JP4332824B2 - 高熱伝導窒化ケイ素質焼結体の製造方法およびその焼結体、基板、半導体素子用回路基板 - Google Patents

高熱伝導窒化ケイ素質焼結体の製造方法およびその焼結体、基板、半導体素子用回路基板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高い強度と熱伝導率を有する窒化ケイ素質焼結体の製造方法およびその焼結体に関するものであり、本発明の窒化ケイ素質焼結体は半導体用基板、発熱素子用ヒ−トシンク等の電子部品用部材や、一般機械器具用部材、溶融金属用部材、熱機関用部材等の構造用部材として好適な材料である。
【0002】
【従来の技術】
窒化ケイ素質焼結体は、高強度特性、耐摩耗性等の機械的特性に加え、耐熱性、低熱膨張性、耐熱衝撃性、金属に対する耐食性に優れているので、従来からガスタ−ビン用部材、エンジン用部材、製鋼用機械部材、溶融金属の耐溶部材等の各種構造用部材に用いられている。また、高い絶縁性を利用して電気絶縁材料として使用されている。
【0003】
近年、高周波トランジスタ、パワーIC等の発熱量の大きい半導体素子の発展に伴い、電気絶縁性に加えて放熱特性を得ることができるように高い熱伝導率を有するセラミックス基板の需要が増加している。このようなセラミックス基板として、窒化アルミニウム基板が用いられているが、機械的強度や破壊靭性等が低く、基板ユニットの組立て工程での締め付けによって割れを生じたり、また、シリコン(Si)半導体素子を実装した回路基板では、Si金属と基板との熱膨張差が大きいため、熱サイクルにより窒化アルミニウム基板にクラックや割れを招いて実装信頼性が低下するという問題がある。
【0004】
そこで、窒化アルミニウム基板より熱伝導率は劣るものの、熱膨張率がSiに近似すると共に、機械的強度、破壊靭性、耐熱疲労特性に優れる高熱伝導窒化ケイ素質焼結体からなる基板が注目され、種々の提案が行われている。
【0005】
例えば、特開平9−30866号には、85〜99重量%のβ型窒化ケイ素粒と残部が酸化物または酸窒化物の粒界相とから構成され、粒界相中にMg、Ca、Sr、Ba、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Ho、Er、Ybのうちから選ばれる1種または2種以上の金属元素を0.5〜10重量%含有すると共に、粒界相中のAl原子含有量が1重量%以下であり、気孔率が5%以下でかつβ型窒化ケイ素粒のうち短軸径5μm以上を持つものの割合が10〜60体積%である窒化ケイ素質焼結体が記載されている。
【0006】
また、日本セラミックス協会1996年年会講演予稿集1G11、同1G12、特開平10−194842号には、原料粉末に柱状の窒化ケイ素粒子またはウイスカーを予め添加し、ドクターブレード法あるいは押出成形法を用いて、この粒子を2次元的に配向させた成形体を得た後、焼成することにより熱伝導に異方性を付与して特定方向の熱伝導率を高めた窒化ケイ素質焼結体が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の窒化ケイ素質焼結体においては、窒化ケイ素質焼結体中に巨大な柱状粒子を得るために、2000℃以上、100気圧以上の窒素雰囲気下の高温・高圧での焼成が不可欠である。このため、ホットプレスあるいはHIP等の特殊な高温・高圧設備が必要となり経済的な負担がかかる問題がある。また、窒化ケイ素粒子を配向させた成形体を得るための成形プロセスが複雑であるため、生産性ならびに量産性が著しく低下するという問題がある。
【0008】
本発明は、このような課題に対処してなされたものであり、2000℃以上、100気圧以上の窒素雰囲気下の高温・高圧での焼成を必要とせず、高い熱伝導率と強度を有する高熱伝導窒化ケイ素質焼結体の製造方法およびその焼結体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記の目的を達成するため、窒化ケイ素粉末、焼結助剤、添加物の種類および添加量、焼結条件等の検討を重ねた結果、特に低酸素含有量の窒化ケイ素粉末を使用し、焼結助剤をMgO基とし周期律表第3a族元素(RE)の酸化物を特定範囲で含有させることにより、熱伝導率と強度を高めることができることを見出し、本発明に至った。
