JP2001505043A - 遺伝子導入 - Google Patents

遺伝子導入

Info

Publication number
JP2001505043A
JP2001505043A JP50225698A JP50225698A JP2001505043A JP 2001505043 A JP2001505043 A JP 2001505043A JP 50225698 A JP50225698 A JP 50225698A JP 50225698 A JP50225698 A JP 50225698A JP 2001505043 A JP2001505043 A JP 2001505043A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
hscs
gene
cell
hydroxyurea
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP50225698A
Other languages
English (en)
Inventor
伸子 内田
ツカモト・アン
ワイスマン・イルヴィング
Original Assignee
ノバルティス・アクチエンゲゼルシャフト
システミックス・インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ノバルティス・アクチエンゲゼルシャフト, システミックス・インコーポレイテッド filed Critical ノバルティス・アクチエンゲゼルシャフト
Publication of JP2001505043A publication Critical patent/JP2001505043A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/87Introduction of foreign genetic material using processes not otherwise provided for, e.g. co-transformation
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K48/00Medicinal preparations containing genetic material which is inserted into cells of the living body to treat genetic diseases; Gene therapy

Abstract

(57)【要約】 本発明は、遺伝子導入に先立ち、該細胞をヒドロキシ尿素と接触させてG0にある造血幹細胞(HSCs)を活性細胞周期に誘導することによって、HSCsへの遺伝子導入を最適化する方法を提供する。本発明方法は、遺伝子治療によって適切に治療されるか、又は造血細胞が関与する疾患に苦しむ患者の治療に有用である。本発明は又、ヒドロキシ尿素を投与してHSC収率を増加させて、骨髄移植の効率を増大させる方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 遺伝子導入技術分野 本発明は、造血幹細胞遺伝子治療及び骨髄移植に関する。背景技術 殆どの成熟血液細胞の寿命は短く、成人の生活を通して連続的に入れ替わらな ければならない。成熟血液細胞の一生の間の生産は、主に骨髄に位置する多能性 の造血幹細胞(HSC)の小集団に負っている。これらの幹細胞は、自己複製が 可能である他に、赤芽球、骨髄性細胞、及びリンパ系細胞という主な三種類の子 孫細胞(progenitor)の内の一つに不可逆的に係わる子孫細胞を生産することが 出来るものである。赤芽球子孫細胞からは赤血球が生じる。骨髄性細胞系列(系 統)からは好中球及び単球、並びに血小板、肥満細胞、好酸球及び好塩基球が生 じる。リンパ系細胞系列からはB及びTリンパ球及びNK細胞が生じる。 幹細胞には実質的な自己複製能及び全ての造血細胞系列に増殖・分化すること のできる能力があるので、数々の遺伝子治療方法の標的としてこの幹細胞が選ば れている。遺伝子導入が成功するには、所望遺伝子を発現する修飾細胞及びその 子孫細胞を有する個人が再び長期間、生存することができなければならない。造 血細胞に影響を与える疾患は数多 くあり、それら疾患を軽減したり治療したりする為に、遺伝子治療及び/又は骨 髄移植は有用である。このような疾患には、重度複合免疫不全 球貧血等がある。血球は限られた生活サイクルを有しているので、T細胞のよう なより成熟した造血細胞への遺伝子導入では、せいぜい、一時的な治療効果しか 与えることが出来ない。例えば、SCID患者には、正常なADA遺伝子を該患 者のリンパ球内にエキソビボ(生体外)で導入して、こうして遺伝子導入された リンパ球を再び患者に注射して戻すような治療が施されている(Biotechnology N ews(1993)13:14)。効果的な治療の為には、ADAを有するリンパ球を六ヶ月 毎に注入しなければならない。HSC内にADA遺伝子を導入することができれ ば、ADAを有する幹細胞が骨髄を再び占めて(repopulate)、完全に該疾患を治 療することができるので、上記のような複数回の治療をする必要がなくなる。即 ち、造血幹細胞の導入及び移植によって、患者の生存期間中、遺伝的に修飾され た造血細胞の連続的供給を確保する手段を提供することができるので、遺伝子治 療の努力はこの造血幹細胞に集中している。造血幹細胞には、造血システムが何 らかの理由により使い果たしたような場合に、血球数を回復する為の最終的な責 任がある。 DNA及びレトロウイルス並びにその他の核酸輸送ビークルが遺伝子治療にお いて遺伝子の導入に使用されて来た。遺伝子治療を行う為の核酸形質導入の媒体 として、レトロウイルスベクターは形質導入効率が高い為に、他のベクターより も好まれてきた。他の利点として、遺伝子の再配列の可能性が低いこと、目的遺 伝子の導入コピー数が一つ又は少ないことがある。しかしながら、骨髄には幹細 胞は数少なく、主に静止 (quiescent)状態にあるので、HSCsに形質導入することは困難な作業であ る。レトロウイルスの組み込み、HSCs及びそれらの子孫への安定的な形質導 入の為には、該細胞が活性な細胞周期(サイクル)の状態であることが要求され る。幹細胞の大部分は細胞周期のGO期にあり、即ち、それらは活性化されてサ イクリングしていない、即ち、周期状態にない(Gordon et al.(1994)Leukemi a 8:1068-1073)。HSC形質導入の為の条件を最適にする為の努力は、周期にお ける幹細胞の割合を増加させることに集中されていた。 サイトカインが培養幹細胞におけるサイクリングを誘発させる為に使用されて きた。例えば、Reddy et al.(1995)Exp.Hematol.22:813には、IL−3, IL−1α,bFGF、GM−CSF、G−CSF、CSF−1及び幹細胞因子 から成るサイトカインカクテルに反応して、精製した骨髄幹/子孫細胞がGO/ G1からS期にインビトロで同期で進行したことが報告されている。Peters et al.(1995)Exp.Hematol.23:461には、IL−3,IL−6,IL−11及び SCFから成るサイトカインカクテルを使用して骨髄をインビトロで48時間培 養することによって、マウス造血子孫細胞を増殖させたことが記載されている。 しかしながら、これら又はその他のサイトカインカクテルによる処理では細胞分 化を引き起こしてしまい、多能性が喪失してしまう。IL−7は、急性リンパ芽 球白血病(ALL)から単離した白血病細胞を後期G1に捕捉することによって 、該白血病細胞のインビトロにおける増殖を阻止することが見出された。しかし 、かかる増殖阻害は細胞の成熟が伴うものであった(Skonsberg et al.(1991) Blood 77::2445-2450)。もう一つの方法では、マウス骨髄細胞をイソロイシン欠 如培地で培養するこ とによってG1/G0期で捕捉した(Reddy et al.(1995)Exp.Hematol.23:8 13)。 採取した骨髄細胞をサイトカイン中で予め培養(前培養)することは、該細胞 を剌激して活性細胞周期に入れることによつてレトロウイルス形質導入効率を増 大させる為に日常使用されている。レトロウイルスによる組み込みを増大させる 為のこのようなプロトコールの一つは、Kittler et al.(1994)Blood 84:344A に記載されている。この操作では、単離したマウス骨髄細胞をサイトカインカク テルを含有する培地中で48時間前培養し、その後、更に48時間同じサイトカ イン及び培地中でレトロウイルスプロデューサーセルラインと共に培養し、該細 胞を宿主マウスに注射する。しかしながら、この操作法によれば、骨髄内の移植 レベルが低く、骨髄又は末梢血内へのレトロウイルスによる形質導入を達成する ことは出来なかった。もう一つの試みは、骨髄移植の前に、マウスをウイルス生 産細胞(プロデューサーセルライン)と共に培養するに先立ち又はその間、5− フルオロウラシル(5−FU)及び増殖因子(IL−3,IL−6又は両方)で 前処理することである(Bodine et al.(1991)Exp.Hematol.19:206)。しかし ながら、5−FUは毒性薬物である。この毒性は後述する実施例で示す(表3)。 サイトカイン又はその他の試薬を用いて幹細胞を細胞周期に入れる契機とする 為のこれまでに報告された方法は、殆どがインビトロ又はエキソビボで実施され たものであった。デカペプチド(pEEDCK)2をマウスに注射して、静止状 態のコロニー形成ユニット(CFUs)を細胞周期に入れる契機とし、幹細胞集 団の増大を誘発した例が一つある (Paukovis et al.(1995)Cancer Research Therapy & Control,4:203-209)。 従って、長期間に亘って造血幹細胞の遺伝子治療が成功する為には、効率的な ベクターの組み込み及び造血細胞の多能性を維持することの必要性が残されてい る。多能性を喪失することなく、活性周期にあるHSCsを増加させ、それに誘 導する為の方法を確立することが望まれている。更に、この方法は、治療を受け る患者にとって最小限の毒性でインビボに適用できなければならない。本発明は 、これらの要求を満たし、関連する利点も提供できるものである。 本発明は、哺乳動物の造血幹細胞(HSCs)への遺伝子導入を増大する方法 であって、遺伝子導入前に、該HSCsを、活性サイクリング(actively cycli ng)するHSCsの数を少なくとも1.5倍に増加させる為に有効な量のヒドロ キシ尿素(HU)と接触させること、から成る方法を提供する。この方法は、イ ンビトロ、インビボ、又はエキソビボで遺伝子導入を実施するのに適している。 本発明の別の態様として、遺伝子導入によって軽減(緩和)される疾患に苦し む患者の治療法であって、GOにあるHSCsを活性細胞周期に入れるのに有効 な量のヒドロキシ尿素を該患者に投与するか、又は、後期G1初期S期において 治療間隔が周期に入った全ての細胞を集め、その後に、該疾患を軽減するのに適 したウイルスによる形質導入によって有効量の治療用遺伝子を投与すること、か ら成る治療法を提供する。 更に本発明の態様として、骨髄移植の効率を増大する方法であって、骨髄を採 取する前に、ヒドロキシ尿素を骨髄提供者(ドナー)に投与する方法を提供する 。骨髄提供者は、該提供者から幹細胞を採取する前に、移植に利用できるHSC sの数を少な〈とも1.5倍に増加させるのに有効な量のヒドロキシ尿素を投与 される。 更に、本発明の態様として、サイクリングする造血幹細胞(HSCs)に対す る、被験試薬の生物学的効果をスクリーニングする方法であって、以下の工程: a)インビトロでHSCs集団を活性サイクリングするHSCsの数を少なく とも1.5倍に増加させるのに有効な量のヒドロキシ尿素で処理し; b)ヒドロキシ尿素で処理されたHSCs集団を培養中で該被験試薬と接触さ せ; c)HSCsに対する、HSCsの分化、増殖又は自己複製から成る群から選 択される該試薬の生物学的効果を決定するのに適した条件下で、工程b)のHS Csをアッセイする、ことから成る方法。図面の簡単な説明 図1は、パネルAからパネルGにおいて、サイトカイン及び/又は化学治療剤 による可動化(mobilisation)に続く、骨髄及び末梢における活性細胞周期での HSCsのパーセンテージを示す。マウスHSCsは、c−kit+Thy−1.1lo Lin-/loSca−1+(KTLS)に対する染色に基づいて選択し、ヒトH SCsは、CD34+Thy−1+ Lin-を選択した。BMは骨髄、MPBは可動化末梢骨髄、CTXLはシクロ スフォスファミドを示す。 図2は、パネルAからパネルFにおいて、ヒドロキシ尿素による処理が骨髄( BM)におけるHSCsのパーセンテージを増加させること(パネルA対パネル B)、更に、可動化末梢HSCを分裂周期に誘発及び/又は集積することを示し ている。 図3は、パネルAからパネルFにおいて、KTLS幹細胞の単離に先立ち3日 間HU(100mg/kg/day)で処理したマウスから分離した、精製c−kit+Thy −1.1loLin-/loSca−1+(KTLS)幹細胞の移植による多系列(系 統)再構成(multilineage reconstitution)を示す。各マウスにおける移植K TLS細胞から発生したLy−5を有するMac−1+&Gr−1+,B220+又 はCD3+細胞のパーセンテージを各パネルに示す。上の列は10KTLS細胞 を注射されて第24週に分析されたマウスを示す。下の列は50S/G2/MR h123midKTLS細胞を注射されて第16週に分析されたマウスを示す。 図4は、正常、非−HU処理マウスにおける各Thy−1.1loLin-/loS ca−1+HSCsの生産的生存期間(productive lifespan)の例である。提供 者の印がついた幹細胞の長期間及び一時的な再構成は、末梢血におけるMac− 1/Gr−1細胞の運命を追跡することによって検出される。 図5は、HU処理マウスから単離され、提供者の印がついたThy−1.1lo Lin-/loSca−1+(KTLS)HSCsのインビボでの生産的生存期間(p roductive lifespan)を示す。グラフは、10HU処理されたKTLS細胞(L y−5.2)+105正常骨髄細胞(Ly−5.1)の競合的再構成アッセイを 示す。 図6は、競合的再構成アッセイにより分析した、1日当たり約100mg/kg/ body weightのHUで処理したマウスから単離され、提供者の印がついたc−kit+ Thy−1.1loLin-/loSca−1+(KTLS)HSCsのインビボでの 生産的生存期間を示す。これらの図は、以下に示すような競合的アッセイにおい て、如何に幹細胞クローンが致死的に放射線を浴びたマウスを再構成するかの代 表的な二つの例である。長期の多系列再構成(multilineage reconstitution) 及び一時的骨髄発生を伴う多系列再構成の両者を示す。長期間の再構成では、骨 髄性細胞(Mac−1&Gr−1)は末梢血に捕捉されているか、又は消滅しな い。 図7は、ローダミン(Rho123)及びヘキスト33342染色で表わされ る、ヒドロキシ尿素で処理したマウス骨髄から単離したKTLSHSCsの細胞 周期状態を示すFACSプロットである。 図8は、非HU処理マウスと比較した場合に、HU処理マウスから単離したH SCs(KTLS)におけるNGFR遺伝子導入効率が高いことを示す。 図9は、Thy−1+CD34+Lin−MPB細胞からの後期(6週)CA FC活性の大部分がエキソビボHU暴露の二日後に維持されていることを示す。 ソートされたThy−1−及びThy−1+細胞をHU(100μg/ml)、 TPO,IL−6及びSyS1上の幹細胞因子(steel factor)の存在下で培養 した。CAFCアッセイはSyS1ストロマ層を使用してTPO,IL−6及び 幹細胞因子の存在下で実施した。 図10は、ヒトThy−1+HSCsを、無血清及びストロマなしの培養条件 における初期S期で同調させる(synchronise)為のエキソ ビボでのHU投与の力価を示す。2x104のCD34+Thy+Lin-MPB 細胞をFLK2L(300ng/ml),TPO(100ng/ml),IL− 3(10ng/ml),IL−6(10ng/ml),無血清およびストロマな しのエキソビボ培地で培養した。 図11は、エキソビボでのHU投与によって、細胞周期の初期S期で同調が起 こり、ヒトCD34+Thy−1+HSCsにおけるLyt−2導入遺伝子発現 が成功したことを示している。 図12は、骨髄におけるHSCs(KTLS細胞)の数が、PBSコントロー ル又はCTX処理マウスと比べて、HU処理したマウスにおいて増加したことを 示す。 図13はベクターpPG855を示す。 図14は、インビトロでのHU処理後の、精製マウスKTLS細胞の細胞周期 分析を示す。KTLS細胞はBMから単離され、a)サイトカインなし(72% 生存)、b)サイトカイン類IL−6,SFL及びTPO(95%生存)、c)H U(100μg/ml)及びサイトカイン類(78%生存)、又はd)HU(10 0μg/ml)及びサイトカイン類、と共に24時間培養し、細胞を洗浄してH Uを除去し、更にサイトカイン類と共に24時間培養した(92%生存)。