JP2001508066A - カルボキシル化合物およびそれの誘導体の製造 - Google Patents

カルボキシル化合物およびそれの誘導体の製造

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ハーンドン,アール・カール,ジユニア
アレン,ロバート・エイチ
チヨカリンガム,カナパン・シー
フオクト,ゲイリー・デイ
ロイ,ランジツト・ケイ
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アルベマール・コーポレーシヨン
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Abstract

(57)【要約】 アリールハライドおよび/または置換アリールハライドによるオレフィンのパラジウム触媒使用アリール化を、液状の極性有機溶媒と(ii)(1)1種類のみの溶媒を用いる場合には上記溶媒の沸騰温度よりも低い温度で沸騰するか或は(2)2種以上の溶媒を用いる場合には上記溶媒の必ずしも全部ではないが少なくとも1つが有する沸騰温度よりも低い温度で沸騰する第二級もしくは第三級アミン中で実施する。このようにして生じさせた反応混合物(これはオレフィン置換芳香族化合物とハロゲン化水素酸アミンと溶媒を含有する)を上記アミンの塩基強度よりも高い塩基強度を有する無機塩基の濃水溶液と混合する。それによって、ハロゲン化水素酸アミンを遊離アミンとアルカリ金属ハライドに変化させ、かつ(i)溶解しているアルカリ金属ハライドが入っている水相と(ii)オレフィン置換芳香族化合物とアミンと溶媒を含んで成る有機相を生じさせる。これらの相を分離した後、上記有機相からアミンをこの有機相に入っている上記オレフィン置換芳香族化合物の熱オリゴマー化を抑制する低い温度および圧力条件下で留出させる。この有機相からアミンを実質的に除去した時点で、これにパラジウム触媒使用カルボキシル化を一酸化炭素および水および/またはアルコールを用いて受けさせる。上記水相は比較的高い比重を有することから、この水相の分離は非常に容易でありかつアミンの回収および溶媒の再生利用を効率良く行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】 カルボキシル化合物およびそれの誘導体の製造 技術分野 本発明は特定のカルボン酸またはそれの誘導体、例えば塩またはエステルなど の合成に関する。 背景 有機ハライドのパラジウム触媒使用(palladium−catalyze d)ビニル化は未置換のビニル位に炭素−炭素結合を生じさせる非常に便利な方 法を与えるものである。Heck(Palladium Reagents i n Organic Synthesis、Academic Press、カ ナダ、1985)が報告した反応を用いて精密有機物、薬剤および特殊なモノマ ー類を製造することができる。例えば、上記反応は置換スチレン類をアリールブ ロマイドから1段階合成することを可能にするものであり、幅広く多様なスチレ ン誘導体の優れた合成方法である。Heitz他、Makromol.Chem .、189、119(1968)。 ビニルトルエン類はエチレンとブロモトルエン類の均一パラジウム触媒使用カ ップリングの生成物として報告された。この反応はN,N−ジメチルホルムアミ ドと水で構成される2相溶媒系で実施される。R.A.DeVries他、Or ganometallics、13、2405(1994)。 R.A.DeVries他の米国特許第5,136,069号および5,24 3,068号には、(a)均一ゼロ原子価パラジウム触媒錯体、(b)無機ハロ ゲン化水素受容体および(c)水であるか或は有機溶媒 が95体積%以下の量で入っている水溶液である希釈剤の存在下でハロゲン置換 有機化合物と加水分解的に安定なビニル系不飽和(vinylically−u nsaturated)前駆体化合物を反応させてビニル系不飽和化合物を製造 することが記述されている。 ヨードベンゼンによるプロピレン、エチレン、スチレンおよびアクリル酸メチ ルのアリール化(arylation)をメタノール中で金属パラジウム触媒を 用いて行うとそれぞれメチルスチレン、スチレン、t−スチルベンおよび桂皮酸 メチルが生じることが確認された。それらの収率および選択率は、生じるヨウ化 水素酸の受容体として酢酸カリウムを過剰量で添加すると有意に向上した。Mo ri他、Bull.Chem.Soc.、Japan、46、1505(197 3)。 アリールブロマイドまたは3−ブロモピリジンとエチレンのパラジウムートリ −o−トリルホスフィン触媒使用反応を用いてそれぞれ多様なスチレン誘導体お よび3−ビニルピリジンが中程度から良好な収率で製造された。(Plevya k他、J.Org.Chem.、43、2454(1970)。 Alper他はJ.Chem Soc.Chem.Comm.、1983、1 270−1271の中でアルケン類を一酸化炭素、水、塩酸およびパラジウムと 銅の混合物と一緒に反応させるとヒドロカルボキシル化を受けた(hydroc arboxylated)分枝鎖カルボン酸が生じ得ることを開示している。こ の反応を成功裏に行うには酸素が必要である。 分枝鎖カルボン酸イブプロフェンを製造する方法が特開昭59−10545号 (三井石油化学、1984年1月公開)に記述されており、そ こでは、p−イソブチルスチレンと一酸化炭素と水もしくはアルコールをパラジ ウム(II)触媒およびパーオキサイド、例えばクミルパーオキサイドなどの存 在下で反応させるとイブプロフェンが生じ得ることを教示している。 アリール置換脂肪族カルボン酸またはそれのアルキルエステルを製造する方法 が米国特許第5,315,026号に開示されている。1−アリール置換オレフ ィンと一酸化炭素を水またはアルコールの存在下25℃から200℃の範囲の温 度で反応させている。触媒として用いるに有用な混合物はパラジウム化合物と銅 化合物であり、それに酸に安定な配位子を少なくとも1つ伴わせている。使用可 能な配位子には、電子を供与する一座もしくは多座物質、例えば元素P、Nまた はOを含有する物質、そして多重結合を含む物質、例えばオレフィン系化合物な どが含まれる。そのような酸に安定な配位子の例はトリヒドロカルビルホスフィ ン類[これにはトリアルキル−およびトリアリールホスフィン類、例えばトリ− n−ブチル−、トリシクロヘキシル−およびトリフェニルホスフィンなどが含ま れる]、低級アルキルおよびアリールニトリル類、例えばベンゾニトリルおよび n−プロピオニトリルなど、パイ電子を含む配位子、例えばアリル化合物または 1,5−シクロオクタジエンなど、ピペリジン、ピペラジン、トリクロロ一錫酸 塩(II)およびアセチルアセトン塩である。 米国特許第5,536,870号には、ビニルもしくは置換ビニル化合物と有 機ハライド類のパラジウム触媒使用カップリングで置換オレフィン類を製造する ことが記述されており、そしてまた、上記置換オレフィン類からカルボン酸およ びエステルを生じさせることも記述されている。 パラジウムまたは原子価が1または2のパラジウムの塩と第三ホスフィン配位子 、例えばネオメンチルジフェニルホスフィンなどを触媒有効量で存在させて有機 ハライドとビニルもしくは置換ビニル化合物を反応させることで置換オレフィン 化合物を生じさせている。この反応を無溶媒でか或は溶媒、例えばアセトニトリ ル、テトラヒドロフラン、ジオキサンまたはジメチルホルムアミドなどを存在さ せて実施している。そのような様式で生じさせた置換オレフィン類の重要な用途 は、次に上記置換オレフィン類に一酸化炭素によるカルボニル化を米国特許第5 ,536,870号に記述されている触媒系および反応条件を用いて受けさせて それをカルボン酸またはそれの誘導体、例えば塩またはエステル(例えばプロフ ェン化合物)に変化させる用途である。 発明の要約 本発明は、とりわけ、特定の芳香族置換脂肪族カルボン酸およびそれの酸誘導 体、例えば塩またはエステル(よく知られている鎮痛剤または抗炎症剤であるプ ロフェン型化合物を包含)の大規模製造を効率良く行うことを可能にする工程技 術を提供するものである。 本発明の1つの態様に従い、 a)アリールハライドおよび/または置換アリールハライドによるオレフィンの パラジウム触媒使用アリール化を液状の媒体中で実施するが、この液状媒体を、 (i)1種以上の液状極性有機溶媒/希釈剤と(ii)(1)1種類のみの溶媒 /希釈剤を用いる場合には上記溶媒/希釈剤の沸騰温度よりも低い温度で沸騰す るか或は(2)2種以上の溶媒/希釈剤を用いる場合には上記媒体を生じさせる 時に用いる上記極性溶媒/希釈剤の必ずしも全部ではないが少なくとも1つが有 する沸騰温度よりも 低い温度で沸騰する1種以上の第二級もしくは第三級アミン類から生じさせ、そ れによって、1種以上の極性有機溶媒とオレフィン置換(olefinical ly−substituted)芳香族化合物とハロゲン化水素酸アミン(am ine−hydrohalide)を含んで成る反応混合物を生じさせ、 b)(i)上記1種以上の第二級もしくは第三級アミン類の塩基強度(base strength)よりも高い塩基強度を有する無機塩基の濃水溶液と(ii )上記反応混合物の少なくとも一部を混合することで、そこに含まれているハロ ゲン化水素酸アミンを遊離アミンとアルカリ金属ハライドに変化させ、かつ(i )溶解しているアルカリ金属ハライドが入っている水相と(ii)1種以上の極 性有機溶媒とオレフィン置換芳香族化合物と遊離アミンを含んで成る有機相を生 じさせ、 c)上記相を互いに分離し、 d)上記有機相から該アミンの実質的に全部を残存液相に含まれるオレフィン置 換芳香族化合物の熱オリゴマー化(thermal oligomerizat ion)を抑制する低い温度および圧力条件下で留出させることで、1種以上の 極性有機溶媒とオレフィン置換芳香族化合物で主に構成される蒸留物(dist illand)を生じさせ、そして e)上記蒸留物の少なくとも一部を含んで成る液状媒体中で上記オレフィン置換 芳香族化合物の少なくとも一部のパラジウム触媒使用カルボキシル化(carb oxylation)を一酸化炭素および水および/またはアルコールを用いて 実施する、 ことを含む方法を提供する。 b)で生じさせる水相は比較的高い比重を有しかつ塩が濃縮されてい ることから、c)の相分離が大きく助長されかつアミンの回収および溶媒の再利 用を効率良く行うことができる。 好適には、d)の蒸留中または後に上記液状媒体を補給用(makeup)液 状有機溶媒と一緒に混合し、それによって、e)の液状媒体に両方の蒸留物の少 なくとも一部と上記補給用溶媒を更に含める。 別の態様は、(a)1種以上の第二級もしくは第三級アミン類をハロゲン化水 素受容体として含有する液状の極性溶媒中でアリールハライドおよび/または置 換アリールハライド(例えば2−ブロモ−6−メトキシナフタレンまたは4−ブ ロモーイソブチルベンゼン)によるビニルオレフィン(vinylolefin )(例えばエチレン)のパラジウム触媒使用アリール化を行うことでアリールオ レフィンまたは置換アリールオレフィン(例えば6−メトキシ−2−ビニルナフ タレンまたは4−イソブチルスチレン)とハロゲン化水素酸アミンが液状の極性 有機溶媒に入っている反応生成物組成物を生じさせ、そして(b)上記反応生成 物組成物を上記1種以上の第二級もしくは第三級アミン類の塩基強度よりも高い 塩基強度を有する無機塩基の濃水溶液と混合することで、(i)上記アリールオ レフィンもしくは置換アリールオレフィンと上記1種以上の第二級もしくは第三 級アミンが入っている有機相と(ii)下方の水相(この水相を25℃で測定し た時にそれが1ミリリットル当たり少なくとも1.08グラムの比重を示すよう に溶解している無機塩が入っている)を生じさせ、そして(c)上記相を互いに 分離することを含む方法である。 更に別の態様は、(A)アリールオレフィンまたは置換アリールオレフィン( 例えば6−メトキシ−2−ビニルナフタレンまたは4−イソブ チルスチレン)のパラジウム触媒使用ヒドロカルボキシル化(hydrocar boxylation)を極性有機溶媒(好適にはケトン)と水とHClと少な くとも1種のエーテル(例えばTHF)を含んで成る液状媒体中で実施すること で、アリールカルボン酸または置換アリールカルボン酸[例えばラセミ型2−( 6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオン酸または2−(4−イソブチルフェニ ル)プロピオン酸]が液状の極性有機溶媒に入っている反応生成物組成物を生じ させ、(B)上記反応生成物組成物を無機塩基の水溶液(例えば25重量%のN aOH水溶液もしくはKOH水溶液)と混合することで、上記アリールカルボン 酸または置換アリールカルボン酸の無機塩が溶解した状態で含まれている水相を 含有する混合物を生じさせ、そして上記混合を行う前または行っている間または 行った後に、該エーテルの少なくとも実質的部分を該反応混合物から留出させ、 その結果として、残存有機相と上記水相の混合物を蒸留残渣[蒸留物またはポッ ト残渣(pot resideu)]として残存させ、(C)上記相を互いに分 離し、(D)上記水相から残存有機不純物を留出させそして必要ならばそれから 水を除去するか或はそれに水を加えることで上記水相の濃度を10から35重量 %溶液の範囲に調整し、(E)上記水溶液を実質的に非極性の液状有機溶媒(好 適にはパラフィン系炭化水素溶媒、例えばヘキサンまたはヘプタンなど、または 芳香族炭化水素溶媒、例えばトルエンまたはキシレンなど)で好適には少なくと も2回洗浄し、(F)上記水相と非酸化(nonx−oxidizing)鉱酸 (例えば硫酸)を実質的に非極性の液状溶媒の存在下で混合することで、(i) アリールカルボン酸または置換アリールカルボン酸が実質的に非極性の液状溶媒 に入っている溶液で構成され る有機相と(ii)水相を生じさせ、(G)上記相を互いに分離し、そして(H )上記実質的に非極性の液状溶媒からアリールカルボン酸また置換アリールカル ボン酸を結晶化させることを含む方法である。 以下に行う説明および添付請求の範囲から上記および他の態様が明らかになる であろう。 用語の解説 本明細書およびそれの請求の範囲において、本明細書で特に明記しない限り、 下記の用語は下記の意味を有する: 「アルキル」は炭素原子数が1から20の直鎖もしくは分枝鎖アルキルを意味 し、これには例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブ チル、第二ブチル、第三ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキ シル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、1,1,3,3−テトラメチ ルブチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデ シルおよびエイコシルが含まれ、そして「C1からC6のアルキル」は炭素原子数 が1から6のアルキルを意味する。 「シクロアルキル」は炭素原子数が3から7の環状アルキルを意味し、これに はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシク ロヘプチルが含まれる。 「置換シクロアルキル」は、アロイル(以下に定義する如き)、ハロゲン(塩 素、臭素、フッ素またはヨウ素)、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、アルキル、ア ルコキシ(炭素原子数が1から10の直鎖もしくは分枝鎖アルコキシを意味し、 これには例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、 イソブトキシ、第二ブトキシ、第三 ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オ クチルオキシ、ノニルオキシおよびデシルオキシが含まれる)、シクロアルキル オキシ(これにはシクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシおよびシクロヘ プチルオキシが含まれる)、アリールオキシ(これにはフェノキシ、そしてハロ 、アルキルまたはアルコキシで置換されているフェノキシが含まれる)、ハロア ルキル(これは少なくとも1個のハロゲンで置換されている炭素原子数が1から 8の直鎖もしくは分枝鎖アルキルを意味し、これには例えばクロロメチル、ブロ モメチル、フルオロメチル、ヨードメチル、2−クロロエチル、2−ブロモエチ ル、2−フルオロエチル、3−クロロプロピル、3−ブロモブロピル、3−フル オロプロピル、4−クロロブチル、4−フルオロブチル、ジクロロメチル、ジブ ロモメチル、ジフルオロメチル、ジヨードメチル、2,2−ジクロロエチル、2 ,2−ジブロモエチル、2,2−ジフルオロエチル、3,3−ジクロロプロピル 、3,3−ジフルオロプロピル、4,4−ジクロロブチル、4,4−ジフルオロ ブチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリ−フルオロ エチル、2,3,3−トリフルオロプロピル、1,1,2,2−テトラフルオロ エチルまたは2,2,3,3−テトラフルオロプロピルが含まれる)から選択さ れる少なくとも1個の置換基で置換されているシクロプロピル、シクロブチル、 シクロペンチル、シクロヘキシルもしくはシクロヘプチルを意味する。 「アリール」はフェニル、ナフチルまたはビフェニルを意味する。 「置換アリール」は、アロイル(以下に定義する如き)、ハロゲン(塩素、臭 素、フッ素またはヨウ素)、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、アル キル、アルコキシ(炭素原子数が1から10の直鎖もしくは分枝鎖アルコキシを 意味し、これには例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブ トキシ、イソブトキシ、第二ブトキシ、第三ブトキシ、ペントキシ、イソペント キシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシおよび デシルオキシが含まれる)、シクロアルキルオキシ(これにはシクロペンチルオ キシ、シクロヘキシルオキシおよびシクロヘプチルオキシが含まれる)、アリー ルオキシ(これにはフェノキシ、そしてハロ、アルキルまたはアルコキシで置換 されているフェノキシが含まれる)、ハロアルキル(これは少なくとも1個のハ ロゲンで置換されている炭素原子数が1から8の直鎖もしくは分枝鎖アルキルを 意味し、これには例えばクロロメチル、ブロモメチル、フルオロメチル、ヨード メチル、2−クロロエチル、2−ブロモエチル、2−フルオロエチル、3−クロ ロプロピル、3−ブロモプロピル、3−フルオロプロピル、4−クロロブチル、 4−フルオロブチル、ジクロロメチル、ジブロモメチル、ジフルオロメチル、ジ ヨードメチル、2,2−ジクロロエチル、2,2−ジブロモエチル、2,2−ジ フルオロエチル、3,3−ジクロロプロピル、3,3−ジフルオロプロピル、4 ,4−ジクロロブチル、4,4−ジフルオロブチル、トリクロロメチル、トリフ ルオロメチル、2,2,2−トリ−フルオロエチル、2,3,3−トリフルオロ プロピル、1,1,2,2−テトラフルオロエチルまたは2,2,3,3−テト ラフルオロプロピルが含まれる)から選択される少なくとも1個の置換基で置換 されているフェニル、ナフチルもしくはビフェニルを意味する。 