVまでの電圧増加中(増分20mV、図4)のいずれにお いても時間に依存していなかった。この性質により、その後の実験で定常状態反
応条件下でのカプサイシン仲介性電流の特徴付けが可能となった。これらのデー
タから得た電流−電圧相関から、このような反応が培養した後根神経節ニューロ
ンで観察される(図4、Ohら、前記)のと類似の著しい外向きの整流作用を示す ことが明らかにされている。これらの実験で用いたパッチピペットはアスパラギ
ン酸セシウムで充填されていたが、水浴溶液は主に塩化ナトリウムで構成されて
いたため、観察された0mVに近い逆転電位(E=0.5±0.9mV、n=13)は、カプサ イシン仲介性反応がカチオン選択的チャンネルの解放に関与していることを示し
ている。
【0172】 知覚神経において、バニロイド誘発電流は1価および2価カチオンの混合物によ
って運ばれる(Bevanら1990 Trends Pharmacol. Sci. 11:330〜333、Ohら、前 記、Woodら1988 J. Neuroscience 8:3208〜3220)。この現象をVR1を発現する 哺乳類細胞で、VR1発現細胞におけるカプサイシン誘発電流に対する様々なカチ オンの相対的寄与を調べる一連のイオン置換実験を通して調べた。異なるカチオ
ン組成の溶液に浸けた細胞で確立した相関(図5;Na(a)、K(b)、Cs(c)、M
g(d)、またはCa(e)から、VR1が1価のカチオンは区別しないが、2価のカチオ
ンに対しては顕著な選択性を示すことが判明した。細胞外NaCl(140 mM)を等モ
ル濃度のKClまたはCsClと置換しても逆転電位が有意に変わることはなかった( それぞれE=-0.7±1.2mV、n=8、-1.5mV、n=9、-4.3±0.9mV、n=8。P/P=0.94
、P/P=0.85)。細胞外NaClを等張性(112mM)MgClまたはCaClに置換すると、E はそれぞれ14.4±1.3mV(n=3)または24.3±2.3mV(n=7)にシフトした。した
がって、図5にまとめているとおり、これらのデータからカプサイシン受容体を 発現する細胞膜がカプサイシン活性化電流に対し次のような相対的カチオン透過
性を有することが明らかにされた:Ca>Mg≫Na≒K≒Cs。VR1のカルシウムイオン
に対する相対的透過性は非常に高く(P/P=9.60、P/P=4.99)、ほとんどの非選
択的カチオンチャンネルで観察される値よりも高く、またこの特性が顕著なNMDA
型グルタミン酸受容体で報告されている値(P/P=10.6)(Mayerら1987 J. Phys
iol. 394:501〜527)と同等である。調べたすべての水浴溶液で、外向きに整流
する電流−電圧相関が観察されたが、この特徴はMgClまたはCaClを含む水浴溶液
ではあまり目立たなかった。
【0173】 培養した知覚神経において、バニロイド誘発反応の電気生理学的分析により、
これらが動力学的に複雑で、持続的なバニロイド曝露により脱感作することが明
らかにされている(Liuら、前記、Yeastら1992 J. Physiol. 446:390P)。この
電気生理学的脱感作(これはインビボでバニロイドにより生じる生理学的脱感作
の基盤をなすと考えられる)は、部分的に、細胞外カルシウムの存在に依存する
ようである(Yeastら、前記、Holzer 1991 Pharmacol. Rev. 43:143〜201)。V
R1発現細胞がカプサイシンに反応する能力のカルシウム依存性を試験するために
、細胞全体の電流反応をカルシウムを含む標準水浴溶液とカルシウムを含まない
溶液の両方で試験した(図6A〜F)。カプサイシン(1μM)を5分ごとに適用した
。ピペット溶液にはCsClを用いた。1回目の適用のピークに対する3回目の適用終
了時の電流比は、カルシウムを含まない溶液では95.3±2.6%(n=3)で、カルシ
ウム含有溶液では13.0±4.3%(n=5)であった(T検定、p<0.00001)。事実、 細胞外カルシウム不在下では、VR1をトランスフェクトした細胞におけるカプサ イシン誘発反応は、長時間のアゴニスト適用中または連続的なアゴニスト攻撃に
より脱感作をほとんど、または全く示さなかった(1回目と3回目の適用の間で4.
7±2.3%の低下、n=3)。対照的に、カルシウム含有水浴溶液中で誘発された反 応は、少なくとも2つの別々の成分で構成された。すなわち1つは脱感作(1回目 と3回目の適用の間で87±4.3%の低下、n=5)と、1つは相対的に非脱感作である
。したがって、バニロイド誘発反応の脱感作および多相性動力学は、神経以外の
状況でも再現可能で、周囲のカルシウム濃度への依存性により区別することがで
きる。
【0174】 トランスフェクトした細胞から切り出した膜パッチにおいて、VR1反応の挙動 も調べた。インサイド・アウト(I/O)またはアウトサイド・アウト(O/O)パッ
チをVR1でトランスフェクトした細胞から切り出し、カプサイシン(1μM)を水 浴溶液に加え、対称性140mM NaCl中、所定の固定電位で分析した。図7に示した データ中の破線は、チャンネルが閉鎖した状態を示す。他のパッチでは、複数の
同時チャンネル解放が認められた。カプサイシン存在下でのみ単一振幅の大きく
てよく分離した電流が観察され(図7)、このことからカプサイシンによってゲ ート制御されるイオンチャンネルがこれらのパッチに存在し、その活性化は可溶
性細胞質成分に依存しないことが示される。図7に示したデータから計算した、 平均単チャンネル振幅の電流電圧曲線(±s.e.m.、図8)も、顕著な外向き整流 を示している。単チャンネルレベルの電流電圧相関は、類似のイオン条件下での
その外向き整流と0mVに近い逆転電位のため、本質的に細胞全体で確立したもの と同一であった。正電位での76.7pSおよび負電位での35.4pSの単一コンダクタン
スが、ナトリウムを唯一の電荷担体とした場合に観察された。これら単チャンネ
ルの性質は、以前にバニロイド受容体について記載された性質を反映している(
Ohら、前記、Forbesら1988 Neurosci. Lett. Suppl. 32:S3)。
【0175】 バニロイドの作用部位は、これら化合物の親油性を反映して、細胞質膜の細胞
