JP2001320916A - 苗移植機における苗取り出し装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 苗トレイ２７におけるポット２７ａ内の苗
を、一対の取り出し爪６０を差し込んだのち閉じること
によりホット内から取り出し、次いで、前記一対の取り
出し爪６０を開き動と、押し出し具９１の押し出し動に
て、苗を下方に放出する場合に、前記苗の根鉢に型崩れ
が発生することを低減する。 【解決】 前記前記押し出し具が下向きへの押し出し動
を開始し、この押し出し具の押し出し動に遅れて前記一
対の取り出し爪が開き作動するように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、野菜などの作物用の苗
を畑の畝に適宜間隔で移植するための苗移植機におい
て、この苗移植機に載せた苗トレイから苗を一株ずつ取
り出すようにした苗取り出し装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、この種の苗移植機は、特開平７
−８０２９号公報等に記載されているように、おおまか
にいって、走行機体に、動力源としてのエンジンと、こ
の走行機体に搭載した苗トレイにおける各苗ポットから
苗を一株ずつ取り出したのち後述する苗移植装置に供給
する苗取り出し装置と、この苗取り出し装置からの苗を
圃場における畝に対して移植する苗植付け装置とを設け
た構成であり、また、この苗移植機のうち前記苗植付け
装置は、左右に開くように二つに縦割りされたカップ体
内に前記苗取り出し装置からの苗を受け入れると、前記
カップ体がその下端を畝に差し込むように下降動したの
ち左右に開くことにより、苗を畝に植付けし、その後に
おいて苗に対して覆土輪にて土をかぶせるという構成し
ている。

【０００３】更にまた、前記苗移植機のうち前記苗取り
出し装置は、例えば、特開平７−２５０５１３号公報等
に記載されているように、左右一対の取り出し爪を苗ト
レイにおける苗ポット内に差し込んだ状態で互いに接近
するように閉じることで苗の根鉢を挟み付け、この状態
で、前記両取り出し爪が苗ポットから抜けるように後退
することにより、苗を苗ポットより取り出し、次いで、
前記両取り出し爪が、前記苗植付け装置におけるカップ
体の真上箇所まで移動したのち、左右に開くと同時に、
押し出し具にて苗の根鉢を下向きに押し出し動すること
により、苗をその下方のカップ体に向かって落下するよ
うに構成している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、前記苗取り出
し装置において、押し出し具を使用するのは、苗トレイ
から取り出した苗を早い速度で落下することによって、
苗植付け速度を向上するためであるが、従来の苗取り出
し装置においては、前記押し出し具による押し出し動
と、両取り出し爪の開き動とが同時であることにより、
両取り出し爪が開いた瞬間、苗の根鉢に型崩れが発生し
易く、この分だけ前記押し出し具による押し出し速度を
遅くしなければならないから、押し出し具を設けたこと
による苗植付けの速度アップを十分に達成することがで
きないという問題があった。

【０００５】本発明は、この問題を解消することを技術
的課題とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この技術的課題を達成す
るため本発明は、「一対の取り出し爪と、押し出し具と
を備え、前記一対の取り出し爪が、苗トレイにおける各
ポット内に差し込んだ状態で互いに接近するように閉じ
たのちポット内から抜けるように後退すると、前記押し
出し具が下向きへの押し出し動を開始し、この押し出し
具の押し出し動に遅れて前記一対の取り出し爪が開き作
動するように構成した。」ことを特徴とするものであ
る。

【０００７】

【発明の作用・効果】このように、一対の取り出し爪
が、苗トレイにおける各ポット内に差し込んだ状態で互
いに接近するように閉じたのちポット内から抜けるよう
に後退した時点において、先に押し出し具が下向きへの
押し出し動を開始し、これに遅れて前記一対の取り出し
爪が開き作動するように構成したことにより、苗に根鉢
は、これを挟み付ける両取り出し爪が開くまでの間、押
し出し具の押し出し動による圧縮にて突き固められるこ
とになるから、両取り出し爪が開いたときにおける型崩
れを確実に少なくすることができる。

【０００８】従って、本発明によると、苗トレイから取
り出した苗を、型崩れが少ない状態で素早く苗植付け装
置に供給することかでき、苗植付けの安定性の向上と、
苗植付け速度の向上とを図ることができるという効果を
有する。

