JP2001330454A - 角速度センサ補正装置、ナビゲーション装置、角速度算出方法、および記憶媒体 - Google Patents

角速度センサ補正装置、ナビゲーション装置、角速度算出方法、および記憶媒体

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JP2001330454A
JP2001330454A JP2000149755A JP2000149755A JP2001330454A JP 2001330454 A JP2001330454 A JP 2001330454A JP 2000149755 A JP2000149755 A JP 2000149755A JP 2000149755 A JP2000149755 A JP 2000149755A JP 2001330454 A JP2001330454 A JP 2001330454A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両の走行中であってもオフセット電圧や感
度をほぼ正確に求め、方位精度を向上させる。 【解決手段】 角速度センサ26の出力電圧の平均値
と、その平均値を計算する前後の方位差から、角速度セ
ンサ26のオフセット電圧または感度を計算し、角速度
センサ26の補正を行なう。即ち、移動体における角速
度を検出する角速度センサ26から出力される電圧の平
均値を算出する平均値算出手段と、平均値が算出される
際の移動体における方位変化量を検出する方位変化量検
出手段と、算出された平均値と検出された方位変化量と
に基づいて角速度センサ26におけるオフセット電圧お
よび感度を補正する補正手段とをCPU10に備え、補
正されたオフセット電圧および感度によって算出された
角速度を車両の状態表示として表示部19に反映させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両等の移動体に
おけるナビゲーションシステムに係り、特に角速度セン
サの補正を可能としたナビゲーション装置等に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車両等の状態を把握することを目
的として、振動ジャイロから出力される角速度に応じた
信号を用い、車両等における角速度を算出する角速度セ
ンサ(ジャイロセンサ)を用いたナビゲーション装置が存
在する。この車両等に用いられる角速度センサでは、例
えば、一対のアームとこれを連結する連結部により音叉
型に形成された圧電体からなる振動子を備え、この振動
子に振動検出用の圧電体を設けている。そして、振動子
をアームの配列方向である駆動軸方向に振動させ、駆動
軸と直交する検出軸方向への振動子の振動変化(コリオ
リ力によって振動子に発生する応力)をこの圧電体によ
り検出して角速度を検出するように構成したものが存在
する。
【0003】これらの角速度センサにおいて、角速度セ
ンサの出力電圧Voutから角速度ωを求める式は、角速
度センサの感度をS、オフセット電圧(中点電圧)をVof
fsetとすると、 ω = (Vout − Voffset) × ( 1/S ) となる。このオフセット電圧Voffsetは、温度等で変化
する場合があり、角速度センサにおける主な誤差要因の
一つとなっている。即ち、検知用の圧電体には、振動子
の屈曲振動によって圧縮応力と引張り応力が同時に発生
し、圧電体の接合位置の誤差、接合ムラ、検出軸方向に
生じる不要振動等の原因でオフセット電圧Voffsetが発
生するが、例えば振動子の不要振動が温度によって変化
する等の理由によって、温度変化によるオフセット電圧
Voffsetの変化が見られるのである。これらの角速度セ
ンサは、例えばナビゲーション装置本体に設けられるこ
とから、回路基板等の発熱体における温度上昇の影響を
受けている。
【0004】ここで、従来の角速度センサにおけるオフ
セット電圧Voffsetの補正方法では、静止時に角速度ω
が0になることを利用し、 静止時のVout = Voffset としてオフセット電圧Voffsetを求めていた。また、特
開平5−306936号公報では、車速センサから出力
されたパルスによって車両が走行中であるか停止中であ
るかを判別し、停止中における角速度信号を平均化して
オフセット値を算出してオフセット電圧Voffsetによる
角度変動を少なくする技術について開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図7(a),(b),(c)
