JP2001329619A - 接合具及びそれを用いた構造部材の接合構造並びに構造部材の接合方法 - Google Patents

接合具及びそれを用いた構造部材の接合構造並びに構造部材の接合方法

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JP2001329619A
JP2001329619A JP2000153710A JP2000153710A JP2001329619A JP 2001329619 A JP2001329619 A JP 2001329619A JP 2000153710 A JP2000153710 A JP 2000153710A JP 2000153710 A JP2000153710 A JP 2000153710A JP 2001329619 A JP2001329619 A JP 2001329619A
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初雄 藤田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 木造建築物の構造強度を向上できるとともに
増築や既存建屋の耐震補強もでき、耐震性や安全性に優
れ、また、施工作業時の安全性に優れるとともに、汎用
性に優れ未熟練者でも簡単かつ確実に接合強度に優れた
接合ができる構造部材の接合構造の提供を目的とする。 【解決手段】 当接面16aで当接される縦構造部材1
3,横架構造部材14と、縦構造部材13の外周壁部か
ら当接面16aに対して直交して横架構造部材14と連
通して穿孔された接合具挿入部17と、接合具1の中空
部6に注入されて吐出口8から吐出され接合具1の外周
面と接合具挿入部17の周壁間に充填される接着剤と、
を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、木材や集成材同
士、又は、木材と石材やコンクリートとを接合する接合
具、及びそれを用いて柱,梁,桁、まぐさ等が木材や集
成材等からなる木造建築物の構造部材同士を確実に接合
して固結し、木造建築物の耐震性を向上するとともに、
耐力壁や筋交いを不要にすることも可能にし、更に、増
築や既存建屋の耐震補強もできる構造部材の接合構造、
並びに、構造部材を簡単かつ確実強固に接合できる構造
部材の接合方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、日本では、南面に大きな開口
を設けたり、広縁や二間続きの和室等の続き間、大きな
床の間、等の開放的な間取りを設けた和風住宅や数寄屋
風住宅が多く建築されている。一方、最近では、敷地の
狭い都会地での木造3階建て住宅の着工数も増加してお
り、土地柄、敷地が狭いため1階に車庫を設けることを
要求され1階に大きな間口を要すものも多く建築されて
いる。以下、1階に車庫を設けた3階建ての住宅の一例
について、図面を用いて説明する。図10(a)は3階
建て住宅の1階平面図であり、図10(b)は3階建て
住宅の2階平面図であり、図10(c)は3階建て住宅
の3階平面図である。図中、100a,100bは柱、
101は柱100b間に配置された耐力壁、102は車
庫、102aは車庫102の開口した間口である。図1
0の3階建て住宅では、車庫102の間口102aを要
すため柱100a間には柱100b間のように、耐力壁
101を配置することができないとともに、車庫102
の上方に2階と3階の荷重がかかるため、従来から、柱
100aに大型の構造部材を使用したり、1階だけを鉄
骨構造やRC構造にしたりしている。
【0003】また近年では、これらの住宅等の建築にお
いて、建築時の省力化、合理化又は木造建築物の強度の
向上を目的として、接合具や金具、箱金物等を用いた仕
口や継手等により、梁と桁,柱と梁,胴差と通し柱等を
接合する構造部材の接合構造や接合方法が開発されてい
る。また、阪神大震災を含め毎年、地震や台風等で特に
木造住宅が大きな被害を被ることが多く、木造建築物の
各構造部材同士の接合構造において、仕口等の接合部分
の強度向上を含めて建築物全体の構造強度の向上を図っ
た構造部材の接合構造や接合方法が種々開発されてい
る。
【0004】例えば、実開昭63−86411号公報
(以下、イ号公報という)には、ボルトの一端に開口す
る中心孔とこの中心孔とボルト側面とを連通する横孔と
からなる硬化性樹脂接着剤注入路を有する木材組立用ボ
ルトが開示されている。
【0005】実開平5−38412号公報(以下、ロ号
公報という)には、集成材を締結すると共に締結用のボ
ルト孔の隙間内に接着剤を導入するためのボルトであっ
て、該ボルトは、その軸部の外周に接着剤を流通させる
凹部を形成すると共にその頭部に凹部に連通して外方側
に開口する少なくとも2個の貫通路を形成した接着剤注
入ボルトが開示されている。
【0006】特開平6−10419号公報(以下、ハ号
公報という)には、少なくとも2つの被連結材に共通の
継手を嵌挿するようにして、被連結材を衝合させるとと
もに、被連結材に設けられたボルト孔と、継手に設けら
れたボルト孔とにボルトを貫通させ、該ボルトをナット
にて締結固定する骨組みの連結機構において、ボルトに
は、ボルト締め付け時に外部に開口する一方の開口部
と、ボルト孔に開口する他方の開口部とを有する連通路
が設けられ、該連通路を通して少なくとも継手のボルト
孔と、ボルトとの間隙に充填剤が充填される骨組みの連
結機構が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の接合具や構造部材の接合構造,接合方法では、以下
の課題を有していた。木造建築物の構造部材の接合に金
具や金物等を用いた場合、構造部材に金具や金物等を装
着するとともに、これにボルトやナット等を介して構造
部材同士を固定せねばならず、施工作業性に欠けるとと
もに、施工時の作業が煩雑で作業性に欠け、また、木材
の伸縮により数年で固定力が低下しガタが生じ易く接合
強度の信頼性に欠ける。構造部材の接合部分には、曲げ
や引張り、圧縮、剪断等の物理的強度を要するため、構
造部材の接合に使用される金具や金物等が大型になり、
重量があり運搬性に欠け、特に高所作業での安全性に欠
ける。木材からなる構造部材同士をボルトやナットで固
定した場合、木材の伸縮により数年で締付力が低下しガ
タが生じ易いとともに、ボルトやナット、金物等の金属
部分の酸化により物理的強度が低下し信頼性や耐久性に
欠けるという課題を有していた。
【0008】従来の接合構造では、構造部材の接合部分
がピン接合になっているため、木造建築物の強度が不十
分で、筋交い、構造用合板、鋼製ブレース等を要し、し
かも、地震時等には筋交いが折れたり外れたりして本来
の役目を果たさないことがあり、信頼性に欠ける。ま
た、開放的な間取りを有した和風住宅や数寄屋風住宅等
の場合、大きな開口や広縁,和室の続き間等の開放的な
間取りになっている部分では、筋交いや耐力壁を設ける
ことができず、筋交いや耐力壁の配置が偏り、建物の重
心と耐力壁の中心の剛心が離れ、地震等の場合に建物自
体が大きな揺れを生じ建物が倒壊する傾向が高く、建物
の剛性や耐震性,安全性に欠けるという課題を有してい
た。
【0009】また、図10に示すような3階建ての住宅
では、1階に車庫102を設けているため、柱100a
間に耐力壁を配置することができないとともに、車庫1
02の上方に2階,3階の荷重がかかり、地震の際に
は、車庫102の柱100aから破壊される可能性が高
く、耐震性や安全性に欠ける。更に、車庫102の間口
102aに耐力壁101が形成できないため、地震や2
階乃至3階の振動で住宅全体が揺れ易く、その際、特
に、3階の壁のクロスが歪んだり破れたりする可能性が
有る。更に、柱100aに大型の構造部材を使用した
り、1階だけを鉄骨構造やRC構造にした場合、建築の
手間がかかり建築施工性に欠けるとともに、コスト高を
引き起こすという課題を有していた。
【0010】更に、イ号乃至ハ号公報では、以下の課題
を有していた。イ号乃至ハ号公報では、いずれも、部材
(被連結材)同士をボルト・ナットで連結した後に、ボ
ルトに形成された接着剤が注入(流通)される孔や凹部
を介して、ボルトの外周面とボルトを挿通したボルト孔
との間に接着剤を充填し部材同士を接合しているので、
ボルトが挿通されるボルト孔が、連結する部材同士に貫
通されていなければ部材同士を連結(接合)することが
できず、そのため、例えば、梁と柱等の接合にイ号乃至
ハ号公報のボルト・ナットは使用できず、汎用性や使用
性に欠ける。また、梁と柱を接合する場合、ハ号公報の
ように、被連結材に共通の継手を嵌挿し被連結材を衝合
させた後、ボルト・ナットで被連結材同士を接合しなけ
ればならず、ボルト・ナットの他に「継手」部材が必要
となり、部品点数が増え取扱性や部材の接合作業性に欠
ける。
【0011】本発明は上記従来の課題を解決するもの
で、簡単な構造でかつ接合作業性に優れ施工期間を著し
く短縮できるとともに、構造強度の高い接合具の提供、
及び、木造建築物の構造強度を向上できるとともに、増
築や既存建屋の耐震補強もでき、耐震性や安全性に優
れ、また、施工作業時の安全性に優れるとともに、汎用
性に優れ未熟練者でも簡単かつ確実に接合強度に優れた
接合ができる構造部材の接合構造、並びに、施工作業性
を著しく向上できるとともに、構造部材の接合技術を単
純化し作業工数を削減でき、施工期間を著しく短縮する
ことができる構造部材の接合方法を提供することを目的
とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記従来の課題を解決す
るために本発明における接合具及びそれを用いた構造部
材の接合構造並びに構造部材の接合方法は、以下の構成
を有している。本発明の請求項1に記載の接合具は、
a.一端部に締付頭部を有した胴部と、前記胴部の他端
部側に形成された雄螺子部と、前記胴部の略軸心の長手
方向に形成された中空部と、前記胴部の前記締付頭部側
の端面から前記中空部に連通した接着剤の注入口と、前
記胴部の外周面から前記中空部に連通して穿設された1
乃至複数の接着剤の吐出口と、を有した接合具本体と、
b.前記雄螺子部が螺着される雌螺子部を有した埋設部
材と、前記雌螺子部の長手方向と略直交して前記埋設部
材に形成された固定用孔と、を備えた構成を有してい
る。
【0013】これにより、以下の作用を有する。 (1)木材間や集成材間若しくは木材と集成材同士、又
は、木材と石材やコンクリート等の部材同士を接合する
際に、部材の外周壁部から接合する部材に連通した挿入
部を形成し、挿入部の底部側に接合具の埋設部材を挿入
し部材の外周壁部側から埋設部材の固定用孔に固定部材
を挿着して埋設部材を挿入部内に固定し、また、接合具
本体の胴部を挿入部の開口部側から挿入するとともに雄
螺子部を埋設部材の雌螺子部に螺着するだけで、該接合
具で部材同士を容易に連結,接合することができる。 (2)接合具本体の胴部の長手方向に中空部を備えてい
るとともに、中空部に連通して穿設された接着剤の吐出
口を備えているので、注入口から中空部に接着剤を注入
することにより吐出口から接合具の胴部の外周面及び接
合具が挿入された部材の挿入部の周壁間に接着剤を充填
することができ、接着剤で部材同士を確実に固結して剛
接合することができる。 (3)挿入部内に固定した埋設部材の雌螺子部に接合具
本体の雄螺子部を螺着するので、部材の挿入部の周壁と
接合具本体の胴部の外周面との間にスペースを確実に形
成することができ、接合具本体の注入口から接着剤を注
入した際に、胴部の外周面及び部材の挿入部の周壁間に
接着剤を略均等に充填することができ、接合具と部材の
接着効果を向上することができ部材同士を確実に固結す
ることができる。 (4)埋設部材に接合具本体の雄螺子部が螺着される雌
螺子部を有しているので、埋設部材の外径が接合具本体
の胴部よりも大きく、その結果、埋設部材に形成された
固定用孔及び固定用孔に挿着される固定部材の径を大き
くすることができ、固定部材の強度及び埋設部材を挿入