【０００９】特に、請求項２に記載したように、前記押
し出し具を下向きに押し出し動するときの速度を、両取
り出し爪が開く時期を挟んでその前において遅くその後
において早くすることにより、苗に根鉢をより確実に突
き固めることができて、前記の効果を更に助長できるの
である。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
１〜図１７の図面について説明する。

【００１１】苗移植機における走行機体１には、エンジ
ン１８及びミッションケース１７と、後述する左右一対
の苗植付け装置２と１つの苗供給装置３とを備え、走行
機体１は左右両側に配置する前走行車輪４と後走行車輪
５とが昇降機構を介して装着され、畑の畝７を左右に跨
いで走行するように構成されている。

【００１２】昇降機構は次のように構成されている。即
ち、走行機体１の前部位に軸受け部８に回動可能に軸支
されて左右に延びる回動軸９の中途のアーム１１には、
昇降用の油圧シリンダ１０のピストンロッドを連結して
回動可能とする。そして、前記回動軸９の左右両端部に
固着したアーム１２を走行機体１の後方に延ばし、各ア
ーム１２に前走行車輪４を取付ける。

【００１３】他方、走行機体１のミッションケース１７
の左右両側から突出する車軸１３に、後走行車輪５にお
けるスイングケース１５の基端を上下回動可能に装着
し、各スイングケース１５内の動力伝達機構を介して後
走行車輪５を回転駆動させる。また、各スイングケース
１５の基端部と前記回動軸９とをリンク機構１６を介し
て回動可能に連結する。

【００１４】これにより、油圧シリンダ１０のピストン
ロッドを後退させると、回動軸９及びアーム１２を介し
て前走行車輪４を走行機体１に対して下降動し、同様に
回動軸９及びリンク機構１６とスイングケース１５とを
介して後走行車輪５を下降動させて、走行機体１を地面
に対して上昇させる（対地高さを大きくする）。反対に
油圧シリンダ１０のピストンロッドを突出させると走行
機体１に対して前走行車輪４及び後走行車輪５を一斉に
上昇させて、走行機体１を地面に対して下降させるもの
である。

【００１５】走行機体１には、エンジン１８と、該エン
ジン１８からの動力回転を変速するためのミッションケ
ース１７とを載置し、エンジン１７からの動力は、プー
リ、ベルトを介して一旦ミッションケース１７内の変速
機構（図示せず）に伝達し、このミッションケース１７
内の動力伝達手段から前記車軸１３の中途部に動力伝達
される。

【００１６】前記走行機体１には、後向きに延びるハン
ドル１９を設け、このハンドル１９の左右一対の支持杆
１９ａ，１９ａに跨がって苗載台２０を左右に往復移動
可能に配置し、この苗載台２０を横送り機構２１を介し
て左右往復動させるように構成し、この苗載台２０に
は、苗ポット部２７ａを平面視で進行方向の前後左右に
マトリックス状に設けた苗用トレイ２７を載置し、苗載
台２０に設けた縦送り機構２２にて、前記横送りの移動
終端で、苗ポット部２７ａを走行機体１の前進方向に１
ピッチずつ間欠的に縦送りするように構成するものであ
る。

【００１７】前記各苗植付け装置２は、図５に示すよう
に、上下揺動する揺動アーム３１と該揺動アーム３１の
先端に移植すべきポット苗を保持して圃場に移植するた
めの移植用カップ体３２等からなる移植機構３０と、前
記苗供給装置３における苗用トレイ２７の苗ポット部２
７ａ内における苗を、苗ポット部２７ａから前記移植用
カップ体３２に移送するための苗取出し爪６０を有する
苗取り出し装置２９とにより構成し、前記ミッションケ
ース１７から一つの伝動系を介して前記左右両苗植付け
装置２に動力伝達するように構成したものである。

【００１８】次に、前記左右苗植付け装置２の構造を図
６〜図１２を参照して説明する。即ち、左右一対の移植
機構３０及び苗取り出し装置２９は走行機体１の左右中
心に対して対称状に配置されるものである（図５及び図
７参照）。なお、図７では左右一対の移植機構３０のう
ちの一方のみ断面図で示し、他方は一点鎖線で示して図
示省略する。