「シクロアルキルアルキル」は、炭素原子数が3から7のシクロアル キル基で置換されている炭素原子数が1から8の直鎖もしくは分枝鎖アルキル部 分を意味し、これには例えばシクロプロピルカルビニル(即ち本文脈ではカルビ ニルをまたメチルと呼ぶことも可能である)、シクロブチルカルビニル、シクロ ペンチルカルビニル、シクロヘキシルカルビニル、シクロヘプチルメチル、2− シクロプロピルエチル、2−シクロペンチルエチル、2−シクロヘキシルエチル 、3−シクロプロピルプロピル、3−シクロペンチルプロピル、3−シクロヘキ シルプロピル、4−シクロプロピルブチル、4−シクロペンチルブチル、4−シ クロヘキシルブチル、6−シクロプロピルヘキシルまたは6−シクロヘキシルヘ キシルが含まれる。 「アラルキル」は、炭素原子数が6から12のアリール基もしくは置換アリー ル基で置換されている炭素原子数が1から8の直鎖もしくは分枝鎖アルキル部分 を意味し、これらにはベンジル、2−フェネチル、2−メチルベンジル、3−メ チルベンジル、4−メチルベンジル、2,4−ジメチルベンジル、2−(4−エ チルフェニル)エチルまたは3−(3−プロピルフェニル)プロピルが含まれる 。 「置換アラルキル」は、アロイル(以下に定義する如き)、ハロゲン(塩素、 臭素、フッ素またはヨウ素)、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、アルキル、アルコ キシ(炭素原子数が1から10の直鎖もしくは分枝鎖アルコキシを意味し、これ には例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソ ブトキシ、第二ブトキシ、第三ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ヘキシ ルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシおよびデシルオキシ が含まれる)、シクロアルキルオキシ(これにはシクロペンチルオキシ、シクロ ヘキシルオ キシおよびシクロヘプチルオキシが含まれる)、アリールオキシ(これにはフェ ノキシ、そしてハロ、アルキルまたはアルコキシで置換されているフェノキシが 含まれる)、ハロアルキル(これは少なくとも1個のハロゲンで置換されている 炭素原子数が1から8の直鎖もしくは分枝鎖アルキルを意味し、これには例えば クロロメチル、ブロモメチル、フルオロメチル、ヨードメチル、2−クロロエチ ル、2−ブロモエチル、2−フルオロエチル、3−クロロプロピル、3−ブロモ プロピル、3−フルオロプロピル、4−クロロブチル、4−フルオロブチル、ジ クロロメチル、ジブロモメチル、ジフルオロメチル、ジヨードメチル、2,2− ジクロロエチル、2,2−ジブロモエチル、2,2−ジフルオロエチル、3,3 −ジクロロプロピル、3,3−ジフルオロプロピル、4,4−ジクロロブチル、 4,4−ジフルオロブチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、2,2, 2−トリーフルオロエチル、2,3,3−トリフルオロプロピル、1,1,2, 2−テトラフルオロエチルまたは2,2,3,3−テトラフルオロプロピルが含 まれる)から選択される少なくとも1個の置換基で置換されているアラルキルを 意味する。 「アルキルチオ」は、アルキルが原子価の1つを占めている二価の硫黄を意味 し、これにはメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチ オ、ヘキシルチオまたはオクチルチオ基が含まれる。 「ヘテロアリール」は、ヘテロ原子(これには窒素、酸素および硫黄から選択 されるヘテロ原子が含まれる)を少なくとも1個有する5員から6員の単もしく は縮合ヘテロ芳香族環を意味し、これには例えば2−フリル、3−フリル、2− チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、ピラゾ リル、イミダゾリル、ピリミジニル、 ピリダジニル、ピラジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、オキサゾリル、チ アゾリルまたはインドリルが含まれる。 「置換ヘテロアリール」は、窒素、酸素および硫黄から選択されるヘテロ原子 を環中に少なくとも1個有していて環がハロゲン、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ 、アルキル、アルコキシおよびハロアルキルから選択される少なくとも1個の置 換基で(上述したヘテロ芳香族核が)置換されている5員から10員の単もしく は縮合ヘテロ芳香族環を意味する。 「アルカノイル」は炭素原子数が2から18のアルカノイルを意味し、これに は例えばアセチル、プロピオニル、ブチリル、ィソブチリル、ピバロイル、バレ リル、ヘキサノイル、オクタノイル、ラウロイルまたはステアロイルが含まれる 。 「アロイル」はベンゾイルまたはナフトイルを意味する。 「置換アロイル」は、ハロゲン、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、アルキル、ア ルコキシおよびハロアルキルから選択される置換基を包含する少なくとも1個の 置換基でベンゼン環またはナフタレン環が置換されているベンゾイルまたはナフ トイルを意味する。 「ヘテロアリールカルボニル」は、ヘテロアリール部分が上述した如き窒素、 酸素および硫黄から選択されるヘテロ原子を少なくとも1個有する5員から10 員の単もしくは縮合ヘテロ芳香族環であることを意味し、これには例えばフロイ ル、ニコチノイル、イソニコチノイル、ピラゾリルカルボニル、イミダゾリルカ ルボニル、ピリミジニルカルボニルまたはベンズイミダゾリルカルボニルが含ま れる。 「置換ヘテロアリールカルボニル」は、ハロゲン、アミノ、ニトロ、ヒドロキ シ、アルコキシおよびハロアルキルから選択される少なくとも 1個の置換基でヘテロアリール核が置換されている上記ヘテロアリールカルボニ ルを意味し、これには例えば2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イルメチ ルまたは2−オキソ−1,3−ジオキサン−5−イルが含まれる。 「ビニル」は、不飽和二重結合を少なくとも1つ有していて式CH2=CH− で表される不飽和置換基を意味する。 「置換ビニル」は、末端の炭素原子上に存在するプロトンの少なくとも1つが アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、置換アリール 、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールで置換されている上記ビニル置換基 を意味する。 「ヒドロカルビル」は、炭素原子を24個以下の数で含んでいてオレフィン系 不飽和もアセチレン系不飽和も含まない一価の炭化水素基(即ち炭素原子と水素 原子のみを含有する基)を意味し、これにはアルキル、シクロアルキル、アルキ ル置換シクロアルキル、シクロアルキル置換シクロアルキル、シクロアルキルア ルキル、アリール、アルキル置換アリール、シクロアルキル置換アリール、アラ ルキル、アルキル置換アラルキルおよびシクロアルキル置換アラルキルが含まれ る。 「官能置換ヒドロカルビル基」は、ハロゲン原子、アミノ、ニトロ、ヒドロキ シ、ヒドロカルビルオキシ(アルコキシ、シクロアルキルオキシおよびアリール オキシを包含)、ヒドロカルビルチオ(アルキルチオ、シクロアルキルチオおよ びアリールチオを包含)、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカノイル 、アロイル、置換アロイル、ヘテロアリールカルボニルおよび置換ヘテロアリー ルカルボニルから選択される1個以上の官能基で置換されているヒドロカルビル 基を意味する。 「アリール化」は、少なくとも1種のアリールハライドもしくは少なくとも1 種の置換アリールハライドまたは少なくとも1種のアリールハライドと少なくと も1種の置換アリールハライドの組み合わせを少なくとも1種のオレフィン化合 物との反応で反応体として用いる反応を意味する。 「液状」は、言及する材料が20℃(好適には20℃未満の温度)で液体状態 の凝集物(aggregation)の状態で存在することを意味する。 更に詳細な説明アリール化反応 アリールハライドによるオレフィンのパラジウム触媒使用アリール化はよく知 られていて、文献に報告されている。例えばC.B.Ziegler,Jr.お よびR.F.Heck,,J.Org.Chem.、1978、43、2941 およびそこに引用されている文献、そしてT−C Wu.の米国特許第5,53 6,870号を参照のこと。本発明の実施ではアリール化反応を用いて式 [式中、 Arは、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アラ ルキル(特にベンジル)または置換アラルキル(特に置換ベンジル)であり、そ してR1、R2およびR3は、同一もしくは異なり、水素原子、ヒドロカルビル基 、官能置換ヒドロカルビル基およびハロゲン 原子から選択される] で表されるオレフィン化合物を生じさせる。これを、式 Ar−X (II) [式中、 Arはこの上で定義した通りであり、そしてXは、原子番号が9を越えるハロゲ ン原子、ジアゾニウム基、トリフレート(triflate)または他の脱離基 である] で表される少なくとも1種のアリールハライドおよび/または置換アリールハラ イドと式 [式中、 R1、R2およびR3はこの上で定義した通りである] で表される少なくとも1種のオレフィン化合物を反応させることで達成する。上 記置換アリールハライドの置換アリール基は、好適には、アルキルで置換されて いるフェニル、アルコキシで置換されているナフチル、アリールオキシもしくは 置換アリールオキシ(特にフェノキシ)で置換されているフェニル、フルオロで 置換されているアリールまたはアロイルで置換されているフェニルであり、そし て上記置換アリールハライドのハロゲン原子は好適には臭素原子である。置換ア リールハライドの例には、置換アリール基がイソブチルフェニル基、メトキシナ フチル基、フェノキシフェニル基、フルオロビフェニリル基、ベンゾイルフェニ ル基でありそしてハロゲン原子が塩素、ヨウ素、最も好適には臭素原子で ある化合物が含まれる。 式(III)で表される好適なオレフィン化合物は、R1、R2およびR3が水 素原子、C1からC6のアルキル、置換もしくは未置換のフェニルおよび/または トリフルオロメチルである化合物である。その例には、R1、R2およびR3が水 素原子、メチルおよび/またはトリフルオロメチルである式(III)で表され る化合物が含まれる。R3が水素原子であるオレフィン類がより好適であり、R1 が水素原子またはC1からC6のアルキル基でR2およびR3が水素原子であるビニ ルオレフィン類が特に好適である。エチレンが最も好適なオレフィン反応体であ る。 この反応を液状の媒体中で実施するが、ここでは、この液状媒体を、(i)1 種以上の液状極性有機溶媒/希釈剤と(ii)(1)上記媒体を生じさせる時に 1種類のみの溶媒/希釈剤を用いる場合には上記溶媒/希釈剤の沸騰温度よりも 低い温度で沸騰するか或は(2)上記媒体を生じさせる時に2種以上の溶媒/希 釈剤を用いる場合には上記媒体を生じさせる時に用いる上記極性溶媒/希釈剤の 必ずしも全部ではないが少なくとも1つが有する沸騰温度よりも低い温度で沸騰 する1種以上の第二級もしくは第三級アミン類から生じさせる。この溶媒/希釈 剤は20から25℃の範囲の温度で少なくとも測定可能な極性を示すべきであり 、そしてその上、アリール化反応を防止するか或は実質的に害するか或は抑制す るか或は他の様式で実質的に妨害する官能性を含むべきでない。その例にはテト ラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジグライム、トリグライム、アセトニト リル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N ,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキサイド、ニトロベンゼン、スル ホラン、アセトン、ブタノンお よびシクロヘキサノンが含まれる。好適な溶媒/希釈剤は各々が20から25℃ の範囲の温度で少なくとも10(特に10から30)の誘電率を示す1種以上の 非プロトン性溶媒である。費用効果の観点から、分子中の炭素原子数が4以上( 例えば4から8)のヒドロカルビルケトン類が特に好適である。その例にはジエ チルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2− ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノンなどの如き液状ケトン類ばかりで なく、上記ケトン類の2種以上から成る混合物が含まれる。ジエチルケトン(3 −ペンタノン)が最も好適である。アリール化反応は本質的に発熱反応である傾 向があり、誘電率が10から30の範囲(20から25℃で測定した時)の希釈 剤、例えばこの品質に合致するケトンなどを用いると反応を容易に制御すること ができる。 第二級もしくは第三級アミン類をハロゲン化水素受容体として用い、従って好 適にはそれを使用するアリールハライドおよび/または置換アリールハライドを 基準にして少なくとも化学量論的量で用いる。しかしながら、あまり望ましくは ないが、アミンを化学量論的量より少ない量で用いて反応をある程度のみ進行さ せることでアミンを化学量論的量よりも少ない量で用いることも可能であり、そ してその反応混合物を再循環させ、それに追加的アミンを添加して、それの存在 下でさらなる反応を行うことを可能である。 アリール化反応を防止するか或は実質的に害するか或は抑制するか或は他の様 式で実質的に妨害する官能性を持っていなくて反応で上記液状媒体を生じさせる 時に1種類のみの極性溶媒/希釈剤を用いる場合にはそれの沸騰温度よりも低い 温度で沸騰するか或は反応で上記液状媒体を 生じさせる時に2種以上の極性溶媒/希釈剤を用いる場合にはその複数の極性溶 媒/希釈剤の少なくとも1つ[少なくとも実質的量(例えば溶媒/希釈剤の全体 積の少なくとも20または30%)で用いる]が有する沸騰温度よりも低い温度 で沸騰しかつアリール化反応で生じるHCl、HBrおよび/またはHIのハロ ゲン化水素受容体として働くに充分な塩基性を有する液状の如何なる第二級もし くは第三級アミンも使用可能である。液状の第三級アミンが好適である。このア ミン類はポリアミン類、例えばN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジア ミン(沸点が約120−122℃)などであってもよいが、大部分のケースでモ ノアミン類の方が好適である。適切に低い沸点を有する有用な液状アミンはとり わけジエチルアミン(沸点55℃)、N,N−ジメチルエチルアミン(沸点36 −68℃)、N,N−ジエチルメチルアミン(沸点63−65℃)、ジイソプロ ピルアミン(沸点84℃)、トリエチルアミン(沸点約89℃)、ジプロピルア ミン(沸点約105−110℃)およびジ−s−ブチルアミン(沸点約135℃ )である。トリエチルアミンが特に好適なアミンである。 ジエチルケトンとアセトニトリル(例えば重量比が1:9から4:1の範囲、 より好適には1:3から3:1の範囲)とトリエチルアミンから生じさせた液状 媒体、またはジエチルケトンとN,N−ジメチルホルムアミド(例えば重量比が 1:9から9:1の範囲)とトリエチルアミンから生じさせた液状媒体が、本発 明で用いるに典型的に望ましい液状媒体である。 ジメチルケトンとトリエチルアミンから生じさせた液状媒体またはメチルイソ ブチルケトンとトリエチルアミンから生じさせた液状媒体が特 に好適である。 本発明の実施では、典型的に、(a)パラジウムおよび/またはパラジウムの 原子価がゼロ、1または2の少なくとも1種のパラジウム化合物と(b)式 R456P (IV) [式中、 R4、R5およびR6は、同一もしくは異なり、アルキル、アリール、置換アリー ル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アラルキル、置換アラルキル、シク ロアルキルおよび置換シクロアルキルから選択されるが、R4、R5およびR6の 少なくとも1つはアリールまたは置換アリールである] で表される第三ホスフィン配位子から生じさせた触媒系を触媒有効量で存在させ て反応を実施する。好適には、R4、R5およびR6の少なくとも1つをアリール または置換アリールにしそしてR4、R5およびR6の少なくとも1つをシクロア ルキルまたは置換シクロアルキルにする。 上記触媒を生じさせる時にパラジウム塩を用いるのが好適である、と言うのは 、パラジウム塩から生じさせた触媒組成物の方がパラジウム金属自身から生じさ せた触媒組成物よりも高い活性を示すように思われるからである。塩の中ではパ ラジウム(II)塩、例えばPd(II)のハロゲン化物(塩化物、臭化物、ヨ ウ化物)、およびPd(II)のカルボン酸塩(例えば酢酸塩、プロピオン酸塩 )が最も好適である。 使用する非常に好適な種類の第三ホスフィン(本明細書では時として「配位子 」と呼ぶ)は、式 [式中 R’およびR”は、同一もしくは異なり、独立して、水素、アルキル、アリール または置換アリールであり、Arは、フェニル、ナフチル、置換フェニルまたは 置換ナフチルであり、そしてnは、3から6の整数である] で表される1種以上の第三ホスフィン配位子である。好適には、R’およびR” は、同一もしくは異なり、C1からC6のアルキルであり、Arは、フェニルまた はナフチルであり、そしてnは、3または4である。最も好適には、R’はメチ ルまたはエチルであり、R”はC3からC6の分枝アルキルであり、Arはフェニ ルであり、そしてnは4である。ネオメンチルジフェニルホスフィンがホスフィ ン配位子として特に好適である。 好適には、上述した個々の成分を反応混合物に添加することを通して活性触媒 種をィンサィチューで生じさせる。しかしながら、反応混合物の外側で触媒を前 以て生じさせた後、それを前以て生じさせておいた触媒組成物として反応槽に仕 込むことも可能である。 望ましくは、1997年1月8日付けで提出した共通譲渡の米国出願連続番号 08/780,310に記述されているように、反応混合物に水を少量であるが 反応を促進する量で含めるか或は存在させる。この量は典型的に反応混合物全体 の全重量の0.5から5重量%の範囲である。 水の量を0.5から5重量%の範囲内にすると、しばしば、最高またはピーク反 応速度を与える最適な水の量になり、水の量を多くするか或は少なくすると反応 速度が低下する。このような最適な水量は、反応混合物を生じさせる時に用いる 材料の同定および比率に応じて変わり得る。従って、所定状況下で実施すべき個 々の反応に関して予備実験を数回実施するのが望ましい可能性があるが、混合物 中の水の最適な速度向上量(rate−enhancing amount)を 決める水の量は0.5から5重量%の範囲内で多様である。水の使用量を、好適 には、(i)使用で選択した量の液状有機溶媒/希釈剤(類)と(ii)使用で 選択した選択量の液状第二級および/または第三級アミン(類)と(iii)選 択した量の水から成る混合物を25℃で10分間撹拌しそして同じ温度で15分 間放置した時に2番目の液相(即ち別の水相)が生じるほどの量にはしない。従 って、溶媒(類)とアミンの再利用を伴わせて本方法を大規模に実施する時には 、製品の処理から持ち越される水の量を監視しそして/または反応混合物の水含 有量がそれの全重量の5重量%またはそれ以下のままであるように制御すべきで ある。