JP2001335368A - 高熱伝導窒化ケイ素質焼結体 - Google Patents
高熱伝導窒化ケイ素質焼結体Info
- Publication number
- JP2001335368A JP2001335368A JP2000154274A JP2000154274A JP2001335368A JP 2001335368 A JP2001335368 A JP 2001335368A JP 2000154274 A JP2000154274 A JP 2000154274A JP 2000154274 A JP2000154274 A JP 2000154274A JP 2001335368 A JP2001335368 A JP 2001335368A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- silicon nitride
- sintered body
- thermal conductivity
- conductive silicon
- less
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Ceramic Products (AREA)
Abstract
導率を高めた高熱伝導窒化ケイ素質焼結体を提供する。 【解決手段】 窒化ケイ素を主成分とし、酸素含有量が
3.0wt%以下、常温における熱伝導率が70W/
(m・K)以上である焼結体であって、窒化ケイ素粒子
中の酸素量が1.5wt%以下であることを特徴とす
る。
Description
率を有する窒化ケイ素質焼結体に関するものであり、半
導体用基板、発熱素子用ヒートシンク等の電子部品用部
材や、一般機械器具用部材、溶融金属用部材、熱機関用
部材等の構造用部材として好適な窒化ケイ素質焼結体で
ある。
耐摩耗性等の機械的特性に加え、耐熱性、低熱膨張性、
耐熱衝撃性、金属に対する耐食性に優れているので、従
来からガスタービン用部材、エンジン用部材、製鋼用機
械部材、溶融金属の耐溶部材等の各種構造用部材に用い
られている。また、高い絶縁性を利用して電気絶縁材料
として使用されている。
の発熱量の大きい半導体素子の発展に伴い、電気絶縁性
に加えて放熱特性を得ることができるように高い熱伝導
率を有するセラミックス基板の需要が増加している。こ
のようなセラミックス基板として、窒化アルミニウム基
板が用いられているが、機械的強度や破壊靭性等が低
く、基板ユニットの組立て工程での締め付けによって割
れを生じたり、また、シリコン(Si)半導体素子を実
装した回路基板では、Si金属と基板との熱膨張差が大
きいため、熱サイクルにより窒化アルミニウム基板にク
ラックや割れを招いて実装信頼性が低下するという問題
がある。
率は劣るものの、熱膨張率がSiに近似すると共に、機
械的強度、破壊靭性、耐熱疲労特性に優れる高熱伝導窒
化ケイ素質焼結体からなる基板が注目され、種々の提案
が行われている。
実質的に窒化ケイ素からなり、不純物として含有される
アルミニウム(Al)および酸素(O)が共に3.5重
量%以下であり、密度が3.15g/cm3以上であっ
て、40W/(m・K)以上の熱伝導率を有する窒化ケ
イ素焼結体が記載されている。
〜99重量%のβ型窒化ケイ素粒と残部が酸化物または
酸窒化物の粒界相とから構成され、粒界相中にMg、C
a、Sr、Ba、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、
Gd、Dy、Ho、Er、Ybのうちから選ばれる1種
または2種以上の金属元素を0.5〜10重量%含有す
ると共に、粒界相中のAl原子含有量が1重量%以下で
あり、気孔率が5%以下でかつβ型窒化ケイ素粒のうち