部内に固定した際の埋設部材の固定力を向上することが
でき、また、部材同士の接合強度を向上することができ
る。 (5)複数の接合具を用いて部材同士を接合する場合、
接合具本体の胴部や埋設部材の外径を小さくすることが
でき、部材の断面欠損を減少させ部材の強度の低下を防
止することができる。 (6)部材に形成された接合具を挿入する挿入部に金属
製等の高強度部材からなる接合具が接着剤で埋設固定さ
れるので、高剪断,高張力の剛接合を維持することがで
き、また、接合具の埋設部材が固定用孔に挿着された固
定部材で挿入部内に固定されるので、固定部材の剪断力
や靱性により埋設部材を挿入部内に強固に固定できると
ともに、部材同士の接合部分の靱性を向上できる。 (7)部材に形成された挿入部に埋設部材を挿入し、部
材の外周壁部側から埋設部材の固定用孔に固定部材を挿
着して埋設部材を挿入部内に固定するとともに、挿入部
の開口部側から接合具本体を挿入して埋設部材の雌螺子
部に螺着することにより、部材同士を引き寄せて部材同
士の当接面を密着させることができ、注入口から接着剤
を注入した際に、部材同士の当接面から接着剤が漏れる
のを防止でき、部材同士を確実に密着して接合できる。 (8)特に、柱とまぐさを接合する際に、柱の外周壁部
からまぐさに連通して形成された挿入部のまぐさ側に埋
設部材を挿入固定し、柱の外周壁側の挿入部の開口部か
ら接合具本体を挿入して胴部の雄螺子部を埋設部材の雌
螺子部に螺着した後、注入口から中空部へ接着剤を注入
するだけで、柱とまぐさを強固に接合することができ、
柱間の開口部の耐力を向上することができるとともに、
水平力による軸組の変形を防止できる。
【0014】ここで、接合具の材質としては、ステンレ
ス鋼,クロム,鉄鋼,カーボン鉄鋼等の鉄製品やアルミ
ニウム合金等の金属製の他、カーボン繊維やボロン繊
維,ガラス繊維,金属繊維等の有機や無機の繊維と合成
樹脂で成形加工したものが用いられる。接合具本体の胴
部としては、断面を円形状に形成する他、略楕円形状,
三角形や四角形,六角形等の略多角形状等、任意の形状
に形成してもよい。接合具本体の締付頭部としては、ナ
ット状に形成されたもの等、工具等を締付頭部に係合し
て接合具本体を埋設部材に螺着できる形状のものが用い
られる。また、胴部の一端部側に雄螺子を形成してナッ
ト等からなる締付頭部を胴部の一端部に螺着したもの
等、締付頭部を胴部の一端部に着脱自在に装着したもの
を用いてもよい。雄螺子部としては、胴部の他端部側か
ら所定長さだけ形成してもよく、また、胴部の全長にわ
たって雄螺子部を形成してもよい。
【0015】接合具本体の中空部及び中空部に連通した
接着剤の吐出口や注入口としては、接合具本体の胴部の
外径の約1/20倍〜16/20倍、好ましくは約1/
10倍〜5/10倍の大きさの直径を有した、断面が略
円形状に形成される。尚、接着剤の粘性や接合具の材質
にもよるが、直径が胴部の外径の1/10倍より小さく
なるにつれ中空部内での接着剤の流動性に欠け接着剤の
注入に時間がかかる傾向があり、また、5/10倍より
大きくなるにつれ接合具本体の胴部の機械的強度が損な
われる傾向がある。
【0016】吐出口としては、中空部に連通して接合具
本体の胴部の直径方向に形成される。また、吐出口を2
以上形成する場合は、中空部に連通するとともに胴部の
直径方向に貫通して形成してもよく、また、中空部を中
心に略放射状に形成してもよい。尚、吐出口を2以上形
成した場合、中空部に注入された接着剤が複数の吐出口
から吐出されるので、接着剤の注入時間を短縮すること
ができる。更に、中空部から対称の位置に吐出口を形成
すると、中空部に注入された接着剤を接合具の外周面に
略均等に吐出することができ、接着剤の充填ムラを防止
できる。吐出口の形成位置としては、接合具本体を部材
の上面から下方に傾斜して挿入する場合、吐出口を胴部
の雄螺子部側に形成し、接合具本体を部材の下面から上
方に傾斜して挿入する場合、吐出口を胴部の締付頭部側
に形成するのが好ましい。これにより、接合具本体の外
周面及び接合具が挿入された部材の挿入部の周壁間に接
着剤を満遍なく充填することができる。
【0017】埋設部材としては、埋設部材の材質等にも
よるが、接合具本体の胴部の外径より3mm〜15m
m、好ましくは4mm〜12mm大きく形成される。部
材の材質や接着剤の種類,施工時期(夏期,冬期)等に
もよるが、埋設部材の外径と接合具本体の胴部の外径と
の差が4mmよりも小さくなるにつれ、胴部と挿入部と
の間隙が狭くなり、挿入部に接合具を挿着して接着剤を
注入した際に、吐出口から吐出された接着剤が接合具本
体の胴部の外周面と挿入部の周壁間で流動し難くなる傾
向が有り、接合具本体の胴部の外径との差が12mmよ
りも大きくなるにつれ必要以上に接着剤を要す傾向が有
り、また、埋設部材の外径と接合具本体の胴部の外径と
の差が3mmよりも小さく若しくは15mmよりも大き
くなるとこれらの傾向が更に強くなる。更に、埋設部材
は円形や楕円形,四角形や六角形等の多角形状等任意の
断面形状で形成される。尚、埋設部材として長ナットを
用いてもよい。これにより、埋設部材の形成作業性を著
しく向上できるとともに該接合具の低コスト化を図るこ
とができる。
【0018】埋設部材の固定用孔としては、埋設部材の
外径の0.3倍〜0.8倍の大きさで形成するのが好ま
しい。尚、固定用孔が埋設部材の外径の0.3倍より小
さくなるにつれ、固定用孔に挿着される固定部材の外径
も小さくなり、固定部材の剪断力が低下し埋設部材を挿
入部内に固定した際の埋設部材の固定力や接合具で部材
を接合した際の剛性が低下する傾向があり、また、固定
用孔が埋設部材の外径の0.8倍より大きくなるにつ
れ、埋設部材に形成される固定用孔が大きくなるため埋
設部材の強度が低下する傾向がある。埋設部材の雌螺子
部としては、埋設部材の全長にわたって形成してもよ
く、また、埋設部材の一端部側から固定用孔の間に形成
してもよい。固定部材としては、固定用孔に応じて固定
用孔に挿着できる大きさに形成された、棒状体のピンや
釘,ラグスクリュー,コーチスクリュー等のネジ等が用
いられる。尚、市販の釘やネジ等を用いた場合、該接合
具の低コスト化を図ることができる。
【0019】また、部材同士をコの字状の箱金物やフッ
ク状の金物等の従来の接合金具で接合した後に、各部材
に挿入部を形成して該接合具の埋設部材を挿入するとと
もに、部材の外周壁部側から埋設部材の固定用孔に固定
部材を挿着して埋設部材を挿入部内に固定し、挿入部の
開口部側から接合具本体を挿入して雄螺子部を埋設部材
の雌螺子部に螺着し、接合具本体の中空部に接着剤を注
入して部材同士を固結してもよい。この場合、接合金具
で部材同士を仮固定した後に部材同士を該接合具で接合
でき部材の接合作業性を向上できるとともに、接合精度
を向上でき、また、部材同士の当接面を密着して接着剤
の漏れを確実に防止でき、また、接合金具に加えて該接
合具で部材同士の剪断,張力等の接合強度を維持するこ
とができるとともに、接合金具と該接合具を併用するこ
とにより該接合具の小型化を図ることができ、更に、地
震等で接合金具と該接合具のいずれか一方が万が一破損
した場合にも建築物が完全に破壊されるのを防止でき
る。
【0020】本発明の請求項2に記載の接合具は、請求
項1に記載の発明において、前記締付頭部及び/又は前
記胴部の前記締付頭部側に形成又は配設された接着剤流
出防止部を備えた構成を有している。
【0021】これにより、請求項1の作用に加えて、以
下の作用を有する。 (9)接着剤流出防止部を備えているので、部材に形成
された挿入部の開口部側を接着剤流出防止部で塞ぐこと
ができ、挿入部の周壁と挿入部に挿入された接合具の胴
部の外周面との間に接着剤を充填した際に、挿入部の開
口部側から接着剤が流出するのを防止できる。
【0022】ここで、接着剤流出防止部としては、締付
頭部の胴部側端面に挿入部の外径よりも大きく形成され
たツバ部からなるもの,胴部に外嵌され締付頭部と部材
との間に配設される座金からなるもの等、挿入部の開口
部の外径より大きく形成され締付頭部と部材の外周壁部
との間で挿入部の開口部側を塞ぐことができる形状のも
のが用いられる。また、締付頭部を挿入部の外径よりも
大きな外径のナットで形成した場合、締付頭部を接着剤
流出防止部としてもよい。
【0023】本発明の請求項3に記載の接合具は、請求
項1又は2に記載の発明において、前記接合具本体が、
一端に前記締付頭部を有し他端に接合部を有した頭部部
材と、両端に胴接合部を有した1又は2以上の胴部材
と、一端に接合部を有し他端側に前記雄螺子部を有した
先端部材と、を備えた構成を有している。
【0024】これにより、請求項1又は2の作用に加え
て、以下の作用を有する。 (10)頭部部材と胴部材,先端部材を順に各接合部で
接合して連結することにより、接合具本体を容易に形成
することができ、また、接合する胴部材の数により接合
具本体の長さを任意に変更することができる。 (11)特に、吐出口が接合具本体の雄螺子部側に形成
される場合、頭部部材と胴部材,先端部材の各々に中空
部を形成し、先端部材の中空部に連通した吐出口を先端
部材に形成することにより中空部や吐出口を形成するこ
とができ、接合具本体の中空部を各部材毎に分割して形
成することができるので、各中空部の形成距離を短くで
き、接合具本体の雄螺子部側に吐出口を形成する場合に
も容易に中空部や吐出口を形成することができる。
【0025】ここで、接合部や胴接合部としては、雌螺
子又は雄螺子を形成したもの、嵌合凹部又は嵌合凸部を
形成したもの等、各部材が脱着自在に接合できる形状の
ものが用いられる。また、頭部部材と先端部材だけを各
接合部で接合して接合具本体を形成してもよい。また、
中空部は、各部材を連結した際に接合具本体の長さ方向
で略一直線になるように吐出口まで形成される。尚、接
合具本体の胴部に形成される吐出口が雄螺子部側に形成
される場合、胴部に形成する中空部の距離が長くなり、
また、中空部の形成距離が長すぎる場合には中空部の形
成が不可能になるため、吐出口が雄螺子部側に形成され
る場合に、頭部部材,胴部材,先端部材に分割された接
合具本体が好適に用いられる。
【0026】本発明の請求項4に記載の接合具は、請求
項1乃至3の内いずれか1項に記載の発明において、前
記胴部の外周面が螺子状又は異型鉄筋状の凹凸面に形成
された構成を有している。
【0027】これにより、請求項1乃至3の作用に加え
て、以下の作用を有する。 (12)接合具本体の注入口から中空部に接着剤を注入
して吐出口から接合具本体の胴部の外周面及び接合具が
挿入された部材の挿入部の周壁間に接着剤を充填した際
の、胴部と挿入部との接着効果を向上することができ、
該接合具と部材との接着力を向上できる。
【0028】ここで、胴部としては、外周面に螺旋状の
凹凸面を形成したものや、所定間隔毎に外周面に凸条部
や凸部又は凹条部や凹部を形成したもの等が用いられ
る。また、胴部として、外周面が螺子状に形成されたボ
ルト鋼や、外周面に凸条や凸状のリブや節を有した異型
鉄筋(異型棒鋼)等を用いてもよい。更に、胴部の全長
にわたって凹凸面を形成してもよく、胴部全長に所定間
隔で凹凸面を形成してもよく、また、胴部の両端部側や
胴部の長さ方向の中央部等、胴部の一部に凹凸面を形成
してもよい。
【0029】本発明の請求項5に記載の接合具は、請求
項1乃至4の内いずれか1項に記載の発明において、前
記胴部に外嵌されたスプリング等の螺旋状部材を備えた
構成を有している。
【0030】これにより、請求項1乃至4の作用に加え
て、以下の作用を有する。 (13)接合具本体の中空部に接着剤を注入した際に、
接合具本体の吐出口から吐出される接着剤を接合具の外
周面及び接合具が挿入された部材の挿入部の周壁間で螺
旋状部材に沿って略均等に充填することができ、接着剤
のショートパスを防ぎ、接着剤の充填ムラが生じること
を防止でき部材同士を確実に固結でき、また、粘度の大
きい接着剤も容易にムラなく充填することができる。 (14)接合具本体の胴部に螺旋状部材を外嵌している
