JP2001332452A - 固体電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサ及びその製造方法

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JP2001332452A JP2000153559A JP2000153559A JP2001332452A JP 2001332452 A JP2001332452 A JP 2001332452A JP 2000153559 A JP2000153559 A JP 2000153559A JP 2000153559 A JP2000153559 A JP 2000153559A JP 2001332452 A JP2001332452 A JP 2001332452A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルミニウム化成皮膜の表面を、その上に設
ける導電性物質が充分に密着性よく接触し得る誘電体皮
膜となるように処理して、静電容量の向上した性能のバ
ラツキの少ない固体電解コンデンサ及びその製造方法を
提供する。 【解決手段】 酸化アルミニウムの誘電体皮膜を有する
アルミニウム化成基板上に固体電解質として有機導電性
重合体を設けてなるアルミニウム固体電解コンデンサの
製造方法において、所定の形状に裁断したアルミニウム
化成基板を酸の水溶液により処理して、基板表面の誘電
体皮膜の一部を溶解する工程を有することを特徴とする
アルミニウム固体電解コンデンサの製造方法、その方法
で得られるアルミニウム固体電解コンデンサ、及びアル
ミニウム固体電解コンデンサ用アルミニウム化成基板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機導電性重合体
を固体電解質とするアルミニウム固体電解コンデンサ及
びその製造方法に関する。さらに詳しく言えば、所定の
形状に裁断したアルミニウム化成基板のバリを除去する
と共に、表面の酸化アルミニウム誘電体皮膜の一部を溶
解して誘電体皮膜の細孔分布状態(細孔容量,平均細孔
径)を調整することにより、その上に設ける有機導電性
重合体の密着性を向上せしめたアルミニウム固体電解コ
ンデンサとその製造方法、及びアルミニウム固体電解コ
ンデンサ用アルミニウム化成基板に関する。
【0002】
【背景技術及びその課題】導電性重合体を用いる固体電
解コンデンサは、予めエッチング処理し粗面化したアル
ミニウム、タンタル、チタン等の弁作用金属表面に高密
度の均一な誘電体酸化皮膜を形成し、その誘電体酸化皮
膜上に導電性重合体を形成して固体電解質とし、弁作用
金属の陽極端子(固体電解質のない金属表面部分)に陽
極リード線を接続し、導電性重合体を含む導電体層に陰
極リード線を接続してなる基本構造を有し、さらに全体
をエポキシ樹脂等の絶縁性樹脂で封止して作製される。
【0003】上記の弁作用金属の中でも、アルミニウム
はエッチング処理により容易に表面積を拡大でき、また
アルミニウムを陽極とする陽極酸化処理(化成処理)に
より表面に形成される酸化皮膜が誘電体として利用でき
るため、他のコンデンサに比べて小型で大容量でかつ安
価に製造できる特長があり、アルミニウム固体電解コン
デンサとして広く用いられている。
【0004】アルミニウムのエッチング処理は、一般に
塩素イオン等を含む電解液中での交流エッチングにより
行なわる。このエッチング処理により表面に多数の細孔
が形成され表面積が拡大する。形成される細孔の半径
は、印加する電流、時間などによって異なるが、0.05〜
1μm程度である。ついで、細孔を含む表面を陽極酸化
処理(化成処理)する。この化成処理により厚さ0.005
〜0.1μm程度の高密度で均一な陽極酸化皮膜(誘電体
皮膜)が形成される。ここで得られたアルミニウム化成
基板は固体電解コンデンサの所定の大きさに裁断され
る。このとき切り口の縁にはみ出し部分(ばり)が残存
するが、通常は、この状態のまま露出したアルミニウム
(地金)部分を再化成処理して切り口部に陽極酸化皮膜
(誘電体皮膜)を形成する。
