JPH09227782A - ポリシルメチレン組成物およびその製造方法 - Google Patents

ポリシルメチレン組成物およびその製造方法

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JPH09227782A
JPH09227782A JP3218096A JP3218096A JPH09227782A JP H09227782 A JPH09227782 A JP H09227782A JP 3218096 A JP3218096 A JP 3218096A JP 3218096 A JP3218096 A JP 3218096A JP H09227782 A JPH09227782 A JP H09227782A
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JP
Japan
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group
polysilmethylene
composition
aryl group
precursor
Prior art date
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JP3218096A
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English (en)
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Takuya Ogawa
▲琢▼哉 小川
Masashi Murakami
正志 村上
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DuPont Toray Specialty Materials KK
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Dow Corning Asia Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性及び成形加工性に優れたポリシルメチ
レン組成物及びその製法を提供する。 【解決手段】 くり返し単位が式−(Ar2 SiCH2)
−で表されるポリジアリールシルメチレン(A)1〜9
9wt%及び−(RR′SiCH2)n −を主鎖骨格とする
ポリシルメチレン(B)1〜99wt%からなるポリシル
メチレン組成物(Ar:アリール基;R,R′:C1
6 のアルキル基等)。(A)と(B)の前駆体(C)
との混合物、又は(A)の前駆体(D)と(B)との混
合物を重合させて(A)と(B)との混合物を作る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性、成形加工
性に優れたケイ素系高分子組成物およびその製造方法に
関する。詳しくは、ケイ素原子と炭素原子が交互に結合
した主鎖構造を有し、耐熱性および成形加工性に優れた
ポリシルメチレン組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】主鎖にケイ素原子を含むケイ素系高分子
材料は、従来から知られる有機高分子材料に見られない
特性が期待されるため機能性材料として注目されてい
る。代表的なものにポリシロキサン(シリコーン)類が
あり、その耐熱性、電気絶縁性、離型性、撥水性等のユ
ニークな特性から、幅広い分野で利用されている。一
方、主鎖がケイ素と炭素からなるポリカルボシラン類も
よく知られており、主鎖に極性原子を含まないことか
ら、耐熱性のみならず、耐水性、耐薬品性にも優れるこ
とが期待される。しかしながら、その研究、開発の大部
分は、炭化水素セラミックスの前駆体としての検討であ
り、得られた高分子の耐熱性材料としての研究例は非常
に少ない。ケイ素上の置換基がすべてアリール基であり
ケイ素原子と炭素原子が交互に結合した主鎖構造を有す
るポリジアリールシルメチレンに関して言えば、1,
1,3,3−テトラフェニル1,3−ジシラシクロブタ
ンの熱開環重合によるポリジフェニルシルメチレンの合
成(N.S. Nametkin, V.M. Vdovin, V.I. Zavyalov, Dok
l. Akad. Nauk SSSR, 162(4), 824(1965))、およびジク
ロロシランとジブロモメタンのウルツカップリングによ
るポリジフェニルシルメチレンの合成(B. van Aefferd
en, W.Habel, P. Sartori, Chemiker-Ztg., 114, 367(1
990)が報告されており、熱開環重合法で得られるポリマ
ーは結晶性を示すことが明らかになっている。本発明者
らも、1,1,3,3−テトラアリール1,3−ジシラ
シクロブタンの銅族触媒存在下の開環重合によるポリジ
フェニルシルメチレンの製造方法(特願平6−2441
58)、同モノマーを用いる開環重合によるジフェニル
スルホン中でのポリジフェニルシルメチレンの製造方法
(特願平6−244099,6−244100)、およ
び耐熱性の改善されたポリカルボシラン組成物(特願平
6−267446)に関して報告し、得られるポリジア
リールシルメチレンの高い耐熱性(5%重量減少温度:
450−500℃)を確認している。
【0003】一般的に、耐熱性に優れる高分子は、成形
加工性に難点があることが多く、この点を改善するため
に様々な提案がなされている。その代表的な手法として
1)高分子の分子量分布を広くし低分子量体の成分比率
を高くする方法、2)低分子量化合物を可塑剤として添
