JP2001357888A - 円筒形リチウム二次電池 - Google Patents

円筒形リチウム二次電池

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JP2001357888A
JP2001357888A JP2000178571A JP2000178571A JP2001357888A JP 2001357888 A JP2001357888 A JP 2001357888A JP 2000178571 A JP2000178571 A JP 2000178571A JP 2000178571 A JP2000178571 A JP 2000178571A JP 2001357888 A JP2001357888 A JP 2001357888A
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Kenji Hara
賢二 原
Kenji Nakai
賢治 中井
Tomohiro Iguchi
智博 井口
Kensuke Hironaka
健介 弘中
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Shin Kobe Electric Machinery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高体積エネルギー密度を確保しつつ、入出力
特性、寿命性能に優れ、信頼性及び生産性の高い円筒形
リチウム二次電池を提供する。 【解決手段】 正極板の厚さをA(mm)、負極板の厚
さをB(mm)、電極群の内径をd(mm)としたとき
に、正極板の厚さAと該電極群の内径dとの比A/d及
び負極板の厚さBと電極群の内径dとの比B/dをそれ
ぞれ0.004<A/d<0.027、0.002<B
/d<0.017の範囲に設定し、正極板の厚さAを
0.30mm未満とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は円筒型リチウム二次
電池に係り、特に、リチウム複合酸化物を用いた正極板
と充放電によりリチウムがドープ・脱ドープ可能な炭素
材を用いた負極板とをセパレータを介在させて捲回した
渦巻き状の電極群を、円筒形の電池容器内に収納した円
筒型リチウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】リチウムイオン二次電池は、高エネルギ
ー密度であるメリットを活かして、主にVTRカメラや
ノートパソコン、携帯電話等のポータブル機器の電源に
使用されている。この電池の内部は、正極及び負極の両
電極が共に活物質が金属箔に塗着された帯状であり、セ
パレータを挟んでこれら両電極が直接接触しないように
断面渦巻き状に捲回され、電極群が形成された捲回式の
構造とされている。そして、電極群が円筒形の電池容器
内に収納され、電解液が注液され、封口されている。
【0003】一般的な円筒形リチウム二次電池の外形寸
法は、18650型と呼ばれる、直径18mm、高さ6
5mmであり、小型民生用電池として広く普及してい
る。18650型電池の正極活物質には、高容量、長寿
命を特徴とするコバルト酸リチウムが主として用いられ
ており、電池容量は、概ね1.3Ah〜1.7Ah、出
力はおよそ10W程度である。
【0004】一方、自動車産業界においては環境問題に
対応すべく、排出ガスのない、動力源を完全に電池のみ
とした電気自動車、及び、内燃機関エンジンと電池との
両方を動力源とするハイブリッド(電気)自動車の開発
が加速され、一部実用段階に到達している。電気自動車
の電源となる二次電池には当然高出力、高エネルギーが
得られる特性が要求され、この要求を満足する二次電池
としてリチウムイオン電池が注目されている。
【0005】このような大形のリチウム二次電池は、大
電流で充放電が繰り返され、かつ、高容量、高出力が要
求されるので、正極・負極の対向面積をより大きくした
り、電極の合剤かさ密度を大きくして導電ネットワーク
を強固にして内部直流抵抗をより小さくする必要があ
る。このため、電極を長くしたり、電極群の捲回回数を
多くする等の電極ディメンジョンの工夫により、リチウ
ム二次電池の高容量化、高出力化が図られている。
【0006】なお、電気自動車等の電源では、電池モジ
ュールとして複数のリチウム二次電池が直列に接続され
るために、個々電池の電圧、温度などのバラツキによ
り、電池モジュール全体の性能の低下や早期寿命を招く
ことがある。このため、電池モジュールには、電池の電
