JP2001322184A - 伝動ベルト用心線の接着処理方法 - Google Patents
伝動ベルト用心線の接着処理方法Info
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Abstract
維持し、そしてゴムとの接着性を向上させた伝動ベルト
用心線の接着処理方法を提供する。 【解決手段】 撚糸コードからなる伝動ベルト用心線を
ニトリルゴム変性エポキシ樹脂とアルキルフェノール・
ホルムアルデヒド樹脂を含む前処理液で処理し、続いて
ニトリルゴムラテックスもしくは水素化ニトリルゴムラ
テックスからなるRFL液で処理し、そしてニトリルゴ
ム配合物もしくは水素化ニトリルゴム配合物を溶剤に溶
かしたゴム糊でオーバーコート処理する。
Description
接着処理方法に係り、詳しくはホツレ性を改善し、屈曲
疲労後強力保持率を維持し、そしてゴムとの接着性を向
上させた伝動ベルト用心線の接着処理方法に関する。
社会的要請を背景に、自動車のエンジンルーム周辺の雰
囲気温度は、従来に比べて上昇し、伝動ベルトの使用環
境温度も高くなってきた。従来の伝動ベルトは主に天然
ゴム、スチレンーブタジエンゴム、クロロプレンゴムを
使用してきたが、 高温雰囲気下では、圧縮ゴム層が早
期に亀裂を発生することがあった。
て開発された水素化ニトリルゴムがVリブドベルト、V
ベルト、あるいは歯付ベルトに使用されている。また、
水素化ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を使用し
たゴム配合物も伝動ベルトの弾性部材に使用されてい
る。これに応じて、心線である繊維コードと水素化ニト
リルゴムとの接着も改善されつつある。
組成物との接着において、特公昭60−24131号公
報には、カルボキシル基含有アクリロニトリル−ブタジ
エンゴムラテックスからなるRFL液で処理する方法、
特公平5−41525公報、特公平5−41526公
報、特公平5−41527公報には、イソシアネート化
合物、エポキシ化合物及びシランカップリング剤から選
ばれた活性化合物、RFL液及びハロゲン含有重合体を
主成分とする接着剤組成物で処理する方法、特公平6−
41528公報にはエポキシ化合物あるいはイソシアネ
ート化合物で第1処理した後、RFL液で第2処理し、
そしてゴム配合物と塩化ゴムを溶剤に溶かしたゴム糊で
第3処理する方法が開示されている。
ル−ブタジエンゴムゴムラテックスからなるRFL液で
処理する方法では、従来に比べて繊維コードと水素化ニ
トリルゴムとの接着力は改善されたが、この処理コード
を心線に用いた伝動ベルトを走行させて繰り返し疲労を
与えた場合には、早期に心線と接着ゴム層とが界面剥離
し、実使用上、接着力が不足していることが明らかにな
った。
合体を主成分とする接着剤組成物を使用する場合には、
ハロゲン含有重合体の使用は、地球環境上、制限される
可能性を含んでいる。 更には、特公平6−41528
公報に記載された方法では、塩化ゴムが地球環境上、制
限される可能性を含んでおり、将来において継続的に安
定した供給が危ぶまれる問題を含んでいる。
サゾール繊維やアラミド繊維等の高強度、高モジュラス
の有機繊維では、熱中の寸法安定性が他の有機繊維より
優れており、広く動力伝動用ベルトの心線として用いら
れつつある。しかし、歯付ベルト、Vリブドベルト及び
カットエッジタイプのVベルト等のベルト両側面(カッ
ト面)を露出させた動力伝動用ベルトの心線として使用
した場合、そのカット面から該繊維のフィラメントが飛
び出す「ホツレ」という問題が発生したために、種々の
改善が今日まで行われてきた。
(2)エポキシ又はイソシアネート化合物で前処理した
後、RFL液を用いる方法などが試みられてきた。ま
た、RFL液の含浸性を改善するため、特開平8−10
0370号公報にはRFL液を含む処理液を真空・加圧
条件下で含浸する方法が提案されている。
したRFL液処理のみの場合には、屈曲性はよいがホツ
レ易さが残り、一方(2)の方法ではコードが硬くな
り、ホツレ性は改善されるが屈曲疲労性が悪くなる等、
何れも未だ充分満足される状態に至っていない。更に、
処理液を真空・加圧条件下で含浸する方法も連続処理に
は不適であった。
くとも1個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と
液状ゴムの混合溶液で処理し、しかる後、これを未加硫
ゴムと密着加硫せしめる接着方法を提案した。この方法
