JP2001354856A - ポリシリレンメチレン混成体およびその製造方法並びに成型体およびその製造方法 - Google Patents

ポリシリレンメチレン混成体およびその製造方法並びに成型体およびその製造方法

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JP2001354856A
JP2001354856A JP2000174097A JP2000174097A JP2001354856A JP 2001354856 A JP2001354856 A JP 2001354856A JP 2000174097 A JP2000174097 A JP 2000174097A JP 2000174097 A JP2000174097 A JP 2000174097A JP 2001354856 A JP2001354856 A JP 2001354856A
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polysilylene
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Souto Ri
相都 李
Masashi Murakami
正志 村上
Takuya Ogawa
▲琢▼哉 小川
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Dow Corning Asia Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリシリレンメチレン架橋物を含有してな
り、制御された物性を有する新規なポリシリレンメチレ
ン混成体、その製造方法、ポリシリレンメチレン混成体
よりなる成型体、およびその製造方法を提供すること。 【解決手段】 ポリシリレンメチレン混成体は、末端に
二重結合を有する構造の不飽和反応性基を有するポリシ
リレンメチレンを架橋して得られる架橋物と、特定の鎖
状ポリシリレンメチレンとを含有してなる。このポリシ
リレンメチレン混成体は、鎖状ポリシリレンメチレンの
存在下で不飽和反応性基を有するポリシリレンメチレン
を架橋する方法で製造することができる。成型体はポリ
シリレンメチレン混成体よりなる。成型体は、モールド
内において、鎖状ポリシリレンメチレンの存在下で不飽
和反応性基を有するポリシリレンメチレンを架橋する方
法を行うことにより、製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリシリレンメチ
レン混成体およびその製造方法並びに成型体およびその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、高分子樹脂材料においては、そ
の物性の改良手段として、ポリマーを架橋して架橋物と
することが知られている。高分子樹脂材料の1種である
ポリシリレンメチレンについても、例えば特開平10−
182833号公報などによって開示された製造方法に
よって得られるポリマーが鎖状のものであることから、
架橋することによってその物性を改良することが試みら
れている。
【0003】ポリシリレンメチレンの架橋物を製造する
方法としては、例えばポリシリレンメチレンの側鎖に不
飽和反応性基を導入し、これを利用して架橋する方法が
知られている(W.Uhlig J.Polym.Sc
i.A:Polym.Chem.,1998,36,7
25.参照 )。この方法によって得られるポリシリレ
ンメチレンの架橋物は、例えば適宜の方法で加熱処理す
ることにより、−Si−C−結合を主骨格構造とするセ
ラミックスが得られることなどから、近年、セラミック
スの原料または耐熱高強度材料などとして注目されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現在ま
でに、ポリシリレンメチレン架橋物よりなる高分子物質
であってその物性が制御されたものを有利に得る方法は
知られていない。本発明は、以上のような事情に基づい
てなされたものであって、その目的は、ポリシリレンメ
チレン架橋物を含有してなり、制御された物性を有する
新規なポリシリレンメチレン混成体を提供することにあ
る。また、本発明の他の目的は、新規なポリシリレンメ
チレン混成体を製造する方法を提供することにある。本
発明の更に他の目的は、新規なポリシリレンメチレン混
成体よりなる成型体を提供することにある。本発明の他
の目的は、ポリシリレンメチレン混成体よりなる成型体
を有利に製造することのできる方法を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のポリシリレンメ
チレン混成体は、下記式(1)で表される不飽和反応性
基を有するポリシリレンメチレンを架橋することによっ
て得られるポリシリレンメチレン架橋物(A成分)と、
下記式(2)で表される繰り返し単位を主鎖骨格とする
鎖状ポリシリレンメチレン(B成分)とを含有してなる
ことを特徴とする。
【0006】
【化6】式(1) CH2 =CR1 −(Z)p
【0007】〔式中、R1 は、水素原子またはメチル基
を示す。Zは、酸素原子を含有してもよい2価の有機基
を示す。pは0または1である。〕
【0008】
【化7】
【0009】〔式中、R2 およびR3 は、同一または異
なり、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数6〜12
の芳香族炭化水素基を示す。繰り返し数nは、重量平均
分子量が1,000〜5,000,000となるような
数である。〕
【0010】本発明のポリシリレンメチレン混成体の製
造方法は、上記式(2)で表される繰り返し単位を主鎖
骨格とする鎖状ポリシリレンメチレン(B成分)の存在
下で、下記式(3)で表される繰り返し単位を主鎖骨格
とするポリシリレンメチレンを架橋することを特徴とす
る。
【0011】
【化8】
【0012】〔式中、Wは上記式(1)で表される不飽
和反応性基を示し、R4 、R5 およびR6 は、それぞれ
独立に、上記式(1)で表される不飽和反応性基、水素
原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のハロ
ゲン化アルキル基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素