短軸径5μm以上を持つものの割合が10〜60体積%
である窒化ケイ素質焼結体が記載されている。
会講演予稿集1G11、同1G12、特開平10−19
4842号には、原料粉末に柱状の窒化ケイ素粒子また
はウイスカーを予め添加し、ドクターブレード法あるい
は押出成形法を用いて、この粒子を2次元的に配向させ
た成形体を得た後、焼成することにより熱伝導に異方性
を付与して特定方向の熱伝導率を高めた窒化ケイ素質焼
結体が記載されている。
5268号では、40W/(m・K)以上の熱伝導率が
得られているが、なお一層熱伝導率を高めるとともに機
械的強度に優れる材料が望まれているという課題があ
る。また、特開平9−30866号、特開平10−19
4842号等では、窒化ケイ素質焼結体中に巨大な柱状
粒子を得るため、成長核となる種結晶あるいはウィスカ
−を予め添加した上に、2000℃以上、100気圧以
上の窒素雰囲気下の高温・高圧での焼成が不可欠であ
る。したがって、ホットプレスあるいはHIP等の特殊
な高温・高圧設備が必要となり経済的な負担がかかる問
題がある。また、窒化ケイ素粒子を配向させた成形体を
得るための成形プロセスが複雑であるため、生産性なら
びに量産性が著しく低下するという問題がある。
れたものであり、種結晶あるいはウィスカーを添加する
ことなく2000℃以上、100気圧以上での高温・高
圧焼成といったコストの高い焼成法を必要とせず、機械
的強度に優れるとともに、熱伝導の方向に異方性を持た
ず、かつなお一層熱伝導率を高めた高熱伝導窒化ケイ素
質焼結体を提供することを目的とする。
達成するため、窒化ケイ素質焼結体中で熱伝導率低下の
要因となる酸素(O)の含有量、さらに窒化ケイ素質焼
結体中の窒化ケイ素粒子内の酸素量ならびにアルミニウ
ム、マグネシウム、および周期律表第3a族元素の含有
量を規定することにより、70W/(m・K)以上の熱
伝導率が安定して得られることを見出した。さらに、焼
結助剤をMgO基として焼結性を向上させ周期律表第3
a族元素(IIIA)の酸化物を特定範囲に含有させること
により一層熱伝導率を高められることを見出し、本発明
に至った。
焼結体は、窒化ケイ素を主成分とし、酸素含有量が3.
0wt%以下、常温における熱伝導率が70W/(m・
K)以上の焼結体であって、窒化ケイ素粒子中の酸素量
が1.5wt%以下であることを特徴とする。望ましく
は、窒化ケイ素を主成分とし、酸素含有量が2.5wt
%以下、常温における熱伝導率が100W/(m・K)
以上の焼結体であって、窒化ケイ素粒子中の酸素量が
1.0wt%以下であることを特徴とする。さらに望ま
しくは、窒化ケイ素を主成分とし、酸素含有量が2.2
wt%以下、常温における熱伝導率が150W/(m・
K)以上の焼結体であって、窒化ケイ素粒子中の酸素量
が0.6wt%以下であることを特徴とする。
体において、窒化ケイ素粒子中のアルミニウム、マグネ
シウム、および周期律表第3a族元素(IIIA)が総計で
1.0wt%以下であることを特徴とする。
を酸化マグネシウム(MgO)換算して、周期律表第3
a族元素(IIIA)を酸化物(IIIAxOy)換算して、その
合計量が0.6〜7.0wt%の割合で含有することが
好ましい。さらに、これに加えてMgO/IIIAxOyで表
される重量比が1〜70の割合で含有することがより好
ましい。ここで、周期律表第3a族(IIIA)としては、
Y、La、Ce、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、D
y、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等が挙げられる。
在する異種イオン、特にアルミニウム(Al)、酸素