は従来法に比べ屈曲疲労性及びホツレ性を著しく改善で
きたが、なお接着性がやや劣っている難があり、更に検
討の余地が残されていた。
を改善し、屈曲疲労後強力保持率を維持し、そしてゴム
との接着性を向上させた伝動ベルト用心線の接着処理方
法を提供することを目的とする。
の発明は、水素化ニトリルゴム配合物と伝動ベルト用心
線の接着処理方法において、撚糸コードからなる伝動ベ
ルト用心線をニトリルゴム変性エポキシ樹脂とアルキル
フェノール・ホルムアルデヒド樹脂を含む前処理液で処
理し、続いてニトリルゴムラテックスもしくは水素化ニ
トリルゴムラテックスからなるRFL液で処理し、そし
てニトリルゴム配合物もしくは水素化ニトリルゴム配合
物を溶剤に溶かしたゴム糊でオーバーコート処理する伝
動ベルト用心線の接着処理方法にある。
ム変性エポキシ樹脂とアルキルフェノール・ホルムアル
デヒド樹脂を含む前処理液で処理すれば、固化した前処
理剤がフィラメントを固着し、ホツレ性を改善し、この
前処理剤には柔軟性があるため、耐屈曲疲労性も良好で
ある。更にニトリルゴムラテックスもしくは水素化ニト
リルゴムラテックスからなるRFL液で処理し、そして
ニトリルゴム配合物もしくは水素化ニトリルゴム配合物
を溶剤に溶かしたゴム糊でオーバーコート処理すること
により、撚糸コードのホツレ性を改善し、屈曲疲労後強
力保持率を維持し、そしてゴムとの接着性を向上させた
またゴムとの接着性を向上させることができる。
ルゴム配合物と伝動ベルト用心線の接着処理方法におい
て、撚糸コードからなる伝動ベルト用心線をニトリルゴ
ム変性エポキシ樹脂とアルキルフェノール・ホルムアル
デヒド樹脂を含む前処理液で処理し、続いてニトリルゴ
ム配合物もしくは水素化ニトリルゴム配合物を溶剤に溶
かしたゴム糊でオーバーコート処理する伝動ベルト用心
線の接着処理方法にあり、RFL液で処理しなくても撚
糸コードのホツレ性を改善し、屈曲疲労後強力保持率を
維持し、そしてゴムとの接着性を向上させることができ
る。
ニトリルゴム変性エポキシ樹脂、アルキルフェノール・
ホルムアルデヒド樹脂、そして架橋剤からなる伝動ベル
ト用心線の接着処理方法にある。
ノール・ホルムアルデヒド樹脂とニトリルゴム変性エポ
キシ樹脂の重量比が2/10〜10/10である伝動ベ
ルト用心線の接着処理方法にある。
心線がポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維
である伝動ベルト用心線の接着処理方法にある。この繊
維は、高強度、高モジュラスであるが、接着性が低く、
耐屈曲疲労性に劣る。本願の接着処理方法を使用するこ
とによってこの繊維の撚糸コードのホツレ性を改善し、
屈曲疲労後強力保持率を維持し、そしてゴムとの接着性
を向上させたまたゴムとの接着性を向上させることがで
きる。
ゴムは、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、あるいは
H−NBRに不飽和カルボン酸金属塩を添加したものを
主成分とし、これにカーボンブラックのような補強剤、
充填剤、軟化剤、老化防止剤、加硫助剤、硫黄のような
加硫剤等が添加混合される。
0%以上であり、耐熱性及び耐オゾン性の特性を発揮す
るために好ましくは90%以上が良い。水素添加率80
%未満の水素化ニトリルゴムは、耐熱性及び耐オゾン性
が極度に低下する。耐油性及び耐寒性を考慮すると、結
合アクリロニトリル量は20〜45%の範囲が好まし
い。
は、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維
(PBO繊維)、アラミド繊維のフィラメント群を撚り
合わせた撚糸コードであり、1〜3デニールのモノフィ
ラメントを100〜3,000本収束したトータル30
0〜3,100デニ−ルの無撚りの原糸を2〜5本寄せ
集め、これを上撚り数4〜50回/10cmで上撚りし
て得たものである。無論、上撚りの前に下撚りを施して
もよい。
処理される。 (1)まず未処理撚糸コードをニトリルゴム変性エポキ
シ樹脂、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、
そして架橋剤からなる室温に設定した前処理液に0.5
〜30秒間浸漬した後、150〜220°Cに調節した
オーブンに2〜5分間通して乾燥される。前処理液が心
線内部まで浸透してフィラメントを固着し、ホツレ性を
改善する。尚、前処理液の固形分濃度は5〜30重量%