外に制限されないことが示唆されている(Jamesら「疼痛研究におけるカプサイ シン(Capsaicin in the Study of Pain )」(Wood編)83〜104頁(アカデミッ
クプレス、ロンドン、1993)。興味深いことに、カプサイシンは、VR1発現細胞 から切り出したパッチのいずれの側に加えた場合にも同じ反応を引き起こすこと
ができ(図7)、バニロイドが脂質二重層を透過または交差してその作用を仲介 することができるとする考えに一致している。可能性は低いが、外見上一致する
説明としては、バニロイド受容体が細胞質膜の両側に、機能的に同等のカプサイ
シン結合部位を有するということがある。
【0176】 これらのデータから、クローニングされたカプサイシン受容体は、パッチクラ
ンプ分析において、野生型カプサイシン受容体で報告されているのと非常に類似
した挙動を示すことが明らかである。
【0177】実施例7:バニロイド濃度定量のための組換えカプサイシン受容体の利用 長年にわたって認められているとおり、種々のトウガラシの相対的辛味は非常
に広い範囲にわたり、これは部分的にはバニロイド含量の差を反映している。今
日まで、トウガラシをその相対的「辛味」に関して評価する方法は、主観的な精
神物理学的解析(この場合、値はScovilleの単位で表される)(Scoville 1912
J. Am. Pharm. Assoc. 1:453〜454)またはカプサイシン含量の生化学的定量(
Woodbury 1980 J. Assoc. Off. Anal. Chem. 63:556〜558)に頼ってきた。ク ローニングしたバニロイド受容体のトウガラシ抽出物に対する電気生理学的反応
がこれらのトウガラシの疼痛誘発能力に比例していたかどうかをさらに探究する
ために、異なる数種のトウガラシ(15g、Thai green、poblano verde、habanero
、およびwax)を細かく刻み、50mlの無水エタノールを用いて室温で終夜抽出し た。可溶性抽出物を真空乾燥により15倍に濃縮し、次いで電気生理学的解析のた
めにカエルリンガー液で1000倍に希釈した。等量の画分(トウガラシ重量に対し
て標準化)を、アフリカツメガエル卵母細胞中で発現させた組換えカプサイシン
受容体を活性化する能力について試験した。2電極電圧クランプ解析法を用いて 各トウガラシ抽出物が誘発した電流を定量的に測定することにより、カプサイシ
ン受容体の活性化を評価した。反応を純粋なカプサイシンで得られた反応に対し
て標準化した(10μMを100に設定)。データを図11に示す(各値は、それぞれ別
の卵母細胞から、4回個別に定量した値の平均値を示している。適用は30秒間) 。クローニングした受容体のトウガラシ試料およびカプサイシン対照試料に対す
る相対的反応をヒストグラムに示し、典型的電流軌跡をヒストグラムの各バーの
右に示す。水を注入した細胞では、抽出物により反応は誘発されなかった。
【0178】 カプサイシン受容体のトウガラシ抽出物に対する相対的反応は、従来の分析お
よびScovilleの熱単位の割当てにより求めた各トウガラシの相対的辛味に相関し
ている。さらに、主観的な精神物理学的評価(Berkeleyら「トウガラシ:料理の
本(Peppers:A Cookbook)」1〜120頁(SimonおよびSchuster、ニューヨーク、
1992)により求めたこれら変異型トウガラシの「辛味」較差は、VR1活性化物質 としての順位序列強度に相関していた。
【0179】実施例8:カプサイシンはVR1発現細胞の死を誘導する カプサイシンは、インビボおよびインビトロで一次求心性侵害受容器を選択的
に破壊する神経毒であることが広く認められている(Janscoら1977 Nature 270 :741〜743、Woodら1988 J. Neuroscience 8:3208〜3220)。この選択的毒性が
単に受容体発現の特異性を反映しているだけであるのか、または知覚神経の他の
性質もしくはそれらの環境に依存してるのかどうかを明らかにするために、バニ
ロイド受容体を発現する非神経細胞を殺すカプサイシンの能力をインビトロで調
べた。HEK293細胞をベクター単独(pcDNA3)、pcDNA3中で1:50に希釈したバニロ
イド受容体cDNA(VR1 1:50)またはバニロイド受容体cDNA単独(VR1)のいずれ
かで一過性にトランスフェクトした。14時間後、培地をカプサイシン(3μM、黒
いカラム)または担体(0.3%エタノール、白いカラム)を含む培地で置き換えた
(図12)。37℃で7時間後、死んだ細胞のパーセンテージをエチジウムホモダイ マー染色を用いて定量した。データは代表的実験から3回の測定の平均±s.e.m. で表している。星印はエタノール処理細胞からの有意差を示している(T検定、P
<0.0001)。3回の独立の実験で同様の結果が得られた。
【0180】 図12に示しているとおり、カプサイシンへの連続的曝露数時間以内に、VR1で トランスフェクトしたHEK293細胞は、形態学的に、また生体染色を用いて調べた
ところ、大量の死を示した。これとは対照的に、ベクター単独でトランスフェク
トした細胞は、この処理により死ぬことはなかった。細胞死の特徴は、顕著な細
胞質腫脹、細胞質内容物の融合、および最終的溶解であった。したがって、非神
経細胞でのVR1発現は、バニロイド処理した知覚神経で観察された細胞毒性を再 現することができる。ヘキスト色素33342を用いた染色により、アポプトーシス による細胞死28に伴うことが多い核分断の証拠は認められなかった(データは示
していない)。また、これらの知見は、バニロイドが誘発する侵害受容器の死(
Bevanら1990 Trends Pharmacol. Sci. 11:330〜333)、グルタミン酸塩が誘発 する毒性刺激(Choi 1994 Prog. Brain Res. 199:47〜51)、および様々なイオ
ンチャンネルの突然変異を構成的に活性化することにより生じる神経変性(Hong
ら1994 Nature 367:470〜473、Hess 1996 Neuron 16:1073〜1076)に対して提
唱されている、過剰なイオン流入の結果生じる壊死性の細胞死と一致する。
【0181】実施例9:水素イオンがVR1に対するカプサイシンの作用を強化する 感染、炎症、または虚血の結果生じる組織pHの低下が、哺乳類における疼痛を