【0010】
すなわち、本発明の高熱伝導窒化ケイ素質焼結体の製造方法は、酸素含有量が0.1wt%以上、2.0wt%以下、平均粒子径が0.5〜5μmである窒化ケイ素粉末に、焼結助剤としてマグネシウム(Mg)と、周期律表第3a族元素のうちY、La、Ce、Gd、Dy、Ybの中から選ばれる少なくとも1種の元素(RE)とを添加するものであって、前記Mgを酸化マグネシウム(MgO)換算した量と、前記REを酸化物(RExOy)換算した量の合計量が0.5〜5.0体積%であり、このうち前記RExOy換算した量は0.1体積%を越え、且つ前記MgO/RExOyで表される体積比が1〜50の割合で添加して成形した後、窒素雰囲気下あるいは不活性雰囲気下で、1800〜1900℃の温度で焼成することを特徴とする。
【0011】
窒化ケイ素粉末中に含有される酸素は、粉末表面のSiO2として存在する場合と、粒末内に不均一に分布している場合がある。これら含有酸素は、焼結過程で焼結助剤として添加したマグネシウムおよびイットリウム等の酸化物と反応してガラス相を形成し、いわゆる液相焼結により緻密化が進行する。酸素含有量が2.0wt%を超えると、溶解過程でガラス相中に溶解した窒化ケイ素粉末が、窒化ケイ素粒子として再析出する過程で、個々の粒子内に取り込まれる酸素が多く、焼結完了後に窒化ケイ素粒子内に固溶することとなり、この部分で熱伝導媒体であるフォノンの散乱が起こり熱伝導率が低下する。酸素含有量が0.1wt%未満では、粒界ガラス相の液相線温度が上昇するため難焼結性となり緻密化しにくいため破壊強度および熱伝導率が著しく低下する。したがって、窒化ケイ素粉末中の酸素含有量は0.1〜2.0wt%が好ましい。より好ましくは0.1〜1.5wt%であり、さらに好ましくは0.1〜0.8wt%であり、さらに好ましくは0.1wt%以上、0.5wt%未満である。
【0012】
酸素含有量が2.0wt%を超える窒化ケイ素粉末に対して、その酸素量を低減させて用いる。その低減方法として、NH3またはN2−H2雰囲気中1000〜1500℃にて熱処理する脱酸素法がある。1000℃以下では脱酸素の効果がなく、1500℃を超えると、粉末の粗大化傾向が顕著となるため、焼結阻害を起こす要因となるので、熱処理温度は、1000〜1500℃であることが望ましい。
【0013】
また、窒化ケイ素粉末中の酸素量を低減させる他の方法として、フッ化水素酸による窒化ケイ素粉末表面に存在するSiO2溶解方法がある。例えば、窒化ケイ素粉末を体積比で1:1のHF−HNO3溶液中、150℃以下の温度にて脱酸処理する。処理温度が150℃以上では、SiO2相に加えて窒化ケイ素自身も溶解してしまうため、処理温度は150℃未満とするのが望ましい。
【0014】
本発明の製造方法において、窒化ケイ素質焼結体の主成分となる窒化ケイ素粉末はα型およびβ型の何れでもよいが、焼結性を考慮して平均粒子径は5μm以下が好ましい。
【0015】
また、本発明の高熱伝導窒化ケイ素質焼結体は、本発明の製造方法によって得られる高熱伝導窒化ケイ素質焼結体であって、常温おける熱伝導率が70W/(m・K)以上、常温における4点曲げ強度が600MPa以上であることを特徴とする。
【0016】
【作用】
マグネシウムおよび周期律表第3a族元素のイットリウム(Y)は、焼結助剤として用いられ、窒化ケイ素原料粉末の緻密化に有効である。これらの元素は、窒化ケイ素質焼結体を構成する第1ミクロ組織成分である窒化ケイ素結晶に対する固溶度が小さいので、窒化ケイ素結晶、ひいては窒化ケイ素質焼結体の熱伝導率を高い水準に保つことができる。
【0017】
イットリウム同様に窒化ケイ素結晶に対する固溶度が小さく、焼結助剤として作用する元素には、La、Ce、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等の希土類元素が挙げられ、なかでも温度、圧力が高くなり過ぎずに焼成ができる点でLa、Ce、Gd、Dy、Ybが好ましい。
【0018】
