JP2001336630A - 自動変速機のマニュアル変速制御装置 - Google Patents

自動変速機のマニュアル変速制御装置

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JP2001336630A
JP2001336630A JP2000161744A JP2000161744A JP2001336630A JP 2001336630 A JP2001336630 A JP 2001336630A JP 2000161744 A JP2000161744 A JP 2000161744A JP 2000161744 A JP2000161744 A JP 2000161744A JP 2001336630 A JP2001336630 A JP 2001336630A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】オーバーレブが生じた場合でも、違和感なく手
動アップシフトなどを行うことが出来る自動変速機のマ
ニュアル変速制御装置の提供。 【解決手段】手動変速モード時に、エンジン回転数Ne
が限界回転数以上になっているか否かを判定するオーバ
ーレブ判定手段27を設け、限界回転数以上になってい
るものと判定された場合に、運転者のスロットル開度の
低下動作、アップシフト動作などの実行を、所定時間Cn
t Limitだけ待ち、時間内に運転者による処置が取られ
なかった場合に、強制的にアップシフトを行なう。エン
ジン回転数が限界回転数以上になった際でも、所定時間
だけ強制的なアップシフト動作が遅延され、運転者によ
るエンジン回転数を低下させる処置が取られるのを待つ
ことから、運転者が自らの意思でアクセルを戻したり、
変速レバーを操作してアップシフトをすることが可能と
なり、違和感無く運転動作を継続することが出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、手動変速可能な手
動変速モードを有する自動変速機の、マニュアル変速制
御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動変速機のシフトレバーなどの変速指
示部に、通常のP−R−N−Dレンジなどの自動変速モ
ードの外に、運転者がシフトレバーやシフトスイッチで
ダウン/アップシフトを指示できる手動変速モードが設
けられ、運転者の意思でギヤ段をアップダウンさせるこ
とが出来るものが知られている。
【0003】こうした手動変速モードの場合、エンジン
が過回転(オーバーレブ)してしまうことを防止するた
めに、手動変速でエンジンがオーバーレブしてしまう前
に、自動的にアップシフトする制御が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、運転者が手動
変速モードを選択しているにもかかわらず、運転者の意
思に無関係に、自動的にアップシフトするために、運転
者に違和感を与え、運転フィーリングが悪化する不都合
がある。
【0005】また、通常、オーバーレブの危険性が生じ
た場合、エンジンに対する燃料供給をカットしてエンジ
ン回転を低下させる、所謂フューエルカット制御が行わ
れる。このフューエルカット制御中に、オーバーレブに
伴うアップシフト判断が行われ、更に、アップシフト動
作中に、エンジン回転数が低下してフューエルカット制
御が中止されると、運転者の要求トルクが、フューエル
カット制御にはいる前と同様に高い状態(即ち、高いア
クセル開度)を維持していた場合、急激にエンジントル
クが上昇し、アップシフト動作に伴うクラッチやブレー
キなどの摩擦係合要素に滑りが生じ、大きなシフトショ
ックが生じる危険性がある。
【0006】本発明は、上記した事情に鑑み、手動変速
モードにおいて、オーバーレブの危険性が生じた場合で
も、運転者に違和感を出来るだけ生じさせることなく、
アップシフトを行うことが出来るばかりか、当該アップ
シフト動作を円滑に行うことが出来る、自動変速機のマ
ニュアル変速制御装置を提供することを目的とするもの
である。
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、運転
者がアップシフト及びダウンシフトを指示する必要のな
い自動変速モード及び運転者がアップシフト及びダウン
シフトを指示することの出来る手動変速モードを有する
シフト指示手段(70)が設けられた、自動変速機の制
御装置において、前記手動変速モード時に、エンジン回
転数(Ne)が所定限界回転数以上になっているか否か
を判定するオーバーレブ判定手段(27)を設け、前記
オーバーレブ判定手段により、エンジン回転数が所定限
界回転数以上になっているものと判定された場合に、運
