JP2001342081A - セラミック部材と金属部材との接合構造および静電チャック並びに半導体素子収納用パッケージ - Google Patents

セラミック部材と金属部材との接合構造および静電チャック並びに半導体素子収納用パッケージ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】750℃程度以上の高温でセラミックスとFe
−Ni−Co合金等の金属材料とをロウ付けした際に、
ロウ材が金属部材の結晶粒界に侵入して金属部材を破壊
するのを防止し、セラミックスと金属部材とを強固に接
合し得るようにすること。 【解決手段】Fe−Ni−Co合金から成り、α相とγ
相の結晶相のうちα相が30体積%以下とされたパイプ
14と、セラミックス製の基板11とを、融点が780
℃程度のAg−Cuロウ15を介して接合した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静電チャック、I
C,LSI等の半導体素子のパッケージ、セラミック気
密端子等に適用されるセラミック部材と金属部材の接合
構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、アルミナセラミックス等のセラミ
ックスにAgロウ等のロウ材を介して強固に接合される
金属材料として、熱膨張率がセラミックスに近い鉄(F
e)−ニッケル(Ni)合金または鉄(Fe)−ニッケ
ル(Ni)−コバルト(Co)合金が一般に用いられて
いる。この金属材料とセラミックスとの接合において、
セラミックスの接合面にタングステン(W),モリブデ
ン(Mo)−マンガン(Mn)合金等の高融点金属のメ
タライズ層を形成し、そのメタライズ層上において銀
(Ag)ロウ等のロウ材を介して金属部材を接合させる
のが一般的である。
【0003】即ち、W,Mo−Mn等を適当な樹脂バイ
ンダ,溶剤等に混合させた金属ペーストを、セラミック
スのグリーンシート(生シート)または焼成したセラミ
ックスの表面に印刷塗布し、1300〜1600℃の温
度、加湿N2−H2雰囲気中で焼成し、メタライズ層を形
成する。このメタライズ層の表面には、Agロウ等の濡
れ性を良好にするためにNiメッキを施し、また金属材
料の少なくとも接合面にも、一般にNiメッキを施す。
次いで、セラミックス表面のメタライズ層と金属材料と
の間にAgロウの箔を置き、800〜850℃の温度、
2−H2雰囲気中でロウ付けする。
【0004】このような接合構造が適用される半導体素
子収納用パッケージ(以下、半導体パッケージという)
について、以下に説明する。従来、図4に示すような半
導体素子3を収容するための半導体パッケージは、通
常、酸化アルミニウム質焼結体から成り、その上面の略
中央部に半導体素子3を収容するための凹部1a及び凹
部1a周辺から外周縁にかけて導出された、W,Mo−
Mn等の高融点金属粉末から成るメタライズ層4を有す
る絶縁基体1と、半導体素子3を外部電気回路に電気的
に接続するためにそのメタライズ層4に銀ロウ等のロウ
材7を介してロウ付けされたFe−Ni−Co合金から
成る外部リード端子6と、蓋体2とから構成されてい
る。
【0005】そして、絶縁基体1の凹部1a底面に半導
体素子3を接着材を介して接着固定するとともに、半導
体素子3の各電極をボンディングワイヤ5を介してメタ
ライズ層4に接続し、しかる後、絶縁基体1上面に蓋体
2を接合させ、絶縁基体1と蓋体2とから成る容器内部
に半導体素子3を気密に封止することによって最終製品
としての半導体装置となる。
【0006】なお、外部リード端子6を構成するFe−
Ni−Co合金は、この合金から成るインゴット(塊)
に圧延加工法及び打ち抜き加工法等、従来周知の金属加
工法を施すことによって所定の板状に形成し、しかる
後、これを所定温度(約1000℃)で加熱処理し、焼
き鈍しすることによって製作される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例においては、セラミックスとFe−Ni−Co合金