は、車両が静止時、走行時における角速度センサの出力
を説明するための図である。図7(a)に示されるよう
に、車両が静止時には出力特性が一定となることから、
前述したようにVout = Voffsetによってオフセット
電圧Voffsetを算出することが可能である。また、停止
中であっても車両の振動等によって角速度信号が変動す
る場合には、特開平5−306936号公報に示される
技術によってオフセット電圧Voffsetを算出することが
できる。しかしながら、車両が停止する間隔は不連続で
あり、車両が停止しない限りは補正をかけることができ
ず、これらの従来技術では定期的な補正を行なうことが
できない。走行時には、図7(b)に示されるように車の
方位変化量によって角速度センサの出力電圧Voutが変
化するので、従来技術ではオフセット電圧Voffsetを求
めることができないのである。
【0006】また、図7(c)に示されるように、走行中
であっても直線走行時には角速度ωが0となる状態があ
るので、静止時と同様にしてオフセット電圧Voffsetが
求められる可能性はある。しかしながら、一般的にはω
=0の条件における連続性が低いことから、即ち、正確
に直線走行を連続して行なうことが難しいことから、正
確にオフセット電圧Voffsetを算出することができなか
った。また、このときには真っ直ぐに走行していること
が前提となるが、真っ直ぐに走行しているか否かの判断
自体が難しい。例えば、角速度センサにおける出力電圧
Voutの変化量が少なく見えたら真っ直ぐに走っている
と判断してしまうと、中点がドリフトしているのに出力
電圧Voutが変化していない場合もあり得る。この場合
には、このドリフトをキャンセルするように車両が動作
していることとなり、この状態で補正をかけることは、
却って誤差を大きくする結果となってしまう。
【0007】本発明は、このような技術的課題を解決す
るためになされたものであって、その目的とするところ
は、走行中であってもオフセット電圧や感度をほぼ正確
に求め、方位精度を向上させることにある。また他の目
的は、オフセット電圧の計算頻度を上げることを可能と
し、オフセット電圧の激しい角速度センサを用いてもほ
ぼ正確に方位を求めることにある。更に他の目的は、感
度の異なる角速度センサを用いた場合や、角速度センサ
の回転軸を垂直から傾けた場合等であっても、ほぼ正確
に方位を求めることを可能とすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる目的のもと、本発
明は、角速度センサの出力電圧の平均値と、その平均値
を計算する前後の方位差から、角速度センサのオフセッ
ト電圧または感度を計算し、角速度センサの補正を行な
うものである。即ち、本発明が適用されたナビゲーショ
ン装置は、移動体における角速度を検出する角速度セン
サから出力される電圧の平均値を算出する平均値算出手
段と、平均値が算出される際の移動体における方位変化
量を検出する方位変化量検出手段と、算出された平均値
と検出された方位変化量とに基づいて角速度センサにお
けるオフセット電圧および/または感度を補正する補正
手段とを備えたことを特徴としている。
【0009】ここで、この補正手段は、算出されたオフ
セット電圧の変化量が小さい場合に、角速度センサの感
度を補正することを特徴とすれば、より正確にオフセッ
ト電圧と感度を求めることができる点で好ましい。この
変化量が小さいか否かは、例えば、予め定めた閾値に対
してその変化量が閾値以内であれば小さいものと判断す
ることができる。また、この方位変化量検出手段は、G
PS衛星から取得したGPS方位に基づいて方位変化量
を検出することを特徴とすることができる。また、地図
データに基づいて、方位変化量を検出することも可能で
ある。GPS方位に基づいて方位変化量を検出するよう
に構成すれば、簡単な構成にてほぼ正確な方位変化量を
検出することが可能となる。尚、これらの手段は、例え
ばナビゲーション装置に用いられるCPUやセンサデー
タ制御部等に備えられるものとすることができる。
【0010】一方、本発明が適用されるナビゲーション
装置は、移動体における角速度に応じて電圧を出力する
角速度センサと、この角速度センサから出力される電圧
を所定回数、測定する出力電圧測定手段と、電圧が測定
される所定回数の前後(例えば、所定回数の最初と最後)
における移動体の方位変化量を検出する方位変化量検出