圧、電流、温度等を制御する制御回路が設けられてお
り、個々のリチウム二次電池のバラツキが抑制されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、電池モ
ジュールを構成する箇々のリチウム二次電池の電圧、温
度のバラツキの抑制や落下、衝突、振動等の機械的衝撃
に対する信頼性を向上させるためには、制御回路のみで
は不十分であり、電池モジュール全体の構造はもちろ
ん、個々のリチウム二次電池自体の構造を考慮する必要
がある。この場合に、例えば、電極群と電池容器との間
に空間を設けることにより機械的信頼性を向上させこと
も有用ではあるが、リチウム二次電池の体積エネルギー
密度の低下を招く、という問題点がある。
【0008】また、リチウム二次電池に上述した機械的
衝撃が加わったときには、その応力が電極群に多く伝わ
るために、電極群が短絡しその短絡した部分に電流が集
中して発熱する。その結果、リチウム二次電池の内圧は
著しく高くなり電池の安全性を損ねるおそれがある、と
いう問題点がある。
【0009】更に、小型化や体積エネルギー密度を高め
るために、電極群の内径を小さくすると、捲回開始部分
の電極の湾曲が強くなるために(曲率が大きくなるため
に)、集電体と合剤層界面又は合剤層相互間の密着不足
により、直流内部抵抗が大きくなり入出力特性が低下し
たり、合剤が剥離・脱離して内部短絡や寿命を低下させ
る、という問題点がある。また同時に、電極群への電解
液の浸透が阻害され、電解液の注液時間が長くなり電池
の生産性を低下させる、という問題点もある。
【0010】本発明は上記問題点に鑑み、高体積エネル
ギー密度を確保しつつ、入出力特性、寿命性能に優れ、
信頼性及び生産性の高い円筒形リチウム二次電池を提供
することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、リチウム複合酸化物を用いた正極板と充
放電によりリチウムがドープ・脱ドープ可能な炭素材を
用いた負極板とをセパレータを介在させて捲回した渦巻
き状の電極群を、円筒形の電池容器内に収納した円筒型
リチウム二次電池において、前記正極板の厚さをA(m
m)、前記負極板の厚さをB(mm)、前記電極群の内
径をd(mm)としたときに、該正極板の厚さAと該電
極群の内径dとの比A/d及び該負極板の厚さBと前記
電極群の内径dとの比B/dがそれぞれ0.004<A
/d<0.027、0.002<B/d<0.017の
範囲に設定されたことを特徴とする。
【0012】本発明では、正極板の厚さをA(mm)、
負極板の厚さをB(mm)、電極群の内径をd(mm)
としたときに、正極板の厚さAと電極群の内径dとの比
A/d及び負極板の厚さBと電極群の内径dとの比B/
dをそれぞれ0.004<A/d<0.027、0.0
02<B/d<0.017の範囲に設定することによ
り、電極群と電池容器との間に大きな空間を画定する必
要がないので、電池のエネルギー密度を向上させること
ができると共に、捲回開始部分の電極の曲率が適正に保
持され集電体と合剤層界面及び合剤層中の密着性が適正
に確保されるので、合剤層が剥離・離脱して内部短絡を
起こしずらく機械的信頼性を確保することができ、更
に、電解液注液時間も短くなるので、組立作業性を改善
することができる。
【0013】この場合において、正極板の厚さAを0.
3mm未満とすれば、電極群の内径が大きくなっても正
極板に十分に電解液が浸透することから、正極板での反
応が不均一となることを防止することができるので、サ
イクル寿命特性及び入出力特性を向上させることができ
る。また、電極群に捲回時の巻き芯を軸芯として使用す
るようにすれば、外部から応力が加わっても極板のずれ
を少なくすることができるので、機械的信頼性を更に高
めることができる。更に、リチウム複合酸化物にリチウ
ムマンガン酸化物を用いれば、リチウムマンガン酸化物
はスピネル結晶構造を有するので、熱的安定性に優れ、
信頼性及び安全性を高めることができる。そして、炭素
材に非晶質炭素を用いれば、非晶質炭素は可とう性に優
れるので、捲回開始部分での合剤層界面及び合剤層中の
密着性を向上させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明を電
気自動車搭載用の円筒型リチウム二次電池に適用した実
施の形態について説明する。
【0015】<正極板>正極活物質としてリチウム複合
酸化物であるマンガン酸リチウム(LiMn)粉
末と、導電材として鱗片状黒鉛(平均粒径:20μm)
