JP2001339088A - 太陽電池装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ビルの窓などに設置される採光型太陽電池モ
ジュールにおいて、簡単な構造で応力に対する高い信頼
性を持ち、かつ、美観に優れた太陽電池モジュールを提
供すること。 【解決手段】 太陽電池素子１を封入した透光性樹脂層
２の素子受光側表面と素子裏面側表面のそれぞれに透光
性基板３，４を付着してなる太陽電池装置Ｍ１であっ
て、透光性基板３，４の少なくとも一方は、透光性樹脂
層２を付着させている側の面を露出するとともに、この
露出面３ａに太陽電池素子１の出力ケーブル８を導出す
るための接続箱９を固定したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えばビルの窓に
設置される採光型太陽電池モジュールとして好適に適用
可能な太陽電池装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】太陽電池素子を透光性樹脂層中に配設
し、受光面側と裏面側の両方を透光性基板で被覆した構
造の太陽電池モジュールが知られている。このような太
陽電池モジュールは、太陽電池素子間や太陽電池素子の
外周部などから屋外光を室内に採り入れることが可能な
ため、ビルの窓などに設置する採光型太陽電池モジュー
ルとして利用されてきた。

【０００３】採光型太陽電池モジュールでは、出力ケー
ブルの取り出しとバイパス用ダイオード（太陽電池モジ
ュールの発電部分が日陰になった場合に、発電電流をバ
イパスさせて出力低下を極力防止するためのダイオー
ド）の内蔵を目的としたジャンクションボックスと呼ば
れる構造体を、太陽電池モジュールの室内側の面、又は
側面に固定している。

【０００４】以下に、この太陽電池モジュールの構成例
について、図４及び図５に基づき説明する。ここで、図
４は太陽電池モジュールＪ１の一部分における模式的な
斜視図であり、簡単のため太陽電池モジュールの周縁部
に設けるフレーム等の部材を省略し、内部の様子を透視
して図示したものである。また、図５はこのような太陽
電池モジュールＪ１をビルなどの建物の窓ガラスに適用
させた様子を部分断面図にて模式的に図示したものであ
る。

【０００５】太陽電池モジュールＪ１は、電気的に直列
及び並列接続した複数個の太陽電池素子（セル）１を封
入した透光性樹脂層２の素子受光側表面と素子裏面側表
面のそれぞれに透光性基板を付着させたものである。具
体的には、電気的に接続された多数の太陽電池素子１が
透光性樹脂層２の内部に封入され、太陽電池素子１の受
光面側（室外側）は受光面ガラス３により、また裏面側
（室内側）は裏面ガラス４によってそれぞれ被覆されて
いる。

【０００６】太陽電池素子１の発電電力は、太陽電池素
子１に接続された線状の銅箔５によって伝達されるが、
この銅箔５は裏面ガラス４に設けられた貫通孔４ａを通
り、ジャンクションボックス９の内部で出力ケーブル８
に接続されている。ジャンクションボックス９の内部に
は、バイパス用ダイオード１０が内蔵されている。

【０００７】また、ジャンクションボックス９や出力ケ
ーブル８を隠す目的で、受光面ガラス３の内側（保護樹
脂層側）は部分的にセラミック塗装されており、一方、
室内側はＬアングル１１に固定されたアルミフレーム１
２などの部材で目隠しされて、太陽電池モジュールの外
観をよくしようとしている。なお、１３は太陽電池モジ
ュールＪ１の受光面ガラス及び裏面ガラスの周縁部に設
けられたフレームである。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、こうし
た採光型太陽電池モジュールにおいては、下記のような
問題点があった。

【０００９】室内面取り出し方式（ジャンクションボ
ックスを室内側面に固定する方式）では、太陽電池モジ
ュールの裏面側透光性部材に貫通孔を設けて電気的接続
を得る必要があった。これにより、裏面側透光性部材の
強度低下を招くと同時に、室内側の外観をよくする目的
で、出力ケーブルやジャンクションボックスを隠すため
の部材が必要となり、装置全体や取り付け構造が複雑と
なっていた。さらに、受光面側から透視される出力ケー
ブルやジャンクションボックスを隠す構造も必要であっ
た。