加する方法、3)流動性の良好な高分子とブレンドする
方法などが知られている。1)の方法では、高分子の耐
熱性を損なうことはないが、成形加工性の改善効果はそ
れほど大きくない。2)の方法では、可塑剤の添加量に
従って成形加工性が改善されるが、得られた組成物の耐
熱性、機械特性等に悪影響を及ぼすことが多い。3)の
ポリマーブレンド法は、成形加工性の改善効果は大きい
が、構成成分の相溶性が悪い場合は成形後の組成物の外
観が悪くなったり、均質の成形品が製造できなかったり
することがある。
【0004】一方、ケイ素上の置換基の少なくとも1つ
がメチル基であるポリシルメチレン類は、触媒存在下ま
たは不存在下での対応する1,3−ジシラシクロブタン
の開環重合により比較的容易に製造される(D.R. Weyen
berg, L.E. Nelson, J. Org.Chem., 30, 2618(1965) ;
W.A. Kriner, J. Polym. Sci. A-1, 4, 444(1966) 。ま
た本発明者らにより、ケイ素上の置換基がメチル基とフ
ェニル基であるポリメチルフェニルシルメチレンは、室
温付近(18〜28℃)にガラス転移温度を示す非晶性
高分子であること、および400℃までは重量損失を示
さないことが報告されている(Polym. Prepr. Jpn., 4
4, 812(1995) 。これまでに、置換基の異なる2種類以
上のポリシルメチレンからなる、耐熱性および成形加工
性に優れたポリシルメチレン組成物は報告されていな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、熱的
特性の大きく異なる2種類以上のポリシルメチレンから
なる、耐熱性および成形加工性に優れたポリシルメチレ
ン組成物およびその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達し
た。すなわち本発明は、くり返し単位が−(Ar2 Si
CH2 )−であるポリジアリールシルメチレン(A)1
〜99重量%および−(RR′SiCH2)n −で表され
る主鎖骨格を有するポリシルメチレン(B)1〜99重
量%からなる耐熱性および成形加工性に優れたポリシル
メチレン組成物およびその製造方法である。但し、式
中、Arは独立にアリール基又は置換アリール基を表
し、R及びR′はそれぞれ同一であり又は独立に、水素
原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基、アリ
ール基、置換アリール基、アルコキシ基、水酸基あるい
はハロゲン原子を表し、RとR′は同時にアリール基又
は置換アリール基になることはない。また、nは重合度
を表し、5≦n≦50,000である。
【0007】本発明における、ポリジアリールシルメチ
レン(A)は、高分子主鎖の繰り返し単位が−(Ar2
SiCH2 )−からなるものであり、このポリジアリー
ルシルメチレンは、熱重合により合成されるものであっ
ても、触媒重合により合成されるものであっても基本構
造は同じものであると考えられている。この点について
は、本発明者らは特願平6−244158号にて報告を
行なっている。
【0008】またポリジアリールシルメチレンは、結晶
性ポリマーであり常温では、トルエン、テトラヒドロフ
ラン等の溶媒への溶解度が低いので、GPC、溶液の蒸
気圧等の通常の方法を用いて分子量を決定することがで
きない。示差走査熱量計(DCS)を用いるポリマーの
熱挙動の測定(ポリマーの結晶化温度、あるいは融点)
により、ポリマーの重合度の違いを定性的に知ることは
できるが、通常の方法で真の重合度を知ることはできな
い。
【0009】本発明のポリシルメチレン組成物は、後述
したような公知の方法(加圧成形、溶融混練等)で製造
することができる。また本発明が提供する方法即ち、ポ
リジアリールシルメチレンの前駆体を原料とする方法や
ポリシルメチレンの前駆体を原料とする方法等によって
も製造できる。このため本発明のポリシルメチレン組成
物に使用されるポリジアリールシルメチレンの実質的な
重合度は格別制限されるものではない。
【0010】本発明の組成物の構成成分であるポリジア
リールシルメチレン(A)の置換基Arとしては、芳香
族基、アルキル置換芳香族基、アルケニル置換芳香族
基、アシル置換芳香族基、ハロゲン置換芳香族基等が挙
げられる。具体的には、フェニル基、ナフチル基、ビフ
ェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル
基、3−クロロメチルフェニル基、4−クロロメチルフ
ェニル基、2−ビニルフェニル基、3−ビニルフェニル
基、4−ビニルフェニル基、4−アセチルフェニル基、
2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−ク
ロロフェニル基などが例示されるが、経済性の観点から
は、フェニル基、m−トリル基、p−トリル基、3−ク
ロロフェニル基、4−クロロフェニル基から選ばれた基
であることが好ましい。
【0011】次に、本発明で用いるポリシルメチレン
(B)のケイ素上の置換基R、R′はそれぞれ同一であ
りまたは独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル
基、置換アルキル基、アルケニル基、アリール基、置換
アリール基、アルコキシ基、水酸基あるいはハロゲン原
子である。具体例としては、水素原子、メチル基、エチ
ル基、n−プロピル基、n−ヘキシル基、クロロメチル
基、ビニル基、アリル基、フェニル基、o−トリル基、
m−トリル基、p−トリル基、3−クロロフェニル基、
4−クロロフェニル基、3−クロロメチルフェニル基、