引き起こしうる。この作用は、プロトンの侵害受容神経表面の興奮性チャンネル
を活性化する能力によるものとされている。これらの反応のサブセットが、バニ
ロイドが誘発するものと類似の動力学、イオン選択性、およびルテニウムレッド
による拮抗作用を含む、共通の性質を有すると報告されている(Bevanら1994 Tr
ends Neurosci. 17:509〜512)。さらに、水素イオンの閾下濃度が、知覚神経 における低濃度カプサイシンの作用を増強することが明らかにされている(Pete
rsenら1993 Pain 54:37〜42、Kressら1996 Neurosci. Lett. 211:5〜8)。し たがって、プロトンはバニロイド受容体の外因性活性化物質またはモジュレータ
ーとして作用している可能性があると提唱されている(Bevanら1994前記)。
【0182】 この可能性に取り組むために、クローニングしたバニロイド受容体に対する水
素イオンの影響を、卵母細胞発現系を用いて調べた。カプサイシン(0.3μM)を
試験期間中を通して投与した(図13において矢印で期間を示している)(V=-40
mV)。水浴溶液のpHを実験中に変化させた(図13において横棒で示している)。
VR1発現卵母細胞は、カプサイシンを含まないpH6.3の水浴溶液に対して反応を示
さなかった。水を注入した対照卵母細胞は、カプサイシンまたはpH6.3の水浴溶 液のいずれに対しても反応を示さなかった(データは示していない)。9つの独 立したVR1発現卵母細胞から得た電流反応を図14にまとめている。各カラムの灰 色部分は、pH 7.6でカプサイシンによって誘発された最大電流を示し、黒い部分
はpHを6.3に変化させたことによって誘発された追加の電流を表す。
【0183】 水浴溶液pHの突然の低下(7.6から5.5)は、カプサイシン不在下でVR1を活性 化するには不十分で(この処理を施したVR1発現卵母細胞で大きな内向き電流を 示したのは10%未満であった(データは示していない))、水素イオン単独では この蛋白質を効率よく活性化することはできないことが示唆される。次に、VR1 活性化に対するカプサイシンおよびpHの両方の影響を調べた。VR1発現卵母細胞 を、pH7.6でカプサイシン最大下濃度(500nM)で処理した(図13)。電流反応が
いったん比較的安定なプラトーに達したら、pH6.3で同じ濃度のカプサイシンを 含む溶液に卵母細胞を曝露した。これらの条件下で、内向き電流は最初のプラト
ーよりも5倍高い新しいプラトーに速やかに上昇した。pH7.6に戻すと直ちに、卵
母細胞の反応は最初のプラトーに低下し、カプサイシンを除去するとすぐにベー
スラインに戻った。10μMのカプサイシンに対してはpHを低下しても反応は増強 されず(データは示していない)、この増強作用はアゴニストの飽和下濃度での
み認められた。これらの結果より、水素イオン単独ではVR1を活性化するのに十 分ではないが、水素イオンはカプサイシン誘発反応を顕著に増強しうることが示
唆される。
【0184】実施例10:バニロイド受容体は有害な熱によって活性化される カルシウム流入、コンダクタンス、ならびにカプサイシンおよびRR反応性にお
けるVR1活性に対する温度上昇の影響を調べた。
【0185】 a)細胞内カルシウムに対する熱の影響 カルシウム流入を仲介するVR1活性に対する熱の影響を、トランスフェクトし たHEK293細胞と前述の蛍光カルシウム流入スクリーニング法を用いて調べた。顕
微鏡による蛍光カルシウム画像化法を用いて、加熱したカルシウム画像化緩衝液
の添加前と添加直後に細胞を分析した(22℃のCIB 150ml中の細胞に65℃のCIB 3
00mlを適用した)。これらの条件下で、細胞を約45℃の最大温度に一過性に曝露
した。
【0186】 ベクター単独でトランスフェクトした細胞では、細胞質の遊離カルシウムに軽
度で散在性の変化が認められたにすぎなかったが、VR1発現細胞ではその高い割 合で熱処理数秒以内にカルシウム濃度の著しい上昇が認められた。これらの反応
は数分以内におさまり、その後のカプサイシンによる攻撃で特徴的カルシウム反
応が起こることから、熱に対する反応が特殊な信号を発する事象で、非特異的な
膜の摂動または細胞の完全性破壊の結果ではないことが示唆される。
【0187】 b)コンダクタンスに対する熱の影響 VR1でトランスフェクトしたHEK293細胞の細胞全体のパッチクランプ分析(Vho
ld=-60mV)を実施して、特定の熱誘発性膜電流がこの現象に関連しているかど うかを調べた。水浴溶液の温度を22℃から48℃に上げ(加熱)、次いで22℃に戻
し、その後カプサイシン(0.5μM)を水浴に加えた。イオンの条件は図2のデー タで記載したものと同一であった。電圧ランプ(500msで-100から+40mV)を反応
の前および間と反応中に適用した。
【0188】 これらの細胞を温度の急速な上昇(25秒で22℃から50℃、水浴中サーミスター
でモニターした)に曝露すると、大きな内向き電流(-60mVで791±235pA、n=9 )が生じ、これはその後の500nMでのカプサイシン適用により誘発された電流の 大きさと典型的に類似であった(図15A)。熱およびバニロイド誘発反応はいず れも外向き整流作用を示し、これらが同じものによって仲介されていることが示
唆される(図15B)。比較すると、ベクターでトランスフェクトした対照細胞の 熱誘発反応はずっと小さく、整流作用は示さなかった(131±23nA、n=8)。加 えて、VR1でトランスフェクトした細胞における熱反応は刺激適用中に脱感作し たが、ベクターでトランスフェクトした対照細胞で観察された小さい熱反応は脱
感作しなかった。これらの結果より、VR1がそれ自体で、または他の細胞構成成 分と関連して、熱変換器としてはたらいていることが示唆される。
【0189】 c)卵母細胞におけるVR1の熱活性化 VR1が異なる細胞環境で熱に対する同様の反応を仲介することができるかどう かを明らかにするために、VR1の熱活性化を卵母細胞系で試験した。VR1 cDNAま たは水のいずれかを注入した卵母細胞を、2電極電圧クランプ(Vhold=-60mV) にかけ、その間、灌流緩衝液の温度を22.7℃から所定のレベルにまで上げ、次い