転者によるエンジン回転数低下処置(スロットル開度の
低下動作、アップシフト動作など)の実行を所定時間
(Time upGuard)だけ待ち、前記所定時間内に運転者に
よるエンジン回転数低下処置が取られなかった場合に、
強制的にアップシフトの変速を実行するオーバーレブ変
速制御手段(53、PRO1)を設けて構成される。
【0007】請求項2の発明は、請求項1記載の発明に
おいて、エンジン回転数低下処置は、運転者によるアッ
プシフト動作で構成される。
【0008】請求項3の発明は、請求項1記載の発明に
おいて、エンジン回転数低下処置は、運転者によるスロ
ットル開度の低下動作で構成される。
【0009】請求項4の発明は、請求項1記載の発明に
おいて、前記オーバーレブ判定手段により、エンジン回
転数が所定限界回転数以上になっているものと判定され
た場合に、エンジンへの燃料供給をカットするフューエ
ルカット制御手段(27)を設けて構成される。
【0010】請求項5の発明は、請求項4記載の発明に
おいて、前記オーバーレブ変速制御手段による強制的な
アップシフトに際して、前記フューエルカット制御手段
によるエンジンへの燃料供給カットが中止された際に、
エンジントルク(Et)をフューエルカット時のトルク
から運転者のリクエストトルクまで所定勾配(TendSwee
p、時間Last Sweep timeに対応した勾配)でスイープア
ップさせるトルクリミテーション制御を行う、トルクリ
ミテーション制御手段(27、53、PRO2)を設け
て構成される。
【0011】請求項6の発明は、請求項5記載の発明に
おいて、前記トルクリミテーション制御手段によるトル
クリミテーション制御は、複数種類のスイープアップの
勾配(Tend Sweep、時間Last Sweep timeに対応した勾
配)で行うことを特徴として構成される。
【0012】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、オーバーレブ
変速制御手段により、エンジン回転数が所定限界回転数
以上になった場合でも、所定時間だけ強制的なアップシ
フト動作が遅延され、運転者によるエンジン回転数低下
処置が取られるのを待つことから、運転者がエンジンが
オーバーレブ状態になっていることを認識して、自らの
意思でアクセルを戻したり、変速レバーを操作してアッ
プシフトをするなどのエンジン回転数低下処置をとるこ
とが可能となり、エンジンがオーバーレブ状態となる前
に強制的に自動アップシフトを行う場合に比して、違和
感無く運転動作を継続することが出来る。
【0013】請求項2の発明によれば、運転者がオーバ
ーレブ状態に気づいて自らの意思でアップシフト動作を
行うことにより、オーバーレブ状態が解除されるので、
強制的なアップシフト動作に比して、違和感のない手動
変速モードでの運転動作を行うことが出来る。
【0014】請求項3の発明によれば、運転者がオーバ
ーレブ状態に気づいて自らの意思でスロットル開度を低
下させることにより、オーバーレブ状態が解除されるの
で、強制的なアップシフト動作に比して、違和感のない
運転動作を行うことが出来る。
【0015】請求項4の発明によれば、フューエルカッ
ト制御が行われることにより、エンジンの出力軸回転が
所定限界回転数以上に増加しないように制御されるた
め、信頼性の高い制御システムの提供が可能となる。
【0016】請求項5の発明によれば、フューエルカッ
ト制御が中断された後の、エンジントルクEtの急激な
上昇がトルクリミテーション制御により防止され、強制
的なアップシフト動作におけるシフトショックの発生を
未然に防止することが出来る。
【0017】複数のスイープアップの勾配をトルクリミ
テーション制御に使用することにより、アップシフト動
作における摩擦係合要素(例えば、ブレーキB2)の係
合状態に合わせたきめの細かな制御が可能となり、より
滑らかなアップシフト動作が実現される。
【0018】なお、括弧内の番号等は、図面における対
応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述
は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面に沿って、本発明の実
施の形態について説明する。
【0020】5速自動変速機1は、図2に示すように、
トルクコンバータ4、3速主変速機構2、3速副変速機
構5及びディファレンシャル8を備えており、かつこれ
ら各部は互に接合して一体に構成されるケースに収納さ
れている。そして、トルクコンバータ4は、ロックアッ
プクラッチ4aを備えており、エンジンの回転はエンジ
ンクランクシャフト13から、トルクコンバータ内の油
流を介して又はロックアップクラッチによる機械的接続
