JP2001354708A - エチレン−ビニルエステル系樹脂エマルジョン - Google Patents

エチレン−ビニルエステル系樹脂エマルジョン

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JP2001354708A
JP2001354708A JP2000177751A JP2000177751A JP2001354708A JP 2001354708 A JP2001354708 A JP 2001354708A JP 2000177751 A JP2000177751 A JP 2000177751A JP 2000177751 A JP2000177751 A JP 2000177751A JP 2001354708 A JP2001354708 A JP 2001354708A
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ethylene
resin emulsion
emulsion
vinyl ester
vinyl
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English (en)
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Seiji Tanimoto
征司 谷本
Naokiyo Inomata
尚清 猪俣
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐水性および放置安定性に優れ、さらに皮膜
化した場合、透明性にも優れるエチレン−ビニルエステ
ル系樹脂エマルジョンを得ること。 【解決手段】 ビニルアルコール系重合体を分散剤と
し、エチレン−ビニルエステル系樹脂エマルジョンを乳
化共重合する際、グリコールエーテル化合物を含有させ
て得られる、動的光散乱法による平均粒子径が1μm以
下であることを特徴とするエチレン−ビニルエステル系
樹脂エマルジョン。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐水性および放置
安定性に優れ、さらに皮膜化した場合、透明性にも優れ
るエチレン−ビニルエステル系樹脂エマルジョンに関す
る。
【0002】
【従来の技術】エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョン
に代表されるエチレン−ビニルエステル系樹脂エマルジ
ョンは優れた耐水性と耐アルカリ性を持ち、セメント、
モルタル、コンクリートに混入されて使用されたり、或
いはモルタル、コンクリートの表面に塗布され使用され
ている。また、エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョン
は、ホモ酢酸ビニル樹脂エマルジョンでは接着が困難な
塩化ビニル等のプラスチックシートや撥水処理をした紙
等へ優れた接着性を有しており、同分野において接着剤
としても多く使用されている。このように広く用いられ
ているエチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョンも欠点を
有している。エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョンは
主としてポリビニルアルコールを分散剤として製造され
るが、現在市販されている該エマルジョンは、いわゆる
部分けん化ポリビニルアルコール(以下、 PVAと略
記することがある)を用いたものがほとんどであり、い
わゆる完全けん化PVAを用いたものはほとんど見られ
ない。これは、完全けん化PVAは部分けん化PVAに
比べ、界面活性が低いため分散剤として用いた場合、重
合安定性に劣り、エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョ
ンを安定に得ることが難しいためである。しかし、耐水
性という観点では、現在のエチレン−酢酸ビニル樹脂エ
マルジョンでは不足する場合があり、さらなる耐水性向
上が望まれ、これを達成するためには完全けん化PVA
を用いることが必須である。耐水性、耐熱性等の物性を
改善するため、特開平8−3408号公報、特開平9−
176597号公報などで、グリコールエーテル類を使
用する方法が提案され、耐水性等を改善しているが、部
分けん化PVA系であるため、その耐水性は未だ十分と
はいえない。
【0003】また、現在主に市販されている部分けん化
PVAを分散剤とするエチレン−酢酸ビニル樹脂エマル
ジョンもエマルジョン粒子径が大きいために、皮膜化し
た場合白濁し、透明性に劣る、耐水白化性に劣る等の問
題点を有する。エマルジョン粒子径を小さくするため、
水溶性セルロース類、乳化剤等を併用する手法がある
が、このような手法では耐水性が低下し、目的を達し得
ない。
【0004】さらに、より軟らかい皮膜となるエチレン
−酢酸ビニル樹脂エマルジョンを得るため、エチレン含
有量が25重量%より高いようなエマルジョンを得る場
合、通常よりも長い時間をかけて乳化重合しているのが
現状であり、コスト的にも不利な問題点がある。
【0005】また、ホモ酢酸ビニル樹脂エマルジョンは
製造コストが比較的安価であり、紙用或いは木工用接着
剤として、或いは水系塗料として大量に使用されてい
る。このように広く用いられているホモ酢酸ビニル樹脂
エマルジョンは、低温における造膜性が悪く、フタル酸
ジブチル(DBP)などの可塑剤の添加が必要である。