等の金属材料とをAgロウ等を介して、750℃程度以
上の高温で接合する際に、溶融したAgロウが金属材料
の結晶粒界に侵入して、接合部の金属材料を破壊すると
いう現象、所謂Agロウ割れという現象を引き起こすこ
とがあった。
【0008】本発明は上記問題に鑑み完成されたもの
で、その目的は、750℃程度以上の高温でセラミック
スとFe−Ni−Co合金等の金属材料とをロウ付けし
た際に、ロウ材が金属部材の結晶粒界に侵入して金属部
材を破壊するのを防止し、セラミックスと金属部材との
接合性を良好なものとし、その結果気密性等に優れたセ
ラミックスと金属部材との接合構造を得ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のセラミック部材
と金属部材との接合構造は、セラミックス部材と、Fe
−Ni合金またはFe−Ni−Co合金から成り、α相
とγ相の結晶相のうちα相が30体積%以下とされた金
属部材とを、融点が750℃以上のロウ材を介して接合
したことを特徴とする。
【0010】本発明は、上記の構成により、750℃程
度以上の高温でセラミックス部材とFe−Ni−Co合
金等の金属部材とをロウ付けした際に、ロウ材が金属部
材の結晶粒界に侵入して金属部材を破壊するのを防止
し、セラミックス部材と金属部材とを強固に接合し得
る。その結果、気密性等に優れたセラミックス部材と金
属部材との接合構造を得ることができる。
【0011】即ち、このような接合性の改善は以下のよ
うな原理に基づくものと考えられる。Fe−Ni合金,
Fe−Ni−Co合金の結晶相は、高温で安定なγ相
(面心立方格子)と低温で安定なα相(体心立方格子)
とが存在し、一般にこれら合金の未加工のインゴット
(塊)はγ相のみから成るが、圧延加工や研削加工等を
施すことにより結晶が応力誘起マルテンサイト変態を起
こし、γ相の一部がα相に転移する。この相転移した金
属部材を、セラミック部材にロウ付けすると、700℃
付近でα相がγ相に戻り、このとき金属部材が体積収縮
し、相転移した領域にマイクロクラックが発生する。
【0012】このような体積収縮の様子を図2のグラフ
{「電子金属材料デザインガイド」総合電子出版社(坂
本光雄著)参照}に示す。同図は、縦軸にFe−Ni−
Co合金の熱膨張率、横軸に温度(℃)をとったもので
あり、Aは相転移のないFe56.2wt(重量)%−
Ni27.4wt%−Co16.4wt%合金を−10
0℃程度に一旦冷却した後の熱膨張率の変化、BはAと
同じ合金を−100℃程度に一旦冷却しγ相からα相に
相転移させた後の熱膨張率の変化である。Bにおいて、
400℃以下では相転移がなくAよりも熱膨張率が大き
く、500℃付近からα相からγ相に転移し始めて70
0℃程度以上でγ相に戻る。このとき、図2には明示さ
れていないが、Bにおいて700℃程度で熱膨張率が小
さくなり、体積収縮が発生する。
【0013】そして、ロウ付け前のα相が多ければ多い
ほど体積収縮も大きくなり、マイクロクラックも増大す
ることになり、その結果ロウ付けの際にロウ材がマイク
ロクラックに侵入するとともに熱応力が加わって破壊に
至ることとなる。従って、本発明では、Fe−Ni−C
o合金等におけるα相の占める量を所定の値以下に制御
することにより、ロウ材による割れを接合性に影響のな
い程度以下に抑制することができる。
【0014】本発明の静電チャックは、金属製の筒状体
と、該筒状体の上側開口を封止するようにロウ付けさ
れ、被処理体であるウエハを静電気力により上面に吸着
するための電極を具備するとともに、前記筒状体の上側
開口内に対応する部位に厚さ方向に貫通孔が形成された
セラミックス製の載置台とを具備した静電チャックにお
いて、Fe−Ni合金またはFe−Ni−Co合金から
成り、α相とγ相の結晶相のうちα相が30体積%以下
とされた、上端に鍔部が形成されたガス導入用のパイプ
が、前記筒状体内で前記上端が前記貫通孔に対し同軸状
に配置され、かつ前記鍔部の上面が前記載置台下面の前
記貫通孔周囲に本発明の接合構造により接合されている
ことを特徴とする。
【0015】本発明の静電チャックは、上記構成によ