を介して主変速機構2の入力軸3に入力する。そして、
一体ケースにはクランクシャフトと整列して配置されて
いる第1軸3(具体的には入力軸)及び該第1軸3と平
行に第2軸6(カウンタ軸)及び第3軸(左右車軸)1
4a,14bが回転自在に支持されており、また該ケー
スの外側にバルブボディが配設されている。
【0021】主変速機構2は、シンプルプラネタリギヤ
7とダブルピニオンプラネタリギヤ9からなるプラネタ
リギヤユニット15を有しており、シンプルプラネタリ
ギヤ7はサンギヤS1、リングギヤR1、及びこれらギ
ヤに噛合するピニオンP1を支持したキャリヤCRから
なり、またダブルピニオンプラネタリギヤ9は上記サン
ギヤS1と異なる歯数からなるサンギヤS2、リングギ
ヤR2、並びにサンギヤS2に噛合するピニオンP2及
びリングギヤR2に噛合するピニオンP3を前記シンプ
ルプラネタリギヤ7のピニオンP1と共に支持する共通
キャリヤCRからなる。
【0022】そして、エンジンクランクシャフト13か
らトルクコンバータ4を介して連動している入力軸3
は、第1の(フォワード)クラッチC1を介してシンプ
ルプラネタリギヤ7のリングギヤR1に連結し得ると共
に、第2の(ダイレクト)クラッチC2を介してシンプ
ルプラネタリギヤ7のサンギヤS1に連結し得る。ま
た、ダブルピニオンプラネタリギヤ9のサンギヤS2
は、第1のブレーキB1にて直接係止し得ると共に、第
1のワンウェイクラッチF1を介して第2のブレーキB
2にて係止し得る。更に、ダブルピニオンプラネタリギ
ヤ9のリングギヤR2は、第3のブレーキB3及び第2
のワンウェイクラッチF2にて係止し得る。そして、共
通キャリヤCRが、主変速機構2の出力部材となるカウ
ンタドライブギヤ18に連結している。
【0023】一方、副変速機構5は、第2軸を構成する
カウンタ軸6の軸線方向リヤ側に向って、出力ギヤ1
6、第1のシンプルプラネタリギヤ10及び第2のシン
プルプラネタリギヤ11が順に配置されており、またカ
ウンタ軸6はベアリングを介して一体ケースに回転自在
に支持されている。前記第1及び第2のシンプルプラネ
タリギヤ10,11は、シンプソンタイプからなる。
【0024】また、第1のシンプルプラネタリギヤ10
は、そのリングギヤR3が前記カウンタドライブギヤ1
8に噛合するカウンタドリブンギヤ17に連結してお
り、そのサンギヤS3がカウンタ軸6に回転自在に支持
されているスリーブ軸12に固定されている。そして、
ピニオンP3はカウンタ軸6に一体に連結されたフラン
ジからなるキャリヤCR3に支持されており、また該ピ
ニオンP3の他端を支持するキャリヤCR3はUDダイ
レクトクラッチC3のインナハブに連結している。ま
た、第2のシンプルプラネタリギヤ11は、そのサンギ
ヤS4が前記スリーブ軸12に形成されて前記第1のシ
ンプルプラネタリギヤのサンギヤS3に連結されてお
り、そのリングギヤR4は、カウンタ軸6に連結されて
いる。
【0025】そして、UDダイレクトクラッチC3は、
前記第1のシンプルプラネタリギヤのキャリヤCR3と
前記連結されたサンギヤS3,S4との間に介在してお
り、かつ該連結されたサンギヤS3,S4は、バンドブ
レーキからなる第4のブレーキB4にて係止し得る。更
に、第2のシンプルプラネタリギヤのピニオンP4を支
持するキャリヤCR4は、第5のブレーキB5にて係止
し得る。
【0026】ついで、図2及び図3に沿って、本5速自
動変速機の機構部分の作用について説明する。
【0027】D(ドライブ)レンジにおける1速(1S
T)状態では、フォワードクラッチC1が接続し、かつ
第5のブレーキB5及び第2のワンウェイクラッチF2
が係止して、ダブルピニオンプラネタリギヤのリングギ
ヤR2及び第2のシンプルプラネタリギヤ11のキャリ
ヤCR4が停止状態に保持される。この状態では、入力
軸3の回転は、フォワードクラッチC1を介してシンプ
ルプラネタリギヤのリングギヤR1に伝達され、かつダ
ブルピニオンプラネタリギヤのリングギヤR2は停止状
態にあるので、両サンギヤS1、S2を逆方向に空転さ
せながら共通キャリヤCRが正方向に大幅減速回転され
る。即ち、主変速機構2は、1速状態にあり、該減速回
転がカウンタギヤ18,17を介して副変速機構5にお
ける第1のシンプルプラネタリギヤのリングギヤR3に
伝達される。該副変速機構5は、第5のブレーキB5に
より第2のシンプルプラネタリギヤのキャリヤCR4が
停止され、1速状態にあり、前記主変速機構2の減速回
転は、該副変速機構5により更に減速されて、出力ギヤ
16から出力する。
【0028】2速(2ND)状態では、フォワードクラ
ッチC1に加えて、第2のブレーキB2(及び第1のブ
レーキB1)が作動し、更に、第2のワンウェイクラッ
