JP2001340087A - 腸炎ビブリオ菌の耐熱性溶血毒類似溶血毒遺伝子の検出法 - Google Patents

腸炎ビブリオ菌の耐熱性溶血毒類似溶血毒遺伝子の検出法

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JP2001340087A
JP2001340087A JP2000166504A JP2000166504A JP2001340087A JP 2001340087 A JP2001340087 A JP 2001340087A JP 2000166504 A JP2000166504 A JP 2000166504A JP 2000166504 A JP2000166504 A JP 2000166504A JP 2001340087 A JP2001340087 A JP 2001340087A
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primer
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Tetsuya Ishizuka
哲也 石塚
Norihiko Ishiguro
敬彦 石黒
Juichi Saito
寿一 斉藤
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Tosoh Corp
Original Assignee
Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】腸炎ビブリオ菌の耐熱性溶血毒類似溶血毒遺伝
子(trh1)に由来するRNAを特異的に増幅した
り、検出及び同定を高感度で行うために有用なオリゴヌ
クレオチドの組合わせを提供する。 【解決手段】腸炎ビブリオ菌の耐熱性溶血毒類似溶血毒
遺伝子(trh1)に由来するRNAのRNA増幅工程
を利用した検出法において、第一のプライマーとして下
記の配列番号1のオリゴヌクレオチド、第二のプライマ
ーとして配列番号2のオリゴヌクレオチドを用いること
を特徴とする、検出法。 配列番号1 atgatgattt attggaaata c 配列番号2 agaactattc ttctgttagt gatttcgttg

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、臨床検査、公衆衛
生、食品検査または食中毒検査における腸炎ビブリオ菌
の検出法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】腸炎ビブリオ菌(Vibrio par
ahaemolyticus)は、一般に感染性食中毒
の原因菌として知られている。胃腸炎患者から分離され
る腸炎ビブリオ菌の95%以上が、我妻培地において溶
血活性を示す神奈川現象陽性菌であるのに対し、魚や水
から分離した菌の99%は神奈川現象陰性菌である。こ
のことから、病原性腸炎ビブリオ菌と神奈川現象とは深
く関与しているとされてきた。
【0003】その後、この神奈川現象は腸炎ビブリオ菌
の耐熱性溶血毒(thermostable dire
ct hemolysin:tdh)が菌体外へ放出さ
れるために起こる現象であることが判明し、tdhが腸
炎ビブリオ菌の病原因子として注目されるようになって
きた。
【0004】さらに近年では、神奈川現象陰性の菌株で
ありながら病原性を示す菌株から、tdhに類似した塩
基配列を有し、一部共通抗原性を有する溶血毒(耐熱性
溶血毒類似溶血毒(TDH−related hemo
lysin:trh))も確認された。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これまで腸炎ビブリオ
菌の検出および同定を行うためには、増菌培養、分離培
養の後に神奈川現象を判定するといった非常に煩雑で長
時間を要するものだった。最近の腸炎ビブリオ菌の検出
および同定には、これらのtdh、trh遺伝子に特異
的な遺伝子プローブを用いるハイブリダイゼーション法
も試みられているが、食品検査等において十分な検出感
度を得ることは困難であった。
【0006】このように、腸炎ビブリオ菌の検出及び同
定には、複雑な操作と長時間を要し、また短時間で試料
中に存在する極微量の腸炎ビブリオ菌を検出することは
困難であったため、食品検査等に必要な迅速かつ高感度
な検出法の出現が望まれている。さらには、検査をより
簡便にするためには、自動化された検査装置の開発も望