で60秒間一定に保った。得られた内向き電流の強さを平均±s.e.m.で図16に示し
ている(VR1、n=8;水、n=6の独立した細胞)。星印は水を注入した卵母細胞 からの有意差を示す(T検定、P<0.0005)。
【0190】 水を注入した対照卵母細胞では、灌流液温度の急速な上昇により、小さい内向
き電流が生じ、50℃まで直線的に上昇した(図16)。VR1発現卵母細胞は、40℃ までの温度では同様の反応を示したが、この閾値よりも上では、これらの反応は
対照のものよりも有意に大きかった。したがって、この非哺乳類細胞においてさ
え、VR1仲介性の温度反応特性は熱侵害受容器で報告されているもの(Fields、 前記)と顕著な一致を示している。
【0191】 d)ルテニウムレッドによるVR1熱活性化の阻害 熱がカプサイシン受容体を通じて特異的に作用するかどうかをさらに調べるた
めに、前述の系のVR1発現卵母細胞でルテニウムレッドの熱仲介性反応を阻害す る能力を試験した。図17に示す電流軌跡は、代表的VR1または水注入卵母細胞か ら所定の刺激を連続適用中に生成した(V=-60mV)。
【0192】 VR1を注入した卵母細胞は次のような内向き電流反応平均値±s.e.m.を示した (n=5):カプサイシン(1μM)、1221±148nA;熱(50℃)、2009±134nA;熱
+ルテニウムレッド(10μM)、243±47nA。ルテニウムレッドによる阻害は有意
であった(88±2%、n=5、ペアードT検定、P<0.0001)。ルテニウムレッド不在
下で連続的熱パルスを与えた場合には、電流反応の低下は見られなかった。水を
注入した卵母細胞は、カプサイシンに対して反応を示さず、熱に対してもずっと
小さい反応(338±101nA、n=5)を示した。ルテニウムレッドはこれらの反応を
21±26%阻害したにとどまった(n=5、ペアードT検定、P<0.1)。
【0193】 これらのデータより、VR1がこの熱反応に直接関与していることが示される。 ルテニウムレッドを適用すると、VR1発現卵母細胞の熱に対する反応は有意に低 下した(88±2%、n=5)が、対照細胞で見られたより小さい反応は、21±26%(n
=5)低下したにすぎなかった(図17)。合わせて考えると、これらの知見は、V
R1が有害な熱により活性化されるが、無害な熱によっては活性化されないという
仮説を強く支持するものである。
【0194】実施例11:マウスVR1遺伝子の染色体内分布と単離 マウスVR1遺伝子の染色体内分布を、当技術分野において周知の方法に従い蛍 光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)を用いて調べた。簡単に言う
と、マウスVR1遺伝子の一部をコードするマウスゲノムDNAの90〜100kbのインサ ートを含む細菌人工染色体を、ラットVR1由来プローブを用いたPCR分析およびサ
ザンハイブリダイゼーションにより単離した。このインサートをジゴキシゲニン
で標識し、マウス染色体の中期スプレッドに適用した。次いで、蛍光標識した抗
ジゴキシゲニン抗体を用いて、VR1遺伝子がハイブリダイズした染色体上の位置 を可視化した。
【0195】 VR1遺伝子は、染色体11の末端小粒に対する異質染色質−真正染色質の境界か ら約49%の、マウス染色体11のB3バンドに位置していた。マウス染色体のこの領 域は、ヒト染色体17、特に17p11〜13、17pter、および17qterとシンテニックで ある。したがって、ヒトVR1遺伝子はヒト染色体上の類似の領域に位置する可能 性が高い。
【0196】 マウスVR1遺伝子の塩基配列を当技術分野において周知の方法にしたがって決 定した。マウスVR1のヌクレオチド(配列番号:10)およびアミノ酸(配列番号 :11)配列を、下記の配列リストに提示する。ラットおよびマウスVR1アミノ酸 配列は、95%よりも高い同一性を示す。
【0197】実施例12:カプサイシン受容体関連ポリペプチドVRRP-1の同定 VR1を用いたGenbankデータベース検索により、VR1に類似の多くのヒトおよび マウスEST配列が明らかとなった。これらのEST配列の位置関係から、1つ(下記 参照)を除くこれらすべてが同一または非常に類似の遺伝子をコードしているこ
とが示唆され、これらはVR1遺伝子のヒトおよびマウス型の断片に相当すること が示唆される。分析したすべての領域で、コードされるヒトおよびマウス蛋白質
の推定配列はお互いに非常に同一性が高かったが、ラットVR1に対しては約50%の
同一性しかなかった。マウスVR1蛋白質はラットVR1蛋白質に対して50%よりも類 似性が高いため、我々はこれらのEST配列が関連蛋白質のヒトおよびマウス型を コードしているに違いないと結論し、この蛋白質をVRRP-1と命名した。VRRP-1は
本発明が含むカプサイシン受容体関連ポリペプチドの一例である。
【0198】 マウス脳、ラット脳、およびヒトCCRF-CEM細胞から得たVRRP-1遺伝子の一部を
、ヒトおよびマウスEST配列のコンセンサスに基づいたPCRプライマー(GAC CAG
CAA GTA CCT CAC(配列番号:12)およびC TCC CAT GCA GCC CAG TTT ACT TCC T
CC ACC CTG AAG CAC CAG CGC TCA(配列番号:13)))を用いてクローニングし
た。全長ラットVRRP-1 cDNAを、ラットPCR産物を放射性同位体標識プローブに用
いてラット脳cDNAライブラリから単離した。ラットVRRP-1 cDNA(配列番号:3、
アミノ酸配列番号:4))はラットVR1とアミノ酸レベルで約49%同一(配列番号 :2(ラットVR1)および4(ラットVRRP-1))であり、ヌクレオチドレベルで約5
9%同一(配列番号:1(ラットVR1)および3(ラットVRRP-1))である。
【0199】 VRRP-1はカプサイシンまたは熱により活性化されないようである。予備的証拠
により、VRRP-1がVR1と相互作用する可能性が示唆される。
【0200】実施例13:ヒトカプサイシン受容体VR1の同定 VR1とVRRP-1およびGenbankデータベースの他の配列との比較により、VR1とVRR
P-1は相互に密接に関連しており、1つの例を除いて他のいかなるクローニング配