【００１９】前記ミッションケース１７の左右両側に突
出する出力軸としてのＰＴＯ軸２３の両端に移植機構３
０における回動ケース３４内の基端側チェンスプロケッ
ト３５を取付けし、回動ケース３４における自由端側の
回転軸３６に被嵌したチェンスプロケット３７と前記チ
ェンスプロケット３５とにチェン３８を巻掛けして動力
伝達する。

【００２０】回動ケース３４における自由端側の一側外
面には、ロータリケース４０を回転可能に被嵌すると共
に、前記回転軸３６と同心状に太陽歯車３９を固定的に
設け、該太陽歯車３９に噛み合う中間歯車４１とこれに
噛み合う遊星歯車４２とはロータリケース４０内にて回
転自在に軸支されている。なお、チェンスプロケット３
７と回転軸３６との間には過負荷時に回転軸３６が滑っ
て動力伝達不能とする摩擦クラッチ４３が設けられてい
る。

【００２１】前記遊星歯車４２が取付けられた支軸４４
にはクランクアーム４５を固着し、該クランクアーム４
５の先端軸４６を前記揺動アーム３１の中途部に回転可
能に装着する。該揺動アーム３１の基端の案内コロ４７
は地面に対して略垂直状になるように立設したガイドレ
ール４８に上下摺動自在に嵌合している。

【００２２】前記移植用カップ体３２は下向きに窄まる
略円錐状のものを前後に半割りした一対のカップ体３２
ａ，３２ｂとからなり、カップ体３２ａ，３２ｂそれぞ
れの上端側に固着した回動支軸４９ａ，４９ｂは、前記
揺動アーム３１の一側から突出する支持板５０に回動可
能に枢支されており、二つのリンク片の中途をピンにて
枢着してなる側面視Ｘ字状のリンク機構５１を介して両
回動支軸４９ａ，４９ｂを相互に反対向きに回動するよ
うに構成し、且つリンク機構５１には一対のカップ体３
２ａ，３２ｂの下端側が常時閉まる方向にばね５２にて
付勢されている。また、前記リンク機構５１に連結した
押し杆５３の基端は、揺動アーム３１に対して進退動自
在に支持され、且つ押し杆５３の基端は、前記クランク
アーム４５の先端軸４６に被嵌して一体的に回転するカ
ム５４に常時当接しているように設けられている。

【００２３】この構成により、ＰＴＯ軸２３の回転にて
チェンスプロケット３５、３７及び回転軸３６を介して
ロータリケース４０を矢印Ａ方向に回転させるとき、前
記太陽歯車３９、中間歯車４１、遊星歯車４２の噛み合
い回転により、クランクアーム４５は矢印Ｂ方向に回転
し、このクランクアーム４５に連結する揺動アーム３１
は案内コロ４７の箇所を中心に前後揺動しつつガイドレ
ール４８に沿って上下移動するから、移植用カップ３２
は図４の軌跡５５（上側の一部のみ示す）に沿って上下
動し、前記苗用トレイ２７の前方位置から畝７まで移動
する。また、移植用カップ体３２は、その上方位置では
一対のカップ体片３２ａ，３２ｂの下端が閉じており、
従って、その内部に移植すべきポット苗（図示せず）を
上から挿入しても姿勢保持できる。他方、移植用カップ
体３２が下降して、カップ体３２ａ，３２ｂの下端が畝
７の土壌面に突き刺さるときには、カム５４にて押し杆
５３を押し出し、リンク機構５１を介して両回動支軸４
９ａ，４９ｂを相互に反対向きに回動させ、カップ体片
３２ａ，３２ｂの下端が開くから、内部のポット苗Ｎは
畝７に移植できるのである。

【００２４】次に、図５、図６〜図１４を参照しなが
ら、苗取出し爪６０を有する左右一対の苗取り出し装置
２９の構成について説明する。なお、この左右一対の苗
取り出し装置２９は、前記左右一対の移植用カップ体３
２の左右配置間隔（左右の植付け条間隔Ｈ１）と等しい
間隔で配置されており、また、左右の苗取り出し装置２
９は左右対称状であるので一方について詳細に説明し、
他方は図示省略する。

【００２５】前記ミッションケース１７上の動力伝達ケ
ース６１からベルト式の変速機構６２（詳しくは後述す
る）及び歯車ケース６４を介して横軸６３に動力伝達し
たのち、この横軸６３からチェン６５を介して左右一対
の苗取り出し装置２９に動力伝達する一方、前記一方の
苗取り出し装置２９からチェン６６を介して前記苗供給
装置３に動力伝達される（図１３参照）。

