JP2001343518A - 光学素子とその製造方法 - Google Patents

光学素子とその製造方法

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JP2001343518A JP2000165584A JP2000165584A JP2001343518A JP 2001343518 A JP2001343518 A JP 2001343518A JP 2000165584 A JP2000165584 A JP 2000165584A JP 2000165584 A JP2000165584 A JP 2000165584A JP 2001343518 A JP2001343518 A JP 2001343518A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カラーフィルタやエレクトロルミネッセンス
素子といった光学素子のインクジェット方式による製造
方法において、隣接する画素間での混色及び白抜けを防
止する。 【解決手段】 隔壁を形成した支持基板にドライエッチ
ング処理を施した上で、少なくともフッ素原子を含むガ
ス雰囲気下でのプラズマ処理を施し、支持基板表面に親
インク性を付与すると同時に隔壁表面に撥インク性と表
面粗さを付与し、該隔壁に囲まれた領域にインクジェッ
ト方式によりインクを付与して画素を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラーテレビ、パ
ーソナルコンピュータ、パチンコ遊技台に使用されてい
るカラー液晶素子の構成部材であるカラーフィルタ、及
び、複数の発光層を備えたフルカラー表示のエレクトロ
ルミネッセンス素子といった光学素子を、インクジェッ
ト方式を利用して製造する製造方法に関し、さらには、
該製造方法により製造される光学素子、及び該光学素子
の一つであるカラーフィルタを用いてなる液晶素子に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、パーソナルコンピュータの発達、
特に携帯用パーソナルコンピュータの発達に伴い、液晶
ディスプレイ、特にカラー液晶ディスプレイの需要が増
加する傾向にある。しかしながら、さらなる普及のため
にはコストダウンが必要であり、特にコスト的に比重の
重いカラーフィルタのコストダウンに対する要求が高ま
っている。
【0003】従来から、カラーフィルタの要求特性を満
足しつつ上記の要求に応えるべく、種々の方法が試みら
れているが、未だ全ての要求特性を満足する方法は確立
されていない。以下にそれぞれの方法を説明する。
【0004】第一の方法は染色法である。染色法は、先
ず透明基板上に染色用の材料である、水溶性の高分子材
料層を形成し、これをフォトリソグラフィ工程により所
望の形状にパターニングした後、得られたパターンを染
色浴に浸漬して着色されたパターンを得る。この工程を
3回繰り返すことにより、R(赤)、G(緑)、B
(青)の3色の着色部からなる着色層を形成する。
【0005】第二の方法は顔料分散法であり、近年最も
盛んに行われている。この方法は、先ず透明基板上に顔
料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをパターニン
グすることにより、単色のパターンを得る。この工程を
3回繰り返すことにより、R、G、Bの3色の着色部か
らなる着色層を形成する。
【0006】第三の方法としては電着法がある。この方
法は、先ず透明基板上に透明電極をパターニングし、顔
料、樹脂、電解液等の入った電着塗装液に浸漬して第一
の色を電着する。この工程を3回繰り返して、R、G、
Bの3色の着色部からなる着色層を形成し、最後に焼成
するものである。
【0007】第四の方法としては、熱硬化型の樹脂に顔
料を分散し、印刷を3回繰り返すことにより、R、G、
Bを塗り分けた後、樹脂を熱硬化させることにより、着
色層を形成するものである。いずれの方法においても、
着色層の上に保護層を形成するのが一般的である。
【0008】これらの方法に共通している点は、R、
G、Bの3色を着色するために同一の工程を3回繰り返
す必要があり、コスト高になることである。また、工程
数が多い程、歩留まりが低下するという問題も有してい
る。さらに、電着法においては、形成可能なパターン形
状が限定されるため、現状の技術ではTFT型(TF
T、即ち薄膜トランジスタをスイッチング素子として用
いたアクティブマトリクス駆動方式)の液晶素子の構成
には適用困難である。
【0009】また、印刷法は解像性が悪いため、ファイ
ンピッチのパターン形成には不向きである。
【0010】上記のような欠点を補うべく、近年、イン
クジェット方式を利用したカラーフィルタの製造方法が
盛んに検討されている。インクジェット方式を利用した
方法は、製造プロセスが簡略で、低コストであるという
利点がある。
【0011】一方、インクジェット方式はカラーフィル
タの製造に限らず、エレクトロルミネッセンス素子の製
造にも応用が可能である。
【0012】エレクトロルミネッセンス素子は、蛍光性
の無機及び有機化合物を含む薄膜を、陰極と陽極とで挟
んだ構成を有し、上記薄膜に電子及び正孔(ホール)を
注入して再結合させることにより励起子を生成させ、こ
の励起子が失活する際の蛍光或いは燐光の放出を利用し
て発光させる素子である。このようなエレクトロルミネ
ッセンス素子に用いられる蛍光性材料を、例えばTFT
等素子を作り込んだ基板上にインクジェット方式により
付与して発光層を形成し、素子を構成することができ
る。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、イン
クジェット方式は製造プロセスの簡略化及びコスト削減
を図ることができることから、カラーフィルタやエレク
トロルミネッセンス素子といった光学素子の製造へ応用
されている。しかしながら、このような光学素子の製造
において、インクジェット方式特有の問題として、「混
色」及び「白抜け」と言った問題がある。以下、カラー
フィルタを製造する場合を例に挙げて説明する。
【0014】「混色」は、隣接する異なる色の画素(着
色部)間においてインクが混ざり合うことにより発生す
る障害である。ブラックマトリクスを隔壁として、該ブ
ラックマトリクスの開口部にインクを付与して着色部を
形成するカラーフィルタの製造方法においては、ブラッ
クマトリクスの開口部の容積に対して、数倍〜数十倍の
体積を有するインクを付与する必要がある。インク中に
含まれる着色剤や硬化成分等の固形分濃度が高い場合、
即ち付与するインクの体積が比較的少ない場合において
は、ブラックマトリクスが十分に隔壁として機能し、該
ブラックマトリクスの開口部内にインクを保持すること
ができるため、付与されたインクがブラックマトリクス
を乗り越えて、隣接する異なる色の着色部にまで到達す
ることはない。しかしながら、インク中の固形分濃度が
低い場合、即ち多量のインクを付与する必要がある場合
には、隔壁となるブラックマトリクスを超えてインクが
あふれてしまうため、隣接する着色部間で混色が発生し
てしまう。特に、インクジェットヘッドのノズルより安
定して吐出可能なインクの粘度には限界があり、インク
中に含有される固形分の濃度にも限界があるため、混色
を回避するための技術が必要である。
【0015】そこで、着色部と隔壁との間におけるイン
クの濡れ性の差を利用して混色を防止する方法が提案さ
れている。例えば、特開昭59−75205号において
は、インクが目的領域外へ広がることを防止するため、
濡れ性の悪い物質で拡散防止パターンを形成する方法が
提案されているが、具体的な技術は開示されていない。
一方、特開平4−123005号においては、具体的な
手法として、撥水、撥油作用の大きなシリコーンゴム層
をパターニングして混色防止用の仕切壁とする方法が提
案されている。さらに、特開平5−241011号や特
開平5−241012号においても同様に、遮光層とな
るブラックマトリクス上にシリコーンゴム層を形成し、
混色防止用の隔壁として用いる手法が開示されている。
【0016】これらの方法によれば、隔壁の高さをはる
かに超える量のインクを付与した場合においても、隔壁
の表面層が撥インク性を示すためにインクがはじかれ、
隔壁を超えて隣接する着色部にまで及ぶことがなく、有
効に混色を防止することができる。
【0017】図3にその概念図を示す。図中、31は透
