JP2001325993A - 電解質層及び非水電解質電池の製造方法 - Google Patents

電解質層及び非水電解質電池の製造方法

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JP2001325993A
JP2001325993A JP2000145551A JP2000145551A JP2001325993A JP 2001325993 A JP2001325993 A JP 2001325993A JP 2000145551 A JP2000145551 A JP 2000145551A JP 2000145551 A JP2000145551 A JP 2000145551A JP 2001325993 A JP2001325993 A JP 2001325993A
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electrolyte solution
negative electrode
positive electrode
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Takeharu Kikuchi
健晴 菊池
Osamu Maniwa
修 間庭
Yukiro Akahira
幸郎 赤平
Naoki Matsuo
直樹 松尾
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産性を損なうことなく、様々な形状の電解
質層の形成を可能とする。 【解決手段】 電極21上に少なくとも電解質塩と膨潤
溶媒とマトリクス高分子とを有する電解質層8を形成す
るに際し、上記電解質塩と上記膨潤溶媒と上記マトリク
ス高分子とを溶剤に溶解して電解質溶液を調製し、当該
電解質溶液を加熱する第1の工程と、上記電解質溶液を
加熱空気とともに上記電極21上に噴霧する第2の工程
と、上記電極21上に噴霧された電解質溶液中の溶剤を
除去し、電解質層8を形成する第3の工程とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゲル状の電解質を
用いる電解質層及び非水電解質電池の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】電子技術の進歩により、電子機器の高性
能化、小型化、ポータブル化が進み、これら電子機器に
搭載される二次電池の要求が強まっている。従来、一般
用途の二次電池としては、鉛蓄電池、ニッケル・カドミ
ウム電池等の水溶液系電池が主流であった。これらの電
池は放電電位が低く、エネルギー密度の点では十分満足
できる特性とはいえなかった。
【0003】近年、軽量で高いエネルギー密度を有し、
自己放電も少ないという優れた特性を有することから、
非水電解質電池の研究・開発が盛んに行われている。特
に、負極活物質にリチウム、リチウム合金又はリチウム
イオンを可逆的にドープ/脱ドープすることのできる材
料を用い、正極にLiCoO2等のリチウム複合酸化物
を用いた非水電解質二次電池の普及が著しい。
【0004】そして、このような非水電解質二次電池に
おいては、主に負極集電体として銅箔が用いられ、非水
電解質として、例えば非水溶媒に電解質塩を溶解してな
る非水電解液が用いられる。電解質塩としては、例えば
LiPF6等のリチウム化合物塩が用いられる。
【0005】この非水電解液を用いた電池においては、
非水電解液の液漏れを防止するために、外装材として剛
性を有するハードセルを使用することが不可欠であっ
た。しかしながら、上述したように近年の電子機器は小
型化、ポータブル化が著しく、搭載される電池にも同様
の特性が求められている。したがって、ハードセルの使
用は、電池の小型化、軽量化といった流れに反するもの
である。また、ハードセルはそれ自体が厚みを有するた
めに、電池の薄型化の妨げとなり、電池のエネルギー密
度を低下させていた。
【0006】そこで、以上のような問題に対処するため
に、非水電解質として、電解液を固体化した固体電解質
の研究が盛んに行われている。中でも、マトリクス高分
子に電解質塩を有する非水溶媒を含浸させたゲル状の固
体電解質(以下、ゲル電解質と称する。)は、その電解
液相がイオン伝導のメインパスとなるため、電解液に準
ずるレベルの高いイオン伝導性が期待できる。また、液
漏れの心配がないため、ハードセルが不要になり、代わ
りに金属箔や金属蒸着層等の金属層が樹脂層間に挟まれ
たいわゆるラミネートフィルムを外装材として用いるこ
とが可能である。したがって、ゲル電解質を用いた電池
は、薄型化、軽量化が可能であるとともに、折り曲げが
自在であるというメリットを有し、形状の自由度向上を
実現している。
【0007】そして、ハードセルが不要になることによ
る形状の自由度向上に伴い、従来の矩形状のみならず、
様々な形状の電池に対するユーザーの要求が高まってい
る。
【0008】ところで、上述のようなゲル電解質は、ダ
イコーディング法やコンマリバース法等の、いわゆる
「べた塗り」といわれる塗布方式で、負極及び/又は正
極上に塗布されることにより形成されている。電極の片
面にゲル電解質を塗布する場合には、例えば図7に示す
ように、先ず、巻き出しロール101から電極102を
送り出し、電極予熱装置103で電極102を予め加熱
する。次に、適温に加熱された状態の電極102の一方
の面上に、コーターヘッド104によってゲル電解質溶
液を均一に塗布する。次に、一方の面上に電解質溶液を