【００２６】走行機体１に固着したブラケット６７に支
持板６８を固設し、この支持板６８に固定された太陽歯
車７０の内周には、入力軸７１を回転自在に嵌合し、こ
の入力軸７１の他端をロータリケース７２に固着して一
体的に回転するように構成する。ロータリケース７２内
には、太陽歯車７０に噛み合う中間歯車７３と、クラン
ク軸７４に固着して中間歯車７３に噛み合う遊星歯車７
５とを内装してあり、クランク軸７４に取付けられたク
ランクアーム７６の先端から突出するカム軸７７には、
一端に左右一対の苗取出し爪６０が装着された苗取出し
アーム７８を回転自在に被嵌する。苗取出しアーム７８
の他端から突出したガイド軸７９は、前記支持板６８と
平行状に固定されたガイド板８０における略円弧状のガ
イド溝８１に摺動自在に嵌合されており、前記入力軸７
１周りのロータリケース７２の一回転にて、前記一対の
苗取出し爪６０が図８に実線で示す姿勢から図１１に実
線で示す姿勢（苗用トレイ２７の苗ポット部２７ａ内に
苗取出し爪が突き刺さってポット苗を挟持する姿勢）を
経て元に戻る軌跡８２（図８参照）を辿るように構成さ
れている。

【００２７】また、前記左右一対の苗取出し爪６０の基
端取付け片８３は、Ｌ状の枢軸８４に固着され、該各枢
軸８４は苗取出しアーム７８における眼鏡状の取付け部
７８ａに回動可能に装着され、左右両取付け片８３を連
結するばね８５にて、左右一対の苗取出し爪６０の先端
側が常時閉じる方向に付勢されている。

【００２８】前記カム軸７７にはカム板８６を固着し、
該カム板８６の広幅表裏面には、円周方向に沿って回動
角度の一区間において円弧状の端面カム部８７を突設
し、前記左右一対の苗取出し爪６０の基端取付け片８３
から相対向するように突出する球状等の当接片８８が端
面カム部８７箇所に乗り上げて当接すると、両苗取出し
爪６０の先端が前記ばね８５の力に抗して開くように構
成されている。

【００２９】さらに、前記苗取出しアーム７８のピン８
９箇所周りに回動可能な装着板９０には一対の棒状の押
し出し具９１の基端が回動可能に装着されており、該各
押し出し具９１の先端環状部９１ａが前記箸状の苗取出
し爪６０に摺動自在に被嵌され、且つ装着板９０と苗取
出しアーム７８とに装架されたばね９３にて前記両先端
環状部９１ａが苗取出し爪６０先端方向に移動すべく付
勢されている。

【００３０】そして、装着板９０に取付くコロ９２が前
記カム板８６の周面（周面カム部）に対して常時当接し
ており、カム板８６の所定の回動区間の凹所８６ａにコ
ロ９２が位置するとき（苗取出し爪６０にて突き刺され
挟持されたポット苗が移植用カップ３２の上方に位置し
たとき）、前記両押し出し具９１が、下向きに押し出し
動することにより、その先端の環状部９１ａにてポット
苗を押し出して、苗取出し爪６０からポット苗を放出
（抜き出す）ように構成されている。

【００３１】このようにポット苗を放出するときにおい
て、前記端面カム部８７及びカム板８６の形状を適宜設
定することにより、両苗取出し爪６０が開く時期と、押
し出し具９１が下向きに押し出し動する時期とを、先に
押し出し具９１が押し出し動し、次いで、これに適宜遅
れて両苗取出し爪６０が開くようにずらせると共に、押
し出し具９１における押し出し動の速度を、前記両苗取
出し爪６０が開くまでは遅く、両苗取出し爪６０が開い
たあとで早くするように構成する。

【００３２】次に、図５、図８及び図１５〜図１７を参
照しながら苗供給装置３について説明する。苗載台２０
は図１５に示すように、平面視で略矩形状の枠フレーム
１００と、該枠フレーム１００の一側に配置した縦送り
機構２２としての縦送り用伝動部を内蔵した縦送りケー
ス１０１と、苗用トレイ２７を縦送りするための搬送チ
ェン１０２と、大小のチェンスプロケット１０３，１０
４と、空の苗用トレイ２７がハンドル１９の後端方向に
導かれるにように配置したガイドフレーム１０５等から
なる。