マグネシウムを酸化マグネシウム換算して、周期律表第3a族元素を酸化物換算して、その合計量が0.5体積%未満では、焼結時の緻密化作用が不十分となり、相対密度が95%未満となり絶縁耐圧が低下するので好ましくない。一方5.0体積%を超えると、窒化ケイ素質焼結体の第2のミクロ組織成分である熱伝導率の低い粒界相の量が過剰となり、焼結体の熱伝導率が70W/(m・K)未満となる。従って、これらの酸化物はその合計量で0.5〜5.0体積%含有する。好ましくは合計量で0.5〜3.5体積%含有する。
【0019】
また、周期律表第3a族元素(RE)のうちY、La、Ce、Gd、Dy、Ybの中から選ばれる少なくとも1種の元素を酸化物換算した量は、0.1体積%以下では焼成時におけるMgの拡散を抑制することができず焼結体表面に色むらを生じる。また、MgOの蒸気圧は焼結助剤として用いる他の希土類酸化物よりも高いため、1800℃以上の高温で焼成を行う場合には、Mg成分が焼結体内部より揮発し易くなり著しい密度低下が生じるため、0.1体積%を下まわらないことが好ましい。
【0020】
酸化マグネシウム(MgO)と、周期律表第3a族元素の酸化物(RExOy)の体積比MgO/RExOyが1未満では、粒界ガラス相中の希土類酸化物の割合が増大するため焼結過程で液相線温度が上昇し難焼結性となり緻密な焼結体が得られない。特に、酸素含有量が2.0wt%以下の窒化ケイ素粉末を使用する場合には、いっそう緻密化が阻害され低密度となる。また、MgO/RExOyが50を超えると焼成時におけるMgの拡散を抑制することができず焼結体表面に色むらを生じる。
【0021】
アルミニウム(Al)は窒化ケイ素結晶に固溶しやく、熱伝導率を著しく低下させるので、酸化アルミニウム(Al23)に換算して、0.1体積%以下に抑えるのが望ましい。
【0022】
本発明において、原料の混合は、湿式および乾式混合のいずれでもよいが、望ましくは湿式混合がよい。湿式混合では、水、メタノール、エタノール、トルエン等の溶剤が用いられるが、窒化ケイ素粉末の酸化を抑えるために有機溶媒を用いることが望ましい。有機溶媒を用いた場合は、ソルビタンモノオレート等の分散剤を用いることにより効果的に混合できる。
【0023】
成形体の作製は、上記混合によって得たスラリーに適量の有機バインダーを添加した後、金型プレス法、鋳込み成形法、ドクターブレード法等など公知の成形手段により所望のシート状あるいはブロック状に成形される。
【0024】
本発明の窒化ケイ素質焼結体からなる基板は、高強度・高靭性ならびに高熱伝導率の特性を生かして、パワ−半導体用基板、マルチチップモジュ−ル用基板などの各種基板、あるいはペルチェ素子用熱伝板、各種発熱素子用ヒ−トシンクなどの電子部品用部材に好適である。
【0025】
本発明材を半導体素子用基板に適用した場合、半導体素子の作動に伴う繰り返しの熱サイクルによって基板にクラックが発生することが少なく、耐熱衝撃性ならびに耐熱サイクル性が著しく向上し、耐久性ならびに信頼性に優れたものとなる。また、高出力化および高集積化を指向する半導体素子を搭載した場合でも、熱抵抗特性の劣化が少なく、優れた放熱特性を発揮する。さらに、優れた機械的特性により本来の基板材料としての機能だけでなく、それ自体が構造部材を兼ねることができるため、基板ユニット自体の構造を簡略化できる。
【0026】
また、本発明の窒化ケイ素質焼結体は、上述の電子部品用部材以外に熱衝撃および熱疲労の耐熱抵抗特性が要求される材料に幅広く利用できる。構造用部材として、各種の熱交換器部品や熱機関用部品、アルミニウムや亜鉛等の金属溶解の分野で用いられるヒーターチューブ、ストークス、ダイカストスリーブ、溶湯攪拌用プロペラ、ラドル、熱電対保護管等に適用できる。また、アルミニウム、亜鉛等の溶融金属めっきラインで用いられるシンクロール、サポートロール、軸受、軸等に適用することにより、急激な加熱や冷却に対して割れづらい部材となり得る。また、鉄鋼あるいは非鉄の加工分野では、圧延ロール、スキーズロール、ガイドローラ、線引きダイス等に用いれば、被加工物との接触時の放熱性が良好なため、耐熱疲労性および耐熱衝撃性を改善することができ、これにより摩耗が少なく、熱応力割れを生じにくくできる。