基、炭素数6〜12のハロゲン化芳香族炭化水素基、炭
素数1〜6のアルコキシ基、水酸基またはハロゲン原子
を示す。繰り返し数mは、重量平均分子量が1,000
〜5,000,000となるような数である。〕
【0013】本発明の成型体は、上記のポリシリレンメ
チレン混成体よりなることを特徴とする。本発明の成型
体の製造方法は、成型用モールド内において、上記のポ
リシリレンメチレン混成体の製造方法、すなわち上記式
(2)で表される繰り返し単位を主鎖骨格とする鎖状ポ
リシリレンメチレン(B成分)の存在下で、上記式
(3)で表される繰り返し単位を主鎖骨格とするポリシ
リレンメチレンを架橋する方法を行うことにより、ポリ
シリレンメチレン混成体よりなる成型体を製造すること
を特徴とする。
【0014】
【作用】本発明のポリシリレンメチレン混成体は、三次
元網状構造の架橋構造を有するポリシリレンメチレン架
橋物に、これとは基本的に異なる特性の鎖状ポリシリレ
ンメチレンが混在してなるものであり、従って両成分の
特性により、固有の物性を有する高分子物質となる。例
えば、ポリシリレンメチレン架橋物成分に由来する優れ
た靭性を有しながら、鎖状ポリシリレンメチレン成分に
由来する成型加工性を有するポリシリレンメチレン混成
体が得られる。しかも、ポリシリレンメチレン架橋物成
分と鎖状ポリシリレンメチレン成分とは、基本的には類
似の化学構造を有するものであって両成分は互いに他に
対して良好な相溶性を有しており、従ってこのポリシリ
レンメチレン混成体によれば、均質性が高く、良好な外
観を有する成型品を得ることができる。
【0015】本発明のポリシリレンメチレン混成体の製
造方法によれば、鎖状ポリシリレンメチレンの存在下
で、不飽和反応性基を有するポリシリレンメチレンを架
橋することにより、ポリシリレンメチレン架橋物および
鎖状ポリシリレンメチレンが分子単位のレベルで混在し
た状態の、均質性の高いポリシリレンメチレン混成体が
得られる。
【0016】本発明の成型体は、上記のポリシリレンメ
チレン混成体よりなることにより、成型材料において必
要な成型加工性が得られるために成型が容易であると共
に、得られる成型体は優れた特性を発揮することができ
る。また、本発明の成型体の製造方法によれば、上記の
ポリシリレンメチレン混成体よりなる成型体を、簡単な
方法で容易に製造することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明のポリシリレンメチレン混成体は、ポリシ
リレンメチレン架橋物(A成分)と、鎖状ポリシリレン
メチレン(B成分)とを含有してなるものである。
【0018】本発明のポリシリレンメチレン混成体を製
造するためには、種々の方法を利用することができる。
その一例としては、架橋されることによってA成分のポ
リシリレンメチレン架橋物を生成するA成分前駆体、例
えば後述する不飽和反応性基を有するポリシリレンメチ
レンと、B成分の鎖状ポリシリレンメチレンとを適宜の
手段によって混合し、当該A成分前駆体を、B成分の存
在下において架橋する方法を好ましく用いることができ
る。
【0019】この方法によれば、B成分が共存する系に
おいてA成分前駆体の有する不飽和反応性基が反応して
架橋構造が形成されるため、生成するA成分の架橋構造
中にB成分がいわば分子状態で取り込まれた状態のポリ
シリレンメチレン混成体が得られる。従って、A成分の
ポリシリレンメチレン架橋物と、B成分の鎖状ポリシリ
レンメチレンとが、いずれも分子単位のレベルで混在す
るようになるため、きわめて均質性の高いポリシリレン
メチレン混成体を確実に得ることができる。
【0020】本発明のポリシリレンメチレン混成体は、
以上の方法によらずに、予め製造されたA成分用のポリ
シリレンメチレン架橋物と、B成分用の鎖状ポリシリレ
ンメチレンとを、両者の軟化温度または融解温度以上の
温度において機械的に混合する方法によっても、製造す
ることができる。具体的には、例えば粉末状または細片
状としたB成分用の鎖状ポリシリレンメチレンと、同じ
く粉末状または細片状としたA成分用のポリシリレンメ
チレン架橋物とを高速撹拌機などを用いて均一に混合す
ることにより、あるいは単軸または多軸の押出機によっ
て溶融混練することにより、目的とするポリシリレンメ
チレン混成体を製造することができる。
【0021】本発明のポリシリレンメチレン混成体を構
成するA成分のポリシリレンメチレン架橋物は、上記式
(3)で表される繰り返し単位を主鎖骨格とするポリマ
ー、すなわち上記式(1)で表される、末端に炭素−炭
素間二重結合を有する構造の特定の不飽和反応性基(以
下、「特定不飽和反応性基」という。)を有する鎖状構
造のポリシリレンメチレン(以下、「A成分前駆体」と
いう。)を、当該特定不飽和反応性基を利用して架橋す
ることにより、生成されるものである。
【0022】特定不飽和反応性基を示す式(1)におい
て、R1 は、水素原子またはメチル基を示し、Zは、酸
素原子を含有してもよい2価の有機基を示す。また、p
は0または1である。ここに、2価の有機基としては、
例えば2価の脂肪族炭化水素基、2価の芳香族炭化水素
基などが挙げられる。特定不飽和反応性基の具体例とし
ては、例えばビニル基、アリル基、スチリル基(ビニル
フェニル基)、メタクリロイル基、アクリロイル基、メ
タクリルオキシプロピル基、アクリルオキシプロピル基
などが挙げられる。これらのうち、実用上、アリル基ま
たはビニル基であることが好ましい。
【0023】上記のA成分前駆体は、例えば、1つ以上
の特定不飽和反応性基を有する1,3−ジシラシクロブ
タン化合物を開環重合反応させる方法、その他の方法に
よって製造することができる。
【0024】式(3)において、Wは特定不飽和反応性
基を示し、R4 、R5 およびR6 は、それぞれ独立に、
特定不飽和反応性基、水素原子、炭素数1〜8のアルキ
ル基、炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素数6
〜12の芳香族炭化水素基、炭素数6〜12のハロゲン
化芳香族炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基、水
酸基またはハロゲン原子を示す。
【0025】炭素数1〜8のアルキル基の例としては、