逆に、再循環水の量が反応混合物の所望水含有量を維持するに充分な量で ない時には、追加的水を添加して水含有量をこの上に示した範囲内の所望量にま で持って行くべきである。好適には、アリール化反応混合物の水含有量を1から 3.5重量パーセントの範囲にする。 (i)液状の有機溶媒/希釈剤(類)と(ii)第二級および/または第三級 アミン(類)と(iii)水の混合物(2相系に分離しない)を用いて操作を実 施する時、それにも拘らず、上記成分の液状混合物は霞んでいるか或は曇ってい る可能性があるが、上記液状混合物中には合 体した(coalesced)明確な2番目の液相が個別の層として存在するこ とはなく、それを存在させるべきでない。 このアリール化反応を上記式(I)で表されるオレフィン化合物が生じるよう な条件下で実施する。このような条件では、通常、オレフィン化合物[上記式( III)]とアリールハライドおよび/または置換アリールハライド[上記式( II)]の比率を等モル量にする必要があるが、オレフィン化合物を過剰量にす るのが好適である。上記パラジウム触媒とホスフィン配位子を、典型的には、パ ラジウムもしくはパラジウム化合物のモル量が1モルの有機ハライドに対して0 .0005モルになるような比率で用いる。上記配位子をパラジウムもしくはパ ラジウム化合物と同じか或はそれよりも高いモル比で存在させる。(a)パラジ ウムもしくはパラジウム化合物と(b)配位子のレベルを実質的により高くする (10倍に及んで)ことも可能であることを注目すべきである。オレフィン化合 物またはアリールハライドおよび/または置換アリールハライドの比較的不活性 な種、例えば高度に置換されているオレフィン類および/または強力に電子を供 与する置換基を持つ置換アリールハライドなどを用いる時には、上記触媒と配位 子をより多い量で用いる必要があり得る。このように、一般的には、使用するア リールハライドおよび/または置換アリールハライド:Pd:配位子のモル比を それぞれ200−20,000:1:1−20の範囲内にするのが適切である。 反応温度は極めて適度で、25℃から200℃(好適には60℃から150℃ )に及んで多様であり、圧力(気体状ビニル化合物の圧力)を大気圧から300 0psi(好適には300から1000psi)にする。この上で述べた好適な 触媒系および液状媒体を用いると、反応時間 が非常に短くなり、典型的には、1から24時間の範囲、典型的には2から6時 間の範囲内に反応が完結する。温度を高くすればするほどかつ圧力をより低くす ればするほど副生成物の生成量が多くなる傾向がある。 好適および最適な条件は、ある程度であるが、使用する個々の材料の同定に依 存する。このように、例えば、エチレンをオレフィン反応体として用い、パラジ ウム(II)塩、例えばPdCl2などとネオメンチルジフェニルホスフィン( NMDP)を触媒または触媒前駆体として用い、C4−C8ケトン、特にジエチル ケトンとC4−C9トリアルキルアミン、特にトリエチルアミンを液状媒体として 用いかつ水を反応促進量で用いて6−メトキシ−2−ビニルナフタレン(MVN )を2−ブロモ−6−メトキシナフタレン(BMN)から生じさせる時、好適に はBMN:Pd:NMDPのモル比をそれぞれ1000−3000:1:2−1 0の範囲にし、アミン:BMNのモル比をそれぞれ0.1−2:1の範囲、好適 には1−2:1の範囲にしてもよく、ケトン:アミンのモル比を好適にはそれぞ れ1.0−4.0:1にし、BMN+ケトン+アミン+Pd触媒材料+第三ホス フィン配位子+水の全体量を基準にした水の重量を好適には1から3.5重量% の範囲にし、反応温度を典型的には60から150℃の範囲、好適には80から 110℃の範囲にし、そして使用するエチレンの圧力を好適には400から10 00psigの範囲にする。このような条件にすると、反応は1から24時間以 内、しばしば2から6時間以内に完結し、MVNの変換率および収率(両方とも 使用したBMNを基準)は70%から99%、例えば変換率が95%で収率が8 5%になる。このパラグラフに挙げた上記条件は、示すように、特定反応を実施 する場合の好適な条件であると明瞭に理解されるべきで ある。この開示で示した情報を基にして、本分野の技術者は、このパラグラフに 与えた範囲の外側でも容易に操作を行うことができ、それでも本発明に従う良好 な性能を達成することができるであろう。従って、本発明はこのパラグラフに示 した条件の使用に限定されるものでなく、所定状況下で必要または望ましいと思 われる場合にはいつでも、その特定反応を上記範囲の任意の1種以上から逸脱さ せて実施することも可能で、それも本発明の範囲内である。 パラジウムがいくらか沈澱を起こしそして固体状の共生成物、例えばハロゲン 化水素酸アミン塩がいくらか生成しそしてアリールハライドおよび/または置換 アリールハライド(例えばBMN)とビニル化(vinylated)生成物( 例えばMVN)の相互作用および/または上記ビニル化生成物の二量化(反応を 進行させている時に起こり得る)で生じる生成物を除き、アリール化反応混合物 が全体として反応において本質的に固体を含まないようにすると最良の結果が得 られる。この反応は発熱反応である傾向があることから、適切な温度制御を確保 する目的で、内部冷却用コイル、冷却用ジャケットまたは他の高い効果を示す冷 却用手段が備わっている反応槽を用いるのが望ましい。 PdCl2とNMDPを用いて420psigのエチレン下95℃でBMNと エチレンを反応させる時の望ましい実験室反応パラメーターのいくつかの例は下 記の通りである: a)NMDP:Pdのモル比を5:1−6:1の範囲にすると反応速度が比較的 速くなる。 b)BMN:Pd:NMDPのモル比を2000:1:6、2500:1:5お よび3000:1:10にすると変換率が高くなって収率が良 好になり;3000:1:6および3500:1:5の比率も使用可能であるが 、変換率が低くなる。 c)撹拌機の速度を速くして300から1500rpmにすると完結までの反応 時間がほぼ2時間短縮される。 d)95℃でBMN:Pd:NMDPのモル比を2000:1:6にしてエチレ ンの圧力を190psigから955psigの範囲にすると良好な結果が得ら れる。このように、190psigの時のMVNの収率は86%で900psi gの時の収率は96%であった。この範囲で圧力を高くすればするほど反応時間 が短くなりかつ固体状副生成物の生成量も少なくなった。 e)BMN:Pd:NMDPのモル比を2000:1:6にした時、BMNの濃 度を20から35重量%の範囲の下限にした時の方が上記範囲の上限にした時よ りもMVNの収率が高くなりかつ固体状副生成物の生成量が少なくなる。 f)水を反応促進剤として1.6重量%用いてBMN:Pd:NMDPのモル比 を2000:1:6にした時の反応は95℃の時の方が85℃の時よりも速い速 度で進行する。 g)BMNの濃度を30重量%にしてBMN:Pd:NMDPのモル比を200 0:1:6にし、エチレンを420psigにして95℃で操作を行った時、水 を3重量%にした時に最大の反応速度が達成される。この速度は、添加水を全く 存在させない時の速度の150%である。このような特別な条件下では、水のレ ベルが4%を越えると完全な変換が達成させる以前に反応が停止した。 h)連続した4実験で再利用したDEK溶媒の使用は成功であり、4回 再利用した後でもMVN生成物溶液には新しい不純物が全く確認されなかった。 水が示す有利な反応促進効果を実験から実験で達成するには反応混合物に入って いる水の所望レベルを維持する必要に応じて補給水を添加するのが望ましい。 従って、パラジウム(II)塩、例えばPdCl2などとネオメンチルジフェ ニルホスフィン(NMDP)を触媒または触媒前駆体として用いて2−ブロモ− 6−メトキシナフタレン(BMN)とエチレンを反応させて6−メトキシ−2− ビニルナフタレン(MVN)を製造する時の好適な反応媒体は、C4−C8ケトン (特にジエチルケトン)とC4−C9トリアルキルアミン(特にトリエチルアミン )を含んで成る混合物である。この反応媒体に、好適には、水を反応混合物の全 重量の1から3.5重量パーセントの範囲の反応促進量で含有させる。BMN: Pd:NMDPのモル比を好適にはそれぞれ1000−3000:1:2−10 (例えばBMN:Pd:NMDPのモル比を2000:1:6)の範囲にし、ア ミン:BMNのモル比を好適にはそれぞれ1−2:1の範囲にし、ケトン:アミ ンのモル比を好適にはそれぞれ1.0−4.0:1の範囲にし、反応温度を好適 には80から110℃の範囲(例えば95℃)にし、そして使用するエチレンの 圧力を好適には400から1000psigの範囲(例えば420psig)に する。アリール化生成物の処理 アリール化反応では上記極性有機溶媒の1種以上とオレフィン置換芳香族化合 物とハロゲン化水素酸アミンを含んで成る反応混合物が生じる。本発明の好適な 態様の1つに従い、このハロゲン化水素酸アミンのアミン(類)が示す塩基強度 よりも高い塩基強度を有する無機塩基、例えば K2CO3、NaHCO3などが入っている濃水溶液、より好適にはアルカリ金属 水酸化物の濃水溶液を上記反応混合物の少なくとも一部(好適には全部)と混合 して、そこに含まれるハロゲン化水素酸アミンを遊離アミンと無機ハロゲン化物 塩、例えばアルカリ金属のハロゲン化物に変化させかつ(i)溶解しているハロ ゲン化物塩が入っている水相と(ii)上記極性有機溶媒の1種以上とオレフィ ン置換芳香族化合物とアミンを含んで成る有機相を生じさせる。上記ハロゲン化 水素酸アミンから遊離アミンと例えば「アルカリ金属ハライド」への変換ではこ れを水の存在下で実施することから「アルカリ金属ハライド」またはそれの少な くとも実質的部分は水に溶解すると同時にイオン形態で存在することは本分野の 技術者によく知られているが、そのことを指摘する必要があると思われるか或は 少なくともその方が賢明であると思われる。従って、公知化学原理に従い、その 水はアルカリ金属カチオンとハライドアニオンを含有する。しかしながら、水を 除去してもアルカリ金属ハライドは実際そのまま存在する可能性があることから 、化学者は通常そのことをアルカリ金属ハライドが生じると呼ぶであろう。従っ て、本明細書およびそれの請求の範囲においてハロゲン化水素酸アミンを遊離ア ミンとハロゲン化物塩、例えばアルカリ金属ハライドなどに変化させることを言 及する時、これは、それらが使用する環境および条件下で存在する化学形態が如 何なる形態であろうとも、結果として生じる混合物が遊離アミンとハロゲン化物 塩を含有することを意味すると理解されるべきである。 アルカリ金属の酸化物もしくは水酸化物または両方を水に溶解させることを通 して濃アルカリ金属水酸化物溶液を生じさせることができる。好適なアルカリ金 属の酸化物および/または水酸化物はナトリウムもし くはカリウムまたはそれらの混合物の酸化物および/または水酸化物である。こ れらはリチウム、ルビジウムおよびセシウムの酸化物および水酸化物(しかしな がら、これらも使用可能である)よりも豊富に存在しかつ高価でない。望まれる ならば、多量のナトリウムおよび/またはカリウム酸化物および/または水酸化 物と一緒にそのような他の高価なアルカリ金属酸化物および/または水酸化物の 1種以上を少量または痕跡量で用いて水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム 溶液を生じさせることも可能である。再び、このようなアルカリ金属水酸化物は 水溶液中でイオン化し、その結果として、その溶液は充分に確立された化学原理 に従ってアルカリ金属カチオンとヒドロキシルアニオンを含有することを注目す べきである。従って、本明細書およびそれの請求の範囲でアルカリ金属水酸化物 溶液を言及する場合、これは、アルカリ金属の水酸化物が濃水溶液中に存在して いる間の化学形態が如何なる形態であろうとも存在することを意味する。 無機塩基を段階的に用いるか或は全部を一度に用いるかに拘らず、最終的には 、反応混合物に存在するハロゲン化水素酸アミンの量を基準にして少なくとも化 学量論的量で用いるべきであり、大部分のケースで用いる。 このような無機塩基溶液の濃度に関して、使用すべき塩基、例えばアルカリ金 属の水酸化物などが少なくとも10重量パーセントに相当する量で入っている溶 液を用いるのが望ましい。飽和アルカリ金属水酸化物水溶液を用いることも可能 であるが、典型的には、この濃度をそれよりも少なくとも若干低くする。好適な 水溶液は水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムまたは両方が20から50重 量%に相当する量で入って いる水溶液である。特に好適な水溶液は水酸化ナトリウムおよび/または水酸化 カリウムが23から27重量%に相当する量で入っている水溶液である。最も好 適な水溶液は25重量%の水酸化ナトリウム水溶液である。 好適には、アルカリ金属の水酸化物の如き無機塩基が入っている水溶液を、臭 化ナトリウムが少なくとも30重量%に相当する量、より好適には臭化ナトリウ ムが少なくとも40から50重量%に相当する量で入っているアルカリ金属ハラ イド溶液が生じる量で用いる、と言うのは、水相を構成する上記濃溶液の密度を 高くすればするほど次に行う相分離がより容易になるからである。加うるに、水 相に含まれる上記金属ハライドの濃度が高くなればなるほど、上記有機溶媒/希 釈剤(類)およびアミン(類)が上記水相に溶解する量が少なくなり、従って、 それによって溶媒の損失量が低下する。 アルカリ金属水酸化物の溶液の如き無機塩基の溶液と上記アリール化反応混合 物を混合する条件は決定的でない。必要なのはこれらの材料の間の密な接触が達 成されるに充分なほどこれらの材料が良好に混ざり合うことを確保することのみ である。温度を典型的には40から70℃の範囲にするが、他の温度も使用可能 である。撹拌時間は通常5から15分間の範囲で充分であるが、望まれるならば 、30分またはそれ以上(例えば1時間またはそれ以上)に及ぶ長時間も利用可 能である。 混合後に結果として生じた混合物は有機相と水相に分離するか、或は通常、上 記混合物を静止状態で放置することを通して、分離を促す。通常は1時間以内の 放置時間で充分である。実際、アリール化反応混合物を臭化ナトリウムが40− 45重量%入っている水相が生じるに充分な 濃度の水酸化ナトリウム溶液で処理すると、相分離が迅速に起こり、例えば15 分の如き短い時間で起こる。その上、オリゴマー状の共生成物は上記濃水相の上 部に浮遊する傾向があることから、相接触面が明瞭になって検出が容易になる。 次に、例えばデカンテーションでか、或はより一般的には、下方の水層を排出さ せることなどで、上記相を互いから分離する。 次に、上記有機相の残りからアミンの実質的に全部を残存液相に入っているオ レフィン置換芳香族化合物の熱オリゴマー化を抑制する低い温度および圧力条件 下で留出させる。この蒸留は適切な如何なる減圧下で実施されてもよく、例えば 50から600mmHgの範囲、好適には200から300mmHgの範囲の圧 力下で実施可能である。蒸留を行った後の有機相の残りに残存アミンが過剰量で 存在していると、これは次に行うカルボキシル化反応に悪影響を与える可能性が ある。例えば、そのような残存アミンが過剰量で存在しているとカルボキシル化 反応が早期に停止する可能性があり、その結果として変換率と収率が失われる可 能性がある。蒸留後の有機相の残りに含まれるそのような残存アミンの許容され 得る量は、有機相の構成、それに含まれるオレフィン置換芳香族化合物の同定、 およびカルボキシル化反応で用いる条件などの如き要因に応じて変わり得る。従 って、所定状況で有意な悪影響が生じない許容され得るアミン量を決定する予備 実験を数回実施するのが望ましい可能性がある。このように、上記有機相の残り に残存する残留アミン(存在する場合)が(a)上記有機相の残りに入っている オレフィン置換芳香族化合物の変換率を低下させる度合が5%以内でありかつ( b)次に行うカルボキシル化でカルボキシル化生成物の収率を失わせる度合が5 %以内である[上記有機相に含まれるオレフィン置換芳香族化合物含有量の有意 な低下を起こさせることなく上記アミンをできるだけ精密に除去しておいた同じ 源の有機相の別の部分の同じカルボキシル化に比較して]ように充分にアミンを 除去する。この有機相の残りに残存する残留アミン(存在する場合)の量を、好 適には、(a)上記有機相の残りに入っているオレフィン置換芳香族化合物の変 換率が低下する度合が1%以内でありかつ(b)次に行うカルボキシル化でカル ボキシル化生成物の収率が失われる度合が1%以内である[上記有機相に含まれ るオレフィン置換芳香族化合物含有量の有意な低下を起こさせることなく上記ア ミンをできるだけ精密に除去しておいた同じ源の有機相の別の部分の同じカルボ キシル化に比較して]ように充分に少量にする。アミンがカルボキシル化反応に 対して実質的な悪影響を与えないことを確保する目的で、アミンの残存量を、好 適には、アミンを留出させた後に残存する蒸留物の1重量パーセント未満に維持 する。 好適には、アミンの蒸留を行っている間またはその後に、上記液状混合物を補 給用液状有機溶媒と一緒に混合し、それによって、カルボキシル化用の液状混合 物に上記蒸留物の少なくとも一部(好適には全部)と上記補給用溶媒を更に含め る。いろいろな溶媒を用いることができるが、好適には、この補給用溶媒に少な くとも1種のエーテル、好適には液状の環状モノエーテル、例えばテトラヒドロ フラン、メチルテトラヒドロフランまたはテトラヒドロピランなど、または環状 のジエーテル、例えば1,3−ジオキソランまたは1,4−ジオキサンなど、ま たは上記材料の混合物を含める(1種以上の非環状エーテル類、例えばジエチル エーテル、メチルt−ブチルエーテルなどを伴わせるか或は伴わせないで) 。最も好適な補給用溶媒はテトラヒドロフランである、と言うのは、この材料は カルボキシル化反応に対して速度を速める効果を及ぼすと思われるからである。 また、少なくともある種のアルキル置換テトラヒドロフラン類もこの様式で挙動 する可能性があると期待される。 上記アミンの沸点よりも高い沸点を有する液状ケトン、例えばジエチルケトン および/またはメチルイソブチルケトンとアセトニトリルの混合物をアリール化 反応で溶媒、即ち希釈剤として用いる場合には、処理手順で好適には若干変えた 変法を用いる。そのような1つの手順では、(1)アセトニトリルをアリール化 反応混合物から留出させ、(2)その残存反応生成物を濃無機塩基水溶液と混合 して水相と有機相を生じさせ(この上に示したように)、(3)相分離を起こさ せ、そして(4)アミンを有機相から留出させる。次に、この有機相に補給用溶 媒(例えばテトラヒドロフラン)を加えた後、その結果として得た有機相をカル ボキシル化反応(本明細書の以下により詳細に記述する)で用いる。そのような 別の手順は、(1)上記アリール化反応混合物を濃無機塩基水溶液と混合し、( 2)相分離を起こさせ、そして(3)分離した有機相からアセトニトリルとアミ ンを留出させることを包含する。次に、この有機相に補給用溶媒を加えた後、そ の結果として得た有機相をカルボキシル化反応で用いる。 アリール化反応生成物の処理を行う別の方法は、希釈水溶液を用いた洗浄手順 の利用を伴う方法である。この態様における手順は、上記アリール化反応生成物 組成物の少なくとも一部を希酸水溶液と一緒に混合して(i)アリールオレフィ ンまたは置換アリールオレフィンが入っている有機相と(ii)溶解しているハ ロゲン化水素酸アミンが入っている 酸性の水相を生じさせた後、これらの相の少なくとも一部を互いから分離するこ とを包含する。