JP2001342358A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性樹脂組成物

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JP2001342358A
JP2001342358A JP2000166873A JP2000166873A JP2001342358A JP 2001342358 A JP2001342358 A JP 2001342358A JP 2000166873 A JP2000166873 A JP 2000166873A JP 2000166873 A JP2000166873 A JP 2000166873A JP 2001342358 A JP2001342358 A JP 2001342358A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハロゲン系難燃剤を使用することなく、難燃
化された難燃性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂と、リン含有化合物
(A)、芳香族樹脂(B)、及び窒素含有化合物及び/
又は無機酸の金属塩(C)で構成された難燃助剤とで難
燃性樹脂組成物を構成する。前記窒素含有化合物は、ア
ミノ基含有トリアジン化合物と酸素酸(ポリリン酸、有
機リン酸、硫酸、ホウ酸など)との塩、アミノ基含有ト
リアジン化合物とヒドロキシル基含有トリアジン化合物
との塩、ポリリン酸アミド、環状尿素類などであり、前
記無機酸の金属塩は、酸素酸(リン酸、ホウ酸など)と
多価金属との塩である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂と、
リン含有化合物、芳香族ナイロン及び特定の難燃助剤
(窒素含有化合物、無機酸の金属塩)で構成された難燃
剤とを含有する難燃性樹脂組成物およびその製造方法、
ならびにこの難燃性樹脂組成物で形成された成形体に関
する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂のうち、ポリブチレンテレ
フタレートなどのポリエステル系樹脂やスチレン系樹脂
などは、優れた機械的特性、電気的特性、耐候性、耐水
性、耐薬品性や耐溶剤性を有するため、電気・電子部
品、自動車部品など種々の用途に利用されている。一
方、利用分野が拡大するにつれ、難燃特性の向上が検討
されている。
【0003】特開昭61−287960号公報には、キ
シリレンアジパミド単位を有するポリアミド樹脂に、ブ
チレンナフタレート単位を有するポリエステル樹脂を添
加することにより、ポリアミド樹脂の成形性を向上させ
て射出成形する方法が開示されている。特開昭62−2
01963号公報には、熱可塑性ポリエステル樹脂に、
メタキシリレン基含有ポリアミド樹脂と相溶化剤とを添
加して、ガスバリア性および透明性を向上させたポリエ
ステル樹脂組成物が開示されている。さらに、特開昭6
3−92667号公報には、エチレンテレフタレート単
位を有するポリエステル樹脂に、メタキシリレン基含有
ポリアミド樹脂および特定の熱可塑性樹脂、さらには雲
母粉末を添加してなる延伸ブロー成形用樹脂組成物が開
示されている。これらの文献においては、樹脂の成形
性、ガスバリア性や透明性は向上するものの、その難燃
性は充分でない。
【0004】そこで、ハロゲン化合物やアンチモン化合
物を用いた難燃剤を添加することにより、熱可塑性樹脂
を難燃化する方法が提案されている。例えば、特開昭6
3−150349号公報には、ポリアミド樹脂とナイロ
ン66からなる混合樹脂に、ガラス繊維、有機ハロゲン
系難燃剤、三酸化アンチモン、及びアルカリ金属または
アルカリ土類金属の水酸化物を配合して難燃化された樹
脂組成物が開示されている。しかし、ハロゲン系難燃剤
においては、燃焼分解時にダイオキシン系化合物を発生
する場合があり、環境問題上好ましくない。そこで、非
ハロゲン系難燃剤として、リン系、窒素含有化合物など
を使用して、難燃化する方法が提案されている。
【0005】特開平6−25506号公報には、芳香族
ビニル化合物とビニル単量体との共重合体、ゴム質重合
体とのグラフト共重合体、およびノボラック樹脂からな
る熱可塑性樹脂に、リン系化合物を添加した難燃性樹脂
組成物が開示されている。特開平9−111059号公
報には、ポリオレフィン系樹脂に、特定量のフェノール
樹脂、リン含有化合物(赤リン)、および膨張性黒鉛を
配合してなる難燃性樹脂組成物が開示されている。ま
た、特開平10−195283号公報には、特定の構造
を有するリン酸エステルに特定化合物(ノボラック型フ
ェノール樹脂および鉄、コバルト、ニッケル又は銅の酸
化物)を適量組み合わせて、難燃化したポリエステル樹
脂組成物が開示されている。
【0006】非ハロゲン系難燃剤は、有害なハロゲンを
含まないものの、ハロゲン系難燃剤と比較して、難燃効
果が劣るため、多量の難燃剤を必要とする。多量の難燃
剤の添加は、ブリードアウトや樹脂の機械的特性の低下
を引き起こす。そのため、難燃性とともに、機械的特性
を向上させることができない。例えば、膨張性黒鉛を併
用した場合には、成形時の外観が著しく低下する。特
に、リン含有化合物としてリン酸エステルを使用した場
合には、ブリードアウトや耐熱性の低下を引き起こす。
【0007】このように、従来の方法では、樹脂の特性
を低下させることなく、高い難燃性を付与することは困
難である。また、上記の難燃剤においては、特定の樹脂
に対して難燃化可能であるものの、幅広い熱可塑性樹脂
に対しては、高い難燃性を付与できない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、少量の難燃剤であっても、高いレベルで難燃化され
た非ハロゲン系難燃性樹脂組成物およびその製造方法を
提供することにある。
【0009】本発明の他の目的は、樹脂の特性を低下さ
せることなく、難燃化された難燃性樹脂組成物およびそ
の製造方法を提供することにある。
【0010】本発明のさらに別の目的は、難燃性が改善
された成形体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を達成するため鋭意検討の結果、熱可塑性樹脂に、特定
の非ハロゲン系難燃剤を添加することにより、高いレベ
ルで難燃化できることを見いだし、本発明を完成した。
【0012】すなわち、本発明の難燃性樹脂組成物は、
熱可塑性樹脂と難燃剤とを含有する難燃性樹脂組成物で
あって、前記難燃剤が(A)リン含有化合物と、(B)
芳香族ナイロン(B1)、ポリアリレート系樹脂(B
2)及び芳香族エポキシ樹脂(B3)から選択された少
なくとも一種の芳香族樹脂と、(C)窒素含有化合物及
び無機酸の金属塩から選択された少なくとも一種の難燃
助剤とで構成されている。熱可塑性樹脂には、ポリエス
テル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ
カーボネート系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、
ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂など
が含まれる。リン含有化合物は、リン酸エステル、リン
酸エステルアミド、ホスホニトリル化合物、有機ホスホ
ン酸化合物、有機ホスフィン酸化合物などであってもよ
い。芳香族ナイロンは芳香族ジアミンとα,ω−ジカル
ボン酸とで構成されているポリアミドなどであってもよ
い。
【0013】窒素含有化合物は、アミノ基を有する窒素
含有環状化合物と酸素酸との塩、アミノ基を有する窒素
含有環状化合物とヒドロキシル基を有する窒素含有化合
物との塩、ポリリン酸アミド、環状尿素類などであって
もよい。無機酸の金属塩は、酸素酸と多価金属との塩な
どであってもよい。
【0014】さらに、本発明の難燃性樹脂組成物は、ヒ
ドロキシル基及び/又はアミノ基を有する芳香族環を主
鎖又は側鎖に有する樹脂や、ヒンダードフェノール系酸
化防止剤、リン系安定剤、フッ素系樹脂、充填剤などを
含んでいてもよい。
【0015】また、本発明には、熱可塑性樹脂と難燃剤
とを混合して難燃性樹脂組成物を製造する方法、および
上記難燃性樹脂組成物で形成された成形体も含まれる。
【0016】
【発明の実施の形態】熱可塑性樹脂としては、成形用と
して利用される種々の樹脂、例えば、ポリエステル系樹
脂、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネ
ート系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ビニル系
樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げら
れる。
【0017】(1)ポリエステル系樹脂 ポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸成分とジオール成
分との重縮合、オキシカルボン酸又はラクトンの重縮
合、またはこれらの成分の重縮合などにより得られるホ
モポリエステル又はコポリエステルである。好ましいポ
リエステル系樹脂は、通常、飽和ポリエステル系樹脂、
特に芳香族飽和ポリエステル系樹脂が含まれる。
【0018】ジカルボン酸成分としては、例えば、脂肪
族ジカルボン酸(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジ
ピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバ
シン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン
酸、ヘキサデカンジカルボン酸、ダイマー酸などの炭素
数6〜40程度のジカルボン酸、好ましくは炭素数1〜
14程度のジカルボン酸)、脂環式ジカルボン酸(例え
ば、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル
酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ハイミック酸などの炭
素数8〜12程度のジカルボン酸)、芳香族ジカルボン
酸(例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンカル
ボン酸、4,4’−ジフェニルカルボン酸、4,4’−
ジフェノキシエーテルカルボン酸、4,4’−ジフェニ
ルメタンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルケトンジ
カルボン酸などの炭素数8〜16程度のジカルボン
酸)、又はこれらの誘導体(例えば、低級アルキルエス
テル、酸無水物などのエステル形成可能な誘導体)など
が挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、単独で又
は二種以上組み合わせて使用してもよい。さらに、必要
に応じて、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価
カルボン酸などを併用してもよい。
【0019】好ましいジカルボン酸成分には、テレフタ
ル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン
酸が含まれる。
【0020】ジオール成分には、例えば、脂肪族アルキ
レンジオール(例えば、エチレングリコール、トリメチ
レングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタ
ンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグ
リコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカ
ンジオールなどの炭素数2〜12程度の脂肪族グリコー
ル、好ましくは炭素数2〜10程度の脂肪族グリコー
ル)、ポリオキシアルキレングリコール[アルキレン基
の炭素数が2〜4程度であり、複数のオキシアルキレン
単位を有するグリコール、例えば、ジエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、ジテトラメチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコ
ール、ポリテトラメチレングリコールなど]、脂環族ジ
オール(例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、
1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェ
ノールAなど)などが挙げられる。また、ビフェノー
ル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)
フェニル)プロパン、キシリレングリコールなどの芳香
族ジオールを併用してもよい。これらのジオール成分は
単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。さら
に、必要に応じて、グリセリン、トリメチロールプロパ
ン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールなど
のポリオールを併用してもよい。
【0021】好ましいジオール成分には、C2-6アルキ
レングリコール(エチレングリコール、トリメチレング
リコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオ
ールなどの直鎖状アルキレングリコール)、繰返し数が
2〜4程度のオキシアルキレン単位を有するポリオキシ
アルキレングリコール[ジエチレングリコールなどのポ
リ(オキシ−C2-4アルキレン)単位を含むグリコー
ル]、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが含ま
れる。
【0022】オキシカルボン酸には、例えば、オキシ安
息香酸、ヒドロキシナフトエ酸、ヒドロキシフェニル酢
酸、グリコール酸、オキシカプロン酸などのオキシカル
ボン酸又はこれらの誘導体などが含まれる。
【0023】ラクトンには、プロピオラクトン、ブチロ
ラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン(例えば、
ε−カプロラクトンなど)などのC3-12ラクトンなどが
含まれる。
【0024】好ましいポリエステル系樹脂には、アルキ
レンテレフタレート、アルキレンナフタレートなどのア
ルキレンアリレートを主成分(例えば、50〜100重
量%、好ましくは75〜100重量%程度)とするホモ
ポリエステル又はコポリエステル[例えば、ポリアルキ
レンテレフタレート(例えば、1,4−シクロヘキサン
ジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリエチレンテ
レフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレー
ト(PPT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)
などのポリC2-4アルキレンテレフタレート)、ポリア
ルキレンナフタレート(例えば、ポリエチレンナフタレ
ート、ポリブチレンナフタレートなどのポリC2-4アル
キレンナフタレート)などのホモポリエステル;アルキ
レンテレフタレート及び/又はアルキレンナフタレート
単位を主成分(例えば、50重量%以上)として含有す
るコポリエステル]が含まれる。特に好ましいポリエス
テル系樹脂には、ブチレンテレフタレート単位を主成分
として含有するポリブチレンテレフタレート系樹脂(例
えば、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレートコポリエステル)が含まれる。なお、これら
のポリエステル系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせ
て使用できる。
【0025】また、コポリエステルにおいて、共重合可
能な単量体としては、C2-6アルキレングリコール(エ
チレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブ
タンジオールなどの直鎖状アルキレングリコールな
ど)、繰返し数が2〜4程度のオキシアルキレン単位を
有するポリオキシアルキレングリコール(ジエチレング
リコールなどのポリ(オキシ−C2-4アルキレン)単位
を含むグリコールなど)、C6-12脂肪族ジカルボン酸
(アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン
酸、セバシン酸など)、芳香族ジカルボン酸(フタル
酸、イソフタル酸など)などが挙げられる。なお、ポリ
エステル系樹脂は、溶融成形性などを損なわない限り、
直鎖状のみならず分岐鎖構造を有していてもよく、架橋
されていてもよい。また、液晶ポリエステルであっても
よい。
【0026】ポリエステル系樹脂は、慣用の方法、例え
ば、エステル交換、直接エステル化法などにより製造で
きる。
【0027】(2)スチレン系樹脂 スチレン系樹脂としては、例えば、スチレン系単量体
(例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチ
レン、クロロスチレンなど)の単独又は共重合体;スチ
レン系単量体とビニル単量体(例えば、アクリロニトリ
ルなどの不飽和ニトリル、(メタ)アクリル酸エステル、
(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸などのα,β−モノ
オレフィン性不飽和カルボン酸又は酸無水物あるいはそ
のエステルなど)との共重合体;スチレン系グラフト共
重合体、スチレン系ブロック共重合体などが挙げられ
る。
【0028】好ましいスチレン系樹脂としては、ポリス
チレン(GPPS)、スチレン−メタクリル酸メチル共
重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレ
ン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニト
リル共重合体(AS樹脂)、ゴム成分にスチレン系単量
体が重合した耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリ
スチレン系グラフト又はブロック共重合体などが含まれ
る。ポリスチレン系グラフト共重合体としては、ゴム成
分に少なくともスチレン系単量体および共重合性単量体
がグラフト重合した共重合体(例えば、ポリブタジエン
にスチレン及びアクリロニトリルをグラフト重合したA
BS樹脂、アクリルゴムにスチレン及びアクリロニトリ
ルをグラフト重合したAAS樹脂、塩素化ポリエチレン
にスチレン及びアクリロニトリルをグラフト重合したA
CS樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体にスチレン及
びアクリロニトリルをグラフト重合した重合体、エチレ
ン−プロピレンゴムにスチレン及びアクリロニトリルを
グラフト重合した重合体、ポリブタジエンにスチレンと
メタクリル酸メチルをグラフト重合したMBS樹脂、ス
チレン−ブタジエン共重合体ゴムにスチレン及びアクリ
ルニトリルがグラフト重合した樹脂などが挙げられる。
ブロック共重合体としては、ポリスチレンブロックとジ
エン又はオレフィンブロックとで構成された共重合体
(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)
ブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重
合体、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロ
ック共重合体、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレ
ン(SEBS)ブロック共重合体、水素添加スチレン−
イソプレン−スチレン(SEPS)ブロック共重合体)
などが挙げられる。これらのスチレン系樹脂は、単独で
又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0029】(3)ポリアミド系樹脂 ポリアミドには、ジアミンとジカルボン酸とから誘導さ