手段と、測定された電圧および検出された方位変化量に
基づいて、角速度センサにおけるオフセット電圧および
/または感度を算出する算出手段と、算出されたオフセ
ット電圧および/または感度に基づいて移動体の角速度
を算出する角速度算出手段と、算出された角速度を反映
して移動体の状態を表示する表示手段とを備えたことを
特徴とすることができる。更に、GPS衛星から発信さ
れる信号を受信してGPS方位を検出するGPS受信機
とを備え、この方位変化量検出手段は、GPS受信機に
て検出されたGPS方位に基づいて移動体の方位変化量
を検出することを特徴とすることができる。
【0011】また、本発明が適用される角速度算出方法
は、移動体における角速度を検出する角速度センサから
出力される電圧の平均値を算出し、平均値が算出される
際の移動体における方位変化量を検出し、算出された平
均値と検出された方位変化量とに基づいて角速度センサ
におけるオフセット電圧および/または角速度センサに
おける感度を算出し、算出されたオフセット電圧および
/または感度に基づいて移動体の角速度を算出すること
を特徴とすることができる。このように構成すること
で、走行中であってもオフセット電圧または/および感
度をほぼ正確に求めることが可能となる。
【0012】更にまた、本発明は、ナビゲーション装置
等のコンピュータ装置に実行させるプログラムをコンピ
ュータ装置の入力手段が読取可能に記憶した、CD−R
OM等の記憶媒体において、このプログラムは、移動体
における角速度を検出する角速度センサから出力される
電圧の平均値を算出する処理と、平均値が算出される際
の移動体における方位変化量を検出する処理と、算出さ
れた平均値と検出された方位変化量とに基づいて角速度
センサにおけるオフセット電圧および/または角速度セ
ンサにおける感度を補正する処理とをコンピュータ装置
に実行させることを特徴とすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に示す実施の形態
に基づいてこの発明を詳細に説明する。図1は、本実施
の形態におけるカーナビゲーションシステムの全体構成
を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の
形態におけるカーナビゲーションシステムは、システム
全体の制御や演算を行なうCPU10、CD-ROMド
ライブ17等の外部記憶装置を制御する記憶制御装置1
1、スピーカ18等による音声の制御を行なう音声制御
装置12、リモコン(図示せず)やコントロールパネル
(図示せず)等からの入力信号を制御する入力制御装置1
3、LCD(液晶表示ディスプレイ)等からなる表示部1
9に表示するデータを制御する表示制御装置14、内部
記憶装置であるRAM15、ROM16を備えている。
本実施の形態にて実行される処理プログラムは、例えば
RAM15やROM16等に格納される場合の他、CD
-ROM等の外部記憶媒体に記憶された状態にて、CD-
ROMドライブ17等から読み込まれる場合がある。ま
た、本実施の形態における補正結果は、表示部19に対
する表示に反映される。
【0014】また、GPSアンテナ21にてGPS衛星
から発信された信号を受信して測位計算を行なうGPS
受信機(GPS)20を備えている。このGPS20は、
上空を軌道するGPS衛星を利用して車や航空機、船舶
などの移動体が、地球上の位置や速度をリアルタイムで
求めることができるように開発された位置測定システム
である。GPS衛星からは、スペクトラム拡散された約
1.5GHzの信号が発信される。この発信された信号
は、その距離に応じた伝播時間後にGPSアンテナ21
にて受信される。このGPSアンテナ21にて受信され
た信号は、GPS20に設けられたRF部によって所定
の中間周波数にダウンコンバートされ、信号同期復調部
に入る。その後、この信号同期復調部にて信号の逆拡散
が行われ、データが復調され、信号処理部にて測位計算
に用いられる。GPS測位動作では、周波数サーチが行
なわれた後に、ある程度の相関が検出されるとPLL(P
hase Lock Loop)を行って位相を合わせ込み、GPS衛
星からの信号と内部の信号とを完全に位相同期させる。
そして、ビット境界のエッジが検出され、データが取り
込めるようになると、時間情報の確認が行なわれる。即
ち、階層化された航法メッセージ内のサブフレームにお
ける2ワード目に格納され、6秒周期で1週間までの信