明基板、33は隔壁を兼ねたブラックマトリクス、36
はインクである。ブラックマトリクス33の上面が撥イ
ンク性を有する場合には、図3(b)に示すように、付
与されたインク36がブラックマトリクス33の開口部
中に保持され、隣接する着色部にまで達することはな
い。しかしながら、ブラックマトリクス33の上面の撥
インク性が低い場合には、図3(a)に示すように、付
与されたインク36がブラックマトリクス33上にまで
濡れ広がり、隣接する開口部に付与されたインクと混じ
り合ってしまう。
【0018】また、一般的にはシリコン化合物を用いる
よりも、フッ素化合物を用いる方がより優れた撥インク
性を得ることができる。例えば、特開2000−355
11号において、遮光部上にポジ型のレジストパターン
を形成し、さらに該パターン上に撥インク処理剤を塗布
する方法が開示されており、撥インク処理剤としては、
フッ素化合物を用いることが開示されている。しかしな
がら、この方法の場合、遮光部上に設けられたポジ型レ
ジストパターンを着色部形成後に除去する必要がある
が、レジストパターンを除去する際に画素の溶解、剥
離、膨潤といった問題を生じる場合がある。
【0019】また、樹脂層の表面をフッ素化する手法と
しては、日本化学会誌、1985(10)p.1916
〜1923において、フッ素化合物の反応ガスをプラズ
マ化して処理する方法が提案されている。さらに、この
技術をカラーフィルタに適用した例としては、特開平1
1−271753号において、隔壁をインクに対して親
和性を有する下層と、非親和性を有する上層の多層構造
とし、上層をインクに対して非親和性とする手法とし
て、フッ素化合物を含むガスによりプラズマ処理する方
法が開示されている。
【0020】しかしながら、上述した手法はいずれも隔
壁を多層化するものであり、フォトリソグラフィ工程を
複数回実施する必要があることから、プロセスの複雑
化、コストアップ、ひいては歩留まり低下を招くという
問題がある。
【0021】一方、「白抜け」は、主に付与されたイン
クが隔壁によって囲まれた領域内に十分且つ均一に拡散
することができないことに起因して発生する障害であ
り、色ムラやコントラストの低下といった表示不良の原
因となる。
【0022】図4に、白抜けの概念図を示す。図中、図
3と同じ部材には同じ符号を付した。また、38は白抜
け部分である。
【0023】近年、TFT型液晶素子用のカラーフィル
タにおいては、TFTを外光から保護する目的で、或い
は、開口率を大きくして明るい表示を得る目的で、ブラ
ックマトリクス33の開口部形状が複雑になっており、
複数のコーナー部を有するものが一般的に使用されてい
るため、図4(a)に示すように、該コーナー部に対し
てインク36が十分に拡散しないという問題が発生す
る。また、ブラックマトリクス33を形成する際には、
一般的にレジストを用いたフォトリソグラフィ工程が使
用されており、レジストに含まれる種々の成分により透
明基板31の表面に汚染物が付着して、インク36の拡
散の妨げとなる場合がある。さらに、透明基板31の表
面に比べて、ブラックマトリクス33の側面の撥インク
性が極端に高い場合、図4(b)に示すように、ブラッ
クマトリクス33の側面でインク36がはじかれてしま
うため、インク36とブラックマトリクス33が接する
部分で色が薄くなるという問題が発生する場合もある。
【0024】このような混色や白抜けの問題を解決する
手法として、特開平9−203803号においては、ブ
ラックマトリクス(凸部)に囲まれた領域(凹部)が、
水に対して20°以下の接触角となるよう親インク処理
された基板を用いることが提案されている。親インク性
を付与する方法としては、水溶性のレベリング剤や水溶
性の界面活性剤が例示されている。さらに、上述した混
色に対する問題を同時に解決するために、凸部の表面を
予め撥インク処理剤で処理して撥インク性を付与する手
法が開示されており、撥インク処理剤としてフッ素含有
シランカップリング剤を用い、フッ素系の溶剤でコート
する方法が例示されている。また、この際、凸部の表面
層のみを選択的に撥インク化し、凸部の側面を撥インク
化しないための手法として、 凸部自体がそのような性質を生じるよう2種類の材料
を積層する、 凸部以外の部分をレジストで覆って、凸部の上面のみ
を撥インク処理する、 透明基板上にレジスト層を形成し、全面を撥インク処
理した後、フォトリソ工程によりレジスト層をパターニ
ングして凸部を形成する、等の方法が例示されている。
【0025】また、特開平9−230129号において
は、同様に、凹部を親インク処理する方法として、エネ
ルギー線を照射する方法が開示されている。この場合に
も、凸部の表面層のみを撥インク処理する方法として、
ガラス基板上に凸部形成用の感光性材料を塗布し、全面
を撥インク処理剤にて処理した後、フォトリソグラフィ
工程により感光性材料をパターニングする手法が例示さ
れている。その後、エネルギー線の照射により凸部と凹
部を同時に、もしくはどちらかを選択的に親インク化処
理するものである。
【0026】しかしながら、これらの方法はいずれも凸
部の表面を撥インク処理した後に凹部を親インク処理す
るものであることから、親インク処理を行う際に撥イン
ク処理された凸部の表面の撥インク性を低下させてしま
うという問題がある。そのため、透明基板表面及びブラ
ックマトリクスの側面においては十分な親インク性を、
ブラックマトリクスの上面においては十分な撥インク性
をそれぞれ得ることは困難である。
【0027】上記問題は、インクジェット方式によりエ
レクトロルミネッセンス素子を製造する場合にも同様に
生じる。即ち、エレクトロルミネッセンス素子におい
て、例えばR、G、Bの各光を発光する有機半導体材料
をインクとして用い、隔壁で囲まれた領域に該インクを
付与して画素(発光層)を形成する際に、隣接する発光
層間でインクが混じり合った場合、当該発光層では所望
の色、輝度の発光が得られないという問題が生じる。ま
た、単一色の発光層であっても、隔壁内に充填するイン
ク量を均一化しているため、隣接画素へインクが流入す
ると、インク量に不均一性が生じ、輝度ムラとして認識
され、問題となる。また、隔壁で囲まれた領域内に十分
にインクが拡散しなかった場合には、発光層と隔壁との
境界部分で十分な発光輝度が得られないという問題を生
じる。尚、以下の記述においては、便宜上、エレクトロ
ルミネッセンス素子を製造する場合においても、隣接す
る発光層間でのインクの混じり合いを「混色」、発光層
と隔壁の境界部でのインクの反発による発光輝度ムラの
発生を「白抜け」と記す。
【0028】本発明の課題は、カラーフィルタやエレク
トロルミネッセンス素子といった光学素子を、インクジ
ェット方式を利用して簡易なプロセスで安価に製造する
に際して、上記問題を解決し、信頼性の高い光学素子を
歩留まり良く提供することにある。具体的には、隔壁で
囲まれた領域内にインクを付与する際に、隣接する画素
間での混色を防止し、且つ、該領域内でインクを十分に
拡散させて表面が平坦な画素を形成することにある。本
発明ではさらに、該製造方法によって得られた光学素子
を用いて、カラー表示特性に優れた液晶素子をより安価
に提供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明の第一は、支持基
板上に複数の画素と隣接する画素間に位置する隔壁とを
少なくとも有する光学素子の製造方法であって、支持基
板上に樹脂組成物からなる隔壁を形成する工程と、酸
素、アルゴン、ヘリウムから選択される少なくとも1種
のガス雰囲気下で、上記隔壁を形成した支持基板にプラ
ズマ照射するドライエッチング処理工程と、少なくとも
フッ素原子を含有するガス雰囲気下で、上記ドライエッ
チング処理を施した支持基板にプラズマ照射するプラズ
マ処理工程と、インクジェット方式により隔壁に囲まれ
た領域にインクを付与して画素を形成する工程と、を有
することを特徴とする光学素子の製造方法である。
【0030】尚、本発明において上記「インク」とは、
乾燥硬化した後に、例えば光学的、電気的に機能性を有
する液体を総称し、従来用いられていた着色材料に限定
されるものではない。
【0031】上記本発明は、上記プラズマ処理後の隔壁
の表面粗さが、上記ドライエッチング処理前の表面粗さ
よりも大であること、上記隔壁をカーボンブラックを含
む樹脂組成物で形成すること、特に、記プラズマ処理後