れるポリアミド;アミノカルボン酸、必要に応じてジア
ミン及び/又はジカルボン酸を併用して得られるポリア
ミド;ラクタム、必要に応じてジアミン及び/又はジカ
ルボン酸との併用により誘導されたポリアミドが含まれ
る。ポリアミドには、少なくとも2種の異なったポリア
ミド形成成分により形成されるコポリアミドも含まれ
る。
【0030】ジアミンとしては、例えば、トリメチレン
ジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジ
アミン、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4−トリメ
チルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチル
ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミンなど
の脂肪族ジアミン;ビス(4−アミノシクロヘキシル)
メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシ
ル)メタンなどの脂環族ジアミンが挙げられる。また、
フェニレンジアミン、メタキシリレンジアミンなどの芳
香族ジアミンを併用してもよい。これらのジアミンは1
種で又は2種以上使用できる。
【0031】ジカルボン酸としては、例えば、グルタル
酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、オクタデカン二酸などのC4-20脂肪族
ジカルボン酸;二量体化脂肪酸(ダイマー酸);シクロ
ヘキサン−1,4−ジカルボン酸やシクロヘキサン−
1,3−ジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;フタ
ル酸、無水フタル酸、イソフタル酸やテレフタル酸、ナ
フタレンカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸などが挙
げられる。
【0032】アミノカルボン酸としては、例えば、アミ
ノヘプタン酸、アミノノナン酸、アミノウンデカン酸な
どのC4-20アミノカルボン酸が例示される。アミノカル
ボン酸も一種で又は二種以上使用できるラクタムとして
は、例えば、ブチロラクタム、ビバロラクタム、カプロ
ラクタム、カプリルラクタム、エナントラクタム、ウン
デカノラクタム、ドデカラクタムなどのC4-20ラクタム
が挙げられる。これらのラクタムも1種で又は2種以上
組み合せて使用できる。
【0033】ポリアミド系樹脂としては、ナイロン4
6、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイ
ロン612、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族
ポリアミド、芳香族ジカルボン酸(例えば、テレフタル
酸および/又はイソフタル酸)と脂肪族ジアミン(例え
ば、ヘキサメチレンジアミン)とから得られるポリアミ
ド、芳香族および脂肪族ジカルボン酸(例えば、テレフ
タル酸とアジピン酸)と脂肪族ジアミン(例えば、ヘキ
サメチレンジアミン)とから得られるポリアミドなどが
挙げられる。これらのポリアミドは単独で又は混合して
使用できる。好ましいポリアミドには、非芳香族及び脂
肪族ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン
610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12
など)、ジアミン成分およびジカルボン酸成分のうち、
少なくともジカルボン酸成分が脂肪族化合物であるポリ
アミドなどが含まれる。ポリアミド系樹脂は1種で又は
2種以上組み合わせて使用できる。
【0034】(4)ポリカーボネート系樹脂 ポリカーボネート系樹脂には、ジヒドロキシ化合物と、
ホスゲン又はジフェニルカーボネートなどの炭酸エステ
ルとの反応により得られる重合体が含まれる。ジヒドロ
キシ化合物は、脂環族化合物などであってもよいが、好
ましくはビスフェノール化合物である。
【0035】ビスフェノール化合物としては、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,
2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メ
チルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
4−メチルペンタンなどのビス(ヒドロキシアリール)
1-6アルカン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリー
ル)C4-10シクロアルカン;4,4′−ジヒドロキシジ
フェニルエーテル;4,4′−ジヒドロキシジフェニル
スルホン;4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィ
ド;4,4′−ジヒドロキシジフェニルケトンなどが挙
げられる。
【0036】好ましいポリカーボネート系樹脂には、ビ
スフェノールA型ポリカーボネートが含まれる。ポリカ
ーボネート系樹は、1種で又は2種以上組み合わせて使
用できる。
【0037】(5)ポリフェニレンオキシド系樹脂 ポリフェニレンオキシド系樹脂(ポリフェニレンエーテ
ル系樹脂)には、単独重合体および共重合体が含まれ
る。単独重合体としては、ポリ(2,6−ジメチル−
1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2,5−ジメチ
ル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2,5−ジ
エチル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2−メ
チル−6−エチル−1,4−フェニレン)オキシド、ポ
リ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)
オキシド、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,
4−フェニレン)オキシド、ポリ(2−メチル−6−ヒ
ドロキシエチル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ
(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレ
ン)オキシドなどのポリ(モノ又はジC1-6アルキル−
フェニレン)オキシドなどが挙げられる。
【0038】ポリフェニレンオキシドの共重合体として
は、ベンゼンホルムアルデヒド樹脂やアルキルベンゼン
ホルムアルデヒド樹脂に、クレゾール、p−tert−ブチ
ルフェノールなどのアルキルフェノールを反応させて得
られるアルキルフェノール変性ベンゼンホルムアルデヒ
ド樹脂ブロックと、主体構造としてのポリフェニレンオ
キシドブロックとで構成された変性ポリフェニレンオキ
シド共重合体、ポリフェニレンオキシド又はその共重合
体にスチレン系重合体がグラフトしている変性グラフト
共重合体などが挙げられる。ポリフェニレンオキシド系
樹脂は1種で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0039】(6)ビニル系樹脂 ビニル系樹脂としては、ビニル系単量体(例えば、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニル、クロトン酸ビニル、安息
香酸ビニルなどのビニルエステル;塩素含有ビニル単量
体(例えば、塩化ビニル);フッ素含有ビニル単量体
(例えば、フルオロエチレン、クロロプレンなど);メ
チルビニルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどの
ビニルケトン類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブ
チルエーテルなどのビニルエーテル類;N−ビニルカル
バゾール、N−ビニルピロリドンなどのビニルアミン類
など)の単独又は共重合体、あるいは他の共重合可能な
モノマーとの共重合体などが含まれる。
【0040】前記ビニル系樹脂の誘導体(例えば、ポリ
ビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニル
ブチラールなどのポリビニルアセタール、エチレン−酢
酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合
体など)も使用できる。これらのビニル系樹脂は1種で
又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0041】(7)オレフィン系樹脂 オレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン、プロピ
レンなどのα−C2-10オレフィンの単独又は共重合体、
特に、プロピレン系樹脂(例えば、プロピレン−エチレ
ン共重合体、プロピレン−(メタ)アクリル酸共重合体な
ど)などが挙げられる。
【0042】(8)アクリル系樹脂 アクリル系樹脂には、例えば、(メタ)アクリル系単量
体((メタ)アクリル酸又はそのエステルなど)の単独
又は共重合体の他、 (メタ)アクリル酸−スチレン共重
合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体など
が含まれる。
【0043】(9)その他の樹脂 その他の樹脂としては、ポリアセタール樹脂、脂肪族ポ
リケトン系樹脂(ケトン樹脂)、ポリフェニレンスルフ
ィド系樹脂(例えば、ポリフェニレンスルフィド、ポリ
フェニレンスルフィドケトン、ポリビフェニレンスルフ
ィド、ポリフェニレンスルフィドスルホンなど);ポリ
スルホン(例えば、熱可塑性ポリスルホン、ポリ(エー
テルスルホン)、ポリ(4,4′−ビスフェノールエー
テルスルホンなど);ポリエーテルケトン;ポリ(エー
テルエーテルケトン);ポリエーテルイミド;熱可塑性
ポリウレタン系樹脂(例えば、トリレンジイソシアネー
トなどのジイソシアネート化合物と、前記グリコール及
び/又は前記ジアミンとの反応により得られる重合体、
ポリテトラメチレングリコールなどのセグメントを有し
ていてもよいポリウレタンエラストマーなど);熱可塑
性ポリイミド;ポリオキシベンジレン;熱可塑性エラス
トマーなどが例示できる。
【0044】これらの高分子化合物を、単独でまたは二
種以上組合わせて使用してもよい。
【0045】好ましい熱可塑性樹脂としては、液晶ポリ
エステルであってもよいポリエステル系樹脂、スチレン
系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、
ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリフェニレンスルフ
ィド系樹脂、ビニル系樹脂などが挙げられ、さらに好ま
しくは、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹
脂、スチレン系樹脂が挙げられ、特にポリエステル系樹
脂(PBT系樹脂など)が好ましい。ポリエステル系樹
脂とスチレン系樹脂とを併用してもよい。
【0046】上記の熱可塑性樹脂の数平均分子量は、特
に制限されず、樹脂の種類や用途に応じて適宜選択さ
れ、例えば、5×103〜200×104、好ましくは1
×10 4〜150×104、さらに好ましくは1×104
〜100×104程度の範囲から選択できる。また、熱
可塑性樹脂がポリエステル系樹脂の場合、数平均分子量
は、例えば、5×103〜100×104、好ましくは1
×104〜70×104、さらに好ましくは1.2×10
4〜30×104程度であってもよい。
【0047】[難燃剤]本発明では、難燃剤を(A)リ
ン含有化合物と(B)特定の芳香族樹脂と(C)難燃助
剤とで構成することにより、幅広い熱可塑性樹脂に対し
て、その特性を低下させることなく、高い難燃性を付与
できる。
【0048】(A)リン含有化合物 リン含有化合物としては、有機リン化合物(モノマー型
有機リン化合物、ポリマー型有機リン化合物など)、無
機リン化合物などが挙げられる。
【0049】前記有機リン化合物のうち、モノマー型有
機リン化合物には、リン酸エステル、リン酸エステルア
ミド、ホスホニトリル化合物、有機ホスホン酸化合物
(ホスホン酸エステルなど)、有機ホスフィン酸化合
物、ホスフィンオキシド(トリフェニルホスフィンオキ
シド、トリクレジルホスフィンオキシドなど)などが含
まれる。
【0050】リン酸エステルとしては、脂肪族リン酸エ
ステル[リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸
トリプロピル、リン酸トリイソプロピル、リン酸トリブ
チル、リン酸トリイソブチルなどのリン酸トリC1-10
ルキルエステル;前記リン酸トリエステルに対応するリ
ン酸ジC1-10アルキルエステル及びリン酸モノC1-10
ルキルエステルなど]、芳香族リン酸エステル[リン酸
トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリキシリ
ル、リン酸ジフェニルクレジル、リン酸トリ(イソプロ
ピルフェニル)、リン酸ジフェニルエチルクレジルなど
のリン酸トリC 6-20アリールエステルなど]、脂肪族−
芳香族リン酸エステル(リン酸メチルジフェニル、リン
酸フェニルジエチルなど)などが挙げられる。
【0051】リン酸エステルアミドとしては、リン酸エ
ステル及びリン酸アミドの結合様式を含み、下記式
(1)で表わされるリン酸エステルアミドなどが使用で
きる。
【0052】
【化1】
【0053】(式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又
は異なって、−OR5(R5はアルキル基、シクロアルキ
ル基又はアリール基を示し、これらの基は置換基を有し
ていてもよい)又は−NR67(R6及びR7は、同一又
は異なって、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基
又はアリール基を示し、これらの基は置換基を有してい
てもよく、R6及びR7は互いに結合して環を形成してい
てもよい)を示し、A1はジアミン残基又はアリーレン
ジオキシ基を示し、mは0〜20の整数を示す。ただ
し、R〜Rが同時に−ORの場合、Aはジアミ
ン残基である。)式(1)において、R5、R6及びR7
で表されるアルキル基としては、メチル、エチル、ブチ
ル、t−ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシ
ルなどのC1-20アルキル基、好ましくはC1-12アルキル
基、さらに好ましくはC1-6アルキル基が挙げられる。
シクロアルキル基としては、シクロヘキシルなどのC
5-20シクロアルキル基、好ましくはC6-12シクロアルキ
ル基などが挙げられる。R5、R6及びR7で表されるア
リール基としては、フェニル、ナフチルなどのC6-20
リール基、置換アリール基(メチルフェニル基、エチル
フェニル基などのアルキル置換アリール基、ヒドロキシ
フェニル基など)が挙げられる。また、R6及びR7は互
いに結合して環(例えば、隣接する窒素原子をヘテロ原
子とする4〜10員の複素環など)を形成してもよい。
なお、これらの基は、置換基(例えば、C1-4アルキル
基、特にC1-3アルキル基;ヒドロキシル基など)を有
していてもよい。
【0054】−OR5基としては、一価の有機基、例え
ば、フェニルオキシ、モノ、ジ又はトリC1-4アルキル
フェニルオキシ(例えば、トリルオキシ、キシリルオキ
シ、トリメチルフェニルオキシ、ジエチルフェニルオキ
シなど)などの置換基(C1- 3アルキル基など)を有し
ていてもよいフェニルオキシ基が挙げられる。
【0055】−NR67基としては、1価アミノ基、例
えば、メチルアミノ、ジブチルアミノなどのモノ又はジ
1-4アルキルアミノ基;シクロヘキシルアミノなどの
モノ又はジC4-12シクロアルキル置換アミノ基;フェニ
ルアミノなどのモノ又はジC 6-20アリールアミノ基;メ
チルフェニルアミノなどのC1-4アルキルC6-20アリー
ルアミノ基;ピロリジノ、2−メチルピロリジノ、ピペ
リジノ、2−メチルピペリジノ(ピペコリノ)、3−メ
チルピペリジノ、4−メチルピペリジノ、ピペラジノな
どの少なくとも1つの窒素原子をヘテロ原子とする4〜
10員(好ましくは5〜8員)の複素環基などが挙げら
れる。
【0056】また、互いに隣接するR1及びR2、互いに
隣接するR3及びR4は、それぞれ互いに結合して環を形
成し、例えば、アルキレンジオキシ基(例えば、メチレ
ンジオキシ、ジメチレンジオキシ、トリメチレンジオキ
シ、2,2−ジメチル−1,3−トリメチレンジオキ
シ、2−エチル−2−メチル−1,3−トリメチレンジ
オキシ、2,2−ジエチル−1,3−トリメチレンジオ
キシなどのC2-10アルキレンジオキシ)などを形成して
もよい。
【0057】式(1)において、A1は、下記式(2)
又は(3)で表される2価基であってもよい。
【0058】
【化2】
【0059】(式中、R8及びR9は、同一又は異なっ
て、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基を示し、
8及びR9は互いに結合して環を形成してもよい。Z1
はアルキレン基、シクロアルキレン基又は二価の芳香族
性基を示す。Z2は二価の芳香族性基を示す) R8及びR9で表されるアルキル基、シクロアルキル基と
しては、前記例示のアルキル基(メチル、エチルなどの
1-6アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロヘ
キシルなどのC4-10シクロアルキル基など)が挙げられ
る。また、R8及びR9は互いに結合して、エチレン、プ
ロピレン、テトラメチレン、ヘキサメチレンなどのC
1-6アルキレン基などを形成してもよい。
【0060】Z1で表されるアルキレン基としては、メ
チレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、ヘキ
サメチレンなどのC1-6アルキレン基、好ましくはC1-4
アルキレン基が挙げられ、シクロアルキレン基として
は、シクロヘキシレンなどのC 4-20シクロアルキレン
基、好ましくはC6-12シクロアルキレン基が挙げられ
る。Z1及びZ2で表される二価の芳香族性基としては、
アリーレン基(例えば、フェニレン、ナフチレン基など
のC6-20アリーレン基など)、複数の前記アリーレン基
を有する基[ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビ
スフェノールD、ビスフェノールAD、2,2−ビス
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2’−
ジエチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタンな
どのジヒドロキシジアリールアルカン類;1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのジヒ
ドロキシジアリールシクロアルカン類;1,4−ビス
(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)ベンゼンなど
のジヒドロキシアリールアルキルベンゼン類;ビス(4
−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメ
チル−4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのジヒド
ロキシジアリールスルホン類;ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒド
ロキシフェニル)エーテル、4,4’−ジヒドロキシジ
フェニルエーテルなどのジヒドロキシジアリールエーテ
ル類;4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,
3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキ
シベンゾフェノンなどのジヒドロキシジアリールケトン
