JP2003206637A - 架構補強構造及びその施工方法 - Google Patents

架構補強構造及びその施工方法

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JP2003206637A JP2002002391A JP2002002391A JP2003206637A JP 2003206637 A JP2003206637 A JP 2003206637A JP 2002002391 A JP2002002391 A JP 2002002391A JP 2002002391 A JP2002002391 A JP 2002002391A JP 2003206637 A JP2003206637 A JP 2003206637A
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和浩 金田
Tashiro Fujimura
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 梁柱架構と面材を確実に接合することが可能
であり、容易に施工を行うことが可能となる架構補強構
造を提供する。 【課題手段】 立設する2本の柱11,12と前記2本
の柱に横設されている上下の梁13,14とを備えてい
る梁柱架構10の架構内面に、面材(鉄骨ブレース2
0)を固着した架構補強構造1であって、前記梁柱架構
を構成する前記上下の梁及び前記2本の柱の少なくとも
一部における架構内面側(下梁14の上面)には所定数
の凹部14aが穿設され、前記凹部には前記面材と接合
されている連結部材(ダボ鉄筋5)を挿設されていると
ともに、前記面材と前記梁柱架構の間の目地部及び前記
凹部に固化材7が充填されることにより、前記梁柱架構
と前記面材とが一体化されている架構補強構造とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、既設建物における
梁柱架構の剛性と耐力を増加させる架構補強構造及びそ
の施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】耐震性が不充分であると判定された既設
建物に対して、梁と柱とから形成される梁柱架構の架構
内面に面材である枠付きの鉄骨ブレースや補強壁を増設
し、各層の剛性と耐力を増加させる架構補強構造が一般
的に存在している。
【0003】例えば、図4に示すように、従来の架構補
強構造1’’では、梁柱架構10’’と鉄骨ブレース2
0’’の枠組21’’との間を充填材7’’により充填
するとともに、当該梁柱架構10’’と鉄骨ブレース2
0’’との間で地震時等に発生するせん断応力等を十分
に伝達させるために所定間隔でアンカー鉄筋8’’を既
存躯体に打設し、梁柱架構10’’と充填材7’’の接
合性を高めている構造が採用されている。なお、符号3
1’’は、枠組21’’と充填材7’’の接合性を高め
るためのスタッドボルトであり、符号32’’は、梁柱
架構10’’と鉄骨ブレース20’’との接合部に発生
する割裂を防止するためのスパイラル筋を示している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の架構補
強構造1’’は、既設建物の梁柱架構10’’に多数の
アンカー鉄筋8’’を打設することから、次のような問
題を有していた。 (1)架構補強構造1’’の構築作業は、既設建物を使
用しながらの作業となるが、アンカー鉄筋8’’を打設
する際に、騒音、振動、粉塵が発生するため、当該既設
建物の使用者の生活環境に与える影響が非常に大きい。
また、梁柱架構10’’の架構内面にモルタル等の仕上
げ材が塗布されている場合があるが、仕上げ材を残した
ままであると、充填材7’’の付着力及び摩擦力が低減
するため、当該仕上げ材を除去する必要があり、この場
合にも騒音、振動、粉塵が発生してしまう。 (2)梁柱架構10’’のコンクリート強度が小さい場
合には、打設したアンカー鉄筋8’’が所定のせん断耐
力や引抜耐力を発揮できないため、梁柱架構10’’と
鉄骨ブレース20’’との間における応力伝達が不十分
