JP6927129B2 - 動力伝達装置の制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は、動力伝達装置の制御装置に関する。
特許文献1には、ロックアップクラッチ付きのトルクコンバータを備えた動力伝達装置に適用され、トルクコンバータが駆動状態にある時にロックアップクラッチの差回転を正の値に制御する加速フレックス制御を実行する制御装置が開示されている。
ところで、加速フレックス制御では、車内こもり音等のNV(騒音および振動)の低減や発生抑制を満たすために、ロックアップクラッチの目標差回転は高い値になっている。しかしながら、目標差回転が高い加速フレックス制御を継続すると、ロックアップクラッチの状態は高差回転状態に保たれ、ロックアップクラッチでの発熱が大きくなってしまう。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであって、車内こもり音等の騒音および振動を考慮しつつ加速フレックス制御時のロックアップクラッチの差回転を低差回転化することが可能な動力伝達装置の制御装置を提供することを目的とする。
本発明は、エンジンの出力トルクを変速機に伝達するトルクコンバータと、トルクコンバータの入力部材と出力部材とを直結可能なロックアップクラッチと、を備える動力伝達装置に適用され、車両加速時にロックアップクラッチの差回転を目標差回転に制御する加速フレックス制御を実行する制御装置であって、加速フレックス制御を実行する際の目標差回転として、第1目標差回転と、第1目標差回転よりも低差回転の第2目標差回転とを設定する差回転制御手段を備え、差回転制御手段は、第1目標差回転に基づいて第2目標差回転の初期値を決定し、加速フレックス制御を開始後に所定時間経過すると、第2目標差回転を初期値から段階的に大きくして第1目標差回転に近づけるように変化させることを特徴とする。
本発明では、加速フレックス制御時に低差回転の第2目標差回転を設定でき、加速フレックス制御の目標差回転が低差回転となる。また、加速フレックス制御開始後、第2目標差回転を段階的に大きくしていくため、こもり音が問題とならない時間範囲内での制御実施となり、振動および騒音を考慮したうえで低差回転化を図れる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態における動力伝達装置の制御装置について具体的に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
図1は、実施形態の動力伝達装置を搭載した車両の概略構成を示す説明図である。車両Veは、動力源であるエンジン1を搭載し、エンジン1と駆動輪(図示せず)との間で動力伝達経路を形成する動力伝達装置2を備える。動力伝達装置2は、トルクコンバータ21と、自動変速機22と、自動変速機22の出力部材に連結された減速ギヤ機構(図示せず)と、減速ギヤ機構に連結されたデファレンシャルギヤ(図示せず)と、ドライブシャフト(図示せず)とを備える。エンジン1から出力された動力は、トルクコンバータ21、自動変速機22、減速ギヤ機構、デファレンシャルギヤ、ドライブシャフトの順に伝達して駆動輪へ伝達される。
エンジン1は、走行用動力源であり、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の公知の内燃機関である。このエンジン1は、電子制御装置(ECU)3によって吸入空気量、燃料供給量、点火時期等の運転状態が制御される。なお、電子制御装置3の詳細構成については後述する。
図2は、自動変速機22の一例を示すスケルトン図である。トルクコンバータ21や自動変速機22などは、自動変速機22の入力回転部材である変速機入力軸23の軸心RCに対して略対称的に構成されている。