(O)はフォノン散乱源となり熱伝導率を低減させる。
窒化ケイ素質焼結体は、窒化ケイ素粒子相とその周囲の
粒界相とから構成され、アルミニウムおよび酸素は、こ
れら2相にそれぞれ含有される。アルミニウムは窒化ケ
イ素の構成元素であるSiのイオン半径に近いため窒化
ケイ素粒子内に容易に固溶する。よって窒化ケイ素粒子
自身の熱伝導率が低下し、結果として焼結体の熱伝導率
は著しく低下する。
添加するため、その多くは粒界相成分として存在する。
焼結体の高熱伝導化を達成するには、主相の窒化ケイ素
粒子に比して熱伝導率が低い粒界相の量を低減すること
が肝要であり、焼結助剤成分の添加量を密度2.62g
/cm3(相対密度85%)以上の焼結体が得られる量
を最小限とし、酸素量を低減させることが必要である。
ここで焼結助剤をMgO基とした場合、その焼結性は他
の酸化物を用いた場合よりも優れるため助剤量をより少
なくすることが可能となる。これに加えて、含有酸素量
が少ない窒化ケイ素粉末を原料とした場合も、粒界相成
分に含まれる酸素量が低減でき、これにより粒界相量が
減少することになり焼結体の高熱伝導化が達成される。
含有酸素量の少ない窒化ケイ素粉末を使用する場合、焼
成過程で生成するSiO2成分が減少し難焼結性となる
が、焼結助剤をMgO基とすることにより緻密質の焼結
体を得ることができる。いずれの場合においても焼結体
中の酸素量を低下することによって低熱伝導相である粒
界相量を低減させ、熱伝導率を飛躍的に向上させること
が可能である。したがって70W/(m・K)以上の熱
伝導率を得るためには、窒化ケイ素質焼結体中の酸素量
が3.0wt%以下であることが必要である。また、窒
化ケイ素質焼結体中のアルミニウムが0.2wt%以下
であることが好ましい。
の部分で熱伝導媒体であるフォノンの散乱を起し、窒化
ケイ素粒子自身、ひいては窒化ケイ素質焼結体の熱伝導
率を低下させる。したがって、窒化ケイ素粒子中に含有
される酸素は少ない程望ましく、具体的に70W/(m
・K)以上の熱伝導率を有する焼結体を得るには1.5
wt%以下、さらに100W/(m・K)以上の熱伝導
率を有する焼結体を得るには1.0wt%以下であるこ
とが必要である。
含まれるアルミニウム(Al)、周期律表第3a族元素
(IIIA)は、酸素と同様にこの部分でフォノンの散乱を
起し、窒化ケイ素粒子自身、ひいては窒化ケイ素質焼結
体の熱伝導率を低下させる。したがって、粒子中に含有
されるこれらの不純物元素は少ない程望ましく、具体的
に70W/(m・K)以上の熱伝導率を有する焼結体を
得るには総計で1.0wt%以下であることが必要であ
る。
のイットリウム(Y)は、焼結助剤として用いられ、窒
化ケイ素原料粉末の緻密化に有効である。これらの元素
は、窒化ケイ素質焼結体を構成する第1ミクロ組織成分
である窒化ケイ素粒子に対する固溶度が小さいので、窒
化ケイ素粒子、ひいては窒化ケイ素質焼結体の熱伝導率
を高い水準に保つことができる。
る固溶度が小さく、焼結助剤として作用する元素には、
La、Ce、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Dy、H
o、Er、Tm、Yb、Lu等の周期律表第3a族元素
が挙げられ、なかでも温度、圧力が高くなり過ぎずに焼
成ができる点でLa、Ce、Gd、Dy、Ybが好まし
い。
て、周期律表第3a族元素を酸化物換算して、その合計
量が0.6wt%未満では、焼結時の緻密化作用が不十
分となり、密度が3.04g/cm3(相対密度が95
%)未満となり好ましくない。一方7.0wt%を超え
ると、窒化ケイ素質焼結体の第2のミクロ組織成分であ
る熱伝導率の低い粒界相の量が過剰となり、焼結体の熱