となることがある。 (3)梁柱架構10’’に多数のアンカー鉄筋8’’を
打設することは、多少なりとも柱や梁に損傷を与えるこ
とになり、柱や梁の断面が小さい場合には特に深刻な影
響を及ぼすことになる。 (4)梁柱架構10’’と鉄骨ブレース20’’の間隙
に充填されている充填材7’’にブリージングや気泡が
発生し、施工後における当該梁柱架構10’’と鉄骨ブ
レース20’’の接合部に隙間が形成されることで一体
性が損なわれ、付着力及び摩擦力が低減することがあ
る。
【0005】本発明は、前記問題を解決するためになさ
れたものであり、梁柱架構と面材との接合部の強度と剛
性を高めて確実に接合することが可能であり、かつ容易
に施工を行うことが可能となる架構補強構造及びその施
工方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明の架構補強構造は、立設する2本の柱と前記
2本の柱に横設されている上下の梁とを備えている梁柱
架構の架構内面に、面材を固着した架構補強構造であっ
て、前記梁柱架構を構成する前記上下の梁及び前記2本
の柱の少なくとも一部における架構内面側には所定数の
凹部が穿設され、かつ、前記凹部には前記面材と接合さ
れている連結部材が挿設されており、前記面材と前記梁
柱架構の間の目地部及び前記凹部に固化材が充填される
ことにより、前記梁柱架構と前記面材とが一体化されて
いることを特徴としている。
【0007】ここで、面材とは、高い剛性を有するブレ
ース及び壁等の部材であり、枠付きの鉄骨ブレース、鉄
筋コンクリート壁、プレキャストコンクリート壁等を用
いることが好適である。また、凹部の形状、寸法及び数
等は、面材と梁柱架構の接合部における要求性能に依存
し、梁柱架構から面材へのせん断力の伝達に必要となる
接合力に対して定められるものである。なお、凹部は、
梁柱架構を構成する前記上下の梁及び前記2本の柱の少
なくとも一部に設けるものであればよく、2本の柱の側
面(架構内面)、下梁の上面又は上梁の下面に設けても
よい。
【0008】また、連結部材は、梁柱架構と面材を連結
して、ダボ効果を発揮させるために設けるものであり、
ネジ部が形成されている鉄筋や、全ネジ鋼棒等を用いる
ことが、施工作業を行う上で好適である。さらに、固化
材は、充填後に硬化して面材と梁柱架構を接合すること
ができる材料であればよく、モルタル、コンクリート及
びプレミックスタイプのセメント系グラウト材、又は、
エポキシ樹脂等の樹脂製の接着剤などを用いることが好
適である。
【0009】本発明の架構補強構造では、凹部内に挿設
された連結部材の周囲で硬化した固化材と当該連結部材
とが一体となることにより、梁柱架構と面材の間でせん
断力を伝達するためのシアキーが形成されると共に、固
化材を周囲に纏った連結部材がダボ筋として機能する。
そして、このシアキーにより、梁柱架構と面材との接合
部における摩擦効果及び付着効果が高められ、接合部で
の変位が大きくなるにつれて連結部材のダボ効果が発揮
される。従って、本発明によれば、シアキーとダボ筋の
複合効果で、梁柱架構と面材との一体性を確保すること
ができることから、終局時においても良好なせん断伝達
特性を確保することができる。
【0010】また、前記架構補強構造において、前記面
材は、H形鋼を前記梁柱架構の構面内強軸方向となるよ
うに配置した四周枠組と、前記四周枠組に接合された斜
材とを備えており、前記四周枠組におけるH形鋼を所定
数に分割して形成するとともに、分割形成されている前
記H形鋼を接合するために前記梁柱架構の架構内面と向
い合うフランジ面に設けられている添板と、前記添板を
前記H形鋼に定着させるための定着具とをシアキーとし
て兼用するものであってもよい。ここで、添板にはスプ
ライスプレート、定着具にはボルトやリベット等を用い
ることが好適である。
【0011】本発明によれば、H形鋼を接合するために
梁柱架構の架構内面と向い合うフランジ面に設けられて
いる添板と、前記添板を前記H形鋼に定着させるための
定着具とが凹凸を形成し、シアキーとして作用すること
から、当該フランジ面における変位の発生が防止され、
確実に梁柱架構と面材との一体性を確保することが可能
となる。