FAC Sプロットはヘキスト33342染色対前方散乱(forward scatter)を表示し ている。G0−G1又はS/G2/M期の細胞のパーセンテージを、各FACS プロットの、それぞれ左又は右側に示してある。培養開始前に、KTLS細胞の 約6%がS/G2/MM期にあった。この試験の間、前方散乱測定のファインゲ インセッティング(fine gain setting)は校正ビーズを使用して標準化した。 本発明は、形質導入に先立ち、活性細胞周期にあるHSCsの割合を増加させ ることによって、遺伝子導入及び遺伝子治療の間の核酸組み込みを増大させる方 法を提供するものである。本発明方法は、遺伝子治療の準備として薬剤ヒドロキ シ尿素とHSCsを接触させることを含む。接触はインビトロ、エキソビボ又は インビボで実施される。HU処理後に、HSCsを治療遺伝子と接触させる。本 発明では、この接触はインビトロ、エキソビボ又はインビボの如何なる状態で、 及び核酸又は遺伝子がHSCsに組み込まれるような適当な条件下で実施される 方法を提供する。インビトロ又はエキソビボでHU処理又はHU処理と遺伝子導 入が行われる具体例においては、操作された細胞がレシピエント(患者)に導入 される。本発明の目的の為には、HSCsはレシピエントにとって同種又は自己 のものである。 インビボにおいては、本発明は、細胞周期の活性期、即ちG1/S/G2/M 期にある造血幹細胞(HSCs)を集積させる(accumulate)ことによって、造 血幹細胞への遺伝子導入を増大させる方法を提供するものである。これは、対象 に薬剤ヒドロキシ尿素を投与して、遺伝子導入に先立ち又はその準備としてイン ビボでG0期にあるHSCsを活性細胞周期に誘導することによって達成される 。 本発明方法は、ウイルスが媒介する造血幹細胞への遺伝子導入のあらゆる方法 、例えば、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス及びヘルペスウイルスのような DNAウイルスに基づくベクター並びにレトロウイルスに基づくベクターを使用 するウイルスの媒介による遺伝子導入、を含むものである。ウイルスの媒介によ る導入によって組み込み及び維持 が提供される。 本発明方法は、特に、レトロウイルス媒介による遺伝子導入に適している。レ トロウイルス形質導入では、導入配列は標的細胞の染色体DNA内に安定的に組 み込まれる。安定的なプロウイルス組み込みに適した条件として活性サイクリン グ細胞をあげることができる。HSCsは骨髄における全細胞のたった約0.0 1%しか構成せず、非常に少ない数しか存在しない。そしてその大部分は活性サ イクリングにはないものである。本発明の一具体例は、インビボでヒドロキシ尿 素で処理してG0HSCsを同調的に活性細胞周期(G1/S/G2/M期)に スイッチさせることを含む、レトロウイルス媒介による遺伝子導入を増大させる 方法である。この処理は、有糸分裂前の細胞周期の初期(early phase)に細胞 を集積させることに貢献する。周期において幹細胞を集積させることは多くの用 途に役立つものである。そのうち最も重要なのは細胞周期において、レトロウイ ルス感染及びレトロウイルス構築物からの遺伝子の組み込みに対して細胞が最も 感受性になる活性期にあるHSCsの頻度を増加させることである。 細胞周期の様々な段階に対する用語は当該技術分野で共通して使用されており 理解される。G0は細胞周期において休止又は非増殖状態を意味し、G0細胞は サイクリング(周期)していないと考えられる。細胞をG0期を離れて活性周期 、即ち、G1、S、G2、M期に入るように誘発することができる。培養におい ては、例えば、培養培地に増殖因子を添加することでこの誘発を行うことが出来 、これは又細胞の分化を誘発し、それによって細胞の多能性を喪失させてしまう 。 ヒドロキシ尿素は哺乳動物細胞のDNA合成の特異的かつ強力な阻害剤である (Timon(1975)Mut.Res.32:115)。その効果は主にリボヌクレオチドレダクターゼ を阻害し、それによって必須DNA前駆体の新生(de novo)合成を減少させ、 その結果、細胞周期の初期s期に細胞を集積させる(Eriksson et al.(1987)Exp. Cell.Res.168:79-88)。HU投与によって細胞周期で可逆的G1/S阻害が引き 起こされる(Morse et al.(1969)Proc.Soc.Exp.Biol.Med.130:986;Bhuyan et al .(1973)CancerRes.33:888)。HUの臨床投与は既に認可されており、現在、例 えば、慢性骨髄性白血病(CML)の治療等の、抗がん剤として使用されている 。進行した腫瘍(neoplasma)がある成人CML患者が11日の平均継続期間5 0mg/kg/dayの経口投与で治療された(Kennedy(1992)Seminars in Oncology,1 9:21-26)。本発明方法では、患者はHUで、はるかに短い期間、例えば、一般的 には約3日間だけで処置することが出来る。しかしながら、所望の結果を得る為 に必要で効果的な任意の期間、治療を続けることができる。この治療では如何な る毒性の問題も提起されなかった。実際、ヒトの治療に関わる本発明方法でヒド ロキシ尿素を使用する主な利点は、その毒性が低いか又は無視できる程度だから である。 HUによるインビボでの処理でも骨髄におけるHSCsを富化させるので、本 発明は、幹細胞の採取前に、骨髄提供者に有効量のHUを投与することから成る 、骨髄移植の為の造血幹細胞収率の増加方法も含む。 インビボにおけるHUによる処理で細胞をG1/S期に集積させ、全HSCs 数を増加させることが出来るということは、HSCsの分化、 増殖及び自己複製に関与する細胞周期の特異的因子を同定し、単離し、研究する ことにも役に立つものである。HSC周期調節、増殖及び分化をより理解するこ とは、造血細胞の疾患の治療に重要であり、このような知識は、例えば、抗増殖 薬剤をがん患者に投与する時期及び条件を最適化することを容易にし、又は、様 々なHSC病態における薬剤治療に対する標的としての新たな細胞周期特異的蛋 白質を提供するものである。HUで処理された細胞は、例えば、増殖阻害し、又 はG1/Sに停止した(arrested)細胞周期を逆転させる薬剤のスクリーニング するアッセイに使用することが出来る。従って、本発明のもう一つの態様は、H SCsをHSC増殖を誘発するのに有効な量のHUと接触させ、停止した(arre sted)又は増殖する細胞における特異的な因子の存在に関してHU処理細胞を分 析することから成る、該細胞特異的因子の同定方法である。HU処理細胞を非H U処理コントロール細胞には存在しない変化について分析することも出来る。こ のような変化は、既存蛋白質のレベルの差、新規な蛋白質の合成、その生物活性 を活性化又は抑制するような既存蛋白質の変化、蛋白質の機能的複合体への会合 という形態をとることが有り得る。 別の態様として、細胞をHUで処理し、その後に、HUの効果を阻害又は逆転 させる能力に関して被験試薬(試験物質)をスクリーニングすることが出来る。 この場合、コントロール細胞は、試験物質の非存在下でHUで処理するか、又は 、HUの非存在下で試験物質で処理する。 例えば、HU処理の前又は後で提供者からHSCsの適当な試料を除去する。 インビトロでのHU処理は、CD34+Thy−1+Lin- (ヒト)又はマウスkit+Thy−1.1loLin-/loSca−1+(KTLS) 幹細胞集団を選択し、インビトロでHSCsを活性細胞周期に誘導するのに有効 な量のHUを接触させる。HU処理細胞をサイクリングHSCsに対する効果に 関して試験する試薬と接触させる。被験試薬との接触は、該試薬及びその目的、 即ち、HU処理の前、同時、又はその後か等に応じた様々な時間間隔で実施する ことが出来る。ついで、細胞を、増殖、自己複製又は分化を助ける条件の下で培 養する。そして、細胞を分析して被験試薬の細胞周期状態に与える生物学的効果 を本明細書に記載し具体化されたアッセイを用いて測定する。アッセイすべき特 に好適な生物学的効果は増殖の阻害効果である。1.ヒドロキシ尿素処理及び遺伝子導入 本発明のHSCs及びその子孫の安定的形質導入によって、ヒトに対する改良 された方法が提供される。しかしながら、これらの方法は任意の適当な対象、即 ち、マウス、犬、猫、馬、サル等の哺乳動物で実施することが出来る。本発明で 処理された哺乳動物は、遺伝子導入及び遺伝子治療の研究の為に役立つ動物モデ ルを提供する。該方法のインビトロでの適用は遺伝子治療の研究及び前臨床応用 の為のアッセイ系を提供する。 本発明は又、好ましくはHUで行う。しかしながら、毒性がなく細胞をG0期 から活性サイクルに誘導できる試薬は本発明において適切に代わって使用するこ とが出来る。 造血細胞は、HSCs、赤血球、好中球、単球、血小板、マスト細胞、 好塩基球及び好酸球、B及びTリンパ球及びNK細胞並びにそれぞれの系列の子 孫細胞(lineage progenitor cells)を含む。本明細書において、「造血幹細 胞(HSC)」とは、全ての定められた血液リンパ系列における子孫を生み出す 能力のある原始(primitive)又は多能性造血幹細胞を意味し、限られた数の幹 細胞は致死的に放射線を浴びたマウスを完璧に再構成して長期間生存させること が出来なければならない。ヒトにおいては、CD34+Thy−1+Lin-造血 幹細胞はマウスkit+Thy−1.1loLin-/loSca−1+(KTLS)造血 幹細胞の均等物であり、多系列造血幹細胞の実質的に純粋な集団である。 初期の研究によって、CD34+細胞は多能性造血幹細胞に富んでいることが 示唆された(U.S.Patent No.5,035,994)。ツカモト他の米国特許第5,061,620では B細胞及び骨髄性細胞子孫がCD34+細胞集団の80−90%を占めることが 述べられている。Terstappen et al.(1992)Blood 79:666-677は、CD34抗 原密度が造血細胞の成熟と共に減少し、CD38細胞集団が増加することを示唆 している。更なる研究によって、CD34発現は多能性幹細胞に限られたもので はないことが示された。CD34発現がThy−1に対する選択と組み合わされ て、系列に関与する細胞を5%以下しか含まないような組成物が単離された(U.S .PaLtent No.5,061,620,columns4-5)。 Lin-は、系列陰性である細胞、即ち、T細胞と関連するマーカー(例えば、 CD2,3,4及び8)、B細胞と関連するマーカー(例えば、CD19,19及 び20)、骨髄性細胞と関連するマーカー(例えば、CD14,15,16及び3 3)、ナチュラルキラー(NK)細胞 と関連するマーカー(例えば、CD2,16及び56)、RBCと関連するマーカ ー(例えば、グリコフォリンA)、並ぶに巨核球(CD14)、マスト細胞、好酸球 又は好塩基球と関連するマーカー、のようなマーカーを欠いた細胞を意味する。 かかる陰性選択は当該技術分野で公知である。このような系列特異的マーカーの 欠如又は低発現は、所謂「陰性(負)選択」において有用である細胞特異的マー カーに特異的な抗体の結合がないことにより同定される。系列特異的マーカーと しては、これらに限定されるものではないが、好ましくは、少なくともCD2, CD14,CD15,CD16,CD19,CD20,CD38,HLA−DR 及びCD71の一つがあり、より好ましくは、少なくともCD14及びCD15 である。本明細書において、Lin-は、少なくとも一つの系列特異的マーカー の欠如に基づき選択された細胞集団を意味する。細胞特異的マーカーに特異的な 抗体は、例えば、Becton Dickinson,Caltag,AMAC及びATCC等から市販されて いる。 細胞表面マーカーの有無を決定する方法は当業界で公知である。典型的には、 該マーカーに特異的に反応する標識抗体を用いて細胞集団を同定する。抗体を、 例えば、これらに限られるものではないが、酵素、磁気ビーズ、コロイド状磁気 ビーズ、ハプテン、蛍光物質、金属化合物、放射活性化合物又は薬剤等の他の物 質に結合することが出来る。抗体に結合することが可能な酵素には、例えば、ア ルカリフォスファターゼ、ペーオキシダーゼ、ウレアーゼ、β−ガラクトシダー ゼ等が含まれる。抗体に結合することが可能な蛍光物質には、例えば、フルオレ セイン、イソチオシアネート、テトラメチレンローダミン‐イソチオシアネート フィコエリスリン、アロフィコシアニン、及びテキサスレッド(Texas Red )が含まれる。抗体に結合することが可能なその他の蛍光物質に関しては、Haugl and,R.P.,Molecular Probes:Handbook of Fluorescent Probes and Research Ch emicals(1992-1994)を参照されたい。抗体に結合することが可能な金属には、例 えば、フェリチン、コロイド金、及び特に、コロイド超常磁性ビーズがある。抗 体に結合することが可能なハプテンには、例えば、ビオチン、ジゴキシジェニン 、オキサザロン、及びニトロフェノールがある。抗体に結合すること、又はその 中に取り込むことが可能な放射活性化合物には、例えば、テクネチウム99m(9 9 Tc),125I及び、例えば、14C,3H及び35Sのような任意の核種を含むアミ ノ酸がある。 エキソビボ及びインビトロ細胞集団には、例えば、骨髄、成人及び胎児の両方 、可動化抹消血(mobilized peripheral blood:MPB)及び臍帯血から得た細胞集 団がある。臍帯血の使用に関しては、例えば、lssaragrishi et al.(1995)N.Eng l.J.Med.332:367-369で議論されている。まず最初に、例えば、回腸(例えば、 腸骨稜を経た腰骨から)、頚骨、大腿骨、脊椎、又はその他の骨腔のような骨髄 源から骨髄を採取する。幹細胞のその他の取得源としては、例えば、胚卵黄嚢、 胎児肝臓、胎児脾臓等がある。その他の幹細胞特異的マーカーに対する陽性選択 による、幹細胞の単離の為の更なる富化又は精製操作又は手段を講じても良い。 本発明をインビトロ又はエキソビボで実施するときには、遺伝子導入及び/又 はHU処理に先立ち、CD34+Thy−1+Lin-細胞を富化させるようにす ることが望ましい。好ましくは、細胞集団をまず負選 択技術にかけ、系列特異的マーカーを発現している細胞を除去し、系列陰性(ネ ガティブ:Lin-)を維持する。 決められた系列の細胞を最初に除去することによって細胞を単離する為に、様 々な技術を用いることが可能である。特定の細胞系列及び/又は分化段階に関連 したマーカーを同定する為には、モノクローナル抗体が特に有用である。抗体を 固体支持体に付着させて粗単離を行うことが出来る。用いる単離技術は、回収す る画分の生存期間を最大限にするようなものでなければならない。効率の異なる 様々な技術を使用して「比較的粗い」単離を行うことが出来る。このような単離 では、マーカーを有していない全細胞の10%以下、通常約5%以下、好ましく は約1%以下が、保持されるべき細胞集団と共に残ることがある。使用すべき特 定の技術は、単離効率、関連毒性、安全性、及び操作の安全及び速度、装置及び /又は技術が優れていることへの要求度に依存している。 単離操作として、例えば、物理的単離、磁気単離、抗体標識磁気ビーズ、アフ ィニティクロマトグラフィー、モノクローナル抗体に結合した、又はそれと一緒 に使用する、例えば、補体及びサイトトキシンのような細胞毒性物質、及び、例 えば、板のような固体マトリックス上に付着した抗体によるパニング(panning )並びに懸濁単離又は分離洗浄(elutriation)又はその他の便利な技術のよう ながある。 物理的単離技術を使用するのであれば、例えば、物理的(密度勾配遠心単離及 び向流遠心単離洗浄)、細胞表面(レシチン及び抗体親和性)、及び生存染色性( ミトコンドリア結合色素rho 123及びDNA−結合色 素Hoechst 33342)の差異に基づくものを挙げることが出来る。これらの操作は 当業者には良く知られている。 正確な単離が可能な好適技術には、例えば、複数のカラーチャンネル、低角度 及び鈍角光散乱検出チャンネル、インピーダンスチャンネル等で様々な程度に複 雑化・精巧化することの出来る、フローサイトメトリーがある。光散乱特性に基 づいたフローサイトメトリーで細胞を選択することもでき、このような場合、幹 細胞は低い側面散乱及び低い又は中程度の前方散乱プロフィールに基づいて選択 される。サイトスピン(Cytospin)調製によって、濃縮された幹細胞は成熟リン パ系細胞から成熟顆粒球までの大きさを有することが示された。 説明の為に、第一単離において、典型的には最初に約 1x108-9、好まし くは5x108-9の細胞を第一蛍光色素で染色し、一方、様々な決定された系列 に対する抗体に第一蛍光色素とは異なり区別可能なスペクトル特性を有する蛍光 色素を結合させる。各系列は二以上の単離工程で単離されるが、望ましくは、幹 細胞マーカーであるCD34+及びThy−1+に対して正の選択がなされるのと 同時に系列は単離される。