の隔壁の表面の平均粗さ(Ra)が3nm〜50nmで
あること、及び、上記プラズマ処理後の隔壁表面の純水
に対する接触角が110°以上であり、支持基板表面の
純水に対する接触角が20°以下であること、を好まし
い態様として含むものである。
【0032】また、本発明は、上記プラズマ処理工程で
導入するガスとして、CF4、SF6、CHF3、C
26、C38、C58から選択される少なくとも1種の
ハロゲンガス、或いは、CF4、SF6、CHF3、C2
6、C38、C58から選択される少なくとも1種のハ
ロゲンガスとO2ガスとの混合ガスであり、O2の混合比
率が30%以下であるガスを好ましく用いるものであ
る。
【0033】さらに本発明は、上記インクが少なくとも
硬化成分、水、有機溶剤を含有すること、前記支持基板
が透明基板であり、前記隔壁がブラックマトリクスであ
るカラーフィルタを製造すること、或いは、前記画素が
発光層であり、前記発光層を挟んで上下に電極を有する
エレクトロルミネッセンス素子を製造すること、を好ま
しい態様として含むものである。
【0034】また、本発明の第二は、支持基板上に複数
の画素と隣接する画素間に位置する隔壁とを少なくとも
有し、上記本発明の光学素子の製造方法により製造され
たことを特徴とする光学素子である。
【0035】上記本発明の第二は、隔壁が遮光層である
ことを好ましい態様として含むものであり、また、支持
基板が透明基板であり、上記画素が着色剤を含有するイ
ンクで形成された着色部であり、複数色の着色部を備え
たカラーフィルタであること、特に、上記着色部上に保
護層を有すること、及び、表面に透明導電膜を有するこ
と、を好ましい態様として含むものである。さらに本発
明の第二は、上記画素が発光層であり、該発光層を挟ん
で上下に電極を有するエレクトロルミネッセンス素子で
あることを好ましい態様として含むものである。
【0036】さらに本発明の第三は、一対の基板間に液
晶を挟持してなり、一方の基板が上記本発明の光学素子
を用いて構成されたことを特徴とする液晶素子である。
【0037】
【発明の実施の形態】本発明の光学素子の製造方法は、
隔壁を形成した支持基板上にドライエッチング処理とプ
ラズマ処理を施した後、該隔壁で囲まれた領域にインク
ジェット方式によりインクを付与して画素を形成するこ
とに特徴を有する。本発明の製造方法で製造される本発
明の光学素子としては、カラーフィルタ及びエレクトロ
ルミネッセンス素子が挙げられる。先ず、本発明の光学
素子について実施形態を挙げて説明する。
【0038】図10に、本発明の光学素子の一実施形態
であるカラーフィルタの一例の断面を模式的に示す。図
中、101は支持基板としての透明基板、102は隔壁
を兼ねたブラックマトリクス、103は画素である着色
部、104は必要に応じて形成される保護層である。本
発明のカラーフィルタを用いて液晶素子を構成する場合
には、着色部103上或いは、着色部103上に保護層
104を形成したさらにその上に、液晶を駆動するため
のITO(インジウム・チン・オキサイド)等透明導電
材からなる透明導電膜が形成されて提供される場合もあ
る。
【0039】図11に、図10のカラーフィルタを用い
て構成された、本発明の液晶素子の一実施形態の断面模
式図を示す。図中、107は共通電極(透明導電膜)、
108は配向膜、109は液晶、111は対向基板、1
12は画素電極、113は配向膜であり、図10と同じ
部材には同じ符号を付して説明を省略する。
【0040】カラー液晶素子は、一般的にカラーフィル
タ側の基板101と対向基板111とを合わせ込み、液
晶109を封入することにより形成される。液晶素子の
一方の基板111の内側に、TFT(不図示)と画素電
極112がマトリクス状に形成されている。また、カラ
ーフィルタ側の基板101の内側には、画素電極112
に対向する位置に、R、G、Bが配列するように、カラ
ーフィルタの着色部103が形成され、その上に透明な
共通電極107が形成される。さらに、両基板の面内に
は配向膜108,113が形成されており、液晶分子を
一定方向に配列させている。これらの基板は、スペーサ
ー(不図示)を介して対向配置され、シール材(不図
示)によって貼り合わされ、その間隙に液晶109が充
填される。
【0041】上記液晶素子は、透過型の場合には、基板
111及び画素電極112を透明素材で形成し、それぞ
れの基板の外側に偏光板を接着し、一般的に蛍光灯と散
乱板を組み合わせたバックライトを用い、液晶化合物を
バックライトの光の透過率を変化させる光シャッターと
して機能させることにより表示を行う。また、反射型の
場合には、基板111或いは画素電極112を反射機能
を備えた素材で形成するか、或いは、基板111上に反
射層を設け、透明基板101の外側に偏光板を設け、カ
ラーフィルタ側から入射した光を反射して表示を行う。
【0042】また、図9に、本発明の光学素子の他の実
施形態である、有機エレクトロルミネッセンス素子(以
下、「EL素子」と記す)の一例の断面模式図を示す。
図中、91は支持基板である駆動基板、92は隔壁、9
3は画素である発光層、94は透明電極、96は金属層
である。この図では、簡略化のために一つの画素領域の
みを示している。
【0043】駆動基板91には、TFT(不図示)、配
線膜及び絶縁膜等が多層に積層されており、金属層96
及び発光層93毎に配置した透明電極94間に発光層単
位で電圧を印加可能に構成されている。駆動基板91は
公知の薄膜プロセスによって製造される。
【0044】本発明の有機EL素子の構造については、
少なくとも一方が透明または半透明である一対の陽極及
び陰極からなる電極間に、樹脂組成物からなる隔壁内に
少なくとも発光材料を充填されてなる構成であれば、特
に制限はなく、その構造は公知のものを採用することが
でき、また本発明の主旨を逸脱しない限りにおいて各種
の改変を加えることができる。
【0045】その積層構造は、例えば、 (1)電極(陰極)/発光層/正孔注入層/電極(陽
極) (2)電極(陽極)/発光層/電子注入層/電極(陰
極) (3)電極(陽極)/正孔注入層/発光層/電子注入層
/電極(陰極) (4)電極(陽極または陰極)/発光層/電極(陰極ま
たは陽極) があるが、本発明は上記のいずれの構成の有機化合物層
を設けた積層構造体を有するEL素子に対しても適用す
ることができる。
【0046】上記(1)は2層構造、(3)は3層構造
(4)は単層構成と称されるものである。本発明の有機
EL素子はこれらの積層構造を基本とするが、これら以
外の(1)から(4)を組み合わせた構造やそれぞれの
層を複数有していてもよい。また、カラーフィルタと組
み合わせることによって、フルカラー表示を実現しても
良い。これらの積層構造からなる本発明の有機EL素子
の形状、大きさ、材質、製造方法等は該有機EL素子の
用途等に応じて適宜選択され、これらについては特に制
限はない。
【0047】本発明の有機EL素子の発光層に用いられ
る発光材料は特に限定されず、種々のものを適用するこ
とができる。具体的には、低分子蛍光体や高分子蛍光体
が好ましく、高分子蛍光体がさらに好ましい。
【0048】例えば、低分子有機化合物としては、特に
限定はないが、ナフタレン及びその誘導体、アントラセ
ン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、ポリメチ
ン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系などの色
素類、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯
体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン
及びその誘導体、テトラフェニルブタジエン及びその誘
導体等を用いることができる。具体的には、例えば、特
開昭57−51781号、特開昭59−194393号
公報に記載されているもの等、公知のものが使用可能で
ある。
【0049】また、発光材料として使用可能な高分子有
機化合物としては、特に限定はないが、ポリフェニレン
ビニレン、ポリアリレン、ポリアルキルチオフェン、ポ
リアルキルフルオレン等を挙げることができる。
【0050】尚、本発明の有機EL素子に用いる高分子
蛍光体は、ランダム、ブロックまたはグラフト共重合体
であってもよいし、それらの中間的な構造を有する高分
子、例えばブロック性を帯びたランダム共重合体であっ