類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス
(3−メチル−4−ヒドロキルフェニル)スルフィドな
どのジヒドロキシジアリールスルフィド類;ビス(4−
ヒドロキシフェニル)スルホキシドなどのジヒドロキシ
ジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジ
フェニルなどのジヒドロキシジフェニル類など)のビス
フェノール類からヒドロキシル基が除かれた基、ビフェ
ニレン基など]であってもよい。
【0061】A1で表わされるジアミン残基としては、
ジアミン[例えば、エチレンジアミン、ジエチレンジア
ミン、N,N−ジメチルエチレンジアミンなどのC2-4
アルキレンジアミン;1,3−ピペラジン、1,4−ピ
ペラジン、2−メチル−1,4−ピペラジンなどのピペ
ラジン類;1,4−シクロヘキサンジアミンなどのC
4-8シクロアルキルジアミン;フェニレンジアミン(例
えば、1,4−フェニレンジアミンなど);トルエンジ
アミン(例えば、2,4−ジアミノトルエン、3,5−
ジエチル−2,4−ジアミノトルエンなど);キシリレ
ンジアミン(例えば、1,4−キシリレンジアミンな
ど);ジアミノジフェニルメタン(例えば、4,4’−
ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジエチル−4,
4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル
−4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);ジアミ
ノジフェニルエーテル(例えば、4,4’−ジアミノジ
フェニルエーテル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジ
アミノジフェニルエーテルなど);ジアミノジフェニル
スルホン(例えば、4,4’−ジアミノジフェニルスル
ホン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニ
ルスルホンなど);ジアミノジフェニルスルフィド(例
えば、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィドなど]
の残基が挙げられる。
【0062】また、A1で表わされるアリーレンジオキ
シ基としては、ハイドロキノン残基、レゾルシノール残
基などのフェニレンジオキシ基、ビスフェノール類(前
記Z 1及びZ2の項で例示したビスフェノール類、例え
ば、ジヒドロキシジアリールアルカン類、ジヒドロキシ
ジアリールエーテル類、ジヒドロキシジアリールスルフ
ィド類及びジヒドロキシジアリールスルホン類など)の
残基などが挙げられる。
【0063】好ましいリン酸エステルアミドには、式
(1)においてmが0又は1、特にmが1である化合物
が含まれる。mが1である化合物は、下記式(4)で表
わされる。
【0064】
【化3】
【0065】(式中、R1、R2、R3、R4及びA1は、
前記と同じ) リン酸エステルアミドとしては、例えば、C2-6アルキ
レンジアミンジイルテトラアリールホスフェート(アリ
ールがフェニル、クレジル、キシリルなどであるピペラ
ジンジイルテトラアリールホスフェート、エチレンジア
ミンジイルテトラC6-10アリールホスフェート、N,
N’−ジメチルエチレンジアミンジイルテトラC6-10
リールホスフェートなど);置換基を有していてもよい
6-10アリーレンジアミンジイルテトラC6-10アリール
ホスフェート(アリーレンがフェニレン、キシリレンな
どであり、アリールがフェニルなどであるフェニレンジ
アミンジイルテトラフェニルホスフェート、レゾルシノ
ールトリフェニルホスフェートジフェニルアミド、ハイ
ドロキノントリフェニルホスフェートジフェニルアミド
など);ビスフェノールAトリフェニルホスフェートジ
ブチルアミドなどのビスフェノールホスフェートジC
1-6アルキルアミド;ビスフェノールAトリフェニルホ
スフェートジフェニルアミドなどのビスフェノールホス
フェートC6-10アリールアミド;ジフェニルホスフェー
トジブチルアミドなどのジフェニルホスフェートジC
1-6アルキルアミド;ジフェニルホスフェートメチルフ
ェニルアミド、ジフェニルホスフェートジフェニルアミ
ドなどのジフェニルホスフェートC6- 10アリールアミ
ド;アリールがフェニル、クレジル、キシリルなどであ
るピペリジノジC6-10アリールホスフェート及びピペコ
リノジC6-10アリールホスフェートなどが挙げられる。
これらのリン酸エステルアミドは単独で又は2種以上組
み合わせて使用できる。
【0066】前記リン酸エステルアミドの製造方法は、
特に制限されないが、特開平10−175985号公
報、Jornal of Chem.Soc.C、36
14(1971)、特開平8−59888号公報、特開
昭63−235363号公報などを参考に製造すること
ができる。例えば、(1)オキシハロゲン化リンにフェ
ノール類を反応させた後、アミン類を反応させる方法、
(2)オキシハロゲン化リンにアミン類を反応させた後
フェノール類を反応させる方法、(3)ジハロリン酸フ
ェニルエステルに、アミン類を反応させる方法、(4)
ハロリン酸ジフェニルエステルに、アミン類を反応させ
る方法、(5)ジフェニルホスファイトにアミン類を反
応させる方法等により、アミン触媒あるいは金属塩化物
の存在下、得ることができる。
【0067】リン酸エステルアミドは、商品名「リン酸
エステルアミド系難燃剤SPシリーズ(例えば、SP−
601、SP−703など)」(四国化成工業(株)
製)として入手できる。
【0068】ホスホニトリル化合物としては、下記式
(5)で表される繰り返し単位を有する化合物が使用で
きる。ホスホニトリル化合物は、直鎖状及び環状のいず
れであってもよい。
【0069】
【化4】
【0070】(式中、R10及びR11は、同一又は異なっ
て、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アラルキ
ル基、置換オキシ基、置換アミノ基又はチオシアナト基
を示し、nは3〜20の整数を示す) R10及びR11で表されるアルキル基及びアリール基とし
ては、前記式(1)のR5の項で例示したアルキル基
(特にC1-4アルキル基など)及びアリール基(特にC
6-10アリール基)が挙げられる。アラルキル基として
は、ベンジル、フェネチル基などのC6-14アリール−C
1-6アルキル基(特に、C6-10アリール−C1-4アルキル
基などが挙げられる。置換オキシ基としては、メトキシ
基などのアルコキシ基(C1-4アルコキシ基など)、フ
ェノキシ基などのアリールオキシ基(C6 -10アリールオ
キシ基など)、C6-10アリール−C1-4アルキルオキシ
基などが挙げられる。置換アミノ基には、前記アルキル
基、アリール基などで置換されたアミノ基、特に二置換
アミノ基(ジメチルアミノ基などのジC1-4アルキルア
ミノ基;ジフェニルアミノ基などのジC6-10アリールア
ミノ基;メチルフェニルアミノ基などのC1-4アルキル
6-10アリールアミノ基など)が含まれる。
【0071】nは、好ましくは3〜10程度の整数であ
り、特に環状の場合、3又は4である。
【0072】有機ホスホン酸(亜リン酸)化合物として
は、例えば、芳香族亜リン酸エステル(アリールがフェ
ニル、クレジル、キシリルなどである亜リン酸トリC
6-20アリールエステルなど)、脂肪族亜リン酸エステル
(アルキルが前記R5〜R7の項で例示のアルキルなどで
ある亜リン酸トリC1-10アルキルエステル;前記亜リン
酸トリアルキルエステルに対応する亜リン酸ジ又はモノ
1-10アルキルエステルなど)、有機亜リン酸エステル
[例えば、アルキルが前記例示のアルキルであり、アリ
ールがフェニル、クレジル、キシリルなどであるC1-6
アルキルホスホン酸ジC1-6アルキル、C1-6アルキルホ
スホン酸ジC6-10アリール、C1-6アルキルホスホン酸
1-6アルキルC6-10アリールなどのアルキルホスホン
酸ジエステル;前記アルキルホスホン酸ジエステルに対
応するC6-10アリール−ホスホン酸ジエステル;ホスホ
ノカルボン酸エステル(メトキシカルボニルメチルホス
ホン酸ジメチルなどの前記アルキルホスホン酸ジエステ
ルに対応するC1-4アルコキシカルボニルオキシC1-4
ルキルホスホン酸ジエステル)などのホスホノカルボン
酸トリエステル]などの各種ホスホン酸エステルが含ま
れる。また、アルキル又はアリール基で置換されていて
もよいホスホノカルボン酸の金属塩なども含まれる。
【0073】有機ホスフィン酸化合物には、アルキル基
(C1-4アルキル基など)又はアリール基(C6-10アリ
ール基など)が置換(一置換又は二置換)していてもよ
いホスフィン酸エステル(ホスフィン酸メチルなどのホ
スフィン酸C1-6アルキル、ホスフィン酸フェニルなど
のホスフィン酸C6-10アリール、9,10−ジヒドロ−
9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オ
キシドなどの環状ホスフィン酸エステルなど)などが含
まれる。また、アルキル基又はアリール基が置換してい
てもよいホスフィニコカルボン酸(例えば、3−メチル
ホスフィニコプロピオン酸、3−フェニルホスフィニコ
プロピオン酸など)の金属塩も含まれる。
【0074】また、モノマー型有機リン化合物には、含
窒素リン酸エステル(前記リン酸エステル、ホスホン酸
エステル、ホスフィン酸エステルなどに対応する含窒素
リン酸エステル)や、対応する含窒素リン酸の金属塩な
ども含まれる。
【0075】前記ポリマー型有機リン化合物としては、
モノマー型有機リン化合物の縮合物を用いることができ
る。前記縮合物は、下記式(6)で表される構造単位を
有していてもよい。
【0076】
【化5】
【0077】(式中、R12〜R15は置換基を有していて
もよいアリール基を、Z3は二価の芳香族性基を示す。
pは1〜5の整数を示す) 式(6)において、R12〜R15で示されるアリール基と
しては、前記式(1)のR5〜R7の項で例示したC6-20
アリール基及び置換アリール基が挙げられる。また、Z
3で表される二価の芳香族性基としては、前記Z1及びZ
2の項で例示したC6-20アリーレン基の他、ビフェニレ
ン基、ビスフェノール残基(ビスフェノールA,ビスフ
ェノールD,ビスフェノールADなどのビス(ヒドロキ
シアリール)アルカン残基、ビスフェノールSなど)な
どが挙げられる。
【0078】上記式(6)で表される縮合物(特に、縮
合リン酸エステル)としては、例えば、レゾルシノール
ビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス
(ジクレジルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジ
キシレニルホスフェート)などのレゾルシノールホスフ
ェート;これらのレゾルシノールホスフェートに対応す
るハイドロキノンホスフェート、ビフェノールホスフェ
ート及びビスフェノール−Aホスフェートなどが挙げら
れる。
【0079】また、前記ポリマー型有機リン化合物は、
ヒドロキシル基を有するポリマー(フェノール樹脂な
ど)のリン酸エステルであってもよい。このようなポリ
マーのリン酸エステルとしては、例えば、下記式(7)
で表される構造単位を有するポリマーが挙げられる。
【0080】
【化6】
【0081】(式中、R16及びR17はアリール基を示
す) 前記アリール基としては、前記例示のアリール基(C
6-20アリール基、特にフェニル)及び置換アリール基
(アルキル置換アリール基)が挙げられる。
【0082】さらに、前記ポリマー型有機リン化合物に
は、ポリホスフィニコカルボン酸エステル、ポリホスホ
ン酸アミドも含まれる。ポリホスホン酸アミドとして
は、例えば、下記式(8)で表される構造単位を有する
ポリマーが例示できる。
【0083】
【化7】
【0084】(式中、Z4はアルキレン基、アリーレン
基、又はアラルキレン基を示す。R18はアルキル基、シ
クロアルキル基、アリール基、アラルキル基を示し、R
19及びR20は、同一又は異なって、水素原子、アルキル
基、又はアリール基を示す。また、R19及びR20は、直
結して環を形成してもよい) Z4で表されるアルキレン基及びアリーレン基として
は、前記Z1及びZ2の項で例示したアルキレン基及びア
リーレン基の他、ビフェニル、ビスフェノール残基(前
記Z1又はZ2の項で例示したビス(ヒドロキシアリー
ル)アルカンの残基など)が挙げられ、アラルキレン基
にはこれらのアルキレン基とアリーレン基とが連結した
基(特にC1-4アルキレン−C6-10アリーレン基など)
が挙げられる。R19及びR20は、互いに結合して前記R
8及びR9の項で例示したアルキレン基を形成してもよ
い。
【0085】前記無機リン化合物には、例えば、赤リン
などが含まれる。
【0086】好ましいリン含有化合物としては、リン酸
エステル(脂肪族リン酸エステル、芳香族リン酸エステ
ル及び縮合リン酸エステル、特に縮合リン酸エステルな
ど)、リン酸エステルアミド、ホスホニトリル化合物、
有機ホスホン酸化合物、有機ホスフィン酸化合物、無機
リン化合物((ポリ)リン酸塩など)などが挙げられ
る。
【0087】さらに、安定化処理を施した赤リン(安定
化赤リン)などを併用してもよい。安定化赤リンとして
は、赤リンの粉砕を行わず、赤リン表面に水や酸素との
反応性が高い破砕面を形成させずに微粒子化する方法で
得られた赤リン、さらには、赤リンの表面が、樹脂[例
えば、熱硬化性樹脂(フェノール樹脂、メラミン系樹
脂、尿素系樹脂、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル
樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン系樹脂など)、熱可塑
性樹脂(ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アク
リル系樹脂、オレフィン系樹脂など)]、金属、金属化
合物[例えば、金属水酸化物(水酸化アルミニウム、水
酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、水
酸化チタンなど)、金属酸化物(酸化アルミニウム、酸
化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニ
ウム、酸化銅、酸化鉄、酸化モリブデン、酸化タングス
テン、酸化マンガン、酸化スズなど)など]などにより
単独で又は2種以上組み合わせて被覆された赤リンなど
が使用できる。
【0088】さらに、赤リン表面の被覆、例えば、無電
解メッキ法により、金属(鉄、ニッケル、銅、アルミニ
ウム、亜鉛、マンガン、スズ、チタン、ジルコニウムな
ど)又はこれらの合金で被覆する方法や、金属塩(アル
ミニウム、マグネシウム、亜鉛、チタン、銅、銀、鉄、
ニッケルなどの塩)の溶液で赤リンを処理し、赤リンの
表面に金属リン化合物を形成させて安定化する方法など
により行うことができる。
【0089】特に、赤リン表面に破砕面を形成させない
で赤リンを微粒子化する方法を用い、金属成分(金属水
酸化物や金属酸化物)の被膜と樹脂の皮膜とを組み合わ
せて複数層で被覆処理、特に金属成分の被膜で被覆した
上に樹脂被覆で多重に被覆処理してもよい。
【0090】これらの安定化赤リンの調製は、特開平5
−229806号公報、特開平3−259956号公
報、特開平2−209991号公報、特開平1−150
309号公報、特開昭62−21704号公報、特開昭
52−125489号公報、EP296501A1号公
報、EP249723A2号公報などを参照できる。
【0091】赤リンとしては、通常、安定化赤リンを粉
粒状で使用できる。安定化赤リンの粒子径としては、例
えば、0.01〜100μm、好ましくは0.1〜70
μm、さらに好ましくは0.1〜50μm程度である。
【0092】(B)芳香族樹脂 芳香族樹脂には、芳香族ナイロン(B1)、ポリアリレ
ート系樹脂(B2)及び芳香族エポキシ樹脂(B3)が
含まれる。
【0093】(B1)芳香族ナイロン 難燃剤を構成する芳香族ナイロンとしては、前記熱可塑
性樹脂のポリアミド樹脂とは異種の樹脂が使用される。
このような樹脂としては、下記式(9)で表される単位
を有する化合物などが使用できる。
【0094】
【化8】
【0095】(式中、Z5およびZ6は、同一又は異なっ
て、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基および芳香族
炭化水素基から選択され、かつ少なくとも一方が芳香族
炭化水素基であり、R21およびR22は、同一又は異なっ
て、水素原子、アルキル基及びアリール基から選択さ
れ、また、R21およびR22は、直結して環を形成しても
よい。) このような芳香族ナイロンには、ジアミンとジカルボン
酸とから誘導されるポリアミドであって、ジアミン成分
およびジカルボン酸成分のうち、少なくとも一方の成分
が芳香族化合物であるポリアミド;芳香族アミノカルボ
ン酸、必要に応じてジアミン及び/又はジカルボン酸を
併用して得られるポリアミドが含まれる。芳香族ナイロ
ンには、少なくとも2種の異なったポリアミド形成成分
により形成されるコポリアミドも含まれる。
【0096】ジアミンとしては、例えば、フェニレンジ
アミン、ジアミノトルエン、2,4−ジアミノメシチレ
ン、3,5−ジエチル−2,6−ジアミノトルエン、キ
シリレンジアミン(特に、メタキシリレンジアミン、パ
ラキシリレンジアミン)、ビス(2−アミノエチル)ベ
ンゼン、ビフェニレンジアミン、ビフェニル骨格を有す
るジアミン(例えば、4,4−ジアミノエチルビフェニ
ル)、ジフェニルアルカン骨格を有するジアミン(例え
ば、ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノエ
チルジフェニルメタン、ビス(4−アミノ−3−メチル
フェニル)メタン、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジア
ミノジフェニルメタン、2,2'−ビス(4−アミノフ
ェニル)プロパンなど)、ビス(4−アミノフェニル)
ケトン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、1,4
−ナフタレンジアミンなどの芳香族ジアミンおよびそれ
らのN−置換芳香族ジアミンが挙げられる。また、1,
3−シクロペンタンジアミン、1,4−シクロヘキサン
ジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシ
ル)メタンなどの脂環式ジアミン;トリメチレンジアミ
ン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミ
ン、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル
ヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキ
サメチレンジアミン、オクタメチレンジアミンなどの脂
肪族アミンおよびそれらのN−置換脂肪族ジアミンなど
を併用してもよい。これらのジアミンは1種又は2種以
上使用できる。ジアミンとしては、芳香族ジアミン(特
に、キシリレンジアミン、N,N’−ジアルキル置換キ
シリレンジアミン)を使用するのが好ましい。
【0097】ジカルボン酸としては、例えば、シュウ
酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピ
メリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウ
ンデカン二酸、ドデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オク
タデカン二酸などのC2-20脂肪族ジカルボン酸;フタル
酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフ
タレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;シクロ
ヘキサン−1,4−ジカルボン酸やシクロヘキサン−
1,3−ジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;二量
体化脂肪酸(例えば、ダイマー酸)などが挙げられる。