と、導電補助材としてアセチレンブラックと、結着剤と
してポリフッ化ビニリデン(PVDF)と、を80:
8:2:10重量%の割合で配合し、これに分散溶媒の
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加、混練し
たスラリを、厚さ20μmのアルミニウム箔(正極集電
体)の両面に塗布した。このとき、正極板長寸方向の一
方の側縁に幅50mmの未塗布部を残した。
【0016】その後乾燥させ、表面温度120°Cに設
定したロールプレス機を用いて正極活物質合剤層(活物
質塗布部)を所定厚さ及びかさ密度を2.65g/cm
とし、裁断して幅300mm、所定長さ、厚さAmm
(アルミニウム箔の厚さを含む。)の正極板を得た。そ
して、正極板のスラリ未塗布部に切り欠きを入れ、切り
欠き残部をリード片とした。また、隣り合うリード片を
20mm間隔とし、リード片の幅は10mmとした。
【0017】<負極板>負極活物質として非晶質炭素で
ある呉羽化学工業株式会社製カーボトロンP粉末92重
量部に結着剤として8重量部のPVDFを添加し、これ
に分散溶媒のNMPを添加、混練したスラリを、厚さ1
0μmの圧延銅箔(負極集電体)の両面に塗布した。こ
のとき、負極板長寸方向の一方の側縁に幅50mmの未
塗布部を残した。
【0018】その後乾燥させ、表面温度120°Cに設
定したロールプレス機を用いて負極活物質合剤層(活物
質塗布部)を所定厚さ及びかさ密度を1.00g/cm
とし、裁断して幅305mm、所定長さ、厚さBmm
(銅箔の厚さを含む。)の負極板を得た。そして、負極
板のスラリ未塗布部に切り欠きを入れ、切り欠き残部を
リード片とした。また、隣り合うリード片を20mm間
隔とし、リード片の幅は10mmとした。
【0019】<電極群>図1に示すように、上記作製し
た正極板と負極板とを、これら両極板が直接接触しない
ように厚さ40μmのポリエチレン製セパレータを介し
て、捲回中心となる軸芯11の周りに捲回して電極群6
を作製した。すなわち、電極群6の捲回時に使用した巻
き芯を軸芯11としてそのまま使用した。このとき、正
極板及び負極板のリード片9が、それぞれ電極群6の互
いに反対側の両端面に位置するようにした。なお、軸芯
11には、電気的絶縁性を有するポリプロピレン(P
P)製で、外径dmm(電極群6の内径d(mm)と同
じ。)を有する中空管を使用した。
【0020】電極群6を作製する前に、正極板及び負極
板の長さを、電極群6の外径が65±0.1mmとなる
ように、正極板、負極板及びセパレータの長さを調整し
た。また、電極群6の最内周では捲回方向に正極板が負
極板からはみ出すことがなく、また、最外周でも捲回方
向に正極板が負極板からはみ出すことがないように、負
極板の長さは正極板の長さよりも18cm長くなるよう
にした。捲回方向に垂直の方向においても正極活物質塗
布部が負極活物質塗布部からはみ出すことがないよう
に、負極活物質塗布部の幅を、正極活物質塗布部の幅よ
りも5mm長くした。
【0021】本実施形態では、電極群6の内径d(m
m)(軸芯11の外径d)に対する正極板の厚さA(m
m)の比A/dが0.004<A/d<0.027、か
つ、電極群6の内径d(mm)(軸芯11の外径d)に
対する負極板の厚さB(mm)の比B/dが0.002
<A/d<0.017となるように、正極板の厚さA、
負極板の厚さB及び軸芯11の外径dを設定した。
【0022】<電池の作製>図1に示すように、正極板
から導出されているリード片9を変形させ、その全て
を、軸芯11のほぼ延長線上にある極柱(正極外部端子
1)周囲から一体に張り出している鍔部7周面付近に集
合、接触させた後、リード片9と鍔部7周面とを超音波
溶接してリード片9を鍔部7周面に接続し固定した。ま
た、負極外部端子1’と負極板から導出されているリー
ド片9との接続操作も、正極外部端子1と正極板から導
出されているリード片9との接続操作と同様に行った。
【0023】その後、正極外部端子1及び負極外部端子
1’の鍔部7周面全周に絶縁被覆8を施した。この絶縁
被覆8は、電極群6外周面全周にも及ぼした。絶縁被覆
8には、基材がポリイミドで、その片面にヘキサメタア
クリレートからなる粘着剤を塗布した粘着テープを用い
た。この粘着テープを鍔部7周面から電極群6外周面に
亘って何重にも巻いて絶縁被覆8とした。電極群6の最
大径部が絶縁被覆8存在部となるように巻き数を調整
し、該最大径をステンレス製の電池容器5の内径よりも
僅かに小さくして、電極群6を電池容器5内に挿入す
る。電池容器5の外径は67mm、内径は66mmであ