り、ガス導入用のパイプが載置台に接合性良く接合さ
れ、その結果パイプからのガスの漏れが防止され、均熱
化用ガス導入、雰囲気ガス導入、ウエハのエッチング、
成膜等の処理が長期にわたり安定的に行え、また静電チ
ャックおよび半導体素子等の製造装置が長寿命化する。
【0016】本発明の半導体素子収納用パッケージは、
セラミックスから成り上面に半導体素子を載置する載置
部を有するとともに、該載置部の周辺から外周縁にかけ
て導出するようにメタライズ層が形成された基体と、該
基体から外部に突出するように前記メタライズ層の前記
外周縁側にロウ材を介して接合され、かつFe−Ni合
金またはFe−Ni−Co合金から成り、α相とγ相の
結晶相のうちα相が30体積%以下とされた外部リード
端子とを具備した半導体素子収納用パッケージにおい
て、前記基体と前記外部リード端子とが本発明の接合構
造により接合されていることを特徴とする。
【0017】本発明の半導体パッケージは、上記構成に
より、外部リード端子を基板上に強固にかつ接合性良く
接合することができ、その結果外部リード端子の接合不
良による断線、信号の伝送損失、高周波信号の反射等の
電気的特性も改善されることとなる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明のセラミック部材と金属部
材との接合構造、およびその接合構造を適用した静電チ
ャック,半導体パッケージについて、以下に詳細に説明
する。
【0019】本発明において、α相とγ相の結晶相のう
ちα相が30体積%以下とされた、Fe−Ni合金また
はFe−Ni−Co合金から成る金属部材を用いるが、
α相が30体積%を超えると、α相からγ相への相転移
時の体積収縮によるマイクロクラックが大きくかつ多く
なり、そのため、金属部材の接合部表面に形成されたN
i等のメッキ層にまでクラックが発生し、メッキ層の割
れを通してロウ材が金属部材の結晶粒界に侵入する。そ
の結果、金属部材の接合部がロウ材により破壊され、そ
の接合性がきわめて劣化することとなる。接合性をより
良好なものとするには、α相が占める割合を10体積%
以下とすることが好ましい。
【0020】このようなα相が30体積%以下とされ
た、Fe−Ni合金またはFe−Ni−Co合金から成
る金属部材は、この金属部材の研削加工,圧延加工等の
機械的加工の度合いを制御することにより、作製するこ
とができる。例えば、Fe−Ni−Co合金の場合、冷
間加工の加工率を50%以下とすることにより、α相を
30体積%以下とすることができる。同様に、α相を1
0体積%以下とするには、冷間加工の加工率を30%以
下とする。この加工率は、例えば金属板の場合、加工前
の板厚をt0,加工後の板厚をt1としたとき、(t0
1)/t0×100(%)と定義されるものである。
【0021】また、α相の体積%は、予め作成された検
量線を元にX線回折のピーク強度比から求めることがで
きる。検量線は、予め定量された複数のサンプルからα
相の量とX線ピーク強度比を求めたものであり、例えば
α相の量が増加するとそれに比例してX線ピーク強度比
も大きくなるといったデータのグラフを作成しておき、
そのグラフを元にX線ピーク強度比からα相の量を特定
できることとなる。
【0022】本発明では、融点が750℃以上のロウ材
によりロウ付けするが、融点が750℃未満では、ロウ
付け時の温度が750℃未満となり、金属材料のα相か
らγ相への相転移が不完全なままロウ付けが完了するこ
ととなり易い。その場合、ロウ付け後に750℃以上の
熱処理がないとしても、熱膨張率の大きなα相が残るた
め、ロウ付け後の外部からの熱伝導、熱処理等の繰り返
しにより、α相とγ相との熱膨張率の違いから金属材料
にマイクロクラックが発生し、進展し易いものとなる。
また、このロウ付け工程後に750℃以上の熱処理があ
ると、再度相転移が起こり、マイクロクラックが進展し
易いものとなる。
【0023】金属部材をロウ付けするセラミックスとし
ては、750℃以上でロウ付けが可能なものであればよ
く、アルミナ(Al23)セラミックス,窒化アルミニ
ウム(AlN)セラミックス,窒化珪素(Si34)セ