トルクコンバータ21は、エンジン1と自動変速機22との間の動力伝達経路において、軸芯RC回りに回転するように配置された流体伝動装置である。図2に示すように、トルクコンバータ21はポンプインペラ21pおよびタービンランナ21tを有する。ポンプインペラ21pは、トルクコンバータ21の入力部材であり、エンジン1のクランクシャフトに連結されている。タービンランナ21tは、トルクコンバータ21の出力部材であり、変速機入力軸23に連結されている。この変速機入力軸23はタービン軸であり、トルクコンバータ21(またはロックアップクラッチLC)の出力軸として機能する。さらに、トルクコンバータ21は、ポンプインペラ21pとタービンランナ21tとを連結する直結クラッチとしてロックアップクラッチLCを備える。また、動力伝達装置2は、ポンプインペラ21pに連結された機械式オイルポンプ24を備える。機械式オイルポンプ24は、エンジン1によって駆動され、オイルパン等から吸入した作動油を吐出する。機械式オイルポンプ24から吐出された作動油は、自動変速機22の変速制御やロックアップクラッチLCの作動状態の切替制御を実施する際に用いられ、あるいは動力伝達装置2の潤滑必要部位に潤滑油として供給される。機械式オイルポンプ24は油圧制御回路4の油圧供給源として機能する。
自動変速機22は、エンジン1と駆動輪との間の動力伝達経路の一部を構成する有段式の自動変速機である。図2に示すように、自動変速機22は、ダブルピニオン型の第1遊星歯車装置25と、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置26と、ダブルピニオン型の第3遊星歯車装置27とを同軸線上(軸心RC上)に有する、遊星歯車式の多段変速機である。第2遊星歯車装置26と第3遊星歯車装置27とによりラビニヨ型の遊星歯車装置が構成されている。第1遊星歯車装置25は第1変速部(主変速部)として機能する。上述したラビニヨ型の遊星歯車装置は第1変速部の下流側に配置された第2変速部(副変速部)として機能する。さらに、自動変速機22は、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2の複数の係合装置(以下、特に区別しない場合は単に「係合装置CB」という)を備えている。
第1遊星歯車装置25は、第1サンギヤS1と、互いに噛み合う複数対の第1ピニオンギヤP1a,P1bと、第1ピニオンギヤP1a,P1bを自転可能かつ公転可能に支持する第1キャリアCA1と、第1ピニオンギヤP1a,P1bを介して第1サンギヤS1と噛み合う第1リングギヤR1とを備える。第2遊星歯車装置26は、第2サンギヤS2と、第2ピニオンギヤP2と、第2ピニオンギヤP2を自転可能かつ公転可能に支持するキャリアRCAと、第2ピニオンギヤP2を介して第2サンギヤS2と噛み合うリングギヤRRとを備える。第3遊星歯車装置27は、第3サンギヤS3と、互いに噛み合う複数対の第3ピニオンギヤP3a,P3bと、第3ピニオンギヤP3a,P3bを自転可能かつ公転可能に支持するキャリアRCAと、第3ピニオンギヤP3a,P3bを介して第3サンギヤS3と噛み合うリングギヤRRとを備えている。ラビニヨ型である第2遊星歯車装置26と第3遊星歯車装置27においては、ロングピニオンギヤの第3ピニオンギヤP3bと第2ピニオンギヤP2が共通化され、かつキャリアRCAおよびリングギヤRRが共通化されている。
係合装置CBは、油圧式の摩擦係合装置であり、油圧アクチュエータにより押圧される湿式多板型のクラッチやブレーキにより構成されている。係合装置CBは、油圧制御回路4に含まれる複数のソレノイドバルブなどから各々出力される係合圧としての油圧に応じてトルク容量がそれぞれに変化させられることで、それぞれの作動状態が切り替えられる。自動変速機22では、各遊星歯車装置25,26,27の回転要素同士が係合装置CBによって接続または解放され、あるいは選択的に固定される。
詳細には、第1サンギヤS1はケースに連結されて固定されている。第1キャリアCA1は変速機入力軸23に連結されている。第1キャリアCA1と第2サンギヤS2とは、第4クラッチC4を介して選択的に連結される。第1リングギヤR1と第3サンギヤS3とは、第1クラッチC1を介して選択的に連結される。第2サンギヤS2は第1ブレーキB1を介してケースに選択的に連結される。キャリアRCAは、第2クラッチC2を介して変速機入力軸23に選択的に連結される。さらに、キャリアRCAは、第2ブレーキB2を介してケースに選択的に連結される。また、リングギヤRRは、自動変速機22の出力部材である出力ギヤ28に連結されている。出力ギヤ28は、図示しない減速ギヤ機構のカウンタドリブンギヤと噛み合っている。