に調節される。トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水
素、メチルエチルケトンなどの脂肪族ケトンが、溶剤と
して用いられる。
に2個以上のエポキシ基を持つエポキシ樹脂をニトリル
ゴムで変性したエポキシプレポリマーであり、ベースの
エポキシとしては、グリセリン、プロピレングリコール
類とエビクロルヒドリン等のハロゲン含有エポキシ化合
物との反応生成物、又はヒドロキノン、ビスフェノール
A等の多価フェノールとハロゲン含有エポキシ類との反
応生成物が使用される。特に、末端に2個のエポキシ基
を持つビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用したもの
が好適である。
脂は、フェノールあるいはクレゾール、クロロフェノー
ルなどの1価フェノール、又はレゾルシン、カテコール
などの多価フェノールの1種又は2種以上のフェノール
とホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどの1種又は
2種以上とを酸あるいはアルカリ触媒の存在下で縮合し
たものである。
ド樹脂とニトリルゴム変性エポキシ樹脂の重量比は2/
10〜10/10であり、2/10未満の場合にはゴム
との接着性が低下する。一方10/10を超えると、ゴ
ムとの接着性が低下すると共に、処理剤の可撓性が低下
するため処理コードの屈曲疲労性が低下する。
ル、酸無水物などが使用される。特に、3級アミンが好
適である。通常、エポキシ樹脂に対し3〜30重量%の
範囲で使用される。
テックス(アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテック
ス)もしくは水素化ニトリルゴムラテックスからなるR
FL液で処理する。RFL液はレゾルシンとホルマリン
の初期縮合物を上記のゴムラテックスと混合したもので
あり、この場合レゾルシンとホルマリンのモル比は3/
1〜1/3にすることが接着力を高める上で好適であ
る。また、レゾルシンとホルマリンの初期縮合物は、こ
のゴムラテックスのゴム分100重量部に対してその樹
脂分が5〜100重量部になるように混合した上、全固
形濃度を5〜40%濃度に調節される。
調節し、また浸漬時間は0.5〜30秒であり、200
〜250°Cに調節したオーブンに1〜3分間通して熱
処理される。
ルゴム配合物もしくは水素化ニトリルゴム配合物をトル
エン、キシレンなどの芳香族炭化水素、メチルエチルケ
トンなどの脂肪族ケトンから選ばれた、ゴム配合物の良
溶媒となる溶剤に溶かしたゴム糊に浸漬しオーバーコー
ト処理する。浸漬時間は0.5〜30秒であり、80〜
200°Cに調節したオーブンに1〜3分間通して熱処
理される。
処理液に処理した後、RFL処理せずに、直接オーバー
コート処理液で処理することもできる。
線は、例えば図1に示すような歯付ベルト1に使用され
る。この歯付ベルト1はベルト長手方向(図中矢印)に
沿って複数の歯部2と、心線3を埋設した背部4からな
り、上記歯部2の表面には歯布5が貼着した構成からで
きている。
する。 実施例1〜3、比較例1 (撚糸コードの作製)PBO繊維を1,090dtex
/3の構成で、撚り数15.7回/cmでS方向及びZ
方向に撚糸してS撚り、Z撚りの片撚りコードを準備し
た。それらの撚糸コードを表1に示す第1処理液に浸漬
した後、200°Cで1分間熱処理した。次に表2に示
すRFL液に浸漬した後、200°Cで1分間熱処理し
た。更に、表3に示すゴム配合物を固形分濃度10%で
トルエンに溶解して処理液とし、その処理液に浸漬した
後、160°Cで2分間熱処理した。
り評価した。その結果を表1に記載する。また、図1に
実施例1〜3と比較例1に係るアルキルフェノール・ホ
ルムアルデヒド樹脂(フェノール)/ニトリルゴム変性
エポキシ樹脂(エポキシ)の重量比と平剥離力の関係を
示す。
ゴム組成物を合わせて、圧力2MPa、温度153°C
で30分間加硫して剥離試料を作製し、50mm/分の
速度でT型剥離試験を行い、処理コードとゴム間の剥離
力を測定した。
してアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂を使用
しない場合には、平剥離力は低下し、他方実施例1〜3
の場合には、平剥離力が優れていることが判る。また、
図2に示すようにフェノール/エポキシの重量比では、
実施例1と2が高水準の平剥離力値を維持している。