ラミックス,フォルステライト(2MgO・SiO2
セラミックス,ムライト(3Al23・2SiO2)セ
ラミックス等である。
【0024】次に、本発明の静電チャックについて以下
に説明する。図3は本発明の静電チャックを示し、同図
において、21は、Fe−Ni合金,Fe−Ni−Co
合金等からなる筒状体であり、例えばその内部を大気状
態とし外部を真空状態として気密封止するためのもので
ある。22は、筒状体21の上側開口に封止されて設置
され、被処理体であるSi,GaAs等の半導体材料等
から成るウエハ(図示せず)を静電気力により上面に吸
着し載置するセラミックス製の載置台、23は、パイプ
24の鍔部24aの下面に上面がロウ付けされ、パイプ
24を支持するセラミックス製のリング体、24は、F
e−Ni合金またはFe−Ni−Co合金から成り、α
相とγ相の結晶相のうちα相が30体積%以下とされ
た、上端に鍔部24aが形成されたガス導入用のパイプ
である。25は、静電気力発生用の電極、26は、筒状
体21の上側開口内に対応する部位に厚さ方向に形成さ
れた貫通孔である。
【0025】本発明のパイプ24は、その鍔部24aの
下面がリング体23上面に、鍔部24aの上面が載置台
22下面の貫通孔26周囲に接合されて、リング体23
の中心孔に挿入設置されている。また、パイプ24は、
筒状体21内でその上端が貫通孔26に対して同軸状に
配置される。即ち、パイプ24の少なくとも上端が貫通
孔26に対して同軸状とされていればよく、上端より下
方の胴体部が貫通孔26に対して同軸状になっていなく
ても構わない。
【0026】パイプ24の鍔部24aは、パイプ24の
管軸方向に垂直な方向(径方向)に2〜15mmの幅で
形成されているのがよく、2mm未満では、鍔部24a
の接合面積が小さく接合強度が不十分であり、15mm
を超えると、鍔部24aの接合による拘束が強化され過
ぎて、パイプ24自体が割れ易くなる。
【0027】また、パイプ24の接合部である鍔部24
aには、その表面にNi,Au等の耐蝕性に優れかつロ
ウ材と濡れ性の良い金属を、メッキ法により0.5〜2
0μm、より好ましくは0.5〜9μmの厚みに被着さ
せておくのがよい。この場合、鍔部24aの酸化腐食を
有効に防止することができるとともに、鍔部24aと、
載置台22およびリング体23とを強固に接合させるこ
とができる。
【0028】上記のリング体23は、パイプ24を支持
するものであり、これが鍔部24aの下面にロウ付けさ
れているのが好ましい。リング体23上面の鍔部24a
とのロウ付け部には、Ag−Cu−Ti等のメタライズ
層およびメッキ層を形成するのがよい。また、リング体
23のリング部の径方向の幅は2〜15mmであるのが
良く、2mm未満では、パイプ24の鍔部24aを支持
固定するバックアップリングとして十分な応力緩和の機
能を果たさなくなり、15mmを超えると、パイプ24
の鍔部24aの拘束力が強化され過ぎて、パイプ24自
体が割れ易くなる。
【0029】さらに、リング体23のリング部の厚さは
2〜15mmであるのが良く、2mm未満では、強度が
不十分でリング体23自体が割れ易くなり、15mmを
超えると、パイプ24の鍔部24aの拘束力が強化され
過ぎることはないが、リング体23および他の部品が大
型化し実用性が低下する。
【0030】本発明において、載置台22およびリング
体23はセラミックスから成り、具体的にはアルミナ
(Al23)セラミックス,窒化アルミニウム(Al
N)セラミックス,窒化珪素(Si34)セラミック
ス,フォルステライト(2MgO・SiO2)セラミッ
クス,ムライト(3Al23・2SiO2)セラミック
ス等である。
【0031】なお、上記静電チャックにおいて、筒状体
21とウエハに電圧を印加して静電気力により吸着させ
る直流電源(図示せず)が設けられることはいうまでも
ない。
【0032】本発明による半導体素子を収容する半導体
パッケージにおいて、セラミック部材から成る絶縁基体
(以下、基体という)と金属部材から成る外部リード端
子との接合について説明する。本発明の半導体パッケー