自動変速機22は、電子制御装置3により運転者のアクセル操作や車速等に応じて係合装置CBのうちのいずれかが選択的に係合されることで、変速比γの異なる複数の変速段が選択的に形成される有段変速機である。自動変速機22は、例えば図3に示す係合作動表のように、第1速ギヤ段「1st」−第8速ギヤ段「8th」の8つの前進ギヤ段および後進ギヤ段「Rev」の各ギヤ段(各変速段)が選択的に形成される。各変速段に対応する自動変速機22の変速比γは、第1遊星歯車装置25、第2遊星歯車装置26、および第3遊星歯車装置27の各歯車比(=サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)によって適宜定められる。第1速ギヤ段「1st」の変速比γが最も大きく、高車速側(第8速ギヤ段「8th」側)ほど変速比γが小さくなる。
図3に示す図表は、自動変速機22にて形成される各変速段と係合装置CBの各作動状態との関係をまとめたものである。図3において、「○」は係合、空欄は解放をそれぞれ表している。図3に示すように、前進ギヤ段では、第1クラッチC1と第2ブレーキB2とが係合することによって第1速ギヤ段「1st」が成立させられる。第1クラッチC1と第1ブレーキB1とが係合することによって第2速ギヤ段「2nd」が成立させられる。第1クラッチC1と第3クラッチC3とが係合することによって第3速ギヤ段「3rd」が成立させられる。第1クラッチC1と第4クラッチC4とが係合することによって第4速ギヤ段「4th」が成立させられる。第1クラッチC1と第2クラッチC2とが係合することによって第5速ギヤ段「5th」が成立させられる。第2クラッチC2と第4クラッチC4とが係合することによって第6速ギヤ段「6th」が成立させられる。第2クラッチC2と第3クラッチC3とが係合することによって第7速ギヤ段「7th」が成立させられる。第2クラッチC2と第1ブレーキB1とが係合することによって第8速ギヤ段「8th」が成立させられる。また、第3クラッチC3と第2ブレーキB2とが係合することによって後進ギヤ段「Rev」が成立させられる。さらに、係合装置CBをいずれも解放することによって自動変速機22はニュートラル状態となる。
図1に戻る。車両Veは、車両Veを制御するコントローラとしての電子制御装置3を備える。電子制御装置3は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェースなどを備えたマイクロコンピュータを含んで構成されたECUである。
電子制御装置3には、車両Veに搭載された各種センサ等からの信号が入力される。各種センタには、車速センサ、エンジン回転数センサ、入力回転数センサ、出力回転数センサ、アクセル開度センサ、スロットル弁開度センサ、ブレーキスイッチ、シフトポジションセンサ、油温センサなどが含まれる。車速センサは車速を検出する。エンジン回転数センサはエンジン回転数(クランクシャフトの回転速度)を検出する。入力回転数センサはタービン回転数(タービン軸である変速機入力軸23の回転速度)を検出する。出力回転数センサは出力ギヤ28の回転速度(自動変速機22の出力回転速度)を検出する。アクセル開度センサはアクセルペダルの操作量であるアクセル開度を検出する。スロットル弁開度センサは電子スロットル弁の開度(スロットル弁開度)を検出する。ブレーキスイッチはホイールブレーキを作動させるためのブレーキペダルが運転者により踏み込まれたことを検出する。シフトポジションセンサは「P」,「R」,「N」,「D」などのシフトレバーの操作位置(シフトポジション)を検出する。油温センサは油圧制御回路4内の作動油の温度を検出する。
電子制御装置3は各種センサからの入力信号に基づいて自動変速機22の変速制御や油圧制御回路4の油圧制御等を実施して車両Veを制御する。この電子制御装置3からは車両Veに搭載された制御対象の各装置に指令信号が出力される。例えばエンジン1を制御する際、電子制御装置3からエンジン1にはエンジン制御指令信号が出力される。また、係合装置CBを制御する際、電子制御装置3から油圧制御回路4には係合装置CBの作動状態を制御するための油圧指令信号が出力される。この油圧指令信号は、係合装置CBの各々の油圧アクチュエータ(油室)に供給される油圧(係合圧)を調圧する各ソレノイドバルブを駆動するための指令信号である。なお、電子制御装置3は必要に応じてエンジン制御用ECUや油圧制御用ECUなどに分けられて構成されてもよい。