る。
【0024】そして、アルミナ製で円盤状電池蓋4裏面
と当接する部分の厚さ2mm、内径16mm、外径25
mmの第2のセラミックワッシャ3’を、図1に示すよ
うに、先端が正極外部端子1を構成する極柱、先端が負
極外部端子1’を構成する極柱にそれぞれ嵌め込んだ。
また、アルミナ製で厚さ2mm、内径16mm、外径2
8mmの平板状の第1のセラミックワッシャ3を電池蓋
4に載置し、正極外部端子1、負極外部端子1’をそれ
ぞれ第1のセラミックワッシャ3に通した。その後、電
池蓋4周端面を電池容器5開口部に嵌合し、双方の接触
部全域をレーザ溶接した。このとき、正極外部端子1、
負極外部端子1’は、電池蓋4の中心に形成された穴を
貫通して電池蓋4外部に突出している。そして、図1に
示すように、第1のセラミックワッシャ3、金属製ナッ
ト2底面よりも平滑な金属ワッシャ14を、この順に正
極外部端子1、負極外部端子1’にそれぞれ嵌め込ん
だ。なお、電池蓋4には電池の内圧上昇に応じて開裂す
る開裂弁10が設けられている。開裂弁10の開裂圧
は、1.3×10〜1.8×10Paとした。
【0025】次いで、ナット2を正極外部端子1、負極
外部端子1’にそれぞれ螺着し、第2のセラミックワッ
シャ3’、第1のセラミックワッシャ3、金属ワッシャ
14を介して電池蓋4を鍔部7とナット2の間で締め付
けにより固定した。このときの締め付けトルク値は7N
・mとした。なお、締め付け作業が終了するまで金属ワ
ッシャ14は回転しなかった。この状態で、電池蓋4裏
面と鍔部7の間に介在させたゴム(EPDM)製Oリン
グ16の圧縮により電池容器5内部の発電要素は外気か
ら遮断される。
【0026】その後、電池蓋4に設けた注液口15から
電解液を所定量電池容器5内に注入し、その後注液口1
5を封止することにより円筒型リチウム二次電池20を
組み立てた。そして、所定電圧、電流で初充電すること
により円筒型リチウム二次電池20に電池としての機能
を付与した。
【0027】電解液には、エチレンカーボネートとジメ
チルカーボネートとジエチルカーボネートの体積比1:
1:1の混合溶液中へ6フッ化リン酸リチウム(LiP
)を1モル/リットル溶解したものを用いた。な
お、円筒型リチウム二次電池20には、電池容器5の内
圧の上昇に応じて電流を遮断する電流遮断機構は設けら
れていない。
【0028】<試作電池>次に、上記実施形態の正極板
の厚さA、負極板の厚さB及び電極群6の内径dを種々
変更して作製した試作電池について説明する。なお、こ
れらの試作電池では、正極板の厚さA、負極板の厚さB
及び電極群6の内径dを変更するために、正極活物質合
剤層の厚さ(正極活物質合剤層のかさ密度は上述した
2.65g/cmに固定)、負極活物質合剤層の厚さ
(負極活物質合剤層のかさ密度は上述した1.00g/
cmに固定)及び軸芯11の外径dを変更した。
【0029】(試作電池1〜9)下表1に示すように、
試作電池1〜試作電池9では、軸芯11に外径が8mm
のPP製中空管を使用し、電極群6の内径dが8mmと
なるようにした。
【0030】
【表1】
【0031】試作電池1では、正極板の厚さA、負極板
の厚さBをそれぞれ0.03mm、0.01mmとし
た。A/d及びB/dはそれぞれ0.004、0.00
1である。試作電池2では、正極板の厚さA、負極板の
厚さBをそれぞれ0.04mm、0.015mmとし
た。A/d及びB/dはそれぞれ0.005、0.00
2である。試作電池3では、正極板の厚さA、負極板の
厚さBをそれぞれ0.05mm、0.03mmとした。
A/d及びB/dはそれぞれ0.006、0.004で
ある。試作電池4では、正極板の厚さA、負極板の厚さ
Bをそれぞれ0.10mm、0.05mmとした。A/
d及びB/dはそれぞれ0.013、0.006であ
る。試作電池5では、正極板の厚さA、負極板の厚さB
をそれぞれ0.15mm、0.08mmとした。A/d
及びB/dはそれぞれ0.019、0.010である。
試作電池6では、正極板の厚さA、負極板の厚さBをそ
れぞれ0.20mm、0.13mmとした。A/d及び
B/dはそれぞれ0.025、0.016である。試作
電池7では、正極板の厚さA、負極板の厚さBをそれぞ
れ0.25mm、0.15mmとした。A/d及びB/
dはそれぞれ0.031、0.019である。試作電池
8では、正極板の厚さA、負極板の厚さBをそれぞれ
0.30mm、0.19mmとした。A/d及びB/d
はそれぞれ0.038、0.024である。試作電池9
では、正極板の厚さA、負極板の厚さBをそれぞれ0.