ジ全体の基本構成は、図4のものと同様であり、1はセ
ラミック部材としての基体、2は蓋体である。この基体
1と蓋体2とで内部に半導体素子3を収容する容器が構
成される。
【0033】この基体1は、例えばアルミナセラミック
ス,窒化アルミニウムセラミックス等から成り、その上
面中央部に、半導体素子3の載置部であり、半導体素子
3を収容するための空所を形成する凹部1aが設けてあ
り、その凹部1a底面には半導体素子3がロウ材、ガラ
ス、樹脂等の接着材を介して接着固定される。
【0034】基体1は、例えば窒化アルミニウムセラミ
ックスにより形成されている場合、主原料としての窒化
アルミニウム(AlN)に焼結助剤としてのイットリア
やカルシア及び適当な有機溶剤、溶媒を添加混合して泥
漿状となすとともに、これを従来周知のドクターブレー
ド法やカレンダーロール法を採用することによってセラ
ミックグリーンシート(生シート)を形成する。しかる
後、このグリーンシートに貫通導体形成のために適当な
打ち抜き加工を施すとともに複数枚積層し、高温(約1
800℃)で焼成することによって製作される。
【0035】この窒化アルミニウムセラミックスから成
る基体1は、その熱伝導率が150W/mK(W・m-1
・K-1)以上であり、熱を伝え易いことから基体1の凹
部1a底面に接着固定した半導体素子3が作動時に熱を
発したとしても、半導体素子3の発した熱は基体1を介
して大気中に良好に放出され、その結果、半導体素子3
を常に適温として半導体素子3を長期間にわたり正常か
つ安定に作動させることができる。
【0036】また、基体1はその上面中央部に設けた凹
部1aの周辺から外周縁にかけて複数個のメタライズ層
4が被着形成されており、メタライズ層4の凹部1a周
辺部側には半導体素子3の電極がボンデイングワイヤ5
を介して電気的に接続され、また基体1の外周縁側に導
出された部位には外部リード端子6が銀ロウ等のロウ材
7を介してロウ付けされている。
【0037】基体1に設けたメタライズ層4は外部電気
回路に接続される外部リード端子6と半導体素子3の各
電極とを電気的に導通させる作用をなし、W,Mo,M
n等の金属粉末で形成されている。
【0038】メタライズ層4は、例えばW等の金属粉末
に有機溶剤、溶媒を添加混合して得た金属ペーストを、
基体1となるセラミックグリーンシートに予め従来周知
のスクリーン印刷法により所定パターンに印刷塗布して
おくことによって、基体1の凹部1a周辺から外周縁に
かけて所定パターンに被着形成される。
【0039】基体1に設けたメタライズ層4は、基体1
を構成するセラミックスが比誘電率が8.5(室温で信
号の周波数1MHz)以下と低い窒化アルミニウムセラ
ミックスから成る場合、メタライズ層4を伝わる電気信
号の伝搬速度が速いものとなり、その結果、基体1の凹
部1a底面に電気信号の高速伝搬を要求する高速駆動を
行う半導体素子の収容が可能となり、好ましい。
【0040】なお、メタライズ層4はその露出する外表
面に、Ni,Au等の耐蝕性に優れかつロウ材と濡れ性
の良い金属を、メッキ法により0.5〜20μm、より
好ましくは0.5〜9μmの厚みに被着させておくと、
メタライズ層4の酸化腐食を有効に防止することができ
るとともに、メタライズ層4とボンデイングワイヤ5及
び外部リード端子6とのロウ付け接合を強固なものとな
すことができる。従って、メタライズ層4はその表面に
Ni,Au等の耐蝕性に優れかつロウ材と濡れ性の良い
金属をメッキ法により0.5〜20μmの厚みに被着さ
せておくことが好ましい。
【0041】また、基体1に被着させたメタライズ層4
には、基体1から外部に突出するように外部リート端子
6が銀ロウ等のロウ材7によりロウ付けされており、外
部リード端子6は半導体素子3の各電極を外部電気回路
に電気的に接続する作用をなす。
【0042】外部リード端子6はFe−Ni−Co合金
から成り、その合金のインゴット(塊)を圧延加工法や
打ち抜き加工法等の従来周知の金属加工法を採用し、所
定の板状に形成するとともに所定の温度で熱処理し、焼
き鈍しすることによって製作される。