てもよい。蛍光の量子収率の高い高分子蛍光体を得る観
点からは完全なランダム共重合体よりブロック性を帯び
たランダム共重合体やブロックまたはグラフト共重合体
が好ましい。また本発明の有機EL素子は、薄膜からの
発光を利用するので該高分子蛍光体は、固体状態で蛍光
を有するものが用いられる。
【0051】該高分子蛍光体に対する良溶媒としては、
クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラ
ヒドロフラン、トルエン、キシレンなどが例示される。
高分子蛍光体の構造や分子量にもよるが、通常はこれら
の溶媒に0.1重量%以上溶解させることができる。
【0052】本発明の有機EL素子において、発光材料
を含む層と陰極との間にさらに電子輸送層を設ける場合
の電子輸送層中に使用する、或いは正孔輸送材料及び発
光材料と混合使用する電子輸送性材料は、陰極より注入
された電子を発光材料に伝達する機能を有している。こ
のような電子輸送性材料について特に制限はなく、従来
公知の化合物の中から任意のものを選択して用いること
ができる。
【0053】該電子輸送性材料の好ましい例としては、
ニトロ置換フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン
誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシ
ド誘導体、複素環テトラカルボン酸無水物、或いはカル
ボジイミド等を挙げることができる。
【0054】さらに、フレオレニリデンメタン誘導体、
アントラキノジメタン誘導体及びアントロン誘導体、オ
キサジアゾール誘導体等を挙げることができる。また、
発光層を形成する材料として開示されているが、8−ヒ
ドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体等も電子輸
送材料として用いることができる。
【0055】次に、本発明の一例である積層構造を有す
る有機EL素子の代表的な作製方法について述べる。陽
極及び陰極からなる一対の電極で、透明または半透明な
電極としては、例えば、透明ガラス、透明プラスチック
等の透明基板の上に、透明または半透明の電極を形成し
たものが用いられる。
【0056】本発明の発光素子において、発光層は一般
には適当な結着性樹脂と組み合わせて薄膜を形成する。
上記結着剤としては広範囲な結着性樹脂より選択でき、
例えばポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート
樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラ
ール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹
脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリ
ル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹
脂、ポリスルホン樹脂、尿素樹脂等が挙げられるが、こ
れらに限定されるものではない。これらは単独または共
重合体ポリマーとして1種または2種以上混合して用い
ても良い。陽極材料としては仕事関数がなるべく大きな
ものが良く、例えば、ニッケル、金、白金、パラジウ
ム、セレン、レニウム、イリジウムやこれらの合金、或
いは酸化錫、酸化錫インジウム(ITO)、ヨウ化銅が
好ましい。またポリ(3−メチルチオフェン)、ポリフ
ェニレンスルフィド或いはポリピロール等の導電性ポリ
マーも使用出来る。
【0057】一方、陰極材料としては仕事関数が小さな
銀、鉛、錫、マグネシウム、アルミニウム、カルシウ
ム、マンガン、インジウム、クロム或いはこれらの合金
が用いられる。
【0058】以下に、図面を参照して本発明の光学素子
の製造方法について説明する。
【0059】図1、図2は本発明の光学素子の製造方法
を模式的に示す工程図である。以下に各工程について説
明する。尚、以下の工程(a)〜(h)は図1、図2の
(a)〜(h)に対応する。また、図1、図2の各工程
において紙面左側の(a−1)〜(h−1)は上方より
見た平面模式図、紙面右側の(a−2)〜(h−2)は
(a−1)〜(h−1)のA−B断面模式図である。図
中、1は支持基板、2は樹脂組成物層、3は隔壁、4は
隔壁3の開口部、5はインクジェットヘッド、6はイン
ク、7は画素である。
【0060】工程(a) 支持基板1を用意する。支持基板1は、図10に例示し
たカラーフィルタを製造する場合には透明基板101で
あり、一般にはガラス基板が用いられるが、液晶素子を
構成する目的においては、所望の透明性、機械的強度等
の必要特性を有するものであれば、プラスチック基板な
ども用いることができる。
【0061】また、図9に例示したEL素子を製造する
場合には、支持基板1は透明電極94を形成した駆動基
板91であり、図9の如く当該基板側から光を照射する
場合には、駆動基板91にガラス基板などの透明基板を
用いる。該基板には後工程で発光層93の材料が付着し
やすいように、その表面に対して、プラズマ処理、UV
処理、カップリング処理等の表面処理を施すことが好ま
しい。
【0062】工程(b) 支持基板1上に、隔壁3を形成するための樹脂組成物層
2を形成する。本発明にかかる隔壁3は、図10のカラ
ーフィルタの場合にはブラックマトリクス102に、図
9のエレクトロルミネッセンス素子の場合には隔壁92
に相当する。該隔壁3は、特にカラーフィルタを製造す
る場合には、図10の102で示したように、隣接する
画素間を遮光する遮光層とすることが好ましく、その場
合、図10の如くブラックマトリクス102とするか、
或いは、ブラックストライプとすることもできる。ま
た、EL素子を製造する場合にも遮光層とすることが可
能である。
【0063】本発明において、隔壁3を形成するために
用いられる樹脂組成物としては、エポキシ系樹脂、アク
リル系樹脂、ポリアミドイミドを含むポリイミド系樹
脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニル
系樹脂などの感光性または非感光性の樹脂材料を用いる
ことができるが、250℃以上の耐熱性を有することが
好ましく、その点から、エポキシ系樹脂、アクリル系樹
脂、ポリイミド系樹脂が好ましく用いられる。
【0064】また、かかる隔壁3を遮光層とする場合に
は、上記樹脂組成物中に、遮光剤を分散せしめた黒色樹
脂組成物を用いて樹脂組成物層2を形成する。該遮光剤
としては、後述するように、隔壁3の高い撥インク性及
び適度な表面粗さを得る上でカーボンブラックを用いる
ことが望ましく、該カーボンブラックとしては、チャネ
ルブラック、ローラーブラック、ディスクブラックと呼
ばれているコンタクト法で製造されたもの、ガスファー
ネストブラック、オイルファーネストブラックと呼ばれ
ているファーネスト法で製造されたもの、サーマルブラ
ック、アセチレンブラックと呼ばれているサーマル法で
製造されたものなどを用いることができるが、特に、チ
ャネルブラック、ガスファーネストブラック、オイルフ
ァーネストブラックが好ましい。さらに必要に応じて、
R、G、Bの顔料の混合物などを加えても良い。また、
一般に市販されている黒色レジストを用いることもでき
る。必要に応じて高抵抗化した遮光層を用いても良い。
【0065】樹脂組成物層2は、スピンコート、ロール
コート、バーコート、スプレーコート、ディップコー
ト、或いは印刷法等の方法により形成することができ
る。
【0066】工程(c) 樹脂組成物層2として感光性材料を用いた場合には、フ
ォトリソグラフィ等によりパターニングすることで複数
の開口部4を有する隔壁3を形成する。また、非感光性
材料を用いる場合には、フォトレジストをマスクにし
て、ウェット或いはドライエッチングにより、もしくは
リフトオフによりパターニングして形成しても良い。
【0067】工程(d) 隔壁3を形成した支持基板1にドライエッチング処理を
施す。即ち、酸素、アルゴン、ヘリウムのうちから選択
される少なくとも1種を含むガスを導入し、減圧雰囲気
下或いは大気圧雰囲気下で支持基板1にプラズマ照射を
行う減圧プラズマ処理や大気圧プラズマ処理を行う。
【0068】当該ドライエッチング処理を行うことによ
って、隔壁3の形成工程において支持基板1表面に付着