上記希酸水溶液は好適には希塩酸水溶液、例えば1から20重量 %の範囲のHCl水溶液である。その使用量は、ハロゲン化水素酸アミンの実質 的に全部が入り込んで極性溶媒(類)とアリールオレフィンまたは置換アリール オレフィンを含んで成る有機相から容易に分離可能な酸性の水相が生じるに充分 な量であるべきである。その上、分離した有機相の少なくとも一部は、本明細書 の以下に記述する条件および手順に従ってアリールカルボン酸もしくはエステル または置換アリールカルボン酸もしくはエステルを生じさせるパラジウム触媒使 用カルボキシル化に供給する供給材料として用いるに適切である。カルボキシル 化反応を実施する前に、その分離した有機相にエーテル系溶媒、例えば環状エー テル溶媒(テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフランまたは1,4−ジオ キサン)を添加して、次に行うカルボキシル化反応を向上させることができる。 この添加するエーテル系溶媒を受け入れるようにする目的で、このエーテル系溶 媒を添加する前に、その分離した有機相に脱溶媒(stripping)、即ち 蒸留段階を受けさせて、その分離した有機相から極性溶媒(類)をいくらか除去 してもよい。この除去した極性溶媒はアリール化過程で再利用溶媒として使用可 能である。 また、分離した水相から第二級および/または第三級アミンを回収するのも望 ましいことである。これを、その分離した水相の少なくとも一部と無機強塩基を 一緒に混合して無機ハロゲン化物の水溶液と遊離アミンを生じさせることを通し て達成する。適切な強塩基にはNaOH、KOH、NH4OH、Na2O、K2O 、Ca(OH)2、Na2CO3、K2 CO3、CaO、そして匹敵する塩基強度を有する他の無機塩基が含まれる。そ の結果として本質的に遊離アミン(類)から成る有機相と水相が生じる。これら の相を分離して再利用品として用いるに適したアミンを得る。必要ならば蒸留で アミンの精製を行うことも可能である。カルボキシル化 この操作では、上記オレフィン置換芳香族化合物を式 [式中、 Ar、R1、R2およびR3は、この上で定義した通りであり、そしてZは、水素 原子、アルカリ金属原子(好適にはNaまたはK)、ヒドロカルビル基(好適に はC1−C6アルキル)または官能置換ヒドロカルビル基である] で表される化合物に変化させる。式(V)で表される化合物の生成をもたらすカ ルボキシル化を実施するに適した手順および条件を以下に記述する。上記手順を 適切に修飾するか或は上記手順に加えて、Zが他の幅広く多様な基のいずれであ ってもよい(これの非制限例にはアンモニウム、第四級アンモニウム、二価金属 原子の半当量、三価金属カチオンの1/3当量、等々が含まれる)式(V)で表 される化合物を製造することも可能である。 式(I)で表される化合物の接触カルボキシル化を一酸化炭素および水および /またはアルコールを用いて行い、これを25℃から200℃、 好適には25℃−120℃、最も好適には25℃−100℃の範囲の温度で実施 する。また、より高い温度を用いることも可能である。反応全体を通して温度を 比較的低いレベルに維持した時に最良の収率が得られる。 反応槽内の一酸化炭素の分圧を周囲温度(または反応槽への仕込みを行う温度 )において少なくとも1気圧(0psig)にする。反応装置の圧力限界以下な らば如何なる高い一酸化炭素圧も使用可能である。この方法では3000psi g以下の圧力が便利である。反応温度における圧力を0から3000psigに するのがより好適であり、0から1000psigの圧力が最も好適である。本 発明のヒドロカルボキシル化反応では酸素を存在させない方が望ましいことを注 目すべきである。それゆえ、この方法の実施では100%一酸化炭素の雰囲気が 最も好適である。しかしながら、反応マス(mass)にいろいろな不活性ガス (窒素またはアルゴン)を混合することも可能であり、ただ1つの判断基準は、 反応の完結に要する時間が非常に長期間になる地点にまで工程速度を遅くすべき でないことのみである。 上述したように、水または脂肪族アルコールを適当量で存在させてカルボキシ ル化を実施する。厳密に言えば、この反応を水の存在下で実施する場合の反応は ヒドロカルボキシル化反応であり、そしてアルコールの存在下で実施する場合の 反応はヒドロカルバルコキシル化反応であると呼ぶことができる。その結果とし て、本明細書では、特に明記しない限り、ヒドロカルボキシル化(水を使用)お よびヒドロカルバルコキシル化(アルコールを使用)の両方を表す一般的な意味 で用語「カルボキシル化」を用いる。 MVNのヒドロカルボキシル化の場合、1モルのMVN当たり少なくとも1モ ルの水を用いるべきであり、典型的には、1モルのMVN当たり4モルの水を用 いる。水を過剰量て用いると反応が抑制される可能性があるか或は失活する可能 性があることを述べるのは価値のあることである。MVNのヒドロカルバルコキ シル化でアルコールを大過剰で用いた時の影響は詳細には研究していないが、過 剰な使用を避ける方が賢明であると思われる。従って、反応混合物中10重量% 以下の範囲の量を提案する。式(I)で表される他の化合物を用いたカルボキシ ル化反応でも時には水および/またはアルコールを過剰量で用いることができる 。そのような場合、実用(例えば反応槽の大きさ、反応速度など)で課せられる 上限を除き、恐らく水またはアルコールの量には実際の上限はないかもしれない が、この方法では、式(I)で表される化合物1モル当たり100モル以下、好 適には50モル以下の量が使用に適すると考えられ、水またはアルコールの量を 上記オレフィン化合物1モル当たり2から24モルにするのがより好適である。 この反応の生成物はカルボン酸[式(V)中のZが水素原子である]またはカル ボン酸エステル[式(V)中のZがアルキルまたは置換アルキルである]である 。 本発明は、キラリティーを持つ炭素原子を有する式(V)で表される化合物の 全てのラセミ化合物および個々の光学異性体を生じさせることを包含する。例え ば、酸が2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオン酸である式(V)で表 される化合物に米国特許第4,246,164号に教示されている如き分解を受 けさせると、鎮痛剤であるナプロキセン化合物が得られる。 本発明の実施では、望まれるならば、カルボン酸のエステルをもたら す如何なるアルコールも使用可能である。好適な態様では、C1からC6の脂肪族 アルコール類を用いる。この態様で用いるアルコールの例には、メチルアルコー ル、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n −、i−、s−およびt−ブチルアルコール、ペンチルアルコール[特に(±) −2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオン酸エステルを生じさせる時の イソアミルアルコール]またはヘキシルアルコールが含まれる。メチルアルコー ルが非常に好適であり、エチルアルコールが最も非常に好適である。また、他の アルコール、グリコール類または芳香族ヒドロキシ化合物も使用可能である。最 も幅広い意味において、このようなアルコール類は上記反応のアルコキサイドイ オンの源を与えるものである。しかしながら、また、他の如何なる「アルコキサ イドイオン源」も使用可能である。そのようなアルコキサイドイオン源は、HC (OR13、(R)2C(OR12、HC(O)OR1、B(OR13、Ti(O R14およびAl(OR13[ここで、Rは、水素、または独立してR1と同じ か或は異なり、そしてR1はアルキルまたは置換アルキルである]から成る群か ら選択される化合物の源である。 ある場合には、カルボキシル化反応を中性条件、即ち酸を全く添加しないで開 始させる。しかしながら、少なくともMVNのヒドロカルボキシル化の場合には 、操作の効率を最大限にする目的で、必須でなくても、反応混合物にHCl水溶 液を含めるのが重要であると思われる。従って、本発明の好適な態様では、ハロ ゲン化物イオンの存在下でヒドロカルボキシル化反応を開始させるが、ここでは 、このハロゲン化物イオンを、ハロゲン酸、特に塩酸[好適には酸水溶液、濃度 が例えば25重量%以下、好適には濃度が5から15重量%の範囲、より好適に は7から15 重量%の範囲であってもよい酸水溶液]を用いて最良に与える。約10重量%の HCl水溶液を用いるのが特に好適である。希HCl水溶液は、また、ヒドロカ ルボキシル化の実施で水を与える。この反応を実施する時に水を存在させる場合 には、気体状のHClを用いて塩酸をインサイチューで生じさせることも可能で ある。HBrおよび臭化水素酸を用いることも可能であるが、これらは今日まで に実施した研究を基にしてあまり有効でないと思われる。他の酸の使用も考えら れ得るが、今日までのところで最も有効な材料は塩酸水溶液である。塩酸は適切 な如何なる比率でも使用可能であるが、典型的には、式Iで表される化合物1モ ル当たり1モル以下の水素イオンを与える範囲の反応促進量で用い、好適には、 式Iで表される化合物1モル当たり0.1から0.5モルの範囲の水素イオンを 与える量で用いる。MVNのカルボキシル化の場合の好適な範囲は、HCl:M VNのモル比が0.1から0.3、より好適には0.15から0.27、最も好 適には0.18から0.22になるような範囲である。 (i)パラジウムおよび/またはパラジウムの原子価がゼロ、1または2(最 も好適には2)の少なくとも1種のパラジウム化合物、または(ii)(a)パ ラジウムおよび/または少なくとも1種のパラジウム化合物と(b)少なくとも 1種の銅化合物の混合物を反応助長量で存在させ、(iii)この上に記述した 種類の少なくとも1種の第三ホスフィンを伴わせて、本発明の接触カルボキシル 化方法を実施する。本明細書では、便利さの目的で、銅化合物を用いないで触媒 を生じさせる時に用いるパラジウムおよび/または1種以上のパラジウム化合物 を時には集合的に「Pd材料」と呼び、そして触媒を生じさせる時にパラジウム お よび/または1種以上のパラジウム化合物と1種以上の銅化合物の組み合わせを 用いる場合(銅化合物を用いる場合)、本明細書では便利さの目的で、その組み 合わせを時には集合的に「Pd−Cu材料」と呼ぶ。 従って、一般的には、このPd材料と第三ホスフィン配位子はアリール化反応 に関連してこの上に記述した種類の材料と同じである。実際、アリール化反応で 用いるに好適な同じ好適な種類の材料がカルボキシル化反応で用いるに好適であ る。しかしながら、上記反応各々で新鮮な触媒を用いる。この2つの反応で必ず しも同じ種のPd材料および同じ種の第三ホスフィン配位子を用いる必要はない 。上記成分のいずれかまたはそれらの両方が異なっていてもよい。従って、例え ばアリール化で塩化パラジウム(II)とトリフェニルホスフィンを用いてもよ くそしてカルボキシル化で酢酸パラジウム(II)とトリ−o−トリルホスフィ ンを用いてもよく、或はその逆も可能であるが、最も好適なケースでは、上記反 応の両方で同じ種(PdCl2とネオメンチルジフェニル−ホスフィン)を実際 に用いる。 アリール化反応の場合のように、好適には、反応混合物に個々の成分を添加す ることを通して活性触媒種をインサイチューで生じさせる。しかしながら、反応 混合物の外側で触媒を前以て生じさせてそれを前以て生じさせておいた触媒組成 物として反応槽に仕込むことも可能である。 カルボキシル化用触媒系を生じさせる時に銅化合物を用いるのが望ましい場合 には、銅錯体、例えばアセチルアセトン銅、アルキルアセト酢酸銅または他のキ レート形態の銅を用いてもよい。しかしながら、この使用に好適な銅化合物は、 塩、特に二価の銅の塩、例えば銅(II)のハロゲン化物(塩化物、臭化物、ヨ ウ化物)など、そして銅(II)の カルボン酸塩、例えば酢酸銅(II)、プロピオン酸銅(II)などである。 1つの態様におけるPd材料および銅化合物は無機塩であり、それらを前以て 生じさせておいた錯体、例えば塩化もしくは臭化パラジウム(II)と塩化もし くは臭化銅(II)と一酸化炭素から生じさせておいた錯体、または他の同様な 任意錯体として添加する。好適な態様では、反応混合物に個々の成分を添加する 、即ち(i)少なくとも1種の第三ホスフィンと少なくとも1種のパラジウム化 合物、例えばパラジウム(II)の無機塩またはカルボン酸塩か、或は(ii) 少なくとも1種の第三ホスフィンと少なくとも1種の銅化合物と少なくとも1種 のパラジウム化合物、例えばパラジウム(II)および銅(II)の無機塩また はカルボン酸塩などを添加することを通して、活性触媒種をインサイチューで生 じさせる。このような無機塩には塩化物、臭化物、硝酸塩および硫酸塩が含まれ る。使用可能な有機パラジウムおよび/または銅化合物には錯体および塩、例え ばカルボン酸塩、例えば酢酸塩またはプロピオン酸塩などが含まれる。1つの好 適な態様では、ネオメンチルジフェニルホスフィンと塩化銅(II)と塩化パラ ジウム(II)を用い、それらを個別にか或は一緒に同時にか或は逐次的に添加 する。別の好適な態様では、ネオメンチルジフェニルホスフィンと塩化パラジウ ム(II)を用い、それらを個別にか或は一緒に同時にか或は逐次的に添加する 。 このPd材料またはPd−Cu材料を炭素、シリカ、アルミナ、ゼオライト、 粘土および他の高分子材料に支持させることも可能であるが、均一触媒系を用い る方が明らかに好適である。 使用するPd材料またはPd−Cu材料の量は、好適には、Pd材料 1モル当たりまたはPd−Cu材料の全体1モル当たりの式(I)で表される化 合物の量が4から8000モルになるような量である。Pd材料1モル当たりま たはPd−Cu材料の全体1モル当たりの式(I)で表される化合物の量が40 から4000モル(最も好適には20から2000モル)になるような量がより 好適である。上記第三ホスフィンをPd材料1モル当たりまたはPd−Cu材料 の全体1モル当たり少なくとも1モル存在させて本発明の方法を実施する。より 好適には第三ホスフィンをPd材料1モル当たりまたはPd−Cu材料の全体1 モル当たり1から40モル用い、最も好適には第三ホスフィンをPd材料1モル 当たりまたはPd−Cu材料の全体1モル当たり1から20モル用いる。 このカルボキシル化反応では必ずしも溶媒を存在させる必要はないが、ある場 合には存在させる方が望ましい。使用可能な溶媒には下記の1種以上が含まれる :ケトン類、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルn −プロピルケトン、アセトフェノンまたはシクロヘキサノンなど、線状、ポリお よび環状エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジ −n−ブチルエーテル、エチルn−プロピルエーテル、グライム(エチレングリ コールのジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールのジメチルエ ーテル)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソランおよび同様 な化合物、そして芳香族炭化水素、例えばトルエン、エチルベンゼン、キシレン 類および同様な化合物。また、アルコール類、例えばメタノール、エタノール、 1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノールの異性体、ペンタノールの異 性体なども溶媒として用いるに適切である。また、エステル類、例えば酢酸エチ ルなども使用可能である。エステルまたは アルコールを溶媒として用いる時の生成物は、通常、相当するカルボン酸エステ ルである。エーテル類、特にテトラヒドロフランまたは1種以上のエーテル類と 1種以上のケトン類の混合物、特にテトラヒドロフランとジエチルケトンの混合 物が最も非常に好適である。溶媒を用いる場合、その量は式Iで表される化合物 1グラム当たり100mL以下であってもよいが、最も有利には、式(I)で表 される化合物1グラム当たり1から30mL存在させて本方法を実施する。 エステル、例えばイブプロフェンのアルキルエステルなどを生じさせる本発明 の特定態様では、そのエステルを便利には通常の加水分解方法で酸(イブプロフ ェン自身)に変化させることができる。また、望まれるならば、塩基性加水分解 を用いて薬学的に許容される塩(この場合のカチオンはナトリウム、カリウム、 カルシウムである)、水素炭酸塩または第四級アンモニウム化合物を製造すせる ことも可能である。カルボキシル生成物の処理および回収 この上で述べたように、カルボキシル化反応では、アリールカルボン酸または 置換アリールカルボン酸[例えばラセミ型2−(6−メトキシ−2−ナフチル) プロピオン酸または2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸]またはそれ のエステル(カルボキシル化過程で水を用いるか或はアルコールを用いるかに応 じて)を含んで成る反応生成物組成物と極性有機溶媒(好適には1種以上のケト ン類)と水および/またはアルコールとHClと好適には少なくとも1種のエー テル(例えばTHF)(上記少なくとも1種の極性溶媒の沸騰温度より低い沸騰 温度を有する)を含んで成る液状媒体が生じる。また触媒残渣も存在し、そして 典型的には反応中に生じた共生成物もいくらか存在する。 本発明の好適な態様に従い、アリールカルボン酸または置換アリールカルボン 酸を無機塩基の水溶液と反応させること(中和段階)を通して、それをインサイ チューで上記酸の無機塩に変化させる。加うるに、上記反応生成物組成物が(i )少なくとも1種の低沸点エーテル(例えばTHF)および/または(ii)少 なくとも1種の低沸点極性溶媒を含有する場合、即ち上記低沸点材料のいずれか または両方が沸騰する温度が上記反応生成物混合物に含まれる少なくとも1種の 極性溶媒の沸騰温度よりも低い場合、そのような低沸点材料のいくらかまたは全 部を上記反応生成物組成物から留出させる(蒸留段階)。反応槽の塔頂部がHC l水溶液の攻撃に敏感な場合には、中和段階を先に行うか或は少なくとも蒸留段 階と同時に中和段階を実施すべきである。他方、反応槽の塔頂部が耐酸性構成材 料で構成されているならば、蒸留段階を実施する時期は中和段階の前および/ま たは後および/または同時であってもよく、混合物にHClが存在しかつ蒸留を 中和の前に行ったとしても反応槽塔頂部は過剰な腐食を受けないであろう。中和 段階および蒸留段階を実施する順が如何なる順であろうとも、アリールカルボン 酸または置換アリールカルボン酸の無機塩が溶解した状態で含まれている水相と 残存有機相の混合物が蒸留残渣(蒸留物またはポット残渣)として反応槽内に残 存する。これらの相を互いから分離する。次に、水相に蒸留を好適には大気圧ま たはほぼ大気圧で受けさせて、残存有機不純物、例えばTHFおよびDEKなど を除去する。この時点で残存水相に溶解しているアリールカルボン酸もしくは置 換アリールカルボン酸無機塩の濃度が10から35重量%の範囲であることを確 保するのが望ましく、必要ならば、水を除去または添加することを通して水相の 濃度を10から35重量%の 範囲の溶液に調整する。次に、この水溶液を実質的に非極性の液状有機溶媒(好 適にはパラフィン系溶媒または芳香族炭化水素溶媒、例えばトルエンまたはキシ レンなど)で好適には少なくとも2回洗浄する(抽出する)。次に、この水相と 非酸化鉱酸(例えば硫酸)を実質的に非極性の液状溶媒の存在下で混合して(i )実質的に非極性の液状溶媒にアリールカルボン酸または置換アリールカルボン 酸が入っている溶液で構成される有機相と(ii)水相を生じさせることを通し て、遊離のアリールカルボン酸または置換アリールカルボン酸を生じさせる。