JP2001335627A - 光学用ポリカーボネート樹脂成形材料および該材料よりなる光ディスク基板 - Google Patents

光学用ポリカーボネート樹脂成形材料および該材料よりなる光ディスク基板

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JP2001335627A JP2000159999A JP2000159999A JP2001335627A JP 2001335627 A JP2001335627 A JP 2001335627A JP 2000159999 A JP2000159999 A JP 2000159999A JP 2000159999 A JP2000159999 A JP 2000159999A JP 2001335627 A JP2001335627 A JP 2001335627A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間にわたって高い信頼性を維持でき、か
つ、基板生産性を向上できる光学用ポリカーボネート樹
脂成形材料および光ディスク基板を提供する。 【解決手段】 置換基を有する単官能フェノール類含有
量が50ppm以下とを特徴とする光学用ポリカーボネ
ート樹脂成形材料および光ディスク基板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長期間にわたって
高い信頼性を維持でき、かつ、基板生産性を向上できる
光学用ポリカーボネート樹脂成形材料および光ディスク
基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】レーザ光の照射により情報の記録・再生
をおこなう光ディスクとしては、デジタルオーディオデ
ィスク(いわゆるコンパクトディスク)、光学式ビデオ
ディスク(いわゆるレーザディスク)、各種追記型ディ
スク、光磁気ディスク、相変化ディスク等が実用化され
ている。このうち、コンパクトディスクやレーザディス
クは、再生専用(Read Only Memory:
ROM)型の光ディスクである。これらの光ディスク
は、透明基板上に、情報信号に対応したピットが凹凸形
状で形成され、この上にAl反射層が40nm以上の厚
さで製膜されている。このような光ディスクでは、ピッ
トで生じる光干渉による反射率変化を検出することによ
り情報信号が再生される。
【0003】一方、追記型光ディスクは、ユーザによっ
て任意情報の書き込みが可能なR(Recordabl
e)型の光ディスクであり、光磁気ディスクおよび相変
化型ディスクは、繰り返し任意情報の書き込みが可能な
RAM(Random Acceess Memor
y)型の光ディスクである。すなわち、R型光ディスク
は、透明基板上に、レーザ光の照射によって不可逆的に
光学特性が変化したり凹凸形状が形成される追記型の記
録層にて構成される。この記録層としては、例えばレー
ザ光の照射による加熱で分解し、その光学定数が変化す
るとともに、体積変化によって基板の変形を生じさせる
シアニン系、フタロシアニン系、アゾ系の有機色素等が
用いられる。
【0004】光磁気ディスクは、ユーザによって情報の
書き込みおよび消去を繰り返しおこなうことができる、
書き換え可能型の光ディスクであり、透明基板上に、T
b−Fe−Co非晶質合金薄膜などの磁気光学効果(例
えばカー効果)を有する垂直磁化膜が形成されて構成さ
れる。この光磁気ディスクでは、情報信号に対応して垂
直磁化膜の微小領域を上向きあるいは下向きに磁化する
ことにより記録ピットが形成される。そして、反射光で
の直線偏光の回転角θk(カー回転角)が垂直磁化膜の
磁化の向きによって異なることを利用して情報信号が再
生される。
【0005】相変化ディスクは、光磁気ディスク同様に
書き換え可能型のディスクであり、例えば初期状態で結
晶状態を呈し、レーザ光が照射されることでアモルファ
ス状態に相変化する、Ge−Sb−Te相変化材料等が
用いられる。この記録層では、情報信号に対応して微小
領域を相変化させることにより記録ピットが形成され、
ピットに相当するアモルファス部分とそれ以外の結晶領
域との反射率変化を検出することで情報信号が再生され
る。このような光磁気ディスクや相変化ディスクでは、
記録層の酸化防止や多重干渉による信号変調度の増大を
目的として、記録層の両側を透明な誘電体層で挟み込
み、さらにその上にAl反射層を積層した4層構造がと
られる場合が多い。なお、誘電体層としては、窒化シリ
コン膜、Zn−SiO2混成膜などが用いられる。
【0006】ところで、最近、このような光ディスクを
デジタル映像記録用として用いるための検討が盛んにお
こなわれており、そのような光ディスクとしてデジタル
・バーサタイル・ディスク(DVD)が開発されるに至
っている。このDVDは、CDと同じ120mm径とし
ながら、映画一本分に相当する映像情報を記録し、現行
テレビ並みの画質で再生できるようになされたものであ
る。ここで、このような映像情報を光ディスクに記録す
るには、例えばCDの6〜8倍の記録容量が必要にな
る。このため、DVDでは、レーザ波長をCDでの78
0nmに対して635〜650nmと短波長化するとと
もに対物レンズの開口数NAをCDでの0.45に対し
て、0.52または0.6に増大させることによりトラッ
クピッチやピットの最短記録マーク長を縮め、記録密度
を上げるようにしている。
【0007】このうち対物レンズの開口数NAの増大
は、ディスク基板のそりに対する許容量を小さくするこ
とになる。このため、DVDでは、基板の厚さをCDの
1.2mmに対して、0.6mmと薄くすることにより、
レーザ光がディスク基板を通過する距離を短くし、反り
に対する許容量を補償する様にしている(日経エレクト
ロニクス 1995年2月27日号 No.630)。
そして、さらに基板を薄くすることによるディスク強度
の低下を補うため、特開平6−274940号公報で記
載されるように、基板上に形成された記録層の上に、さ
らに基板を貼り合わせる、いわゆる貼り合わせ構造が採
られている。なお、貼り合わせ光ディスクの記録層とし
ては、上述の単板構成で用いられるROM型の記録層、
R型の記録層、RAM型の記録層のいずれもが採用でき
る。