35mm、0.22mmとした。A/d及びB/dはそ
れぞれ0.044、0.028である。
【0032】(試作電池10〜18)表1に示すよう
に、試作電池10〜試作電池18では、軸芯11に外径
が10mmのPP製の中空管を使用し、電極群6の内径
dが10mmとなるようにした。
【0033】試作電池10では、正極板の厚さA、負極
板の厚さBをそれぞれ0.03mm、0.01mmとし
た。A/d及びB/dはそれぞれ0.003、0.00
1である。試作電池11では、正極板の厚さA、負極板
の厚さBをそれぞれ0.04mm、0.015mmとし
た。A/d及びB/dはそれぞれ0.004、0.00
2である。試作電池12では、正極板の厚さA、負極板
の厚さBをそれぞれ0.05mm、0.03mmとし
た。A/d及びB/dはそれぞれ0.005、0.00
3である。試作電池13では、正極板の厚さA、負極板
の厚さBをそれぞれ0.10mm、0.05mmとし
た。A/d及びB/dはそれぞれ0.010、0.00
5である。試作電池14では、正極板の厚さA、負極板
の厚さBをそれぞれ0.15mm、0.08mmとし
た。A/d及びB/dはそれぞれ0.015、0.00
8である。試作電池15では、正極板の厚さA、負極板
の厚さBをそれぞれ0.20mm、0.13mmとし
た。A/d及びB/dはそれぞれ0.020、0.01
3である。試作電池16では、正極板の厚さA、負極板
の厚さBをそれぞれ0.25mm、0.15mmとし
た。A/d及びB/dはそれぞれ0.025、0.01
5である。試作電池17では、正極板の厚さA、負極板
の厚さBをそれぞれ0.30mm、0.19mmとし
た。A/d及びB/dはそれぞれ0.030、0.01
9である。試作電池18では、正極板の厚さA、負極板
の厚さBをそれぞれ0.35mm、0.22mmとし
た。A/d及びB/dはそれぞれ0.035、0.02
2である。
【0034】(試作電池19〜26)表1に示すよう
に、試作電池19〜試作電池26では、軸芯11に外径
が15mmのPPを使用し、電極群6の内径dが15m
mとなるようにした。
【0035】試作電池19では、正極板の厚さA、負極
板の厚さBをそれぞれ0.05mm、0.03mmとし
た。A/d及びB/dはそれぞれ0.003、0.00
2である。試作電池20では、正極板の厚さA、負極板
の厚さBをそれぞれ0.10mm、0.05mmとし
た。A/d及びB/dはそれぞれ0.007、0.00
3である。試作電池21では、正極板の厚さA、負極板
の厚さBをそれぞれ0.15mm、0.08mmとし
た。A/d及びB/dはそれぞれ0.010、0.00
5である。試作電池22では、正極板の厚さA、負極板
の厚さBをそれぞれ0.20mm、0.13mmとし
た。A/d及びB/dはそれぞれ0.013、0.00
9である。試作電池23では、正極板の厚さA、負極板
の厚さBをそれぞれ0.25mm、0.15mmとし
た。A/d及びB/dはそれぞれ0.017、0.01
0である。試作電池24では、正極板の厚さA、負極板
の厚さBをそれぞれ0.30mm、0.19mmとし
た。A/d及びB/dはそれぞれ0.020、0.01
3である。試作電池25では、正極板の厚さA、負極板
の厚さBをそれぞれ0.35mm、0.22mmとし
た。A/d及びB/dはそれぞれ0.023、0.01
5である。試作電池26では、正極板の厚さA、負極板
の厚さBをそれぞれ0.40mm、0.25mmとし
た。A/d及びB/dはそれぞれ0.027、0.01
7である。
【0036】(試作電池27〜34)表1に示すよう
に、試作電池27〜試作電池34では、軸芯11に外径
が20mmのPP製中空管を使用し、電極群6の内径d
が20mmとなるようにした。
【0037】試作電池27では、正極板の厚さA、負極
板の厚さBをそれぞれ0.05mm、0.03mmとし
た。A/d及びB/dはそれぞれ0.003、0.00
2である。試作電池28では、正極板の厚さA、負極板
の厚さBをそれぞれ0.10mm、0.05mmとし
た。A/d及びB/dはそれぞれ0.005、0.00
3である。試作電池29では、正極板の厚さA、負極板
の厚さBをそれぞれ0.15mm、0.08mmとし
た。A/d及びB/dはそれぞれ0.008、0.00
4である。試作電池30では、正極板の厚さA、負極板
の厚さBをそれぞれ0.20mm、0.13mmとし
た。A/d及びB/dはそれぞれ0.010、0.00
7である。試作電池31では、正極板の厚さA、負極板
の厚さBをそれぞれ0.25mm、0.15mmとし
た。A/d及びB/dはそれぞれ0.013、0.00
8である。試作電池32では、正極板の厚さA、負極板
の厚さBをそれぞれ0.30mm、0.19mmとし
た。A/d及びB/dはそれぞれ0.015、0.01