まれている。
【0007】検出を高感度で行うためには、検出および
同定しようとする遺伝子や該遺伝子に由来するRNA
(以下これらを標的核酸とする)中の特定の配列を増幅
した上で検出等することが好適である。
【0008】標的核酸がDNAである場合の増幅法とし
ては、ポリメレースチェインリアクション(PCR)法
が知られている。この方法は、標的DNA中の特定の配
列の両末端部に相補的および相同な一組のプライマーと
熱耐性DNAポリメレース存在下で、熱変性、プライマ
ー・アニール、伸長反応からなるサイクルを繰り返し行
うことによって前記特定の配列を増幅する方法である。
しかし、PCR法は急激な昇温・降温を繰り返すという
複雑操作が必要であり、そのことが自動化への障害とな
る。また前記特定の配列をPCR法で増幅するには前記
特定の配列との特異性が高いオリゴヌクレオチドが必要
であり、更にその検出及び同定を高感度で行うために
も、標的DNAとの特異性が高いオリゴヌクレオチドが
必要である。更にはそれらのオリゴヌクレオチドの最適
な組み合わせを検討する必要がある。
【0009】標的核酸がRNAである場合の増幅法とし
ては、逆転写酵素およびRNAポリメレースの協奏的作
用によって前記特定配列を増幅するNASBA法や3S
R法等が知られている。この方法は、標的RNAの特定
配列に対し、プロモーター配列を含むプライマーと逆転
写酵素、およびリボヌクレエースHにより、プロモータ
ー配列を含む2本鎖DNAを合成し、該2本鎖DNAを
鋳型としてRNAポリメレースにより、前記特定配列を
含むRNAを合成するとともに、該RNAが引き続きプ
ロモーター配列を含む2本鎖DNA合成の鋳型となる連
鎖反応を行うものである。NASBA法や3SR法は一
定温度での核酸増幅が可能であり、自動化へ適している
方法だと考えられる。しかし、これらの増幅法は比較的
低温(例えば41℃)で反応を行うために、標的RNA
が分子内構造を形成し、プライマーの結合を阻害し、反
応効率を低下させる可能性が考えられる。したがって、
増幅反応の前に標的RNAの熱変性を行うことで、標的
RNAの分子内構造を壊し、プライマーの結合効率を向
上させるための操作が必要であった。
【0010】そこで本願発明は、腸炎ビブリオ菌の耐熱
性溶血毒類似溶血毒遺伝子(trh1)に由来するRN
Aを比較的低温(例えば41℃)で特異的に増幅した
り、検出及び同定を高感度で行うために有用なオリゴヌ
クレオチドの好適な組合わせを提供することを目的とす
るものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
になされた本願請求項1の発明は、試料中に存在するt
rh1に由来するRNAの特定配列を鋳型として、該特
定配列に相補的な配列を有する第一のプライマーおよび
該特定配列に相同的な配列を有する第二のプライマー
(ここで第一または第二のプライマーのいずれか一方の
プライマーは、5’側にRNAポリメレースのプロモー
ター配列を付加した配列を有する)を用い、RNA依存
性DNAポリメレースによりcDNAを生成することに
よりRNA−DNA2本鎖を形成し、リボヌクレエース
HによりRNA−DNA2本鎖のRNAを分解して1本
鎖DNAを生成し、該1本鎖DNAを鋳型としてDNA
依存性DNAポリメレースにより前記RNA配列または
前記RNA配列に相補的な配列からなるRNAを転写可
能なプロモーター配列を有する2本鎖DNAを生成し、
そして該2本鎖DNAがRNAポリメレース存在下でR
NA転写産物を生成し、該RNA転写産物が引き続き前
記RNA依存性DNAポリメレースによる1本鎖DNA
生成の鋳型となるようなRNA増幅工程を利用した検出
法において、第一のプライマーとして配列番号1のオリ
ゴヌクレオチド、第二のプライマーとして配列番号2の
オリゴヌクレオチドを用いることを特徴とする。
【0012】本願請求項2の発明は、請求項1の発明に
係り、前記第一のプライマーが配列番号1の配列のうち
少なくとも連続した10塩基以上からなるオリゴヌクレ
オチドであることを特徴とする。本願請求項3の発明
は、請求項1の発明に係り、前記第二のプライマーが配
列番号2の配列のうち少なくとも連続した10塩基以上
からなるオリゴヌクレオチドであることを特徴とする。
そして本願請求項4の発明は、請求項1の発明に係り、
前記RNA増幅工程を、インターカレーター性蛍光色素
で標識されたオリゴヌクレオチドプローブ存在下で実施
することからなり、ここで該プローブの配列がRNA転