しかし、広く可塑剤として用いられるDBPは、最近環
境ホルモンとしての作用が疑われ、その使用は好ましい
ものではなくなっており、代替品の検討が進められつつ
ある。その中で、エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョ
ンは環境への悪影響がなく、ホモ酢酸ビニル樹脂エマル
ジョンに比べポリビニルアルコールの使用量が少ないた
め、耐水性、耐熱性等の性質に優れ、代替品のひとつと
して注目されている。このような用途にエチレン−酢酸
ビニル樹脂エマルジョンを使用する場合、造膜温度など
の点から、エチレン含有量が10重量%未満のものが好
ましい。しかし、エチレン含有量が10重量%未満のエ
チレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョンは、10〜20重
量%程度のものに比べると重合安定性が悪く、重合安定
性を付与するためにはポリビニルアルコールの使用量を
増やさざるを得ないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、耐水性および放置安定性に優れ、さらに
皮膜化した場合、透明性にも優れるエチレン−ビニルエ
ステル系樹脂エマルジョンを提供することを目的とする
ものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の好
ましい性質を有するエチレン−ビニルエステル系樹脂エ
マルジョンを開発すべく鋭意研究を重ねた結果、ビニル
アルコール系重合体を分散剤とし、エチレン−ビニルエ
ステル系樹脂エマルジョンを乳化共重合する際、グリコ
ールエーテル化合物を含有させて得られる、動的光散乱
法による平均粒子径が1μm以下であることを特徴とす
るエチレン−ビニルエステル系樹脂エマルジョンが上記
目的を満足するものであることを見出し本発明を完成さ
せるに到った。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の分散剤として用いられる
ビニルアルコール系重合体の製造方法としては特に制限
はなく、公知の方法により得られるビニルエステル系重
合体をけん化することにより得ることができる。
【0009】また、ここで、ビニルエステルとしては、
蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリ
ン酸ビニルなどが挙げられるが、一般に酢酸ビニルが好
ましく用いられる。
【0010】また、該分散剤は本発明の効果を損なわな
い範囲で共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合
したものでも良い。このようなエチレン性不飽和単量体
としては、例えば、エチレン、プロピレン、アクリル
酸、メタクリル酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、イ
タコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ア
クリルアミド、メタクリルアミド、トリメチル−(3−
アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウ
ムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスル
ホン酸およびそのナトリウム塩、エチルビニルエーテ
ル、ブチルビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、塩
化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデ
ン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ビニ
ルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウ
ム、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、
N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類が挙げ
られる。また、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸
などのチオール化合物の存在下で、酢酸ビニルなどのビ
ニルエステル系単量体を重合し、それをけん化すること
によって得られる末端変性物も用いることができる。
【0011】本発明の分散剤として用いられるビニルア
ルコール系重合体のけん化度は、特に制限されないが、
通常80モル%以上のものが用いられ、好ましくは85
モル%、より好ましくは95モル%以上のものが用いら
れる。けん化度が95モル%以上のものを用いると耐水
性に特に優れるエチレン−ビニルエステル系樹脂エマル
ジョンが得られる。けん化度が80モル%未満の場合に
は、ビニルアルコール系重合体本来の性質である水溶性
が低下する懸念が生じる。該ビニルアルコール系重合体
の重合度は特に制限されないが、通常100〜8000
の範囲のものが用いられ、300〜3000がより好ま
しく用いられる。重合度が100未満の場合には、ビニ
ルアルコール系重合体の分散剤としての特徴が発揮され
ず、8000を越える場合には、該ビニルアルコール系
重合体の工業的な製造に問題がある。
【0012】また該ビニルアルコール系重合体の使用量
は特に制限されないが、エチレン−ビニルエステル系樹
脂エマルジョンの固形分100重量部中において、0.