0である。試作電池33では、正極板の厚さA、負極板
の厚さBをそれぞれ0.35mm、0.22mmとし
た。A/d及びB/dはそれぞれ0.018、0.01
1である。試作電池34では、正極板の厚さA、負極板
の厚さBをそれぞれ0.40mm、0.25mmとし
た。A/d及びB/dはそれぞれ0.020、0.01
3である。
【0038】<試験>次に、以上の各試作電池につい
て、下記条件で注液時間、放電容量、直流内部抵抗及び
サイクル寿命を測定し、電極群へ応力を意図的に加える
衝突試験及び圧壊試験を行った。
【0039】(1)注液時間等の測定 注液時間の測定では、各試作電池の電池容器5内に所定
量の非水電解液を注液口15から注液して、その時間を
測定した。
【0040】放電容量の測定では、各試作電池を室温で
充電した後放電し、放電容量を測定して各試作電池の電
池容量とした。充電条件は、4.2V定電圧、制限電流
80A、3.5時間とした。放電条件は、20A定電
流、終止電圧2.5Vとした。また、直流内部抵抗の測
定では、上記充電条件で充電した後、放電電流10A、
40A、80Aの各々で10秒間放電し、そのときの電
圧降下から各試作電池の直流内部抵抗を算出した。
【0041】サイクル寿命の測定では、直流内部抵抗測
定後、各試作電池を50°Cに設定した恒温槽内で、上
記放電容量測定と同様の充放電を繰り返し、初期容量の
70%に至った時点を寿命と判断した。
【0042】(2)衝突試験及び圧壊試験 衝突試験では、各試作電池を満充電の状態とし、直径8
mmの鉄製丸棒を電池中央部の電極面に対し垂直に配置
し、丸棒の他端から9.1kgの重量物を61cmの高
さから落下させて、電池の挙動を観察した。また、圧壊
試験では、各試作電池を満充電の状態とし、鉄製平板に
電池を横にして静置し、上から鉄製平板を押し当て、電
池側面に13kNの負荷がかかるまで潰すようにして、
電池の挙動を観察した。
【0043】(3)試験結果 下表2に各測定結果及び試験結果を示す。
【0044】
【表2】
【0045】<評価>表1及び表2に示すように、注液
時間の測定結果に着目すると、A/d及びB/dが小さ
いほど、電解液の注液に時間を要している。特に、A/
d≦0.004及びB/d≦0.002の試作電池は、
一度に必要な電解液量を注入することが困難なので、注
液に要する時間はかなり長く、組立作業性の点で問題が
あることが分かる。
【0046】次に、放電容量の測定結果に着目すると、
正極板の厚さA及び負極板の厚さBを一定とし、電極群
6の内径dを変えた場合に、内径dが大きくなるほど、
放電容量(電池容量)は低下する。これは、電極群6外
径を65±0.1mmに固定したため、正極板及び負極
板の対向面積が小さくなることによる。また、A/d≦
0.004及びB/d≦0.002の試作電池は、一定
体積内に占める集電体の体積が大きく、必要な電池容量
を得ることができない。特に、試作電池では負極集電体
に比重の大きい圧延銅箔を用いているので、電池重量に
影響し、重量エネルギー密度(単位重量当たりのエネル
ギー密度)が低下する。
【0047】また、サイクル寿命の測定結果に着目する
と、A/d≦0.004及びB/d≦0.002の試作
電池は、早期寿命に至っている。これは、軸芯11部分
に遊離した電解液量が存在し、活物質合剤層中に必要な
電解液が浸透されていなかったため、電極反応が不均一
となり電極表面にリチウムが析出していたためと考えら
れる。一方、電極群6の内径dを一定とし、正極板の厚
さA及び負極板の厚さBを変えた場合に、A/d≧0.
027及びB/d≧0.017の試作電池も、早期に寿
命に至っている。これは、捲回開始部分の電極の湾曲が
強くなるため、集電体と合剤層界面又は合剤層相互間の
密着不足により、合剤が剥離・脱離して電極反応が不均
一となり早期寿命に至っているものと考えられる。しか
しながら、0.004<A/d<0.027及び0.0
02<B/d<0.017の試作電池のうちでも、正極
板の厚さAが0.30mm以上の電池は早期に寿命に至
っている。また、直流内部抵抗の測定結果に着目する
と、0.004<A/d<0.027及び0.002<
B/d<0.017の電池の内部直流抵抗は小さいが
(この理由もサイクル寿命と同じであると考えられ
る。)、正極板の厚さAが0.30mm以上となると、
初期の直流内部抵抗が高く、入出力特性が著しく低下す
る。従って、サイクル寿命特性及び入出力特性共に良好
な電池とするには、0.004<A/d<0.027及
び0.002<B/d<0.017、かつ、(正極板の
厚さA)<0.30mmとしなければならないことが分
かる。
【0048】更に、衝突試験及び圧壊試験の試験結果に
着目すると、0.004<A/d<0.027及び0.