こ れらの相を互いから分離した後、その実質的に非極性の液状溶媒からアリールカ ルボン酸または置換アリールカルボン酸を結晶化させる。 上記中和段階で用いる無機塩基の水溶液は好適にはNaOHまたはKOHの1 0から50重量%の溶液である。しかしながら、他の無機塩基も使用可能であり 、それにはNa2O、K2O、Ca(OH)2、CaO、Na2CO3、K2CO3、 そして同様な塩基度を有する他の無機塩基が含まれる。このような溶液を、少な くとも、上記反応生成物組成物に存在する上記アリールカルボン酸または置換ア リールカルボン酸およびHClを中和するに充分な量で用いる。 アルコールを用いてカルボキシル化反応を行い、その結果として反応生成物組 成物にアリールカルボン酸もしくは置換アリールカルボン酸のエステルが存在す る場合には、この反応生成物組成物を無機強塩基、例えばNaOHまたはKOH などが入っている濃水溶液と一緒に混合して、上記アリールカルボン酸もしくは 置換アリールカルボン酸の無機塩が生じるに充分な熱をかける(例えば80℃に 及ぶ範囲の温度に加熱する)ことを通して、上記エステルの鹸化をインサイチュ ーで行うのが好適で ある。次に、この上に記述した如きカルボキシル化生成物処理手順を実施する。 初期の蒸留段階で回収する低沸点の材料を好適には再循環させてヒドロカルボ キシル化反応で使用する。 本発明を用いて製造可能な化合物の例には、イブプロフェン、2−(4−イソ ブチルフェニル)プロピオン酸(米国特許第3,228,831号および3,3 85,886号);2−(3−フルオロ−4−ビフェニニル)−プロピオン酸( またフルルビプロフェンとしても知られる)(米国特許第3,755,427号 );ラセミ型2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオン酸[d−2−(6 −メトキシ−2−ナフチル)プロピオン酸(またナプロキセンとしても知られる )(米国特許第3,637,767号)に分解可能];α−dl−2−(3−フ ェノキシフェニル)プロピオン酸(またフェノプロフェンとしても知られる)( 米国特許第3,600,437号);そして2−(3−ベンゾイルフェニル)プ ロピオン酸(またケトプロフェンとしても知られる)(米国特許第3,641, 127号)が含まれる。本明細書に記述するように、上記化合物各々のブロモ前 駆体と式(III)で表されるオレフィン化合物(最も好適にはエチレン)をパ ラジウム触媒系(本明細書に記述する如き)[Pd、Pd(I)塩または好適に はPd(II)塩と第三ホスフィン配位子、例えばネオメンチルジフェニルホス フィンなどから生じさせる]の存在下で1相の有機液状媒体(最も好適には液状 ケトン、特にジエチルケトンと液状第二級もしくは第三級アミン、例えばトリア ルキルアミン、特にトリエチルアミンの混合物)(好適にはまた水も上述した反 応促進量で含有させる)中で反応させる。このアミンを、ベータハイドラ イド脱離(beta hydride elimination)が反応条件下 で起こらないように選択すべきであり、かつオレフィンともブロモ前駆体とも全 く評価できる度合で反応すべきでない。このブロモ前駆体がエチレンと置換反応 を起こして置換オレフィンが生じ、これをこの上に記述した如く処理した後、そ れにカルボキシル化(本明細書に記述するように一酸化炭素とパラジウム−ホス フィン触媒系もしくはパラジウム−銅−ホスフィン触媒系を用いて)を受けさせ て相当する酸生成物(水が溶媒系の一部または全部を構成する場合)または相当 するエステル(メチル、エチルまたはイソアミルアルコールなどの如きアルコー ルを溶媒の全部または一部として用いる場合)を生じさせる。 上記反応のいくつかは下記の如く例示可能である: イブプロフェンフルルビプロフェン: ケトプロフェン: ナプロキセン: フェノプロフェン: 上記反応ではエチレンの圧力を50から3000psi(好適には300から 1000psi)にすべきであり、温度を30℃から200℃ (好適には60℃から150℃)にする。副生成物の生成量が最小限になるよう に温度と圧力を選択する。パラジウムを好適にはそれの塩[例えば酢酸もしくは 塩化Pd(II)]の形態で用い(即ち反応槽に仕込み)、それと一緒にこの上 に記述した如き第三ホスフィン配位子を用いるが、ここでは、シクロアルキルジ (アルキルフェニル)ホスフィン、例えばネオメンチルジトリルホスフィンが好 適であり、シクロアルキルジフェニル−ホスフィン、例えばネオメンチルジフェ ニルホスフィンが特に好適である。 そのようなブロモ前駆体はしばしば商業的に入手可能でありそして/または本 分野の技術者はそれを容易に製造することができるであろう。例えばAldri ch Chemical Companyがm−ブロモフェノールおよびm−ブ ロモアニソール販売している一方、Albemarle PPC(Thann、 フランス)が2−ブロモ−6−メトキシナフタレンを販売している。イブプロフ ェンのブロモ前駆体は標準的なフリーデル・クラフツ触媒(例えば臭化亜鉛また は臭化第二鉄)を用いた臭素化で調製可能である。ケトプロフェンのブロモ前駆 体は、塩化アルミニウムを用いた安息香酸メチル(または同様な低級炭化水素エ ステル)の臭素化に続いてNaOHを用いた加水分解を受けさせ、酸クロライド に変化させ(例えばSOCl2を用いて)そしてそれをベンゼンと反応させる( 再びフリーデル・クラフツ触媒、例えばAlCl3を用い)ことを通して調製可 能である。(±)−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオン酸の前駆体 、即ち2−ブロモ−6−メトキシナフタレンは、1997年1月8日付けで提出 した共通譲渡の米国出願連続番号08/780,309に記述されている方法を 用いると最良に生 じる。 この上に記述したプロフェン化合物に加えて、本発明を用いて適切な条件下で 調製可能な他のプロフェン化合物(エチレンとの反応で相当するブロモ前駆体に 変換する)には、プロチジニックアシッド(protizinic acid) 、チアプロフェニックアシッド(tiaprofenic acid)、インド プロフェン(indoprofen)、ベノキサプロフェン(benoxapr ofen)、カルプロフェン(carprofen)、ピルプロフェン(pir profen)、プラノプロフェン(pranoprofen)、アルミノプロ フェン(alminoprofen)、スプロフェン(suprofen)およ びロクソプロフェン(loxoprofen)が含まれる。 以下に示す実施例は本発明の方法を説明する目的で示すものであり、本発明の 限定として意図するものでない。特に明記しない限り、部およびパーセントは全 部重量である。 本実施例では下記の名称を用いる: BMNは2−ブロモ−6−メトキシナフタレンである。 TEAはトリエチルアミンである。 DEKはジエチルケトンである。 NMDPはネオメンチルジフェニルホスフィンである MVNは6−メトキシ−2−ビニルナフタレンである。 THFはテトラヒドロフランである。 ACNはアセトニトリルである。 本技術分野でよく知られているように、用語、即ち名称「ラセミ型2−(6−メ トキシ−2−ナフチル)プロピオン酸」および「(±)−2− (6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオン酸」は正確に同じものを意味する。 本実施例では便利さの目的でラセミ型2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロ ピオン酸ナトリウムを指す目的で時には「ラセミ型ナトリウム化合物」を用いる 。 新鮮なDEKを用いてラセミ型2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオ ン酸を大規模(1000ガロン)で製造する好適な全体的手順を実施例1に示す 。 実施例1アリール化反応 1000ガロンの反応槽にBMNを750kg、DEKを1305kg、TE Aを368kg、PdCl2を0.3kg、NMDPを3.1kgおよび水を3 7kg仕込む。この反応槽を密封し、エチレンで100psigに加圧した後、 反応槽の温度を95℃に調整する。次に、エチレンを用いて上記反応槽を425 −450psigに加圧して、エチレンの取り込みが完了するまでその圧力に保 持する。この反応槽を60℃に冷却した後、過剰量のエチレンを反応槽から排出 させる。この反応が完了するまでに要する時間は典型的に4−6時間で、典型的 に得られるBMN変換率は>95%でMVNの収率は85−95%である。生成物の処理および溶媒の交換 上記アリール化反応で得た反応生成物に25重量%の水酸化ナトリウム水溶液 を557kg加える。この混合物を50−60℃で15分間撹拌した後、15分 間放置する。下部の水溶液を反応槽から排出させる。次に、有機相に蒸留を減圧 、典型的には200mmHgから350mmHgの範囲の圧力で受けさせてTE AをTEA:MVNの重量比が0. 016未満のレベルになるまで留出させる。残存有機相(蒸留物またはポット残 渣)にTHFを加えてTHF:DEKの重量比が約1:1の混合物を生じさせた 後、この混合物を濾過して固体(パラジウム触媒の残渣およびオリゴマー状もし くは二量化した共生成物)を除去する。ヒドロカルボキシル化反応 1000ガロンの反応槽に、この上に示した処理手順の如く濾過して得たTH F−DEK−MVN溶液[これはMVNを550kg、DEKを825kgおよ びTHFを825kg含有する]を仕込み、次にPdCl2を0.3kg、Cu Cl2を0.64kg、NMDPを3.1kgおよび10重量%のHClを20 0kg仕込む。次に、この反応槽を一酸化炭素で100psigにまで加圧した 後、反応槽の温度を70℃に調整する。次に、一酸化炭素を用いて上記反応槽を 360psigに加圧して、一酸化炭素の取り込みが完了するまでその圧力に保 持する。この反応槽を冷却した後、圧抜きを行う。この反応が完了するまでに要 する時間は典型的に4−8時間で、MVNの変換率は>95%でラセミ型2−( 6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオン酸の収率は90%である。ラセミ型生成物の処理および回収 上記反応槽に水酸化ナトリウム水溶液(25重量%溶液)を加えてラセミ型2 −(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオン酸をラセミ型2−(6−メトキシ −2−ナフチル)プロピオン酸ナトリウムに変化させかつ反応混合物に残存する HClを中和する。次に、この反応混合物からTHFを大気圧下で留出させる。 (反応槽塔頂部の構成材料がHClに耐性を示す場合には上記中和段階と蒸留段 階を逆にすることも可能で ある)。その結果として生じた水相を有機相(これは主にDEKと不純物で構成 される)から分離する。上記水相に含まれる残存有機物(例えばDEK)をその ラセミ型2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオン酸ナトリウム水相から 大気圧下で留出させる。このラセミ型ナトリウム化合物溶液を望ましくは10− 35重量%の溶液にし、そして必要ならば、水の除去または添加で濃度が上記範 囲になるように調整する。次に、ラセミ型ナトリウム化合物水相をトルエンで洗 浄して中性の不純物を除去する。典型的には、トルエン洗浄を1から3回、好適 には少なくとも2回用いる。ラセミ型2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロ ピオン酸ナトリウムの沈澱を防止するに適切な温度、典型的には60−80℃を 保持する。次に、97℃のトルエンの存在下で硫酸を用いて上記水溶液を酸性に する。この水相を上記反応槽の底から分離し、そして(±)−2−(6−メトキ シ−2−ナフチル)プロピオン酸が入っているトルエン溶液を95℃の水で洗浄 (典型的には2回)して残存硫酸を除去する。次に、このトルエン溶液からラセ ミ型2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオン酸を結晶化させる。 この上の実施例1と同様に行った工程で得た再利用溶媒(原則的にDEKとT EA)を用いてラセミ型2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオン酸を大 規模(1000ガロン)で製造する好適な全体的手順を実施例2に示す。 実施例2 1000ガロンの反応槽にBMNを750kgを仕込みそして再利用溶媒の混 合物(典型的には水が1重量%入っているDEKとTEAの混合物)をDEKが 約1305kgでTEAが約368kgになるように 仕込む。この反応槽に0.3kgのPdCl2と3.1kgのNMDPから成る 触媒を仕込む。新鮮な水を添加して(必要ならば)、反応混合物の水含有量を約 1.6重量%にまで上昇させる。次に、この反応槽をエチレンで100psig に加圧した後、反応槽の温度を95℃に調整する。次に、エチレンを用いて上記 反応槽を425−450psigに加圧して、エチレンの取り込みが完了するま でその圧力に保持する。この反応槽を60℃に冷却した後、過剰量のエチレンを 反応槽から排出させる。この反応が完了するまでに要する時間は典型的に4−6 時間で、典型的に得られるBMN変換率は>95%でMVNの収率は85−95 %である。 このMVNを含有する反応混合物に苛性水溶液(25%のNaOH水溶液)を 加えることで、臭化水素酸トリエチルアミン塩からTEAを遊離させる。次に、 水層を有機層から分離した後、MVNとDEKとTEAの混合物からTEAを蒸 留で回収する。次に、DEKとTEAと水で構成される留出液を再循環させてア リール化反応で用いる。MVN/DEK混合物に加えていくらかの固体で主に構 成される蒸留残渣(蒸留物またはポット残渣)にTHFを加えて、THFとDE Kがカルボキシル化で用いるに適した1:1の重量比で含まれるMVN混合物を 生じさせる。その結果として得た混合物を濾過してそれから固体を除去する。新 鮮な触媒とHClを実施例1の割合に相当する割合で加えた後、ヒドロカルボキ シル化反応を実施例1と同様に実施する。次に、25重量%の水酸化ナトリウム 水溶液を添加して(±)−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオン酸を (±)−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオン酸ナトリウムに変化さ せた後、このラセミ型生成物の残りの 処理および回収手順を実施例1の処理および回収手順を用いて実施する。 アリール化反応で水を反応促進量で添加することを省く以外は同じ様式でこの 上の実施例1の手順を実施することも可能である。この反応は進行するが、進行 速度は、水をアリール化反応に存在させた場合に比べてゆっくりである。このこ とを本明細書の実施例3に説明する。 実施例3 使用する材料の割合および反応条件を実験から実験で同じにし(重要でない小 さい事項にいくらか差がある以外)、独立した変数を水含有量およびそれの量の みにして、12実験から成る一連のアリール化を2リットルの反応槽内で実施し た。反応混合物を300gのBMN、529−530gのDEK、147−14 8gのTEA、0.112−0.116gのPdDl2および1.23−1.2 6gのNMDPで構成させた。いくつかの実験は水の添加なしに実施し、そして 残りでは水を測定量で添加した。全ての反応を420から450psigのエチ レン下95℃で実施した。反応速度の判断基準は各反応を行っている間の最大エ チレン消費速度であった。従って、この値が高ければ高いほど良好である。これ らの実験の結果を表に反応速度に関して要約する。水をアリール化反応の反応促進剤としてアリール化反応混合物の全重量の0.5 から5パーセントの範囲の少量含める、即ち存在させることは、1997年1月 8日付けで提出した共通譲渡の同時係属中出願連続番号08/780,310の 主題事項に従うものであり、そこに詳細に開示されている。 実験研究により、アリール化反応生成物からの固体分離を遊離アミンを分離し てTHFなどの如き溶媒を添加して溶媒の補充を行った後(上記分離および溶媒 添加を行う前ではなく)に実施する方が有利であることが示された(実施例1お よび2の場合のように)。このようにすると特に濾過時間が有意に短くなる。 上述したように、アリール化反応で溶媒/希釈剤を2種以上用いる場 合のアミンの沸騰温度は必ずしも上記溶媒/希釈剤の全体が沸騰する温度よりも 低い必要はない。その代わりに、それは上記溶媒/希釈剤の少なくとも一部[上 記溶媒/希釈剤の全重量の実質的部分(例えば少なくとも20または30%)を 構成する]が沸騰する温度より低い温度で沸騰すべきである。例えば、アセトニ トリル(ACN)とジエチルケトン(DEK)の1:1(重量:重量)混合物を 溶媒/希釈剤として用いて一般に上記実施例1と同様に実施する反応は、トリエ チルアミンの沸騰温度はDEKが沸騰する温度より低いがACNが沸騰する温度 より高い状況を包含する。このような場合には異なる処理手順を用いてもよい。 そのような1つの手順では、ACNを反応混合物から留出させ(除去し)た後、 無機塩基の水溶液を添加し、次に相分離を起こさせ、そして残りの有機相からト リエチルアミンを留出させる。別の手順は、無機塩基の水溶液を添加し、相分離 を実施した後、ACNとトリエチルアミンを留出させて、ジエチルケトン溶液を 残存させることを包含する。 本発明の追加的実施例を以下に示す。 実施例46−メトキシ−2−ビニルナフタレンの製造 機械的撹拌機が備わっている20ガロンのジャケット付きステンレス鋼製反応 槽にアセトニトリル(ACN)を19.45kg、2−ブロモ−6−メトキシナ フタレン(BMN)を12.45kgおよびPdCl2を4.8g仕込む。50 psigの窒素を用いた反応槽加圧と排気を3回行う。次に、この反応槽にAC Nを5.3kgおよびトリエチルアミン(TEA)を5.64kg仕込む。撹拌 機を158rpmに設定して、80psigの窒素を用いた反応槽加圧と排気を 3回行う。次に、 この反応槽に窒素を用いたパージ洗浄を10分間受けさせる(purged)。 次に、48.6gのネオメンチルジフェニルホスフィン(NMDP)が0.35 kgのTEAに溶解している混合物を上記反応槽に仕込む。撹拌機を412rp mに設定してジャケットに蒸気を通すことで反応槽を加熱する。反応温度を最初 91−109℃の範囲にしながら圧力を412−519psigで変化させる。 この反応はヒートキック(heat kick)をもたらし、30分後に温度が 109℃にまで上昇し、ジャケットに26℃の冷却水を通す。全反応時間は1. 75時間でBMNの変換率は100%である。反応槽を冷却し、排気を行った後 、反応槽の内容物を30ガロンのガラス内張り反応槽に移して処理を行う。6−メトキシ−2−ビニルナフタレンの処理 上記30ガロンの反応槽に入れた粗6−メトキシ−2−ビニルナフタレン(M VN)溶液に脱溶媒を330mmHgで受けさせてACNを除去する。全脱溶媒 (strip)時間を6.33時間にし、最大釜温度(bottoms tem perature)を91℃にする。最終的な塔頂温度は68℃である。この操 作の最初の35分間ではゼロ還流を用いる。次に、還流比を5に設定して、反応 槽の内容物にジエチルケトン(DEK)を34.95kg加える。還流比を脱溶 媒期間の間5のままにする。 