写産物の少なくとも一部と相補的であり、該プローブが
RNA転写産物と相補結合によって、複合体を形成して
いない場合と比較して蛍光特性が変化するものである、
反応液の蛍光強度を測定することからなる腸炎ビブリオ
菌の耐熱性溶血毒類似溶血毒遺伝子の検出方法である。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】本願発明は、比較的低温かつ一定温度(3
5℃〜50℃、好ましくは41℃)で、腸炎ビブリオ菌
のtrh1に由来するRNAを検出するためのオリゴヌ
クレオチドの組合せを提供すること、すなわちtrh1
に由来するRNAの増幅用のオリゴヌクレオチドプライ
マー、及び検出用のオリゴヌクレオチドプローブの組合
わせを提供することで、それを利用した簡便、迅速かつ
高感度な腸炎ビブリオの耐熱性溶血毒類似溶血毒遺伝子
(trh1)の検出方法ならびに検出キットを食品検
査、食中毒検査等に提供するものである。
【0014】本願発明の態様の一例では、試料中に存在
する耐熱性溶血毒類似溶血毒遺伝子(trh1)に由来
するRNAの特定配列を鋳型として、第一のプライマー
(標的RNAの特定配列の3’末端領域に相補的配列)
が相補結合し、RNA依存性DNAポリメレースによる
伸長反応からcDNAを生成することによりRNA−D
NAからなる2本鎖を形成し、次いでリボヌクレエース
HによりRNA−DNA2本鎖のRNAを分解して1本
鎖DNAを生成する。その後、該1本鎖DNAに対し第
二のプライマー(標的RNAの5’末端領域に相同的配
列であり、5’'末端にRNAポリメレースのプロモー
ター配列が付加されている)が相補結合し、DNA依存
性DNAポリメレースにより前記標的RNA配列と相同
的な配列からなるRNAを転写可能なプロモーターを有
する2本鎖DNAを生成する。そして、該2本鎖DNA
がRNAポリメレース存在下で前記標的RNAと相同的
な配列からなるRNA転写産物が増幅される。そして本
願発明は、第一のプライマーとして配列番号1のオリゴ
ヌクレオチド、第二のプライマーとして配列番号2のオ
リゴヌクレオチドを用いることを特徴とする。第一及び
第二のプライマーは、それぞれ配列番号1及び配列番号
2の塩基配列の全長であっても良いが、各配列の中の少
なくとも連続した10塩基以上からなるオリゴヌクレオ
チドの組み合わせを使用することもできる。
【0015】上記本発明の一態様において、標的RNA
は、特定配列の5’末端で切断される必要がある。この
ように標的RNAを切断する方法としては、特定配列の
5’末端に重複して隣接する領域に対して相補的な配列
を有するオリゴヌクレオチド(切断用オリゴヌクレオチ
ド)を添加することによって、標的RNAをリボヌクレ
エースH等により切断する方法が好ましい。該切断用オ
リゴヌクレオチドの3’末端はオリゴヌクレオチドプラ
イマーとして機能しないように処理されたもの、例えば
アミノ化等されているものを使用することが望ましい。
【0016】上記本願発明の一態様においては増幅され
るRNA転写産物の配列の少なくとも一部に対して相補
的な配列を有するインタカレーター性蛍光色素で標識さ
れたオリゴヌクレオチドプローブ存在下でこの増幅工程
を実施することが好ましい。この際、該プローブがRN
A転写産物と相補結合によって、複合体を形成していな
い場合と比較して蛍光特性が変化するものであれば、反
応液の蛍光強度を測定すれば良い。なお、標識されたオ
リゴヌクレオチドプローブを増幅工程中に共存させる場
合には、プローブが伸長反応のプライマーとして機能し
ないように、例えばその3’末端にグリコール酸を付加
する等の修飾を行うことが特に望ましい。
【0017】オリゴヌクレオチドプローブとしては、配
列番号6から8に記載した配列の少なくとも連続した1
0塩基以上からなるオリゴヌクレオチドを利用すること
が例示できる。
【0018】また本願発明の別の態様では、試料中に存
在するtrh1に由来するRNAの特定配列を鋳型とし
て、第一のプライマー(標的RNAに相補的配列で、
5’側にRNAポリメレースのプロモーター配列が付加
されている)が相補結合し、RNA依存性DNAポリメ
レースによる伸長反応からcDNAを生成することによ
りRNA−DNAからなる2本鎖を形成し、次いでリボ
ヌクレエースHによりRNA−DNA2本鎖のRNAを
分解して1本鎖DNAを生成する。その後、該1本鎖D
NAに対し第2のプライマー(標的RNAに相同的配
列)が相補結合し、DNA依存性DNAポリメレースに