【0005】コンデンサ素子の静電容量は、誘電体皮膜
の厚み、誘電体皮膜の誘電率、固体電解質(導電性物
質)の誘電体皮膜への被覆面積により決まる。しかし、
従来のアルミニウム固体電解コンデンサの静電容量は、
アルミニウム化成箔の静電容量(C)の理論値(C=ε
A/t;εは酸化アルミニウム誘電体の誘電率、Aは誘
電体層の表面積、tは誘電体の厚み)の80%程度にし
かならず、しかも個々の製品の静電容量のバラツキが大
きかった。これは、従来の化成手法では誘電体皮膜の厚
みと誘電率、固体電解質(導電性物質)の誘電体皮膜へ
の被覆面積、密着性等が不十分なことによると考えられ
る。
【0006】また、裁断時のバリの部分あるいは切り口
の尖頭部分の誘電体皮膜は、電圧負荷時に集中する電流
によって発熱し皮膜の破壊が生じ、固体電解質の性能
(耐電性、耐熱性)が低下するという問題もあった。
【0007】従って、本発明の目的は、アルミ化成皮膜
の表面を、その上に設ける導電性物質が十分に広い接触
面積で密着性よく接触し得る誘電体皮膜となるように処
理して、静電容量が向上し、性能のバラツキの少ない固
体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することにあ
る。また、本発明の他の目的は、アルミニウム基板の裁
断面(切口部)のバリあるいは尖頭部分を除去して電流
集中による発熱に起因する特性の低下を生じない固体電
解コンデンサ及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑み鋭意検討した結果、酸化アルミニウムの誘電体皮
膜を有するアルミニウム化成基板を酸の水溶液により処
理して誘電体皮膜の一部を溶解させると、驚くべきこと
に、固体電解質(導電性重合体)と基板との密着性が向
上してコンデンサの静電容量が増大し、また個々のコン
デンサの静電容量のバラツキが低減することを見出し
た。また前記酸水溶液処理により裁断面のバリ及び切り
口の尖頭部分が溶解除去されて電流集中による発熱に起
因する特性低下が緩和されることを確認して、本発明を
完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は以下のアルミニウム固
体電解コンデンサ、その製造方法、およびアルミニウム
固体電解コンデンサ用アルミニウム化成箔を提供するも
のである。
【0010】1)酸化アルミニウムの誘電体皮膜を有す
るアルミニウム化成基板上に固体電解質として有機導電
性重合体を設けてなるアルミニウム固体電解コンデンサ
の製造方法において、所定の形状に裁断したアルミニウ
ム化成基板を酸の水溶液により処理して、基板表面の誘
電体皮膜の一部を溶解する工程を有することを特徴とす
るアルミニウム固体電解コンデンサの製造方法。 2)酸化アルミニウムの誘電体皮膜を有するアルミニウ
ム化成基板上に固体電解質として有機導電性重合体を設
けてなるアルミニウム固体電解コンデンサの製造方法に
おいて、所定の形状に裁断したアルミニウム化成基板を
酸の水溶液により処理して、基板表面の誘電体皮膜の一
部と裁断時のバリを溶解する工程を有することを特徴と
するアルミニウム固体電解コンデンサの製造方法。 3)酸の水溶液が、硫酸、シュウ酸、クロム酸及びリン
酸から選択される水溶液である前記1または2に記載の
アルミニウム固体電解コンデンサの製造方法。 4)酸の水溶液が、シュウ酸の水溶液である前記3に記
載のアルミニウム固体電解コンデンサの製造方法。 5)シュウ酸水溶液の濃度が0.1〜15質量%である前
記4に記載のアルミニウム固体電解コンデンサの製造方
法。
【0011】6)酸の水溶液による処理が、アルミニウ
ム化成基板の浸漬処理である前記1または2に記載のア
ルミニウム固体電解コンデンサの製造方法。 7)酸の水溶液が濃度0.1〜15質量%のシュウ酸水溶
液であり、浸漬時間が20秒から10分であり、処理温
度が15〜40℃である前記6に記載のアルミニウム固
体電解コンデンサの製造方法。 8)酸の水溶液による処理後にアルミニウム裁断面を再
化成処理する工程を有する前記1または2に記載のアル
ミニウム固体電解コンデンサの製造方法。 9)前記1乃至8のいずれかに記載の方法により製造さ