号時刻を表すTOW(Time Of Week)が取り込まれる。こ
のTOWが取り込まれると測位計算に移る。
【0015】また、センサデータ制御部25は、角速度
センサ(ジャイロセンサ)26や車速パルス、バックセン
サ等のデータを取得し、CPU10に対して取得したセ
ンサデータを出力している。この角速度センサ(ジャイ
ロセンサ)26は、前述したように、例えば、一対のア
ームとこれを連結する連結部により音叉型に形成された
圧電体からなる振動子と、この振動子に振動検出用の圧
電体を設け、振動子を振動させ、駆動軸と直交する検出
軸方向への振動子の振動変化をこの圧電体により検出し
て角速度を検出するように構成している。但し、ここで
示したものは一例であって、他の構成からなる角速度セ
ンサ26を用いても問題はない。
【0016】図2(a),(b)は、走行時の車両の状態と
角速度センサ26からの出力電圧の状態を説明するため
の図である。ここでは、図2(a)に示すように、方位測
定の最初と最後の時間内に方位変化量Δθがあったもの
とする。図2(b)では、図2(a)に示すような車両移動
があった場合における角速度センサ26からの時間経過
に基づく出力電圧の変化を示しており、横軸に時間を、
縦軸に出力電圧をとっている。角速度センサ26から出
力されるオフセット電圧は、本実施の形態では通常時に
約2.5Vとなるように設定されている。この約2.5V
を中心として、車両が右に曲がると電圧が上に振れ、車
両が左に曲がると電圧が下に振れる。勿論、この逆に振
れるように構成することも可能である。本実施の形態に
おける角速度センサ26からの出力電圧は、車両の曲が
る角度が大きくなると電圧が大きく振れるように構成さ
れており、例えば、一定の角速度10deg/secのターン
テーブル上に角速度センサ26を置いて測定すると、2
50mVの出力変動が得られるものを用いている。即
ち、感度Sとして、1秒あたり1deg回転すると25m
Vの出力が得られるものを採用している。
【0017】図3は、方位変化量Δθがあった場合のオ
フセット電圧Voffsetを求める一連の式を示した図であ
る。角速度センサ26からの出力電圧をVout、オフセ
ット電圧をVoffset、角速度センサ26の感度をS(V/
deg/sec)とすると、角速度ω(deg/sec)は、図3の式
で表わされる。即ち、出力電圧Voutとオフセット電圧
Voffsetとの差をとり、感度Sにて除することで、角速
度ωを算出することができる。一方、方位変位量Δθ(d
eg)は、角速度ωの積分値として図3の式で表現する
ことができる。ここで用いられるΔtは、角速度ωのサ
ンプリング間隔である。この式の右辺を変形すると、
図3の式となる。この式で用いられるnはサンプル
数であり、Voffsetは定数であることから、ΣVoffset
は、サンプル数nを用いて、n・Voffsetで表わすこと
ができる。この式をVoffsetについて解くと、図3の
式のようになる。この式の右辺第1項は、出力電圧
Voutをサンプル数nで除した値であり、角速度センサ
26における出力値の平均値であることがわかる。ま
た、右辺第2項は、方位変化量Δθを電圧値に変換し、
その値をサンプル数nで除した値であることが理解でき
る。
【0018】これらのことから、オフセット電圧Voffs
etを求めるためには、角速度センサ26の出力電圧の平
均値を常に計算で求め、その平均値計算の開始時から終
了時までの方位変化量Δθの値を何らかの方法で求める
ことができれば、オフセット電圧Voffsetを式により
求めることが可能となる。図2(b)に示した時間と出力
電圧Voutとの変化グラフを見ると、まず、Δθ = 0
の直線走行に対して多少左右するような走行時には、約
2.5Vのオフセット電圧レベルの上下を行き来するに
留まることから、オフセット電圧Voffsetは平均値によ
って計算される。しかしながら、方位変化量Δθの方向
変化が一方向に加わると、出力電圧Voutはオフセット
電圧Voffsetに比べて大きな値を示すようになる。この
オフセット電圧Voffsetよりも大きな出力電圧Vout
が、式の右辺第2項に表わされた方位変化量Δθの影
響によるものと言うことができる。
【0019】ここで、算出に用いられる方位変化量Δθ
は、例えば、GPS20から得られたGPS方位や、地
図データから求めることができる。また、サンプル数n
の数は大きい方が好ましい。これは、式の右辺第2項
で示されるように、Δθ/nで計算されることから、サ
ンプル数nを大きくすることで、方位変化量Δθの誤
