JP2001334149A - 酢酸製造用触媒、該触媒の製造方法及び該触媒を用いた酢酸の製造方法 - Google Patents

酢酸製造用触媒、該触媒の製造方法及び該触媒を用いた酢酸の製造方法

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JP2001334149A
JP2001334149A JP2000155885A JP2000155885A JP2001334149A JP 2001334149 A JP2001334149 A JP 2001334149A JP 2000155885 A JP2000155885 A JP 2000155885A JP 2000155885 A JP2000155885 A JP 2000155885A JP 2001334149 A JP2001334149 A JP 2001334149A
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Etsuo Maki
悦生 牧
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エタンと酸素から気相一段反応により酢酸を
製造する方法において、高い収率で酢酸を製造する触
媒、該触媒の製造方法、及び該触媒を用いた酢酸の製造
方法を提供する。 【解決手段】 (a)金属パラジウムと(b)ヘテロポ
リ酸が担体に担持されていることを特徴とする酢酸製造
用触媒、該触媒の製造方法、及び該触媒を用いてエタン
と酸素とを反応させる酢酸の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エタンと酸素から
酢酸を製造する際に用いる酢酸製造用触媒、該触媒の製
造方法、及び該触媒を用いた酢酸の製造方法に関する。
【0002】更に詳しくは、触媒の存在下、エタンと酸
素から酢酸を製造する際に、該触媒が(a)パラジウム
と(b)ヘテロポリ酸及びその塩よりなる群から選ばれ
た少なくとも一種以上の化合物を必須成分とすることを
特徴とする酢酸製造用触媒の提供、該触媒の製造方法の
提供、及び該触媒を用いた酢酸の製造方法の提供に関す
る。
【0003】
【従来の技術】従来より本発明者らは、(a)パラジウ
ムと(b)ヘテロポリ酸及びその塩よりなる群から選ば
れた少なくとも一種以上の化合物を必須成分とすること
を特徴とする触媒の開発を行ってきた。中でも当該成分
を含有することを特徴とする、エチレンと酸素とから酢
酸を製造する際に用いる触媒(特開平7−89896号
公報、特開平9−67298号公報、特開平11−34
7412号公報等)は、空時収率が高く、しかも触媒寿
命が長く、安定な反応制御が可能であり非常に有用であ
る。
【0004】酢酸の製造方法としては、上記に挙げたエ
チレンと酸素とを触媒の存在下に反応させる方法の他
に、メタノールと一酸化炭素を反応させる方法、炭素数
4〜8の炭化水素を酸化する方法、アセトアルデヒドを
酸化させる方法等が実用化されている。
【0005】メタノールと一酸化炭素を反応させる方法
は、現在、酢酸の製造方法としては主流である。しかし
この方法には、耐食性の高価な設備材料が必要であるこ
と、主触媒のロジウムが高価であること、更に一酸化炭
素製造設備が必要であること等により設備投資額が大き
く、大規模プラントでないと採算が合わないという欠点
がある。
【0006】炭素数4〜8の炭化水素を酸化する方法
は、副生物が多く生成するために精製設備の投資額が大
きくなり、更にはこれらを製品化することまで考えなけ
ればならないという欠点がある。
【0007】アセトアルデヒドを酸化させる方法は、エ
チレンを出発原料とするものである。これらはメタノー
ルと一酸化炭素を反応させる方法に比べ、小規模の設備
で製造が可能である。しかしエチレンがメタノールに比
べ高価なことから、メタノールと一酸化炭素を反応させ
る方法にコスト的に対抗するには、高い酢酸選択性が要
求される。
【0008】一方、以上に示した従来技術とは異なる開
発アプローチとして、近年エタンの酸化による酢酸の製
造方法の開発が注目されている。
【0009】エタンはエチレンに比べ反応性が低く、化
学原料としてはほとんど利用されてはいない。しかしエ
チレンに比べ安価であり、加えて資源の有効利用という
点からエタンを原料として利用する研究開発が種々行わ
れている。このような状況下で、近年、工業原料として
有用な酢酸を製造する研究も種々報告されている。その
中で、本発明者らが開発を行ってきた、(a)パラジウ
ムと(b)ヘテロポリ酸及びその塩よりなる群から選ば
れた少なくとも一種以上の化合物を必須成分とすること
を特徴とする触媒を、エタンの酸化による酢酸の製造方
法へ展開した先行技術はない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】比較的近い技術として
は、ヘテロポリ酸のみを触媒の有効成分に用いた技術と
して特開平8−52359号公報で開示された技術を挙
げることができる。当該公報では酸素による酸化反応で
エタンから酢酸を製造するに当たり、特にバナジウム混
合配位型のヘテロポリ酸が触媒として有効であるとされ
ている。しかし当該触媒では、実施例によればエチレン
への選択率が10%〜39%と比較的高いことが示され
ている。
【0011】すでに述べたように、エタンはエチレンに
比べると反応活性が低く、故に化学原料として活用され
ることが少なかった。これは、酸素による酸化反応によ
る酢酸の製造方法においても同様である。したがって、
一般にエタンの酸素による酸化反応を利用した酢酸の製