【００１０】側面取り出し方式（ジャンクションボッ
クスを側面に固定する方式）では、上記の問題はほぼ
クリアできるものの、太陽電池モジュールとジャンクシ
ョンボックスの固定面が小さく、また、受光面透光性部
材と裏面透光性部材の位置ずれにより、ジャンクション
ボックスの固定に悪影響が出るという問題があった。さ
らに、太陽電池モジュールの端部にジャンクションボッ
クスが突出することになるので、施工時などにジャンク
ションボックスに応力がかかりやすく、これにより、太
陽電池モジュールの破損やジャンクションボックスの脱
落などが生じやすかった。

【００１１】また、上記２方式のいずれの場合において
も、太陽電池素子の直列数が多い場合には、正極・負極
の出力線の取り出しだけではなく、バイパス用ダイオー
ドを接続するために、太陽電池素子間の配線の一部から
導線を引き出す必要があった。そしてこれにより、ジャ
ンクションボックスが大型化する上に、太陽電池モジュ
ールの内部配線が複雑になりやすく、しかも構造・外観
の両面からも好ましくなかった。

【００１２】そこで本発明は、上述の問題点を解決する
ために案出されたものであり、例えばビルの窓などに設
置される採光型太陽電池モジュールにおいて、簡単な構
造で応力に対する高い信頼性を持ち、かつ、美観に優れ
た太陽電池モジュールを提供することを目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の太陽電池装置は、太陽電池を封入した透光性樹脂層
の受光側表面と裏面側表面のそれぞれに透光性基板を付
着して成る太陽電池装置であって、透光性基板の少なく
とも一方は、透光性樹脂層に付着している側の面の一部
を露出させるとともに、この露出面に太陽電池に接続し
た出力ケーブルを導出する接続箱を固定したことを特徴
とする。また、太陽電池は１つ以上の太陽電池素子から
成る太陽電池ストリングを複数列に並設した状態で直列
接続させて成るとともに、所定の太陽電池ストリングと
これに隣接する太陽電池ストリングとの間に、ダイオー
ドを備えたバイパス線路を接続させたことを特徴とす
る。さらに、透光性樹脂層は光硬化性樹脂から成ること
を特徴とする。

【００１４】

【発明の実施の形態】本発明に係わる実施形態を図面に
基づき詳細に説明する。図１は太陽電池モジュールＭ１
の一部分における斜視図であり、内部の様子を明確にす
るために透視して模式的に図示してある。また、図２は
太陽電池素子どうしの接続の様子を説明する模式図であ
る。また、図３はこのような太陽電池モジュールＭ１を
ビルなどの建物の窓ガラスに適用させた様子を部分断面
図にて模式的に図示したものである。なお、既に説明し
た部材と同様な部材については同一符号を付し、詳細な
説明を省略する。

【００１５】図１に示すように、透光性樹脂層２の内部
で、太陽電池素子１が１個以上１列に直列接続された太
陽電池素子群である太陽電池ストリングの複数を並設し
た状態で直列接続し、所定の太陽電池ストリングとこの
太陽電池ストリングに隣接する太陽電池ストリングとの
間にダイオードを備えたバイパス線路を設けたものであ
る。

【００１６】そして、太陽電池素子１の受光面側表面は
透光性基板である受光面ガラス３によって、裏面側表面
も透光性基板である裏面ガラス４によってそれぞれ被覆
されている。さらに、上記透光性基板の少なくとも一方
は、透光性樹脂層２を付着させている側の面の一部を露
出し、この露出面に太陽電池素子１の出力ケーブル８を
導出するための接続箱９を固定している。

【００１７】ここで、受光面ガラス３や裏面ガラス４
は、通常用いられる強化ガラス以外にＰＣ（ポリカーボ
ネート樹脂）板・ＰＭＭＡ（アクリル樹脂）板などでも
よい。特に、裏面ガラス４は断熱層が介在する複層ガラ
ス、網入りガラス、カラーガラス、熱線反射ガラス、す
りガラスなど、様々な種類のものが使用可能であり、こ
れら種類による太陽電池の発電能力への悪影響は少な
い。

【００１８】また、太陽電池素子１には、多結晶シリコ
ン太陽電池、単結晶シリコン太陽電池、アモルファスシ
リコン太陽電池など各種太陽電池の使用が可能であり、
１個以上の太陽電池素子１が透光性樹脂層２中に封入さ
れているものとする。