伝導率が70W/(m・K)未満となる。これらの酸化
物は合計量で0.6〜4.0wt%含有することがより
好ましい。なお、周期律表第3a族元素は、1種または
2種以上添加することができる。
第3a族元素(IIIA)の酸化物(IIIAxOy)の重量比を
示すMgO/IIIAxOyが1未満では、粒界相中の希土類
酸化物の割合が増大するため焼結過程で液相線温度が上
昇し難焼結性となり緻密な焼結体が得られない。また、
MgO/IIIAxOyが70を超えると焼成時におけるMg
の拡散を抑制することができず焼結体表面に色むらを生
じる。MgO/IIIAxOyが1〜70の範囲にある場合、
1650〜1850℃の焼結温度で成形体を予備焼成し
た後、1850〜1900℃の熱処理を加えると、高熱
伝導化の効果が著しく120W/(m・K)を超えるも
のが得られる。熱処理による高熱伝導化は、窒化ケイ粒
子の成長と蒸気圧の高いMgO基とした粒界相成分が効
率よく焼結体外部へ揮発することとの複合効果による。
子のうち短軸径5μm以上を持つものの割合が、10体
積%以上では、焼結体の熱伝導率は向上するものの、組
織中に導入された粗大粒子が破壊の起点として作用する
ため破壊強度が著しく低下し、600MPa以上の曲げ
強度が得られない。また、β型窒化ケイ素粒子のアスペ
クト比が15を超えると600MPa以上の曲げ強度を
得られない。好ましいアスペクト比は10以下である。
また、好ましい曲げ強度は700MPa以上である。
は、高強度・高靭性ならびに高熱伝導率の特性を生かし
て、パワー半導体用基板、マルチチップモジュール用基
板などの各種基板、あるいはペルチェ素子用熱伝板、各
種発熱素子用ヒートシンクなどの電子部品用部材に好適
である。
合、半導体素子の作動に伴う繰り返しの熱サイクルによ
って基板にクラックが発生することが少なく、耐熱衝撃
性ならびに耐熱サイクル性が著しく向上し、耐久性なら
びに信頼性に優れたものとなる。また、高出力化および
高集積化を指向する半導体素子を搭載した場合でも、熱
抵抗特性の劣化が少なく、優れた放熱特性を発揮する。
さらに、優れた機械的特性により本来の基板材料として
の機能だけでなく、それ自体が構造部材を兼ねることが
できるため、基板ユニット自体の構造を簡略化できる。
述の電子部品用部材以外に熱衝撃および熱疲労の耐熱抵
抗特性が要求される材料に幅広く利用できる。構造用部
材として、各種の熱交換器部品や熱機関用部品、アルミ
ニウムや亜鉛等の金属溶解の分野で用いられるヒーター
チューブ、ストークス、ダイカストスリーブ、溶湯攪拌
用プロペラ、ラドル、熱電対保護管等に適用できる。ま
た、アルミニウム、亜鉛等の溶融金属めっきラインで用
いられるシンクロール、サポートロール、軸受、軸等に
適用することにより、急激な加熱や冷却に対して割れづ
らい部材となり得る。また、鉄鋼あるいは非鉄の加工分
野では、圧延ロール、スキーズロール、ガイドローラ、
線引きダイス、工具用チップ等に用いれば、被加工物と
の接触時の放熱性が良好なため、耐熱疲労性および耐熱
衝撃性を改善することができ、これにより摩耗が少な
く、熱応力割れを生じにくくできる。
でき、例えば磁気記録装置のMRヘッドやGMRヘッド
などの用いられる電気絶縁膜や、熱転写プリンターのサ
ーマルヘッドなどに用いられる耐摩耗性皮膜の形成に好
適である。スパッタして得られる被膜は、本質的に高熱
伝導特性を持つとともに、スパッタレートも十分高くで
き、被膜の電気的絶縁耐圧が高いものとなる。このた
め、このスパッタターゲットで形成したMRヘッドやG
MRヘッド用の電気絶縁性被膜は、高熱伝導ならびに高
耐電圧の特性を有するので、素子の高発熱密度化や絶縁
性被膜の薄膜化が図れる。また、このスパッタターゲッ
トで形成したサ−マルヘッド用の耐摩耗性被膜は、窒化