4−クロロメチルフェニル基、3−ビニルフェニル基、
4−ビニルフェニル基、4−アセチルフェニル基、メト
キシ基、エトキシ基、水酸基、塩素原子などが例示され
るが、経済性の観点からは、水素原子、メチル基、エチ
ル基、ビニル基、フェニル基、m−トリル基、p−トリ
ル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、
メトキシ基、エトキシ基、水酸基、塩素原子から選ばれ
た基であることが好ましい。ここで、RとR′が同時に
アリール基になることはない。また、重合度nに関して
は特に制限はないが、成形加工性を考慮すると5以上5
0,000以下の値が好適である。
【0012】本発明のポリシルメチレン組成物は、ポリ
ジアリールシルメチレン(A)成分が存在するため耐熱
性が高く、ポリシルメチレン(B)成分の存在により耐
熱性を損なうことなく成形加工性が改良される。また、
主鎖骨格が同一であることから両成分の相溶性は比較的
良好で、成形後の組成物は良好な表面外観を有する。こ
こで(A)成分、(B)成分共に単独で用いることもで
きるし、2種以上のポリマーを組み合わせて使用するこ
とも可能である。さらに該組成物は、(A),(B)の
合計量100重量部に対してポリジアリールシルメチレ
ン(A)1〜99重量%と、ポリシルメチレン(B)1
〜99重量%から構成される。ここで(A),(B)の
割合が上記範囲をはずれる場合には、各成分の配合によ
る効果が小さく好ましくない。
【0013】本発明のポリシルメチレン組成物は、通常
公知の製造方法を用いても製造されうるが、本発明で開
示される製造方法を採用することにより、さらに効率的
に該組成物を得ることができる。通常公知の製造方法と
しては、例えば、別途製造したポリジアリールシルメチ
レン(A)及びポリシルメチレン(B)をオイル、粉
末、細片状態などで高速攪拌機などを用いて均一混合し
た後、加圧成形する方法、同様に均一混合した後、単軸
または多軸の押出機で溶融混練する方法、両成分高分子
をジフェニルスルホン等の有機溶媒中に溶解させ混合し
た後、この溶液を両成分高分子の貧、あるいは非溶媒中
に投入することにより、ポリシルメチレン組成物を析出
させる方法等種々の方法を挙げることができる。ここで
成分高分子であるポリジアリールシルメチレン(A)の
製造方法に関しては特に制限はないが、公知の製造方
法、例えば、1,1,3,3−テトラアリール−1,3
−ジシラシクロブタンの触媒存在下または非存在下での
開環重合法等が推奨される。ここで使用される触媒とし
ては、塩化銅、銅(II)アセチルアセトナート、塩化金
酸等の銅族化合物、有機過酸化物、有機アゾ化合物等の
ラジカル重合開始剤などが例示される。この際、出発原
料を有機溶媒に溶解させて反応に供することもできる
し、固相状態で反応させることも可能である。また、こ
のポリマーの製造は、通常の高分子合成反応に適用され
る温度範囲で行われ、触媒重合の場合50℃以上300
℃以下、無触媒重合の場合200℃以上350℃以下の
範囲が好ましい。
【0014】上記製造法により得られるポリジアリール
シルメチレンは、室温では硬質性固体であり、そのガラ
ス転移温度(Tg ) は100℃以上であり、そのほとん
どのものが200℃以上に融解温度を示す結晶性熱可塑
性高分子である。
【0015】また、ポリシルメチレン(B)の製造方法
に関しても特に制限はないが、公知の製造方法、例え
ば、置換基R、R′を有する1,3−ジシラシクロブタ
ン(RR′SiCH2)2 の触媒存在下または非存在下で
の開環重合法等が推奨される。この際、出発原料を有機
溶媒に溶解させて反応に供することもできるし、固相状
態で反応させることも可能である。また、このポリマー
の製造は、通常の高分子合成反応に適用される温度範囲
で行われ、触媒重合の場合−20℃以上200℃以下、
無触媒重合の場合50℃以上250℃以下の範囲が好ま
しい。さらに、置換基R、R′の種類によっては、前駆
体となるポリシルメチレン−(R1 2 SiCH2)r
(ここに、R1 とR2 はそれぞれR、R′であり、又は
R、R′に変換可能な有機又は無機の置換基を表し、r
は50,000以下の数である)を形成させた後に高分
子反応によって所望のポリシルメチレン−(RR′Si
CH 2)n −に変換することも可能である。
【0016】上記の方法で製造されるポリシルメチレン
類は、置換基R,R′を選択することによりそのTg
よび性状を容易に調節できる。例えばR,R′が共に水
素原子のポリマーは、液体でそのTg は約−140℃、
R,R′が共にメチル基のポリマーは、液体もしくは固
体でそのTg は約−100℃である。一方、R,R′が
共にプロピル基のポリマーは、固体でそのTg は約−4
0℃、Rがメチル基、R′がエトキシ基のポリマーは、
液状でそのTg は約−80℃、Rがメチル基、R′がフ
ェニル基のポリマーは、固体でそのTg は約20℃であ
る。いずれのポリシルメチレンにおいてもそのTg は1
00℃以下であり、ポリジアリールシルメチレン(A)
のTg に比べてかなり低い値である。
【0017】次に本発明の開示するポリシルメチレン組
成物の製造方法について説明する。該製造方法のうち、
第1のものは、くり返し単位が−(RR′SiCH2
−(ここに、R及びR′は先に定義したのと同じ意味を
表わす)であらわされるポリシルメチレンの前駆体
(C)及びポリジアリールシルメチレン(A)を混合
し、該前駆体(C)を該ポリシルメチレンに転化させる
方法、であり、第2のものは、ポリジアリールシルメチ
レン(A)の前駆体(D)およびポリシルメチレン
(B)を混合し、(D)を(A)に転化させる方法を採