ので、部材の挿入部に接合具とともに螺旋状部材を接着
剤で埋設固定することができ、その結果、接合具の耐久
性を向上でき接合具を補強材として使用することもで
き、部材同士の接合部分の剪断,引張り応力等を向上で
きる。
【0031】本発明の請求項6に記載の接合具は、請求
項1乃至5の内いずれか1項に記載の発明において、前
記注入口に嵌合される突起部を有した封止体を備えた構
成を有している。
【0032】これにより、請求項1乃至5の作用に加え
て、以下の作用を有する。 (15)注入口から中空部へ接着剤を注入した後、注入
口に封止体の突起部を嵌合して注入口を封止することが
でき、特に、粘度の極めて低い接着剤や硬化に長時間を
要す接着剤を中空部へ注入した場合でも、接着剤が硬化
する前に注入口から接着剤が漏れるのを防止でき、部材
同士を確実に固結することができる。(16)封止体で
注入口を封止することができるので、締付頭部を封止体
で覆うことができ、部材の挿入部の外観を向上できる。
【0033】ここで、封止体としては、注入口に嵌合で
きる突起部を有していればよく、接合具本体の締付頭部
を覆設できる形状のものや、突起部を注入口に嵌合した
際に接合具本体が挿入された部材表面と面一になるよう
に形成されたもの等が用いられる。
【0034】本発明の請求項7に記載の構造部材の接合
構造は、請求項1乃至6の内いずれか1項に記載された
接合具と、所定の当接面で当接される横架構造部材や縦
構造部材等の2以上の構造部材と、前記構造部材の外周
壁部から前記当接面に対して直交若しくは所定の傾斜角
度を有して他の前記構造部材と連通して穿孔された1以
上の接合具挿入部と、当接される前記構造部材の内いず
れか1の前記構造部材の外周壁部から前記接合具挿入部
に略直交して穿孔された固定部材挿入部と、前記接合具
の中空部に注入されて前記接合具の吐出口から吐出され
前記接合具の外周面と前記接合具挿入部の周壁間に充填
される接着剤と、を備えた構成を有している。
【0035】これにより、以下の作用を有する。 (a)2以上の構造部材に連通して穿孔された接合具挿
入部の底部側に接合具の埋設部材を挿入するとともに固
定部材挿入部から埋設部材の固定用孔に固定部材を挿着
して埋設部材を接合具挿入部内に固定し、また、接合具
挿入部の開口部側から接合具本体の胴部を挿入して雄螺
子部を埋設部材の雌螺子部に螺着することにより、構造
部材同士を接合具で連結,接合することができる。 (b)接合具本体の注入口から中空部に接着剤を注入す
ることにより、接合具本体の吐出口から接着剤を吐出し
て、接合具の外周面と接合具挿入部の周壁間に接着剤を
充填することができ、構造部材同士を固結することがで
きる。 (c)構造部材に接合具挿入部と固定部材挿入部を形成
するだけで、接合具と接着剤で構造部材同士を強固に接
合でき、構造部材の接合構造の単純化を図ることができ
る。 (d)機械的強度が著しく高い接合具を各構造部材に埋
設して構造部材同士を確実に固結して接合しているの
で、構造部材の曲げ,引張り,圧縮,剪断等に対する抵
抗力を向上できる。 (e)接合具の埋設部材を接合具挿入部内に固定部材で
固定しているので、固定部材の剪断力により埋設部材を
強固に固定できるとともに構造部材の接合強度を向上で
き、また、固定部材の靱性により構造部材同士の接合部
分の靱性を向上できる。 (f)接合具本体を構造部材の当接面に対し所定の傾斜
角度を有して挿入した場合、鉛直荷重に対する変形に耐
えることができ、構造部材同士の剛性を向上できる。 (g)構造部材間でクロス状になるように接合具挿入部
を形成した場合、接合具本体を接合具挿入部に挿入する
だけで構造部材同士を連結,保持することができ構造部
材同士の接合作業が容易にでき、また、接合具本体を固
定部材で接合具挿入部内に固定された埋設部材に螺着
し、接合具本体に接着剤を注入して構造部材同士を固結
すると、構造部材の上下左右からの荷重を各接合具の偶
力で打ち消すことができ、極めて機械的強度に優れた接
合を可能にすることができる。 (h)接合具が構造部材に埋設されるとともに、接合具
の外周面が接着剤で被覆されるため、接合具が酸化等す
るのを防止でき、接合具の耐久性を向上することができ
る。 (i)接合具を構造部材の接合具挿入部に挿着して構造
部材同士を接合し、更に、接合具の外周面と接合具挿入
部の周壁間に接着剤を充填して構造部材同士を固結して
いるので、構造部材同士を剛接合することができ、接合
強度を向上でき、また、接着剤で固結しているので、木
材等の構造部材の伸縮を吸収できガタつきを防止でき
る。 (j)構造部材同士の接合部分が、接合具と接着剤で強
固に接合されたラーメン構造となるので、耐力壁や筋交
いを使用することなく建築物の間口(スパン)を著しく
広げることができ、柱の無い空間を得ることができる。
【0036】ここで、接合具挿入部は、構造部材の大小
にもよるが、構造部材の外周壁面から内側に埋設部材の
外径の1.1倍〜6倍の位置に形成される。接合具挿入
部が、構造部材の外周壁面から埋設部材の外径の1.1
倍より小さい位置になるにつれ構造部材に大きな外力が
かかった際に構造部材の端部や表面が破損する傾向が有
り、6倍より大きい位置になるにつれ構造部材に形成で
きる接合具挿入部の数が減少し構造部材同士の接合力を
向上させ難い傾向が有る。また、接合具挿入部の大きさ
としては、接合具本体の胴部の外径より3mm〜15m
m、好ましくは4mm〜12mm大きく、かつ、埋設部
材が挿入,固定できる大きさで形成される。構造部材の
材質や接着剤の種類等にもよるが、接合具挿入部と接合
具本体の胴部の外径との差が4mmよりも小さくなるに
つれ、接着剤の種類や施工時期(夏期,冬期)にもよる
が、吐出口から吐出された接着剤が接合具本体の胴部の
外周面と接合具挿入部の周壁間で流動し難くなる傾向が
有り、接合具本体の胴部の外径との差が12mmよりも
大きくなるにつれ必要以上に接着剤を要す傾向が有り、
また、接合具本体の胴部の外径との差が3mmよりも小
さく若しくは15mmよりも大きくなるとこれらの傾向
が更に強くなる。尚、接合具本体の胴部に螺旋状部材を
外嵌し、接合具挿入部に接合具本体と螺旋状部材を同時
に挿入する場合は、螺旋状部材の外径や螺旋間隔等にも
よるが、接合具挿入部に螺旋状部材を挿入できるととも
に接合具本体の胴部と接合具挿入部の周壁間で接着剤を
流動させることができる大きさ(例えば、螺旋状部材の
外径より0mm〜15mm大きい径)で接合具挿入部が
形成される。更に、接合具挿入部を埋設部材の外径より
大きく形成した場合、埋設部材の外周面と接合具挿入部
の周壁間にも接着剤を充填することができ、埋設部材を
接合具挿入部内に接着剤で接着固定することができ埋設
部材の固定力を向上できる。また、接合具挿入部は円形
や楕円形,四角形や六角形等の多角形状等任意の断面形
状で形成される。
【0037】接合具挿入部としては、構造部材が水平片
持ち梁等のように先端に特に大きな外力がかかる場合や
登り梁等を接合する場合等は、傾斜角度αを有して形成
するのが好ましい。傾斜角度αとしては、当接面に対し
て20°≦α<90°好ましくは20°≦α≦70°よ
り好ましくは30°≦α≦60°で形成される。構造部
材の材質や接合具の大きさ等にもよるが、傾斜角度が3
0°よりも小さくなるにつれ接合具挿入部の位置が構造
部材の端部(当接面側)に近づき大きな外力に対して構
造部材が破損し易くなる傾向が有り、傾斜角度が60°
よりも大きくなるにつれ接合具の長さが長くなりすぎて
作業性が低下する傾向が有り、また、傾斜角度が20°
よりも小さくなるとこれらの傾向が更に強くなる。
【0038】特に、構造部材の上外周壁部側から接合具
挿入部を形成した場合、該接合具の接合具本体を構造部
材の上方から接合具挿入部に容易に挿着することができ
作業性を向上できるとともに、構造部材の下外周壁部に
接合具本体の締付頭部が露出するのを防止でき外観を向
上でき、また、接合具の外周面と接合具挿入部の周壁間
に確実に接着剤を充填できる。また、接合する構造部材
の当接面で所定間隔をあけて接合具挿入部とクロス状に
なるように他の接合具挿入部を穿孔し、各接合具挿入部
に接合具を挿入して構造部材を接合した場合、接合した
構造部材の引張り,曲げ,剪断等の上下左右からの荷重
を各接合具の偶力で打ち消すことができ、構造部材同士
の接合力を向上できる。更に、接合具挿入部を傾斜角度
αを有して形成若しくはクロス状に形成することによ
り、二方向ラーメン構造の場合や3,4方向に構造部材
が有る場合にも、該接合具を用いて構造部材同士を接合
できる。
【0039】固定部材挿入部としては、埋設部材の固定
用孔と略同じ大きさで、接合具挿入部内に挿入された埋
設部材の固定用孔に固定部材を挿着できる位置に形成さ
れる。また、固定部材挿入部を構造部材に貫通して形
成、若しくは、接合具挿入部に連通して所定深さで形成
してもよく、更に、固定部材の一端部に頭部が有る場
合、頭部が嵌合できるように固定部材挿入部の一端部側
を大径に形成してもよい。更に、固定部材挿入部に固定
部材を挿着した後、固定部材挿入部の開口部に木栓等の
込栓を打ち込み、構造部材の外周壁面と面一にしてもよ
い。これにより、構造部材の外観を向上できる。接着剤
としては、エポキシ樹脂系接着剤,ポリウレタン系接着
剤,酢酸ビニル樹脂系接着剤等が用いられる。
【0040】本発明の請求項8に記載の構造部材の接合
構造は、請求項7に記載の発明において、当接される前
記構造部材の内いずれか1の前記構造部材の外周壁部か
ら前記接合具挿入部に連通して穿孔された1乃至複数の
空気抜き部を備えた構成を有している。
【0041】これにより、請求項7の作用に加えて、以
下の作用を有する。 (k)構造部材の種類(コンクリート等のように通気性
がないものや集成材等のように通気性のあるもの)にも
よるが、接合具本体の中空部に接着剤を注入する際に、
中空部内や接合具挿入部内の空気が空気抜き部から排出
されて、接着剤をスムーズに接合具の外周面と接合具挿
入部の周壁間に充填できる。 (l)接着剤注入時に空気抜き部から接着剤が溢れ出る
のを確認することで、接合具の外周面と接合具挿入部の
周壁間に接着剤が満たされたことを確認できる。
【0042】ここで、空気抜き部としては、接合具本体
の吐出口から離れた位置に形成するのが好ましく、吐出
口が接合具本体の胴部の雄螺子部側に形成されている場
合は接合具の胴部の注入口側(締付頭部側)、吐出口が
接合具本体の胴部の注入口側に形成されている場合は接
合具本体の胴部の雄螺子部側、に形成される。これによ
り、接合具の外周面と接合具挿入部の周壁間に接着剤が
充填される前に空気抜き部から接着剤が溢れ出るのを防
止でき、確実に接合具の外周面と接合具挿入部の周壁間
に接着剤を充填できる。また、空気抜き部は略円形や略
楕円形,四角形等の多角形等任意の形状で、接着剤をス
ムーズに注入できる大きさで穿孔される。また、空気抜
き部から接着剤が溢れ出た後、空気抜き部の径が大きい
ときは木栓等の込栓を打ち込み、構造部材の外周壁面と
面一にしてもよい。これにより、構造部材の外観を向上
できる。
【0043】本発明の請求項9に記載の構造部材の接合
構造は、請求項7又は8に記載の発明において、前記接
合具挿入部の開口部に穿設され前記接合具挿入部と直交
する1以上の座部を有し、前記座部の開口側を埋設し表
面が前記構造部材の外周壁面と略面一に形成された埋め
込み材を備えた構成を有している。
【0044】これにより、請求項7又は8の作用に加え
て、以下の作用を有する。 (m)接合具本体の締付頭部を座部に当接させることが
できるので、締付頭部が構造部材の表面から大きく突出
するのを防止でき、構造部材の外観を向上できるととも
に、締付頭部と座部の当接面から接着剤が漏れるのを防
止できる。 (n)座部の開口側に埋め込み材を埋設することによ
り、接合具本体の締付頭部が構造部材の表面に露出する
のを防止でき、特に、火災時等に構造部材の炭化皮膜に
より接合具を火災の高温から守ることができ安全性を向
上することができる。 (o)埋め込み材を構造部材の外周壁面と略面一にして