ケイ素本来の特性により耐摩耗性が良好であることはも
とより、高熱伝導性のため熱抵抗が小さくできるので印
字速度を高めることができる。
μmの窒化ケイ素(Si3N4)粉末に、焼結助剤とし
て、平均粒径0.2μmの酸化マグネシウム(MgO)
粉末、平均粒径0.2〜2.0μmの希土類酸化物粉末
の中から選ばれる1種ないし2種の焼結助剤用粉末の所
定量を添加し、適量の分散剤を加えエタノール中で粉
砕、混合した。ついで、真空乾燥後、篩を通して造粒
し、プレス機により直径20mm×厚さ10mmおよび
直径100mm×厚さ15mmのディスク状の成形体を
作製し、これを1750〜1900℃、9気圧の窒素ガ
ス雰囲気中で5時間焼成した。
0mm×厚さ3mmの熱伝導率および密度測定用の試験
片、縦3mm×横4mm×長さ40mmの4点曲げ試験
片を採取した。密度はマイクロメータによる寸法測定と
重量測定の結果から求めた。熱伝導率はレーザーフラッ
シュ法により常温での比熱および熱拡散率を測定し熱伝
導率を算出した。4点曲げ強度は、常温にてJIS R
1606に準拠して測定を行った。
化水素酸にて粒界相を溶出することにより、窒化ケイ素
粒子を個々に取り出しSEM観察して求めた。本発明で
は、面積%の値を体積%として評価した。窒化ケイ素質
焼結体中の酸素(O)含有量は赤外線吸収法により測定
した。
は、焼結体を薄片化し透過型電子顕微鏡(TEM)によ
り組織観察を行った上、これに付属のエネルギー分散型
分析装置(EDX)にて評価した。分析値は無作為に1
0ヶの窒化ケイ素粒子を選定して評価した平均値を用い
た。なお、一粒子中においても酸素含有量に差が認めら
れたため粒子中心部を評価した。
2に示す。なお、試料No.1〜12は本発明例であ
り、試料No.31〜36は比較例である。なお、表2
中の「XX」は焼結体中のβ型窒化ケイ素粒子のうち短
軸径5μm以上を持つものの割合(体積%)を示す。
12の結果から、窒化ケイ素質焼結体中の酸素(O)が
3.0wt%以下かつ窒化ケイ素粒子中の酸素が1.5
wt%以下含有するものは、常温における熱伝導率が7
0W/(m・K)以上、常温における4点曲げ強度が6
00MPa以上が得られた。また、窒化ケイ素質焼結体
中の酸素が2.5wt%以下かつ窒化ケイ素粒子中の酸
素が1.0wt%以下含有するものは熱伝導率100W
/(m・K)以上が得られた。さらに、窒化ケイ素質焼
結体中の酸素が2.2wt%以下かつ窒化ケイ素粒子中
の酸素が0.6wt%以下含有するものは熱伝導率15
0W/(m・K)以上が得られた。従来技術の熱伝導率
40W/(m・K)以上のレベルに比べると、熱伝導率
を飛躍的に高めることができた。
化マグネシウム(MgO)換算して、周期律表第3a族
元素を酸化物(IIIAxOy)換算して、その合計量が0.
6〜7.0wt%、MgO/IIIAxOyで表される重量比
が1〜70の割合で含有するものは、熱伝導率が70W
/(m・K)以上、4点曲げ強度が600MPa以上を
得られた。試料No.12は、窒化ケイ素質焼結体中の
β型窒化ケイ素粒子のうち短軸径5μm以上を持つもの
の割合が35体積%と大きいため曲げ強度が570MP
aと低いものであった。
から、試料No.31およびNo.36は、窒化ケイ素
焼結体中の酸素が3.0wt%を超えるため、常温にお
ける熱伝導率が70W/(m・K)未満となった。ま
た、試料No.32は、窒化ケイ素粒子中の酸素以外の
Al、Mgおよび周期律表第3a族元素の総計が1.0
wt%を超えるため、熱伝導率が70W/(m・K)未
満となった。さらに試料No.33は、窒化ケイ素粒子
中の酸素が1.5wt%を超えるため、常温における熱
伝導率が70W/(m・K)未満となった。試料No.