チF2から第1のワンウェイクラッチF1に作動が切換
わり、かつ第5のブレーキB5が係止状態に維持されて
いる。この状態では、サンギヤS2が第2のブレーキB
2及び第1のワンウェイクラッチF1により停止され、
従って入力軸3からフォワードクラッチC1を介して伝
達されたシンプルプラネタリギヤのリングギヤR1の回
転は、ダブルピニオンプラネタリギヤのリングギヤR2
を正方向に空転させながらキャリヤCRを正方向に減速
回転する。更に、該減速回転は、カウンタギヤ18,1
7を介して副変速機構5に伝達される。即ち、主変速機
構2は2速状態となり、副変速機構5は、第5のブレー
キB5の係合により1速状態にあり、この2速状態と1
速状態が組合されて、自動変速機1全体で2速が得られ
る。なおこの際、第1のブレーキB1も作動状態とな
る。
【0029】3速(3RD)状態では、フォワードクラ
ッチC1、第2のブレーキB2及び第1のワンウェイク
ラッチF1並びに第1のブレーキB1はそのまま係合状
態に保持され、第5のブレーキB5の係止が解放される
と共に第4のブレーキB4が係合する。即ち、主変速機
構2はそのままの状態が保持されて、上述した2速時の
回転がカウンタギヤ18,17を介して副変速機構5に
伝えられ、そして副変速機構5では、第1のシンプルプ
ラネタリギヤのリングギヤR3からの回転がそのサンギ
ヤS3及びサンギヤS4の固定により2速回転としてキ
ャリヤCR3から出力し、従って主変速機構2の2速と
副変速機構5の2速で、自動変速機1全体で3速が得ら
れる。
【0030】4速(4TH)状態では、主変速機構2
は、フォワードクラッチC1、第2のブレーキB2及び
第1のワンウェイクラッチF1並びに第1のブレーキB
1が係合した上述2速及び3速状態と同じであり、副変
速機構5は、第4のブレーキB4を解放すると共にUD
ダイレクトクラッチC3が係合する。この状態では、第
1のシンプルプラネタリギヤのキャリヤCR3とサンギ
ヤS3,S4が連結して、プラネタリギヤ10,11が
一体回転する直結回転となる。従って、主変速機構2の
2速と副変速機構5の直結(3速)が組合されて、自動
変速機全体で、4速回転が出力ギヤ16から出力する。
【0031】5速(5TH)状態では、フォワードクラ
ッチC1及びダイレクトクラッチC2が係合して、入力
軸3の回転がシンプルプラネタリギヤのリングギヤR1
及びサンギヤS1に共に伝達されて、主変速機構2は、
ギヤユニットが一体回転する直結回転となる。この際、
第1のブレーキB1が解放されかつ第2のブレーキB2
は係合状態に保持されるが第1のワンウェイクラッチF
1が空転することにより、サンギヤS2は空転する。ま
た、副変速機構5は、UDダイレクトクラッチC3が係
合した直結回転となっており、従って主変速機構2の3
速(直結)と副変速機構5の3速(直結)が組合され
て、自動変速機全体で、5速回転が出力ギヤ16から出
力する。
【0032】更に、本自動変速機は、加速等のダウンシ
フト時に作動する中間変速段、即ち3速ロー及び4速ロ
ーがある。
【0033】3速ロー状態は、フォワードクラッチC1
及びダイレクトクラッチC2が接続し(第2ブレーキB
2が係合状態にあるがワンウェイクラッチF1によりオ
ーバランする)、主変速機構2はプラネタリギヤユニッ
ト15を直結した3速状態にある。一方、第5のブレー
キB5が係止して副変速機構5は1速状態にあり、従っ
て主変速機構2の3速状態と副変速機構5の1速状態が
組合されて、自動変速機1全体で、前述した2速と3速
との間のギヤ比となる変速段が得られる。
【0034】4速ロー状態は、フォワードクラッチC1
及びダイレクトクラッチC2が接続して、主変速機構2
は、上記3速ロー状態と同様に3速(直結)状態にあ
る。一方、副変速機構5は、第4のブレーキB4が係合
して、第1のシンプルプラネタリギヤ10のサンギヤS
3及び第2のシンプルプラネタリギヤ11のサンギヤS
4が固定され、2速状態にある。従って、主変速機構2
の3速状態と副変速機構5の2速状態が組合されて、自
動変速機1全体で、前述した3速と4速との間のギヤ比
となる変速段が得られる。
【0035】なお、図2において点線の丸印は、コース
ト時エンジンブレーキの作動状態を示す。即ち、1速
時、第3のブレーキB3が作動して第2のワンウェイク
ラッチF2のオーバランによるリングギヤR2の回転を
阻止する。また、2速時、3速時及び4速時は、第1の
ブレーキB1が作動して第1のワンウェイクラッチF1
のオーバランによるサンギヤS1の回転を阻止する。
【0036】また、R(リバース)レンジにあっては、
ダイレクトクラッチC2及び第3のブレーキB3が係合
すると共に、第5のブレーキB5が係合する。この状態