【００１９】透光性樹脂層２には、ＥＶＡ（エチレンビ
ニルアセテート）、ＰＶＢ（ポリビニルブチラール）、
アクリル系紫外線硬化性樹脂など、熱硬化性、光硬化
性、２液反応硬化性等の各種樹脂が使用可能である。

【００２０】この透光性樹脂層２にＥＶＡを使用する場
合は、加熱真空圧着方式により成型するのが一般的であ
るが、この方式では突出した受光面ガラス上にＥＶＡが
はみだすことがあり、この防止又は除去が不可欠となり
工程が煩雑となる。このため、受光面ガラス３と裏面ガ
ラス４をその外周部において、両面粘着テープで接合
し、未硬化の光硬化性樹脂である例えばアクリル系紫外
線硬化性樹脂から成る接着材１４（図３を参照）を受光
面ガラス３と裏面ガラス４の間隙に注入し、紫外線照射
によって硬化させる構成とするとより生産性を向上させ
ることが可能である。

【００２１】本実施形態では、受光面ガラス３の一端部
だけを裏面ガラス４より広い面積とするために、受光面
ガラス３の一端部のみを裏面ガラス４より突出させて露
出面３ａを形成し、この露出面３ａに接続箱９を接着等
により固定している。なおここで、受光面ガラス３がそ
の一辺の全体にわたって突出しているが、例えば、接続
箱９を固着する領域だけ部分的に突出させるようにして
もかまわない。また、本発明では、透光性基板の少なく
とも一方において透光性樹脂層２を付着させている側の
面を露出させればよいが、本実施形態のようにするのが
最も簡便で望ましいといえる。

【００２２】接続箱９の固定方法は、堅固に固定できる
方法であればどのような方法を採用してもよいが、例え
ば、上記透光性基板として強化ガラスを用いる場合、接
続箱９の固定用の貫通孔を設けるなどの加工は困難なの
で、樹脂などの接着材により固定することが好ましい。

【００２３】このように、樹脂などの接着材による接続
箱９の固定によれば、これに接続される配線用の銅箔５
の外周部を接着材で密閉することができ、銅箔５の保護
や接続箱９へ水分の浸入を極力防止できる。この接着材
には、例えば１液性や２液性の室温硬化型シリコーンゴ
ムや合成ゴム系接着剤などの軟質接着剤の使用が可能で
あるが、特に、取り扱いが容易な１液性シリコーンＲＴ
Ｖを採用するのが好ましい。

【００２４】さらに本実施形態では、図１及び図２に示
すように、薄型のバイパス用ダイオード１０を、太陽電
池素子１の近傍で且つ透光性樹脂層２の内部に設置す
る。また、所定の太陽電池ストリングとこれに隣接する
太陽電池ストリングとの間に、ダイオード１０を備えた
バイパス線路１５を接続させたことを特徴とする。そし
て、太陽電池素子１の発電電力は線状の銅箔５によって
直線的に接続箱９に出力が伝達される。銅箔５は接続箱
９の内部で出力ケーブル８に接続されている。

【００２５】以上の構成により、太陽電池素子１どうし
の接続構造が簡単となり、接続箱９をよりいっそう小型
化することが可能となる。すなわち、例えば図２に示す
ように、複数の太陽電池素子１が多数直列接続された太
陽電池ストリング１Ａを複数、直列接続させている。薄
型のバイパス用ダイオード１０を透光性樹脂２中に収容
しているので、よりいっそうの小型化が実現される。な
お、図示のように接続箱９は複数配設したり、配線を集
中させて一つの接続箱を設けるようにしてもよい。

【００２６】また、本実施形態によれば、一端部に突出
させた受光面ガラス３の透光性樹脂層２の付着側面に接
続箱９を固定するので、接続箱９の接着面が平滑である
上に、接着面積を広く確保することが可能となり、接続
箱９への外部応力に対する信頼性が従来技術の側面取り
出し方式と比較して大幅に向上する。