5〜10重量部、好ましくは1〜5重量部である。ビニ
ルアルコール系重合体の使用量が0.5重量部未満であ
ると、重合安定性が低下する恐れがある。一方、10重
量部を越えた場合には得られるエチレン−ビニルエステ
ル系樹脂エマルジョンの耐水性が低下する懸念が生じ
る。
【0013】本発明のエチレン−ビニルエステル系樹脂
エマルジョンの分散質を構成するビニルエステル系単量
体として、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル、ピバリン酸ビニルなどが挙げられるが、一般に酢酸
ビニルが好ましく用いられる。
【0014】また、上記分散質は、本発明の効果を損な
わない範囲で共重合可能なエチレン性不飽和単量体およ
びジエン系単量体を共重合しても構わない。エチレン性
不飽和単量体およびジエン系単量体から選ばれる少なく
とも一種の単量体単位としては、プロピレン、イソブチ
レンなどのオレフィン、塩化ビニル、フッ化ビニル、ビ
ニリデンクロリド、ビニリデンフルオリドなどのハロゲ
ン化オレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル
酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アク
リル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アク
リル酸2−ヒドロキシエチルなどのアクリル酸エステ
ル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタ
クリル酸ドデシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
などのメタクリル酸エステル、アクリル酸ジメチルアミ
ノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルおよびこ
れらの四級化物、さらには、アクリルアミド、メタクリ
ルアミド、N−メチロールアクリルアミド、 N,N'−ジ
メチルアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプ
ロパンスルホン酸およびそのナトリウム塩などのアクリ
ルアミド系単量体、スチレン、α−メチルスチレン、p
−スチレンスルホン酸およびナトリウム、カリウム塩な
どのスチレン系単量体、その他N−ビニルピロリドンな
ど、また、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなど
のジエン系単量体、さらに、ジビニルベンゼン、テトラ
アリロキシエタン、N,N'−メチレンビス−アクリルアミ
ド、2,2'−ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニ
ル)プロパン、 1,3−ブチレングリコールジアクリレー
ト、 1,5−ペンタンジオールジアクリレート、ネオペン
チルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオー
ルジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレー
ト、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエ
チレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコ
ールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアク
リレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ト
リメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリス
リトールテトラアクリレート、アリルメタクリレート、
1,4−ブタンジオールジアクリレート、エチレングリコ
ールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメ
タクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチ
レングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコ
ールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタ
クリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレー
ト、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリ
メチロールエタントリメタクリレート、トリメチロール
プロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタク
リロキシポリエトキシフェニル)プロパン、メタクリル
酸アルミニウム、メタクリル酸亜鉛、メタクリル酸カル
シウム、メタクリル酸マグネシウム、N,N'−m−フェニ
レンビスマレイミド、ジアリルフタレート、トリアリル
シアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリ
ルトリメリテート、ジアリルクロレンデート、エチレン
グリコールジグリシジルエーテルアクリレート等の多官
能性単量体が挙げられ、これらは単独あるいは二種以上
混合して用いられる。
【0015】本発明のエチレン−ビニルエステル系樹脂
エマルジョンに用いるグリコールエーテル化合物として
は、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコ
ールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチル
エーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、
エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリ
コールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチ
ルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテ
ル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレ
ングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコー
ルジエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピ
ルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテ
ル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピ
レングリコールジブチルエーテルが挙げられる。さら
に、エチレングリコールの縮合体であるジエチレングリ
コールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメ
チルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレ
ングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコー
ルジヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメ
チルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエー
テル、ペンタエチレングリコールジエチルエーテル、ヘ
キサエチレングリコールジプロピルエーテル、ジプロピ
レングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリ
コールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジ
メチルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチル
エーテル、ヘキサプロピレングリコールジメチルエーテ
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、
3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メ
チル−1−ブタノール等が挙げられる。これらの中でも
水酸基を有するグリコールエーテル化合物が好ましく用
いられ、特に3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノー
ルが好ましく用いらる。3−メトキシ−3−メチル−1
−ブタノールの市販品としては(株)クラレ製ソルフィ
ットが挙げられる。また、これらは単独でもよく、2種
類以上を選び併用してもよい。
【0016】グリコールエーテル化合物の添加量は特に
制限されないが、エチレン−ビニルエステル系樹脂エマ
ルジョンの固形分100重量部に対して、0.5〜20
重量部、好ましくは1〜10重量部である。添加量が
0.5重量部未満では、得られるエマルジョンの平均粒
子径が1μmをこえる恐れがある。一方、20重量部を
越えた場合、重合安定性が低下する懸念がある。
【0017】本発明のエチレン−ビニルエステル系樹脂
エマルジョンの平均粒子径は動的光散乱法による測定値
が1μm以下であることが必要であり、好ましくは0.
8μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。平
均粒子径が1μmをこえた場合、該エマルジョンから得
られる皮膜の透明性が低下する懸念が生じる。動的光散
乱法による測定は、例えば、大塚電子(株)製のレーザ
ーゼータ電位計ELS−8000等により行うことができる。
【0018】本発明のエチレン−ビニルエステル系樹脂
エマルジョンのエチレン含有量は特に制限されないが、
通常、3〜35重量%のものが用いられる。好ましく
は、5〜30重量%である。エチレン含有量が3重量%
未満の場合、その導入効果が少ないため、エマルジョン
の造膜性に劣る場合がある。また、エチレン含有量が3
5重量%をこえる場合、エチレン−ビニルエステル系樹
脂エマルジョンの製造が困難になる懸念が生じる。
【0019】さらに、ホモ酢ビ樹脂エマルジョンの代替
として使用されるような用途では、エチレン含有量が1
0重量%未満のものが好ましく用いられる。本発明で
は、グリコールエーテル化合物を用いることで、エチレ
ン含有量が10重量%未満の場合でも、ビニルアルコー
ル系重合体の使用量は、従来のエチレン−ビニルエステ
ル系樹脂エマルジョンと同様に行える利点がある。
【0020】また、高エチレン含有量のものが望まれる
用途では、25重量%以上の該エマルジョンが好ましく
用いられる。本発明では、グリコールエーテル化合物を
用いることでエマルジョンの粒子径が小さくできること
から、エチレンの導入量を比較的簡単に増加させること
が可能である。
【0021】本発明のエチレン−ビニルエステル系樹脂
エマルジョンの固形分は特に制限されないが、通常、3
0〜70重量%、好ましくは40〜65重量%のものが
用いられる。固形分が30重量%未満の場合、エマルジ
ョンの放置安定性が低下し、2相に分離する恐れがあ
る。70重量%をこえる場合、エチレン−ビニルエステ
ル系樹脂エマルジョンの製造が困難になる懸念が生じ
る。
【0022】本発明のエチレン−ビニルエステル系樹脂
エマルジョンの製法は特に制限されないが、オートクレ
ーブ中で、ビニルアルコール系重合体の水溶液を分散剤
に用い、エチレン加圧し、グリコールエーテル化合物の
存在下、ビニルエステル系単量体を一時又は連続的に添
加し、アゾ系重合開始剤、過酸化水素、過硫酸アンモニ
ウムおよび過硫酸カリウム等の過酸化物系重合開始剤等
の重合開始剤を添加し、乳化重合する従来の方法が挙げ
られる。前記重合開始剤は還元剤と併用し、レドックス
系で用いられる場合もある。その場合、通常、過酸化水
素は酒石酸、L−アスコルビン酸、ロンガリットなどと
ともに用いられる。また、過硫酸アンモニウム、過硫酸
カリウムは亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム
などとともに用いられる。
【0023】本発明のエチレン−ビニルエステル系樹脂
エマルジョンは、上記の方法で得られる該エマルジョン
をそのまま用いることができるが、必要があれば、本発
明の効果を損なわない範囲で、従来公知の各種エマルジ
ョンを添加して用いることができる。また、本発明のエ