【００３３】前記苗載台２０の枠フレーム１００等に装
着した前後方向の案内コロ１０８と上下方向の案内コロ
１０９とを、前記ハンドル１９における左右支持杆１９
ａ，１９ａ等に固定された左右長手の前後一対のコ字型
ガイドレール１０６，１０７に当接させて苗載台２０が
上下及び前後にガタつかないで左右に移動可能に装架さ
れている。

【００３４】苗用トレイ２７は可撓性を有する軟質合成
樹脂材にて構成し、搬送チェン１０２に搭載されて搬送
されるとき大径のチェンスプロケット１０３の円周に沿
って湾曲可能となっている。そして、前記左右一対の搬
送チェン１０２は縦送りケース１０１内の動力伝達系を
介して駆動される縦送り駆動軸１１０に装着された大径
チェンスプロケット１０３と枠フレーム１００に回転自
在に装着された従動軸１１１における小径チェンスプロ
ケット１０４とに巻掛けられている。前記左右一対の搬
送チェン１０２には、適宜ピッチＰ１にて横向きの係合
ピン１１２が突設されており、この左右の係合ピン１１
０が苗用トレイ２７における搬送前後方向に並ぶ苗ポッ
ト部２７ａの連設部下面側に係合して確実に図１２の矢
印Ｃ方向に搬送するものである。なお、大径チェンスプ
ロケット１０３の外周に沿って苗用トレイ２７が湾曲す
るようにガイドする案内片１１３を枠フレーム１００等
に設けてある。

【００３５】前記横送り機構２１における伝動ケース１
１４から突出する横送り軸１１５には往復送りねじ部１
１５ａが形成されており、該往復送りねじ部１１５ａに
螺合する船型キー付き送りブロック１１６と苗載台２０
におけるフレームから突出する係合ボルト等の係合片１
１７とを連結させ、苗載台２０を苗トレイ２７の横幅方
向に前記左右一対の移植用カップ体３２の左右間隔Ｈ１
に相当する距離（苗植付条間隔）だけ左右往復移動させ
るように構成する（図１７参照）。

【００３６】他方、前記伝動ケース１１４から突出する
縦送り軸１１８は、前記苗載台２０の横送り終端位置で
間欠的に回動し、該縦送り軸１１８に前記寸法Ｈ２だけ
隔てて設けた一対の蹴り爪１１９，１１９は、縦送りケ
ース１０１に設けた従動カム（図示せず）を蹴り回動さ
せ、縦送りケース１０１内の伝動部を介して前記縦送り
駆動軸１１０を間欠回動させ、苗ポット部２７ａが一定
ピッチＰ２だけ間欠縦送りされるように構成するもので
ある。

【００３７】前記両苗取り出し装置２９に回転速度、前
記苗トレイ２７の横及び縦方向の送り速度は、前記ベル
ト式の変速機構６２にて同時に変速される。

【００３８】すなわち、このベルト式変速機構６２は、
図１３及び図１４に示すように、動力伝達ケース６１に
おける出力軸上の固定プーリ６２ａと、可動プーリ６２
ｂと、これら両プーリ６２ａ，６２ｂ間に巻掛けしたベ
ルト６２ｃとからなり、前記可動プーリ６２ｂを、走行
機体１から立設の軸受けフレーム６２ｄにピン６２ｅに
て回転自在に軸支したブラケット６２ｆの先端に軸支し
た動力伝達軸６２ｇに装着され、この動力伝達軸６２ｇ
を、これを支持するブラケット６２ｆのピン６２ｅを中
心とする回転操作にて前記固定プーリ６２ａに遠近動す
ることにより、適宜変速するように構成されている。

【００３９】この変速に際しての前記ブラケット６２ｆ
の回動操作は、このブラケット６２ｆに、前記横軸６３
を跨ぐように略半円形に構成したリンク６２ｈの一端を
枢着する一方、リンク６２ｈの他端におけるボス部６２
ｈ′に、走行機体１に固着の支持板６２ｊを貫通するネ
ジ軸６２ｋを螺合することにより、このネジ軸６２ｋを
回すことで行うように構成されている。