死亡細胞に結合する色素(例えば、よう化プロピジウ ム(PI))を用いて、死亡細胞から(生存)細胞を選択・単離する。好ましくは 、2%FCS含有培地に細胞を回収する。これらの技術は公知であり、様々な文 献に記載されている(例えば、米国特許5,061,620、米国特許5,40 9,813、国際公開WO95/05843、Yau,et al.(1990)Exp.Hematol. 18:219-222;Takaue(1986)Am.J.Hematol.(1986)23:241-262)。 本発明方法のインビトロ及びエキソビボでの適用において、細胞を骨髄単離物 から回収する。説明の為、適当な溶液を用いて骨髄を洗浄する。この溶液には、 例えば、一般的には約5−25mMの低濃度の許容可能な緩衝剤と共に牛胎児血 清(FCS)又は他の天然因子が便宜に添加された、塩溶液がある。便宜な緩衝 剤には、例えば、HEPES、リン酸緩衝及び乳酸緩衝剤がある。又は、従来の 方法によって、骨髄を骨から吸引する。 細胞分離(cell sorting)として以下のプロトコールを例示する。新鮮なMP B(可動化抹消血)試料をSanderson chamber(Beckman,Palo Alto,CA)を備 えたJE5.0 Beckman向流洗浄器(elutriator)で洗浄する。細胞を0.5%ヒト 血清アルブミン(HSA)添加の洗浄液(Biowhittaker,Walkersville,MD)pH 7.2に再懸濁させる。ロータ回転速度を2000prmにセットし、細胞を入れ 、最初の画分を流速9.6ml/分で回収する。画分2及び3を、それぞれ流速1 4ml/分及び16ml/分で回収する。チャンバーに残った大きな細胞はロータを 止めた後に回収する。細胞を,5%HSA,10Tg/ml DNasel及びペニ シリン(50U/ml)/ストレプトマイシン(50Tg/ml)添加のRPMIに再 懸濁させる。画分2及び3を集め、1mg/ml熱不活性化ヒトγ―グロブリンとイ ンキュベートして非特異的Fc結合を阻止する。CD15結合磁気ビーズ(Dyna l M450,Oslo,Norway)とインキュベートした後、磁気選択することで、顆粒球 を更に除去する。 抗CD34抗体、例えば、Tuk3(IgG3)、又はIgG3イソ タイプのコントロールを、抗Thy−1抗体、例えば、GM201,と共に5Tg /mldで、氷上の染色緩衝液(HBSS,2%FCS,10mM HEPES)中の細胞に20分間 で添加する。細胞をFCSアンダーレイ(under lay)で洗浄し、Texas Red結合 ヤギ抗マウスIgG3抗体及びフィコエリスリン結合ヤギ抗マウスIgG1抗体 と共に、20分間氷上でインキュベートする。ブロッキングIgG1を10分間 添加する。ブロッキングした後に、FITC結合系列抗体パネルを添加し、更に 20分間、氷上でインキュベートする。最終洗浄の後に、細胞をよう化プロピジ ウム(Pl)含有染色緩衝液中に再懸濁させる。 細胞を二重アルゴンイオンレーザーを備えたFACSTAR Plusセルソ ーターで単離する。第一のレーザーは、488nmで照射され、色素レーザー( Rhodamine 6G)は600nmで照射される(Coherentlnnova 90,Santa Cruz, CA)。残存赤血球、細胞分解物及び死亡細胞は光散乱ゲーティング及びFL3 (Pl)低ゲートによって除外する。FACSによる細胞集団の単離に続いて、 試料をHBSS中で1:1に希釈し、ペレッティングし、血球計数計による計測 の為にHBSS中に再懸濁させる。 CD34+細胞は成人骨髄(ABM)から、ビオチン化抗CD34抗体(K6 .1)、及びビオチン競合遊離を用いて正に選択される(PCT公開第W094 /02016)。 幹細胞を抹消血に可動化させる方法は、当業界で公知であり、化学治療剤、サ イトカイン(例えば、GM−CSF,G−CSF又はIL−3 )又はそれらの組み合わせによる処理が一般的である。典型的には、全白血球の 数が500−2000細胞/TIに達し、血小板の数が50,000細胞/TI に達すると、全白血球の消失(apheresis)が始まる。 HU処理後に、治療遺伝子を細胞に形質導入する。好ましくは、形質導入はレ トロベクターのようなベクターを介してなされる。形質導入がエキソビボで行わ れる場合には、形質導入された細胞はその後にレシピエントに投与される。この ように、本発明は、本明細書に記載した方法によってエキソビボ又はインビボで 遺伝子を投与することから成る、HSCs内への遺伝子導入によって治療し得る 疾患の治療方法を包含する。例えば、I−サラセミア、鎌状赤血球貧血病、アデ ノシンデアミナーゼ欠損症、リコンビナーゼ欠損症、リコンビナーゼ調節遺伝子 欠損症等を治療遺伝子を導入することで直すことが出来る。遺伝子治療の他の適 用として、正常幹細胞に薬剤耐性遺伝子を導入して、化学治療に際して優位性を 与え、及び選択圧の対象にすることである。適当な薬剤耐性遺伝子には、例えば 、多薬剤耐性(MDR)蛋白質をコードする遺伝子がある。 これらの造血細胞に関連する疾患以外の病気もまた、該病気が、例えば、ホル モン、酵素、インターフェロン、増殖因子等の特定の分泌生産物の欠損に関連す るものであれば、遺伝子修飾によって治療することができる。適当な調節開始領 域を使用することによって、欠損蛋白質の生産を誘発することが出来、該生産は 通常かかる蛋白質を生産する細胞とは異なる細胞型で行われるものの、該蛋白質 生産は自然の生産に匹敵するものとなる。リボザイム、アンチセンス、又は、特 定遺伝子生産物又 は病気、特に造血リンパ指向性の病気に対する感受性を阻害する為の他の情報( メッセージ)を挿入することも可能である。 ヒドロキシ尿素はHSC遺伝子治療を受けている個人に投与される。HU処理 を受けている個人は遺伝子治療を受けている患者である必要はなく、遺伝子治療 によって軽減されるような疾患に苦しむ患者、例えば、HSC欠損若しくは欠失 患者、又は直接HU処理を受けることが不可能な患者に対する健康な骨髄提供者 もHU処理を受ける個人となり得る。HU処理し骨髄への遺伝子導入が成功した ら、形質導入されたHSCsをドナー(提供者)から単離し、遺伝子治療を必要 としている患者に移植する。別の方法として、HSCsを取り出し、エキソビボ でHUと接触させて形質導入する。HU処理によって多能性幹細胞が富化される ので、幹細胞の採取及びレシピエントへの移植前にHUを受けた骨髄提供者は、 移植用に富化されたHSCs集団を提供する。本発明はこの治療方法も同様に包 含するものである。 ヒドロキシ尿素(HU,CH422)はHydreaとしてBristol−Myers Squibb(Evansville,IN)から市販されている。HUは結晶性の粉末であり水に 容易に溶解し、アルコールには僅かに溶ける。本発明の目的には、HUは、例えば 、プロドラッグのような、全ての薬学的上活性な誘導体(例えば、該化合物のN −置換及びO−置換アナログ)を包含する。本明細書において、「ヒドロキシ尿 素(HU)」という用語は、全ての薬学上活性なアナログ、誘導体及びプロドラッ グを包含する。 HUによるDNA合成阻害は用量依存的である。該薬剤の半減期は約 5時間である。HUは様々なガン治療及び鎌状赤血球貧血病の臨床治療に使用さ れている。成人CML患者は50mg/kg/dの経口役与で平均11日間の治療を受 けている(Kennedy(1992)Seminars in Oncology,19:21-26)。鎌状赤血球貧血は 、初期投与15mg/kg体重/日、12週毎に5mg/kg体重/日増加させて、2年 間迄の治療期間によって効果的に治療することが出来る。投与は経口錠剤によっ て行う(Charche et al.(1995)N.Eng.J.Med.332:1311-1322)。HUの静脈注 射は、週3回で48時間かけて48グラム迄は、安全であることが示された(Vea le et al.(1988)Chemother.Pharmacol.21:53-56)。 本発明において、細胞周期のGOにあるHSCsをG1/G2/M期に入らせ るのに有効な量でHUを対象者に投与する。この量は、当業者にはなじみの方法 で容易に決定することが出来る。例えば、HU投与量の滴定をヒトボランティア に投与して、細胞周期のG1/G2/M期にあるHSCsの数に対する各投与量 の効果を求める。適当なコントロールとして、HU処理前及び/又はプラセーボ 処理された、サイクリングHSCsの数の数も求められる。逆効果又は毒性なし に、活性サイクリングするHSCsの数が平均して最高になるような用量が最適 (至適)用量であり、通常、治療で使用される用量である。最適用量は治療対象 (年齢、一般的健康状態、性別等)及び投与経路に応じて変化するものと理解さ れたい。これらの変数は効果的及び最適用量を決定する際に考慮される。有効用 量を決定する際には、異なる薬剤投与経路で試験する必要がある。例えば、同時 に行われている他の医療行為との適合性がない等の様々な理由から、特定の患者 に対して最適用量よりも低い値のHUが使用される例がある。しかしながら、G 1/G2/M期にあるHS Csの数を、非HU治療状況に比べて、少なくとも1.5倍、好ましくは2倍又 はそれ以上に増加するのに有効な如何なるHU用量も、遺伝子導入効率を増大さ せる。従って、本発明の目的の為に、「増大(増加)」という用語は、非HU処 理対象又はコントロールに対して少なくとも1.5倍の増大を意味する。HUの 有効量は一般的に10−200mg/kg体重/日であり、該薬剤は連続約2日、一 般的には2〜14日間投与される。ある特定例では、細胞周期のG1/G2/M 期にあるHSCsを少なくとも10−20%増加させるに有効な量のHUが投与 される。HU処理期間が長くなるにつれてサイクリングHSCsのパーセンテー ジが増大する。薬剤投与の変更が要求される毒性は、好中球の絶対数が2.5× 109以下、血小板数が100,000/mm3以下、及びHb濃度減少が20% 以上と定義される(Vichinsky and Lubin(1994)Blood 83(4):1124-1128)。イン ビトロHU処理の為には、用量は0.1から100μg/mlエキソビボ媒体であ る。特に好適なHU濃度は約10μg/mlエキソビボ媒体である。 HU処理の直前に骨髄細胞の試料を採り、対象HSCsの細胞数及び細胞周期 状態に対するベースラインを提供することが望まれる。特定のHSCsがいる細 胞周期の期は当該技術分野で公知の標準操作で決めることが出来る。G1を特異 的にアッセイしてG1とGOとを区別するのは困難である場合があるので、S, G2及びM期にあるHSCsの定量が通常細胞周期へのHUの効果の指標として 用いられる。S,G2及びM期にあるHSCsはヘキスト色素、3HUTP又は よう化プロピジウム(Pl)等で測定することが出来る。上記及び後述の実施例 に記載したように、骨髄細胞試料を取得し染色する。ヒトにあっては、CD34+ Thy−1+Lin-に対して染色される細胞を単離し、ローダミン染色し、次 にヘキスト色素で染色して、フローサイトメトリーを使用して後述の実施例に記 載したように、ローダミン蛍光強度について分析する。 本発明方法においては、HUは、例えば、経口、静脈注射、ドリップ、腹腔又 は皮下経由による連続注入等の様々な経路で投与される。便宜的には、例えば、 調整放出剤形のような様々な製剤でHUは経口投与される。HUはGI管によっ て容易に吸収される。研究によれば、経口投与されたHUは肝臓で分解されて呼 吸二酸化炭素として排出され、尿中に尿素及び元のままで排出される。 HUは投与方法によって様々な単位用量形態で投与される。例えば、経口投与 に適した単位用量形態には、粉末、錠剤、ピル、カプセル、及び糖衣錠がある。 静脈投与には、薬学上許容し得るキャリア、好ましくは水系キャリアにHUが溶 解又は懸濁した溶液がある。徐放性製剤又は徐放性運搬ビークルは連続的投与に 望ましい。 遺伝子治療において、各個人は約10−200mg/kg体重(b.w.)/日であり 、好ましくは、約50mg/kg体重(b.w.)/日、より好ましくは、約100mg/ kg体重(b.w.)/のHUによる予処理を受ける。この処理期間は連続約2−14 日、好ましくは、連続約2−7日、より好ましくは、3日間である。一つの態様 として、HUは、一日に等量で数回、合計50−150mg/kg体重(b.w.)/日 を経口投与される。例えば、約12時間の間隔で一日2回50mg/kg体重(b.w. )の経口投与を受ける。別の方法として、患者は一日2〜3回の規則的な間隔で HUを注射 される。HUは、上記のVichinksy及びLubin(1994)に記載されたような良く知 られた方法で、連続的に、即ち、滴下(ドリップ)によって投与することも出来 る。好適例においては、個人は、遺伝子治療又はHSC採取に先立ち、連続2〜 7日間100mg/kg体重(b.w.)/日のHUを経口投与される。形質導入はHU 治療の間又はその後に実施される。 一具体例において、HUは薬学上許容し得るキャリア内で投与される。本明細 書中で、「薬学上のキャリア」又は「薬学上の希釈剤」とは、それ自体はHUに 係わる活性を有しておらず、単一の固体又は液体物質、又は何種類かの固体、液 体又はその両方の物質から構成されている。HUに対する薬学上のキャリアとし て使用できる物質の例としては、ゼラチンカプセル;乳糖及びショ糖のような砂 糖類;コーンスターチ及びポテトスターチのような澱粉類;カルボキシメチルセ ルロースナトリウム、エチルセルロース、メチルセルロース、及びセルロースア セテートフタレートのようなセルロース誘導体;ゼラチン;タルク;ステアリン 酸;ステアリン酸マグネシウム;ピーナッツオイル、ココナッツオイル、ゴマ油 、オリーブオイル、コーンオイル、及びココアバターのような植物油;ポリピレ ングリコール;グリセリン;ソルビトール;ポリエチレングリコール;水;アガ ー;アルギン酸;等張性塩溶液;及びリン酸緩衝溶液、更に、着色剤、芳香剤、 保存剤等の、薬剤に使用されるその他の非毒性で適合性のある物質を挙げること が出来る。薬学上許容し得るキャリアは、例えば、Merck Index,Merck & Co., Rahway,New Jerseyに記載されている。 HU処理に続いて、この処理を受けた個人のHSCsは、適当な任 意のベクター、好ましくは適当な治療遺伝子を有するウイルスベクターによるウ イルス感染/形質導入を利用する遺伝子導入に処される。適宜、HU処理の後で 遺伝子治療の前に、全HSCs数及びサイクリングHSCs数を定量することが 望ましい。この定量は、上記操作によって行うことが出来る。遺伝子導入用ベクター 本明細書中で使用する「ウイルスベクター」は、in vivo,ex vivoもしくはin vitroのいずれかで宿主細胞に送達されるべきポリヌクレオチドを含む組換え的 に産生されたウイルスまたはウイルス粒子であると定義される。遺伝子導入がレ トロウイルスによって仲介されるという態様において、ベクター構築物とはレト ロウイルスゲノム又はその一部と治療遺伝子とを含むポリヌクレオチドを指す。 本明細書中で使用する「レトロウイルス仲介遺伝子導入」または「レトロウイル ス形質導入」は同じ意味を有し、宿主細胞に入ってそのゲノムを宿主細胞ゲノム に組込むウイルスによって遺伝子もしくは核酸配列が安定に宿主細胞に移入され る工程を指す。そのようなウイルスはその通常の感染機構を介して宿主細胞に入 ってもよいし、あるいはウイルスが異なる宿主細胞表面レセプターに結合して該 細胞に入るように改変されてもよい。本明細書で使用するレトロウイルスベクタ ーは、ウイルスもしくはウイルス様移入機構により外因性核酸を細胞内に導入す ることが可能であるウイルス粒子を意味する。 レトロウイルスはRNAの形態で遺伝情報を保有しているが、一旦ウイルスが細 胞に感染するとRNAはDNA形態に逆転写され、そのDNAが感染された細胞ノゲノムD NAに組込まれる。組込まれたDNA形態はプロウイ ルスと呼ばれる。 本発明の方法で有用なレトロウイルスベクターは本分野ですでに教示されてい る手法によって組換え的に産生される。たとえば国際公開WO94/29438には、レト ロウイルスパッケージングプラスミドおよびパッケージング細胞系の構築が記載 されている。当業者には明らかであるように、本発明の方法で有用なレトロウイ ルスベクターはHSCに感染可能である。ベクターを構築したり細胞をトランスフ ェクトおよび感染したりするために使用される技術は当業界で広く実施されてい る。レトロウイルスベクターの具体例はマウス、トリ、霊長類レトロウイルスに 由来のものである。モロニー(Mo)マウス白血病ウイルス(MuLV)に基づくレト ロウイルスベクターは、ヒト細胞に効率的に感染するレトロウイルス変異体を容 易に入手可能であるという理由のためにもっとも一般的に使用されている。他の 適するベクターにはギボン・アペ白血病ウイルス(GALV)またはHTVに基づくベ クターが含まれる。 モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)に由来のレトロウイルスベクター構 築物の製造においては、多くの場合、ウイルスのgag、polおよびenv配列をウイ ルスから除去して外来DNA配列を挿入するための部屋がつくられる。