これらのジカルボン酸は1種又は2種以上使用できる。
ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸(特に、ア
ジピン酸などのC6-20脂肪族ジカルボン酸)を使用する
のが好ましい。
【0098】芳香族又は脂環族アミノカルボン酸として
は、例えば、フェニルアラニン、チロシン、アントラニ
ル酸、アミノ安息香酸などが例示される。アミノカルボ
ン酸も一種で又は二種以上使用できる。
【0099】また、芳香族ナイロンとして、難燃剤とし
ての特性を損わない範囲で、ラクタム及び/又はα,ω
−アミノカルボン酸との縮合体を使用してもよい。ラク
タムとしては、プロピオラクタム、ブチロラクタム、バ
レロラクタム、カプロラクタム(ε−カプロラクタムな
ど)などのC3-12ラクタムなど、α,ω−アミノカルボ
ン酸としては、7−アミノヘプタン酸、10−アミノデ
カン酸などが挙げられる。
【0100】その他の芳香族ナイロンの副成分として、
一塩基酸類(例えば、酢酸、プロピオン酸、カプロン
酸、ニコチン酸など)、モノアミン類(例えば、エチル
アミン、ブチルアミン、ベンジルアミンなど)、二塩基
酸類(例えば、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル
酸、イソフタル酸、シンコメロン酸など)、ジアミン類
(例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジ
アミンなど)あるいはラクタム類から選択された少なく
とも1種以上を粘度調整剤として使用できる。
【0101】芳香族ナイロンとしては、ジアミン成分が
芳香族化合物であるポリアミド(例えば、ジアミン成分
としてキシリレンジアミンを含むポリアミド又はコポリ
アミド)、好ましくは芳香族ジアミンとα,ω−C2-12
ジカルボン酸とから得られるポリアミド(例えば、アジ
ピン酸とメタキシリレンジアミンとから得られるポリア
ミド(MXD6)、スベリン酸とメタキシリレンジアミ
ンとから得られるポリアミド、アジピン酸とパラキシリ
レンジアミンとから得られるポリアミド(PMD6)、
スベリン酸とパラキシリレンジアミンとから得られるポ
リアミド、アジピン酸とN,N’−ジメチルメタキシリ
レンジアミンとから得られるポリアミド、スベリン酸と
N,N’−ジメチルメタキシリレンジアミンとから得ら
れるポリアミド、アジピン酸と1,3−フェニレンジア
ミンとから得られるポリアミド、アジピン酸と4,4’
−ジアミノジフェニルメタンとから得られるポリアミ
ド、アジピン酸とメタキシリレンジアミン及びパラキシ
リレンジアミンとから得られるコポリアミド、アジピン
酸とメタキシリレンジアミン及びN,N’−ジメチルメ
タキシリレンジアミンとから得られるコポリアミドな
ど)などが挙げられる。特に好ましい芳香族ナイロンと
しては、芳香族ジアミン(特に、キシリレンジアミン)
とα,ω−C2-12脂肪族ジカルボン酸から得られるポリ
アミド(特に、MXD6)が挙げられる。これらのポリ
アミドは単独で又は混合して使用できる。
【0102】これらの芳香族ナイロンは、例えば、特公
昭44−22510号公報、特公昭47−51480号
公報、特開昭57−200420号公報、特開昭58−
111829号公報、特開昭62−283179号公
報、工業化学雑誌74巻4号p.786(1971)、工業化学雑
誌74巻10号p.2185(1971)、エンジニアリングプラス
チック辞典p.74(技報堂出版、1998年)及びそれら
に記載の参考文献を基に常圧直接法あるいは溶融重合法
などにより調製される。
【0103】芳香族ナイロンの数平均分子量は、特に制
限されず、例えば、300〜5×104、好ましくは5
00〜1×104、さらに好ましくは500〜8000
(特に、500〜5000)程度の範囲から選択でき
る。
【0104】(B2)ポリアリレート系樹脂 ポリアリレート系樹脂には、下記式(9) [−O−Ar−OC(O)−A2−C(O)−] (9) (式中、Arは芳香族基を示し、A2は芳香族、脂環
族、又は脂肪族基を示す)で表される構造単位を有する
化合物が使用できる。
【0105】このようなポリアリレート系樹脂は、ポリ
エステル化反応としてエステル交換法(例えば、アセテ
ート法、フェニルエステル法など)、酸クロリド法、直
接法、または重付加法などにより、溶融重合法、溶液重
合法、または界面重合法などを使用して製造できる。
【0106】ポリアリレート系樹脂は、芳香族ポリオー
ル成分とポリカルボン酸成分(芳香族ポリカルボン酸成
分、脂肪族ポリカルボン酸成分、脂環式ポリカルボン酸
成分など)との反応により得ることができる。ポリカル
ボン酸成分は、通常、少なくとも芳香族ポリカルボン酸
成分を含む。
【0107】芳香族ポリオール(モノマー)としては、
通常、単環式芳香族ジオール、多環式芳香族ジオールな
どのジオール、又はそれらの反応性誘導体[例えば、芳
香族ポリオールの塩(ナトリウム塩、カリウム塩な
ど)、芳香族ポリオールのエステル(酢酸エステルな
ど)、シリル保護された芳香族ポリオール(トリメチル
シリル化体など)など]が用いられる。
【0108】単環式芳香族ジオールとしては、例えば、
ベンゼンジオール(レゾルシノール、ハイドロキノン、
m−キシリレングリコール、p−キシリレングリコール
など)、ナフタレンジオールなどの炭素数6〜20程度
の芳香族環ジオールが挙げられる。
【0109】多環式芳香族ジオールとしては、ビス(ヒ
ドロキシアリール)類(ビスフェノール類)、例えば、
4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ビフェ
ノール、前記Z1及びZ2の項で例示のジヒドロキシジア
リールアルカン類の他、ビスフェノールFなどのビス
(ヒドロキシアリール)C1-6アルカンなど;ビス(ヒ
ドロキシアリール)シクロアルカン[例えば、ビス(ヒ
ドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロ
キシアリール)C3-12シクロアルカンなど];ビス(ヒ
ドロキシアリール)カルボン酸[例えば、ビス−4,4
−(ヒドロキシフェニル)ブタン酸などのビス(ヒドロ
キシアリール)C2-6カルボン酸など]などが挙げられ
る。また、その他の多環式芳香族ジオールには、ビス
(ヒドロキシアリール)骨格を有する化合物、例えば、
前記Z1及びZ2の項で例示のジ(ヒドロキシフェニル)
エーテル、ジ(ヒドロキシフェニル)ケトン、ジ(ヒド
ロキシフェニル)スルホキシドの他、ジ(ヒドロキシフ
ェニル)チオエーテル、ビス(C1-4アルキル置換ヒド
ロキシフェニル)アルカン[例えば、ビス(3−メチル
−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−メチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−
ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ンなど]、テルペンジフェノール類(例えば、1,4−
ジ(C1-4アルキル置換ヒドロキシフェニル)−p−メ
ンタンなど)なども含まれる。
【0110】これら芳香族ポリオールは、単独で又は二
種以上組み合わせて使用できる。
【0111】好ましい芳香族ポリオールには、ビスフェ
ノール類、例えば、ビス(ヒドロキシアリール)C1-6
アルカン(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノール
F、ビスフェノールADなど)などが含まれる。
【0112】なお、前記芳香族ポリオールは、脂肪族又
は脂環式ポリオールと併用してもよい。脂肪族ポリオー
ルとしては、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオ
ール、ネオペンチルグリコールなどのC1-10脂肪族ポリ
オールが挙げられる。また、前記脂肪族ポリオールに
は、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのC3-10
脂肪族環を有する脂肪族ポリオールも含まれる。脂環式
ポリオールとしてはシクロヘキサンジオールなどのC
3-10脂環式ポリオールが挙げられる。
【0113】芳香族ポリカルボン酸としては、例えば、
単環式芳香族ジカルボン酸、多環式芳香族ジカルボン酸
などのジカルボン酸、又はそれらの反応性誘導体[例え
ば、芳香族ポリカルボン酸ハライド(芳香族ポリカルボ
ン酸クロライドなど)、芳香族ポリカルボン酸エステル
(アルキルエステル、アリールエステルなど)、芳香族
ポリカルボン酸無水物など]が挙げられる。
【0114】単環式芳香族環ジカルボン酸には、例え
ば、前記芳香族ナイロンの項で例示の芳香族カルボン酸
(ベンゼンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸など
の炭素数8〜20程度のアリールジカルボン酸)が挙げ
られる。なお、前記ベンゼンジカルボン酸及びナフタレ
ンジカルボン酸(特に、ベンゼンジカルボン酸)には、
1又は2個のC1-4アルキル基が置換していてもよい。
【0115】多環式芳香族ジカルボン酸としては、ビス
(アリールカルボン酸)類、例えば、ビフェニルジカル
ボン酸、ビス(カルボキシフェニル)メタンなどのビス
(カルボキシアリール)C1-6アルカン;ビス(カルボ
キシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(カルボキシ
アリール)C3-12シクロアルカン;ビス(カルボキシフ
ェニル)ケトンなどのビス(カルボキシアリール)ケト
ン;ビス(カルボキシフェニル)スルホキシドなどのビ
ス(カルボキシアリール)スルホキシド;ビス(カルボ
キシフェニル)エーテルなどのビス(カルボキシアリー
ル)エーテル;ビス(カルボキシフェニル)チオエーテ
ルなどのビス(カルボキシアリール)チオエーテルなど
が挙げられる。
【0116】好ましい芳香族ポリカルボン酸成分には、
単環式芳香族ジカルボン酸(特に、フタル酸、イソフタ
ル酸、テレフタル酸などのベンゼンジカルボン酸)、ビ
ス(カルボキシアリール)C1-6アルカンなどが含まれ
る。
【0117】脂肪族ポリカルボン酸(モノマー)として
は、前記芳香族ナイロンの項で例示した脂肪族ジカルボ
ン酸(特にC2-20脂肪族ジカルボン酸)が挙げられ、ジ
カルボキシメチルシクロヘキサンなどのC3-10脂肪族環
を有するジカルボン酸であってもよい。脂環式ポリカル
ボン酸としては、前記芳香族ナイロンの項で例示した脂
環式ジカルボン酸(特にC3-20脂環式ジカルボン酸)が
含まれる。
【0118】好ましいポリアリレート系樹脂には、芳香
族ポリオールがビスフェノール類であるポリアリレート
樹脂、例えば、ビスフェノール類(ビスフェノールA、
ビスフェノールAD、ビスフェノールFなど)とベンゼ
ンジカルボン酸(イソフタル酸、テレフタル酸など)と
のポリエステル、ビスフェノール類とビス(アリールカ
ルボン酸)類[例えば、ビス(カルボキシフェニル)メ
タン、ビス(カルボキシフェニル)エタン、ビス(カル
ボキシフェニル)プロパンなどのビス(カルボキシアリ
ール)C1-4アルキル]とのポリエステルなどが挙げら
れる。これらポリアリレート系樹脂は単独で又は二種以
上組み合わせて使用できる。
【0119】また、ポリアリレート系樹脂は、芳香族ジ
オール及び芳香族ジカルボン酸に加えて、必要に応じ
て、芳香族トリオール、芳香族テトラオール[例えば、
1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニル)エ
タンなど]、芳香族トリカルボン酸、芳香族テトラカル
ボン酸などを併用してもよい。
【0120】また、ポリアリレート系樹脂の末端は、ア
ルコール類、カルボン酸類など(特に、一価のアルコー
ル類、一価のカルボン酸類など)で封鎖(結合)しても
よい。ポリアリレート系樹脂の末端を封鎖する一価のア
ルコール類としては、例えば、一価のアリールアルコー
ル類(C1-10アルキル基及び/又はC6-10アリール基が
置換していてもよい一価のフェノール類、例えば、フェ
ノール、o,m,又はp位に1〜2個のメチル基などの
1-4アルキル基を有するアルキルフェノール;o,
m,又はp位にフェニル、ベンジル、クミル基などを有
するアリールフェノールなど)、一価のアルキルアルコ
ール類(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタ
ノール、ヘキサノール、ステアリルアルコールなどのC
1-20アルキルモノアルコール類)、一価のアラルキルア
ルコール類(ベンジルアルコール、フェネチルアルコー
ルなどのC7-20アラルキルモノアルコール類)などが含
まれる。
【0121】ポリアリレート系樹脂の末端を封鎖(結
合)する一価のカルボン酸類としては、一価の脂肪族カ
ルボン酸(酢酸、プロピオン酸、オクタン酸などのC
1-20脂肪族モノカルボン酸)、一価の脂環式カルボン酸
(シクロヘキサンカルボン酸などのC4-20脂環式モノカ
ルボン酸)、一価の芳香族カルボン酸(安息香酸、トル
イル酸、o,m,p−tert−ブチル安息香酸、p−
メトキシフェニル酢酸等のC7-20芳香族モノカルボン
酸)などが含まれる。また、前記カルボン酸類は、フェ
ニル酢酸などの芳香族基が置換した一価の脂肪族カルボ
ン酸(特に、C6-20芳香族基が置換したC1-10脂肪族モ
ノカルボン酸)であってもよい。
【0122】また、ポリアリレート系樹脂は、ポリアリ
レート系樹脂以外の樹脂、例えば、ポリアミドなどとポ
リマーアロイを構成してもよい。前記ポリマーアロイ
は、単純混合物のみならずエステル交換反応させたポリ
マーアロイあるいは相溶化剤を含んだポリマーアロイも
含まれる。
【0123】ポリアリレート系樹脂の数平均分子量は、
例えば、300〜30×104程度、好ましくは500
〜10×104程度、さらに好ましくは500〜5×1
4程度である。
【0124】(B3)芳香族エポキシ樹脂 芳香族エポキシ樹脂には、エーテル系エポキシ樹脂(例
えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エ
ポキシ樹脂など)、芳香族アミン成分を用いたアミン系
エポキシ樹脂などが含まれる。
【0125】ビスフェノール型エポキシ樹脂を構成する
ビスフェノールは、前記ビス(ヒドロキシアリール)類
に同じである。好ましいビスフェノール型エポキシ樹脂
としては、ビス(ヒドロキシアリール)C1-6アルカ
ン、特にビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビス
フェノールFなどのグリシジルエーテルが挙げられる。
また、ビスフェノール型エポキシ樹脂には、分子量の大
きな前記ビスフェノールグリシジルエーテル(すなわ
ち、フェノキシ樹脂)も含まれる。
【0126】ノボラック型エポキシ樹脂を構成するノボ
ラック樹脂としては、芳香族環にアルキル基(例えば、
1-20アルキル基、好ましくはメチル基、エチル基など
のC 1-4アルキル基)が置換していてもよいノボラック
樹脂(例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾール
ノボラック樹脂など)を挙げることができる。好ましい
ノボラック型エポキシ樹脂には、C1-2アルキル基が置
換していてもよいノボラック樹脂のグリシジルエーテル
が含まれる。
【0127】アミン系エポキシ樹脂を構成する芳香族ア
ミン成分には、単環式芳香族アミン(アニリン、トルイ
ジンなど)、単環式芳香族ジアミン(ジアミノベンゼ
ン、キシリレンジアミンなど)、単環式芳香族アミノア
ルコール(アミノヒドロキシベンゼンなど)、多環式芳
香族性ジアミン(ジアミノジフェニルメタンなど)、多
環式芳香族性アミンなどが挙げられる。
【0128】エポキシ樹脂の数平均分子量は、例えば、
200〜50,000程度、好ましくは300〜10,
000程度、さらに好ましくは400〜6,000程度
(例えば、400〜5,000程度)である。また、フ
ェノキシ樹脂の数平均分子量は、例えば、500〜5
0,000程度、好ましくは1,000〜40,000
程度、さらに好ましくは3,000〜35,000程度
である。
【0129】エポキシ樹脂は、アミン系硬化剤(例え
ば、エチレンジアミンなどの脂肪族アミン、メタフェニ
レンジアミン、キシリレンジアミンなどの芳香族アミン
など)、ポリアミノアミド系硬化剤硬化剤、酸および酸
無水物系硬化剤などの硬化剤により硬化して用いてもよ
い。
【0130】これらの樹脂成分は単独で又は二種以上組
み合わせて使用できる。
【0131】(C)難燃助剤 本発明の難燃助剤には、窒素含有化合物(C1)及び無
機酸の金属塩(C2)が含まれる。
【0132】(C1)窒素含有化合物 本発明の難燃助剤として用いられる窒素含有化合物とし
て、(a)アミノ基を有する窒素含有環状化合物と酸素
酸との塩、(b)アミノ基を有する窒素含有環状化合物
と有機リン酸との塩、(c)アミノ基を有する窒素含有
環状化合物とヒドロキシル基を有する窒素含有環状化合
物との塩、(d)ポリリン酸アミド、(e)環状尿素類
などが挙げられる。
【0133】(a)アミノ基を有する窒素含有環状化合
物と酸素酸との塩 (アミノ基を有する窒素含有環状化合物)アミノ基を有
する窒素含有環状化合物には、少なくとも1つのアミノ
基と、少なくとも1つの窒素原子を環のヘテロ原子とし
て有するヘテロ環状化合物が含まれ、ヘテロ環は、窒素
以外にイオウ、酸素などの他のヘテロ原子を有していて
もよい。このような窒素含有ヘテロ環には、イミダゾー
ル、チアジアゾール、チアジアゾリン、フラザン、トリ
アゾール、チアジアジン、ピラジン、ピリミジン、ピリ
ダジン、トリアジン、プリンなどの複数の窒素原子を環
の構成原子として有する5又は6員不飽和窒素含有ヘテ
ロ環などが含まれる。このような窒素含有環のうち、複
数の窒素原子を環の構成原子として有する5又は6員不
飽和窒素含有環が好ましく、特に、トリアゾール及びト
リアジンが好ましい。
【0134】トリアゾール化合物としては、1,2,3
−トリアゾール類(1H−1,2,3−トリアゾール
類;2H−1,2,3−トリアゾール類など)、及び
1,2,4−トリアゾール類(グアナゾールなどの1H
−1,2,4−トリアゾール類;グアナジンなどの4H
−1,2,4−トリアゾール類など)が例示でき、アミ
ノ基はトリアゾール環の適当な部位(窒素原子及び炭素
原子、特に炭素原子)に置換していてもよい。アミノ基
の個数は、特に制限されず、1〜3個、特に1〜2個程
度である。
【0135】トリアジン化合物としては、1,3,5−
トリアジン類[メラミン、置換メラミン(2−メチルメ
ラミンなどのアルキルメラミン、グアニルメラミンな
ど)、メラミン縮合物(メラム、メレム、メロンな
ど)、メラミンの共縮合樹脂(メラミン−ホルムアルデ
ヒド樹脂、フェノール−メラミン樹脂,ベンゾグアナミ
ン−メラミン樹脂,芳香族ポリアミン−メラミン樹脂な
ど)などのメラミン又はその誘導体;アンメリン、アン
メリドなどのシアヌール酸アミド類;グアナミン、メチ
ルグアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、
サクシノグアナミン、CTU−グアナミンなどのグアナ
ミン又はその誘導体など]、アミノ基含有1,2,3−
トリアジン類(5−位、4,5−位、4,5,6−位な
どにアミノ基が置換した1,2,3−トリアジン、4−
アミノ−ベンゾ−1,2,3−トリアジンなど)、アミ
ノ基含有1,2,4−トリアジン類(3−位、5−位、
3,5−位などにアミノ基が置換した1,2,4−トリ
アジンなど)などの各種アミノトリアジン類が挙げられ
る。アミノ基は、トリアジン環の適当な部位(窒素原子
及び炭素原子、特に炭素原子)に置換していてもよい。
アミノ基の個数は特に制限されず、1〜4個、特に1〜
3個(例えば、1〜2個)程度である。
【0136】これらのうち、アミノ基含有トリアジン化
合物、特にアミノ基含有1,3,5−トリアジン類が好
ましい。
【0137】アミノ基を有する窒素含有環状化合物は、
環を構成する窒素原子部位(イミノ基)で酸素酸と塩を
形成してもよいが、通常、環に置換した少なくとも1つ
のアミノ基と酸素酸とで塩を形成するのが好ましい。複
数のアミノ基を有する場合、全てのアミノ基が酸素酸と
塩を形成していてもよい。また、複数の同種又は異種の
窒素含有化合物(前記窒素含有環状化合物や他のアミノ
基含有窒素含有化合物)が1つのポリ酸と塩を形成し
て、ポリ酸の複塩を形成してもよい。