【0027】
さらに、スパッタターゲット部材にも適用でき、例えば磁気記録装置のMRヘッドやGMRヘッドなどの用いられる電気絶縁膜や、熱転写プリンターのサーマルヘッドなどに用いられる耐摩耗性皮膜の形成に好適である。スパッタして得られる被膜は、本質的に高熱伝導特性を持つとともに、スパッタレートも十分高くでき、被膜の電気的絶縁耐圧が高いものとなる。このため、このスパッタターゲットで形成したMRヘッドやGMRヘッド用の電気絶縁性被膜は、高熱伝導ならびに高耐電圧の特性を有するので、素子の高発熱密度化や絶縁性被膜の薄膜化が図れる。また、このスパッタターゲットで形成したサ−マルヘッド用の耐摩耗性被膜は、窒化ケイ素本来の特性により耐摩耗性が良好であることはもとより、高熱伝導性のため熱抵抗が小さくできるので印字速度を高めることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
平均粒径0.5μmの窒化ケイ素(Si34)粉末に、焼結助剤として、平均粒径0.2μmの酸化マグネシウム(MgO)粉末、平均粒径0.2〜2.0μmの希土類酸化物粉末の中から選ばれる1種ないし2種の焼結助剤用粉末の所定量を添加し、適量の分散剤を加えエタノール中で粉砕、混合した。ついで、真空乾燥後、篩を通して造粒し、プレス機により直径20mm×厚さ10mmおよび直径100mm×厚さ15mmのディスク状の成形体を作製し、これを1750〜1900℃、常圧および9気圧の窒素ガス雰囲気中で5時間焼成した。
【0029】
得られた窒化ケイ素質焼結体から、直径10mm×厚さ3mmの熱伝導率および密度測定用の試験片、縦3mm×横4mm×長さ40mmの4点曲げ試験片を採取した。密度はマイクロメ−タによる寸法測定と重量測定の結果から求めた。熱伝導率はレーザーフラッシュ法により常温での比熱および熱拡散率を測定し熱伝導率を算出した。4点曲げ強度は常温にてJIS R1606に準拠して測定を行った。
【0030】
表1〜表3に本発明例(試料No.1〜13、16〜17)に係わる結果を示す。また、表4〜表6に比較例(試料No.31〜37)に係わる結果を示す。
【0031】
【表1】
Figure 0004332824
【0032】
【表2】
Figure 0004332824
【0033】
【表3】
Figure 0004332824
【0034】
【表4】
Figure 0004332824
【0035】
【表5】
Figure 0004332824
【0036】
【表6】
Figure 0004332824
【0037】
表1〜表3の本発明例(試料No.1〜13、16〜17)において、マグネシウムを酸化マグネシウム(MgO)換算した量と、周期律表第3a族元素のうちY、La、Ce、Gd、Dy、Ybの中から選ばれる少なくとも1種の元素を酸化物(RExOy)換算した量との合計量が0.5〜5.0体積%であり、このうち前記RExOy換算した量は0.1体積%を越え、且つMgO/RExOyで表される体積比が1〜50の割合で含有する窒化ケイ素質焼結体は、常温おける熱伝導率が70W/(m・K)以上、常温における4点曲げ強度が600MPa以上を得られた。
【0038】
また、窒化ケイ素原料粉末の酸素含有量の低減に伴い焼結体の熱伝導率は向上し、酸素含有量が0.1wt%の場合、150W/(m・K)の熱伝導率が得られた。窒化ケイ素粉末の酸素含有量を一定とした場合、平均粒子径が5μm以下の粉末を使用した焼結体について、粉末粒子径の増大とともに熱伝導率は増加し、5μmでは100W/(m・K)を超える熱伝導率が得られた。
【0039】
表4〜表6の比較例(試料No.31〜37)において、窒化ケイ素原料粉末の酸素含有量が0.1wt%未満では焼結体の密度が低下し、このため熱伝導率は70W/(m・K)未満となった。また、酸素含有量が2.0wt%を超える場合、焼結体の緻密化は促進されるものの窒化ケイ素粒内に残存する酸素量ならびに第2相成分の粒界ガラス相量が増加するため、熱伝導率は70W/(m・K)未満となった。希土類酸化物基ガラス相となるMgO/RExOyが1未満では、焼結体の密度が95%未満となり熱伝導率は70W/(m・K)未満となった。
【0040】