例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、へキシル
基などが挙げられる。炭素数1〜8のハロゲン化アルキ
ル基の例としては、ハロゲン原子としてフッ素原子、塩
素原子、臭素原子または沃素原子を含有するアルキル
基、例えばクロロメチル基、クロロエチル基などが挙げ
られる。炭素数6〜12の芳香族炭化水素基の例として
は、例えばフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、o
−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、4−アセチ
ルフェニル基などが挙げられる。炭素数6〜12のハロ
ゲン化芳香族炭化水素基の例としては、ハロゲン原子と
してフッ素原子、塩素原子、臭素原子または沃素原子を
含有する芳香族炭化水素基、例えば3−クロロメチルフ
ェニル基、4−クロロメチルフェニル基、2−クロロフ
ェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル
基などが挙げられる。炭素数1〜6のアルコキシ基の例
としては、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。
ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭
素原子、沃素原子が挙げられる。
【0026】そして、式(3)において、R4 、R5
よびR6 としては、実用上、水素原子、メチル基、フェ
ニル基、m−トリル基およびp−トリル基から選ばれる
ものであることが好ましい。
【0027】繰り返し数mは、重量平均分子量が1,0
00〜5,000,000となるような数である。A成
分前駆体は、同一の構成を有する繰り返し単位よりなる
ものに限られず、R4 、R5 およびR6 の一部または全
部が異なった複数種類の繰り返し単位によって構成され
たものであってもよい。
【0028】A成分前駆体の具体例としては、繰り返し
単位が下記の式(4)で示されるアリルフェニルポリシ
リレンメチレン、繰り返し単位が下記の式(5)で示さ
れるポリアリルフェニルシリレンメチレンジメチルシリ
レンメチレンなどが挙げられる。
【0029】
【化9】
【0030】
【化10】
【0031】上記のようなA成分前駆体をA成分用の原
料として用い、その特定不飽和反応性基を利用して、例
えばラジカル発生剤によって架橋反応させることによ
り、A成分のポリシリレンメチレン架橋物が生成され
る。
【0032】この架橋反応に用いられるラジカル発生剤
としては、親油性の有機過酸化物などの通常のラジカル
重合反応において使用されている化合物を適用すること
ができる。有機過酸化物の具体例としては、t−ブチル
ハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイ
ド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、
2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオ
キサイドなどのハイドロパーオキサイド類、2,2−ビ
ス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、1,1−ビス
(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンなどのパーオ
キシアセタール類、メチルエチルケトンパーオキサイ
ド、シクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパー
オキサイド類、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミ
ルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t
−ブチルパーオキシ)ヘキサンなどのジアルキルパーオ
キサイド類、デカノイルパーオキサイド、ベンゾイルパ
ーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサ
イドなどのジアシルパーオキサイド類、t−ブチルパー
オキシアセテート、t−ブチルパーオキシラウレート、
t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル
−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−
ブチルパーオキシマレイン酸などのパーオキシエステル
類などが挙げられる。
【0033】架橋反応におけるラジカル発生剤の使用量
は、特定不飽和反応性基の100モルに対してラジカル
発生剤1〜200モル、好ましくは100〜200モル
とされる。
【0034】上記の架橋反応の温度は、使用するラジカ
ル発生剤の種類にもよるが、通常は使用するラジカル発
生剤の10時間半減期に対応する温度以上の温度とされ
る。具体的には30〜400℃であり、加熱時間は、例
えば、加熱温度120℃の場合に1時間〜50時間であ
る。
【0035】A成分前駆体を架橋するためには、以上の
ようなラジカル発生剤を用いる手段によらずに、金属触
媒およびヒドロシラン類よりなる架橋剤を用いる手段を
用いることもできる。
【0036】この架橋反応に用いられる金属触媒として
は、ハイドロシリル化に用いられる触媒として公知の白
金系触媒、ロジウム系触媒、ルテニウム系触媒などが挙
げられる。これらの金属触媒は、架橋反応に供される原
料の反応性によって適宜選択される。
【0037】上記の白金系触媒としては、担持白金微粒
子、白金コロイド、マイナスの電荷を帯びた錯体、並び
に0価、2価、4価の白金化合物などが挙げられる。具
体的には、担持白金微粒子としては、活性炭担持白金、
アルミナ担持白金、シリカ担持白金などが挙げられ、マ
イナスの電荷を帯びた錯体としては、〔Pt 3 (CO)
6 2-、〔Pt3 (CO)6 22- 、〔Pt3 (CO)
6 42- などに代表される白金カルボニルクラスターア
ニオン化合物などが挙げられる(J.Amer. Ch
em. Soc.,1976,98 7225参照)。
また、0価の白金化合物としては、白金(0)ジビニル
テトラメチルジシロキサン錯体、白金(0)テトラビニ