さらに、電子制御装置3は、ロックアップクラッチLCを、解放状態、スリップ状態(半係合状態)、係合状態(完全係合状態)に制御するロックアップ制御を実施する。ロックアップクラッチLCは、電子制御装置3によって油圧制御回路4を介してロックアップ差圧が制御される。例えば、ロックアップ差圧が負とされてロックアップクラッチLCが解放されるロックアップ解放状態(ロックアップオフ)と、ロックアップ差圧が零以上とされてロックアップクラッチLCが滑りを伴って半係合されるロックアップスリップ状態(スリップ状態)と、ロックアップ差圧が最大値とされてロックアップクラッチLCが完全係合されるロックアップ状態(ロックアップオン)とのうちのいずれかの作動状態に切り替えられる。
さらに、電子制御装置3が実施するロックアップクラッチLCのスリップ制御(ロックアップクラッチLCをスリップ状態に保持する制御)には、アクセル開度がゼロである時にロックアップクラッチLCの差回転(エンジン回転数−タービン回転数)を負の値に制御する減速フレックス制御(減速フレックスロックアップ制御)と、アクセル開度がゼロより大きい時にロックアップクラッチLCの差回転を正の値に制御する加速フレックス制御(加速フレックスロックアップ制御)とが含まれる。この電子制御装置3は、ロックアップクラッチLCのスリップ制御を実行する差回転制御部を有する。アクセル開度がゼロより大きい時には、車両Veの加速時が含まれる。
加速フレックス制御(差回転制御)を実行するシチュエーション(実行条件)としては、アップシフト後、ダウンシフト後、アクセルOFFからアクセルONに切り替わった場合が挙げられる。アップシフト後は、アップシフトによってエンジン回転数が下がり、差回転領域となる。ダウンシフト後は、アクセルペダルの踏み込みによって入力トルクが増大し、差回転領域となる。アクセルOFFからアクセルONに切り替わった場合、アクセルOFFの被駆動状態からアクセルペダルをONして駆動状態に遷移し、差回転領域となる。
また、加速フレックス制御では、ロックアップクラッチLCの差回転の目標値として、車両Veの騒音および振動(NV)の目標に沿った差回転である第1目標差回転(無限目標差回転)と、第1目標差回転よりも低差回転化した差回転である第2目標差回転(有限目標差回転)と、を設定して制御が実行される。電子制御装置3の差回転制御部は加速フレックス制御を実行する際に第1目標差回転および第2目標差回転を設定する。なお、本発明の発明者は、車両Veの騒音および振動(NV)について、車内こもり音には許容可能な暴露時間が存在し、車両Veが加速状態にある場合には一定時間内であれば車内こもり音限界の許容範囲(限界時間)が広がることを知見した。そのため、本実施形態の加速フレックス制御では、低差回転の制御を実施することが可能な時間(低差回転の目標時間)を短時間だけ設定できるので、車内こもり音等の車両NVを満たし得る低差回転の第2目標差回転を設定することが可能である。
図4は、加速フレックス制御の制御フロー例を示すフローチャートである。図4に示す制御は電子制御装置3によって実行される。
図4に示すように、電子制御装置3は、加速フレックス制御を開始する(ステップS1)。ステップS1の処理は、上述した加速クレックス制御を実行するシチュエーションである、アップシフト後、ダウンシフト後、アクセルOFFからアクセルONに切り替わった場合に実施される。
また、電子制御装置3は、第1目標差回転(無限目標差回転)に基づいて、第2目標差回転(有限目標差回転)の初期値を決定する(ステップS2)。この初期値は、加速フレックス制御を開始直後の目標差回転である。ステップS2では、第1目標差回転が小さい場合には第2目標差回転の初期値を小さい値に決定し、第1目標差回転が大きい場合には第2目標差回転の初期値を大きい値に決定する。例えば、第1目標差回転が所定値以下の場合には、第2目標差回転の初期値をゼロに決定し、第1目標差回転が所定値よりも大きい場合には、第2目標差回転の初期値をゼロよりも大きい値に決定することも可能である。このステップS2の処理は、後述する図5に示す処理1に対応する処理である。