いるので、構造部材の外観を向上できる。 (p)接合具本体の締付頭部を埋め込み材で構造部材内
に埋設しているので、接合具に外部の熱が伝わるのを防
止でき、外部の熱が接合具を介して構造部材の内部に伝
わるのを防止できる。
【0045】ここで、埋め込み材としては、接合具本体
の注入口に挿入自在な突起部を有したものを用い、突起
部を注入口に挿入して注入口を封止するとともに座部の
開口側を埋設してもよい。
【0046】本発明の請求項10に記載の構造部材の接
合方法は、所定の当接面で当接される横架構造部材や縦
構造部材等の2以上の構造部材に、請求項1乃至6の内
いずれか1項に記載された接合具が挿入される接合具挿
入部及び前記接合具挿入部に略直交し前記接合具の固定
部材が挿着される固定部材挿入部を形成する挿入部形成
工程と、前記接合具挿入部に前記接合具の埋設部材を挿
入し前記固定部材挿入部及び前記埋設部材の固定用孔に
前記固定部材を挿着して前記埋設部材を前記接合具挿入
部内に固定する埋設部材固定工程と、前記接合具挿入部
に前記接合具の接合具本体を挿入し前記接合具本体を前
記埋設部材に螺着するとともに前記構造部材同士を連結
する固定工程と、前記接合具の中空部に接着剤を注入し
て前記構造部材を固結する固結工程と、を備えた構成を
有している。
【0047】これにより、以下の作用を有する。 (ア)構造部材に接合具挿入部及び固定部材挿入部を形
成し、接合具挿入部に接合具の埋設部材を挿入し固定部
材挿入部及び固定用孔に固定部材を挿着した後、接合具
挿入部に接合具本体を挿入して埋設部材に螺着するだけ
で、2以上の構造部材に接合具を固定して構造部材同士
を連結することができ、構造部材の接合作業性を向上で
きる。 (イ)構造部材を順に組み立てていくことができ、建設
現場で直接各構造部材の接合ができる。 (ウ)接合具を構造部材に固定し構造部材同士を連結し
た後、接合具本体の中空部に接着剤を注入するだけで、
接合具の外周面と接合具挿入部の周壁間に接着剤を充填
して構造部材同士を確実に固結することができ、構造部
材の接合作業が簡単で作業性を向上できる。
【0048】ここで、接合具挿入部や固定部材挿入部と
しては、建設現場でドリル等で穿孔するか、又は、工場
でプレカット方式等で予め形成してもよい。尚、接合具
挿入部に連通した空気抜き部や、接合具挿入部の開口部
で接合具挿入部と直交した座部を形成する場合は、挿入
部形成工程で接合具挿入部や固定部材挿入部とともに形
成される。
【0049】
【発明の実施の形態】(実施の形態1,2)本発明の実
施の形態1における接合具について、以下図面を用いて
説明する。図1は実施の形態1における接合具の要部分
解全体斜視図である。図1において、1は実施の形態1
におけるステンレス等の金属製の接合具、2はボルト状
の接合具本体、3は外周面が螺子状の接合具本体2の胴
部、4は胴部3の一端部に形成された四角ナットや六角
ナット状の締付頭部、5は胴部3の他端部側の雄螺子
部、6は胴部3の締付頭部4側の軸心の長手方向に形成
された中空部、7は締付頭部4の端面から中空部6に連
通して形成された接着剤の注入口、8は中空部6の端部
と直交して胴部3に穿設され中空部6と連通して対称位
置に形成された接着剤の吐出口、9は長ナット状に形成
された埋設部材、10は接合具本体2の雄螺子部5が螺
着される埋設部材9の雌螺子部、11は雌螺子部10の
長手方向と直交して埋設部材9に貫通して形成された固
定用孔、12は埋設部材9の固定用孔11に挿着される
棒状の固定部材である。
【0050】ここで、実施の形態1では、接合具本体2
としてボルトを用いており、胴部3の外周面が雄螺子部
5と同じ螺子状に形成されている。尚、接合具本体2と
して胴部3の埋設部材9の雌螺子部10との螺着部だけ
を雄螺子部5としその他の外周面に凸状や凸条のリブや
節を有した異型鉄筋や丸棒に形成したもの等を用いても
よい。また、実施の形態1では、中空部6,注入口7,
吐出口8は、胴部3の外径の1/10倍〜5/10倍の
大きさの直径で断面略円形状に形成されている。これに
より、胴部3の機械的強度を維持できるとともに、注入
口7から注入した接着剤を中空部6や吐出口8にスムー
ズに流動させることができ、接着剤の注入作業性を向上
できる。埋設部材9は、胴部3の直径(外径)より4m
m〜12mm大きな直径で断面円形状に形成されてい
る。更に、埋設部材9の固定用孔11は、埋設部材9の
外径の0.3倍〜0.8倍の大きさで形成されている。
これにより、埋設部材9の機械的強度を維持できるとと
もに、固定用孔11に挿着される固定部材12として、
剪断力や強度を有した固定部材12を使用することがで
き、接合具1による接合力を向上できる。
【0051】以上のように構成された実施の形態1の接
合具1を用いて、以下、実施の形態2における木造建築
物の構造部材の接合構造について、図面を用いて説明す
る。図2は実施の形態2における構造部材間の仕口の接
合構造を示す要部側面断面図であり、図3は図2のA−
A線断面図である。図中、13は柱等の縦構造部材、1
4は桁等の横架構造部材、15は筋交い等の構造部材、
16aは縦構造部材13と横架構造部材14の当接面、
16bは縦構造部材13と構造部材15の当接面、1
7,18は縦構造部材13の外周壁部から当接面16
a,16bに対して直交して貫設され横架構造部材1
4,構造部材15の所定部まで穿孔され各穿孔部が連通
して形成された接合具挿入部、17a,18aは接合具
挿入部17,18の底部、17b,18bは接合具挿入
部17,18の開口部、19は横架構造部材14,構造
部材15の上面又は側面の外周壁部から接合具挿入部1
7,18の底部17a,18a側に連通して穿孔された
空気抜き部、20は接合具1の胴部3に外嵌され接合具
1の締付頭部4と縦構造部材13の間に配設された接着
剤流出防止部の座金、21は横架構造部材14,構造部
材15の側面の外周壁部から接合具挿入部17,18に
直交して接合具挿入部17,18の底部17a,18a
側に横架構造部材14,構造部材15に貫通して穿孔さ
れた固定部材挿入部である。尚、接着剤流出防止部とし
て座金20を胴部3に外嵌し締付頭部4と縦構造部材1
3の間に配設する代わりに、締付頭部4の胴部3側の端
面に接合具挿入部17,18の開口部17b,18bの
開口部より大きな径のツバ部を形成してもよい。また、
締付頭部4の外径が大きい場合は、接着剤流出防止部を
備えなくてもよく、締付頭部4の縦構造部材13との当
接面を接着剤流出防止部としてもよい。
【0052】ここで、実施の形態2では、接合具挿入部
17,18は、接合具本体2の胴部3の外径より4mm
〜12mm大きな直径で、かつ、埋設部材9を接合具挿
入部17,18に挿入,固定できる大きさ及び形状で形
成されている。これにより、接合具1の注入口7から注
入した接着剤を接合具1と接合具挿入部17,18の周
壁との間にスムーズに流動させることができ、満遍なく
接着剤を充填することができ接着効果を高めることがで
きる。また、実施の形態2では、固定部材挿入部21と
しては、接合具1の埋設部材9の固定用孔11と略同じ
大きさで形成されている。
【0053】以上のように構成された実施の形態2の構
造部材の接合構造について、以下その接合方法を説明す
る。まず、挿入部形成工程において、横架構造部材14
を起重機等で持ち上げて縦構造部材13と横架構造部材
14を当接面16aで当接させ、縦構造部材13の外周
壁部から当接面16aに対して直角に横架構造部材14
の所定部まで接合具挿入部17を穿孔し、次いで、構造
部材15を起重機等で持ち上げて縦構造部材13と構造
部材15を当接面16bで当接させ、縦構造部材13の
外周壁部から当接面16bに対して直角に構造部材15
の所定部まで接合具挿入部18を穿孔する。次に、接合
具挿入部17,18の底部17a,18a側に、横架構
造部材14,構造部材15の側面の外周壁部から接合具
挿入部17,18に直交し横架構造部材14,構造部材
15を貫通した固定部材挿入部21を穿孔する。更に、
接合具挿入部17,18の底部17a,18a側に、横
架構造部材14,構造部材15の上面又は側面の外周壁
部から接合具挿入部17,18に連通した空気抜き部1
9を穿設する。尚、この挿入部形成工程は、建築物の建
築現場で行うこともできるが、予め工場でプレカット方
式等で形成しておくこともできる。
【0054】次に、埋設部材固定工程において、接合具
挿入部17,18に接合具1の埋設部材9を挿入し、固
定部材挿入部21から埋設部材9の固定用孔11に固定
部材12を挿着し、埋設部材9を接合具挿入部17,1
8内に固定する。次いで、固定工程において、接合具本
体2に座金20を外嵌して接合具本体2を開口部17
b,18bから接合具挿入部17,18に挿入し、接合
具本体2の雄螺子部5を埋設部材9の雌螺子部10に螺
着し、縦構造部材13と横架構造部材14,縦構造部材
13と構造部材15を各々連結する。ここで、接合具本
体2は埋設部材9に緩く螺着し、縦構造部材13と横架
構造部材14,構造部材15にガタつきを残しておくの
が好ましい。これにより、ガタつきで自在性を有し、他
の構造部材の接合作業性を向上できる。次に、他の構造
部材の接合等が終了した後、工具等を締付頭部4に係合
して接合具本体2の雄螺子部5を埋設部材9の雌螺子部
10に締めつけて縦構造部材13と横架構造部材14,
縦構造部材13と構造部材15の各当接面16a,16
bを各々密着させるとともに、座金20で接合具挿入部
17,18の開口部17b,18bを塞ぐ。これによ
り、接合具1の注入口7から中空部6に注入し吐出口8
から接合具挿入部17,18内に吐出された接着剤が、
当接面16a,16b,接合具挿入部17,18の開口
部17b,18bから漏れるのを防止する。
【0055】次いで、固結工程において、注入口7から
中空部6へ接着剤を注入する。注入口7から中空部6へ
接着剤を注入すると、中空部6や接合具挿入部17,1
8内の空気が空気抜き部19から排出されるとともに、
中空部6に注入された接着剤が吐出口8から吐出され、
接合具1の胴部3の外周面と接合具挿入部17,18の
周壁間に接着剤が充填される。更に、接合具1の外周面
と接合具挿入部17,18の周壁間に接着剤が充填され
ると、空気抜き部19から接着剤が溢れ出るため、空気
抜き部19から溢れ出る接着剤を確認して接着剤の注入
を終了し、縦構造部材13と横架構造部材14,構造部
材15が固結される。ここで、接着剤としては、エポキ
シ樹脂系接着剤,ポリウレタン系接着剤,酢酸ビニル樹
脂系接着剤等が用いられる。尚、接合具1の使用本数
は、接合する構造部材の大きさ等により、任意に変更さ
れる。また、接合具1の使用本数が多い場合、荷重を分
布させることができるとともに、接合具1を小型化する
ことができ構造部材の断面欠損を減少することができ接
合強度を向上できる。
【0056】以上のように実施の形態1における接合具
及びそれを用いた実施の形態2における構造部材の接合
構造並びに接合方法によれば、以下の作用を有する。 (1)接合具が、中空部,注入口,吐出口を有したボル
ト状の接合具本体と、固定用孔を有した長ナットからな
る埋設部材と、棒状体からなる固定部材からなり、接合
具の構造や形状が単純で加工性に優れ、接合具の生産性
に優れるとともに接合具の低コスト化を図ることができ
る。 (2)縦構造部材と横架構造部材,縦構造部材と構造部
材を連通して穿孔された接合具挿入部内に接合具の埋設
部材を挿入し、横架構造部材,構造部材に接合具挿入部
に直交して穿孔された固定部材挿入部から埋設部材の固
定用孔に固定部材を挿着して埋設部材を接合具挿入部内
に固定した後、接合具挿入部の開口部から接合具本体を
挿入して接合具本体を埋設部材に螺着するだけで各構造
部材同士を連結,接合でき、更に、接合具本体の中空部
に注入口から接着剤を注入することにより、接着剤が吐
出口から吐出され接合具の外周面と接合具挿入部の周壁
間に接着剤を充填でき、各構造部材を確実に固結でき、
簡単にラーメン接合構造が得られる。 (3)埋設部材の雌螺子部に接合具本体の雄螺子部を螺
着しているので、接合具本体の胴部と接合具挿入部の周