【0138】(酸素酸)酸素酸には、硝酸、塩素酸(過
塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸など)、リン
酸、硫酸(ペルオクソ一硫酸、硫酸、亜硫酸などの非縮
合硫酸;ペルオクソ二硫酸、ピロ硫酸などの縮合硫酸な
ど)、ホウ酸(オルトホウ酸、メタホウ酸などの非縮合
ホウ酸;四ホウ酸、無水ホウ酸などの縮合ホウ酸な
ど)、クロム酸、アンチモン酸、モリブデン酸、タング
ステン酸などが含まれる。
【0139】好ましい酸素酸は、リン酸、硫酸及びホウ
酸である。前記リン酸には、ペルオクソリン酸、オルト
リン酸、メタリン酸、亜リン酸(ホスホン酸)、次亜リ
ン酸(ホスフィン酸)などの非縮合リン酸;ポリメタリ
ン酸(HPO3q(式中、qは、2以上の整数を示
す)、次リン酸、無水リン酸(五酸化二リン)などの縮
合リン酸(ポリリン酸)などが含まれる。また、前記ポ
リリン酸には下記式(10)で表される縮合リン酸類も
含まれる。
【0140】
【化9】
【0141】(式中、rは2以上の整数を示す) 前記式において、rは、好ましくは2〜10の整数、さ
らに好ましくは3〜8の整数である。このようなポリリ
ン酸としては、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸などが
例示できる。
【0142】複数の塩形成可能な部位を有するリン酸
は、少なくとも一部の部位がアミンや尿素などの他のア
ミノ基含有化合物と部分塩(ポリリン酸アンモニウム、
ポリリン酸尿素などの縮合酸の部分塩;オルトリン酸尿
素などの非縮合酸の部分塩など)を形成してもよい。
【0143】好ましい酸素酸には、リン酸(ポリリン
酸)、硫酸、ホウ酸が含まれる。
【0144】(アミノ基を有する窒素含有環状化合物の
リン酸塩)アミノ基を有する窒素含有環状化合物のリン
酸塩としては、アミノ基含有トリアジン化合物のリン酸
塩、例えば、非縮合リン酸塩(オルトリン酸メラミン、
ホスホン酸メラミンなどの非縮合リン酸のメラミン塩;
前記メラミン塩に対応するメレム塩、メラム塩、メロン
塩、グアナミン塩など)、ポリリン酸塩[ピロリン酸メ
ラミン塩(ピロリン酸メラミン、ピロリン酸ジメラミ
ン)、これらのピロリン酸メラミン塩に対応する三リン
酸塩、四リン酸塩などのポリリン酸メラミン類;前記ポ
リリン酸メラミン塩に対応するメレム塩、メラム塩、メ
ロン塩、グアナミン塩など]などが例示できる。また、
ポリリン酸塩は、硫酸に由来する硫黄原子を含んでいて
もよい。前記トリアジン塩に対応するトリアゾール塩な
ども使用できる。
【0145】ポリリン酸塩には、ポリリン酸メラミン・
メラム・メレム複塩、メタリン酸メラミン・メラム・メ
レム複塩や、前記イオウ原子を含むポリ酸(リン原子の
他に、イオウ原子、酸素原子などを含むポリ酸)のメラ
ミン・メラム・メレム複塩なども含まれる。これらの複
塩の詳細は特開平10−306082号公報を参照でき
る。
【0146】(アミノ基を有する窒素含有化合物の硫酸
塩)アミノ基を有する窒素含有化合物の硫酸塩として
は、アミノ基含有トリアジン化合物の硫酸塩、例えば、
縮合硫酸塩[硫酸メラミン類(硫酸メラミン、硫酸ジメ
ラミン、硫酸グアニルメラミンなど)、硫酸メラミンに
対応する亜硫酸メラミンなどの非縮合硫酸メラミン類;
前記非縮合硫酸メラミン塩に対応するメレム塩、メラム
塩、メロン塩、グアナミン塩など)]、縮合硫酸塩[ピ
ロ硫酸メラミン類(ピロ硫酸メラミン、ピロ硫酸ジメラ
ミンなど)、ピロ硫酸メラミン塩に対応するメレム塩、
メラム塩、メロン塩、グアナミン塩など]などが例示で
きる。また、前記トリアジン塩に対応するトリアゾール
塩も使用できる。
【0147】なお、硫酸メラミンは、例えば、特開平8
−231517号公報に記載の方法などにより得ること
ができる。ピロ硫酸ジメラムは、例えば、A.C.S. Sympo
siumSeries No. 425 "Fire and Polymers"、第15章、
211〜238頁(American Chemical Society, Washi
ngton D.C., 1990)、特開平10−306082号公報
に記載の方法などにより得ることができる。
【0148】(アミノ基を有する窒素含有環状化合物の
ホウ酸塩)アミノ基を有する窒素含有環状化合物のホウ
酸塩としては、アミノ基含有トリアジン化合物のホウ酸
塩、例えば、非縮合ホウ酸塩[オルトホウ酸メラミン塩
(オルトホウ酸モノ乃至トリメラミンなどのオルトホウ
酸メラミン塩)、前記メラミン塩に対応するメレム塩、
メラム塩、メロン塩、グアナミン塩などのオルトホウ酸
塩;前記オルトホウ酸塩に対応するメタホウ酸塩]、ポ
リホウ酸塩[縮合ホウ酸メラミン塩(無水ホウ酸メラミ
ン、四ホウ酸メラミンなど)、前記メラミン塩に対応す
るメレム塩、メラム塩、メロン塩、グアナミン塩]など
が例示できる。メラミンのホウ酸塩は、例えば、特開昭
54−47750号公報や特開平11−79720号公
報に記載の方法などにより得ることができる。
【0149】前記酸素酸塩は、単独で又は二種以上組み
合わせて使用できる。
【0150】アミノ基を有する窒素含有環状化合物と酸
素酸との割合は、特に制限されないが、例えば、前者/
後者(モル比)=1/20〜20/1、好ましくは1/
10〜10/1(例えば1/5〜10/1)、特に1/
2〜8/1程度である。窒素含有環状化合物が有するア
ミノ基と酸素酸の塩形成可能部位との当量比も特に制限
されず、例えば、10/1〜1/2、好ましくは5/1
〜1/1、特に4/1〜1/1程度である。
【0151】(b)アミノ基を有する窒素含有環状化合
物と有機リン酸との塩 アミノ基を有する窒素含有環状化合物としては、前記
(a)の項で例示したアミノ基を有する窒素含有環状化
合物が例示できる。
【0152】有機リン酸としては、例えば、前記(a)
の項で例示した非縮合リン酸(リン酸(オルトリン酸な
ど)、ホスホン酸など)の部分エステル、及び有機基で
置換されたホスホン酸又はホスフィン酸などが例示でき
る。有機リン酸は、アミノ基を有する窒素含有環状化合
物と塩を形成可能な部位を少なくとも1つ有していれば
よい。
【0153】リン酸エステル(有機オルトリン酸)に
は、アルコール類(一価又は多価アルコール、一価又は
多価のフェノール類)のリン酸モノ又はジエステルが含
まれる。前記アルコール類には、前記ポリアリーレート
系樹脂の項で例示した一価のアルコール(特にC1-10
肪族モノオール)及び脂肪族ポリオールの他、グリセロ
ール、ペンタエリスリトールなどのC1-10脂肪族ポリオ
ール;ニトリロトリメタノールなどのヘテロ原子を有す
るC2-10脂肪族ポリオール;シクロペンタノール、シク
ロヘキサノールなどのC5-8脂環族モノオール(好まし
くはC5-6シクロアルカノール);シクロヘキサンジオ
ールなどのC5-8脂環族ジオール(好ましくはC5-6シク
ロアルカンジオール);フェノール、アルキルフェノー
ル(例えば、p−又はm−クレゾール、3,5−キシレ
ノール、トリメチルフェノール、t−ブチルフェノー
ル、p−オクチルフェノール、ノニルフェノールなどの
モノ乃至トリC1-20アルキルフェノール)、アリールフ
ェノール(例えば、フェニルフェノール、ベンジルフェ
ノール、クミルフェノール)、ナフトール、ヒドロキシ
ビフェニルなどの一価フェノール類;前記ポリアリーレ
ート系樹脂の項で例示した一価のアラルキルアルコール
及び芳香族環ジオールなどが含まれる。
【0154】このようなリン酸エステルとしては、メチ
ルホスフェート、ジブチルホスフェートなどのモノ又は
ジC1-10アルキルホスフェート;エチレングリコールモ
ノホスフェート、ペンタエリスリトールビスホスフェー
トなどのC2-10脂肪族多価アルコールのモノ乃至テトラ
ホスフェート;モノフェニルホスフェート、モノクレジ
ルホスフェート、モノキシレニルホスフェート、モノト
リメチルフェニルホスフェート、ジフェニルホスフェー
ト、ジクレジルホスフェート、ジキシレニルホスフェー
ト、ジトリメチルフェニルホスフェートなどの置換基
(C1-4アルキル基など)を有していてもよい一価フェ
ノール類のリン酸エステル(例えば、C1- 4アルキル基
を有していてもよいモノ又はジC6-14アリールホスフェ
ート);フェニレンビスホスフェートなどの置換基(C
1-4アルキル基など)を有していてもよい多価フェノー
ル類のモノ又はジホスフェート(例えば、C1-4アルキ
ル基を有していてもよいC6-14アリーレンモノ又はジホ
スフェート)など]、アルキル−アリールリン酸エステ
ル[メチルフェニルホスフェートなどのC1-10アルキル
6-14アリールホスフェート(好ましくはC1-6アルキ
ルC6-10アリールホスフェート)など]などが含まれ
る。
【0155】有機ホスホン酸には、前記リン酸エステル
に対応するホスホン酸モノエステル、ホスホン酸のリン
原子に直接結合した水素原子が有機基(脂肪族炭化水素
基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基などの有機
基)で置換された有機ホスホン酸、前記アルコール類の
有機ホスホン酸モノエステルなどが含まれる。
【0156】前記有機ホスホン酸には、脂肪族ホスホン
酸[メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホ
スホン酸、ブチルホスホン酸などのアルキルホスホン
酸;1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸
などの脂肪族ジオールのモノ又はジホスホン酸エステ
ル;ホスホノ酢酸、3−ホスホノプロピオン酸などのホ
スホノC1-10脂肪族カルボン酸又はそのカルボン酸エス
テル(ホスホノ酢酸エチル、3−ホスホノプロピオン酸
エチルなどのホスホノカルボン酸のカルボン酸エステル
類など)などのホスホノカルボン酸類などの置換基(ヒ
ドロキシル基、カルボキシル基、エステル基など)を有
していてもよいC1-10アルキル基で置換されたホスホン
酸(好ましくはC1-6アルキル置換ホスホン酸);エチ
レンビスホスホン酸などのC1-10アルキレンジホスホン
酸;ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)などのヘテ
ロ原子を有する脂肪族多価基で置換されたホスホン酸な
ど]、芳香族ホスホン酸[フェニルホスホン酸、トリル
ホスホン酸などのC6-10アリールホスホン酸;ホスホノ
安息香酸などのホスホノC7-15芳香族カルボン酸又はそ
のカルボン酸エステル(ホスホノ安息香酸エチルなどの
ホスホノ芳香族カルボン酸のカルボン酸エステル類な
ど)などのホスホノカルボン酸;フェニレンビスホスホ
ン酸などの置換基(C1-4アルキル基など)を有してい
てもよい芳香族多価基で置換されたホスホン酸など]な
どが含まれる。また、前記有機ホスホン酸はポリマーと
結合したホスホン酸(ポリビニルホスホン酸など)であ
ってもよい。
【0157】有機ホスホン酸モノエステルには、前記有
機ホスホン酸と前記リン酸エステルの項で例示のアルコ
ール類とのモノエステル、例えば、メチルホスホン酸モ
ノメチルエステルなどのC1-6アルキルホスホン酸モノ
1-6アルキルエステル;ホスホノカルボン酸のジエス
テル(エトキシカルボニルメチルホスホン酸モノエチ
ル、エトキシカルボニルエチルホスホン酸モノエチルな
どのC2-6アルコキシカルボニルC1-6アルキルホスホン
酸モノC1-6アルキルエステルなど);メチルホスホン
酸モノフェニルエステルなどのC1-6アルキルホスホン
酸モノC6-10アリールエステル;フェニルホスホン酸モ
ノメチルエステルなどのC6-10アリールホスホン酸C
1-6アルキルエステル;フェニルホスホン酸モノフェニ
ルエステルなどのC6-10アリールホスホン酸モノC6-10
アリールエステルなどが含まれる。なお、前記ホスホン
酸エステルは、環状ホスホン酸エステル(9,10−ジ
ヒドロ−10−ヒドロキシ−10−オキソ−9−オキサ
−10−ホスファフェナントレンなど)であってもよ
い。
【0158】有機ホスフィン酸には、ホスフィン酸のリ
ン原子に有機基(脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素
基、芳香族炭化水素基などの炭化水素基)が結合した有
機ホスフィン酸が含まれる。このような有機ホスフィン
酸としては、前記置換ホスホン酸に対応する置換ホスフ
ィン酸、例えば、メチルエチルホスフィン酸、ジエチル
ホスフィン酸などのモノ又はジアルキルホスフィン酸;
ホスフィニコカルボン酸[ホスフィニコジ酢酸などのホ
スフィニコジC1-6脂肪族カルボン酸;3−(メチルホ
スフィニコ)プロピオン酸などのC1-6アルキルホスフ
ィニコ−モノC1-6脂肪族カルボン酸、3−(フェニル
ホスフィニコ)プロピオン酸などのC6-10アリールホス
フィニコ−モノC1-6脂肪族カルボン酸、これらのホス
フィニコカルボン酸のカルボン酸エステルなど;フェニ
ルホスフィン酸などのC6-10アリールホスフィン酸;ホ
スフィニコモノ又はジC6-10アリールカルボン酸又はそ
のカルボン酸エステル;メチルフェニルホスフィン酸な
どのC1-6アルキルC6-10アリールホスフィン酸;ヒド
ロキシホスフィンオキシド(1−ヒドロキシジヒドロホ
スホニルオキシド、1−ヒドロキシホスホランオキシド
など)などが挙げられる。
【0159】前記有機リン酸塩は、塩形成可能な部位の
一部又は全部でアミノ基を有する窒素含有環状化合物と
塩を形成でき、いずれの塩も使用できる。このような有
機リン酸塩としては、アミノ基含有トリアジン化合物の
塩、例えば、有機リン酸エステルのメラミン塩(ペンタ
エリスリトールビスホスフェート・メラミン、ペンタエ
リスリトールビスホスフェート・ジメラミンなど)、C
1-6アルキル置換ホスホン酸のメラミン塩、C1-6脂肪族
ジオールのモノ又はジホスホン酸エステルのメラミン塩
(1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸・
ジメラミン、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホ
スホン酸・テトラメラミンなど)、ヘテロ原子を有する
脂肪族多価基で置換されたホスホン酸のメラミン塩[ニ
トリロトリス(メチレンホスホン酸)・テトラメラミン
塩、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)・ヘキサメ
ラミン塩など]、及びC6-10アリールホスホン酸・メラ
ミン(フェニルホスホン酸・メラミン、フェニルホスホ
ン酸・ジメラミンなど)、ホスフィニコカルボン酸・メ
ラミン塩(3−(フェニルホスフィニコ)プロピオン酸
・メラミン、3−(フェニルホスフィニコ)プロピオン
酸・ジメラミンなどのアリールホスフィニコカルボン酸
・メラミン塩);前記メラミン塩に対応するメレム塩、
メラム塩、メロン塩、グアナミン塩;並びにペンタエリ
スリトールビスホスフェート・メラミン・メレムなどの
前記メラミン塩に対応する複塩などが挙げられる。ま
た、前記トリアジン化合物塩に対応するトリアゾール塩
も使用できる。このような有機リン酸塩は、単独で又は
二種以上組み合わせて使用できる。
【0160】このようなアミノ基を有する窒素含有化合
物(特に、アミノ基含有トリアジン化合物)の有機リン
酸塩の製造方法は、特に制限されないが、例えば、前記
窒素含有化合物と有機リン酸と含む溶液又は分散液(水
−アセトン混合系、水−アルコール混合系などの水溶液
又は懸濁液など)を、適当な温度(例えば50〜100
℃程度)で攪拌、混合し、生成する沈殿物を分離、乾燥
する方法などにより製造できる。
【0161】(c)アミノ基を有する窒素含有環状化合
物とヒドロキシル基を有する窒素含有環状化合物との塩 アミノ基を有する窒素含有環状化合物としては、前記
(a)の項で例示したアミノ基を有する窒素含有環状化
合物が例示できる。
【0162】ヒドロキシル基を有する窒素含有環状化合
物には、少なくとも1つのヒドロキシル基と、少なくと
も1つの窒素原子を環のヘテロ原子として有するヘテロ
環とで構成された化合物が含まれる。前記ヘテロ環とし
ては、前記アミノ基を有する窒素含有環状化合物に対応
するヘテロ環が例示できる。好ましい窒素含有環は、前
記と同様に、複数の窒素原子を環の構成原子として有す
る5又は6員不飽和窒素含有環、特に、トリアジンなど
である。
【0163】トリアジン化合物としては、前記アミノ基
を有する窒素環状化合物の項で例示したトリアジン化合
物に対応するヒドロキシル基含有トリアジン化合物が例
示できる。ヒドロキシル基は、トリアジン環の適当な部
位(窒素原子及び炭素原子、特に炭素原子)に置換して
いてもよい。ヒドロキシル基の個数は、特に制限され
ず、1〜4個、特に1〜3個(例えば、2〜3個)程度
である。好ましいヒドロキシル基含有トリアジン化合物
は、ヒドロキシル基含有1,3,5−トリアジン類、特
にシアヌール酸又はイソシアヌール酸、アンメリン、ア
ンメリドなどのシアヌール酸又はその誘導体などであ
る。
【0164】アミノ基を有する窒素含有環状化合物とヒ
ドロキシル基を有する窒素含有環状化合物との塩として
は、トリアジン類とシアヌール酸又はその誘導体との
塩、例えば、メラミンシアヌレートなどのシアヌール酸
のメラミン塩;メラミン塩に対応するメレム塩、メラム
塩、メロン塩、グアナミン塩(例えば、グアナミンシア
ヌレート、アセトグアナミンシアヌレート、ベンゾグア
ナミンシアヌレートなど)などが含まれる。
【0165】これらの塩は、単独で又は二種以上組み合
わせて使用できる。
【0166】アミノ基を有する窒素含有環状化合物とヒ
ドロキシル基を有する窒素含有環状化合物との割合は、
特に制限されないが、例えば、前者/後者(モル比)=
1/2〜3/1、好ましくは1/1〜2/1程度であ
る。
【0167】(d)ポリリン酸アミド ポリリン酸アミドとしては、前記酸素酸の項で例示した
リン酸類と、−N=C=N−又は−N=C(−N<)2
で表されるユニットを有する化合物(シアナミド誘導体
など)とを、結合剤としての尿素及び/又はリン酸尿素
の存在下で焼成、縮合して得られたアミド態の窒素を含
有する高分子化合物が挙げられる。前記リン酸として
は、非縮合リン酸(オルトリン酸、メタリン酸など)、
ポリリン酸、リン酸の部分エステル(ポリリン酸アンモ
ニウム、リン酸尿素など)などが使用でき、前記シアナ
ミド誘導体としては、メラミンなどのトリアジン類(特
に1,3,5−トリアジン類)、ジシアンジアミド、グ
アニジン、グアニル尿素などの各種アミジン化合物など
が使用できる。ポリリン酸アミドは、単独で又は二種以
上組み合わせて使用できる。ポリリン酸アミドについて
は、例えば、特開平7−138463号公報を参照でき
る。このようなポリリン酸アミドは、特公昭51−39
271号公報及び特公昭53−2170号公報などに記
載の方法などにより製造できる。ポリリン酸アンモニウ
ムとメラミンとの縮合反応により得られるポリリン酸ア
ミドは、「スミセーフPM」として、住友化学工業株式
会社から市販されている。
【0168】(e)環状尿素類 環状尿素類は、少なくとも1つの尿素ユニットを環の構
成ユニットとして有する限り、特に制限されず、単環化
合物、芳香族炭化水素環との縮合環、架橋環などのいず
れであってもよい。このような環状尿素類には、種々の
環状ウレイド化合物、例えば、アルキレン尿素[メチレ
ン尿素、エチレン尿素、CDU窒素などのC1-10アルキ
レン尿素(好ましくはC1-6アルキレン尿素)など]、
アルケニレン尿素(ビニレン尿素、シトシンなどのC
2-10アルケニレン尿素など)、アルキニレン尿素[アセ
チレン尿素などのC2-10アルキニレン尿素(好ましくは
2- 6アルキニレン尿素)など]、アリーレン尿素(イ
メサチンなど)、ジカルボン酸のウレイド又はその誘導
体(パラバン酸、ジメチルパラバン酸、バルビツル酸、
5,5−ジエチルバルビツル酸、ジリツル酸、ジアルル
酸、アロキサン酸、アロキサンチン、イソシアヌール
酸、ウラミル、プルプル酸など)、β−アルデヒド酸の
ウレイド又はその誘導体(ウラシル、5−メチルウラシ
ル(チミン)、ジヒドロウラシル、ウラゾール、ベンゾ
イレン尿素など)、α−オキシ酸のウレイド又はその誘
導体(ヒダントイン、5,5−ジメチルヒダントイン、
1,1,−メチレンビス(5,5−ジメチルヒダントイ
ン)、アラントインなどのヒダントイン類など)、及び
環状ジウレイド(尿酸、3−メチル尿酸、プソイド尿
酸、グリコールウリル;p−ウラジンなどのジウレアな
ど)などが挙げられる。また、前記環状尿素に対応する