外来DNAによ ってコードされる遺伝子は通常、LTR中の強いウイルスプロモーターの調節下に 発現される。そのような構築物は、gag、polおよびenv機能がパケージング細胞 系によってトランスに付与される場合に、効率的にウイルス粒子にパックされる 。すなわち、ベクター構築物がパケージング細胞系に導入される際には、細胞に よって産生されるgag-polおよびenvタンパク質がベクターRNAとともに集合して 感染性ビリオンを形成し培養培地中に分泌される。このように生成したウイルス は感染して標的細胞のDNAに組込まれるが、しかし必須 のパッケージング配列を欠くため感染性ウイルス粒子を産生しない。現在使用さ れるほとんどのパッケージング細胞系は、各々が必要なコーディング配列の1つ を含む別個のプラスミド類によつてトランスフェクトされており、それで複製コ ンピテントウイルスが生成され得る前に複数の組換え事象が必要である。あるい は、パッケージング細胞系は組込まれたプロウイルスを保有するが、このプロウ イルスは、感染性ウイルスを組立てるのに必要なタンパク質の全てを産生するが それ自身のRNAはウイルスにパッケージされ得ないように無力にされている。そ の代わり、組換えウイルスから産生されるRNAがパッケージされる。このように 、パッケージング細胞から放出されるウイルスストックは組換えウイルスだけを 含む。 レトロウイルスもしくはレトロウイルスベクターによって感染され得る宿主細 胞の範囲はウイルスエンベロープタンパク質によって決まる。組換えウイルスを 用いて、パッケージング細胞が提供するenvタンパク質によって認識される実質 的に全ての他の細胞型に感染させることができ、それにより、形質導入された細 胞中へのウイルスゲノムの組込みと外来遺伝子産物の安定な生成が生じる。一般 に、MoMLVのマウス同種指向性(ecotropic)envはげっ歯類細胞の感染を可能に するが、両種指向性(amphotropic)envはげっ歯類、トリ、およびヒトを含むい くつかの霊長類細胞の感染を可能にする。MoMLV系で使用される両種指向性パケ ージング細胞系は当分野で公知であり市販されており、以下のものに限定されな いがPA12およびPA317を含む。Millerら(1985)Mol.Cell.Biol.5:431-437;Mille rら(1986)Mol.Cell.Biol.6:2895-2902;およぴDanosら(1988)Proc.Natl .Acad.Sci.USA 85:6460-6464。ヒト細胞の感染も可能である異種指向性ベク ター系もある。 レトロウイルスベクターの宿主範囲は、基体ウイルスのenvタンパク質を第二 ウイルスのenvタンパク質と置換することによって変えられてきた。その結果得 られた「擬似型の」ウイルスは、エンベロープタンパク質を提供しパッケージン グ細胞系によって発現されるウイルスの宿主範囲をもつ。最近、MoMLV envタン パク質に代えて水庖性口炎ウイルス(VSVG)由来のG-糖タンパク質が置換された。 Burnsら(1993)Proc Natl.Acad.Sci.USA 90:8033-8037およびPCT特許出願W092/ 14829。感染は特異的レセプターに依存しないため、VSV-G擬似型ベクターは広い 宿主範囲をもっている。 通常、ベクターは少なくとも2つの異種遺伝子もしくは遺伝子配列、すなわち (i)導入されるべき治療遺伝子および(ii)被感染細胞の探索を可能にするマー カー遺伝子を含む。本明細書中で使用する「治療遺伝子」は完全な遺伝子であっ てもよいし、あるいは欠陥のある内因性遺伝子に起因する患者における欠損を補 うことが可能な機能的に活性な前記遺伝子の断片だけであってもよい。治療遺伝 子はまた、アンチセンス抑制に有用なアンチセンスオリゴヌクレオチドもしくは 遺伝子、ならびにリボザイム仲介療法用のリボザイムも包含する。有力な阻害性 オリゴヌクレオチドおよびペプチドをコードする治療遺伝子ならびに調節タンパ ク質およびオリゴヌクレオチドをコードする遺伝子も本発明に包含される。一般 に遺伝子治療は単一治療遺伝子の導入を含むが、特定の疾患の治療では2つ以上 の遺伝子が必要となることもある。一実施態様において、治療遺伝子は欠陥遺伝 子の正常すなわち野生型コピーか、あるいは機能的相同体である。別の実施態様 では、治療遺伝子は野生型の有力な阻害性変異体である。ベクターあたり2つ以 上の遺伝子を投与することが可能であるし、あるいは数個の適合性ベクターを用 いて2つ以上の遺 伝子を送達することもできる。遺伝子欠陥に応じて、治療遺伝子は調節配列と非 翻訳配列を含むことができる。ヒト患者の遺伝子治療のための治療遺伝子は一般 にヒト起源のものであるが、遺伝子産物がレシピエント体内で有害な免疫反応を 誘発しない場合には、ヒトにおいて高い相同性と生物学的に同一もしくは等価な 機能を示す他の近縁種由来の遺伝子を使用してもよい。たとえば、その遺伝子産 物がヒトにおいてグルコースをグリコーゲンに変換することが可能である霊長類 インスリン遺伝子はヒト遺伝子の機能性等価物であると考えられるだろう。治療 への使用に適する治療遺伝子は疾患によって変わる。たとえば、鎌状赤血球貧血 SCIDの治療に適する遺伝子は正常ADA遺伝子である。 治療遺伝子のヌクレオチド配列は当分野で一般的に知られるだろうし、あるい はGenBankのような種々の配列データベースから得ることができる。治療遺伝子 自体は一般的に入手可能になるだろうし、あるいはポリメラーゼ連鎖反応PCR(P erkin-Elmer)や他の標準組換え技術を用いて単離およびクローン化できる。い かなる治療遺伝子も適合性制限断片として切り出して造血細胞内で治療遺伝子を 適正に発現することを可能にするような方法でベクター中に配置することができ る。 DNA構築物が組込まれていない細胞に対するDNAが組込まれた細胞の選択とうま くいった形質導入の監視のために、マーカー遺伝子をベクター中に含ませること ができる。マーカー遺伝子の多くがG418もしくはハイグロマイシンに対する耐性 のような抗生物質耐性マーカーを含むが、これらに限定されない。あまり便利で はないが陰性選択を使用することが可能であり、マーカーは、以下のものに限定 されないが、細胞をアシクロビルやガンシクロビルのような薬剤に感受性にする HSK-tk遺伝 子である。あるいは、安定な細胞表面マーカーを用いてFACS細胞選別によってト ランスジーンを発現する幹細胞を選択することができる。NeoR(ネオマイシン/G 418耐性)遺伝子が通常使用されるが、元々レシピエント細胞にその配列が存在 しない好都合のマーカー遺伝子を用いることができる。 ウイルスベクターを改変して、キメラエンベロープタンパク質もしくは非ウイ ルス性膜タンパク質をレトロウイルス粒子中に導入して粒子の安定性を改善した り宿主範囲を拡大すること、あるいは感染中に細胞型特異的ターゲッティングを 可能にすることができる。宿主範囲を変えたレトロウイルスベクターの作製はた とえば国際公開WO92/14829およびWO93/14188に教示されている。in vivoで特異 的細胞型にターゲットできるレトロウイルスベクターも、たとえばKasaharaら( 1994)Science266:1373-1376に教示されている。Kasaharaらはウイルスエンベロ ープタンパク質と融合されたヒトエリスロポエチン(EPO)からなるキメラエン ベロープタンパク質を有するモロニー白血病ウイルス(MoMLV)の構築を記載し ている。このハイブリッドウイルスはEPOレセプターをもつヒト赤血球前駆細胞 に対し組織向性(tissue tropism)を示し、したがって鎌状細胞貧血およびサラ セミアの遺伝子治療に有用である。HSCの感染を特異的にターゲットすることが できるレトロウイルスベクターがin vivo遺伝子治療にとって好ましい。 種々の慣用的方法でウイルス構築物を作製することができる。所望の性質たと えば長末端反復、マーカー遺伝子及び制限部位を提供するとともに、当分野で公 知の技術でさらに改変することが可能である非常に多くのベクターが入手できる 。構築物は、細胞表面をコードする遺伝子または分泌タンパク質が適正に翻訳後 プロセシングされて、適切には細胞 表面上で発現されることを保証するシグナルペプチド配列をコードしていてもよ い。外来遺伝子は細胞特異的プロモーターの調節下にあるのが好ましい。 導入された遺伝子の発現は遺伝子導入及び所望の効果に応じて種々の方法で調 節することができる。すなわち、特定の生理学的条件下でのみ、あるいは特定の 細胞型において遺伝子を構成的に発現させるプロモーターの調節下にトランスジ ーンをおくことができる。 レトロウイルスLTR(長末端反復)はin vivoで大部分の造血細胞で活性であり 、一般に挿入配列の転写およびそれら配列の構成的発現に関わるだろう(Ohashi ら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.89:11332;Correllら(1992)Blood80:331)。他 の適当なプロモーターとして、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)即時型初期プ ロモーター、ならびにモロニーマウス肉腫ウイルス(MMSV)、ラウス肉腫ウイルス (RSV)または牌臓細胞増殖巣形成ウイルス(SFFV;Spleen Focus Forming Virus )のU3領域プロモーターが含まれる。 特定細胞型中で導入配列を発現させるために使用され得るプロモーターの具体 例として、T細胞およびNK細胞での発現用のグランザイム(Granzyme)A、幹細胞 および前駆体細胞中での発現用のCD34プロモーター、細胞毒性T細胞での発現用 のCD8プロモーター、ならびに骨髄性細胞での発現用のCD11bプロモーターが含ま れる。 特定の生理学的条件下での遺伝子発現のために、誘導性プロモーターを用いる こともできる。たとえば親電子物質反応要素を用いて親電子性分子との反応で化 学抵抗遺伝子(chemoresistance gene)の発現を誘導することができる。治療上 の利益はさらに、適当な局在性配列を結合することによって遺伝子産物を適当な 細胞位置たとえば核にターゲットす ることで増大させ得る。 ベクター構築物は感染性ビリオンを作り出すパッケージング細胞系中に導入さ れる。高力価の複製欠陥組換えウイルスを産生できるパッケージング細胞系は当 分野で知られている。たとえば国際公開WO94/29438を参照のこと。in vivo感染 のために、トランスフェクション後48時間の上清のろ過によるなどの当分野で公 知の方法を使用して細胞上清からウイルス粒子を採集し精製する。ウイルスカ価 は、(レトロウイルスに応じた)一定数の適当な細胞を滴定量のウイルス上清で 感染することによって決定される。形質導入効率はFACSとサザンブロッティング とによって48時間後にアッセイできる。 ウイルス形質導入後、形質導入された幹細胞またはそれらの子孫中のウイルス ベクターの存在がPCRなどによって証明できる。PCRを実施してマーカー遺伝子、 またはウイルスにより形質導入された他の配列、を検出することが可能である。 一般に、定期的に血液サンプルを採取し、たとえばNeoR遺伝子をマーカーとして 使用する場合にはNeoRプローブを用いてPCRを行うのが便利である。骨髄細胞も しくは成熟造血細胞中におけるウイルスにより形質導入された配列の存在は、形 質導入されたHSCによるうまくいった再構成の証拠である。PCR技術および試薬は 当分野で周知(一般に、PCR Protocols,A Guide to Methods and Applications .Innis,Gelfand,Sninsky & White,eds.(Academic Press,Inc.,San Diego ,1990を参照のこと)されているし、また市販(Perkin-Elmer)されている。 本発明の方法の別の実施態様において、遺伝子導入はex vivoで行われる。HU 処理の前かあるいはその処理後にドナーの骨髄または末梢血からHSCを採集し、 適する治療遺伝子を保有するレトロウイルスベクタ ーに感染させる。形質導入の前および、いくつかの態様では形質導入中に、有効 なレトロウイルス感染およびHSCへの組込みを可能とする量ならびに適する条件 下でHUを形質導入培地に加えることができる。HSC 遺伝子治療の応用 単一遺伝子中の損傷を起因とする多数のヒト遺伝病は遺伝子治療の主要な候補 である。本明細書中で使用する「遺伝子治療」または「遺伝子導入」は、治療力 のある療法を目的とした細胞への遺伝子挿入と定義される。特に幹細胞遺伝子挿 入による遺伝子治療には多くの応用があり、それらの応用は周知されかつ広く論 評されている。 HSCを使用する遺伝子治療は、一般に欠陥タンパク質の産生あるいはその遺伝 子の異常レベルの発現を生じさせるリンパ性細胞および骨髄性細胞中の遺伝子異 常を治療するために有用である。これらの疾患のいくつかについては、欠陥遺伝 子の正常コピーもしくは機能性相同体の導入ならびに喪失遺伝子産物の少量産生 でさえ有益な効果がある。同時に、遺伝子産物の過剰発現が有害な作用を及ぼす とも思われない。HSCへの遺伝子導入が潜在的に有用である非網羅的な疾患リス トを以下に記載する。一般にこれらの疾患は骨髄障害、赤血球細胞欠陥、代謝障 害などを 細胞貧血、ならびにグロビン遺伝子または凝固因子遺伝子に欠陥がある血友病A およびBのような血液細胞の遺伝子障害の治療のために有益である。別のよい具 体例はバブルボーイ(bubble boy)症候群としても知られる重度複合免疫不全症( SCID)の治療であり、この疾患では患者はTおよびBリンパ球に対し毒性で ある特定の副産物の排除を助けるアデノシンデアミナーゼ(ADA)を欠損し、 感染に対して患者を無防備 にさせる。そのような患者は、過去にそうされたように患者のリンパ球の代わり にADA遺伝子を彼らのHSCに導入することによって遺伝子治療を受ける理想 的候補者である。他の疾患としては、好中球が欠陥のあるシトクロムbを発現す る慢性肉芽腫症、ならびにマクロファージ中の異常なグルコセレブロシダーゼ遺 伝子産物に起因するゴーシェ病が含まれる。 種々の形態の癌を治療するための戦略にも遺伝子治療が含まれる。レトロウイ ルスベクターは癌細胞を特異的に死滅させるのに有効なたとえばトキシンもしく はアポトーシス誘導物質をコードする遺伝子を保有することができる。腫瘍細胞 の特異的死滅は、腫瘍細胞だけが自殺遺伝子を発現する条件下でその自殺遺伝子 を癌性造血細胞に導入することによっても達成可能である。自殺遺伝子産物は通 常では無毒性の薬剤を毒性誘導体に変換することによって細胞に致命的な感受性 を付与する。たとえばシトシンデアミナーゼ酵素は無毒性物質である5’−フル オロシトシンを毒性誘導体である5−フルオロウラシルに変換する(Mullenら(1 992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:33-37)。腫瘍特異的リンパ球を遺伝子的 に改変してたとえば抗腫瘍活性をもつ遺伝子産物を腫瘍部位に限局的に送達し、 これらの遺伝子産物の全身的送達と結び付いた毒性を包囲する。遺伝子治療法は また化学療法の毒性作用に対して骨髄細胞を耐性にさせるためにも適用できる。 また遺伝子治療を用いてたとえばHIVおよびHIV−1感染のようなウイル ス感染を予防または撲滅することができる。たとえばHSCをHIVによる感染 に対して耐性となるように遺伝子的に改変することができる。1つのアプローチ はアンチセンスRNAを使用するか、あるいは存在するウイルス制御経路を壊す ことによつてウイルス遺伝子発現を 特異的に阻害することである。レトロウイルスRNAに相補的なアンチセンスR NAはいくつかのレトロウイルスの複製を阻害することが示されている(Toら(1 986)Mol.Cell.Biol.6:4758-4762;HopperとCoffin(1988)GluzmanおよびHug hes編,Current Communications in Biology,Viral Vectors. Cold Spring Harb or Laboratory,Cold Spring Harbor,NY,pp.139-145)。このレトロウイルスには HIV(RhodesとJames(1991)AIDS5:145-151)およびHTLV−1(von Reud enら(1991)J.Virol.63:677-682)が含まれている。 HSCにおける遺伝子治療の使用を見出すことができる別の領域は自己免疫疾 患を軽減することにある。その治療遺伝子は、たとえば自己反応性細胞の死およ び排除を生じさせる正常なアポトーシスシグナルを再構成することが可能なBも しくはT細胞シグナル伝達分子をコードすることができる。 II.骨髄移植 本発明はまた、移植前にHSC収量を増加するのに有効な量でヒドロキシ尿素 を骨髄ドナーに投与することによって骨髄移植の効能を高める方法を提供する。 本発明の好適実施態様において、ドナーから幹細胞を採集する前に移植のために 入手し得るHSCの数を少なくとも1.5倍まで増加させるのに有効な量でHUを 投与する。HUは上述のとおり投与することができるが、経口または静脈内投与 が好ましい。