造方法に適した反応条件は、エチレンの同様の反応の反
応条件に比べるとより高温且つ高圧であることが必要と
なる。
【0012】しかしながら、通常その反応条件は反応活
性に富むエチレンにとっては過酷な条件である。その結
果、エチレンは酢酸への酸化反応にとどまらず燃焼に類
似の反応で分解し、触媒上に付着して活性点をふさいで
しまい、最悪の場合には触媒を完全に失活させてしまう
恐れがある。
【0013】また反応ガス中にエチレンが存在すると、
酢酸エチル等のエチレン由来の副生成物が生成し、酢酸
の精製段階でこれらを除去することが必要になる。
【0014】特に、未反応原料を利用することを主目的
とした循環系プロセスを組んだ場合、副生するエチレン
の分離は触媒保護の観点、及び副生成物の生成の抑制と
いう観点から大きな問題となる。このような、エチレン
の過剰反応による触媒の失活を避けるためには、副生し
たエチレンを完全にではないまでも、反応に影響を与え
ない程度に分離除去する必要があるが、そのためにはプ
ロセスに余分な設備が必要となり、ひいては製造コスト
が高くなる欠点となる。
【0015】本発明は、(a)パラジウムと(b)ヘテ
ロポリ酸及びその塩よりなる群から選ばれた少なくとも
一種以上の化合物を必須成分とすることを特徴とする触
媒により、エタンと酸素とから酢酸を製造する方法にお
いて、エチレンをほとんど副生することなく酢酸を高選
択的に生成することが可能な酢酸製造用触媒、該触媒の
製造方法、及び該触媒を用いた酢酸の製造方法を提供す
ることにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意検討を行った結果、(a)パラジウムと
(b)ヘテロポリ酸及びその塩よりなる群から選ばれた
少なくとも一種以上の化合物を必須成分とすることを特
徴とする触媒を用いることにより、エチレンをほとんど
副生することなく酢酸を高選択的に生成させることが可
能なことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】即ち本発明(I)は、エタンと酸素とを触
媒の存在下に反応させる酢酸の製造方法において、該触
媒が(a)パラジウム及び(b)ヘテロポリ酸及びその
塩よりなる群から選ばれた少なくとも一種以上の化合物
が担体に担持されていることを特徴とする酢酸製造用触
媒である。
【0018】また、本発明(II)は、エタンと酸素と
を触媒の存在下に反応させる酢酸の製造方法において、
該触媒が(a)パラジウム(b)ヘテロポリ酸及びその
塩よりなる群から選ばれた少なくとも一種以上の化合物
及び(c)周期律表の4族〜16族よりなる群から選ば
れた少なくとも一種以上の元素が担体に担持されている
ことを特徴とする酢酸製造用触媒である。
【0019】更に本発明(III)は、本発明(I)又
は本発明(II)の酢酸製造用触媒の製造方法である。
【0020】更に本発明(IV)は、本発明(I)又は
本発明(II)の酢酸製造用触媒を使用して、エタンと
酸素とを反応させることを特徴とする酢酸の製造方法で
ある。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明について説明する。 [本発明(I)の触媒]本発明(I)は、エタンと酸素
とを触媒の存在下に反応させる酢酸の製造方法におい
て、該触媒が(a)パラジウム及び(b)ヘテロポリ酸
及びその塩よりなる群から選ばれた少なくとも一種以上
の化合物(以下、「(b)群化合物」と略す。)が担体
に担持されていることを特徴とする酢酸製造用触媒であ
る。
【0022】本発明(I)に用いられるパラジウムは、
いずれの価数を持つものでも構わないが、好ましくは金
属パラジウムである。ここで言う「金属パラジウム」と
は、0価の価数を持つものである。金属パラジウムは、
通常、2価及び/又は4価のパラジウムイオンを、還元
剤であるヒドラジン、水素等を用いて還元することで得
ることができる。この際、全てのパラジウムが、金属状
態でなくても構わない。
【0023】また本発明(I)で用いられる(b)群化
合物であるヘテロポリ酸は、二種以上の無機酸素酸が縮
合したものであれば特に制限はない。そのヘテロ原子と
しては、リン、ヒ素、ホウ素、ケイ素、ゲルマニウム、
及びベリリウムであり、又、ポリ原子としては、モリブ
デン、バナジウム、タングステン、チタン、ニオブ、タ
ンタル、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、
銅、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、カドミウム、ス
ズ、鉛等を挙げることが出来る。中でも、ケギン構造を
有する、モリブドリン酸、タングストリン酸、モリブド
ケイ酸、タングストケイ酸、モリブドバナドリン酸、モ
リブドバナドケイ酸、タングストバナドリン酸、タング
ストバナドケイ酸は入手が容易であり好ましい。
【0024】さらに本発明(I)で用いられる(b)群
化合物であるヘテロポリ酸の塩は、二種以上の無機酸素
酸が縮合して生成した酸の水素原子の一部、又は全部を
置換した金属塩あるいはオニウム塩である。ヘテロポリ
酸の水素原子を置換した金属は、周期律表における1族
元素、2族元素、4族〜16族よりなる群から選ばれた
少なくとも一種以上の元素であり、又、ヘテロポリ酸の
オニウム塩としては、アンモニウムやアミン類とのアン
モニウム塩などが例示される。これらヘテロポリ酸の中
でも、アンモニウム、セシウム、カルシウム、バリウ