34は、窒化ケイ素粒子中の酸素以外のAl、Mgおよ
び周期律表第3a族元素の総計が1.0wt%を超え、
かつAlが0.2wt%より大きくなるため、熱伝導率
は35W/(m・K)に著しく低下した。試料No.3
5は、焼結体密度が2.62g/cm3と低いため、熱
伝導率および曲げ強度がともに低いものであった。
では、焼結体の密度は低く、このため熱伝導率および曲
げ強度は著しく低下した。また、焼結助剤成分が7.0
wt%を超えると、焼成過程で充分なガラス相が生成す
るため焼結体の緻密化は達成されたが、その反面、低熱
伝導相の増加により熱伝導率は60W/(m・K)以下
に低減した。窒化ケイ素質焼結体中のβ型窒化ケイ素粒
子のうち短軸径5μm以上を持つものの割合が、10体
積%以上になると破壊強度は著しく低下し600MPa
以下の材料強度となった。
混合粉末を、アミン系の分散剤を所定量添加したトルエ
ン・ブタノール溶液中に挿入し、樹脂製ポットならびに
窒化ケイ素製ボールを用いて48時間湿式混合した後、
ポリビニル系の有機バインダーおよび可塑剤を加え、2
4時間混合しシート成形用スラリーを得た。この成形用
スラリーを調整後、ドクターブレード法によりグリーン
シートを得た。ついで、グリーンシートを空気中400
〜600℃で1〜2時間加熱して、予め添加していた有
機バインダー成分を十分に除去し脱脂を行った。この脱
脂体を窒素雰囲気、1850℃、5時間、9気圧の焼成
を行った後、1900℃、窒素雰囲気、24時間、9気
圧の熱処理を加え、窒化ケイ素質焼結体シートを得た。
これに機械加工を施し寸法50mm×50mm×厚さ
0.8mmの半導体装置用の基板を製造した。
1に示すような回路基板を作製した。図1において、本
発明例の回路基板1は窒化ケイ素質焼結体製基板2の表
面に銅回路板3を、裏面に銅板4をろう材5により接合
して構成される。この回路基板に対し、4点曲げ強度の
評価および耐熱サイクル試験を行った。
によれば、曲げ強度が600MPa以上と大きく、回路
基板の実装工程における締め付け割れが発生する頻度が
抑制され、回路基板を使用した半導体装置の製造歩留ま
りを大幅に改善することが実証された。
20分、室温での保持を10分および180℃における
加熱を20分とする昇温・降温サイクルを1サイクルと
し、これを繰り返し付与し、基板部にクラック等が発生
するまでのサイクル数を測定した。結果、1000サイ
クル経過後においても、窒化ケイ素質基板の割れや金属
回路板の剥離はなく、優れた耐久性と信頼性を兼備する
ことが確認された。また、1000サイクル経過後にお
いても耐電圧特性の低下は発生しなかった。
する高強度・高靭性に加えて高い熱伝導率が付与される
ので、半導体素子用基板として用いた場合、半導体素子
の作動に伴う繰り返しの熱サイクルによって基板にクラ
ックが発生することが少なく、耐熱衝撃性ならびに耐熱
サイクル性が著しく向上し、耐久性ならびに信頼性に優
れた基板材料となる。
面図を示す。
板、 5 ろう材
Claims (6)
- 【請求項1】 窒化ケイ素を主成分とし、酸素含有量が
3.0wt%以下、常温における熱伝導率が70W/
(m・K)以上の焼結体であって、窒化ケイ素粒子中の
酸素量が1.5wt%以下であることを特徴とする高熱
伝導窒化ケイ素質焼結体。 - 【請求項2】 窒化ケイ素粒子中のアルミニウム、マグ
ネシウム、および周期律表第3a族元素(IIIA)が総計
で1.0wt%以下であることを特徴とする請求項1に
記載の高熱伝導窒化ケイ素質焼結体。 - 【請求項3】 焼結体中にマグネシウムを酸化マグネシ
ウム(MgO)換算して、周期律表第3a族元素(III
A)を酸化物(IIIAxOy)換算して、その合計量が0.