HU処理後、骨髄細胞を採集し、骨髄移植の当分野で周知の慣用手 順の後でレシピエントに骨髄細胞を移植する。遺伝子療法は移植前に投与できる 。 HU処理で認められた意外でかつ予期せぬ知見は活性周期にあるHSC数の増 加とHSC総数の増加である(表1Aおよび1B参照)。これら の細胞は、実験例で実証されかつ下記の図3に示されるように、移植された宿主 動物での全ての造血系統の再構成によって明らかにされるような多能性(plurip otent)を保持している。このHSCの富化は下記の種々の症状を治療するため の骨髄移植に活用できる。 本発明の方法により、移植前に、HSC数を増加させるのに有効な量のHUで 骨髄ドナーを処理する。この目的は、有害な副作用と毒性を生じさせることなく 、サイクリング(cycling)幹細胞数をHU処理を行わないで得られるものより 多くすることである。好ましくは、骨髄ドナーのHSC数はヒドロキシ尿素投与 後少なくとも1.5倍まで増加する。骨髄ドナーへのHUの投与は遺伝子導入を 高める方法について上記したことと実質的に同じである。最適用量は、上で定義 した付随の毒性を伴わずに最高数のHSCを提供する用量であろう。 HSC数を増加するのに有効なHU量はたとえば1日あたり10200mg/kg体 重の範囲でHUの用量を変えて処理の前後のHSC数を測定することによって容 易に決定できる。HUは変化する時間長たとえば17日の間投与することができ る。HSC数を測定するために、HU処理の前後に骨髄サンプルを単離し、HS Cの指標であるCD34+Thy−1+Lin-表面マーカーについて骨髄細胞を染色する。こ れらの細胞単離と染色手順は当分野で標準的であり下記の実験例で詳細に説明さ れる。骨髄単位容量あたりの存在するCD34+Thy−1+Lin-染色細胞数が、HSC数を 増加するのに有効なHU量を決定するために比較される。最適用量は一般に1日あ たり50mg/kg〜150mg/kg体重の範囲内であり、また処理は約2〜4日の連続した日 数の期間にわたるだろう。好ましくは、ヒドロキシ尿素は静脈内注入または経口 的に投与される。副作用は当分野の薬理学の平均的熟練者に馴染み深いパラメー タを用いて監視される。 骨髄移植レシピエントにその後再導入するために、HU処理したドナーからHSC を採集する。 多くの癌患者が彼らの腫瘍細胞を根絶するために集中的な化学療法および/ま たは放射線療法を受ける。これは数コースの(異なるクラスに属する)化学剤治 療または照射からなる。これらのコースは患者の骨髄細胞上に重い負担をかける 。すなわち、サイクリング(cycling)骨髄前駆体は損傷を受ける可能性がある し、造血幹細胞はそれらの最終的枯渇の危険性を伴う高い区別的ストレスを経験 するだろう。したがって、保護規準が、患者の骨髄を救済するために、および/ または、化学療法もしくは放射線療法を強化するために正当化される。 精製造血幹細胞の骨髄の同種組織移植(autologous transplantation)は、特 定の急性白血病、ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、ならびに 選択された固形腫瘍において集中的な化学/放射線療法から患者を救済する重要 な役割を果たす。 本発明により提供される方法はHSCでの遺伝子導入のための従来のプロトコル のうち少なくとも3つの欠点を克服する。すなわち、in vivoでのHU投与は、サ イトカイン治療で認められる付随する分化あるいは他の薬剤で認められるヒト毒 性を伴うことなく、レトロウイルス感染および核酸の組込みにとって重要なサイ クリングHSCを活性生成するとともに、遺伝子導入または移植用の入手可能なHSC 数を増加させる。 一般に、以後使用する命名法ならびに下記の細胞培養および組換え技術の実験 室手順は当分野で周知されかつ通常使用されている。このような技術や手順は一 般に、当分野の慣用方法および本明細書全体にわたって提供される種々の一般的 参考文献にしたがって実施される。本明細書中の手順は当分野で周知されている と考えられるし、また読み手に便利 なように提供されている。 以下の実施例は本明細書に記載される本発明を説明することを意図したもので あり、発明を制限する意図はない。 以下の実施例は、HUでのマウスのin vivo処理、その結果としてのS/G2/M期で のHSCのパーセンテージの増加、ならびにHSC総数の増加を記載する。これらの実 施例はまた、HU処理されたHSCの、長期の造血再構成を生じさせるための能力を 示す。マウス株 実施例では、以下のマウス株が使用された。すなわち、本実験で使用したC57B L/6-Ly-5.2-Pep3b(Thy-1.2,Ly-5.2),C57BL/Ka-Thy-1.1(Thy-1.1,Ly-5.2),C57 BL/Ka-Ly-5.1(Thy-1.2,Ly-5.1),およびC57BL/6-Ly-5.1-Pep3b-Thy-1.1(Thy-1. 1,Ly-5.1)マウス株(MorseIIIら(1987)Immunogenetics 25:71-78の基づいて規定 した。)を繁殖し、SyStemixのマウス施設に維持した。ヒドロキシ尿素処理の開始 マウスに対し連続的ヒドロキシ尿素処理を開始するために、マウスに10〜1 00mg/kg体重(b.w.)のヒドロキシ尿素を腹腔内注射した。これらのHU処理マ ウスをその後塩酸ケタミン(50mg/kg)と塩酸ジラジン(25mg/kg)の混合物を用 いて麻酔し、ヒドロキシ尿素(10〜100mg/kg/日)もしくは1%ヒト血清アルブミ ン含有PBS(コントロール)を含有する7日または14日浸透圧ミニポンプ(Alz a,Palo Alto,CA)を移植した。1日、3日および5日後に、マウスを犠牲にし 幹細胞を単離するために長骨(マウスあたり2本の大腿骨と2本の脛骨)を得た 。c-kit+Thy-1.1loLin-loSca-1+ 細胞の精製 c-kit+Thy-1.1loLin-/loSca-1+染色細胞はHSCを規定する。ヒドロキシ尿素処 理の開始後1〜5日に脛骨と大腿骨に水をどっと流して骨髄細胞を得た。Thy-1. 1loLin-/loSca-1+細胞を染色し、先にSpangrudeら(1988)Science 241:58-62に 記載されたものに以下の変更を加えて骨髄から該細胞を単離した。次の細胞系統 マーカー抗体すなわち、B系統マーカーB220に対してRAE-6B2,T細胞マーカー に対してRM.-5(CD2),GK.1.5(CD4),53-7.3(CD5)および53.6.72(CD8)、骨髄単球 マーカーに対してRB6-8C5(GR-1)およびM1/70.15.11.5(Mac-1)、ならびに赤血球 に対してTER−119を用いた。細胞系統染色は通常フィコエリトリン結合ポリクロ ーナル抗ラット抗体(Caltag,South San Francisco,CA)を用いて示現化され た。ある場合には、フィコエリトリン結合145―2C11(CD3)mAbもまた添 加された。細胞をビオチニル化Sca-1で染色しMACS磁気ビーズシステム(Milteny l Biotec,Auburn,CA)を使用してSca―1+細胞について陽性選択した。陽性選 択された細胞はさらにフルオレセイン結合19XE5(Thy−1.1)およびアロフィ コシアニン結合2B8(c-kit)およびステプタビジン−テキサスレッド(steptav idin-Texas Red)で染色した。各段階につき氷上で20分間細胞をインキュベート した。最終洗浄の後,1 Tg/mlヨウ化プロピジウムを含むPBS中に細胞を再 懸濁した。標識された細胞を複式レーザーFACS(登録商標;Becton Dickins on Immunocytometory Systems,Mountain View,CA)を使用して分析、選別した 。死細胞はそれらのヨウ化プロピジウム染色特性によって分析から排除された。 細胞選別後、c-kit+Thy-1.1loLin-/loSca-1+細胞の純度をFACS(登録商標) によ る再分析によりチェックした。ローダミン123およびヘキスト33342染色 ローダミン123(Rh123)の染色手順は以下のとおりである。Rh123(Molecul ar Probes,Eugene,OR)の1mg/mlストック溶液を使用直前にエタノール中で調 製し−20℃暗所で保存した。c-kit+Thy-1.1loLin-/loSca-1+の保存細胞を106/ml 以下で2%牛胎仔血清(FCS)含有BSS緩衝液中に再懸濁し、0.2Tg/mlのR h123染料と一緒に37℃30分インキュベートした。細胞を洗浄し,遠心分離し,10 TM Hoechst33342(Molecular Probes,Eugene,OR)と一緒に37℃で40〜60 分間インキュベートしてHoechst染料のDNA標識化とRh123染料の流出を同時に可 能にした。フルオレセインイソチオシアネート(FITC)チャンネルとフィコエリ トリン(PE)チャンネル間で補正設定した後、FITCチャンネル中フローサイトメ トリーによってRh123の蛍光強度を分析した。細胞周期の染色分析の結果につい ては図7を参照のこと。長期再構成分析 このアッセイはレシピエントにおける再構成活性をもつ細胞を直接測定する。 レシピエントマウスを3時間間隔で2つの離れた放射線量で合計レベル1.1Grey まで致死的に照射した。選別した骨髄サブセット細胞を、麻酔したマウスの眼か 後方そう(retro-orbital plexus)に静脈内注射(100Tl/マウス)した。 競合再構成アッセイ用の細胞を調製するために、未照射の宿主コンジェニック 系統からのBM細胞を採集し、96ウエルプレート中120Tl細胞、106細胞/ml濃度 で平板培養した。これらの細胞のc-kit+Thy-1.1lo Lin-/loSca-1+細胞/またはこれらの細胞のサブセットを選別し、宿主コンジェニ ックBM細胞を含むこれらの96ウエルプレート中に自動細胞付着ユニット(ACDU )によって1〜120細胞/ウエルで付着させた。レシピエントマウスに100Tlの1 〜100c-kit+Thy-1.1loLin-/loSca-1+細胞/またはサブセットを、96ウエルプレ ートから採集した105個の宿主コンジェニック骨髄とともに静脈内注射した。長期再構成用の末梢血分析 眼か後方洞(retro-orbital sinus)から4週間毎に1回末梢血を得,赤血球細 胞をmAb染色前に溶解した。Spangrudeら(1988)Science241:58-622に記載のよう にして蛍光免疫染色およびFACS(登録商標)分析を行った。4色蛍光免疫染色を 、B細胞の系統マーカーに特異的なモノクロナール抗体(抗B220)、骨髄性細胞の 系統マーカーに特異的なモノクロナール抗体(抗Gr-1および抗Mac-1)、T細胞の 系統マーカーに特異的なモノクロナール抗体(抗CD3、抗体2C1l)、ならびにドナ ー造血細胞に特異的な対立形質マーカー(抗Ly-5.2、抗体ALI-4A2もしくは抗Ly5 .1、抗A20.1)を用いて実施した。 結果 細胞周期のS/G2/M期でのHSCの通常のパーセンテージは約6〜25%である; 所謂「長期HSC」のうち、すなわち持続した多系統等価物や排他的HSC自己 再生に主として関わるサブセットのS/G2/Mでのパーセンテージは僅か1〜5%以 下である。 実施例1 図1は、サイトカインG−CSFおよび/または化学治療剤による可動化後の 骨髄(BM)中および末梢中の活性細胞周期でのHSCのパーセンテージを示す 。ヒトにおいて、可動化は6g/m2CTXおよび250mg/m2GM-CSFを用いて行った。マウ スでの可動化は200mg/kgCTXおよび190μg/kgGM-CSFを用いて行った。サイトカイ ン処理では、正常BM(マウスBM,図1パネルA;ヒトBM,図1パネルB) と対照的に末梢血での周期のHSCは実質的に皆無であり(マウスMPB,図1 パネルCとE;ヒトMPB,図1パネルDとF)、サイクリング(cycling)細胞 のパーセンテージはすでに低い。 実施例2 実施例1でと同様に可動化を行った。図2は、ヒドロキシ尿素のような細胞周 期遮断剤で処理することによってBM中のHSCのパーセンテージを高めること ができることを示している(図2,パネルA対パネルB)。さらに、HU処理も有 糸分裂周期中に可動化末梢HSCを誘導および/または蓄積する(図2,パネルC 対パネルD)。 実施例3 この実施例では、HUのin vivo投与が骨髄中で活性サイクリングするKTLS細 胞の数を増加させることが示される。PBS処理コントロールとHU処理マウスのBM から単離されたKTLS細胞をHoechst33342で染色する。表1Aと1Bに、HU(10,50 もしくは100mg/kg/日)を1,3および5日間(表1B)ならびに3および5日間 (表IA)注入したマウスからのKTLS細胞の数またはパーセントおよび活性サイク リングする(actively cycling)KTLS細胞のパーセンテージをまとめて示す。 インビボ(in vivo)HU処理: HUの連続注入を開始するために、HU(10〜100mg/kg体重)をマウスに腹腔内注 射した。次いで、これらのHU処理マウスを塩酸ケタミン(50mg/kg)と塩酸ジラ ジン(25mg/kg)の混合物で麻酔し、HUかPBSのいずれかを含む浸透圧ミニポンプ( Alza,Palo Alto,CA)を移植する。 表1A: 表1Aの結果は、3または5日間PBS(コントロール)またはヒドロキシ尿素で 処理されたマウスの長骨中のHSCの総数および活性サイクリングしている(すなわ ちS/G2/M)HSCのパーセンテージを要約している。表1Aから明らかなように、3 および5日間のHUでのin vivo処理の結果、骨髄中のHSCの数および有意にはHSC のパーセンテージ、ならびにS/G2/M期のHSCのパーセンテージがPBS処理コントロ ールよりも増加する。 表1B: 1日ヒドロキシ尿素処理、10mg/kg/日対100mg/kg/日:BM細胞数についてP>0.3 7、BM中のKTLSの%についてP>0.50、KTLS数についてP>0.83およびS/G2/Mにおけ る%KTLSについてP>0.45。 3日ヒドロキシ尿素処理、コントロール対100mg/kg/日:BM細胞数についてP< 0.001(統計的有意差、SS)、BM中のKTLSの%についてP<0.0001(SS)、KTLS数につ いてP<0.005(SS)およびS/G2/Mにおける%KTLSについてP<0.0001(SS)。 5日HU処理、コントロール対100mg/kg/日:BM細胞数についてP>0.07、KTLS頻 度についてP<0.05(SS)、KTLS数についてP<0.005(SS)およびS/G2/Mにおける%KTL SについてP>0.60。 3日100mg/kg/日HU処理対5日100mg/kg/日HU処理:BM細胞数につ いてP>0.17、BM中のKTLSの%についてP>0.09、KTLS数についてP>0.84およびS/G2 /Mにおける%KTLSについてP<0.001(SS)。 15%以下のマウスBMを示す4本の長骨(脛骨と大腿骨)中のKTLS細胞の総数 を測定する。1日目には周期中のKTLS細胞数に有意の変化はない(すなわちS/G2/ M期の細胞、表1Bの説明参照のこと)。マウスを3日間処理したときには、BM細胞 の総数は100mg/kg/日の用量でコントロールレベルの〜59%まで減少する。 逆に、50mgおよび特に100mg用量での3日および5日の処理後、KTLS細胞数は 約3倍増加し、また細胞周期のS/G2/M期のKTLSのパーセンテージは100mg用量で7 .3%(PBS処理群)から22.2%に増加する(表1B)。さらに、マウスを3日間HUで 処理するときには、1日もしくは5日の処理期間と比べてS/G2/M期のKTLS細胞が より多い。100mg/kg/日のHU用量で3日後にS期に最も高い割合のKTLSが蓄積し 、またS/G2/M期において約8倍のKTLS細胞数(1.3×104KTLS細胞)の増加がコン トロール群(1.8×103KTLS細胞)と比較して観察される。 比較のために、別の組のマウスにシクロフォスファミド(CTX)を単回注射で200 mg/kgを注射する。図12は骨髄(BM)中のHSC(KTLS細胞)数がHU処理マウスに おいてPBSコントロールまたはCTX処理マウスと比べて増加することを示している 。 上述のHSCの富化は骨髄移植で活用可能である。 実施例4 図3は、KTLS幹細胞の単離前の3日間100mg/kg/日のHUで処理したマウスから 単離した精製c-kit+Thy-1.1loLin-/loSca-1+(KTLS)細胞を移植することに由来 する多系統再構成を示す。致死的照射を受けた1群 のレシピエントマウスにLy-5マーカーをもつ10個のKTLS細胞を1×105宿主型BM 細胞とともに注射することによって移植した。上側の3つのパネルは24週目に分 析された代表マウスからのデータを示す。第2群のマウスには50個のS/G2/M期Rh 123midKTLSを注射した。下側のパネルは16週目に分析された代表マウスからのデ ータを示す。照射と移植の後、指示されるとおりに末梢血細胞を分析した。代表 マウス中の移植KTLS細胞に由来するLy-5マーカーをもつMac-1+Gr-1+,B220+また はCD3+細胞のパーセンテージは各パネルに示されている。 