ルテトラメチルシクロテトラシロキサン錯体、白金
(0)エチレン錯体、白金(0)スチレン錯体などが挙
げられ、2価の白金化合物としては、Pt(II)C
2 、Pt(II)Br2 、ビス(エチレン)Pt(II)
Cl2 、白金(II)アセチルアセトナート、ビス(ベン
ゾニトリル)Pt(II)Cl2 などが挙げられ、4価の
白金化合物としては、Pt(IV)Cl4 、H2 Pt(I
V)Cl6 、Na2 Pt(IV)Cl6 、K2 Pt(IV)
Cl6 などを挙げることができる。
【0038】ロジウム系触媒としては、1価のロジウム
系触媒が有効であるが、高い反応収率が得られることか
ら、配位子としてジエン、モノオレフィン、カルボニ
ル、トリオルガノホスフィン、トリオルガノホスフィン
オキシド、オルガノホスファイトまたはオルガノホスフ
ェイトを有するロジウムハロゲン化物およびビス(ジエ
ン)ロジウム(I)のカチオン錯体などのロジウム錯体
が好ましい。また、ジ−μ−クロロビス(1,5−シク
ロオクタジエン)二ロジウム(I)、ジ−μ−ブロモビ
ス(1,5−シクロオクタジエン)二ロジウム(I)、
ジ−μ−クロロ−テトラ(η−エチレン)二ロジウム
(I)、ジ−μ−クロロビス(ビシクロ〔2.2.1〕
ヘプタ−2,5−ジエン)二ロジウム(I)、ジ−μ−
ブロモビス(ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタ−2,5−
ジエン)二ロジウム(I)、ジ−μ−クロロテトラキス
(シクロオクテン)二ロジウム(I)、ジ−μ−クロロ
テトラカルボニル二ロジウム(I)、ビス(シクロオク
タ−1,5−ジエン)ロジウム(I)テトラフルオロホ
ウ酸塩、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジ
ウム(I)、ブロモトリス(トリフェニルホスフィン)
ロジウム(I)およびジ−μ−クロロビス(2,5−ノ
ルボルナジエン)ジロジウムなどを挙げることができ
る。
【0039】架橋剤のヒドロシラン化合物としては、ケ
イ素原子に結合した水素原子を1分子中に2つ以上有す
るケイ素化合物が用いられる。具体的には、例えば下記
一般式(6)で表される化合物が挙げられる。また、こ
の他に、SiH構造を1分子中に2個以上有するポリシ
ロキサンやジシランなども挙げることができる。
【0040】
【化11】一般式(6) R7 4-qSiHq
【0041】〔式中、R7 はアルキル基を示し、qは
2、3または4とされる。〕
【0042】ハイドロシリル化による架橋反応の温度
は、使用する金属触媒および架橋剤の種類にもよるが、
通常は80〜200℃あり、加熱時間は例えば1分〜1
時間である。
【0043】上記のポリシリレンメチレン架橋物である
A成分と共にポリシリレンメチレン混成体を構成するB
成分は、上記式(2)で表される繰り返し単位による鎖
状ポリシリレンメチレンである。式(2)において、R
2 およびR3 は、同一または異なり、炭素数1〜8のア
ルキル基または炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を示
す。
【0044】炭素数1〜8のアルキル基の例としては、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、へキシル基など
が挙げられる。また、炭素数6〜12の芳香族炭化水素
基の例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル
基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基などが
挙げられる。そして、式(2)におけるR2 およびR3
としては、実用上、メチル基、フェニル基、m−トリル
基およびp−トリル基から選ばれた基であることが好ま
しい。
【0045】また、繰り返し数nは、重量平均分子量が
1,000〜5,000,000となるような数であ
る。B成分の鎖状ポリシリレンメチレンは、同一の構成
を有する繰り返し単位によるものに限られず、R2 およ
びR3 の一方または両方が異なった複数の種類の繰り返
し単位により構成されたものであってもよい。
【0046】B成分の鎖状ポリシリレンメチレンの具体
例としては、ジフェニルポリシリレンメチレン、メチル
フェニルポリシリレンメチレン、ジメチルポリシリレン
メチレンなどが挙げられ、これらのうち、特にジフェニ
ルポリシリレンメチレンが好ましい。B成分として用い
られる鎖状ポリシリレンメチレンが酸化されやすいもの
である場合、例えばジフェニルポリシリレンメチレンが
用いられる場合には、ポリシリレンメチレン混成体を製
造する際に、予め酸化防止剤を添加しておくことが好ま
しい。ここに、酸化防止剤としては公知のものを使用す
ることができ、例えばフタロシアニン、商品「イルガノ
ックス(登録商標)」(IRGANOX)などを挙げる
ことができる。
【0047】B成分のポリシリレンメチレンを得るため
には、一般的なポリシリレンメチレンの製造方法を用い
ることができる。具体的な方法としては、(イ)有機過
酸化物などのラジカル発生剤の存在下で1,3−ジシラ
シクロブタンを開環重合する方法(特開平10−182
833号公報参照)、(ロ)銅触媒の存在下で1,1,
3,3−テトラフェニル−1,3−ジシラシクロブタン
を開環重合する方法(特開平8−109266号公報、
特開平8−109264号公報、特開平8−10926
5号公報参照)、その他が知られているが、これらに限
定されるものではない。
【0048】上記のA成分とB成分とが緊密に混合され
た状態とされることによって、ポリシリレンメチレン混
成体が得られる。このポリシリレンメチレン混成体にお
いては、A成分およびB成分の含有割合にもよるが、A
成分およびB成分の一方の成分によるマトリックス中に
他方の成分が分散状態で存在しているものと考えられ
る。
【0049】本発明のポリシリレンメチレン混成体にお
いて、A成分およびB成分の含有割合は基本的に特に限
定されるものではなく、例えばA成分が1〜99質量部
でB成分が1〜99質量部のように、広い範囲において
選定することが可能である。従って、具体的な用途や、
求められる特性に応じて両成分の割合を選定すればよ
い。例えば成型材料としては、ポリシリレンメチレン架
橋物であるA成分の割合が50質量%以下であることが