チレン−ビニルエステル系樹脂エマルジョンには、通常
使用される添加剤を添加することができる。この添加剤
の例としては、有機溶剤類(トルエン、キシレン等の芳
香族類、アルコール類、ケトン類、エステル類、含ハロ
ゲン系溶剤類等)、可塑剤、沈殿防止剤、増粘剤、流動
性改良剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤、充填剤、湿潤剤、
着色剤等が挙げられる。
【0024】本発明のエチレン−ビニルエステル系樹脂
エマルジョンは、耐水性および放置安定性に優れ、さら
に皮膜化した場合、透明性にも優れているため、木工用
接着剤、紙工用接着剤、合板/塩ビ用接着剤等の各種接
着剤、含浸紙用、不織製品用のバインダー、混和剤、打
継ぎ材、塗料、紙加工および繊維加工などの分野で好適
に用いられる。
【0025】
【実施例】次に、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳細に説明する。なお、以下の実施例および比較例
において「部」および「%」は、特に断らない限り重量
基準を意味する。
【0026】実施例1 窒素吹き込み口、温度計、撹拌機を備えた耐圧オートク
レーブにPVA−1((株)クラレ製PVA−117;重合度
1700、けん化度98.5モル%)の4.8%水溶液
100部、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール
((株)クラレ製ソルフィット)4部を仕込み、60℃
に昇温してから、窒素置換を行った。酢酸ビニル80部
を仕込んだ後、エチレンを25kg/cm2まで加圧
し、0.5%過酸化水素水溶液2部および2%ロンガリ
ット水溶液0.3部を圧入し、重合を開始した。残存酢
酸ビニル濃度が10%となったところで、エチレン放出
し、エチレン圧力20kg/cm2とし、3%過酸化水
素水溶液0.3部を圧入し重合を完結させた。重合中に
凝集などがなく、重合安定性に優れており、固形分濃度
48.8%、エチレン含量8重量%のエチレン−酢酸ビ
ニル樹脂エマルジョン(Em−1)が得られた。得られ
たエマルジョンを0.2%の濃度に希釈し、動的光散乱
法により平均粒子径の測定を行った(大塚電子(株)
製;レーザーゼータ電位系ELS−8000)。また、エマル
ジョンをクラフト紙に25g/m2塗布し、はりあわせ
てハンドロールで3回圧締した。乾燥後、得られた加工
品を30℃の水中に24時間浸漬し、その後の接着状態
を観察した。接着状態(紙)の評価結果を、○紙破、△
若干紙破、×剥離、で表す。さらに得られたエマルジョ
ンを20℃に6月間放置後、状態を観察した。放置安定
性の評価結果を、○変化なし、△やや沈降、×2相に分
離、で表す。結果を表1に示す。
【0027】比較例1 実施例1で用いた3−メトキシ−3−メチル−1−ブタ
ノールを用いる代わりに同量のイオン交換水を用いた他
は、実施例1と同様にして乳化共重合を行ったが、重合
途中で不安定化し、ブロック状となりエマルジョンは得
られなかった。
【0028】比較例2 そこで次に、比較例1において用いたPVA−1の4.