塗布された電極102をドライヤー105に送り、ドラ
イヤー105によってゲル電解質溶液中の溶媒を蒸発さ
せることによって、電極102上にゲル電解質層106
が形成される。そして、ゲル電解質層106が形成され
た電極102は、巻き取りロール107に巻き取られ
る。
【0009】なお、電極102の両面にゲル電解質10
6を塗布する場合には、例えば図8に示すように、コー
ターヘッド104を2つ有する塗布装置を用いること
で、ゲル電解質溶液を電極102の両面に同時に塗布す
ることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ようなべた塗り塗布方式は、一定の幅の矩形状にて、電
極上にゲル電解質溶液を塗布する方法であり、ゲル電解
質層106を矩形状以外の変形形状とすることは不可能
であった。
【0011】このため、先ず活物質層の形状にかかわら
ず一定幅の矩形状にて電解質溶液を塗布し、乾燥させる
ことにより、ゲル電解質を形成する。その後、不要部分
のゲル電解質を剥離等により除去するといった方法でし
か、変形形状のゲル電解質を形成できなかった。
【0012】このように、所望の変形形状のゲル電解質
電池を作製するに際して、従来の方法ではゲル電解質の
損失が生じるため、歩留まりの低下を招き、生産性が悪
いといった問題があった。また、不要部分のゲル電解質
を除去する際に、必要部分のゲル電解質に切れ目・裂け
目を生じる等の工程不良が発生することもあり、さらに
生産性を低下させるといった不都合もあった。
【0013】そこで本発明はこのような従来の実状に鑑
みて提案されたものであり、生産性を損なうことなく、
様々な形状の電解質層の形成を可能とする電解質層及び
非水電解質電池の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明にかかる電解質層の製造方法は、電極上に
少なくとも電解質塩と膨潤溶媒とマトリクス高分子とを
有する電解質層を形成するに際し、上記電解質塩と上記
膨潤溶媒と上記マトリクス高分子とを溶剤に溶解して電
解質溶液を調製し、当該電解質溶液を加熱する第1の工
程と、上記電解質溶液を加熱空気とともに上記電極上に
噴霧する第2の工程と、上記電極上に噴霧された電解質
溶液中の溶剤を除去し、電解質層を形成する第3の工程
とを有することを特徴とする。
【0015】以上のような電解質層の製造方法では、第
2の工程において、可塑化された電解質溶液を、加熱空
気とともに電極上に噴霧することにより、流動性を維持
しつつ、所望の形状にて電解質溶液を塗着させることが
できる。
【0016】また、本発明にかかる非水電解質電池の製
造方法は、少なくとも負極と、正極と、負極及び/又は
正極上に形成され熱可塑性を有する電解質層とを備え、
上記電解質層は、電解質塩と膨潤溶媒とマトリクス高分
子とを有している非水電解質電池の製造方法であって、
上記電解質塩と上記膨潤溶媒と上記マトリクス高分子と
を溶剤に溶解して電解質溶液を調製し、当該電解質溶液
を加熱する第1の工程と、上記電解質溶液を加熱空気と
ともに上記負極及び/又は正極上に噴霧する第2の工程
と、上記負極及び/又は正極上に噴霧された電解質溶液
中の溶剤を除去し、電解質層を形成する第3の工程とを
有することを特徴とする。
【0017】以上のような非水電解質電池の製造方法で
は、第2の工程において、可塑化された電解質溶液を、
加熱空気とともに電極上に噴霧することにより、流動性
を維持しつつ、所望の形状にて電解質溶液を塗着させる
ことができる。したがって、電解質層を所望の形状に形
成することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる電解質層及
び非水電解質電池の製造方法の具体的な実施の形態につ
いて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】この手法は、例えば図1に示すような、矩
形状ではないいわゆる変形形状の非水電解質電池1を製
造する場合に好適である。本発明を適用して製造される
非水電解質電池1は、図1及び図2に示すように、正極
集電体2と正極活物質層3とからなる略L字形状の正極
4と、負極集電体5と負極活物質層6とからなる略L字
形状の負極7とが、電解質層8を介して形成された電池
素子9が、外装フィルム10の内部に収容されてなる。
また、正極4は正極リード11と接続されており、負極
7は負極リード12と接属されている。なお、図1で
は、電池素子9の図示を省略する。
【0020】正極4は、正極活物質を含有する正極活物
質層3が、正極集電体2の上に形成されて構成されてい
る。この正極集電体2としては、例えばアルミニウム箔
等の金属箔が用いられる。
【0021】正極活物質としては、目的とする電池の種
類に応じて、金属酸化物、金属硫化物、又は特定の高分
子を使用することができる。
【0022】例えば、リチウムの溶解・析出を利用した
リチウム電池とする場合、TiS2、MoS2 、NbS
2 、V25等のリチウムを含まない金属硫化物あるい
は酸化物、さらにはポリアセチレン、ポリピロール等の
高分子を使用することもできる。
【0023】リチウムイオンのドープ・脱ドープを利用
したリチウムイオン電池とする場合には、LixMO
2(式中Mは一種以上の遷移金属を表し、xは電池の充
放電状態によって異なり、通常0.05以上、1.10
以下である。)を主体とするリチウム複合酸化物等を使
用することができる。このリチウム複合酸化物を構成す
る遷移金属Mとしては、Co、Ni、Mn等が好まし