では、入力軸3の回転はダイレクトクラッチC2を介し
てサンギヤS1に伝達され、かつ第3のブレーキB3に
よりダブルピニオンプラネタリギヤのリングギヤR2が
停止状態にあるので、シンプルプラネタリギヤのリング
ギヤR1を逆転方向に空転させながらキャリヤCRも逆
転し、該逆転が、カウンタギヤ18,17を介して副変
速機構5に伝達される。副変速機構5は、第5のブレー
キB5に基づき第2のシンプルプラネタリギヤのキャリ
ヤCR4が逆回転方向にも停止され、1速状態に保持さ
れる。従って、主変速機構2の逆転と副変速機構5の1
速回転が組合されて、出力軸16から逆転減速回転が出
力する。
【0037】図1は、電気制御系を示すブロック図で、
21は、マイクロコンピュータ(マイコン)からなる電
子制御部(ECU)で、電子制御部21には、エンジン
回転数センサ26、エンジン制御部27及びシフト指示
手段であるシフトレバー装置70が接続している。制御
部21は、オーバーレブ変速制御部53、変速実行部6
2、手動変速制御部63及び自動変速制御部65を有し
ている。
【0038】シフトレバー装置70は、図中右方に形成
された、P−R−N−D−3−2レンジからなる自動変
速モード部70a及び、現在選択されているギヤ段に対
してアップシフトを指示する「+」レンジと現在選択さ
れているギヤ段に対してダウンシフトを指示する「−」
レンジとからなる手動変速モード部70bを有してお
り、自動変速モード部70aと手動変速モード部70b
は、Dレンジと、+レンジと−レンジとの中間の待機位
置70cとの間を接続する接続溝70dで接続されてい
る。運転者が操作自在な変速レバー70eは自動変速モ
ード部70aと手動変速モード部70bとの間を接続溝
70dを介して図中左右方向にも移動自在に設けられて
いる。また、自動変速モード部70aでは、運転者が所
望のレンジに変速レバー70eを図中上下方向に移動さ
せることにより位置決めし、自動変速制御部65を介し
て変速実行部62が図示しない変速マップなどに基づい
て自動変速制御を行う。この場合、運転者は、アップシ
フト及びダウンシフトを電子制御装置9に対して指示す
る必要はない自動変速モードとなる。
【0039】また、変速レバー70eは、手動変速モー
ド部70bでは、図示しない付勢手段により待機位置7
0cに保持されており、運転者が車両の走行状態からギ
ヤ段を、現在選択されているギヤ段に対してダウンシフ
トしたい場合には変速レバー70eを−レンジ側に移動
させ、運転者が車両の走行状態からギヤ段を、現在選択
されているギヤ段に対してアップシフトしたい場合には
変速レバー70eを+レンジ側に移動させる。変速レバ
ー70eは、付勢手段により待機位置70cに付勢され
ているので、運転者が変速レバー70eを+又は−レン
ジに移動させても、直ちに待機位置70cに戻るように
駆動される。
【0040】手動変速モード部70bで変速レバー70
eが、+又は−レンジに移動させられると、シフトレバ
ー装置70からは手動シフト信号S1が手動変速制御部
63に出力され、手動変速制御部63はこれを受けて、
変速実行部62に対して、ギヤ段を現在選択されている
ギヤ段に対して1段アップ又はダウンシフトさせるよう
に指令し、変速実行部62は当該指令を実行する。
【0041】ついで、図4に沿って、シフトレバー装置
70の変速レバー70eが手動変速モード部70bにあ
り、運転者のスロットル操作により、エンジン回転数N
eが所定の回転数(レブリミット回転数)付近にまで増
大した場合について説明する。
【0042】まず、エンジン制御部27がエンジン回転
数センサ26からの信号により、エンジン回転数Ne
が、所定の回転数(レブリミット回転数)以上になった
と判断すると、時点T1で、エンジンに対する供給燃料
を遮断する、フューエルカット制御を開始する。する
と、エンジンの出力トルクEtは、時点T1から所定量
低下し、エンジンの出力軸回転がそれ以上増加しないよ
うに制御される。この状態を、本発明ではオーバレーブ
状態であるとする。
【0043】この状態では、運転者は、シフトレバー装
置70の変速レバー70eを、手動変速モード部70b
で(+)側に操作してアップシフトすることが望ましい
が、運転者が必ずしもアップシフトを行うとは限らない
ので、制御部21は、フューエルカット制御が開始され
た時点で、図5に示す自動アップシフト制御プログラム
PRO1を実行する。
【0044】自動アップシフト制御プログラムPRO1
は、ステップS1で運転者が変速レバー70eを操作し
て手動変速でアップシフトしたたか否かを判定し、運転
者が変速レバー70eを操作して手動変速でアップシフ
トした場合には、ステップS7に入り、変速実行部62
に対して、直ちにアップシフト動作を指令し、アップシ