れるアルミニウム固体電解コンデンサ。 10)酸の水溶液による処理で形成されたアルミニウム
化成基板上の誘電体皮膜の平均細孔半径が600オング
ストローム以上であること、及び/またはその細孔容量
が1.4cm3/g以下であることを特徴とするアルミニウ
ム固体電解コンデンサ用アルミニウム基板。 11)前記10に記載のアルミニウム化成基板を用いた
アルミニウム固体電解コンデンサ。
【0012】以下、本発明を詳しく説明する。アルミニ
ウム固体電解コンデンサにおいては、これまで酸化アル
ミニウムの誘電体皮膜を形成した市販のアルミニウム化
成箔を、固体電解コンデンサに求められる所定の形状に
切断した後、切断面のアルミニウム地金部分を再化成処
理し、その後導電性高分子の層を形成していたが、この
ような方法による固体電解コンデンサでは前述のように
静電容量にバラツキを生じる。
【0013】本発明者らは、従来法による固体電解コン
デンサの性能のバラツキの原因が、アルミニウム化成基
板表面の性状にあるのではないかと考え、市販のアルミ
ニウム化成基板の表面(誘電体皮膜)、及び従来法によ
り切り口部分を再化成処理したアルミニウム化成箔の表
面について、ファイソンズ社製ポロシメータ2000W
Sを用いて水銀圧入法で、平均細孔径と細孔容量(cm
3/g)を測定した。その結果、市販のアルミニウム化
成箔の誘電体皮膜の平均細孔半径は大旨540±50オ
ングストローム、細孔容量は1.49±0.05cm3/gであ
った。また、従来法により再化成処理したアルミニウム
化成基板では、誘電体皮膜の平均細孔半径は650〜7
50オングストローム、細孔容量は0.4〜0.6cm3/g
であった。
【0014】本発明者らは市販のアルミニウム化成基板
を所定の形状に裁断した後に酸の水溶液で処理して誘電
体皮膜の一部を溶解したところ、驚くべきことに、コン
デンサの静電容量が増大し、また個々のコンデンサの静
電容量のバラツキが低減することを見出した。この時、
酸溶解処理によりアルミニウム化成基板の誘電体皮膜の
細孔容量は減少し、平均細孔径は拡大することが確認さ
れた。すなわち、細孔容量が1.4cm3/g(細孔容量の
減少率94%)以下、好ましくは0.4cm3/g以下、平
均細孔半径は600オングストローム以上、好ましく10
00オングストローム以上の時に優れた特性が得られるこ
とが確認された。
【0015】このような表面性状の変化により固体電解
コンデンサの特性が向上する(静電容量が増加しバラツ
キが小さくなる)理由の詳細は必ずしも明らかではない
が、誘電体皮膜の導電性重合体との接触面が均一化され
るために導電性重合体との有効接触面積が実質的に増加
することによるものと考えられる。
【0016】また、酸溶液処理により裁断で生ずる切り
口のばりが溶解し、切り口の尖頭部分が溶解して丸味を
おびた形状に変化していることが確認されたが、その結
果として、電流集中による発熱に起因する特性低下が緩
和されることが考えられる。
【0017】市販のアルミニウム化成基板の誘電体皮膜
(酸化アルミニウム)の一部を酸の溶液により溶解する
発明の方法によれば、静電容量特性のバラツキが少なく
なる。
【0018】本発明により誘電体層の一部及び裁断時の
バリを溶解するのに用いられる酸はアルミニウム及び酸
化アルミニウムを溶解する特性を有するものであればよ
く、硫酸、クロム酸、リン酸等の無機酸、シュウ酸等の
有機酸のいずれも使用できる。酸の濃度は、作業性の面
から誘電体の溶解速度が適度となる範囲が選ばれる。酸
の種類によって異なるが、シュウ酸の場合に0.1〜15
質量%、好ましくは1〜10質量%である。硫酸の場合
には5〜25質量%、好ましくは10〜15質量%であ
る。これらの中でも作業性の面から、シュウ酸、硫酸、
特にシュウ酸が好ましい。
【0019】アルミニウム化成基板と酸水溶液の接触方
法は、特に限定されず、浸漬法、塗布法、噴霧法などが
挙げられるが、浸漬法が好ましい。浸漬法での浸漬(接
触)時間は、酸の種類、濃度等により一概には言えない
が、前記好ましいシュウ酸の場合にはシュウ酸濃度が1
〜10質量%で、20秒〜10分程度である。接触時の
酸水溶液の温度は、高くなると皮膜の溶解速度が大きく