【0012】また、前記架構補強構造において、前記面
材は、四周枠組と前記四周枠組に接合された斜材とを備
えており、前記四周枠組における、前記梁柱架構の架構
内面と向い合う面に、所定数のシアキーを設けるもので
あってもよい。ここで、シアキーは、鉄筋、アングル
材、あるいは、フラットバーなどを四周枠組における、
梁柱架構の架構内面と向い合う面に、所定間隔等で溶接
することにより設けることができる。また、四周枠組の
形状には特に制限はなく、H形鋼、I形鋼、溝形鋼或い
は箱形断面形状の鋼材等を用いることができる。
【0013】本発明によれば、四周枠組における、梁柱
架構の架構内面と向い合う面に、所定数のシアキーが設
けられていることから、四周枠組のシアキーが設けられ
ている面での変位の発生が防止され、確実に梁柱架構と
面材との一体性を確保することができる。
【0014】さらに、本発明の架構補強構造の施工方法
は、立設する2本の柱と前記2本の柱に横設されている
上下の梁とを備えている梁柱架構の架構内面に、面材を
固着することにより両者を一体とする、以下の工程を含
むことを特徴とするものであり、本施工方法を採用する
ことにより、容易にその施工を行うことができる。 (1)前記梁柱架構を構成する前記上下の梁及び前記2
本の柱の少なくとも一部における架構内面側に、所定数
の凹部を穿設する凹部穿設工程。 (2)前記梁柱架構の架構内面に沿って面材を配置する
面材配置工程。 (3)連結部材を前記凹部に挿設して前記面材と接合す
るとともに、前記面材と前記梁柱架構の間の目地部及び
前記凹部に固化材を充填する固化材充填工程。
【0015】また、本発明の架構補強構造の施工方法
は、立設する2本の柱と前記2本の柱に横設されている
上下の梁とを備えている梁柱架構の架構内面に、面材を
固着することにより両者を一体とする、以下の工程を含
むことを特徴とするものであり、本施工方法を採用する
ことにより、容易にその施工を行うことができる。 (1)前記梁柱架構を構成する前記上下の梁及び前記2
本の柱の少なくとも一部における架構内面側に、所定数
の凹部を穿設する凹部穿設工程。 (2)予め前記面材と接合されている連結部材を前記凹
部に挿設しながら、前記梁柱架構の架構内面に沿って面
材を配置する面材配置工程。 (3)前記面材と前記梁柱架構の間の目地部及び前記凹
部に固化材を充填する固化材充填工程。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態について、
図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明にお
いて正面視とは、図1の方向から見た場合をいう。ま
た、各実施形態の説明において、同一の構成要素に関し
ては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものと
する。
【0017】[架構補強構造]図1及び図2に示すよう
に、架構補強構造1は、既設建物の梁柱架構10と、そ
の架構内面に固着されている枠付きの鉄骨ブレース20
(面材)とから構成されている。
【0018】梁柱架構10は、既存建物の柱11,12
及び梁13,14から構成されており、所定間隔で立設
されている左右の柱11,12と上下に横設されている
梁13,14とが剛接合されたラーメン構造となってい
る。そして、下梁14の上面における中央部近傍の所定
位置には複数の円柱状の凹部14aが穿設されており、
上梁13の下面には、所定間隔で丸穴13aが穿設され
ている。なお、前記凹部14aの孔径は後記ダボ鉄筋5
(連結部材)の径の2.5倍〜3倍、孔の深さは、ダボ
鉄筋5の3倍〜4倍程度に形成することが好適である。
【0019】鉄骨ブレース20は、梁柱架構10の剛性
および耐力を増加させるための構造部材であり、枠組2
1と斜材27とから構成されている。この枠組21は、
上下及び左右のH形鋼からなる枠部材22〜25を、正
面視で口字形状となるように四周枠組として形成したも
のである。前記枠組21における下枠部材23の下フラ
ンジ23aにおける所定位置には、梁柱架構10の前記
凹部14aに挿設されるダボ鉄筋5を挿通するための貫
通孔23bが穿設されている。