電子制御装置3は、第2目標差回転(有限目標差回転)を時間経過とともに段階的に第1目標差回転(無限目標差回転)に戻していく制御を実施する(ステップS3)。ステップS3では、加速フレックス制御を開始してからの経過時間が所定時間(停滞時間)に到達すると、第2目標差回転を初期値(第1所定値)から、より高差回転側の所定値(第2所定値)に変化させる。そして、高差回転側の所定値(第2所定値)に制御された状態が所定時間経過すると、ステップS3では、第2目標差回転を、第2所定値よりもさらに高差回転側の所定値(第3所定値)に変化させる。このように、電子制御装置3の差回転制御部は、時間経過とともに、第2目標差回転を段階的に高差回転側に変化させて、第1目標差回転に戻す制御を実施する。このステップS3の処理は、後述する図5の処理2に対応する処理である。
ステップS3の処理を実施後、第2目標差回転(有限目標差回転)が第1目標差回転(無限目標差回転)へ到達するまでの時間が一定時間内となる(ステップS4)。
そして、車両NVの有限領域であるか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5では、ロックアップクラッチLCの差回転が第2目標差回転(有限目標差回転)に制御された制御状態であるか否かが判定される。
車両NVの有限領域でないことによりステップS5で否定的に判定された場合(ステップS5:No)、低差回転化の限界時間に到達し(ステップS6)、ロックアップクラッチLCの差回転を第1目標差回転(無限目標差回転)に沿って制御する差回転制御を継続する(ステップS7)。ステップS7の処理を実施すると、この制御ルーチンはステップS5にリターンする。
一方、車両NVの有限領域であることによりステップS5で肯定的に判定された場合(ステップS5:Yes)、ロックアップ解放前と判断し(ステップS8)、低差回転化の限界時間に到達したか否かを判定する(ステップS9)。この低回転化の限界時間は、車内こもり音が許容される時間として、第2目標差回転で制御することが可能な限界時間である。例えば、この限界時間(許容時間)は、現在の第2目標差回転の大きさに応じて異なる時間に設定される。現在の第2目標差回転が小さい場合(低差回転側の場合)には許容時間は短くなり、現在の第2目標差回転が大きい場合(高差回転側の場合)には許容時間は長くなる。これは、目標差回転が大きいほど車両NVの低減効果は大きいため、第2目標差回転が大きいほど許容時間は長くなる。また、自動変速機22の各ギヤ段における許容時間の係数を用いて低差回転の限界時間を設定してもよい。この係数は1以下の値であり、例えばタービン回転数が大きいほど1に近い値、かつ入力トルクが大きいほど1に近い値となる。そして、低差回転化の限界時間に到達していないことによりステップS9で否定的に判定された場合(ステップS9:No)、ステップS8にリターンする。
低差回転化の限界時間に到達したことによりステップS9で肯定的に判定された場合(ステップS9:Yes)、電子制御装置3は、ロックアップクラッチLCを解放するロックアップ解放制御を実施する(ステップS10)。ステップS10では、ロックアップクラッチLCをスリップ状態からロックアップ解放状態に遷移させるため、加速フレックス制御状態を終了する。ステップS10の処理を実施すると、この制御ルーチンは終了する。
図5は、加速フレックス制御を実行した際の目標差回転の変化を示すタイムチャート図である。図5には、第1目標差回転(無限目標差回転)の時間変化が太線で示され、第2目標差回転(有限目標差回転)の時間変化が細線で示されている。
図5に示すように、第1目標差回転(無限目標差回転)は、制御開始時の初期に高差回転に設定され、所定時間経過するまで初期の高差回転状態に維持されてから、所定時間経過後に徐々に差回転が小さくなるように変化する。この第1目標差回転に沿った制御が車両NVを十分に満足させることが可能な差回転制御となる。本実施形態の加速フレックス制御では、こもり音限界の許容時間内で第2目標差回転によってロックアップクラッチLCの差回転を制御する。まず、処理1として、第1目標差回転(無限目標差回転)から第2目標差回転(有限目標差回転)の初期値を決定する。次いで、処理2として、制御開始から所定の停滞時間経過後に、差回転を次のステップに広げる。