用することができる。ここで前駆体(C)とは化学反応
により前記ポリシルメチレンに変換され得る化合物
(群)を指し、ジハロシラン類とジハロメタンとの混合
物、ケイ素原子と炭素原子が交互に結合した置換環状シ
ルメチレン類、ケイ素原子上にハロメチル基(XCH2
−,Xはハロゲン原子)およびハロゲン原子を有するハ
ロメチルハロシランなどが例示される。反応して得られ
る前記ポリシルメチレンの重合度については格別な制限
はないが、通常は5以上、50,000以下の範囲が望
ましい。前記前駆体(C)としては、通常は、置換環状
シルメチレン類およびハロメチルハロシランが好まし
い。下記式(X)で表される1,3−ジシラシクロブタ
ン類および下記式(Y)で表されるクロロメチルクロロ
シラン類が好ましい前駆体として例示される。
【0018】 (RR′SiCH2)2 (X) ClH2 RR′SiCl (Y)
【0019】これらの化合物中の置換基R,R′は、前
記のポリシルメチレン(B)の置換基と同一である。ま
た、これらの化合物は、単独で用いることもできるし、
2種以上の化合物を併用することも可能である。さら
に、ポリジアリールシルメチレン(A)についても、2
種以上のモノマーを併用して得られたポリマーを使用す
ることに何ら問題はない。
【0020】これらの前駆体(C)とポリジアリールシ
ルメチレン(A)を混合し、所望の温度で化学反応させ
ることにより、(C)がポリシルメチレンに転化し目的
とするポリシルメチレン組成物が製造される。ここで、
前駆体(C)として1,3−ジシラシクロブタン類を用
いた場合には、混合物を単に加熱するだけでも良いが、
触媒として遷移金属化合物を添加することもできる。一
方、前駆体(C)としてクロロメチルクロロシラン類を
用いた場合には、アルカリ金属、アルカリ土類金属を触
媒として使用することが好ましい。また、本組成物の製
造は、単に(A)と(C)とを混合することにより行う
こともできるし、両成分を溶解させる適当な溶媒中で行
うことも可能である。さらに、本組成物の製造は、通常
の高分子生成反応に適用される温度範囲で行われ、触媒
が存在する場合50℃以上300℃以下、無触媒反応の
場合100℃以上350℃以下の範囲が好ましい。前駆
体(C)のポリシルメチレンへの変換反応はしばしば変
換率100%未満で進行する。この場合には、反応終了
後ポリシルメチレンの貧溶媒で抽出操作を行うことによ
り、残存前駆体(C)を除去することが好ましい。ま
た、触媒を使用した場合、組成物中に残存する触媒が耐
熱性等の材料特性に悪影響を及ぼすことがある。これを
避けるために、溶媒抽出により残存触媒を除去すること
もできる。
【0021】また同様に前駆体(D)とは化学反応によ
りポリジアリールシルメチレン(A)に変換され得る化
合物(群)を指し、ジアリールジハロシランとジハロメ
タンとの混合物、ケイ素原子と炭素原子が交互に結合し
たアリール置換環状シルメチレン類、ケイ素原子上にハ
ロメチル基(XCH2 −,Xはハロゲン原子)およびハ
ロゲン原子を有するハロメチルジアリールハロシランな
どが例示される。反応して得られるポリジアリールシル
メチレン(A)の化学構造、重合度を考慮すると、アリ
ール置換環状シルメチレン類およびハロメチルジアリー
ルハロシランが好ましい。1,1,3,3−テトラアリ
ール−1,3−ジシラシクロブタンおよびクロロメチル
ジアリールクロロシランが好ましい前駆体として例示さ
れる。これらの化合物中のアリール基は、前記のポリジ
アリールシルメチレン(A)のアリール基と同一であ
る。また、これらの化合物は、単独で用いることもでき
るし、2種以上の化合物を併用することも可能である。
さらに、ポリシルメチレン(B)についても、2種以上
のモノマーを併用して得られたポリマーを使用すること
に何ら問題はない。
【0022】これらの前駆体(D)とポリシルメチレン
(B)を混合し、所望の温度で化学反応させることによ
り、(D)が(A)に転化し目的とするポリシルメチレ
ン組成物が製造される。ここで、前駆体(D)としてク
ロロメチルジアリールクロロシランを用いた場合には、
アルカリ金属、アルカリ土類金属を触媒として使用する
ことが好ましい。また、本組成物の製造は、単に(B)
と(D)とを混合することにより行うこともできるし、
両成分を溶解させる適当な溶媒中で行うことも可能であ
る。さらに、本組成物の製造は、通常の高分子生成反応
に適用される温度範囲で行われ、触媒が存在する場合5
0℃以上300℃以下、無触媒反応の場合150℃以上
350℃以下の範囲が好ましい。前駆体(D)のポリジ
アリールシルメチレン(A)への変換反応もしばしば変
換率100%未満で進行する。この場合には、前述した
ように反応終了後ポリシルメチレン(B)の貧溶媒で抽
出操作を行うことにより、残存前駆体(D)を除去する
ことが好ましい。また、組成物中に残存する触媒により
耐熱性等の材料特性への悪影響を避けるために、溶媒抽
出により残存触媒を除去することもできる。
【0023】本発明のポリシルメチレン組成物の製造方
法においては、ポリジアリールシルメチレンまたはポリ
シルメチレンが前駆体(C)または(D)中に均一に分
散、あるいは溶解した状態で反応が開始されるため、生
成物であるポリシルメチレン組成物は、ポリジアリール
シルメチレンとポリシルメチレンが均一に分散した混合
物として得られる。このため、ポリジアリールシルメチ
レンとポリシルメチレンの複合化のプロセスを簡略化す
ることができる。
【0024】本発明のポリシルメチレン組成物は、目的
に応じて顔料や染料、ガラス繊維、金属繊維、金属フレ
ーク、炭素繊維、セラミックス繊維、セラミックスパウ