ム、ニオブ、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケ
ル、銅、金、亜鉛、アルミニウム、スズ、鉛、アンチモ
ン、ビスマス、テルルの金属塩が特に好ましい。
【0025】さらに触媒性能上、並びに実用上好ましい
ヘテロポリ酸の塩としては、リンタングステン酸のマン
ガン塩、リンタングステン酸の亜鉛塩、リンタングステ
ン酸の鉄塩、リンタングステン酸の銅塩、リンタングス
テン酸のコバルト塩、リンタングステン酸のクロム塩、
ケイタングステン酸のマンガン塩、ケイタングステン酸
の亜鉛塩、ケイタングステン酸の鉄塩、ケイタングステ
ン酸の銅塩、ケイタングステン酸のコバルト塩、及びケ
イタングステン酸のクロム塩を挙げることができるがこ
れらに限定されるものではない。
【0026】本発明(I)の触媒中の(a)パラジウ
ム、及び(b)群化合物の組成は、触媒全質量に対して
(a)0.1質量%〜5.0質量%、(b)7.5質量
%〜35質量%が好ましく、特に(a)0.5質量%〜
3.0質量%、(b)10質量%〜30質量%におい
て、より好ましい結果を与える。ただし(b)群化合物
の質量%は、無水物としての質量%である。
【0027】本発明(I)に用いられる担体には制限は
ない。一般に担体として用いられている多孔質物質であ
れば良い。好ましくはシリカ、アルミナ、シリカ−アル
ミナ、珪藻土、モンモリロナイト、チタニア等が挙げら
れ、より好ましくはシリカである。また担体の形状には
特に制限はない。具体的には、粉末状、球状、ペレット
状、ハニカム状等が挙げられるが、これらに限定される
ものではなく、反応器の種類や反応形式等に応じて、適
当な形に成形すればよい。さらに、本発明(I)で用い
られる担体の大きさは、採用した反応形式に最適な大き
さにすればよい。例えば固定床ならば担体の粒子直径は
1mm〜10mmの範囲であるのが好ましく、3mm〜
8mmがより好ましい。また流動床ならば、0.02m
m〜1mmが好ましく、0.05〜0.1mmがより好
ましい。
【0028】本発明(I)の触媒の(a)パラジウム、
及び(b)群化合物が担体中に保持されている触媒中の
(a)、(b)の組成は、(a)0.1質量%〜10質
量%、(b)10質量%〜99.5質量%が好ましく、
特に(a)1.0質量%〜8.0質量%、(b)50質
量%〜98質量%において、より好ましい結果を与え
る。
【0029】[本発明(II)の触媒]次に本発明(I
I)の触媒について説明する。本発明(II)は、エタ
ンと酸素とを触媒の存在下に反応させる酢酸の製造方法
において、該触媒が(a)パラジウム(b)ヘテロポリ
酸及びその塩よりなる群から選ばれた少なくとも一種以
上の化合物及び(c)周期律表の4族〜16族よりなる
群から選ばれた少なくとも一種以上の元素(以下、
「(c)群元素」と略す。)が担体に担持されているこ
とを特徴とする酢酸製造用触媒である。
【0030】本発明(II)の触媒は、本発明(I)の
触媒に、(c)群元素を添加した3群系触媒である。本
発明(II)の触媒に用いられる(a)パラジウム、及
び(b)群化合物に関しては、本発明(I)と同様であ
る。
【0031】本発明(II)で用いられる(c)群元素
とは、具体的には、チタン、バナジウム、ニオブ、タン
タル、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、
銅、金、亜鉛、アルミニウム、スズ、鉛、アンチモン、
ビスマス、テルル等を指す。好ましくはニオブ、クロ
ム、マンガン、鉄、コバルト、銅、金、亜鉛、アンチモ
ン、ビスマス、テルルが挙げられる。
【0032】本発明(II)の触媒中の(a)パラジウ
ム、(b)群化合物、及び(c)群化合物の組成は、触
媒全質量に対して(a)0.1質量%〜5.0質量%、
(b)7.5質量%〜35質量%、(c)0.01質量
%〜10質量%が好ましく、特に(a)0.5質量%〜
3.0質量%、(b)10質量%〜30質量%、(c)
0.1質量%〜8.0質量%において、より好ましい結
果を与える。ただし(b)群化合物の質量%は、無水物
としての質量%である。
【0033】本発明(II)に用いられる担体について
も本発明(I)の触媒と同様である。本発明(II)の
触媒の(a)パラジウム、(b)群化合物、及び(c)
群元素が担体中に保持されている触媒中の(a)、
(b)、(c)の組成は、(a)0.1質量%〜10質
量%、(b)10質量%〜99.5質量%、(c)0.
01質量%〜10質量%が好ましく、特に(a)1.0
質量%〜8.0質量%、(b)50質量%〜98質量
%、(c)0.1質量%〜8.0質量%において、より
好ましい結果を与える。
【0034】[元素分析の方法]本発明(I)および本
発明(II)の触媒中に含まれる元素の量は、以下の方
法で測定できる。一定量の触媒を、乳鉢等で粉砕し均一
な粉末とした後、その触媒粉末をフッ酸、王水等の酸に
加えて加熱撹拌して溶解させ、均一な溶液とする。次
に、その溶液をイオンを含まない純水によって適当な濃
度まで希釈し、分析用の溶液とする。その溶液を高周波
誘導結合プラズマ(ICP)発光分析装置(例えばセイ
コーインスツルメンツ株式会社製SPS−1700)に
よって定量分析する。装置の精度は、市販されている各
元素の標準試薬によって容易に補正することが可能で、
再現性のある定量が可能である。
【0035】[本発明(III)−酢酸製造用触媒の製
造方法]次に、本発明(III)について説明する。本
発明(III)は、本発明(I)又は本発明(II)の
酢酸製造用触媒の製造方法である。
【0036】[本発明(III)の製造方法(1)]本
発明(III)の製造方法(1)は、以下の第1工程〜