実施例5 図4は正常のHU未処理のマウスにおける個々のThy-1.1loLin-/loSca-1+HSCの 生産力寿命を例示する。アッセイはUchida,N.,“Characterization of mouse h ematopoietic stem cells(マウス造血幹細胞の特徴付け)”,博士論文,Stanf ord大学,1992に記載のように行った。図4は、ドナー特徴をもつ(donor marke d)幹細胞の長期および一時的再構成を末梢血中のMac-1/Gr-1細胞の運命に従っ て検出できることを示している。 実施例6 図5は、ドナー特徴をもつKTLS HSCのin vivoでの生産力寿命を示す。このHS CはHU処理マウスから単離される。上記のとおりマウスをHUで処理する。個々の マウスでの長期および一時的多系統再構成をそれぞれパネルAおよびBに示す。 代表マウス8457E-3からのパネルAはB(B220)、T(CD3)および単球顆粒球系統(Ma c-1&Gr-1)の長期再構成を示す。8459B-2代表マウスはMac-1およびGr-1細胞表面 マーカーに対 する染色によって分析される単球および顆粒球系統の一時的再構成を示す。その 図からわかるように、長期再構成についての綿密な分析には、通常B細胞(B220 )およびT細胞(CD3)が長期再構成を示すであろうという理由で単球および顆 粒球系統の分析を包含すべきである。 実施例7 図6は、競合再構成アッセイによって分析される、1日あたり約100mg/kg/体 重のHUで処理されたマウスから単離されたドナー特徴をもつc-kit+Thy-1.1loLin-/lo Sca-1+(KTLS)HSCのin vivoでの生産力寿命を示す。10個のHU処理KTLS細胞 (Ly-5.2)を105個の正常BM細胞に移植したレシピエントマウスを24週まで分析 した。分析した23匹の動物のうち10/23が骨髄(myeloid)の一時的多系統を示し ,7/23が持続的(24週まで)多系統再構成を示した。図4との比較からわかるよ うに、Hu処理HSCの再構成プロフィールは正常非HU処理マウスからの幹細胞によ る再構成プロフィールと比較的類似している。 実施例8 HSCの細胞周期状態を、ローダミン(Rhl23)染色およびHoechst 33342を用いるD NA含量についての染色によって決定することができる。図7に示されるように、 Rh123lowest(Rhlo)KTLS細胞はG0/G1期にありがちである(G0/G1,Rh123lo参照)。 S/G2/M期にある細胞のなかにはRho123染料を流出する能力をもつものがある(S/G 2/MRh123mid参照)。 実施例9 表3はヒドロキシ尿素がマウス細胞に対して無毒性であるが、シクロ フォスファミドおよび5−FUは有毒であることを示している。 化学療法薬であるシクロフォスファミド(CTX)および5−フルオロウラシ ル(5−FU)は、in vivo投与後マウスHSCに対するそれらの影響について 検討された。マウスにP8S(コントロール)、50mg/kgの5−FU、または200 mg/kgのCTXを腹腔内注射する。CTXもしくは5−FUの単回注射の3日後 に、KTLS細胞を単離するために骨髄(BM)細胞を採集する。表3は、これらの 異なる処理がBM細胞充実性(4つの長骨における)、BM中のKTLS細胞の評 価数、細胞周期のS/G2/M期における%KTLS,ならびに細胞周期のS/G2/M期に おけるKTLS細胞の評価数に対する影響を示している。CTXもしくは5−F Uの単回注射の3日後、KTLSの評価数は劇的に低下するが、このことは、C TXおよび5−FUがともに所与の用量でマウスHSCに有毒であることを示し ている。マウスに対する5−FU投与の標準用量は150mg/kgであるが、ここでは 毒性を低減するために50mg/kgの5−FUのみが使用される。生存KTLS細胞 は細胞周期の有糸分裂期にあるが、CTXおよび5−FU処理後のS/G2/M期での KTLS細胞数はHU処理マウスからのものと比べて10分の1である。 実施例10 NGFR導入遺伝子(トランスジーン)形質導入のより高い効率がHU処理マ ウスから単離したHSCを用いることによって達成できる。 HU処理マウス(100mg/kg/日で3日間処理)からKTLS細胞を(上記のよ うに)単離し、神経細胞成長因子レセプター(NGRF)をコードするcDNA を含むレトロウイルスPP-A.52.855(下記段落参照)を形質導入する。HU処理マウ スおよび未処理マウスから単離したKTLSを ポリブレンの存在下で3時間(Journal of Virological Methods,60,2,1996, pp171-178,175頁,S.Forestell)に記載の方法に従って)レトロウイルスを用 いるスピノキュレーシヨン(spinoculation)によって形質導入する。その後、 細胞をSteel因子、TPOおよびIL-6の存在下で7日間培養した。細胞を収穫し、mA b8211抗ヒトNGFR(BoehringerMannheim;Indianapolis,Indiana)を用いて染色 することによってトランスジーン発現について調べた。図8において、実験1と 実験2の各パネルの上半分はNGFRトランスジーンの発現に関する。図8に示され るように,ベクターなしにスピノキュレーションされる細胞中でのNGFRトランス ジーンの発現はほとんどないかから全くないかである。これに対して、HU処理マ ウスから単離した細胞の高い割合がNGFRを発現する。さらに、非HU処理細胞に由 来のKTLS細胞ではトランスジーン発現は非常に僅かしか認められない。 以下のプロトコルに従ってPP-A.52.855を得る。初めにプラスミドpPG855をLxS n(Miller A.D.とRosmanG.J.(1989)Bio Techniques 7,980-990:Improved re troviral vectors for gene transfer and expression(遺伝子導入と発現用に改 良されたレトロウイルスベクター))から誘導する。LxSNベクターの3'LTRの一部 とSV2-Neo耐性マーカ-遺伝子に及ぶXhol-XbaDNA断片を、LMSPLベクター(Plavec Iら(1997)Gene Therapy 7:128-139,High trans-dominant RevM10 proteinle vels are require to inhibit HIV-1 replication in cell lines and primary T cells:Implication for gene therapy of AIDS(高トランス優性RevM10タンパ ク質レベルは細胞系および一次T細胞でのHIV-1複製を阻害するのに必要である :AIDSの遺伝子治療の意味))由来のSV2−Puro耐性マーカー遺伝子と置き換え る。次に全長ヒト神経成長因子 レセプターNGFr cDNA(Johnson Dら(1986)Cell 47:545-554,Expression and str ucture of the human NGF receptor(ヒトNGFレセプターの発現と構造))を含む1 .5kbのSacI断片を単一のHpaIクローニング部位にクローン化してpPG855ベクター を生成する(図13参照)。その後、pPG855をProPak-A系(Rigg,(1996)Virology ,218,1:290-295)に導入する。ウイルスベクターPP-A.52.855を含有する上清 をその後調製して集める。 実施例11HU はマウスHSCを可動化することができる CTXやエトポシドのようないくつかの化学療法薬はよく用いられて癌患者から の末梢血中にHSCを可動化する。実施した実験はKTL細胞がHUでの処理(例えば、 3日間HU処理のみ(100mg/kg/日)または3日間HU処理(100mg/kg/日)ののち7 日間G-CSF処理(250μg/日))によって可動化され得ることを示した。 実施例12ヒトでのex vivo処置は後期CAFC頻度を低下しない ヒトHSCに対するHUのex vivo使用実験を開始するために、G-CSF可動化ドナー からThy-1+およびThy-1-CD34+Lin-細胞を単離し、Steel因子、IL-6およびTPOな らびに100μg/mlのHUの存在下、44〜48時間SyS-1(1997年1月28日に寄託されたA TCC CRL-12278)上で培養した。その後,生存するThy-1+およびThy-1-細胞を、玉 石領域形成細胞(CAFC;cobblestone area forming cells)アッセイのため、Stee l因子、IL-6およびトロンボポエチン(TPO)の存在下SyS-1上に再びプ レーティングする。2つの独立した実験において、Thy-1+細胞はHU露呈前に頻 度1/8および1/7で後期CAFC(6週目)を生ずる(図9)。HU露呈の44時間後、Thy-1+細 胞で初期(3から4週目)CAFC活性のいくらかの低下があるが、後期CAFC活性は 1/12および1/11の頻度で維持される。Thy-1-サブセット中のCAFC活性はHU露呈を してもしなくても非常に低い。すなわち、後期CAFC活性によって測定される未発 達のヒトMPBThy-1+HSCは48時間のex vivo HU露呈に対し耐性である。BAX15156お よびMDA15490は特異的組織サンプルである。 実施例13低用量のex vivo HU処理は無血清および無間質条件中での遺伝子導入に使用で きる HUをex vivoで遺伝子形質導入に使用するために、ヒトThy-1+細胞の生存のた めの無血清および無間質培養(stromal free culture)条件に関しHU用量を再び 最適にする必要がある。もし標的細胞が遺伝子形質導入時に細胞周期の後期G1期 または初期S期にあるなら、HU用量は理想的である。精製CD34+Thy-1+Lin-MPB細 胞を48時間,種々の濃度(0.1μg/ml〜100μg/ml)のHUで処理した後、HUの不在下 でさらに72時間培養した(図10)。細胞を100μg/mlのHUで処理したときには,実 質的に全ての細胞が細胞周期のG1期に残留した。生存細胞の53%がThy-1を発現 するが、Thy-1+細胞はこの実験の終了時点でほとんど回収されない。一方、Thy- 1+細胞のなかには、それらが低用量のHUで処理されるとき細胞周期のS期に進む ことができるものもある。大部分のThy-1+細胞は、細胞が10μg/mlのHUに最初の 48時間露呈されるときに回収される;追加の培養期間である72時間後の生存細胞 の46%がThy-1+で ある。 実施例14ex vivo HU投与の結果、細胞周期の初期S期における細胞の同調(synchronisa tion)とヒトCD34+Thy-1+HSCにおける上首尾のLyt-2トランスジーン発現が生じ 無血清条件下でのHUの滴定前に、Sys-1培養系に100μg/mlのHUを用いて細胞が S期に入るのを阻止する(図1)。ヒトCD34+Thy-1+Lin-によって可動化された末梢 血MPB細胞を低用量のHU(10μg/ml)およびサイトカイン類(例えばFLK2/TPO/IL3/ IL6またはTPO/FLK2/IL6/Steel)の存在下SyS-1(1997年1月28日に寄託されたATCC CRL-12278)上に培養するとき、高い割合のThy-1+細胞が細胞周期の初期S期に 同調する(図11)。2つの独立の実験により、30〜50%のThy-1+細胞がSyS-1共培 養の2日後に初期S期に進むことが示される。実験1では上記のスピノキュレー ション法によって、これらの細胞にPPA.6 Lmilyベクターが形質導入される。さ らに4日間細胞を培養しLyt-2トランスジーン発現についてテストする。約25% の細胞が依然としてThy-1+であり,細胞の20%がLyt-2トランスジーンを発現す る。興昧深いことに、Thy-1+細胞の約16%(生存細胞の4%を示す)がLyt-2トラ ンスジーンを発現する。実験2では、形質導入後細胞をさらに3日間培養し、Ly t-2トランスジーン発現についてテストする。最も高い効率のLyt-2トランスジー ン発現は、Thy-1+細胞を10μg/mlのHUの存在下、はじめの2日間培養する場合に 達成される。約13%の細胞が依然としてThy-1+細胞であり、細胞の32%がLyt− 2トランスジーンを発現する。この条件でThy-1+細胞の30%(生存細胞の4% を示す)がLyt-2トランスジーンを発現する。はじめの 2日間HUの不在下で、わずかに6%の細胞がThy-1+であり、細胞の19%がLyt-2 トランスジーンを発現する。低レベルのLyt-2トランスジーン発現がThy-1+細胞 中で検出される。この実験では約17%のThy-1+細胞(生存細胞の1%を示す)が Lyt-2である。実施例15 精製KTLS細胞に及ぼすHUのex vivo処理の影響を調べる KTLS細胞を正常マウスのBMから単離し、HUの存在または不在下に培養し、生体 染料HOECHST 33342で染色して、それらの細胞周期状態を評価する。培養の24時 間後、サイトカインの不在下では未処理のKTLS細胞は小さいままであり細胞周期 のS期に進まないが,一方、SLF、IL-6およびTPOの存在下では大部分のKTLS細胞 は大きくなりS/G2/M期に進む(図14b)。同じサイトカインの組合せ中でHUと一緒 にインキュベートされた実質的に全てのKTLS細胞は大きくなったが、このことは 恐らくG0→G1移行がS期に入ることを阻止することを意味している(図14c)。そ の阻害作用は可逆的である。すなわち、細胞を洗浄して培養培地からHUを除去す ると、大部分の細胞は細胞周期のS/G2/M期に進む(図14d)。このように、HUがin vitroでKTLS細胞に対してもつ作用は可逆的であるように思われる。 表1A 連続注入によって連続PBSポンプまたはヒドロキシ尿素(HU)でマウスを処理し た後に回収されたHSC数およびS/G2/M期における%HSC BM細胞は、各マウスの4つの長骨から採集された。各実験において、1群あた り約3〜10匹のマウスをプールし上記のデータを得た。HSCはc-kit+Thy-1.1loLi n-/loSca-1+と定義された。N/Aは入手不可を示す。 表1B KTLS細胞に及ぼすin vivoでのヒドロキシ尿素処理の影響マウスを、1、3または5日間、10,50,100mg/kg/日のヒドロキシ尿素(HU)で 連続的に処理する。各マウスの4つの長骨からBM細胞を採集する。表1Bにおい て、各群につき約3.5匹のマウスを使用し、17の独立した実験から結果を集め る。そのような各実験で、BM細胞数、BM中のKTLSの%、BM中のKTLS数または細胞 周期のS/G2/M期における%KTLSを決定する。平均士SDVを表すデータを示す。コ ントロール群のマウスはPBSだけで処理する。*データは1つの実験に基づいて おり、これらの結果は従来の報告(Uchidaら,Blood 1997)と一致している。 表2 ヒドロキシ尿素処理マウス由来のマーカー付きc-kit+Thy-1.1loLin-/loSca-1+ (KTLS)のG0/G1 Rh123loおよびS/G2/M Rh123midサブセットの、血液細胞産生に 対する寄与競合再構成アッセイ(上記)における血液細胞産生に寄与するドナーKTLSサブセッ トの頻度は、SASプログラムによって線形回帰分析に基づいて計算された。 * PLTMR=長期多系統再構成 ** CI=信頼区間(下界95%〜上界95%) 本明細書中で引用した全ての刊行物および特許文献は、あたかも各個々の刊行 物または特許文献が特定的にかつ個別に参考としてとり込まれることが指示され ているかのように、それらの全体を参考としてとり入れるものとする。 上述の特定の実施態様は例示として提供されるものであって本発明の範囲を制 限するものと解釈されることを意味していない。本発明の思想または必須構成か ら逸脱することなく本発明に対し多くの変更をすることが可能であることは、当 業者には明らかであろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG ,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT ,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA, CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F I,GB,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE ,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS, LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA, UG,US,UZ,VN,YU (72)発明者 ツカモト・アン アメリカ合衆国 カリフォルニア州 94028,ポルトーラ・バレー,ラ・メサ・ ドライブ,888番 (72)発明者 ワイスマン・イルヴィング アメリカ合衆国 カリフォルニア州 94062,レッドウッド・シティ,ジェファ ーソン・アヴェニュ 4147番