【0043】更に、外部リード端子6の基体1に被着さ
せたメタライズ層4へのロウ付けは、例えば、基体1に
被着させたメタライズ層4上に外部リード端子6を間に
銀ロウから成るロウ材7の箔を挟んで載置させ、しかる
後、ロウ材7の箔を780℃〜900℃の温度に加熱
し、ロウ材7を溶融させることによって行われる。
【0044】また更に、外部リード端子6はその露出す
る外表面に、Ni,Au等の耐蝕性に優れかつロウ材と
濡れ性の良い金属を、メッキ法により0.5〜20μm
の厚みに被着させておくと、外部リード端子6の酸化腐
食を有効に防止することができるとともに外部リード端
子6の外部電気回路へのロウ材を介しての電気的接続が
良好となる。従って、外部リード端子6はその表面にN
i,Au等の耐蝕性に優れかつロウ材と濡れ性の良い金
属をメッキ法により0.5〜20μmの厚みに被着させ
ておくことが好ましい。より好ましくは、0.5〜9μ
mの厚さとするのがよい。
【0045】そして、上述の半導体パッケージによれ
ば、基体1の凹部1a底面に半導体素子3をロウ材、低
融点ガラス(ガラスフリット)、樹脂等の接着剤を介し
て取着するとともに、半導体素子3の各電極をボンデイ
ングワイヤ5を介してメタライズ層4に電気的に接続
し、しかる後、基体1の上面に蓋体2を樹脂、低融点ガ
ラス等の封止材を介して接合させ、基体1と蓋体2とか
ら成る容器内部に半導体素子3を気密に収容することに
よって、製品としての半導体装置が完成する。
【0046】かくして、本発明の接合構造は、750℃
程度以上の高温でセラミックスとFe−Ni−Co合金
等の金属材料とをロウ付けした際に、ロウ材が金属部材
の結晶粒界に侵入して金属部材を破壊するのを防止し、
セラミックスと金属部材とを強固に接合し得る。その結
果、気密性等に優れたセラミックスと金属部材との接合
構造を得ることができる。また、本発明の静電チャック
は、ガス導入用のパイプが筒状体および載置台に接合性
良く接合され、その結果パイプからのガスの漏れが防止
され、雰囲気ガス導入、ウエハのエッチング、成膜等の
処理が長期にわたり安定的に行え、また静電チャックお
よび半導体素子等の製造装置が長寿命化する。本発明の
半導体パッケージは、外部リード端子を基板上に強固に
かつ接合性良く接合することができ、その結果外部リー
ド端子の接合不良による断線、信号の伝送損失、高周波
信号の反射等の電気的特性も改善されることとなる。
【0047】なお、本発明は上記実施形態に限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば
種々の変更は何等差し支えない。例えば、半導体パッケ
ージにおいて、外部リード端子の接合構造に限らず、蓋
体がFe−Ni−Co合金等から成り、その蓋体をセラ
ミックス製の側壁用の枠体上に接合する場合、半導体パ
ッケージの側壁を成す枠体がFe−Ni−Co合金等か
ら成り、その枠体の貫通孔にセラミック端子を嵌着しロ
ウ付けする場合、このセラミック端子にリード端子をロ
ウ付けする場合などにも本発明の接合構造を適用でき
る。また、半導体素子としては、IC,LSI等の半導
体集積回路素子ばかりでなく,LD(半導体レーザ素
子),PD(フォトダイオード)等の光半導体素子を用
いてもよい。
【0048】
【実施例】本発明の実施例を以下に説明する。 (実施例1)図1は、図3の静電チャックのパイプ24
の接合構造を模したものであり、パイプ24の鍔部24
aの上面のみを接合させた構成に相当する。同図におい
て、11は窒化アルミニウムセラミックスから成る基
板、12はAg−Cu−Ti合金から成る厚さ30μm
のメタライズ層、13は厚さ3μmのNiメッキ層、1
4はα相とγ相の結晶相のうちα相が30体積%以下と
された、Fe56.2wt%−Ni27.4wt%−C
o16.4wt%合金から成るパイプ、15は融点が7
80℃程度のAg−Cuロウ{BAg−8(JIS Z
3261)}である。パイプ14の表面にも、Agロ
ウの濡れ性を良好にするために、厚さ5μmのNiメッ
キ層を被着させた。また、上記パイプ14の鍔部24a
の幅は11.5mmであった。