なるので、通常室温程度の温度(15〜40℃)が選ば
れる。
【0020】アルミニウム化成箔を上記の条件で酸処理
することにより、その表面の誘電体層の一部が溶解し
て、細孔容量が減少し平均細孔径は拡大する。また切り
口のばりの尖頭部分が溶解していることが電子顕微鏡写
真により確認された。
【0021】図1に本発明処理後のアルミニウム化成箔
表面の走査電子顕微鏡写真(30,000倍)を示し、図2に
未処理のアルミニウム化成箔表面の走査電子顕微鏡写真
(30,000倍)を示す。図1及び図2に示されるように、
酸処理によってアルミニウム化成箔表面の形状が大幅に
変化することはない。酸処理により化成皮膜表面細孔分
布は、未処理のアルミニウム化成箔の平均細孔径490
〜590オングストローム、細孔容量1.44〜1.54cm3
/gに対して、平均細孔径600〜2000オングストロー
ム、細孔容量0.1〜1.4cm3/g程度となる。また、図
3に酸処理前後(後述の比較例2及び実施例3)の細孔
分布のバラツキを示すポア分布曲線を示す。図3は、細
孔半径(R)の変化に対して、細孔容量(V)がどれだ
け変化したかを測定したグラフであり、右側縦軸は変化
量(dV/dLogR)、左側縦軸は累積細孔容量
(V)を示している。処理前(比較例2;図3A)に比
べて処理後(実施例3:図3B)の細孔分布のバラツキ
が小さく、細孔の平均半径値が大きくなっていることが
分かる。
【0022】再化成処理は、化成箔の有効表面に形成さ
れた誘電体皮膜に損傷を与えることなく、露出した地金
部分にのみ選択的に化成できる条件を選択すればよい。
具体的には、アジピン酸、ホウ酸、リン酸等の酸を含む
電解液を用い、その電解液濃度0.95〜20質量%、温度
0〜90℃、電流密度0.1〜2000mA/cm3、通電時間
60分以内の条件で化成箔の芯部を陽極として定電流化
成を行なう。
【0023】本発明では上記酸処理したアルミニウム化
成基板上に、固体電解質層として導電性重合体を形成す
る。導電性重合体材料としては、従来知られているもの
を特に制限なく使用できる。ピロール、チオフェン、あ
るいはアニリン構造のいずれか1つの二価基、またはそ
れらの置換誘導体の少なくとも1つを繰り返し単位とし
て有するものが好ましく使用できる。
【0024】例えば、3,4−エチレンジオキシチオフ
ェンモノマー及び酸化剤を好ましくは溶液の形態におい
て、別々に前後してまたは一緒に誘電体皮膜上に塗布し
て形成する方法(特開平2-15611号公報や特開平10-3214
5号公報)等が利用できるが、モノマー溶液と酸化剤溶
液に交互に浸漬する方法が特に好ましい。
【0025】一般に導電性重合体には、ドーピング能の
ある化合物(ドーパント)が使用されるが、ドーパント
はモノマー溶液と酸化剤溶液のいずれに添加してもよ
い。ドーパントとしては、好ましくはアリールスルホン
酸塩系のドーパントが使用される。例えば、ベンゼンス
ルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン
酸、アントラセンスルホン酸、アントラキノンスルホン
酸などの塩を用いることができる。
【0026】固体電解質層の上に、陰極リード端子との
電気的接触を良くするために好ましくは導電ペーストや
メッキ等により導電体層を設ける。次いで陰極リード端
子を接続し、例えば樹脂モールド、樹脂ケース、金属製
の外装ケース、樹脂ディッピング等による外装を施すこ
とにより、各種用途の固体電解コンデンサとすることが
できる。
【0027】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて説明する
が、本発明は下記の例に限定されるものではない。
【0028】実施例1 化成皮膜表面の平均細孔半径が540オングストロー
ム、細孔容量が1.49cm 3/gのアルミニウム化成箔
(日本蓄電器工業株式会社(JCC)製100LJA19B13VF
(商品名))(定格耐電圧:13VF)を幅3mm、長
さ13mmに切断し、マスキング材で陰極部と陽極部に
分け、陰極部とする側を5%のシュウ酸水溶液に30秒
浸漬し、水洗した。乾燥後、アルミニウム化成基板の細
孔分布(細孔容量及び平均細孔半径)を、ファイソンズ
社製ポロシメータ2000WSを用いて水銀圧入法で測
定した。結果を表1に示す。次いで、電解液としてアジ
ピン酸アンモニウム10質量%水溶液を使用し、温度5
5℃、電圧13V、電流密度5mA/cm2、通電時間
10分の条件で再化成し、誘電体皮膜を切口部に形成し
た。電子顕微鏡により観察したところ裁断面のバリ及び
切り口の尖頭部分が溶解除去されて丸みを帯びているこ
とが確認された。その後、陰極部を、3,4−エチレン
ジオキシチオフェンのイソプロピルアルコール溶液1m
ol/lに浸漬後、2分間放置し、次いで、酸化剤(過
硫酸アンモニウム;1.8mol/l)とドーパント(ア
ントラキノン−2−スルホン酸ナトリウム;0.06mol
/l)の混合水溶液に浸漬し、45℃、5分間放置し
た。この工程を25回繰り返し、水洗し、導電性重合体
層を形成し、その上にカーボンペースト、銀ぺーストを
順次積層して導電層を形成した。次にリードフレームに
陰極側は銀ペーストで、陽極側は溶接で、素子を4枚重
ねて配置した。その後、全体をモールド用樹脂にて封止
し、コンデンサ素子を形成した。素子は全部で200個
作製した。8V、105℃下で1時間エージング処理を
した後、静電容量、漏れ電流特性を測定した。その結果
を表2に示す。漏れ電流特性は、コンデンサ素子に定格
電圧(6.3V)を印加後、1分後の漏れ電流値を測定
し、閾(しきい)値を0.03CVとして算出した漏れ電流
(LC)歩留として評価した。
【0029】実施例2 シュウ酸の浸漬時間を60秒とした以外は、実施例1と
同様の操作によりコンデンサ素子を作製し、静電容量、
漏れ電流特性を測定した。化成皮膜の平均細孔半径およ
び細孔容量の測定結果を表1に、静電容量、漏れ電流特
性の測定結果を表2に示す。
【0030】実施例3 シュウ酸の浸漬時間を120秒とした以外は、実施例1
と同様の操作によりコンデンサ素子を作製し、静電容
量、漏れ電流特性を測定した。図3Bに化成皮膜の細孔
半径(R)の変化に対する細孔容量(V)の変化量(d
V/dLogR)と累積細孔容量との関係を示し、化成
皮膜の平均細孔半径および細孔容量の測定結果を表1に
示し、静電容量、漏れ電流特性の測定結果を表2に示
す。
【0031】実施例4 シュウ酸の浸漬時間を180秒とした以外は、実施例1
と同様の操作によりコンデンサ素子を作製し、静電容
量、漏れ電流特性を測定した。化成皮膜の平均細孔半径
および細孔容量の測定結果を表1に示し、静電容量、漏
れ電流特性の測定結果を表2に示す。
【0032】実施例5 シュウ酸の浸漬時間を300秒とした以外は、実施例1
と同様の操作によりコンデンサ素子を作製し、静電容
量、漏れ電流特性を測定した。化成皮膜の平均細孔半径
および細孔容量の測定結果を表1に示し、静電容量、漏
れ電流特性の測定結果を表2に示す。
【0033】比較例1 シュウ酸の浸漬時間を10秒とした以外は、実施例1と
同様の操作によりコンデンサ素子を作製し、静電容量、
漏れ電流特性を測定した。化成皮膜の平均細孔半径およ
び細孔容量の測定結果を表1に示し、静電容量、漏れ電
流特性の測定結果を表2に示す。
【0034】比較例2 シュウ酸への浸漬を実施しない以外は、実施例1と同様
の操作によりコンデンサ素子を作製し、静電容量、漏れ
電流特性を測定した。図3Aに化成皮膜の細孔半径
(R)の変化に対する細孔容量(V)の変化量(dV/
dLogR)と累積細孔容量との関係を示し、化成皮膜
の平均細孔半径および細孔容量の測定結果を表1に示
し、静電容量、漏れ電流特性の測定結果を表2に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】表1および表2から、シュウ酸に浸漬処理
した化成皮膜は、浸漬処理をしないもの(比較例2)、
10秒間だけシュウ酸に浸漬処理したもの(比較例1)
に比べて細孔容量が減少し、平均細孔半径が拡大してい
るが、コンデンサの静電容量は大きくなっている。また
静電容量偏差(バラツキ)およびLC歩留も向上してい
る。
【0038】
【発明の効果】誘電体層表面を特定の酸の水溶液により