15.7回/cmでS方向及びZ方向に撚糸してS撚
り、Z撚りの片撚りコードを準備した。それらの撚糸コ
ードを表4に示す第1処理液に浸漬した後、200°C
で1分間熱処理した。次に表2に示すRFL液に浸漬し
た後、200°Cで1分間熱処理した。更に、表3に示
すゴム配合物を固形分濃度10%でトルエンに溶解して
処理液とし、その処理液に浸漬した後、160°Cで2
分間熱処理した。
は、2/2綾織りのナイロン帆布を接着処理し、この帆
布をモールドに巻き付け、この上に前記PBO繊維コー
ドをスピニングした後、更に表4のH−NBRゴム配合
物からなるゴムシートを巻き付けた。続いて、これを加
硫して、得られた加硫スリーブを所定の幅に切断して個
々のベルトを得た。ベルトサイズは歯ピッチ8mm、歯
数99、ベルト幅19.1mmであった。
率、ホツレ性を下記の方法により測定した。その結果を
表4に記載する。また、図3に実施例4〜8と比較例2
に係る前処理液の固形分濃度と平剥離力の関係を示すグ
ラフを示し、また図4に実施例4〜8と比較例2に係る
前処理液の固形分濃度と屈曲疲労後強力保持率の関係を
示すグラフを示す。
歯)に懸架し、ベルト背面に直径52mmの平プーリを
当接させ、雰囲気温度120°C、負荷5馬力、軸荷重
15kgfの条件下で1,000時間走行させた後、ベ
ルトをプーリから取り外し、ベルト強力を引張速度50
mm/分で測定し、走行前のベルト強力で除して強力保
持率を求めた。
目視により5段階 (A〜E)で評価した。評価Aは良
で、Eは悪になる。
例4〜7の第1処理液から第3処理液まで処理した場
合、また実施例8の第1処理液と第3処理液で処理した
場合にも、平剥離力、屈曲疲労後強力保持率、ホツレ性
とも優れていることが判る。一方、比較例2では、平剥
離力と屈曲疲労後強力保持率が劣っている。
は、撚糸コードからなる伝動ベルト用心線を第1処理液
としてニトリルゴム変性エポキシ樹脂を主成分とする処
理液で処理し、第2処理液としてニトリルゴムラテック
スもしくは水素化ニトリルゴムラテックスからなるRF
L液で処理し、そして第3処理液としてニトリルゴム配
合物もしくは水素化ニトリルゴム配合物を溶剤に溶かし
たゴム糊で処理した場合や、上記の第1処理液と第3処
理液で処理した場合においても、平剥離力、屈曲疲労後
強力保持率、ホツレ性とも優れている。
ポキシの重量比と平剥離力の関係を示す。
分濃度と平剥離力の関係を示すグラフを示す。
分濃度と屈曲疲労後強力保持率の関係を示す。
Claims (5)
- 【請求項1】 水素化ニトリルゴム配合物と伝動ベルト
用心線の接着処理方法において、撚糸コードからなる伝
動ベルト用心線をニトリルゴム変性エポキシ樹脂とアル
キルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂を含む前処理液
で処理し、続いてニトリルゴムラテックスもしくは水素
化ニトリルゴムラテックスからなるRFL液で処理し、
そしてニトリルゴム配合物もしくは水素化ニトリルゴム
配合物を溶剤に溶かしたゴム糊でオーバーコート処理す
ることを特徴とする伝動ベルト用心線の接着処理方法。 - 【請求項2】 水素化ニトリルゴム配合物と伝動ベルト
用心線の接着処理方法において、撚糸コードからなる伝
動ベルト用心線をニトリルゴム変性エポキシ樹脂とアル
キルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂を含む前処理液
で処理し、続いてニトリルゴム配合物もしくは水素化ニ
トリルゴム配合物を溶剤に溶かしたゴム糊でオーバーコ
ート処理することを特徴とする伝動ベルト用心線の接着
処理方法。 - 【請求項3】 前処理液がニトリルゴム変性エポキシ樹
脂、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、そし
て架橋剤からなる請求項1または2記載の伝動ベルト用
心線の接着処理方法。 - 【請求項4】 アルキルフェノール・ホルムアルデヒド
樹脂とニトリルゴム変性エポキシ樹脂の重量比が2/1
0〜10/10である請求項1〜3いずれかに記載の伝
動ベルト用心線の接着処理方法。 - 【請求項5】 伝動ベルト用心線がポリパラフェニレン
ベンゾビスオキサゾール繊維である請求項1〜4いずれ
かに記載の伝動ベルト用心線の接着処理方法。
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