この脱溶媒を受けさせた反応生成物(上記30ガロンの反応槽に入っている) に25%のNaOHを9.25kg仕込んだ後、その結果として生じた混合物を 30分間撹拌する。次に、撹拌機を止めて、水相を1.75時間沈降させる。こ の混合物の相分離を57℃で起こさせて、水相を集めて廃棄する。反応槽内の有 機相とラグ層(rag layer) に脱溶媒を受けさせてTEAを除去する。脱溶媒の圧力を330mmHgにする 。全脱溶媒時間は4.9時間である。操作の最初の30分間の間、蒸留塔(co lumn)を全還流下で始動させる。次の3.5時間の間、還流比を下げて3に する。脱溶媒の残りの間、還流比を下げて2にする。最終的な塔頂温度は79℃ で最終的な釜温度は86℃である。 この脱溶媒を受けさせて冷却した混合物(上記30ガロンの反応槽に入ってい る)にテトラヒドロフラン(THF)を8kg加える。その結果として得たMV N溶液を10ミクロンのバッグ型フィルターそして1ミクロンのカートリッジ型 フィルターに通して濾過する。6−メトキシ−2−ビニルナフタレンのヒドロカルボキシル化 20ガロンのHastalloy製反応槽に80psigの窒素を用いたパー ジ洗浄を3回受けさせた後、この反応槽にPdCl2を3.8gおよびCuCl2 を8.8g仕込み、続いて上記MVN溶液を仕込む。この反応槽に80psig の窒素を用いたパージ洗浄を更に3回受けさせた後、撹拌機を118rpmに設 定する。この反応槽にTHFを3.6kgおよび10%のHClを3.55kg 仕込んだ後、この反応槽に8Opsigの窒素を用いたパージ洗浄を再び3回受 けさせ、次に、窒素をディップレッグ(dep leg)に通して10分間吹き 込む。次に、この反応槽にNMDPが42.2gでTHFが0.35kgの混合 物を仕込んだ後、撹拌機を402rpmに設定する。50psigのCOを用い た反応槽加圧と排気を3回行った後、反応温度に加熱してCOで加圧する。反応 温度を70から78℃の範囲にしながら圧力を247から450psigで変化 させる。8.5時間から成る全反応時間の後、反応槽を冷却し、排気を行った後 、その内容物を30ガロンのガラス内 張り反応槽に移して処理を行う。生成物の処理 25%のNaOHを2.05kg用いて上記ヒドロカルボキシル化混合物を中 和する。この処理用反応槽の内容物からTHFを大気圧下で2.5時間かけて除 去する。この脱溶媒物(strip)に水(30.7kg)を仕込む(1.4時 間)。最終的な塔頂温度は97℃で最終的な釜温度は108℃である。この脱溶 媒を受けさせた反応槽の内容物に25%のNaOHを7kg加えた後、この混合 物を50−60℃で30分間撹拌する。35分間の沈降時間後、水相と有機相を 互いから分離する。この水相を10kgのトルエンと一緒に上記処理用反応槽に 戻す。この混合物を15分間撹拌した後、55℃で30分間沈降させる。再び相 分離を行う。水相を10kgのトルエンと一緒に上記処理用反応槽に戻し、この 混合物を15分間撹拌した後、沈降させる。次に、この混合物を65℃に加熱し た後、相を互いから分離する。再び水相を10kgのトルエンと一緒に上記反応 槽に戻す。この混合物を15分間撹拌した後、70℃で30分間沈降させ、そし て最終的な相分離を行う。この分離した水相は(±)−2−(6−メトキシ−2 −ナフチル)プロピオン酸ナトリウムが入っている黄褐色の透明な水溶液である 。 実施例5 下記の主な変化を伴わせて実施例4の手順を記述した如く実質的に繰り返す。 1番目の反応槽への最初の仕込み物を21.4kgのジエチルケトン(DEK )、12.4kgのBMNおよび4.6gのPdCl2にする。2番目の仕込み 物を3.2kgのDEKと6.34kgのTEAにする。 TEA添加後に行う10分間の窒素パージをなくす。NMDP仕込み物(50. 9kg)を0.27kgのDEKに入っている溶液として添加する。反応体の加 熱を始める前にエチレンによる加圧を開始して100psigにする。このアリ ール化反応を393−429psig下92−98℃で行う。 MVNの処理は、DEKを10.15kg添加し、75℃に加熱した後、苛性 洗浄、相分離、水洗浄、別の相分離、そして脱TEAを包含し、最終的な塔頂温 度は79℃で最大釜温度は97℃である。 ヒドロカルボキシル化用溶媒を残存DEKと8.2kgのTHF(加える)の 混合物にする。他の仕込み成分を3.5gのPdCl2、7.9gのCuCl2、 3.25kgの10%HCl、37.9gのNMDP(160gのDEKに入っ ている)にする。ヒドロカルボキシル化反応を8.7時間実施し、温度を74か ら84℃の範囲にしそして圧力を321から476psigの範囲にする。 粗(±)−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオン酸からTHFを除 去し、(±)−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオン酸ナトリウムに 変化させ、5kgのトルエンを用いて3回洗浄することで、(±)−2−(6− メトキシ−2−ナフチル)プロピオン酸ナトリウムが入っている水溶液を得る。 実施例66−メトキシ−2−ビニルナフタレンの製造 機械的撹拌機が備わっている20ガロンのジャケット付きステンレス鋼製反応 槽にACNを12.8kg、DEKを12.45kgおよび2−ブロモ−6−メ トキシナフタレン(BMN)を12.4kg、PdC l2を4.6gおよびNMDPを50.9g仕込む。50psigの窒素を用い た反応槽加圧と排気を3回行う。次に、この反応槽にTEAを6.27kg仕込 む。撹拌機を158rpmに設定して、50psigの窒素を用いた反応槽加圧 と排気を行う。撹拌機を416rpmに設定して、反応槽をエチレンで100p sigに加圧した後、ジャケットに調節した水を通すことで反応槽を加熱する。 反応温度を87から98℃の範囲にしながら圧力を394から458psigで 変化させる。全反応時間は3.5時間で、2時間の時のBMN変換率は99.6 %である。反応槽を冷却し、排気を行った後、反応槽の内容物(60℃)を6イ ンチの蒸留塔が備わっている30ガロンのガラス内張り反応槽に移して処理を行 う。次に、20ガロンの反応槽にDEKを12.5kg仕込んで、これを60℃ に加熱した後、上記30ガロンの反応槽に移す。6−メトキシ−2−ビニルナフタレンの処理 上記30ガロンの反応槽に入れた粗6−メトキシ−2−ビニルナフタレン(M VN)溶液に脱溶媒を150mmHgで受けさせてACNを除去する。全脱溶媒 時間は4時間で最大釜温度は73℃である。最終的な塔頂温度は59℃である。 用いた還流比は1.9時間の間5:1、1.6時間の間3:1そして1.5時間 の間4:1である。 この脱溶媒を受けさせた反応生成物(30ガロンの反応槽に入っている)に2 5%のNaOHを9.3kg仕込んだ後、その結果として生じた混合物を35℃ で15分間撹拌する。次に、撹拌機を止めて、水相を30分間沈降させる。この 混合物の相分離を行って、この反応槽に入っている有機相を撹拌しながら1.2 kgの水で15分間洗浄する。30分間の沈降時間を置いた後、別の相分離を行 う。この有機相の脱TEA を150mmHgで行う。全脱溶媒時間を5.25時間にする。最高塔頂温度は 59℃で最大釜温度は91℃である。始動時の還流比を50:1にし、蒸留塔が 安定になった後、還流比を下げて2.25時間の間5:1にしそして脱溶媒の最 終2.5時間の間7:1にする。次に、反応槽にTHFを12.05kgおよび DEKを2.05kg加えることで反応生成物を希釈する。次に、その結果とし て得た溶液を10ミクロンのバッグ型フィルターそして1ミクロンのカートリッ ジ型フィルターに通して濾過する。6−メトキシ−2−ビニルナフタレンのヒドロカルボキシル化 この濾過したMVN溶液を20ガロンのHastalloy製反応槽に仕込ん だ後、DEKを更に4.65kg仕込む。次に、この反応槽にPdCl2を4. 6gおよびCuCl2を10.5g仕込む。この反応槽に50psigの窒素を 用いたパージ洗浄を3回受けさせた後、10%のHClを4.2kg仕込む。こ の反応槽を窒素で80psigに加圧した後、排気を行う。この反応槽に、50 .9gのNMDPが255gのDEKに入っている溶液を仕込んだ後、加圧して いる時のみ撹拌機を回転させながら、50psigの窒素を用いた反応槽加圧と 排気を2回行う。撹拌機の速度を399rpmに設定して、再び加圧している時 のみ撹拌機を回転させながら、50psigのCOを用いた反応槽加圧と排気を 3回行う。次に、この反応槽をCOで280psigに加圧して75℃に加熱す る。反応温度を73から77℃の範囲に保持しながら圧力を339から350p sigで変化させる。6時間から成る全反応時間の後、反応槽を冷却し、排気を 行った後、その内容物を30ガロンのガラス内張り反応槽に移して処理を行う。生成物の処理 25%のNaOHを2.15kg用いて上記ヒドロカルボキシル化混合物を中 和する。このヒドロカルボキシル化混合物からTHFを大気圧下で1.2時間か けて除去する。最終的な釜温度は100℃で最終的な塔頂温度は92℃である。 この脱溶媒物に水(30.7kg)を仕込む(1.4時間)。最終的な塔頂温度 は97℃で最終的な釜温度は108℃である。この脱溶媒を受けさせた反応槽内 容物にDEK(4.95kg)を加えた後、水を14kgおよび25%のNaO Hを7.55kg加え、そしてこの混合物を70−80℃で30分間撹拌する。 30分間の沈降時間後、水相と有機相を互いから分離する。この水相を上記処理 用反応槽に戻した後、DEKを除去する(最終的な釜温度は95℃で最終的な塔 頂温度は95℃である)。2.0kgの水仕込み物を5.15kgのトルエンと 一緒に加える。この混合物を20分間撹拌した後、ジャケットに60℃に調節し た水を通しながら一晩沈降させる。次に、相分離を行う。水相をトルエンで更に 2回洗浄(1回目には5.1kg用い2回目には4.95kg用いて)し、各場 合とも続いて相分離を行う。生成物を(±)−2−(6−メトキシ−2−ナフチ ル)プロピオン酸ナトリウムが入っている水溶液として回収する。 実施例76−メトキシ−2−ビニルナフタレンの製造 20ガロンのジャケット付きステンレス鋼製反応槽にACNを12.5kg、 メチルイソブチルケトン(MIBK)を12.5kg、BMNを12.45kg 、PdCl2を4.6gおよびNMDPを50.9g仕込む。50psigの窒 素を用いた反応槽加圧と排気を3回行う。次 に、TEAを6.8kg仕込む。撹拌機を160rpmに設定して、50psi gの窒素を用いた反応槽加圧と排気を行う。撹拌機を415rpmに設定して、 反応槽をエチレンで100psigに加圧した後、ジャケットに調節した水を通 すことで反応槽を加熱する。反応温度を94から100℃の範囲にしながら圧力 を388から432psigで変化させる。全反応時間は2.6時間であるが、 反応は1.8時間以内に99%の変換率に到達する。反応槽を冷却して、エチレ ンの圧力を解放する。撹拌機を作動させた状態で16時間放置した後、反応槽を 約60℃に加熱して、反応槽の内容物を30ガロンのガラス内張り処理用反応槽 に移す。20ガロンの反応槽にMIBKを12.4kg仕込んで、これを60℃ に加熱した後、これもまた処理用反応槽に移す。6−メトキシ−2−ビニルナフタレンの処理 この粗MVN溶液に脱溶媒を150mmHgで受けさせてACNを除去する。 全脱溶媒時間は3.3時間で最大釜温度は76℃である。蒸留塔のラインアウト (line out)で50の還流比を用いる。蒸留塔が安定になった後、還流 比を5に下げる。この還流比を45分間保持した後、下げて30分間の間3にす る。還流比を次の55分間の間2に設定した後、最終的に最後の25分間の間ゼ ロ還流に切り替える。 この脱溶媒を受けさせた混合物を47℃に冷却した後、これに25%のNaO Hを9.4kg仕込む。この苛性を添加すると温度が下がる。反応槽を15分間 撹拌した後、撹拌機を止めて、水相を30分間沈降させる。相分離を行った後、 有機相に1.05kgの水(洗浄用)を仕込んだ後、それと一緒に20分間混合 する。これを80分間沈降させた後、反応槽の底から水相を分離した。 脱TEA圧力を最初150mmHgにした後、この脱溶媒全体に渡って下げて 最終値である70mmHgにする。全脱溶媒時間は4.25時間で最大釜温度は 78℃である。操作の最初35分間の間、蒸留塔をゼロ還流比で始動させる。次 に、還流比を5に設定して、それを25分間保持する。この脱溶媒の最後の3. 25時間の間、還流比を下げて2にする。この脱溶媒を受けさせた生成物混合物 にTHFを8.1kg仕込んだ後、その結果として得たMVN溶液を10ミクロ ンのバッグ型フィルターそして1ミクロンのカートリッジ型フィルターに通して 濾過する。上記処理用反応槽にTHFを更に4.05kg仕込んで、これもまた 濾過する。6−メトキシ−2−ビニルナフタレンのヒドロカルボキシル化 このMVN溶液を上記ヒドロカルボキシル化用反応槽に移す。これにPdCl2 を4.3gおよびCuCl2を9.8g仕込む。この反応槽に50psigの窒 素を用いたパージ洗浄を1回受けさせる。撹拌機を118rpmに設定して、1 0%のHClを3.95kg仕込む。この反応槽を窒素で80psigに加圧し そして排気することを2回行う(加圧中に撹拌を行い、排気中には撹拌を行わな い)。47.6gのNMDPが248gのDEKに入っている溶液を仕込む。撹 拌機の速度を401rpmに設定して、50psigのCOを用いた反応槽加圧 と排気を3回行う(加圧中に撹拌を行い、排気中には撹拌を行わない)。次に、 この反応槽をCOで276psigに加圧して75℃に加熱する。反応槽の温度 を72から80℃で変化させ、圧力の範囲を334から355psigにする。 8.8時間後に反応を止める。生成物の処理 この(±)−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオン酸溶液を処理用 反応槽に仕込んだ後、25%のNaOHを2.0kg用いて中和する。THFを 大気圧下で20分かけて除去する。最終釜温度は79℃で最終塔頂温度は77℃ である。この脱溶媒を受けさせた混合物を60℃に冷却して、これに水を14. 0kgおよび苛性を8.0kg仕込む。この混合物を75℃で30分間撹拌する 。撹拌を停止して、反応槽の内容物を30分間の沈降させる。相分離を行う。水 溶液を上記反応槽に戻して16時間撹拌したままにする。次に、この水溶液に脱 溶媒を大気圧下で1.5時間受けさせる。蒸留塔に入っている水相を分離して上 記反応槽に戻す。ジャケットに蒸気を通して脱溶媒をもう1回行う。脱溶媒の後 、蒸留塔から追加的留出液を排出させる。この脱溶媒の最終釜温度は101℃で 最終塔頂温度は100℃である。この脱溶媒を受けさせた生成物混合物にトルエ ンを5.05kgの仕込み量で加えた後、この混合物を68℃で20分間撹拌し 、次に30分間沈降させる。相分離を行って黄褐色−オレンジ色の水溶液と暗緑 色の有機溶液を得る。この水溶液を5.0kgのトルエンで洗浄すると、赤色が かった紫色の透明な水溶液とオリーブ色−緑色の曇った有機溶液が得られる。3 回目のトルエン洗浄(5.05kg、71℃)を行うと、紫色の透明な水溶液と 黄色の曇った有機溶液が得られる。 実施例8 下記の主な変化を伴わせて実施例7の手順を記述した如く実質的に繰り返す。 1番目の反応槽への最初の仕込み物を12.4kgのACN、12.65kg のDEK、12.45kgのBMN(本明細書の実施例7と同 様に生じさせた)、4.6gのPdCl2および51gのNMDPにする。2番 目の仕込み物を6.17kgのTEAにする。このようにして2.5時間のアリ ール化反応を318−458psig下88−99℃で行う。 MVNの処理では、ACNの蒸留を150mmHgで行い、全体で5.25時 間の脱溶媒時間を必要とし、最大釜温度を71.8℃にする。脱TEA圧力を最 初150mmHgにし、4時間に渡る脱溶媒全体に渡って下げて最終値である9 0mmHgにする。 ヒドロカルボキシル化用溶媒を残存DEKと12kgのTHF(加える)の混 合物にする。他の仕込み成分を4.1gのPdCl2、9.2gのCuCl2、3 .65kgの10%HCl、44.7gのNMDP(222gのDEKに入って いる)にする。ヒドロカルボキシル化反応を6.6時間実施し、温度を74から 77℃の範囲にしそして圧力を333から358psigの範囲にする。 実施例7の場合と同様に、粗(±)−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プ ロピオン酸を(±)−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオン酸ナトリ ウムに変化させ、THFを除去し、各場合とも5kgのトルエンを用いて3回洗 浄することで、(±)−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオン酸ナト リウムが入っている水溶液を得る。 実施例9 下記の主な変化を伴わせて実施例7の手順を記述した如く実質的に繰り返す。 1番目の反応槽への最初の仕込み物を12.55kgのACN、12.5kg のMIBK、12.5kgのBMN(本明細書の実施例7と同様 に生じさせた)、4.6gのPdCl2および51gのNMDPにする。2番目 の仕込み物を6.19kgのTEAにする。このようにして2.7時間のアリー ル化反応を371−441psig下88−97℃で行う。 MVNの処理では、ACNの蒸留を150mmHgで行い、全体で3.8時間 の脱溶媒時間を必要とし、最大釜温度を71℃にする。脱TEA圧力を最初15 0mmHgにし、5.3時間に渡る脱溶媒全体に渡って下げて最終値である70 mmHgにする。 ヒドロカルボキシル化用溶媒を残存MIBKと12kgのTHF(加える)の 混合物にする。他の仕込み成分を4.6gのPdCl2、9.5gのCuCl2、 3.85kgの10%HCl、47gのNMDP(226gのDEKに入ってい る)にする。ヒドロカルボキシル化反応を7時間実施し、温度を72から77℃ の範囲にしそして圧力を333から357psigの範囲にする。 実施例7の場合と同様に、粗(±)−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プ ロピオン酸を(±)−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオン酸ナトリ ウムに変化させ、THFを除去し、各場合とも5kgのトルエンを用いて3回洗 浄することで、(±)−2−(6−メトキシー2−ナフチル)プロピオン酸ナト リウムが入っている水溶液を得る。 本発明の実施で用いるBMN出発材料の好適な製造手順を実施例10に示す。 実施例102−ナフトールの臭素化 2Lの反応槽に還流コンデンサ、機械的撹拌機およびぜん動ポンプ添 加装置を取り付けて、この反応槽に2−ナフトール(114.8g、1.00モ ル)、EDC(537g)および水(162g)を仕込む。この反応槽をβ−ナ フトールの大部分が溶解するまで55℃に加熱する。次に、ポンプを通して臭素 (336.9g、2.11モル)を反応温度が60℃に維持されるような速度で 加える(表面下)。臭素添加後、反応温度を60℃に1.5時間保持する。次に 、反応物を若干冷却して、下方の相(HBr水溶液)をサイホンで除去する。残 りのEDC溶液(841g)を反応槽から取り出して、GCで分析する。このよ うに実施した実験では、分析により、2−ナフトールが0.4%で1,6−ジブ ロモ−2−ナフトール(DBN)が92.6%で他の異性体が4.9%であるこ とが示された。