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.哺乳動物の造血幹細胞(HSCs)への遺伝子導入を増大する方法であっ て、ウイルスが媒介する遺伝子導入前に、該HSCsを、活性サイクリング(ac tively cycling)するHSCsの数を少なくとも1.5倍に増加させるのに有効 な量のヒドロキシ尿素(HU)と接触させること、から成る方法。 2.接触が、インビボ、又はエキソビボである、請求項1の方法。 3.接触がインビボであり、遺伝子導入前に、哺乳動物対象へ、一日当たり約 50mgから約150mg/kg体重の用量範囲で有効量を投与する、請求項2の方法 。 4.HU処理HSCsに治療遺伝子を形質導入する段階を更に含む、請求項1 に方法。 5.細胞を治療遺伝子を含有するレトロウイスルベクターで形質導入する段階 により、HU処理HSCsに治療遺伝子を導入する、請求項4の方法。 6.HSCsに治療遺伝子をエキソビボで形質導入する、請求項4の方法。 7.エキソビボでの治療遺伝子の組み込みの後に、HSCsを対象に投与する 段階を更に含む、請求項6の方法。 8.HSCsが対象にとって同種である、請求項7の方法。 9.HSCsの接触が、インビトロである、請求項1の方法。 10.サイクリングする造血幹細胞(HSCs)に対する、被験試薬の生物学 的効果をスクリーニングする方法であって、以下の工程: a)インビトロでHSCs集団を活性サイクリングするHSCsの 数を少なくとも1.5倍に増加させるのに有効な量のヒドロキシ尿素で処理し; b)ヒドロキシ尿素で処理されたHSCs集団を培養中で該被験試薬と接触さ せ; c)HSCsに対する、HSCsの分化、増殖又は自己複製から成る群から選 択される該試薬の生物学的効果を決定するのに適した条件下で、工程b)のHS Csをアッセイする、ことから成る前記方法。 11.遺伝子導入によって軽減(緩和)される疾患に苦しむ患者の治療法であ って、以下の工程: a)2〜14日間一日当たり10−200mg/kg体重の用量範囲でヒドロキシ 尿素を患者に投与し、 b)ウイルスによる形質導入で有効量の治療遺伝子を投与する、ことから成る 前記方法。 12.ヒドロキシ尿素を経口又は静注で投与する、請求項11の方法。 13.一日当たり約50mgから約150mg/kg体重の用量範囲で有効量のヒド ロキシ尿素を患者に投与する、請求項11の方法。 14.骨髄移植の効率を増大する方法であって、骨髄提供者(ドナー)から骨 髄を採取する前に、移植に利用できるHSCsの数を少なくとも1.5倍に増加 させるのに有効な量のヒドロキシ尿素を該骨髄提供者に投与することから成る、 骨髄移植の増大方法。 15.ヒドロキシ尿素を経口又は静注で対象に投与する、請求項3の方法。 16.連続3〜7日間、ヒドロキシ尿素を対象に投与する、請求項3の方法。 17.ヒドロキシ尿素を経口又は静注で骨髄提供者に投与する、請求項14の 方法。 18.一日当たり約50mgから約150mg/kg体重の用量範囲のヒドロキシ尿 素を連続2〜14日間投与する、請求項14の方法。 19.HSCsのアッセイ段階が、被験試薬で処理されたHSCsを、被験試 薬で処理されないコントロールHSCsには存在しない変化について分析するこ とを含む、請求項10の方法。 20.生物学的効果が増殖の阻害である、請求項10に方法。
JP50225698A 1996-06-17 1997-06-17 遺伝子導入 Pending JP2001505043A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US08/664,358 US5928638A (en) 1996-06-17 1996-06-17 Methods for gene transfer
US08/664,358 1996-06-17
PCT/EP1997/003152 WO1997048815A2 (en) 1996-06-17 1997-06-17 Method for enhancing gene transfer