【００４０】この構成により、走行機体１を矢印Ｃ方向
に前進させながら、苗供給装置３及び苗植付け装置２を
作動させると、苗供給装置３における苗載台２０は進行
方向の右または左方向に移動し、この移動に同期して左
右一対の苗取り出し装置２９における対の苗取出し爪６
０が苗用トレイ２７の苗ポット部２７ａからポット苗を
挟持して抜き出し、各々対応する箇所で図６の軌跡５５
の上端位置にある移植用カップ体３２の真上に来たとき
において、両苗取出し爪６０の開き動、及び押し出し具
９１の下向きへの押し出し動により、ポット苗を両移植
用カップ体３２内に落とすように放出する。次いで、揺
動アーム３１を回動させて、前記両移植用カップ３２の
下降行程の下端部近傍にて畝にポット苗を植付けすると
いう動作を繰り返して２条に苗を移植することができる
のである。

【００４１】そして、前記両苗取出し爪６０の開き動、
及び押し出し具９１の下向きへの押し出し動により苗の
放出を行うに際して、先に押し出し具９１が下向きへの
押し出し動を開始し、これに遅れて前記一対の取り出し
爪６０が開き作動するように構成したことにより、苗の
根鉢は、これを挟み付ける両取り出し爪６０が開くまで
の間、押し出し具９１の押し出し動による圧縮にて突き
固められることになるから、両取り出し爪６０が開いた
ときにおける型崩れを確実に少なくすることができるの
である。

【００４２】なお、前記苗供給装置３の下方には、前記
苗トレイ２７からこぼれ落ちる土及び水を受けるカバー
１２０を設け、このカバー１２０には、図３に示すよう
に、後方に向かって斜め下向きに傾斜する二本の傾斜溝
１２０ａを設けて、このカバー１２０の上面にこぼれ落
ちた土及び水等を、前記二本の傾斜溝１２０ａを介し
て、畝７に植付けた苗に対して導くように構成すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態による苗移植機の概略側面
図である。

【図２】図１の平面図である。

【図３】図１のIII −III 視拡大後面図である。

【図４】前記苗移植機においてボンネットカバー等を除
いた概略側面図である。

【図５】図４の平面図である。

【図６】苗植付け装置の要部拡大側面図である。

【図７】苗植付け装置の要部拡大平断面図である。

【図８】苗取り出し装置と苗供給装置と移植用カップ体
との位置関係を示す側面図である。

【図９】苗取り出し装置の要部斜視図である。

【図１０】苗取り出し装置の要部断面図である。

【図１１】苗取り出し装置の作動説明図である。

【図１２】苗取出し爪の要部正面図である。

【図１３】苗取り出し装置への動力伝達を示す図であ
る。

【図１４】図１３のXIV −XIV 視拡大断面図である。

【図１５】苗供給装置の要部平面図である。

【図１６】苗載台の要部概略側面図である。

【図１７】苗載台の横移動構成部の要部平面図である。

【符号の説明】

１ 走行機体 ２ 苗植付け装置 ３ 苗供給装置 ４ 前走行車輪 ５ 後走行車輪 ７ 畝 １５ スイングケース １７ ミッションケース ２０ 苗載台 ２７ 苗トレイ ２１ 横送り機構 ２２ 縦送り機構 ２３ ＰＴＯ軸 ２９ 苗取り出し装置 ３０ 移植機構 ３１ 揺動アーム ３２ 移植用カップ体 ６０ 苗取出し爪 ９１ 押し出し具

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】一対の取り出し爪と、押し出し具とを備
   え、前記一対の取り出し爪が、苗トレイにおける各ポッ
   ト内に差し込んだ状態で互いに接近するように閉じたの
   ちポット内から抜けるように後退すると、前記押し出し
   具が下向きへの押し出し動を開始し、この押し出し具の
   押し出し動に遅れて前記一対の取り出し爪が開き作動す
   るように構成したことを特徴とする苗移植機における苗
   取り出し装置。
2. 【請求項２】前記請求項１の記載において、前記押し出
   し具を下向きに押し出し動するときの速度を、両取り出
   し爪が開く時期を挟んでその前において遅くその後にお
   ける早くすることを特徴とする苗移植機における苗取り
   出し装置。