列との関連性よりも密接であることが示唆される。ヒトCCRF-CEMリンパ球様細胞
から得た1つのEST配列(アクセッション番号AA321554、配列番号:8)は、ラッ トVR1の推定カルボキシ最末端ドメイン(配列番号:2のアミノ酸残基774から838
、図18の略図の領域2参照)に少なくとも71%同一で、少なくとも80%類似のアミ ノ酸配列(配列番号:9)をコードする。さらに、ラットVR1(配列番号:1)お よびヒトEST AA321554(配列番号:8)はヌクレオチドレベルで75%同一である。
加えて、EST AA321554はラットVR1の停止コドンと同じ位置に停止コドンを含む 。これとは対照的に、EST AA321554の一部とラットVRRP-1のカルボキシ末端との
間には相同性がある(図18の領域1参照)が、ラットVRRP-1ポリペプチドはラッ トVR1ポリペプチドおよびEST AA321554がそれから由来すると考えられる蛋白質 よりも短い。さらに、領域1の中でも、ラットVR1とEST AA321554との間には、ラ
ットVR1とラットVRRP-1との間、またはラットVRRP-1とEST AA321554との間より も高い相同性がある。したがって、ヒトEST配列AA321554はラットVR1のヒト型(
オルトローグ)に相当する。
【0201】 CCRF-CEM細胞から単離したcDNAまたはヒト知覚神経節cDNAからこの断片を増幅
するために、ヒト配列に基づくPCRプライマーを設計した。得られた断片をプロ ーブに用いてヒトゲノムDNAライブラリをスクリーニングし、CCRF-CEM細胞また はヒト知覚神経節cDNAから全長ヒトVR1 cDNA配列を得る。得られたヒトVR1ゲノ ム断片を用いて、VR1遺伝子の染色体内分布をFISHにより確認する。ヒトVR1遺伝
子によってコードされるポリペプチドの機能を、前述の機能解析法を用いて確認
する。ヒトVR1のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を、当技術分野において周知 の方法にしたがって決定する。
【0202】実施例14:ヒトカプサイシン受容体関連ポリペプチドVRRP-1の同定 ラットVRRP-1配列を用いてGenbankデータベースをスクリーニングし、他の生 物からのカプサイシン受容体関連ポリペプチドを同定した。スクリーニングによ
り、ラットVRRP-1の別々の3領域と相同性を有するいくつかのヒトおよびマウスE
ST配列を同定し、これらの領域を領域A、B、およびCと呼ぶ。領域A、B、およびC
は、ヒトおよびマウスVRRP-1をコードするESTが密集するVRRP-1配列の部分に相 当し、それぞれ5'から3'方向に位置づけられる。領域Aは、ラットVRRP-1ヌクレ オチド配列のだいたい残基580から残基850を含み、領域Bはだいたいヌクレオチ ド残基960から残基1730を含み、領域Cはだいたいヌクレオチド残基1820から残基
2505を含む。これらの領域それぞれに対応するヒトおよびマウスEST配列のまと めを、下記の表に示す。
【0203】
【表】
ラットVRRP-1に対応するヒトおよびマウスEST配列
【0204】 これらのヒトおよびマウスEST配列を用いて、領域A、B、およびCそれぞれの コンセンサスヌクレオチド配列を決定することができる。領域A(配列番号:5)
、領域B(配列番号:6)、および領域C(配列番号:7)に対するヒトVRRP-1のコ
ンセンサスヌクレオチド配列を下記の配列表に示す。コンセンサス配列を用いて
PCRプローブを設計し、当技術分野において周知の方法を用いて全長VRRP-1をコ ードする断片を単離することができる。
【0205】実施例15.ヒトVRRP-1のクローニング ラットVR1ヌクレオチドおよび蛋白質配列を用いて、genbankデータベースを関
連するものについて検索した。ラットVR1に相同性を示す多くの発現配列タグ(E
ST)配列が見いだされた。これらの起源はヒトおよびマウスであった。これらの
配列は互いに、またラットVR1と密接な関係にあり、また1つのヒト配列を除くす
べてが同じ蛋白質をコードすると考えられること、およびこの蛋白質はマウス配
列によってコードされる蛋白質と高度に相同であることが判明した。これらのヒ
トおよびマウス蛋白質の推定配列はラットVR1蛋白質と約50%同一であったが、お
互いはそれよりもずっと高度に関連していた。
【0206】 ヒトおよびマウスEST配列を用いて、PCRプライマーを設計し、これを次いでラ
ット脳由来cDNAに対して用いてこの推定蛋白質のほとんどをコードするDNA断片 を増幅した。この断片を放射性同位体標識し、ハイブリダーゼーションプローブ
に用いてラット脳由来cDNAライブラリから全長cDNAを単離した。このcDNA(ラッ
トVRRP-1)は、入手可能なEST配列から推定して、ラットVR1蛋白質と49%同一、 およびヒトVRRP1蛋白質(配列番号:23)と74%同一の761aaの蛋白質(配列番号 :3)をコードする。ラットVRRP-1 mRNAは知覚神経節ならびに脳、脊髄、脾臓、
肺、および大腸などの他の組織で発現される。
【0207】 ヒトおよびマウスEST配列を用いて、ヒト由来cDNA源からヒトVRRP-1配列の増 幅を可能にするPCRプライマーを設計した。ヒトCCRF-CEM細胞由来cDNAを用いて 、ヒトVRRP-1 cDNAの断片を増幅して配列決定し、それにより報告されているEST
配列のサブセットとのその同一性を確認した。続いて、推定されるヒトVRRP-1配
列の5'および3'末端に対するPCRプライマーを用い、ヒトEST配列のラットVRRP-1
との位置関係により推定ヒトcDNAの正しいサイズである約2500bpのDNAバンドを 、CCRF-CEM由来cDNAから増幅した。
【0208】実施例16.ニワトリVR1相同体のクローニング ラットVR1のアミノ酸配列に基づき変性オリゴヌクレオチドを設計した。ニワ トリゲノムDNAを鋳型に用いてのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のために、VR1ア ミノ酸残基638〜644および676〜682にそれぞれ対応するオリゴヌクレオチドODJ3