002<B/d<0.017の範囲外の試作電池の多く
は、発熱して破裂・爆発に至っている。これは、活物質
合剤が集電体から剥離・脱離して電極反応が不均一とな
り、外的に加えた応力がその部分に伝わって、電極群6
が短絡したためである。
【0049】従って、以上の結果から、高体積エネルギ
ー密度を確保しつつ、入出力特性、寿命性能に優れ、信
頼性及び生産性を高めるためには、比A/d及び比B/
dを、0.004<A/d<0.027及び0.002
<B/d<0.017の範囲に設定し、更に、(正極板
の厚さA)<0.30mmに設定することが好ましいこ
とが判明した。
【0050】また、本実施形態では、電極群6捲回時の
PP製の巻き芯を軸芯11としてそのまま使用している
ので、電解液に犯されたり、不純物が電解液中に溶解せ
ず、かつ、熱可塑性を有するので、衝突、圧壊試験で、
電池外部からより強い応力が加わっても、電極群6の短
絡を抑制することができる。
【0051】なお、本実施形態では、軸心11の材質に
PPを用いた例を示したが、軸芯11は電解液に犯され
たり、不純物が電解液中に溶解されないものであれば良
く、ステンレス等の金属やプラスチック等を使用するこ
とができる。しかし、電池発熱時の信頼性及び安全性を
高めるためには、絶縁性を有する熱可塑性又は熱硬化性
樹脂が好ましい。
【0052】また、本実施形態では、電極の寸法、合剤
の配合比、電池部材の寸法及び製造方法等を詳細に例示
したが、これらの例示により本発明が限定されるもので
はない。更に、本実施形態では、電気自動車用電源等に
用いられる大形の二次電池について例示したが、電池の
用途や大きさ及び電池容量に限定されるものでないこと
はいうまでもない。また、有底筒状容器(缶)に電池上
蓋がカシメによって封口されている構造の円筒型リチウ
ム二次電池にも本発明の適用が可能である。しかしなが
ら、電気自動車用電源には比較的高容量、高出力の電池
が要求されるので、本発明を適用した本実施形態の電池
の搭載が特に好ましい。
【0053】更に、本実施形態では、電流遮断機構を備
えない円筒型リチウム二次電池について例示したが、本
発明は電流遮断機構を備えた電池に適用するようにして
もよい。このようにすれば、車両衝突事故等の異常時に
電気系の電流遮断機構が作動しなくても機械系の開裂弁
10が作動するので、車載電池のより高い安全性が確保
される。
【0054】また、本実施形態では、絶縁被覆8に、基
材がポリイミドで、その片面にヘキサメタアクリレート
からなる粘着剤を塗布した粘着テープを用いたが、これ
に限定されるものではなく、例えば、基材がポリプロピ
レンやポリエチレン等のポリオレフィンで、その片面又
は両面にヘキサメタアクリレートやブチルアクリレート
等のアクリル系粘着剤を塗布した粘着テープや、粘着剤
を塗布しないポリオレフィンやポリイミドからなるテー
プ等を好適に使用することができる。
【0055】更に、本実施形態では、リチウム二次電池
用の正極にマンガン酸リチウム、負極に非晶質炭素、電
解液にエチレンカーボネートとジメチルカーボネートと
ジエチルカーボネートの体積比1:1:1の混合液中へ
6フッ化リン酸リチウムを1モル/リットル溶解したも
のを用いたが、正極活物質、負極活物質、非水電解液は
通常用いられているいずれのものも使用可能である。電
気自動車用途向け高容量、高出力の電池で、かつ安全性
を確実に確保するためには、正極活物質としてリチウム
・コバルト複合酸化物やリチウム・ニッケル複合酸化物
を用いるよりも、リチウムマンガン複酸化物であるマン
ガン酸リチウムを用いることがより望ましい。
【0056】また、本実施形態に示した以外のリチウム
二次電池用正極活物質としては、リチウムを挿入・脱離
可能な材料であり、予め十分な量のリチウムを挿入した
リチウムマンガン複酸化物が好ましく、スピネル構造を
有したマンガン酸リチウムや、結晶中のマンガンやリチ
ウムの一部をそれら以外の元素で置換又はドープした材
料を使用するようにしてもよい。
【0057】更に、本実施形態ではポリフッ化ビニリデ
ンを結着剤として使用したが、リチウム二次電池用極板
活物質結着剤としては、テフロン(登録商標)、ポリエ
チレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、
ニトリルゴム、スチレン/ブタジエンゴム、多硫化ゴ
ム、ニトロセルロース、シアノエチルセルロース、各種
ラテックス、アクリロニトリル、フッ化ビニル、フッ化
ビニリデン、フッ化プロピレン、フッ化クロロプレン等
の重合体及びこれらの混合体等を用いてもよい。
【0058】また更に、本実施形態に示した以外のリチ
ウム二次電池用負極活物質には、例えば、天然黒鉛や、
人造の各種黒鉛材、コークスなどの炭素質材料等がある
が、これらを使用するようにしてもよく、その粒子形状
においても、鱗片状、球状、繊維状、塊状等、特に本発