6〜7.0wt%の割合で含有することを特徴とする請
求項1または2に記載の高熱伝導窒化ケイ素質焼結体。 - 【請求項4】 焼結体中にマグネシウムを酸化マグネシ
ウム(MgO)換算して、周期律表第3a族元素(III
A)を酸化物(IIIAxOy)換算して、その合計量が0.
6〜7.0wt%、MgO/IIIAxOyで表される重量比
が1〜70の割合で含有することを特徴とする請求項1
または2に記載の高熱伝導窒化ケイ素質焼結体。 - 【請求項5】 常温における4点曲げ強度が600MP
a以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
に記載の高熱伝導窒化ケイ素質焼結体。 - 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の高熱伝
導窒化ケイ素質焼結体からなることを特徴とする高熱伝
導窒化ケイ素質焼結体製基板および回路基板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000154274A JP4332828B2 (ja) | 2000-05-25 | 2000-05-25 | 高熱伝導窒化ケイ素質焼結体およびそれを用いた基板、半導体素子用回路基板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000154274A JP4332828B2 (ja) | 2000-05-25 | 2000-05-25 | 高熱伝導窒化ケイ素質焼結体およびそれを用いた基板、半導体素子用回路基板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001335368A true JP2001335368A (ja) | 2001-12-04 |
JP4332828B2 JP4332828B2 (ja) | 2009-09-16 |
Family
ID=18659399
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000154274A Expired - Lifetime JP4332828B2 (ja) | 2000-05-25 | 2000-05-25 | 高熱伝導窒化ケイ素質焼結体およびそれを用いた基板、半導体素子用回路基板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4332828B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005056862A1 (ja) * | 2003-12-11 | 2005-06-23 | Hitachi Metals, Ltd. | 溶融金属めっき浴用ロール |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101794410B1 (ko) * | 2015-08-17 | 2017-11-07 | 한국과학기술원 | 고 열전도도 질화규소 소결체 및 이의 제조 방법 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0930866A (ja) * | 1995-07-21 | 1997-02-04 | Nissan Motor Co Ltd | 高熱伝導率窒化ケイ素質焼結体およびその製造方法ならびに窒化ケイ素質焼結体製絶縁基板 |
JPH09157030A (ja) * | 1995-12-07 | 1997-06-17 | Denki Kagaku Kogyo Kk | 窒化珪素焼結体の製造方法 |
JP2000272968A (ja) * | 1999-03-26 | 2000-10-03 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 窒化ケイ素焼結体及びその製造方法 |
-
2000
- 2000-05-25 JP JP2000154274A patent/JP4332828B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0930866A (ja) * | 1995-07-21 | 1997-02-04 | Nissan Motor Co Ltd | 高熱伝導率窒化ケイ素質焼結体およびその製造方法ならびに窒化ケイ素質焼結体製絶縁基板 |
JPH09157030A (ja) * | 1995-12-07 | 1997-06-17 | Denki Kagaku Kogyo Kk | 窒化珪素焼結体の製造方法 |
JP2000272968A (ja) * | 1999-03-26 | 2000-10-03 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 窒化ケイ素焼結体及びその製造方法 |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005056862A1 (ja) * | 2003-12-11 | 2005-06-23 | Hitachi Metals, Ltd. | 溶融金属めっき浴用ロール |
JPWO2005056862A1 (ja) * | 2003-12-11 | 2007-07-05 | 日立金属株式会社 | 溶融金属めっき浴用ロール |
JP4683217B2 (ja) * | 2003-12-11 | 2011-05-18 | 日立金属株式会社 | 溶融金属めっき浴用ロール |