より前記標的RNA配列に対して相補的な配列からなる
RNAを転写可能なプロモーターを有する2本鎖DNA
を生成する。そして、該2本鎖DNAがRNAポリメレ
ース存在下で前記標的RNAとは相補的な配列からなる
RNA転写産物を生成する。そして該RNA転写産物
(標的RNAとは相補的配列)に対して第二のプライマ
ーが相補結合し、RNA依存性DNAポリメレースによ
りcDNAを生成し、RNA−DNAからなる2本鎖を
形成する。次いでリボヌクレエースHによりRNA−D
NA2本鎖のRNAを分解して1本鎖DNAを生成し、
該1本鎖DNAに対し第1のプライマーが相補結合し、
DNA依存性DNAポリメレースにより前記標的RNA
配列に対して相補的な配列からなるRNAを転写可能な
プロモーターを有する2本鎖DNAを生成する。そして
該2本鎖DNAがRNAポリメレース存在下で前記標的
RNAとは相補的な配列からなるRNA転写産物が増幅
される。そして本願発明は、第一のプライマーとして配
列番号1のオリゴヌクレオチド、第二のプライマーとし
て配列番号2のオリゴヌクレオチドを用いることを特徴
とする。第一及び第二のプライマーは、それぞれ配列番
号1及び配列番号2の塩基配列の全長であっても良い
が、各配列の中の少なくとも連続した10塩基以上から
なるオリゴヌクレオチドの組み合わせを使用することも
できる。
【0019】上記本願発明の一態様においては増幅され
るRNA転写産物の配列の少なくとも一部に対して相補
的な配列を有するインタカレーター性蛍光色素で標識さ
れたオリゴヌクレオチドプローブ存在下でこの増幅工程
を実施することが好ましい。この際、該プローブがRN
A転写産物と相補結合によって、複合体を形成していな
い場合と比較して蛍光特性が変化するものであれば、反
応液の蛍光強度を測定すれば良い。なお、標識されたオ
リゴヌクレオチドプローブを増幅工程中に共存させる場
合には、プローブが伸長反応のプライマーとして機能し
ないように、例えばその3’末端にグリコール酸を付加
する等の修飾を行うことが特に望ましい。
【0020】オリゴヌクレオチドプローブとしては、配
列番号6から8に記載した配列と相補的な配列の、少な
くとも連続した10塩基以上からなるオリゴヌクレオチ
ドを利用することが例示できる。
【0021】
【発明の実施形態】以下、本発明を実施例により更に詳
細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定され
るものではない。
【0022】実施例1 本願発明によるオリゴヌクレオチドプライマーの組合わ
せを用いて、標的RNAの特異的増幅を行った。なおt
rh1−RNAとは、trh1の塩基配列を含む2本鎖
DNAを鋳型としたインビトロ転写により合成、精製さ
れたRNAである。同様にtrh2−RNA、tdh2
−RNAもインビトロ転写により調製した。
【0023】(1)腸炎ビブリオ菌のtrh1−RNA
の塩基番号1〜610(RNAの塩基番号は西渕ら、A
ppl.Environ.Microbiol.、5
8、2449〜2457(1992)に従った)を含む
標準RNA(616mer)を試料とし、260nmの
紫外部吸収により定量後、RNA希釈液(10mM T
ris−HCl (pH8.0)、0.1mM EDT
A、0.5U/μl RNase Inhibito
r、5.0mM DTT)を用い1.0×104コピー
/5μl、1.0×103コピー/5μlとなるよう希
釈した。コントロール試験区(Nega)には希釈液の
みを用いた。
【0024】(2)以下の組成の反応液20.8μlを
市販の0.5ml容PCR用チューブ(商品名;Gen
e Amp Thin−Walled Reactio
n Tubes、パーキンエルマー社製)に分注し、こ
れに上記RNA試料5.0μlを添加した。
【0025】反応液の組成(濃度は酵素溶液添加後の反
応系の最終濃度) 60.0mM Tris−塩酸緩衝液 (pH8.6) 13.0mM 塩化マグネシウム 90.0mM 塩化カリウム 1.0mM DTT 各0.25mM dATP、dCTP、dGTP、dT
TP 各3.0mM ATP、CTP、UTP 2.25mM GTP 3.6mM ITP 各1.0μMの第1一のプライマーと第二のプライマー (プライマーの組み合わせは表1の通り、ここで配列番
号4及び5の配列中の5’端1番目の「A」から28番
目の「A」までの部分はT7ポリメレースのプロモータ
配列として付加した配列である) 0.16μMの切断用オリゴヌクレオチドプライマー