環状チオ尿素類(エチレンチオ尿素、チオバルビツル
酸、ジチオウラゾール、チオヒダントイン、ジチオヒダ
ントインなど)なども使用できる。さらに、前記ヒドロ
キシル基含有窒素含有環状化合物の項で例示した化合物
のうち、尿素のエノール体を構成ユニットとして有する
化合物(すなわち、互変異性体が尿素ユニットを有する
化合物、例えば、アンメリン、アンメリドなど)なども
使用できる。これらの環状尿素類は、単独で又は二種以
上組み合わせて使用できる。
【0169】(C2)無機酸の金属塩 塩を構成する無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン
酸、ホウ酸、炭酸などの各種無機酸が使用できる。好ま
しい無機酸は、前記(C1)の(a)の項で例示した酸
素酸、特に、リン酸及びホウ酸である。
【0170】無機酸と塩を形成する金属には、アルカリ
金属(カリウム,ナトリウムなど);アルカリ土類金属
(マグネシウム,カルシウム,バリウムなど);遷移金
属(スカンジウムなどの第3A族金属;チタンなどの第
4A族金属;バナジウムなどの第5A族金属;クロム,
モリブデンなどの第6A族金属;マンガンなどの第7A
族金属;鉄,コバルト,ニッケル,パラジウムなどの第
8族金属;及び銅、銀などの第1B族金属)、第2B族
金属(亜鉛,カドミウム,水銀など)、第3B族金属
(アルミニウムなど)、第4B族金属(スズ,鉛な
ど)、第5B族金属(アンチモン,ビスマスなど)など
が含まれる。これらの金属は一種で又は二種以上組み合
わせて使用できる。
【0171】(リン酸の金属塩)リン酸としては、オル
トリン酸、メタリン酸、亜リン酸、次亜リン酸などの非
縮合リン酸;次リン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩
(三リン酸塩、四リン酸塩など)、ポリメタリン酸塩
(Ca3(P392など)、無水リン酸塩類(Ca
2(P412)、Ca5(P3102など)などの縮合リ
ン酸、特に非縮合リン酸が好ましい。
【0172】金属は、多価金属、例えば、アルカリ土類
金属、遷移金属、周期表2B〜3B族金属、特に、アル
カリ土類金属が好ましい。
【0173】リン酸の金属塩としては、前記リン酸と多
価金属との塩の他、この多価金属リン酸塩に対応するリ
ン酸水素塩が挙げられ、前記金属塩には、配位子(例え
ば、ヒドロキソ、ハロゲンなど)が配位していてもよ
い。
【0174】リン酸の金属塩としては、例えば、ピロリ
ン酸塩(Ca227など)、ポリメタリン酸塩(Ca3
(P392など)、無水リン酸塩類(Ca2(P
412)、Ca5(P3102など)の他、Ca5(P
43(OH)、Ca5(PO43(F,Cl)などの
縮合リン酸塩を使用してもよいが、リン酸水素塩を用い
るのが好ましい。
【0175】このようなリン酸水素塩としては、例え
ば、オルトリン酸水素マグネシウム(リン酸水素マグネ
シウム、リン酸二水素マグネシウムなど)、オルトリン
酸水素カルシウム(リン酸二水素カルシウム、第二リン
酸カルシウムなど)などのアルカリ土類金属リン酸水素
塩;リン酸水素マンガン(リン酸水素マンガン(III)な
ど)、リン酸水素鉄(Fe(H2PO43など)などの
遷移金属リン酸水素塩;リン酸水素亜鉛、リン酸水素カ
ドミウムなどの周期表第2B族金属のリン酸水素塩;リ
ン酸水素アルミニウムなどの周期表第3B族金属のリン
酸水素塩;リン酸水素スズなどの周期表第4B族金属の
リン酸水素塩などの非縮合リン酸水素塩などである。こ
れらのうち、実質的に無水のリン酸水素金属塩、特にア
ルカリ土類金属リン酸水素塩(リン酸二水素マグネシウ
ム、リン酸二水素カルシウム、第二リン酸カルシウム
(CaHPO4)など)が好ましい。
【0176】(ホウ酸の金属塩)ホウ酸としては、オル
トホウ酸、メタホウ酸などの非縮合ホウ酸;ピロホウ
酸、四ホウ酸、五ホウ酸及び八ホウ酸などの縮合ホウ
酸、並びに塩基性ホウ酸などが好ましい。
【0177】金属としては、アルカリ金属などを用いて
もよいが、アルカリ土類金属、遷移金属、周期表2B族
金属の多価金属が好ましい。
【0178】ホウ酸金属塩は、通常、含水塩であり、例
えば、非縮合ホウ酸塩[オルトホウ酸カルシウム、メタ
ホウ酸カルシウムなどのアルカリ土類金属非縮合ホウ酸
塩;オルトホウ酸マンガン、メタホウ酸銅などの遷移金
属非縮合ホウ酸塩;メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸カドミ
ウムなどの周期表第2B族金属の非縮合ホウ酸塩(特に
メタホウ酸塩)など]、縮合ホウ酸塩(四ホウ酸三マグ
ネシウム、ピロホウ酸カルシウムなどのアルカリ土類金
属縮合ホウ酸塩;四ホウ酸マンガン、二ホウ酸ニッケル
などの遷移金属縮合酸塩;四ホウ酸亜鉛、四ホウ酸カド
ミウムなどの周期表第2B族金属の縮合ホウ酸塩な
ど);塩基性ホウ酸塩(塩基性ホウ酸亜鉛、塩基性ホウ
酸カドミウムなどの周期表第2B族金属の塩基性ホウ酸
塩など)などが挙げられる。また、これらのホウ酸塩に
対応するホウ酸水素塩(例えば、オルトホウ酸水素マン
ガンなど)なども使用できる。特に、周期表第2B族金
属ホウ酸塩(非縮合又は縮合ホウ酸塩)、特に、ホウ酸
亜鉛類が好ましい。
【0179】リン酸及びホウ酸以外の無機酸(酸素酸)
の金属塩としては、前記リン酸金属塩及びホウ酸金属塩
に対応する各種金属塩が使用できる。
【0180】以上のような難燃助剤(C)は、一種で又
は二種以上組み合わせて使用できる。
【0181】[難燃剤の使用割合]本発明の難燃剤は、リ
ン含有化合物と芳香族樹脂と特定の難燃助剤とを組み合
わせることにより、幅広い熱可塑性樹脂に対して、少量
の添加であっても高い難燃性を付与できる。前記熱可塑
性樹脂に対する難燃剤の割合は、樹脂の特性を損わない
限り特に制限されず、熱可塑性樹脂100重量部に対し
て、難燃剤0.1〜300重量部(例えば1〜300重
量部)、好ましくは10〜250重量部、さらに好まし
くは50〜200重量部程度である。
【0182】難燃剤における芳香族樹脂の割合は、難燃
性を付与できる範囲で適当に選択でき、リン含有化合物
100重量部に対して、1〜500重量部(例えば、1
0〜500重量部)、好ましくは10〜400重量部、
さらに好ましくは50〜350程度である。また、難燃
助剤の割合は、リン含有化合物100重量部に対して、
5〜1000重量部、好ましくは10〜500重量部、
さらに好ましくは50〜300重量部程度である。難燃
剤における芳香族樹脂と難燃助剤との割合(重量比)
は、10/90〜99/1、好ましくは20/80〜9
5/5、さらに好ましくは40/60〜90/10程度
である。
【0183】[添加剤]本発明の難燃性樹脂組成物は、
必要に応じて種々の添加剤(例えば、他の難燃助剤、他
の難燃剤、ドリッピング防止剤、酸化防止剤、安定剤な
ど)を含んでいてもよい。添加剤の全体の含有量は、熱
可塑性樹脂100重量部に対して、0.01〜50重量
部、好ましくは、0.1〜30重量部、さらに好ましく
は1〜20重量部程度である (他の難燃助剤)本発明の難燃性樹脂組成物は、前記特
定の難燃助剤の他にヒドロキシル基及び/又はアミノ基
を有する芳香族環を主鎖又は側鎖に有する樹脂などの樹
脂状難燃助剤を含んでもよい。芳香族環を主鎖に有する
樹脂としては、例えば、ノボラック樹脂、アラルキル樹
脂が例示でき、芳香族環を側鎖に有する樹脂としては、
芳香族ビニル樹脂が例示できる。
【0184】(1)ノボラック樹脂 ノボラック樹脂は、下記式(11)で表される繰り返し
単位を有している。
【0185】
【化10】
【0186】(式中、R23〜R25は、同一又は異なっ
て、水素原子、アルキル基又はアリール基を示し、sは
1以上の整数を示す) アルキル基及びアリール基としては、前記R5〜R7の項
で例示したC1-20アルキル基(特に、C1-12アルキル
基)、C6-20アリール基及び置換アリール基(特にC
1-4アルキル置換アリール基)が挙げられる。
【0187】ノボラック樹脂(特に、ランダムノボラッ
ク樹脂)は、一般に、フェノール類と、アルデヒド類と
の反応により得られる。フェノール類としては、例え
ば、フェノール、p−又はm−クレゾール、3,5−キ
シレノール、アルキルフェノール(例えば、t−ブチル
フェノール、p−オクチルフェノール、ノニルフェノー
ルなどのC1-20アルキルフェノール)、アリールフェノ
ール(例えば、フェニルフェノール、ベンジルフェノー
ル、クミルフェノール)などが挙げられる。これらのフ
ェノール類は、1種で又は2種以上組み合わせて使用し
てもよい。
【0188】アルデヒド類としては、例えば、ホルムア
ルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドな
どの脂肪族アルデヒド、フェニルアセトアルデヒドなど
の芳香族アルデヒドなどが挙げられる。好ましいアルデ
ヒド類としては、ホルムアルデヒドなどが挙げられる。
また、トリオキサン、パラホルムアルデヒドなどのホル
ムアルデヒドの縮合体も使用できる。フェノール類とア
ルデヒド類との割合は、前者/後者=1/0.5〜1/
1(モル比)程度である。
【0189】フェノール類とアルデヒド類との縮合反応
は、通常、酸触媒の存在下で行われる。酸触媒として
は、例えば、無機触媒(例えば、塩酸、硫酸、リン酸な
ど)、有機触媒(p−トルエンスルホン酸、シュウ酸な
ど)などが挙げられる。
【0190】また、ノボラック樹脂として、オルソ/パ
ラ比が1以上のハイオルソノボラック樹脂を使用しても
よい。ノボラック樹脂のメチレン結合の仕方としては、
各々の芳香族環の水酸基に対して、(i)オルソ位同士で
結合している場合、(ii)オルソ位とパラ位で結合してい
る場合、(iii)パラ位同士で結合している場合がある。
【0191】オルソ/パラ比とは、パラ位同士で結合し
ているメチレン結合数Mp、オルソ位とパラ位で結合し
ているメチレン結合数MOP、オルソ位同士結合している
メチレン結合数MOとするとき、下記式で表される。
【0192】オルソ/パラ比=[MO+(1/2)
OP]/[MP+(1/2)MOP] 例えば、13C−NMRスペクトル測定から得られたメチ
レン結合数から、上式よりオルソ/パラ比が算出でき
る。
【0193】特に、ノボラック樹脂としては、オルソ/
パラ比が、1以上、例えば、1〜20(特に1〜15)
程度であるノボラック樹脂、すなわち、いわゆるハイオ
ルソノボラック樹脂が好ましく用いられる。
【0194】オルソ/パラ比が1以上のノボラック樹脂
は、例えば、(1)金属塩、金属酸化物、金属水酸化物
およびアミン化合物から選択された少なくとも1種の触
媒の存在下、あるいは更に付加縮合反応の後、酸触媒を
添加して、フェノール類とアルデヒド類とを反応させる
方法[例えば、特開昭55−90523号公報、特開昭
57−51714号公報、特開昭59−80418号公
報、特開昭62−230815公報、米国特許第411
3700号明細書など]、(2)非極性溶媒(例えば、
キシレン、トルエン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素、
シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素など)中、加圧下
で、フェノール類とアルデヒド類とを反応させる方法
[例えば、特開平6−345837号公報、Makromol.
Chem. 182,2973 (1981)など]、(3)無触媒で、製造
方法と条件とを厳密に制御して、フェノール類とアルデ
ヒド類とを反応させる方法[例えば、特開平10−19
5158号公報、特開平10−204139号公報な
ど]、(4)フェノールのマグネシウムブロミドやマグ
ネシウムメチラートなどの金属フェノラート類とアルデ
ヒド類とを、上述の非極性溶媒中で反応させる方法[例
えば、米国特許第4097463号明細書、Macromolec
ules, 17, 19 (1984) など]などにより合成できる。フ
ェノール類とアルデヒド類との割合は、前者/後者=1
/0.3〜1/1(モル比)程度である。
【0195】金属塩触媒としては、例えば、有機酸(例
えば、酢酸、ナフテン酸、シュウ酸などの脂肪族カルボ
ン酸、メタンスルホン酸などのスルホン酸など)の多価
金属塩(例えば、Zn,Mg,Mn,Cd,Ca,C
o,Pb,Cu,Ni,Alなどの塩)が挙げられる。
金属酸化物および金属水酸化物としては、例えば、多価
金属酸化物、多価金属水酸化物(例えば、Zn,Mg,
Mn,Cd,Ca,Co,Pb,Cu,Ni,Alなど
の酸化物、水酸化物など)などが挙げられる。アミン化
合物としては、例えば、脂肪族アミン(例えば、ジメチ
ルアミン、ジエチルアミンなど)が挙げられる。これら
の触媒は、単独で又は2種以上混合して使用できる。
【0196】ハイオルソノボラック樹脂は、金属塩、金
属酸化物、金属水酸化物などの前記触媒が残留していて
も使用することができるが、水洗などの処理により残留
触媒の量を低減させることが望ましい。また、前述の
(3)の方法で得られるハイオルソノボラック樹脂は、
触媒を使用しないため、触媒除去が不要であり、好まし
いハイオルソノボラック樹脂である。
【0197】なお、前述のフェノール類と、ジオキシベ
ンゼン類、ナフトール類、ビスフェノール類(例えば、
前記Z1及びZ2の項で例示のビスフェノール類)、アル
キルベンゼン類(例えば、トルエン、エチルベンゼン、
キシレン、メシチレンなど)、アニリン類、フルフラー
ル類、尿素類やトリアジン類(例えば、尿素、シアヌル
酸、イソシアヌル酸、メラミン、グアナミン、アセトグ
アナミン、ベンゾグアナミンなど)、テルペン類、カシ
ューナット類、ロジン類などの共縮合成分との共縮合体
も使用できる。特に、トリアジン類で変性されたアミノ
トリアジンノボラックは好ましい共縮合体である。この
ようなアミノトリアジンノボラックはフェノール類、ト
リアジン類、及びホルアルデヒド類を、塩基性触媒(ア
ンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミンな
ど)及び/又は酸性触媒(シュウ酸など)の存在下又は
非存在下で共縮合する方法[例えば、DIC Tech
nical Review No.3、p47(199
7)、特開平8−253557号公報、特開平10−2
79657号公報など]により得られる。アミノトリア
ジンノボラックは、商品名「フェノライト」として大日
本インキ化学工業(株)から入手できる。
【0198】また、ノボラック樹脂(ランダムノボラッ
ク樹脂及びハイオルソノボラック樹脂)のフェノール性
水酸基の一部又は全部が、リン化合物(例えば、リン
酸、亜リン酸、有機ホスホン酸、有機ホスフィン酸など
のリン酸類、及びこれらの無水物、ハロゲン化物、塩、
又はエステル(特に、脂肪族エステル)など)、及びホ
ウ素化合物(例えば、ホウ酸、有機ボロン酸、有機ボリ
ン酸などのホウ酸類、及びこれらの無水物、ハロゲン化
物、塩、又はエステルなど)から選択された少なくとも
1種を用いて変性された変性ノボラック樹脂(例えば、
リン酸変性ノボラック樹脂、ホウ酸変性ノボラック樹脂
など)も使用できる。ノボラック樹脂の水酸基は、通
常、リン酸エステル又はホウ酸エステルとして変性され
ている。
【0199】さらに、ノボラック樹脂(ランダムノボラ
ック樹脂及びハイオルソノボラック樹脂)のフェノール
性水酸基の水素原子の一部又は全部が、金属イオン、シ
リル基もしくは有機基(アルキル基、アルカノイル基、
ベンゾイル基など)で変性(又は置換)された変性ノボ
ラック樹脂も使用できる。
【0200】好ましいノボラック樹脂としては、フェノ
ールホルアルデヒドノボラック樹脂、アルキルフェノー
ルホルムアルデヒド樹脂(例えば、t−ブチルフェノー
ルホルムアルデヒドノボラック樹脂、p−オクチルフェ
ノールホルムアルデヒド樹脂)、およびこれらの共縮合
体(アミノトリアジンノボラック樹脂)、ならびにこれ
らの混合物が挙げられる。
【0201】ノボラック樹脂(ランダムノボラック樹脂
及びハイオルソノボラック樹脂)の数平均分子量は、特
に制限されず、例えば、300〜5×104、好ましく
は300〜1×104、さらに好ましくは300〜80
00(特に、300〜5000)程度の範囲から選択で
きる。
【0202】(2)アラルキル樹脂 本発明に使用されるアラルキル樹脂は、下記式(12)
で表される構造単位を有している。
【0203】
【化11】
【0204】(式中、Arは芳香族基を示し、Z7及び
8は同一又は異なってアルキレン基を示し、R26は水
素原子又はアルキル基を示す。Xはヒドロキシル基、ア
ミノ基、又はN−置換アミノ基を示す) Arで示される芳香族基としては、炭素数6〜20の芳
香族基、例えば、フェニレン基(o−フェニレン基、m
−フェニレン基、p−フェニレン基など)、ナフチレン
基など、好ましくはフェニレン基(特に、p−フェニレ
ン基)を挙げることができる。
【0205】Z7及びZ8で示されるアルキレン基として
は、前記Z1及びZ2の項で例示したアルキレン基(C
1-4アルキレン基、特にC1-2アルキレン基)が挙げられ
る。R 26で示されるアルキル基としては、前記R5〜R7
の項で例示したC1-20アルキル基(特にC1-4アルキル
基)が挙げられる。
【0206】Xで示されるN−置換アミノ基には、モノ
又はジC1-4アルキルアミノ基、例えば、ジメチルアミ
ノ基、ジエチルアミノ基が含まれる。
【0207】アラルキル樹脂としては、Xがヒドロキシ
ル基であるフェノールアラルキル樹脂を用いる場合が多
い。好ましいフェノールアラルキル樹脂には、Z7及び
8がメチレン基、Arがフェニレン基、R26が水素原
子であり、下記式(13)で表されるp−キシレン置換
フェノールを繰り返し単位として有する樹脂が含まれ
る。
【0208】
【化12】
【0209】アラルキル樹脂は、一般に、下記式(1
4)で表される化合物とフェノール類又はアニリン類と
の反応により得ることができる。フェノール類を用いる
とフェノールアラルキル樹脂が、アニリン類を用いると
アニリンアラルキル樹脂を得ることができる。
【0210】Y−Z7−Ar−Z8−Y (14) (式中、Yはアルコキシ基、アシルオキシ基、ヒドロキ
シル基又はハロゲン原子を示す。Ar、Z7及びZ8は前
記に同じ) 式(14)において、Yで示されるアルコキシ基には、
メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ基などのC
1-4アルコキシ基が含まれる。アシルオキシ基にはアセ
トキシ基などの炭素数が2〜5程度のアシルオキシ基が
含まれる。また、ハロゲン原子には、塩素、臭素、ヨウ
素などが含まれる。
【0211】上記式(14)で表される化合物として
は、例えば、キシリレングリコールC 1-4アルキルエー
テル(p−キシリレングリコールジメチルエーテル、p
−キシリレングリコールジエチルエーテルなど)などの
アラルキルエーテル類、p−キシリレン−α,α’−ジ
アセテートなどのアシルオキシアラルキル類、p−キシ
リレン−α,α’−ジオールなどのアラルキルジオール
類、p−キシリレン−α,α’−ジクロライド、p−キ
シリレン−α,α’−ジブロマイドなどのアラルキルハ
ライド類が挙げられる。
【0212】フェノール類としては、例えば、前記ノボ
ラック樹脂の項で例示のフェノール又はアルキルフェノ
ールが挙げられる。これらフェノール類は、1種で又は
2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0213】アニリン類としては、例えば、アニリン、
アルキルアニリン(例えば、トルイジン、キシリジン、
オクチルアニリン、ノニルアニリンなどのC1-20アルキ
ルアニリン)、及びN−アルキルアニリン(例えば、
N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン
などのN−C1-4アルキルアニリン)が挙げられる。こ
れらアニリン類は、1種で又は2種以上組み合わせて使
用してもよい。
【0214】上記式(14)の化合物と、フェノール類
又はアニリン類との割合は、例えば、前者/後者=1/
1〜1/3(モル比)程度、好ましくは1/1〜1/
2.5(モル比)程度である。
【0215】式(14)の化合物とフェノール類又はア
ニリン類との反応は、触媒の存在下で行ってもよく、触
媒の非存在下で行ってもよい。例えば、式(14)の化
合物としてアラルキルエーテル類を用いた場合、触媒の
存在下で反応でき、アラルキルハライド類を用いた場
合、触媒の非存在下で反応できる。触媒としては、例え
ば、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、塩化スズ、塩化アル