差、即ち、例えばGPS20から得られたGPS方位の
誤差等を吸収することができるためである。但し、あま
り細かい間隔を用いてサンプル数nをとると、角速度セ
ンサ26からの出力が追従できなくなることから、例え
ば500ms程度の間隔にてサンプルをとることが好ま
しい。例えば、この500ms程度の間隔にてサンプル
をとり、1分後の方位変化量Δθを測定する場合には、
サンプル数nは120程度とすることができる。
【0020】図4は、オフセット電圧Voffsetを計算す
るための処理フローを示した図である。まず、CPU1
0は、平均値計算の計算開始時における車両の方位をG
PS20や地図データ等から検出し(ステップ101)、
RAM15やCPU10等に設けられた作業用のメモリ
に格納する。次に、角速度センサ26からの出力電圧
(出力値)Voutをセンサデータ制御部25を経由して検
出する(ステップ102)。この検出された出力値は、例
えばRAM15に順次、格納される。CPU10は、時
間で制御される場合には所定時間が経過したか否か、ま
たは、サンプル数nで制御される場合には所定数からな
る出力値が得られたか否かを判断する(ステップ10
3)。所定時間以上またはサンプル数nが所定数以上と
なった場合には、例えばGPS20また地図データか
ら、現在(サンプル取得終了時)の車両が走行している状
態を把握し、計算開始時からサンプル取得終了時までの
方位変化量Δθを検出する(ステップ104)。CPU1
0は、得られた方位変化量Δθの値を用いて、図3の
式に示す計算を行ない、オフセット電圧Voffsetを計算
する(ステップ105)。その後、例えば、CPU10は
得られたオフセット電圧Voffsetをセンサデータ制御部
25に転送し、角速度センサ26におけるオフセット電
圧Voffsetの補正が行なわれる。このようにしてオフセ
ット電圧Voffsetの補正が行なわれると、この補正値を
用いて、図3の式によって角速度ωをほぼ正確に算出
することができる。また、この角速度ωは、表示部19
に対して車両の状態表示として反映することが可能であ
る。
【0021】次に、角速度センサ26における感度Sの
計算について説明する。図3の式を感度Sについて解
くと、図3に示す式のように変形できる。右辺におけ
る (1/n)・ΣVoutは、出力電圧Voutの平均値であ
り、その値から既知のオフセット電圧Voffsetを引き、
(n/θ)・Δt を掛け合わせることで、感度Sを求める
ことができる。ここで用いられるオフセット電圧Voffs
etは、既知であり定数であることが求められることか
ら、オフセット電圧Voffsetの変化がない状況にて感度
を計算することができる。即ち、オフセット電圧Voffs
etは、その傾向として起動時を経て温度が安定してくる
と安定した値が得られる。従って、例えば起動時から3
0分〜1時間程度経過した後、オフセット電圧Voffset
が安定した状態にて、その安定したオフセット電圧Vof
fsetを用いて感度Sを求めることが可能となる。この
式では、方位変化量Δθが分母にあることから、ある程
度の大きさの方位変化量Δθがなければ誤差が大きくな
り、正しい値を算出することが難しくなる。そのため
に、例えば、方位変化量Δθが大きくなった時点にて計
算されることが好ましい。
【0022】図5は、感度Sを計算するための処理フロ
ーを示した図である。まず、CPU10は、平均値計算
の計算開始時における車両の方位をGPS20や地図デ
ータ等から検出し(ステップ111)、RAM15やCP
U10等に設けられた作業用のメモリに格納する。次
に、角速度センサ26からの出力電圧(出力値)Voutを
センサデータ制御部25を経由して検出する(ステップ
112)。その後、例えばGPS20によってある一定
以上の方位変化量Δθが検出されたか否かを判断する
(ステップ113)。この一定以上として定められる値
は、計算時における誤差が大きくならない範囲として予
め決定される値であり、ROM16等に格納されてい
る。方位変化量Δθが小さい場合には、最初のフローに
戻って各検出がなされる。ある一定以上の方位変化量Δ
θが検出された場合には、得られた方位変化量Δθの値
等を用いて、図3の式に示す計算を行ない、感度Sを
計算する(ステップ114)。その後、例えば、CPU1
0は得られた感度Sをセンサデータ制御部25に転送
し、角速度センサ26における感度Sの補正を行なうこ
とが可能となる。このようにして補正された感度Sによ