い。このようなリチウム複合酸化物の具体例としてはL
iCoO2 、LiNiO2 、LiNiyCo1-y2 (式
中、0<y<1である。)、LiMn24、LiMPO
4 (式中MはFe等、一種以上の遷移金属を表す)等を
挙げることができる。
【0024】リチウム複合酸化物は、高電圧を発生で
き、エネルギー密度的に優れた正極活物質となる。正極
活物質には、これらの正極活物質の複数種を併せて使用
してもよい。
【0025】負極7は、負極活物質を含有する負極活物
質層6が、負極集電体5上に形成されて構成されてい
る。この負極集電体5としては、例えば銅箔等の金属箔
が用いられる。
【0026】負極活物質としては、例えば、リチウムの
溶解・析出を利用したリチウム電池とする場合、金属リ
チウムや、リチウムを吸蔵・放出することが可能なリチ
ウム合金等を用いることができる。
【0027】リチウムイオンのドープ・脱ドープを利用
したリチウムイオン電池とする場合には、難黒鉛化炭素
系や黒鉛系の炭素材料を使用することができる。より具
体的には、黒鉛類、メソカーボンマイクロビーズ、メソ
フェーズカーボンファイバー等の炭素繊維、熱分解炭素
類、コークス類(ピッチコークス、ニードルコークス、
石油コークス)、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼
成体(フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼
成し炭素化したもの)、及び活性炭などの炭素材料を使
用することができる。
【0028】電解質層8は、正極活物質層3と負極活物
質層6との間のイオン伝導体としての役割を有する。電
解質層8としては、電解質塩と膨潤溶媒とマトリクス高
分子とからなるゲル電解質等を用いることができる。
【0029】電解質塩は、LiPF6、LiClO4、L
iCF3SO3、LiAsF6、LiBF4、LiN(CF
3SO32、C49SO3Li、LiC(CF3
23、LiF、LiBr等を単独又は混合して使用す
ることができる。その中でも、イオン伝導性等の観点か
ら、LiPF6を使用することが好ましい。
【0030】また、マトリクス高分子としては、ビニリ
デンフルオライド、アクリロニトリル、エチレンオキシ
ド、プロピレンオキシド、及びメタクリルニトリルのう
ちの少なくとも1つが、繰り返し単位として含まれる化
合物が使用される。具体的には、ポリビニリデンフルオ
ライド、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキシ
ド、ポリプロピレンオキシド、ヘキサフルオロプロピレ
ン−ビニリデンフルオロライド共重合体及びポリメタク
リルニトリルなどが挙げられる。
【0031】膨潤溶媒としては、特に限定されるもので
はないが、リチウム二次電池の作動電位範囲内で容易に
分解反応を起こし得ない非水溶媒を用いることが好まし
い。具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカ
ーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカー
ボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクト
ン、エチルプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネ
ート、ブチルプロピルカーボネート、ジブチルカーボネ
ート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシ
エタン、テトラヒドロフラン等の非水溶媒を単独又は混
合して用いることができる。
【0032】外装フィルム10は、上記電池素子9を収
容する。外装フィルム10は、例えば、外装保護層と、
アルミニウム層と、熱溶着層(ラミネート最内層)とか
らなるヒートシールタイプのシート状ラミネートフィル
ムにより形成されている。
【0033】ここで、熱溶着層及び外部保護層の材質と
しては、プラスチックフィルムなどを挙げることができ
る。熱溶着層を形成するプラスチックフィルムには、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ナイロン(商品名)など
が用いられるが、熱可塑性のプラスチック材料であれば
その原料を問わない。
【0034】正極リード11及び負極リード12は、そ
れぞれ正極集電体2及び負極集電体5に接合されてい
る。そして、外部の電子機器と接続する。正極リード1
1に使用される材料の例としては、アルミニウム、チタ
ン、或いはこれらの合金等が挙げられる。負極リード1
2に使用される材料の例としては、銅、ニッケル、又は
これらの合金等が挙げられる。
【0035】そして、上記のような非水電解質電池1
は、つぎに示すようにして製造される。
【0036】先ず、正極4を作製する。正極活物質と結
着剤とを含有する正極合剤を、正極集電体2となる例え
ばアルミニウム箔等の金属箔上に略L字形状にてパター
ン塗布、乾燥することにより、略L字形状の正極活物質
層3が形成されて正極4が作製される。上記正極合剤の
結着剤としては、公知の結着剤を用いることができるほ
か、上記正極合剤に公知の添加剤等を添加することがで
きる。
【0037】次に、負極7を作製する。負極活物質と結
着剤とを含有する負極合剤を、負極集電体5となる例え
ば銅箔等の金属箔上にパターン塗布、乾燥することによ
り、略L字形状の負極活物質層6が形成されて負極7が