処理2を実施することにより、第2目標差回転が高差回転側の値に変更される。そして、処理3Aとして、第2目標差回転(有限目標差回転)が上限である第1目標差回転の最大値に到達した場合はロックアップクラッチLCを解放する。処理2のように、時間経過ともに段階的に第2目標差回転を第1目標差回転側に近づけることにより、第1目標差回転の最大値に第2目標差回転が到達する。この場合に、処理3Aとして、ロックアップクラッチLCを解放し、またはダウンシフトを要求する。また、処理3Bとして、処理2を実施後に段階的に大きくなった第2目標差回転(有限目標差回転)が第1目標差回転(無限目標差回転)と一致した場合、第2目標差回転を用いた加速フレックス制御を終了する。この処理3Bが実施されるのは、上述した最大値よりも小さい値の第1目標差回転に第2目標差回転が到達した場合である。
以上説明した通り、実施形態によれば、加速フレックス制御時に、こもり音等を考慮しつつ、本来の差回転である第1目標差回転よりも低差回転化させることが可能である。さらに、こもり音の暴露時間の許容範囲内で低差回転の第2目標差回転に制御し、時間経過とともに段階的に第2目標差回転を高差回転側に変化させることができる。これにより、加速フレックス制御開始後、第2目標差回転を段階的に大きくしていくため、こもり音が問題とならない時間範囲内での制御実施となり、振動および騒音を考慮したうえで低差回転化を図れる。
また、低差回転の加速フレックス制御を実施することにより、ロックアップクラッチLCでの磨耗や発熱を抑制できる。さらに、アップシフト後に、第2目標差回転を用いた低差回転の加速フレックス制御を実施できることになり、エンジン回転変動や燃費ロスの発生を抑制することができる。
なお、上述した動力伝達装置2は一例であり、本発明はこれに限定されない。例えば、変速機は、上述した8速ATのような有段式の自動変速機に限らず、ベルト式無段変速機(CVT)であってもよい。さらに、動力伝達装置2は、図2に示すようなフロントエンジンフロントドライブ車(FF車)に搭載される動力伝達装置に限らず、フロントエンジンリアドライブ車(FR車)に搭載される動力伝達装置であってもよい。また、ロックアップクラッチLCは、多板式ロックアップクラッチであってもよい。
1 エンジン
2 動力伝達装置
3 電子制御装置(ECU)
4 油圧制御回路
21 トルクコンバータ
22 自動変速機
LC ロックアップクラッチ
2 動力伝達装置
3 電子制御装置(ECU)
4 油圧制御回路
21 トルクコンバータ
22 自動変速機
LC ロックアップクラッチ
Claims (1)
- エンジンの出力トルクを変速機に伝達するトルクコンバータと、前記トルクコンバータの入力部材と出力部材とを直結可能なロックアップクラッチと、を備える動力伝達装置に適用され、車両加速時に前記ロックアップクラッチの差回転を目標差回転に制御する加速フレックス制御を実行する制御装置であって、
前記加速フレックス制御を実行する際の前記目標差回転として、第1目標差回転と、前記第1目標差回転よりも低差回転の第2目標差回転とを設定する差回転制御手段を備え、
前記差回転制御手段は、前記第1目標差回転に基づいて前記第2目標差回転の初期値を決定し、前記加速フレックス制御を開始後に所定時間経過すると、前記第2目標差回転を前記初期値から段階的に大きくして前記第1目標差回転に近づけるように変化させる
ことを特徴とする動力伝達装置の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018071742A JP6927129B2 (ja) | 2018-04-03 | 2018-04-03 | 動力伝達装置の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018071742A JP6927129B2 (ja) | 2018-04-03 | 2018-04-03 | 動力伝達装置の制御装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2019183872A JP2019183872A (ja) | 2019-10-24 |
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