フトを行う。これにより、エンジン回転数Neは、アッ
プシフトにより低下するので、オーバーレブの状態は解
除される。
【0045】運転者が変速レバー70eを操作して手動
変速でアップシフトしていない場合には、ステップS2
に入り、現在のエンジン回転数Neが、所定の回転数
(レブリミット回転数)以上になっているか否かを判定
し、現在のエンジン回転数Neが、レブリミット回転数
未満の場合には、ステップS6でタイマCnt Limtを0に
して、自動アップシフト制御プログラムPRO1を終了
する。
【0046】ステップS2で、現在のエンジン回転数N
eが、レブリミット回転数以上の場合には、ステップS
3に入り、フューエルカット制御が開始された時点T1
からタイマCnt Limtをスタートさせる。その後、ステッ
プS4で、再度現在のエンジン回転数Neが、所定の回
転数(レブリミット回転数)以上を継続しているか否か
を判定し、エンジン回転数Neが、レブリミット回転数
未満に下がった場合(運転者が、スロットルを操作し
て、エンジン回転数を低下させたり、変速レバー70e
を操作してアップシフトした場合など)には、オーバー
レブ状態は解除されるので、自動アップシフト制御プロ
グラムPRO1を終了する。また、エンジン回転数Ne
が、相変わらずレブリミット回転数以上の場合には、ス
テップS5に入り、タイマCnt Limtが、所定制限時間Ti
me Up Guardを越えているか否かを判定する。
【0047】即ち、オーバーレブ変速制御部53は、タ
イマCnt Limtが、所定制限時間Time Up Guardに達する
までの間、運転者がアクセルを戻してスロットル開度を
低下させたり、変速レバー70eを操作してアップシフ
トをするなどの、何らかのエンジン回転数を低下させる
処置を取ることを待つ。こうすることにより、運転者が
フューエルカット制御の開始により、エンジンがオーバ
ーレブの状態になっていることを認識して、自らの意思
でアクセルを戻したり、変速レバー70eを操作してア
ップシフトをするなどの対応する処置が可能となり、強
制的に自動アップシフトを行う場合に比して、違和感無
く運転動作を継続することが出来る。
【0048】なお、フューエルカット制御は、タイマCn
t Limitを開始して、運転者のエンジン回転数低下処置
を待つ制御とは独立しており、必ずしも、運転者のエン
ジン回転数低下処置を待つ制御中にフューエルカット制
御が行われている必要はない。
【0049】しかし、運転者が何らの対応処置を取らな
いまま、タイマCnt Limtが所定制限時間Time Up Guard
を越えた場合には、このまま放置すると、エンジンの耐
久性が低下する恐れがあるため、ステップS5からステ
ップS7に入り、制御部21は変速実行部62に対して
アップシフトを指令し、変速実行部62は、図4の時点
T2で、強制的に自動アップシフト動作を開始し、エン
ジン回転数がオーバーレブ状態となることを防止する。
【0050】アップシフト動作は、例えば、1速から2
速へのアップシフトの場合、ブレーキB2が係合される
ことにより行われる。ブレーキB2は、図4に示すよう
に、制御部21の変速判断に基づき、第2のブレーキB
2用油圧サーボ(図示せず)への油圧Pが所定圧Ps
1になるように所定信号圧が出力される。
【0051】該所定圧Ps1は、油圧サーボの油圧室を
満たしてガタ詰めを行うために必要な油圧に設定されて
おり、所定時間tSAの間保持される。所定時間tSA
が経過すると、係合側油圧Pはスイープダウンし、係
合側油圧Pが所定低圧Ps2になると該スイープダウ
ンが停止され、該所定低圧Ps2に保持される。該所定
低圧Ps2は、計時tが所定時間tSB経過するまで保
持される。
【0052】次に、変速実行部62は、図4に示すよう
に、係合側油圧Pを、予め設定されている所定勾配か
らなる油圧δPによりスイープアップし、時点T3ま
で所定時間のスイープアップが続けらた後、油圧δP
よりもなだらかな勾配の油圧δPで時点T5まで所定
時間のスイープアップが続けられ、時点T5で変速実行
部62による変速終了判断がなされ、ブレーキB2の係
合が完了し油圧はより高い保持圧Pに保持され、1→
2アップシフト変速が完了する。
【0053】なお、エンジントルクEtは、時点T1の
フューエルカット制御開始により、所定量強制的に低下
されるが、自動アップシフト制御プログラムPRO1の
ステップS5で、運転者が何らのエンジン回転数低下処
置も取らずにスロットル開度を維持し続けて、タイマCn
t Limitがタイムアップして自動アップシフトがおこな
われた場合には、運転者が操作するスロットルの開度は
下がっておらず、従って、運転者の要求エンジントルク
(リクエストトルク)は、図4の点線で示すように、時