【0049】そして、ロウ付け前にパイプ14に含まれ
るα相の量(体積%)と、ロウ付け後の外観検査による
Agロウ割れの有無について調査した結果を表1に示
す。
【0050】
【表1】
【0051】表1に示すように、パイプ14に含まれる
α相の量が30体積%を超えると、Agロウ割れが発生
することが判った。これは、パイプ14にNiメッキを
施した後、N2−H2雰囲気中で830℃でシンターを行
うが、このとき約700℃で体積収縮を伴うα相からγ
相への相転移が起こり、パイプ14にマイクロクラック
が発生して、それがNiメッキ層まで達し、その後のロ
ウ付け時にさらにマイクロクラックが進展するとともに
Ag−Cuロウがマイクロクラックに侵入しAgロウ割
れを引き起こしたものと考えられる。 (実施例2)図4の半導体パッケージにおける外部リー
ド端子6の接合構造を以下のように構成した。基体1は
アルミナセラミックス、蓋体2はFe−Ni−Co合金
から成り、基体1上面の凹部1a周囲から外周縁にかけ
て、厚さ15μmのWのメタライズ層4を被着し、メタ
ライズ層4上には融点が780℃程度のAg−Cuロウ
{BAg−8(JIS Z 3261)}から成るロウ
材7を配置した。そして、α相とγ相の結晶相のうちα
相が30体積%以下とされた、Fe−Ni−Co合金か
ら成る外部リード端子6を、基体1から外部に突出する
ようにメタライズ層4の外周縁側にロウ材7を介して接
合した。
【0052】この外部リード端子6は、Fe−Ni−C
o合金のバルク体を圧延加工した後、打ち抜き加工また
はエッチング加工してパターン加工したものであり、圧
延加工の条件(加工率)により外部リード端子6中に含
まれるα相の量が変化する。そして、表2は、種々の加
工率により外部リード端子6中のα相の量を変化させた
場合に、外部リード端子6の外観検査を行ったときの結
果を示すものである。
【0053】
【表2】
【0054】表2より、α相の量が30%を超えると、
Agロウ割れが発生することが判った。
【0055】
【発明の効果】本発明のセラミック部材と金属部材との
接合構造は、セラミックス部材と、Fe−Ni合金また
はFe−Ni−Co合金から成り、α相とγ相の結晶相
のうちα相が30体積%以下とされた金属部材とを、融
点が750℃以上のロウ材を介して接合したことによ
り、750℃程度以上の高温でセラミックス部材とFe
−Ni−Co合金等の金属部材とをロウ付けした際に、
ロウ材が金属部材の結晶粒界に侵入して金属部材を破壊
するのを防止し、セラミックス部材と金属部材とを強固
に接合し得る。その結果、気密性等に優れたセラミック
ス部材と金属部材との接合構造を得ることができる。
【0056】本発明の静電チャックは、Fe−Ni合金
またはFe−Ni−Co合金から成り、α相とγ相の結
晶相のうちα相が30体積%以下とされた、上端に鍔部
が形成されたガス導入用のパイプが、筒状体内で上端が
貫通孔に対し同軸状に配置され、かつ鍔部の上面が載置
台下面の貫通孔周囲に本発明の接合構造により接合され
ていることにより、ガス導入用のパイプが載置台に接合
性良く接合され、その結果パイプからのガスの漏れが防
止され、均熱化ガス導入、Arガス等の雰囲気ガスの導
入、ウエハのエッチング、成膜等の処理が長期にわたり
安定的に行え、また静電チャックおよび半導体素子等の
製造装置が長寿命化する。
【0057】本発明の半導体パッケージは、Fe−Ni
合金またはFe−Ni−Co合金から成り、α相とγ相
の結晶相のうちα相が30体積%以下とされた外部リー
ド端子と、基体とが本発明の接合構造により接合されて
いることにより、外部リード端子を基板上に強固にかつ
接合性良く接合することができ、その結果外部リード端
子の接合不良による断線、信号の伝送損失、高周波信号
の反射等の電気的特性も改善されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミック部材と金属部材の接合構造
の一実施形態を示す断面図である。
【図2】Fe56.2wt%−Ni27.4wt%−C
o16.4wt%合金の温度に関する熱膨張率の変化を