壁との間にスペースを確保することができ、接合具本体
の注入口から注入した接着剤を接合具の外周面と接合具
挿入部の周壁との間に略均等に充填することができ、接
合具と各構造部材との接着効果を向上することができ構
造部材同士の接合を強固にすることができる。 (4)埋設部材が固定用孔に挿着された固定部材で接合
具挿入部内に固定されるので、固定部材の剪断力や靱性
により埋設部材を挿入部内に強固に固定でき、その結
果、構造部材同士の接合強度を向上することができる。 (5)接合具挿入部内に固定された埋設部材に接合具本
体を螺着することにより、構造部材同士を引き寄せるこ
とができ、構造部材同士の当接面を密着することができ
るので、注入口から接着剤を注入した際に、構造部材同
士の当接面から接着剤が漏れるのを防止でき、構造部材
同士を確実に密着して接合できる。 (6)接合具本体に座金を外嵌し、接合具本体の締付頭
部と縦構造部材との間に座金を配設しているので、接合
具本体の注入口から接着剤を注入して接合具挿入部内に
接着剤を充填した際に、接合具挿入部の開口部側から接
着剤が漏れるのを防止できる。 (7)接合具本体の胴部の外周面がボルト状に形成され
ているので、胴部と接合具挿入部との接着剤による接着
効果を向上することができ、接合具と各構造部材との接
着力を向上できる。 (8)各構造部材に接合具挿入部及び固定部材挿入部を
形成し、接合具挿入部内に埋設部材を挿入して固定部材
挿入部から埋設部材の固定用孔に固定部材を挿着するこ
とにより埋設部材を接合具挿入部内に固定するととも
に、接合具挿入部に接合具本体を挿入して接合具本体を
埋設部材に螺着するだけで、各構造部材同士を連結,接
合でき、構造部材の接合作業性に優れる。 (9)接合具本体の雄螺子部を埋設部材の雌螺子部に緩
く螺着して、接合する構造部材間にガタつきを残すこと
により、他の各構造部材の組み立て作業性を向上でき
る。 (10)横架構造部材及び構造部材に接合具挿入部に連
通した空気抜き部を有しているため、接合具の中空部に
接着剤を注入する際に、中空部内や接合具挿入部内の空
気が空気抜き部から排出され、接着剤がスムーズに充填
できるとともに、接着剤注入時に空気抜き部から接着剤
が溢れ出るのを確認することで、接合具の外周面と接合
具挿入部の周壁間に接着剤が満たされたことを確認でき
る。 (11)接合具を各構造部材に形成された接合具挿入部
に挿着して各構造部材を接合するとともに、接合具の外
周面と接合具挿入部の周壁間に接着剤を充填して構造部
材同士を固結しているため、構造部材を剛接合すること
ができ、構造部材の曲げ、引張り、圧縮、剪断等に対す
る抵抗力を向上させることができる。 (12)接合具が各構造部材に埋設されているととも
に、接合具の外周面が接着剤で被覆されるため、接合具
が酸化等するのを防止でき接合具の耐久性を向上するこ
とができ、また、構造部材の伸縮を吸収でき、構造部材
間のガタつきを防止できる。 (13)複数の接合具を用いて構造部材同士を接合する
場合、接合具の胴部の外径を小さくすることができ、構
造部材の断面欠損を減少でき構造部材の強度の低下を防
止することができる。 (14)接合具挿入部に、金属製の接合具が接着剤で埋
設固定されるので、高剪断,高張力の剛接合を維持する
ことができ、構造部材の接合強度に優れる。
【0057】(実施の形態3,4)本発明の実施の形態
3における接合具について、以下図面を用いて説明す
る。図4は実施の形態3における接合具の要部分解全体
斜視図である。尚、実施の形態1と同様のものには同一
の符号を付して説明を省略する。図4において、30は
実施の形態3におけるステンレス等の金属製の接合具、
31は断面が円形状の棒状体からなる接合具本体、32
は接合具本体31の胴部、33は胴部32の一端部に形
成された雄螺子、34は雄螺子33に着脱自在に螺着さ
れる六角ナットからなる締付頭部、35は胴部32の他
端部側の雄螺子部、36は胴部32の雄螺子33側の端
面から中空部6に連通して形成された接着剤の注入口、
37は埋設部材9の固定用孔11に挿着される釘状の固
定部材、37aは固定部材37の頭部である。ここで、
接合具30は、胴部32の雄螺子33に締付頭部34を
螺着して使用される。
【0058】以上のように構成された実施の形態3の接
合具30を用いて、以下、実施の形態4における木造建
築物の構造部材の接合構造について、図面を用いて説明
する。図5は実施の形態4における構造部材である柱と
横架構造部材の一例であるまぐさの接合構造を示す要部
側面断面図であり、図6は図5のB−B線断面図であ
る。尚、実施の形態2と同様のものには同一の符号を付
して説明を省略する。図中、38は柱からなる縦構造部
材13の上端部に接合された梁、39は梁38に接合さ
れた2階柱、40は梁38の下方に位置し縦構造部材1
3に接合されたまぐさからなる横架構造部材、41は縦
構造部材13と横架構造部材40の当接面、42は縦構
造部材13の外周壁部から当接面41に対して直交して
貫設され横架構造部材40の所定部に穿孔され穿孔部が
連通して形成された接合具挿入部、42aは接合具挿入
部42の底部、42bは接合具挿入部42の開口部、4
3は横架構造部材40の上面の外周壁部から接合具挿入
部42の底部42a側に連通して穿孔された空気抜き
部、44は横架構造部材40の側面の外周壁部から接合
具挿入部42に直交して接合具挿入部42の底部42a
側に所定深さ穿孔された固定部材挿入部である。
【0059】ここで、実施の形態4では、接合具挿入部
42は、接合具本体31の胴部32の外径より4mm〜
12mm大きな直径で、かつ、埋設部材9を接合具挿入
部42に挿入,固定できる大きさ及び形状で形成されて
いる。また、実施の形態4では、固定部材挿入部44と
しては、接合具30の埋設部材9の固定用孔11と略同
じ大きさで形成されている。
【0060】以上のように構成された実施の形態4の構
造部材の接合構造について、以下その接合方法を説明す
る。まず、挿入部形成工程において、横架構造部材40
を起重機等で持ち上げて縦構造部材13と横架構造部材
40を当接面41で当接させ、縦構造部材13の外周壁
部から当接面41に対して直角に横架構造部材40の所
定部まで接合具挿入部42を穿孔する。次に、接合具挿
入部42の底部42a側に、横架構造部材40の側面の
外周壁部から接合具挿入部42に直交,連通した固定部
材挿入部44を所定深さ穿孔する。更に、接合具挿入部
42の底部42a側に、横架構造部材40の上面の外周
壁部から接合具挿入部42に連通した空気抜き部43を
穿設する。尚、この挿入部形成工程は、建築物の建築現
場で行うこともできるが、予め工場でプレカット方式等
で形成しておくこともできる。
【0061】次に、埋設部材固定工程において、接合具
挿入部42に接合具30の埋設部材9を挿入し、固定部
材挿入部44から埋設部材9の固定用孔11に固定部材
37を挿入するとともに、固定部材37の先端を横架構
造部材40に打ち込み、固定部材37を横架構造部材4
0に打設して埋設部材9を接合具挿入部42内に固定す
る。ここで、固定部材37の頭部37aが横架構造部材
40の外周壁部と面一になるように固定部材37を打設
するのが好ましい。これにより、横架構造部材40の外
観を向上できる。
【0062】次いで、固定工程において、胴部32の雄
螺子33に締付頭部34を螺着した接合具本体31に座
金20を外嵌して接合具本体31を開口部42bから接
合具挿入部42に挿入し、接合具本体31の雄螺子部3
5を埋設部材9の雌螺子部10に螺着し、縦構造部材1
3と横架構造部材40連結する。ここで、接合具本体3
1は埋設部材9に緩く螺着し、縦構造部材13と横架構
造部材40にガタつきを残しておくのが好ましい。これ
により、他の構造部材の接合作業性を向上できる。次
に、他の構造部材の接合等が終了した後、工具等を締付
頭部34に係合して接合具本体31の雄螺子部35を埋
設部材9の雌螺子部10に締めつけて縦構造部材13と
横架構造部材40の当接面41を密着させるとともに、
座金20で接合具挿入部42の開口部42bを塞ぐ。こ
れにより、接合具30の注入口36から中空部6に注入
し吐出口8から接合具挿入部42内に吐出された接着剤
が、当接面41,接合具挿入部42の開口部42bから
漏れるのを防止する。
【0063】次いで、固結工程において、注入口36か
ら中空部6へ接着剤を注入する。注入口36から中空部
6へ接着剤を注入すると、中空部6や接合具挿入部42
内の空気が空気抜き部43から排出されるとともに、中
空部6に注入された接着剤が吐出口8から吐出され、接
合具30の胴部32の外周面と接合具挿入部42の周壁
間に接着剤が充填される。更に、接合具30の外周面と
接合具挿入部42の周壁間に接着剤が充填されると、空
気抜き部43から接着剤が溢れ出るため、空気抜き部4
3から溢れ出る接着剤を確認して接着剤の注入を終了
し、縦構造部材13と横架構造部材40が固結される。
ここで、接着剤としては、エポキシ樹脂系接着剤,ポリ
ウレタン系接着剤,酢酸ビニル樹脂系接着剤等が用いら
れる。尚、接合具30の使用本数は、接合する構造部材
の大きさ等により、任意に変更される。また、接合具3
0の使用本数が多い場合、荷重を分布させることができ
るとともに、接合具30を小型化することができ構造部
材の断面欠損を減少することができ接合強度を向上でき
る。
【0064】以上のように実施の形態3における接合具
及びそれを用いた実施の形態4における構造部材の接合
構造並びに接合方法によれば、実施の形態1,2の作用
に加えて、以下の作用を有する。 (1)固定部材として釘状のものを用いているので、固
定部材を固定部材挿入部から埋設部材の固定用孔に挿入
し固定部材を横架構造部材に打設するだけで、固定部材
を横架構造部材に固定できるとともに埋設部材を接合具
挿入部に固定することができ、埋設部材固定工程の作業
性に優れる。 (2)釘状の固定部材により埋設部材を接合具挿入部内
に確実に固定することができ埋設部材の固定力を向上で
きるとともに、接合具本体の雄螺子部を埋設部材の雌螺
子部に螺着することにより構造部材同士を引き寄せて当
接面を強固に密接させることができ、構造部材同士の接
合力を向上でき、また、接着剤が当接面から漏れるのを
防止でき、接着剤により各構造部材と接合具を強固に接
着固定することができ機械的強度に優れたラーメン接合
が得られる。 (3)接合具本体の締付頭部が胴部に着脱自在に形成さ
れているので、締付頭部と胴部の雄螺子との螺着量によ
り胴部の長さを調整でき、該接合具本体の汎用性,使用
性を向上できる。 (4)該接合具を用いて柱(縦構造部材)とまぐさ(横
架構造部材)を強固に接合することができるので、柱間
の開口部(門や家屋の出入口,窓等)の耐力を向上で
き、また、水平力による軸組の変形を防止できる。 (5)縦構造部材と横架構造部材の接合部分が接合具と
接着剤で強固に接合されたラーメン構造となるので、建
築物の間口(スパン)を広げることができ、筋交いや耐
力壁を要さず、柱のない車庫や店舗,開口部の形成がで
きるとともに、建築物の耐力を向上できる。
【0065】(実施の形態5,6)本発明の実施の形態
5における接合具について、以下図面を用いて説明す
る。図7は実施の形態5における分割式の接合具の要部
分解全体斜視図である。尚、実施の形態1と同様のもの
には同一の符号を付して説明を省略する。図7におい
て、50は実施の形態4におけるステンレス等の金属製
で複数に分割自在な分割式の接合具、51は一端に六角
ナット状の締付頭部4を有した頭部部材、51aは頭部
部材51の他端に同軸状に穿設され内周面に螺条が形成
された雌螺子状の接合部、52は胴部材、52aは胴部
材52の一端に同軸状に突設され外周面が雄螺子状に形
成され接合部51aに脱着自在な胴接合部、52bは胴
部材52の他端に同軸状に穿設され内周面に螺条が雌螺
子状に形成された胴接合部、53は一端に胴接合部52
bに脱着自在な雄螺子状に形成された接合部53aを有
した先端部材、54は先端部材53の他端に形成された
雄螺子部、55は頭部部材51,胴部材52,先端部材