1,6−ジブロモ−2−ナフトールのヒドロデブロミネーション(hydrod ebromination) 上記臭素化反応で得たDBN(271g、0.9モル)が二塩化エチレン(E DC)(551g)に入っている溶液を1000mLのHastalloy B 製オートクレーブに仕込む。炭化タングステン(82g、30重量%)と臭化テ トラブチルアンモニウム(0.2g、0.1重量%)を加えて反応槽を密封する 。この反応槽に水素(50psig)によるパージ洗浄と排気を3回受けさせた 後、水素で加圧して90℃に加熱する。圧力が120−125psigの範囲に 維持されるような速度で水素の一定パージ洗浄を保持する。このようにして5. 5時間後に生じた反応混合物を分析した結果、6−ブロモ−2−ナフトールが9 0%でDBNが2%で2−ナフトールが2%であることが示された。この反応槽 を室温に冷却し、排気を行ってそれをスクラバーに送った後、触 媒を沈降させる。EDC溶液(このようにして実施した反応では747g)をデ ィップチューブに通して取り出す。MeClによる6−ブロモ−2−ナフトールのメチル化 この上と同様にして生じさせたEDC溶液をステンレス鋼製頭部が備わってい る1.4リットル(3パイント)のChemcoガラス反応槽に移す。これを最 初希酸で中和した後、蒸留で濃縮する。その残渣に水(50mL)を添加して痕 跡量で残存するEDCを共沸で除去する。この反応槽にイソプロピルアルコール (242g)と水酸化ナトリウム(44g、1.1モル、50%溶液を88g) 仕込む。この反応槽を密封し、窒素でパージ洗浄した後、70℃に加熱する。塩 化メチル(MeCl)(66g、1.3モル)を1時間かけて仕込む(40−5 0psig)。80℃で更に1時間撹拌した後、イソプロピルアルコールを蒸留 で除去する。その残渣を溶融条件(90−95℃)に加熱した後、それを水(4 00g)で洗浄する。水を除去した後、その残渣を真空(1mmHg)下で蒸留 する。揮発性材料を少量除去した後、BMNを白色固体として160−165℃ で留出させる(このようにして実施した操作で169g生じた)。イソプロピル アルコール(490g)を加えた後、この溶液を還流に加熱し、次にゆっくりと 10℃にまで冷却する。固体状のBMNを取り出して冷(0℃)イソプロピルア ルコール(180g)で洗浄した後、真空下70−75℃で乾燥させる。このよ うにして生じさせた結晶性の白色生成物の分析を行った結果、99.7重量%が BMNであることが示された。 実施例10は、1997年1月8日付けで提出した共通譲渡の同時係属中出願 連続番号08/780,309に詳細に記述されている手順お よび主題事項を包含する。 アリール化反応でハロゲン化水素受容体として用いた第二級もしくは第三級ア ミンとアリール化生成物の分離で希酸を用いた洗浄処理手順を用いることを実施 例11に示す。 実施例11 5ガロンのステンレス鋼製磁気撹拌オートクレーブにDEK(3296g)、 BMN(1502g、6.34モル)、NMDP(6.170g、19.0ミリ モル)、PdCl2(0.574g、3.2ミリモル)およびTEA(684g 、6.76モル)を入れる。この反応槽に窒素を用いたパージ洗浄を受けさせた 後、これをエチレンで満たして、95℃に加熱する。この反応混合物をエチレン 圧(609から640psig)下95℃で4.5時間撹拌した後、60℃に冷 却してゆっくりと排気する。この反応槽を空にすることで、黄色固体と黄色液体 の混合物を得る。この反応混合物の一部5000gを機械的撹拌機と底に出口が 備わっている12Lのフラスコに注ぎ込む。この反応混合物に水(695g)と 10重量%のHCl水溶液(209g)を加えて、この混合物を撹拌しながら6 5℃に温めた後、放置して沈降させる。水相を黄色の有機相から除去する。この 有機相を水(250g)と10重量%HCl水溶液の混合物(64℃)で2回洗 浄した後、この洗浄した有機相(これは主にMVNとDEKで構成される)から 水相を分離する。この洗浄した有機相にこの上に記述した如きヒドロカルボキシ ル化を受けさせる[好適にはDEKのいくらかを除去してそれをTHFに置き換 えた後]。上記水相には塩酸トリエチルアミンが入っており、これに強塩基、例 えばNaOH水溶液を添加して相分離を起こさせることを通して、それから TEAを回収することができる。 本明細書またはそれの請求の範囲のどこかで化学名または化学式を用いて反応 体および成分を言及する場合、この言及が単数であるか或は複数であるかに拘ら ず、それらが別の物質[化学名または化学タイプで言及する](例えば別の反応 体または溶媒)に接触する前にそれらが存在するようにそれらを同定すると理解 されるべきである。結果として生じる混合物または溶液または反応媒体中でどん な予備的化学変化、変換および/または反応(もしあれば)が起ころうとも問題 でない、と言うのは、そのような変化、変換および/または反応は特定の反応体 および/または成分を本開示に従って要求する条件下で一緒にする結果として自 然に起こる事であるからである。このように、所望化学反応の実施に関連してか 或は所望反応を実施する時に用いるべき混合物を生じさせる時に一緒にすべき材 料であるとして反応体および成分を同定する。従って、本明細書の以下に示す請 求の範囲で物質、成分および/または材料を現在時制(「含んで成る」および/ または「である」)で指すことがあり得るかもしれないが、そのような言及は、 本開示に従ってそれを他の1種以上の物質、成分および/または材料に最初に接 触、ブレンドまたは混合する直ぐ前の時間にそれが存在していたように該物質、 成分または材料を指すものである。この上で行った一般的な陳述を限定するもの でないが、説明的例として、1つの請求項で、ある触媒が第三ホスフィン配位子 と組み合わされたパラジウム化合物であると指定する場合、このような言い回し は、それらを個別にか或は他の1種以上の材料と一緒に組み合わせそして/また は混合する前の個々の物質の構成を指すものであり、加うるに、該触媒がそれの 触媒作用を実際に果す時点では、それ は必ずしもそれの元々の構成を持っている必要はなく、その代わりに、触媒反応 を行う時にインサイチューで起こる変換(もしあれば)がどのようであろうとも 、これは本請求の範囲で保護することを意図するものである。このように、接触 、ブレンドまたは混合操作を常識および化学者の通常技術を適用して本開示に従 って実施する場合、その過程中にある物質、成分または材料が化学反応または変 換を通してそれの元々の同定が失われてしまう可能性はあるが、これは、従って 、本開示および本明細書の請求の範囲の真の意味および物質の正確な認識および 理解にとっては全く重要でない。 本発明は本発明を実施する時にかなりの変形を受け易い。従って、この上で行 った説明は制限を意図するものでなく、本発明を本明細書の上に示した個々の例 示に限定するとして解釈されるべきでない。むしろ、保護することを意図する事 項は、以下に示す請求の範囲に挙げる如き事項そして法の問題として許されるそ れの相当物である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 67/38 C07C 67/38 209/12 209/12 211/62 211/62 // B01J 31/24 B01J 31/24 X C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 アレン,ロバート・エイチ アメリカ合衆国ルイジアナ州70808バトン ルージユ・タリータウンアベニユー5841 (72)発明者 チヨカリンガム,カナパン・シー アメリカ合衆国ルイジアナ州70816バトン ルージユ・ニユーキヤツスルアベニユー 12074 (72)発明者 フオクト,ゲイリー・デイ アメリカ合衆国ルイジアナ州70808バトン ルージユ・クローバーデイル1956 (72)発明者 ロイ,ランジツト・ケイ アメリカ合衆国ルイジアナ州70816バトン ルージユ・ウツドシヤープレイス12832

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. a)アリールハライドおよび/または置換アリールハライドによるオレ フィンのパラジウム触媒使用アリール化を液状の媒体中で実施するが、この液状 媒体を、(i)1種以上の液状極性有機溶媒/希釈剤と(ii)(1)1種類の みの溶媒/希釈剤を用いる場合には上記溶媒/希釈剤の沸騰温度よりも低い温度 で沸騰するか或は(2)2種以上の溶媒/希釈剤を用いる場合には上記媒体を生 じさせる時に用いる上記極性溶媒/希釈剤の必ずしも全部ではないが少なくとも 1つが有する沸騰温度よりも低い温度で沸騰する1種以上の第二級もしくは第三 級アミン類から生じさせ、それによって、上記極性有機溶媒の1種以上とオレフ ィン置換芳香族化合物とハロゲン化水素酸アミンを含んで成る反応混合物を生じ させ、 b)(i)上記1種以上の第二級もしくは第三級アミン類の塩基強度よ りも高い塩基強度を有する無機塩基の濃水溶液と(ii)上記反応混合物の少な くとも一部を混合することで、そこに含まれているハロゲン化水素酸アミンを遊 離アミンとアルカリ金属ハライドに変化させ、かつ(i)溶解しているアルカリ 金属ハライドが入っている水相と(ii)上記極性有機溶媒の1種以上とオレフ ィン置換芳香族化合物と遊離アミンを含んで成る有機相を生じさせ、 c)上記相を互いに分離し、 d)上記有機相から該アミンの実質的に全部を残存液相に含まれるオレ フィン置換芳香族化合物の熱オリゴマー化を抑制する低い温度および圧力条件下 で留出させることで、上記極性有機溶媒の1種以上とオレフィン置換芳香族化合 物で主に構成される蒸留物を生じさせ、そし て e)上記蒸留物の少なくとも一部を含んで成る液状媒体中で上記オレフ ィン置換芳香族化合物の少なくとも一部のパラジウム触媒使用カルボキシル化を 一酸化炭素および水および/またはアルコールを用いて実施する、 ことを含む方法。 2. d)の蒸留中または後に該液状媒体を補給用液状有機溶媒と一緒に混 合し、それによって、e)の液状媒体が上記蒸留物の少なくとも一部と上記補給 用溶媒を更に含む請求の範囲第1項記載の方法。 3. 上記補給用溶媒に少なくとも1種のエーテルを含める請求の範囲第2項 記載の方法。 4. 上記エーテルがテトラヒドロフランである請求の範囲第3項記載の方法 。 5. 上記1種以上の第二級もしくは第三級アミンを上記アリールハライドお よび/または置換アリールハライドを基準にして少なくとも化学量論的量で用い そして上記無機塩基をこの無機塩基と一緒に混合する該反応混合物に含まれる該 ハロゲン化水素酸アミンを基準にして少なくとも化学量論的量で用いる請求の範 囲第1項記載の方法。 6. 上記1種以上の極性有機溶媒/希釈剤が20から25℃の範囲の温度で 少なくとも10の誘電率を示す少なくとも1種の非プロトン溶媒を含んで成る請 求の範囲第1項記載の方法。 7. 上記1種以上の極性有機溶媒/希釈剤が1種以上の非プロトン性溶媒で あり、ここで、上記溶媒の各々が20から25℃の範囲の温度で10から30の 範囲の誘電率を示す請求の範囲第1項記載の方法。 8. 上記1種以上の極性有機溶媒/希釈剤が少なくとも1種のケトンを含ん で成りそして上記1種以上の第二級もしくは第三級アミンが第三級アミンである 請求の範囲第1項記載の方法。 9. 上記ケトンがジエチルケトンでありそして上記第三級アミンが液状のト リアルキルアミンである請求の範囲第8項記載の方法。 10. 上記1種以上の極性有機溶媒/希釈剤が少なくとも1種のニトリルを 含んで成りそして上記1種以上の第二級もしくは第三級アミンが第三級アミンで ある請求の範囲第1項記載の方法。 11. 上記ニトリルがアセトニトリルでありそして上記第三級アミンが液状 のトリアルキルアミンである請求の範囲第10項記載の方法。 12. 上記1種以上の極性有機溶媒/希釈剤が少なくとも1種のニトリルと 少なくとも1種のケトンを含んで成りそして上記1種以上の第二級もしくは第三 級アミンが第三級アミンである請求の範囲第1項記載の方法。 13. 上記ニトリルがアセトニトリルであり、上記ケトンがジエチルケトン でありそして上記第三級アミンが液状のトリアルキルアミンである請求の範囲第 12項記載の方法。 14. 上記トリアルキルアミンがトリエチルアミンである請求の範囲第9項 記載の方法。 15. b)で生じさせた実質的に均一の水相に含まれるアルカリ金属ハラ イドの濃度が少なくとも40重量パーセントである請求の範囲第1項記載の方法 。 16. 上記無機塩基の濃水溶液が(i)濃水酸化ナトリウム水溶液であるか 、或は(ii)濃水酸化カリウム水溶液であるか、或は(ii i)水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの濃水溶液である請求の範囲第1項記載 の方法。 17. 上記無機塩基の濃水溶液が20−50重量%の水酸化ナトリウム水溶 液である請求の範囲第16項記載の方法。 18. 上記アリールハライドおよび/または置換アリールハライドが置換ア リールモノブロマイドであり、該オレフィンがビニル系オレフィンであり、そし てa)のアリール化およびe)のカルボキシル化を実施する時に用いる個々のパ ラジウム触媒が両方とも少なくとも(i)パラジウムが1または2価の原子価を 有する少なくとも1種のパラジウム塩と(ii)フェニルもしくはアルキル置換 フェニル基を分子中に少なくとも1個有する少なくとも1種の第三ホスフィン配 位子から生じさせた触媒である請求の範囲第1項記載の方法。 19. 上記個々のパラジウム触媒が両方とも少なくとも(i)少なくとも1 種のパラジウム(II)塩と(ii)分子中に(A)シクロアルキル基またはア ルキル置換シクロアルキル基を1個有しかつ(B)フェニルもしくはァルキル置 換フェニル基を2個か或は(C)フェニル基を1個とアルキル置換フェニル基を 1個有する少なくとも1種の第三ホスフィン配位子から生じさせた触媒である請 求の範囲第18項記載の方法。 20. 上記個々のパラジウム触媒が両方とも(i)少なくとも1種のパラジ ウム(II)塩と(ii)ネオメンチル−インデニルホスフィンから生じさせた 触媒である請求の範囲第18項記載の方法。 21. 上記個々のパラジウム触媒が両方とも少なくとも(i)塩化パラジウ ム(II)、臭化パラジウム(II)およびヨウ化パラジウム(II)から選択 される少なくとも1種のハロゲン化パラジウム(II) および/または少なくとも1種のカルボン酸パラジウム(II)塩と(ii)ネ オメンチルジフェニルホスフィンから生じさせた触媒である請求の範囲第18項 記載の方法。 22. 上記アリールハライドおよび/または置換アリールハライドが置換ア リールモノブロマイドであり、該オレフィンがビニル系オレフィンであり、そし てa)のアリール化を実施する時に用いるパラジウム触媒が少なくとも(i)パ ラジウムが1または2価の原子価を有する少なくとも1種のパラジウム塩と(i i)フェニルもしくはアルキル置換フェニル基を分子中に少なくとも1個有する 少なくとも1種の第三ホスフィン配位子から生じさせた触媒でありそしてe)の カルボキシル化を実施する時に用いるパラジウム触媒が少なくとも(i)パラジ ウムが1または2価の原子価を有する少なくとも1種のパラジウム塩と(ii) フェニルもしくはアルキル置換フェニル基を分子中に少なくとも1個有する少な くとも1種の第三ホスフィン配位子と(iii)少なくとも1種の銅化合物から 生じさせた触媒である請求の範囲第1項記載の方法。 23. a)のアリール化を実施する時に用いる上記パラジウム触媒が少なく とも(i)少なくとも1種のパラジウム(II)塩と(ii)分子中に(A)シ クロアルキル基またはアルキル置換シクロアルキル基を1個有しかつ(B)フェ ニルもしくはアルキル置換フェニル基を2個か或は(C)フェニル基を1個とア ルキル置換フェニル基を1個有する少なくとも1種の第三ホスフィン配位子から 生じさせた触媒でありそしてe)のカルボキシル化を実施する時に用いる上記パ ラジウム触媒が少なくとも(i)少なくとも1種のパラジウム(II)塩と(i i)分子中に(A)シクロアルキル基またはアルキル置換シクロアルキル基を1 個有しかつ(B)フェニルもしくはアルキル置換フェニル基を2個か或は(C) フェニル基を1個とアルキル置換フェニル基を1個有する少なくとも1種の第三 ホスフィン配位子と(iii)少なくとも1種の銅化合物から生じさせた触媒で ある請求の範囲第22項記載の方法。 24. e)のカルボキシル化を実施する時に用いるパラジウム触媒を生じさ せる時に用いる上記少なくとも1種の銅化合物が銅(II)塩である請求の範囲 第23項記載の方法。 25. a)のアリール化を実施する時に用いる上記パラジウム触媒が少なく とも(i)少なくとも1種のパラジウム(II)塩と(ii)ネオメンチルジフ ェニルホスフィンから生じさせた触媒でありそしてe)のカルボキシル化を実施 する時に用いる上記パラジウム触媒が少なくとも(i)少なくとも1種のパラジ ウム(II)塩と(ii)ネオメンチルジフェニルホスフィンと(iii)少な くとも1種の銅(II)塩から生じさせた触媒である請求の範囲第18項記載の 方法。 26. a)のアリール化を実施する時に用いる上記パラジウム触媒が(i) 塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)およびヨウ化パラジウム(I I)から選択される少なくとも1種のハロゲン化パラジウム(II)および/ま たは少なくとも1種のカルボン酸パラジウム(II)塩と(ii)ネオメンチル ジフェニルホスフィンから生じさせた触媒でありそしてe)のカルボキシル化を 実施する時に用いる上記パラジウム触媒が(i)塩化パラジウム(II)、臭化 パラジウム(II)およびヨウ化パラジウム(II)から選択される少なくとも 1種のハロゲン化パラジウム(II)および/または少なくとも1種のカルボン 酸パラジウム(II)塩と(ii)ネオメンチルジフェニルホスフィンと (iii)少なくとも1種の銅(II)塩から生じさせた触媒である請求の範囲 第22項記載の方法。 27. 上記少なくとも1種の銅(II)塩が塩化、臭化もしくはヨウ化銅( II)である請求の範囲第26項記載の方法。 28. 上記アリールハライドおよび/または置換アリールハライドが置換ア リールモノクロライドおよび/または置換アリールモノブロマイドおよび/また は置換アリールモノヨージドであり、そして上記オレフィンが式 [式中、 R1、R2およびR3は、水素原子、C1からC6のアルキル、置換もしくは未置換 のフェニルおよび/またはトリフルオロメチルである] で表される少なくとも1種の化合物である請求の範囲第1項記載の方法。 29. 上記置換アリールモノハライドの置換アリール基がアルキル基で置換 されているフェニル、アルコキシで置換されているナフチル、アリールオキシで 置換されているフェニル、フルオロで置換されているアリールまたはアロイルで 置換されているフェニルである請求の範囲第28項記載の方法。 30. R1、R2およびR3が水素原子、メチルおよび/またはトリフルオロ メチルである請求の範囲第29項記載の方法。 31. 上記置換アリールモノハライドの置換アリール基がイソブチルフェニ ル基でありそしてR1、R2およびR3が水素原子である請求の 範囲第28項記載の方法。 32. 上記置換アリールモノハライドの置換アリール基がメトキシナフチル 基でありそしてR1、R2およびR3が水素原子である請求の範囲第28項記載の 方法。 33. 上記置換アリールモノハライドの置換アリール基がフェノキシフェニ ル基でありそしてR1、R2およびR3が水素原子である請求の範囲第28項記載 の方法。 34. 上記置換アリールモノハライドの置換アリール基がフルオロビフェニ リル基でありそしてR1、R2およびR3が水素原子である請求の範囲第28項記 載の方法。 