示し、α相が存在しないものの曲線(A)とα相が存在
するものの曲線(B)のグラフである。
【図3】本発明の静電チャックの断面図である。
【図4】本発明の半導体パッケージの断面図である。
【符号の説明】
1:基体 2:蓋体 3:半導体素子 4:メタライズ層 6:外部リード端子 7:ロウ材 11:基板 12:メタライズ層 13:Niメッキ層 14:パイプ 15:Ag−Cuロウ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 23/14 B23K 101:40 // B23Q 3/15 103:18 B23K 101:40 H01L 23/12 K 103:18 23/14 M

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セラミックス部材と、Fe−Ni合金また
    はFe−Ni−Co合金から成り、α相とγ相の結晶相
    のうちα相が30体積%以下とされた金属部材とを、融
    点が750℃以上のロウ材を介して接合したことを特徴
    とするセラミック部材と金属部材との接合構造。
  2. 【請求項2】金属製の筒状体と、該筒状体の上側開口を
    封止するようにロウ付けされ、被処理体であるウエハを
    静電気力により上面に吸着するための電極を具備すると
    ともに、前記筒状体の上側開口内に対応する部位に厚さ
    方向に貫通孔が形成されたセラミックス製の載置台とを
    具備した静電チャックにおいて、 Fe−Ni合金またはFe−Ni−Co合金から成り、
    α相とγ相の結晶相のうちα相が30体積%以下とされ
    た、上端に鍔部が形成されたガス導入用のパイプが、前
    記筒状体内で前記上端が前記貫通孔に対し同軸状に配置
    され、かつ前記鍔部の上面が前記載置台下面の前記貫通
    孔周囲に請求項1記載の接合構造により接合されている
    ことを特徴とする静電チャック。
  3. 【請求項3】セラミックスから成り上面に半導体素子を
    載置する載置部を有するとともに、該載置部の周辺から
    外周縁にかけて導出するようにメタライズ層が形成され
    た基体と、該基体から外部に突出するように前記メタラ
    イズ層の前記外周縁側にロウ材を介して接合され、かつ
    Fe−Ni合金またはFe−Ni−Co合金から成り、
    α相とγ相の結晶相のうちα相が30体積%以下とされ
    た外部リード端子とを具備した半導体素子収納用パッケ
    ージにおいて、前記基体と前記外部リード端子とが請求
    項1記載の接合構造により接合されていることを特徴と
    する半導体素子収納用パッケージ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004048278A1 (ja) * 2002-11-22 2004-06-10 Sharp Kabushiki Kaisha イオン溶出ユニット及びこれを搭載した機器
JP2010103393A (ja) * 2008-10-27 2010-05-06 Shinko Electric Ind Co Ltd 静電チャック
CN104470666A (zh) * 2012-07-11 2015-03-25 恩德莱斯和豪瑟尔两合公司 利用活性硬焊料或钎焊料接合陶瓷体的方法、具有彼此接合的至少两个陶瓷体的组件,特别是压力测量单元
CN104520044A (zh) * 2012-07-11 2015-04-15 恩德莱斯和豪瑟尔两合公司 通过活性硬焊料连结陶瓷体的方法、包括至少两个连结的陶瓷体的组件、特别是压力测量单元

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CN104520044B (zh) * 2012-07-11 2017-09-08 恩德莱斯和豪瑟尔两合公司 通过活性硬焊料连结陶瓷体的方法、包括至少两个连结的陶瓷体的组件、特别是压力测量单元

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