第2工程を含むことを特徴とする、本発明(I)の触媒
の製造方法である。
【0037】第1工程 担体に(a)パラジウムを担持して、パラジウム担持触
媒を得る工程。
【0038】第2工程 第1工程で得たパラジウム担持触媒に、(b)群化合物
を担持して、酢酸製造用触媒を得る工程。
【0039】本発明(III)の製造方法(1)の第1
工程は、(a)パラジウムを担体に担持して、パラジウ
ム担持触媒を得る工程である。
【0040】本発明(III)の製造方法(1)におい
て使用する(a)パラジウムの原料としては、特に限定
されるものではない。具体的には、金属パラジウム、塩
化パラジウム等のハロゲン化物、酢酸パラジウム等の有
機酸塩、硝酸パラジウム等の硝酸塩、硫酸パラジウム、
酸化パラジウム、テトラクロロパラジウム酸ナトリウ
ム、テトラクロロパラジウム酸カリウムなどが挙げら
れ、さらにアセチルアセトナート、シアノ、アンモニウ
ム等の有機化合物を配位子に持つ錯体も挙げられる。特
に好ましくは、テトラクロロパラジウム酸ナトリウム、
テトラクロロパラジウム酸カリウム、塩化パラジウム、
硝酸パラジウムが挙げられる。
【0041】(a)パラジウムの担体への担持方法に
は、特に制限はない。いかなる方法で行っても良く、例
えば、パラジウムの原料を水又はアセトンなどの適当な
溶媒、塩酸、硝酸などの無機酸又は蟻酸、酢酸などの有
機酸、或いはそれらの溶液に溶解させ、これに担体を含
浸した後、乾燥するなどの方法で担体に担持することが
できる。
【0042】第1工程において(a)パラジウムを担体
に担持した後に、(a)パラジウムを金属状態へ転化す
ることが好ましい。その際、金属状態への転化方法に特
に制限はなく、公知の方法で可能である。具体的には、
例えば、パラジウム化合物を担持した触媒を、そのま
ま、或いは水酸化ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、
及び/又は水酸化バリウム等の水溶液で処理、または空
気中酸化して、パラジウム化合物を水酸化物又は酸化物
に変換した後に、ヒドラジン、水素などの適切な還元剤
により金属パラジウムに還元する方法などが挙げられ
る。
【0043】(a)パラジウムの金属状態への転化操作
は、(a)パラジウムを担持した触媒を単離した後に行
っても、又、担持操作に引き続いて行っても良い。可能
ならば、単離することなく担持操作に引き続いて行うこ
とが好ましい。その後、パラジウム担持触媒を濾過等に
より単離した後に、ハロゲン化物等の反応阻害物質を取
り除くために、水洗、乾燥をしてもよい。以上のように
して、パラジウム担持触媒を得ることができる。
【0044】本発明(III)の製造方法(1)の第2
工程は、第1工程で得られたパラジウム担持触媒に、
(b)群化合物を担持することにより、本発明(I)の
触媒を得る方法である。
【0045】本発明(III)の製造方法(1)の第2
工程において用いられる(b)群化合物は、本発明
(I)と同様である。
【0046】(b)群化合物の担持方法については特に
制限はなく、公知の方法で可能である。具体的には、含
浸法、スプレー法、蒸発乾固法、混練法等の手段が挙げ
られるが、これらに限定されるものではない。含浸の際
に用いる溶媒としては、(b)群化合物を溶解させるも
のならいずれでもよく、水、有機溶媒およびそれらの混
合物が挙げられる。好ましくは水、アルコールが挙げら
れる。以上のようにして、本発明(I)の触媒を得るこ
とができる。
【0047】[本発明(III)の製造方法(2)]本
発明(III)の製造方法(2)について説明する。本
発明(III)の製造方法(2)は、本発明(II)の
触媒の製造方法である。
【0048】本発明(II)の触媒は、本発明(II
I)の製造方法(1)の第1工程、及び第2工程のいず
れかまたはその両方で、(c)群元素を添加することに
より製造できる。
【0049】第1工程について説明する。第1工程は、
担体に(a)パラジウム及び(c)群元素を担持して、
パラジウム担持触媒を得る工程である。
【0050】第1工程で用いられる(a)パラジウムの
原料、金属状態へ転化する場合の転化方法、及び担体へ
の担持方法は、本発明(III)における本発明(I)
の触媒の製造方法(1)の第1工程と同様である。
【0051】第1工程において、(c)群元素を添加す
る場合、(c)群元素の触媒調製に用いられる原料化合
物は、特に制限されるものではなく、該元素そのもの、
あるいは該元素を含有するハロゲン化物、硝酸塩、酢酸
塩、シュウ酸塩、アンモニウム塩、酸化物等が挙げら
れ、さらにアセチルアセトナート、シアノ等の有機物を
配位子に持つ錯体等も挙げられる。
【0052】具体的には、塩化チタン、塩化バナジウ
ム、塩化ニオブ、塩化タンタル、塩化クロム、塩化マン
ガン、塩化鉄、塩化コバルト、塩化ニッケル、塩化銅、
塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化スズ、塩化鉛、塩化
アンチモン、塩化ビスマス、塩化テルル等の塩化物、硝
酸クロム、硝酸マンガン、硝酸鉄、硝酸コバルト、硝酸
ニッケル、硝酸銅、硝酸亜鉛、硝酸鉛、硝酸ビスマス等
の硝酸塩、酢酸クロム、酢酸マンガン、酢酸コバルト、
酢酸ニッケル、酢酸銅、酢酸亜鉛、酢酸スズ、酢酸鉛、
酢酸アンチモン、酢酸ビスマス等の酢酸塩、シュウ酸チ
タニルアンモニウム、メタバナジン酸アンモニウム、シ
ュウ酸水素ニオブ、ニオブ酸およびその塩、テルル酸お
よびその塩、亜テルル酸およびその塩、塩化金酸等が挙
げられるがこれらに限定されるものではない。好ましく