作製される。上記負極合剤の結着剤としては、公知の結
着剤を用いることができるほか、上記負極合剤に公知の
添加剤等を添加することができる。
【0038】以下、正極集電体2及び負極集電体5をま
とめて集電体と称し、正極活物質層3及び負極活物質層
6をまとめて活物質層と称し、正極4及び負極7をまと
めて電極と称することとする。
【0039】次に、膨潤溶媒に電解質塩を溶解させて可
塑剤を調製し、この可塑剤にマトリクス高分子を添加
し、よく攪拌してマトリクス高分子を溶解させることに
よりゾル状の電解質溶液を得る。また、この電解質溶液
に流動性を付与し、均一な電解質層8を得るために、電
解質溶液に調製用の溶剤を添加しても良い。この溶剤と
しては、電解質層8の構成成分である膨潤溶媒よりも低
い沸点を有する非水溶媒を用いることが可能であり、具
体的には、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネー
ト、プロピレンカーボネート等が挙げられる。
【0040】次に、電極上にゲル状の電解質層8を形成
する。電解質層8を形成するためには、例えば図3に示
すような装置を用いることができる。先ず、電極巻き出
しロール20から電極21を送り出し、電極予熱装置2
2によって、電極21を加熱する。電解質層8を形成す
る前に、予め電極21を加熱することにより、電解質溶
液を噴霧する際に、電解質溶液の流動性を維持しつつ、
電極21上に電解質溶液を塗着させることができる。こ
れにより、均一な電解質層8を得られる。
【0041】そして、本発明にかかる非水電解質電池1
の製造方法においては、電極21の活物質層上に、スワ
ールヘッド23からゲル電解質溶液を噴霧することによ
ってゲル状の電解質層8を形成する。
【0042】具体的には、電解質溶液は、図4に示すよ
うな電解質溶液噴霧装置30によって、電極21上に噴
霧される。
【0043】この電解質溶液噴霧装置30は、電解質溶
液を貯蔵する貯蔵タンク31と熱媒油が充填される保温
部32とを備える電解質溶液加温装置33と、高圧空気
を発生する圧縮空気源34と熱媒油が充填される熱交換
器35とを備える空気加熱装置36と、複数の空気噴出
口37を有するエア室38と電解質溶液導入路39と電
解質溶液噴出口40を有するスワールヘッド23と、熱
媒油を適温に加熱する温度調整器41a,41bと、熱
媒油輸送パイプ42a,42b,42c,42dとを有
している。
【0044】電解質溶液加温装置33の保温部32は、
熱媒油輸送パイプ42a,42bを介して温度調整器4
1aと連通している。そして、温度調整器41aで適温
に加熱された熱媒油は、熱媒油輸送パイプ42aを介し
て電解質溶液加温装置33の保温部32に供給される。
その後、保温部32を通過した熱媒油は、熱媒油輸送パ
イプ42bを介して再び温度調整器41に戻る。
【0045】そして、電解質溶液加温装置33は、保温
部32が貯蔵タンク31を包囲するような構造となされ
ている。そして、加熱された熱媒油が保温部32に供給
されることにより、貯蔵タンク31内の電解質溶液を適
温に加熱して電解質溶液を十分に可塑化し、電解質溶液
にさらに流動性を付与する。なお、貯蔵タンク31には
温度計46a及び圧力計47aが設置されている。この
ため、電解質溶液の温度及び貯蔵タンク31の内圧を逐
次観察し、任意に制御することが可能となる。
【0046】また、電解質溶液加温装置33の貯蔵タン
ク31は、バルブ43aを有する電解質溶液輸送パイプ
44を介してスワールヘッド23の電解質溶液導入路3
9と連通されている。
【0047】空気加熱装置36の熱交換器35は、熱媒
油輸送パイプ42c,42dを介して温度調整器41b
と連通している。そして、温度調整器41bで適温に加
熱された熱媒油は、熱媒油輸送パイプ42cを介して空
気加熱装置36の熱交換器35に供給される。その後、
熱交換器35を通過した熱媒油は、熱媒油輸送パイプ4
2dを介して再び温度調整器41に戻る。
【0048】そして、空気加熱装置36では、圧縮空気
源34で高圧とされた空気が熱交換器35内の空気輸送
パイプ45に供給される。熱交換器35内においては、
高圧空気の流通経路となる管をコイル状にする等によ
り、高圧空気と熱媒油との間接的な接触面積が極めて大
となされているため、熱媒油と高圧空気との熱交換が速
やかに行われる。このため、高圧空気を十分に加熱する
ことができる。なお、空気加熱装置36とスワールヘッ
ド23との間に配された空気輸送パイプ45には、温度
計46b及び圧力計47bが設置されている。このた
め、高圧空気の温度及び圧力を逐次観察し、任意に設定
することが可能となる。
【0049】また、空気加熱装置36の熱交換器35
は、バルブ43bを有する空気輸送パイプ45を介して
スワールヘッド23のエア室38と連通されている。
【0050】スワールヘッド23は、エア室38が電解
質溶液導入路39によって貫通された略筒状の構造とな
っている。
【0051】エア室38の一端は、空気輸送パイプ45
に連結されている。また、エア室38の他端は、複数の
空気噴出口37を有している。空気噴出口37は、所定
の間隔をもってスワールヘッド23の先端に略円周状に
複数配置され、且つ斜めに穿設されている。そして、空
気輸送パイプ45からエア室38に供給された空気は、
圧縮空気源34による高圧と空気噴出口37の穿設方向
とに起因して、空気噴出口37からスワール(旋回流)
として噴出される。
【0052】一方、電解質溶液導入路39の一端は、電
解質溶液輸送パイプ44に連結されている。また、電解