885およびODJ3887をプライマーに用いた。ODJ3885 (配列番号:28)−5' TT(TC)AA(AG)TT(TC)AC(GATC)AT(ATC)GG(GATC)ATGODJ3887 (配列番号:29)5' CAT(GATC)A(GA)(GATC)GC(GAT)AT(GATC)A(GA)CAT(AG
)TT
【0209】 約130bpの産物が得られ、これを単離してベクターpT-Adv(Clontech)にライ ゲートした。これらプラスミドクローンのいくつかのインサートを配列決定した
。ニワトリゲノムDNA由来の産物は次の2クラスに分けられた:一つは非常に近い
相同体に対応しており、もう一つは幾分異なる相同体に対応している。CVR-PCR1 (配列番号:30) TTCAAGTTCACGATTGGGATGGGTGACCTGGATTTTCATGAACATGCCAGATTCAGATACTTTGTCATGCTT
CTGCTGCTGCTTTTTGTGATCCTCACCTACATCCTTTTGCTCAACATGCTTATAGCCCTTATACVR-PCR2 (配列番号:31) TTCAAGTTCACTATTGGGATGGGAGACCTGGAGTTTACAGAGAACTACAGGTTCAAGTCTGTGTTTGTCATC
CTTTTGGTTCTCTATGTCATCCTTACGTACATCCTCCTGCTCAATATGCTTATAGCCCTAATG
【0210】 CVR-PCR2を含む150bpのEcoRI断片をハイブリダイゼーションプローブに用いて
、ニワトリ胚後根神経節(DRG)から単離したRNA由来cDNAライブラリからのクロ
ーンをスクリーニングした。いくつかのハイブリダイズするプラスミドを同定し
た。これらのうちの2つはラットVR1のニワトリオルトローグに相当すると考えら
れる。これらpCVR2の1つのインサートを完全に配列決定した(配列番号:24)。
推定蛋白質配列(配列番号:25)はラットVR1と67%のアミノ酸同一性を示す。ラ
ットおよびニワトリVR1 cDNAのコーディング領域のヌクレオチド配列も67%の同 一性を示す。pCVR2でトランスフェクトしたHEK293細胞の電気生理学的分析およ びカルシウム画像化分析により、コードされた蛋白質がプロトンおよび高用量の
バニロイド、レシニフェラトキシンには反応するが、カプサイシンおよびラット
VR1を活性化する加熱プロトコルには反応しないことが示されている。
【0211】実施例17.ヒトバニロイド受容体のクローニング ヒトゲノムDNAを鋳型にしてのODJ3885およびODJ3887を用いたPCR反応から130b
pの産物が得られた。このバンドを精製し、pT-Advにクローニングした。いくつ かのクローンのインサートを配列決定し、その結果これらはすべてラットVR1の 非常に近い相同体またはオルトローグをコードすることが明らかとなった。ヌク
レオチド配列(配列番号:26)はラットVR1の対応する領域と91%同一である。こ
の45コドン部分について推定蛋白質配列はラットVR1のものと同一である。
【0212】 この新しい配列を用いて、他のPCRプライマーを設計し、ヒトcDNA源からVR1相
同配列のより大きい部分の増幅が可能となった。ヒトDRG由来cDNAを鋳型に用い てのPCR反応に、VR1アミノ酸残基423〜429に対応するプライマーODJ4018と、ヒ トEST AA321554の配列から誘導したプライマーODJ3767を用いた。ODJ4018 (配列番号:32)5' TA(TC) TT(TC) AA(TC) TT(TC) TT(TC) GT(GATC) TA
3'ODJ3767 (配列番号:33)5' AAA AGG GGG ACC AGG GC 3'
【0213】 得られた産物をゲル電気泳動で分離し、以前のPCR分析から誘導した150bpのプ
ローブとのハイブリダイゼーションのためにナイロンメンブレンに移した。約11
00bpのハイブリダイズする断片を同定した。これは、ラットVR1配列中のこれら プライマーの位置から産生が推定されるサイズである。
【0214】 この断片を配列分析のためにクローニングした。得られた配列データを用いて
、この配列に対応する全長ヒトcDNAをクローニングするためのプライマーを設計
した。これはRACE PCRクローニング法を用いて達成される[Frohman, M.A. (199
3) Methods Enzymol, 218:340〜358]。これはまた、小さいPCR断片HVR-PCR1の
配列から誘導したプライマーを用いて実施してもよい。
【0215】 前述の明細書中に記載したすべての出版物および特許は参照として本明細書に
組み入れられる。本発明の範囲および精神から逸脱することなく、前述の本発明
の方法およびシステムに様々な修正および変更を加えられることが、当業者には
明らかであると思われる。本発明を特定の好ましい態様に関して述べてきたが、
請求される本発明の範囲はこのような特定の態様に不当に制限されるべきではな
いことが理解されるべきである。事実、本発明を実施するために記載された形態
の、分子生物学または関連する技術分野の技術者には明らかな様々な改変が、特
許請求の範囲内であることが意図される。
【0216】 本発明のヌクレオチドおよびポリペプチド配列を記載する前に、前述の特定の
方法、プロトコル、細胞株、ベクターおよび試薬は、当然のことながら変動しう
るため、本発明がこれらに制限されるものではないことが理解されるべきである
。同様に、本明細書において用いられる用語は特定の態様を説明することだけを
目的としており、本発明の範囲を制限するものではなく、本発明は添付の特許請
求の範囲によってのみ制限されるということも理解されるべきである。
【0217】 本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる単数形(「a」、「an」、 および「the」)は、前後の文脈からそうではないことが明らかに示されている 場合を除き、複数の対象を含むことに留意されたい。したがって、例えば「宿主
細胞(a host cell)」と記載する場合はこのような宿主細胞の複数を含み、「 この抗体(the antibody)」と記載する場合は1つまたは複数の抗体および当業 者には周知のその等価物を含み、その他も同様である。