ダーなどの補強剤や充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫
外線吸収剤、光安定剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤およ
び難燃剤などの少なくとも1種を添加することもでき
る。
【0025】
【実施例】本発明をさらに具体的に説明するために、以
下に実施例を挙げて説明するが、これら実施例は本発明
を限定するものではない。ここで、「//」はブレンドを
表す。得られたポリシルメチレン組成物の熱的性質は下
記の試験法により測定した。
【0026】転移温度(DSC):JIS K712。 昇温速度:10℃/min (融解温度測定)、20℃/mi
n (ガラス転移温度測定)。 測定雰囲気:窒素気流中。 5%重量減少温度(TG):JIS K7120。 昇温速度:10℃/min 、測定雰囲気:窒素気流中。
【0027】また、ダイナミックアナライザーを用いて
溶融状態における組成物の粘度のせん断速度依存性を測
定し、1rad /sec.での値を成形加工性の尺度とした。
その際のひずみは40%とした。さらに、成形品の表面
外観を目視判定した。
【0028】(参考例1):(ポリジフェニルシルメチ
レン(A1)の製造) 1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジシラシク
ロブタン20gを封管中、300℃で5時間加熱した。
生成物を粉砕し、トルエン中で残存モノマーを抽出除去
した後、80℃で減圧乾燥し19gのポリジフェニルシ
ルメチレンを得た。DSC測定により求めたガラス転移
温度は135℃、融解温度は352℃であった。また、
370℃における溶融粘度は5200ポイズであった。
【0029】(参考例2):(ポリジ(p−トリル)シ
ルメチレン(A2)の製造) 1,1,3,3−テトラ(p−トリル)−1,3−ジシ
ラシクロブタン20g、ジフェニルスルホン180gを
混合し、140℃に加熱し均一溶液を得た。銅(II)ア
セチルアセトナート10mgを添加し、280℃で8時間
加熱した。残存モノマーおよびジフェニルスルホンをT
HFを用いて抽出除去した後、残査を230℃で減圧乾
燥し18.3gのポリジ(p−トリル)シルメチレンを
得た。DSC測定により求めたガラス転移温度は142
℃、融解温度は321℃であった。また、350℃にお
ける溶融粘度は3200ポイズであった。
【0030】(参考例3):(ポリジメチルシルメチレ
ン(B1)の製造) 1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジシラシクロ
ブタン20g、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)
ロジウム(I)ダイマー3mgをトルエン60mlに溶解
し、100℃で20時間加熱した。反応溶液を4000
mlのメタノール中に投入し、生成するポリマーを分離
し、60℃で減圧乾燥することにより17.8gのポリ
ジメチルシルメチレンを得た。DSC測定により求めた
ガラス転移温度は−92℃であった。また、ゲルパーミ
エーションクロマト法により算出した、このポリマーの
分子量は230,000であった。
【0031】(参考例4):(ポリメチルフェニルシル
メチレン(B2)の製造) 1,3−ジメチル−1,3−ジフェニル−1,3−ジシ
ラシクロブタン20gを180℃で3時間加熱した。生
成物を300mlのクロロフォルムに溶解し、得られた溶
液を4000mlのメタノール中に投入し沈殿を生成させ
た。この沈殿を80℃で減圧乾燥することにより18.
6gのポリメチルフェニルシルメチレンを得た。DSC
測定により求めたガラス転移温度は24℃であった。ま
た、ゲルパーミエーションクロマト法により算出したこ
のポリマーの分子量は385,000であった。
【0032】(実施例1):(ポリジフェニルシルメチ
レン//ポリメチルフェニルシルメチレン) ポリジフェニルシルメチレン(A1)15g、ポリメチ
ルフェニルシルメチレン(B2)5gを均一に混合した
後、360℃で圧縮成形し、厚さ1mmの板状成形体を得
た。この成形体の表面外観は良好であった。DSC測定
から、この組成物は24℃、135℃および352℃に
転移温度を示し、この値は、構成成分であるA1および
B2の値と同一であった。この組成物のTG測定から求
められた5%重量減少温度は455℃であり、さらに、
370℃における溶融粘度は4000ポイズであった。
【0033】(実施例2):(ポリジ(p−トリル)シ
ルメチレン//ポリメチルフェニルシルメチレン) ポリジ(p−トリル)シルメチレン(A2)15g、ポ
リメチルフェニルシルメチレン(B2)2.5gを均一
に混合した後、330℃で圧縮成形し、厚さ1mmの板状
成形体を得た。この成形体の表面外観は良好であった。
DSC測定から、この組成物は24℃、142℃および
321℃に転移温度を示し、この値は、構成成分である
A2およびB2の値と同一であった。この組成物のTG
測定から求められた5%重量減少温度は447℃であ
り、さらに、350℃における溶融粘度は2400ポイ
ズであった。
【0034】(実施例3):(ポリジフェニルシルメチ
レン//ポリメチルフェニルシルメチレン) ポリジフェニルシルメチレン(A1)4g、ポリメチル
フェニルシルメチレン(B2)16gを均一に混合した
後、360℃で圧縮成形し、厚さ1mmの板状成形体を得
た。この成形体の表面外観は良好であった。DSC測定
から、この組成物は24℃、135℃および352℃に
転移温度を示し、この値は、構成成分であるA1および
B2の値と同一であった。この組成物のTG測定から求