点T1から変化しない状態が継続することとなる。
【0054】こうした場合、フューエルカット制御を行
わない通常のアップシフトの場合には、変速機の出力ト
ルクTtは、時点T1から変化することはなく、摩擦係
合要素(例えば、ブレーキB2)への油圧がスイープア
ップされる時点T6から低下が開始され、変速による回
転変化が開始される時点T3以降から上昇する。この
時、変速終了判断がなされる時点T5までの間にシフト
ショックが生じることを防止するために、エンジントル
クEt(リクエストトルクと一致している)を、所定量
TDだけ低下させるトルクリダクショ制御が従来から行
われている。トルクリダクション制御により、図4に示
すように、変速機の出力トルクTtの大きな変動が防止
され、シフトショックの発生を防止することが出来る。
【0055】しかし、エンジンの出力トルクEtが、フ
ューエルカット制御により低下している場合には、運転
者のリクエストトルクとの乖離DFが大きくなり、時点
T3でトルクリダクション制御が行われたとしても、依
然として大きな差DF1が存在することとなる。その状
態で、エンジン回転数Neが、アップシフトにより低下
して、所定の回転数(レブリミット回転数)よりも低く
設定された回転数まで低下した時点T4で該フューエル
カット制御が停止されると、該時点T4から再度エンジ
ンに燃料が供給されるようになる。すると、エンジンの
出力トルクEtは、時点T4からトルクリダクション制
御による、リクエストトルクよりも所定量TDだけ少な
い目標エンジントルクEt1に向けて急激に増大し、変
速機出力トルクTtは、トルクTt1に示すように、大
きく変動し、大きな変速ショックが生じる。
【0056】こうした事態の発生を防止するために、オ
ーバーレブ変速制御部53及びエンジン制御部27は、
図6に示す、トルクリミテーション制御プログラムPR
O2を実行して、フューエルカット制御が停止されて、
燃料が再度エンジンに供給された際に、エンジントルク
Etが滑らかに上昇するようにエンジントルクEtを制
御する。
【0057】即ち、トルクリミテーション制御プログラ
ムPRO2は、ステップS11で、フューエルカット制
御が行われていることを確認し、ステップS12で更
に、アップシフトの変速判断がなされているか否かを判
断する。図4の場合、時点T1でフューエルカット制御
が開始され、時点T2でアップシフトの変速判断がなさ
れているので、ステップS13に入り、時点T4で、フ
ューエルカット制御の停止を確認したところで、ステッ
プS14にはいる。
【0058】ステップS14では、現在の時点が、アッ
プシフトの変速終了判断が出される時点T5以前である
か否かを判定し、アップシフトの変速終了判断が出され
る時点T5以前の場合には、ステップS15に入り、変
速終了判断が行われる時点T5までの時間を演算して、
時点T5でエンジンの出力トルクEtが、トルクリダク
ション制御により運転者のリクエストトルクよりも所定
量TDだけ低下した目標エンジントルクEt1となるよ
うに、スイープアップの勾配Tend Sweepを演算し、エン
ジン制御部27は、フューエルカット制御が停止された
時点T4から変速終了判断が出される時点T5まで、該
演算された勾配Tend Sweepでエンジンの出力トルクEt
をゆっくりと上昇させる。
【0059】すると、変速機の出力トルクTt3は、図
4一点鎖線で示すように、フューエルカット制御終了時
からなだらかに上昇する形となり、急激なトルク変動が
防止され、シフトショックの発生は防止される。
【0060】こうして、勾配Tend Sweepでのスイープア
ップを行って、時点T5で、エンジントルクが目標エン
ジントルクEt1に達して、アップシフト動作における
摩擦係合要素の変速終了判断がなされる(ステップS1
6)と、ステップS17に入り、エンジン制御部27
は、タイマCntをスタートさせ、ステップS18及びS
19で、エンジントルクEtを、現在の運転者のリクエ
ストトルクにまで、所定の時間last Sweep timeでスイ
ープアップさせて、円滑にエンジントルクEtを運転者
のリクエストトルクに到達させる。これにより、変速機
の出力トルクTt3は、図4一点鎖線で示すように、ア
ップシフトにおいても円滑に変化する形となり、急激な
トルク変動が防止され、シフトショックの発生は防止さ
れる。
【0061】また、手動変速指令を出力する手動変速指
令出力手段は、変速レバー70eに限らず、変速スイッ
チなどの電気的なスイッチにより構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用しうる自動変速機の機構部分を示
すスケルトン図。
【図2】その摩擦係合要素の作動を示す図。
【図3】本発明に係わる電子制御部を示すブロック図。