ミニウムなどのフリーデルクラフツ触媒が挙げられる。
【0216】また、前記反応は溶媒の存在下、又は非存
在下で行うことができる。反応温度は、例えば、50〜
250℃程度、好ましくは100〜230℃程度であ
る。なお、反応体としてアラルキルハライド類を用いた
場合、反応温度は上記温度より低くてもよく、例えば、
50〜150℃程度、特に70〜130℃程度であって
もよい。
【0217】なお、前記反応において、フェノール類及
び/又はアニリン類に加えて、アルデヒド類(前記ノボ
ラック樹脂の項で例示のアルデヒドの他、ベンズアルデ
ヒドなど)、オキシ安息香酸類(例えば、p−オキシ安
息香酸;p−オキシ安息香酸メチル、p−オキシ安息香
酸エチルなどのp−オキシ安息香酸アルキルエステルな
ど)、オキシベンゼン類(ジオキシベンゼン、トリオキ
シベンゼンなど)、ナフトール類(例えば、1−ナフト
ール、2−ナフトール、1,6−ジヒドロキシナフタレ
ン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、ヒドロキシナフ
トエ酸、ヒドロキシナフトエ酸アルキルエステルな
ど)、ビスフェノール類(前記Z1及びZ2で例示のビス
フェノール類の他、ビスフェノールF、ビスフェノール
S、ビスフェノール−スルホンなど)、アニリン類、フ
ルフラール類、前記ノボラック樹脂の項で共重合成分と
して例示したアルキルベンゼン類及び尿素類などの共縮
合成分を併用してもよい。
【0218】また、アラルキル樹脂としては、Xで示さ
れるヒドロキシル基又はアミノ基の少なくとも一部が、
前記ノボラック樹脂の項で例示したリン化合物及びホウ
素化合物から選択された少なくとも1種を用いて変性さ
れた変性アラルキル樹脂(例えば、リン酸変性フェノー
ルアラルキル樹脂、リン酸変性アニリンアラルキル樹
脂、ホウ酸変性フェノールアラルキル樹脂、ホウ酸変性
アニリンアラルキル樹脂など)も使用できる。アラルキ
ル樹脂のヒドロキシル基は、通常、リン酸エステル又は
ホウ酸エステルとして、アミノ基は、通常、リン酸アミ
ド又はホウ酸アミドとして変性されている。
【0219】このようにして得られたアラルキル樹脂の
軟化点は、例えば、40〜160℃程度、好ましくは5
0〜150℃程度、さらに好ましくは55〜140℃程
度である。
【0220】また、アラルキル樹脂は必要に応じて硬化
又は変性してもよい。硬化又は変性は、通常、ポリアミ
ン(ヘキサメチレンテトラミンなど)によるメチレン架
橋、エポキシ化合物(多環エポキシドなど)によるエポ
キシ架橋などの慣用の方法により行うことができる。
【0221】さらに、アラルキル樹脂は、必要に応じて
エラストマー変性されていてもよい。エラストマー変性
は、合成ゴム、ポリオレフィン(ポリイソブチレン、ポ
リエチレンなど)などのエラストマーにより化学的に行
うことができる。
【0222】(3)芳香族ビニル樹脂 芳香族ビニル樹脂としては、例えば、下記式(15)で
表される構造単位を有する樹脂が使用できる。
【0223】
【化13】
【0224】(式中、R27は水素原子又はC1-3アルキ
ル基、R28は芳香族環を示し、tは1〜3の整数であ
る) 式(15)において、好ましいC1-3アルキル基として
は、メチル基が挙げられる。また、芳香族環としては、
例えば、ベンゼン、ナフタレン環などのC6-20芳香族環
があげられる。なお、芳香族環は、置換基(例えば、ヒ
ドロキシル基;前記R5〜R7の項で例示のアルキル基;
前記Yの項で例示のアルコキシ基など)を有していても
よい。
【0225】式(15)において、ヒドロキシル基の水
素原子は、金属イオン、シリル基もしくはアルキル基、
アルカノイル基、ベンゾイル基などの有機基(保護基)
で保護されていてもよい。
【0226】このような誘導体から得られる樹脂は、例
えば、下記式(16)に示される構造単位を有する。
【0227】
【化14】
【0228】(式中、R27は前記に同じ。R29は−O
H, −OSi(R303及び−OM(Mは金属カチオン、
OR30及びOCOR30であり、R30は1〜5個の炭素原
子を有するアルキル基又はアリール基である)からなる
群より選ばれる基である。また、uは1〜3の整数であ
る。) 前記式において、Mは一価のアルカリ金属カチオン(ナ
トリウム、リチウム、カリウムなど)、又は二価のアル
カリ土類金属カチオン(マグネシウム、カルシウムな
ど)もしくは遷移金属カチオンのいずれかであってもよ
い。
【0229】前記式の置換基R29は、オルト位、メタ位
又はパラ位のいずれか一つに位置していればよい。さら
に、置換基R29に加えて、ペンダント芳香族環はC1-4
のアルキル基で置換されていてもよい。
【0230】芳香族ビニル系樹脂には、前記構造単位
(15)に対応するヒドロキシル基を有する芳香族ビニ
ルモノマーの単独又は共重合体、または他の共重合性モ
ノマーとの共重合体などが含まれる。
【0231】芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、
ビニルフェノール、ジヒドロキシスチレン、ビニルナフ
トールなどのヒドロキシル基含有芳香族ビニルモノマー
などが含まれる。これらの芳香族ビニルモノマーは単独
で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0232】他の共重合性モノマーとしては、例えば、
(メタ)アクリル系モノマー[ (メタ)アクリル酸、
(メタ)アクリル酸エステル(例えば、(メタ)アクリ
ル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アク
リル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル
などの(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル、
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのヒドロ
キシル基含有単量体、(メタ)アクリル酸グリシジルな
ど)、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニト
リルなど] 、スチレン系モノマー(例えば、スチレン、
ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロロスチレ
ン、ビニルナフタリン、ビニルシクロヘキサンなど)、
重合性多価カルボン酸(フマル酸、マレイン酸など)、
マレイミド系モノマー(マレイミド、N−アルキルマレ
イミド、N−フェニルマレイミドなど)、ジエン系モノ
マー(イソプレン、1,3 −ブタジエン、1,4 −ヘキサジ
エン、ジシクロペンタジエンなど)、ビニル系モノマー
(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニ
ルエステル類;メチルビニルケトン、メチルイソプロペ
ニルケトンなどのビニルケトン類;ビニルイソブチルエ
ーテル、ビニルメチルエーテルなどのビニルエーテル
類;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン、
N−ビニルイミダゾールなどの窒素含有ビニルモノマー
など)などが挙げられる。これらの共重合性モノマーは
1種で又は2種以上使用できる。
【0233】ビニルモノマーと共重合性モノマーとの割
合は、例えば、10/90〜100/0(重量%)、好
ましくは30/70〜100/0(重量%)、さらに好
ましくは50/50〜100/0(重量%)程度であ
る。
【0234】好ましい芳香族ビニル樹脂は、ビニルフェ
ノール単独重合体(ポリヒドロキシスチレン)、特にp
−ビニルフェノール単独重合体である。
【0235】芳香族ビニル系樹脂の数平均分子量は、特
に制限されず、例えば、300〜50×104、好まし
くは400〜30×104、さらに好ましくは500〜
5×104程度の範囲から選択できる。
【0236】これらの樹脂状難燃剤は単独で又は二種以
上組み合わせて使用できる。樹脂状難燃助剤の割合は、
熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、0.1〜1
00重量部、好ましくは1〜50重量部、さらに好まし
くは5〜40重量部程度である。 (その他の難燃剤)なお、本発明の難燃性樹脂組成物
は、さらに難燃性を付与するため、他の難燃剤、例え
ば、窒素含有難燃剤、硫黄含有難燃剤、ケイ素含有難燃
剤、アルコール系難燃剤、無機系難燃剤(金属酸化物、
金属水酸化物など)などを含んでいてもよい。
【0237】窒素含有難燃剤としては、アミン類、例え
ば、尿素類、グアニジン類、トリアジン系化合物(例え
ば、メラミン、メラム、メレム、メロン、アンメリン、
メラミンホルムアルデヒド樹脂、グアナミン、アセトグ
アナミン、ベンゾグアナミンなど)などが挙げられる。
【0238】硫黄含有難燃剤としては、硫酸エステルの
他に、有機スルホン酸、スルファミン酸、有機スルファ
ミン酸、及びそれらの塩、エステル、アミドなどが挙げ
られる。
【0239】ケイ素含有難燃剤には、(ポリ)オルガノ
シロキサンが含まれる。(ポリ)オルガノシロキサンと
しては、ジアルキルシロキサン(例えば、ジメチルシロ
キサンなど)、アルキルアリールシロキサン(フェニル
メチルシロキサンなど)、ジアリールシロキサンなどの
モノオルガノシロキサン及びこれらの単独重合体(例え
ば、ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロ
キサンなど)、又は共重合体などが含まれる。また、
(ポリ)オルガノシロキサンとしては、分子末端や主鎖
に、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、
エーテル基などの置換基を有する変性(ポリ)オルガノ
シロキサン(例えば、変性シリコーンなど)なども使用
できる。
【0240】アルコール系難燃剤としては、多価アルコ
ール、オリゴマーの多価アルコール、エステル化された
多価アルコール、置換されたアルコール、糖類(単糖
類、多糖類など)などが挙げられる。
【0241】無機系難燃剤のうち、金属酸化物として
は、例えば、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化
チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化銅、酸化亜
鉛、酸化アルミニウム、酸化ニッケル、酸化鉄、酸化マ
ンガン、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化
アンチモンなどが挙げられる。金属水酸化物としては、
例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水
酸化スズ、水酸化ジルコニウムが挙げられる。
【0242】また、前記無機系難燃剤には、金属スズ酸
塩(例えば、ズズ酸亜鉛など)、膨張性黒鉛なども含ま
れる。
【0243】これら他の難燃剤は、一種で又は二種以上
組み合わせて使用できる。
【0244】他の難燃剤の含有量は、例えば、熱可塑性
樹脂100重量部に対して、0.01〜50重量部程
度、好ましくは0.05〜30重量部程度、特に0.1
〜20重量部程度の範囲から選択できる。
【0245】また、本発明の難燃性樹脂組成物は、長期
間安定に耐熱性を維持するために酸化防止剤又は安定剤
を含んでいてもよい。酸化防止剤又は安定剤には、例え
ば、フェノール系(ヒンダードフェノール類など)、ア
ミン系(ヒンダードアミン類など)、リン系、イオウ
系、ヒドロキノン系、キノリン系酸化防止剤(又は安定
剤)などが含まれる。
【0246】フェノール系酸化防止剤には、ヒンダード
フェノール類、例えば、1,6−ヘキサンジオール−ビ
ス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート]などのC2-10アルキレンジオ
ール−ビス[3−(3,5−ジ−分岐C3-6アルキル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート];例えば、
トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル
−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]などのジ又はトリオキシC2-4アルキレンジオール
−ビス[3−(3,5−ジ−分岐C3-6アルキル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート];例えば、グリ
セリントリス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート]などのC3-8アル
キレントリオール−ビス[3−(3,5−ジ−分岐C
3-6アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト];例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]などのC4- 8アルキレンテトラオール
テトラキス[3−(3,5−ジ−分岐C3-6アルキル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などが好ま
しい。
【0247】アミン系酸化防止剤には、ヒンダードアミ
ン類、例えば、トリ又はテトラC1- 3アルキルピペリジ
ン又はその誘導体(4−位にメトキシ、ベンゾイルオキ
シ、フェノキシなどが置換していてもよい2,2,6,
6−テトラメチルピペリジンなど)、ビス(トリ、テト
ラ又はペンタC1-3アルキルピペリジン)C2-20アルキ
レンジカルボン酸エステル[例えば、ビス(2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)オギサレー
ト、オギサレートに対応するマロネート、アジペート、
セバケート、テレフタレートなど;ビス(1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケー
ト]、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−
4−ピペリジルオキシ)エタン、フェニルナフチルアミ
ン、N,N′−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミ
ン、N−フェニル−N′−シクロヘキシル−1,4−フ
ェニレンジアミンなどが含まれる。
【0248】リン系安定剤(又は酸化防止剤)には、例
えば、トリイソデシルホスファイト、トリスノニルフェ
ニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイ
ト、フェニルジイソデシルホスファイト、2,2−メチ
レンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチル
ホスファイト、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル
−6−t−ブチルフェニル)ジトリデシルホスファイ
ト、トリス(分岐C3-6アルキルフェニル)ホスファイ
ト[例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチ
ルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−
アミルフェニル)ホスファイトなど]、ビス又はトリス
(2−t−ブチルフェニル)フェニルホスファイト、ト
リス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、ビ
ス(C3-9アルキルアリール)ペンタエリスリトールジ
ホスファイト[例えば、ビス(2,4−ジ−t−ブチル
フェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス
(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペン
タエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−
t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトー
ルジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリ
スリトールジホスファイトなど]、トリフェニルホスフ
ェート系安定剤(例えば、4−フェノキシ−9−α−
(4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニルオキシ−
3,5,8,10−テトラオキサ−4,9−ジホスファ
ピロ[5,5]ウンデカン、トリス(2,4−ジ−t−ブ
チルフェニル)ホスフェートなど)、ジホスフォナイト
系安定剤(例えば、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチ
ル)−4,4'−ビフェニレンジホスフォナイトなど)
などが含まれる。リン系安定剤は、通常、分岐C3-6
ルキルフェニル基(特に、t−ブチルフェニル基)を有
している。
【0249】ヒドロキノン系酸化防止剤には、例えば、
2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノンなどが含まれ、キ
ノリン系酸化防止剤には、例えば、6−エトキシ−2,
2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなどが
含まれ,イオウ系酸化防止剤には、例えば、ジラウリル
チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネ
ートなどが含まれる。
【0250】これらの酸化防止剤は単独で又は二種以上
使用できる。酸化防止剤の含有量は、例えば、熱可塑性
樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ま
しくは0.05〜2.5重量部、特に0.1〜1重量部
程度の範囲から選択できる。
【0251】なお、熱可塑性樹脂としてポリエステル系
樹脂又はポリカーボネート系樹脂を用いる場合、前記特
定の難燃助剤の項で例示したリン酸類(例えば、リン
酸、亜リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ポリリン酸
などの無機リン酸;ホスホノカルボン酸、含窒素リン酸
などの有機リン酸など)を添加すると、熱安定性がさら
に向上する。
【0252】さらに、本発明の難燃性樹脂組成物は、フ
ッ素系樹脂などのドリッピング防止剤を添加してもよ
い。ドリッピング防止剤により、燃焼時の火種及び融液
の滴下(ドリップ)を抑制できる。フッ素系樹脂には、
テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレ
ン、ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレ
ン、パーフルオロアルキルビニルエーテルなどのフッ素
含有モノマーの単独又は共重合体;前記フッ素含有モノ
マーと、エチレン、プロピレン、アクリレートなどの共
重合性モノマーとの共重合体が含まれる。このようなフ
ッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチ
レン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデ
ンフルオライドなどの単独重合体;テトラフルオロエチ
レン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフル
オロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共
重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、
エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体などの
共重合体が例示される。これらのフッ素樹脂は、一種で
又は二種以上混合して使用できる。
【0253】前記フッ素系樹脂は、粒子状で使用しても
よく、平均粒径は、例えば、10〜5000μm程度、