【0218】 別に定義する場合を除き、本明細書において用いられる技術用語および科学用
語はすべて、本発明が属する技術分野の技術者に一般に理解されているのと同じ
意味を有する。本明細書で記載されている方法、装置および材料に類似または同
等のいかなるものも、本発明の実施または試験に用いることができるが、好まし
い方法、装置および材料は本明細書に記載されている。
【0219】 本明細書に記載の発明に関連して用いられると考えられる出版物中に記載され
ている例えば細胞株、ベクター、および方法を説明および開示するために、本明
細書において言及したすべての出版物は参照として本明細書に組み入れられる。
本明細書中で論じられている出版物は、本出願の提出日より前にそれらが開示さ
れているためだけに提供されている。本明細書のいかなる開示も、先行発明に基
づいて、本開示が成された日付を早める権利が本発明者らには無いと自認したと
解釈されるべきではない。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1A】 図1Aは、カプサイシン受容体アミノ酸配列に存在する推定ドメインを示す。白
い枠はアンキリンリピートドメインを示し;黒い枠は推定膜貫通ドメインを示す
;および灰色の枠は可能性があるポアループドメインを示す。黒丸は推定蛋白質
キナーゼA燐酸化部位を示す。
【図1B】 図1Bはカプサイシン受容体の推定される膜トポロジーおよびドメイン構造を示
す。「A」と表記された白い丸はアンキリンドメインを示す;黒い部分は膜貫通 ドメインを示し;および灰色の影をつけた領域は可能性があるポアループ領域を
示す。「i」および「o」はそれぞれ、膜内側および外側の葉状器官を示す。
【図1C】 図1Cはカプサイシン受容体VR1を関連する配列と共に配置して示す。同一の残 基に濃い影をつけて保存的置換には薄い影をつけている。
【図2】 図2は、カプサイシン受容体を発現するHEK293細胞の細胞全体の電位固定分析
の電流トレースである。
【図3】 図3は図3に示したデータに関して−100 mV〜+40 mVまでの電圧増加(400 m
s)を示すプロットである。
【図4】 図4は、図4からのデータの電流・電圧曲線を示すグラフである。
【図5】 図5は、カプサイシンに暴露して、イオン組成を変化させた条件下で調べた組
換え型カプサイシン受容体発現細胞の膜から発生した電圧のグラフである。a=N
aCl;b=KCl;c=CsCl;d=MgCl;e=CaCl。
【図6】 図6A〜6Fは細胞全体の電位固定実験においてカプサイシン誘発電流に及ぼす細
胞外カルシウムの影響を示すグラフである。
【図7】 図7は、アウトサイド・アウト(O/O)およびインサイド・アウト(I/O)パッ
チを用いてカプサイシン受容体を発現するHEK293細胞におけるカプサイシン誘発
電流の単チャンネル挙動を示すグラフである。
【図8】 図8は、図7において得られたデータの電流・電圧関係を示すグラフである。
【図9A】 図9Aは、カプサイシン受容体を発現するアフリカツメガエル卵母細胞における
細胞全体の電位固定実験に及ぼすカプサイシンおよびレシニフェラトキシンの作
用を示すグラフである。バーはアゴニストを適用した期間を指す。細胞全体の電
位固定装置において膜電流を記録した(V=−40 mV)。
【図9B】 図9Bは、VR1-発現卵母細胞におけるカプサイシン(四角)およびレシニフェラ
トキシン(白丸)の濃度反応曲線を示すグラフである。図9Bでは、それぞれの卵
母細胞において1μMカプサイシンで得られた反応に対して膜電流を標準化して 、カプサイシンに対する最大反応の割合として表記した。各点は、異なる卵母細
胞5個の平均値(±s.e.m.)を表す。
【図10A】 図10Aは、細胞全体の電位固定実験においてカプサイシン誘発電流に及ぼすカ プサゼピンの作用を示すグラフである。スラッシュマークはそれぞれ2および3
分の洗浄期間を表す(n=3)。cap=カプサイシン;cpz=カプサゼピン;RR= ルテニウムレッド。各点は異なる卵母細胞4個を表す。各卵母細胞におけるカプ
サイシン(0.6 μM、白い菱形)によって誘発された電流反応に対して、電流反 応を標準化した。スラッシュはそれぞれ2および12分の洗浄期間を示す(n=3 )。
【図10B】 図10Bは細胞全体の電位固定試験におけるカプサイシン反応のカプサゼピン阻 害曲線を示すグラフである。
【図11】 図11は、いくつかの異なる赤トウガラシの相対的カプサイシン含有量を反映す
る対応する電流トレースを示すヒストグラムである。
【図12】 図12は、カプサイシン受容体コードcDNAを一過性にトランスフェクトさせたHE
K293細胞における細胞死の誘導を示すグラフである。白いカラム=担体(エタノ
ール)単独に暴露した細胞;黒いカラム=カプサイシンに暴露した細胞;pcDNA3
=カプサイシン受容体コードDNAを含まない対照細胞;VR1(1:50)=対照pcDN
A3で50倍希釈したカプサイシン受容体コードcDNAを一過性にトランスフェクトさ
せた細胞。星印はエタノール処理細胞に対する有意差を示す。
【図13】 図13は、カプサイシン受容体を発現する卵母細胞におけるカプサイシン受容体
活性に及ぼす水素イオンの影響を示す電流トレースである。capオン=カプサイ シン添加時間;capオフ=カプサイシン除去時間。水浴のpHは実験中、横棒で示 すように変化させた。
【図14】 図14は、異なるカプサイシン受容体発現卵母細胞9個から得られた電流反応の
概要を示すグラフである。それぞれのカラムの灰色部分は、pH 7.6でカプサイシ
ンによって誘発された最大電流を示し、黒い部分は水浴のpHを6.3に変化させた ことによって誘発されたさらなる電流を表す。
【図15A】 図15Aは全パッチクランプ分析によって決定した、カプサイシン受容体発現HEK
293細胞におけるカプサイシン受容体活性に及ぼす熱およびカプサイシンの影響 を示す電流トレースである。
【図15B】 図15Bは図15Aにおいて得られたデータの電流・電圧関係を示すグラフである。
【図16】 図16はカプサイシン受容体を発現するアフリカツメガエルの卵母細胞における
無害ではない侵害熱刺激によるカプサイシン受容体の活性化を示すグラフである