好ましく、これにより、十分な成型加工性を確実に得る
ことができる。また、或る用途においては、例えばA成
分が40〜60質量部でB成分が40〜60質量部であ
ることが好ましい場合もある。
【0050】また、このポリシリレンメチレン混成体中
には、適宜の添加成分が含まれていてもよい。ここに添
加成分の具体例としては、顔料、染料などの着色剤、ガ
ラス繊維、金属繊維、金属フレーク、炭素繊維、セラミ
ックス繊維、セラミックスパウダーなどの補強剤あるい
は充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安
定剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤および難燃剤などが挙
げられる。このポリシリレンメチレン混成体において
は、例えば使用目的に応じて複数の添加成分が含まれて
いてもよい。
【0051】本発明のポリシリレンメチレン混成体は、
架橋構造を有するA成分のポリシリレンメチレン架橋物
と、B成分の鎖状ポリシリレンメチレンとが混在してな
るものであり、従って、ポリシリレンメチレン架橋物の
有する物性が、鎖状ポリシリレンメチレンによっていわ
ば稀釈された状態の高分子物質、あるいは、鎖状ポリシ
リレンメチレンの物性がポリシリレンメチレン架橋物に
よって補強された状態の高分子物質となる。
【0052】その結果、本発明のポリシリレンメチレン
混成体は、これを構成するA成分およびB成分の有する
物性により、また、両成分の相対的割合に応じて、制御
された固有の物性を有する高分子物質となり、従って、
例えば、ポリシリレンメチレン架橋物成分に基づく優れ
た靭性を有しながら、しかも鎖状ポリシリレンメチレン
成分に基づく優れた成型加工性を有するポリシリレンメ
チレン混成体を得ることができる。
【0053】例えば、ポリシリレンメチレン混成体が、
ポリシリレンメチレン架橋物よりなるマトリックス中に
鎖状ポリシリレンメチレンが分散状態で混在するもので
ある場合には、B成分が含有されないものに比して、全
体として高い機械的強度を有しながら成型加工性が改善
された高分子物質となる。一方、鎖状ポリシリレンメチ
レンよりなるマトリックス中にポリシリレンメチレン架
橋物が分散状態で混在する混成体は、A成分が含有され
ないものに比して、全体として高い加工性容易性を有す
るものでありながら、A成分による優れた機械的強度を
有する高分子物質となる。
【0054】従って、本発明のポリシリレンメチレン混
成体によれば、きわめて優れた機械的特性を有する物品
を形成することができる成型用材料であって、しかも実
用上十分な加工性を有するものを提供することができ
る。しかも、ポリシリレンメチレン架橋物成分と鎖状ポ
リシリレンメチレン成分とは、基本的に類似の骨格を有
するものであることから、両成分は、基本的に良好な相
溶性を有するものであり、その結果、当該ポリシリレン
メチレン混成体を成型することにより、均質性が高くて
良好な外観を有する成型品を形成することができる。
【0055】本発明の成型体は、上記のポリシリレンメ
チレン混成体よりなるものであり、既述の方法によって
製造されたポリシリレンメチレン混成体を成型材料とし
てこれを適宜の成型用のモールドにおいて成型すること
により、得ることができる。具体的な成型の方法や条件
は、用いるA成分およびB成分の種類および両成分の割
合によって適宜選定することができるが、成型処理にお
いては、成型材料の体積の収縮が生ずることがあり、そ
のため、特に加圧しながら成型が行われる圧縮成型法が
好ましい。
【0056】また、本発明においては、成型用のモール
ド内において、B成分の存在下においてA成分前駆体を
架橋してA成分を生成させる方法を遂行することによ
り、成型されたポリシリレンメチレン混成体である成型
体を製造することができる。このような方法によれば、
A成分前駆体とB成分とを用いて直接的にまたは一工程
でポリシリレンメチレン混成体よりなる成型体が得られ
る。従って、A成分前駆体とB成分とからポリシリレン
メチレン混成体を製造する工程と、これを成型する工程
の2工程を経る方法に比して、きわめて有利に、目的と
する成型体を製造することができる。
【0057】しかも、この方法によれば、モールド内に
注入される原料はA成分前駆体とB成分であって、いず
れも鎖状ポリシリレンメチレンであるから、その各々の
取扱いが容易となる。特に、A成分の含有割合の高いポ
リシリレンメチレン混成体よりなる成型体を製造する場
合において、ポリシリレンメチレン混成体を製造した後
にこれを成型する方法による場合には、架橋物であるA
成分の割合が高いために、成型材料の溶融に高い温度が
必要とされるなどの制約が課される場合が多い。しか
し、上記の方法によれば、そのような制約を受けずに成
型を行うことができ、従って、A成分の割合が高いポリ
シリレンメチレン混成体よりなる成型体を容易にかつ確
実に製造することができる。この場合の成型方法として
は、架橋反応によってA成分前駆体の体積の収縮が生ず
ることから、特に加圧しながら行う圧縮成型法が好まし
い。
【0058】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明はこれらに限定されるものではない。また、以下
に示す例中の生成物の特性の記述における 1H−NMR
および29Si−NMRは、それぞれプロトン核磁気共鳴
スペクトルおよびケイ素29核磁気共鳴スペクトルを表
し、IRは赤外線吸収スペクトルを表す。CDCl3
重クロロホルムを表す。プロトン核磁気共鳴スペクトル
データの表示のうち、括弧の中に示されたs、d、tお
よびmはそれぞれ、シングレット、ダブレット、トリプ
レットおよびマルチプレットを表し、1H、2H、3H
などはそれぞれプロトン1個、2個、3個相当分のスペ
クトル強度を意味する。1H−NMRスペクトルのケミ
カルシフトはすべて、CDCl3 溶媒中の残存CHCl
3 の共鳴位置を7.24ppmとした場合の値である。
29Si−NMRスペクトルのケミカルシフトは、外部標
準のテトラメチルシラン(CDCl3 溶液)のケイ素の
ケミカルシフトを0ppmとした値である。
【0059】(合成例1) 〔A成分前駆体の製造〕トランス1,3−ジメチル−
1,3−ジフェニル−1,3−ジシラシクロブタン(以
下、「モノマーA1」という。)15.24g(56.