(配列番号3、標的RNAを第2のプライマーが結合し
得る位置で切断するためのオリゴヌクレオチド、3’末
端はアミノ化してある) 39U リボヌクレエース インヒビター(宝酒造
(株)製) 15.0% DMSO 容量調製用蒸留水
【0026】
【表1】
【0027】(3)上記の反応液を、41℃で5分間保
温後、以下の組成の予め41℃で2分間保温した酵素液
4.2μlを添加した。
【0028】酵素液の組成(反応時の再終濃度) 1.7% ソルビトール 8ユニット AMV逆転写酵素 (宝酒造(株)製) 142ユニット T7 RNAポリメレース (GIB
CO社製) 3μg 牛血清アルブミン 容量調製用蒸留水 (4)引き続きPCRチューブを41℃に30分間保温
した後、特定の増幅産物を4%アガロースゲルを用いた
電気泳動により分析した。
【0029】(5)電気泳動後の染色には市販の染色液
(商品名;SYBR Green II、宝酒造(株)
製)を用いた。
【0030】電気泳動結果を図−1(白黒反転)に示し
た。どちらの組み合わせにおいても、trh1−RNA
を添加した系において、特異的なRNA増幅産物(図−
1の矢印部分)が得られた。一方、tdh2−RNA、
trh2−RNAを添加した系では増幅産物が得られな
かった。このことから、これらのオリゴヌクレオチドプ
ライマーの組合せは、腸炎ビブリオ菌の耐熱性溶血毒類
似溶血毒(trh1)に由来するRNAの増幅・検出に
有用であることが示された。
【0031】
【発明の効果】以上の説明のように、本発明によれば、
試料中のRNAが分子内構造を形成し、プライマーやプ
ローブの結合を阻害しかねない、比較的低温かつ一定温
度(35℃〜50℃、好ましくは41℃)条件下でも、
腸炎ビブリオ菌の耐熱性溶血毒類似溶血毒(trh1)
に由来するRNAに特異的に結合し、標的RNAを迅速
に増幅し、かつ検出等するためのオリゴヌクレオチドプ
ライマー、オリゴヌクレオチドプローブの組合わせとし
て有用である。
【0032】上記以外にも、本願発明のオリゴヌクレオ
チドの組合せは、trh1−RNAに限らず、RNAを
逆転写して得られるcDNAを検出するためには、上記
したオリゴヌクレオチドの相補的配列も有用である。
【0033】本願発明の組み合わせにおけるオリゴヌク
レオチドの塩基長は具体的に記載した長さに限らず、こ
れら配列中の少なくとも連続した10塩基以上からなる
オリゴヌクレオチドを含む。これは、プライマーまたは
プローブの標的核酸への十分な特異性を確保するために
は10塩基程度の塩基配列があれば十分であることか
ら、明らかである。
【0034】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Tosoh Corporation <120> 腸炎ビブリオ菌の耐熱性溶血毒類似溶血毒遺伝子の検出法 <130> PA211-0191 <160> 8 <210> 1 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> プライマー <400> 1 atgatgattt attggaaata c 21 <210> 2 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> プライマー <400> 2 agaactattc ttctgttagt gatttcgttg 30 <210> 3 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> プライマー <400> 3 gaatagttct gatttaggct 20 <210> 4 <211> 51 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> プライマー <400> 4 aattctaata cgactcacta tagggagaag aactattctt ctgttagtga t 51 <210> 5 <211> 53 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> プライマー <400> 5 aattctaata cgactcacta tagggagata ttcttctgtt agtgatttcg ttg 53 <210> 6 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> プライマー <400> 6 ggcaatgatt cttcattttc 20 <210> 7 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> プライマー <400> 7 tcgacattga cgaaatattc 20 <210> 8 <211> 19 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> プライマー <400> 8 cacataacaa acatatgcc 19