は、シュウ酸水素ニオブ、ニオブ酸、硝酸クロム、塩化
クロム、硝酸マンガン、塩化マンガン、硝酸鉄、塩化
鉄、硝酸コバルト、塩化コバルト、硝酸銅、塩化銅、塩
化金酸、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、塩化アンチモン、酢酸ア
ンチモン、硝酸ビスマス、酢酸ビスマス、テルル酸、亜
テルル酸ナトリウム等が挙げられる。
【0053】(c)群元素の担体への担持方法には、特
に制限はなく、いかなる方法で行っても良い。例えば、
(c)群元素の原料を、水又はアセトンなどの適当な溶
媒や塩酸、硝酸、酢酸などの無機酸または有機酸に溶解
し、これを担体に含浸した後、乾燥するなどの方法で担
体に担持することができる。
【0054】また担持方法としては、含浸法、蒸発乾固
法、混練法、スプレー法等の手段が挙げられるが、これ
らに限定されるものではない。
【0055】(a)パラジウムの担体への担持と、
(c)群元素の担体への担持は、いかなる順序で行って
も良い。すなわち、各々の担持を同時に行ってもよい
し、相前後してもかまわない。好ましくは、(c)群元
素の担体への担持は、(a)パラジウムの原料化合物と
同時に行ったほうがよい。
【0056】その後、パラジウム担持触媒を常法により
濾取した後に、ハロゲン化物等の触媒反応における反応
阻害物質を取り除くために、水洗、乾燥することができ
る。以上のようにして、パラジウム担持触媒を得ること
ができる。
【0057】本発明(III)の製造方法(2)の第2
工程を説明する。第2工程は、第1工程で得られたパラ
ジウム担持触媒に、(b)群化合物、及び(c)群元素
を担持することにより、本発明(II)の触媒を得る方
法である。
【0058】第2工程において用いられる(b)群化合
物、及び担体への担持方法については、本発明(II
I)の製造方法(1)の第2工程と同様である。
【0059】第2工程において(c)群元素を添加する
場合、(c)群元素の原料は本発明(III)の製造方
法(2)の第1工程と同様である。ただし、ハロゲン化
物等の反応阻害物質が触媒中に多量に残留するのを防ぐ
ため、硝酸塩やシュウ酸塩、テルル酸、ニオブ酸等、ハ
ロゲン化物以外のものを使用するのが好ましい。また担
体への担持方法は、本発明(III)の製造方法(2)
の第1工程と同様である。
【0060】第1工程と第2工程の両方で(c)群元素
を添加する場合、その(c)群元素は同じでも異なって
いてもよい。
【0061】第2工程において、(b)群化合物、及び
(c)群元素の担体への担持は、いかなる順序で行って
もよい。すなわち、各々の担持を同時に行ってもよい
し、相前後しても構わない。一般的には、同時に行うの
が好ましい。以上のようにして、本発明(II)の触媒
を得ることができる。
【0062】[本発明(IV)−酢酸の製造方法]本発
明(IV)の酢酸の製造方法において、エタンと酸素を
反応させて、酢酸を製造する際の反応温度に特に制限は
なく、反応速度や選択性を考慮して適宜設定することが
できる。好ましくは、150℃〜400℃であり、更に
好ましくは180℃〜350℃である。また、反応は常
圧で行ってもよく、加圧下に行ってもよい。好ましくは
ゲージ圧で0.0MPa〜3.0MPaであり、より好
ましくは0.1MPa〜1.5MPaである。
【0063】本発明の酢酸の製造方法において、反応系
に供給するガスは、エタンと酸素を含み、更に必要に応
じて窒素、二酸化炭素、又は希ガスなどを希釈剤として
使用することができる。原料のエタンは特に純度が限定
されるものではなく、エチレンとの混合ガスでもよい。
またその他にも、例えばエタンとエチレン以外の炭化水
素、水、一酸化炭素、二酸化炭素等が不純物として混入
していてもよい。また酸素は純酸素ガスでもよいが、特
に純度は限定されるものではなく、空気のような酸素含
有ガスを用いることもできる。
【0064】かかる供給ガス全量に対して、エタンは
0.5容量%〜80容量%、好ましくは1容量%〜50
容量%の割合となる量で、酸素は1容量%〜30容量
%、好ましくは2容量%〜25容量%の割合となる量
で、反応系に供給される。安全上、爆発範囲を避けるこ
とが重要である。
【0065】またこの反応系においては、水を反応系内
に存在させると、酢酸の選択性の向上、及び触媒の活性
維持に著しく効果がある。水蒸気は反応ガス中に1容量
%〜50容量%、好ましくは5容量%〜40容量%の割
合となる量で反応系に供給されるのがよい。
【0066】反応混合ガスは、標準状態において、空間
速度(SV)100hr-1〜15000hr-1、特に、
300hr-1〜8000hr-1で触媒に通すのが好まし
い。
【0067】反応形式としては、特に制限はなく、公知
の方法、例えば固定床、流動床、移動床等の形式を採り
得る。固定床を用いると運転が容易になる。また流動床
を用いると反応熱の除去が容易になる。この反応系にお
いては、反応熱が大きいので流動床を採用し、熱回収の
プロセスを組み合わせるのが有利である。なお原料のエ
タンまたはエチレンが未反応ガスとして反応後のガスに
残る場合は、未反応ガスを反応器に戻してリサイクル使
用しても、反応器を2段以上設け、場合によっては酸素
含有ガスを新たに加えて、続けて反応させてもよい。
【0068】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、これらの実施例は本発明の概要を示すもので、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0069】実施例および比較例におけるエタンの転化