められた5%重量減少温度は448℃であり、さらに、
370℃における溶融粘度は900ポイズであった。
【0035】(実施例4):(ポリジフェニルシルメチ
レン//ポリジメチルシルメチレン) ポリジフェニルシルメチレン(A1)17g、ポリジメ
チルシルメチレン(B1)3gを均一に混合した後、3
60℃で圧縮成形し、厚さ1mmの板状成形体を得た。こ
の成形体の表面外観は良好であった。DSC測定から、
この組成物は−92℃、135℃および352℃に転移
温度を示し、この値は、構成成分であるA1およびB1
の値と同一であった。この組成物のTG測定から求めら
れた5%重量減少温度は450℃であり、さらに、37
0℃における溶融粘度は4300ポイズであった。
【0036】(実施例5):(ポリジフェニルシルメチ
レン//ポリジ(p−トリル)シルメチレン//ポリメチル
フェニルシルメチレン) ポリジフェニルシルメチレン(A1)10g、ポリジ
(p−トリル)シルメチレン(A2)5g、ポリメチル
フェニルシルメチレン(B2)5gを均一に混合した
後、360℃で圧縮成形し、厚さ1mmの板状成形体を得
た。この成形体の表面外観は良好であった。DSC測定
から、この組成物は24℃、139℃、321℃および
352℃に転移温度を示した。ポリジアリールシルメチ
レンのガラス転移は重なったが、その他の値は、構成成
分であるA1,A2およびB2の値と同一であった。こ
の組成物のTG測定から求められた5%重量減少温度は
448℃であり、さらに、370℃における溶融粘度は
3500ポイズであった。
【0037】(実施例6):(ポリジフェニルシルメチ
レン//ポリジメチルシルメチレン//ポリメチルフェニル
シルメチレン) ポリジフェニルシルメチレン(A1)14g、ポリジメ
チルシルメチレン(B1)2g、ポリメチルフェニルシ
ルメチレン(B2)4gを均一に混合した後、360℃
で圧縮成形し、厚さ1mmの板状成形体を得た。この成形
体の表面外観は良好であった。DSC測定から、この組
成物は−92℃、24℃、135℃および352℃に転
移温度を示し、これらの値は、構成成分であるA1,B
1およびB2の値と同一であった。また、この組成物の
TG測定から求められた5%重量減少温度は449℃で
あり、さらに、370℃における溶融粘度は2200ポ
イズであった。
【0038】(実施例7):(ポリジフェニルシルメチ
レン//ポリメチルフェニルシルメチレン) 1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジシラシク
ロブタン17g、ポリメチルフェニルシルメチレン(B
2)3gを混合し、140℃で加熱し均一な液体とした
後、さらに300℃で6時間加熱し、無色の固体生成物
を得た。生成物を粉砕し、エタノール可溶分を抽出除去
した後、80℃で減圧乾燥し19.2gのポリシルメチ
レン組成物を得た。DSC測定から、この組成物は24
℃、135℃および352℃に転移温度を示し、これら
の値は、ポリメチルフェニルシルメチレンおよびポリジ
フェニルシルメチレン単体で得られる値と同一であっ
た。この組成物を360℃で圧縮成形し、厚さ1mmの板
状成形体を得た。この成形体の表面外観は良好であっ
た。また、この成形体のTG測定により求められた5%
重量減少温度は453℃であり、さらに、370℃にお
ける溶融粘度は4300ポイズであった。
【0039】(実施例8):(ポリジフェニルシルメチ
レン//ポリメチルフェニルシルメチレン) 1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジシラシク
ロブタン10g、ポリメチルフェニルシルメチレン(B
2)10gを混合し、140℃で加熱し均一で粘稠な液
体とした後、さらに300℃で6時間加熱し、無色の固
体生成物を得た。生成物を粉砕し、エタノール可溶分を
抽出除去した後、80℃で減圧乾燥し19.4gのポリ
シルメチレン組成物を得た。DSC測定から、この組成
物は24℃、135℃および352℃に転移温度を示
し、これらの値は、ポリメチルフェニルシルメチレンお
よびポリジフェニルシルメチレン単体で得られる値と同
一であった。この組成物を360℃で圧縮成形し、厚さ
1mmの板状成形体を得た。この成形体の表面外観は良好
であった。また、この成形体のTG測定により求められ
た5%重量減少温度は448℃であり、さらに、370
℃における溶融粘度は1600ポイズであった。
【0040】(実施例9):(ポリジ(p−トリル)シ
ルメチレン//ポリメチルフェニルシルメチレン) 前駆体化合物として1,1,3,3−テトラ(p−トリ
ル)−1,3−ジシラシクロブタン17gを用いた以外
は実施例7と同様な操作を行い、19.3gのポリシル
メチレン組成物を得た。DSC測定から、この組成物は
24℃、142℃および321℃に転移温度を示し、こ
れらの値は、ポリメチルフェニルシルメチレンおよびポ
リジ(p−トリル)シルメチレン単体で得られる値と同
一であった。この組成物を330℃で圧縮成形し、厚さ
1mmの板状成形体を得た。この成形体の表面外観は良好
であった。また、この成形体のTG測定により求められ
た5%重量減少温度は445℃であり、さらに、350
℃における溶融粘度は2700ポイズであった。
【0041】(実施例10):(ポリジフェニルシルメ
チレン//ポリジメチルシルメチレン) 1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジシラシク
ロブタン18g、ポリジメチルシルメチレン(B1)2
gを混合し、140℃で加熱し均一な液体とした後、さ
らに300℃で6時間加熱し、無色の固体生成物を得