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で行った初期RNA量104コピー/
30μl、103コピー/30μlにおいて、RNA増
幅反応を二組のプライマーの組み合わせにより行った結
果である。NegaとはRNA試料の代わりに希釈液の
みを用いたサンプルのことである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/569 G01N 33/58 A 33/58 C12Q 1/04 // C12Q 1/04 (C12Q 1/68 Z (C12Q 1/68 C12R 1:63) C12R 1:63) (C12Q 1/04 (C12Q 1/04 C12R 1:63) C12R 1:63) C12N 15/00 ZNAA Fターム(参考) 2G045 AA25 AA28 AA35 CB21 DA12 DA13 DA14 DA77 FB01 FB02 FB07 FB12 GC15 4B024 AA11 CA01 CA04 CA09 CA11 CA20 HA08 HA12 HA13 4B063 QA01 QA18 QA19 QQ06 QQ42 QQ52 QQ79 QQ91 QR08 QR14 QR31 QR56 QR62 QR66 QS16 QS34 QX02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料中に存在する腸炎ビブリオ菌の耐熱性
    溶血毒類似溶血毒遺伝子(trh1)に由来するRNA
    の特定配列を鋳型として、該特定配列に相補的な配列を
    有する第一のプライマーおよび該特定配列に相同的な配
    列を有する第二のプライマー(ここで第一または第二の
    プライマーのいずれか一方のプライマーは、5’側にR
    NAポリメレースのプロモーター配列を付加した配列を
    有する)を用い、RNA依存性DNAポリメレースによ
    りcDNAを生成することによりRNA−DNA2本鎖
    を形成し、リボヌクレエースHによりRNA−DNA2
    本鎖のRNAを分解して1本鎖DNAを生成し、該1本
    鎖DNAを鋳型としてDNA依存性DNAポリメレース
    により前記RNA配列または前記RNA配列に相補的な
    配列からなるRNAを転写可能なプロモーター配列を有
    する2本鎖DNAを生成し、そして該2本鎖DNAがR
    NAポリメレース存在下でRNA転写産物を生成し、該
    RNA転写産物が引き続き前記RNA依存性DNAポリ
    メレースによる1本鎖DNA生成の鋳型となるようなR
    NA増幅工程を利用した検出法において、第一のプライ
    マーとして配列番号1のオリゴヌクレオチド、第二のプ
    ライマーとして配列番号2のオリゴヌクレオチドを用い
    ることを特徴とする、検出法。
  2. 【請求項2】前記第一のプライマーが配列番号1の配列
    のうち少なくとも連続した10塩基以上からなるオリゴ
    ヌクレオチドであることを特徴とする、請求項1の検出
    法。
  3. 【請求項3】前記第二のプライマーが配列番号2の配列
    のうち少なくとも連続した10塩基以上からなるオリゴ
    ヌクレオチドであることを特徴とする、請求項1の検出
    法。
  4. 【請求項4】請求項第1項に記載されたRNA増幅工程
    を、インターカレーター性蛍光色素で標識されたオリゴ
    ヌクレオチドプローブ存在下で実施することからなり、
    ここで該プローブの配列がRNA転写産物の少なくとも
    一部と相補的であり、該プローブがRNA転写産物と相
    補結合によって、複合体を形成していない場合と比較し
    て蛍光特性が変化するものである、反応液の蛍光強度を
    測定することからなる腸炎ビブリオ菌の耐熱性溶血毒類
    似溶血毒遺伝子の検出方法。
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