した汚染物を除去し、該表面を清浄化して後工程におけ
るインク6の濡れ性(親インク性)を向上し、開口部4
内でインク6を良好に拡散させることができるようにな
る。さらに、当該プラズマ処理によって、隔壁3の表層
が粗面化され、撥インク性が向上する。
【0069】工程(e) ドライエッチング処理を施した支持基板1に少なくとも
フッ素原子を含有するガス雰囲気下でプラズマ照射を行
う。当該プラズマ処理により、導入ガス中のフッ素また
はフッ素化合物が隔壁3表層に入り込み、隔壁3表層の
撥インク性が増大する。
【0070】特に、隔壁3をカーボンブラックを含む樹
脂組成物で構成した場合には、非常に高い撥インク性が
発現する。その理由としては、先の工程(d)における
ドライエッチング処理によって隔壁3表面にカーボンブ
ラックが露出し、本工程のプラズマ処理によってフッ素
またはフッ素化合物が該カーボンブラックと結合するた
めと考えられる。よって、本発明においては、隔壁3に
カーボンブラックを含ませておくことが望ましい。
【0071】本工程において導入する、少なくともフッ
素原子を含有するガスとしては、CF4、CHF3、C2
6、SF6、C38、C58から選択されるハロゲンガ
スを1種以上用いることが好ましい。特に、C58(オ
クタフルオロシクロペンテン)は、オゾン破壊能が0で
あると同時に、大気寿命が従来のガスに比べて(C
4:5万年、C48:3200年)0.98年と非常
に短い。従って、地球温暖化係数が90(CO2=2と
した100年積算値)と、従来のガスに比べて(C
4:6500、C48:8700)非常に小さく、オ
ゾン層や地球環境保護に極めて有効であり、本発明で使
用する上で望ましい。
【0072】さらに、導入ガスとしては、必要に応じて
酸素、アルゴン、ヘリウム等のガスを併用しても良い。
本発明においては、上記CF4、CHF3、C26、SF
6、C38、C58から選択されるハロゲンガスを1種
以上とO2との混合ガスを用いると、本工程による撥イ
ンク性の程度を制御することが可能になる。但し、当該
混合ガスにおいて、O2の混合比率が30%を超えると
2による酸化反応が支配的になり、撥インク性向上効
果が妨げられるため、また、O2混合比率が30%を超
えると樹脂に対するダメージが顕著になるため、当該混
合ガスを用いる場合にはO2の混合比率が30%以下の
範囲で使用する必要がある。
【0073】本工程及び先のドライエッチング処理工程
におけるプラズマの発生方法としては、低周波放電、高
周波放電、マイクロ波放電等の方式を用いることがで
き、プラズマ照射の際の圧力、ガス流量、放電周波数、
処理時間等の条件は、任意に設定することができる。
【0074】図5、図6に、本発明のドライエッチング
処理工程及びプラズマ処理工程に用いることが可能なプ
ラズマ発生装置の模式図を示す。図中、51は上部電
極、52は下部電極、53は被処理基板、54は高周波
電極である。当該装置は平行平板の2極電極に高周波電
圧を印加して、プラズマを発生させる。図5はカソード
カップリング方式、図6はアノードカップリング方式の
装置を示し、どちらの方式においても、圧力、ガス流
量、放電周波数、処理時間等の条件によって、隔壁3表
面の撥インク性、表面粗さ、支持基板1表面の親インク
性を所望の程度とすることができる。
【0075】図5、図6に示したプラズマ発生装置にお
いて、図5のカソードカップリング方式はドライエッチ
ング処理時間を短くすることが可能であり、当該処理工
程に有利である。また、図6のアノードカップリング方
式では、必要以上に支持基板1にダメージを与えること
がない点で有利である。よって、ドライエッチング処理
工程及びプラズマ処理工程に用いるプラズマ発生装置
は、支持基板1や隔壁3の材料に応じて選択すればよ
い。
【0076】本発明にかかる隔壁3表面の、プラズマ処
理後の撥インク性の程度は、純水によって測定した接触
角が110°以上であることが好ましい。当該接触角が
110°未満では混色が生じやすく、多量のインク量を
付与することができない。特に、カラーフィルタを製造
する場合には、色純度の高いカラーフィルタの製造が難
しくなる。従来の方法においては、隔壁3表面の撥イン
ク性を110°以上にすることは難しく、高撥インク性
の材料として用いられているPTFE(ポリテトラフル
オロエチレン)においても110°弱であった。
【0077】本発明においては、隔壁3をカーボンブラ
ックを含む樹脂組成物で形成し、ドライエッチング処理
を施した上でプラズマ処理を施すことによって、前記し
た理由により、隔壁3表面の撥インク性を110°以上
と高くすることが可能であり、好ましくは、120°以
上135°以下である。隔壁3表面の撥インク性は13
5°以下とすることで、インク量が少ない場合の白抜け
を防止することができる。
【0078】また、支持基板1表面の親インク性は、純
水によって測定した接触角が20°以下であることが好
ましい。純水に対する接触角を20°以下とすることに
よって、支持基板1表面にインクが良好に濡れ広がり、
隔壁3表面の撥インク性が高くとも、白抜けが生じるこ
とがない。特に、10°以下とすることが望ましい。
【0079】また、本発明者は、白抜けが隔壁3表面の
撥インク性、支持基板1表面の親インク性のみならず、
隔壁3上面及び側面の表面粗さにも依存していることを
見出した。インクジェット方式により開口部4に付与さ
れたインク6は、図7(a)、図8(a)に示したよう
に、隔壁3で囲まれた凹部を満たし、隔壁3上面付近で
は隔壁3表面の撥インク性によってインク6の広がりが
抑制される。多量に充填されたインク6は加熱処理等の
硬化処理により体積が減少していくが、この時、隔壁6
表面の表面粗さが大きい(粗い)場合には、インクとの
接触面積が大きいことから、隔壁6の側面において一旦
隔壁6表面と接触したインク6は隔壁6表面の撥インク
性に関わらず当該接触状態を保持しやすく、インク6が
完全に硬化した後は図7(b)に示すように、画素7表
面が平坦化し易い。
【0080】一方、隔壁3表面が平滑な場合には、イン
ク6が一旦濡れ広がった位置から硬化時の体積減少に伴
って、隔壁3表面の撥インク性によってその側面からは
じかれてその位置を下方に下げてしまうため、図8
(b)に示すように画素7の断面が凸形状になり、画素
の周縁部においてカラーフィルタであれば濃度が薄くな
り、EL素子であれば発光輝度の低下を生じてしまう。
【0081】このような理由から、本発明においては、
隔壁3の表面は、平均粗さ(Ra)が3nm以上である
ことが望ましい。また、該平均粗さ(Ra)が50nm
を超えるとパターンの直線性に影響を及ぼし、開口寸法
のばらつきを生じて開口率を大きくできないという問題
を生じる。よって、隔壁3表面の平均粗さ(Ra)とし
ては3nm〜50nmが望ましく、より望ましくは4n
m〜20nmとすることによって、隔壁3のパターン形
状に影響を与えることなく白抜けを防止し、画素表面が
平坦化する。
【0082】本発明においては、隔壁3をカーボンブラ
ックを含む樹脂組成物で形成し、ドライエッチング処理
及びプラズマ処理の条件を設定することによって、隔壁
3の表面粗さを制御することができる。即ち、ドライエ
ッチング処理におけるプラズマの発生方法、電極間距
離、ガス種、RFパワー、処理時間によって表面粗さの
状態が異なるが、特に、RFパワーと処理時間を制御す
ることによって、任意の表面粗さを得ることができる。
また、プラズマ処理におけるプラズマ発生方法、電極間
距離、ガス種、RFパワー、処理時間によって表面粗さ
の状態が異なるが、特にガス種に大きく依存する。例え
ば、フッ素原子を含有するガスとしてCF 4を用いた場
合と、CF4とO2との混合ガスを用いた場合では、表面
粗さは混合ガスを用いた場合の方が大きくなる。また、
当該混合ガスにおけるO2ガスの混合比率によっても表
面粗さが異なり、撥インク性を考慮し、さらに、前記し
たO 2による酸化反応を考慮した上で、O2の混合比率は
30%以下であり、望ましくは10〜20%である。
【0083】上記したように、本発明にかかるドライエ
ッチング処理及びプラズマ処理を施すことによって、隔
壁3のみが撥インク性と適度な表面粗さを有し、該隔壁
3に囲まれた領域に露出した支持基板1の表面が親イン
ク性を有した基板を得ることができる。
【0084】工程(f) インクジェット記録装置を用いて、インクジェットヘッ
ド5より、R、G、Bのインク6を隔壁3で囲まれた領
域(開口部4)に付与する。インクジェットとしては、
エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバブル
ジェット(登録商標)タイプ、或いは圧電素子を用いた
ピエゾジェットタイプ等が使用可能である。また、イン
ク6としては、カラーフィルタの場合には硬化後にR、
G、Bの着色部を形成するように各色の着色剤を含むも
の、EL素子の場合には、硬化後に電圧印加によって発
光する発光層を形成する材料を用いる。いずれの場合
も、インク6は硬化成分、水、溶剤を少なくとも含むも
のが好ましい。以下に、本発明の製造方法によってカラ
ーフィルタを製造する場合に用いるインクの組成につい
てさらに詳細に説明する。
【0085】〔1〕着色剤 本発明でインク中に含有させる着色剤としては、染料系
及び顔料系共に使用可能であるが、顔料を使用する場合
には、インク中で均一に分散させるために別途分散剤の
添加が必要となり、全固形分中の着色剤比率が低くなっ
てしまうことから、染料系の着色剤が好ましく用いられ
る。また、着色剤の添加量としては、後述する硬化成分
と同量以下であることが好ましい。
【0086】〔2〕硬化成分 後工程におけるプロセス耐性、信頼性等を考慮した場
合、熱処理或いは光照射等の処理により硬化し、着色剤
を固定化する成分、即ち架橋可能なモノマー或いはポリ
マー等の成分を含有することが好ましい。特に、後工程
における耐熱性を考慮した場合、硬化可能な樹脂組成物
を用いることが好ましい。具体的には、例えば基材樹脂
として、水酸基、カルボキシル基、アルコキシ基、アミ
ド基等の官能基を有するアクリル樹脂、シリコン樹脂;
またはヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセ
ルロース等のセルロース誘導体或いはそれらの変性物;
またはポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、
ポリビニルアセタール等のビニル系ポリマーが挙げられ
る。さらに、これらの基材樹脂を光照射或いは加熱処理
により硬化させるための架橋剤、光開始剤を用いること
が可能である。具体的には、架橋剤としては、メチロー
ル化メラミン等のメラミン誘導体が、また光開始剤とし
ては重クロム酸塩、ビスアジド化合物、ラジカル系開始
剤、カチオン系開始剤、アニオン系開始剤等が使用可能
である。また、これらの光開始剤を複数種混合して、或
いは他の増感剤と組み合わせて使用することもできる。
【0087】〔3〕溶剤 本発明で使用されるインクの媒体としては、水及び有機
溶剤の混合溶媒が好ましく使用される。水としては種々
のイオンを含有する一般の水ではなく、イオン交換水
(脱イオン水)を使用することが好ましい。
【0088】有機溶剤としては、メチルアルコール、エ
チルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピ
ルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチル
アルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1
〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、
ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセ
トンアルコール等のケトン類またはケトアルコール類;
テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリ
エチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポ
リアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレン
グリコール、チオジグリコール、へキシレングリコー
ル、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜4個
の炭素を含有するアルキレングリコール類;グリセリン
類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレ
ングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコール
モノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキル
エーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリ
ドン等の中から選択することが好ましい。
【0089】また、上記成分の他に、必要に応じて所望
の物性値を持つインクとするために、沸点の異なる2種
類以上の有機溶剤を混合して用いたり、界面活性剤、消
泡剤、防腐剤等を添加しても良い。
【0090】工程(g)〜(h) 熱処理、光照射等必要な処理を施し、インク6中の溶剤
成分を除去して硬化させることにより、画素7を形成す
る。
【0091】さらに、カラーフィルタの場合には、前記
したように、必要に応じて保護層や透明導電膜を形成す
る。この場合の保護層としては、光硬化タイプ、熱硬化
タイプ、或いは光熱併用硬化タイプの樹脂材料、或い
は、蒸着、スパッタ等によって形成された無機膜等を用
いることができ、カラーフィルタとした場合の透明性を
有し、その後の透明導電膜形成プロセス、配向膜形成プ
ロセス等に耐えうるものであれば使用可能である。ま
た、透明導電膜は、保護層を介さずに着色部上に直接形
成しても良い。
【0092】
【実施例】(実施例1) 〔ブラックマトリクスの形成〕ガラス基板(コーニング
製「1737」)上に、カーボンブラックを含有する黒
色レジスト(新日鉄化学製「V−259BKレジス
ト」)を塗布し、所定の露光、現像、ポストベーク処理
を行って、膜厚2μm、75μm×225μmの長方形
の開口部を有するブラックマトリクスパターン(隔壁)
を作製した。
【0093】〔インクの調整〕下記に示す組成からなる
アクリル系共重合体を熱硬化成分として用い、以下の組
成にてR、G、Bの各インクを調製した。
【0094】硬化成分 メチルメタクリレート 50重量部 ヒドロキシエチルメタクリレート 30重量部 N−メチロールアクリルアミド 20重量部
【0095】Rインク C.I.アシッドオレンジ148 3.5重量部 C.I.アシッドレッド289 0.5重量部 ジエチレングリコール 30重量部 エチレングリコール 20重量部 イオン交換水 40重量部 上記硬化成分 6重量部
【0096】Gインク C.I.アシッドイエロー23 2重量部 亜鉛フタロシアニンスルホアミド 2重量部 ジエチレングリコール 30重量部 エチレングリコール 20重量部 イオン交換水 40重量部 上記硬化成分 6重量部
【0097】Bインク C.I.ダイレクトブルー199 4重量部 ジエチレングリコール 30重量部 エチレングリコール 20重量部 イオン交換水 40重量部 上記硬化成分 6重量部
【0098】〔ドライエッチング処理〕ブラックマトリ
クスを形成した前記ガラス基板(ブラックマトリクス基
板)に、カソードカップリング方式平行平板型プラズマ
処理装置を用いて、以下の条件にてプラズマ処理を行っ
た。
【0099】 使用ガス :O2 ガス流量 :80sccm 圧力 :8Pa RFパワー :150W 処理時間 :30sec
【0100】〔プラズマ処理〕上記ドライエッチング処
理終了後、同じ装置内で、ブラックマトリクス基板に対
して、以下の条件にてプラズマ処理を施した。
【0101】 使用ガス :CF4 ガス流量 :80sccm 圧力 :50Pa RFパワー :150W 処理時間 :30sec
【0102】〔撥インク性の評価〕協和界面社製自動液
晶ガラス洗浄・処理検査装置「LCD−400S」を用
いて、上記プラズマ処理後のブラックマトリクス基板に
ついて、純水に対する接触角を測定した。ブラックマト
リクス表面については微細パターンの周囲に設けられた
幅5mmの額縁上にて測定を行い、ガラス基板表面につ
いては該額縁のさらに外側のブラックマトリクスパター
ンの設けられていない箇所にて測定を行った。各々の純
水に対する接触角は、 ガラス基板表面:6° ブラックマトリクス表面:126° であった。
【0103】〔表面粗さの評価〕ブラックマトリクス表
面の表面粗さの評価はTecnor社製触針式表面粗さ