EP2447388A1 (en) | 2003-12-11 | 2012-05-02 | Hitachi Metals, Ltd. | Roll for use in galvanizing pot |
US8210999B2 (en) | 2003-12-11 | 2012-07-03 | Hitachi Metals Ltd. | Roll for use in galvanizing pot |
KR101193004B1 (ko) * | 2003-12-11 | 2012-10-19 | 히타치 긴조쿠 가부시키가이샤 | 용융 금속 도금욕용 롤 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4332828B2 (ja) | 2009-09-16 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100833962B1 (ko) | 질화규소 분말, 질화규소 소결체, 질화규소 소결체 기판,및 그 질화규소 소결체 기판을 포함한 회로기판 및열전소자 모듈 | |
JP3565425B2 (ja) | 窒化ケイ素質粉末の製造方法および窒化ケイ素質焼結体の製造方法 | |
KR0166406B1 (ko) | 고열전도성 질화규소 소결체, 그 제조방법 및 압접구조체 | |
JP2002293642A (ja) | 高熱伝導窒化ケイ素質焼結体およびその製造方法と回路基板 | |
CN111902383B (zh) | 复合烧结体、半导体制造装置部件以及复合烧结体的制造方法 | |
JPWO2019235593A1 (ja) | 板状の窒化ケイ素質焼結体およびその製造方法 | |
JPWO2019235594A1 (ja) | 板状の窒化ケイ素質焼結体およびその製造方法 | |
JP2002249379A (ja) | 窒化アルミニウム焼結体及び半導体製造装置用部材 | |
JP2002201076A (ja) | 窒化ケイ素基板および回路基板 | |
JP2698780B2 (ja) | 窒化けい素回路基板 | |
JP3775335B2 (ja) | 窒化ケイ素質焼結体および窒化ケイ素質焼結体の製造方法、並びにそれを用いた回路基板 | |
JP4529102B2 (ja) | 高熱伝導窒化ケイ素質焼結体およびその製造方法 | |
JP4518020B2 (ja) | 窒化ケイ素質焼結体およびそれを用いた回路基板。 | |
JP2002265276A (ja) | 窒化ケイ素粉末および窒化ケイ素焼結体 | |
JP4089974B2 (ja) | 窒化ケイ素質粉末、窒化ケイ素質焼結体及びこれを用いた電子部品用回路基板 | |
JP2000128654A (ja) | 窒化ケイ素複合基板 | |
JP4348659B2 (ja) | 高熱伝導窒化ケイ素質焼結体およびそれを用いた基板、半導体素子用回路基板 | |
JP3002642B2 (ja) | 窒化珪素粉末、窒化珪素焼結体及びそれを用いた回路基板 | |
JP2001335368A (ja) | 高熱伝導窒化ケイ素質焼結体 | |
JPH11100274A (ja) | 窒化珪素質焼結体、その製造方法及びそれを用いた回路基板 | |
JPH11236270A (ja) | 窒化ケイ素質基板及びその製造方法 | |
JP4591738B2 (ja) | 窒化ケイ素質焼結体 | |
JP2002029851A (ja) | 窒化珪素質組成物、それを用いた窒化珪素質焼結体の製造方法と窒化珪素質焼結体 | |
JP3683067B2 (ja) | 窒化アルミニウム焼結体 | |
JP4332824B2 (ja) | 高熱伝導窒化ケイ素質焼結体の製造方法およびその焼結体、基板、半導体素子用回路基板 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060323 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080716 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080829 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20081027 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090213 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090327 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20090422 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090529 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090611 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120703 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4332828 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120703 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130703 Year of fee payment: 4 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |