JP2001322440A - 車両用パワーユニット - Google Patents

車両用パワーユニット

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JP2001322440A
JP2001322440A JP2000138875A JP2000138875A JP2001322440A JP 2001322440 A JP2001322440 A JP 2001322440A JP 2000138875 A JP2000138875 A JP 2000138875A JP 2000138875 A JP2000138875 A JP 2000138875A JP 2001322440 A JP2001322440 A JP 2001322440A
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axis
power unit
crankshaft
cylinder
exhaust pipe
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JP2000138875A
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English (en)
Inventor
Makoto Nabeya
眞 鍋谷
Masatoshi Fukamachi
昌俊 深町
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリンダの軸線が後方を指向した内燃機関を
備えた車両用パワーユニットにおいて、充填効率を向上
させて、機関出力の増大を図る。 【解決手段】 車両用パワーユニット6は、シリンダ23
の軸線C2が後上方に傾斜した内燃機関20と、クランク軸
22の動力を後車軸75R(75L)に伝達する伝動装置とを備
える。クランク軸22の軸線C1よりも上方に位置する吸気
接続部24aに接続された吸気装置31,35,36が、機関本
体の上方において前方に延びてエアクリーナ37に接続さ
れ、側面視での軸線C2に対して、エアクリーナ37が位置
する側とは反対側に位置する排気接続部24bに接続され
た排気管38が、機関本体から下方に延びたのち湾曲し
て、後車軸75R(75L)の下方を通って後方に延びて車体
の後部のマフラ39に接続される。エアクリーナ37は、マ
フラ39および排気管38から前後方向に離れて配置される
ので、マフラ39および排気管38により加熱された空気が
エアクリーナ37から吸入されることが抑制される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、内燃機関および
伝動装置を備えて、自動三輪車等の小型車両に搭載され
た車両用パワーユニットに関し、詳細には、後方を指向
した、代表的には後上方に傾斜したシリンダの軸線を有
する内燃機関の吸気装置、マフラおよび排気管の配置構
造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、パワーユニットが搭載された自動
三輪車として、実開昭60−179525号公報に開示
されたものが知られている。この自動三輪車のパワーユ
ニットを構成するエンジンは後上方に傾斜したシリンダ
の軸線を有しており、エアクリーナおよび気化器を含む
吸気補器類が、ミッションケースの上方に配置され、ま
た排気管が、エンジンの前部から前方に延出した後、U
字状に湾曲されて後方に向かって延び、エアクリーナの
側方を通って、該エアクリーナの後方に配置されたマフ
ラに接続される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この従来技
術では、排気管はエンジンの前方に延出していて走行風
により冷却され易くされる一方で、エアクリーナは、マ
フラの前方付近で、しかも排気管の側方付近に配置され
る。そのため、排気管およびマフラの熱により加熱され
た空気がエアクリーナから吸入されることになり、充填
効率が低下する難点があり、機関出力の増大を図る点で
は改善の余地があった。また、シリンダ軸線は、ミッシ
ョンケースに対して90°に近い角度を有しているた
め、パワーユニットの上下方向の寸法が大きくなって、
パワーユニットが大型化し、パワーユニットの配置また
はパワーユニットの周辺に配置される部品の配置の自由
度が小さくなる難点があった。
【0004】本願発明は、このような事情に鑑みてなさ
れたものであって、請求項1ないし請求項6記載の発明
は、シリンダの軸線がクランク軸の軸線に対して後方を
指向した内燃機関を備えた車両用パワーユニットにおい
て、充填効率を向上させて、機関出力の増大を図ること
を共通の目的とする。そして、請求項2ないし請求項6
記載の発明は、さらに、排気管の冷却性を向上させて、
その耐久性の向上を図ると同時に、パワーユニットの小
型化を図ることを目的とし、請求項6記載の発明は、さ
らに、パワーユニットのコンパクトな支持を図ることを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の効果】本願の
請求項1記載の発明は、車両に搭載されたパワーユニッ
トであって、クランクケースに支持されて左右方向を指
向したクランク軸の軸線に対してシリンダの軸線が後方
を指向した内燃機関と、前記クランク軸の動力を後車軸
に伝達する伝動装置と、を備えた車両用パワーユニット
において、前記内燃機関の機関本体の、前記クランク軸
の軸線よりも上方に位置する吸気接続部に接続された吸
気装置が、該機関本体の上方において前方に延びてエア
クリーナに接続され、前記機関本体の、側面視での前記
シリンダの軸線に対して、該エアクリーナが位置する側
とは反対側に位置する排気接続部に接続された排気管
が、該機関本体から下方に延びた後湾曲して後方に延び
て車体の後部に配置されたマフラに接続されている車両
用パワーユニットである。
【0006】この請求項1記載の発明によれば、吸気装
置は、機関本体の、クランク軸の軸線よりも上方に位置
する吸気接続部に接続され、しかも機関本体の上方にお
いて前方に延びてエアクリーナに接続され、排気管は、
機関本体の、側面視でのシリンダの軸線に対して、エア
クリーナが位置する側とは反対側に位置する排気接続部
に接続されて、下方に延びた後、後方に延びて車体の後
部に配置されたマフラに接続されていることから、エア
クリーナは、マフラから車体の前後方向に離れて配置さ
れることになり、しかも排気管から機関本体の上下方向
および車体の前後方向に離れた位置に配置されることに
なるので、マフラおよび排気管により加熱された空気が
エアクリーナから吸入されることが、著しく抑制され
る。
【0007】その結果、エアクリーナから吸入される空
気が、マフラおよび排気管により加熱されて高温となる
のを抑制することができるので、充填効率の低下を防止
できて、機関出力を増大させることができる。
【0008】請求項2記載の発明は、請求項1記載の車
両用パワーユニットにおいて、前記伝動装置は、前記ク
ランク軸に設けられた入力部および該入力部よりも後方
に位置して前記クランク軸の軸線と平行な軸線を持つ出
力軸に設けられた出力部を有する変速機を含み、前記シ
リンダの軸線は、前記クランク軸の軸線と前記出力軸の
軸線とを含む平面に対して45°よりも小さい傾斜角を
形成しているものである。
【0009】この請求項2記載の発明によれば、シリン
ダの軸線が、クランク軸の軸線と出力軸の軸線とを含む
平面に対して45°よりも小さい傾斜角を形成している
ことから、クランク軸の軸線を基準としたときのシリン
ダの上下方向の寸法は、シリンダの前後方向の寸法より
も小さくなるため、前後方向で見たとき、前記傾斜角が
45°よりも大きなシリンダの軸線を有するパワーユニ
ットに比べて、機関本体から延びる排気管において、ク
ランク軸が支持されたクランクケースと重なる部分が少
なくなって、下方に延びる排気管が、走行風または走行
風により誘起された空気流に曝され易く、冷却され易く
なっている。
【0010】さらに、シリンダの軸線が、前記平面に対
して45°よりも小さい傾斜角を形成していることか
ら、クランク軸の軸線を基準としたときのシリンダの前
後方向の寸法が、シリンダの上下方向の寸法よりも大き
くなるため、吸気接続部から前方に延びる吸気装置に接
続されるエアクリーナの前後方向の位置が、前記傾斜角
が45°よりも大きなシリンダの軸線を有するパワーユ
ニットに比べて、より後方の位置となるので、パワーユ
ニットの前後方向の寸法を小さくすることができる。
【0011】その結果、請求項1記載の発明の効果に加
えて、排気管は、走行風または走行風により誘起された
空気流により冷却され易くなっているため、排気管の冷
却が良好に行われて、排気管の耐久性を向上させること
ができる。さらに、エアクリーナの前後方向の位置が、
より後方の位置になるので、エアクリーナから吸入され
る空気がマフラおよび排気管により加熱されない程度
の、アクリーナとマフラまたは排気管との前後方向の距
離を確保したうえで、パワーユニットの前後方向の寸法
を小さくすることができ、パワーユニットを小型化する
ことができて、パワーユニットの配置またはその周辺に
配置される部品の配置の自由度を大きくすることができ
る。
【0012】請求項3記載の発明は、請求項2記載の車
両用パワーユニットにおいて、前記排気接続部は、前記
クランク軸の軸線と略同じ高さ位置または前記クランク
軸の軸線よりも下方に位置するものである。
【0013】この請求項3記載の発明によれば、前後方
向において、クランクケースと重なる排気管の部分が一
層少なくなって、排気管は、走行風または走行風により
誘起された空気流により、さらに冷却され易くなる。そ
の結果、請求項2記載の発明の効果のうち、排気管の冷
却がより良好に行われて、排気管の耐久性を一層向上さ
せることができる。
【0014】請求項4記載の発明は、請求項2または請
求項3記載の車両用パワーユニットにおいて、前記排気
管は前記後車軸の下方を通って前記マフラに接続されて
いるものである。
【0015】この請求項4記載の発明によれば、機関本
体から下方に延びる排気管が、後車軸の下方を通って後
方に延びるため、排気管は走行風により一層冷却され易
い位置に配置されている。また、排気管が後車軸の下方
を通ることにより、下方に延びた排気管が後方に延びる
ための湾曲の程度を緩やかなものとしたうえで、排気管
長も長く設定することが可能となる。
【0016】その結果、請求項2または請求項3記載の
発明の効果に加えて、排気管は、走行風により一層冷却
されるため、耐久性が向上する。また、排気管の湾曲の
程度が緩やかなものとなるので、排気抵抗を小さくする
ことができ、しかも排気管長も長く設定することで、排
気慣性や排気脈動を有効に利用するための長さの設定も
容易となって、これらのことにより排気効率を向上させ
て、機関出力を増大させることができる。
【0017】請求項5記載の発明は、請求項2ないし請
求項4のいずれか1項記載の車両用パワーユニットにお
いて、前記吸気装置により形成された吸気通路の軸線
は、側面視で前記シリンダの軸線との間で前記傾斜角と
略等しい角度または前記傾斜角よりも小さい角度の交差
角を形成するものである。
【0018】この請求項5記載の発明によれば、交差角
は、前記傾斜角と略等しい角度または前記傾斜角よりも
小さい角度であるため、変速機から機関本体の上方にお
いて前方に延びている吸気装置までの上下方向の寸法、
すなわちパワーユニットの上下方向の寸法の増大を抑制
またはその寸法を小さくすることができる。その結果、
請求項2ないし請求項4のいずれか1項記載の発明の効
果に加えて、エアクリーナから吸入される空気がマフラ
および排気管により加熱されない程度の、アクリーナと
マフラまたは排気管との上下方向の距離を確保したうえ
で、パワーユニットの上下方向の寸法を小さくして、パ
ワーユニットをさらに小型化することができて、この点
でも、パワーユニットの配置またはその周辺に配置され
る部品の配置の自由度を大きくすることができる。
【0019】請求項6記載の発明は、請求項2ないし請
求項5のいずれか1項記載の車両用パワーユニットにお
いて、前記変速機を収容するケースの下面は前記出力部
から前記入力部に向かって前上方に傾斜し、前端部が前
記車体に回動自在に支持され、後端部が該下面の下方で
該ケースに取り付けられた支持ハンガが、該後端部から
前方に向かって延びているものである。
【0020】この請求項6記載の発明によれば、変速機
を収容するケースの下面の下方には、前方に向かうほど
上下方向に大きく空いたスペースが形成され、支持ハン
ガの後端部は、該スペースを利用して変速機のケースに
取り付けられるので、支持ハンガを含めた上下方向およ
び前後方向の寸法を小さくでき、また前記スペースは、
その前部ほど上下方向に空いているため、支持ハンガの
後端部を取り付け易い。
【0021】その結果、請求項2ないし請求項5のいず
れか1項記載の発明の効果に加えて、前記スペースを利
用することで、上下方向および前後方向にコンパクトな
形態でパワーユニットを支持できると共に、支持ハンガ
の取り付けも容易になる。
【0022】なお、この明細書において、「上下前後左
右」は、車体の上下前後左右を意味する。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の実施例を図1な
いし図6を参照して説明する。図1は、本願発明の車両
用パワーユニットが搭載された、1個の前輪3と左右一
対の駆動輪である左側および右側後輪4L,4Rとを備えた
自動三輪車1の概略右側面図である。自動三輪車1の車
体フレーム2の前端部には、前輪3を操舵する操舵機構
5が設けられ、車体フレーム2の後部の下方には両後輪
4L,4R(図1では右の後輪4Rのみが示されている)を駆
動するパワーユニット6が設けられ、車体フレーム2の
後部の上方にはシート7が設けられる。操舵機構5は、
車体フレーム2の前端部に取り付けられたヘッドパイプ
8を貫通して回動自在に支持されたフロントフォーク9
を備え、フロントフォーク9の上端部にはハンドル10が
結合され、その下端部に前輪3が軸支される。
【0024】パワーユニット6の前部は、筒状部11a
と、筒状部11aの後端に挿入された前端部を有する軸部1
1bとからなる支持ハンガ11により車体に支持される。具
体的には、筒状部11aの前端部11cがパワーユニット6の
前方に位置する車体フレーム2に回動自在に支持され、
軸部11bの後端部11dがパワーユニット6の後述する変速
ケース41の前上方に傾斜した下面42cに設けられた下側
取付部42dに取り付けられる。また、後端部11dから前方
に向かって延びている支持ハンガ11自体は、筒状部11a
の後端寄りの軸支部11eにて、車体フレーム2に軸支さ
れた緩衝器12により支持される。そして、筒状部11aに
は、筒状部11aの内周と挿入された軸部11bの前端部の外
周との間に設けられたゴム製の弾性体11fから構成され
るナイトハルト機構が設けられ、筒状部11aと軸部11bと
が復元可能に相対回動できるようになっている。そし
て、これらの構成により、パワーユニット6は、回動自
在に支持された筒状部11aの前端部11cの左右方向の軸線
を中心として、車体に対して揺動自在とされると共に、
支持ハンガ11の前後方向の軸線を中心として、車体に対
して揺動自在とされている。なお、パワーユニット6の
前上部に形成された左右一対の前側軸支部13L,13R
(図1では右の前側軸支部13Rのみが示されている)
は、パワーユニット6を異なる車体に搭載するときに使
用するための第2のパワーユニット支持部材であり、パ
ワーユニット6の汎用性を向上させるために設けられて
いる。
【0025】また、車体フレーム2を覆う車体カバー14
は、その下方を通る走行風が、パワーユニット6および
パワーユニット6を構成する内燃機関20の後述する排気
管38に当たる程度に、その下端の地面Gからの高さが設
定されている。
【0026】次に、パワーユニット6の変速ケース41の
カバー43を外した状態の右側面図である図2、図2の概
ねIII−III線断面図である図3、減速ケース61の
カバー63を外した状態の減速ケース61の左側面図である
図4、カバー43の駆動プーリ45側の要部左側面図である
図5、およびカバー43の従動プーリ48側の要部左側面図
である図6を参照して、パワーユニット6を構成する内
燃機関20、変速装置としてのVベルト式自動変速機40お
よび最終減速装置60について説明する。ここで、自動変
速機40と最終減速装置60とは、伝動装置を構成する。
【0027】パワーユニット6は、内燃機関20と、自動
変速機40と、自動変速機40を収容する変速ケース41と、
自動変速機40からの動力を左右の後輪4L,4Rのそれぞれ
の後車軸75L,75Rに伝達するための、減速ギヤ機構64お
よび差動機構65を有する最終減速装置60と、最終減速装
置60を収容する減速ケース61とを備える。
【0028】内燃機関20は、火花点火式4サイクルの水
冷式単気筒内燃機関であり、そのクランクケース21は、
シリンダ23の軸線C2に略直交しかつクランク軸22の軸線
C1を含む平面を分割面として、前クランクケース21Fお
よび後クランクケース21Rに分割される。そして、シリ
ンダ23は後クランクケース21Rとの一体鋳造により形成
され、そのシリンダ23にはシリンダヘッド24が、さらに
シリンダヘッド24にはシリンダヘッドカバー25が、それ
ぞれ組み付けられて、これらシリンダ23、シリンダヘッ
ド24およびシリンダヘッドカバー25によりシリンダ部が
構成される。そして、クランクケース21、シリンダ23、
シリンダヘッド24およびシリンダヘッドカバー25により
機関本体が構成される。
【0029】その軸線C1が左右方向を指向するクランク
軸22は、一対の主軸受を介してクランクケース21に回転
自在に支持されて、シリンダ23内に摺動自在に嵌合され
たピストン32の往復動がコンロッド33を介して伝達され
ることで、回転駆動される。クランクケース21の左壁を
貫通して左方に延びるクランク軸22の左端部には交流発
電機26が設けられ、交流発電機26のロータには冷却ファ
ン27が固着される。発電機ケース28は、クランクケース
21の左側においてクランクケース21との一体鋳造により
形成されていて、発電機ケース28の左側にある開口端に
は、ファンカバー29が組み付けられる。そして、ファン
カバー29の左端にはラジエータ30が取り付けられて、冷
却ファン27によりファンカバー29内に吸引される大気が
ラジエータ30を通過するようにして、ラジエータ30の冷
却効率を高めている。一方、クランクケース21の右壁を
貫通して右方に延びるクランク軸22の右端部には、自動
変速機40の駆動プーリ45が設けられる。
【0030】シリンダ23の軸線C2でもあるシリンダ部の
軸線C2は、該シリンダ部の軸線C2とクランク軸22の軸線
C1との交点からクランク軸22の軸線C1と直交して鉛直上
方に延びる鉛直線から、例えば略80°の角度で、クラン
ク軸22に対して後上方を指向して傾斜している。そし
て、シリンダ23、シリンダヘッド24およびシリンダヘッ
ドカバー25の右側部分は、後述する減速ケース61の上方
に位置していて、しかも減速ケース61と上下方向に重な
るように配置される。そのため、シリンダ部と減速ケー
ス61との前後方向の一部が相互に重なることになり、パ
ワーユニット6の前後方向の寸法を小さくすることがで
きる。
【0031】吸気弁および排気弁が装着されたシリンダ
ヘッド24には、それら弁を開弁駆動するカムを有するカ
ム軸が回転自在に設けられ、該カム軸はタイミングチェ
ーンを介してクランク軸22により駆動される。また、シ
リンダヘッド24の一部であって、ピストン32とシリンダ
ヘッド24との間に形成された燃焼室34に吸気弁を介して
連通する吸気ポート24cが形成された吸気接続部24aに
は、上流端が気化器31の下流側に接続された吸気管35の
下流端が接続され、さらに気化器31の上流側に下流端が
接続された空気吸入管36の上流端がエアクリーナ37に接
続される。
【0032】ここで、吸気管35と気化器31と空気吸入管
36とは、略直線状の軸線C5を持つ吸気通路を形成する吸
気装置を構成し、シリンダヘッド24の上部において、前
方に湾曲した形態で突出した吸気接続部24aにおいて、
少なくとも吸気接続部24aの最も高い位置にある部分24a
1は、クランク軸22の軸線C1よりも上方に位置してい
て、吸気装置は、機関本体の上方において、機関本体に
略沿うようにして、前方に向かって延びて、クランク軸
22よりも前方に配置されたエアクリーナ37に接続されて
いる。
【0033】また、シリンダヘッド24の一部であって、
燃焼室34に排気弁を介して連通する排気ポート24dが形
成された排気接続部24bは、左右方向から見たときのシ
リンダ部の軸線C2、すなわち側面視でのシリンダ部の軸
線C2に対して、吸気装置およびエアクリーナ37が位置す
る側とは反対側に位置しており、この排気接続部24bに
は、下流端がマフラ39に接続された排気管38の上流端が
接続される。排気管38は、排気接続部24bから直ちに下
方に向かって延びて、クランク軸22と後述する出力軸49
との間であって出力軸49の前方近傍を通り(図2、図3
参照)、出力軸49の下方で湾曲して後方に向かって延び
て、出力軸49および左側後車軸75Lの下方を通って、車
体の後部において、両後車軸75L,75Rの後方に配置され
たマフラ39に接続され、排気ガスは、マフラ39からテー
ルパイプ39aを経て大気中に排出される。
【0034】ここで、シリンダヘッド24の下部で、下方
に突出した排気接続部24bにおいて、少なくとも排気接
続部24bの最も低い位置にある部分24b1は、クランク軸2
2の軸線C1よりも下方に位置する。そして、排気管38
は、そのような位置にある排気接続部24bから下方に向
かって延びたのち、湾曲して後方に延びているため、前
後方向で見たとき、クランク軸22が設けられたクランク
ケース21と重なる排気管38の部分が少なくなっている。
【0035】一方、内燃機関20の右方に配置された自動
変速機40は、変速ケース41に収容される。変速ケース41
は、周囲壁42aとクランクケース21の右壁に対向する底
壁42bとを有するケース本体42と、ケース本体42の右側
の開口端を覆うカバー43とから構成される。そして、変
速ケース41と内燃機関20とは、変速ケース41の前部、す
なわち変速ケース41において駆動プーリ45が位置する側
である駆動プーリ45側で、左右方向の車体の中心線を含
む鉛直面上に略位置する面を結合面として、駆動プーリ
45の径方向外方の周囲で周方向に間隔をおいた4箇所
で、ボルト44により結合される。
【0036】自動変速機40の駆動プーリ45は、クランク
軸22の右端寄りに固着された固定プーリ片45aと、その
左方に位置してクランク軸22の軸線C1方向に摺動自在の
可動プーリ片45bとを有する。さらに、クランク軸22に
は、変速ケース41の底壁42bと可動プーリ片45bとの間に
ランププレート46が固着され、ランププレート46と可動
プーリ片45bとの間に、複数のウエイトローラ47が径方
向に転動して移動自在に収容される。
【0037】従動プーリ48は、クランク軸22の後下方に
位置してクランク軸22の軸線C1と平行で左右方向を指向
する軸線C3を有する出力軸49に、軸受を介して回転自在
に支持されたインナスリーブ50に固着された固定プーリ
片48aと、インナスリーブ50の外周に軸方向に摺動自在
に嵌合されたアウタスリーブ51に固着された可動プーリ
片48bとを有しており、可動プーリ片48bは固定プーリ片
48aに向けてスプリング52により付勢されている。
【0038】そして、ゴムを主体とした材料から形成さ
れたVベルト53が、駆動プーリ45および従動プーリ48の
各固定プーリ片45a,48aそして各可動プーリ片45b,48b
の対向した円錐面の間に挟持され、両プーリ45,48間に
巻き掛けられている。
【0039】また、出力軸49の右端部に設けられた遠心
式の発進クラッチ54は、出力軸49に固着されたクラッチ
アウタ54aと、クラッチアウタ54aの内側にあってインナ
スリーブ50に固着されたドライブプレート54bとを有し
ている。インナスリーブ50が設定回転数より大きな回転
数で回転すると、ドライブプレート54bに揺動自在に支
持されたクラッチシュー54cが遠心力により径方向外方
に揺動して、クラッチシュー54cの外周に設けられた摩
擦部材54dがクラッチアウタ54aの内周面に当接し、発進
クラッチ54が接続状態となる。
【0040】ところで、自動変速機40には、Vベルト53
と駆動プーリ45および従動プーリ48との間の摩擦熱によ
るVベルト53の過熱を防止するための変速機冷却機構が
設けられる。この冷却機構は、駆動プーリ45の固定プー
リ片45aにおいて、円錐面とは軸線方向で反対側の面で
ある背面に多数の送風用羽根55a,55a…を有して形成さ
れた冷却ファン55と、冷却空気として大気を変速ケース
41内に導入する導入部56と、冷却後の空気を変速ケース
41から排出する排出部57とを備える。そして、導入部56
および排出部57は、いずれも変速ケース41のカバー43に
設けられ、この実施例ではカバー43と一体成形される。
【0041】すなわち、導入部56は、図5に図示される
ように、カバー43の駆動プーリ45側の部分に、カバー43
の外面から前上方に傾斜して突出した円筒部から形成さ
れ、該導入部56の内側に、クランク軸22の軸線C1を指向
して形成された導入路56aが形成される。そして、図2
に図示されるように、クランク軸22と一体に回転する冷
却ファン55の反時計方向である回転方向Aへの回転によ
り、大気が、導入路56aを経て、径方向内方に向かって
冷却ファン55の中心部に導入されて、その後冷却ファン
55の径方向外方に圧送され、ケース本体42およびカバー
43に案内されて、駆動プーリ45から従動プーリ48に向か
って流れる。
【0042】さらに、排出部57は、図6に図示されるよ
うに、カバー43の従動プーリ48側の部分であって、アウ
タクラッチ54aを囲む周壁43aよりも径方向外方に位置し
て、クラッチアウタ54aよりも後方(この位置は、従動
プーリ48よりも後方でもある)においてカバー43の外面
よりも後方および右方に膨出した膨出部から形成され、
該周壁43aと該膨出部との間に排風路57aが形成される。
変速ケース41内と、直接および周壁43aの切欠部43a1を
介して、連通する排風路57aの入口47a1は、図2に図示
されるように、従動プーリ48の最後部の車体における前
後方向の位置と略同じ位置から後方に位置すると共に、
従動プーリ48の回転方向Aに関して逆方向を指向して開
口し、その開口面が略鉛直上方を向いており、また排風
路57aの出口57a2は、該回転方向Aに関して順方向を指
向して開口し、その開口面が略鉛直下方を向いている。
【0043】従来、Vベルト式自動変速機の冷却構造に
おいては、従動プーリの近傍に設けられた排風路は、そ
の入口が従動プーリの回転方向に関して順方向を指向し
て開口し、その出口が回転方向に関して逆方向を指向し
て開口する構造となっていたため、冷却後の空気が円滑
に排風路の入口に導かれず、冷却空気の流通による冷却
効率の向上の点で、改善の余地があった。
【0044】しかしながら、この実施例では、排風路57
aの入口57a1が、従動プーリ48の最後部の前後方向の位
置と略同じ位置から後方に位置しているうえ、入口57a1
が従動プーリ48の回転方向Aに関して逆方向を指向して
開口しているため、冷却ファン55により圧送された空気
が、従動プーリ48の最後部まで円滑に流れ、しかもVベ
ルト53、従動プーリ48および発進クラッチ54の回転によ
り回転方向Aの速度成分を有する冷却後の空気が、円滑
に入口57a1に流入し、出口57a2から排出されて、高温と
なった冷却後の空気の排出が効率よく行われ、それによ
って導入部56からの冷却用の空気の導入も効率よく行わ
れる。しかも、排風路57aの入口57a1は、従動プーリ48
の最後部の前後方向の位置と略同じ位置から後方に開口
しているため、冷却ファン55から圧送された大部分の空
気は、従動プーリ48およびVベルト53の従動プーリ48に
巻き掛けられた部分を通り過ぎて、それらを冷却し終え
た後、排風路57aを通って排出されるので、導入された
冷却用の空気を、Vベルト53および従動プーリ48の冷却
に有効に利用できる。その結果、自動変速機40の冷却効
率が向上して、Vベルト53の耐久性を向上させることが
できる。
【0045】自動変速機40はこのような構造であるた
め、内燃機関20が運転されて、クランク軸22と一体の駆
動プーリ45が、図2において、回転方向Aに回転した
際、機関回転数が小さいときは、図2および図3に図示
されるように、駆動プーリ45では、可動プーリ片45bが
固定プーリ片45aから軸方向に離れ、Vベルト53の巻掛
け半径は小さくなり、従動プーリ48では、スプリング52
により付勢された可動プーリ片48bが固定プーリ片48aに
接近し、Vベルト53の巻掛け半径は大きくなるため、大
きな変速比でクランク軸22の動力が出力軸49に伝達され
る。
【0046】機関回転数が増加すると、駆動プーリ45で
は、ウエイトローラ47が、遠心力により径方向外方に移
動して、可動プーリ片45bが固定プーリ片45aに近づくた
め、Vベルト53の巻掛け半径は大きくなり、従動プーリ
48では、スプリング52に抗して可動プーリ片48bが固定
プーリ片48aから離れ、Vベルト53の巻掛け半径は小さ
くなるため、変速比は小さくなる。
【0047】したがって、無段変速機40において、駆動
プーリ45は、クランク軸22の右端部と共にクランク軸22
からの動力が入力される入力部を構成しており、またク
ランク軸22の軸線C1が駆動プーリ45の軸線ともなってい
る。そして、駆動プーリ45よりも後方に位置すると共に
発進クラッチ54を介して出力軸49と接続される従動プー
リ48は、出力軸49と共に出力部を構成しており、また従
動プーリ48のインナスリーブ50と同軸の出力軸49の軸線
C3が従動プーリ48の軸線C3となっている。
【0048】図3および図4に図示されるように、変速
ケース41の後部、すなわち変速ケース41において、従動
プーリ48が位置する側である従動プーリ48側に配置され
た減速ケース61は、ケース本体42と一体成形されたケー
ス本体62と、ケース本体62の左側の開口端を覆うカバー
63とから構成される。減速ケース61内には、変速ケース
41の底壁42bを貫通して左方に延びる出力軸49の左端
部、出力軸49の回転を減速する減速ギヤ機構64および差
動機構65を有する最終減速装置60が収容されていて、こ
の最終減速装置60により、従動プーリ48から出力軸49を
介して取り出された変速後の動力が左右一対の後輪4
L,4Rの左側および右側後車軸75L,75Rにそれぞれ伝達
される。減速ケース61の底壁62bの一部は変速ケース41
の底壁42bとの共用の壁となっている。
【0049】また、減速ケース61のケース本体62の周囲
壁62aの上部およびカバー63の上部は、後方から前方に
向かうにつれて次第に下方に傾斜した形状とされて、そ
の傾斜した部分の出力軸49の軸線C3からの径方向距離
は、従動プーリ48の半径よりも小さくされている。その
ため、その傾斜した周囲壁62aおよびカバー63の真上に
位置しているシリンダ部との干渉を回避しつつ、シリン
ダ部の鉛直線から後上方へ傾斜する角度を一層大きくす
ることが可能となって、シリンダ23はもちろん、シリン
ダヘッド24およびシリンダヘッドカバー25と変速ケース
41とが左右方向に重なるようにされている。シリンダヘ
ッド24を含むシリンダ部の変速ケース41からの上方への
突出量を小さくすることができて、パワーユニット6の
全高を低くすることができる。
【0050】出力軸49の左端部の2箇所、第1中間軸66
の両端および第2中間軸67の両端は、減速ケース61の底
壁62bおよびカバー63にそれぞれ回転自在に支持されて
いる。さらに、減速ケース61内において変速ケース41の
後方に位置する差動機構65の差動キャリヤ74の両端が、
減速ケース61の底壁62bおよびカバー63にそれぞれ回転
自在に支持されている。なお、図3の減速ギヤ機構64の
断面の一部は、図4において、第1および第2中間軸6
6,67の各軸線および左側および右側後車軸75L,75Rの
軸線C4を通る線での断面となっている。
【0051】そして、出力軸49は、一連のギヤにより差
動キャリヤ74に駆動連結されている。すなわち、第1お
よび第2中間軸66,67には、それぞれ大径の大ギヤ69,
71と小径の小ギヤ70,72とが設けられ、出力軸49の小径
の出力ギヤ68は第1中間軸66の大ギヤ69と噛合し、第1
中間軸66の小ギヤ70は第2中間軸67の大ギヤ71と、第2
中間軸67の小ギヤ72は差動キャリヤ74に設けられた大径
の最終ギヤ73と、それぞれ噛合していて、このように構
成された減速ギヤ機構64により、出力軸49の回転は3段
に減速されて差動キャリヤ74に伝達される。
【0052】さらに、カバー63には、差動キャリヤ74の
内側空間を貫通して延びる左側後車軸75Lを収容する左
側車軸管76Lが一体成形されている。一方、減速ケース6
1の差動機構65を収容した部分の底壁62bに形成された右
側開口端には、右側後車軸75Rを収容する右側車軸管76R
がボルトにより結合される。そして、マフラ39は、マフ
ラ39に溶接された左右2つずつの支持ステー58L1,58L
2,58R1,58R2を介して両後車軸75L,75Rの後方で固定
される。すなわち、左側の2つの支持ステー58L1,58L2
は、左側車軸管76Lにボルトにより結合され、また右側
の2つの支持ステー58R1,58R2は、減速ケース61のケー
ス本体62の底壁62bに、右側車軸管76Rと共にボルトによ
り結合される。
【0053】差動機構65は、差動キャリヤ74と、差動キ
ャリヤ74の内部に貫通して支持されるピニオン軸77と、
ピニオン軸77の両端に固着された一対のピニオンギヤ7
8,78と、両ピニオンギヤ78,78に噛合する左右一対の
サイドギヤ79L,79Rとを備えている。そして、左右のサ
イドギヤ79L,79Rには、それぞれ左側,右側後車軸75
L,75Rが固着される。それゆえ、差動キャリヤ74の回転
は、両ピニオンギヤ78,78と両サイドギヤ79L,79Rとの
噛合により適当な速度比に分配され、等しい駆動力が両
後車軸75L,75Rに伝達される。
【0054】したがって、クランク軸22の動力は、自動
変速機40の駆動プーリ45に入力され、ついで自動変速機
40で機関回転数に応じた変速比で自動的に変速されて従
動プーリ48に伝達され、さらに発進クラッチ54を介して
出力軸49に伝達される。そして、自動変速機40の出力
が、減速ギヤ機構64および差動機構65を介して左側およ
び右側後車軸75L,75Rに伝達される。
【0055】次に、内燃機関20のシリンダ部およびクラ
ンク軸22、自動変速機40の駆動プーリ45および従動プー
リ48、そして左側および右側後車軸75L,75Rの相互の配
置について説明する。
【0056】前述のように、従動プーリ48の軸線C3は、
クランク軸22の軸線C1、すなわち駆動プーリ45の軸線C1
の後下方に位置していることから、従動プーリ48の軸線
C3および駆動プーリ45の軸線C1を含む第1平面P1は、従
動プーリ48の軸線C3から駆動プーリ45の軸線C1に向かっ
て前上方に傾斜、すなわち従動プーリ48の軸線C3を含み
該軸線C3から前方に延びる水平面に対して、例えば略2
5°の角度で傾斜している。そして、シリンダ部と左側
および右側後車軸75L,75Rとは、この第1平面P1の上方
に配置される。
【0057】そして、前述のように、鉛直線から略80°
の角度でクランク軸22に対して後上方に傾斜しているシ
リンダ部の軸線C2は、第1平面P1に対して45°よりも
小さい傾斜角α(図2において、すなわち側面視におい
て、第1平面P1と軸線C2とがなす角度)を形成してお
り、このように、シリンダ部を鉛直線から後上方に大き
く傾斜させると共に、第1平面P1に対しても45°より
も小さくなるようにすることで、シリンダ23はもちろ
ん、シリンダヘッド24およびシリンダヘッドカバー25と
変速ケース41とが左右方向において重なるように配置さ
れている。そのため、シリンダヘッド24を含むシリンダ
部の、変速ケース41からの上方への突出量を小さくする
ことができて、パワーユニット6の上下方向の寸法を極
めて小さくすることができる。さらに、吸気装置に形成
された吸気通路の軸線C5は、側面視でシリンダ部の軸線
C2との間で傾斜角αよりも小さい角度の交差角βを形成
している。
【0058】また、従動プーリ48の軸線C3および従動プ
ーリ48の後方に位置している両後車軸75L,75Rの軸線C4
を含む第2平面P2は、水平面と略平行になっており、ま
た第1,第2中間軸66,67は、図2および図4に図示さ
れるように、第2平面P2の下方に配置される。そのた
め、出力軸49と両後車軸75L,75Rとの間の間隔を小さく
することができ、減速ケース61の前後方向の寸法、した
がってパワーユニット6の前後方向の寸法を小さくする
ことができる。
【0059】さらに、下側取付部42dが設けられる変速
ケース41の周囲壁42aの下面42cは、駆動プーリ45の軸線
C1および該軸線C1に対して後下方に位置する従動プーリ
48の軸線C3の配置に対応して、変速ケース41の周囲壁42
aにおいて、変速ケース41の後部である従動プーリ48側
から、変速ケース41の前部である駆動プーリ45側に向か
って前上方に、第1平面P1と略平行に傾斜している。し
たがって、変速ケース41の下面42cには、前方に向かう
ほど上下方向に大きく空いたスペースSが形成されてい
る。そして、支持ハンガ11は、この下面42cの下方に配
置されていて、前述のようにその軸部11bの後端部11dが
下側取付部42dに取り付けられる。
【0060】ところで、パワーユニット6を構成する内
燃機関20および自動変速機40として、シリンダの軸線が
前上方に傾斜した内燃機関およびVベルト式自動変速機
を備えたスクータ型自動二輪車のものを使用することが
できる。すなわち、クランクケースの左端部に駆動プー
リが設けられたクランク軸を有するスクータ型自動二輪
車用の内燃機関と自動変速機とを、平面視で180°回
転させて、側面視でのシリンダの軸線とクランク軸の軸
線との角度関係がこの実施例のように設定する。
【0061】その際、内燃機関の回転方向は変わらない
ので、駆動プーリ45および従動プーリ48の回転方向は、
スクータ型自動二輪車のときの回転方向とは逆方向の図
2に図示される回転方向Aとなり、Vベルト53は、下方
が引張り側で、上方が緩み側となる。そのため、最終減
速装置60は、出力軸49と両後車軸75L,75Rとの間に2本
の中間軸66,67を備えることにより、両後輪4L,4Rの回
転方向が適正となるようにしている。このように、内燃
機関および自動変速機を異なる車種の間で共用できるた
め、自動三輪車1のコスト削減が可能となる。
【0062】次に、前述のように構成された実施例の作
用効果について説明する。吸気管35、気化器31および空
気吸入管36からなる吸気装置は、機関本体の、クランク
軸22の軸線C1よりも上方に位置する吸気接続部24aに接
続され、しかも機関本体の上方において前方に延びてエ
アクリーナ37に接続され、排気管38は、機関本体の、側
面視でのシリンダ部の軸線C2に対して、吸気装置および
エアクリーナ37が位置する側とは反対側において、クラ
ンク軸22の軸線C1の下方に位置する排気接続部24bに接
続されて、下方に延びた後、後方に延びて車体の後部に
配置されたマフラ39に接続されていることから、エアク
リーナ37は、マフラ39から車体の前後方向に離れて配置
されることになり、しかも排気管38から機関本体の上下
方向および車体の前後方向に離れた位置に配置されるこ
とになるので、マフラ39および排気管38により加熱され
た空気がエアクリーナ37から吸入されることが、著しく
抑制される。
【0063】その結果、エアクリーナ37から吸入される
空気が、マフラ39および排気管38により加熱されて高温
となるのを抑制することができるので、その高温空気に
よる充填効率の低下を防止できて、機関出力を増大させ
ることができる。
【0064】また、シリンダ部の軸線C2が、第1平面P1
に対して45°よりも小さい傾斜角αを形成しているこ
とから、クランク軸22の軸線C1を基準としたときのシリ
ンダ部の上下方向の寸法は、シリンダ部の前後方向の寸
法よりも小さくなるため、前後方向で見たとき、傾斜角
αが45°よりも大きなシリンダの軸線を有するパワー
ユニットに比べて、機関本体から延びる排気管38におい
て、クランク軸22が支持されたクランクケース21と重な
る部分が少なくなって、下方に延びる排気管38が、走行
風または走行風により誘起された空気流に曝され易く、
冷却され易くなっているうえに、排気接続部24bは、ク
ランク軸22の軸線C1よりも下方に位置するため、クラン
クケース21と重なる排気管38の部分が一層少なくなっ
て、排気管38は、走行風または走行風により誘起された
空気流により、さらに冷却され易くなる。
【0065】さらに、傾斜角αが45°よりも小さいこ
とから、クランク軸22の軸線C1を基準としたときのシリ
ンダ部の前後方向の寸法が、シリンダ部の上下方向の寸
法よりも大きくなるため、吸気接続部24aから前方に延
びる吸気装置に接続されるエアクリーナ37の前後方向の
位置が、前記傾斜角が45°よりも大きなシリンダの軸
線を有するパワーユニットに比べて、より後方の位置と
なるので、パワーユニット6の前後方向の寸法を小さく
することができる。
【0066】しかも、吸気通路の軸線C5が、側面視でシ
リンダ部の軸線C2との間で傾斜角αよりも小さい角度の
交差角βを形成しているため、自動変速機40から機関本
体の上方において前方に延びている吸気装置までの上下
方向の寸法、すなわちパワーユニット6の上下方向の寸
法を小さくすることができる。そして、この交差角βが
傾斜角αよりも小さいほどパワーユニット6の上下方向
の寸法を小さくすることができる。
【0067】その結果、排気管38は、走行風または走行
風により誘起された空気流により冷却され易くなってい
るため、排気管38の冷却が良好に行われて、排気管38の
耐久性を向上させることができる。さらに、エアクリー
ナ37から吸入される空気がマフラ39および排気管38によ
り加熱されない程度の、アクリーナ37とマフラ39または
排気管38との前後方向および上下方向の距離を確保した
うえで、パワーユニット6の前後方向および上下方向の
寸法を小さくすることができ、したがってパワーユニッ
ト6を小型化することができて、パワーユニット6の配
置またはその周辺に配置される部品の配置の自由度を大
きくすることができる。
【0068】また、機関本体から下方に延びる排気管38
が、左側後車軸75Lの下方を通って後方に延びるため、
排気管38は走行風により一層冷却され易い位置に配置さ
れている。また、排気管38が左側後車軸75Lの下方を通
ることにより、下方に延びた排気管38が後方に延びるた
めの湾曲の程度を緩やかなものとしたうえで、排気管38
長も長く設定することが可能となる。
【0069】その結果、排気管38は、走行風により一層
冷却されるため、耐久性が向上する。また、排気管38の
湾曲の程度が緩やかなものとなるので、排気抵抗を小さ
くすることができ、しかも排気管38長も長く設定するこ
とで、排気慣性や排気脈動を有効に利用するための長さ
の設定も容易となって、これらのことにより排気効率を
向上させて、機関出力を増大させることができる。
【0070】さらに、変速ケース41の下面42cは、変速
ケース41の従動プーリ48側から駆動プーリ45側に向かっ
て前上方に傾斜していて、変速ケース41の下面42cに
は、前方に向かうほど上下方向に大きく空いたスペース
Sが形成されている。そのため、出力軸49の前方近傍を
下方に向かって延びる排気管38に対して、走行風が、該
スペースSから排気管38に向けて流れ易いため、排気管
38が一層冷却され易くなる。
【0071】変速ケース41のケース本体42の下面42cの
下方には、前方に向かうほど上下方向に大きく空いたス
ペースが形成され、支持ハンガ11の後端部11dは、スペ
ースSを利用して変速ケース41のケース本体42に取り付
けられるので、支持ハンガ11を含めた上下方向および前
後方向の寸法を小さくでき、またスペースSは、その前
部ほど上下方向に空いているため、支持ハンガ11の後端
部11dを取り付け易い。
【0072】その結果、スペースSを利用することで、
上下方向および前後方向にコンパクトな形態でパワーユ
ニット6を支持できると共に、支持ハンガ11の取り付け