【0008】さらに、貼り合わせ光ディスクには、その
片側の面のみを利用する片面貼り合わせ光ディスクと、
両側の面を利用する両面型貼り合わせ光ディスクとがあ
る。以上のような光学用ディスク基板には、成形性、強
度、光線透過率および耐湿性等に優れているポリカーボ
ネート樹脂が多く使用されている。しかしながらこのよ
うに優れた性質を有するポリカーボネート樹脂も、高
温、高湿下において加水分解しやすく、分子量の低下、
衝撃強度の低下などをきたしやすいという欠点がある。
また、長期間にわたり高温、高湿下に放置すると基板に
微小な白点が発生し、長期信頼性が損なわれるという欠
点があった。
【0009】一方で、近年光学式ディスク基板の普及に
伴い、基板生産性向上に対する要求も高まっている。樹
脂は種々の揮発成分を含有しており、成形を長期間おこ
なうと金型やスタンパーなどに種々の成分が堆積し、光
学および機械特性などの基板特性の悪化へとつながる。
また長時間の成形により、前記種々の基板特性の悪化す
るという問題も発生する。このため、金型やスタンパー
の洗浄を行うために連続成形を一旦停止しなければなら
ず、生産性向上に悪影響を及ぼしていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点に
鑑みてなされたものであり、該問題点について鋭意研究
を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂内の置換基を有す
る単官能フェノール類の含有量を特定範囲以下に低減す
ることにより、ポリカーボネート樹脂よりなる基板の劣
化を極めて有効に制御し、長期に渡って高い信頼性を維
持できる光学用ディスクが得られることを見出した。ま
た、この置換基を有する単官能フェノール類の低減は、
同時に揮発成分の低減にもつながり、基板生産性を向上
できる光学用ポリカーボネート樹脂成形材料および光デ
ィスク基板が得られることも見出した。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、置換基を有す
る単官能フェノール類含有量が50ppm以下であるポ
リカーボネート樹脂よりなる光学用ポリカーボネート樹
脂成形材料および光ディスク基板によって達成される。
【0012】本発明においては、CD−R、CD−R
W、MO、デジタルビデオディスク、DVD−ROM、
DVD−audio、DVD−R、DVD−RAM等で
代表されるデジタル・バーサタイル・ディスク(DV
D)の光ディスクの基板、特にDVDの基板等の高密度
光ディスクに用いるディスク基板として十分な信頼性を
得、かつ、基板生産性を向上できるには、該基板を成形
するために供する成形材料(芳香族ポリカーボネート樹
脂)の中の置換基を有する単官能フェノール類の含有量
が50ppm以下であることが必要である。ここで、置
換基を有する単官能フェノール類の含有量とは、ポリカ
ーボネート樹脂の重合反応時に末端停止剤として添加さ
れ単体として樹脂内に残存しているもの、および、重合
反応時に遊離されて単体として樹脂内に残存しているも
のの含有量を示す。
【0013】この単官能フェノール類の含有量を50p
pm以下に押さえた場合、基板の微小な白点の発生およ
び金型やスタンパーの洗浄の回数を最小限に押さえられ
る。また、この単官能フェノール類含有量が50ppm
を超える材料を用いた場合、これらの十分な信頼性と基
板生産性が得られない。なお、置換基を有する単官能フ
ェノール類の含有量は50ppm以下、好ましくは40
ppm以下、さらに好ましくは30ppm以下であるこ
とが確実な効果を得ることが出来る。最も好ましいのは
15ppm以下である。
【0014】本発明で使用されるポリカーボネート樹脂
は、通常二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面
重合法または溶融法で反応させて得られるものである。
ここで使用される二価フェノールの代表的な例として
は、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒ
ドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)
メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)
フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、
2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニ
ル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5
−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3,
5−ジブロモ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、
2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)
フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ
−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブ
タン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−
メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,
5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−
ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,
α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプ
ロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベン
ゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7
−ジメチルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルス
ルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフ
ィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,
4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’
−ジヒドロキシジフェニルエステル等があげられ、これ
らは単独または2種以上を混合して使用できる。
【0015】なかでもビスフェノールA、2,2−ビス
{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル
ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,
3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキ
サンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選ばれた
少なくとも1種のビスフェノールより得られる単独重合
体または共重合体が好ましく、特に、ビスフェノールA
の単独重合体および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとビスフ
ェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メ
チル)フェニル}プロパンまたはα,α’−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンと
の共重合体が好ましく使用される。
【0016】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等
が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネ
ートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げ
られる。上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界
面重合法または溶融法によって反応させてポリカーボネ
ート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、二
価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。またポ
リカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合
物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、
芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合した
ポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、
得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混
合物であってもよい。
【0017】界面重合法による反応は、通常二価フェノ
ールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶
媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸
化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有
機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン
等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進
のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチル
アンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニ
ウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム
化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いるこ
ともできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応
時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保
つのが好ましい。
【0018】溶融法による反応は、通常二価フェノール
とカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、
不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネートエ
ステルとを加熱しながら混合して、生成するモノヒドロ
キシ化合物(例えばフェノール)を留出させる方法によ
り行われる。反応温度は生成するモノヒドロキシ化合物
の沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲
である。反応後期には系を10〜0.1Torr程度に
減圧して生成するモノヒドロキシ化合物の留出を容易に
させる。反応中に発生するモノヒドロキシ化合物は、ポ
リカーボネート樹脂中に残留するので、十分な反応時間
が必要になり、反応時間は1〜4時間程度である。
【0019】カーボネートエステルとしては、置換され
ていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル
基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが
挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ジト
リルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネー
ト、m―クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネー
ト、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボ
ネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート
などが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好
ましい。
【0020】また、重合速度を速めるために重合触媒を
用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナ
トリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸
化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等
のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウム
ヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシ
ド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩
基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコ
キシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩
類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合
物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ
化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アンチモ
ン化合物類マンガン化合物類、チタン化合物類、ジルコ
ニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交
換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は
単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせ使用して
もよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価フェ
ノール1モルに対し、好ましくは1×10-8〜1×10
-4当量、より好ましくは1×10-7〜5×10-4当量の
範囲で選ばれる。
【0021】また、かかる重合反応において、フェノー
ル性の末端基を減少させるために、重縮合反応の後期あ
るいは終了後に、単官能フェノール類以外の末端停止
剤、例えばビス(クロロフェニル)カーボネート、ビス
(ブロモフェニル)カーボネート、ビス(ニトロフェニ
ル)カーボネート、ビス(フェニルフェニル)カーボネ
ート、クロロフェニルフェニルカーボネート、ブロモフ
ェニルフェニルカーボネート、ニトロフェニルフェニル
カーボネート、フェニルフェニルカーボネート、メトキ
シカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよびエト
キシカルボニルフェニルフェニルカーボネートなどの化
合物を加えることが好ましい。なかでも2−クロロフェ
ニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフ
ェニルフェニルが好ましく、特に2−メトキシカルボニ
ルフェニルフェニルが好ましく使用される。
【0022】界面重合法によるポリカーボネート樹脂の
重合反応においては、単官能フェノール類を末端停止剤
として使用する。単官能フェノール類は末端停止剤とし
て分子量調節のために使用され、また得られたポリカー
ボネート樹脂は、末端が単官能フェノール類に基づく基
によって封鎖されているので、そうでないものと比べて
熱安定性に優れている。
【0023】かかる単官能フェノール類としては、下記
一般式(1)〜(3)で表される単官能フェノール類を
示すことができる。
【0024】
【化1】 [式中、Aは炭素数1〜9のアルキル基もしくはフェニ
ルアルキル基(アルキル部分の炭素数1〜9)であり、
rは1〜5、好ましくは1〜3の整数である]。
【0025】
【化2】
【0026】
【化3】 [式中、Xは−R−O−、−R−CO−O−または−R
−O−CO−である、ここでRは単結合または炭素数1
〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を
示し、nは10〜50の整数を示す。]
【0027】上記一般式(1)で表される単官能フェノ
ール類の具体例としては、例えばイソプロピルフェノー
ル、p−tert−ブチルフェノール、p−クレゾー
ル、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノー
ルなどが挙げられる。また、上記一般式(2)〜(3)
で表される単官能フェノール類は、長鎖のアルキル基あ
るいは脂肪族ポリエステル基を置換基として有するフェ
ノール類であり、これらを用いてポリカーボネート樹脂
の末端を封鎖すると、これらは末端停止剤または分子量
調節剤として機能するのみならず、樹脂の溶融流動性が
改良され、成形加工が容易になるばかりでなく、基板と
しての物性、特に樹脂の吸水率を低くする効果があり、
また、基板の複屈折が低減される効果もあり好ましく使
用される。
【0028】上記一般式(2)の置換フェノール類とし
てはnが10〜30、特に10〜26のものが好まし
く、その具体例としては例えばデシルフェノール、ドデ
シルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシ
ルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフ
ェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフ
ェノール等を挙げることができる。また、上記一般式
(3)の置換フェノール類としてはXが−R−CO−O
−であり、Rが単結合である化合物が適当であり、nが
10〜30、特に10〜26のものが好適であって、そ
の具体例としては例えばヒドロキシ安息香酸デシル、ヒ
ドロキシ安息香酸ドデシル、ヒドロキシ安息香酸テトラ
デシル、ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、ヒドロキシ
安息香酸エイコシル、ヒドロキシ安息香酸ドコシルおよ
びヒドロキシ安息香酸トリアコンチルが挙げられる。
【0029】これら単官能フェノール類の内、上記一般
式(1)で表される単官能フェノール類が好ましく、よ
り好ましくはアルキル置換もしくはフェニルアルキル置
換のフェノール類であり、特に好ましくはp−tert
−ブチルフェノールまたはp−クミルフェノールであ
る。これらの単官能フェノール類の末端停止剤は、得ら
れたポリカーボネート樹脂の全末端に対して少くとも5
モル%、好ましくは少くとも10モル%末端に導入され
ることが望ましく、また、末端停止剤は単独でまたは2
種以上混合して使用してもよい。
【0030】ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平
均分子量(M)で10,000〜22,000が好まし
く、12,000〜20,000がより好ましく、13,
000〜18,000が特に好ましい。かかる粘度平均
分子量を有するポリカーボネート樹脂は、光学用材料と
して十分な強度が得られ、また、成形時の溶融流動性も
良好であり成形歪みが発生せず好ましい。本発明でいう
粘度平均分子量は塩化メチレン100mLにポリカーボ
ネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた
比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。 ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度) [η]=1.23×10-40.83 c=0.7
【0031】原料ポリカーボネート樹脂は、従来公知の
常法(界面重合法、溶融重合法など)により製造した
後、溶液状態においてアルカリ抽出や濾過処理をした
り、造粒(脱溶媒)後の粒状原料を例えばアセトンなど
のケトン類、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、キシレン
などの芳香族炭化水素などのポリカーボネート貧溶媒お
よび非溶媒で洗浄して低分子量成分や未反応成分等の不
純物や異物を除去することが好ましい。更に射出成形に
供するためのペレット状ポリカーボネート樹脂を得る押
出工程(ペレット化工程)では溶融状態の時に濾過精度
10μmの焼結金属フィルターを通すなどして異物を除
去したりすることが好ましい。必要により、例えば多価
アルコール脂肪酸エステル等の離型剤、リン系等の酸化
防止剤などの添加剤を加えることも好ましい。いずれに
しても射出成形前の原料樹脂は異物、不純物、溶媒など
の含有量を極力低くしておくことが必要である。
【0032】置換基を有する単官能フェノール類の含有
量を低減する方法として、例えば、その単官能フェノー
ル類の添加後、触媒を加えて十分に反応を行ったり、従
来公知の常法(溶液重合法、溶融重合法など)により製
造した後、溶液状態においてアルカリ抽出をしたり、造
粒(脱溶媒)後の粒状原料を例えばアセトンなどのケト
ン類、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、キシレンなどの
芳香族炭化水素などのポリカーボネート貧溶媒および非
溶媒で洗浄したりして除去することが好ましい。これら
の方法および手段は、置換基を有する単官能フェノール
類の含有量が、目標とする値に低減されるまで、適当に
組合せたり、また繰返して実施することが望ましい。そ
の一例を示すと、アセトン抽出において、その使用量を
ポリカーボネート樹脂に対して従来より多量、例えば約
10重量倍またはそれ以上使用したり、抽出温度を従来
より上げたり、また抽出時に攪拌を従来より強力に行う
などの方法が挙げられる。
【0033】上記ポリカーボネート樹脂より光ディスク
基板を製造する場合には射出成形機(射出圧縮成形機を
含む)を用いる。この射出成形機としては一般的に使用
されているものでよいが、炭化物の発生を抑制しディス
ク基板の信頼性を高める観点からシリンダーやスクリュ
ーとして樹脂との付着性が低く、かつ耐食性、耐摩耗性
を示す材料を使用してなるものを用いるのが好ましい。
射出成形の条件としてはシリンダー温度300〜400
℃、金型温度50〜140℃が好ましく、これらにより
光学的に優れた光ディスク基板を得ることができる。成
形工程での環境は、本発明の目的から考えて、可能な限
りクリーンであることが好ましい。また、成形に供する
材料を十分乾燥して水分を除去することや、溶融樹脂の
分解を招くような滞留を起こさないように配慮すること
も重要となる。さらに、複屈折、機械特性などに異常が
発生した基板は、製品あるいは試験用基板として採用し
ないように配慮することも重要である。
【0034】本発明による光学用ポリカーボネート樹脂
成形材料よりなる光ディスク基板は、高温・高湿条件下
長時間保持しても微小な白点の発生は極めて少なく、C
D−R、CD−RW、MO、デジタルビデオディスク、
DVD−ROM、DVD−audio、DVD−R、D
VD−RAM等で代表されるデジタル・バーサタイル・
ディスク(DVD)の光ディスクの基板、特にDVDの
基板として優れている。この高温・高湿条件下の特性
は、ディスクを温度80℃、相対湿度85%に制御した
恒温恒湿槽に1000時間放置した後の大きさ20μm
以上の白点発生数を調べることによって確認される。本
発明によるポリカーボネート樹脂成形材料から得られた
ディスクの白点発生数は直径120mmの基板あたり2
個以下であり、好適なものは1個以下である。
【0035】
【実施例】以下、実施例を挙げて詳細に説明するが、本
発明は何らこれに限定されるものではない。なお、評価