質溶液導入路39の他端は、電解質溶液噴出口40を有
している。そして、電解質溶液輸送パイプ44から電解
質溶液導入路39に供給された電解質溶液は、所定の圧
力をもって電解質溶液噴出口40から外部に噴出され
る。
【0053】上述のような構成の電解質溶液噴霧装置3
0によって電極21上に電解質溶液を噴霧するときに
は、先ず、電解質溶液輸送パイプ44のバルブ43aを
開放し、スワールヘッド23の電解質溶液導入路39
に、十分な流動性を付与された電解質溶液を供給する。
また、空気輸送パイプ45のバルブ43bを開放し、エ
ア室38に加熱された高圧空気を供給する。そして、電
解質溶液噴出口40から噴出された電解質溶液は、空気
噴出口37から旋回流として噴出された空気と衝突する
ことによって霧化され、図示しない電極21に向けて飛
行し、電極21上に塗着する。
【0054】次に、図3に示すように、電解質溶液が噴
霧された電極21をドライヤー24にて乾燥させること
により、電解質溶液中の溶剤を揮発させる。これによ
り、電極21上にゲル状の電解質層8が形成される。そ
して、電解質層8が形成された電極21は、電極巻き取
りロール25に巻き取られる。
【0055】このとき、高圧空気が空気加熱装置36で
十分に加熱された状態とされているため、電解質溶液は
流動性を損なうことなく良好に霧化され、電極21上に
塗着する。そして、スワールヘッド23と電極21とを
相対的に移動させることにより、電解質溶液の噴霧パタ
ーンを自在に変化させることができる。すなわち、電解
質溶液を加熱された空気とともに噴出することにより、
電極21の活物質層が形成された部分に精度良く噴霧す
ることができる。したがって、所望の形状の電解質層8
を得ることができる。
【0056】このとき、電解質溶液とともに噴出される
空気の温度は、30℃以上、90℃以下の範囲に制御す
ることが好ましい。空気の温度を上記の範囲内とするこ
とで、電解質溶液を良好な状態で電極21上に噴霧する
ことができる。言い換えると、噴出される空気の温度が
30℃未満である場合、電解質溶液噴出口40から噴出
された電解質溶液の流動性が失われて電解質溶液が電極
21に浸透し難くなり、放電容量の低下を引き起こす虞
がある。一方、噴出される空気の温度が90℃を上回る
場合、電解質溶液調製用の溶剤のみならず、電解質層8
の構成成分である膨潤溶媒の蒸発が開始し、均一な電解
質層8を得られない虞がある。また、電解質溶液ととも
に噴出される空気のさらに好ましい温度は、50℃以
上、70℃以下の範囲である。
【0057】次に、電解質層8が形成された電極21
を、所望の形状に切断する。このときの切断形状は、所
定の幅及び長さを有する矩形状であっても構わないし、
活物質層及び電解質層8を変形形状に形成した場合は、
これらの形状にあわせた変形形状であっても良い。
【0058】次に、正極集電体2上の、正極活物質層3
の非形成部分に、正極リード11を接合する。また、負
極集電体5上の、負極活物質層6の非形成部分に、負極
リード12を接合する。
【0059】次に、電解質層8が形成された正極4と電
解質層8が形成された負極7とを、電解質層8どうしが
対向するように貼り合わせてプレスし、図2に示すよう
な電池素子9とする。
【0060】最後に、この電池素子9を外装フィルム1
0で挟み、外装フィルム10の外周縁部を封口し、正極
リード11と負極リード12とを外装フィルム10の封
口部に挟み込むとともに電池素子9を外装フィルム10
中に密閉する。さらに、外装フィルム10によってパッ
クされた状態で、電池素子9に対して熱処理を施す。以
上のようにして図1に示すような非水電解質電池1が完
成する。
【0061】上述の説明のように、本発明によれば、電
極21上がいかなる変形形状であるとしても、電解質溶
液を加熱された空気とともに噴霧することによって、電
解質溶液を所望の形状にて電極21上に塗着させること
ができる。これにより、従来は作製が困難であった所望
の形状の電解質層8を、切れ・裂け等の不良を発生させ
ることなく得られる。また、電極21上の必要な部分に
のみ、精度良く電解質層8を形成できるため、電解質溶
液の損失を従来のべた塗り方式と比較して大幅に削減す
ることができる。したがって、近年要求が高まりつつあ
る変形形状の非水電解質電池1を、歩留まり良く作製す
ることが可能となる。
【0062】なお、本実施の形態ではセパレータを使用
しなかったが、正極4と負極7とを電解質層8を塗布し
た面を貼り合わせる際に、間にセパレータを挟んでも良
い。このセパレータとしては、公知の多孔質ポリオレフ
ィンセパレータなどが使用できる。
【0063】なお、上述の説明では、非水電解質電池1
を製造するに際し、先ず電解質溶液を電極21上に噴霧
して電解質層8を形成し、次に電解質層8が形成された
電極21を所望の形状に切断する順序について述べた
が、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、
本発明にかかる非水電解質電池1の製造方法は、先ず電
極21を所望の形状に切断し、次に切断された電極21
上に電解質溶液を噴霧して電解質層8を形成する順序で
あっても構わない。また、本発明にかかる非水電解質電
池1の製造方法は、先ず電極21の一方の面に電解質溶
液を噴霧して電解質層8を形成し、次に一方の面に電解
質層8が形成された電極21を所望の形状に切断し、次
に切断された電極21の他方の面に電解質溶液を噴霧し
て電解質層8を形成する順序であっても構わない。ま
た、非水電解質電池1を製造するに際し、電解質層の形