。星印は水を注入した対照卵母細胞に対する有意差を示す。
【図17】 図17は、カプサイシン受容体を発現するアフリカツメガエルの卵母細胞および
水を注入した対照卵母細胞に及ぼすカプサイシン、熱、および熱+ルテニウムレ
ッド(RR)の影響を示す代表的な電流トレースを示す。
【図18】 図18はラットVR1、ラットVRRP-1、およびヒトEST配列AA321554の関係を示す略
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/15 C12N 1/19 1/19 1/21 1/21 C12P 21/02 C 5/10 C12Q 1/68 A C12P 21/02 G01N 33/15 Z C12Q 1/68 33/50 Z G01N 33/15 33/566 33/50 A61K 39/395 D 33/566 N // A61K 38/00 C12N 15/00 ZNAA 39/395 5/00 A A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U S,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 カテリナ マイケル アメリカ合衆国 カリフォルニア州 ミル バレイ キャルロッタ サークル 110 アパートメント 7 (72)発明者 ブレイク アンソニー アメリカ合衆国 カリフォルニア州 バー クレー ロス アンジェルス アベニュー 2115

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単離カプサイシン受容体ポリペプチド。
  2. 【請求項2】 VR1サブタイプである、請求項1記載のカプサイシン受容体 ポリペプチド。
  3. 【請求項3】 VR2サブタイプである、請求項1記載のカプサイシン受容体 ポリペプチド。
  4. 【請求項4】 配列番号:2、4、9、11、23、25または27からなる群より
    選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1記載のカプサイシン受容体ポリペプチ
    ド。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のカプサイシン受容体ポリペプチドをコードす
    る単離ポリヌクレオチド配列。
  6. 【請求項6】 VR1サブタイプをコードする、請求項5記載のポリヌクレオ チド配列。
  7. 【請求項7】 VR2サブタイプをコードする、請求項5記載のポリヌクレオ チド配列。
  8. 【請求項8】 配列番号:1、3、5、6、7、8、10、20、21、22、24ま
    たは26からなる群より選択される配列を含む、請求項5記載の単離ポリヌクレオ チド配列。
  9. 【請求項9】 請求項5記載のポリヌクレオチド配列を含む、組換え型発現
    ベクター。
  10. 【請求項10】 請求項5記載のポリヌクレオチド配列を含む組換え型宿主細
    胞。
  11. 【請求項11】 請求項1記載のカプサイシン受容体ポリペプチドの製造方法
    であって、以下の段階を含む方法: a)カプサイシン受容体ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む 組換え宿主細胞を、ポリペプチドの発現に適した条件下で培養する段階;および b)宿主細胞培養物からポリペプチドを回収する段階。
  12. 【請求項12】 請求項1記載のカプサイシン受容体ポリペプチドに特異的に
    結合する単離抗体。
  13. 【請求項13】 カプサイシン受容体ポリペプチドに結合する化合物を同定す
    る方法であって、以下の段階を含む方法: カプサイシン受容体ポリペプチドを試験化合物と接触させる段階;および カプサイシン受容体ポリペプチドに対する試験化合物の特異的結合を検出する
    段階。
  14. 【請求項14】 検出がカプサイシン受容体発現宿主細胞における細胞内カル
    シウム濃度の変化を検出することによる、請求項13記載の方法。
  15. 【請求項15】 バニロイド化合物がカプサイシン受容体ポリペプチドとの結
    合活性を有する、試料中のバニロイド化合物を検出する方法であって、以下の段
    階を含む方法: バニロイド化合物を含むと思われる試料を、カプサイシン受容体ポリペプチド
    を発現する真核宿主細胞と接触させる段階; カプサイシン受容体を発現する宿主細胞においてカプサイシン受容体活性に関
    連した細胞反応の変化を検出する段階。
  16. 【請求項16】 カプサイシン受容体活性に関連した細胞反応が細胞内カルシ
    ウム濃度の増加である、請求項15記載の方法。
  17. 【請求項17】 実質的に精製されたカプサイシン受容体ポリペプチドと適当
    な薬学的担体とを含む薬学的組成物。
  18. 【請求項18】 トランスジェニック動物が同じ種の正常動物と比較してカプ
    サイシン受容体機能が変化していることを特徴とする、カプサイシン受容体遺伝
    子機能に関するヒト以外のトランスジェニック動物モデル。
  19. 【請求項19】 カプサイシン受容体機能を調節する生物学的活性物質をスク
    リーニングする方法であって、以下の段階を含む方法: 候補物質を以下のいずれか1つと組み合わせる段階: (a)哺乳類カプサイシン受容体ポリペプチド; (b)哺乳類カプサイシン受容体関連ポリペプチド; (c)哺乳類カプサイシン受容体ポリペプチドをコードする核酸を含む細胞 ; (d)哺乳類のカプサイシン受容体関連ポリペプチドをコードする核酸を含 む細胞;または (e)以下の1つを含むカプサイシン受容体遺伝子の機能に関するヒト以外 のトランスジェニック動物モデル:(i)カプサイシン受容体遺伝子のノックア ウト;(ii)外因性的且つ安定的に伝達された哺乳類のカプサイシン受容体遺伝
    子配列;または(iii)リポーター遺伝子に機能的に結合したカプサイシン受容 体プロモーター配列;および カプサイシン受容体機能に及ぼす該物質の作用を決定する段階。
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