た。生成物を粉砕し、エタノール可溶分を抽出除去した
後、80℃で減圧乾燥し19.1gのポリシルメチレン
組成物を得た。DSC測定から、この組成物は−92
℃、135℃および352℃に転移温度を示し、これら
の値は、ポリジメチルシルメチレンおよびポリジフェニ
ルシルメチレン単体で得られる値と同一であった。この
組成物を360℃で圧縮成形し、厚さ1mmの板状成形体
を得た。この成形体の表面外観は良好であった。また、
この成形体のTG測定により求められた5%重量減少温
度は448℃であり、さらに、370℃における溶融粘
度は4400ポイズであった。
【0042】(実施例11):(ポリジフェニルシルメ
チレン//ポリメチルフェニルシルメチレン) クロロメチルジフェニルクロロシラン23g、ポリメチ
ルフェニルシルメチレン(B2)3g、ナトリウム4g
を混合し、トルエン中110℃で24時間加熱した。反
応生成物にメタノール/酢酸の混合溶液(体積比:1/
1)を添加した後、得られた混合物を水中に注ぎ、加水
分解した。生成する沈殿を濾別し80℃で減圧乾燥し1
7.8gのポリシルメチレン組成物を得た。DSC測定
から、この組成物は24℃、135℃および352℃に
転移温度を示し、これらの値は、ポリメチルフェニルシ
ルメチレンおよびポリジフェニルシルメチレン単体で得
られる値と同一であった。この組成物を360℃で圧縮
成形し、厚さ1mmの板状成形体を得た。この成形体の表
面外観は良好であった。また、この成形体のTG測定に
より求められた5%重量減少温度は443℃であり、さ
らに、370℃における溶融粘度は4200ポイズであ
った。
【0043】(実施例12):(ポリジフェニルシルメ
チレン//ポリメチルフェニルシルメチレン) 1,3−ジメチル1,3−ジフェニル−1,3−ジシラ
シクロブタン15g、ポリジフェニルシルメチレン(A
1)5gを混合し、180℃で6時間加熱し無色の固体
生成物を得た。生成物を冷却下粉砕し、エタノール可溶
分を抽出除去した後、80℃で減圧乾燥し19.2gの
ポリシルメチレン組成物を得た。DSC測定から、この
組成物は24℃、135℃および352℃に転移温度を
示し、これらの値は、ポリメチルフェニルシルメチレン
およびポリジフェニルシルメチレン単体で得られる値と
同一であった。この組成物を355℃で圧縮成形し、厚
さ1mmの板状成形体を得た。この成形体の表面外観は良
好であった。また、この成形体のTG測定により求めら
れた5%重量減少温度は449℃であり、さらに、37
0℃における溶融粘度は1100ポイズであった。
【0044】(実施例13):(ポリジフェニルシルメ
チレン//ポリメチルフェニルシルメチレン) 1,3−ジメチル1,3−ジフェニル−1,3−ジシラ
シクロブタン10g、ポリジフェニルシルメチレン(A
1)10gを混合し、180℃で6時間加熱し無色の固
体生成物を得た。生成物を冷却下粉砕し、メタノール可
溶分を抽出除去した後、80℃で減圧乾燥し19.4g
のポリシルメチレン組成物を得た。DSC測定から、こ
の組成物は24℃、134℃および350℃に転移温度
を示し、これらの値は、ポリメチルフェニルシルメチレ
ンおよびポリジフェニルシルメチレン単体で得られる値
と同一であった。この組成物を355℃で圧縮成形し、
厚さ1mmの板状成形体を得た。この成形体の表面外観は
良好であった。また、この成形体のTG測定により求め
られた5%重量減少温度は451℃であり、さらに、3
70℃における溶融粘度は1600ポイズであった。
【0045】(実施例14):(ポリジ(p−トリル)
シルメチレン//ポリメチルフェニルシルメチレン) ポリジアリールシルメチレンとしてポリジ(p−トリ
ル)シルメチレン(A2)5gを用いた以外は実施例1
2と同様な操作を行い、19.3gのポリシルメチレン
組成物を得た。DSC測定から、この組成物は24℃、
142℃および321℃に転移温度を示し、これらの値
は、ポリメチルフェニルシルメチレンおよびポリジ(p
−トリル)シルメチレン単体で得られる値と同一であっ
た。この組成物を330℃で圧縮成形し、厚さ1mmの板
状成形体を得た。この成形体の表面外観は良好であっ
た。また、この成形体のTG測定により求められた5%
重量減少温度は447℃であり、さらに、350℃にお
ける溶融粘度は800ポイズであった。
【0046】(実施例15):(ポリジフェニルシルメ
チレン//ポリジメチルシルメチレン) 1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジシラシクロ
ブタン5g、ポリジフェニルシルメチレン(A1)15
g、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム
(I)ダイマー1mgを混合し、100℃で20時間加熱
し、無色の固体生成物を得た。生成物を冷却下粉砕し、
メタノール可溶分を抽出除去した後、80℃で減圧乾燥
し19.1gのポリシルメチレン組成物を得た。DSC
測定から、この組成物は−92℃、135℃および35
2℃に転移温度を示し、これらの値は、ポリジメチルシ
ルメチレンおよびポリジフェニルシルメチレン単体で得
られる値と同一であった。この組成物を355℃で圧縮
成形し、厚さ1mmの板状成形体を得た。この成形体の表
面外観は良好であった。また、この成形体のTG測定に
より求められた5%重量減少温度は446℃であり、さ
らに、350℃における溶融粘度は3900ポイズであ
った。
【0047】(実施例16):(ポリジフェニルシルメ
チレン//ポリメチルフェニルシルメチレン) クロロメチルメチルフェニルクロロシラン23g、ポリ
ジフェニルシルメチレン(A1)3g、ナトリウム4.