も容易になる。
【0073】以下、前述した実施例の一部の構成を変更
した実施例について、変更した構成に関して説明する。
前記実施例では、少なくとも排気接続部24bの最も低い
位置にある部分24b1は、クランク軸22の軸線C1よりも下
方に位置していたが、少なくとも該部分24b1が、クラン
ク軸22の軸線C1と略同じ高さ位置、すなわち主軸受に支
持されるクランク軸22のジャーナル部の、地面Gからの
最高位置および最低位置の間に位置していてもよく、そ
の場合にも、排気管38の冷却の点で、前記実施例と同様
の作用効果が奏される。
【0074】前記実施例では、シリンダ23の軸線C2は、
クランク軸22の軸線C1に対して、後上方を指向して傾斜
していたが、クランク軸22の軸線C1に対して後方であっ
て水平面に略平行に指向していてもよい。また、燃料は
気化器31により供給されたが、燃料が燃料噴射弁により
供給される内燃機関では、気化器31の代わりにスロット
ルボディが吸気装置の構成要素となる。
【0075】前記実施例では、吸気通路の軸線C5は、側
面視でシリンダ部の軸線C2との間で傾斜角αよりも小さ
い角度の交差角βを形成していたが、交差角βは傾斜角
αと略等しくてもよく、この場合にもパワーユニット6
の上下方向の寸法の増大を抑制することができる。ま
た、車両は自動三輪車であったが、小型の自動四輪車で
あってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の車両用パワーユニットが搭載された
自動三輪車の概略右側面図である。
【図2】変速ケースのカバーを外した状態の右側面図で
ある。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】減速ケースのカバーを外した状態の左側面図で
ある。
【図5】変速ケースのカバーにおける駆動プーリ側の要
部左側面図である。
【図6】変速ケースのカバーにおける従動プーリ側の要
部左側面図である。
【符号の説明】
1…自動三輪車、2…車体フレーム、3…前輪、4L,4R
…後輪、5…操舵機構、6…パワーユニット、7…シー
ト、8…ヘッドパイプ、9…フロントフォーク、10…ハ
ンドル、11…支持ハンガ、12…緩衝器、13L,13R…前側
軸支部、14…車体カバー、20…内燃機関、21…クランク
ケース、22…クランク軸、23…シリンダ、24…シリンダ
ヘッド、25…シリンダヘッドカバー、26…交流発電機、
27…冷却ファン、28…発電機ケース、29…ファンカバ
ー、30…ラジエータ、31…気化器、32…ピストン、33…
コンロッド、34…燃焼室、35…吸気管、36…空気吸入
管、37…エアクリーナ、38…排気管、39…マフラ、40…
無段変速機、41…変速ケース、42…ケース本体、42c…
下面、43…カバー、44…ボルト、45…駆動プーリ、46…
ランププレート、47…ウエイトローラ、48…従動プー
リ、49…出力軸、50…インナスリーブ、51…アウタスリ
ーブ、52…スプリング、53…Vベルト、54…発進クラッ
チ、55…冷却ファン、56…導入部、57…排出部、58L1,
58L2,58R1,58R2…支持ステー、60…最終減速装置、61
…減速ケース、62…ケース本体、63…カバー、64…減速
ギヤ機構、65…差動機構、66,67…中間軸、68〜73…ギ
ヤ、74…差動キャリヤ、75L,75R…後車軸、76L,76R…
車軸管、77…ピニオン軸、78…ピニオンギヤ、79L,79R
…サイドギヤ、A…回転方向、C1〜C5…軸線、P1,P2…
平面、S…スペース α…傾斜角、β…交差角。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両に搭載されたパワーユニットであっ
    て、クランクケースに支持されて左右方向を指向したク
    ランク軸の軸線に対してシリンダの軸線が後方を指向し
    た内燃機関と、前記クランク軸の動力を後車軸に伝達す
    る伝動装置と、を備えた車両用パワーユニットにおい
    て、 前記内燃機関の機関本体の、前記クランク軸の軸線より
    も上方に位置する吸気接続部に接続された吸気装置が、
    該機関本体の上方において前方に延びてエアクリーナに
    接続され、前記機関本体の、側面視での前記シリンダの
    軸線に対して、該エアクリーナが位置する側とは反対側
    に位置する排気接続部に接続された排気管が、該機関本
    体から下方に延びた後湾曲して後方に延びて車体の後部
    に配置されたマフラに接続されていることを特徴とする
    車両用パワーユニット。
  2. 【請求項2】 前記伝動装置は、前記クランク軸に設け
    られた入力部および該入力部よりも後方に位置して前記
    クランク軸の軸線と平行な軸線を持つ出力軸に設けられ
    た出力部を有する変速機を含み、前記シリンダの軸線
    は、前記クランク軸の軸線と前記出力軸の軸線とを含む
    平面に対して45°よりも小さい傾斜角を形成している
    ことを特徴とする請求項1記載の車両用パワーユニッ
    ト。
  3. 【請求項3】 前記排気接続部は、前記クランク軸の軸
    線と略同じ高さ位置または前記クランク軸の軸線よりも
    下方に位置することを特徴とする請求項2記載の車両用
    パワーユニット。
  4. 【請求項4】 前記排気管は前記後車軸の下方を通って
    前記マフラに接続されていることを特徴とする請求項2
    または請求項3記載の車両用パワーユニット。
  5. 【請求項5】 前記吸気装置により形成された吸気通路
    の軸線は、側面視で前記シリンダの軸線との間で前記傾
    斜角と略等しい角度または前記傾斜角よりも小さい角度
    の交差角を形成することを特徴とする請求項2ないし請
    求項4のいずれか1項記載の車両用パワーユニット。
  6. 【請求項6】 前記変速機を収容するケースの下面は前
    記出力部から前記入力部に向かって前上方に傾斜し、前
    端部が前記車体に回動自在に支持され、後端部が該下面
    の下方で該ケースに取り付けられた支持ハンガが、該後
    端部から前方に向かって延びていることを特徴とする請
    求項2ないし請求項5のいずれか1項記載の車両用パワ
    ーユニット。
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