7ミリモル)と、1−アリル−1−フェニル−3,3−
ジメチル−1,3−ジシラシクロブタン(以下、「モノ
マーA2」という。)0.4g(1.70ミリモル)
と、クロロノルボルナジエンロジウム(I)二量体(ジ
−μ−クロロビス(2,5−ノルボルナジエン)ジロジ
ウム、化学式:Rh2 (nbd)2 Cl2 、和光純薬株
式会社製、以下「ロジウム触媒A」という。)27mg
(0.06ミリモル)との混合物を12ミリリットルの
トルエンに溶かし、この混合物を容量100ミリリット
ルの丸底フラスコに入れ、これを予め40℃に設定した
オイルバスで48時間不活性ガスの存在下で加熱し、得
られた反応混合物を50ミリリットルのトルエンを加え
て溶解し、その溶液に3000ミリリットルのエタノー
ルを加えて沈殿させた後、80℃の真空オーブンで5時
間乾燥することにより、重量平均分子量150,00
0、分子量分布3.50、ガラス転移温度(Tg)2
5.1℃の褐色透明ガラス状のポリマーを得た。得られ
たポリマーについてNMR測定およびIR測定を行った
ところ下記の結果が得られ、この生成物が、下記の式
(7)で表される繰り返し単位を主鎖骨格とするポリア
リルフェニルシリレンメチレンジメチルシリレンメチレ
ンとポリメチルフェニルシリレンメチレンとの共重合体
(以下、「A成分前駆体1」という。)であることが確
認された。このA成分前駆体1の収率は99%であっ
た。
【0060】1H−NMR(CDCl3 );δ7.46
−7.19(m,5H,arom.),5.91−5.
65(m,0.03H,CH2 =C−CH2 −),
5.00−4.76(m,0.06H,C2 =CH−
CH2 −),0.15−(−)0.21(m,5H,−
Si−CH2 −Si− and SiCH3 ).29Si
−NMR(CDCl3 );δ−1.86,−1.93,
−1.20.IR(neat);1630.0allyl
1255.1Si-Me ,1111.1Si-Ph ,1057.
Si-C-Si cm-1
【0061】
【化12】
【0062】(合成例2) 〔A成分前駆体の製造〕モノマーA1の10.4g(3
8.7ミリモル)と、モノマーA2の1g(4.3ミリ
モル)と、ロジウム触媒Aの20mg(0.04ミリモ
ル)との混合物を8.6ミリリットルのトルエンに溶解
し、この溶液を容量50ミリリットルの丸底フラスコに
入れ、それを予め40℃に設定したオイルバスで48時
間不活性ガスの存在下で加熱し、得られた反応混合物を
50ミリリットルのトルエンに溶解し、その溶液に30
00ミリリットルのエタノールを加えて沈殿させた後、
80℃の真空オーブンで5時間乾燥することにより、重
量平均分子量170,000、分子量分布4.20、ガ
ラス転移温度(Tg)20.6℃の褐色透明ガラス状の
ポリマーを得た。得られたポリマーについてNMR測定
およびIR測定を行ったところ下記の結果が得られ、こ
の生成物が、下記の式(8)で表される繰り返し単位を
主鎖骨格とするポリアリルフェニルシリレンメチレンジ
メチルシリレンメチレンとポリメチルフェニルシリレン
メチレンとの共重合体(以下、「A成分前駆体2」とい
う。)であることが確認された。このA成分前駆体2の
収率は98%であった。
【0063】1 H−NMR(CDCl3 );δ7.46
−7.19(m,5H,arom.),5.91−5.