好ましくは100〜1000μm程度、さらに好ましく
は100〜700μm程度であってもよい。
【0254】フッ素系樹脂の含有量は、例えば、熱可塑
性樹脂と芳香族ナイロンとの合計100重量部に対し
て、0.01〜10重量部程度、好ましくは0.1〜5
重量部程度、さらに好ましくは0.1〜3重量部程度で
ある。
【0255】さらに、本発明の難燃性樹脂組成物は、目
的に応じて他の添加剤を含んでいてもよい。他の添加剤
としては、安定剤(紫外線吸収剤、耐熱安定剤、耐候安
定剤など)、滑剤、離型剤、着色剤、可塑剤、核剤、衝
撃改良剤、摺動剤などが挙げられる。
【0256】[充填剤]本発明の難燃性樹脂組成物は、機
械的強度、剛性、耐熱性及び電気的性質などをさらに向
上させるため、充填剤により改質されていてもよい。充
填剤には、繊維状充填剤、非繊維充填剤(板状充填剤、
粉粒状充填剤など)が含まれる。
【0257】繊維状充填剤としては、ガラス繊維、アス
ベスト繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、シリカ・アル
ミナ繊維、ジルコニア繊維、チタン酸カリウム繊維、金
属繊維、高融点有機質繊維(例えば、脂肪族又は芳香族
ポリアミド、芳香族ポリエステル、フッ素樹脂、ポリア
クリロニトリルなどのアクリル樹脂など)などが例示で
きる。
【0258】非繊維状充填剤のうち、板状充填剤には、
例えば、ガラスフレーク、マイカ、グラファイト、各種
金属箔などが例示できる。
【0259】粉粒状充填剤には、カーボンブラック、シ
リカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、ミルドファ
イバー(例えば、ミルドガラスファイバーなど)、ケイ
酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、カオリン、タル
ク、クレー、ケイ藻土、ウォラストナイトなどのケイ酸
塩;酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナなどの金
属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの金
属の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの金属
の硫酸塩、炭化ケイ素などの金属粉末が含まれる。
【0260】好ましい繊維状充填剤としては、ガラス繊
維、カーボン繊維が挙げられ、好ましい非繊維状充填剤
としては、粉粒状又は板状充填剤、特に、ガラスビー
ズ、ミルドファイバー、カオリン、タルク、マイカ、及
びガラスフレークが挙げられる。
【0261】また、特に好ましい充填剤には、高い強度
・剛性を有するガラス繊維が含まれる。
【0262】充填剤を用いる場合、難燃性樹脂組成物中
の充填剤の割合は、例えば、5〜60重量%程度、好ま
しくは5〜50重量%程度、さらに好ましくは5〜35
重量%程度である。
【0263】これらの充填剤の使用に当たっては、必要
ならば、収束剤又は表面処理剤を使用することが望まし
い。このような収束剤又は表面処理剤としては、官能性
化合物が含まれる。前記官能性化合物としては、例え
ば、エポキシ系化合物、シラン系化合物、チタネート系
化合物、好ましくはエポキシ系化合物、特にビスフェノ
ールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂など
が挙げられる。
【0264】充填剤は、前記収束剤又は表面処理剤によ
り、収束処理又は表面処理されていてもよい。処理の時
期については、充填剤の添加と同時に処理してもよく、
添加前に予め処理してもよい。
【0265】また、併用される官能性表面処理剤又は収
束剤の使用量は、充填剤に対して5重量%以下、好まし
くは0.05〜2重量%程度である。
【0266】本発明の難燃剤は、燃焼時に樹脂表面の炭
化を促進するためか、樹脂を高度に難燃化できる。ま
た、リン含有化合物と、芳香族ナイロンと、特定の難燃
助剤とを組み合わせることにより、少量であっても熱可
塑性樹脂を効果的に難燃化でき、ブリードアウトや耐熱
性を低下させることもない。特に、難燃剤成分として芳
香族ナイロンを使用するので、脂肪族ナイロン(例え
ば、ナイロン66など)に比べて、難燃効果を大幅に向
上できる。
【0267】[難燃性樹脂組成物の製造方法]本発明の難
燃性樹脂組成物は、粉粒体混合物や溶融混合物であって
もよく、熱可塑性樹脂と、難燃剤と、必要によりドリッ
ピング防止剤や他の添加剤などとを慣用の方法で混合す
ることにより調製できる。例えば、(1)各成分を混合
して、一軸又は二軸の押出機により混練し押出してペレ
ットを調製した後、成形する方法、(2)一旦、組成の
異なるペレット(マスターバッチ)を調製し、そのペレ
ットを所定量混合(希釈)して成形に供し、所定の組成
の成形品を得る方法、(3)成形機に各成分の1又は2
以上を直接仕込む方法などが採用できる。また、成形品
に用いられる組成物の調製において、熱可塑性樹脂の粉
粒体(例えば、ポリエステル系樹脂の一部又は全部を粉
砕した粉粒体)と、他の成分(難燃剤など)とを混合し
て溶融混練すると、他の成分の分散を向上させるのに有
利である。
【0268】なお、ハンドリングの観点から、非樹脂状
成分(リン含有化合物、窒素含有化合物、無機酸の金属
塩など)と、樹脂状成分(熱可塑性樹脂、芳香族樹脂、
樹脂状難燃助剤など)とを一旦溶融混合することによ
り、マスターバッチを調製すると便利である。特に、リ
ン含有化合物として赤リンを併用する場合、マスターバ
ッチを調製する場合が多い。また、樹脂状成分でマスタ
ーバッチを構成する場合、熱可塑性樹脂の一部をマスタ
ーバッチに用いることが多い。
【0269】マスターバッチには、例えば、(a)熱可
塑性樹脂の一部と非樹脂状成分とで構成されたマスター
バッチ、(b)芳香族樹脂と非樹脂状成分とで構成され
たマスターバッチ、(c)芳香族樹脂と樹脂状難燃剤と
非樹脂状成分とで構成されたマスターバッチ、(d)熱
可塑性樹脂の一部と芳香族樹脂と非樹脂状成分とで構成
されたマスターバッチ、(e)熱可塑性樹脂の一部と樹
脂状成分と非樹脂状成分とで構成されたマスターバッ
チ、(f)熱可塑性樹脂の一部と芳香族樹脂と樹脂状成
分と非樹脂状成分とで構成されたマスターバッチなどが
挙げられる。
【0270】なお、前記マスターバッチは、必要に応じ
て、種々の添加剤、例えば、フッ素系樹脂、酸化防止
剤、リン系安定剤、充填剤などを含有していてもよい。
【0271】このようにして得られたマスターバッチ
と、熱可塑性樹脂と、必要に応じて、残りの成分とを溶
融混合することにより、難燃性樹脂組成物を製造でき
る。
【0272】また、本発明の難燃性樹脂組成物を溶融混
練し、押出成形、射出成形、圧縮成形などの慣用の方法
で成形でき、形成された成形品は、難燃性および成形加
工性に優れているため、種々の用途に使用できる。例え
ば、電気・電子部品、機械機構部品、自動車部品、包装
材料やケースなどに好適に用いることができる。
【0273】
【発明の効果】本発明では、熱可塑性樹脂と、リン含有
化合物、特定の芳香族樹脂及び特定の難燃助剤で構成さ
れた難燃剤とを組み合わせるので、ハロゲン系難燃剤を
使用することなく、少量であっても難燃化でき、樹脂の
特性が低下するのを抑制できる。また、このような樹脂
組成物により、難燃性が改善された成形体を得ることが
できる。
【0274】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定さ
れるものではない。
【0275】なお、下記の試験により樹脂組成物の難燃
性を評価した。 (燃焼性試験)UL 94に準拠して、試験片の厚み
1.6mmで燃焼性を評価した。
【0276】[熱可塑性樹脂 R] R−1:ポリブチレンテレフタレート[ジュラネック
ス、固有粘度=1.0、ポリプラスチックス(株)製] R−2:ポリエチレンテレフタレート[ベルペットEF
G10、鐘紡(株)製] R−3:アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重
合体[セビアンJD、ダイセル化学工業(株)製] R−4:ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ン)オキシド(固有粘度=0.3) [難燃剤] (リン含有化合物 A) A−1:レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシレニル
ホスフェート)[PX200、大八化学工業(株)製] A−2:ハイドロキノンビス(ジ−2,6−キシレニル
ホスフェート)[PX201、大八化学工業(株)製] A−3:レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェー
ト) A−4:ビスフェノール−Aビス(ジ−2,6−キシレ
ニルホスフェート) (芳香族樹脂 B) B−1:ナイロンMXD6[レニー6002、三菱エン
ジニアリングプラスチックス(株)製] (難燃助剤 C) C−1:メラミンシアヌレート[MC610、日産化学
工業(株)製] C−2:ポリリン酸メラミン[PMP100、日産化学
工業(株)製] C−3:ポリリン酸メラム[PMP200、日産化学工
業(株)製] C−4:硫酸メラミン[アビノン901、(株)三和ケ
ミカル製] C−5:アセチレン尿素 C−6:硼酸亜鉛[ファイアーブレークZB、ボラック
ス・ジャパン(株)製] C−7:無水リン酸一水素カルシウム[平均粒子径 約
30μm;太平化学産業(株)製] [他の難燃助剤 D] D−1:ノボラック型フェノール樹脂[スミライトレジ
ン、PR53195、住友デュレズ(株)製] [酸化防止剤 E] E−1:ペンタエリスリトール−テトラキス[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート][イルガノックス1010、チバガイ
ギー(株)製] [リン系安定剤 F] F−1:ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフ
ェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト[アデカ
スタブPEP36、旭電化工業(株)製] F−2:テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト[サンド
スタブP−EPQ、サンド(株)製] [ドリッピング防止剤 G] G−1:ポリテトラフルオロエチレン [充填剤 H] H−1:ガラス繊維(直径10μm、長さ3mmのチョ
ップドストランド) 実施例1〜18及び比較例1〜8 上記成分を表1と表2の割合(重量部)で混合し、押出
機により混練押出して樹脂組成物を調製した。この樹脂
組成物を射出成形により試験用成形品を作製し、燃焼性
を評価した。結果を表1と表2に示す。
【0277】
【表1】
【0278】
【表2】
【0279】表から明らかなように、難燃剤として、リ
ン含有化合物(A)と芳香族樹脂(B)と難燃助剤
(C)とを用いた実施例はいずれも、これらの成分のい
ずれかを欠く比較例に比べ、難燃性に優れていた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 3/00 C08K 3/00 5/00 5/00 C08L 27/12 C08L 27/12 63/00 63/00 Z 67/03 67/03 77/00 77/00 Fターム(参考) 4F070 AA18 AA22 AA23 AA24 AA25 AA26 AA28 AA30 AA32 AA46 AA48 AA50 AA52 AA54 AC20 AC37 AC49 AC55 AC79 AE01 AE07 FB03 4F071 AA02 AA14 AA22 AA23 AA28 AA29 AA30 AA33 AA42 AA43 AA48 AA50 AA51 AA54 AB03 AB06 AB18 AB20 AB21 AB24 AB25 AB26 AB27 AB28 AB30 AC11 AC12 AC15 AC19 AD01 AE07 AE17 BB03 BB05 BB06 BC07 4J002 AA01W BB03W BB12W BB14W BB15W BB17W BC03W BC04W BC06W BC07W BD03W BD12Y BD14Y BD15Y BD16Y BE01W BE04W BE04Y BE05W BF01W BF02W BG01W BG04W BG05W BG10Y BJ00W BN06W BN07W BN10W BN12W BN14W BN15W BN16W BP01W CD05X CD06X CD13X CF00W CF04Y CF05W CF06W CF07W CF08W CF16X CG01W CG02W CH07W CL00Y CL01W CL02W CL03W CL03X CL05W CL05X DA008 DA056 DA068 DE098 DE118 DE148 DE188 DH037 DH047 DH056 DH057 DJ008 DJ018 DJ028 DJ038 DJ058 DK007 DL008 EJ068 EN007 ET017 EU117 EU137 EU147 EU157 EU187 EU217 EV187 EV317 EW007 EW046 EW068 EW116 EW117 EW126 EW136 EW156 EW157 EY017 FA018 FA04Y FA048 FA088 FD01Y FD018 FD078 FD13X FD13Y FD136 FD137

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂と難燃剤とで構成された難
    燃性樹脂組成物であって、前記難燃剤が、(A)リン含
    有化合物と、(B)芳香族ナイロン(B1)、ポリアリ
    レート系樹脂(B2)及び芳香族エポキシ樹脂(B3)
    から選択された少なくとも一種の芳香族樹脂と、(C)
    窒素含有化合物及び無機酸の金属塩から選択された少な
    くとも一種の難燃助剤とで構成されている難燃性樹脂組
    成物。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂が、ポリエステル系樹脂、
    スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート
    系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ビニル系樹
    脂、オレフィン系樹脂及びアクリル系樹脂から選択され
    た少なくとも1種の熱可塑性樹脂である請求項1記載の
    難燃性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂が、1,4−シクロヘキサ
    ンジメチレンテレフタレート、C2-4アルキレンテレフ
    タレート及びC2-4アルキレンナフタレートから選択さ
    れた少なくとも1種の単位を有するホモ又はコポリエス
    テルである請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂が、ポリブチレンテレフタ
    レート、又はブチレンテレフタレートを主成分とするコ
    ポリエステルである請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 リン含有化合物が、リン酸エステル、リ
    ン酸エステルアミド、ホスホニトリル化合物、有機ホス
    ホン酸化合物及び有機ホスフィン酸化合物から選択され
    た少なくとも1種である請求項1記載の難燃性樹脂組成
    物。
  6. 【請求項6】 リン含有化合物が、縮合リン酸エステル
    である請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 芳香族ナイロンが、芳香族ジアミンと
    α,ω−ジカルボン酸とで構成されているポリアミドで
    ある請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 芳香族ナイロンが、キシリレンジアミン
    とα,ω−C4-12脂肪族ジカルボン酸とで構成されてい
    るポリアミドである請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 窒素含有化合物が、アミノ基を有する窒
    素含有環状化合物と酸素酸との塩、アミノ基を有する窒
    素含有環状化合物とヒドロキシル基を有する窒素含有化
    合物との塩、ポリリン酸アミド及び環状尿素類から選択
    された少なくとも一種である請求項1記載の難燃性樹脂
    組成物。
  10. 【請求項10】 窒素含有化合物が、アミノ基含有トリ
    アジン化合物と、リン酸又は有機リン酸、硫酸及びホウ
    酸から選択された少なくとも一種の酸素酸との塩、又は
    アミノ基含有トリアジン化合物とヒドロキシル基含有ト
    リアジン化合物との塩である請求項1記載の難燃性樹脂
    組成物。
  11. 【請求項11】 窒素含有化合物が、アミノ基含有トリ
    アジン化合物と、縮合リン酸又は有機リン酸との塩であ
    る請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  12. 【請求項12】 窒素含有化合物が、非縮合リン酸又は
    縮合リン酸とシアナミド誘導体との縮合物である請求項
    1記載の難燃性樹脂組成物。
  13. 【請求項13】 窒素含有化合物が、アルキレン尿素、
    アルキニレン尿素、ジカルボン酸のウレイド又はその誘
    導体、β−アルデヒド酸のウレイド又はその誘導体、α
    −オキシ酸のウレイド又はその誘導体、及び環状ジウレ
    イドから選択された少なくとも一種の環状尿素類である
    請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  14. 【請求項14】 窒素含有化合物が、C2-10アルキニレ
    ン尿素及び尿酸又はその誘導体から選択された少なくと
    も一種の環状尿素類である請求項1記載の難燃性樹脂組
    成物。
  15. 【請求項15】 無機酸の金属塩が、リン酸及びホウ酸
    から選択された少なくとも一種の酸素酸と多価金属との
    塩である請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  16. 【請求項16】 無機酸の金属塩が、含水ホウ酸金属塩
    又は実質的に無水のリン酸水素金属塩である請求項1記
    載の難燃性樹脂組成物。
  17. 【請求項17】 無機酸の金属塩が、ホウ酸と周期表第
    2B族金属との塩又はアルカリ土類金属リン酸水素塩で
    ある請求項16記載の難燃性樹脂組成物。
  18. 【請求項18】 熱可塑性樹脂100重量部に対して難
    燃剤0.1〜300重量部を含有する請求項1記載の難
    燃性樹脂組成物。
  19. 【請求項19】 難燃剤が、リン含有化合物100重量
    部に対して芳香族樹脂10〜500重量部及び難燃助剤
    5〜1000重量部を含む請求項1記載の難燃性樹脂組
    成物。
  20. 【請求項20】 難燃剤において、芳香族樹脂と難燃助
    剤との割合(重量比)が10/90〜99/1である請
    求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  21. 【請求項21】 さらに、ヒドロキシル基及び/又はア
    ミノ基を有する芳香族環を主鎖又は側鎖に有する樹脂を
    含む請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  22. 【請求項22】 さらに、ヒンダードフェノール系酸化
    防止剤、リン系安定剤、フッ素系樹脂及び充填剤から選
    択された少なくとも一種を含む請求項1記載の難燃性樹
    脂組成物。
  23. 【請求項23】 熱可塑性樹脂と請求項1記載の難燃剤
    とを混合して難燃性樹脂組成物を製造する方法。
  24. 【請求項24】 請求項1記載の難燃性樹脂組成物で形
    成された成形体。
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