【0020】また、前記斜材27もH形鋼であり、枠組
21を形成する上枠部材22の中央部と、当該枠組21
の左右の下隅角部の間にそれぞれ接合されており、正面
視で倒立したV字形状を呈している。なお、前記枠組2
1において、枠組21を形成する各枠部材22〜25の
所定位置にスタッドボルトを溶接して設けてもよい。
【0021】前記架構補強構造1では、前記枠組21の
梁柱架構10の架構内面側のフランジ22a〜25a
が、当該梁柱架構10の架構内面に当接するように配設
されており、当該枠組21を構成する各枠部材22〜2
5が梁柱架構10の構面内強軸方向に配置されている。
そして、ネジが切られている複数のダボ鉄筋5が、枠組
21における下枠部材23の複数の貫通孔23bを通っ
て、梁柱架構10における下梁14の凹部14aに挿設
されており、当該下枠部材23の下フランジ23aにナ
ット6により定着されている。さらに、前記梁柱架構1
0の架構内面と鉄骨ブレース20を形成する各枠部材2
2〜25の架構内面側のフランジ22a〜25aの間に
おける目地部29、及び、前記凹部14aには、固化材
7が介装及び充填されており、これにより両者が一体化
されている。
【0022】また、図3に示すように、本発明の架構補
強構造1’は、前記鉄骨ブレース20’を構成する枠部
材22’〜25’(符号21’は枠組)と斜材27’の
H形鋼を所定数に分割して形成するとともに、継手を構
成するスプライスプレート31〜35(添板)と高力ボ
ルト36〜38(定着具)により接合する構造とするも
のであってもよい(斜材27’は、V字形状に設けられ
ている)。分割して形成されているH形鋼の接合部の両
部材間に跨って設けられている前記スプライスプレート
31〜35は、ウエブ22c’の両側面及び上下のフラ
ンジ面22a’,22b’を挟持するようにそれぞれ設
けられている。その中の前記梁柱架構10の架構内面と
向い合うフランジ22a’〜25a’面に設けられてい
るスプライスプレート31と、当該スプライスプレート
31を前記H形鋼に定着させるための高力ボルト36は
凹凸部を形成し、シアキーとしての作用を果たしてい
る。そのため、この架構補強構造1’により、当該H形
鋼のフランジ22a’〜25a’面での変位の発生が防
止され、確実に梁柱架構10’と鉄骨ブレース20’と
の一体性を確保することができる。
【0023】なお、前記H形鋼において、梁柱架構1
0’の架構内面と向い合うフランジ22a’〜25a’
面に、鉄筋、アングル材、あるいは、フラットバーなど
を所定間隔で溶接することによっても、当該H形鋼のフ
ランジ22a’〜25a’面での変位の発生が防止さ
れ、確実に梁柱架構10’と鉄骨ブレース20’との一
体性を確保することができる(図示せず)。
【0024】[施工方法]次に、本発明に係る前記架構
補強構造1の施工方法を図1等を参照して説明する。本
施工方法は、(1)凹部穿設工程、(2)面材配置工程
及び(3)固化材充填工程から構成されている。
【0025】(1)凹部穿設工程 本工程は、梁柱架構10を構成する下梁14の上面に複
数の凹部14aを穿設する作業を行う工程であり、既存
の方法で行うことができる。
【0026】(2)面材配置工程 本工程は、梁柱架構10の架構内面に沿って鉄骨ブレー
ス20を配置する作業を行う工程である。具体的には、
梁柱架構10の架構内面に沿って枠組21を設け、斜材
27を当該枠組21に接合することで、当該梁柱架構1
0の架構内面に鉄骨ブレース20を配置する作業を行
う。
【0027】(3)固化材充填工程 本工程は、ダボ鉄筋5を凹部14a部に挿設することに
より鉄骨ブレース20と接合するとともに、当該鉄骨ブ
レース20と梁柱架構10の間の目地部29及び前記凹
部29に固化材7を充填する作業を行う工程である。具
体的には、枠組21における下枠部材23の貫通孔23
bを通して、梁柱架構10の下梁14の凹部14aにダ
ボ鉄筋5を挿通し、当該下枠部材23の下フランジ23
aにナット6により定着させる。そして、梁柱架構10
と鉄骨ブレース20の目地部29の周囲に型枠(図示せ
ず)を設置し、当該目地部29及び凹部14aに固化材
7を充填して両者を一体化する。その後、所定期間養生