8%水溶液100部を用いる代わりに、PVA−1の8
%水溶液100部を用いた他は比較例1と同様にして乳
化共重合を行い、固形分濃度49%、エチレン含量8重
量%のエチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョン(Em−
2)が得られた。このエマルジョンの物性を実施例1と
同様にして評価した。結果を併せて表1に示す。
【0029】実施例2 実施例1において用いたPVA−1の4.8%水溶液1
00部を用いる代わりに、 PVA−2((株)クラレ
製PVA−217;重合度1700、けん化度88モル%)の
3.2%水溶液100部を用いた他は実施例1と同様に
して乳化共重合を行い、固形分濃度48.5%、エチレ
ン含量8重量%のエチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョ
ン(Em−3)が得られた。このエマルジョンの平均粒
子径および放置安定性を実施例1と同様にして評価し
た。また、得られたエマルジョンをカバ材(柾目)に1
50g/m2塗布し、はりあわせて10kg/m2の荷
重で16時間圧締し、その後、解圧し、20℃65%R
H下で5日間養生した。養生後、60℃の温水に3時間
浸漬し、ぬれたままの状態で圧縮せん断強度(kg/c
2)を測定した。結果を併せて表1に示す。
【0030】比較例3 実施例2において用いた3−メトキシ−3−メチル−1
−ブタノールを用いる代わりに同量のイオン交換水を用
いた他は、実施例2と同様にして乳化共重合を行い、固
形分濃度48.3%、エチレン含量7重量%のエチレン
−酢酸ビニル樹脂エマルジョン(Em−4)が得られ
た。このエマルジョンの評価を実施例2と同様にして行
った。結果を併せて表1に示す。
【0031】実施例3 窒素吹き込み口、温度計、撹拌機を備えた耐圧オートク
レーブにPVA−1の4.8%水溶液100部、3−メ
トキシ−3−メチル−1−ブタノール((株)クラレ製
ソルフィット)8部を仕込み、60℃に昇温してから、
窒素置換を行った。酢酸ビニル80部を仕込んだ後、エ
チレンを50kg/cm2まで加圧し、0.5%過酸化
水素水溶液3部および2%ロンガリット水溶液0.5部
を圧入し、重合を開始した。残存酢酸ビニル濃度が10
%となったところで、エチレン放出し、エチレン圧力2
0kg/cm2とし、3%過酸化水素水溶液0.5部を
圧入し重合を完結させた。重合中に凝集などがなく、重
合安定性に優れており、固形分濃度50.1%、エチレ
ン含量25重量%のエチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジ
ョン(Em−5)が得られた。このエマルジョンの平均
粒子径および放置安定性を実施例1と同様にして評価し
た。またエマルジョンを20℃でキャスト製膜し、厚さ
500μmの皮膜を得た。この皮膜に1滴のイオン交換
水をたらし、皮膜が白化するまでの時間を測定した。結
果を表2に示す。
【0032】比較例4 実施例3において用いた3−メトキシ−3−メチル−1
−ブタノールを用いる代わりに同量のイオン交換水を用
いた他は、実施例3と同様にして乳化共重合を行い、固
形分濃度49.5%、エチレン含量22重量%のエチレ
ン−酢酸ビニル樹脂エマルジョン(Em−6)が得られ
た。このエマルジョンの評価を実施例3と同様にして行
った。結果を併せて表2に示す。
【0033】実施例4 実施例3において用いたPVA−1の4.8%水溶液1
00部を用いる代わりに、PVA−2の3.2%水溶液
100部を用いた他は実施例3と同様にして乳化共重合
を行い、固形分濃度50.5%、エチレン含量25重量
%のエチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョン(Em−
7)が得られた。このエマルジョンの物性を実施例3と
同様にして行った。結果を併せて表2に示す。
【0034】比較例5 実施例4において用いた3−メトキシ−3−メチル−1
−ブタノールを用いる代わりに同量のイオン交換水を用
いた他は、実施例4と同様にして乳化共重合を行い、固
形分濃度49.8%、エチレン含量22重量%のエチレ
ン−酢酸ビニル樹脂エマルジョン(Em−8)が得られ
た。このエマルジョンの評価を実施例3と同様にして行
った。結果を併せて表2に示す。
【0035】実施例5 窒素吹き込み口、温度計、撹拌機を備えた耐圧オートク
レーブにPVA−1の4.8%水溶液100部、3−メ
トキシ−3−メチル−1−ブタノール((株)クラレ製
ソルフィット)5部を仕込み、60℃に昇温してから、
窒素置換を行った。酢酸ビニル80部を仕込んだ後、エ
チレンを40kg/cm2まで加圧し、0.5%過酸化
水素水溶液2.5部および2%ロンガリット水溶液0.