53からなる接合具50の接合具本体、55aは頭部部
材51,胴部材52,先端部材53を接合して形成され
る接合具本体55の胴部、6a,6b,6cは頭部部材
51,胴部材52,先端部材53の略軸心の長手方向に
各々形成された単位中空部、6′は頭部部材51,胴部
材52,先端部材53を接合した際に単位中空部6a,
6b,6cで形成される長さ方向が略一直線の中空部、
8′は中空部6′の単位中空部6cの端部と直交して先
端部材53に穿設され中空部6′と連通して対称位置に
形成された接着剤の吐出口、56は埋設部材9の固定用
孔11に挿着されるラグスクリューからなる固定部材、
56aは端面に+状の係合溝(図示せず)を有した固定
部材56の頭部である。ここで、接合具本体55は、頭
部部材51の接合部51aに胴部材52の胴接合部52
aを螺着し、また、胴部材52の胴接合部52bに先端
部材53の接合部53aを螺着して形成される。尚、実
施の形態5では、中空部6′や注入口7,吐出口8′
は、胴部55の外径の1/10倍〜5/10倍の大きさ
の直径で断面略円形状に形成されている。
【0066】以上のように構成された実施の形態5の接
合具50を用いて、以下、実施の形態6における木造建
築物の構造部材の接合構造について、図面を用いて説明
する。図8は実施の形態6における構造部材の継手接合
構造を示す要部側面断面図であり、図9は実施の形態6
における構造部材の継手接合構造を示す要部分解平面図
である。尚、実施の形態2,4と同様のものには同一の
符号を付して説明を省略する。図中、14A,14Bは
縦構造部材13を介して接合される桁等の横架構造部
材、57aは縦構造部材13と横架構造部材14Aの当
接面、57bは縦構造部材13と横架構造部材14Bの
当接面、58a,58bは横架構造部材14A,14B
の外周壁部から当接面57a,57bに対して傾斜角度
αを有して縦構造部材13を貫通して横架構造部材14
B,14Aの所定部まで穿孔された接合具挿入部、58
cは接合具挿入部58a,58bの底部、58dは接合
具挿入部58a,58bの開口部、59a,59bは接
合具挿入部58a,58bの開口部58d側の接合具挿
入部58a,58bに連通して横架構造部材14A,1
4Bの上外周壁部に穿孔された空気抜き部、60は接合
具挿入部58a,58bの開口部58dに接合具挿入部
58a,58bの外径より大きな径で形成され接合具挿
入部58,58bと直交した座部、61は座部60に埋
設され表面が横架構造部材14A,14Bの外周壁面と
略面一に形成された埋め込み材(封止体)、61aは接
合具50の注入口7に嵌合され注入口7を封止する突起
部、62は接合具50の胴部55aに外嵌され接合具挿
入部58a,58b内に配設されるスプリング等の螺旋
状部材、63は横架構造部材14A,14Bの側面の外
周壁部から接合具挿入部58a,58bに直交して接合
具挿入部58a,58bの底部58c側に所定深さ穿孔
された固定部材挿入部、63aは固定部材挿入部63の
開口側に固定部材挿入部63の外径よりも大きく穿設し
て形成された凹部である。
【0067】ここで、実施の形態6では、接合具挿入部
58a,58bの傾斜角度αは、当接面57a,57b
に対して20°≦α≦70°若しくは30°≦α≦60
°で形成されている。傾斜角度αが30°よりも小さく
なるにつれ接合具挿入部58a,58bの形成位置が当
接面57a,57b側に近づき横架構造部材14A,1
4Bの端部側になり、外力に対して横架構造部材14
A,14Bが破損し易くなる傾向が有り、傾斜角度αが
60°よりも大きくなるにつれ接合具50の長さが長く
なりすぎて接合作業性が低下する傾向が有る。また、実
施の形態6では、接合具挿入部58a,58bは、接合
具50の胴部55aと胴部55aに外嵌された螺旋状部
材62が挿入できるとともに、胴部55aと接合具挿入
部58a,58bの周壁間で螺旋状部材62に沿って接
着剤を流動させることができる大きさ(例えば、螺旋状
部材62の外径より0mm〜15mm大きな直径)で形
成されている。螺旋状部材62の螺旋間隔等にもよる
が、接合具挿入部58a,58bの直径と螺旋状部材6
2の直径との差が0mmよりも小さくなると接合具挿入
部58a,58bに胴部55aに外嵌した螺旋状部材6
2を挿入できなくなり、差が15mmよりも大きくなる
につれ必要以上に接着剤を要す傾向が有る。
【0068】以上のように構成された実施の形態6の構
造部材の接合構造について、以下その接合方法を説明す
る。まず、挿入部形成工程において、横架構造部材14
A,14Bを起重機等で持ち上げて縦構造部材13と当
接面57a,57bで当接させ、横架構造部材14A,
14Bの外周壁部から当接面57a,57bに対して傾
斜角度αで構造部材14B,14Aの所定部まで接合具
挿入部58a,58bを穿孔するとともに、接合具挿入
部58a,58bの開口部58d側に座部60を形成す
る。ここで、座部60は、接合具挿入部58a,58b
の開口部58dに座金20を当接できる段差部ができる
ように、接合具挿入部58a,58bの外径より大きな
径で形成される。また、座部60は接合具50の締付頭
部4を埋め込み材61で埋設できる大きさで形成され
る。次に、接合具挿入部58a,58bの底部58c側
に、横架構造部材14A,14Bの側面の外周壁部から
接合具挿入部58a,58bに直交,連通した固定部材
挿入部63を所定深さ穿孔するとともに、固定部材挿入
部63の開口側に固定部材挿入部63の外径よりも大き
な径で固定部材56の頭部56aが嵌合できる凹部63
aを穿設する。更に、接合具挿入部58a,58bの開
口部58d側に、横架構造部材14A,14Bの上面の
外周壁部から接合具挿入部58a,58bに連通した空
気抜き部59a,59bを穿設する。尚、この挿入部形
成工程は、建築物の建築現場で行うこともできるが、予
め工場でプレカット方式等で形成しておくこともでき
る。
【0069】次に、埋設部材固定工程において、接合具
挿入部58a,58bに接合具50の埋設部材9を挿入
し、固定部材挿入部63から埋設部材9の固定用孔11
に固定部材56を挿入するとともに、固定部材56の頭
部56aに形成された+状の係合溝(図示せず)にドラ
イバー等の工具を係合し、固定部材56の先端を横架構
造部材14A,14Bに螺着し、埋設部材9を接合具挿
入部58a,58b内に固定する。ここで、実施の形態
6では、固定部材挿入部63の開口側に凹部63aを有
しているので、固定部材56の頭部56aは凹部63a
に嵌合される。
【0070】次いで、固定工程において、頭部部材5
1,胴部材52,先端部材53を各接合部51a,52
a,52b,53aで螺着して形成された接合具本体5
5の胴部55aに螺旋状部材62を外嵌し、接合具本体
55の胴部55aと螺旋状部材62を開口部58dから
接合具挿入部58a,58bに挿入し、接合具本体55
の雄螺子部54を埋設部材9の雌螺子部10に螺着し、
縦構造部材13と横架構造部材14A,14Bを各々連
結する。ここで、接合具本体50は埋設部材9に緩く螺
着し、縦構造部材13と横架構造部材14A,14Bに
ガタつきを残しておくのが好ましい。これにより、他の
構造部材の接合作業性を向上できる。次に、他の構造部
材の接合等が終了した後、工具等を締付頭部4に係合し
て接合具本体55の雄螺子部54を埋設部材9の雌螺子
部10に締めつけて縦構造部材13と横架構造部材14
A,14Bの当接面57a,57bを密着させるととも
に、接合具挿入部58a,58bの開口部58dを座金
20で塞ぐ。これにより、接合具50の注入口7から中
空部6′に注入し吐出口8′から接合具挿入部58a,
58b内に吐出された接着剤が、当接面57a,57
b,接合具挿入部58a,58bの開口部58dから漏
れるのを防止する。
【0071】次いで、固結工程において、注入口7から
中空部6′へ接着剤を注入する。注入口7から中空部
6′へ接着剤を注入すると、中空部6′や接合具挿入部
58a,58b内の空気が空気抜き部59a,59bか
ら排出されるとともに、中空部6′に注入された接着剤
が吐出口8から吐出され、接合具50の胴部55aの外
周面と接合具挿入部58a,58bの周壁間に接着剤が
充填される。更に、接合具50の外周面と接合具挿入部
58a,58bの周壁間に接着剤が充填されると、空気
抜き部59a,59bから接着剤が溢れ出るため、空気
抜き部59a,59bから溢れ出る接着剤を確認して接
着剤の注入を終了し、縦構造部材13と横架構造部材1
4A,14Bが固結される。尚、接着剤の注入が終了し
た後、埋め込み材61の突起部61aを接合具50の注
入口7に嵌合して、埋め込み材61を座部60の開口側
に埋設する。ここで、接着剤としては、エポキシ樹脂系
接着剤,ポリウレタン系接着剤,酢酸ビニル樹脂系接着
剤等が用いられる。
【0072】以上のように実施の形態5における接合具
及びそれを用いた実施の形態6における構造部材の接合
構造並びに接合方法によれば、実施の形態1乃至4の作
用に加えて、以下の作用を有する。 (1)接合具本体が、一端に締付頭部を有し他端に接合
部を有した頭部部材と、両端に胴接合部を有した胴部材
と、一端に接合部を有し他端に雄螺子部を有した先端部
材と、を有しているため、各接合部で各部材を接合する
ことにより、接合具本体を容易に形成することができ、
接合する胴部材の数により接合具本体を任意の長さに調
整できる。 (2)接合具本体が、頭部部材,胴部材,先端部材に分
割されているため、中空部を形成する際に、各部材毎に
長さの短い単位中空部を形成することにより接合具本体
の中空部を形成することができ、特に、先端部側に吐出
口を形成する場合に、中空部を容易に形成することがで
きる。 (3)接合具本体の胴部にスプリング等の螺旋状部材を
外嵌し、接合具本体と螺旋条部材を接合具挿入部に挿入
しているため、接合具本体の中空部に接着剤を注入した
際に、接合具本体の吐出口から接合具の外周面及び接合
具挿入部の周壁間で螺旋状部材に沿って接着剤を略均等
に充填することができ、接着剤の充填ムラを防ぎ構造部
材同士を固結できる。 (4)接合具本体の胴部に螺旋状部材を外嵌しているた
め、接着剤で螺旋状部材が接合具挿入部内に埋設され接
合具が補強材としての役割を果たし、構造部材同士の接
合部分の剪断,引張り応力等を向上させることができ
る。 (5)接合具を接合具挿入部に挿入し、接合具の外周面
と接合具挿入部の周壁間に接着剤を充填して構造部材同
士を固結しているため、接合具本体が頭部部材,胴部
材,先端部材を接合して形成されている場合、各部材の
接合部が接着剤で被覆され、接合具本体の強度を向上で
きる。 (6)接着剤の吐出口が接合具の先端部材に形成され、
空気抜き部が吐出口と反対側(遠方側)に形成されてい
るため、接着剤を接合具挿入部全体に注入することがで
き接着剤の充填ムラを防ぎ確実に構造部材同士を固結で
きる。 (7)接合具挿入部の開口部に接合具挿入部と直交した
座部を形成しているので、当接面に対して傾斜角度を有
した接合具挿入部に接合具を挿着する際にも、接合具本
体の締付頭部や接合具本体に外嵌した座金を座部に当接
させることができ、接合具本体の注入口から接着剤を注
入した際に、接合具挿入部の開口部側から接着剤が漏れ
るのを防止できる。 (8)接合具挿入部の開口部に座部を穿設しているの
で、接合具本体の締付頭部が横架構造部材の表面から大
きく突出するのを防止でき、また、座部に埋設される埋
め込み材(封止体)を有し、更に、座部に埋め込み材を
埋設した際に埋め込み材が横架構造部材の外周壁面と略
面一になるように形成されているので、横架構造部材の
外観を向上できる。 (9)座部の開口側に埋め込み材を埋設しているため、
接合具本体の締付頭部が露出するのを防止でき、火災時
等に構造部材の炭化皮膜により接合具を火災の高温から
守ることができるとともに、接合具を介して外部の熱を
構造部材の内部に伝えるの防止でき、構造部材の接合部
分の安全性を向上できる。 (10)埋め込み材が、接合具本体の注入口に嵌合され
る突起部を有しているため、突起部を注入口に嵌合して