成と電極21の切断との順序が、負極7と正極4とで異
なっていても構わない。
【0064】なお、上述の説明では、電極21の両面に
同時に電解質溶液を噴霧し、電解質層8を形成する様子
を図3を用いて説明したが、本発明はこれに限定される
ものではない。例えば、本発明は、電極21の一方の面
に電解質溶液を噴霧することにより、電解質層8を形成
する場合にも適用可能である。
【0065】なお、本発明を適用して製造される非水電
解質電池の電解質層の形状は、上述したような略L字形
状に限らず、いかなる形状であっても構わない。また、
本発明を適用して製造される非水電解質電池は、上述し
たような略L字形状に限らず、シート状、円筒型、角
型、コイン型、ボタン型、種々の変形形状等、その形状
については特に限定されることはなく、また、薄型、大
型等の種々の大きさにすることができる。なお、本発明
は、一次電池についても二次電池についても適用可能で
ある。
【0066】
【実施例】以下では、本発明の効果を調べるべく実際に
電池を作製し、その特性を評価した。
【0067】実施例1 まず、正極を以下のようにして作製した。
【0068】LiCoO2を100重量部とカーボンブ
ラックを10重量部とポリフッ化ビニリデンを5重量部
とを、N−メチル−2−ピロリドンを100重量部と混
合し、ディスパーにて4時間混合することにより、適当
な粘度を有する正極合剤を得た。この正極合剤を、正極
集電体として厚さ20μmの矩形状のアルミニウム箔の
両面にパターン塗布した。塗布パターンは、図5に示す
ような略L字形状とした。そして、この正極集電体上に
塗布した正極合剤を乾燥させ、正極活物質層を得た。次
に、両面に正極活物質層を形成した正極集電体を線圧3
00kg/cmでプレスし、厚さが100μmであり、
正極層密度が3.45g/ccである正極原反を得た。
そして、略L字形状の正極活物質層が形成された正極原
反を、正極活物質層の形状に沿って切断し、略L字形状
の正極を得た。なお、LiCoO 2としては、平均粒径
が10μmであるものを用いた。また、ポリフッ化ビニ
リデンとしては、平均分子量が30万であるものを用い
た。また、カーボンブラックとしては、平均粒径が15
nmであるものを用いた。
【0069】つぎに、負極を以下のようにして作製し
た。
【0070】人造グラファイトを100重量部とポリフ
ッ化ビニリデンを15重量部とをN−メチル−2−ピロ
リドンを200重量部と混合し、ディスパーにて4時間
混合することにより、適当な粘度を有する負極合剤を得
た。この負極合剤を、負極集電体として厚さ10μmの
矩形状の銅箔の片面にパターン塗布した。塗布パターン
は、正極の場合と同様に、略L字形状とした。そして、
この負極集電体上に塗布した負極合剤を乾燥させ、負極
活物質層を得た。次に、片面に負極活物質層を形成した
負極集電体を線圧300kg/cmでプレスし、厚さが
50μmであり、負極層密度が1.30g/ccである
負極原反を得た。なお、人造グラファイトとしては、平
均粒径が20μmであるものを用いた。また、ポリフッ
化ビニリデンとしては、平均分子量が30万であるもの
を用いた。そして、略L字形状の負極活物質層が形成さ
れた負極原反を、負極活物質層の形状に沿って切断し、
略L字形状の負極を得た。
【0071】つぎに、電解質層を以下のようにして作製
した。
【0072】先ず、ポリ(ヘキサフルオロプロピレン−
フッ化ビニリデン)共重合体を5重量部と、ジメチルカ
ーボネートを75重量部と、電解液を20重量部とを混
合し、電解質溶液を調製した。
【0073】なお、電解液としては、エチレンカーボネ
ートとプロピレンカーボネートとγ−ブチルラクトンと
を体積比4:3:3にて混合した混合溶媒中に、電解質
としてLiPF6を1.2mol/lにて溶解したもの
を用いた。
【0074】次に、上記組成の電解質溶液を、70℃の
加温状態でディスパーにて1時間混合した。このように
して流動性を付与した電解質溶液を、図4に示したよう
な電解質溶液噴霧装置を用いて、正極の正極活物質の形
状に一致するようにして、加熱空気とともに正極の両面
に略L字形状に噴霧した。そして、電解質溶液が噴霧さ
れた正極を、ドライヤーにてジメチルカーボネートのみ
が蒸発するようにして乾燥させ、厚さ20μmのゲル状
の電解質層を作製した。
【0075】また、正極の場合と同様にして、負極活物
質層上に電解質溶液を噴霧し、乾燥させることにより、
負極上にゲル状の電解質層を作製した。なお、負極の場
合は、負極集電体の一方の面にのみ負極活物質層が形成
されているため、電解質層は負極活物質層上のみに形成
した。
【0076】なお、正極及び負極上に電解質溶液を噴霧
する際の加熱空気の温度は、60℃とした。
【0077】つぎに、正極及び負極の活物質層未形成部
に、それぞれ正極リード及び負極リードを溶着し、さら
に互いの電解質層が形成された面が対向するように貼り
合わせ、圧着し、略L字形状の電池素子を作製した。
【0078】最後に、電池素子を外装フィルムにて覆
い、周囲を溶着することにより、略L字形状の非水電解
質電池を作製した。
【0079】実施例2 正極及び負極上に電解質溶液を噴霧する際の、加熱空気
の温度を70℃としたこと以外は、実施例1と同様にし
て非水電解質電池を作製した。
【0080】実施例3 正極及び負極上に電解質溶液を噴霧する際の、加熱空気
の温度を50℃としたこと以外は、実施例1と同様にし
て非水電解質電池を作製した。
【0081】実施例4 正極及び負極上に電解質溶液を噴霧する際の、加熱空気
の温度を30℃としたこと以外は、実施例1と同様にし