35. 上記置換アリールモノハライドの置換アリール基がベンゾイルフェニ ル基でありそしてR1、R2およびR3が水素原子である請求の範囲第28項記載 の方法。 36. d)の蒸留中または後であるがe)のパラジウム触媒使用カルボキシ ル化を実施する前に該液状媒体を補給用液状有機溶媒と一緒に混合しそしてその 結果として生じた混合物に存在する残存固体をそれからe)のパラジウム触媒使 用カルボキシル化を実施する前に分離し、それによって、(i)e)の液状媒体 が上記蒸留物の少なくとも一部と上記補給用溶媒を更に含みかつ(ii)e)の パラジウム触媒使用カルボキシル化を実施する前のe)の液状媒体が固体をいく らか含むとしてもその含有量が低下している請求の範囲第1項記載の方法。 37. 上記結果として生じた混合物を濾過することで上記結果として生じた 混合物に存在する上記残存固体をそれから分離する請求の範囲第36項記載の方 法。 38. 上記補給用液状有機溶媒を本質的にテトラヒドロフランで構成させる 請求の範囲第36項記載の方法。 39. a)2−ブロモ−6−メトキシナフタレンによるエチレンのパラジウ ム触媒使用アリール化を液状媒体中で実施するが、この液状媒体を、(i)1種 以上の液状極性有機溶媒/希釈剤と(ii)(1)上記媒体を生じさせる時に1 種類のみの溶媒/希釈剤を用いる場合には上記溶媒/希釈剤の沸騰温度よりも低 い温度で沸騰するか或は(2)上記媒体を生じさせる時に2種以上の溶媒/希釈 剤を用いる場合には上記媒体を生じさせる時に用いる上記極性溶媒/希釈剤の必 ずしも全部ではないが少なくとも1つが有する沸騰温度よりも低い温度で沸騰す る1種以上の第二級もしくは第三級アミン類を2−ブロモ−6−メトキシナフタ レンを基準にして少なくとも化学量論的量で用いて生じさせ、それによって、上 記極性有機溶媒の1種以上と6−メトキシ−2−ビニルナフタレンと臭化水素酸 アミンを含んで成る反応混合物を生じさせ、 b)上記反応混合物の少なくとも一部を少なくとも化学量論的量の濃 アルカリ金属水酸化物水溶液と一緒に混合することでそこに含まれている臭化水 素酸アミンを遊離アミンとアルカリ金属ブロマイドに変化させかつ(i)溶解し ているアルカリ金属ブロマイドが入っている水相と(ii)上記極性有機溶媒の 1種以上と6−メトキシ−2−ビニルナフタレンを含んで成る有機相を生じさせ 、 c)上記相を互いに分離し、 d)上記有機相から該アミンの実質的に全部を残存液相に含まれる6 −メトキシ−2−ビニルナフタレンの熱オリゴマー化を抑制する低い温度および 圧力条件下で留出させることで、上記極性有機溶媒の 1種以上と6−メトキシ−2−ビニルナフタレンが主に含まれる蒸留物を生じさ せ、そして e)上記蒸留物の少なくとも一部を含んで成る液状媒体中で上記6− メトキシ−2−ビニルナフタレンの少なくとも一部のパラジウム触媒使用カルボ キシル化を一酸化炭素および水および/またはアルコールを用いて実施する、 ことを含む方法。 40. d)の蒸留中または後であるがe)のパラジウム触媒使用カルボキシ ル化を実施する前に該液状媒体を補給用液状有機溶媒と一緒に混合し、それによ って、e)の液状媒体が上記蒸留物の少なくとも一部と上記補給用溶媒を更に含 む請求の範囲第39項記載の方法。 41. 結果として生じた混合物に存在する残存固体をそれから分離し、それ によって、e)のパラジウム触媒使用カルボキシル化を実施する前のe)の液状 媒体が固体をいくらか含むとしてもその含有量が低下している請求の範囲第40 項記載の方法。 42. 結果として生じた混合物をe)のパラジウム触媒使用カルボキシル化 を実施する前に濾過することで上記結果として生じた混合物に存在する上記残存 固体をそれから分離する請求の範囲第41項記載の方法。 43. (1)少なくとも1種のパラジウム(II)塩と少なくとも1種の第 三ホスフィン配位子と塩酸水溶液とe)の濾過液状媒体を混合しそして(2)カ ルボキシル化を加圧一酸化炭素雰囲気下で実施することを通してe)の上記カル ボキシル化を実施する請求の範囲第42項記載の方法。 44. 少なくとも1種のパラジウム(II)塩と少なくとも1種の第三ホス フィン配位子とa)の液状媒体を混合しそしてアリール化を加圧エチレン雰囲気 下で実施することを通してa)のエチレンの上記触媒使用アリール化を実施する 請求の範囲第43項記載の方法。 45. a)の上記液状媒体を実質的に完全にジエチルケトンとトリエチルア ミンで生じさせる請求の範囲第44項記載の方法。 46. 上記補給用液状有機溶媒がテトラヒドロフランである請求の範囲第4 5項記載の方法。 47. c)の蒸留を50から350mmHgの範囲で実施してトリエチルア ミンをトリエチルアミン:6−メトキシ−2−ビニルナフタレンの重量比が0. 016以下になるレベルにまで留出させる請求の範囲第46項記載の方法。 48. 該濃アルカリ金属水酸化物水溶液が(i)濃水酸化ナトリウム水溶液 であるか、(ii)濃水酸化カリウム水溶液であるか、或は(iii)水酸化ナ トリウムと水酸化カリウムの濃水溶液でありそして上記溶液の濃度が上記アルカ リ金属ブロマイド(類)の水溶液を25℃で測定した時にそれが1ミリリットル 当たり少なくとも1.08グラムの比重を示すような濃度である請求の範囲第4 7項記載の方法。 49. 上記アルカリ金属水酸化物水溶液が20−50重量%の水酸化ナトリ ウム水溶液である請求の範囲第47項記載の方法。 50. (1)少なくとも1種のパラジウム(II)塩と少なくとも1種の銅 塩と少なくとも1種の第三ホスフィン配位子と塩酸水溶液とe)の濾過液状媒体 を混合しそして(2)カルボキシル化を加圧一酸化炭素雰囲気下で実施すること を通してe)の上記カルボキシル化を実施する 請求の範囲第42項記載の方法。 51. 少なくとも1種のパラジウム(II)塩と少なくとも1種の第三ホス フィン配位子とa)の液状媒体を混合しそしてアリール化を加圧エチレン雰囲気 下で実施することを通してa)のエチレンの上記触媒使用アリール化を実施する 請求の範囲第50項記載の方法。 52. a)の上記液状媒体を実質的に完全にジエチルケトンとトリエチルア ミンで生じさせる請求の範囲第51項記載の方法。 53. 上記補給用液状有機溶媒がテトラヒドロフランである請求の範囲第5 2項記載の方法。 54. c)の蒸留を50から350mmHgの範囲で実施してトリエチルア ミンをトリエチルアミン:6−メトキシ−2−ビニルナフタレンの重量比が0. 016以下になるレベルにまで留出させる請求の範囲第53項記載の方法。 55. 該濃アルカリ金属水酸化物水溶液が(i)濃水酸化ナトリウム水溶液 であるか、(ii)濃水酸化カリウム水溶液であるか、或は(iii)水酸化ナ トリウムと水酸化カリウムの濃水溶液でありそして上記溶液の濃度が上記アルカ リ金属ブロマイド(類)の水溶液を25℃で測定した時にそれが1ミリリットル 当たり少なくとも1.08グラムの比重を示すような濃度である請求の範囲第5 4項記載の方法。 56. (a)1種以上の第二級もしくは第三級アミン類をハロゲン化水素受 容体として含有する液状の極性有機溶媒中でアリールハライドおよび/または置 換アリールハライドによるビニルオレフィンのパラジウム触媒使用アリール化を 行うことでアリールオレフィンまたは置換アリールオレフィンとハロゲン化水素 酸アミンが液状の極性有機溶媒に入っ ている反応生成物組成物を生じさせ、そして(b)上記反応生成物組成物の少な くとも一部を上記1種以上の第二級もしくは第三級アミン類の塩基強度よりも高 い塩基強度を有する無機塩基の濃水溶液と混合することで、(i)上記アリール オレフィンもしくは置換アリールオレフィンと上記1種以上の第二級もしくは第 三級アミンが入っている有機相と(ii)水相を25℃で測定した時にそれが1 ミリリットル当たり少なくとも1.08グラムの比重を示すように溶解している 無機塩が入っている下方の水相を生じさせ、そして(c)上記相を互いに分離す ることを含む方法。 57. (a)におけるアリールハライドおよび/または置換アリールハライ ドが置換アリールブロマイドであり、その結果として、上記ハロゲン化水素酸ア ミンが臭化水素酸アミンでありそして上記溶解している無機塩が無機臭化物塩で あり、(a)における上記液状の極性有機溶媒が上記1種以上の第二級もしくは 第三級アミン類をハロゲン化水素受容体として少なくとも化学量論的量で含んで おり、そして(b)において上記反応生成物組成物を少なくとも化学量論的量の 上記無機塩基の濃水溶液と一緒に混合する請求の範囲第56項記載の方法。 58. 該濃水溶液が(i)20から50重量%の水酸化ナトリウム水溶液、 (ii)20から50重量%の水酸化カリウム水溶液または(iii)水酸化ナ トリウムと水酸化カリウムが20から50重量%入っている水溶液である請求の 範囲第57項記載の方法。 59. 該1種以上の第二級もしくは第三級アミン類が該液状の極性有機溶媒 の少なくとも一部が沸騰または沸騰し始める温度より低い温度(類)で沸騰し、 そして上記相を分離した後、上記1種以上の第二級も しくは第三級アミン類を上記アリールオレフィンもしくは置換アリールォレフィ ンが入っている有機相から留出させる請求の範囲第57項記載の方法。 60. 該蒸留を上記アリールオレフィンまたは置換アリールオレフィンが熱 で誘発されていくらか起こす反応および/または分解を防止するか或は少なくと も最小限にする温度および圧力条件下で実施する請求の範囲第59項記載の方法 。 61. 該アリールハライドおよび/または置換アリールハライドが置換アリ ールブロマイドであり、その結果として、上記ハロゲン化水素酸アミンが臭化水 素酸アミンでありそして上記溶解している無機塩が無機臭化物塩である請求の範 囲第60項記載の方法。 62. 該濃水溶液が(i)20から50重量%の水酸化ナトリウム水溶液、 (ii)20から50重量%の水酸化カリウム水溶液または(iii)水酸化ナ トリウムと水酸化カリウムが20から50重量%入っている水溶液である請求の 範囲第61項記載の方法。 63. 上記置換アリールブロマイドが2−ブロモ−6−メトキシナフタレン である請求の範囲第62項記載の方法。 64. 上記液状の極性有機溶媒が本質的にジエチルケトンから成り、上記1 種以上の第二級もしくは第三級アミン類が本質的にトリエチルアミンから成りそ して上記濃水溶液が23から27重量%の水酸化ナトリウム水溶液である請求の 範囲第63項記載の方法。 65. 上記置換アリールブロマイドが4−ブロモイソブチルベンゼンである 請求の範囲第62項記載の方法。 66. 上記液状の極性有機溶媒が本質的にジエチルケトンとアセト ニトリルから成りそして上記1種以上の第二級もしくは第三級アミン類が本質的 にトリエチルアミンから成る請求の範囲第65項記載の方法。 67. A)アリールオレフィンまたは置換アリールオレフィンのパラジウム 触媒使用ヒドロカルボキシル化を極性有機溶媒と水とHClと少なくとも1種の エーテルを含んで成る液状媒体中で実施することで、アリールカルボン酸または 置換アリールカルボン酸が液状の極性有機溶媒に入っている反応生成物組成物を 生じさせ、 B)上記反応生成物組成物の少なくとも一部を無機塩基の水溶液と混 合することで、上記アリールカルボン酸または置換アリールカルボン酸の無機塩 が溶解した状態で含まれている水相を含んで成る混合物を生じさせ、そして上記 混合を行う前および/または行っている間および/または行った後に、該エーテ ルの少なくとも実質的部分を該反応混合物から留出させ、その結果として、残存 有機相と上記水相の混合物を蒸留残渣として残存させ、 C)該相を互いに分離し、 D)該水相の少なくとも一部から残存有機不純物を留出させて濃度が 10から35重量%の範囲の水溶液を生じさせ、必要ならば、それから水を除去 するか或はそれに水を加えることで上記水溶液の濃度を上記10から35重量% の範囲に調整し、 E)該水溶液の少なくとも一部を実質的に非極性の液状有機溶媒で少 なくとも2回洗浄し、 F)該水相の少なくとも一部と非酸化鉱酸を実質的に非極性の液状溶 媒の存在下で混合することで、(i)アリールカルボン酸または置換アリールカ ルボン酸が実質的に非極性の液状有機溶媒に入ってい る溶液で構成される有機相と(ii)水相を生じさせ、 G)該相の少なくとも一部を互いに分離し、そして H)該実質的に非極性の液状有機溶媒の少なくとも一部からアリール カルボン酸また置換アリールカルボン酸を結晶化させる、 ことを含む方法。 68. A)における反応生成物組成物に入っている該アリールカルボン酸ま たは置換アリールカルボン酸がラセミ型2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プ ロピオン酸である請求の範囲第67項記載の方法。 69. A)における極性有機溶媒が本質的に少なくとも1種の液状ケトンま たは少なくとも1種の液状ニトリルまたはそれらの混合物から成りそしてA)に おける少なくとも1種のエーテルが本質的にテトラヒドロフランから成る請求の 範囲第68項記載の方法。 70. B)の無機塩基の水溶液が水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム またはそれらの両方が10から50重量%入っている水溶液でありそしてB)の 蒸留を実施する前に上記溶液を該反応生成物組成物と混合する請求の範囲第69 項記載の方法。 71. 上記実質的に非極性の液状有機溶媒が少なくとも1種の液状芳香族炭 化水素である請求の範囲第69項記載の方法。 72. 該非酸化鉱酸が硫酸である請求の範囲第69項記載の方法。 73. A)における極性有機溶媒が本質的にジエチルケトンから成りそして A)における少なくとも1種のエーテルが本質的にテトラヒドロフランから成り 、B)の無機塩基の水溶液が水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムまたは両 方が10から50重量%入っている水溶液であり、B)の蒸留を実施する前に上 記水酸化ナトリウムもしくは水酸化 カリウムまたは両方が入っている溶液を該反応生成物組成物と混合し、該非酸化 鉱酸が硫酸であり、そして上記実質的に非極性の液状有機溶媒が少なくとも1種 の液状芳香族炭化水素である請求の範囲第68項記載の方法。 74. A)における極性有機溶媒が本質的にジエチルケトンから成りそして 上記少なくとも1種の液状芳香族炭化水素が本質的にトルエンから成る請求の範 囲第73項記載の方法。 75. A)における反応生成物組成物に入っている該アリールカルボン酸ま たは置換アリールカルボン酸が2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸で ある請求の範囲第67項記載の方法。 76. A)における極性有機溶媒が本質的に少なくとも1種の液状ケトンか ら成りそしてA)における少なくとも1種のエーテルが本質的にテトラヒドロフ ランから成る請求の範囲第75項記載の方法。 77. B)の無機塩基の水溶液が水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム またはそれらの両方が10から50重量%入っている水溶液でありそしてB)の 蒸留を実施する前に上記溶液を該反応生成物組成物と混合する請求の範囲第76 項記載の方法。 78. 上記実質的に非極性の液状有機溶媒が少なくとも1種の液状芳香族炭 化水素である請求の範囲第76項記載の方法。 79. 該非酸化鉱酸が硫酸である請求の範囲第76項記載の方法。 80. A)における極性有機溶媒が本質的にジエチルケトンから成り、A) における少なくとも1種のエーテルが本質的にテトラヒドロフランから成り、B )の無機塩基の水溶液が水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムまたは両方が 10から50重量%入っている水溶液であり、 B)の蒸留を実施する前に上記水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムまたは 両方が入っている溶液を該反応生成物組成物と混合し、該非酸化鉱酸が硫酸であ り、そして上記実質的に非極性の液状有機溶媒が少なくとも1種の液状芳香族炭 化水素である請求の範囲第75項記載の方法。 81. A)における極性有機溶媒が本質的にジエチルケトンから成りそして 上記少なくとも1種の液状芳香族炭化水素が本質的にトルエンから成る請求の範 囲第80項記載の方法。 82. (a)1種以上の第二級もしくは第三級アミン類をハロゲン化水素受 容体として含有する液状の極性有機溶媒中でアリールハライドおよび/または置 換アリールハライドによるビニルオレフィンのパラジウム触媒使用アリール化を 行うことでアリールオレフィンまたは置換アリールオレフィンとハロゲン化水素 酸アミンが液状の極性有機溶媒に入っている反応生成物組成物を生じさせ、そし て(b)上記反応生成物組成物の少なくとも一部を希酸水溶液と混合することで 、(i)上記アリールオレフィンもしくは置換アリールオレフィンが入っている 有機相と(ii)溶解しているハロゲン化水素酸アミンが入っている酸性の水相 を生じさせ、そして(c)上記相の少なくとも一部を互いに分離することを含む 方法。 83. (a)におけるアリールハライドおよび/または置換アリールハライ ドがアリールブロマイドまたは置換アリールブロマイドでありそして上記希酸水 溶液が希塩酸水溶液である請求の範囲第82項記載の方法。 84. (c)で分離した有機相の少なくとも一部にパラジウム触媒使用カル ボキシル化を受けさせてアリールカルボン酸もしくはエステル または置換アリールカルボン酸もしくはエステルを生じさせることを更に含む請 求の範囲第82項記載の方法。 85. 該パラジウム触媒使用カルボキシル化がアリールカルボン酸もしくは 置換アリールカルボン酸を生じさせるパラジウム触媒使用ヒドロカルボキシル化 である請求の範囲第84項記載の方法。 86. (c)で分離した水相の少なくとも一部と無機強塩基を一緒に混合し て無機ハロゲン化物の水溶液と遊離アミンを生じさせることを更に含む請求の範 囲第85項記載の方法。 87. 該アリールハライドおよび/または置換アリールハライドがアリール ブロマイドまたは置換アリールブロマイドである請求の範囲第86項記載の方法 。 88. 上記アリールブロマイドまたは置換アリールブロマイドが2−ブロモ −6−メトキシナフタレンである請求の範囲第85項記載の方法。 89. 上記1種以上の第二級もしくは第三級アミン類が本質的にトリエチル アミンから成りそして上記希酸水溶液が希塩酸水溶液である請求の範囲第88項 記載の方法。 90. 上記アリールブロマイドまたは置換アリールブロマイドが2−ブロモ −6−メトキシナフタレンである請求の範囲第86項記載の方法。 91. 上記1種以上の第二級もしくは第三級アミン類が本質的にトリエチル アミンから成りそして上記希酸水溶液が希塩酸水溶液である請求の範囲第90項 記載の方法。 92. 上記アリールブロマイドまたは置換アリールブロマイドが4 −ブロモイソブチルベンゼンである請求の範囲第85項記載の方法。 93. 上記1種以上の第二級もしくは第三級アミン類が本質的にトリエチル アミンから成りそして上記希酸水溶液が希塩酸水溶液である請求の範囲第92項 記載の方法。 94. 上記アリールブロマイドまたは置換アリールブロマイドが4−ブロモ イソブチルベンゼンである請求の範囲第86項記載の方法。 95. 上記1種以上の第二級もしくは第三級アミン類が本質的にトリエチル アミンから成りそして上記希酸水溶液が希塩酸水溶液である請求の範囲第94項 記載の方法。
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