計「FP−20」を用い、純水に対する接触角同様に幅
5mmの額縁上にて平均粗さ(Ra)を測定した。その
結果、ブラックマトリクス表面の平均粗さ(Ra)は
4.4nmであった。
【0104】〔着色部の作製〕吐出量20plのインク
ジェットヘッドを具備したインクジェット記録装置を用
い、プラズマ処理を施したブラックマトリクス基板に対
して、上記R、G、Bインクを開口部1個あたり200
〜800plの範囲で100plおきに量を変化させて
付与した。次いで、90℃で10分間、引き続き230
℃で30分間の熱処理を行ってインクを硬化させて着色
部(画素)とし、インク付与量の異なる7種類のカラー
フィルタを作製した。
【0105】〔混色、白抜け、着色部表面の平坦性の評
価〕得られたカラーフィルタの混色及び白抜けの評価
は、光学顕微鏡による観察によって行った。また、平坦
性の評価は、開口部1個あたり300plのインクを付
与した場合について、上記表面粗さの評価で用いた表面
粗さ計を用い、各色の着色部中央部のガラス表面からの
高さdtと着色部の端部のブラックマトリクスと接する
部分のガラス基板表面からの高さdbの差(dt−db
を測定し、−0.5μm≦(dt−db)≦0.5μmで
あれば平坦、(dt−db)<−0.5μmであれば凹形
状、(dt−db)>0.5μmであれば凸形状として評
価した。
【0106】その結果、本例の全てのカラーフィルタに
おいて混色、白抜けは観察されず、着色部表面も平坦で
あった。
【0107】(実施例2)カーボンブラックを含有する
黒色レジストとして富士フィルムオーリン製「CK−S
171Xレジスト」を用いた以外は実施例1と同様にし
て、カラーフィルタを作製した。プラズマ処理後のブラ
ックマトリクス基板の純水に対する接触角は、 ガラス基板表面:5° ブラックマトリクス表面:128° であった。また、該ブラックマトリクス表面の平均粗さ
(Ra)は10.3nmであった。本例で得られた全て
のカラーフィルタについて、混色、白抜けは観察され
ず、着色部表面も平坦であった。
【0108】(実施例3)ドライエッチング処理におい
てアルゴンガスを導入する以外は実施例1と同様にして
カラーフィルタを作製した。プラズマ処理後のブラック
マトリクス基板の純水に対する接触角は、 ガラス基板表面:8° ブラックマトリクス表面:132° であった。また、該ブラックマトリクス表面の平均粗さ
(Ra)は6.8nmであった。本例で得られた全ての
カラーフィルタについて、混色、白抜けは観察されず、
着色部表面も平坦であった。
【0109】(実施例4)プラズマ処理においてCF4
とO2との混合ガスをそれぞれガス流量で64scc
m、16sccmで導入する以外は実施例1と同様にし
て、カラーフィルタを作製した。プラズマ処理後のブラ
ックマトリクス基板の純水に対する接触角は、 ガラス基板表面:7° ブラックマトリクス表面:133° であった。また、該ブラックマトリクス表面の平均粗さ
(Ra)は5.2nmであった。本例で得られた全ての
カラーフィルタについて、混色、白抜けは観察されず、
着色部表面も平坦であった。
【0110】(実施例5)プラズマ処理においてC58
ガスを導入する以外は実施例1と同様にして、カラーフ
ィルタを作製した。プラズマ処理後のブラックマトリク
ス基板の純水に対する接触角は、 ガラス基板表面:6° ブラックマトリクス表面:129° であった。また、該ブラックマトリクス表面の平均粗さ
(Ra)は3.8nmであった。本例で得られた全ての
カラーフィルタについて、混色、白抜けは観察されず、
着色部表面も平坦であった。
【0111】(実施例6)実施例2と同様の黒色レジス
トを用いてブラックマトリクスを形成し、実施例3と同
様のドライエッチング処理、実施例4と同様のプラズマ
処理を施して、実施例1と同様にしてカラーフィルタを
作製した。プラズマ処理後のブラックマトリクス基板の
純水に対する接触角は、 ガラス基板表面:7° ブラックマトリクス表面:134° であった。また、該ブラックマトリクス表面の平均粗さ
(Ra)は18.3nmであった。本例で得られた全て
のカラーフィルタについて、混色、白抜けは観察され
ず、着色部表面も平坦であった。
【0112】(実施例7)実施例1で用いた黒色レジス
トの替わりに、カーボンブラックを含まない透明感光性
樹脂である富士フィルムオーリン製「CT−2000
L」を用い、その他は実施例1と同様にしてカラーフィ
ルタを作製した。プラズマ処理後のマトリクスパターン
基板の純水に対する接触角は、 ガラス基板表面:6° マトリクスパターン表面:102° であった。また、該マトリクスパターン表面の平均粗さ
(Ra)は1.5nmであった。
【0113】本例で得られた全てのカラーフィルタにつ
いて、白抜けは観察されなかった。また、インクの付与
量が600pl以上のカラーフィルタについては、混色
が観察された。また、着色部表面が凸形状であったた
め、着色部とマトリクスパターンとの境界部で若干濃度
が薄くなっていた。
【0114】(比較例1)ドライエッチング処理及びプ
ラズマ処理を行わない以外は実施例1と同様にして、カ
ラーフィルタを作製した。ブラックマトリクス基板の純
水に対する接触角は、 ガラス基板表面:62° ブラックマトリクス表面:78° であった。また、該ブラックマトリクス表面の平均粗さ
(Ra)は2.0nmであった。本例で得られた全ての
カラーフィルタにおいて全着色部に白抜けが観察され
た。また、インクの付与量が400pl以上のカラーフ
ィルタについては、混色が観察された。着色部表面の平
坦性は白抜けが発生したため、評価できなかった。
【0115】(比較例2)ドライエッチング処理を行わ
ない以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製
した。プラズマ処理後のブラックマトリクス基板の純水
に対する接触角は、 ガラス基板表面:23° ブラックマトリクス表面:97° であった。また、該ブラックマトリクス表面の平均粗さ
(Ra)は3.5nmであった。本例で得られた全ての
カラーフィルタについて、白抜けは観察されず、着色部
表面も平坦であった。また、インクの付与量が600p
l以上のカラーフィルタについては、混色が観察され
た。
【0116】以上の結果を表1に示す。
【0117】
【表1】
【0118】(実施例8)薄膜プロセスによって形成さ
れた、配線膜及び絶縁膜等が多層に積層されてなるTF
T駆動基板上に画素(発光層)単位に、透明電極として
ITOをスパッタリングにより厚さ40nm形成し、フ
ォトリソ法により、画素形状に従ってパターニングを行
う。
【0119】次に発光層を充填する隔壁を形成する。透
明感光性樹脂(富士フイルムオーリン製「CT−200
0L」)を塗布し,所定の露光,現像,ポストベ−ク処
理を行って、上記のITO透明電極上に膜厚0.4μ
m、75μm×225μmの長方形の開口部を有する透
明なマトリクスパターンを作成した。該基板を実施例1
と同様な条件でO2を用いたドライエッチング処理とC
4を用いたプラズマ処理を行った。ITO透明電極上
と透明マトリックスパターン上それぞれの純水に対する
接触角は ITO透明電極上:17° 透明マトリックスパターン上:101° であった。
【0120】次に前記基板の隔壁内に発光層を充填し
た。発光層としては、電子輸送性2,5−ビス(5−t
ert−ブチル−2−ベンゾオキサゾルイル)−チオフ
ェン〔蛍光ピーク450nmをもつ電子輸送性青色発光
色素であり、発光中心形成化合物の1つである。以下、
「BBOT」と記す〕30重量%を、ポリ−N−ビニル
カルバゾール〔分子量150,000、関東化学社製、
以下、「PVK」と記す〕よりなるホール輸送性ホスト
化合物中に分子分散させることができるよう、両者をジ
クロロエタン溶液に溶解させた。もう1つの発光中心形
成化合物であるナイルレッドを0.015モル%を溶解
含有する前記PVK−BBOTのジクロロエタン溶液
を、インクジェット法により透明樹脂で囲まれた隔壁内
に充填、乾燥し、厚さ200nmの発光層を形成した。
このとき、各画素(発光層)は独立し、隔壁間で前記発
光材料を含む溶液が隣接画素で混ざることはなかった。
さらにこの上に、Mg:Ag(10:1)を真空蒸着さ
せて厚さ200nmのMg:Ag陰極を作った。このよ
うにして作ったEL素子の各画素に18Vの電圧を印加
したところ、480cd/m2の均一な白色発光が得ら
れた。