率(%)、酢酸の選択率(%)、エチレンの選択率
(%)、CO2とCOの選択率の和(%)はそれぞれ次
式で定義される。 エタンの転化率(%)=(生成物の炭素のモル数の和)
÷(供給したエタンのモル数×2)×100 酢酸の選択率(%)=(生成した酢酸のモル数×2)÷
(生成物の炭素のモル数の和)×100 エチレンの選択率(%)=(生成したエチレンのモル数
×2)÷(生成物の炭素のモル数の和)×100 CO2とCOの選択率の和(%)=(生成したCO2のモ
ル数+生成したCOのモル数)÷(生成物の炭素のモル
数の和)×100 また触媒の活性度を、単位時間(h)当たり、触媒単位
容量(リットル:l)当たりで製造された酢酸の質量
(空時収率(STY)(単位 g/hl))として、次
式により求めた。 酢酸STY(g/hl)=酢酸の収量(g)÷時間
(h)÷触媒容量(l)
【0070】[担体の前処理]本実施例および比較例で
用いた担体はすべて、前処理として110℃の空気中で
4時間乾燥させた。
【0071】実施例1 シリカ担体(ズードヘミー製:KA−1、粒径5mm
φ)57.0gに、塩化パラジウム酸ナトリウム(田中
貴金属製:Na2PdCl4)2.2g、塩化金酸・4水
和物(田中貴金属製:HAuCl4・4H2O)0.6
3g、塩化亜鉛(和光純薬工業製:ZnCl2)0.1
1gを水に溶解させ36mlとした水溶液を含浸させ
た。次にメタケイ酸ナトリウム・9水和物(和光純薬工
業製:Na2SiO3・9H2O)6.6gを水に溶解さ
せ80mlとした水溶液を加え、室温で20時間放置し
た。次にヒドラジン・1水和物(和光純薬工業製:N2
4・H 2O)4.6gに水を加え8mlにした水溶液を
添加し、穏やかに攪拌した後、室温で4時間放置し、金
属パラジウムに還元した。その後触媒を濾過し、デカン
テーションを行った後、ストップコック付きのガラスカ
ラム(内径40mm)に移し、総量で320lの純水
(イオン交換水)を40時間かけて流通させ、洗浄し
た。次いで空気中110℃で4時間乾燥し、金属パラジ
ウム担持触媒を得た。
【0072】さらに上記金属パラジウム担持触媒全量
に、亜テルル酸ナトリウム(和光純薬工業製:Na2
eO3)0.22gを水に溶解させ36mlとした水溶
液を含浸させ、室温で1時間乾燥させた後、ストップコ
ック付きのガラスカラム(内径40mm)に移し、総量
で192lの純水(イオン交換水)を16時間かけて流
通させ、洗浄した。次に空気中110℃で4時間乾燥
し、金属パラジウム、テルル担持触媒を得た。
【0073】さらに上記金属パラジウム、テルル担持触
媒全量に、ケイタングステン酸・26水和物(日本無機
化学工業製:H4SiW1240・26H2O)19.2g
と硝酸マンガン・6水和物(和光純薬工業製:Mn(N
32・6H2O)0.16gを水に溶解し36mlと
した水溶液を含浸させた。次に室温で1時間、空気中1
10℃で4時間乾燥させた後、デシケーター中で室温ま
で放冷した。これにより酢酸製造用触媒1を74.8g
得た。
【0074】実施例2 実施例1においてケイタングステン酸・26水和物の代
わりに、リンタングステン酸・26水和物(日本無機化
学工業製:H3PW1240・26H2O)19.2gを用
いた以外は実施例1と同様に操作して、酢酸製造用触媒
2を74.8g得た。
【0075】実施例3 実施例1において硝酸マンガン・6水和物(和光純薬工
業製:Mn(NO32・6H2O)の代わりに、硝酸鉄
・9水和物(和光純薬工業製:Fe(NO33・9H2
O)0.23gを用いた以外は実施例1と同様に操作し
て、酢酸製造用触媒3を74.8g得た。
【0076】実施例4 実施例1において硝酸マンガン・6水和物(和光純薬工
業製:Mn(NO32・6H2O)の代わりに、硝酸銅
・3水和物(和光純薬工業製:Cu(NO32・3H2
O)0.14gを用いた以外は実施例1と同様に操作し
て、酢酸製造用触媒4を74.8g得た。
【0077】実施例5 実施例1において硝酸マンガン・6水和物(和光純薬工
業製:Mn(NO32・6H2O)の代わりに、硝酸コ
バルト・6水和物(和光純薬工業製:Co(NO32
6H2O)0.17gを用いた以外は実施例1と同様に
操作して、酢酸製造用触媒5を74.8g得た。
【0078】実施例6 実施例1において硝酸マンガン・6水和物(和光純薬工
業製:Mn(NO32・6H2O)の代わりに、硝酸ク
ロム・9水和物(和光純薬工業製:Cr(NO3 3・9
2O)0.23gを用いた以外は実施例1と同様に操
作して、酢酸製造用触媒6を74.8g得た。
【0079】実施例7 実施例1において塩化亜鉛(和光純薬工業製:ZnCl
2)の代わりに、塩化鉄・6水和物(和光純薬工業製:
FeCl3・6H2O)0.26gを用いた以外は実施例
1と同様に操作して、酢酸製造用触媒7を74.8g得
た。
【0080】実施例8 実施例1において塩化亜鉛(和光純薬工業製:ZnCl
2)の代わりに、塩化銅・2水和物(和光純薬工業製:
CuCl2・2H2O)0.14gを用いた以外は実施
例1と同様に操作して、酢酸製造用触媒8を74.8g
得た。
【0081】実施例9 実施例1において塩化亜鉛(和光純薬工業製:ZnCl
2)の代わりに、塩化コバルト・6水和物(和光純薬工
業製:CoCl2・6H2O)0.22gを用いた以外は
実施例1と同様に操作して、酢酸製造用触媒9を74.
8g得た。
【0082】実施例10 実施例1において塩化亜鉛(和光純薬工業製:ZnCl
2)の代わりに、塩化クロム・6水和物(添川理化学
製:CrCl3・6H2O)0.28gを用いた以外は実
施例1と同様に操作して、酢酸製造用触媒10を74.