また、焼結助剤成分が0.5体積%未満では、焼結体の密度は低く、熱伝導率および曲げ強度は著しく低下した。また、焼結助剤成分が5.0体積%を超えると、焼成過程で充分なガラス相が生成するため焼結体の緻密化は達成されたが、その反面、低熱伝導相の増加により熱伝導率は70W/(m・K)未満となった。また、窒化ケイ素原料粉末の平均粒子径が5μm以上になると緻密化が阻害され焼結体密度は低下し、熱伝導率および曲げ強度は劣化した。
【0041】
本発明の窒化ケイ素質焼結体からなる基板の表面に銅回路板を、裏面に銅板をろう材により接合して回路基板を作製した。この本発明の窒化ケイ素質焼結体製回路基板によれば、4点曲げ強度が600MPa以上と大きく、回路基板の実装工程における締め付け割れが発生する頻度が抑制され、回路基板を使用した半導体装置の製造歩留まりを大幅に改善することが実証された。
【0042】
また、この回路基板に対し耐熱サイクル試験、つまり−40℃での冷却を20分、室温での保持を10分および180℃における加熱を20分とする昇温・降温サイクルを1サイクルとし、これを繰り返し付与し、基板部にクラック等が発生するまでのサイクル数を測定した結果、1000サイクル経過後においても、窒化ケイ素質基板の割れや金属回路板の剥離はなく、優れた耐久性と信頼性を兼備することが確認された。また、1000サイクル経過後においても耐電圧特性の低下は発生しなかった。
【0043】
【発明の効果】
本発明の窒化ケイ素質焼結体の製造方法によれば、低酸素含有量の窒化ケイ素粉末を使用し、焼結助剤をMgO基とし周期律表第3a族元素の酸化物を特定範囲で含有させることにより、2000℃以上、100気圧以上の窒素雰囲気下の高温・高圧での焼成を必要とせず、高い熱伝導率と強度を有する高熱伝導窒化ケイ素質焼結体が得られるので、経済的な負担が少なく工業上有益である。本発明の高熱伝導窒化ケイ素質焼結体は高強度・高靭性に加えて高い熱伝導率が付与されるので、半導体素子用基板として用いた場合、半導体素子の作動に伴う繰り返しの熱サイクルによって基板にクラックが発生することが少なく、耐熱衝撃性ならびに耐熱サイクル性が著しく向上し、耐久性ならびに信頼性に優れた基板材料となる。

Claims (6)

  1. 酸素含有量が0.1wt%以上、2.0wt%以下、平均粒子径が0.5〜5μmである窒化ケイ素粉末に、焼結助剤としてマグネシウム(Mg)と、周期律表第3a族元素のうちY、La、Ce、Gd、Dy、Ybの中から選ばれる少なくとも1種の元素(RE)とを添加するものであって、前記Mgを酸化マグネシウム(MgO)換算した量と、前記REを酸化物(RExOy)換算した量の合計量が0.5〜5.0体積%であり、このうち前記RExOy換算した量は0.1体積%を越え、且つ前記MgO/RExOyで表される体積比が1〜50の割合で添加して成形した後、窒素雰囲気下あるいは不活性雰囲気下で、1800〜1900℃の温度で焼成することを特徴とする高熱伝導窒化ケイ素質焼結体の製造方法。
  2. 前記窒化ケイ素粉末の酸素含有量が0.1wt%以上、0.5wt%未満であることを特徴とする請求項1に記載の高熱伝導窒化ケイ素質焼結体の製造方法。
  3. アルミニウム(Al)を酸化アルミニウム(Al23)に換算して、0.1体積%以下含有することを特徴とする請求項1または2に記載の高熱伝導窒化ケイ素質焼結体の製造方法。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の製造方法によって得られる高熱伝導窒化ケイ素質焼結体であって、常温おける熱伝導率が70W/(m・K)以上、常温における4点曲げ強度が600MPa以上であることを特徴とする高熱伝導窒化ケイ素質焼結体。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の高熱伝導窒化ケイ素質焼結体からなることを特徴とする基板。
  6. 請求項に記載の基板の表面に銅回路板を接合し、裏面に銅板を接合してなることを特徴とする半導体素子用回路基板。
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