って、図3に示す式を用いて角速度ωをほぼ正確に求
めることができ、求められた角速度ωは、表示部19に
て車両の正確な状態表示として反映することが可能であ
る。
【0023】図6は、オフセット電圧Voffsetの変化の
大きさおよび方位変化量Δθの大きさによる処理フロー
を示した図である。まず、CPU10によって、計算さ
れるオフセット電圧Voffsetがそれ以前に計算された値
と比較して変化が小さいか否かが判断される(ステップ
121)。この変化が小さいか否かは、予め定めた閾値
以内であるか否かによって判断され、その閾値は、例え
ばROM16等に予め格納されている。オフセット電圧
Voffsetの変化が大きい場合には、オフセット電圧Vof
fsetの計算がなされる(ステップ122)。オフセット電
圧Voffsetの変化が十分に小さい場合(閾値以内の場合)
には、例えばGPS20にて検出されたGPS方位の変
化量等から、方位変化量Δθが計算に使用できるか否か
が判断される(ステップ123)。この計算に使用できる
か否かの方位変化量Δθの値は、前述のように誤差が少
なくなると予想できる値として決定されており、ROM
16等に予め格納されている。方位変化量Δθが計算に
使用できる場合には、前述したような式によって感度
Sの計算がなされる(ステップ124)。方位変化量Δθ
の変化が小さく計算に使用できない場合には、元のフロ
ーに戻る。このように、本補正方法によれば、例えば起
動時等における不安定な温度の影響で角速度センサ26
におけるオフセット電圧Voffsetが変化している間はオ
フセット電圧Voffsetを算出し、オフセット電圧Voffs
etの変化が所定の値よりも小さくなって安定した状態に
て感度Sを求めることができる。また、方位変化量Δθ
が小さく、感度Sを求めるためには未だ誤差が大きいと
判断される場合には、感度Sの計算を行なわないように
構成している。このような構成によって、より正確にオ
フセット電圧Voffsetと感度Sとを求めることができ
る。
【0024】以上、説明したように、本実施の形態によ
れば、静止時に限定せずに、車両が走行中に生じた方位
変化量Δθという変化量を積極的に利用して、角速度セ
ンサ26の補正を行なうことが可能となる。即ち、走行
中であっても、角速度センサ26のオフセット電圧Vof
fsetをほぼ正確に求めることが可能となり、車両の方位
精度を向上させることができる。また、オフセット電圧
Voffsetの計算頻度を上げることができるので、オフセ
ット電圧Voffsetの変化の激しい角速度センサ26を用
いた場合であってもほぼ正確に方位を算出することが可
能となる。更に、感度Sの計算頻度を上げることで、よ
り正確な感度Sが求められるようになり、感度Sの異な
る角速度センサ26を用いた場合や、角速度センサ26
の回転軸を垂直から傾けた場合などでも、正確に方位を
求めることができるようになる。更にまた、停止中、走
行中の区別なく、オフセット電圧Voffsetの計算を行な
うことができ、計算処理を簡単にすることができる。
【0025】
【発明の効果】このように、本発明によれば、走行中で
あってもオフセット電圧や感度をほぼ正確に求め、方位
精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態におけるカーナビゲーションシ
ステムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】 (a),(b)は、走行時の車両の状態と角速度
センサ26からの出力電圧の状態を説明するための図で
ある。
【図3】 方位変化量Δθがあった場合のオフセット電
圧Voffsetを求める一連の式を示した図である。
【図4】 オフセット電圧Voffsetを計算するための処
理フローを示した図である。
【図5】 感度Sを計算するための処理フローを示した
図である。
【図6】 オフセット電圧Voffsetの変化の大きさおよ
び方位変化量Δθの大きさによる処理フローを示した図
である。
【図7】 (a),(b),(c)は、車両が静止時、走行時に
おける角速度センサの出力を説明するための図である。
【符号の説明】
10…CPU、11…記憶制御装置、12…音声制御装
置、13…入力制御装置、14…表示制御装置、15…
RAM、16…ROM、17…CD-ROMドライブ、
18…スピーカ、19…表示部、20…GPS受信機
(GPS)、21…GPSアンテナ、25…センサデータ
制御部、26…角速度センサ(ジャイロセンサ)