注入口を封止することができ、特に、粘度の極めて低い
接着剤や硬化に長時間を要す接着剤を使用した場合で
も、注入口から接着剤が漏れるのを防止でき、接着効果
が低下するのを防止できる。 (11)固定部材挿入部の開口側に凹部を有しているの
で、固定部材の頭部を凹部に嵌合することができ、固定
部材の頭部が横架構造部材の外周壁面の突出するのを防
止でき、横架構造部材の外観を向上できる。 (12)接合具本体を横架構造部材の上方から接合具挿
入部に挿入し、接合具挿入部内に固定した埋設部材に接
合具本体を螺着するだけで、容易に縦構造部材と横架構
造部材を連結することができ、また、接合具本体の雄螺
子部を埋設部材の雌螺子部に締めつけるだけで縦構造部
材と横架構造部材の当接面を引き寄せて密着させて接合
することができ、縦構造部材を介して横架構造部材同士
を接合する場合等、3,4方向に構造部材が有る場合に
も、該接合具を用いて容易に構造部材同士を接合するこ
とができる。 (13)縦構造部材と横架構造部材の当接面に対して傾
斜角度αを有して接合具挿入部を形成し、接合具挿入部
に接合具を挿着しているので、横架構造部材の鉛直荷重
に対する変形に耐えることができ、構造部材同士の接合
力を向上できる。 (14)接合具挿入部がクロス状に形成され、各接合具
挿入部に挿着された各接合具がクロス状になっているの
で、地震,風等の水平力により生じる構造部材の接合部
分の引張り,圧縮,曲げ,剪断によって発生する上下左
右からの荷重を各々の接合具の偶力で打ち消すことがで
き、構造部材の接合部分の剛性を向上できる。
【0073】
【発明の効果】以上のように本発明における接合具によ
れば、以下の優れた効果を実現できる。請求項1に記載
の発明によれば、 (1)該接合具が、締付頭部,雄螺子部,中空部,注入
口,吐出口を有した接合具本体と、固定孔部を有した長
ナット状の埋設部材と、固定用孔に挿着される固定部材
とからなり、該接合具の構造や形状が単純で加工性に優
れ、該接合具の生産性に優れる。 (2)木材間や集成材間若しくは木材と集成材同士、又
は、木材と石材やコンクリート等の部材同士を接合する
際に、部材の外周壁部から接合する部材に連通した挿入
部を形成し、挿入部の底部側に接合具の埋設部材を挿入
し部材の外周壁部側から埋設部材の固定用孔に固定部材
を挿着して埋設部材を挿入部内に固定し、また、接合具
本体の胴部を挿入部の開口部側から挿入するとともに雄
螺子部を埋設部材の雌螺子部に螺着するだけで、該接合
具で部材同士を連結・接合することができ、簡単な構造
で部材同士を容易に接合でき部材の接合作業性に優れ
る。 (3)接合具本体の胴部の長手方向に中空部を備えてい
るとともに、中空部に連通して穿設された接着剤の吐出
口を備えているので、注入口から中空部に接着剤を注入
することにより吐出口から接合具の胴部の外周面及び接
合具が挿入された部材の挿入部の周壁間に接着剤を充填
することができ、接着剤で部材同士を確実に固結して剛
接合することができ、高い接合力を得ることができる。 (4)挿入部内に固定した埋設部材の雌螺子部に接合具
本体の雄螺子部を螺着するので、部材の挿入部の周壁と
接合具本体の胴部の外周面との間にスペースを確実に形
成することができ、接合具本体の注入口から接着剤を注
入した際に、胴部の外周面及び部材の挿入部の周壁間に
接着剤を略均等に充填することができ、接合具と部材の
接着効果を向上することができ部材同士の接合力に優れ
る。 (5)埋設部材に接合具本体の雄螺子部が螺着される雌
螺子部を有しているので、埋設部材の外径が接合具本体
の胴部よりも大きく、その結果、埋設部材に形成された
固定用孔及び固定用孔に挿着される固定部材の径を大き
くすることができ、固定部材の強度及び埋設部材を挿入
部内に固定した際の埋設部材の固定力を向上することが
でき、部材同士の接合部分の接合強度に優れる。 (6)複数の接合具を用いて部材同士を接合する場合、
接合具本体の胴部や埋設部材の外径を小さくすることが
でき、部材の断面欠損を減少させ部材の強度の低下を防
止することができ、構造部材の剛性を向上できる。 (7)部材に形成された接合具を挿入する挿入部に金属
製等の高強度部材からなる接合具が接着剤で埋設固定さ
れるので、高剪断,高張力の剛接合を維持することがで
き接合強度に優れ、また、接合具の埋設部材が固定用孔
に挿着された固定部材で挿入部内に固定されるので、固
定部材の剪断力や靱性により埋設部材を挿入部内に強固
に固定できるとともに、部材同士の接合強度を向上で
き、更に高い接合力を得ることができる。 (8)部材に形成された挿入部に埋設部材を挿入し、部
材の外周壁部側から埋設部材の固定用孔に固定部材を挿
着して埋設部材を挿入部内に固定するとともに、挿入部
の開口部側から接合具本体を挿入して埋設部材の雌螺子
部に螺着することにより、部材同士を引き寄せて部材同
士の当接面を密着させることができ、注入口から接着剤
を注入した際に、部材同士の当接面から接着剤が漏れる
のを防止でき、部材同士を確実に密着して接合でき接合
強度や接合精度に優れる。 (9)特に、柱とまぐさを接合する際に、柱の外周壁部
からまぐさに連通して形成された挿入部のまぐさ側に埋
設部材を挿入固定し、柱の外周壁側の挿入部の開口部か
ら接合具本体を挿入して胴部の雄螺子部を埋設部材の雌
螺子部に螺着した後、注入口から中空部へ接着剤を注入
するだけで、柱とまぐさを強固に接合することができ、
柱間の開口部の耐力を向上することができるとともに、
水平力による軸組の変形を防止でき、その結果、建築物
の間口に耐力壁がなくても耐震性に優れた建物が実現で
きる。 (10)特に、部材同士をコの字状の箱金物やフック状
の金物等の従来の接合金具で接合した後に、各部材に挿
入部を形成して該接合具の埋設部材を挿入固定するとと
もに、接合具本体を挿入部に挿入して接合具本体と埋設
部材を螺着し、接合具の中空部に接着剤を注入して部材
同士を固結する場合(従来の接合金具と該接合具を併用
する場合)、接合金具で部材同士を仮固定した後に該接
合具で部材同士を接合でき該接合具による接合作業性を
向上できるとともに接合精度に優れ、また、部材同士の
当接面を密着することができるので当接面からの接着剤
の漏れを防止でき、また、接合金具に加えて該接合具で
部材同士の剪断,張力等の接合強度を維持することがで
きるとともに、接合金具と該接合具を併用することによ
り該接合具の小型化を図ることができ、更に、地震等で
接合金具と該接合具のいずれか一方が万が一破損した場
合にも建築物が完全に破壊されるのを防止でき、建築物
の耐震性や安全性に優れる。
【0074】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
の効果に加えて、 (11)接着剤流出防止部を備えているので、部材に形
成された挿入部の開口部側を接着剤流出防止部で塞ぐこ
とができ、挿入部の周壁と挿入部に挿入された該接合具
の胴部の外周面との間に接着剤を充填した際に、挿入部
の開口部側から接着剤が流出するのを防止でき、接着剤
による接着効果を維持でき該接合具で高い接合力を得る
ことができる。
【0075】請求項3に記載の発明によれば、請求項1
又は2の効果に加えて、 (12)接合具本体が、頭部部材,胴部材,先端部材に
分割されているので、頭部部材と胴部材,先端部材を順
に各接合部で接合して連結することにより、接合具本体
を容易に形成することができ、また、接合する胴部材の
数により接合具本体の長さを任意に変更することがで
き、該接合具の汎用性に優れる。 (13)特に、吐出口が接合具本体の雄螺子部側に形成
される場合、頭部部材と胴部材,先端部材の各々に中空
部を形成し、先端部材の中空部に連通した吐出口を先端
部材に形成することにより中空部や吐出口を形成するこ
とができ、接合具本体の中空部を各部材毎に分割して形
成することができるので、各中空部の形成距離を短くで
き、接合具本体の雄螺子部側に吐出口を形成する場合に
も容易に中空部や吐出口を形成することができ該接合具
の生産性を向上できる。
【0076】請求項4に記載の発明によれば、請求項1
乃至3の効果に加えて、 (14)接合具本体の注入口から中空部に接着剤を注入
して吐出口から接合具本体の胴部の外周面及び接合具が
挿入された部材の挿入部の周壁間に接着剤を充填した際
の、胴部と挿入部との接着効果を向上することができ、
該接合具と部材との接着力を向上でき、該接合具による
部材同士の接合強度に優れる。
【0077】請求項5に記載の発明によれば、請求項1
乃至4の効果に加えて、 (15)接合具本体の中空部に接着剤を注入した際に、
接合具本体の吐出口から吐出される接着剤を接合具の外
周面及び接合具が挿入された部材の挿入部の周壁間で螺
旋状部材に沿って略均等に充填することができ、部材同
士を確実に固結でき接合力の信頼性に優れるとともに、
接着剤のショートパスを防ぎ、接着剤の充填ムラが生じ
ることを防止でき、粘度の大きい接着剤も容易に使用で
き部材の接合作業性に優れる。 (16)接合具本体の胴部に螺旋状部材を外嵌している
ので、部材の挿入部に接合具本体とともに螺旋状部材を
接着剤で埋設固定することができ、その結果、接合具の
耐久性を向上でき接合具を補強材として使用することも
でき、部材同士の接合部分の剪断,引張り応力等を向上
でき部材の接合部分の耐久性を向上できるとともに、建
築物の安全性に優れる。
【0078】請求項6に記載の発明によれば、請求項1
乃至5の効果に加えて、 (17)注入口から中空部へ接着剤を注入した後、注入
口に封止体の突起部を嵌合して注入口を封止することが
でき、特に、粘度の極めて低い接着剤や硬化に長時間を
要す接着剤を中空部へ注入した場合でも、接着剤が硬化
する前に注入口から接着剤が漏れるのを防止でき、部材
同士を確実に固結することができ、部材の接合作業の作
業性を向上できる。 (18)封止体で注入口を封止することができるので、
締付頭部側(注入口側)の接合具本体の端面を封止体で
覆うことができ、部材の挿入部の外観を向上できる。
【0079】以上のように本発明における接合具を用い
た構造部材の接合構造によれば、以下の優れた効果を実
現できる。請求項7に記載の発明によれば、 (19)2以上の構造部材に連通して穿孔された接合具
挿入部に接合具の埋設部材を挿入するとともに固定部材
挿入部から埋設部材の固定用孔に固定部材を挿着して埋
設部材を接合具挿入部内に固定し、また、接合具挿入部
の開口部側から接合具本体の胴部を挿入して雄螺子部を
埋設部材の雌螺子部に螺着することにより、構造部材同
士を接合具で引き寄せて容易に構造部材同士を連結,接
合することができ、構造部材同士の接合作業性に優れ
る。 (20)接合具本体の注入口から中空部に接着剤を注入
することにより、接合具本体の吐出口から接着剤を吐出
して、接合具の外周面と接合具挿入部の周壁間に接着剤
を充填することができ、構造部材同士を確実に固結する
ことができ構造部材の接合強度に優れる。 (21)構造部材に接合具挿入部と固定部材挿入部を形
成するだけで、接合具と接着剤で構造部材同士を強固に
接合でき、構造部材の接合構造の簡略化を図ることがで
き、誰にでも簡単に構造部材の接合作業ができる。 (22)機械的強度が著しく高い接合具を各構造部材に
埋設して構造部材同士を確実に固結して接合しているの
で、構造部材の曲げ,引張り,圧縮,剪断等に対する抵
抗力を向上でき建築物の剛性に優れる。 (23)接合具の埋設部材を接合具挿入部内に固定部材
で固定しているので、固定部材の剪断力により埋設部材
を強固に固定できるとともに構造部材同士の接合部分の
靱性を向上でき構造部材の接合強度に優れる。 (24)接合具本体を構造部材の当接面に対し所定の傾
斜角度を有して挿入した場合、鉛直荷重に対する変形に
耐えることができ、構造部材同士の剛性に優れるととも
に、建築物の強度を著しく向上できる。 (25)構造部材間でクロス状になるように接合具挿入
部を形成した場合、接合具本体を接合具挿入部に挿入す
るだけで構造部材同士を連結保持することができ構造部
材同士の接合作業が容易にでき、また、接合具本体を固