は下記の方法に従った。 (1)単官能フェノール類量分析 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて定量
をおこなった。 (2)長期信頼性試験 ディスク用成形機[住友重機(株)製DISK 3M
III]により成形された光ディスク用基板(直径120
mm、厚さ1.2mm)を、温度80℃、相対湿度85
%に制御した恒温恒湿槽に1000時間放置した後、基
板中の大きさ20μm以上の白点発生数を数えた。これ
を25枚の光学式ディスク基板についておこない、その
平均値を求め、これを白点個数とした。 (3)CD生産性試験 射出成形機、住友重機械工業製DISK3 M III
にCD専用の金型を取り付け、この金型にピットの入っ
たニッケル製のCD用スタンパーを装着し、成形材料を
自動搬送にて成形機のホッパに投入し、シリンダー温度
340℃、金型温度70℃にて連続的に成形をおこなっ
た。連続成形開始後、複屈折、機械特性に異常が生じる
ことにより、不良基板生産枚数が増加し、100枚単位
あたりの不良基板枚数が10%を超えるまでの成形枚数
を求めた。生産基板の良品判定基準は、複屈折がダブル
パスで±100nm以下、機械特性が半径方向反り角で
±1.6度以内とした。 (4)DVD生産性試験 射出成形機、住友重機械工業製DISK3 M III
にDVD専用の金型を取り付け、この金型にピットの入
ったニッケル製のDVD用スタンパーを装着し、成形材
料を自動搬送にて成形機のホッパに投入し、シリンダー
温度380℃、金型温度115℃にて連続的に成形をお
こない、CD生産性試験と同様の方法にて、成形枚数を
求めた。生産基板の良品判定基準は、複屈折がダブルパ
スで±100nm以下、機械特性が半径方向反り角で±
0.8度以内、周方向反り角で±0.3度以内とした。
【0036】実施例1 単官能フェノール類としてp−tert−ブチルフェノ
ールを35ppm含有する、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン骨格ポリカーボネートパウダー
に、リン系酸化防止剤[トリス(2,4−ジ−t−ブチ
ルフェニル)ホスファイト]50ppmおよび脂肪族エ
ステル(グリセリンモノステアレート)300ppmを
添加した後に、押出機でペレット化した。得られたペレ
ットを使用して、長期信頼性試験、CD生産性試験、D
VD生産性試験をおこなった結果を表1に示す。
【0037】実施例2 実施例1において、単官能フェノール類としてp−te
rt−ブチルフェノールを24ppm含有する、2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン骨格ポリカ
ーボネートパウダーを使用した以外は、実施例1と同様
の操作をおこなった。結果を表1に示す。
【0038】実施例3 実施例1において、単官能フェノール類としてp−te
rt−ブチルフェノールを8ppm含有する、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン骨格ポリカー
ボネートパウダーを使用した以外は、実施例1と同様の
操作をおこなった。結果を表1に示す。
【0039】比較例1 実施例1において、単官能フェノール類としてp−te
rt−ブチルフェノールを84ppm含有する、2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン骨格ポリカ
ーボネートパウダーを使用した以外は、実施例1と同様
の操作をおこなった。結果を表1に示す。
【0040】この結果から、信頼性の高い高密度光ディ
スク基板を得るには基板成形に供する光学用ポリカーボ
ネート樹脂成形材料に関して、その中に含まれる置換基
を有する単官能フェノール類含有量が50ppm以下ま
で低減しなければならないことは明白である。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】本発明の成形材料によれば該材料中の含
有する置換基を有する単官能フェノール類含有量が50
ppm以下と少なく、長期間にわたって高い信頼性を維
持でき、かつ、基板生産性を向上できる光学用ポリカー
ボネート樹脂成形材料および光ディスク基板を得ること
が出来る。CD−R、CD−RW、MO、デジタル・バ
ーサタイル・ディスク(DVD)等の光ディスク、特に
DVDにおいても、その奏する効果は格別のものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C08L 69:00 C08L 69:00 Fターム(参考) 4F071 AA50 AH19 BA01 BB05 BC03 4J029 AA09 AB04 AC01 AD01 AE05 BB04A BB05A BB10A BB12A BB13A BB15A BD09A BE04 BE07 BF21 BH02 DB07 DB11 HC01 HC02 HC03 HC05A KE05 KE11 KH03 KH05 5D029 KA07

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 置換基を有する単官能フェノール類含有
    量が50ppm以下であるポリカーボネート樹脂よりな
    る光学用ポリカーボネート樹脂成形材料。
  2. 【請求項2】 ポリカーボネート樹脂は粘度平均分子量
    が10000〜22000である請求項1記載の光学用
    ポリカーボネート成形材料。
  3. 【請求項3】 該単官能フェノール類は、アルキル置換
    基もしくはフェニルアルキル置換基を有するフェノール
    類である請求項1記載の光学用ポリカーボネート樹脂成
    形材料。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の光学用ポリカーボネート
    樹脂成形材料より形成された光ディスク基板。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の光学用ポリカーボネート
    樹脂成形材料より形成されたデジタル・バーサタイル・
    ディスク(DVD)用光ディスク基板。
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