【００２７】また、本実施形態と従来の室内面取り出し
方式とを比較すると、本実施形態では従来のように裏面
ガラス４に電極取り出し用の貫通孔４ａを設ける必要が
ないため、太陽電池モジュール全体の応力に対する信頼
性が向上する。同時に、接続箱９が室内側に突出しない
ため、目隠し部材などの必要が無く見栄えも良好とする
ことができる。

【００２８】さらに、出力ケーブル８の取り出し方向
は、側面と裏面の２通りが選択できるので設計自由度が
高い。

【００２９】なお、本実施形態で説明した構成は、一例
を説明したものであるので、本発明の要旨を逸脱しない
範囲で適宜変更実施が可能である。

【００３０】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明の太陽電池
装置によれば、ビルの窓などに設置される採光型太陽電
池モジュールと好適に使用が可能であり、簡単な構造で
応力に対して高い信頼性を持ち、かつ、優れた外観の太
陽電池モジュールを提供することができる。

【００３１】特に、透光性基板の少なくとも一方は、透
光性樹脂層を付着させている側の面を露出するととも
に、この露出面に太陽電池素子の出力ケーブルを導出す
るための接続箱を固定したので、裏面ガラスの貫通孔を
廃止することができる。これにより、太陽電池モジュー
ル全体の強度が向上し、突出部にジャンクションボック
スを固定できるため接着面積を大きくすることが可能と
なるためジャンクションボックスの強度も向上する。さ
らに、室内にジャンクションボックスが突出しないの
で、目隠し部材等も不要となり室内側の外観を向上させ
ることができる。

【００３２】また、透光性樹脂層内部に太陽電池素子へ
発電電流が逆流するのを防止するダイオードを備えたバ
イパス線路を設けることで、接続箱のよりいっそうの小
型化を図ることができ、ひいては太陽電池モジュールの
小型化を図ることができる。

【００３３】さらに、透光性樹脂層として光硬化性樹脂
を用いることにより、太陽電池モジュールの生産性を向
上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る太陽電池モジュールの一実施形態
を模式的に説明する図であり、太陽電池モジュールの一
部透視斜視図である。

【図２】太陽電池素子の接続の様子を模式的に説明する
図である。

【図３】本発明に係る太陽電池モジュールをビルなどの
建物の窓ガラスに適用させた様子を部分断面図にて模式
的に示した一部断面図である。

【図４】従来の太陽電池モジュールを模式的に説明する
一部透視斜視図である。

【図５】従来の太陽電池モジュールをビルなどの建物の
窓ガラスに適用させた様子を部分断面図にて模式的に示
した一部断面図である。

【符号の説明】

１：太陽電池モジュール １Ａ：太陽電池ストリング（太陽電池素子群） ２：透光性樹脂層 ３：受光面ガラス（透光性基板） ４：裏面ガラス（透光性基板） ５：銅箔 ６：無目 ７：押し縁 ８：出力ケーブル ９：ジャンクションボックス（接続箱） １０：バイパス用ダイオード １１：Ｌアングル １２：アルミフレーム １４：接着材 １５：バイパス線路 Ｍ１：太陽電池装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大野 敏明 滋賀県八日市市蛇溝町長谷野1166番地の６ 京セラ株式会社滋賀工場八日市ブロック 内 Ｆターム(参考） 5F051 BA03 EA02 EA17 GA03 JA04 JA07 JA09

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 太陽電池を封入した透光性樹脂層の受光
   側表面と裏面側表面のそれぞれに透光性基板を付着して
   成る太陽電池装置であって、前記透光性基板の少なくと
   も一方は、前記透光性樹脂層に付着している側の面の一
   部を露出させるとともに、この露出面に前記太陽電池に
   接続した出力ケーブルを導出する接続箱を固定したこと
   を特徴とする太陽電池装置。
2. 【請求項２】 前記太陽電池は１つ以上の太陽電池素子
   から成る太陽電池ストリングを複数列に並設した状態で
   直列接続させて成るとともに、所定の太陽電池ストリン
   グとこれに隣接する太陽電池ストリングとの間に、ダイ
   オードを備えたバイパス線路を接続させたことを特徴と
   する請求項１に記載の太陽電池装置。
3. 【請求項３】 前記透光性樹脂層は光硬化性樹脂から成
   ることを特徴とする請求項１に記載の太陽電池装置。