て非水電解質電池を作製した。
【0082】実施例5 正極及び負極上に電解質溶液を噴霧する際の、加熱空気
の温度を90℃としたこと以外は、実施例1と同様にし
て非水電解質電池を作製した。
【0083】比較例1 まず、実施例1と同様にして、略L字形状の正極活物質
層が正極集電体の両面に形成されてなる、矩形状の正極
原反を作製した。また、実施例1と同様にして、略L字
形状の負極活物質層が負極集電体の片面に形成されてな
る、矩形状の負極原反を作製した。
【0084】つぎに、実施例1と同様な組成の電解質溶
液を調製した。そして、正極原反の両面に、ダイコーテ
ィング法により、正極電解質層を覆うようにして矩形状
の正極原反のほぼ全面に電解質溶液を塗布した。そし
て、電解質溶液が塗布された正極原反を、ドライヤーに
てジメチルカーボネートのみが蒸発するようにして乾燥
させ、図6に示すように、正極原反のほぼ全面を覆うよ
うにして、ゲル状の電解質層を作製した。
【0085】また、負極原反の片面に、ダイコーティン
グ法により、負極活物質層を覆うようにして、矩形状の
負極原反のほぼ全面に電解質溶液を塗布した。そして、
電解質溶液が塗布された負極原反を、ドライヤーにてジ
メチルカーボネートのみが蒸発するようにして乾燥さ
せ、負極原反の片面のほぼ全面を覆うようにして、ゲル
状の電解質層を作製した。
【0086】次に、正極原反の、正極活物質層上に形成
された電解質層を残して、正極活物質層未形成部に形成
された余分な電解質層を剥離した。これにより、電解質
層の形状を、略L字形状の正極活物質層の形状とほぼ同
様とした。そして、略L字形状の正極活物質層及び電解
質層が形成された正極原反を、正極活物質層及び電解質
層の形状に沿って切断し、電解質層が形成された略L字
形状の正極を得た。
【0087】また、正極原反の場合と同様にして、負極
原反の、負極活物質層上に形成された電解質層を残し
て、負極活物質層未形成部に形成された余分な電解質層
を剥離した。これにより、電解質層の形状を、略L字形
状の負極活物質層の形状とほぼ同様とした。そして、略
L字形状の負極活物質層及び電解質層が形成された負極
原反を、負極活物質層及び電解質層の形状に沿って切断
し、電解質層が形成された略L字形状の負極を得た。
【0088】つぎに、正極及び負極の活物質層未形成部
に、それぞれ正極リード及び負極リードを溶着し、さら
に互いの電解質層が形成された面が対向するように貼り
合わせ、圧着し、略L字形状の電池素子を作製した。
【0089】最後に、電池素子をラミネートフィルムに
て覆い、周囲を溶着することにより、略L字形状の非水
電解質電池を作製した。
【0090】比較例2 正極及び負極上に電解質溶液を噴霧する際の空気とし
て、非加熱の空気(25℃)を用いたこと以外は、実施
例1と同様にして非水電解質電池を作製した。
【0091】以上のように作製された電池について、以
下の測定及び評価を行った。 (1)生産歩留まり 実施例1〜実施例5、比較例1及び比較例2の非水電解
質電池を、それぞれ20個作製する際に、電極上の電解
質層を目視し、電解質層の切れ・裂け等の有無を観察し
た。電解質層に切れ・裂け等を確認せず、良好な品質の
電解質層であったものの個数の、全個数に対する割合を
百分率として表した。 (2)電解質使用量 非水電解質電池を1個作製するに当たって使用された電
解質溶液の使用量を、噴霧時間及び噴霧面積、又は、塗
布時間及び塗布面積から求めた。そして、それぞれの電
解質溶液の使用量を、比較例1で使用した電解質溶液の
使用量を100%としたときの百分率として表した。 (3)容量比率 以上のように作製された電池を、通常環境(25℃、相
対湿度60%)にて12時間放置した後、50mAの定
電流で充電し、さらに4.2Vの定電圧で1時間充電し
た。次に、50mAの定電流で放電し、3Vに到達した
ところで放電を終了した。このときの放電容量を測定
し、比較例1で得られる放電容量(設計容量)を100
%としたときの百分率を、容量比率とした。
【0092】以上のように作製した実施例1〜実施例
5、比較例1及び比較例2の、電解質層形成方法、電解
質溶液噴霧の際の加熱空気の温度、生産歩留まり、電解
質溶液使用量及び容量比率について、表1に示す。
【0093】
【表1】
【0094】表1から明らかなように、電解質溶液を電
極上に塗布することにより電解質層を形成した比較例1
に比べて、電解質溶液を電極上に噴霧することにより電
解質層を形成した実施例1〜実施例5は、電解質溶液の
使用量が60%と少ない量で済み、電解質層の作製に必
要な原材料を飛躍的に減少させられることがわかった。
また、比較例1は、余分な電解質層を剥離する際に、必
要部分の電解質層にもダメージを与え、歩留まりの低下
も引き起こしていた。
【0095】また、電解質溶液の噴霧の際に、加熱空気
を用いなかった比較例2は、電解質溶液の流動性が損な
われたため、電解質溶液を均一に噴霧することができ
ず、歩留まりが著しく低下していた。また、容量比率の
低下も著しかった。これらのことから、電解質溶液を噴
霧する際に、加熱空気を用いる必要があることがわかっ
た。
【0096】また、電解質溶液を噴霧する際の加熱空気
の温度が30℃である実施例3は、歩留まりの低下を引
き起こしていた。また、電解質溶液を噴霧する際の加熱
空気の温度が90℃である実施例5は、容量比率の低下
を引き起こしていた。この実施例5では、電解質層が白
濁を生じていることから、ジメチルカーボネートのみな
らず、電解質成分となる膨潤溶媒の蒸発が始まっている
と考えられる。これらのことから、電解質溶液を噴霧す