フロントページの続き (72)発明者 横山 正 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 2F029 AA02 AB01 AB07 AB13 AC02 AC04 AC14 AC18 AC19 AD03 2F105 AA10 BB07 BB17 5H180 AA01 BB13 CC12 CC27 CC30 FF04 FF05 FF07 FF25 FF27 FF33 5J062 AA05 BB01 CC07

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 移動体における角速度を検出する角速度
    センサから出力される電圧の平均値を算出する平均値算
    出手段と、 前記平均値算出手段によって平均値が算出される際の前
    記移動体における方位変化量を検出する方位変化量検出
    手段と、 前記平均値算出手段により算出された前記平均値と前記
    方位変化量検出手段により検出された前記方位変化量と
    に基づいて、前記角速度センサにおけるオフセット電圧
    および/または当該角速度センサにおける感度を補正す
    る補正手段とを備えたことを特徴とする角速度センサ補
    正装置。
  2. 【請求項2】 前記補正手段は、算出された前記オフセ
    ット電圧の変化量が小さい場合に、前記角速度センサの
    感度を補正することを特徴とする請求項1記載の角速度
    センサ補正装置。
  3. 【請求項3】 前記方位変化量検出手段は、GPS衛星
    から取得したGPS方位に基づいて前記方位変化量を検
    出することを特徴とする請求項1または2記載の角速度
    センサ補正装置。
  4. 【請求項4】 移動体における角速度に応じて電圧を出
    力する角速度センサと、 前記角速度センサから出力される電圧を所定回数、測定
    する出力電圧測定手段と、 前記出力電圧測定手段により電圧が測定される前記所定
    回数の前後における前記移動体の方位変化量を検出する
    方位変化量検出手段と、 前記出力電圧測定手段により測定された電圧および前記
    方位変化量検出手段により検出された方位変化量に基づ
    いて、前記角速度センサにおけるオフセット電圧および
    /または感度を算出する算出手段と、 前記算出手段により算出された前記オフセット電圧およ
    び/または前記感度に基づいて前記移動体の角速度を算
    出する角速度算出手段と、 前記角速度算出手段により算出された角速度を反映して
    前記移動体の状態を表示する表示手段とを備えたことを
    特徴とするナビゲーション装置。
  5. 【請求項5】 GPS衛星から発信される信号を受信し
    てGPS方位を検出するGPS受信機とを備え、 前記方位変化量検出手段は、前記GPS受信機にて検出
    されたGPS方位に基づいて前記移動体の方位変化量を
    検出することを特徴とする請求項4記載のナビゲーショ
    ン装置。
  6. 【請求項6】 移動体における角速度を検出する角速度
    センサから出力される電圧の平均値を算出し、 前記平均値が算出される際の前記移動体における方位変
    化量を検出し、 算出された前記平均値と検出された前記方位変化量とに
    基づいて前記角速度センサにおけるオフセット電圧およ
    び/または当該角速度センサにおける感度を算出し、 算出された前記オフセット電圧および/または前記感度
    に基づいて前記移動体の角速度を算出することを特徴と
    する角速度算出方法。
  7. 【請求項7】 ナビゲーション装置等のコンピュータ装
    置に実行させるプログラムを当該コンピュータ装置の入
    力手段が読取可能に記憶した記憶媒体において、 前記プログラムは、 移動体における角速度を検出する角速度センサから出力
    される電圧の平均値を算出する処理と、 前記平均値が算出される際の前記移動体における方位変
    化量を検出する処理と、 算出された前記平均値と検出された前記方位変化量とに
    基づいて前記角速度センサにおけるオフセット電圧およ
    び/または当該角速度センサにおける感度を補正する処
    理とを前記コンピュータ装置に実行させることを特徴と
    する記憶媒体。
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