定部材で接合具挿入部内に固定された埋設部材に螺着
し、接合具本体に接着剤を注入して構造部材同士を固結
すると、構造部材の引張り,曲げ,剪断等の上下左右か
らの荷重を各接合具の偶力で打ち消すことができ、極め
て機械的強度に優れた接合ができ、構造部材同士の接合
強度及び建築物の耐力性に優れる。 (26)接合具が構造部材に埋設されるとともに、接合
具の外周面が接着剤で被覆されるため、接合具が酸化等
するのを防止でき、接合具の耐久性を向上することがで
き接合部分の安全性に優れる。 (27)接合具を構造部材の接合具挿入部に挿着して構
造部材同士を接合し、更に、接合具の外周面と接合具挿
入部の周壁間に接着剤を充填して構造部材同士を固結し
ているので、構造部材同士を剛接合することができ、接
合強度を向上でき、また、接着剤で固結しているので、
木材等の構造部材の伸縮を吸収できガタつきを防止で
き、建築物の耐力性や安全性に優れる。 (28)1階に車庫等の大口の間口を設けることや開放
的な間取りの和風住宅等の建築は、従来の軸組工法によ
る木造建築では耐力性や安全性に欠け困難であったが、
構造部材同士の接合部分が、接合具と接着剤で強固に接
合されたラーメン構造となるので、耐力壁や筋交いを使
用することなく建築物の間口(スパン)を著しく広げる
ことができ、車庫や大口の間口等の柱の無い空間を高い
安全率で形成することができ、更に、従来のように車庫
や間口部分のみ鉄骨構造やRC構造にする必要もなく、
建築作業性の向上や工期の短縮を図ることができる。 (29)特に、該接合構造を柱とまぐさの接合に使用す
ることにより、柱とまぐさを強固なラーメン構造で接合
することができ、柱間の間口を著しく広げることでき、
高い安全率で大口の間口を連続して形成することがで
き、和風住宅等の建築物の剛性や安全性に優れる。 (30)南面に大きな開口を設計した和風住宅等の場合
でも、該接合構造により開口部に大きな耐力を得ること
ができるので、従来のような耐力壁の形成位置の偏りを
解消できるとともに、建築物の偏心率を小さくすること
ができ、耐震性を向上できる。
【0080】請求項8に記載の発明によれば、請求項7
の効果に加えて、 (31)構造部材の種類にもよるが、接合具の中空部に
接着剤を注入する際に、中空部内や接合具挿入部内の空
気が空気抜き部から排出されて、接着剤をスムーズに接
合具の外周面と接合具挿入部の周壁間に充填でき、構造
部材の接合作業の作業性に優れる。 (32)接着剤注入時に空気抜き部から接着剤が溢れ出
るのを確認することで、接合具の外周面と接合具挿入部
の周壁間に接着剤が満たされたことを確認でき、確実に
接着剤を充填でき接着剤による構造部材の固結の信頼性
に優れるとともに、誰にでも確実に接着剤を充填するこ
とができ構造部材の接合作業に熟練を要さず建築作業性
に優れる。
【0081】請求項9に記載の発明によれば、請求項7
又は8の効果に加えて、 (33)接合具本体の締付頭部を座部に当接させること
ができるので、締付頭部が構造部材の表面から大きく突
出するのを防止でき、構造部材の外観に優れるととも
に、締付頭部と座部の当接面から接着剤が漏れるのを防
止でき、接着効果の低下を防止できる。 (34)座部の開口側に埋め込み材を埋設することによ
り、接合具のナットが構造部材の表面に露出するのを防
止でき、特に、火災時等に構造部材の炭化皮膜により接
合具を火災の高温から守ることができ安全性をに優れ
る。 (35)埋め込み材を構造部材の外周壁面と略面一にし
ているので、構造部材の外観を更に向上できる。 (36)接合具本体の締付頭部を埋め込み材で構造部材
内に埋設しているので、接合具に外部の熱が伝わり構造
部材の内部に熱が伝わるのを防止でき、構造部材の耐久
性や構造部材同士の接合部分の安全性を向上できる。
【0082】以上のように本発明における接合具を用い
た構造部材の接合方法によれば、以下の優れた効果を実
現できる。請求項10に記載の発明によれば、 (37)構造部材に接合具挿入部及び固定部材挿入部を
形成し、接合具挿入部に接合具の埋設部材を挿入し固定
部材挿入部及び固定用孔に固定部材を挿着した後、接合
具挿入部に接合具を挿入して接合具本体を埋設部材に螺
着するだけで、2以上の構造部材に接合具を固定して構
造部材同士を連結することができ、構造部材の接合作業
性に優れる。 (38)構造部材を順に組み立てていくことができ、建
設現場で直接各構造部材の接合ができ、工場や他の場所
で組上げる必要がないとともに、組上げた構造部材を運
搬する手間を省くことができ、建築にかかる工程を著し
く削減でき工期を短縮できる。 (39)接合具を構造部材に固定した後、接合具本体の
中空部に接着剤を注入するだけで、接合具の外周面と接
合具挿入部の周壁間に接着剤を充填して構造部材同士を
確実に固結することができ、構造部材の接合作業が簡単
で作業性に優れるとともに接合部分の信頼性に優れ、ま
た、誰にでも接合作業ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1における接合具の要部分解全体斜
視図
【図2】実施の形態2における構造部材間の仕口の接合
構造を示す要部側面断面図
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】実施の形態3における接合具の要部分解全体斜
視図
【図5】実施の形態4における構造部材である柱と横架
構造部材の一例であるまぐさの接合構造を示す要部側面
断面図
【図6】図5のB−B線断面図
【図7】実施の形態5における分割式の接合具の要部分
解全体斜視図
【図8】実施の形態6における構造部材の継手接合構造
を示す要部側面断面図
【図9】実施の形態6における構造部材の継手接合構造
を示す要部分解平面図
【図10】(a)3階建て住宅の1階平面図 (b)3階建て住宅の2階平面図 (c)3階建て住宅の3階平面図
【符号の説明】
1,30,50 接合具 2,31,55 接合具本体 3,32,55a 胴部 4,34 締付頭部 5,35 雄螺子部 6,6′ 中空部 6a,6b,6c 単位中空部 7,36 注入口 8,8′ 吐出口 9 埋設部材 10,54 雌螺子部 11 固定用孔 12,37,56 固定部材 13 縦構造部材 14,14A,14B,40 横架構造部材 15 構造部材 16a,16b,41,57a,57b 当接面 17,18,42,58a,58b 接合具挿入部 17a,18a,42a,58c 底部 17b,18b,42b,58d 開口部 19,43,59a,59b 空気抜き部 20 座金 21,44,63 固定部材挿入部 33 雄螺子 37a,56a 頭部 38 梁 39 2階柱 51 頭部部材 51a,53a 接合部 52 胴部材 52a,52b 胴接合部 53 先端部材 60 座部 61 埋め込み材(封止体) 61a 突起部 62 螺旋状部材 63a 凹部 100a,100b 柱 101 耐力壁 102 車庫 102a 間口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2E125 AA03 AA13 AA42 AB12 AC01 AC11 AC23 AE01 AE11 AG12 AG13 BB08 BB22 BB23 BB30 BD01 BE07 BE08 BF01 CA05 CA13 CA14 CA15 CA23 CA25 CA27 CA79 CA81 EA33

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a.一端部に締付頭部を有した胴部と、
    前記胴部の他端部側に形成された雄螺子部と、前記胴部
    の略軸心の長手方向に形成された中空部と、前記胴部の
    前記締付頭部側の端面から前記中空部に連通した接着剤
    の注入口と、前記胴部の外周面から前記中空部に連通し
    て穿設された1乃至複数の接着剤の吐出口と、を有した
    接合具本体と、 b.前記雄螺子部が螺着される雌螺子部を有した埋設部
    材と、前記雌螺子部の長手方向と略直交して前記埋設部
    材に形成された固定用孔と、 を備えていることを特徴とする接合具。
  2. 【請求項2】 前記締付頭部及び/又は前記胴部の前記
    締付頭部側に形成又は配設された接着剤流出防止部を備
    えていることを特徴とする請求項1に記載の接合具。
  3. 【請求項3】 前記接合具本体が、一端に前記締付頭部
    を有し他端に接合部を有した頭部部材と、両端に胴接合
    部を有した1又は2以上の胴部材と、一端に接合部を有
    し他端側に前記雄螺子部を有した先端部材と、を備えて
    いることを特徴とする請求項1又は2に記載の接合具。
  4. 【請求項4】 前記胴部の外周面が螺子状又は異型鉄筋
    状の凹凸面に形成されていることを特徴とする請求項1
    乃至3の内いずれか1項に記載の接合具。
  5. 【請求項5】 前記胴部に外嵌されたスプリング等の螺
    旋状部材を備えていることを特徴とする請求項1乃至4
    の内いずれか1項に記載の接合具。
  6. 【請求項6】 前記注入口に嵌合される突起部を有した
    封止体を備えていることを特徴とする請求項1乃至5の
    内いずれか1項に記載の接合具。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6の内いずれか1項に記載
    された接合具と、所定の当接面で当接される横架構造部
    材や縦構造部材等の2以上の構造部材と、前記構造部材
    の外周壁部から前記当接面に対して直交若しくは所定の
    傾斜角度を有して他の前記構造部材と連通して穿孔され
    た1以上の接合具挿入部と、当接される前記構造部材の
    内いずれか1の前記構造部材の外周壁部から前記接合具
    挿入部に略直交して穿孔された固定部材挿入部と、前記
    接合具の中空部に注入されて前記接合具の吐出口から吐
    出され前記接合具の外周面と前記接合具挿入部の周壁間
    に充填される接着剤と、を備えていることを特徴とする
    構造部材の接合構造。
  8. 【請求項8】 当接される前記構造部材の内いずれか1
    の前記構造部材の外周壁部から前記接合具挿入部に連通
    して穿孔された1乃至複数の空気抜き部を備えているこ
    とを特徴とする請求項7に記載の構造部材の接合構造。
  9. 【請求項9】 前記接合具挿入部の開口部に穿設され前
    記接合具挿入部と直交する1以上の座部を有し、前記座
    部の開口側を埋設し表面が前記構造部材の外周壁面と略
    面一に形成された埋め込み材を備えていることを特徴と
    する請求項7又は8に記載の構造部材の接合構造。
  10. 【請求項10】 所定の当接面で当接される横架構造部
    材や縦構造部材等の2以上の構造部材に、請求項1乃至
    6の内いずれか1項に記載された接合具が挿入される接
    合具挿入部及び前記接合具挿入部に略直交し前記接合具
    の固定部材が挿着される固定部材挿入部を形成する挿入
    部形成工程と、前記接合具挿入部に前記接合具の埋設部
    材を挿入し前記固定部材挿入部及び前記埋設部材の固定
    用孔に前記固定部材を挿着して前記埋設部材を前記接合
    具挿入部内に固定する埋設部材固定工程と、前記接合具
    挿入部に前記接合具の接合具本体を挿入し前記接合具本
    体を前記埋設部材に螺着するとともに前記構造部材同士
    を連結する固定工程と、前記接合具の中空部に接着剤を
    注入して前記構造部材を固結する固結工程と、を備えて
    いることを特徴とする構造部材の接合方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018066209A (ja) * 2016-10-20 2018-04-26 木構造システム株式会社 木部材の接合構造、接合方法、及びそれに使用する穴開け治具

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