4部を圧入し、重合を開始した。残存酢酸ビニル濃度が
10%となったところで、エチレン放出し、エチレン圧
力20kg/cm2とし、3%過酸化水素水溶液0.4
部を圧入し重合を完結させた。重合中に凝集などがな
く、重合安定性に優れており、固形分濃度49.8%、
エチレン含量20重量%のエチレン−酢酸ビニル樹脂エ
マルジョン(Em−9)が得られた。このエマルジョン
の平均粒子径および放置安定性を実施例1と同様にして
評価した。またエマルジョン皮膜の耐水白化性を実施例
3と同様にして評価した。さらに、20℃でキャスト製
膜して得た厚さ500μmの皮膜を観察し、その透明性
を評価した。透明性の評価結果を、○ほぼ透明、△やや
白濁、×完全に白濁、で表す。結果を表3に示す。
【0036】比較例6 実施例5において用いた3−メトキシ−3−メチル−1
−ブタノールを用いる代わりに同量のイオン交換水を用
いた他は、実施例5と同様にして乳化共重合を行い、固
形分濃度49.8%、エチレン含量18重量%のエチレ
ン−酢酸ビニル樹脂エマルジョン(Em−10)が得ら
れた。このエマルジョンの評価を実施例5と同様にして
行った。結果を併せて表3に示す。
【0037】実施例6 実施例5において用いたPVA−1の4.8%水溶液1
00部を用いる代わりに、 PVA−2の3.2%水溶
液100部を用いた他は実施例5と同様にして乳化共重
合を行い、固形分濃度50%、エチレン含量20重量%
のエチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョン(Em−1
1)が得られた。このエマルジョンの物性を実施例5と
同様にして行った。結果を併せて表3に示す。
【0038】比較例7 実施例6において用いた3−メトキシ−3−メチル−1
−ブタノールを用いる代わりに同量のイオン交換水を用
いた他は、実施例6と同様にして乳化共重合を行い、固
形分濃度49.7%、エチレン含量18重量%のエチレ
ン−酢酸ビニル樹脂エマルジョン(Em−12)が得ら
れた。このエマルジョンの評価を実施例6と同様にして
行った。結果を併せて表3に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】PVA−1;重合度1700,けん化度98.5モル
%、{(株)クラレ製PVA−117} PVA−2;重合度1700,けん化度88モル%{(株)クラレ
製PVA−217}
【0043】
【発明の効果】本発明のエチレン−ビニルエステル系樹
脂エマルジョンは、耐水性、放置安定性に優れ、さらに
皮膜化した場合、透明性にも優れているため、各種接着
剤、含浸紙用、不織製品用のバインダー、混和剤、打継
ぎ材、塗料、紙加工および繊維加工などの分野で好適に
用いられる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニルアルコール系重合体を分散剤と
    し、エチレン−ビニルエステル系樹脂エマルジョンを乳
    化共重合する際、グリコールエーテル化合物を含有させ
    て得られる、動的光散乱法による平均粒子径が1μm以
    下であることを特徴とするエチレン−ビニルエステル系
    樹脂エマルジョン。
  2. 【請求項2】 エチレン−ビニルエステル系樹脂エマル
    ジョンのエチレン単位含有量が10重量%未満である請
    求項1記載のエチレン−ビニルエステル系樹脂エマルジ
    ョン。
  3. 【請求項3】 エチレン−ビニルエステル系樹脂エマル
    ジョンのエチレン単位含有量が25重量%以上である請
    求項1記載のエチレン−ビニルエステル系樹脂エマルジ
    ョン。
  4. 【請求項4】 ビニルアルコール系重合体のけん化度が
    95モル%以上である請求項1〜3記載のエチレン−ビ
    ニルエステル系樹脂エマルジョン。
  5. 【請求項5】 グリコールエーテル化合物が3−メトキ
    シ−3−メチル−1−ブタノールである請求項1〜4記
    載のエチレン−ビニルエステル系樹脂エマルジョン。
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