を行い、型枠を脱型することにより作業を終了する。
【0028】なお、前記面材配置工程において、予め所
定数のスタッドボルト(連結部材)が溶接されている鉄
骨ブレースを用い、当該スタッドボルトを凹部に挿設し
ながら、梁柱架構の架構内面に沿って鉄骨ブレースを配
置した後に、固化材充填工程において、前記鉄骨ブレー
スと梁柱架構の間の目地部等に固化材を充填することも
できる。
【0029】以上のように、本発明の架構補強構造1で
は、凹部14aに挿設されたダボ鉄筋5の周囲で硬化し
た固化材7と当該ダボ鉄筋5とが一体となり、梁柱架構
10と鉄骨ブレース20の間でせん断力を伝達するため
のシアキーが形成される。そして、このシアキーによ
り、梁柱架構10と鉄骨ブレース20との接合部におけ
る摩擦効果及び付着効果が高められ、接合部での変位が
大きくなるにつれてダボ鉄筋5のダボ効果が発揮され
る。従って、本発明によれば、シアキーとダボ鉄筋5の
複合効果で、梁柱架構10と鉄骨ブレース20との一体
性を確保することができることから、終局時において
も、良好なせん断伝達特性を確保することができる。従
って、アンカー鉄筋を打設することなく、梁柱架構10
の架構内面に仕上材が塗布されている場合であっても除
去する必要がないことから、作業時において、騒音、振
動、粉塵が発生することを防止することができ、既設建
物を使用しながら作業を行うことができる。また、仕上
材を除去する必要がないことから、作業に伴って発生す
る廃棄物を減少させることができる。
【0030】また、多数のアンカー鉄筋を打設しないた
め、既設の梁柱架構の架構内面に損傷を与えることを防
止できるとともに、工期の短縮及び作業費用の低減を実
現することができる。また、梁柱架構10の下梁14に
凹部14aを形成して、当該凹部14aにダボ鉄筋5を
挿設することにより作業が可能となるため、施工時の精
度が厳格に要求されないため、施工性を大幅に改良する
ことができる。さらに、鉄骨ブレース20の枠組21を
構成する枠部材22〜25が梁柱架構10の構面内強軸
方向に配置されているため、当該枠組21の面内剛性が
高くなり、変形を小さくすることができる。従って、梁
柱架構10と鉄骨ブレース20を接合した状態におい
て、枠組21の変形により両者が離間することを防止す
ることができる。その結果、梁柱架構10と鉄骨ブレー
ス20との接合部におけるせん断伝達性能を高めること
が可能となる。
【0031】なお、本発明の架構補強構造1において、
梁柱架構10の架構内面に増設される面材は、前記実施
形態の鉄骨ブレース20に限定されるものではなく、鉄
筋コンクリート造の耐震壁(以下、「RC耐震壁」とい
う、図示せず)を用いることが可能である。例えば、R
C耐震壁を設ける場合には、以下の施工手順で行うこと
ができる。まず、梁柱架構の凹部に、ダボ鉄筋を仮固定
し、当該凹部に固化材注入用のホースを配設する。次
に、前記RC耐震壁の配筋を通常の手順で行い、その周
囲に型枠を設置して、コンクリートを打設する。そし
て、コンクリートの充填が不十分である未充填箇所及び
前記凹部に固化材を注入する(凹部への固化材の注入は
前記ホースにより行う)。
【0032】さらに、前記の場合において、RC耐震壁
は、プレキャストコンクリート部材を用い(分割して形
成されているものでもよい)、既存の方法で、梁柱架構
10の架構内面に増設することもできる。
【0033】以上、本発明について、好適な実施形態に
ついての一例を説明したが、本発明は当該実施形態に限
られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更
が可能である。特に、梁柱架構、面材、連結部材及び固
化材の形状、寸法、材質(材料)等は、施工現場の状況
に応じて適切に定める必要があることは言うまでもな
い。
【0034】
【発明の効果】本発明の架構補強構造によれば、梁柱架
構と面材との接合部の強度と剛性を高めて確実に接合す
ることにより、地震時等に発生するせん断応力等を十分
に伝達させることが可能となるとともに、容易に施工を
行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の架構補強構造を示す正面断面図であ