8gを混合し、トルエン中110℃で24時間加熱し
た。反応生成物にメタノール/酢酸の混合溶液(体積
比:1/1)を添加した後、得られた混合物を水中に注
ぎ、加水分解した。生成する沈殿を濾別し80℃で減圧
乾燥し17.8gのポリシルメチレン組成物を得た。D
SC測定から、この組成物は24℃、135℃および3
52℃に転移温度を示し、これらの値は、ポリメチルフ
ェニルシルメチレンおよびポリジフェニルシルメチレン
単体で得られる値と同一であった。この組成物を355
℃で圧縮成形し、厚さ1mmの板状成形体を得た。この成
形体の表面外観は良好であった。また、この成形体のT
G測定により求められた5%重量減少温度は447℃で
あり、さらに、370℃における溶融粘度は700ポイ
ズであった。
【0048】(比較例1)ポリジメチルシルメチレン
(B1)3gの代わりにポリジメチルシルメチレンの炭
素同族体であるポリイソブチレン3gを用いた以外は実
施例4と同様の操作を行い、ポリジフェニルシルメチレ
ン//ポリイソブチレン組成物を得た。この組成物は−7
2℃、135℃および352℃に転移温度を示し、これ
らの値は、ポリイソブチレンおよびポリジフェニルシル
メチレン単体で得られる値と同一であった。この組成物
を355℃で圧縮成形し厚さ1mmの板状成形体を得た
が、この成形体の表面には凹凸が観測され平滑性に劣る
ものであった。また、この成形体のTG測定により求め
られた5%重量減少温度は340℃であった。
【0049】(比較例2)ポリメチルフェニルシルメチ
レン(B2)5gの代わりにポリメチルフェニルシルメ
チレンの炭素同族体であるポリ(α−メチルスチレン)
5gを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、ポリ
ジフェニルシルメチレン//ポリ(α−メチルスチレン)
組成物を得た。この組成物は135℃、170℃および
352℃に転移温度を示し、これらの値は、ポリ(α−
メチルスチレン)およびポリジフェニルシルメチレン単
体で得られる値と同一であった。この組成物を355℃
で圧縮成形し厚さ1mmの板状成形体を得たが、両成分の
相分離のためこの成形体は非常に脆く、また、この成形
体のTG測定により求められた5%重量減少温度は35
0℃であった。
【0050】(比較例3)ポリジメチルシルメチレン
(B1)2gの代わりにポリジメチルシルメチレンの炭
素同族体であるポリイソブチレン2gを用いた以外は実
施例10と同様の操作を行い、ポリジフェニルシルメチ
レン//ポリイソブチレン組成物を得た。この組成物は−
72℃、135℃および352℃に転移温度を示し、こ
れらの値は、ポリイソブチレンおよびポリジフェニルシ
ルメチレン単体で得られる値と同一であった。この組成
物を355℃で圧縮成形し厚さ1mmの板状成形体を得た
が、この成形体の表面には凹凸が観測され平滑性に劣る
ものであった。また、この成形体のTG測定により求め
られた5%重量減少温度は340℃であった。
【発明の効果】本発明のポリシルメチレン組成物は、熱
可塑性を示すため成形加工が容易であるばかりでなく、
構成成分の主鎖骨格が同一であることから両成分の相溶
性は比較的良好で、成形後の組成物は良好な表面外観を
有する。また、本発明の組成物は、対応するポリジアリ
ールシルメチレン単独の場合と比較しても低い溶融粘度
を示す。さらに得られる成形体の耐熱性も高い。本発明
のポリシルメチレン組成物は、ポリマー主鎖がケイ素原
子と炭素原子のみから構成されるため、耐熱性のみなら
ず耐水性の要求される用途にも適用可能である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 くり返し単位が−(Ar2 SiCH2
    −であるポリジアリールシルメチレン(A)1〜99重
    量%および下記式(B)を主鎖骨格とするポリシルメチ
    レン1〜99重量%からなるポリシルメチレン組成物。 −(RR′SiCH2 n − (B) (式中、Arは独立にアリール基又は置換アリール基で
    あり、R及びR′はそれぞれ同一または独立に、水素原
    子、炭素数1〜6のアルキル基、置換アルキル基、アル
    ケニル基、アリール基、置換アリール基、アルコキシ
    基、水酸基あるいはハロゲン原子を表す。但し、Rと
    R′は同時にアリール基又は置換アリール基になること
    はない。また、nは重合度を表し、5≦n≦50,00
    0である。)
  2. 【請求項2】 くり返し単位が−(RR′SiCH2
    −で表されるポリシルメチレンの前駆体(C)およびく
    り返し単位が−(Ar2 SiCH2 )−であるポリジア
    リールシルメチレン(A)を混合し、前記前駆体(C)
    を前記ポリシルメチレンに転化させることによる、前記
    ポリシルメチレンおよび前記ポリジアリールシルメチレ
    ンからなるポリシルメチレン組成物の製造方法。(式
    中、Arは独立にアリール基又は置換アリール基であ
    り、R及びR′はそれぞれ同一または独立に、水素原
    子、炭素数1〜6のアルキル基、置換アルキル基、アル
    ケニル基、アリール基、置換アリール基、アルコキシ
    基、水酸基あるいはハロゲン原子を表す。但し、Rと
    R′は同時にアリール基又は置換アリール基になること
    はない。)
  3. 【請求項3】 前駆体(C)が下記式(X)で表される
    1,3−ジシラシクロブタン類、あるいは下記式(Y)
    で表されるクロロメチルクロロシラン類である請求項2
    記載のポリシルメチレン組成物の製造方法。(但しR,
    R′は上記と同じ意味を表す。) (RR′SiCH2)2 (X) ClCH2 RR′SiCl (Y)
  4. 【請求項4】 くり返し単位が−(Ar2 SiCH2
    −であるポリジアリールシルメチレン(A)の前駆体
    (D)および下記式(B)を主鎖骨格とするポリシルメ
    チレン(B)を混合し、(D)を(A)に転化させるこ
    とによる、(A)および(B)からなるポリシルメチレ
    ン組成物の製造方法。 −(RR′SiCH2 n − (B) (式中、Arは独立にアリール基又は置換アリール基を
    表し、R及びR′はそれぞれ同一または独立に、水素原
    子、炭素数1〜6のアルキル基、置換アルキル基、アル
    ケニル基、アリール基、置換アリール基、アルコキシ
    基、水酸基あるいはハロゲン原子を表す。但し、Rと
    R′は同時にアリール基又は置換アリール基になること
    はない。また、nは重合度を表し、5≦n≦50,00
    0である。)
  5. 【請求項5】 前駆体(D)が1,1,3,3−テトラ
    アリール−1,3−ジシラシクロブタン、あるいはクロ
    ロメチルジアリールクロロシランである請求項4記載の
    ポリシルメチレン組成物の製造方法。
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