【0121】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
混色や白抜けのない画素を備えた光学素子をインクジェ
ット方式により簡易なプロセスによって歩留まり良く製
造することができ、着色部内で濃度ムラのないカラーフ
ィルタ、発光層内で発光輝度ムラのないEL素子を歩留
まり良く提供することができる。よって、上記カラーフ
ィルタを用いて、カラー表示特性に優れた液晶素子をよ
り安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学素子の製造方法の一実施形態の工
程図である。
【図2】本発明の光学素子の製造方法の一実施形態の工
程図である。
【図3】インクジェット方式による光学素子の製造方法
において発生する混色の概念図である。
【図4】インクジェット方式による光学素子の製造方法
において発生する白抜けの概念図である。
【図5】本発明の製造方法において用いうるプラズマ発
生装置の構成の一例を示す模式図である。
【図6】本発明の製造方法において用いうるプラズマ発
生装置の他の構成を示す模式図である。
【図7】本発明の製造方法におけるインク付与直後と画
素の断面形状を示す図である。
【図8】従来の製造方法におけるインク付与直後と画素
の断面形状を示す図である。
【図9】本発明の光学素子の一実施形態であるエレクト
ロルミネッセンス素子の一例の断面模式図である。
【図10】本発明の光学素子の他の実施形態であるカラ
ーフィルタの一例の断面模式図である。
【図11】本発明の液晶素子の一実施形態の断面模式図
である。
【符号の説明】
1 支持基板 2 樹脂組成物層 3 隔壁 4 開口部 5 インクジェットヘッド 6 インク 7 画素 31 透明基板 33 ブラックマトリクス 36 インク 38 白抜け 51 上部電極 52 下部電極 53 被処理基板 54 高周波電極 91 駆動基板 92 隔壁 93 発光層 94 透明電極 96 金属層 101 透明基板 102 ブラックマトリクス 103 着色部 104 保護層 107 共通電極 108 配向膜 109 液晶 111 対向基板 112 画素電極 113 配向膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高野 勝彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 谷内 洋 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 西田 武人 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 坂本 淳一 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 岩田 研逸 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 岡田 良克 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 FB01 FB08 2H048 BA02 BA11 BA64 BB01 BB02 BB14 BB42 2H091 FA02Y FA35Y FB04 FC01 FC26 FD04 GA08 GA13 LA03 5F004 AA13 BA04 BB13 BB18 BB19 DA00 DA01 DA02 DA03 DA16 DA18 DA26 DB03 DB23 DB25 EB08 FA08

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持基板上に複数の画素と隣接する画素
    間に位置する隔壁とを少なくとも有する光学素子の製造
    方法であって、支持基板上に樹脂組成物からなる隔壁を
    形成する工程と、酸素、アルゴン、ヘリウムから選択さ
    れる少なくとも1種のガス雰囲気下で、上記隔壁を形成
    した支持基板にプラズマ照射するドライエッチング処理
    工程と、少なくともフッ素原子を含有するガス雰囲気下
    で、上記ドライエッチング処理を施した支持基板にプラ
    ズマ照射するプラズマ処理工程と、インクジェット方式
    により隔壁に囲まれた領域にインクを付与して画素を形
    成する工程と、を有することを特徴とする光学素子の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 上記プラズマ処理後の隔壁の表面粗さ
    が、上記ドライエッチング処理前の表面粗さよりも大で
    ある請求項1に記載の光学素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記隔壁をカーボンブラックを含む樹脂
    組成物で形成する請求項1または2に記載の光学素子の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 上記プラズマ処理後の隔壁の表面の平均
    粗さ(Ra)が3nm〜50nmである請求項3に記載
    の光学素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記プラズマ処理後の隔壁表面の純水に
    対する接触角が110°以上であり、支持基板表面の純
    水に対する接触角が20°以下である請求項3または4
    に記載の光学素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記プラズマ処理工程で導入するガス
    が、CF4、SF6、CHF3、C26、C38、C58
    から選択される少なくとも1種のハロゲンガスである請
    求項1〜5のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 上記プラズマ処理工程で導入するガス
    が、CF4、SF6、CHF3、C26、C38、C58
    から選択される少なくとも1種のハロゲンガスとO2
    スとの混合ガスであり、O2の混合比率が30%以下で
    ある請求項1〜5のいずれかに記載の光学素子の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 上記インクが少なくとも硬化成分、水、
    有機溶剤を含有する請求項1〜7のいずれかに記載の光
    学素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記支持基板が透明基板であり、前記隔
    壁がブラックマトリクスであるカラーフィルタを製造す
    る請求項1に記載の光学素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記画素が発光層であり、前記発光層
    を挟んで上下に電極を有するエレクトロルミネッセンス
    素子を製造する請求項1に記載の光学素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 支持基板上に複数の画素と隣接する画
    素間に位置する隔壁とを少なくとも有し、請求項1〜8
    のいずれかに記載の光学素子の製造方法により製造され
    たことを特徴とする光学素子。
  12. 【請求項12】 隔壁が遮光層である請求項11に記載
    の光学素子。
  13. 【請求項13】 上記支持基板が透明基板であり、上記
    画素が着色剤を含有するインクで形成された着色部であ
    り、複数色の着色部を備えたカラーフィルタである請求
    項11または12に記載の光学素子。
  14. 【請求項14】 上記着色部上に保護層を有する請求項
    13に記載の光学素子。
  15. 【請求項15】 表面に透明導電膜を有する請求項13
    または14に記載の光学素子。
  16. 【請求項16】 上記画素が発光層であり、該発光層を
    挟んで上下に電極を有するエレクトロルミネッセンス素
    子である請求項11または12に記載の光学素子。
  17. 【請求項17】 一対の基板間に液晶を挟持してなり、
    一方の基板が請求項13〜15のいずれかに記載の光学
    素子を用いて構成されたことを特徴とする液晶素子。
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