65(m,0.05H,CH2 =C−CH2 −),
5.00−4.76(m,0.1H,C2 =CH−C
2 −),0.15−(−)0.21(m,5H,−S
i−CH2 −Si− and SiCH3 ).29Si−
NMR(CDCl3 );δ1.86,1.93,1.2
0.IR(neat);1628.1allyl ,125
5.8Si-Me ,1111.1Si-Ph ,1057.1
Si-C-Si cm-1
【0064】
【化13】
【0065】(合成例3) 〔B成分用の鎖状ポリシリレンメチレンの製造〕1,
1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジシラシクロブ
タンの3.0gを封管中において280℃で3時間加熱
し、得られた生成物を80℃で1日間減圧乾燥すること
により、2.8gのポリジフェニルシリレンメチレン
(以下、「B成分用ポリマー1」という。)を得た。B
成分用ポリマー1について、DSC測定(示差走査熱量
測定)により求めた溶融温度(Tm)は352℃であ
り、粘弾性測定装置「RDAII」(レオメトリックス社
製)より求めた360℃での溶融粘度は7.93×10
4 poise、貯蔵弾性率は7.26×104 dyn/
cm2 であった。
【0066】<実施例1>A成分前駆体1の3gと、B
成分用ポリマー1の9.6gと、ラジカル発生剤である
ジクミルパーオキサイド0.09gと、酸化防止剤とし
てフタロシアニン(和光純薬株式会社製)0.12gお
よびイルガノックス(登録商標、チバガイギー社製)
0.24gとを、加熱混練装置により360℃で5分間
の時間をかけて均一に混合した上でこの混合物を360
℃で10分間かけて圧縮成型することにより、架橋反応
させてポリシリレンメチレン混成体よりなる厚さ1mm
の板状成型体(以下、「成型体1」という。)を得た。
この成型体1を観察したところ、その外観は良好であっ
た。また、成型体1について、DSC測定により求めた
転移温度は26℃、135℃および351℃であった。
更に、この成型体1について、合成例3と同様にして求
めた360℃での溶融粘度は9.86×105 pois
e、貯蔵弾性率は9.83×105 dyn/cm2 であ
り、万能試験機「AGS−1KNG」(島津製作所社
製)により求めた曲げ強度は34MPa、曲げ弾性率は
3GPaであった。
【0067】<実施例2>A成分前駆体2の3gと、B
成分用ポリマー1の9.6gと、ラジカル発生剤である
ジクミルパーオキサイド0.09gと、酸化防止剤であ
るフタロシアニン(和光純薬株式会社製)0.12gお
よびイルガノックス(登録商標、チバガイギー社製)
0.24gとを、加熱混練装置により360℃で5分間
の時間をかけて均一に混合した上でこの混合物を360
℃で10分間かけて圧縮成型することにより、架橋反応
させてポリシリレンメチレン混成体よりなる厚さ1mm
の板状成型体(以下、「成型体2」という。)を得た。
この成型体2を観察したところ、その外観は良好であっ
た。また、成型体2について、DSC測定により求めた
転移温度は、26℃、135℃および353℃であっ
た。更に、この成型体2について、実施例1と同様にし
て求めた曲げ強度は36MPa、曲げ弾性率は3GPa
であった。
【0068】<比較例1> 〔B成分用ポリマー1による成型体の製造〕B成分用ポ
リマー1の16gと、酸化防止剤であるフタロシアニン
(和光純薬株式会社製)1.6gおよびイルガノックス
(登録商標、チバガイギー社製)3.2gとを、加熱混
練装置により360℃で5分間の時間をかけて均一に混
合した上でこの混合物を360℃で10分間かけて圧縮
成型することにより、ポリジフェニルシリレンメチレン
よりなる厚さ1mmの板状成型体(以下、「比較用成型
体1」という。)を得た。この比較用成型体1を観察し
たところ、その外観は良好であった。また、比較用成型
体1について、DSC測定により求められた転移温度
は、135℃および352℃であった。更に、この比較
用成型体1について、合成例3と同様にして求めた36
0℃での溶融粘度は1.27×105 poise、貯蔵
弾性率は9.83×105 dyn/cm2 であり、実施
例1と同様にして求めた曲げ強度は28MPa、曲げ弾
性率は3.9GPaであった。
【0069】<比較例2> 〔鎖状ポリシリレンメチレン混合体による成型体の製
造〕B成分用ポリマー1の4gと、ポリメチルフェニル
シリレンメチレンの16gと、酸化防止剤であるフタロ
シアニン(和光純薬株式会社製)の1.6gおよびイル
ガノックス(登録商標、チバガイギー社製)の3.2g
とを、加熱混練装置により360℃で5分間の時間をか
けて均一に混合した上でこの混合物を360℃で10分
間かけて圧縮成型することにより、ポリジフェニルシリ
レンメチレンとポリメチルフェニルシリレンメチレンと
の混合体よりなる厚さ1mmの板状成型体(以下、「比
較用成型体2」という。)を得た。この比較成型体2を
観察したところ、その外観は良好であった。また、比較
用成型体2について、DSC測定により求められた転移
温度は、ポリジフェニルシリレンメチレンおよびポリメ
チルフェニルシリレンメチレンの転移温度である、24
℃、135℃および352℃であった。更に、この比較
用成型体2について、合成例3と同様にして求めた36
0℃での溶融粘度は9.83×104 poiseであ
り、実施例1と同様にして求めた曲げ強度は27MP
a、曲げ弾性率は3.1GPaであった。
【0070】<比較例3> 〔ポリシリレンメチレン架橋物の製造〕A成分前駆体1
の3.54gと、ラジカル発生剤としてのジクミルパー
オキサイドの0.1gとを加熱混練装置により360℃
で5分間の時間をかけて均一に混合した上でその混合物
を200℃で2時間加熱することにより、有機溶媒に不
溶なポリシリレンメチレンの架橋物(以下、「架橋物
1」という。)を得た。得られた架橋物1について、B
成分用ポリマー1と同様にして求めた360℃での溶融
粘度は3.69×106 poise、貯蔵弾性率は3.