明が制限されるものではない。
【0059】また、電解液としては、一般的なリチウム
塩を電解質とし、これを有機溶媒に溶解した電解液を使
用してもよく、リチウム塩や有機溶媒にも特に制限され
るものではない。例えば、電解質としては、LiClO
、LiAsF、LiPF 、LiBF、LiB
(C、CHSOLi、CFSOLi
等やこれらの混合物を用いることができる。
【0060】そして、本実施形態以外の非水電解液有機
溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカー
ボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエト
キシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラ
ン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオ
キソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスル
ホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル等又はこれ
ら2種類以上の混合溶媒を用いることができ、更に、混
合配合比についても限定されるものではない。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
正極板の厚さAと電極群の内径dとの比A/d及び負極
板の厚さBと電極群の内径dとの比B/dをそれぞれ
0.004<A/d<0.027、0.002<B/d
<0.017の範囲に設定することにより、電極群と電
池容器との間に大きな空間を画定する必要がないので、
電池のエネルギー密度を向上させることができると共
に、捲回開始部分の電極の曲率が適正に保持され集電体
と合剤層界面及び合剤層中の密着性が適正に確保される
ので、合剤層が剥離・離脱して内部短絡を起こしずらく
機械的信頼性を確保することができ、更に、電解液注液
時間も短くなるので、組立作業性を改善することができ
る、という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用可能な実施形態の円筒型リチウム
二次電池の断面図である。
【符号の説明】
4 電池蓋 5 電池容器 6 電極群 11 軸芯 20 円筒型リチウム二次電池
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井口 智博 東京都中央区日本橋本町二丁目8番7号 新神戸電機株式会社内 (72)発明者 弘中 健介 東京都中央区日本橋本町二丁目8番7号 新神戸電機株式会社内 Fターム(参考) 5H029 AJ01 AJ11 AJ14 AK03 AL06 AM03 AM05 AM07 BJ02 BJ14 DJ06 HJ04 5H050 AA01 AA14 AA19 BA17 CA09 CB07 DA01 FA05 GA09 HA04 HA12

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リチウム複合酸化物を用いた正極板と充
    放電によりリチウムがドープ・脱ドープ可能な炭素材を
    用いた負極板とをセパレータを介在させて捲回した渦巻
    き状の電極群を、円筒形の電池容器内に収納した円筒型
    リチウム二次電池において、前記正極板の厚さをA(m
    m)、前記負極板の厚さをB(mm)、前記電極群の内
    径をd(mm)としたときに、該正極板の厚さAと該電
    極群の内径dとの比A/d及び該負極板の厚さBと前記
    電極群の内径dとの比B/dがそれぞれ0.004<A
    /d<0.027、0.002<B/d<0.017で
    あることを特徴とする円筒型リチウム二次電池。
  2. 【請求項2】 前記正極板の厚さAが0.3mm未満で
    あることを特徴とする請求項1に記載の円筒形リチウム
    二次電池。
  3. 【請求項3】 前記電極群には、捲回時の巻き芯がその
    まま軸芯として使用されていることを特徴とする請求項
    1又は請求項2に記載の円筒型リチウム二次電池。
  4. 【請求項4】 前記リチウム複合酸化物がリチウムマン
    ガン酸化物であることを特徴とする請求項1乃至請求項
    3のいずれか1項に記載の円筒型リチウム二次電池。
  5. 【請求項5】 前記炭素材が非晶質炭素であることを特
    徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の
    円筒型リチウム二次電池。
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