処理した本発明のアルミニウム化成基板は、化成皮膜表
面が均一化して導電性重合体(固体電解質)との密着性
がよくなり、それを用いたアルミニウム固体電解コンデ
ンサは酸処理しないものに比べて静電容量が大きく、静
電容量の個々のバラツキも少なくなる。また、裁断時に
できるバリ及び切り口の尖頭部分が溶解除去されて丸み
を帯びているため、漏れ電流特性などの電気特性が向上
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 酸処理後の誘電体皮膜断面の走査電子顕微鏡
写真(30,000倍)。
【図2】 酸処理前の誘電体皮膜断面の走査電子顕微鏡
写真(30,000倍)。
【図3】 酸処理前(A)及び酸処理後(B)の誘電体
皮膜表面の細孔分布を示すポア分布曲線。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化アルミニウムの誘電体皮膜を有する
    アルミニウム化成基板上に固体電解質として有機導電性
    重合体を設けてなるアルミニウム固体電解コンデンサの
    製造方法において、所定の形状に裁断したアルミニウム
    化成基板を酸の水溶液により処理して、基板表面の誘電
    体皮膜の一部を溶解する工程を有することを特徴とする
    アルミニウム固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 【請求項2】 酸化アルミニウムの誘電体皮膜を有する
    アルミニウム化成基板上に固体電解質として有機導電性
    重合体を設けてなるアルミニウム固体電解コンデンサの
    製造方法において、所定の形状に裁断したアルミニウム
    化成基板を酸の水溶液により処理して、基板表面の誘電
    体皮膜の一部と裁断時のバリを溶解する工程を有するこ
    とを特徴とするアルミニウム固体電解コンデンサの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 酸の水溶液が、硫酸、シュウ酸、クロム
    酸及びリン酸から選択される水溶液である請求項1また
    は2に記載のアルミニウム固体電解コンデンサの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 酸の水溶液が、シュウ酸の水溶液である
    請求項3に記載のアルミニウム固体電解コンデンサの製
    造方法。
  5. 【請求項5】 シュウ酸水溶液の濃度が0.1〜15質量
    %である請求項4に記載のアルミニウム固体電解コンデ
    ンサの製造方法。
  6. 【請求項6】 酸の水溶液による処理が、アルミニウム
    化成基板の浸漬処理である請求項1または2に記載のア
    ルミニウム固体電解コンデンサの製造方法。
  7. 【請求項7】 酸の水溶液が濃度0.1〜15質量%のシ
    ュウ酸水溶液であり、浸漬時間が20秒から10分であ
    り、処理温度が15〜40℃である請求項6に記載のア
    ルミニウム固体電解コンデンサの製造方法。
  8. 【請求項8】 酸の水溶液による処理後にアルミニウム
    裁断面を再化成処理する工程を有する請求項1または2
    に記載のアルミニウム固体電解コンデンサの製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8のいずれかに記載の方法
    により製造されるアルミニウム固体電解コンデンサ。
  10. 【請求項10】 酸の水溶液による処理で形成されたア
    ルミニウム化成基板上の誘電体皮膜の平均細孔半径が6
    00オングストローム以上であること、及び/またはそ
    の細孔容量が1.4cm3/g以下であることを特徴とする
    アルミニウム固体電解コンデンサ用アルミニウム化成基
    板。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載のアルミニウム化成
    基板を用いたアルミニウム固体電解コンデンサ。
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