8g得た。
【0083】実施例11 実施例1においてケイタングステン酸・26水和物(日
本無機化学工業製:H4SiW1240・26H2O)と硝
酸マンガン・6水和物(和光純薬工業製:Mn(N
32・6H2O)の代わりに、ケイタングステン酸・
26水和物(日本無機化学工業製:H4SiW1240
26H2O)17.8gと11−タングスト−1−バナ
ドリン酸・26水和物(日本無機化学工業製:H4PW
11VO40・26H2O)1.4gを用いた以外は実施例
1と同様に操作して、酢酸製造用触媒11を74.8g
得た。
【0084】実施例12 シリカ担体(ズードヘミー製:KA−1、粒径5mm
φ)57.0gに、塩化パラジウム酸ナトリウム(田中
貴金属製:Na2PdCl4)3.0gを水に溶解させ3
6mlとした水溶液を含浸させた。次にメタケイ酸ナト
リウム・9水和物(和光純薬工業製:Na2SiO3・9
2O)6.6gを水に溶解させ80mlとした水溶液
を加え、室温で20時間放置した。次にヒドラジン・1
水和物(和光純薬工業製:N24・H2O)4.6gに
水を加え8mlにした水溶液を添加し、穏やかに攪拌し
た後、室温で4時間放置し、金属パラジウムに還元し
た。その後触媒を濾過し、デカンテーションを行った
後、ストップコック付きのガラスカラム(内径40m
m)に移し、総量で320lの純水(イオン交換水)を
40時間かけて流通させ、洗浄した。次いで空気中11
0℃で4時間乾燥し、金属パラジウム担持触媒を得た。
【0085】さらに上記金属パラジウム担持触媒全量
に、10−モリブド−2−バナドリン酸・26水和物
(日本無機化学工業製:H5PMo10240・26H2
O)20.9gを水に溶解し36mlとした水溶液を含
浸させた。次に室温で1時間、空気中110℃で4時間
乾燥させた後、デシケーター中で室温まで放冷した。こ
れにより酢酸製造用触媒12を74.6g得た。
【0086】実施例13 酸化チタン担体(堺化学工業製:TiO2、粒径5mm
φ)85.1gに、塩化パラジウム酸ナトリウム(田中
貴金属製:Na2PdCl4)3.0gを水に溶解させ3
6mlとした水溶液を含浸させた。次にメタケイ酸ナト
リウム・9水和物(和光純薬工業製:Na2SiO3・9
2O)6.6gを水に溶解させ80mlとした水溶液
を加え、室温で20時間放置した。次にヒドラジン・1
水和物(和光純薬工業製:N24・H2O)4.6gに
水を加え8mlにした水溶液を添加し、穏やかに攪拌し
た後、室温で4時間放置し、金属パラジウムに還元し
た。その後触媒を濾過し、デカンテーションを行った
後、ストップコック付きのガラスカラム(内径40m
m)に移し、総量で320lの純水(イオン交換水)を
40時間かけて流通させ洗浄した。次いで空気中110
℃で4時間乾燥し、金属パラジウム担持触媒を得た。
【0087】さらに上記金属パラジウム担持触媒全量
に、11−モリブド−1−バナドリン酸・26水和物
(日本新金属製:H4PMo11VO40・26H2O)2
0.8gを水に溶解し36mlとした水溶液を含浸させ
た。次に室温で1時間、空気中110℃で4時間乾燥さ
せた後、デシケーター中で室温まで放冷した。これによ
り酢酸製造用触媒13を103g得た。
【0088】比較例1 シリカ担体(ズードヘミー製:KA−1、粒径5mm
φ)57.0gに、10−モリブド−2−バナドリン酸
・26水和物(日本無機化学工業製:H5PMo102
40・26H2O)19.2gを水に溶解し36mlとし
た水溶液を含浸させた。次に室温で1時間、空気中11
0℃で4時間乾燥させた後、デシケーター中で室温まで
放冷した。これにより酢酸製造用触媒14を72.2g
得た。
【0089】比較例2 酸化チタン担体(堺化学工業製:TiO2、粒径5mm
φ)42.6gに、11−モリブド−1−バナドリン酸
・26水和物(日本新金属製:H4PMo11VO4 0・2
6H2O)18.3gを水に溶解し19mlとした水溶
液を含浸させた。次に室温で1時間、空気中110℃で
4時間乾燥させた後、デシケーター中で室温まで放冷し
た。これにより酢酸製造用触媒15を57.1g得た。
【0090】表1に実施例1〜13及び比較例1、2で
得た酢酸製造用触媒1〜15について、各成分の質量%
を示した。なお表中における質量%とは、各触媒全質量
に対する質量%である。また(b)群化合物の質量%
は、無水物として計算した。
【0091】
【表1】
【0092】[触媒の評価]実施例1〜実施例13、及
び比較例1、比較例2で調製した触媒を反応器に充填
し、反応圧力0.8MP(ゲージ圧)、空間速度 22
50hour-1、及び表2の反応温度(触媒層ピーク温
度)で、エタン:酸素:水蒸気:窒素=30:5:2
5:40(容量比)の原料ガスを供給し反応を行った。
【0093】生成したガスを冷却し、冷却後の凝縮液及
びガス成分をそれぞれガスクロマトグラフィーで分析し
た。反応結果を表2に示す。
【0094】
【表2】
【0095】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明の触媒及
び該触媒を用いたエタンを原料とする酢酸の製造方法に
よれば、従来のエタンを原料とする酢酸の製造方法に比
べてエチレンの生成量が少なく、より高い選択率でエタ
ンから酢酸を製造することが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内田 博 大分県大分市大字中の洲2 昭和電工株式 会社大分生産・技術統括部内 Fターム(参考) 4G069 BA02B BA04B BB02A BB02B BB07A BB07B BB07C BC06A BC09A BC13A BC15A BC16A BC20A BC21A BC22A BC24A BC24B BC24C BC25A BC26A BC29A BC29C BC30A BC30C BC31A BC31B BC33A BC33B BC34A BC34C BC35A BC35B BC49A BC49C BC50A BC53A BC53C BC54A BC54B BC55A BC56A BC57A BC57C BC58A BC58C BC59A BC60A BC60B BC61A BC61C BC62A BC62B BC65A BC65C BC66A BC66B BC67A BC67B BC68A BC69A BC69C BC72A BC72B BC72C BD01A BD05A BD05B BD06A BD07A BD07B CB07 DA05 EA01Y EA02Y EA18 FA01 FA02 FB04 FB14 FB24 FB31 FB43 FB78 FC02 4H006 AA02 AC46 BA04 BA05 BA06 BA07 BA09 BA11 BA12 BA13 BA14 BA15 BA16 BA19 BA20 BA21 BA25 BA30 BA33 BA34 BA35 BA55 BA75 BC10 BC11 BC18 BE30 4H039 CA65 CC30