る際の加熱空気には最適温度が存在し、特に、加熱空気
の温度を50℃以上、70℃以下の範囲とすることで、
高容量と良好な歩留まりとを両立できることがわかっ
た。
【0097】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明にかかる電解質層の製造方法によれば、加熱空気とと
もに電解質溶液を噴霧することによって、電極上に所望
の形状にて電解質溶液を塗着させることができる。した
がって、本発明によれば、所望の形状の電解質層を製造
することができる。
【0098】また、以上の説明からも明らかなように、
本発明にかかる非水電解質電池の製造方法によれば、加
熱空気とともに電解質溶液を噴霧することによって、電
極上に電解質層を形成している。このため、電解質溶液
の損失を生じることなく、所望の形状の電解質層を、精
度良く形成することができる。したがって、本発明によ
れば、生産性の向上が図られ、バリエーション豊かな形
状の非水電解質電池を低コストにて製造することが可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用して作製された非水電解質電池の
概略斜視図である。
【図2】本発明を適用して作製された電池素子の斜視図
である。
【図3】電極の両方の面上に電解質溶液を噴霧すること
により、電解質層を形成する様子を示す模式図である。
【図4】電解質溶液噴霧装置を示す模式図である。
【図5】実施例において作製した、正極活物質の塗布パ
ターンを示す斜視図である。
【図6】比較例において、電解質溶液を塗布することに
より電解質層を作製した正極原反を示す斜視図である。
【図7】電極の一方の面上にゲル電解質溶液を塗布する
様子を示す模式図である。
【図8】電極の両方の面上にゲル電解質溶液を塗布する
様子を示す模式図である。
【符号の説明】
1 非水電解質電池、2 正極集電体、3 正極活物質
層、4 正極、5 負極集電体、6 負極活物質層、7
負極、8 電解質層、9 電池素子、10外装フィル
ム、11 正極リード、12 負極リード、20 電極
巻き出しロール、21 電極、22 電極予熱装置、2
3 スワールヘッド、24 ドライヤー、25 電極巻
き取りロール、30 電解質溶液噴霧装置、31 貯蔵
タンク、32 保温部、33 電解質溶液加温装置、3
4 圧縮空気源、35 熱交換器、36 空気加熱装
置、37 空気噴出口、38 エア室、39 電解質溶
液導入路、40 電解質溶液噴出口、41 温度調整
器、42 熱媒油輸送パイプ、43 バルブ、44 電
解質溶液輸送パイプ、45 空気輸送パイプ、46温度
計、47 圧力計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤平 幸郎 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 松尾 直樹 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 5H024 AA02 AA12 BB02 BB03 BB08 BB18 CC02 CC04 CC12 CC20 DD17 FF15 FF16 FF17 FF18 FF20 FF21 HH11 HH15 5H029 AJ14 AK03 AL12 AM03 AM04 AM05 AM07 AM16 BJ04 CJ00 CJ02 CJ12 CJ22 CJ28 DJ08 EJ12 HJ12 HJ14

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極上に少なくとも電解質塩と膨潤溶媒
    とマトリクス高分子とを有する電解質層を形成するに際
    し、 上記電解質塩と上記膨潤溶媒と上記マトリクス高分子と
    を溶剤に溶解して電解質溶液を調製し、当該電解質溶液
    を加熱する第1の工程と、 上記電解質溶液を加熱空気とともに上記電極上に噴霧す
    る第2の工程と、 上記電極上に噴霧された電解質溶液中の溶剤を除去し、
    電解質層を形成する第3の工程とを有することを特徴と
    する電解質層の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記第2の工程において、加熱空気の温
    度を50℃以上、70℃以下の範囲とすることを特徴と
    する請求項1記載の電解質層の製造方法。
  3. 【請求項3】 少なくとも負極と、正極と、負極及び/
    又は正極上に形成され熱可塑性を有する電解質層とを備
    え、 上記電解質層は、電解質塩と膨潤溶媒とマトリクス高分
    子とを有する非水電解質電池を製造するに際し、 上記電解質塩と上記膨潤溶媒と上記マトリクス高分子と
    を溶剤に溶解して電解質溶液を調製し、当該電解質溶液
    を加熱する第1の工程と、 上記電解質溶液を加熱空気とともに上記負極及び/又は
    正極上に噴霧する第2の工程と、 上記負極及び/又は正極上に噴霧された電解質溶液中の
    溶剤を除去し、電解質層を形成する第3の工程とを有す
    ることを特徴とする非水電解質電池の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記第2の工程において、加熱空気の温
    度を50℃以上、70℃以下の範囲とすることを特徴と
    する請求項3記載の非水電解質電池の製造方法。
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