【図4】オーバーレブに際したフューエルカット制御に
おける、エンジントルク、エンジン回転数、摩擦係合要
素の油圧及び変速機の出力トルクを示すタイムチャー
ト。
【図5】自動アップシフト制御プログラムの一例を示す
フローチャート。
【図6】トルクリミテーション制御プログラムの一例を
示すフローチャート。
【符号の説明】
1……制御装置(電子制御部) 27……トルクリミテーション制御手段、フューエルカ
ット制御手段オーバーレブ判定手段(エンジン制御部) 53……トルクリミテーション制御手段、オーバーレブ
変速制御手段(オーバーレブ変速制御部) 70……シフト指示手段(シフトレバー装置) PRO1……オーバーレブ変速制御手段(自動アップシ
フト制御プログラム) PRO2……トルクリミテーション制御手段(トルクリ
ミテーション制御プログラム) Ne……エンジン回転数 Et……エンジントルク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 41/22 310 F02D 41/22 310E 330 330S 41/32 41/32 D // F16H 59:08 F16H 59:08 59:24 59:24 59:42 59:42 (72)発明者 塚本 泰雄 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内 Fターム(参考) 3D041 AA53 AB01 AC15 AD02 AD31 AE03 AE08 AE32 AF01 3G093 AA01 BA03 BA06 CA11 DA01 DB11 EA01 EB03 EC01 FA04 FB03 3G301 JA04 KA25 KB10 LA01 LB01 MA11 ND02 NE22 PA11Z PE01Z PF07Z 3J552 MA02 MA12 MA17 MA22 NA01 NB01 PA02 PA23 RA12 RC09 SA03 SA09 SA10 SB09 TB12 UA09 VA68W VA76W VC01W VD17W

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 運転者がアップシフト及びダウンシフト
    を指示する必要のない自動変速モード及び運転者がアッ
    プシフト及びダウンシフトを指示することの出来る手動
    変速モードを有するシフト指示手段が設けられた、自動
    変速機の制御装置において、 前記手動変速モード時に、エンジン回転数が所定限界回
    転数以上になっているか否かを判定するオーバーレブ判
    定手段を設け、 前記オーバーレブ判定手段により、エンジン回転数が所
    定限界回転数以上になっているものと判定された場合
    に、運転者によるエンジン回転数低下処置の実行を所定
    時間だけ待ち、前記所定時間内に運転者によるエンジン
    回転数低下処置が取られなかった場合に、強制的にアッ
    プシフトの変速を実行するオーバーレブ変速制御手段を
    設けて構成した、自動変速機のマニュアル変速制御装
    置。
  2. 【請求項2】 前記エンジン回転数低下処置は、運転者
    によるアップシフト動作である、請求項1記載の自動変
    速機のマニュアル変速制御装置。
  3. 【請求項3】 前記エンジン回転数低下処置は、運転者
    によるスロットル開度の低下動作である、請求項1記載
    の自動変速機のマニュアル変速制御装置。
  4. 【請求項4】 前記オーバーレブ判定手段により、エン
    ジン回転数が所定限界回転数以上になっているものと判
    定された場合に、エンジンへの燃料供給をカットするフ
    ューエルカット制御手段を設けて構成した、請求項1記
    載の自動変速機のマニュアル変速制御装置。
  5. 【請求項5】 前記オーバーレブ変速制御手段による強
    制的なアップシフトに際して、前記フューエルカット制
    御手段によるエンジンへの燃料供給カットが中止された
    際に、エンジントルクをフューエルカット時のトルクか
    ら運転者のリクエストトルクまで所定勾配でスイープア
    ップさせるトルクリミテーション制御を行う、トルクリ
    ミテーション制御手段を設けて構成した、請求項4記載
    の自動変速機のマニュアル変速制御装置。
  6. 【請求項6】 前記トルクリミテーション制御手段によ
    るトルクリミテーション制御は、複数種類のスイープア
    ップの勾配で行うことを特徴とする、請求項5記載の自
    動変速機のマニュアル変速制御装置。
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