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エタンと酸素とを触媒の存在下に反応さ
    せる酢酸の製造方法において、該触媒が(a)パラジウ
    ム及び(b)ヘテロポリ酸及びその塩よりなる群から選
    ばれた少なくとも一種以上の化合物が担体に担持されて
    いることを特徴とする酢酸製造用触媒。
  2. 【請求項2】 エタンと酸素とを触媒の存在下に反応さ
    せる酢酸の製造方法において、該触媒が(a)パラジウ
    ム(b)ヘテロポリ酸及びその塩よりなる群から選ばれ
    た少なくとも一種以上の化合物及び(c)周期律表の4
    族〜16族よりなる群から選ばれた少なくとも一種以上
    の元素が担体に担持されていることを特徴とする酢酸製
    造用触媒。
  3. 【請求項3】 ヘテロポリ酸が、モリブドリン酸、タン
    グストリン酸、モリブドケイ酸、タングストケイ酸、モ
    リブドバナドリン酸、モリブドバナドケイ酸、タングス
    トバナドリン酸、タングストバナドケイ酸からなる群か
    ら選ばれた少なくとも一種以上であることを特徴とする
    請求項1又は請求項2のいずれかに記載の酢酸製造用触
    媒。
  4. 【請求項4】 ヘテロポリ酸の塩が、アンモニウム、セ
    シウム、カルシウム、バリウム、ニオブ、クロム、マン
    ガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、金、亜鉛、アルミ
    ニウム、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、テルルから
    なる群から選ばれた少なくとも一種以上であることを特
    徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の酢酸製
    造用触媒。
  5. 【請求項5】 周期律表の4族〜16族よりなる群から
    選ばれた少なくとも一種以上の元素が、チタン、バナジ
    ウム、ニオブ、タンタル、クロム、マンガン、鉄、コバ
    ルト、ニッケル、銅、金、亜鉛、アルミニウム、スズ、
    鉛、アンチモン、ビスマス、テルルからなる群から選ば
    れた少なくとも一種以上であることを特徴とする請求項
    2〜請求項4のいずれかに記載の酢酸製造用触媒。
  6. 【請求項6】 以下の第1工程〜第2工程を含むことを
    特徴とする、請求項1、又は請求項3〜請求項5のいず
    れかに記載の酢酸製造用触媒の製造方法。 第1工程 担体に(a)パラジウムを担持して、パラジウム担持触
    媒を得る工程。 第2工程 第1工程で得たパラジウム担持触媒に、(b)ヘテロポ
    リ酸及びその塩よりなる群から選ばれた少なくとも一種
    以上の化合物を担持して酢酸製造用触媒を得る工程。
  7. 【請求項7】 以下の第1工程〜第2工程を含むことを
    特徴とする、請求項2〜請求項5のいずれかに記載の酢
    酸製造用触媒の製造方法。 第1工程 担体に(a)パラジウムを担持して、パラジウム担持触
    媒を得る工程。 第2工程 第1工程で得たパラジウム担持触媒に、(b)ヘテロポ
    リ酸及びその塩よりなる群から選ばれた少なくとも一種
    以上の化合物、及び(c)周期律表の4族〜16族より
    なる群から選ばれた少なくとも一種以上の元素を担持し
    て酢酸製造用触媒を得る工程。
  8. 【請求項8】 以下の第1工程〜第2工程を含むことを
    特徴とする、請求項2〜請求項5のいずれかに記載の酢
    酸製造用触媒の製造方法。 第1工程 担体に(a)パラジウム、及び(c)周期律表の4族〜
    16族よりなる群から選ばれた少なくとも一種以上の元
    素を担持して、パラジウム担持触媒を得る工程。 第2工程 第1工程で得たパラジウム担持触媒に、(b)ヘテロポ
    リ酸及びその塩よりなる群から選ばれた少なくとも一種
    以上の化合物を担持して酢酸製造用触媒を得る工程。
  9. 【請求項9】 以下の第1工程〜第2工程を含むことを
    特徴とする、請求項2〜請求項5のいずれかに記載の酢
    酸製造用触媒の製造方法。 第1工程 担体に(a)パラジウム、及び(c)周期律表の4族〜
    16族よりなる群から選ばれた少なくとも一種以上の元
    素を担持して、パラジウム担持触媒を得る工程。 第2工程 第1工程で得たパラジウム担持触媒に、(b)ヘテロポ
    リ酸及びその塩よりなる群から選ばれた少なくとも一種
    以上の化合物、及び(c)周期律表の4族〜16族より
    なる群から選ばれた少なくとも一種以上の元素を担持し
    て酢酸製造用触媒を得る工程。
  10. 【請求項10】 請求項1〜請求項5のいずれかに記載
    の酢酸製造用触媒を使用して、エタンと酸素とを反応さ
    せることを特徴とする酢酸の製造方法。
  11. 【請求項11】 水の存在下にエタンと酸素とを反応さ
    せることを特徴とする請求項10記載の酢酸の製造方
    法。
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JP2006290727A (ja) * 2005-03-18 2006-10-26 Kimoto & Co Ltd ヘテロポリ酸、ヘテロポリ酸からなる酸触媒、及びヘテロポリ酸の製造方法
WO2009060947A1 (ja) * 2007-11-07 2009-05-14 Sumitomo Chemical Company, Limited パラジウム源、ポリオキソアニオン化合物、及びチタンイオン源を含む触媒、及び、該触媒を用いたケトン化合物の製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006290727A (ja) * 2005-03-18 2006-10-26 Kimoto & Co Ltd ヘテロポリ酸、ヘテロポリ酸からなる酸触媒、及びヘテロポリ酸の製造方法
WO2009060947A1 (ja) * 2007-11-07 2009-05-14 Sumitomo Chemical Company, Limited パラジウム源、ポリオキソアニオン化合物、及びチタンイオン源を含む触媒、及び、該触媒を用いたケトン化合物の製造方法

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