67×106 dyn/cm2 、ヤング率は0.2GPa
であった。
【0071】以上の結果から、実施例1および実施例2
において得られた成型体1および成型体2はいずれも外
観が良好なものであり、このことから、当該ポリシリレ
ンメチレン混成体を形成するA成分とB成分とが優れた
相溶性を有することが明らかである。また、実施例1の
成型体1は、その曲げ強度において比較例1および比較
例2のものに比して優れた特性を示すと共に、その溶融
粘度は、比較例1および比較例2のものより高く、ポリ
シリレンメチレン架橋物のみよりなる比較例3のものよ
り低い水準となっている。これらのことから、本発明の
ポリシリレンメチレン混成体は、優れた靭性を有すると
共に、優れた成型加工性を有するものであることが理解
される。
【0072】
【発明の効果】本発明のポリシリレンメチレン混成体
は、三次元網状構造の架橋構造を有するポリシリレンメ
チレン架橋物に、これとは基本的に特性の異なる鎖状ポ
リシリレンメチレンが混在してなるものであり、従って
両成分の特性により、固有の物性を有する高分子物質と
なる。例えば、ポリシリレンメチレン架橋物成分に由来
する優れた靭性を有しながら、鎖状ポリシリレンメチレ
ン成分に由来する成型加工性を有するポリシリレンメチ
レン混成体が得られる。しかも、ポリシリレンメチレン
架橋物成分と鎖状ポリシリレンメチレン成分とは、基本
的に類似の化学構造を有するものであって両成分は互い
に他に対して良好な相溶性を有しており、従ってこのポ
リシリレンメチレン混成体によれば、均質性が高く、良
好な外観を有する成型品を得ることができる。
【0073】本発明のポリシリレンメチレン混成体の製
造方法によれば、鎖状ポリシリレンメチレンの存在下
で、不飽和反応性基を有するポリシリレンメチレンを架
橋することにより、ポリシリレンメチレン架橋物および
鎖状ポリシリレンメチレンが分子単位のレベルで混在し
た状態の、均質性の高いポリシリレンメチレン混成体が
得られる。
【0074】本発明の成型体は、上記のポリシリレンメ
チレン混成体よりなることにより、成型材料において必
要な成型加工性が得られるために成型が容易であると共
に、得られる成型体は優れた特性を発揮することができ
る。また、本発明の成型体の製造方法によれば、上記の
ポリシリレンメチレン混成体よりなる成型体を、簡単な
方法で容易に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA65 AA78 AH19 BA01 BB03 BC07 4J002 CP21W CP21X GT00 4J035 JA02 LA03 LB20

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1)で表される不飽和反応性基
    を有するポリシリレンメチレンを架橋することによって
    得られるポリシリレンメチレン架橋物(A成分)と、下
    記式(2)で表される繰り返し単位を主鎖骨格とする鎖
    状ポリシリレンメチレン(B成分)とを含有してなるこ
    とを特徴とするポリシリレンメチレン混成体。 【化1】式(1) CH2 =CR1 −(Z)p − 〔式中、R1 は、水素原子またはメチル基を示す。Z
    は、酸素原子を含有してもよい2価の有機基を示す。p
    は0または1である。〕 【化2】 〔式中、R2 およびR3 は、同一または異なり、炭素数
    1〜8のアルキル基または炭素数6〜12の芳香族炭化
    水素基を示す。繰り返し数nは、重量平均分子量が1,
    000〜5,000,000となるような数である。〕
  2. 【請求項2】 下記式(2)で表される繰り返し単位を
    主鎖骨格とする鎖状ポリシリレンメチレン(B成分)の
    存在下で、下記式(3)で表される繰り返し単位を主鎖
    骨格とするポリシリレンメチレンを架橋することを特徴
    とするポシリレンメチレン混成体の製造方法。 【化3】 〔式中、R2 およびR3 は、同一または異なり、炭素数
    1〜8のアルキル基または炭素数6〜12の芳香族炭化
    水素基を示す。繰り返し数nは、重量平均分子量が1,
    000〜5,000,000となるような数である。〕 【化4】 〔式中、Wは下記式(1)で表される不飽和反応性基を
    示し、R4 、R5 およびR6 は、それぞれ独立に、下記
    式(1)で表される不飽和反応性基、水素原子、炭素数
    1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のハロゲン化アルキ
    ル基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、炭素数6〜
    12のハロゲン化芳香族炭化水素基、炭素数1〜6のア
    ルコキシ基、水酸基またはハロゲン原子を示す。繰り返
    し数mは、重量平均分子量が1,000〜5,000,
    000となるような数である。〕 【化5】式(1) CH2 =CR1 −(Z)p − 〔式中、R1 は、水素原子またはメチル基を示す。Z
    は、酸素原子を含有してもよい2価の有機基を示す。p
    は0または1である。〕
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のポリシリレンメチレン
    混成体よりなることを特徴とする成型体。
  4. 【請求項4】 成型用モールド内において、請求項2に
    記載の方法を行うことにより、ポリシリレンメチレン混
    成体よりなる成型体を製造することを特徴とする成型体
    の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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