る。
【図2】図1におけるX−X断面図である。
【図3】本発明の架構補強構造の他の実施形態を示す正
面断面図である。
【図4】従来の架構補強構造を示す側断面図である。
【符号の説明】 1,1’ 架構補強構造 5 ダボ鉄筋(連結部材) 6 ナット 7 固化材 10 梁柱架構 11,12 柱 13,14 梁 14a 凹部 20,20’ 鉄骨ブレース(面材) 21,21’ 枠組 22〜25,22’〜25’ 枠部材 22a〜25a,22a’〜25a’ フランジ 27,27’ 斜材 31〜35 スプライスプレート(添板) 36〜38 高力ボルト(定着具)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金田 和浩 東京都新宿区西新宿一丁目25番1号 大成 建設株式会社内 (72)発明者 藤村 太史郎 東京都新宿区西新宿一丁目25番1号 大成 建設株式会社内 Fターム(参考) 2E176 AA04 BB28

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 立設する2本の柱と前記2本の柱に横設
    されている上下の梁とを備えている梁柱架構の架構内面
    に、面材を固着した架構補強構造であって、 前記梁柱架構を構成する前記上下の梁及び前記2本の柱
    の少なくとも一部における架構内面側には所定数の凹部
    が穿設され、かつ、前記凹部には前記面材と接合されて
    いる連結部材が挿設されており、 前記面材と前記梁柱架構の間の目地部及び前記凹部に固
    化材が充填されることにより、前記梁柱架構と前記面材
    とが一体化されていることを特徴とする架構補強構造。
  2. 【請求項2】 前記面材は、H形鋼を前記梁柱架構の構
    面内強軸方向となるように配置した四周枠組と、前記四
    周枠組に接合された斜材とを備えており、 前記四周枠組におけるH形鋼を所定数に分割して形成す
    るとともに、 分割形成されている前記H形鋼を接合するために前記梁
    柱架構の架構内面と向い合うフランジ面に設けられてい
    る添板と、前記添板を前記H形鋼に定着させるための定
    着具とをシアキーとして兼用することを特徴とする請求
    項1記載の架構補強構造。
  3. 【請求項3】 前記面材は、四周枠組と前記四周枠組に
    接合された斜材とを備えており、 前記四周枠組における、前記梁柱架構の架構内面と向い
    合う面に、所定数のシアキーを設けたことを特徴とする
    請求項1記載の架構補強構造。
  4. 【請求項4】 立設する2本の柱と前記2本の柱に横設
    されている上下の梁とを備えている梁柱架構の架構内面
    に、面材を固着することにより両者を一体とする、以下
    の工程を含むことを特徴とする架構補強構造の施工方
    法。 (1)前記梁柱架構を構成する前記上下の梁及び前記2
    本の柱の少なくとも一部における架構内面側に、所定数
    の凹部を穿設する凹部穿設工程。 (2)前記梁柱架構の架構内面に沿って面材を配置する
    面材配置工程。 (3)連結部材を前記凹部に挿設して前記面材と接合す
    るとともに、前記面材と前記梁柱架構の間の目地部及び
    前記凹部に固化材を充填する固化材充填工程。
  5. 【請求項5】 立設する2本の柱と前記2本の柱に横設
    されている上下の梁とを備えている梁柱架構の架構内面
    に、面材を固着することにより両者を一体とする、以下
    の工程を含むことを特徴とする架構補強構造の施工方
    法。 (1)前記梁柱架構を構成する前記上下の梁及び前記2
    本の柱の少なくとも一部における架構内面側に、所定数
    の凹部を穿設する凹部穿設工程。 (2)予め前記面材と接合されている連結部材を前記凹
    部に挿設しながら、前記梁柱架構の架構内面に沿って面
    材を配置する面材配置工程。 (3)前記面材と前記梁柱架構の間の目地部及び前記凹
    部に固化材を充填する固化材充填工程。
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