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001505043A true JP2001505043A (ja) 2001-04-17

Family

ID=24665674

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP50225698A Pending JP2001505043A (ja) 1996-06-17 1997-06-17 遺伝子導入

Country Status (7)

Country Link
US (1) US5928638A (ja)
EP (1) EP0914461A2 (ja)
JP (1) JP2001505043A (ja)
AU (1) AU3339497A (ja)
CA (1) CA2257880A1 (ja)
IL (1) IL127416A0 (ja)
WO (1) WO1997048815A2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008512376A (ja) * 2004-09-03 2008-04-24 ザ・スクリプス・リサーチ・インステイチユート 単離された系統陰性造血幹細胞及びこれを用いた治療方法
JP2018048156A (ja) * 2008-11-06 2018-03-29 インディアナ ユニバーシティー リサーチ アンド テクノロジー コーポレーションIndiana University Research And Technology Corporation 造血幹細胞の生着手順を強化するための材料および方法

Families Citing this family (57)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003531816A (ja) * 1999-10-01 2003-10-28 バイオトランスプラント,インコーポレイテッド 遺伝子導入産物に機能的寛容を誘導する方法
AU2001279069A1 (en) * 2000-07-27 2002-02-13 University Of Delaware Methods for enhancing targeted gene alteration using oligonucleotides
US6984522B2 (en) 2000-08-03 2006-01-10 Regents Of The University Of Michigan Isolation and use of solid tumor stem cells
US20030095952A1 (en) * 2001-06-13 2003-05-22 Krause Diane S. Multi-organ engraftment with a single bone marrow-derived stem cell
AU2002341905A2 (en) * 2001-09-27 2003-04-07 University Of Delaware Composition and methods for enhancing oligonucleotide-directed nucleic acid sequence alteration
ES2195751B1 (es) * 2001-11-27 2005-04-01 Universidad De Salamanca (Otri) Mamiferos no humanos transgenicos como modelos para patologias humanas con origen en celulas stem.
IL163875A0 (en) * 2002-03-07 2005-12-18 Univ Delaware Methods, compositions, and kits for enhancing oli gonucleotide mediated nucleic acid sequence alteration using compositions comprising a histone de
US20090217404A1 (en) * 2002-09-27 2009-08-27 Lowe Scott W Cell-based RNA interference and related methods and compositions
US20050048041A1 (en) * 2003-01-13 2005-03-03 Rao Mahendra S. Persistent expression of candidate molecule in proliferating stem and progenitor cells for delivery of therapeutic products
KR20060002745A (ko) * 2003-01-13 2006-01-09 마헨드라 에스 라오 치료적 생성물의 전달을 위한 증식성 줄기세포 및전구세포에서의 후보 분자의 지속적 발현
EP1599573B1 (en) * 2003-02-17 2013-06-19 Cold Spring Harbor Laboratory Model for studying the role of genes in tumor resistance to chemotherapy
US20090186839A1 (en) * 2003-02-17 2009-07-23 Cold Spring Harbor Laboratory Model for studying the role of genes in chemoresistance
AU2004227204B2 (en) 2003-04-08 2010-06-03 Yeda Research And Development Co. Ltd Stem cells having increased sensitivity to SDF-1 and methods of generating and using same
FR2853551B1 (fr) 2003-04-09 2006-08-04 Lab Francais Du Fractionnement Formulation stabilisante pour compositions d'immunoglobulines g sous forme liquide et sous forme lyophilisee
US7888121B2 (en) 2003-08-08 2011-02-15 Sangamo Biosciences, Inc. Methods and compositions for targeted cleavage and recombination
EP3222715A1 (en) 2003-08-08 2017-09-27 Sangamo BioSciences, Inc. Methods and compositions for targeted cleavage and recombination
IL158868A0 (en) 2003-11-13 2004-05-12 Yeda Res & Dev Methods of generating and using stem cells enriched with immature primitive progenitor
CA2561714A1 (en) * 2004-04-08 2005-10-27 Sangamo Biosciences, Inc. Methods and compositions for treating neuropathic and neurodegenerative conditions
CA2561565C (en) * 2004-04-08 2013-11-26 Sangamo Biosciences, Inc. Methods for repression of phospholamban gene and modulating cardiac contractility
US8236771B2 (en) * 2004-05-18 2012-08-07 National Institute Of Transplantation Foundation Vectors and methods for long-term immune evasion to prolong transplant viability
US8137907B2 (en) * 2005-01-03 2012-03-20 Cold Spring Harbor Laboratory Orthotopic and genetically tractable non-human animal model for liver cancer and the uses thereof
EP1896587A2 (en) 2005-05-31 2008-03-12 Cold Spring Harbor Laboratory METHODS FOR PRODUCING MICRORNAs
KR101419729B1 (ko) 2005-07-26 2014-07-17 상가모 바이오사이언스 인코포레이티드 외래 핵산 서열의 표적화된 통합 및 발현
US20080015164A1 (en) * 2006-05-19 2008-01-17 Sangamo Biosciences, Inc. Methods and compositions for inactivation of dihydrofolate reductase
WO2007139898A2 (en) 2006-05-25 2007-12-06 Sangamo Biosciences, Inc. Variant foki cleavage half-domains
KR101510778B1 (ko) 2007-07-12 2015-04-10 상가모 바이오사이언스 인코포레이티드 알파 1,6 당전이효소(fut8) 유전자 발현을 비활성화시키기 위한 방법 및 조성물
US8563314B2 (en) 2007-09-27 2013-10-22 Sangamo Biosciences, Inc. Methods and compositions for modulating PD1
KR101802393B1 (ko) 2008-06-10 2017-11-28 상가모 테라퓨틱스, 인코포레이티드 Bax- 및 bak-결함 세포주들의 제조 방법 및 조성물
CN102159722B (zh) 2008-08-22 2014-09-03 桑格摩生物科学股份有限公司 用于靶向单链切割和靶向整合的方法和组合物
EP3208339B1 (en) 2008-09-15 2019-05-01 The Children's Medical Center Corporation Modulation of bcl11a for treatment of hemoglobinopathies
AU2009311697B2 (en) 2008-10-29 2014-12-18 Sangamo Therapeutics, Inc. Methods and compositions for inactivating glutamine synthetase gene expression
CA2934285C (en) * 2009-02-04 2018-11-27 Sangamo Biosciences, Inc. Methods and compositions for treating neuropathies
CA2756833C (en) * 2009-04-09 2019-11-19 Sangamo Biosciences, Inc. Targeted integration into stem cells
US9234016B2 (en) 2009-07-28 2016-01-12 Sangamo Biosciences, Inc. Engineered zinc finger proteins for treating trinucleotide repeat disorders
CA2788560A1 (en) 2010-02-08 2011-08-11 Sangamo Biosciences, Inc. Engineered cleavage half-domains
US9255259B2 (en) 2010-02-09 2016-02-09 Sangamo Biosciences, Inc. Targeted genomic modification with partially single-stranded donor molecules
EP2571512B1 (en) 2010-05-17 2017-08-23 Sangamo BioSciences, Inc. Novel dna-binding proteins and uses thereof
JP6490426B2 (ja) 2012-02-29 2019-03-27 サンガモ セラピューティクス, インコーポレイテッド ハンチントン病を治療するための方法および組成物
ES2824024T3 (es) 2012-10-10 2021-05-11 Sangamo Therapeutics Inc Compuestos modificadores de células T y usos de los mismos
PT3502240T (pt) 2012-11-27 2021-08-11 Childrens Medical Ct Corp Elementos reguladores distais de bcl11a como alvo para a reindução de hemoglobina fetal
AU2014218621B2 (en) 2013-02-25 2019-11-07 Sangamo Therapeutics, Inc. Methods and compositions for enhancing nuclease-mediated gene disruption
BR112016010175A2 (pt) 2013-11-11 2017-10-03 Sangamo Biosciences Inc Repressor genético, seus usos, e composição farmacêutica
US9624498B2 (en) 2014-03-18 2017-04-18 Sangamo Biosciences, Inc. Methods and compositions for regulation of zinc finger protein expression
BR112016024565A2 (pt) 2014-04-25 2018-01-23 Children's Medical Center Corporation composições e métodos de tratar hemoglobinopatias
MX2016014565A (es) 2014-05-08 2017-05-23 Sangamo Biosciences Inc Metodos y composiciones para tratar la enfermedad de huntington.
ES2835861T3 (es) 2015-05-08 2021-06-23 Childrens Medical Ct Corp Direccionamiento de regiones funcionales del potenciador de BCL11A para la reinducción de hemoglobina fetal
EA037993B1 (ru) 2015-09-23 2021-06-21 Сангамо Терапьютикс, Инк. Репрессоры htt и их применение
AU2016369490C1 (en) 2015-12-18 2021-12-23 Sangamo Therapeutics, Inc. Targeted disruption of the T cell receptor
CN108699132B (zh) 2015-12-18 2023-08-11 桑格摩生物治疗股份有限公司 Mhc细胞受体的靶向破坏
AU2017315414B2 (en) 2016-08-24 2024-02-15 Sangamo Therapeutics, Inc. Engineered target specific nucleases
US11261441B2 (en) 2017-03-29 2022-03-01 Bluebird Bio, Inc. Vectors and compositions for treating hemoglobinopathies
US11788087B2 (en) 2017-05-25 2023-10-17 The Children's Medical Center Corporation BCL11A guide delivery
US11512287B2 (en) 2017-06-16 2022-11-29 Sangamo Therapeutics, Inc. Targeted disruption of T cell and/or HLA receptors
SG11202101801RA (en) 2018-08-23 2021-03-30 Sangamo Therapeutics Inc Engineered target specific base editors
CN113015741A (zh) 2018-09-18 2021-06-22 桑格摩生物治疗股份有限公司 程序性细胞死亡1(pd1)特异性核酸酶
CA3172591A1 (en) 2020-03-24 2021-09-30 Douglas Anthony KERR Non-viral dna vectors and uses thereof for expressing gaucher therapeutics
US20230138409A1 (en) 2020-03-24 2023-05-04 Generation Bio Co. Non-viral dna vectors and uses thereof for expressing factor ix therapeutics

Family Cites Families (25)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4965204A (en) * 1984-02-06 1990-10-23 The Johns Hopkins University Human stem cells and monoclonal antibodies
CA1339354C (en) * 1988-09-01 1997-08-26 The Whitehead Institute For Biomedical Research Recombinant retroviruses with amphotropic and ecotropic host ranges
US5061620A (en) * 1990-03-30 1991-10-29 Systemix, Inc. Human hematopoietic stem cell
JPH06500923A (ja) * 1990-09-21 1994-01-27 カイロン コーポレイション パッケージング細胞
DE69131908T3 (de) * 1991-02-19 2008-04-03 Oxford Biomedica (Uk) Ltd. Viruspartikel mit veraendertem wirtspektrum
JP3386823B2 (ja) * 1991-03-28 2003-03-17 株式会社日立製作所 ファイルの管理方法及び装置
ES2118820T3 (es) * 1991-04-05 1998-10-01 Univ Washington Anticuerpos monoclonales para receptores de factores de celulas pluripotentes.
US6353150B1 (en) * 1991-11-22 2002-03-05 Hsc Research And Development Limited Partnership Chimeric mammals with human hematopoietic cells
AU3434393A (en) * 1992-01-17 1993-08-03 Regents Of The University Of Michigan, The Targeted virus
WO1993019660A1 (en) * 1992-04-03 1993-10-14 Baylor College Of Medicine Gene therapy using the intestine
WO1994002016A1 (en) * 1992-07-28 1994-02-03 Steven Kessler Methods for positive immunoselection of stem cells
WO1994009363A1 (en) * 1992-10-14 1994-04-28 Board Of Regents, The University Of Texas System Cancer diagnosis and therapy
EP0746625B1 (en) * 1992-11-09 2004-03-31 THE UNITED STATES GOVERNMENT as represented by THE SECRETARY OF THE DEPARTMENT OF HEALTH AND HUMAN SERVICES Targetable vector particles
DE69309487T2 (de) * 1992-11-13 1997-10-23 Univ Washington Peripheralisierung hämatopoietischer stammzellen
CA2086844A1 (en) * 1993-01-07 1994-07-08 Ian D. Dube Method and product of gene transfer into cells
US5834256A (en) * 1993-06-11 1998-11-10 Cell Genesys, Inc. Method for production of high titer virus and high efficiency retroviral mediated transduction of mammalian cells
AU685506B2 (en) * 1993-08-25 1998-01-22 Systemix, Inc. Method for producing a highly enriched population of hematopoietic stem cells
US5409813A (en) * 1993-09-30 1995-04-25 Systemix, Inc. Method for mammalian cell separation from a mixture of cell populations
DE69433967D1 (de) * 1993-10-06 2004-09-30 Univ Florida Stammzellen-proliferations-faktor
WO1995012317A1 (en) * 1993-11-05 1995-05-11 The Regents Of The University Of California Improved postanatal and in utero fetal hematopoietic stem cell transplantation methods
WO1995015167A1 (en) * 1993-12-03 1995-06-08 Genetic Therapy, Inc. In utero gene therapy for fetuses
EP0662512A3 (en) * 1993-12-20 1997-01-15 Becton Dickinson Co Human hematopoietic stem cells.
JPH08205860A (ja) * 1994-01-21 1996-08-13 Usa Government 造血細胞の膨大化および移植方法
US5604090A (en) * 1994-06-06 1997-02-18 Fred Hutchinson Cancer Research Center Method for increasing transduction of cells by adeno-associated virus vectors
WO1996009400A1 (en) * 1994-09-19 1996-03-28 Systemix, Inc. Methods for genetically modifying hematopoietic stem cells

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008512376A (ja) * 2004-09-03 2008-04-24 ザ・スクリプス・リサーチ・インステイチユート 単離された系統陰性造血幹細胞及びこれを用いた治療方法
JP2018048156A (ja) * 2008-11-06 2018-03-29 インディアナ ユニバーシティー リサーチ アンド テクノロジー コーポレーションIndiana University Research And Technology Corporation 造血幹細胞の生着手順を強化するための材料および方法
JP2020063263A (ja) * 2008-11-06 2020-04-23 インディアナ ユニバーシティー リサーチ アンド テクノロジー コーポレーションIndiana University Research And Technology Corporation 造血幹細胞の生着手順を強化するための材料および方法

Also Published As

Publication number Publication date
CA2257880A1 (en) 1997-12-24
IL127416A0 (en) 1999-10-28
US5928638A (en) 1999-07-27
WO1997048815A2 (en) 1997-12-24
WO1997048815A3 (en) 1998-03-26
AU3339497A (en) 1998-01-07
EP0914461A2 (en) 1999-05-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2001505043A (ja) 遺伝子導入
Cavazzana et al. Gene therapy targeting haematopoietic stem cells for inherited diseases: progress and challenges
Podda et al. Transfer and expression of the human multiple drug resistance gene into live mice.
Mosca et al. Mesenchymal stem cells as vehicles for gene delivery.
KR101015913B1 (ko) 조혈모세포의 유전적 변이 치료 방법 및 변이 세포의 용도
Swan et al. T-cell protection and enrichment through lentiviral CCR5 intrabody gene delivery
AU673987B2 (en) Specific tolerance in transplantation
JP2003501482A (ja) 移植片対宿主疾患の処置のためのcd20に対する抗体の使用
US20050238628A1 (en) Methods for treating cancer
JPH11514879A (ja) 原始ヒト幹細胞を有するMp1リガンドの使用法
WO1996009400A1 (en) Methods for genetically modifying hematopoietic stem cells
JP2021503015A (ja) 非骨髄破壊的な骨髄再構成のための方法および組成物
Carpinteiro et al. Genetic protection of repopulating hematopoietic cells with an improved MDR1‐retrovirus allows administration of intensified chemotherapy following stem cell transplantation in mice
WO2022222846A1 (zh) 靶向cd19的嵌合抗原受体、制备方法及其应用
JPH11514209A (ja) 組換えレトロウイルス調製物による造血幹細胞の高効率エクスビボ形質導入
US20050163760A1 (en) Use of cd34+ hematopoietic progenitor cells for the treatment of cns disorders
JP2000511539A (ja) 負の選択マーカーをコード化するポリヌクレオチドを含むt細胞による対宿主性移植片病の予防
US20060257381A1 (en) Method for transplanting lymphohematopoietic cells into mammal
Kelly et al. Prolonged multilineage clonal hematopoiesis in a rhesus recipient of CD34 positive cells marked with a RD114 pseudotyped oncoretroviral vector
US6500421B1 (en) In vivo selection of primitive hematopoietic cells
WO1997032025A1 (en) Method for selective engraftment of drug-resistant hematopoietic stem cells
Kume et al. In vivo expansion of transduced murine hematopoietic cells with a selective amplifier gene
AU687765B2 (en) Retroviral mediated transfer of the human multiple drug resistance gene
WO1998000523A1 (en) Process of obtaining compositions enriched for hematopoietic stem cells and antibodies for use therein
DE69434159T2 (de) Allogene und xenogene Transplantation